JP2010056004A - 膜・電極接合体の製造方法 - Google Patents

膜・電極接合体の製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】触媒インクの高分子電解質膜への塗布による高分子電解質膜の寸法変化に起因する、高分子電解質膜及び触媒層のシワや割れ等を充分に抑制することが可能な膜・電極接合体の製造方法を提供する。
【解決手段】高分子電解質膜の表面に触媒層が積層した構造を有する膜・電極接合体の製造方法であって、高分子電解質膜が、該高分子電解質膜と比較して面方向における膨潤性が低いフィルム基材表面に10N/m以上の剥離接着強さで接合された膜・基材接合体を準備し、該膜・基材接合体の前記高分子電解質膜の表面に、少なくとも電極触媒及び溶媒を含有する触媒インクを塗布することによって、前記高分子電解質膜の表面に触媒層を形成する触媒層形成工程と、前記高分子電解質膜の表面から前記フィルム基材を剥離する基材剥離工程と、を備えることを特徴とする。
【選択図】なし

Description

本発明は、高分子電解質膜の表面に触媒インクを塗布する工程を備える膜・電極接合体の製造方法に関する。
燃料電池は、電気的に接続された2つの電極に燃料と酸化剤を供給し、電気化学的に燃料の酸化を起こさせることで、化学エネルギーを直接電気エネルギーに変換する。火力発電とは異なり、燃料電池はカルノーサイクルの制約を受けないので、高いエネルギー変換効率を示す。燃料電池は、通常、電解質膜を一対の電極で挟持した膜・電極接合体を基本構造とする単セルを複数積層して構成されている。中でも、電解質膜として高分子電解質膜を用いた固体高分子電解質型燃料電池は、小型化が容易であること、低い温度で作動すること、などの利点があることから、特に携帯用、移動体用電源として注目されている。
水素を燃料、酸素を酸化剤とする固体高分子電解質型燃料電池において、アノード(燃料極)では(1)式の反応が進行する。
2 → 2H+ + 2e- ・・・(1)
(1)式で生じる電子は、外部回路を経由し、外部の負荷で仕事をした後、カソード(酸化剤極)に到達する。そして、(1)式で生じたプロトンは、水と水和した状態で、電気浸透により高分子電解質膜内をアノード側からカソード側に移動する。
一方、カソードでは(2)式の反応が進行する。
4H+ + O2 + 4e- → 2H2O ・・・(2)
固体高分子電解質型燃料電池において、高分子電解質膜の両面に設けられる電極は、通常、高分子電解質膜側から順に触媒層とガス拡散層とが積層した構造を有する。触媒層は上記(1)式又は(2)式の電極反応が進行する場であり、白金や白金合金等の電極触媒をカーボン粒子等の導電性粒子に担持させたものと、高分子電解質とを主成分とする構成が一般的である。ガス拡散層は、触媒層への反応ガスの拡散性の確保や電極の導電性の確保を目的として設けられており、一般的にカーボンペーパーやカーボンクロス等の導電性多孔質体が用いられる。
高分子電解質膜(以下、単に電解質膜ということがある)の表面に触媒層を形成する方法としては、電極触媒を担持した導電性粒子と高分子電解質とを、溶媒に溶解・分散させた触媒インクを用いる方法が一般的である。
具体的には、電解質膜/触媒層/ガス拡散層の積層構造を形成する方法として、例えば、(A)ガス拡散層となる導電性多孔質体に触媒インクを塗布、乾燥したのち、該導電性多孔質体を触媒インクの塗布面を電解質膜側にして電解質膜と加熱圧着する方法、(B)電解質膜の表面に触媒インクを塗布、乾燥したのち、当該電解質膜を触媒インクの塗布面を導電性多孔質体側にして導電性多孔質体と加熱圧着する方法、(C)ポリテトラフルオロエチレンフィルム等の転写基材上に触媒インクを塗布、乾燥した触媒層シートを用い、電解質膜表面に触媒層を熱転写し、該電解質膜を触媒層を導電性多孔質体側にして導電性多孔質体と加熱圧着する方法、(D)上記触媒層シートを用い、導電性多孔質体表面に触媒層を熱転写し、該導電性多孔質体を触媒層を電解質膜側にして電解質膜と加熱圧着する方法等が挙げられる。
電解質膜−触媒層間の接合性、形成される触媒層の構造制御性、製造工程の簡易性等の観点から、上記(B)のように、触媒インクを電解質膜の表面に直接塗布する方法が採用されることが多い。
しかしながら、高分子電解質膜は、水等の液体を吸収して膨潤しやすいという特性を有していることから、電解質膜の表面に直接触媒インクを塗布する場合、触媒インク中の溶媒によって電解質膜は膨潤する。そして、続く触媒インクの乾燥工程において収縮する。この電解質膜の寸法変化の結果、電解質膜及び該電解質膜表面に形成された触媒層にシワや割れ等が発生するという問題がある。電解質膜及び触媒層のシワや割れは、膜・電極接合体の発電性能、耐久性等を低下させる大きな原因の一つとなりうる。
上記のような触媒インクの塗布による電解質膜の寸法変化を抑制すべく、従来、様々な技術が提案されている。例えば、特許文献1には、高分子電解質膜の前面が触媒でコーティングされ、該高分子電解質膜の後面がバッキングフィルムを有する、高分子電解質膜を提供する工程(a)と、バッキングフィルムを高分子電解質膜から除去し、該高分子電解質膜の該後面に第二の触媒をコーティングし、これによって、高分子電解質膜をコーティングする工程(b)を包含する方法が記載されている。
特開2003−257449号公報
特許文献1には、触媒インク塗布時に、ポリマーフィルム等のバッキングフィルムによって支持された高分子電解質膜を用いることによって、高分子電解質膜の膨張を減少できる旨の記載があるが、前記バッキングフィルムによる前記高分子電解質膜の支持について、その接合状態等、何ら記載されていないため、高分子電解質膜の膨張を充分に抑制することができないおそれがある。
ところで、高分子電解質膜は、一般に、製膜用基材表面に高分子電解質を含有する溶液を流延塗布するか、又は、加熱溶融した高分子電解質を押し出し成形することによって形成される。このように溶解状態又は溶融状態の高分子電解質を製膜用基材表面で成形した場合、得られる高分子電解質膜と製膜用基材は比較的高い接合力で接合した状態となる。
電解質膜は製膜用基材から剥離した状態で使用されるが、電解質膜と製膜用基材の接合力が大きいことに加えて、高分子電解質膜が薄膜であるため、製膜用基材から電解質膜を剥離する際、電解質膜に破れ等の破損が生じやすい。さらには、剥離時に高分子電解質膜表面にゴミ等が付着するおそれがある。特に、電解質膜に高い平滑性や薄膜化が求められる場合、平滑性の高い製膜用基材が用いられ、その結果、電解質膜と製膜用基材との接合力が高まり、電解質膜の製膜用基材からの剥離がさらに困難となる。
以上のような背景から、電解質膜は、電解質膜製造メーカーによって予め製膜用基材から剥離され、破損等のない良品が保護用基材と積層した状態で出荷されるのが一般的である。この場合、電解質膜と保護用基材は、積層することで発生した静電力による非常に弱い接合力で接合した状態である。
しかしながら、電解質膜を製膜用基材から剥離するための高い技術を有する電解質膜製造メーカーであっても、上記したように電解質膜と製膜用基材との接合力が非常に高いため、上記製膜用基材の剥離工程において歩留まりの低下が生じる。また、電解質膜を製膜用基材から剥離し、保護用基材と積層する際に、電解質膜と保護用基材との間に異物が入り込み、電解質膜の性能低下、信頼性低下を招きやすい。
また、近年、燃料電池技術の向上に伴い、膜・電極接合体のさらなる高性能化を目指して、電解質膜の薄膜化やスルホン酸基等のプロトン伝導性基の高密度化が進んでいる。上記したような高分子電解質膜の寸法変化は、プロトン伝導性基の密度が高くなればなるほど大きくなり、また、電解質膜の製膜用基材からの剥離困難性は、電解質膜の膜厚が薄くなればなるほど高くなる。すなわち、上記したような電解質膜の寸法変化に起因する問題や、膜・電極接合体の製造工程における電解質膜の歩留まり低下及び性能低下等の問題が益々深刻化している。
本発明は、上記実情を鑑みて成し遂げられたものであり、触媒インクの高分子電解質膜への塗布による高分子電解質膜の寸法変化に起因する、高分子電解質膜及び触媒層のシワや割れ等を充分に抑制することが可能な膜・電極接合体の製造方法を提供するものである。
本発明の膜・電極接合体の製造方法は、高分子電解質膜の表面に触媒層が積層した構造を有する膜・電極接合体の製造方法であって、高分子電解質膜が、該高分子電解質膜と比較して面方向における膨潤性が低いフィルム基材表面に10N/m以上の剥離接着強さで接合された膜・基材接合体を準備し、該膜・基材接合体の前記高分子電解質膜の表面に、少なくとも電極触媒及び溶媒を含有する触媒インクを塗布することによって、前記高分子電解質膜の表面に触媒層を形成する触媒層形成工程と、前記高分子電解質膜の表面から前記フィルム基材を剥離する基材剥離工程と、を備えることを特徴とするものである。
10N/m以上の剥離接着強さで接合された高分子電解質膜とフィルム基材は、その強い接合力のため、剥離性が低く、剥離時に高分子電解質膜の破損等が生じやすい。そのため、従来、このような強い剥離接着強さでフィルム基材と接合された状態の高分子電解質膜に触媒層を形成し、該フィルム基材から高分子電解質膜‐触媒層接合体を剥離することは、さらなる歩留まり低下を招き、生産効率を悪化させると考えられてきた。
しかしながら、本発明者らが検討した結果、上記のような強い剥離接着力でフィルム基材と接合された高分子電解質膜に触媒インクを塗布することによって、触媒インクの塗布による電解質膜の寸法変化を抑制できると同時に、フィルム基材‐高分子電解質膜間の剥離性が向上することが見出された。
すなわち、本発明の製造方法において、高分子電解質膜は、該高分子電解質膜よりも面方向における膨潤性が低いフィルム基材表面に、10N/m以上の剥離接着強さで接合された状態で、その表面に触媒インクが塗布されるため、触媒インク中の溶媒を吸収し膨潤しても、その面方向における寸法変化が抑制されている。従って、触媒インクを乾燥させた際の面方向の収縮も抑制されているため、高分子電解質膜及びその表面に設けられた触媒層にシワや割れ等が発生しにくい。
また、触媒インクの塗布及び乾燥による高分子電解質膜の寸法変化に伴って高分子電解質膜−基材フィルム界面に応力が発生し、高分子電解質膜と基材フィルム間の剥離接着強さが低下する。従って、高分子電解質膜とフィルム基材間の剥離接着強さが10N/m以上であっても、前記基材剥離工程においては、高分子電解質膜を破損させることなく、容易に高分子電解質膜と基材フィルムとを剥離することができる。
前記フィルム基材の表面に、高分子電解質又は高分子電解質前駆体を含有する溶液を流延塗布、或いは、加熱溶融した高分子電解質又は高分子電解質前駆体を押し出し成形することによって、前記膜・基材接合体を形成する接合体形成工程を備える場合、すなわち、製膜時の製膜用基材をそのまま前記フィルム基材として用いる場合には、触媒インクを塗布する前に、製膜用基材と高分子電解質膜を剥離し、高分子電解質膜とフィルム基材とを接合する工程が必要ないため、歩留まり向上、製造工程の簡略化、コスト削減、膜・電極接合体の品質向上等の利点がある。
本発明の膜・電極接合体の製造方法によれば、高分子電解質膜及び触媒層にシワや割れを発生させることなく、触媒インクを高分子電解質膜に塗布することによって触媒層を形成することができる。従って、本発明により提供される膜・電極接合体は、発電性能や耐久性に優れるものである。しかも、フィルム基材として、製膜時に用いた製膜用基材を利用する場合には、歩留まり向上、製造工程の簡略化、コスト削減等の利点もある。
本発明の膜・電極接合体の製造方法は、高分子電解質膜の表面に触媒層が積層した構造を有する膜・電極接合体の製造方法であって、高分子電解質膜が、該高分子電解質膜と比較して面方向における膨潤性が低いフィルム基材表面に10N/m以上の剥離接着強さで接合された膜・基材接合体を準備し、該膜・基材接合体の前記高分子電解質膜の表面に、少なくとも電極触媒及び溶媒を含有する触媒インクを塗布することによって、前記高分子電解質膜の表面に触媒層を形成する触媒層形成工程と、前記高分子電解質膜の表面から前記フィルム基材を剥離する基材剥離工程と、を備えることを特徴とするものである。
ここで、本発明の製造方法により提供される膜・電極接合体を含む単セルの構成例について図を参照しながら説明する。図1は、本発明に係る膜・電極接合体を含む単セルの一実施形態(単セル100)を模式的に示す横断面図である。
単セル100は、電解質膜1の一面側に燃料極(アノード)2、及び酸化剤極(カソード)3が設けられた膜・電極接合体6を有している。燃料極2は電解質膜1に近い側から燃料極側触媒層4a、燃料極側ガス拡散層5aがこの順序で積層して構成されている。酸化剤極3も同様に電解質膜1に近い側から酸化剤極側触媒層4b、酸化剤極側ガス拡散層5bがこの順序で積層して構成されている。
尚、本実施形態において、各電極(燃料極、酸化剤極)は、共に、触媒層とガス拡散層とが積層した構造を有しているが、触媒層のみからなる単層構造であってもよいし、触媒層とガス拡散層の他に機能層を設けた構造でもよい。
この膜・電極接合体6は、二つのセパレータ7a、7bで狭持され、単セル100が構成される。各セパレータ7a、7bの片面には、反応ガス(燃料ガス、酸化剤ガス)の流路を形成する溝が設けられており、これらの溝と燃料極2、酸化剤極3の外面とで燃料ガス流路8a、酸化剤ガス流路8bが画成されている。燃料ガス流路8aは、燃料極2に燃料ガス(水素を含む又は水素を発生させる気体)を供給するための流路であり、酸化剤ガス流路8bは、酸化剤極3に酸化剤ガス(酸素を含む又は酸素を発生させる気体)を供給するための流路である。
本発明者らは、触媒インクを高分子電解質膜に塗布することに起因する高分子電解質膜の寸法変化を抑制すべく、鋭意検討した結果、高分子電解質膜を、10N/m以上の剥離接着強さで該高分子電解質膜よりもその面方向における膨潤性が低いフィルム基材に接合した状態において、該高分子電解質膜に触媒インクを塗布することによって、触媒インクの塗布・乾燥による高分子電解質膜の面方向における寸法変化を抑制することが可能であることを見出した。
ここで、高分子電解質膜と比較してその面方向における膨潤性が相対的に低いフィルム基材とは、高分子電解質膜と該フィルム基材とを積層した状態(単に重ね合わせただけの状態)で、該高分子電解質膜に触媒インクを塗布した際に、(1)該高分子電解質膜内を通って該フィルム基材に到達した触媒インク中の溶媒を吸収したときの面方向における膨潤率が、該フィルム基材と積層した高分子電解質膜の面方向における膨潤率よりも低いもの、或いは、(2)該高分子電解質膜内を通って該フィルム基材に到達した触媒インク中の溶媒を吸収せず、該溶媒と接触してもその面方向における寸法変化が生じないもの、をいう。
このような高分子電解質膜と比較してその面方向における膨潤性が相対的に低いフィルム基材(以下、低膨潤性フィルム基材ということがある)と、高分子電解質膜とが、10N/m以上の剥離接着強さで接合されている場合、その表面に触媒インクを塗布され、触媒インク中の溶媒を吸収した高分子電解質膜は、面方向における寸法変化が相対的低い低膨潤性フィルム基材との上記剥離接着強さによる接合によって、面方向における寸法変化が抑制される。
従って、触媒インクの塗布による面方向における膨潤が抑制されているのに伴い、高分子電解質膜表面に塗布した触媒インクを乾燥させ、高分子電解質膜内に吸収された溶媒を除去しても、高分子電解質膜の面方向における収縮が生じにくい。
さらに、本発明者らが鋭意検討した結果、上記剥離接着強さで接合された高分子電解質膜と低膨潤性フィルム基材との接合体において、該高分子電解質膜に触媒インクを塗布、乾燥することにより、上記電解質膜‐低膨潤性フィルム基材間の剥離接着強さが低下することが見出された。
上記接合体において、高分子電解質膜は、触媒インク塗布時には触媒インク中の溶媒を吸収してその面方向に膨潤しようとし、触媒インク乾燥時には、該溶媒が除去されることによりその面方向に収縮しようとする。このように、フィルム基材に固定された高分子電解質膜が寸法変化しようとすることによって、電解質膜と低膨潤性フィルム基材との界面に応力が発生し、これら電解質膜と低膨潤性フィルム基材間の接合力が低下すると考えられる。
すなわち、10N/m以上の剥離接着強さで接合している低膨潤性フィルム基材と電解質膜は、その接合力や電解質膜の薄さ等に起因して、剥離することが難しく、高分子電解質膜の破損を招きやすいが、触媒インクの塗布、乾燥により、高分子電解質膜とフィルム基材との接合力が弱められて剥離性が向上し、フィルム基材剥離時の高分子電解質膜の破損を防止することができる。
以上のように本発明の製造方法によれば、電解質膜表面に直接触媒インクを塗布しても、電解質膜の面方向における寸法変化が抑制されているため、触媒インクを塗布、乾燥させて触媒層を形成させた電解質膜及び該触媒層に、シワや割れ等が発生するのを抑制することができる。しかも、触媒インクの乾燥後には、触媒層が形成された電解質膜をフィルム基材から容易に剥離することができる。従って、本発明によれば、歩留まりを向上させ、非常に効率よく膜・電極接合体を製造することができる。
以下、本発明の膜・電極接合体の製造方法について詳しく説明していく。
まず、低膨潤フィルム基材表面に10N/m以上の剥離接着強さで高分子電解質膜が接合された膜・基材接合体を準備する。
低膨潤性フィルム基材としては、高分子電解質膜と該フィルム基材とを積層した状態(単に重ね合わせただけの状態)で、該高分子電解質膜に触媒インクを塗布した際に、上記(1)又は(2)の特性を有するものであれば特に限定されず、例えば、高分子電解質膜の製膜用基材や保護基材として用いられているもの等も使用することができる。
触媒インク塗布時の高分子電解質膜の面方向における寸法変化を、より確実に抑制するという観点から、低膨潤性フィルム基材は、上記(2)の特性を有するものが好ましい。
上記(1)の特性を有するものとしては、高分子電解質膜の寸法変化をより確実に抑制するという観点から、上記膨潤率が小さければ小さいほどよい。
具体的な低膨潤性フィルム基材としては、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリスチレン、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリカーボネート、ポリイミド、ポリエーテルエーテルケトン、ポリフッ化ビニリデン、ポリテトラフルオロエチレン等の樹脂から成るものが挙げられる。中でも、電解質膜を低膨潤性フィルム基材から剥離しやすいという観点から、ポリエチレンナフタレートが好適に用いられる。
低膨潤性フィルム基材は、複数の材料からなるものであってもよいし、複数の層が積層してなる構造を有するものであってもよいし、表面処理により触媒インクの溶媒を吸収しないよう加工されているものであってもよい。
低膨潤性フィルム基材は、該フィルム基材と高分子電解質膜の接合方法や高分子電解質膜表面への触媒層の形成方法、該フィルム基材と高分子電解質膜との剥離接着強さ等にもよるが、ハンドリングのしやすさの観点から、その膜厚が5〜500μm、特に20〜100μmであることが好ましい。
高分子電解質膜としては、一般的に燃料電池の電解質膜として用いられているものを特に制限されることなく使用することができ、例えば、ナフィオン(商品名、デュポン社製)等のパーフルオロカーボンスルホン酸樹脂に代表されるフッ素系高分子電解質を含むものや炭化水素系高分子電解質を含むもの等が挙げられる。
ここで、炭化水素系高分子電解質とは、典型的にはフッ素を全く含まないが、本発明による効果が充分に得られることから、部分的にフッ素置換されていてもよい。炭化水素系高分子電解質として、具体的には、ポリエーテルエーテルケトン、ポリエーテルケトン、ポリエーテルスルホン、ポリフェニレンスルフィド、ポリフェニレンエーテル等のエンジニアリングプラスチックにスルホン酸基、カルボン酸基、リン酸基、ボロン酸基等のプロトン伝導性基を導入したものが挙げられる。
高分子電解質膜のプロトン伝導基の密度は特に限定されないが、本発明の製造方法によれば、プロトン伝導性基が高密度で導入され、非常に膨潤しやすい高分子電解質膜であっても、触媒インク塗布時の面方向における膨潤を抑制することが可能である。
高分子電解質膜の膜厚は特に限定されず、所望の厚さにすることができる。本発明の製造方法においては、低膨潤性フィルム基材と高分子電解質膜の剥離性が良好であり、特に、後述するように低膨潤性フィルム基材を製膜用基材と兼ねる場合には、高分子電解質膜と製膜用基材の剥離工程及び高分子電解質膜と低膨潤性フィルム基材の接合工程を省略することができることから、膜厚の薄いものであっても、基材剥離時の破損を充分に抑制し、高い歩留まりで製造することが可能である。
高分子電解質膜と低膨潤性フィルム基材を10N/m以上の剥離接着強さで接合する方法は特に限定されないが、製造工程数の低減、それに伴うコスト削減及び歩留まりの向上等の観点から、以下のような方法が好ましい。
すなわち、低膨潤性フィルム基材の表面に、高分子電解質又は高分子電解質前駆体を含有する溶液を流延塗布(キャスト法)、或いは、加熱溶融した高分子電解質又は高分子電解質前駆体を押し出し成形(溶融法)することによって、膜・基材接合体を形成する。
この方法は、低膨潤性フィルム基材上で高分子膜を製膜するというものであり、低膨潤性フィルム基材が製膜用基材を兼ねる。このように、溶融状態又は溶解状態の高分子(高分子電解質又は高分子電解質前駆体)と低膨潤性フィルム基材とを接触させ、該基材上で高分子を固化、高分子膜を製膜することによって、低膨潤性フィルム基材と高分子電解質膜との接合性が高まり、10N/m以上のような比較的強い剥離接着強さで高分子電解質膜と低膨潤性フィルム基材とを接合することができる。
低膨潤性フィルム基材が製膜用基材を兼ねる上記方法は、高分子電解質膜を製膜用基材から剥離し、該高分子電解質膜を低膨潤性フィルム基材と上記剥離接着強さで接合する場合と比較して、製膜用基材の剥離工程及び低膨潤性フィルム基材の接合工程の省略、さらには、製膜用基材を剥離する際の高分子電解質膜のロス、製膜用基材の使用、製膜用基材の剥離から低膨潤性フィルム基材の接合までの一連の工程における異物混入がないため、製造工程数の低減、コスト削減、歩留まりの低下が可能である。
低膨潤性フィルム基材を製膜用基材とし、キャスト法又は溶融法によって、高分子電解質膜を製膜する方法は特に限定されず、一般的な方法に準じることができる。例えば、キャスト法としては、低膨潤性フィルム基材表面に、高分子電解質又は高分子電解質前駆体を溶解又は分散させた溶液を、インクジェット法やスプレー法、ドクターブレード法、グラビア印刷法、ダイコート法等の任意の方法で流延、塗布し、乾燥させる方法が挙げられる。
また、溶融法は、加熱・加圧した溶融状態の高分子電解質又は高分子電解質前駆体を、押出し金型の突出口から低膨潤性フィルム上に押出し、冷却工程を経て成形するものであり、冷却方法や金型の形状等に特に限定はない。
ここで、高分子電解質前駆体とは、加水分解、イオン交換等のプロトン伝導性基の導入処理を行うことで高分子電解質となるものであり、プロトン伝導性基である酸基が−SO2F基等の形態で保護されているものである。高分子電解質前駆体の膜を製膜することで、製膜時のプロトン伝導性基の熱酸化劣化等を防止することができる。高分子電解質前駆体膜は、製膜後、加水分解、イオン交換等によって、プロトン伝導性基が導入される。具体的には、特開平3−6240号公報記載のように、水酸化アルカリを15〜50wt%と水溶性有機化合物を0.1〜30wt%含んだ水溶液を用いて、60〜130℃で20分〜24時間浸漬して加水分解処理を行った後、塩酸等の酸溶液に高分子電解質前駆体膜を浸漬し、保護基をプロトン伝導性基に変換する方法が挙げられる。このようなプロトン伝導性基の導入処理後には、必要に応じて、余分な酸の除去等を目的とした洗浄工程、乾燥工程等を適宜設けてもよい。
その他、高分子電解質膜と低膨潤性フィルム基材との接合方法としては、例えば、製膜用基材上で製膜された高分子電解質膜を、低膨潤性フィルム基材と重ね合わせ、加熱圧着することで、低膨潤性フィルム基材と高分子電解質膜との接合する方法が挙げられる。この場合、製膜用基材を剥離することで、膜・基材接合体が得られる。
低膨潤性フィルム基材には、必要に応じて、その表面にコロナ放電等の表面処理を施し、高分子電解質膜との剥離接着強さを調節してもよい。
高分子電解質膜と低膨潤性フィルム基材との剥離接着強さは、10N/m以上とすることで、触媒インク塗布時の高分子電解質膜の寸法変化を抑制することが可能である。
高分子電解質膜とフィルム基材の剥離接着強さは、JIS K 6854−3に準じた方法で測定することができる。
次に、膜・基材接合体を構成する高分子電解質膜の表面に触媒インクを塗布し、触媒層を形成する(触媒層形成工程)。
触媒インクは、少なくとも電極触媒を溶媒中に溶解、分散させて得られる。電極触媒としては、燃料電池において一般的に用いられているものを使用することができ、燃料極における水素の酸化反応、酸化剤極における酸素の還元反応に対して触媒活性を有していればよく、例えば、白金、又は、ルテニウム、鉄、ニッケル、マンガン等の金属と白金との合金等が挙げられる。中でも、触媒活性が高い白金や白金/ルテニウム合金が好ましい。触媒インク中に含有される電極触媒は、一種類のみであってもよいし、白金と白金合金の組み合わせ、種類の異なる白金合金の組み合わせのように2種以上を組み合わせてもよい。
電極触媒は、通常、予め導電性粒子に担持させた状態で触媒インク中に配合される。導電性粒子に担持させた状態で触媒インク中に含有させることで、電極触媒の分散性を確保することができるからである。また、電極触媒の電子伝達性が向上するという利点もある。
電極触媒を担持させる導電性粒子は、導電性を有するものであれば特に限定されず、カーボンブラック等の炭素粒子等が挙げられる。多くの電極触媒を担持できる表面積を有することから、炭素粒子が好ましく用いられ、中でもカーボンブラックが好ましい。カーボンブラックとしては、例えば、ケッチェンブラック、ファーネスブラック、チャネルブラック、ランプブラック、サーマルブラック、アセチレンブラック等が挙げられる。
導電性粒子は、球状であっても、或いは、繊維状のようなアスペクト比が比較的大きなものであってもよい。
また、触媒インクには、触媒層へのプロトン伝導性付与や、電極触媒の固定等を目的として、高分子電解質を含有させることができる。高分子電解質としては、一般的に燃料電池の電解質膜を構成するものとして用いられているものを特に制限されることなく使用することができ、例えば、上記高分子電解質膜に含有される高分子電解質として例示したものが挙げられる。また、上記高分子電解質膜の製膜同様、高分子電解質の代わりに高分子電解質前駆体を用いて触媒インクを調製し、触媒層を形成した後、プロトン伝導性基の導入処理を行って高分子電解質前駆体を高分子電解質としてもよい。この場合も、必要に応じて、洗浄工程、乾燥工程等を適宜設けてよい。
触媒インクの溶媒としては、電極触媒を分散させた触媒インク、特に、電極触媒と高分子電解質を分散させた触媒インクを調製することができるものであればよく、使用する電極触媒、高分子電解質等によって適宜選択すればよい。例えば、メタノール、エタノール、プロパノール、プロピレングリコール等のアルコール類や、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジエチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、N,N−ジエチルアセトアミド等、或いは、これらの混合物や水との混合物を用いることができるが、これに限定されない。
触媒インクの各成分濃度は、形成しようとする触媒層の特性や、触媒インクの塗布方法に応じて適宜決定すればよい。触媒インクには、上記した電極触媒、導電性粒子、高分子電解質以外にも、必要に応じてその他の成分を配合してもよい。
触媒インクの調製方法は特に限定されず、一般的な方法に準じて、電極触媒、高分子電解質等を、有機溶媒と混合すればよい。
このようにして得られた触媒インクを、膜・基材接合体の高分子電解質膜上に塗布、乾燥することで、膜・基材接合体の高分子電解質膜上に触媒層を形成することができる。触媒インクの塗布方法は、特に限定されず、インクジェット法やスプレー法、ドクターブレード法、グラビア印刷法、ダイコート法等、一般的な方法を用いることができる。
触媒インクの乾燥方法は特に限定されず、減圧乾燥、加熱乾燥、減圧乾燥と加熱乾燥の併用等が挙げられる。
次に、触媒層が形成された高分子電解質膜からフィルム基材を剥離する(基材剥離工程)。このとき、上記したように、触媒インクの塗布、乾燥に起因する高分子電解質膜‐フィルム基材間における応力発生によって、高分子電解質膜‐低膨潤性フィルム基材間の剥離接着強さが低下し、剥離性が向上する。
本発明の製造方法は、基材フィルムや高分子電解質膜として帯状のものを用いることで、高分子膜‐触媒層接合体の連続製造に適用することもできる。
例えば、まず図2(2A)に示すように、ロールaに巻き取られていた低膨潤性フィルム基材9上に電解質膜10を製膜[(A)]し、必要に応じて、フィルム基材9上でイオン交換、乾燥、洗浄等の処理[(B)]を行い、帯状のフィルム基材‐電解質膜接合体11を作製する。得られたフィルム基材‐電解質膜接合体11はロールbに巻き取る。
そして、図2(2B)に示すように、ロールbに巻き取られていたフィルム基材−電解質膜接合体11の電解質膜10上に触媒層12を形成[(C)]し、必要に応じて、イオン交換、乾燥、洗浄等の処理[(D)]を行い、帯状のフィルム基材‐電解質膜‐触媒層接合体13を作製する。該接合体13は、フィルム基材9と電解質膜‐触媒層接合体14を剥離する剥離ロールcによって、フィルム基材9と電解質膜‐触媒層接合体14間で剥離され、基材フィルム9はロールdに、電解質膜‐触媒層接合体14はロールeに巻き取られる。
得られた電解質膜‐触媒層接合体は、高分子電解質膜のもう一方の表面に、触媒層を形成し、触媒層‐電解質膜‐触媒層接合体とする。このとき、触媒層の形成方法は特に限定されず、例えば、触媒インクを直接塗布、乾燥させる方法でも、触媒インクを転写基材に塗布、乾燥し、高分子電解質膜表面に転写する方法でもよい。或いは、触媒層に隣接してガス拡散層を設ける場合には、ガス拡散層シートの表面に予め触媒層を形成し、高分子電解質膜と接合する方法も採用できる。
ガス拡散層シートとしては、触媒層に効率良くガスを供給することができるガス拡散性、導電性、及びガス拡散層を構成する材料として要求される強度を有するもの、例えば、カーボンペーパー、カーボンクロス、カーボンフェルト等の炭素質多孔質体や、チタン、アルミニウム、銅、ニッケル、ニッケル−クロム合金、銅及びその合金、銀、アルミ合金、亜鉛合金、鉛合金、チタン、ニオブ、タンタル、鉄、ステンレス、金、白金等の金属から構成される金属メッシュ又は金属多孔質体等の導電性多孔質体を用いることができる。導電性多孔質体の厚さは、50〜500μm程度であることが好ましい。
ガス拡散層シートは、上記したような導電性多孔質体の単層からなるものであってもよいが、触媒層に面する側に撥水層を設けることもできる。撥水層は、通常、炭素粒子や炭素繊維等の導電性粉粒体、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)等の撥水性樹脂等を含む多孔質構造を有するものである。撥水層は、必ずしも必要なものではないが、触媒層及び電解質膜内の水分量を適度に保持しつつ、ガス拡散層の排水性を高めることができる上に、触媒層とガス拡散層間の電気的接触を改善することができるという利点がある。
撥水層を導電性多孔質体上に形成する方法は特に限定されない。例えば、炭素粒子等の導電性粉粒体と撥水性樹脂、及び必要に応じてその他の成分を、エタノール、プロパノール、プロピレングリコール等の有機溶剤、水又はこれらの混合物等の溶剤と混合した撥水層インクを、導電性多孔質体の少なくとも触媒層に面する側に塗布し、その後、乾燥及び/又は焼成すればよい。撥水層インクを導電性多孔質体に塗布する方法としては、例えば、スクリーン印刷法、スプレー法、ドクターブレード法、グラビア印刷法、ダイコート法等が挙げられる。
また、導電性多孔質体は、触媒層と面する側に、ポリテトラフルオロエチレン等の撥水性樹脂をバーコーター等によって含浸塗布することによって、触媒層内の水分がガス拡散層の外へ効率良く排出されるように加工してもよい。
このようなガス拡散層シートの表面に、触媒インクを直接塗布、乾燥したり、或いは、触媒層を転写してガス拡散層‐触媒層接合体を作製し、電解質膜−触媒層接合体の高分子電解質膜とガス拡散層−触媒層接合体の触媒層とを接合させることで、ガス拡散層−触媒層−電解質膜‐触媒層接合体を得ることができる。さらに、ガス拡散層が設けられていない触媒層にガス拡散層シートを接合することで、ガス拡散層‐触媒層‐電解質膜‐触媒層‐ガス拡散層接合体を得ることができる。
上記にて得られた電解質膜‐触媒層接合体の高分子電解質膜に触媒層を形成することにより、触媒層‐電解質膜‐触媒層接合体を作製した場合には、該接合体を2枚のガス拡散層シートではさみこむことで、ガス拡散層‐触媒層‐電解質膜‐触媒層‐ガス拡散層接合体を得ることができる。
以上において、電解質膜‐触媒層間、触媒層‐ガス拡散層シート間の接合は、一般的な方法に準じて行うことができる。
上記のようにして電解質膜に一対の電極(触媒層とガス拡散層)を設けた膜・電極接合体は、さらにセパレータで挟持され単セル(図1参照)を形成することができる。セパレータとしては、例えば、炭素繊維を高濃度に含有し、樹脂との複合材からなるカーボンセパレータや、金属材料を用いた金属セパレータ等を用いることができる。金属セパレータとしては、耐腐食性に優れた金属材料からなるものや、表面をカーボンや耐腐食性に優れた金属材料等で被覆し、耐腐食性を高めるコーティングが施されたもの等が挙げられる。
(実施例1)
ポリエチレンナフタレート製のフィルム基材(製膜用基材)表面に、剥離接着強さ10N/mで接合している高分子電解質膜(パーフルオロカーボンスルホン酸重合体膜、スルホン酸基密度:1.22ミリ当量/g、膜厚:50μm)に、触媒インクをスプレー法により塗布、乾燥して触媒層を形成した。
得られた基材‐高分子電解質膜‐触媒層の接合体から、高分子電解質膜‐触媒層の接合体を剥離した。同様にして20枚の高分子電解質膜‐触媒層の接合体を作製し、歩留まりを算出したところ、100%だった。
(比較例1)
実施例1において用いた基材‐高分子電解質膜の接合体について、高分子電解質膜上に触媒層を形成せずに、高分子電解質膜を基材から剥離し、得られた高分子電解質膜を評価して歩留まりを算出したところ、95%だった。
実施例1と比較例1の結果から、基材‐高分子電解質膜の接合体の高分子電解質膜に触媒インクを塗布、乾燥することにより、基材‐高分子電解質膜間の剥離性が向上することがわかる。これは、高分子電解質膜に触媒インクを塗布し、該インクを乾燥することで、高分子電解質膜が膨潤、収縮し、高分子電解質膜‐基材間に応力が発生することによって、高分子電解質膜‐基材間の接合力が低下したためと考えられる。
(実施例2)
実施例1と同様にして基材‐高分子電解質膜‐触媒層の接合体を作製し、高分子電解質膜‐触媒層を基材から剥離した。得られた高分子電解質膜‐触媒層の接合体を目視で観察したところ、高分子電解質膜及び触媒層のいずれにも、シワや割れ等が発生していなかった。
(比較例2)
ポリエチレンテレフタレート製のフィルム基材(保護用基材)表面に、剥離接着強さ2.5N/mで接合している高分子電解質膜(パーフルオロカーボンスルホン酸重合体膜、スルホン酸基密度:1.22ミリ当量/g、膜厚:50μm)に、実施例1と同様にして調製した触媒インクをスプレー法により塗布、乾燥して触媒層を形成した。
得られた基材‐高分子電解質膜‐触媒層の接合体から、高分子電解質膜‐触媒層を剥離した。得られた高分子電解質膜‐触媒層の接合体を目視で観察したところ、高分子電解質膜の収縮が確認され、これに伴う触媒層周縁部のシワも観察された。
実施例2及び比較例2の結果から、フィルム基材と10N/m以上の剥離接着強さで接合している高分子電解質膜に触媒インクを塗布することによって、触媒インクの塗布による高分子電解質膜の膨潤及び収縮、並びにこれに伴う高分子電解質膜及び触媒層のシワや割れ等を抑制できることが示された。
本発明により得られる膜・電極接合体を備える単セルの一形態例を示す図である。 本発明の製造方法の工程例を説明する図である。
符号の説明
1…電解質膜
2…燃料極
3…酸化剤極
4…触媒層(4a:燃料極側触媒層、4b:酸化剤極側触媒層)
5…ガス拡散層(5a:燃料極側ガス拡散層、5b:酸化剤極側ガス拡散層)
6…膜・電極接合体
7…セパレータ(7a:燃料極側セパレータ、7b:酸化剤極側セパレータ)
8…反応ガス流路(8a:燃料ガス流路、8b:酸化剤ガス流路)
9…低膨潤性フィルム基材
10…電解質膜
11…低膨潤性フィルム基材‐電解質膜接合体
12…触媒層
13…低膨潤性フィルム基材‐電解質膜‐触媒層接合体
14…電解質膜‐触媒層接合体
100…単セル
a、b、c、d、e…ロール

Claims (2)

  1. 高分子電解質膜の表面に触媒層が積層した構造を有する膜・電極接合体の製造方法であって、
    高分子電解質膜が、該高分子電解質膜と比較して面方向における膨潤性が低いフィルム基材表面に10N/m以上の剥離接着強さで接合された膜・基材接合体を準備し、該膜・基材接合体の前記高分子電解質膜の表面に、少なくとも電極触媒及び溶媒を含有する触媒インクを塗布することによって、前記高分子電解質膜の表面に触媒層を形成する触媒層形成工程と、
    前記高分子電解質膜の表面から前記フィルム基材を剥離する基材剥離工程と、
    を備えることを特徴とする、膜・電極接合体の製造方法。
  2. 前記フィルム基材の表面に、高分子電解質又は高分子電解質前駆体を含有する溶液を流延塗布、或いは、加熱溶融した高分子電解質又は高分子電解質前駆体を押し出し成形することによって、前記膜・基材接合体を形成する接合体形成工程を備える、請求項1に記載の膜・電極接合体の製造方法。
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