JP2007234473A - 燃料電池用触媒電極層およびその製造方法 - Google Patents

燃料電池用触媒電極層およびその製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】本発明は、発電性能の向上に効果的に寄与することが可能な空孔が形成された燃料電池用触媒電極層とその製造方法とを提供することを主目的とするものである。
【解決手段】上記目的を達成するために、本発明は、固体高分子電解質型燃料電池に用いられ、少なくとも触媒と上記触媒が担持された担体とプロトン伝導体とを含む燃料電池用触媒電極層であって、上記プロトン伝導体は、第1のプロトン伝導体と、上記第1のプロトン伝導体とは性質又は材料が異なる第2のプロトン伝導体との少なくとも2種類のプロトン伝導体からなることを特徴とする燃料電池用触媒電極層を提供する。
【選択図】図1

Description

本発明は、燃料電池の発電性能を向上させることが可能な燃料電池用触媒電極層とその製造方法に関するものである。
固体高分子電解質型燃料電池の最小発電単位である単位セルは、一般に固体電解質膜の両側に触媒電極層が接合されている膜電極複合体を有し、この膜電極複合体の両側には拡散層が配されている。さらに、その外側にはガス流路を備えたセパレータが配されており、拡散層を介して膜電極複合体の触媒電極層へと供給される燃料ガスおよび酸化剤ガスを通流させるとともに、発電により得られた電流を外部に伝える働きをしている。
このような固体高分子電解質型燃料電池(以下、単に燃料電池と称する場合がある。)においては、発電効率を向上させるため、触媒電極層は、発電反応に用いられるガスが拡散したり、発電反応により生成された水等が排出するための適当な空孔を有していることが好ましい。しかしながら、従来の膜電極複合体の製造方法では、白金を担持したカーボンブラックと、固体電解質膜材料と、溶媒とを有する塗工液を塗布し、乾燥・加熱して触媒電極層を形成した後、この触媒電極層を固体電解質膜の両表面にホットプレスを行うことにより膜電極複合体が製造されることから、このホットプレスにより、空孔が潰れてしまい、ガスの拡散や水等の排出が十分に行われないといった問題があった。
このような問題を解決するために、触媒電極層内に空孔を形成し、発電効率を向上させる提案がなされている。例えば、特許文献1には、触媒と触媒担持カーボンと電解質と造孔材として水溶性の短繊維を含むものをシート状に形成し、そのシート状の電極部材を乾燥後、温水に浸漬し短繊維を溶出させることにより、触媒電極層内に空孔を形成する方法が開示されている。
しかしながら、このような方法は、造孔材である水溶性の短繊維を完全に除去することは困難であるため、溶け残った造孔材がプロトン伝導性を阻害してしまう場合があり、発電性能を低下させるおそれがあるため、改良の余地を含むものであった。
特開平8−180879号公報
本発明は、上記問題点に鑑みてなされたものであり、発電性能の向上に効果的に寄与することが可能な空孔が形成された燃料電池用触媒電極層とその製造方法とを提供することを主目的とするものである。
本発明は、固体高分子電解質型燃料電池に用いられ、少なくとも触媒と上記触媒が担持された担体とプロトン伝導体とを含む燃料電池用触媒電極層であって、上記プロトン伝導体は、第1のプロトン伝導体と、上記第1のプロトン伝導体とは性質又は材料が異なる第2のプロトン伝導体との少なくとも2種類のプロトン伝導体からなることを特徴とする燃料電池用触媒電極層を提供する。
本発明によれば、上記2種類プロトン伝導体のうち一方のプロトン伝導体を造孔材として用いることにより、上記触媒電極層内に空孔を形成させることが可能となり、上記触媒電極層内のガス拡散および生成水等の排出が効率的に行われる。また、空孔を形成させる工程で、上記第2のプロトン伝導体を溶出させる際に、上記第2のプロトン伝導体が触媒電極層内に残留したとしても上記第2のプロトン伝導体はプロトン伝導性を有するため、触媒電極層内のプロトン伝導性をより高めることが可能となる。したがって、このような触媒電極層を燃料電池に用いた際、燃料電池としての発電性能を向上させることができる。
また、本発明においては、上記第1のプロトン伝導体は難水溶性の材料からなり、上記第2のプロトン伝導体は水溶性の材料からなることが好ましい。これにより、水と上記触媒電極層を接触させることにより、上記触媒電極層から上記第2のプロトン伝導体のみを溶出させることが可能となり、さらには、実際の燃料電池の発電の際に生成する水により、上記第2のプロトン伝導体のみを溶出させることが可能となるという利点を有するからである。
さらに本発明においては、固体高分子電解質型燃料電池に用いられる燃料電池用触媒電極層の製造方法であって、触媒と、上記触媒が担持された担体と、第1のプロトン伝導体と、第1のプロトン伝導体とは性質又は材料が異なる第2のプロトン伝導体と、を少なくとも含む触媒電極層形成用塗工液を用いて基材上に触媒電極層を形成させる触媒電極層形成工程と、上記触媒電極層形成工程において形成された触媒電極層を乾燥させる乾燥工程と、上記乾燥工程において乾燥させた触媒電極層から上記第2のプロトン伝導体を溶出させる溶出工程とを有することを特徴とする燃料電池用触媒電極層の製造方法を提供する。このように上記第2のプロトン伝導体のみを上記触媒電極層から溶出させることで、上記触媒電極層内に空孔が形成され、上記触媒電極層内のガス拡散および生成水等の排出が効率的に行われ、かつ上記第2のプロトン伝導体が溶け残ったとしても上記第2のプロトン伝導体はプロトン伝導性を有するため、触媒電極層内のプロトン伝導性をさらに高めることが可能となる。したがって、製造された触媒電極層を燃料電池に用いた際、燃料電池としての発電性能を向上させることが可能となる。
さらにまた本発明においては、上記第1のプロトン伝導体は難水溶性の材料からなり、上記第2のプロトン伝導体は水溶性の材料からなり、上記溶出工程は、上記乾燥工程において乾燥させた触媒電極層と水とを接触させて、上記第2のプロトン伝導体を上記乾燥工程において乾燥させた触媒電極層から溶出させる工程であることが好ましい。このように溶出させる溶媒に水が用いられることにより、触媒等の他の部材に悪影響を及ぼすことなく上記第2のプロトン伝導体を溶出させることが可能となり、また、実際の燃料電池の発電の際に生成する水により、上記第2のプロトン伝導体のみを溶出させることが可能となるからである。
本発明においては、固体電解質膜のそれぞれの表面上に触媒電極層が形成されてなる燃料電池用膜電極複合体の製造方法であって、上記固体電解質膜のそれぞれの表面上に、触媒と、上記触媒が担持された担体と、第1のプロトン伝導体と、第1のプロトン伝導体とは性質又は材料が異なる第2のプロトン伝導体と、を少なくとも含む触媒電極層形成用塗工液を用いて触媒電極層を形成させる触媒電極層形成工程と、上記触媒電極層形成工程において形成された触媒電極層を乾燥させる乾燥工程と、上記乾燥工程後に上記触媒電極層に含まれる第2のプロトン伝導体を上記触媒電極層から溶出させる溶出工程とを有することを特徴とする燃料電池用膜電極複合体の製造方法を提供する。これにより、上記触媒電極層に空孔を形成することができ、上記触媒電極層内のガス拡散および生成水等の排出が効率的に行われる。また、上記溶出工程の際、上記第2のプロトン伝導体が溶け残った場合においても、上記第2のプロトン伝導体はプロトン伝導性を有するため、触媒電極層内のプロトン伝導性をさらに高めることが可能となる。さらに、触媒電極層形成工程の際、基材として固体電解質膜を用いることにより、基材から触媒電極層を剥離させることなく燃料電池用膜電極複合体を製造することが可能となるからである。したがって、製造された触媒電極層を燃料電池に用いた際、燃料電池としての発電性能を向上させることが可能となり、かつ簡便に燃料電池用膜電極複合体を製造することが可能となる。
また、本発明においては、上記第1のプロトン伝導体は難水溶性の材料からなり、上記第2のプロトン伝導体は水溶性の材料からなり、上記溶出工程は、上記乾燥工程後に、片側の触媒電極層側に水素含有ガスを、その反対側の触媒電極層側に酸素含有ガスを供給し、発電させることで第2のプロトン伝導体を上記触媒電極層から溶出させる工程であることが好ましい。これにより、発電の際に生成する水により、上記第2のプロトン伝導体のみを上記触媒電極層から溶出させ、空孔を形成させることが可能となるからである。また、発電生成水の多い部分、すなわち生成水の排出経路を必要としている領域の空孔率は高く、かつ高いプロトン伝導性を必要としている領域の空孔率は低いという実際の発電時に最適な空孔率分布を形成することが可能となるからである。
さらに本発明においては、固体高分子電解質型燃料電池に用いられる触媒電極層を形成する際に用いられ、少なくとも触媒と上記触媒が担持された担体とプロトン伝導体と溶媒とを含む触媒電極層形成用塗工液であって、上記プロトン伝導体は、第1のプロトン伝導体と、上記第1のプロトン伝導体とは性質又は材料が異なる第2のプロトン伝導体との少なくとも2種類のプロトン伝導体からなることを特徴とする触媒電極層形成用塗工液を提供する。このように、上記2種類プロトン伝導体のうち一方のプロトン伝導体を造孔材として用いることにより、上記触媒電極層内に空孔を形成させることが可能となり、また、上記第2のプロトン伝導体が溶け残ったとしても上記第2のプロトン伝導体はプロトン伝導性を有するため、上記触媒電極層内のプロトン伝導性をより高めることが可能となる。したがって、このような触媒電極層を燃料電池に用いた際、燃料電池としての発電性能を向上させることができる。
本発明の燃料電池用触媒電極層は、2種類のプロトン伝導体のうち一方を造孔材として用いているため、触媒電極層内のガス拡散および生成水等の排出が効率的に行われるための空孔を形成することができるとともに、触媒電極層内のプロトン伝導性をより高めることが可能となり、燃料電池としての発電性能をさらに向上させることができるといった効果を奏する。
以下、本発明の固体高分子電解質型燃料電池に用いられる燃料電池用触媒電極層、その製造方法、燃料電池用膜電極複合体の製造方法、および触媒電極層形成用塗工液について説明する。
A.燃料電池用触媒電極層
本発明の燃料電池用触媒電極層は、固体高分子電解質型燃料電池に用いられ、少なくとも触媒と上記触媒が担持された担体とプロトン伝導体とを含む燃料電池用触媒電極層であって、上記プロトン伝導体は、第1のプロトン伝導体と、上記第1のプロトン伝導体とは性質又は材料が異なる第2のプロトン伝導体との少なくとも2種類のプロトン伝導体からなることを特徴とするものである。
ここで、本発明の燃料電池用触媒電極層は、上記第2のプロトン伝導体を上記触媒電極層から溶出させる前の状態と、上記第2のプロトン伝導体を溶出させた状態との両方の状態を含むものである。
本発明によれば、性質又は材料の異なる2種類のプロトン伝導体を用い、かつそのうちの一方のプロトン伝導体を造孔材として用い、熱や溶媒等によりその一方のプロトン伝導体を溶出させることで、上記触媒電極層内に空孔を形成させることができ、上記触媒電極層内のガス拡散および生成水等の排出が効率的に行われることが可能となる。また、空孔を形成させる工程で、上記第2のプロトン伝導体を溶出させる際に、完全に上記第2のプロトン伝導体を溶出させることができず、触媒電極層内に残留したとしても、上記第2のプロトン伝導体はプロトン伝導性を有するため、触媒電極層内でプロトン伝導体として働き、触媒電極層内のプロトン伝導性をより高めることが可能となる。したがって、このような触媒電極層を燃料電池に用いた際、燃料電池としての発電性能を向上させることができる。
このような触媒電極層について、図面を用いて具体的に説明する。図1は、一般的な燃料電池の最小単位である単位セルの構造の一例を示す概略断面図である。このような単位セルは、図1に示すように、電解質膜1の両側に触媒電極層2が接合されている膜電極複合体3を有し、この膜電極複合体3の両側にはガス拡散層4が配され、さらに、その外側にはセパレータ5が配されている。本発明の触媒電極層は、図1における触媒電極層2についてのものである。
以下、本発明の燃料電池用触媒電極層について、各構成ごとに詳しく説明する。
1.プロトン伝導体
まず、本発明に用いられるプロトン伝導体について説明する。本発明に用いられるプロトン伝導体は、第1のプロトン伝導体と、上記第1のプロトン伝導体とは性質又は材料が異なる第2のプロトン伝導体との少なくとも2種類のプロトン伝導体からなるものである。これにより、上記第2のプロトン伝導体を造孔材として用い、上記触媒電極層内に空孔を形成させることが可能となるため、上記第2のプロトン伝導体は、造孔材とプロトン伝導体との両方の役割を担うことができるからである。
本発明において、上記2種類のプロトン伝導体は性質又は材料が異なるものとするものであるが、この性質または材料の差異により、上記2種類のプロトン伝導体のうち一方のプロトン伝導体を上記触媒電極層から除去させ、もう一方のプロトン伝導体を上記触媒電極層内に留まらせることが可能となる。したがって、上記触媒電極層内に空孔を形成させることができ、上記触媒電極層内のガス拡散および生成水等の排出を効率的に行うことが可能となる。
本発明に用いられる上記2種類のプロトン伝導体としては、そのうちの一方のプロトン伝導体のみを上記触媒電極層から除去させることが可能なものであれば特に限定されるものではないが、例えば、溶媒に可溶なプロトン伝導体と難溶なプロトン伝導体とからなる2種類のプロトン伝導体、あるいは溶融温度の低いプロトン伝導体と溶融温度の高いプロトン伝導体とからなる2種類のプロトン伝導体等を用いることができる。本発明においては、溶媒に可溶なプロトン伝導体と難溶なプロトン伝導体とからなる2種類のプロトン伝導体を用いることが好ましい。これにより、触媒電極層から上記2種類のプロトン伝導体のうちの一方のプロトン伝導体を容易に溶出させることが可能となるからである。
本発明に用いられる上記2種類のプロトン伝導体としては、中でも水に可溶なプロトン伝導体と難溶なプロトン伝導体とからなるものであることが好ましい。これにより、触媒電極層内の触媒等の他の部材に悪影響を及ぼすことなく上記2種類のプロトン伝導体のうち一方のプロトン伝導体を上記触媒電極層から溶出させることが可能となるからである。また、例えば後述する「C.燃料電池用膜電極複合体の製造方法 3.溶出工程」の項で説明する、実際の燃料電池の発電の際に生成する水により、一方のプロトン伝導体のみを上記触媒電極層から溶出させることが可能となるという利点を有するからである。
このように、上記2種類のプロトン伝導体が水溶性の材料と難水溶性の材料とからなる場合、その水溶性の材料の水に対する溶解度は、1〜100の範囲内、中でも5〜50の範囲内であることが好ましい。また、上記難水溶性の材料の水に対する溶解度は、0.01以下、中でも0.001以下であることが好ましい。これにより、良好な空孔率を有する触媒電極層を形成させることが可能となるからである。ここで、上記溶解度は、溶媒(水)100g中に溶ける溶質(材料)の質量(g)で表される。
本発明においては、上記2種類のプロトン伝導体が、難水溶性の材料からなるものと、水溶性の材料とからなることが好ましいものであるが、難水溶性の材料からなるものを第1のプロトン伝導体、水溶性のプロトン伝導体を第2のプロトン伝導体として、以下、これらを詳しく説明する。
本発明に用いられる上記第1のプロトン伝導体は、プロトン伝導性を有し、水に難溶であれば特に限定されるものではなく、燃料電池用触媒電極層のプロトン伝導体として一般的に用いられているものを用いることができる。具体的には、パーフルオロスルホン酸系ポリマーのようなフッ素系の樹脂やプロトン伝導基を有するポリイミドなどの炭化水素系の樹脂が好ましく、特にパーフルオロスルホン酸系ポリマーが好ましく、中でもNafion(商品名、デュポン株式会社製)が好ましい。一般的な燃料電池の触媒電極層に用いられるプロトン伝導体として汎用されているからである。
また、本発明において、上記第1のプロトン伝導体の含有量は、上記第2のプロトン伝導体を上記触媒電極層から溶出させる前の上記触媒電極層に対して、10〜50質量%の範囲内が好ましく、中でも20〜40質量%の範囲内が好ましい。上記第1のプロトン伝導体の含有量が上記範囲に満たない場合は、上記触媒電極層内におけるプロトン伝導性が低くなってしまう可能性や、上記第1のプロトン伝導体は、例えば担体として用いられるカーボンの微粉末を結着させる役目があるため、上記触媒電極層の耐久性を損なうおそれがあるからである。また、上記第1のプロトン伝導体の含有量が上記範囲を超えると、上記触媒電極層内における適切な空孔の形成を妨げるおそれがあるからである。
また、本発明に用いられる上記第2のプロトン伝導体としては、プロトン伝導性を有し、水に可溶なものであれば特に限定されるものではないが、本発明においては、ポリスチレン硫酸;イオン交換容量が大きいパーフルオロスルホン酸系樹脂;スルホン化率の高いポリフェニレン系樹脂、ポリエーテルケトン系樹脂、ポリエーテルエーテルケトン系樹脂およびポリアリールエーテル系樹脂;等を用いることが好ましく、特にポリスチレン硫酸を用いることが好ましい。これにより、本発明の触媒電極層を安価に作製することができるからである。
また、本発明において、上記第2のプロトン伝導体を上記触媒電極層から溶出させる前の上記第2のプロトン伝導体の含有量は、上記第2のプロトン伝導体を上記触媒電極層から溶出させる前の上記触媒電極層に対して、1〜30質量%の範囲内が好ましく、中でも5〜25質量%の範囲内が好ましい。これにより、上記触媒電極層内の空孔率を最適なものとすることが可能となるからである。
2.触媒
次に、本発明に用いられる触媒について説明する。本発明における触媒の種類は、特に限定されるものではなく、燃料電池の触媒電極層に一般的に用いられる触媒を用いることができる。具体的には、ルテニウム、ロジウム、パラジウム、オスミウム、イリジウム、白金、およびこれらの合金等を挙げることができ、本発明においては、中でも白金を用いることが好ましい。一般的な燃料電池の触媒電極層に用いられる触媒として汎用されているからである。
3.担体
次に、本発明に用いられる担体について説明する。本発明に用いられる担体は導電性を有するものであれば特に限定されるものではなく、例えば燃料電池の触媒電極層に一般的に用いられるカーボンブラックを用いることができる。本発明においては、導電性や空隙率の観点からカーボンブラックの粒子径は10nm〜50nm、中でも10nm〜30nmであることが好ましく、凝集せず、高比表面積のカーボンブラックが好ましい。このようなカーボンブラックの製造方法は特に限定されるものではなく、一般的な方法により製造することができる。
B.燃料電池用触媒電極層の製造方法
次に、本発明の燃料電池用触媒電極層の製造方法について説明する。
本発明の燃料電池用触媒電極層の製造方法は、固体高分子電解質型燃料電池に用いられる燃料電池用触媒電極層の製造方法であって、触媒と、上記触媒が担持された担体と、第1のプロトン伝導体と、第1のプロトン伝導体とは性質又は材料が異なる第2のプロトン伝導体と、を少なくとも含む触媒電極層形成用塗工液を用いて基材上に触媒電極層を形成させる触媒電極層形成工程と、上記触媒電極層形成工程において形成された触媒電極層を乾燥させる乾燥工程と、上記乾燥工程において乾燥させた触媒電極層から上記第2のプロトン伝導体を溶出させる溶出工程とを有することを特徴とするものである。
本発明によれば、上記溶出工程において乾燥させた触媒電極層から第2のプロトン伝導体を溶出させることにより、製造された触媒電極層には空孔が形成されるため、上記触媒電極層内のガス拡散および生成水等の排出が効率的に行なわれることが可能となる。また、上記溶出工程の際、上記第2のプロトン伝導体が上記触媒電極層から全て溶出せず、上記触媒電極層内に溶け残った場合においても、上記第2のプロトン伝導体はプロトン伝導性を有するため、触媒電極層内のプロトン伝導性をさらに高めることが可能となる。したがって、製造された触媒電極層を燃料電池に用いた際、燃料電池としての発電性能を向上させることが可能となる。
以下、本発明の燃料電池用触媒電極層の製造方法について、各工程ごとに詳しく説明する。
1.触媒電極層形成工程
まず、本発明における触媒電極層形成工程について説明する。本発明における触媒電極層形成工程は、触媒と上記触媒が担持された担体と第1のプロトン伝導体と第1のプロトン伝導体とは性質又は材料が異なる第2のプロトン伝導体とを少なくとも含む触媒電極層形成用塗工液を用いて基材上に触媒電極層を形成させる工程である。
本発明において、上記基材上に上記触媒電極層を形成する方法としては、上記基材上に上記触媒電極層を形成することが可能な方法であれば特に限定されるものではなく、例えば、上記基材上に、上記触媒電極層形成用塗工液を、ドクターブレード法等を用いて表面が平滑となるように塗布する方法であってもよく、また後述するように基材として固体電解質膜や拡散層を用いる場合、その固体電解質膜や拡散層上にスプレー法や印刷法等により直接触媒電極層形成用塗工液を塗布する方法であってもよい。
本発明に用いられる基材としては、その基材上に触媒電極層を形成することが可能で、上記基材上に形成された触媒電極層と上記基材とを剥離させることが可能なものであれば特に限定されるものではないが、本発明においては、例えば、樹脂製のシート等を用いることができ、中でもフッ素系樹脂等の撥水性を有するシート等を用いることができる。これにより、基材上に形成された触媒電極層を上記基材から剥離させる際、基材が撥水性を有するため、容易に剥離させることが可能となり、転写法等を用いれば触媒電極層を固体電解質膜や拡散層に熱圧着することにより膜電極複合体等を容易に形成することが可能となるからである。
また、本発明に用いられる基材としては、通常燃料電池に用いられる部材、例えば固体電解質膜や拡散層をそのまま用いることができる。これにより、触媒電極層が形成された固体電解質膜や拡散層をそのまま用いて、膜電極複合体等を形成することが可能となるからである。また、固体電解質膜を基材として用いた場合は、例えば後述する「C.燃料電池用膜電極複合体の製造方法 3.溶出工程」の項で説明する、実際の燃料電池の発電の際に生成する水により、第2のプロトン伝導体のみを上記触媒電極層から溶出させることが可能となるからである。
本発明においては、基材として固体電解質膜を用いる場合、その固体電解質膜はイオン(プロトン)透過性に優れ且つ電流を流さない材料からなるものであれば特に限定されるものではない。現在汎用されている材料としてはパーフルオロスルホン酸系ポリマー(商品名:Nafion、デュポン株式会社製)等のフッ素系樹脂や、プロトン伝導基を有するポリイミド等の炭化水素系樹脂等を挙げることができる。
本発明に用いられる触媒電極層形成用塗工液に少なくとも含まれる、触媒、上記触媒が担持された担体、第1のプロトン伝導体および第1のプロトン伝導体とは性質又は材料が異なる第2のプロトン伝導体については、上記「A.燃料電池用触媒電極層」の項における記述と同様であるので、ここでの説明は省略する。
2.乾燥工程
本発明においては、触媒電極層形成工程の後に乾燥工程が行われる。本発明における乾燥工程は、上記触媒電極層形成工程において形成された触媒電極層を乾燥させる工程である。
本発明において、上記触媒電極層形成工程において形成された触媒電極層を乾燥させる方法としては、一般的に用いられる乾燥方法を用いることができるが、例えば、真空乾燥により上記触媒電極層を乾燥させる方法が挙げられる。
このように真空乾燥により上記触媒電極層を乾燥させる場合、上記触媒電極層を乾燥させる際の真空乾燥時の圧力、温度および乾燥時間は、設備の状態等によって大きく異なるものであるが、例えば通常に真空乾燥させる際の通常の圧力で、60〜120℃の範囲内の温度で、2〜24時間かけて上記触媒電極層を乾燥させることができる。
3.溶出工程
本発明においては、乾燥工程の後に溶出工程が行われる。本発明における溶出工程は、上記乾燥工程において乾燥させた触媒電極層から上記第2のプロトン伝導体を溶出させる工程である。
本発明において、上記乾燥工程において乾燥させた触媒電極層から上記第2のプロトン伝導体を溶出させる方法としては、上記触媒電極層から上記第2のプロトン伝導体を溶出させることが可能な方法であれば特に限定されるものではないが、例えば熱や溶媒等を用いて上記触媒電極層から上記第2のプロトン伝導体を溶出させる方法等が挙げられる。本発明においては、上記触媒電極層形成工程において用いられる第1のプロトン伝導体が難水溶性の材料からなり、かつ上記触媒電極層形成工程において用いられる第2のプロトン伝導体が水溶性の材料からなる場合、水を用いて上記触媒電極層から上記第2のプロトン伝導体を溶出させる方法が好ましい。これにより、触媒電極層内の触媒等の他の部材に悪影響を及ぼすことなく第2のプロトン伝導体を上記触媒電極層から溶出させることが可能となるからである。
また、本発明において、水を用いて上記乾燥工程において乾燥させた触媒電極層から上記第2のプロトン伝導体を溶出させる方法としては、水により上記第2のプロトン伝導体を触媒電極層から溶出させることが可能な方法であれば特に限定されるものではない。具体的には、上記乾燥工程において乾燥させた触媒電極層を水中に浸漬させる方法や、上記触媒電極層上に水をミスト状に当てる方法等を挙げることができる。本発明においては、上記乾燥工程において乾燥させた触媒電極層を水中に浸漬させる方法が好ましい。これにより、さらに簡便に上記触媒電極層から上記第2のプロトン伝導体を溶出させることが可能となるからである。
このように上記触媒電極層から上記第2のプロトン伝導体を水を用いて溶出させる場合、上記乾燥工程において乾燥させた触媒電極層と水とを接触させる際の水の温度は、40〜90℃の範囲内が好ましく、特に60〜85℃の範囲内が好ましい。これにより、効率よく上記第2のプロトン伝導体を上記触媒電極層から溶出させることが可能となるからである。
C.燃料電池用膜電極複合体の製造方法
本発明の燃料電池用膜電極複合体の製造方法は、固体電解質膜のそれぞれの表面上に触媒電極層が形成されてなる燃料電池用膜電極複合体の製造方法であって、上記固体電解質膜のそれぞれの表面上に、触媒と、上記触媒が担持された担体と、第1のプロトン伝導体と、第1のプロトン伝導体とは性質又は材料が異なる第2のプロトン伝導体と、を少なくとも含む触媒電極層形成用塗工液を用いて触媒電極層を形成させる触媒電極層形成工程と、上記触媒電極層形成工程において形成された触媒電極層を乾燥させる乾燥工程と、上記乾燥工程後に上記触媒電極層に含まれる第2のプロトン伝導体を上記触媒電極層から溶出させる溶出工程とを有することを特徴とするものである。
本発明によれば、溶出工程において、上記第2のプロトン伝導体を上記触媒電極層から溶出させることにより、製造された燃料電池用膜電極複合体における触媒電極層には空孔が形成され、上記触媒電極層内のガス拡散および生成水等の排出を効率的に行うことが可能となる。また、上記溶出工程の際、上記第2のプロトン伝導体が上記触媒電極層内に溶け残った場合においても、上記第2のプロトン伝導体はプロトン伝導性を有するため、触媒電極層内のプロトン伝導性をさらに高めることが可能となる。したがって、製造された触媒電極層を燃料電池に用いた際、燃料電池としての発電性能を向上させることが可能となる。またさらに、触媒電極層形成工程の際、基材として固体電解質膜を用いることにより、基材から触媒電極層を剥離させる作業を省くことが可能となる。したがって、簡便に燃料電池用膜電極複合体を製造することが可能となる。
1.触媒電極層形成工程
まず、本発明における触媒電極層形成工程について説明する。本発明における触媒電極層形成工程は、触媒と上記触媒が担持された担体と第1のプロトン伝導体と第1のプロトン伝導体とは性質又は材料が異なる第2のプロトン伝導体とを少なくとも含む触媒電極層形成用塗工液を用いて固体電解質膜それぞれの表面上に触媒電極層を形成させる工程である。
本発明に用いられる固体電解質膜は、イオン(プロトン)透過性に優れ且つ電流を流さない材料からなるものであれば特に限定されるものではない。現在汎用されている材料としてはパーフルオロスルホン酸系ポリマー(商品名:Nafion、デュポン株式会社製)等のフッ素系樹脂や、プロトン伝導基を有するポリイミド等の炭化水素系樹脂等を挙げることができる。
本発明の燃料電池用膜電極複合体の製造方法における触媒電極層形成工程においては、基材として上述したような固体電解質膜を用いること以外は、上記「B.燃料電池用触媒電極層の製造方法 1.触媒電極層形成工程」の項における記述と同様であるので、ここでの説明は省略する。
2.乾燥工程
本発明においては、触媒電極層形成工程の後に乾燥工程が行われる。本発明における乾燥工程は、上記触媒電極層形成工程において形成された触媒電極層を乾燥させる工程である。この際の上記触媒電極層を乾燥させる方法については、上記「B.燃料電池用触媒電極層の製造方法 2.乾燥工程」の項における記述と同様であるので、ここでの説明は省略する。
3.溶出工程
本発明においては、乾燥工程の後に溶出工程が行われる。本発明における溶出工程は、上記乾燥工程において乾燥させた触媒電極層から上記第2のプロトン伝導体を溶出させる工程である。
本発明においては、上記触媒電極層形成工程において用いられる第1のプロトン伝導体が難水溶性の材料からなり、かつ上記触媒電極層形成工程において用いられる第2のプロトン伝導体が水溶性の材料からなる場合、上記溶出工程は、上記乾燥工程後に、片側の触媒電極層側に水素含有ガスを、その反対側の触媒電極層側に酸素含有ガスを供給し、発電させることで第2のプロトン伝導体を上記触媒電極層から溶出させる工程であることが好ましい。
これにより、発電の際に生成する水により、上記第2のプロトン伝導体のみを上記触媒電極層から溶出させることが可能となるため、触媒電極層の表面からは水が浸入しにくいような触媒電極層の内部においても空孔を形成させることが可能となるからである。また、実際の発電時において、担体であるカーボン微粒子の集合体間、上記触媒電極層と拡散層との界面近傍、およびカソードガス出口付近等の局所的に水分の通過量が多い領域は、上記第2のプロトン伝導体の溶出を発電の際に生成する水により行うことで、空孔率の高い領域とすることができ、発電性能を向上させることが可能となる。一方、上記触媒電極層と上記電解質膜との界面近傍および上記カーボン微粒子の間等の領域は、発電時にプロトン伝導経路となるため、高いプロトン伝導性が要求される。この部分においては、発電の際に生成する水が少ないため、上記第2のプロトン伝導体は溶出しにくく、上記触媒電極層内に留まる第2のプロトン伝導体は多いため、上記触媒電極層内において高いプロトン伝導性を確保することが可能となる。以上のように、発電生成水の多い部分、すなわち生成水の排出経路を必要としている領域の空孔率は高く、かつ高いプロトン伝導性を必要としている領域の空孔率は低いという実際の発電時に最適な空孔率分布を形成することが可能となり、燃料電池全体としての発電性能をさらに向上させることが可能となる。この際、上記乾燥工程後の触媒電極層を水に浸漬させる方法等により、あらかじめある程度の空孔を形成させた触媒電極層を用いて、上述したような実際の発電による溶出工程を行ってもよい。
なお、このような溶出工程は、上記乾燥工程で得られた触媒電極層の両側に拡散層を配し、さらにその外側にセパレータを配した後、片側の触媒電極層側に水素含有ガスを、その反対側の触媒電極層側に酸素含有ガスを供給し、実際に発電させながら行うことができる。
このような本発明における溶出工程は、上述したような乾燥工程後に片側の触媒電極層側に水素含有ガスを、その反対側の触媒電極層側に酸素含有ガスを供給し、発電させることで第2のプロトン伝導体を上記触媒電極層から溶出させる工程である場合に限らず、例えば上記「B.燃料電池用触媒電極層の製造方法 3.溶出工程」の項に記載の水に浸漬させる方法等を用いて行うことができる。
4.その他
上述した実際の発電時に発生する水により最適な空孔率を形成させる方法としては、上述した方法の他に、上記「B.燃料電池用触媒電極層の製造方法」の項に記載の燃料電池用触媒電極層の製造方法により形成された触媒電極層を用いて、実際に発電させながら形成させる方法を用いることができる。この際に用いられる触媒電極層は、例えば、上記「B.燃料電池用触媒電極層の製造方法 3.溶出工程」において、水によりある程度の第2のプロトン伝導体を触媒電極層から溶出させることにより製造された触媒電極層を用いることができる。
D.触媒電極層形成用塗工液
本発明の触媒電極層形成用塗工液は、固体高分子電解質型燃料電池に用いられる触媒電極層を形成する際に用いられ、少なくとも触媒と上記触媒が担持された担体とプロトン伝導体と溶媒とを含む触媒電極層形成用塗工液であって、上記プロトン伝導体は、第1のプロトン伝導体と、上記第1のプロトン伝導体とは性質又は材料が異なる第2のプロトン伝導体との少なくとも2種類のプロトン伝導体からなることを特徴とするものである。
本発明によれば、上記触媒電極層形成用塗工液を用いて触媒電極層を形成した際、例えば第2のプロトン伝導体のみを溶出させることのできる溶媒等を用いて、上記触媒電極層から上記第2のプロトン伝導体のみを溶出させ、上記触媒電極層内に空孔を形成させることが可能となり、上記触媒電極層内のガス拡散および生成水等の排出が効率的に行われる。また、上記第2のプロトン伝導体が溶け残ったとしても上記第2のプロトン伝導体はプロトン伝導性を有するため、触媒電極層内のプロトン伝導性をより高めることが可能となる。したがって、このような触媒電極層を燃料電池に用いた際、燃料電池としての発電性能を向上させることができる。
本発明の触媒電極層形成用塗工液に含まれる溶媒としては、上記第2のプロトン伝導体が溶解せず、触媒電極層形成用塗工液中で適度に分散することができるものであれば特に限定されるものではない。
本発明に用いられる触媒電極層形成用塗工液に少なくとも含まれる、触媒、上記触媒が担持された担体、第1のプロトン伝導体および第1のプロトン伝導体とは性質又は材料が異なる第2のプロトン伝導体については、上記「A.燃料電池用触媒電極層」の項における記述と同様であるので、ここでの説明は省略する。
なお、本発明は、上記実施形態に限定されるものではない。上記実施形態は例示であり、本発明の特許請求の範囲に記載された技術的思想と実質的に同一な構成を有し、同様な作用効果を奏するものは、いかなるものであっても本発明の技術的範囲に包含される。
以下に実施例および比較例を示し、本発明をさらに具体的に説明する。
[実施例1]
(触媒電極層形成工程)
白金の担持された炭素粉、水、有機溶媒、ナフィオン溶液(第1のプロトン伝導体の溶液)および、水溶性かつプロトン伝導性のある高分子であるポリスチレン硫酸(第2のプロトン伝導体)を超音波撹拌にて混合し、PTFEシート上にドクターブレードでキャストした。
(乾燥工程)
前工程で得られた触媒電極層を真空乾燥させて触媒層つきシートを得た。この触媒層つきシートをフッ素系固体電解質膜(商品名:Nafion)とを貼り合わせ、120℃100kg/cmで熱圧着し、PTFEシートのみを剥離した。
(溶出工程)
前工程で得られた膜電極複合体を一晩、80℃の温水中に放置し、上記のポリスチレン硫酸(第2のプロトン伝導体)を溶出させ、燃料電池用膜電極複合体を得た。
[実施例2]
(触媒電極層形成工程)(乾燥工程)
乾燥工程まで、実施例1と同様に行った。
(溶出工程)
得られた燃料電池用膜電極複合体を燃料電池発電装置に組み付け、セル温度60℃、ガス流量:水素毎分0.272L、酸素毎分0.865L、ガス加湿両極80℃の条件で発電試験を行い、発電生成水により上記のポリスチレン硫酸(第2のプロトン伝導体)を溶出させた。
[比較例1]
ポリスチレン硫酸(第2のプロトン伝導体)を加えなかったこと以外は、実施例1と同様に乾燥工程まで行い、燃料電池用膜電極複合体を得た。
[比較例2]
ポリスチレン硫酸(第2のプロトン伝導体)の代わりに造孔材としてプロトン伝導性がない水溶性高分子であるポリビニルアルコールを用いたこと以外は、実施例1と同様に燃料電池用膜電極複合体を得た
[評価]
実施例1、実施例2の溶出工程前、実施例2の溶出工程後、比較例1および比較例2で得られた燃料電池用膜電極複合体を用いた発電試験をセル温度80℃、ガス流量一定、の条件の下行った。その結果を図2に示す。図2から、造孔材を用いなかった比較例1および造孔材としてプロトン伝導性のない水溶性高分子を用いた比較例2よりも、造孔材を用いた実施例1および実施例2の溶出工程後では優れた発電特性を示し、特に実施例2の溶出工程後ではさらに優れた発電特性を示した。
一般的な燃料電池の最小単位である単位セルの構造の一例を示す概略断面図である。 本発明の実施例および比較例において作製された膜電極複合体の発電性能を示すグラフである。
符号の説明
1…固体電解質膜
2…触媒電極層
3…膜電極複合体
4…ガス拡散層
5…セパレータ

Claims (7)

  1. 固体高分子電解質型燃料電池に用いられ、少なくとも触媒と前記触媒が担持された担体とプロトン伝導体とを含む燃料電池用触媒電極層であって、
    前記プロトン伝導体は、第1のプロトン伝導体と、前記第1のプロトン伝導体とは性質又は材料が異なる第2のプロトン伝導体との少なくとも2種類のプロトン伝導体からなることを特徴とする燃料電池用触媒電極層。
  2. 前記第1のプロトン伝導体は難水溶性の材料からなり、前記第2のプロトン伝導体は水溶性の材料からなることを特徴とする請求項1に記載の燃料電池用触媒電極層。
  3. 固体高分子電解質型燃料電池に用いられる燃料電池用触媒電極層の製造方法であって、
    触媒と、前記触媒が担持された担体と、第1のプロトン伝導体と、第1のプロトン伝導体とは性質又は材料が異なる第2のプロトン伝導体と、を少なくとも含む触媒電極層形成用塗工液を用いて基材上に触媒電極層を形成させる触媒電極層形成工程と、
    前記触媒電極層形成工程において形成された触媒電極層を乾燥させる乾燥工程と、
    前記乾燥工程において乾燥させた触媒電極層から前記第2のプロトン伝導体を溶出させる溶出工程とを有することを特徴とする燃料電池用触媒電極層の製造方法。
  4. 前記第1のプロトン伝導体は難水溶性の材料からなり、前記第2のプロトン伝導体は水溶性の材料からなり、前記溶出工程は、前記乾燥工程において乾燥させた触媒電極層と水とを接触させて、前記第2のプロトン伝導体を前記乾燥工程において乾燥させた触媒電極層から溶出させる工程であることを特徴とする請求項3に記載の燃料電池用触媒電極層の製造方法。
  5. 固体電解質膜のそれぞれの表面上に触媒電極層が形成されてなる燃料電池用膜電極複合体の製造方法であって、
    前記固体電解質膜のそれぞれの表面上に、触媒と、前記触媒が担持された担体と、第1のプロトン伝導体と、第1のプロトン伝導体とは性質又は材料が異なる第2のプロトン伝導体と、を少なくとも含む触媒電極層形成用塗工液を用いて触媒電極層を形成させる触媒電極層形成工程と、
    前記触媒電極層形成工程において形成された触媒電極層を乾燥させる乾燥工程と、
    前記乾燥工程後に前記触媒電極層に含まれる第2のプロトン伝導体を前記触媒電極層から溶出させる溶出工程とを有することを特徴とする燃料電池用膜電極複合体の製造方法。
  6. 前記第1のプロトン伝導体は難水溶性の材料からなり、前記第2のプロトン伝導体は水溶性の材料からなり、前記溶出工程は、前記乾燥工程後に、片側の触媒電極層側に水素含有ガスを、その反対側の触媒電極層側に酸素含有ガスを供給し、発電させることで第2のプロトン伝導体を前記触媒電極層から溶出させる工程であることを特徴とする請求項5に記載の燃料電池用膜電極複合体の製造方法。
  7. 固体高分子電解質型燃料電池に用いられる触媒電極層を形成する際に用いられ、少なくとも触媒と前記触媒が担持された担体とプロトン伝導体と溶媒とを含む触媒電極層形成用塗工液であって、前記プロトン伝導体は、第1のプロトン伝導体と、前記第1のプロトン伝導体とは性質又は材料が異なる第2のプロトン伝導体との少なくとも2種類のプロトン伝導体からなることを特徴とする触媒電極層形成用塗工液。
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