JP2002015744A - 固体高分子型燃料電池 - Google Patents

固体高分子型燃料電池

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JP2002015744A
JP2002015744A JP2000199447A JP2000199447A JP2002015744A JP 2002015744 A JP2002015744 A JP 2002015744A JP 2000199447 A JP2000199447 A JP 2000199447A JP 2000199447 A JP2000199447 A JP 2000199447A JP 2002015744 A JP2002015744 A JP 2002015744A
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catalyst
polymer electrolyte
fuel cell
catalyst layer
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JP2000199447A
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Shinji Terasono
真二 寺園
Masaru Yoshitake
優 吉武
Eiji Yanagisawa
栄治 柳沢
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Asahi Glass Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 優れたカソード分極特性を有し、高い電池出
力を得ることのできる固体高分子型燃料電池を提供す
る。 【解決手段】 アノードと、カソードと、アノードとカ
ソードとの間に配置された高分子電解質膜とを備えた固
体高分子型燃料電池であって、カソードが、ガス拡散層
と、当該ガス拡散層と高分子電解質膜との間に配置され
る触媒層と、を備えており、白金及び白金合金からなる
群から選ばれる貴金属触媒と、鉄又はクロムを含む金属
錯体とが触媒層に含有されており、かつ、金属錯体は、
当該金属錯体と貴金属触媒との合量の1〜40モル%含
まれることを特徴とする。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、固体高分子型燃料
電池に関する。
【0002】
【従来の技術】燃料電池は、電池反応による生成物が原
理的に水であり、地球環境への悪影響がほとんどないク
リーンな発電システムとして注目されている。
【0003】特に、高分子電解質膜を有する固体高分子
型燃料電池は、(1)高いイオン導電性を有する高分子
電解質膜が開発されたこと、(2)高分子電解質膜と同
種或いは異種のイオン交換樹脂(高分子電解質)で被覆
した触媒担持カーボンを電極触媒層の構成材料として使
用し、いわゆる触媒層内の反応サイトの3次元化が図ら
れるようになったこと等によって、電池特性が飛躍的に
向上した。そして、このような高い電池特性を得られる
ことに加え、小型軽量化が容易であることから、固体高
分子型燃料電池は、電気自動車等の移動車両や、小型コ
ジェネレーションシステムの電源等としての実用化が期
待されている。
【0004】そして、現在検討されている固体高分子型
燃料電池は、その作動温度領域が高分子電解質膜の耐熱
性やイオン伝導性等の制約により一般的に50〜120
℃と低く、その排熱を利用しにくいので、その実用化に
向けて、特に、純水素等のアノード反応ガス利用率及び
空気等のカソード反応ガス利用率の高い作動条件下にお
いて、高い発電効率、高い出力密度を得ることのできる
性能が要求されている。
【0005】通常、固体高分子型燃料電池に使用される
ガス拡散性の電極は、上記のイオン交換樹脂で被覆され
た触媒担持カーボンを含有する触媒層と、この触媒層に
反応ガスを供給すると共に電子を集電するガス拡散層と
からなる。そして、触媒層内には、構成材料となるカー
ボンの二次粒子間或いは三次粒子間に形成される微少な
細孔からなる空隙部が存在し、当該空隙部が反応ガスの
拡散流路として機能している。また、上記の触媒として
は、イオン交換樹脂中において安定な白金、白金合金等
の貴金属触媒が通常使用されている。
【0006】そして、固体高分子型燃料電池には、例え
ばメタノールや天然ガスといった炭化水素系原燃料を水
蒸気改質して生成される水素含有ガス(燃料ガス)がア
ノード反応ガスとして用いられ、例えば空気等の酸素含
有ガスがカソード反応ガスとして用いられる。この場
合、アノードにおいては、以下の(2)式に、カソード
においては以下の(3)式に、それぞれ示す電極反応が
進行し、全体として(4)式に示す全電池反応が進行し
て起電力が発生する。 H2→2H++2e- …(2) (1/2)O2+2H++2e-→H2O …(3) H2+(1/2)O2→H2O …(4)
【0007】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、従来の
固体高分子型燃料電池においては、上記(2)式で示さ
れる水素酸化反応の活性化過電圧に比較して(3)式で
示される酸素還元反応の活性化過電圧が非常に大きいた
め、高い電池出力を得ることができないという問題があ
った。
【0008】本発明は、上記従来技術の有する課題に鑑
みてなされたものであり、優れたカソード分極特性を有
し、高い電池出力を得ることのできる固体高分子型燃料
電池を提供することを目的とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、上記目的
を達成するべく鋭意研究を重ねた結果、カソードの触媒
層に白金及び白金合金からなる群から選ばれる金属触媒
に加えて所定量の鉄又はクロムを有する金属錯体を含有
させることによりカソードにおける分極特性を向上させ
ることができることを見出し、本発明に到達した。
【0010】そこで、本発明は、アノードと、カソード
と、アノードとカソードとの間に配置された高分子電解
質膜とを備えた固体高分子型燃料電池であって、カソー
ドが、ガス拡散層と、当該ガス拡散層と高分子電解質膜
との間に配置される触媒層と、を備えており、白金及び
白金合金からなる群から選ばれる貴金属触媒と、鉄又は
クロムを含む金属錯体とが前記触媒層に含有されてお
り、かつ、金属錯体は、当該金属錯体と貴金属触媒との
合量の1〜40モル%含まれることを特徴とする固体高
分子型燃料電池を提供する。
【0011】このようにカソードの触媒層に含有されて
いる鉄又はクロムを有する金属錯体が当該金属錯体と前
記貴金属触媒との合量に対して1〜40モル%含まれる
ようにすることにより、(3)式で示されるカソードの
酸素還元反応の活性化過電圧を効果的に低減させること
ができ、その結果、カソードの分極特性が向上し高い電
池出力を得ることが可能となる。このように鉄又はクロ
ムを有する金属錯体をカソード触媒層中に含有させるこ
とによりカソードの酸素還元反応の活性化過電圧を低減
させることができる詳細な反応機構は解明されていない
が、例えば、金属錯体の中心金属元素となる鉄又はクロ
ムが当該錯体中において安定な2つの酸化数を有する状
態(鉄の場合は例えば+2と+3の状態、クロムの場合
は例えば+3と+6の状態、)をとることが可能であ
り、この錯体中の中心金属原子のレドックス(redo
x)特性が貴金属触媒上で起こる(3)式の酸素還元反
応において酸素の活性化に寄与し、反応を促進している
からであると考えられる。
【0012】ここで、金属錯体と前記貴金属触媒との合
量[モル]に対する金属錯体の物質量の割合が1モル%
未満となると、白金及び白金合金からなる群から選ばれ
る貴金属触媒の含有量に対して鉄又はクロムを有する金
属錯体の含有量が著しく少なくなるので、金属錯体の中
心金属のレドックスに基づく反応が貴金属触媒上で進行
する酸素還元反応に対して反応促進効果を十分に得るこ
とが困難となり、その結果、カソードの酸素還元反応の
活性化過電圧を効果的に低減させることが困難となる。
一方、上記の金属錯体の割合が40モル%を超えると、
本発明の金属錯体はそれ自体が絶縁体であるので、カソ
ードの触媒層の電気抵抗が増大し十分な電池電圧を得る
ことが困難となる。また、上記の金属錯体の割合は上記
と同様の観点から10〜30モル%であることがより好
ましい。
【0013】
【発明の実施の形態】以下、本発明の固体高分子型燃料
電池の好適な実施形態について詳細に説明する。本発明
の燃料電池は、アノード反応ガスと、カソード反応ガス
とを利用した電気化学反応によって電気エネルギーを発
生する。
【0014】この燃料電池は、平板状の単位セルと、単
位セルの両側に配置された2つのセパレータとから構成
されている。更に、単位セルは、カソードと、アノード
と、プロトン伝導性を有する高分子電解質膜から構成さ
れている。この燃料電池は、先に述べた電極活物質を使
用することにより、アノードにおいては、(2)式に、
カソードにおいては(3)式にそれぞれ示す電極反応が
進行し、全体として(4)式に示す全電池反応が進行し
て起電力が発生する。
【0015】ガス拡散電極であるカソード及びアノード
は、何れもガス拡散層と、これらのガス拡散層上に形成
された触媒層とからなる。
【0016】ガス拡散層は、単セルに供給された燃料ガ
ス又は空気を触媒層側に円滑かつ均一に供給すると共
に、それぞれの触媒層における(2)及び(3)式に示
す電極反応によって生じる電荷を単セルの外部に放出さ
せる役割や反応生成水や未反応ガス等を外部に放出する
役割を担うものである。ガス拡散層の構成材料として
は、例えば、電子伝導性を有する多孔質体(例えば、撥
水化剤とカーボン粉末とからなる層が表面に形成された
カーボンクロスやカーボンペーパー)が使用される。
【0017】燃料電池のカソード触媒層は、(3)式に
示す電極反応が起こる反応場となる。カソード触媒層
は、好ましくはイオン交換樹脂により被覆された触媒担
持カーボン粒子を主体として構成されており、更に白金
及び白金合金からなる群から選ばれる貴金属触媒と、鉄
又はクロムを有する金属錯体とが含有されている。そし
てカソード触媒層内において、金属錯体は当該金属錯体
と貴金属触媒との合量の1〜40モル%含まれている。
この条件を満たすときに、触媒層においては(3)式で
示される酸素還元反応の過電圧を十分に低減することが
できる。そのため、特にカソードのタ−フェル領域にお
ける分極特性が向上し、その結果電池出力が向上するこ
とになる。
【0018】触媒層中に含有される貴金属触媒として
は、固体高分子型燃料電池の運転温度が100℃以下で
あることが多いことと、通常触媒層に含有され触媒粒子
を被覆するイオン交換樹脂が強酸性であることが多いこ
とから、反応活性及び安定性に優れる白金又は白金合金
の好ましくは微粒子が使用される。また、白金合金とし
ては、金、コバルト、クロム、ニッケル、鉄、モリブデ
ン、タングステン、アルミニウム、ケイ素、レニウム、
亜鉛、及びスズからなる群から選ばれる1種以上の金属
と白金との合金(金属間化合物も含む)を使用すること
ができる。
【0019】この白金合金を製造する際の白金以外の添
加金属元素を含む原料化合物としては、上記元素の塩化
物、臭化物などのハロゲン化物、メトキシド、エトキシ
ドなどのアルコキシド、酸化物、硝酸塩、硫化物などが
あり、幅広く使用することができる。合金化処理の方法
は、不活性ガス雰囲気下において600〜900℃の温
度で熱処理を行い合金化を図ることが好ましい。
【0020】白金粒子又は白金合金の粒子径は、高活性
を得るために1〜20nmであることが好ましい。粒子
径が1nm未満であると粒子が容易に凝集又は溶解・再
析出を引き起こし粒子増大が起こる。一方、粒子径が2
0nmを超えると貴金属触媒の使用量に対して表面積が
相対的に小さくなるので、十分な触媒活性を得ることが
できない。また、白金粒子又は白金合金の粒子径は、こ
のような観点から、1.2〜5nmであることがより好
ましい。
【0021】また、貴金属触媒はカーボン担体に担持さ
れていることが好ましく、この場合、貴金属触媒の担持
量は、貴金属触媒と担体を合わせた触媒全質量に対する
貴金属触媒の質量が20〜70%であることが好まし
い。この値が20%未満であると各触媒層中の貴金属触
媒の量が不十分となり高電流密度領域において十分な電
池電圧を得ることができない。また、この値が70%を
超えると比表面積の大きな担体を使用しても触媒金属の
担持量が高いので触媒金属間での凝集を起し易く活性が
低下する恐れがある。
【0022】貴金属触媒として白金合金を使用する場
合、その組成は、白金が30〜90原子%、合金化する
金属が10〜70原子%であることが好ましい。白金が
30原子%未満となると酸素還元反応の活性が低下して
しまう傾向が大きくなる。一方、白金が90原子%を超
えると合金化する金属の割合が減少し合金化による効果
を得ることができなくなる傾向が大きくなる。更に、触
媒のカーボン担体としては既知のカーボン材料を使用す
ることができる。特に、チャンネルブラック、ファーネ
スブラック、サーマルブラック、アセチレンブラックな
どのカーボンブラックや活性炭などが好ましく使用され
る。
【0023】一方、本発明の固体高分子型燃料電池にお
いて使用される鉄又はクロムを有する金属錯体として
は、ハロゲンを含有するメタロセン系の化合物又はハロ
ゲンを含有するフタロシアニン系の化合物であることが
好ましく、メタロセン、ハロゲン含有メタロセン、ハロ
ゲン含有メタロセンの誘導体、ハロゲン含有フタロシア
ニン、ハロゲン含有フタロシアニンの誘導体からなる群
から選ばれる少なくとも1種であることがより好まし
い。なお、本明細書において「メタロセン」とはフェロ
セン、クロモセン等を示し、「ハロゲン含有メタロセ
ン」とは、ハロゲン原子を含有するメタロセンを示し、
「ハロゲン含有フタロシアニン」とは、ハロゲン原子を
含有するフタロシアニンを示す。例えば、ハロゲン含有
メタロセン又はその誘導体としては、フッ素化フェロセ
ン、フッ素化クロモセン、クロル化フェロセン、クロル
化クロモセン等が、ハロゲン含有フタロシアニン又はそ
の誘導体としては、ヘキサデカクロル鉄(II)フタロ
シアニン、フッ素化鉄(II)フタロシアニン等が挙げ
られる。
【0024】一方、燃料電池のアノード触媒層も、好ま
しくはイオン交換樹脂により被覆された表面積の大きな
触媒担持カーボンにより構成されている。アノードの触
媒層は、上記(2)式に示す電極反応を進行させる役割
を担う。貴金属触媒として白金を使用した場合(2)式
で表されるアノードにおける水素酸化反応の過電圧は非
常に小さいため、アノードの触媒層はカソードの触媒層
と同様の構成を適用する必要はなくその構造は特に限定
されない。
【0025】また、上述したようにカソード及びアノー
ドの触媒層にはイオン交換樹脂が含まれ該樹脂により触
媒が被覆されていることが好ましく、当該イオン交換樹
脂及び高分子電解質膜を構成する樹脂はスルホン酸基を
有するパーフルオロカーボン重合体(以下、スルホン酸
型パーフルオロカーボン重合体という)が好ましい。ス
ルホン酸型パーフルオロカーボン重合体は、触媒層内に
おいて長期間化学的に安定でかつ速やかなプロトン伝導
を可能にする。上記スルホン酸型パーフルオロカーボン
重合体は、テトラフルオロエチレンに基づく重合単位と
CF2=CF−(OCF2CFZ)m−Op−(CF2n
SO3Hで表されるフルオロビニル化合物に基づく重合
単位(式中、mは0〜3の整数、nは1〜12の整数、
pは0又は1であり、ZはF又はCF3である)とから
なる共重合体が好ましい。
【0026】上記フルオロビニル化合物の好ましい例と
しては、以下(i)〜(iv)の化合物が挙げられる。た
だし、下記式中、qは1〜8の整数、rは1〜8の整
数、sは1〜8の整数、tは1〜3の整数を示す。 CF2=CFO(CF2qSO3H (i) CF2=CFOCF2CF(CF3)O(CF2rSO3H (ii) CF2=CF(CF2sSO3H (iii) CF2=CF(OCF2CF(CF3))tO(CF22SO3H (iv)
【0027】なお、上記共重合体には、ヘキサフルオロ
プロピレン等の含フッ素オレフィン又はパーフルオロ
(アルキルビニルエーテル)に基づく重合単位が、テト
ラフルオロエチレンに基づく重合単位の25質量%以下
であればテトラフルオロエチレンに基づく重合単位と置
き換わって含まれていてもよい。
【0028】更に、アノード及びカソードの触媒層に含
有される場合、イオン交換樹脂のイオン交換容量(以
下、ARとする)は0.8〜1.6ミリ当量/g乾燥樹
脂(以下、meq./gとする)であることが好まし
い。一般に、イオン交換樹脂はA Rが大きいほど高い含
水率を有する。そして、これに伴ってイオン交換樹脂の
イオン伝導性が大きくなる。イオン交換樹脂のAR
0.8meq./g未満となると、反応サイトが著しく
減少するため十分な電池出力を得ることが困難になる傾
向がある。一方、イオン交換樹脂のARが1.6me
q./gを超えると、イオン交換樹脂中のイオン交換基
の密度が増大し、触媒層における排水性が低下してフラ
ッディングが発生し易くなる。触媒層に含有されている
イオン交換樹脂のARは、上記と同様の観点から、1.
0〜1.4meq./gであることがより好ましい。
【0029】また、カソード及びアノードのそれぞれの
触媒層の厚みはともに80μm以下であることが好まし
い。触媒層の厚みが80μmを超えると、触媒層内のガ
ス拡散性が著しく低下すると共にプロトン伝導抵抗が増
大し、カソードにおいては酸素還元反応過電圧が大きく
なり、アノードにおいては水素酸化反応過電圧が大きく
なって電池出力が低下してしまう傾向が大きくなる。
【0030】なお、アノード及びカソードのそれぞれの
触媒層には、必要に応じて撥水化剤を含有させてもよ
い。特に、触媒層中に撥水化剤を含有させることは、触
媒層中の排水性を向上させることができ、フラッディン
グの抑制効果が高まるので好ましい。ただし、撥水化剤
は絶縁体であるためその量は少量であるほど望ましく、
その添加量は0.01〜15質量%が好ましい。このよ
うな撥水化剤としては、ポリテトラフルオロエチレン
(以下、PTFEという)や溶媒に可溶な含フッ素樹脂
等が使用できる。
【0031】このようなガス拡散層と触媒層とからなる
カソードとアノードの形成方法は特に限定されるもので
はなく、例えば、以下のような形成方法に従って製造さ
れる。
【0032】先ず、触媒担持カーボンを調製する。例え
ば、白金化合物の塩として塩化白金酸の水溶液中又は水
/アルコール系溶媒中などに、金属錯体を溶解又は分散
させるとともにカーボンブラック等のカーボン担体を分
散させる。このとき、白金を合金化する場合には合金化
のための添加元素を含む原料化合物も添加する。次に、
加熱撹拌を行い、上記の化合物をカーボン担体に吸着さ
せる。必要であれば、溶液中のpHをアルカリ側とし、
添加元素を水酸化物などとしてカーボン担体上に沈析さ
せる。更に、触媒を担持させたカーボンのろ過、洗浄、
乾燥を適宜行う。そして、触媒担持カーボン微粒子に水
素ガス等により還元処理を施した後、ヘリウム、アルゴ
ン、窒素等の不活性ガス雰囲気下で、熱処理を行うこと
により電極触媒が得られる。
【0033】次に、イオン交換樹脂、触媒担持カーボ
ン、溶媒に溶解又は分散した液(以下、触媒層形成イン
クという)を調製する。ここで、触媒層を形成する際に
はこの触媒層形成インクに鉄又はクロムを有する金属錯
体を更に含有させる。また、上記の触媒層形成インクの
粘度は、電極の形成方法により好ましい範囲が異なり、
数十cP程度の分散液状のものから2万cP程度のペー
スト状のものまで、広い粘度範囲のものが使用できる。
粘度を調節するために、触媒層形成インクには増粘剤や
希釈溶媒が含まれていてもよい。
【0034】次に、この触媒層形成インクを、高分子電
解質膜、或いは撥水化剤とカーボンとからなる層が表面
に形成されたカーボンクロス等のガス拡散層となる材料
表面に、噴霧、塗布、濾過転写によって、高分子電解質
膜、或いはガス拡散層となる材料表面上に所定の構造を
有する触媒層を厚さが均一になるように形成する。
【0035】次に、触媒層を形成した高分子電解質膜と
ガス拡散層となる材料との接合、或いは、高分子電解質
膜と触媒層を形成したガス拡散層となる材料との接合を
行う。上記の両者の接合は、例えば、ホットプレスやロ
ールプレスにより行ってもよい。このとき、特開平7−
220741号公報等に開示されているように、特殊な
接着剤を用いて非加熱により両者を接合させてもよい。
また、予め用意したPTFEやポリエチレンテレフタレ
ートなどの基材平板上に触媒層を塗布等により形成した
後、これを高分子電解質膜にホットプレスにより転写す
る、いわゆる転写法を用いてもよい。このようにして、
カソード、アノード、及び単位セルが完成する。
【0036】以上、本発明の好適な実施形態について詳
細に説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるも
のではない。
【0037】すなわち、上記の実施形態においては、単
位セルのみの構成を有する固体高分子型燃料電池につい
て説明したが、本発明の固体高分子型燃料電池はこれに
限定されるものではなく、単位セルを複数積層したいわ
ゆるスタック構造を有するものであってもよい。また、
上記の実施形態においては、単位セルとしていわゆる電
極・膜接合体について説明したが、本発明の固体高分子
型燃料電池はこれに限定されるものではない。
【0038】更に、上記の実施形態においては、アノー
ド反応ガスとして水素を主成分とするガスを用いる場合
の固体高分子型燃料電池について説明したが、本発明の
固体高分子型燃料電池はこれに限定されるものではな
く、例えば、アノード反応ガスとしてメタノールガスを
アノードに直接導入する構成のものであってもよい。
【0039】
【実施例】以下、実施例及び比較例を挙げて本発明の固
体高分子型燃料電池の内容を更に詳しく説明するが、本
発明はこれらの実施例に限定されるものではない。な
お、以下に示す実施例及び比較例の固体高分子型燃料電
池について、カソードの触媒層の特徴を示す金属錯体と
前記貴金属触媒との合量に対する金属錯体の物質量の割
合を表1に示す。
【0040】(実施例1)実施例1の単位セルは、以下
に説明する手順により作製した。先ず、触媒層形成イン
クAとして、フェロセン0.1gをARが1.1me
q./gであるテトラフルオロエチレンに基づく重合単
位とCF2=CFOCF2CF(CF3)OCF2CF2
3Hに基づく重合単位とからなる共重合体の6%エタ
ノール溶液8g中に分散させ、そこに40質量%白金担
持カーボン1.4gとイオン交換水8gを撹拌しながら
添加した液を調製した。
【0041】次に、カソードのガス拡散層として、撥水
性カーボンクロス(繊維織布)を撥水性カーボン粉末層
(カーボンブラックとPTFEの混合物)で目詰めした
厚さ300μmものを用意した。また、高分子電解質膜
として、スルホン酸型パーフルオロカーボン重合体から
なるイオン交換膜(商品名:フレミオンHR、旭硝子社
製、AR=1.10meq./g、乾燥膜厚50.0μ
m)を用意した。更にアノードとして、市販のガス拡散
電極(商品名:ELAT、E−TEK社製,白金の担持
量;0.50mg/cm2,層厚;400μm)を用意
した。
【0042】次に、触媒層形成用の触媒層形成インクA
を上記カーボンクロスの撥水性カーボン粉末層側に層厚
が12.0μmとなるように塗布して乾燥させて触媒層
を形成したガス拡散電極を作製した。次に、作製したカ
ソード用ガス拡散電極は、アノードとともに、有効電極
面積が25cm2となるように切り出した。
【0043】次に、上記のようにして作製したアノード
及びカソードと、高分子電解質膜を、以下のようにして
接合し、いわゆる電極・膜接合体を作製した。すなわ
ち、カソード及びアノードを触媒層形成インクが塗布さ
れた面を内側に向けて対向させ、その間に高分子電解質
膜を挟み込んだ状態でホットプレスを行い接合させた。
【0044】ここで、作製したカソード用ガス拡散電極
について、触媒層中の白金担持量は0.5mg/cm2
であり、フェロセンと白金触媒との合量に対するフェロ
センの割合は16モル%であった。
【0045】(実施例2及び3)実施例2についてはフ
ェロセンの代りにクロモセンを100mg使用し、実施
例3についてはフェロセンの代りにヘキサデカクロル鉄
(II)フタロシアニン450mgを使用した以外は実
施例1と同様にして表1に示すカソード触媒層構造を有
する電極・膜接合体を得た。
【0046】(比較例1〜4)比較例1と比較例2につ
いてはフェロセンの添加量をそれぞれ5mg、400m
gとし、比較例3についてはフェロセンを使用せず、比
較例4についてはフェロセンの代りにコバルトテトラフ
ェニルポルフィリン300mgを使用した以外は実施例
1と同様にして表1に示すカソード触媒層構造を有する
電極・膜接合体を得た。
【0047】[電池特性試験]上記の実施例1〜実施例
3、比較例1〜比較例4の各単位セル(電極・膜接合
体)にセパレータを装着して測定セルとし、カレントパ
ルスジェネレータ(高砂製作所社製,FK400L及び
EX750L)を用いてカレントインタラプタ法による
電池特性試験を行った。測定条件は、水素導入口圧力;
0.15MPa、空気導入口圧力;0.15MPa、測
定セルの作動温度;80℃とし、作動前の開回路電圧を
測定し、その後、電流密度;0.2A/cm2及び1.
0A/cm2とした場合における起動初期の(測定開始
から約250分後)各測定セルの端子間電圧を測定し
た。なお、この作動条件において水素利用率が70%、
空気利用率が40%となように水素ガス及び空気の流量
を調節した。
【表1】
【0048】
【発明の効果】以上説明したように、本発明の固体高分
子型燃料電池によれば、カソードにおける酸素還元反応
過電圧が十分に低減される。従って、優れたカソード分
極特性を有し、高い電池出力を得ることのできる固体高
分子型燃料電池を提供することができる。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 柳沢 栄治 神奈川県横浜市神奈川区羽沢町1150番地 旭硝子株式会社内 Fターム(参考) 4G069 AA15 BA18 BA24A BA24B BC58A BC58B BC66A BC66B BC75A BC75B BE22A BE22B BE34A BE34B CC32 5H018 AA06 AS03 EE02 EE03 EE16 EE18 HH05 5H026 AA06 EE02 EE08 EE17 EE19 HH05

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 アノードと、カソードと、前記アノード
    と前記カソードとの間に配置された高分子電解質膜とを
    備えた固体高分子型燃料電池であって、 前記カソードが、ガス拡散層と、当該ガス拡散層と前記
    高分子電解質膜との間に配置される触媒層と、を備えて
    おり、 白金及び白金合金からなる群から選ばれる貴金属触媒
    と、鉄又はクロムを含む金属錯体とが前記触媒層に含有
    されており、かつ、 前記金属錯体は、当該金属錯体と前記貴金属触媒との合
    量の1〜40モル%含まれることを特徴とする固体高分
    子型燃料電池。
  2. 【請求項2】 前記金属錯体が、メタロセン、ハロゲン
    含有メタロセン、ハロゲン含有メタロセンの誘導体、ハ
    ロゲン含有フタロシアニン、ハロゲン含有フタロシアニ
    ンの誘導体からなる群から選ばれる少なくとも1種であ
    ることを特徴とする請求項1に記載の固体高分子型燃料
    電池。
  3. 【請求項3】 前記触媒層には、スルホン酸基を有する
    パーフルオロカーボン重合体が含まれることを特徴とす
    る請求項1又は2に記載の固体高分子型燃料電池。
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