JP2009176610A - ガス拡散層用多孔体とその製造方法、燃料電池用膜・電極接合体、燃料電池 - Google Patents

ガス拡散層用多孔体とその製造方法、燃料電池用膜・電極接合体、燃料電池 Download PDF

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Abstract

【課題】ガス拡散性及び排水性を両立したガス拡散層、並びに、該ガス拡散層を低コストで製造可能な方法を提供する。
【解決手段】燃料電池用膜・電極接合体のガス拡散層として用いられるガス拡散層用多孔体であって、三次元網目構造を有する多孔体の面方向に貫通し、且つ、少なくともその孔内が親水処理された貫通孔を複数有し、該貫通孔は孔径が相対的に小さい小径貫通孔と、孔径が相対的に大きい大径貫通孔とからなることを特徴とするガス拡散層用多孔体及びこれを備える燃料電池用膜・電極接合体と燃料電池、並びに、前記ガス拡散層用多孔体の製造方法。
【選択図】図1

Description

本発明は、燃料電池用膜・電極接合体に用いられるガス拡散層用多孔体と、その製造方法及びこれを備える燃料電池用膜・電極接合体と燃料電池に関する。
燃料電池は、電気的に接続された2つの電極に燃料と酸化剤を供給し、電気化学的に燃料の酸化を起こさせることで、化学エネルギーを直接電気エネルギーに変換する。火力発電とは異なり、燃料電池はカルノーサイクルの制約を受けないので、高いエネルギー変換効率を示す。燃料電池は、通常、電解質膜を一対の電極で挟持した膜・電極接合体を基本構造とする単セルを複数積層して構成されている。中でも、電解質膜として固体高分子電解質膜を用いた固体高分子電解質型燃料電池は、小型化が容易であること、低い温度で作動すること、などの利点があることから、特に携帯用、移動体用電源として注目されている。
図6は、従来の一般的な固体高分子電解質型燃料電池における単セルの一形態例を示す断面図である。単セル200は、燃料電池用固体高分子電解質膜(以下、単に電解質膜ということがある)10の一面側に燃料極(アノード)11、及び他面側に酸化剤極(カソード)12が設けられた膜・電極接合体15を有している。燃料極11は電解質膜10側から順に燃料極側触媒層13a、燃料極側ガス拡散層14aが積層した構成となっている。酸化剤極12も同様に電解質膜10側から順に酸化剤極側触媒層13b、酸化剤極側ガス拡散層14bが積層した構成となっている。
各触媒層13(13a、13b)には、各電極(11,12)における電極反応に対して触媒活性を有する電極触媒が少なくとも備えられる。電極触媒としては、燃料極の燃料の酸化反応又は酸化剤極の酸化剤の還元反応に対して触媒活性を有しているものであれば、特に限定されず、例えば、白金、又はルテニウム、鉄、ニッケル、マンガン等の金属と白金との合金などが用いられている。電極触媒は、通常、カーボンブラック等の炭素粒子や炭素繊維のような導電性炭素材料、金属粒子や金属繊維等の金属材料からなる導電性粒子に担持された状態で触媒層に含有される。
膜・電極接合体15は、二つのセパレータ16a、16bで狭持され、単セル200が構成される。各セパレータ16a、16bの片面には、反応ガス(燃料ガス、酸化剤ガス)の流路を形成する溝が設けられており、これらの溝と燃料極11、酸化剤極12の外面とで燃料ガス流路17a、酸化剤ガス流路17bが画成されている。燃料ガス流路17aは、燃料極11に燃料ガス(水素を含む又は水素を発生させる気体)を供給するための流路であり、酸化剤ガス流路17bは、酸化剤極12に酸化剤ガス(酸素を含む又は酸素を発生させる気体)を供給するための流路である。供給された各ガスは、ガス流路を流れる間にガス拡散層内へと拡散し、さらに触媒層へと到達して電極反応に関与する。
尚、図6において、各電極(燃料極、酸化剤極)は、共に、触媒層とガス拡散層とが積層した構造を有しているが、触媒層のみからなる単層構造の他、触媒層とガス拡散層の他に機能層を設けた構造もある。
固体高分子電解質型燃料電池において、燃料極では下記(1)式の反応が進行する。
→ 2H + 2e ・・・(1)
(1)式で生じる電子は、外部回路を経由し、外部の負荷で仕事をした後、酸化剤極に到達する。そして、(1)式で生じたプロトンは、水と水和した状態で、電気浸透により固体高分子電解質膜内を燃料極側から酸化剤極側に移動する。
一方、酸化剤極では下記(2)式の反応が進行する。
4H + O + 4e → 2HO ・・・(2)
(2)式で生じた水は、一部が燃料極側へ逆拡散し、残りは酸化剤極のガス拡散層を経て、酸化剤ガス流路へと排出される。燃料極側においても余分な水分はガス拡散層を経て、燃料ガス流路へと排出される。このとき、電極内に水分が過剰に存在すると、一部が凝集し、電極内に滞留することがある。液水の滞留は、さらなる水分の凝集を促進したり、電極の細孔を閉塞させる可能性がある。電極における細孔の閉塞は、触媒への反応ガスの供給を阻害すると共に、さらなる排水性の低下を招くため、発電性能を低下させる大きな原因となる。
このように、電極には、触媒への反応ガスのスムーズな供給を可能とするガス拡散性と同時に、余分な水分をスムーズに排出する排水性も要求される。
従来、電極のガス拡散性と排水性を改善するため、様々な技術が提案されている。例えば、特許文献1には、触媒層とガス拡散層との間に、気孔径の分布中心の異なる気孔が混在する層、具体的には、粒子径の分布中心の異なる少なくとも2種以上の炭素粒子を混在させてなる層を備える燃料電池が記載されている。特許文献1に記載の技術は、触媒層とガス拡散層との間に設けられる該層において、毛管作用により気孔径の小さい気孔に凝集した水分を集め、気孔径の大きな気孔を気体の拡散経路として確保しようとするものである。
また、特許文献2には、触媒層とガス拡散層との間にカーボン層を備え、アノード側カーボン層には、その厚さ方向に前記触媒層に向かって開口面積を拡大した親水性の孔通路、アノード側カーボン層には、その厚さ方向に前記触媒層に向かって開口面積を縮小した撥水性の孔通路を多数形成した燃料電池が記載されている。この技術は、孔通路の開口面積を変えることにより表面張力による圧力の差を利用して触媒層側からガス拡散層側へと水滴を排出しようとするものである。
さらに、特許文献3には、反応ガスが通過するガス通路と水及び水蒸気が通過する水通路とをもつガス拡散層が記載されており、ガス通路及び水通路として具体的には、その厚み方向に対して貫通した貫通孔が記載されている。
また、特許文献4には、セパレータが互いに連通する毛細管凝縮作用による水の輸送特性を持つ小孔径細孔と気体流動特性を持つ大孔径細孔とからなる細孔径分布を有し、導電性で且つ親水性の多孔質体で形成されていることを特徴とする燃料電池が記載されている。この特許文献4の技術は、セパレータに上記のような細孔径分布を有する多孔質体を用いることで、毛細管凝縮により小孔径細孔内に液状水が充満して電極を加湿し、一方、大孔径細孔内には毛細管凝縮が生じず、水が存在しないため、気体の流動・拡散を自由に行わせることができるというものである。
特開2001−57215号公報 特開2005−222720号公報 特開2003−151585号公報 特開平7−320753号公報 特公平6−22137号公報
一方で、単セル間に配置され、単セル間の導電とガスシールを行うセパレータを平滑な平板状にしようとする提案もなされている。セパレータとしては、通常、ガス流路を画成する溝が形成された金属板や導電性炭素製板等が用いられ、上記特許文献1〜4の技術においても、触媒層へ反応ガスを供給するためには、ガス拡散層やその他の層に反応ガスを供給するためのガス流路を必要としており、該ガス流路を画成する溝が形成されたセパレータが用いられる。
しかしながら、セパレータに溝を形成するには高いコストがかかる。また、溝を形成するためにはセパレータにある程度の厚みが必要となるため、単セルの体積が大きくなり、単位体積当りの出力密度の低下という問題もある。そこで、燃料電池のコスト削減及び小型化のために、溝加工をせずに平板状のセパレータを用いることも提案されている。
ガス流路を備えたガス拡散層として、例えば、特許文献5に記載の燃料電池用電極基板が挙げられる。特許文献5に記載の燃料電池用電極基板は、対極の反応ガスを相互に隔離するガス隔離セパレータ部と反応ガスの漏出を防止するガス漏出防止縁部とからなるセパレータと、該セパレータの一対のガス漏出防止縁部間に嵌着され、グラファイトシートを介して該ガス隔離セパレータ部に接合されており、その厚みのほぼ中央に反応ガス流路としての中空孔道群を有する多孔性炭素質層とを有し、該多孔性炭素質層の該中空孔道群よりセパレータ側の平均嵩密度が中空孔道群より電極側の平均嵩密度より大きいことを特徴とするものである。特許文献5によれば、実質的なガス拡散部は、電極側の多孔性炭素質層のみとなる。
この特許文献5の電極基板は、セパレータとガス拡散層とを一体化することにより、セパレータとガス拡散層間の電気的・熱的接触抵抗及びセパレータのガスシール部における熱的・電気的抵抗を低減すると共に、嵩密度の異なる多孔性炭素質層を積層することにより、ガス拡散層における電気抵抗、熱抵抗、機械的強度及びガス拡散性を確保しようとするものである。
しかしながら、本発明者の知見によれば、特許文献5等の電極基板のように、撥水性の多孔質層に孔径の分布を付与すると、水はより大きな孔に移動しようとするため、ガス流路におけるガス供給と排水性の両立が困難である。また、特許文献5の電極基板では、多孔性炭素質層において溝加工を要するためコスト削減効果が得られない。
本発明は上記実情を鑑みて成し遂げられたものであり、ガス拡散性及び排水性を両立したガス拡散層を提供することを第一の目的とし、該ガス拡散層を低コストで製造可能な方法を提供することを第二の目的とする。
本発明のガス拡散層用多孔体は、燃料電池用膜・電極接合体のガス拡散層として用いられるガス拡散層用多孔体であって、三次元網目構造を有する多孔体の面方向に貫通し、且つ、少なくともその孔内が親水処理された貫通孔を複数有し、該貫通孔は孔径が相対的に小さい小径貫通孔と、孔径が相対的に大きい大径貫通孔とからなることを特徴とする。
本発明のガス拡散層用多孔体は、表面が親水化された貫通孔内において、水がその表面エネルギー(表面張力)の関係からより小さな孔へ移動することを利用し、表面が親水化された孔径の異なる貫通孔を複数設けることによって、水分を小径貫通孔へ選択的に移動させ、大径貫通孔をガス用通路として確保することを可能とした。すなわち、本発明のガス拡散層用多孔体は、水路とガス用通路とが分離されており、優れたガス拡散性と排水性とを両立するものである。
また、本発明のガス拡散層用多孔体は、面方向に貫通する貫通孔へ直接ガスを供給するように燃料電池用膜・電極接合体に組み込んで用いることも可能である。すなわち、セパレータに形成された溝を介して反応ガスをガス拡散層に供給するのではなく、該ガス拡散層用多孔体の側面に、貫通孔の一方の開口部に接続するガス供給口及び貫通孔の他方の開口部に接続するガス排出口を連結し、ガス拡散層内の貫通孔に直接、反応ガスを供給することができる。このような構成とすることによって、セパレータの溝形成が不要となり、燃料電池のコスト削減及び小型化が可能となる。
小径貫通孔へより積極的に水を誘導し、高負荷条件等、電極内の水分量が増加する条件下においてもガスの流通性が確保されるように、前記大径貫通孔と前記小径貫通孔間の対比において、前記大径貫通孔の孔径(直径)が、前記小径貫通孔の孔径(直径)の2倍以上であることが好ましい。
小径貫通孔及び大径貫通孔の具体的な孔径は特に限定されないが、充分量の反応ガスを触媒層へ供給し、且つ、電極内の余分な水分を効率よく排出する観点から、前記大径貫通孔の平均孔径が100〜300μm、前記小径貫通孔の平均孔径が50〜150μmであることが好ましい。
また、前記多孔体の一方の表面から他方の表面に向かって、前記貫通孔の平均孔径が大きくなるように、前記小径貫通孔と前記大径貫通孔とが分布している場合、貫通孔の平均孔径が相対的に大きい側の表面を電極側にして膜・電極接合体に組み込むことにより、小径貫通孔に積極的に水を誘導することで、電極から離れた領域に水分を移動させることができ、電極近傍に位置する大径貫通孔におけるガスの流通性が確保される。そのため、電極への反応ガス拡散性を確保することができる。
本発明のガス拡散層用多孔体の製造方法は、炭素質材料を分散させた分散溶液を用いて炭素質シートを抄造する際に、該炭素質材料よりも繊維径が大きく、且つ、互いに異なる繊維径を有する2種以上の低炭化性繊維を該炭素質シートの面方向を貫くように配置し、 該炭素質シートに炭素前駆体樹脂を含浸させ、熱プレスにより硬化させた後、焼成処理を行い、前記低炭化性繊維を焼失及び前記炭素前駆体樹脂を炭素化させ、孔径の異なる貫通孔を形成することを特徴とする。
以上のように、本発明の製造方法によれば、多孔体にガス用通路・排水路となる孔径の異なる貫通孔を容易に形成することができる。また、貫通孔を形成する低炭化性繊維の形状、配置等を適宜選択することによって、所望の形態の貫通孔を形成することが可能である。
また、本発明は、面方向に貫通する貫通孔を有するガス拡散層用多孔体の製造方法であって、(1)炭素質材料を分散させた分散溶液を用いて炭素質シートを抄造する際に、該炭素質材料よりも繊維径が大きい第一の低炭化性繊維を該炭素質シートの面方向を貫くように配置し、該炭素質シートに前記炭素前駆体樹脂を含浸させ、熱プレスにより硬化させた後、焼成処理を行い、前記第一の低炭化性繊維を焼失及び前記炭素前駆体樹脂を炭素化させることによって貫通孔を形成し、第一のガス拡散層用多孔体シートを製造する工程と、(2)炭素質材料を分散させた分散溶液を用いて炭素質シートを抄造する際に、該炭素質材料よりも繊維径が大きく、且つ、前記第一の低炭化性繊維と異なる繊維径を有する第二の低炭化性繊維を、該炭素質シートの面方向を貫くように配置し、該炭素質シートに炭素前駆体樹脂を含浸させ、熱プレスにより硬化させた後、焼成処理を行い、前記第二の低炭化性繊維を焼失及び前記炭素前駆体樹脂を炭素化させることによって、前記第一のガス拡散層用多孔体シートと異なる平均孔径を有する貫通孔が形成された少なくとも1種のガス拡散層用多孔体シートを製造する工程と、(3)前記第一のガス拡散層用多孔体シートと、該第一のガス拡散層用多孔体シートと異なる平均孔径を有する貫通孔が形成された少なくとも1種のガス拡散層用多孔体シートとを、得られる多孔体の一方の表面から他方の表面に向かって前記貫通孔の平均孔径が大きくなるように積層させる工程と、を備えるガス拡散層用多孔体の製造方法も提供する。
この方法によれば、一方の表面から他方の表面に向かって前記貫通孔の平均孔径が大きくなるように、前記小径貫通孔と前記大径貫通孔とが分布しているガス拡散層用多孔体を作製することができる。
本発明により提供されるガス拡散層用多孔体は、燃料電池用膜・電極接合体に好適に用いることができる。
本発明のガス拡散層用多孔体を備える燃料電池用膜・電極接合体は、該膜・電極接合体の集電体及びガスシール体として機能し、且つ、該膜・電極接合体の間に介在されるセパレータとして、ガス流路を画成する溝が形成されていない平滑な平板状のものを用いることができる。ガス拡散層用多孔体に形成した大径貫通孔がガス流路として機能するためである。
本発明によれば、ガス拡散性及び排水性を両立し、且つ、低コストで作製可能なガス拡散層を提供することが可能である。
本発明のガス拡散層用多孔体は、燃料電池用膜・電極接合体のガス拡散層として用いられるガス拡散層用多孔体であって、三次元網目構造を有する多孔体の面方向に貫通し、且つ、少なくともその孔内が親水処理された貫通孔を複数有し、該貫通孔は孔径が相対的に小さい小径貫通孔と、孔径が相対的に大きい大径貫通孔とからなることを特徴とするものである。
以下、図1〜図3を参照しながら本発明により提供されるガス拡散層用多孔体について説明する。図1は、本発明のガス拡散層用多孔体5の概略を示す斜視図(1−A)及び(1−A)におけるB−B断面図(1−B)である。また、図2は、本発明のガス拡散層用多孔体を備える燃料電池用単セル100の概略を示す断面図である。
図2において、単セル100は、燃料電池用固体高分子電解質膜(以下、単に電解質膜ということがある)1の一面側に燃料極(アノード)2、及び酸化剤極(カソード)3が設けられた膜・電極接合体8を有している。燃料極2は電解質膜1側から順に燃料極側触媒層4a、燃料極側ガス拡散層5aが積層した構成となっている。酸化剤極3も同様に電解質膜1側から順に酸化剤極側触媒層4b、酸化剤極側ガス拡散層5bが積層された構成となっている
膜・電極接合体8は、二つのセパレータ9a、9bで狭持され、単セル100が構成される。各セパレータ9a、9bは、各電極2、3に反応ガス(燃料ガス、酸化剤ガス)を供給するための流路を形成する溝が形成されておらず、平滑な平板状の形状を有している。燃料ガス(水素を含む又は水素を発生させる気体)は、単セル100の側面側からガス拡散層5aの貫通孔7(7A、7a)内へと供給され、該貫通孔7内を流通する間に、該ガス拡散層5aの三次元網目構造内へ拡散し、触媒層4aへと到達して電極反応に関与する。一方、酸化剤ガス(酸素を含む又は酸素を発生させる気体)は、単セル100の側面側からガス拡散層5bの貫通孔7(7A、7a)内へと供給され、該貫通孔7内を流通する間に、該ガス拡散層5bの三次元網目構造内へ拡散し、触媒層4bへと到達して電極反応に関与する。
ガス拡散層5a、5bを構成するガス拡散層用多孔体5は、図1に示すように、三次元網目構造(図示せず)を有する多孔質基材6からなり、該多孔質基材6の三次元網目構造とは別途、面方向に貫通(一方の側面から他方の側面に貫通)する複数の貫通孔7(7A、7a)を有している。貫通孔7は、孔径が相対的に小さい小径貫通孔7aと、孔径が相対的に大きい大径貫通孔7Aとからなり、小径貫通孔7aでも、多孔体6の三次元網目構造の空孔より大きな孔径を有している。また、貫通孔7の孔内の表面を含むガス拡散層の表面は親水処理が施されている。
このように、その表面が親水化処理された多孔体内において、水は表面エネルギー(表面張力)を小さくするため、より狭い空間へ移動しようとする。すなわち、大径貫通孔7A内の水分は、より孔径の小さい小径貫通孔7aへと選択的に移動する。その結果、大径貫通孔7Aは、水が滞留しないためガスの流通性が確保され、直接ガスが供給されるガス流路としても機能しうる。一方、小径貫通孔7aは、ガス拡散層内の水分が選択的に移動してくるため、排水路として機能する。このように、ガス拡散層内に、選択的にガスが流通する通路と選択的に水分が流通する通路とが形成されることによって、余分な水分の滞留が防止され、触媒層に充分量のガスを供給することが可能となる。
以上のように、本発明のガス拡散層用多孔体は、排水性及びガス拡散性に優れ、充分量の反応ガスを触媒層に供給することが可能なガス拡散層として機能するものである。従って、本発明のガス拡散層用多孔体をガス拡散層として用いることによって、高い発電効率を示す膜・電極接合体を得ることができる。
さらに、本発明のガス拡散層用多孔体は、ガス流路に供給されたガスが該ガス流路を流れる間に拡散するガス拡散層であると共に、排水性及びガスの流通性の両方に優れたガス流路としても機能しうる。すなわち、本発明のガス拡散層用多孔体の貫通孔に直接反応ガスを供給することで、該貫通孔のうち大径貫通孔が主にガス流路として機能し、大径貫通孔内を流通する反応ガスをガス拡散層用多孔質体内へ拡散させることができる。ゆえに、本発明のガス拡散層用多孔質体を用いることで、ガス流路を画成する溝を形成していないフラット形状のセパレータを用いることが可能であり、燃料電池の低コスト及び小型化も実現可能である。
以下、本発明のガス拡散層用多孔体について、詳しく説明していく。
本発明のガス拡散層用多孔体を構成する三次元網目構造を有する多孔質基材(以下、単に多孔質基材ということがある)としては、特に限定されず、例えば、一般的にガス拡散層を構成する多孔質基材として用いられているカーボンペーパー等の導電性炭素質多孔質基材、チタン等の金属性多孔質基材等と同等のものを用いることができる。多孔質基材の三次元網目構造は特に限定されず、例えば、空隙率が70〜95%、平均孔径30〜50μmの細孔を有するものが挙げられる。多孔質基材の厚さは、形成する貫通孔のサイズ、機械的強度、集電効率、抵抗等を考慮して適宜決定すればよいが、通常は、100〜500μmとする。
多孔質基材の空隙率及び平均孔径は、例えば、水銀ポロシメータ、パームポロメータ等によって測定することができる。
多孔質基材は、三次元網目構造とは別途、面方向に貫通する複数の貫通孔を有している。この貫通孔は、孔径(直径)が異なる少なくとも2種の貫通孔、すなわち、相対的に孔径が大きい大径貫通孔と、相対的に孔径が小さい小径貫通孔からなる。
ここで多孔質基材の面方向、すなわち、ガス拡散層用多孔体の面方向とは、単セルを構成する際に、触媒層や電解質膜、セパレータ等の他の層との積層面を形成する面が広がる方向である。また、大径貫通孔とは、ガス拡散層用多孔体が有する貫通孔の平均孔径以上の孔径を有する貫通孔であり、小径貫通孔とは、全貫通孔の平均孔径未満の孔径を有する貫通孔とする。ここで、貫通孔の孔径は、SEMの断面写真により測定できる。また、ガス拡散層用多孔体の貫通孔の平均孔径とは、ガス拡散層用多孔体が有する全貫通孔の孔径の平均値である。
図1に示す実施形態において、貫通孔は面方向に対して平行に延び、且つ、直線状の形状を有しているが、貫通孔は、多孔体のある側面から他の側面に向かって面方向に連続する空間を有していれば、本発明の効果が得られる範囲内で、蛇行、分岐等していてもよい。また、その断面形状も特に限定されず、真円形状の他、楕円形状、四角形、星型等でもよい。さらに、貫通孔は、多孔体の対面する側面を貫通している形態に限らず、隣り合う側面を貫通する形態でもよい。
また、図1に示す実施形態において、貫通孔は、それぞれ1種(同じ孔径を有する)の大径貫通孔7Aと小径貫通孔7aとからなっているが、3種以上の孔径の異なる貫通孔からなってもよい(図3参照)。孔径の異なる貫通孔間において、相対的に大きな孔径を有する大径貫通孔と相対的に小さな孔径を有する小径貫通孔とを対比した際に、該大径貫通孔の孔径(直径)は、該小径貫通孔の孔径(直径)の2倍以上であることが好ましい。小径貫通孔と大径貫通孔の直径に2倍以上の差を持たせることで、小径貫通孔への選択的な水移動をさらに促進することができる。その結果、大径貫通孔におけるガス流通性が向上し、さらにガス拡散性を高めることができる。
大径貫通孔と小径貫通孔の具体的な孔径は特に限定されず、多孔質基材の三次元網目構造や、供給するガスの種類、ガス圧、得られる多孔体の強度、導電性、生産性等を適宜考慮して決定すればよいが、大径貫通孔をガス通路、小径貫通孔を排水路として充分に機能させるためには、通常、大径貫通孔の平均孔径は100〜300μm、特に150〜200μmであることが好ましく、小径貫通孔の平均孔径は50〜150μm、特に80〜100μmであることが好ましい。
ここで、大径貫通孔の平均孔径とは、ガス拡散層用多孔体の平均孔径以上の孔径を有する貫通孔の平均孔径であり、小径貫通孔の平均孔径とは、ガス拡散層用多孔体の平均孔径未満の孔径を有する貫通孔の平均孔径であり、それぞれ、SEMの断面写真による孔径の測定により算出することができる。
大径貫通孔及び小径貫通孔の数やその比率は適宜決定すればよいが、ガス拡散層用多孔体の厚さ、強度、導電性、ガス圧力損失、生産性の観点から、決定することが好ましい。
貫通孔内の表面を親水処理する方法は特に限定されず、例えば、酸(塩酸、硝酸、硫酸等)処理、SiO2コート、SnO2コート、TiO2コート、親水性樹脂(PVA等)コート、金属めっき等の方法が挙げられる。中でも、コストの観点からは酸処理、耐久性の観点からはSiO2コートが好適である。貫通孔内の表面の親水処理は、親水処理を施した多孔質基材の表面における水の接触角が90°以下となるような条件で行う。
親水処理は、少なくとも貫通孔の表面に施されていればよいが、親水処理の容易性等の観点から、貫通孔の内表面の他、多孔質基材の三次元網目構造の表面を含む多孔体の全表面を親水処理することが好ましい。
本発明のガス拡散層用多孔体において、大径貫通孔と小径貫通孔の配置形態は特に限定されず、ランダムに配列されていても、規則的に配列されていてもよいが、一方の表面から他方の表面に向かって、貫通孔の平均孔径が大きくなるように、小径貫通孔と大径貫通孔とを分布させることが好ましい(図3の3−A、3−B参照)。
このような平均孔径の分布が形成されるように、小径貫通孔と大径貫通孔とを配置させる場合、平均孔径が相対的に小さい領域に余分な水分が誘導され、平均孔径が相対的に大きい領域でガス拡散性が確保されて多くのガスが流通することになる。
従って、このような平均孔径分布を有するガス拡散層用多孔体を、貫通孔の平均孔径が相対的に大きい側の面を電極側、貫通孔の平均孔径が相対的に小さい側の面をセパレータ側となるように膜・電極接合体に組み込むことにより、電極から離れた領域に水が誘導され、一方、電極近傍の領域ではガスの流通性が確保されて反応ガスが活発に電極へ拡散される。その結果、電極反応が活発に進行し、発電効率がさらに向上する。
上記したように、本発明のガス拡散層用多孔体は、ガスの流通性及び水の排出性に優れていることから、従来の一般的なセパレータ上のガス流路を経て反応ガスを供給せずに、直接、貫通孔内に反応ガスを供給し、ガス流路として機能させることが可能である。従って、本発明によれば、ガス流路を画成する溝加工を施すことなく、平滑な平板形状のセパレータを用いることが可能であり、燃料電池の低コスト化及び小型化が実現できる。
但し、本発明のガス拡散層用多孔体の使用形態は、その貫通孔に直接反応ガスを供給する形態に限定されず、従来のガス拡散層用多孔体と同様、すなわち、他の部材により構成されるガス流路を経て、ガスが供給されるような形態で使用しても、その優れたガス拡散性及び排水性を発現し、発電効率に優れた膜・電極接合体を提供することが可能である。
本発明のガス拡散層用多孔体の製造方法は特に限定されるものではなく、例えば、従来の多孔性炭素質基材を製造する方法において、炭素質シートを抄造する際に、該抄造工程に後続する加熱処理工程(焼成工程)において少なくともその一部が焼失するような低炭化性繊維を、該炭素質シートに埋め込む方法が挙げられる。炭素質シートの面方向を貫くように低炭化性繊維を配置することによって、低炭化性繊維の焼失により、面方向を貫く貫通孔を有する多孔質体が得られる。この方法は、三次元網目構造を有する多孔質体に溝加工を施す方法と比較して、非常に簡易的且つ低コストであり、また、多孔体の薄膜化も可能である。
以下、上記低炭化性繊維を用いたガス拡散層用多孔体の製造方法について具体的に説明していくが、炭素繊維等の炭素質材料を用いて炭素質シートを抄造する際に、該炭素質シート内に低炭化性繊維を埋め込むこと以外は、従来の多孔性炭素質基材に準じることができる。まず、炭素質シートを抄造する方法としては、液体の媒体中に炭素質材料を分散させて抄造する湿式法が好ましい。
炭素質材料としては、ポリアクリロニトリル系炭素繊維、ピッチ系炭素繊維、レーヨン系炭素繊維等、一般的なものを用いることができるが、ポリアクリロニトリル系炭素繊維が好ましい。炭素繊維の形状は、特に限定されないが、繊維長が3〜12mm、繊維径(直径)が6〜8μmであることが好ましい。
炭素質材料は、水、アルコール類、ケトン類、ハロゲン炭化水素類、芳香族炭化水素類等の適当な溶媒、好ましくは水に、ポリビニルアルコール、ポリアクリロニトリル、セルロース、ポリ酢酸ビニル等の炭素質材料同士を結着させるためのバインダー、さらに必要に応じてその他の成分と共に分散させることで、抄造用分散液を得ることができる。
低炭化性繊維は、抄造工程に後続する焼成工程において、少なくともその一部が分解し、焼失することで貫通孔を形成することができるものであれば特に限定されない。具体的には、焼成工程における焼成条件下において、炭化収率(焼成工程後の質量を焼成工程前の質量で割った値)が20%以下のものが挙げられる。さらに具体的には、例えば、不活性ガス雰囲気下、2000℃で焼成したときに炭化収率が20%以下の繊維として、ビニロン繊維、ポリエステル繊維、ポリエチレン繊維、レーヨン繊維、アセテート繊維、アラミド繊維、ポリアセタール繊維、ポリウレタン繊維、ノボロイド繊維等が挙げられる。
低炭化性繊維の形状は特に限定されないが、該低炭化性繊維の焼失により貫通孔が形成されることから低炭化性繊維の形状が貫通孔の形状に影響するため、その断面形状等を適宜選択することが好ましい。低炭化性繊維をメッシュ状に編みこんだシート等を用いてもよい。また、低炭化性繊維により形成される貫通孔が上記炭素質材料によって形成される三次元網目構造の空孔孔径よりも大きな孔径を有するものとなるように、低炭化性繊維の繊維径を決定する必要があり、上記範囲の繊維長及び繊維径を有する炭素繊維を用いる場合、低炭素性繊維の繊維径は10〜300μmが好ましい。
本発明のガス拡散層用多孔質体は、孔径の異なる貫通孔を有する点がその特徴の一つであり、低炭化性繊維として、繊維径の異なる2種以上を用いることによって、容易に孔径の異なる貫通孔を形成することができる。大径貫通孔用及び小径貫通孔用の低炭化性繊維の繊維径は、その低炭化性繊維の炭化収率によって異なるが、通常、大径貫通孔用の低炭化性繊維としては、100〜400μmの繊維径を有するものが好ましく、小径貫通孔用の低炭化性繊維としては、50〜200μmの繊維径を有するものが好ましい。
低炭化性繊維を炭素質シートの面方向を貫くように配置する方法は特に限定されず、例えば、抄造用分散液中に分散させてもよいし、或いは、抄造用分散液を抄造した抄造体上に、低炭化性繊維を配置し、さらに、その上から抄造用分散液を抄造する方法でもよい。その配置形態は、形成したい貫通孔の設計に基づいて行えばよい。
低炭化性繊維をその内部に配置させた炭素質シートには、焼成工程において炭素化する炭素前駆体樹脂を含浸させる。炭素前駆体樹脂としては、特に限定されず、例えば、フェノール樹脂、フラン樹脂、メラミン樹脂、イミド樹脂、アラミド樹脂、ピッチ等が挙げられる。炭素前駆体樹脂を含浸させる方法としては、例えば、炭素前駆体樹脂溶液を塗布する方法、炭素前駆体樹脂溶液に浸漬する方法等が挙げられる。炭素前駆体樹脂を含浸させた炭素質シートは必要に応じて任意の方法により乾燥させる。
炭素前駆体樹脂を含浸させた炭素質シートは、熱プレスを行い、硬化処理する。具体的な熱プレス条件は特に限定されず、適宜設定すればよいが、通常は、150〜200℃、10MPaの条件下で1〜10分置き、硬化させることが好ましい。
次に、焼成工程により炭素質材料の炭素化及び低炭素性繊維の分解を行う。焼成工程の条件は特に限定されず、例えば、不活性ガス雰囲気、加熱温度1000〜3000℃で行うことができる。
尚、上記説明した各工程以外にも、ガス拡散層用多孔体の性能を向上させるべく、適宜処理工程を設けてもよい。
上記にて説明した、一方の表面から他方の表面に向かって貫通孔の平均孔径が大きくなるように、孔径の異なる貫通孔が形成されたガス拡散層用多孔体は、例えば、炭素質シートの抄造の際に、繊維径の異なる低炭素性繊維を、貫通孔の平均孔径の分布が上記分布形態となるように配置して作製してもよいし、以下の方法により、複数のシートを積層させる方法で作製することもできる。
すなわち、上記にて説明した方法で、特定の繊維径を有する第一の低炭化性繊維を用いて第一のガス拡散層用多孔体シートを作製し、別途、第一の低炭化性繊維と異なる繊維径を有する第二の低炭化性繊維を用いて第二のガス拡散層用多孔体シートを1種以上作製し、これら孔径の異なる貫通孔を有するガス拡散層用多孔体シートを、その貫通孔の平均孔径が一方の表面から他方の表面に向かって積層する方法である。
第一の低炭化性繊維と第二の低炭化性繊維としては、それぞれ1種の低炭化性繊維のみを用いても、繊維径や材質の異なる2種以上の低炭化性繊維を組み合わせて用いてもよく、第一のガス拡散層用多孔体シートに形成される貫通孔の平均孔径と第二のガス拡散層用多孔体シートに形成される貫通孔の平均孔径が異なれば、第一及び第二の低炭化性繊維の一部として同じ低炭化性繊維を用いてもよい。
また、ここで、第二のガス拡散層用多孔体シートとは、1つの層を構成するガス拡散層用多孔体シートのみを指しているのではなく、3層以上のガス拡散層用多孔体シートを積層する場合には、第一のガス拡散層用多孔体シートと平均孔径が異なる貫通孔を有する2種以上のガス拡散層用多孔体シートを指している。すなわち、当該方法により作製するガス拡散層用多孔体は、2つ以上の任意の積層数でその平均孔径が異なる貫通孔を有するガス拡散層用多孔体シートを積層した構造とすることができる。
尚、ここでは、炭素質シートを焼成したガス拡散層用多孔体シートを積層する方法について説明したが、焼成前の炭素質シートを積層した後、該積層体を焼成することでガス拡散層用多孔体シートが積層されたガス拡散層用多孔体としてもよい。また、ここで説明した製造方法に限らず、その他の方法で多孔体に貫通孔を形成してもよい。
本発明のガス拡散層用多孔質体を備える燃料電池用膜・電極接合体(以下、単に膜・電極接合体ということがある)及び燃料電池の構造は特に限定されない。ここでは、図2の単セルを例に説明する。
電解質膜としては、例えば、ナフィオン(商品名)に代表されるパーフルオロカーボンスルホン酸樹脂膜等のフッ素系電解質膜の他、ポリエーテルケトン、ポリエーテルエーテルケトン、ポリエーテルスルホン等の炭化水素系樹脂にスルホン酸基、リン酸基、カルボキシル基等のイオン交換基を導入した炭化水素系電解質膜等、一般的に用いられているものを用いることができる。
触媒層は、通常、各電極における電極反応に対して触媒活性を有する電極触媒と電解質材料とを含有する触媒インクを用いて形成される。電極触媒としては、通常、触媒成分を導電性粒子に担持させたものが用いられる。触媒成分としては、燃料極の燃料の酸化反応又は酸化剤極の酸化剤の還元反応に対して触媒活性を有しているものであれば、特に限定されず、高分子型燃料電池に一般的に用いられているものを使用することができる。例えば、白金、又はルテニウム、鉄、ニッケル、マンガン、コバルト、銅等の金属と白金との合金等が挙げられる。触媒担体である導電性粒子としては、カーボンブラック等の炭素粒子や炭素繊維のような導電性炭素材料、金属粒子や金属繊維等の金属材料も用いることができる。
電解質材料としては、電解質膜を構成する電解質樹脂として例示した電解質樹脂等を用いることができる。
触媒インクは上記のような電極触媒と電解質材料とを、溶媒に溶解又は分散させて得られる。触媒インクの溶媒は、適宜選択すればよく、例えば、メタノール、エタノール、プロパノール等のアルコール類、N−メチル−2−ピロリドン(NMP)、ジメチルスルホキシド(DMSO)等の有機溶媒、又はこれら有機溶媒の混合物やこれら有機溶媒と水との混合物を用いることができる。触媒インクには、電極触媒及び電解質材料以外にも、必要に応じて結着剤や撥水性樹脂等のその他の成分を含有させてもよい。
触媒層の形成方法は特に限定されず、例えば、触媒インクをガス拡散層用多孔体の表面に塗布、乾燥することによって、ガス拡散層用多孔体表面に触媒層を形成してもよいし、或いは、電解質膜表面に触媒インクを塗布、乾燥することによって、電解質膜表面に触媒層を形成してもよい。或いは、転写用基材表面に触媒インクを塗布、乾燥することによって、転写シートを作製し、該転写シートを、電解質膜又はガス拡散用多孔体と熱圧着等により接合し、電解質膜表面上に触媒層を形成するか、ガス拡散層用多孔体表面に触媒層を形成してもよい。
触媒インクの塗布方法、乾燥方法等は適宜選択することができる。例えば、塗布方法としては、スプレー法、スクリーン印刷法、ドクターブレード法、グラビア印刷法、ダイコート法などが挙げられる。また、乾燥方法としては、例えば、減圧乾燥、加熱乾燥、減圧加熱乾燥などが挙げられる。減圧乾燥、加熱乾燥における具体的な条件に制限はなく、適宜設定すればよい。
触媒インクの塗布量は、触媒インクの組成や、電極触媒に用いられる触媒金属の触媒性能等によって異なるが、単位面積当りの触媒成分量が、0.1〜1.0mg/cm程度となるようにすればよい。また、触媒層の膜厚は、特に限定されないが、1〜50μm程度とすればよい。
ガス拡散層と触媒層の間には、必要に応じて、撥水層を設けることもできる。撥水層は、通常、炭素粒子や炭素繊維等の導電性粉粒体、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)等の撥水性樹脂等を含む多孔質構造を有するものである。撥水層は、必ずしも必要なものではないが、触媒層及び電解質膜内の水分量を適度に保持しつつ、ガス拡散層の排水性を高めることができる上に、触媒層とガス拡散層間の電気的接触を改善することができるという利点がある。
ガス拡散層と触媒層の間に撥水層を形成する方法は特に限定されない。例えば、炭素粒子等の導電性粉粒体と撥水性樹脂、及び必要に応じてその他の成分を、エタノール、プロパノール、プロピレングリコール等の有機溶剤、水又はこれらの混合物等の溶剤と混合した撥水層インクを、ガス拡散層用多孔体の触媒層に面する側に塗布し、その後、乾燥及び/又は焼成すればよい。撥水層の厚さは、通常、10〜100μm程度でよい。撥水層インクを導電性多孔質体に塗布する方法としては、例えば、スクリーン印刷法、スプレー法、ドクターブレード法、グラビア印刷法、ダイコート法等が挙げられる。
上記したような方法によって触媒層を形成した電解質膜及びガス拡散層シートは、適宜、重ね併せて熱圧着等し、互いに接合することで、膜・電極接合体が得られる。
作製された膜・電極接合体は、さらに、セパレータで狭持され、単セルを形成する。セパレータとしては、導電性及びガスシール性を有し、集電体及びガスシール体として機能しうるもの、例えば、炭素繊維を高濃度に含有し、樹脂との複合材からなるカーボンセパレータや、金属材料を用いた金属セパレータ等を用いることができる。金属セパレータとしては、耐腐食性に優れた金属材料からなるものや、表面をカーボンや耐腐食性に優れた金属材料等で被覆し、耐腐食性を高めるコーティングが施されたもの等が挙げられる。
本発明のガス拡散層用多孔体に直接反応ガスを供給する場合には、貫通孔の一方の開口部をガスの供給マニホールドに、他方の開口部をガスの排出マニホールドにそれぞれ連結するようにする。
尚、本発明の膜・電極接合体は、少なくとも一方の電極に本発明のガス拡散層用多孔体が用いられていればよく、該ガス拡散層用多孔体が燃料極のみに用いられていても、酸化剤極のみに用いられていてもよく、或いは、燃料極及び酸化剤極の両方において用いられていてもよい。ただし、電極反応により水が生成し、また、燃料極側からのプロトン移動に随伴して水分が移動してくること、電極反応の反応成分である酸素の他に不活性成分である窒素等を含む空気が酸化剤として供給されることが多いこと、等の理由から、本発明のガス拡散層用多孔体は、少なくとも酸化剤極のガス拡散層として用いることで、その優れた効果を存分に発揮できると期待できる。
[製造例1]
平均繊維径が7μmのポリアクリロニトリル(PAN)系炭素繊維の繊維束を切断し、平均繊維長が3mmの炭素短繊維を得た。次にこの炭素短繊維100質量部を溶媒としての水に充分分散させたところに、バインダーであるボリビニルアルコール(PVA)の短繊維を、上記炭素短繊維100質量部に対して60質量部となるように均一に分散させ、標準角形シートマシンを用いてJIS P−8222法に準拠して抄紙を行った。
得られた炭素繊維紙は、単位面積当たりの紙の質量(紙目付)が18g/m、単位面積当たりの炭素繊維の質量(炭素繊維目付)が11.25g/mであった。
この炭素繊維紙をフェノール樹脂(商品名「フェノライトJ−325」、大日本インキ化学(株)製)の10質量%メタノール溶液に浸潰し、引き上げて、炭素短繊維100質量部に対しフェノール樹脂を100質量部付着させた。その後、熱風で乾燥して、樹脂含浸炭素繊維紙を得た。
低炭化性繊維として繊縦径220μmのポリエステル繊維(1)と繊維径が110μmのポリエステル繊維(2)を、数量比で(1)/(2)=1/1となるように混合し、1方向に引き揃えた状態で、フェノール樹脂(商品名;「フェノライトJ−325」、大日本インキ化学(株)製)の60質量%メタノール溶液に浸漬し、引き上げて、ポリエステル繊維100質量部に対し、フェノール樹脂を45質量部付着させた。その後熱風で乾燥し、さらにバッチプレス装置にて180℃、4MPaの条件下に5分間置き、フェノール樹脂を硬化させた。この硬化により表面が平滑化された樹脂含浸低炭化性繊維層Aを得た。
上記にて得られた樹脂含浸炭素繊維紙、樹脂含浸低炭化性繊維層A、及び樹脂含浸炭素繊維紙をこの順で積層し、バッチプレス装置にて180℃、0.5MPaの条件下に5分間置き、フェノール樹脂を硬化させた中間基材を得た。
続いて、中間基材を、窒素ガス雰囲気中、バッチ炭素化炉にて2000℃で1時間加熱し、炭素化することで電極基材を得た。
得られた電極基材をSiOのディスバージョン水溶液に浸漬したのち、焼結することで親水化処理し、ガス拡散層用多孔体1を得た。
[製造例2]
低炭化性繊維として繊維径220μmのポリエステル繊維(1)を500μm間隔で1方向に引き揃えた状態で、フェノール樹脂(商品名;「フェノライトJ−325」、大日本インキ化学(株)製)の60質量%メタノール溶液に浸漬し、引き上げて、ポリエステル繊維100質量部に対し、フェノール樹脂を45質量部付着させた。その後熱風で乾燥し、さらにバッチプレス装置にて180℃、4MPaの条件下に5分間置き、フェノール樹脂を硬化させた。この硬化により表面が平滑化された樹脂含浸低炭化性繊維層Bを得た。
低炭化性繊維として繊維径110μmのポリエステル繊維(2)を200μm間隔で1方向に引き揃えた状態で、フェノール樹脂(商品名;「フェノライトJ−325」、大日本インキ化学(株)製)の60質量%メタノール溶液に浸漬し、引き上げて、ポリエステル繊維100質量部に対し、フェノール樹脂を45質量部付着させた。その後熱風で乾燥し、さらにバッチプレス装置にて180℃、4MPaの条件下に5分間置き、フェノール樹脂を硬化させた。この硬化により表面が平滑化された樹脂含浸低炭化性繊維層Cを得た。
製造例1と同様の方法で得た樹脂含浸炭素繊維紙を使用し、樹脂含浸炭素繊維紙、樹脂含浸低炭化性繊維層B、樹脂含浸低炭化性繊維層C、及び樹脂含浸炭素繊維紙をこの順で積層し、バッチプレス装置にて180℃、0.5MPaの条件下に5分間置き、フェノール樹脂を硬化させた中間基材を得た。
続いて、中間基材を、窒素ガス雰囲気中、バッチ炭素化炉にて2000℃で1時間加熱し、炭素化することで電極基材を得た。
得られた電極基材をSiOのディスバージョン水溶液に浸漬したのち、焼結することで親水化処理し、ガス拡散層用多孔体2を得た。
[製造例3]
製造例1と同様の方法で得た樹脂含浸炭素繊維紙を5枚積層し、バッチプレス装置にて180℃、0.5MPaの条件下に5分間置き、フェノール樹脂を硬化させた中間基材を得た。
続いて、中間基材を、窒素ガス雰囲気中、バッチ炭素化炉にて2000℃で1時間加熱し、炭素化することで電極基材を得た。
得られた電極基材をSiOのディスバージョン水溶液に浸漬したのち、焼結することで親水化処理し、ガス拡散層用多孔体3を得た。
[単セルの作製]
(実施例1)
製造例2で作製したガス拡散層用多孔体2を用いて(図4参照)単セル1を作製した。
まず、市販のPt/C触媒(Pt担持率:50wt%)と、パーフルオロカーボンスルホン酸樹脂(商品名:Nafion)と、溶媒(水、エタノール及びプロパノールの混合液)とを、Pt:パーフルオロカーボンスルホン酸樹脂:カーボン(重量比)=1:1:1となるように攪拌混合し、触媒インクを調製した。
次に、高分子電解質膜(7cm×7cm、膜厚25μm)の両面に、触媒インクをスプレー塗布した。このとき、触媒層の単位面積当たりのPt量が0.5mg/cm2となるように触媒インクを塗布した。該インクを乾燥させ、触媒層(13cm2)を形成した。
一方、溶媒(エタノール)中、カーボンブラック(アセチレンブラック):ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)=8:2(重量比)となるように攪拌混合し、撥水層インクを調製した。
ガス拡散層用多孔体2の平均孔径100μmの貫通孔(小径貫通孔)が設けられた側(樹脂含浸低炭化性繊維層C側)の表面に、撥水層インクを塗布、乾燥させ、撥水層(13cm2)を形成した。同様にして撥水層を設けたガス拡散層用多孔体2をもう一枚作製した。
上記にて作製した触媒層/電解質膜/触媒層の積層体を、2枚のガス拡散層用多孔体2/撥水層の積層体で、各撥水層が触媒層と接合するように挟み込み、加熱圧着して、ガス拡散層用多孔体2/撥水層/触媒層/電解質膜/触媒層/撥水層/ガス拡散層用多孔体2の積層体を作製した。
さらに、この積層体を、溝等の加工を施していない金メッキが施されたチタン製の平板2枚で狭持し、単セル1とした。
(実施例2)
実施例1において、ガス拡散層用多孔体2の平均孔径100μmの貫通孔(小径貫通孔)が設けられた側(樹脂含浸低炭化性繊維層C側)の表面に撥水層を設ける代わりに、ガス拡散層用多孔体2の平均孔径200μmの貫通孔(大径貫通孔)が設けられた側(樹脂含浸低炭化性繊維層B側)の表面に撥水層を設ける(図4参照)以外は、実施例1と同様にして、単セル2を作製した。
(比較例1)
実施例1において、ガス拡散層用多孔体2を用いる代わりに、ガス拡散層用多孔体3(図4参照)を用い、且つ、ガス流路を画成する溝が設けられたセパレータを用い、該溝にガスを供給する以外は、実施例1と同様にして単セル3を作製した。
(比較例2)
実施例1において、ガス拡散層用多孔体2を用いる代わりに、ガス拡散層用多孔体1を用いる(図4参照)以外は、実施例1と同様にして単セル4を作製した。
[I−V特性評価]
上記にて作製した実施例1、実施例2、比較例1及び比較例2の単セル1〜4について、以下の条件下、I−V特性評価を行った。結果を図5に示す。尚、実施例1及び2、比較例2の単セルは、ガス拡散層に反応ガス(燃料及び酸化剤)を供給し、比較例1の単セルはセパレータに形成した溝部に反応ガスを供給した。
<発電評価条件>
・燃料(水素ガス):300ml/min(100%RH、2気圧)
・酸化剤(空気):1000ml/min(100%RH、2気圧)
・セル温度:80℃
図5に示すように、貫通孔が設けられていない多孔質体を用いた比較例1の単セルは、約650mA/cm2を超える電流密度域から電圧の低下が始まり、約1000mA/cm2からさらに急激な電圧低下が生じた。これは、電流密度の増加により電極内に水が滞留し、充分なガスを触媒層に供給することができなくなったためと考えられる。
一方、孔径200μmの貫通孔が厚さ方向に一様に形成された多孔体を用いた比較例2の単セルは、比較例1の単セルと比較して大幅な発電性能の向上が見られ、電流密度約1500mA/cm2の高負荷運転も可能であった。これは、多孔体の三次元網目構造の空孔より大きな貫通孔が設けられることにより、生成水の量が多い高負荷運転条件下においても、ガスの流通性が確保されたためと考えられる。
これに対して、孔径の異なる貫通孔が設けられた本発明のガス拡散層用多孔体を用いた実施例1及び実施例2の単セルは、さらなる発電性能の向上が確認でき、電流密度約1800mA/cm2の高負荷運転も可能であった。これは、孔径の異なる貫通孔が設けられることにより、相対的に孔径の小さい貫通孔に選択的に水分が移動し、生成水の量が多い高負荷運転条件下においても相対的に孔径の大きい貫通孔内における水分の滞留が抑制され、比較例2よりもそのガス流通性が向上したためと考えられる。
特に、セパレータ側に小径貫通孔、電極側に大径貫通孔が分布するようにガス拡散層用多孔体を配置した実施例2の単セルは、セパレータ側に大径貫通孔、電極側に小径貫通孔が分布するようにガス拡散層用多孔体を配置した実施例1の単セルと比較して、大電流密度域における発電性能が若干優れていた。これは、電極から離れた位置に、排水路となる小径貫通孔を配置することによって、大径貫通孔による電極へのガス供給性能が向上したためと考えられる。
本発明のガス拡散層用多孔体の一形態例を示す模式斜視図及び断面図である。 本発明のガス拡散層用多孔体を用いた単セルの一形態例を示す断面図である。 本発明のガス拡散層用多孔体の他の一形態例を示す断面図である。 実施例及び比較例で用いたガス拡散層用多孔体の断面図である。 実施例及び比較例の単セルのI−V評価試験の結果を示すグラフである。 従来の一般的な燃料電池用単セルの形態例を示す断面図である。
符号の説明
1…電解質膜
2…燃料極(アノード)
3…酸化剤極(カソード)
4a…アノード側触媒層
4b…カソード側触媒層
5…ガス拡散層用多孔体
5a…アノード側ガス拡散層
5b…カソード側ガス拡散層
6…多孔質基材
7…貫通孔(7A、7A”、7a)
8…膜・電極接合体
9a…アノード側セパレータ
9b…カソード側セパレータ
10…電解質膜
11…燃料極(アノード)
12…酸化剤極(カソード)
13a…アノード側触媒層
13b…カソード側触媒層
14a…アノード側ガス拡散層
14b…カソード側ガス拡散層
15…膜・電極接合体
16a…アノード側セパレータ
16b…カソード側セパレータ
17a…アノード側ガス流路
17b…カソード側ガス流路
100…単セル
200…単セル

Claims (8)

  1. 燃料電池用膜・電極接合体のガス拡散層として用いられるガス拡散層用多孔体であって、
    三次元網目構造を有する多孔体の面方向に貫通し、且つ、少なくともその孔内が親水処理された貫通孔を複数有し、
    該貫通孔は孔径が相対的に小さい小径貫通孔と、孔径が相対的に大きい大径貫通孔とからなることを特徴とするガス拡散層用多孔体。
  2. 前記大径貫通孔と前記小径貫通孔間の対比において、前記大径貫通孔の孔径(直径)が、前記小径貫通孔の孔径(直径)の2倍以上である、請求項1に記載のガス拡散層用多孔体。
  3. 前記大径貫通孔の平均孔径が100〜300μm、前記小径貫通孔の平均孔径が50〜150μmである、請求項1又は2に記載のガス拡散層用多孔体。
  4. 前記多孔体の一方の表面から他方の表面に向かって、前記貫通孔の平均孔径が大きくなるように、前記小径貫通孔と前記大径貫通孔とが分布している、請求項1乃至3のいずれかに記載のガス拡散層用多孔体。
  5. 面方向に貫通する貫通孔を有するガス拡散層用多孔体の製造方法であって、
    炭素質材料を分散させた分散溶液を用いて炭素質シートを抄造する際に、該炭素質材料よりも繊維径が大きく、且つ、互いに異なる繊維径を有する2種以上の低炭化性繊維を該炭素質シートの面方向を貫くように配置し、
    該炭素質シートに炭素前駆体樹脂を含浸させ、熱プレスにより硬化させた後、焼成処理を行い、前記低炭化性繊維を焼失及び前記炭素前駆体樹脂を炭素化させ、孔径の異なる貫通孔を形成することを特徴とする、ガス拡散層用多孔質の製造方法。
  6. 面方向に貫通する貫通孔を有するガス拡散層用多孔体の製造方法であって、
    炭素質材料を分散させた分散溶液を用いて炭素質シートを抄造する際に、該炭素質材料よりも繊維径が大きい第一の低炭化性繊維を該炭素質シートの面方向を貫くように配置し、該炭素質シートに前記炭素前駆体樹脂を含浸させ、熱プレスにより硬化させた後、焼成処理を行い、前記第一の低炭化性繊維を焼失及び前記炭素前駆体樹脂を炭素化させることによって貫通孔を形成し、第一のガス拡散層用多孔体シートを製造する工程と、
    炭素質材料を分散させた分散溶液を用いて炭素質シートを抄造する際に、該炭素質材料よりも繊維径が大きく、且つ、前記第一の低炭化性繊維と異なる繊維径を有する第二の低炭化性繊維を、該炭素質シートの面方向を貫くように配置し、該炭素質シートに炭素前駆体樹脂を含浸させ、熱プレスにより硬化させた後、焼成処理を行い、前記第二の低炭化性繊維を焼失及び前記炭素前駆体樹脂を炭素化させることによって、前記第一のガス拡散層用多孔体シートと異なる平均孔径を有する貫通孔が形成された少なくとも1種のガス拡散層用多孔体シートを製造する工程と、
    前記第一のガス拡散層用多孔体シートと、該第一のガス拡散層用多孔体シートと異なる平均孔径を有する貫通孔が形成された少なくとも1種のガス拡散層用多孔体シートとを、得られる多孔体の一方の表面から他方の表面に向かって前記貫通孔の平均孔径が大きくなるように積層させる工程と、
    を備える、ガス拡散層用多孔体の製造方法。
  7. 請求項1乃至4のいずれかに記載のガス拡散層用多孔体を備える、燃料電池用膜・電極接合体。
  8. 請求項7に記載の燃料電池用膜・電極接合体の集電体及びガスシール体として機能し、且つ、該膜・電極接合体の間に介在されるセパレータとして、ガス流路を画成する溝が形成されていない平滑な平板状のものを備えることを特徴とする燃料電池。
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