JP2007095582A - 膜電極接合体製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】触媒電極層と高分子電解質膜との接合の耐久性、三相界面量、接合性を向上させる膜電極接合体を製造する。
【解決手段】カソード側及びアノード側について、それぞれ、触媒成分1、導電性材料4、および高分子電解質3を含む触媒スラリーを転写用シート上に塗布して、触媒層前駆体が形成された触媒層塗布シートを得た後、前記カソード側及びアノード側用の触媒層塗布シートを高分子電解質膜の両側に転写する段階を有する、膜電極接合体の製造方法において、前記転写工程前に、前記カソード側用の触媒層塗布シート、アノード側用の触媒層塗布シートおよび高分子電解質から選択される少なくとも一を、加湿ガス雰囲気下で熱処理することを特徴とする、膜電極接合体の製造方法。
【選択図】図2
【解決手段】カソード側及びアノード側について、それぞれ、触媒成分1、導電性材料4、および高分子電解質3を含む触媒スラリーを転写用シート上に塗布して、触媒層前駆体が形成された触媒層塗布シートを得た後、前記カソード側及びアノード側用の触媒層塗布シートを高分子電解質膜の両側に転写する段階を有する、膜電極接合体の製造方法において、前記転写工程前に、前記カソード側用の触媒層塗布シート、アノード側用の触媒層塗布シートおよび高分子電解質から選択される少なくとも一を、加湿ガス雰囲気下で熱処理することを特徴とする、膜電極接合体の製造方法。
【選択図】図2
Description
本発明は、電解質膜と触媒層とを積層してなる膜電極接合体の製造方法、膜電極接合体、及びそれを用いた燃料電池に関する。
現在深刻な問題の1つである地球温暖化の最大要因は、二酸化炭素濃度である。この二酸化炭素濃度を減らす、夢の技術といわれる核融合も実現への道程は見えず、原発は核廃棄物の処理という新たな問題を引き起こし、エネルギーの革新を図るにはいずれも前途多難である。また、現在使用しているエネルギーを今後も使用し続けると、地球が水の惑星ではなくなってしまう。そこで、地球温暖化防止に大きく貢献して、従来のエネルギーに代替できるものを早急に見出すべきである。その代替できるものの代表例の一つとして水素エネルギーがあり、その水素を燃料に化学発電する燃料電池は、前記問題を解決しうるものである。1839年に英国のグローブ卿によって発明されたこの古くて新しいエネルギーシステムが、現在時空を超えて復興しつつある。
かかる燃料電池の種類は、一般的にリン酸型燃料電池(PAFC)、アルカリ型燃料電池(AFC)、高分子型燃料電池(PEFC)などがあり、なかでも高分子型燃料電池(PEFC)は、常温で起動でき、電解質の散逸の問題が少なく、高電流密度などの利点を有する。
固体高分子型燃料電池の性能を上げるポイントは種々あるが、過電圧を下げることは、非常に重要なポイントの一つである。この過電圧には、濃度過電圧、活性化過電圧、抵抗過電圧の3種類があり、中でも活性化過電圧は、電極触媒量や触媒表面積、実際の反応に関与する触媒の利用率に依存する。電極反応は、いわゆる三相界面(電解質−触媒電極−反応ガス)で起こるが、固体高分子型燃料電池(以下PEFCとも称する)では電解質が固体膜であるために、反応場所が電極と膜との接触表面界面に限定され、白金の利用率が低下する傾向にある。このため、同じ膜材料からなる溶液をガス電極の膜接合側に塗布乾燥して電極作動面積を3次元化することによって拡大し、触媒の利用率を向上させ触媒量の低減を図る手段が採られている。
三相界面量を向上させる従来例の特許文献1では、高分子電解質膜への転写工程前に熱処理を行うことで耐久性と接合性が向上するとしているが、高温で熱処理を行うことのみである。この際乾燥ガス中で熱処理を行うと、触媒中の固体高分子は含水量が少ないため高分子の自由度が低くなり、熱処理の効果が小さいという問題があった。
特開2004−288391号公報
そこで、本発明の目的は、固体高分子型燃料電池の前途を精選しうるものであり、燃料電池電極の触媒の形成の際において、触媒層と電解質膜との接合の前に触媒層および/または電解質膜を加湿ガス雰囲気中で熱処理することで耐久性、三相界面量、接合性を向上させる製造方法およびその膜電極体を提供するものである。
本発明は、カソード側及びアノード側について、それぞれ、触媒成分、導電性材料、および高分子電解質を含む触媒スラリーを転写用シート上に塗布して、触媒層前駆体が形成された触媒層塗布シートを得た後、前記カソード側及びアノード側用の触媒層塗布シートを高分子電解質膜の両側に転写する段階を有する、膜電極接合体の製造方法において、
前記転写工程前に、前記カソード側用の触媒層塗布シート、アノード側用の触媒層塗布シートおよび高分子電解質から選択される少なくとも一を、加湿ガス雰囲気下で熱処理することを特徴とする、膜電極接合体の製造方法により上記課題を解決するものである。
前記転写工程前に、前記カソード側用の触媒層塗布シート、アノード側用の触媒層塗布シートおよび高分子電解質から選択される少なくとも一を、加湿ガス雰囲気下で熱処理することを特徴とする、膜電極接合体の製造方法により上記課題を解決するものである。
本発明の膜電極接合体の製造方法は、電解質膜上に触媒層を接合する前に、加湿ガス雰囲気中で熱処理を行うことにより、高分子の流動性を高め、かつ接合面に多くのイオン交換基を配向させる。その結果、接合性および流動性を高めることで三相界面を増大させることが可能である。従って、本発明の方法によると、触媒活性が高く、耐久性に優れる膜電極接合体が得られる
第一の発明は、カソード側及びアノード側について、それぞれ、触媒成分、導電性材料、および高分子電解質を含む触媒スラリーを転写用シート上に塗布して、触媒層前駆体が形成された触媒層塗布シートを得た後、前記カソード側及びアノード側用の触媒層塗布シートを高分子電解質膜(単に電解質膜とも称する。)の両側に転写する段階を有する、膜電極接合体の製造方法において、
前記転写工程前に、前記カソード側用の触媒層塗布シート、アノード側用の触媒層塗布シートおよび高分子電解質から選択される少なくとも一を、加湿ガス雰囲気下で熱処理することを特徴とする、膜電極接合体の製造方法である。なお、触媒層は、電極触媒層とも称し、カソード、アノードの両方を含む。
前記転写工程前に、前記カソード側用の触媒層塗布シート、アノード側用の触媒層塗布シートおよび高分子電解質から選択される少なくとも一を、加湿ガス雰囲気下で熱処理することを特徴とする、膜電極接合体の製造方法である。なお、触媒層は、電極触媒層とも称し、カソード、アノードの両方を含む。
以下、図1、2を参照して従来例と比較しながら、本発明に係るカソード側用の触媒層塗布シート、アノード側用の触媒層塗布シートを加湿ガス雰囲気下で熱処理することについてまず説明する。ここで、図1は従来の三相界面を示す模式図であり、図2は本発明に係る三相界面を模式図である。図1、2における下部の図は、電極触媒2を拡大した模式図である。
特開2004−28839号公報に開示されている膜電極接合体(以下従来例とも称する)は、シート上に電極触媒層(単に、触媒層とも称する)を形成して転写シートを作製し、前記転写シートを乾燥させ、前記転写シートを熱処理し、前記熱処理した転写シートを高分子電解質膜へ転写し、次いで先の熱処理温度より低い温度で高分子電解質膜/電極触媒層への拡散層を加熱及び加圧することにより膜−電極接合体を製造するものである。従って、従来発明は、図1に示されるように転写前に熱処理すると、当然のことながら水分が蒸発するため、触媒層中の含水量が低下する。そして触媒層中の含水量が低下すると、高分子電解質3が収縮し、高分子電解質3と触媒成分1との接触面積が減少する。従って、熱処理をこの状態で行ったとしても、高分子電解質3による被覆が不十分なまま高分子電解質が、結晶化してしまう。
一方、本発明の図2は、転写前に熱処理する際、加湿ガス雰囲気で行うと、クラジウス−クラペイロン式からも解るように、触媒層中の水分が蒸発しにくい。そのため、本発明は、熱処理時に触媒層中が含水した状態を保つことができ、高分子電解質3による触媒成分1の被覆が好ましい状態で、高分子電解質3を結晶化させることができる。なお、本明細書において、「結晶化」とは、高分子鎖が一定の規則性を持った方向で絡まりあうことを意味し、高分子鎖が一定の方向性をもって強固に絡み合うので、電極触媒層の機械的強度が上昇する。
また、本発明は、転写前の熱処理工程において加湿ガス雰囲気中で熱処理を行うことにより、触媒層中の固体高分子の流動性を高め、高分子電解質膜との接合面にイオン交換基を多く配向させる。すなわち、熱によって溶融された触媒層中の高分子電解質の周囲に多くの水分子が存在すると、シャボン玉の原理と同様に、触媒層中の高分子電解質のイオン交換基が大気側に配向する。そして、大気側に配向されているイオン交換基を有する触媒層と高分子電解質膜とを接合させる際、その接合面には多くのイオン交換基が配向されているため、触媒層と高分子電解質膜との接合性が高まると考えられる。
以上のことから、本発明は、熱処理工程において触媒層中の高分子の流動性が高いため、電極触媒上を被覆している高分子が膨潤して触媒の被覆が均一になり、三相界面が増加する。熱処理による高分子の結晶性向上に起因する耐久性の向上は、従来例と同様に得られる。
本発明に係る高分子電解質を加湿ガス雰囲気下で熱処理することについては、電解質膜が加湿ガス雰囲気下での熱処理されることにより、触媒層中の高分子電解質と同様に、高分子の流動性を高め、触媒層との接合面にイオン交換基を多く配向させることができる。
本発明は、前述したような理由から、前記転写工程前に、前記カソード側用の触媒層塗布シート、アノード側用の触媒層塗布シートおよび高分子電解質から選択される少なくとも一を、加湿ガス雰囲気下で熱処理することを特徴とするものであるが、当然のことながら前記カソード側用の触媒層塗布シート、アノード側用の触媒層塗布シートおよび高分子電解質の3つ全てを加湿ガス雰囲気下で熱処理することが最も好ましい。
また、加湿ガス雰囲気での熱処理においては、ガス雰囲気に用いられるガスが、不活性ガスに限定されず、触媒層の劣化を招く酸化性ガス以外であればよく、水素などの還元性ガスを用いてもよい。同じく加湿においても、加湿に用いる媒体は水に限定されず、アルコールとの混合溶媒を用いることもできる。アルコールとの混合溶媒を用いた場合、触媒層中の固体高分子の流動性がより高くなるので、混合溶媒の組成を制御することで熱処理の効果を高めることも可能である。
触媒成分、導電性材料、および高分子電解質を含む触媒スラリーを、転写用シート上に塗布する方法は、スクリーンプリント法、スプレー法、ドクターブレード法など、塗布方法には限定されず、形成された触媒層を加湿ガス雰囲気下で熱処理を行うものであり、ホットプレスなどの膜との接合工程の前に行う。
尚、この場合の前記アルコールは、低級アルコールが好ましく、メタノール、エタノール、プロパノール、ブタノールなどが挙げられる。アルコール濃度は、水に対して50〜500質量%が好ましい。
また、前記加湿ガスに用いられるガスは、例えばN2、Arなどが好ましい。
本発明に係る電極触媒層に用いられる触媒成分として、カソード触媒層では、酸素の還元反応に触媒作用を有するものであれば特に制限はなく公知の触媒が同様にして使用できる。また、アノード触媒層に用いられる触媒成分もまた、水素の酸化反応に触媒作用を有するものであれば特に制限はなく公知の触媒が同様にして使用できる。具体的には、白金、ルテニウム、イリジウム、ロジウム、パラジウム、オスミウム、タングステン、鉛、鉄、クロム、コバルト、ニッケル、マンガン、バナジウム、モリブデン、ガリウム、アルミニウム等の金属、及びそれらの合金等などから選択される。これらのうち、触媒活性、一酸化炭素等に対する耐被毒性、耐熱性などを向上させるために、少なくとも白金を含むものが好ましく用いられる。
前記合金の組成は、合金化する金属の種類にもよるが、白金が30〜90原子%、合金化する金属が10〜70原子%とするのがよい。カソード触媒をして合金を+使用する場合の合金の組成は、合金化する金属の種類などによって異なり、当業者が適宜選択できるが、白金が30〜90原子%、合金化する他の金属が10〜70原子%とすることが好ましい。なお、合金とは、一般に金属元素に1種以上の金属元素または非金属元素を加えたものであって、金属的性質をもっているものの総称である。
合金の組織には、成分元素が別個の結晶となるいわば混合物である共晶合金、成分元素が完全に溶け合い固溶体となっているもの、成分元素が金属間化合物または金属と非金属との化合物を形成しているものなどがあり、本願ではいずれであってもよい。この際、カソード触媒層に用いられる触媒成分及びアノード触媒層に用いられる触媒成分は、上記の中から適宜選択できる。以下の説明では、特記しない限り、カソード触媒層及びアノード触媒層用の触媒成分についての説明は、両者について同様の定義であり、一括して、「触媒成分」と称する。しかしながら、カソード触媒層及びアノード触媒層用の触媒成分は同一である必要はなく、上記したような所望の作用を奏するように、適宜選択される。
触媒成分の形状や大きさは、特に制限されず公知の触媒成分と同様の形状及び大きさが使用できるが、触媒成分は、粒状であることが好ましい。この際、触媒スラリーに用いられる触媒成分の平均粒子径は、小さいほど電気化学反応が進行する有効電極面積が増加するため酸素還元活性も高くなり好ましいが、実際には平均粒子径が小さすぎると却って酸素還元活性が低下する現象が見られる。従って、触媒スラリーに含まれる触媒成分の平均粒子径は、1〜30nm、より好ましくは1.5〜20nm、さらにより好ましくは2〜10nm、特に好ましくは2〜5nmの粒状であることが好ましい。担持の容易さという観点から1nm以上であることが好ましく、触媒利用率の観点から30nm以下であることが好ましい。なお、本発明における「触媒成分の平均粒径」は、X線回折における触媒成分の回折ピークの半値幅より求められる結晶子径あるいは透過型電子顕微鏡像より調べられる触媒成分の粒子径の平均値により測定することができる。
本発明に係る触媒層に用いられる電極触媒は、導電性材料に触媒成分が担持されてなるものである。
前記導電性材料としては、触媒成分を所望の分散状態で担持させるための比表面積を有し、集電体として十分な電子導電性を有しているものであればよく、主成分がカーボンであるのが好ましい。具体的には、カーボンブラック、活性炭、コークス、天然黒鉛、人造黒鉛などからなるカーボン粒子が挙げられる。なお、本発明において「主成分がカーボンである」とは、主成分として炭素原子を含むことをいい、炭素原子のみからなる、実質的に炭素原子からなる、の双方を含む概念である。場合によっては、燃料電池の特性を向上させるために、炭素原子以外の元素が含まれていてもよい。なお、実質的に炭素原子からなるとは、2〜3質量%程度以下の不純物の混入が許容されることを意味する。
前記導電性材料のBET比表面積は、触媒成分を高分散担持させるのに十分な比表面積であればよいが、好ましくは20〜1600m2/g、より好ましくは80〜1200m2/gとするのがよい。前記比表面積が、20m2/g未満であると前記導電性材料への触媒成分および高分子電解質の分散性が低下して十分な発電性能が得られない恐れがあり、1600m2/gを超えると触媒成分および高分子電解質の有効利用率が却って低下する恐れがある。
また、前記導電性材料の大きさは、特に限定されないが、担持の容易さ、触媒利用率、電極触媒層の厚みを適切な範囲で制御するなどの観点からは、平均粒子径が5〜200nm、好ましくは10〜100nm程度とするのがよい。
前記導電性材料に触媒成分が担持された電極触媒において、触媒成分の担持量は、電極触媒の全量に対して、好ましくは10〜80質量%、より好ましくは30〜70質量%とするのがよい。前記担持量が、80質量%を超えると、触媒成分の導電性材料上での分散度が下がり、担持量が増加するわりに発電性能の向上が小さく経済上での利点が低下する恐れがある。また、前記担持量が、10質量%未満であると、単位質量あたりの触媒活性が低下して所望の発電性能を得るために多量の電極触媒が必要となり好ましくない。なお、触媒成分の担持量は、誘導結合プラズマ発光分光法(ICP)によって調べることができる。
本発明に係る電極触媒層におけるイオン導電性高分子は、特に限定されず公知のものを用いることができるが、高分子電解質に用いられたものと同様の材料が挙げられ、少なくとも高いプロトン伝導性を有する材料であればよい。本発明のカソード触媒層/アノード触媒層(以下、単に「触媒層」とも称する)には、電極触媒の他に、高分子電解質が含まれる。この際使用できる高分子電解質は、高分子骨格の全部又は一部にフッ素原子を含むフッ素系電解質と、高分子骨格にフッ素原子を含まない炭化水素系電解質とに大別される。
前記フッ素系電解質として、具体的には、ナフィオン(登録商標、デュポン社製)、アシプレックス(登録商標、旭化成株式会社製)、フレミオン(登録商標、旭硝子株式会社製)等のパーフルオロカーボンスルホン酸系高分子、ポリトリフルオロスチレンスルフォン酸系高分子、パーフルオロカーボンホスホン酸系高分子、トリフルオロスチレンスルホン酸系高分子、エチレンテトラフルオロエチレン−g−スチレンスルホン酸系高分子、エチレン−テトラフルオロエチレン共重合体、ポリビニリデンフルオリド−パーフルオロカーボンスルホン酸系高分子などが好適な一例として挙げられる。
前記炭化水素系電解質として、具体的には、ポリスルホンスルホン酸、ポリアリールエーテルケトンスルホン酸、ポリベンズイミダゾールアルキルスルホン酸、ポリベンズイミダゾールアルキルホスホン酸、ポリスチレンスルホン酸、ポリエーテルエーテルケトンスルホン酸、ポリフェニルスルホン酸等が好適な一例として挙げられる。
高分子電解質は、耐熱性、化学的安定性などに優れることから、フッ素原子を含むのが好ましく、なかでも、ナフィオン(登録商標、デュポン社製)、アシプレックス(登録商標、旭化成株式会社製)、フレミオン(登録商標、旭硝子株式会社製)などのフッ素系電解質が好ましく挙げられる。
また、導電性材料への触媒成分の担持は公知の方法で行うことができる。例えば、含浸法、液相還元担持法、蒸発乾固法、コロイド吸着法、噴霧熱分解法、逆ミセル(マイクロエマルジョン法)などの公知の方法が使用できる。または、電極触媒は、市販品を用いてもよい。
尚、高分子電解質膜と電極層とで用いる高分子電解質は、異なってもよいが、膜と電極の接触抵抗などを考慮すると同じものを用いるのが好ましい。
前記高分子電解質は、接着の役割をする高分子として電極触媒を被覆しているのが好ましい。これにより、電極の構造を安定に維持できるとともに、電極反応が進行する三相界面を十分に確保して、高い触媒活性を得ることができる。電極中に含まれる前記固体高分子電解質の含有量は、特に限定されないが、触媒成分の全量に対して25〜35質量%とするのがよい。
本発明の膜−電極接合体に用いられる高分子電解質膜としては、特に限定されず、電極触媒層に用いたものと同様の高分子電解質からなる膜が挙げられる。また、デュポン社製の各種のNafion(デュポン社登録商標)やフレミオンに代表されるパーフルオロスルホン酸膜、ダウケミカル社製のイオン交換樹脂、エチレン−四フッ化エチレン共重合体樹脂膜、トリフルオロスチレンをベース高分子とする樹脂膜などのフッ素系高分子電解質や、スルホン酸基を有する炭化水素系樹脂系膜など、一般的に市販されている高分子型電解質膜、高分子微多孔膜に液体電解質を含浸させた膜、多孔質体に高分子電解質を充填させた膜などを用いてもよい。前記高分子電解質膜に用いられる高分子電解質と、各電極触媒層に用いられる高分子電解質とは、同じであっても異なっていてもよいが、各電極触媒層と高分子電解質膜との密着性を向上させる観点から、同じものを用いるのが好ましい。
前記高分子電解質膜の厚みとしては、得られる膜電極接合体の特性を考慮して適宜決定すればよいが、好ましくは5〜300μm、より好ましくは10〜200μm、特に好ましくは15〜100μmである。製膜時の強度や膜電極接合体作動時の耐久性の観点から5μm以上であることが好ましく、膜電極接合体作動時の出力特性の観点から300μm以下であることが好ましい。
また、上記高分子電解質膜としては、上記したようなフッ素系高分子電解質や、スルホン酸基を有する炭化水素系樹脂による膜に加えて、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)などから形成された多孔質状の薄膜に、リン酸やイオン性液体等の電解質成分を含浸したものを使用してもよい。
本発明は、前記加湿ガス雰囲気下での熱処理において、熱処理条件は上記効果が達成される条件であれば特に制限されないが、ガス中の水分量(混合溶媒含む)が飽和水蒸気量で7500〜100g/m3の範囲であることが好ましい。
水蒸気量が100g/m3以上であると高分子電解質が膨潤しやすく、また水蒸気量が7500g/m3以下の水蒸気量では、飽和して液化しにくい。
この際、加湿ガス雰囲気下での熱処理において、ガス中の水分量は、飽和水蒸気量で、より好ましくは7000〜500g/m3、最も好ましくは5000〜1000g/m3である。
ここでは、ガス雰囲気の湿度条件として、相対湿度ではなく水蒸気量を用いる。熱処理時の加湿条件を相対湿度で規定した場合、熱処理温度が変わるとガス中の絶対水分量が異なってしまう。熱処理温度を変えた場合でも所望の効果を得るためには、固体高分子の流動性をできる限り近い状態に保つ必要がある。固体高分子の流動性は温度や含水量によって決まるが、含水量の影響の方が大きいため、含水量の制御が重要となる。
また触媒層塗布シート中の含水量は直接測定することが難しいため、熱処理条件下での飽和含水量(固体高分子重量当りの最大含水量×固体高分子量)より加湿ガス中の水分量(熱処理容器容積×水蒸気量)が大きくなるように設定する。
本発明は、前記熱処理する温度を、前記電解質のガラス転移温度より高いことが好ましい。
触媒層および電解質膜中の高分子電解質は、ガラス転移温度以上では分子鎖間の架橋のようなつながりがないと流動状態に移る。この流動状態で加湿すると、高分子電解質が膨潤しながら流動するため、周囲の高分子電解質群同士で集合する。これにより触媒層中の高分子電解質を加湿条件下で熱処理した場合は、触媒成分および導電性材料を被覆する面積が増大するものと考えられる。
また、電解質膜を加湿条件下で熱処理した場合は、電極触媒層と接合する際、その接合面における電解質の高分子の表面積が増大しているため、触媒成分および導電性材料を被覆する面積も当然増大すると考えられる。従って、被覆面積が増大すると三相界面の増大に影響を及ぼす
アノード側の電極触媒層およびカソード側の電極触媒層で異なる高分子電解質を組み合わせて用いる場合、いずれの高分子電解質のガラス転移温度を基準にしても良いが、ガラス転移温度の高い高分子を基準とすることが好ましい。なぜなら、ガラス転移温度の低い高分子に熱処理温度を合わせると、熱処理の効果はガラス転移温度の低い方でしか得られないからである。具体的には、使用する高分子電解質のガラス転移温度に対して、5〜60℃高いことが好ましい。ガラス転移温度より5℃以上高ければ、高分子電解質が軟化し、60℃程度までなら、含水状態にもよるが、熱分解による劣化はほとんど起こらない。
アノード側の電極触媒層およびカソード側の電極触媒層で異なる高分子電解質を組み合わせて用いる場合、いずれの高分子電解質のガラス転移温度を基準にしても良いが、ガラス転移温度の高い高分子を基準とすることが好ましい。なぜなら、ガラス転移温度の低い高分子に熱処理温度を合わせると、熱処理の効果はガラス転移温度の低い方でしか得られないからである。具体的には、使用する高分子電解質のガラス転移温度に対して、5〜60℃高いことが好ましい。ガラス転移温度より5℃以上高ければ、高分子電解質が軟化し、60℃程度までなら、含水状態にもよるが、熱分解による劣化はほとんど起こらない。
より具体的には、熱処理温度は、高分子電解質のガラス転移温度に対して、10℃〜40℃高い温度が好ましく、さらに好ましくは高分子電解質のガラス転移温度に対して、15℃〜30℃高い温度である。熱処理温度が、高分子電解質のガラス転移温度に対して15℃〜30℃高いと、高分子電解質が十分軟化しており、かつ熱分解による劣化も起こらないからである。
本発明は、前記触媒層前駆体が形成された触媒層塗布シートの熱処理温度を、前記電解質膜の熱処理温度以下にすることが好ましく、より好ましくは、前記触媒層前駆体が形成された触媒層塗布シートの熱処理温度を、前記電解質膜の熱処理温度より低くするものである。
アノード側、カソード側触媒層の熱処理温度を電解質膜の熱処理温度以下にする、より好ましくは、アノード側、カソード側触媒層の熱処理温度を電解質膜の熱処理温度より下げることで、電解質膜と接合される部分の高分子電解質の結晶性を下げる。この結晶性が下がると、触媒層中の高分子の流動性は上がるため、膜との接合時に密着性を向上させることができる。
前記触媒層前駆体が形成された転写用シートの熱処理温度と前記電解質膜の熱処理温度の差は、電解質の熱処理温度に対して5〜30℃低いことが好ましい。なぜなら5〜30℃では高分子電解質の結晶性が電解質膜より下がるからである。
より具体的には、前記触媒層前駆体が形成された触媒層塗布シートの熱処理温度は130℃〜150℃が好ましい。前記触媒層前駆体が形成された触媒層塗布シートの熱処理温度が、130℃〜150℃だと触媒層の結晶性を上げつつ膜との接合性が得られるからである。
前記電解質膜の熱処理温度は、130℃〜200℃が好ましく、より好ましくは150℃〜180℃である。前記電解質膜の処理温度は、130℃〜200℃だと高分子構造の結晶性が高まり、ガス透過量低減による耐久性向上効果が得られるからである。
本発明は、電解質膜の高分子電解質が、触媒層中の高分子電解質と異なり、かつ触媒層中に用いられている高分子電解質と同種の高分子電解質層を、電解質膜と触媒層との接合面に所定の厚みで形成した後に、加湿ガス雰囲気下で熱処理を行ってもよい。
異種の高分子、例えばパーフルオロ系とハイドロカーボン系では親和性が異なるため、接合時に触媒層と高分子電解質膜の接合が不十分となる可能性がある。高分子電解質膜の熱処理の際に、触媒層と同種の高分子を所定の厚さ、すなわち極薄く塗布することで、触媒層との親和性を高めることができる。類似の手法は他の特許にも見受けられるが、本発明では触媒層と同種の高分子を電解質膜に塗布した後に加湿ガス雰囲気下で熱処理を行っている。このため、高分子の流動性が高まり、高分子電解質膜と極薄く塗布した高分子の界面は強固に接合される。
触媒層中に用いられている前記高分子電解質と同種の高分子電解質層を、電解質膜と触媒層との接合面に所定の厚みで形成する方法としては、例えば、スプレー法、スクリーンプリント法、ダイコータ法、ドクターブレード法、が挙げられる。好ましくはスプレー法である。
また、触媒層中に用いられている前記高分子電解質と同種の高分子電解質層を、電解質膜と触媒層との接合面に形成する面は、高分子電解質層、カソード側触媒層、アノード側触媒層のいずれの層の上でもよいが、高分子電解質層上に形成することが好ましい。
前記所定の厚さは、500nm以上〜1μm以下が好ましい。500nm以上であれば十分に高分子電解質膜と触媒層との接合強度が達成され、1μm以下であれば電気抵抗にも影響を及ぼさない。
第2の発明は、上記の方法によって製造された膜電極接合体である。
次に、以下、本発明の膜電極接合体の製造方法の好ましい態様を説明して、上記の膜電極接合体を説明する。なお、以下の態様は、本発明の好ましい態様を示したものであり、本発明の膜電極接合体の製造方法が下記方法に限定されるものではない。
まず、本発明の触媒スラリーを転写用台紙上に塗布・乾燥して、電極触媒層を形成する。この際、転写用台紙としては、PTFE(ポリテトラフルオロエチレン)シート、PET(ポリエチレンテレフタレート)シート、ポリエステルシートなどの公知のシートが使用できる。なお、転写用台紙は、使用する触媒スラリー(特にインク中のカーボン等の導電性材料)の種類に応じて適宜選択される。また、上記工程において、電極触媒層の厚みは、水素の酸化反応(アノード側)及び酸素の還元反応(カソード側)の触媒作用が十分発揮できる厚みであれば特に制限されず、従来と同様の厚みが使用できる。具体的には、電極触媒層の厚みは、1〜20μm、より好ましくは2〜10μmである。
また、転写用台紙上への触媒スラリーは、特に制限されず、スクリーン印刷法、沈積法、あるいはスプレー法などの公知の方法が同様にして適用できる。また、塗布された電極触媒層乾燥条件もまた、電極触媒層から極性溶剤を完全に除去できる条件であれば特に制限されない。具体的には、触媒スラリーの塗布層(電極触媒層)を真空乾燥機内にて、室温〜100℃、より好ましくは50〜80℃で、30〜60分間、乾燥する。この際、触媒層の厚みが十分でない場合には、所望の厚みになるまで、上記塗布・乾燥工程を繰り返す。次に、本発明に係る加湿ガス雰囲気下で熱処理工程を、上記の本発明に係る条件で行い、下記の工程に進む。
すなわち、このようにして作製された固体高分子電解質膜を挟持した後、当該積層についてホットプレスを行なう。この際、ホットプレス条件は、電極触媒層及び固体高分子電解質膜が十分密接に接合できる条件であれば特に制限されないが、100〜200℃、より好ましくは110〜170℃で、電極面に対して1〜5MPaのプレス圧力で行なうのが好ましい。これにより固体高分子電解質膜および電極触媒層との接合性を高めることができる。
ホットプレスを行なった後、転写用台紙を剥がすことにより、電極触媒層および固体高分子電解質膜を含む膜電極接合体を得ることができる。
本明細書で言う「転写前」とは、触媒層を最初に高分子電解質膜に接合する場合には、カソード側及びアノード側について、それぞれ、触媒成分、導電性材料、および高分子電解質を含む触媒スラリーを転写用シート上に所望の厚みになるまで、塗布、乾燥工程を繰り返し、触媒層前駆体が形成された触媒層塗布シートを得る段階の後であって、前記カソード側及びアノード側用の触媒層塗布シートを高分子電解質膜の両側に接合する前をいう。また触媒層を最初にガス拡散層に接合する場合には、カソード側及びアノード側について、それぞれ、触媒成分、導電性材料、および高分子電解質を含む触媒スラリーを転写用シート上に所望の厚みになるまで、塗布、乾燥工程を繰り返し、触媒層前駆体が形成された触媒層塗布シートを得る段階の後であって、前記カソード側またはアノード側用の触媒層塗布シートをガス拡散層に接合する前をいう。
第3の発明は、第2の発明の膜電極接合体を用いたことを特徴とする燃料電池である。
本発明に係る膜電極接合体を、用いた前記燃料電池は、下記に詳述されるように、一般的にガス拡散層をさらに有しており、この際、ガス拡散層は、上記方法において、転写用台紙を剥がし、得られた接合体をさらにガス拡散層で挟持することによって、電極触媒層と固体高分子電解質膜との接合後にさらに各電極触媒層に接合することが好ましい。または、電極触媒層を予めガス拡散層表面上に形成して電極触媒層−ガス拡散層接合体を製造した後、上記したのと同様にして、この電極触媒層−ガス拡散層接合体で固体高分子電解質膜をホットプレスにより挟持・接合することもまた好ましい。
前記のホットプレス方法以外に、ガス拡散層上に逐次塗布により電極触媒層−高分子電解質膜−電極触媒層−ガス拡散層を積層する方法を用いても良い。
前記のホットプレス方法以外に、ガス拡散層上に逐次塗布により電極触媒層−高分子電解質膜−電極触媒層−ガス拡散層を積層する方法を用いても良い。
本発明に係るガス拡散層(以下GDLと称する)に用いられる材料としては、カーボンペーパー、不織布、炭素製の織物、紙状抄紙体、フェルトなどからなるシート状材料が提案されている。GDLが優れた電子伝導性を有していると、発電反応により生じた電子の効率的な運搬が達成され、燃料電池の性能が向上する。またGDLが優れた撥水性を有していると、生成した水が効率的に排出される。
高い撥水性を確保するために、GDLを構成する材料を撥水処理する技術も提案されている。例えば、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)などのフッ素系樹脂を含む溶液中にカーボンペーパーなどのGDLを構成する材料を含浸させ、大気中または窒素などの不活性ガス中に乾燥させる。場合によっては、親水化処理がGDLを構成する材料に施されてもよい。
その他に、カーボンペーパー、不織布、炭素製の織物、紙状抄紙体、フェルトなどからなるシート状GDL上に、カーボン粒子およびバインダーを配置して、両者をガス拡散層として使用してもよく、カーボン粒子およびバインダーからなるフィルム自体をガス拡散層として使用してもよい。この結果、フィルム自体に均一に撥水材料、カーボン粒子が形成されているため、上記の塗布に比較して撥水効率の上昇がみられる。
前記撥水材料としては、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)、ポリヘキサフルオロプロピレン、テトラフルオロエチレン−ヘキサフルオロプロピレン共重合体(FEP)などのフッ素系樹脂、ポリプロピレン、ポリエチレンなどが挙げられる。なかでも、撥水性、電極反応時の耐食性などに優れることから、フッ素系樹脂が好ましい。
尚、「バインダー」とは接着の役割を有する物質をいい、本発明に係る実施例では、バインダーの役割および撥水性の役割を兼ね備えたフッ素系樹脂を使用しているが、必ずしもこれに限定されず、バインダーおよび撥水材料を個々独立した物質で混合して使用しても良い。
本発明に係るアノード側電極触媒層およびカソード側電極触媒層は、触媒金属、イオン伝導性高分子、撥水材料を含む。
前記電極触媒層の空孔率は、30〜70%が好ましく、より好ましくは35〜50%である。空孔率が30%未満では、ガスの拡散が十分ではなく、高電流域でのセル電圧が低下する。また、空孔率が70%超では、電極触媒層の強度が十分ではなく、転写プロセスにおいて空孔率が低下する。
本発明では、転写する前に高分子電解質層および触媒層を加湿条件下で熱処理を行う工程以外は、熱処理を従来公知の方法と同様の方法によって膜−電極接合体(膜電極接合体)が製造できる。例えば、調製された触媒スラリーを所望の厚さで転写用台紙上に塗布・乾燥することによって、カソード側及びアノード側の電極触媒層を形成し、さらにこの電極触媒層が内側にくるように高分子電解質膜を上記電極触媒層で挟持してホットプレス等により接合した後、転写用台紙を剥がすことによって、膜電極接合体が得られる。
本発明の触媒スラリーにおいて、電極触媒は、所望の作用、即ち、水素の酸化反応(アノード側)及び酸素の還元反応(カソード側)を触媒する作用を十分発揮できる量であればいずれの量で、使用されてもよい。電極触媒が、触媒スラリー中、5〜50質量%、より好ましくは10〜30質量%となるような量で存在することが好ましい。
本発明の触媒スラリーには、電極触媒、電解質及び溶剤に加えて、ポリテトラフルオロエチレン、ポリヘキサフルオロプロピレン、テトラフルオロエチレン−ヘキサフルオロプロピレン共重合体といった撥水性高分子などが含まれてもよい。これにより、得られる電極触媒層の撥水性を高めることができ、発電時に生成した水などを速やかに排出することができる。撥水性高分子を使用する際の、撥水性高分子の添加量は、本発明の上記効果を妨げない程度の量であれば特に制限されないが、触媒スラリーの全質量に対して、好ましくは1〜20質量%である。
上記撥水性高分子に代えてまたは上記撥水性高分子に加えて、本発明の触媒スラリーは、増粘剤を含んでもよい。増粘剤の使用は、触媒スラリーなどが転写用台紙上にうまく塗布できない場合などに有効である。この際使用できる増粘剤は、特に制限されず、公知の増粘剤が使用できるが、例えば、グリセリン、(EG(エチレングリコール)、PVA(ポリビニルアルコール))などが挙げられる。増粘剤を使用する際の、増粘剤の添加量は、本発明の上記効果を妨げない程度の量であれば特に制限されないが、触媒スラリーの全質量に対して、好ましくは1〜10質量%である。
本発明の触媒スラリーは、電極触媒、電解質及び溶剤、ならびに必要であれば撥水性高分子および/または増粘剤、が適宜混合されたものであればその調製方法は特に制限されなく、さらに、本発明で使用される触媒スラリーを構成する溶剤としては、特に制限されず、触媒層を形成するのに使用される通常の溶剤が同様にして使用できる。具体的には、水、シクロヘキサノールやエタノールや2−プロパノール等の低級アルコールが使用できる。
本発明で使用される溶剤の量は、電解質を完全に溶解できる量であれば特に制限されないが、電解質が、溶剤中、好ましくは3〜50質量%、より好ましくは5〜30質量%の濃度になるような量である。この際、電解質の濃度が50質量%を超えると、電解質を完全には溶解せずに一部コロイドが形成される可能性があり、逆に1質量%未満であると、含まれる電界質量が少なすぎて、電解質高分子の分子鎖がよく絡まりあいきれずに、形成される電極触媒層の機械的強度が劣る可能性がある。また、触媒スラリーにおいて、電極触媒および固体高分子電解質などを合わせた固形分の濃度は、触媒スラリー中、5〜30質量%、より好ましくは10〜20質量%程度とするのがよい。
本発明の触媒スラリーは、カソード側電極触媒層またはアノード側電極触媒層のいずれか一方のみに使用されてもあるいは双方に使用されてもよいが、カソード側は特に出力変動による生成水量の変化により乾湿の変化を受けて、初期状態における電極触媒層の多孔構造が崩れ、空隙率が低下して、電極触媒層への反応ガス供給量が低下する危険性が高いため、少なくともカソード側電極触媒層に使用されることが好ましく、特にカソード及びアノード双方の側の電極触媒層に使用されることが好ましい。
前記燃料電池の種類としては、特に限定されず、上記した説明中では高分子電解質型燃料電池を例に挙げて説明したが、この他にも、アルカリ型燃料電池、リン酸型燃料電池に代表される酸型電解質の燃料電池、ダイレクトメタノール型燃料電池、マイクロ燃料電池などが挙げられる。なかでも小型かつ高密度・高出力化が可能であるから、固体高分子電解質型燃料電池が好ましく挙げられる。また、前記燃料電池は、搭載スペースが限定される車両などの移動体用電源の他、定置用電源などとして有用であるが、特にシステムの起動/停止や出力変動が頻繁に発生する自動車用途で特に好適に使用できる。
前記高分子電解質型燃料電池は、定置用電源の他、搭載スペースが限定される自動車などの移動体用電源などとして有用である。なかでも、比較的長時間の運転停止後に高い出力電圧が要求されることによるカーボン担体の腐食、および、運転時に高い出力電圧が取り出されることにより高分子電解質の劣化が生じやすい自動車などの移動体用電源として用いられるのが特に好ましい。
前記燃料電池の構成としては、特に限定されず、従来公知の技術を適宜利用すればよいが、一般的には膜電極接合体をセパレータで挟持した構造を有する。
前記セパレータとしては、緻密カーボングラファイト、炭素板等のカーボン製や、ステンレス等の金属製のものなど、従来公知のものであれば制限なく用いることができる。セパレータは、空気と燃料ガスとを分離する機能を有するものであり、それらの流路を確保するための流路溝が形成されてもよい。セパレータの厚さや大きさ、流路溝の形状などについては、特に限定されず、得られる燃料電池の出力特性などを考慮して適宜決定すればよい。
また、各触媒層に供給されるガスが外部にリークするのを防止するために、ガスケット層上の触媒層が形成されていない部位にさらにガスシール部が設けられてもよい。前記ガスシール部を構成する材料としては、フッ素ゴム、シリコンゴム、エチレンプロピレンゴム(EPDM)、ポリイソブチレンゴム等のゴム材料、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)、ポリヘキサフルオロプロピレン、テトラフルオロエチレン−ヘキサフルオロプロピレン共重合体(FEP)等のフッ素系の高分子材料、ポリオレフィンやポリエステル等の熱可塑性樹脂などが挙げられる。また、ガスシール部の厚さとしては、2mm〜50μm、望ましくは1mm〜100μm程度とすればよい。
さらに、燃料電池が所望する電圧等を得られるように、セパレータを介して膜電極接合体を複数積層して直列に繋いだスタックを形成してもよい。燃料電池の形状などは、特に限定されず、所望する電圧などの電池特性が得られるように適宜決定すればよい。
以下、本発明を実施例に基づいて具体的に説明する。下記実施例は、本発明の好ましい一実施形態を示したに過ぎず、本発明がこれに限定されないことはいうまでもない。
(実施例1)
(1)電極触媒層の作製
白金担持カーボン(田中貴金属工業株式会社製 TEC10E50E、白金含量46.5wt%)と、Nafion(登録商標)/n−プロピルアルコール溶液(デュポン社製、Nafion5wt%含有)と、純水と、イソプロピルアルコールと、を質量比で1:0.5:2.5:1として、25℃で保持するよう設定したウォーターバス中のガラス容器にてホモジナイザーを用いて3時間混合分散することで、触媒スラリーを調製した。次に、前記触媒層インクを、テフロンシート上にスクリーンプリンターを用いて塗布し、大気中、30℃で2時間乾燥させることにより、テフロンシート上に触媒層(面積1cm2あたりの白金重量0.40mg)を作製した。またNafion(登録商標)のガラス転移温度は115〜120℃である。
(1)電極触媒層の作製
白金担持カーボン(田中貴金属工業株式会社製 TEC10E50E、白金含量46.5wt%)と、Nafion(登録商標)/n−プロピルアルコール溶液(デュポン社製、Nafion5wt%含有)と、純水と、イソプロピルアルコールと、を質量比で1:0.5:2.5:1として、25℃で保持するよう設定したウォーターバス中のガラス容器にてホモジナイザーを用いて3時間混合分散することで、触媒スラリーを調製した。次に、前記触媒層インクを、テフロンシート上にスクリーンプリンターを用いて塗布し、大気中、30℃で2時間乾燥させることにより、テフロンシート上に触媒層(面積1cm2あたりの白金重量0.40mg)を作製した。またNafion(登録商標)のガラス転移温度は115〜120℃である。
(2)電極触媒層の加湿ガス雰囲気下熱処理
(1)の方法で作製した触媒層を、熱処理用SUS容器中に保持した後に不活性ガスとしてN2を導入した。次に、N2ガスラインをガス加湿用バブラー側に切り替え、N2ガスを加湿して熱処理用SUS容器中へ導入した。なお、加湿の際の、飽和水蒸気量は、2500g/m3であった。この時のバブラー温度は熱処理温度と同じ150℃とした。100℃以上であるため、バブラーは加圧している。加湿ガス導入後、熱処理用SUS容器中の温度が熱処理温度である150℃に達してから5分間保持した。その後、熱処理用SUS容器側バルブを閉じ、冷却後に触媒層シートを取り出し、自然乾燥させた。
(1)の方法で作製した触媒層を、熱処理用SUS容器中に保持した後に不活性ガスとしてN2を導入した。次に、N2ガスラインをガス加湿用バブラー側に切り替え、N2ガスを加湿して熱処理用SUS容器中へ導入した。なお、加湿の際の、飽和水蒸気量は、2500g/m3であった。この時のバブラー温度は熱処理温度と同じ150℃とした。100℃以上であるため、バブラーは加圧している。加湿ガス導入後、熱処理用SUS容器中の温度が熱処理温度である150℃に達してから5分間保持した。その後、熱処理用SUS容器側バルブを閉じ、冷却後に触媒層シートを取り出し、自然乾燥させた。
(3)ガス拡散層の作製
カーボンペーパー(東レ株式会社製 カーボンペーパーTGP−H−060、厚さ190μm)を50mm角に打ち抜いた基材を準備した。この基材を、PTFEのフッ素系水性ディスパージョン溶液(ダイキン工業社製 ポリフロンD−1E、PTFE60wt%含有)を純水で所定の濃度に調整した溶液中に5分浸漬させた後、オーブン内にて60℃、30分間乾燥させることにより、前記基材中にPTFEを分散させた。このとき、PTFE含有量は25wt%であった。これにより、撥水処理された基材を得た。
カーボンペーパー(東レ株式会社製 カーボンペーパーTGP−H−060、厚さ190μm)を50mm角に打ち抜いた基材を準備した。この基材を、PTFEのフッ素系水性ディスパージョン溶液(ダイキン工業社製 ポリフロンD−1E、PTFE60wt%含有)を純水で所定の濃度に調整した溶液中に5分浸漬させた後、オーブン内にて60℃、30分間乾燥させることにより、前記基材中にPTFEを分散させた。このとき、PTFE含有量は25wt%であった。これにより、撥水処理された基材を得た。
続いて、カーボンブラック(CABOT社製 VULCAN(登録商標) XC−72R)5.4gと、上記で用いたのと同じPTFEのフッ素系水性ディスパージョン溶液1.0gと、水29.6gとを、ホモジナイザーにて3時間混合分散し、スラリーを調製した。このスラリーを、先に作製した撥水処理基材の一方の面にバーコーターにより均一に塗布し、オーブン内にて60℃、1時間乾燥させた後、さらにマッフル炉にて350℃、1時間熱処理を行った。これにより、前記撥水処理基材上にカーボン粒子層が形成されたガス拡散層を得た。
(4)膜電極接合体および評価用単セルの作製
上記(2)で作製した触媒層2枚を、固体高分子電解質膜(デュポン社製、Nafion(登録商標))の両側に配置した後、ホットプレス法により130℃、2.0MPaで10分間ホットプレスした後にテフロンシートを剥がして接合体とした。上記(3)に作製したガス拡散層2枚を用いてカーボン粒子層を内側にして前記接合体を挟持することにより膜電極接合体を作製した。これをカーボンセパレータ、集電板で挟み、評価用セルとした。
上記(2)で作製した触媒層2枚を、固体高分子電解質膜(デュポン社製、Nafion(登録商標))の両側に配置した後、ホットプレス法により130℃、2.0MPaで10分間ホットプレスした後にテフロンシートを剥がして接合体とした。上記(3)に作製したガス拡散層2枚を用いてカーボン粒子層を内側にして前記接合体を挟持することにより膜電極接合体を作製した。これをカーボンセパレータ、集電板で挟み、評価用セルとした。
(実施例2)
(1)電解質膜の加湿ガス雰囲気下熱処理
実施例1の触媒層の熱処理と同じ処理を電解質膜(デュポン社製、Nafion(登録商標))(80mm×80mm)に行った。
(1)電解質膜の加湿ガス雰囲気下熱処理
実施例1の触媒層の熱処理と同じ処理を電解質膜(デュポン社製、Nafion(登録商標))(80mm×80mm)に行った。
(2)触媒層の加湿ガス雰囲気下熱処理
実施例1と同じ方法で、熱処理温度を140℃として触媒層シートの熱処理を行った。
実施例1と同じ方法で、熱処理温度を140℃として触媒層シートの熱処理を行った。
(3)膜電極接合体および評価用単セルの作製
触媒層および電解質膜の熱処理後、実施例1と同様に膜電極接合体を作製し、評価用セルとした。
触媒層および電解質膜の熱処理後、実施例1と同様に膜電極接合体を作製し、評価用セルとした。
(参考例1)
(1)電極触媒層の作製
白金担持カーボン(田中貴金属工業株式会社製 TEC10E50E、白金含量46.5wt%)と、Nafion(登録商標)/n−プロピルアルコール溶液(デュポン社製、Nafion5wt%含有)と、純水と、イソプロピルアルコールと、を質量比で1:0.5:2.5:1として、25℃で保持するよう設定したウォーターバス中のガラス容器にてホモジナイザーを用いて3時間混合分散することで、触媒スラリーを調製した。次に、前記触媒層インクを、テフロンシート上にスクリーンプリンターを用いて塗布し、大気中、30℃で2時間乾燥させることにより、テフロンシート上に触媒層(面積1cm2あたりの白金重量0.40mg)を作製した。
(1)電極触媒層の作製
白金担持カーボン(田中貴金属工業株式会社製 TEC10E50E、白金含量46.5wt%)と、Nafion(登録商標)/n−プロピルアルコール溶液(デュポン社製、Nafion5wt%含有)と、純水と、イソプロピルアルコールと、を質量比で1:0.5:2.5:1として、25℃で保持するよう設定したウォーターバス中のガラス容器にてホモジナイザーを用いて3時間混合分散することで、触媒スラリーを調製した。次に、前記触媒層インクを、テフロンシート上にスクリーンプリンターを用いて塗布し、大気中、30℃で2時間乾燥させることにより、テフロンシート上に触媒層(面積1cm2あたりの白金重量0.40mg)を作製した。
(2)ガス拡散層の作製
カーボンペーパー(東レ株式会社製 カーボンペーパーTGP−H−060、厚さ190μm)を50mm角に打ち抜いた基材を準備した。この基材を、PTFEのフッ素系水性ディスパージョン溶液(ダイキン工業社製 ポリフロンD−1E、PTFE60wt%含有)を純水で所定の濃度に調整した溶液中に5分浸漬させた後、オーブン内にて60℃、30分間乾燥させることにより、前記基材中にPTFEを分散させた。このとき、PTFE含有量は25wt%であった。これにより、撥水処理された基材を得た。
カーボンペーパー(東レ株式会社製 カーボンペーパーTGP−H−060、厚さ190μm)を50mm角に打ち抜いた基材を準備した。この基材を、PTFEのフッ素系水性ディスパージョン溶液(ダイキン工業社製 ポリフロンD−1E、PTFE60wt%含有)を純水で所定の濃度に調整した溶液中に5分浸漬させた後、オーブン内にて60℃、30分間乾燥させることにより、前記基材中にPTFEを分散させた。このとき、PTFE含有量は25wt%であった。これにより、撥水処理された基材を得た。
続いて、カーボンブラック(CABOT社製 VULCAN(登録商標) XC−72R)5.4gと、上記で用いたのと同じPTFEのフッ素系水性ディスパージョン溶液1.0gと、水29.6gとを、ホモジナイザーにて3時間混合分散し、スラリーを調製した。このスラリーを、先に作製した撥水処理基材の一方の面にバーコーターにより均一に塗布し、オーブン内にて60℃、1時間乾燥させた後、さらにマッフル炉にて350℃、1時間熱処理を行った。これにより、前記撥水処理基材上にカーボン粒子層が形成されたガス拡散層を得た。
(3)膜電極接合体および評価用単セルの作製
上記(1)で作製した触媒層2枚を、固体高分子電解質膜(デュポン社製、Nafion(登録商標))の両側に配置した後、ホットプレス法により130℃、2.0MPaで10分間ホットプレスした後にテフロンシートを剥がして接合体とした。上記(2)で作製したガス拡散層2枚を用いてカーボン粒子層を内側にして前記接合体を挟持することにより膜電極接合体を作製した。これをカーボンセパレータ、集電板で挟み、評価用セルとした。
上記(1)で作製した触媒層2枚を、固体高分子電解質膜(デュポン社製、Nafion(登録商標))の両側に配置した後、ホットプレス法により130℃、2.0MPaで10分間ホットプレスした後にテフロンシートを剥がして接合体とした。上記(2)で作製したガス拡散層2枚を用いてカーボン粒子層を内側にして前記接合体を挟持することにより膜電極接合体を作製した。これをカーボンセパレータ、集電板で挟み、評価用セルとした。
(評価方法)
実施例1、2、および参考例1で作製した各評価用単セルの、アノード側に露点70℃の水素ガスを500cc/分で、カソード側に露点70℃の窒素ガスを500cc/分で供給し、アノード側を参照極とし、カソード側を作用極として、ポテンシオスタット及びファンクションジェネレータを接続して0.05〜0.9Vの範囲で50mV/秒の電位掃引速度でカソード側電極触媒層のサイクリックボルタンメトリー(CV)を測定した。図5に、実施例1、2および比較例1のカソード側電極触媒層のサイクリックボルタンモグラムから算出したECAの加湿量依存性を示す。
実施例1、2、および参考例1で作製した各評価用単セルの、アノード側に露点70℃の水素ガスを500cc/分で、カソード側に露点70℃の窒素ガスを500cc/分で供給し、アノード側を参照極とし、カソード側を作用極として、ポテンシオスタット及びファンクションジェネレータを接続して0.05〜0.9Vの範囲で50mV/秒の電位掃引速度でカソード側電極触媒層のサイクリックボルタンメトリー(CV)を測定した。図5に、実施例1、2および比較例1のカソード側電極触媒層のサイクリックボルタンモグラムから算出したECAの加湿量依存性を示す。
図5におけるECAとは、サイクリックボルタンメトリー法により電位の幅0.05〜0.45Vの間で測定される、単位白金質量あたりの水素の吸着した白金の比表面積(m2/g)を算出した値である。
1…触媒成分、
2…電極触媒、
3…高分子電解質、
4…導電性材料、
5…固体高分子電解質膜(断面)
2…電極触媒、
3…高分子電解質、
4…導電性材料、
5…固体高分子電解質膜(断面)
Claims (7)
- カソード側及びアノード側について、それぞれ、触媒成分、導電性材料、および高分子電解質を含む触媒スラリーを転写用シート上に塗布して、触媒層前駆体が形成された触媒層塗布シートを得た後、前記カソード側及びアノード側用の触媒層塗布シートを高分子電解質膜の両側に転写する段階を有する、膜電極接合体の製造方法において、
前記転写工程前に、前記カソード側用の触媒層塗布シート、アノード側用の触媒層塗布シートおよび高分子電解質から選択される少なくとも一を、加湿ガス雰囲気下で熱処理することを特徴とする、膜電極接合体の製造方法。 - 前記加湿ガス雰囲気下での熱処理において、ガス中の水分量(混合溶媒含む)が飽和水蒸気量で7500〜100g/m3の範囲であることを特徴とする請求項1または2記載の膜電極接合体の製造方法。
- 前記熱処理する温度は、前記高分子電解質のガラス転移温度より高いことを特徴とする、請求項1または2に記載の膜電極接合体の製造方法。
- 前記触媒層前駆体が形成された触媒層塗布シートの熱処理温度を、前記高分子電解質膜の熱処理温度以下にすることを特徴とする、請求項1〜3のいずれかに記載の膜電極接合体の製造方法。
- 電解質膜の高分子電解質が、触媒層中の高分子電解質と異なり、かつ触媒層中に用いられている高分子電解質と同種の高分子電解質層を、電解質膜と触媒層との接合面に所定の厚みで形成した後に、加湿ガス雰囲気下で熱処理を行うことを特徴とする、請求項1〜4のいずれかに記載の膜電極接合体の製造方法。
- 請求項1〜5のいずれか1項に記載の方法によって製造された膜電極接合体。
- 請求項6に記載の膜電極接合体を用いたことを特徴とする燃料電池。
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