JP2002008678A - 固体高分子型燃料電池 - Google Patents

固体高分子型燃料電池

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JP2002008678A
JP2002008678A JP2000181849A JP2000181849A JP2002008678A JP 2002008678 A JP2002008678 A JP 2002008678A JP 2000181849 A JP2000181849 A JP 2000181849A JP 2000181849 A JP2000181849 A JP 2000181849A JP 2002008678 A JP2002008678 A JP 2002008678A
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polymer electrolyte
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fuel cell
polymer
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JP2000181849A
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Shinji Terasono
真二 寺園
Masaru Yoshitake
優 吉武
Eiji Yanagisawa
栄治 柳沢
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Asahi Glass Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 カソードにおける酸素還元反応過電圧が十分
に低減されると共にフラッディングの発生が十分に防止
され、高い電池出力を起動初期から長期間にわたり安定
して得ることのできる固体高分子型燃料電池を提供す
る。 【解決手段】 燃料電池FCは、アノード8と、カソー
ド5と、アノードとカソードとの間に配置された高分子
電解質膜PEMとを有しており、更に、カソードが、ガ
ス拡散層4とガス拡散層と高分子電解質膜との間に配置
される触媒層1と触媒層2とを備えており、触媒層1に
含有されているスルホン酸基を有するパーフルオロカー
ボン重合体の比抵抗が13Ωcm以下であり、触媒層2
に含有されているスルホン酸基を有するパーフルオロカ
ーボン重合体の比抵抗が13Ωcmよりも大きいことを
特徴とする。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、固体高分子型燃料
電池に関する。
【0002】
【従来の技術】燃料電池は、電池反応による生成物が原
理的に水であり、地球環境への悪影響がほとんどないク
リーンな発電システムとして注目されている。
【0003】特に、高分子電解質膜を有する固体高分子
型燃料電池は、(1)高いイオン導電性を有する高分子
電解質膜が開発されたこと、(2)高分子電解質膜と同
種或いは異種のイオン交換樹脂(高分子電解質)で被覆
した触媒担持カーボン微粒子を電極触媒層の構成材料と
して使用し、いわゆる触媒層内の反応サイトの3次元化
が図られるようになったこと等によって、電池特性が飛
躍的に向上した。そして、このような高い電池特性を得
られることに加え、小型軽量化が容易であることから、
固体高分子型燃料電池は、電気自動車等の移動車両や、
小型コジェネレーションシステムの電源等としての実用
化が期待されている。
【0004】そして、現在検討されている固体高分子型
燃料電池は、その作動温度領域が高分子電解質膜の耐熱
性やイオン伝導性等の制約により一般的に50〜120
℃と低く、その排熱を利用しにくいので、その実用化に
向けて、特に、純水素等のアノード反応ガス利用率及び
空気等のカソード反応ガス利用率の高い作動条件下にお
いて、高い発電効率、高い出力密度を得ることのできる
性能が要求されている。
【0005】通常、固体高分子型燃料電池に使用される
ガス拡散電極は、上記のイオン交換樹脂で被覆された触
媒担持カーボン微粒子を含有する触媒層と、この触媒層
に反応ガスを供給すると共に触媒層において発生する電
荷を集電するガス拡散層とからなる。そして、ガス拡散
電極の触媒層内には、上記の構成材料となるカーボン微
粒子の二次粒子間に形成される微少な細孔からなる空隙
部が存在し、当該空隙部が反応ガスの拡散流路として機
能している。また、上記の触媒としては、イオン交換樹
脂中において安定な白金、又は白金合金等の貴金属触媒
が通常使用されている。
【0006】そして、固体高分子型燃料電池の電極活物
質としては、例えばメタノールや天然ガスといった炭化
水素系原燃料を水蒸気改質して生成される水素含有ガス
(燃料ガス)がアノード反応ガスとして用いられ、例え
ば空気等の酸素含有ガスがカソード反応ガスとして用い
られる。この場合、アノードにおいては、以下の(4)
式に、カソードにおいては以下の(5)式に、それぞれ
示す電極反応が進行し、全体として(6)式に示す全電
池反応が進行して起電力が発生する。 H2→2H++2e- …(4) (1/2)O2+2H++2e-→H2O …(5) H2+(1/2)O2→H2O …(6)
【0007】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、従来の
固体高分子型燃料電池においては、上記(4)式で示さ
れる水素酸化反応の過電圧に比較して(5)式で示され
る酸素還元反応の過電圧が非常に大きいため、高い電池
出力を得ることができないという問題があった。
【0008】また、電池反応の反応速度が比較的高い作
動条件のもとでは、アノードからカソードに向けて高分
子電解質膜中を移動するプロトンに伴って移動する水
(以下、プロトン同伴水という)の量と、カソードの電
極反応により生成し凝縮する生成水の量とが多くなるた
め、これらの水がカソードから外部に速やかに排出され
ず、カソードの触媒層内の空隙部がこれらの水により閉
塞されてしまう現象、いわゆるフラッディングの現象が
起こり易く、安定した高い電池出力を継続的に得ること
が困難であった。
【0009】本発明は、上記従来技術の有する課題に鑑
みてなされたものであり、カソードにおける酸素還元反
応過電圧が十分に低減されると共にフラッディングの発
生が十分に防止され、高い電池出力を起動初期から長期
間にわたり安定して得ることのできる固体高分子型燃料
電池を提供することを目的とする。
【0010】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、上記目的
を達成するべく鋭意研究を重ねた結果、カソードの触媒
層を複数の層から構成し、高分子電解質膜に接する最内
部の触媒層に含有されているイオン交換樹脂であるスル
ホン酸基を有するパーフルオロカーボン重合体の比抵抗
の値と、ガス拡散層に接する最外部の触媒層に含有され
ているスルホン酸基を有するパーフルオロカーボン重の
比抵抗の値とを変化させることにより、それぞれの触媒
層のプロトン伝導性と排水性とをコントロールできるこ
とを見出し、本発明に到達した。
【0011】そこで、本発明は、アノードと、カソード
と、アノードとカソードとの間に配置された高分子電解
質膜とを有する固体高分子型燃料電池であって、カソー
ドが、ガス拡散層と、当該ガス拡散層と高分子電解質膜
との間に配置される複数の触媒層と、を備えており、高
分子電解質膜に接する最内部の触媒層に含有されている
スルホン酸基を有するパーフルオロカーボン重合体の比
抵抗Xが13Ωcm以下であり、ガス拡散層に接する最
外部の触媒層に含有されているスルホン酸基を有するパ
ーフルオロカーボン重合体の比抵抗Yが13Ωcmより
も大きいこと、を特徴とする固体高分子型燃料電池を提
供する。
【0012】このように最内部の触媒層の比抵抗Xの値
を13Ωcm以下としかつ最外部の触媒層の比抵抗Yの
値を13Ωcmよりも大きくすることで、最内部の触媒
層と最外部の触媒層とのそれぞれに対して異なる機能を
明確に差別化して持たせることができる。
【0013】すなわち、最内部の触媒層には、比抵抗が
小さいスルホン酸基を有するパーフルオロカーボン重合
体(以下、スルホン酸型パーフルオロカーボン重合体と
いう)を含有させることにより当該最内部の触媒層のプ
ロトン伝導抵抗を効率よく低減させて反応サイトにおけ
る酸素還元反応過電圧を低減させ、電極反応を速やかに
進行させる機能を主として持たせることができる。一
方、比抵抗が大きいスルホン酸型パーフルオロカーボン
重合体は、一般にイオン交換容量(以下、ARという)
が低くその含水状態を低く保持できるので、これを最外
部の触媒層に含有させることにより、最外部の触媒層に
は、反応生成水やプロトン同伴水を外部へ効率よく排水
する機能を主として持たせることができる。
【0014】その結果、高分子電解質膜の近傍の触媒層
領域においては、酸素反応過電圧が低減されて多数の反
応サイトが有効に利用されるので、(5)式の酸素還元
反応速度を増大させることができ電池の高出力密度化を
図ることができる。一方、ガス拡散層の近傍の触媒層領
域においては、反応生成水やプロトン同伴水をスムーズ
に外部に排水することができるので、フラッディングの
発生の防止を図ることができる。したがって、このよう
に固体高分子型燃料電池を構成することにより、酸素還
元反応に有利でありかつ良好な排水構造を有する触媒層
を構築することができる。
【0015】ここで、Xの値が13Ωcmを超えると、
スルホン酸型パーフルオロカーボン重合体のARが一般
的に低くなるためその含水率が低くなり、酸素反応過電
圧を十分に低減できないので電池出力が低下する。ま
た、Yの値が、13Ωcm以下となると、スルホン酸型
パーフルオロカーボン重合体の含水率が高くなってその
離水性が低くなるため、最外部の触媒層における排水性
が低下し、フラッディングが発生し易くなる。
【0016】また上記と同様の観点から、X及びYの値
が、それぞれ下記式(1)〜(3)の条件:8≦X≦1
3…(1),13<Y≦15.5…(2),1≦(Y−
X)≦7.5…(3)を同時に満たしていることが好ま
しい。このように、XとYの値を(1)及び(2)の条
件を満たす範囲内において、(Y−X)の値を1Ωcm
以上とすることで、最内部の触媒層と最外部の触媒層と
のそれぞれに対して異なる機能をより明確に差別化して
持たせることができる。
【0017】ここで、本発明におけるスルホン酸型パー
フルオロカーボン重合体の比抵抗とは、25℃に保持し
た1mol/L硫酸水溶液中において測定されるスルホ
ン酸型パーフルオロカーボン重合体の比抵抗を示す。こ
の測定方法を具体的に説明すると、先ず、1mol/L
硫酸水溶液中に互いに平行となるように浸した2枚の白
金板電極の間にスルホン酸型パーフルオロカーボン重合
体により形成した膜を挟み込み、この両電極間の電気抵
抗を測定する。次に、この膜を電極板間から抜き取った
硫酸水溶液のみの状態における両電極間の電気抵抗を測
定し、この両測定値の差をもって膜の抵抗値とする。そ
して、この抵抗値を膜の膜厚で除すことにより膜の比抵
抗を得る。
【0018】なお、比抵抗測定のための電源には、一般
的に交流が使用される。直流を用いると、測定中に膜の
両面に濃度差を生じてこれによる膜電位の生成や、膜−
液界面の分極による誤差を生じるので好ましくない。更
に、比抵抗の測定は、上記のように膜面を貫通する方向
での測定と膜面に沿う方向での測定があるが、固体高分
子型燃料電池においてプロトンは膜面を貫通する方向で
伝導するため、以下の説明に用いる比抵抗の値は、全て
膜面を貫通する方向で測定した値を使用している。
【0019】
【発明の実施の形態】以下、図面を参照しながら本発明
の固体高分子型燃料電池の好適な実施形態について詳細
に説明する。なお、以下の説明においては、同一又は相
当部分には同一符号を付し、重複する説明は省略する。
【0020】図1は、本発明の固体高分子型燃料電池の
好適な実施形態にかかる単位セル及びセパレータを示す
断面図である。この燃料電池FCは、アノード反応ガス
とカソード反応ガスとを利用し、アノード8においては
(4)式に、カソード5においては(5)式にそれぞれ
示す電極反応を進行させ、全体として(6)式に示す全
電池反応を進行させることにより電気エネルギーを発生
する。
【0021】この燃料電池FCは、平板状の単位セルU
Cと、単位セルUCの両側に配置された2つのセパレー
タSP1とSP2とから構成されている。このセパレー
タSP1とSP2とはそれぞれカソード反応ガス流路9
とアノード反応ガス流路10と形成するためのものであ
る。更に、単位セルUCは、カソード5と、アノード8
と、プロトン伝導性を有する高分子電解質膜PEMとか
ら構成されている。
【0022】以下、図1に基づいて本実施形態の各構成
要素の詳細について説明する。
【0023】高分子電解質膜PEMは、例えば、含フッ
素重合体等の固体高分子材料によって形成されており、
湿潤状態下で良好なイオン伝導性を示すイオン交換膜で
ある。高分子電解質膜PEMを構成する固体高分子材料
としては、スルホン酸型パーフルオロカーボン重合体、
ポリサルホン樹脂、ホスホン酸基又はカルボン酸基を有
するパーフルオロカーボン重合体等を用いることができ
る。中でも、スルホン酸型パーフルオロカーボン重合体
が好ましく、商品としては例えば、ナフィオン(デュポ
ン社製)、フレミオン(旭硝子社製)等が挙げられる。
【0024】一方、ガス拡散電極であるカソード5及び
アノード8は、何れもガス拡散層4及びガス拡散層7
と、これらのガス拡散層上に形成された触媒層3及びガ
ス拡散層6とからなる。
【0025】ガス拡散層4及びガス拡散層7は、単セル
UCに供給された燃料ガス又は空気を触媒層側に円滑か
つ均一に供給すると共に、触媒層3及び触媒層6におけ
る(4)及び(5)式に示す電極反応によって生じる電
荷を単セルUCの外部に放出させる役割や反応生成水や
未反応ガス等を外部に放出する役割を担うものである。
ガス拡散層4及びガス拡散層7の構成材料としては、例
えば、電子伝導性を有する多孔質体(例えば、撥水化剤
とカーボン粉末とからなる層が表面に形成されたカーボ
ンクロスやカーボンペーパー)が使用される。
【0026】燃料電池FCのカソード触媒層3は、
(5)式に示す電極反応が起こる反応場となる。カソー
ド触媒層3は、スルホン酸型パーフルオロカーボン重合
体を被覆した表面積の大きな触媒担持カーボンブラック
微粒子を主体として構成されている。図1に示すよう
に、触媒層3は、高分子電解質膜PEM側に配置される
触媒層1と、ガス拡散層4側に配置された触媒層2とか
ら構成されている。
【0027】触媒層1と触媒層2とは、高分子電解質膜
PEMに接する触媒層1に含有されているスルホン酸型
パーフルオロカーボン重合体の比抵抗Xが13Ωcm以
下であり、ガス拡散層に接する触媒層2に含有されてい
るスルホン酸型パーフルオロカーボン重合体の比抵抗Y
が13Ωcmよりも大きくなるようにして形成されてい
る。
【0028】Xの値を13Ωcm以下としYの値を13
Ωcmよりも大きくすることにより、触媒層1において
は(5)式で示される酸素還元反応の過電圧を十分低減
し得るプロトン伝導性を確保することができる。そのた
め、特にカソードのターフェル領域における分極特性が
向上し、その結果電池出力が向上することになる。
【0029】ここで、触媒層1中の水量、すなわち、高
分子電解質膜PEM中を移動してくるプロトン同伴水の
凝縮分と高分子電解質膜PEMと触媒層1との界面から
触媒層1の厚さ方向に向けて移動しながら累積される反
応生成水とを合わせた水量は、反応生成水の累積分が少
ない分だけ触媒層2中の水量に比較して少量であり、触
媒層1は触媒層2程の排水性を備える必要はない。先に
も述べたように、一般に比抵抗の小さなスルホン酸型パ
ーフルオロカーボン重合体はその含水率が高くなるが、
上記の理由から触媒層1においては比抵抗の小さなスル
ホン酸型パーフルオロカーボン重合体を含有させても層
内のガス拡散性に大きな支障はきたさない。しかも、高
分子電解質膜PEM近傍ではカソード3からアノード8
への水の濃度勾配を駆動力とする逆拡散水もあるため、
さらに排水の負担は軽減されることになる。
【0030】一方、触媒層2においては触媒層2に比較
して比抵抗の大きなスルホン酸型パーフルオロカーボン
重合体を含有させており、このようなスルホン酸型パー
フルオロカーボン重合体は一般に含水率を低く保持でき
るので触媒層3全体の反応生成水の累積分とプロトン同
伴水の凝縮分とを効率よく外部に排出できる排水性を確
保することができる。そのため、フラッディングの発生
が十分に防止されるので、主として触媒層1において達
成される高い電池出力を起動初期から長期間にわたり安
定して出力することができる。
【0031】また、触媒層1及び触媒層2に含有される
スルホン酸型パーフルオロカーボン重合体は、触媒層1
及び触媒層2内において長期間化学的に安定でかつ速や
かなプロトン伝導を可能にする。例えば、スルホン酸型
パーフルオロカーボン重合体としては、テトラフルオロ
エチレンに基づく重合単位とCF2=CF−(OCF2
FZ)m−Op−(CF2n−SO3Hで表されるフルオ
ロビニル化合物に基づく重合単位(式中、mは0〜3の
整数、nは1〜12の整数、pは0又は1であり、Zは
F又はCF3である)とからなる共重合体が好ましい。
【0032】上記フルオロビニル化合物の好ましい例と
しては、以下(i)〜(iv)の化合物が挙げられる。た
だし、下記式中、qは1〜8の整数、rは1〜8の整
数、sは1〜8の整数、tは1〜3の整数を示す。 CF2=CFO(CF2qSO3H (i) CF2=CFOCF2CF(CF3)O(CF2rSO3H (ii) CF2=CF(CF2sSO3H (iii) CF2=CF(OCF2CF(CF3))tO(CF22SO3H (iv) なお、上記共重合体には、ヘキサフルオロプロピレン等
の含フッ素オレフィン又はパーフルオロ(アルキルビニ
ルエーテル)に基づく重合単位が、テトラフルオロエチ
レンに基づく重合単位の25質量%以下であればテトラ
フルオロエチレンに基づく重合単位と置き換わって含ま
れていてもよい。
【0033】触媒層1には比抵抗が13Ωcm以下のス
ルホン酸型パーフルオロカーボン重合体を使用するが、
このようなスルホン酸型パーフルオロカーボン重合体と
しては、そのARが1.0〜1.6ミリ当量/g乾燥樹
脂(以下、meq./gとする)であることが好まし
い。また、触媒層2には比抵抗が13Ωcmよりも大き
なスルホン酸型パーフルオロカーボン重合体を使用する
が、このようなスルホン酸型パーフルオロカーボン重合
体としても、そのARが1.0〜1.6ミリ当量/g乾
燥樹脂(以下、meq./gとする)であることが好ま
しい。
【0034】先にも述べたように、一般にスルホン酸型
パーフルオロカーボン重合体はARが大きいほど高い含
水率を有し、スルホン酸型パーフルオロカーボン重合体
のイオン伝導性及び水素や酸素等の反応ガス透過性が大
きくなる。ARの値が1.0meq./g未満となる
と、触媒層中の三相界面面積すなわち反応サイトが著し
く減少するため十分な電池出力を得ることが困難になる
傾向がある。一方、ARの値が1.6meq./gを超
えると、スルホン酸型パーフルオロカーボン重合体中の
イオン交換基の密度が増大し、触媒層1及び触媒層2に
おける排水性が低下してフラッディングが発生し易くな
る。また、ARの値は、上記と同様の観点から、1.1
〜1.4meq./gであることがより好ましい。
【0035】更に、高分子電解質膜PEMの近傍に反応
サイトの密度の高い領域を局在化させると共にプロトン
伝導抵抗を低減する観点と、その反応サイトの密度の高
い領域に十分に反応ガスを供給し得る反応ガス経路を確
保する観点と、この領域から水を効率よく排水してフラ
ッディングを確実に防止する観点とから、触媒層1の厚
みは10μm以下であることが好ましい。触媒層1の厚
みが10μmを超えると、プロトン伝導抵抗が増大し、
酸素還元反応過電圧が大きくなって電池出力が低下して
しまう傾向が大きくなる。また、触媒層1の厚みは上記
の観点から4〜8μmであることがより好ましい。
【0036】また、触媒層1に十分な反応ガスを供給し
得るガス拡散経路を有すると共に触媒層3全体の厚み方
向に累積された生成水等の水を外部に効率よく排水する
という観点から、触媒層2の厚みは20μm以下あるこ
とが好ましい。触媒層2の厚みが20μmを超えると、
ガス拡散性が低下して電池出力が低下してしまう傾向が
大きくなる。また、触媒層2の厚みは上記の観点から5
〜15μmであることがより好ましい。
【0037】更に、触媒層1及び触媒層2のそれぞれに
おける細孔径0.1μmを超える細孔の細孔容積は、
0.4〜10mL/gであることが好ましい。気体を構
成する分子は絶えずランダムな運動をしているが、ある
頻度で分子同士の衝突を繰り返している。この一回あた
りに走行する距離よりも細孔の孔径が大きければ、ガス
の透過に影響を与えにくいが、この距離より小さくなる
と細孔内のガス透過が抑制される。これは、気体分子と
細孔壁の相互作用が高い場合にはより顕著となる。
【0038】分子運動論より、気体中の分子が一つの衝
突から次の衝突までに走行する平均距離平均自由行程
(又は平均自由行路)を計算することができ、通常、酸
素、水などの平均自由行程は約0.05μm程度であ
る。したがって、細孔の孔径がこの2倍以上の0.1μ
mより大きなものの割合が高い程、これらのガス分子が
細孔壁に衝突する頻度が減り、結果的にガスの透過性が
高まるものと考えられる。なお、以下の説明において
は、細孔径が0.1μmを超える細孔から構成されたガ
ス拡散性と排水性に優れた空隙部を「ガス拡散有効空隙
部」という。触媒層1及び触媒層2におけるガス拡散有
効空隙部の細孔容積を上記の範囲とすることで、触媒層
1及び触媒層2における反応ガスのガス拡散性を十分に
確保することができる。
【0039】触媒層1及び触媒層2におけるガス拡散有
効空隙部の細孔容積が、0.4mL/g未満となると、
触媒層1及び触媒層2における反応ガスのガス拡散性を
十分に確保することが困難となる傾向がある。特に燃料
電池FCを高電流密度領域において作動させる場合、反
応サイトへの反応ガスの十分な供給が困難となり電池出
力が低下してしまう傾向がある。一方、このガス拡散有
効空隙部の細孔容積が、10mL/gを超えると各触媒
層の機械的強度が著しく低下するとともにイオン伝導抵
抗の増大が著しく大きくなってしまう傾向がある。ま
た、この触媒層1及び触媒層2におけるガス拡散有効空
隙部の細孔容積は、上記と同様の観点から、0.4〜
0.6mL/gであることがより好ましい。
【0040】また、触媒層1及び触媒層2のそれぞれに
おける全細孔容積に対するガス拡散有効空隙部の細孔容
積の割合は、50〜75vol.%であることが好まし
い。これにより各触媒層内において高いガス拡散性を確
保することができ、高出力を安定して得ることが可能に
なる。全細孔容積に対するガス拡散有効空隙部の細孔容
積の割合が、50vol.%未満であると、触媒層1及
び触媒層2における反応ガスのガス拡散性を十分に確保
することが困難となる傾向がある。一方、全細孔容積に
対するガス拡散有効空隙部の細孔容積の割合が、75v
ol.%を超えると、各触媒層の機械的強度が著しく低
下するとともにプロトン伝導抵抗の増大が著しく大きく
なってしまう傾向がある。
【0041】更に、ガス拡散有効空隙部を構成する細孔
の細孔径は、0.1〜200μmであることが好まし
い。各触媒層においてこのような細孔径を有する細孔の
細孔容積の割合を全細孔容積に対して50〜75vo
l.%とすることにより各触媒層において高いガス拡散
性と反応表面積を両立させる上で好ましい。ガス拡散有
効空隙部を構成する細孔のうち200μmを超える大き
な細孔径を有する細孔の割合が高くなると電極の厚みが
厚くなり、ガス拡散距離、電子伝導性の点で不利とな
る。
【0042】触媒層3中に含有される金属触媒として
は、固体高分子型燃料電池の運転温度が100℃以下で
あることが多いことと、触媒担持カーボン微粒子に被覆
されるスルホン酸型パーフルオロカーボン重合体が強酸
性であることから、反応活性及び安定性に優れる白金又
は白金合金の微粒子が使用される。また、白金合金とし
ては、金、コバルト、クロム、ニッケル、鉄、モリブデ
ン、タングステン、アルミニウム、ケイ素、レニウム、
亜鉛、及びスズからなる群から選ばれる1種以上の金属
と白金との合金又は金属間化合物を含有するものを使用
することができる。
【0043】この白金合金触媒を製造する際の白金と合
金化させる金属の化合物としては、塩化物、臭化物など
のハロゲン化物、メトキシド、エトキシドなどのアルコ
キシド、酸化物、硝酸塩、硫化物などがあり、幅広く使
用することができる。合金化処理の方法としては、担体
上の金属粒子の粒子径と分散状態に依存するが、不活性
ガス雰囲気下において600〜900℃の温度で熱処理
を行い合金化を図ることが好ましい。
【0044】白金粒子又は白金合金の粒子径は、高活性
を得るために1〜20nmであることが好ましい。粒子
径が1nm未満であると粒子が容易に凝集又は溶解・再
析出を引き起こし粒子増大が起こる。一方、粒子径が2
0nmを超えると金属触媒の使用量に対して表面積が相
対的に小さくなるので、十分な触媒活性を得ることがで
きない。また、白金粒子又は白金合金の粒子径は、この
ような観点から、1.2〜5nmであることがより好ま
しい。
【0045】また、金属触媒の担持量は、金属触媒と担
体を合わせた全触媒質量に対する金属触媒の質量が20
〜70%であることが好ましい。この値が20%未満で
あると各触媒層中の触媒量が不十分となり高電流密度領
域において十分な電池電圧を得ることができない。ま
た、この値が70%を超えると比表面積の大きな担体を
使用しても触媒金属の担持量が高いので触媒金属間での
凝集を起し易く活性が低下する恐れがある。
【0046】金属触媒として白金合金を使用する場合、
その組成は白金が30〜90原子%、合金化する金属が
10〜70原子%であることが好ましい。白金が30原
子%未満となると酸素還元反応の活性が低下してしまう
傾向が大きくなる。一方、白金が90原子%を超えると
合金化する金属の割合が減少し合金化による効果を得る
ことができなくなる傾向が大きくなる。更に、触媒のカ
ーボン担体としては既知のカーボン材料を使用すること
ができる。特に、チャンネルブラック、ファーネスブラ
ック、サーマルブラック、アセチレンブラックなどのカ
ーボンブラック、活性炭などが好ましく使用される。
【0047】一方、燃料電池FCのアノード8の触媒層
6も、スルホン酸型パーフルオロカーボン重合体を被覆
した表面積の大きな触媒担持カーボンブラック微粒子に
より構成されている。アノード8の触媒層6は、上記
(4)式に示す電極反応を進行させる役割を担う。金属
触媒として白金を使用した場合(4)式で表されるアノ
ード8における水素酸化反応の過電圧は非常に小さいた
め、アノード8の触媒層はカソード5の触媒層3と同様
の構成を適用する必要はなくその構造は特に限定されな
い。例えば、スルホン酸型パーフルオロカーボン重合体
としては、カソードにおいて説明した重合単位を有する
ものを使用してもよい。
【0048】なお、触媒層3及び触媒層6には、必要に
応じて撥水化剤を含有させてもよい。特に、触媒層3中
に撥水化剤を含有させることは、触媒層3中の排水性を
向上させることができ、フラッディングの抑制効果が高
まるので好ましい。ただし、撥水化剤は絶縁体であるた
めその量は少量であるほど望ましく、その添加量は0.
01〜15質量%が好ましい。このような撥水化剤とし
ては、ポリテトラフルオロエチレン(以下、PTFEと
いう)や溶媒に可溶な含フッ素樹脂等が使用できる。
【0049】このようなガス拡散層と触媒層とからなる
カソード5とアノード8の形成方法は特に限定されるも
のではなく、例えば、以下のような形成方法にしたがっ
て製造される。
【0050】先ず、触媒層形成インクを調製する。次
に、この触媒層形成インクを、高分子電解質膜PEM、
或いは撥水化剤とカーボンとからなる層が表面に形成さ
れたカーボンクロス等のガス拡散層となる材料表面に、
噴霧、塗布、濾過転写するなどして、高分子電解質膜P
EM、或いはガス拡散層となる材料表面上に所定の構造
を有する触媒層を厚さが均一になるように形成する。
【0051】次に、触媒層を形成した高分子電解質膜P
EMとガス拡散層となる材料との接合、或いは、高分子
電解質膜PEMと触媒層を形成したガス拡散層となる材
料との接合を行う。上記の両者の接合は、例えば、ホッ
トプレスやロールプレスにより行ってもよい。このと
き、特開平7−220741号公報等に開示されている
ように、特殊な接着剤を用いて非加熱により両者を接合
させてもよい。また、予め用意したPTFEやポリエチ
レンテレフタレートなどの基材平板上に触媒層を塗布等
により形成した後、これを高分子電解質膜PEMにホッ
トプレスにより転写する、いわゆる転写法を用いてもよ
い。このようにして、カソード5、アノード8、及び単
位セルUCが完成する。
【0052】ここで、二層構造の触媒層3の形成を行う
場合には、例えば高分子電解質膜PEM上にカソード形
成用の触媒層形成インクを直接二回塗布することによっ
て行ってもよい。この場合には、一回目の塗布は、触媒
層1を形成する工程となり、二回目の塗布は、触媒層2
を形成する工程となる。更に、上記の触媒層形成インク
の粘度は、電極の形成方法により好ましい範囲が異な
り、数十cP程度の分散液状のものから2万cP程度の
ペースト状のものまで、広い粘度範囲のものが使用でき
る。粘度を調節するために、触媒層形成インクには増粘
剤や希釈溶媒が含まれていてもよい。
【0053】以上、本発明の好適な実施形態について詳
細に説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるも
のではない。
【0054】例えば、上記の実施形態においては、二層
の触媒層構造を有するカソードを備えた固体高分子型燃
料電池について説明したが、本発明の固体高分子型燃料
電池はこれに限定されるものではなく、三層以上の触媒
層構造を有するカソードを備えるものであってもよい。
【0055】この場合には、複数の触媒層にそれぞれ含
有されているスルホン酸型パーフルオロカーボン重合体
の比抵抗が、最内部の触媒層から最外部の触媒層にかけ
て増加していくようになっていることが好ましい。この
ように、最内部の触媒層から最外部の触媒層にかけてそ
れぞれの触媒層中のスルホン酸型パーフルオロカーボン
重合体の比抵抗に傾斜を設けることにより、最内部の触
媒層と最外部の触媒層とが、それぞれに意図された効率
の良い電極反応の役割と効率の良い排水の役割を効果的
に発揮することができる。
【0056】また、上記の実施形態においては、単位セ
ルのみの構成を有する固体高分子型燃料電池について説
明したが、本発明の固体高分子型燃料電池はこれに限定
されるものではなく、単位セルを複数積層したいわゆる
スタック構造を有するものであってもよい。
【0057】更に、上記の実施形態においては、単位セ
ルとしていわゆる電極・膜接合体について説明したが、
本発明の固体高分子型燃料電池はこれに限定されるもの
ではない。例えば、熱処理によりアノードとカソードと
をそれぞれ高分子電解質膜に接合させず、高分子電解質
膜に対してアノードとカソードとを当該高分子電解質膜
に接触させ、高分子電解質膜に対するアノードとカソー
ドとのそれぞれの接触抵抗が最小値となるようにして、
高分子電解質膜をアノードとカソードとで外側から力学
的に加圧した状態で挟持させてもよい。
【0058】更に、上記の実施形態においては、アノー
ド反応ガスとして水素を主成分とするガスを用いる場合
の固体高分子型燃料電池について説明したが、本発明の
固体高分子型燃料電池はこれに限定されるものではな
く、例えば、アノード反応ガスとしてメタノールをアノ
ードに直接導入する構成のものであってもよい。
【0059】
【実施例】以下、実施例及び比較例を挙げて本発明の固
体高分子型燃料電池の内容を更に詳しく説明するが、本
発明はこれらの実施例に限定されるものではない。な
お、以下に示す実施例及び比較例の固体高分子型燃料電
池について、カソードの触媒層の構造の特徴を示すスル
ホン酸型パーフルオロカーボン重合体の比抵抗、層厚、
ガス拡散有効空隙部の細孔容積、及びその全空隙部に対
する割合を表1に示す。 (実施例1)実施例1の単位セルは、以下に説明する手
順により作製した。先ず、触媒層形成インクAとして、
40質量%白金担持カーボン微粒子1.4gを、比抵抗
が8.5Ωcmであるスルホン酸型パーフルオロカーボ
ン重合体の6%エタノール溶液10g中に分散させ、更
にイオン交換水8gを添加した液を調製した。また、触
媒層形成インクBとして、比抵抗が14.4Ωcmであ
るスルホン酸型パーフルオロカーボン重合体を用いた以
外は触媒層形成インクAと同様の組成の液を調製した。
【0060】次に、カソードのガス拡散層として、撥水
性カーボンクロス(繊維織布)を撥水性カーボン粉末層
(カーボンブラックとPTFEの混合物)で目詰めした
厚さ300μmのものを用意した。また、高分子電解質
膜として、スルホン酸型パーフルオロカーボン重合体
(商品名:フレミオンHR、旭硝子社製、AR=1.1
0meq./g、乾燥膜厚50.0μm)を用意した。
更にアノードとして、市販のガス拡散電極(商品名:E
LAT、E−TEK社製,白金の担持量;0.5mg/
cm2,層厚;400μm)を用意した。
【0061】次に、触媒層形成用の触媒層形成インクB
を上記カーボンクロスの撥水性カーボン粉末層側に層厚
が8μmとなるように1回塗布して乾燥させてガス拡散
層側の触媒層とした。次に、その上に触媒層形成インク
Aを層厚が7.0μmとなるように1回塗布して乾燥さ
せて高分子電解質膜側の触媒層としガス拡散電極を作製
した。次に、作製したガス拡散電極は、アノード、カソ
ードともに、有効電極面積が25cm2となるように切
り出した。
【0062】上記のようにして作製した、アノード、カ
ソードと、高分子電解質膜を、以下のようにして接合
し、いわゆる電極・膜接合体(単位セル)を作製した。
すなわち、カソード及びアノードを触媒層形成インクが
塗布された面を内側に向けて対向させ、その間に高分子
電解質膜を挟み込んだ状態でホットプレスを行い接合さ
せた。ここで、作製したカソード用ガス拡散電極につい
て、担持された白金の量は0.5mg/cm2であり、
水銀ポロシメータにより測定した触媒層内のガス拡散有
効空隙部の細孔容積は1.5mL/g、ガス拡散有効空
隙部の全細孔容積に対する割合は70vol.%であっ
た。 (実施例2及び比較例1〜4)先ず、触媒層形成インク
C〜Fとして、比抵抗がそれぞれ14.9Ωcm、9.
1Ωcm、7.0Ωcm、12.5Ωcmであるスルホ
ン酸型パーフルオロカーボン重合体を用いた以外は触媒
層形成インクAと同様の組成の液を調製した。次に、実
施例1と同様にして表1に示すカソード触媒層構造を有
する電極・膜接合体を得た。 [電池特性試験]上記の実施例1及び2、比較例1〜4の
単位セル(電極・膜接合体)にセパレータを装着して測
定セルとし、カレントパルスジェネレータ(高砂製作所
社製,FK400L及びEX750L)を用いてカレン
トインタラプタ法による電池特性試験を行った。測定条
件は、水素導入口圧力;0.15MPa(絶対圧力)、
空気導入口圧力;0.15MPa(絶対圧力)、測定セ
ルの作動温度;8℃とし、作動前の開回路電圧を測定
し、その後、電流密度;1.0A/cm2における測定
セルの分極特性の1000時間にわたる経時変化を測定
した。なお、この作動条件において水素利用率が70
%、空気利用率が40%となように水素ガス及び空気の
流量を調節した。これらの各測定セルの試験結果を表1
に示す。
【0063】ここで、表1に示す作動前の開回路電圧の
値は(5)式で表されるカソードの反応が平衡状態にあ
るときの交換電流密度の大きさを反映しているとみなせ
るので、各測定セルの作動前の開回路電圧の値を比較す
ることにより、(5)式の反応が平衡状態にあるときの
酸素還元反応の過電圧の大きさを評価することができ
る。また、電流密度;1.0A/cm2における端子間
電圧の値からは、酸素及びプロトンの拡散律速の影響
(すなわちこれらの濃度過電圧)を含んだより実用的な
作動条件(電池電圧条件)の下での過電圧の大きさを評
価することができる。
【0064】なお、表1においてY−Xの値は、二層構
造を有するカソードの触媒層における、ガス拡散層側の
触媒層に含有されているスルホン酸型パーフルオロカー
ボン重合体の比抵抗Yと高分子電解質膜側の触媒層に含
有されているスルホン酸型パーフルオロカーボン重合体
の比抵抗Xとの差を示す。また、ΔVの値は、起動初期
(測定開始から約250分後)の測定セルの電池電圧
(端子間電圧)と、1000時間経過後の各測定セルの
電池電圧との差を示す。
【0065】
【表1】
【0066】
【発明の効果】以上説明したように、本発明の固体高分
子型燃料電池によれば、反応サイト近傍のプロトン伝導
抵抗を効果的に低減できる。同時に、反応サイトへの反
応ガスの供給を長期間にわたり保持することのできる良
好な排水構造を有する触媒層を構築することが可能とな
る。そのため、カソードにおける酸素還元反応過電圧が
十分に低減されるとともにフラッディングの発生も防止
される。したがって、本発明によれば、高い電池出力を
起動初期から長期間にわたり安定して得ることのできる
固体高分子型燃料電池を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明による固体高分子型燃料電池の好適な
一実施形態を示す模式断面図である。
【符号の説明】
1…高分子電解質膜側の触媒層、2…ガス拡散層側の触
媒層、3…カソード触媒層、4…ガス拡散層、5…カソ
ード、6…アノード触媒層、7…ガス拡散層、8…アノ
ード、9…カソード反応ガス流路、10…アノード反応
ガス流路、FC…燃料電池、PEM…高分子電解質膜、
SP1,SP2…セパレータ、UC…単位セル。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 柳沢 栄治 神奈川県横浜市神奈川区羽沢町1150番地 旭硝子株式会社内 Fターム(参考) 5H018 AA06 AS03 EE17 HH00 HH03 HH05 HH06 5H026 AA06 CC03 EE18

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 アノードと、カソードと、前記アノード
    と前記カソードとの間に配置された高分子電解質膜とを
    有する固体高分子型燃料電池であって、 前記カソードが、ガス拡散層と、当該ガス拡散層と前記
    高分子電解質膜との間に配置される複数の触媒層と、を
    備えており、 前記高分子電解質膜に接する最内部の触媒層に含有され
    ているスルホン酸基を有するパーフルオロカーボン重合
    体の比抵抗Xが13Ωcm以下であり、前記ガス拡散層
    に接する最外部の触媒層に含有されているスルホン酸基
    を有するパーフルオロカーボン重合体の比抵抗Yが13
    Ωcmよりも大きいこと、を特徴とする固体高分子型燃
    料電池。
  2. 【請求項2】 前記比抵抗X、及び前記比抵抗Yが、そ
    れぞれ下記式(1)〜(3)の条件を同時に満たしてい
    ること、を特徴とする請求項1に記載の固体高分子型燃
    料電池。 8≦X≦13 (1) 13<Y≦15.5 (2) 1≦(Y−X)≦7.5 (3)
  3. 【請求項3】 前記最内部の触媒層の厚みが10μm以
    下であることを特徴とする請求項1又は2に記載の固体
    高分子型燃料電池。
  4. 【請求項4】 前記複数の触媒層のそれぞれにおける細
    孔径0.1μmを超える細孔の細孔容積が0.4〜10
    mL/gであることを特徴とする請求項1〜3の何れか
    に記載の固体高分子型燃料電池。
  5. 【請求項5】 前記複数の触媒層のそれぞれにおける全
    細孔容積に対する細孔径0.1μmを超える細孔の細孔
    容積の割合が、50〜75vol.%であることを特徴
    とする請求項1〜4の何れかに記載の固体高分子型燃料
    電池。
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