JP4511965B2 - 膜−触媒層接合体の製造方法及び膜−電極接合体の製造方法 - Google Patents

膜−触媒層接合体の製造方法及び膜−電極接合体の製造方法 Download PDF

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Description

本発明は、膜−触媒層接合体の製造方法及びそれを用いた膜−電極接合体の製造方法に関する。
従来の高分子電解質型燃料電池において、膜−電極接合体(MEA;Membrane-Electrode-Assembly)(以下MEAと略称する)は、例えば、高分子電解質膜の両主面に付着した状態で形成される触媒層の外面にガス拡散層が形成された構成を有している。また、高分子電解質膜の両主面に触媒層が形成され構成を有するもの一般に膜−触媒層接合体(例えば、上記MEAのうちのガス拡散層を除いた構成のもの)と呼ぶ。そして、この膜−触媒層接合体は、一般的には高分子電解質膜表面に触媒層形成インクを噴霧、塗布、濾過転写するなどして製造されている(例えば、特許文献5段落[0046]乃至[0050]参照)。
また、この触媒層の形成に際しては、高分子電解質型燃料電池の性能を向上させるために、触媒層を複層構造とする高分子電解質型燃料電池も提案されている(例えば、特許文献1乃至4参照)。この場合、複層構造の触媒層を形成する方法として、触媒層形成インクを複数回にわたって塗布する方法が開示されている。さらに、各触媒層の厚さについては、各触媒層の機能に基づいて調整すべき旨が開示されている(例えば、特許文献2段落乃至[0052]参照)。
特開2001−338654号公報 特開2002−8677号公報 特開2002−8678号公報 特開2002−15743号公報 特開2002−110202号公報
一方で、高分子電解質膜上に触媒層を形成する方法、すなわち膜−触媒層接合体の製造方法については、作業の簡便性からは塗布による方法が望ましいとされているものの、特に、大量生産を想定した製造上の所要時間や歩留まりの向上の点からの検討は十分にはなされていない(例えば、特許文献5段落[0048]参照)。つまり、膜−触媒層接合体の製造方法については、製造に係る所要時間、製造方法に伴う高分子電解質膜の損傷や触媒層の不良形成といった問題が十分には考慮されておらず、改善の余地がある。
そこで、本発明は、上記のような課題を解決するためになされたもので、製造に係る所要時間を短縮することができるとともに、高分子電解質膜の損傷を抑制することができる、膜−触媒層接合体の製造方法及びそれを用いた膜−電極接合体の製造方法を提供することを目的とする。
本発明者らは、上記目的を達成するべく鋭意研究を重ねた結果、高分子電解質膜の主面に触媒層形成インクを噴霧して触媒層を形成する方法(以下、噴霧法という。)は、予め形成された触媒層を高分子電解質膜の主面上に転写して触媒層を形成する方法(以下転写法という。)、ドクターブレード(Doctor Blade)法等他の方法に比べ、高分子電解質型燃料電池の内部電気抵抗が小さくなるということを見出した。この結果が得られることついての詳細については明確に解明されていないが、本発明者らは、噴霧中にインク中溶媒の一部が適量蒸発することにより、高分子電解質膜の膨潤が抑制され、高分子電解質膜への触媒層の密着性が良くなるとともに、高分子電解質膜と触媒層との界面におけるプロトン伝導の抵抗が小さくなっていることが内部電気抵抗の低減に寄与しているものと推察している。しかし、噴霧法は、時間当たりの触媒層形成量が少なく、所定の厚さにまで触媒形成インクを積層させるには、かなりの時間を要する。
他方、転写法は、例えば、触媒層を高分子電解質膜上に載置してホットプレスする工程であるので、噴霧法、ドクターブレード(Doctor Blade)法等他の方法に比べ、短い時間で高分子電解質膜に触媒層を形成することができるので、大量生産の観点から見た場合有効である。しかし、本発明者の検討によれば、噴霧法のような高分子電解質膜と触媒層との高い密着性は得られず、かつ高分子電解質膜の絶縁性が低下することが見出された。この結果が得られることついての詳細についても明確に解明されていないが、本発明者らは、転写時に高分子電解質膜が若干なりとも損傷することが原因と推察している。
これらの検討結果を踏まえ、上記課題を解決するために、本発明の膜−触媒層接合体の製造方法は、高分子電解質膜の少なくともいずれかの主面に、触媒層形成インクを噴霧して第1の触媒層を形成するステップと、前記第1の触媒層の上に転写により、第2の触媒層を形成するステップと、を有しており、前記第1の触媒層の厚さは、前記第1触媒層の厚さ及び前記第2の触媒層の厚さの和の10分の1以上3分の1以下である(請求項1)。このような構成(製造手順)とすることにより、触媒層形成インクを噴霧して第1の触媒層を形成するステップによって高分子電解質膜の損傷を抑制することができ、かつ、第1の触媒層の上に転写により第2の触媒層を形成するステップによって製造に係る所要時間を短縮することができる。すなわち、本発明は、転写法、噴霧法及びドクターブレード法等の従来の膜−触媒層接合体の製造方法のデメリットを十分に低減し、特に、膜−触媒層接合体の大量生産に有利である。また、このように構成とすると、触媒層の不良形成をより確実に抑制することができる。このとき、第1の触媒層の厚さが前記第2の触媒層全体の厚さの略10分の1以上であれば、転写時に高分子膜の絶縁性をより確実に確保できる。また、3分の1以下であると、転写時に転写用基材の剥離をより容易にできる傾向が大きくなる。また、この場合、触媒層全体が厚くならずに、ガス拡散性をより確実に確保できる。
また、本発明においては、前記第1の触媒層の方が前記第2の触媒層よりも水素イオン伝導性高分子電解質の含有割合が高いとよい(請求項2)。ここで、本発明において、「触媒層における水素イオン伝導性高分子電解質の含有割合」とは、[(当該触媒層に含まれる水素イオン伝導性高分子電解質の全質量WP)/(当該触媒層の全質量WL)]で表される値をいう。このような構成とすることにより、高分子電解質膜近傍において反応サイトの密度を高くし、かつ高分子電解質膜から離れるに従い排水性を高くすることができるので、高分子電解質型燃料電池の性能を向上させることができる。
また、本発明においては、前記第1の触媒層の厚さがμm以上6μm以下であることが好ましい(請求項3)。このように構成とすると、触媒層の不良形成をより確実に抑制することができる。このように、第1の触媒層の厚さがμm以上であれば、転写時に高分子膜の絶縁性をより確実に確保できる。また、第1の触媒層の厚さが6μm以下とすると転写時に転写用基材の剥離をより容易にできる傾向が大きくなる。また、この場合、第1触媒層を作製する時間をより確実に短縮でき、大量生産に有利となる。
また、本発明においては、第1の触媒層を形成するステップにおいて、2以上の触媒層形成インクを順次噴霧して複数層からなる第1の触媒層を形成してもよい(請求項)。このような構成とすると、触媒層形成インクの「水素イオン伝導性高分子電解質の含有割合」等種々の性状を調節することができ、よりきめ細やかに第1の触媒層の性状を調節することができる。ここで、触媒層形成インクの「水素イオン伝導性高分子電解質の含有割合」とは、[(当該触媒形成インクに含まれる水素イオン伝導性高分子電解質の全質量WP)/(当該触媒形成インクの全質量WI)]で表される値をいう。
更に、本発明においては、2種類以上の触媒層形成インクを順次噴霧して複数層からなる前記第1の触媒層を形成するステップにおいて、下層程、水素イオン伝導性高分子電解質の含有割合が高いとよい(請求項)。
ここで、本発明において、2種類以上の触媒層形成インクを順次噴霧して複数層からなる前記第1の触媒層を形成する場合の「下層」とは、第1の触媒層が、2種類以上の触媒層形成インクが順次噴霧されて形成されることを前提として、高分子電解質膜に近い側の層を言う。
また、「下層程、水素イオン伝導性高分子電解質の含有割合が高い」状態とは、第1の触媒層が2種類以上の触媒層形成インクが順次噴霧されて形成されることを前提として、触媒形成インクの水素イオン伝導性高分子電解質の含有割合(WP/WI)が当該触媒層の高分子電解質膜に近い側に用いられる触媒層形成インクの方が高分子電解質膜に遠い側に用いられる触媒層形成インクよりも最終的に小さくなっている状態を示す。つまり、形成された第1の触媒層を全体としてみた場合に、質量比(WP/WI)が高分子電解質膜に近い側から遠い側にかけて概略的に減少している状態を示す。例えば、高分子電解質膜に近い側から遠い側にかけて質量比(WP/WI)が単調に減少している状態をいう。また、3種類以上の触媒形成インクが用いられる場合には、最下層と最上層との間に用いられる触媒形成インクが、前後に用いられる触媒形成インクのいずれかの質量比(WP/WI)と同じ値の質量比(WP/WI)であってもよい。さらに、当該触媒層全体として高分子電解質膜に近い側に用いられる触媒層形成インクの方が高分子電解質膜に遠い側に用いられる触媒層形成インクよりも最終的に小さくなっているものの、一部の触媒形成インクにおいて、上層側に用いられる触媒形成インクの質量比(WP/WI)が下層側に用いられる触媒形成インクの質量比(WP/WI)よりも大きい場合があってもよい。ただし、ガス拡散性あるいは排水性の観点からは、最下層から最上層にかけて質量比(WP/WI)が減少するようにして触媒形成インクが用いられること、または、最下層と最上層との間に用いられる触媒形成インクが、前後に用いられる触媒形成インクのいずれかの質量比(WP/WI)と同じ値の質量比(WP/WI)であることの方が好ましい。このように構成すると、第1の触媒層内において高分子電解質膜近傍において反応サイトの密度を高くし、かつ高分子電解質膜から離れるに従いガス拡散性あるいは排水性を高くすることができるので、高分子電解質型燃料電池の性能を向上させることができる。
また、本発明においては、前記第2の触媒層の上に1以上の第3の触媒層を形成するステップをさらに有してもよい(請求項)。ここで、本発明においては、「第3の触媒層」としては、例えば、触媒(Ptなど)担持カーボン(導電性カーボン)を少なくとも含む触媒層、水素イオン伝導性高分子電解質及び触媒(Ptなど)担持カーボン(導電性カーボン)を少なくとも含む触媒層、撥水材及び触媒(Ptなど)担持カーボン(導電性カーボン)を少なくとも含む触媒層、撥水材、水素イオン伝導性高分子電解質及び触媒(Ptなど)担持カーボン(導電性カーボン)を少なくとも含む触媒層などがあげられる。更に、本発明においては、「第3の触媒層」としては、撥水材及び導電性カーボン(触媒を担持していないカーボン)からなる層も含むものとする。このような構成とすると、膜−触媒層接合体の触媒層の電極反応面積の調節、並びに、ガス拡散性、撥水性及び電子伝導性等種々の性状を調節することができ、よりきめ細やかに触媒層の性状を調節することができる。特に、撥水材及び導電性カーボン(触媒を担持していないカーボン)からなる層を第3の層として配置する場合には、ガス拡散層と第2の触媒層との密着性向上、ガス拡散層の表面粗さ(凹凸の存在)による第2の触媒層及び又はその奥の高分子電解質膜の損傷の防止を図ることができる。またこの場合、触媒を含まないので電極反応生成水が生成されないため、ガス拡散性(特に第2の触媒層のガス拡散性)の向上も図ることができる。また、上述の撥水材としては、化学的安定性が高い物質が好ましく、例えばポリテトラフルオロエチレン(PTFE)や四フッ化エチレン・六フッ化プロピレン共重合体(FEP)がある。
さらに、本発明においては、前記第2の触媒層の上に1以上の第3の触媒層を形成するステップをさらに有する場合には、下層程、水素イオン伝導性高分子電解質の含有割合が高いとよい(請求項)。
ここで、本発明において、前記第2の触媒層の上に1以上の第3の触媒層を形成するステップをさらに有する場合の「下層」とは、3層以上の触媒層が形成されることを前提として、高分子電解質膜に近い側の触媒層を言う。また、「下層程、水素イオン伝導性高分子電解質の含有割合が高い」状態とは、3層以上の触媒層が形成されることを前提として、形成された触媒層の水素イオン伝導性高分子電解質の含有割合(WP/WL)が高分子電解質膜に近い側の触媒層の方が高分子電解質膜に遠い側の触媒層よりも最終的に小さくなっており、膜−触媒層接合体の触媒層全体としてみた場合に各触媒層の質量比(WP/WL)が高分子電解質膜に近い側から遠い側にかけて概略的に減少している状態を示す。例えば、高分子電解質膜に近い側から遠い側にかけて質量比(WP/WL)が単調に減少している状態であってもよい。また、例えば、一部の隣り合う触媒層の質量比(WP/WL)が同じ値をとる状態であってもよい。さらに、一部の隣り合う触媒層同士の質量比(WP/WL)を比較した場合、上層側の触媒層の質量比(WP/WL)が下層側の触媒層の質量比(WP/WL)よりも大きい場合があってもよい。ただし、ガス拡散性あるいは排水性の観点から、最下層から最上層にかけて質量比(WP/WL)が単調に減少している状態、または、最下層と最上層との間に配置される層のうち、一部の隣り合う層同士の質量比(WP/WL)が同じ値をとる状態が好ましい。このように構成すると、高分子電解質膜近傍において反応サイトの密度を高くし、かつ高分子電解質膜から離れるに従いガス拡散性あるいは排水性を高くすることができるので、高分子電解質型燃料電池の性能を向上させることができる。また、「第2の触媒層の上に1以上の第3の触媒層を形成する」ことによって、ガス拡散性等膜−電極接合体の性能を調節することもできる。
また、本発明の膜−電極接合体の製造方法は、請求項1〜7のうちの何れかに記載の膜−触媒層接合体の製造方法によって製造された膜―触媒層接合体の第2の触媒層の上方に、ガス拡散層を配置する(請求項)。
ここで、「膜―触媒層接合体の第2の触媒層の上方に、ガス拡散層を配置する」とは、上述の第3の触媒層を形成しない場合には、ガス拡散層を第2の触媒層上に密着させた状態で配置することを示す。第3の触媒層を形成する場合には、第2の触媒層とガス拡散層との間に第3の触媒層が配置されるようにする。つまり、ガス拡散層を第3の触媒層上に密着させた状態で配置することを示す。なお、ここで「配置する」とは、熱処理などにより接着する場合と、接着せずに、載置して押圧することにより密着させる場合とを意味する。
本発明の膜−電極接合体の製造方法は、上述の本発明の膜−触媒層接合体の製造方法によって製造された膜―触媒層接合体を用いて膜−電極接合体を製造するため、膜−電極接合体の製造に係る所要時間を短縮することができるとともに、高分子電解質膜の損傷を抑制することができる。
以上のように、本発明の膜−触媒層接合体の製造方法及びそれを用いた膜−電極接合体の製造方法は、製造に係る所要時間を短縮することができるとともに、高分子電解質膜の損傷を抑制することができるという効果を奏する。
以下、本発明を実施するための最良の形態について図面を参照しながら説明する。
図1は、本発明の膜−触媒層接合体の製造方法及び膜−電極接合体の製造方法の好適な一実施形態により作製した高分子電解質型燃料電池の要部の構造を示す部分分解斜視図である。
図1に示すように、高分子電解質型燃料電池100は、セル10が積層されて構成されている。
なお、図示しないが、セル10の両端の最外層には集電板、絶縁板、エンドプレートが取り付けられ、セル10は両端から、ボルト孔11を挿通される締結ボルト(図示せず)とナットとで締結されて構成されている。
セル10は、MEA−ガスケット接合体(以下MEA接合体と略称する)7を一対のアノードセパレータ9A及びカソードセパレータ(両者をセパレータと総称する)9Cで挟んで構成されている。セパレータは、導電性材料で構成されていて、カソード側あるいはアノード側の電極の一部を構成している。
MEA接合体7は、MEA5の周縁部に拡がる高分子電解膜が一対のフッ素ゴム製のガスケット6で挟まれて構成されている。したがって、ガスケット6の中央開口部の両面にはMEA5が露出している。
そして、セパレータ9A,9C及びMEA接合体7の周縁部には、還元剤ガス及び酸化剤ガスが流通するそれぞれ一対のマニフォルドを形成する、還元剤ガスマニフォルド孔12、22、32、及び酸化剤ガスマニフォルド孔13、23、33が穿たれている。また、水が流通する一対のマニフォルドを形成する水マニフォルド孔14,24,34も穿たれている。
そして、アノードセパレータ9Aの内側の主面には、一対の還元剤ガスマニフォルド孔22、22間を結ぶようにして溝状の還元剤ガス流路21が形成されている。
カソードセパレータ9Cの内側の主面には、一対の酸化剤ガスマニフォルド孔33、33間を結ぶようにして溝状の酸化剤ガス流路31が形成されている。
また、セパレータ9A,9Cの外側の主面、すなわち背面には、還元剤ガス流路21あるいは酸化剤ガス流路31と同様にして、一対の水マニフォルド孔24,34間を結ぶようにして溝状の水流路(図示せず)が形成されている。これによって、セル10積層時には、これらマニフォルド孔はそれぞれ積層して、酸化剤ガス、還元剤ガス及び水の一対のマニフォルドが形成される。そして、酸化剤ガス、還元剤ガス及び水の流路は、それぞれ一方のマニフォルド、すなわち供給側のマニフォルドから、セパレータに形成された流路21、31、水流路(図示せず)に分岐しながら、それぞれの他方のマニフォルド、すなわち排出側のマニフォルドに流通するように構成される。そして、酸化剤ガスと還元剤ガスとは、それぞれ還元剤ガス流路21あるいは酸化剤ガス流路31においてMEA接合体7の中央部に露出しているMEA5に曝露され、電気化学反応を起こす。また、セパレータ9A,9Cの背面、すなわち隣接するセル10の間には、水が流通するので、水の伝熱能力により高分子電解質型燃料電池を電気化学反応に適した所定の温度に保つことができる。
ここで、図2(a)はMEAの側面図であり、図2(b)はMEAの平面図である。
MEA5は、水素イオンを選択的に透過するイオン交換膜からなる高分子電解質膜1と、高分子電解質膜1を挟むように形成された、白金族金属触媒を担持したカーボン粉末を主成分とする一対のアノード側触媒層2A及びカソード側触媒層2Cと、この一対の触媒層2A,2Cの外面に配設された一対の及びアノード側ガス拡散層4A及びカソード側ガス拡散層4Cとを備えて構成されている。このガス拡散層4A,4Cは、通気性と電子伝導性を併せ持つように構成されている。例えば、多孔性構造を有している。
そして、カソード側触媒層2C,カソード側ガス拡散層4C及びカソードセパレータ9Cがカソードを構成している。
また、アノード側触媒層2A,アノード側ガス拡散層4A及びアノードセパレータ9Aがアノードを構成している。
次に以上のように構成された高分子電解質型燃料電池100の動作を説明する。酸化剤ガスが酸化剤流路30を経由して各セル10に分岐して供給される。各セル10では、酸化剤ガスがカソードに供給される。ここでは、カソード側ガス拡散層4Cに曝露される。また、水素、あるいは水素を含む還元剤ガスも同様にして、アノードに供給される。ここでは、還元剤流路40を経由してアノード側ガス拡散層4Aに曝露される。そして、酸化剤ガスは、カソード側ガス拡散層4Cを透過し、カソード側触媒層2Cに到達する。同様にして、還元剤ガスも、アノード側ガス拡散層4Aを透過し、アノード側触媒層2Aに到達する。
ここで、カソードセパレータ9C、アノードセパレータ9A、集電板(図示せず)及び外部の電気回路(図示せず)を経由してカソード側触媒層2Cとアノード側触媒層2Aとの電気的な接続回路が構成されると、アノード側触媒層2Aにおいて、水素がイオン化する。水素イオンは高分子電解質膜1を透過してカソード側触媒層2Cにおいて、酸素イオンと結合し、水を生成する。また、水素のイオン化に伴いアノード側触媒層2Aにおいて発生した電子は、アノード側ガス拡散層4Aを経由して外部の電気回路(図示せず)を流れ、電気出力を生じさせる。
ここで、高分子電解質膜1に触媒層2A,2Cを形成する方法、すなわち膜−触媒層接合体3の製造方法(本発明の膜−触媒層接合体の製造方法の好適な一実施形態)について説明する。なお、ここでは、便宜上、カソード側触媒層2Cの製造工程を示して説明する。アノード側触媒層2Aもカソード側触媒層2Cの形成と同様にして形成されるが、ここでは説明を省略する。
図3(a)乃至図3(d)は、膜−触媒層接合体のカソード触媒層の製造工程を模式的に示す図である。
ここで、高分子電解質膜1には、水素イオンを選択的に透過するイオン交換機能を有する膜が好適に挙げられる。更にこのような膜としては、−CF2−を主鎖骨格として、スルホン酸基が側鎖の末端に導入された構造を有する高分子電解質膜が好適に挙げられる。このような構造を有する膜としては、例えば、パーフルオロカーボンスルホン酸膜{例えば、DUPONT社製 Nafion112(登録商標)}が好適に挙げられる。
また、触媒層形成インクは、次のようにして調製される。カソード側触媒層2C用の触媒形成インクに混合される電極触媒粉末には、例えば、ケッチェンブラックEC(AKZO Chemie社製,商品名)に、平均粒径約3nmの白金粒子を25wt%担持した触媒粉末を用いる。なお、アノード側触媒層2A用の触媒形成インクに混合される電極触媒粉末には、例えば、ケッチェンブラックEC(AKZO Chemie社製,商品名)に、平均粒径約3nmの白金−ルテニウム合金粒子(例えば、質量比でPt:Ru=1:1)を25wt%担持した触媒粉末が用いられる。そして、これら電極触媒粉末が、イソプロパノールに分散され、次いで、水素イオン伝導性高分子電解質(例えば、パーフルオロカーボンスルホン酸粉末)のエチルアルコール分散液(例えば、旭硝子社製商品名「Flemion FSS−1」)と混合される。
次に、図3(a)に示すように、触媒層形成インクを、噴霧装置200によって噴霧塗工されて高分子電解質膜1の主面に第1の触媒層2C1が形成される。なお、図示しないが、噴霧塗工に際しては、高分子電解質膜5Aに第1の触媒層2C1の平面形状に一致する形状の開口部をもつマスクが被せられ、所要の部分以外には触媒層形成インクが付着しないように保護される。これによって、噴霧状の触媒層形成インクは、転写やドクターブレード法による方法に比べて、高分子電解質膜1表面への密着性が良いので、高分子電解質膜1と第1の触媒層2C1とのプロトン移動の界面性能を良くすることができる。
他方、図3(b)に示すように、転写用基材P上に触媒形成インクが塗工されて、第2の触媒層2C2が形成される。第2の触媒層2C2は、第1の触媒層2C1と同じ平面形状に形成される。転写用基材Pとしては、PPシート、あるいはPTEFシートを好適に用いることができるが、その他にも触媒層の付着やホットプレスによって成分が触媒層に溶出せず、転写後の剥離性が良い材料を用いることができる。
次に、図3(c)に示すように、第1の触媒層2C1の上に第2の触媒層2C2を重ねて、ホットプレス(例えば、圧力1MPa、温度140℃、時間30分の条件)されて、カソード側触媒層2Cが形成される。
そして、図3(d)に示すように、転写用基材Pが剥離されて第2の触媒層2C2が第1の触媒層2C1の上に転写される。これにより、第1の触媒層2C1と第2の触媒層2C2とが接合した触媒層2Cが形成される。
以上によって、第2の触媒層2C2を第1の触媒層2C1に転写して形成する工程(ステップ)に要する時間は、噴霧塗工によって触媒層2C全体を形成する工程に要する時間に比べて短時間で済むので、膜−触媒層接合体3を製造する時間を短縮することができる。
なお、カソード側第1の触媒層2C1と、カソード側第2の触媒層2C2との触媒層形成インクの性状は同一でなくともよい。例えば、カソード側第1の触媒層2C1の水素イオン伝導性高分子電解質の含有割合がカソード側第2の触媒層2C2のそれよりも高くなるように触媒層形成インクが調製されるとよい。つまり、カソード側第2の触媒層2C2の形成に用いられた触媒層形成インクよりも水素イオン伝導性高分子電解質のアルコール分散液の混合率を高めた触媒層形成インクをカソード側第1の触媒層2C1形成に用いると良い。これによって、カソード側第1の触媒層2C1の反応サイトの密度を高くして、カソード側第2の触媒層2C2の排水性を高くすることができ(特許文献2参照)、高分子電解質型燃料電池100の性能が向上する。
また、アノード側では、電気化学反応による反応生成水が生じないので、カソード側ほど排水性の高さが必要とはならない。したがって、アノード側では、アノード側第1の触媒層2A1と、アノード側第2の触媒層2A2との触媒層形成インクの性状は同一のままでもよい。
次に、MEA5の製造方法(本発明の膜−電極接合体の製造方法の好適な一実施形態)について説明する。
本発明のMEA5は、上述の膜−触媒層接合体3を用いて製造される。すなわち、図2(a)に示すように、MEA5は、触媒層2A,2Cの上にガス拡散層4A,4Cが形成されて製造される。
ガス拡散層4A、4Cは、微細な孔部を多数有する多孔質体によって構成されている。これによって、ガスが孔部に侵入することによって、ガスが拡散して、触媒層2A、2Cに到達しやすくなる。本実施の形態においては、撥水処理されたカーボンペーパー(TORAY社製 商品名(TGP-H-090),厚さ:270μm)が用いられる。撥水処理は、例えば、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)の水性ディスパージョンにカーボンペーパーが浸漬され、次いで、乾燥処理されることにより行われる。また、カーボンペーパーの代わりに、カーボンクロス、あるいは、カーボン繊維、カーボン粉末、有機バインダー等からなるカーボンフェルトをガス拡散層として用いてもよい。そして、このカーボンペーパーが触媒層2A、2C上に接合するようにしてホットプレス(例えば、圧力0.5MPa、温度135℃、時間5分間の条件)されて、ガス拡散層4A、4Cが形成される。これによって、高分子電解質膜1上への触媒層2A、2Cの形成に要する時間を短くすることができるので、MEA5の製造に係る時間を短縮することができる。
以上、本発明は、触媒層形成インクを噴霧して第1の触媒層を形成するステップによって高分子電解質膜の損傷を抑制することができ、かつ、第1の触媒層の上に転写により第2の触媒層を形成するステップによって製造に係る所要時間を短縮することができる。すなわち、本発明は、転写法、噴霧法及びドクターブレード法等の従来の膜−触媒層接合体の製造方法のデメリットを十分に低減し、特に、膜−触媒層接合体の大量生産に有利である。
以上、本発明の実施形態を詳細に説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではない。例えば、第1の触媒層2C1を形成するステップにおいて、2種類以上の触媒層形成インクを順次噴霧して複数層からなる第1の触媒層2C1を形成してもよい。このように構成すると、触媒層形成インクの「水素イオン伝導性高分子電解質の含有割合」等種々の性状を調節することができ、よりきめ細やかに第1の触媒層の性状を調節することができる。ここで、触媒層形成インクの「水素イオン伝導性高分子電解質の含有割合」とは、[(当該触媒形成インクに含まれる水素イオン伝導性高分子電解質の全質量WP)/(当該触媒形成インクの全質量WI)]で表される値をいう。
そして、2種類以上の触媒層形成インクを順次噴霧して複数層からなる第1の触媒層2C1を形成するステップにおいて、下層程、水素イオン伝導性高分子電解質の含有割合が高いとよい。ここで、「下層」とは、第1の触媒層2C1が、2種類以上の触媒層形成インクが順次噴霧されて形成されることを前提として、高分子電解質膜1に近い側の層を言う。また、「下層程、水素イオン伝導性高分子電解質の含有割合が高い」状態とは、触媒形成インクの水素イオン伝導性高分子電解質の含有割合(WP/WI)が当該触媒層の高分子電解質膜1に近い側に用いられる触媒層形成インクの方が高分子電解質膜1に遠い側に用いられる触媒層形成インクよりも最終的に小さくなっている状態を示す。つまり、形成された第1の触媒層2C1を全体としてみた場合に、質量比(WP/WI)が高分子電解質膜1に近い側から遠い側にかけて概略的に減少している状態を示す。例えば、高分子電解質膜1に近い側から遠い側にかけて質量比(WP/WI)が単調に減少している状態をいう。また、3種類以上の触媒形成インクが用いられる場合には、最下層と最上層との間に用いられる触媒形成インクが、前後に用いられる触媒形成インクのいずれかの質量比(WP/WI)と同じ値の質量比(WP/WI)であってもよい。さらに、当該触媒層全体として高分子電解質膜1に近い側に用いられる触媒層形成インクの方が高分子電解質膜1に遠い側に用いられる触媒層形成インクよりも最終的に小さくなっているものの、一部の触媒形成インクにおいて、上層側に用いられる触媒形成インクの質量比(WP/WI)が下層側に用いられる触媒形成インクの質量比(WP/WI)よりも大きい場合があってもよい。ただし、ガス拡散性あるいは排水性の観点からは、最下層から最上層にかけて質量比(WP/WI)が減少するようにして触媒形成インクが用いられること、または、最下層と最上層との間に用いられる触媒形成インクが、前後に用いられる触媒形成インクのいずれかの質量比(WP/WI)と同じ値の質量比(WP/WI)であることの方が好ましい。このように構成すると、上述と同様にして、第1の触媒層内2C1において、高分子電解質膜1近傍において反応サイトの密度を高くし、かつ高分子電解質膜1から離れるに従いガス拡散性あるいは排水性を高くすることができるので、高分子電解質型燃料電池100の性能を向上させることができる。
さらには、第2の触媒層2C2の上に1以上の第3の触媒層(図示せず)を転写、噴霧あるいは塗布によって形成するステップをさらに有してもよい。ここで、「第3の触媒層」としては、例えば、触媒(Ptなど)担持カーボン(導電性カーボン)を少なくとも含む触媒層、水素イオン伝導性高分子電解質及び触媒(Ptなど)担持カーボン(導電性カーボン)を少なくとも含む触媒層、撥水材及び触媒(Ptなど)担持カーボン(導電性カーボン)を少なくとも含む触媒層、撥水材、水素イオン伝導性高分子電解質及び触媒(Ptなど)担持カーボン(導電性カーボン)を少なくとも含む触媒層などがあげられる。更に、「第3の触媒層」としては、撥水材及び導電性カーボン(触媒を担持していないカーボン)からなる層とすることもできる。このような構成とすると、膜−触媒層接合体の触媒層の電極反応面積の調節、並びに、ガス拡散性、撥水性及び電子伝導性等種々の性状を調節することができ、よりきめ細やかに触媒層の性状を調節することができる。特に、撥水材及び導電性カーボン(触媒を担持していないカーボン)からなる層を第3の層として配置する場合には、ガス拡散層と第2の触媒層との密着性向上、ガス拡散層の表面粗さ(凹凸の存在)による第2の触媒層2C2及び又はその奥の高分子電解質膜1の損傷の防止を図ることができる。またこの場合、触媒を含まないので電極反応生成水が生成されないため、ガス拡散性(特に第2の触媒層のガス拡散性)の向上も図ることができる。また、上述の撥水材としては、化学的安定性が高い物質が好ましく、例えばポリテトラフルオロエチレン(PTFE)や四フッ化エチレン・六フッ化プロピレン共重合体(FEP)がある。
そして、第2の触媒層2C2の上に1以上の第3の触媒層を形成するステップをさらに有する場合には、下層程、水素イオン伝導性高分子電解質の含有割合が高いとよい。ここで、第2の触媒層2C2の上に1以上の第3の触媒層を形成するステップをさらに有する場合の「下層」とは、3層以上の触媒層が形成されることを前提として、高分子電解質膜1に近い側の触媒層を言う。また、「下層程、水素イオン伝導性高分子電解質の含有割合が高い」状態とは、3層以上の触媒層が形成されることを前提として、形成された触媒層の水素イオン伝導性高分子電解質の含有割合(WP/WL)が高分子電解質膜1に近い側の触媒層の方が高分子電解質膜1に遠い側の触媒層よりも最終的に小さくなっており、膜−触媒層接合体3の触媒層全体としてみた場合に各触媒層の質量比(WP/WL)が高分子電解質膜1に近い側から遠い側にかけて概略的に減少している状態を示す。例えば、高分子電解質膜1に近い側から遠い側にかけて質量比(WP/WL)が単調に減少している状態であってもよい。また、例えば、一部の隣り合う触媒層の質量比(WP/WL)が同じ値をとる状態であってもよい。さらに、一部の隣り合う触媒層同士の質量比(WP/WL)を比較した場合、上層側の触媒層の質量比(WP/WL)が下層側の触媒層の質量比(WP/WL)よりも大きい場合があってもよい。ただし、ガス拡散性あるいは排水性の観点から、最下層から最上層にかけて質量比(WP/WL)が単調に減少している状態、または、最下層と最上層との間に配置される層のうち、一部の隣り合う層同士の質量比(WP/WL)が同じ値をとる状態が好ましい。このように構成すると、高分子電解質膜1近傍において反応サイトの密度を高くし、かつ高分子電解質膜1から離れるに従いガス拡散性あるいは排水性を高くすることができるので、高分子電解質型燃料電池100の性能を向上させることができる。また、「第2の触媒層の上に1以上の第3の触媒層を形成する」ことによって、ガス拡散性等膜−電極接合体5の性能を調節することもできる。
以下、実施例を挙げて本発明の膜−電極接合体の製造方法をさらに詳しく説明するが、本発明はこれらの実施例に何ら限定されるものではない。
触媒層2Cの厚さt1+t2が20μmである膜−触媒層接合体3を、第1触媒層2C1の厚さt1と第2触媒層2C2の厚さt2とをパラメータとして、実施例S1乃至S7まで製造した。また、比較例T1として、転写法のみ、つまり第1の触媒層2C1を形成せずに第2の触媒層2C2のみから形成される膜−触媒接合体を製造した。
そして、実施例S1乃至S7及び比較例T1をそれぞれ10サンプルずつを用いて性能試験を行った。
図4は、本実施例の膜−触媒層接合体の性能試験結果を示す表である。表中、評価項目のNは、触媒層2Cから転写用基材Pを剥離する際に、転写用基材Pに触媒層2Cの一部が付着し、不完全な剥離によって不良製造となった回数、つまり転写用基材Pの剥離困難性を示す数字である。また、評価項目のEは、それぞれの実施例の中から抽出した膜−触媒層接合体3に対してクロノアンペアメトリック法(CA法)によって計測した膜−触媒層接合体を通る0.2Vの電圧を印加して10分後の単位面積当たりの電流値、つまり、高分子電解質膜の損傷の大きさに応じて増大する膜−触媒層接合体3の単位面積当たりのクロスリーク電流を示す数字である。
表に示すように、厚さ比t1/(t1+t2)が1/10以上1/3以下である膜−触媒層接合体3の実施例S1乃至S5は、転写用基材Pの剥離困難性Nにおいて不具合の発生頻度が低く、かつクロスリーク電流Eにおいては絶縁性の低下はほとんど出現せず、膜−触媒層接合体3の製造方法として、より好適であることがわかった。あるいは、第1の触媒層2C1の厚さt1は、μm以上6μm以下であれば、膜−触媒層接合体の製造方法として、より好適であることがわかった。
また、比較例T1の場合、つまり従来の転写法の場合、転写用基材Pの剥離困難性Nには不具合の発生が出現しなかったものの、クロスリーク電流Eにおいて、絶縁性が低下していることがわかった。これは、第2の触媒層2C2の転写時における圧力が、高分子電解質膜1に影響を及ぼし高分子電解質膜1に若干の損傷が生じているものと推察された。
また、厚さ比t1/(t1+t2)=1/15の場合、つまり実施例S6の場合は、第1の触媒層2C1が薄いので、転写用基材Pの剥離困難性Nには不具合の発生が出現しなかったものの、クロスリーク電流Eにおいて、絶縁性が低下していることがわかった。これは、第1の触媒層2C1が薄いので、第2の触媒層2C2の転写時における圧力が、高分子電解質膜1に影響を及ぼし高分子電解質膜1に若干の損傷が生じているものと推察された。
さらに、厚さ比t1/(t1+t2)=1/2の場合、つまり実施例S7の場合は、第1の触媒層2C1が厚いので、クロスリーク電流Eにおいては絶縁性の低下は出現しなかったものの、転写用基材Pの剥離困難性Nにおいて、不具合の発生頻度が高いことがわかった。これは、第1の触媒層2C1が厚いので、厚さのばらつきが大きくなり、転写時における圧力が均一に加わらなくなり、第2の触媒層2C2の剥離時において、第1の触媒層2C1と第2の触媒層2C2との接合性が悪くなり、剥がれやすくなっているものと推察された。
本発明の膜−触媒層接合体の製造方法及びそれを用いた膜−電極接合体の製造方法は、製造に係る所要時間を短縮することができるとともに、高分子電解質膜の損傷を抑制することができる、膜−触媒層接合体の製造方法及びそれを用いた膜−電極接合体の製造方法として有用である。
本発明の膜−触媒層接合体の製造方法及び膜−電極接合体の製造方法の好適な一実施形態により作製した高分子電解質型燃料電池の要部の構造を示す部分分解斜視図である。 図2(a)はMEAの側面図であり、図2(b)はMEAの平面図である。 図3(a)乃至図3(d)は、膜−触媒層接合体のカソード触媒層の製造工程を模式的に示す図である。 本実施例の膜−触媒層接合体の性能試験結果を示す表である。
符号の説明
1 高分子電解質膜
2A アノード側触媒層
2C カソード側触媒層
2A1 (アノード側)第1の触媒層
2A2 (アノード側)第2の触媒層
2C1 (カソード側)第1の触媒層
2C2 (カソード側)第2の触媒層
3 膜−触媒層接合体
4A アノード側ガス拡散層
4C カソード側ガス拡散層
5 膜−電極接合体(MEA)
6 ガスケット
7 MEA−ガスケット接合体
9A アノードセパレータ
9C カソードセパレータ
10 セル
11 ボルト孔
12、22、32 還元剤ガスマニフォルド孔
13、23、33 酸化剤ガスマニフォルド孔
14,24,34 水マニフォルド孔
21 還元剤ガス流路
31 酸化剤ガス流路
100 高分子電解質型燃料電池
200 噴霧装置
S1〜S7 実施例
T1 比較例
t1 第1の触媒層の厚さ
t2 第2の触媒層の厚さ
N 転写用基材の剥離困難性
E クロスリーク電流
P 転写用基材

Claims (8)

  1. 高分子電解質膜の少なくともいずれかの主面に、触媒層形成インクを噴霧して第1の触媒層を形成するステップと、
    前記第1の触媒層の上に転写により、第2の触媒層を形成するステップと、を有しており、
    前記第1の触媒層の厚さは、前記第1触媒層の厚さ及び前記第2の触媒層の厚さの和の10分の1以上3分の1以下である、膜−触媒層接合体の製造方法。
  2. 前記第1の触媒層の方が前記第2の触媒層よりも水素イオン伝導性高分子電解質の含有割合が高い、請求項1に記載の膜−触媒層接合体の製造方法。
  3. 前記第1の触媒層の厚さがμm以上6μm以下である、請求項1又は2に記載の膜−触媒層接合体の製造方法。
  4. 第1の触媒層を形成するステップにおいて、2種類以上の触媒層形成インクを順次噴霧して複数層からなる第1の触媒層を形成する、請求項1〜のうちの何れか1項に記載の膜−触媒層接合体の製造方法。
  5. 下層程、水素イオン伝導性高分子電解質の含有割合が高い、請求項に記載の膜−触媒層接合体の製造方法。
  6. 前記第2の触媒層の上に1以上の第3の触媒層を形成するステップをさらに有する、請求項1〜のうちの何れか1項に記載の膜−触媒層接合体の製造方法。
  7. 下層程、水素イオン伝導性高分子電解質の含有割合が高い、請求項に記載の膜−触媒層接合体の製造方法。
  8. 請求項1〜のうちの何れか1項に記載の膜−触媒層接合体の製造方法によって製造された膜−触媒層接合体の第2の触媒層の上方に、ガス拡散層を配置する、膜−電極接合体の製造方法。
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