JP2003059494A - 固体高分子型燃料電池の運転方法及び燃料電池装置 - Google Patents

固体高分子型燃料電池の運転方法及び燃料電池装置

Info

Publication number
JP2003059494A
JP2003059494A JP2001242358A JP2001242358A JP2003059494A JP 2003059494 A JP2003059494 A JP 2003059494A JP 2001242358 A JP2001242358 A JP 2001242358A JP 2001242358 A JP2001242358 A JP 2001242358A JP 2003059494 A JP2003059494 A JP 2003059494A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
cathode
fuel cell
reaction gas
polymer electrolyte
ion exchange
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP2001242358A
Other languages
English (en)
Inventor
Eiji Endo
栄治 遠藤
Shinji Terasono
真二 寺園
Wijaya Hardiyanto
ウィジャヤ ハルディヤント
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
AGC Inc
Original Assignee
Asahi Glass Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Asahi Glass Co Ltd filed Critical Asahi Glass Co Ltd
Priority to JP2001242358A priority Critical patent/JP2003059494A/ja
Publication of JP2003059494A publication Critical patent/JP2003059494A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Classifications

    • YGENERAL TAGGING OF NEW TECHNOLOGICAL DEVELOPMENTS; GENERAL TAGGING OF CROSS-SECTIONAL TECHNOLOGIES SPANNING OVER SEVERAL SECTIONS OF THE IPC; TECHNICAL SUBJECTS COVERED BY FORMER USPC CROSS-REFERENCE ART COLLECTIONS [XRACs] AND DIGESTS
    • Y02TECHNOLOGIES OR APPLICATIONS FOR MITIGATION OR ADAPTATION AGAINST CLIMATE CHANGE
    • Y02EREDUCTION OF GREENHOUSE GAS [GHG] EMISSIONS, RELATED TO ENERGY GENERATION, TRANSMISSION OR DISTRIBUTION
    • Y02E20/00Combustion technologies with mitigation potential
    • Y02E20/14Combined heat and power generation [CHP]
    • YGENERAL TAGGING OF NEW TECHNOLOGICAL DEVELOPMENTS; GENERAL TAGGING OF CROSS-SECTIONAL TECHNOLOGIES SPANNING OVER SEVERAL SECTIONS OF THE IPC; TECHNICAL SUBJECTS COVERED BY FORMER USPC CROSS-REFERENCE ART COLLECTIONS [XRACs] AND DIGESTS
    • Y02TECHNOLOGIES OR APPLICATIONS FOR MITIGATION OR ADAPTATION AGAINST CLIMATE CHANGE
    • Y02EREDUCTION OF GREENHOUSE GAS [GHG] EMISSIONS, RELATED TO ENERGY GENERATION, TRANSMISSION OR DISTRIBUTION
    • Y02E60/00Enabling technologies; Technologies with a potential or indirect contribution to GHG emissions mitigation
    • Y02E60/30Hydrogen technology
    • Y02E60/50Fuel cells

Abstract

(57)【要約】 【課題】 カソードに供給する反応ガス中の水蒸気量を
低減させるか又は全く無しとした場合であっても、高い
電池出力を起動初期から長期間にわたり安定して得るこ
とのできる固体高分子型燃料電池の運転方法及びこの運
転方法に基づいて作動する燃料電池装置の提供。 【解決手段】 固体高分子型燃料電池において、高分子
電解質膜に隣接して配置されるカソードの触媒層に、9
0℃における含水率W[%]が100≦W≦400の条
件を満たすイオン交換樹脂を含有させ、かつ、電池を運
転する際、カソードに供給する反応ガス中の水蒸気分圧
の値を、電池の作動温度よりも10℃低い温度における
飽和水蒸気圧の値以下に調節する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、固体高分子型燃料
電池の運転方法及び燃料電池装置に関する。
【0002】
【従来の技術】燃料電池は、電池反応による生成物が原
理的に水であり、地球環境への悪影響がほとんどないク
リーンな発電システムとして注目されている。
【0003】特に、高分子電解質膜(イオン交換膜)を
有する固体高分子型燃料電池は、(1)高いイオン導電
性を有する高分子電解質膜が開発されたこと、(2)高
分子電解質膜を構成する樹脂と同種或いは異種のイオン
交換樹脂(高分子電解質)で被覆した触媒担持カーボン
微粒子を電極触媒層の構成材料として使用し、いわゆる
触媒層内の反応サイトの3次元化が図られるようになっ
たこと等によって、電池特性が飛躍的に向上した。そし
て、このような高い電池特性を得られることに加え、小
型軽量化が容易であることから、固体高分子型燃料電池
は、電気自動車等の移動車両や、小型コジェネレーショ
ンシステムの電源等としての実用化が期待されている。
【0004】そして、現在検討されている固体高分子型
燃料電池は、その作動温度領域が高分子電解質膜の耐熱
性やイオン伝導性等の制約により一般的に50〜120
℃と低く、その排熱を利用しにくいので、その実用化に
向けて、特に、純水素等のアノード反応ガス利用率及び
空気等のカソード反応ガス利用率の高い作動条件下にお
いて、高い発電効率、高い出力密度を得ることのできる
性能が要求されている。
【0005】通常、固体高分子型燃料電池に使用される
ガス拡散電極は、上記のイオン交換樹脂で被覆された触
媒担持カーボン微粒子を含有する触媒層と、この触媒層
に反応ガスを供給すると共に触媒層において発生する電
荷を集電するガス拡散層とからなる。そして、ガス拡散
電極の触媒層内には、上記の構成材料となるカーボン微
粒子の二次粒子間及び/又は三次粒子間に形成される微
少な細孔からなる空隙部が存在し、当該空隙部が反応ガ
スの拡散流路として機能している。
【0006】従来の固体高分子型燃料電池においては、
高分子電解質膜及び上述の触媒を被覆しているイオン交
換樹脂(高分子電解質)が乾燥して含水量が低下する
と、そのイオン伝導度が低下し、その結果、電池電圧が
低下して、電池の発電効率(エネルギー変換効率)が低
下する。従って、燃料電池の発電効率を低下させること
なく高い水準に保持して作動させるためには、作動中の
電池において、高分子電解質膜及び触媒を被覆している
イオン交換樹脂の乾燥を防止することが必要となる。
【0007】そのため、例えば、アノード反応ガス及び
カソード反応ガスを電池の温度と同等またはそれに近い
温度において予め加湿してから電池に供給する方法や、
電池内に加湿用の水を直接供給し、電池内部において水
を気化させて加湿する等の方法が従来から知られてい
る。
【0008】具体的には、例えば、特開平6−3494
98号公報には、触媒層中に所定の条件で測定される含
水率が10〜80wt%となるプロトン伝導材、すなわ
ちイオン交換樹脂を含有させることにより、作動中の性
能の低下を抑えて高い電池電圧の達成を図った燃料電池
が提案されている。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上述の
ようにアノード反応ガス及びカソード反応ガスを電池の
温度と同等またはそれに近い温度において予め加湿して
から電池に供給する場合には、加湿用純水が多量に必要
であり、また、加湿のために必要とされる蒸発潜熱、す
なわち余分なエネルギーが多量に必要であった。
【0010】特に、カソードに供給する反応ガスを加湿
する場合(例えば、反応ガスとして酸素分圧の低い空気
を使用する等)には、反応ガスの供給量が多くなるの
で、多量の加湿用純水の確保するための貯水タンクの設
置や、加湿のために必要とされる蒸発潜熱、すなわち余
分なエネルギーが必要となっていた。そのため、発電シ
ステム全体を容易にコンパクト化することが困難であ
り、また、発電システム全体として十分なエネルギー変
換効率を得ることが困難であった。
【0011】また、上述のように電池内に加湿用の水を
直接供給し、電池内部において水を気化させて加湿する
場合にも、上記と同様の問題があり、更に、電池を低温
で作動させる場合等において水を十分に気化させること
ができないと、電極中に加湿用水が滞留しいわゆるフラ
ッディングの問題が起こり、電池電圧が急激に低下する
という問題があった。
【0012】一方、上記の加湿にともなう発電システム
全体のエネルギー損失を低減するとともにコンパクト化
を図るために、例えば、電極に供給する反応ガス中に含
まれる水蒸気量を少なくする等の加湿用の水の使用量を
少なくした状態、すなわち、いわゆる低加湿の条件のも
とでの電池の運転を試みる場合、或いは、電極に供給す
る反応ガスを全く加湿せず、例えば、電池反応の生成水
等を利用して作動中の電池の水分量の管理を行ういわゆ
る無加湿の条件のもとでの運転を試みる場合がある。
【0013】特に、カソードは、電池反応の生成水を高
分子電解質膜や触媒層中のイオン交換樹脂の水分量を調
節する水として利用し易いので、このような低加湿の条
件或いは無加湿の条件をカソードに適用した運転を試み
る場合がある。
【0014】しかし、上記の何れの場合においても前述
のように高分子電解質膜や電極に含有されるイオン交換
樹脂の乾燥を招き、意図に反して電池電圧が低下し、作
動中の発電効率が低下するという問題があった。また、
上記の何れの場合においても起動初期から長期にわたり
高い電池出力を安定して得ることが困難であった。
【0015】また、本発明者らは、特開平6−3494
98号公報に記載の固体高分子型燃料電池であっても、
反応ガスを電池の温度と同等またはそれに近い温度にお
いて予め加湿してから電池に供給する場合には、上述と
同様に発電システム全体を容易にコンパクト化すること
が困難であり、更に、発電システム全体として十分なエ
ネルギー変換効率を得ることが困難となるという問題が
依然としてあることを見出した。
【0016】また、本発明者らは、特開平6−3494
98号公報に記載の固体高分子型燃料電池であっても、
上述の低加湿の条件或いは無加湿の条件をカソードに適
用した運転を試みる場合には、高い電池出力を長期間に
わたり安定的に得ることができなくなるという問題があ
ることを見出した。
【0017】本発明は、上記従来技術の有する課題に鑑
みてなされたものであり、カソードに供給する反応ガス
中の水蒸気量を低減させるか又は全く無しとした場合で
あっても、高い電池出力を起動初期から長期間にわたり
安定して得ることのできる固体高分子型燃料電池の運転
方法及びこの運転方法に基づいて作動する燃料電池装置
を提供することを目的とする。
【0018】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、上記目的
を達成するべく鋭意研究を重ねた結果、含水率の高いイ
オン交換樹脂を用いてカソードの触媒層を構成すること
により、カソードに供給する反応ガス中の水蒸気量を低
減させるか又は全く無しとした場合であっても、電池出
力の低下を抑制しつつ、電池を起動初期から長期間にわ
たり安定的に作動させることができることを見出し、本
発明に到達した。
【0019】そこで、本発明は、アノードと、カソード
と、アノードとカソードとの間に配置された高分子電解
質膜とを有しており、かつ、カソードが高分子電解質膜
に隣接して配置される触媒層を有する固体高分子型燃料
電池の運転方法であって、カソードの触媒層には、90
℃における含水率W[%]が下記式(1)の条件:10
0≦W≦400…(1)を満たすイオン交換樹脂が含有
されており、かつ、カソードに供給する反応ガス中の水
蒸気分圧の値を、燃料電池の作動温度よりも10℃低い
温度における飽和水蒸気圧の値以下に調節して作動させ
ること、を特徴とする固体高分子型燃料電池の運転方法
を提供する。
【0020】ここで、本明細書において、「イオン交換
樹脂の含水率W」とは、下記式:W={(Xw−Xd)
/Xd}×100…(2)に基づく値を示す。なお、式
(2)中、Xwはイオン交換樹脂を160℃で30分熱
アニール処理を施した後に90℃の温水に保持し、更に
水中で室温に戻した後に測定した膨潤した状態の質量を
示し、Xdはイオン交換樹脂を減圧乾燥した後、更に窒
素雰囲気で室温に戻した後に測定した乾燥した状態の質
量を示す。
【0021】(1)式の条件を満たすイオン交換樹脂を
用いて構成された触媒層をカソードに用いることによ
り、上述のようなカソードに供給する反応ガス中の水蒸
気量を低減させるか又は全く無しとした加湿条件の場合
であっても、イオン交換樹脂の乾燥が効果的に抑制され
るので、イオン交換樹脂の比抵抗の増加が抑制される。
そのため、オーム損の増大が抑制されるとともに、イオ
ン交換樹脂の酸素ガス透過性の減少による酸素還元反応
の過電圧増大が抑制される。その結果、本発明の運転方
法によれば、固体高分子型燃料電池を高い電池出力を保
持させながら起動初期から長期間にわたり安定的に作動
させることができる。なお、本明細書において、カソー
ドに供給する反応ガスを以下、カソード反応ガスとい
う。また、アノードに供給する反応ガスを以下、アノー
ド反応ガスという。
【0022】ここで、カソードの触媒層に含有されてい
るイオン交換樹脂の含水率Wが100%未満であると、
上述のカソード反応ガスの加湿条件において電池を作動
させた場合に、イオン交換樹脂の比抵抗が増大し、オー
ム損及びイオン交換樹脂の酸素ガス透過性の減少に伴う
酸素還元反応の過電圧が増大して電池電圧が低下する。
【0023】一方、上記含水率Wが400%を超える
と、上述のカソード反応ガスの加湿条件において電池を
作動させた場合に、イオン交換樹脂は十分な保水性を有
するものの、含水率Wが高すぎてその機械的強度が不十
分となる。そのため、膨潤等してイオン交換樹脂の体積
が大きく変化することによりカソードの触媒層の構造変
化が発生したり、発電により生成する生成水に対しイオ
ン交換樹脂が溶解する。その結果、電池の耐久性が低下
し、電池を長期にわたり安定的に作動させることができ
なくなる。
【0024】なお、上記と同様の観点から、カソードの
触媒層に含有されているイオン交換樹脂の含水率Wは、
110〜350%であることが好ましく、120〜33
0%であることがより好ましい。
【0025】また、本発明において、カソード反応ガス
の加湿条件は、上述のように該反応ガス中の水蒸気分圧
の値を、燃料電池の作動温度よりも10℃低い温度にお
ける飽和水蒸気圧の値以下に調節することである。そし
て、本発明では、このカソード反応ガスの加湿条件のも
とで燃料電池を作動させる。ここで、カソード反応ガス
中の水蒸気分圧の値が燃料電池の作動温度よりも10℃
低い温度における飽和水蒸気圧の値を超えると、フラッ
ディングの発生等が懸念される。
【0026】カソード反応ガスの加湿条件は、式(1)
の条件を満たすイオン交換樹脂を含有する触媒層を備え
たカソードを使用し、かつ、上述のカソード反応ガス中
の水蒸気分圧の条件を満たすように決定すること以外は
特に限定されない。
【0027】例えば、このカソード反応ガス中の水蒸気
分圧の値は、燃料電池を電源として作動する装置の作動
条件、搭載される燃料電池の単セルの性能、燃料電池の
搭載数、燃料電池の作動条件(定電流又は定電圧駆動等
の駆動方式、作動温度、要求される電池出力、燃料ガス
種、燃料ガス利用率、反応ガスの分圧等)、燃料電池以
外の補助電源(二次電池等)がある場合にはこれの作動
条件等、を考慮して決定することができる。そして、こ
のカソード反応ガス中の水蒸気分圧の値は、実験データ
或いはシミュレーション等で予め把握しておくことが可
能である。
【0028】ただし、電池の作動温度が40〜100℃
の場合には、上述の構成のカソードの電極の特性を高い
水準でより安定的に得る観点から、カソード反応ガスの
加湿条件は、具体的には、反応ガス中の水蒸気分圧の値
が0.0006〜0.069MPaでかつ式(1)を満
たすように調節することが好ましい。
【0029】また、本発明は、アノードと、カソード
と、アノードとカソードとの間に配置された高分子電解
質膜とを有しており、かつ、カソードが高分子電解質膜
に隣接して配置される触媒層を有する固体高分子型燃料
電池と、還元剤となる反応ガスをアノードに供給するア
ノード反応ガス供給装置と、酸化剤となる反応ガスをカ
ソードに供給するカソード反応ガス供給装置と、を備え
る燃料電池装置であって、カソードの触媒層には、90
℃における含水率W[%]が下記式(1)の条件:10
0≦W≦400…(1)を満たすイオン交換樹脂が含有
されており、かつ、カソード反応ガス供給装置には、カ
ソードに供給する反応ガス中の水蒸気分圧の値を、燃料
電池の作動温度よりも10℃低い温度における飽和水蒸
気圧の値以下に調節する調節手段が備えられているこ
と、を特徴とする燃料電池装置を提供する。
【0030】本発明の燃料電池装置によれば、前述の本
発明の運転方法に基づいて固体高分子型燃料電池を作動
させるため、固体高分子型燃料電池のカソードに供給す
る反応ガス中の水蒸気量を低減させるか又は全く無しと
した場合であっても、燃料電池を高い電池出力を保持さ
せながら起動初期から長期間にわたり安定的に作動させ
ることができる。また、装置全体としての発電効率の低
下を十分に抑制でき、更に、装置全体のコンパクト化を
容易に図ることができる。
【0031】
【発明の実施の形態】以下、本発明の固体高分子型燃料
電池の運転方法及び燃料電池装置の好適な実施形態につ
いて詳細に説明する。
【0032】本発明の運転方法に使用する固体高分子型
燃料電池は、アノードと、カソードと、アノードとカソ
ードとの間に配置された高分子電解質膜とを有してお
り、かつ、カソードが前記高分子電解質膜に隣接して配
置される触媒層を備える構成を有している。
【0033】先ず、この固体高分子型燃料電池について
説明する。
【0034】カソードは電極触媒と式(1)の条件を満
たすイオン交換樹脂とを含む触媒層を有するガス拡散電
極である。カソードに使用される電極触媒は特に限定さ
れないが、例えば、白金又は白金合金からなる金属粒子
と、該金属粒子の担体となるカーボン担体とから構成さ
れていてもよい。
【0035】また、カソードの触媒層に含有されるイオ
ン交換樹脂は、式(1)の条件を満たす樹脂であれば特
に限定されないが、スルホン酸基を有するパーフルオロ
カーボン重合体からなることが好ましい。
【0036】このようなスルホン酸基を有するパーフル
オロカーボン重合体としては、特に、下記式(I)で表
されるパーフルオロビニル化合物に基づく繰返し単位
と、テトラフルオロエチレン(以下、TFEという)に
基づく繰返し単位とからなる共重合体が好ましい。ただ
し、下記式(I)中、mは0〜3の整数、nは1〜12
の整数、pは0又は1であり、Zはフッ素原子又はトリ
フルオロメチル基である。
【化1】
【0037】更に、上記の下記式(I)で表されるパー
フルオロビニル化合物の好ましい例としては、下記式
(i)〜(iv)で表される化合物が挙げられる。ただ
し、下記式(i)〜(iv)中、qは1〜8の整数、r
は1〜8の整数、sは1〜8の整数、tは1〜3の整数
を示す。
【化2】
【0038】一般には、イオン交換樹脂のイオン交換容
量(以下、ARという)が高いほどそのイオン交換樹脂
の含水率Wは高くなる傾向にある。そのため、上記の共
重合体を合成する際に、含水率Wが式(1)の条件を満
たすようにARを制御して合成することにより、目的の
イオン交換樹脂を得ることができる。ここで、イオン交
換樹脂のARは、乾燥樹脂1g当たりに含有されるイオ
ン交換基の当量数で定義される値[ミリ当量/g乾燥樹
脂](以下、meq./gとする)である。
【0039】また、スルホン酸基を有するパーフルオロ
カーボン重合体としては、上述の重合体以外に、主鎖に
脂肪族環構造を与えるモノマーに基づく繰返し単位と上
述の式(I)で表されるフルオロビニル化合物に基づく
繰返し単位とからなる共重合体も好適に用いることがで
きる。この場合にも、フルオロビニル化合物としては上
述の式(i)〜(iv)で表される化合物が好ましい。
【0040】ここで、「主鎖に脂肪族環構造を与えるモ
ノマー」とは、そのモノマーによる繰返し単位中の脂肪
族環構造の少なくともひとつの炭素原子が、生成ポリマ
ーの主鎖に共有されるものをいう。このようなモノマー
には、環化重合性のモノマーと環構造を有するモノマー
がある。
【0041】環化重合性モノマーとしては、パーフルオ
ロ(3−ブテニルビニルエーテル)(以下、BVEとい
う。)、パーフルオロ[(1−メチル−3−ブテニル)
ビニルエーテル]、パーフルオロ(アリルビニルエーテ
ル)、パーフルオロ(3,5−ジオキシ−1,6−ヘプ
タジエン)等が例示される。
【0042】環構造を有するモノマーとしては、パーフ
ルオロ(2,2−ジメチル−1,3−ジオキソール)、
パーフルオロ(1,3−ジオキソール)、パーフルオロ
(2−メチレン−4−メチル−1,3−ジオキソラ
ン)、2,2,4-トリフルオロ-5-トリフルオロメトキ
シ-1,3-ジオキソール等を例示することができる。
【0043】また、カソードにおいて、電極内における
反応サイト(三相界面)を十分に確保して高い電極反応
活性を得る観点から、電極触媒は上述のイオン交換樹脂
に被覆されていることが好ましい。
【0044】カソードの触媒層に含有される電極触媒に
対するイオン交換樹脂の被覆量は、電池の性能を大きく
作用する。この観点から、カソードの触媒層中のイオン
交換樹脂の含有量は、電極触媒の全質量に対して10〜
50質量%であることが好ましい。このカソードの触媒
層中のイオン交換樹脂の含有量が10質量%よりも小さ
いと、電極触媒が有効に利用されなくなるおそれがあ
る。一方、触媒層中のイオン交換樹脂の含有量が50質
量%よりも多くなると、酸素の物質移動が律速となり電
池特性が低下するおそれがある。
【0045】更に、カソードの触媒層中には、撥水化剤
が含まれていてもよく、この撥水化剤も特に限定され
ず、公知のものを使用してよい。
【0046】また、カソードの触媒層の層厚は、通常の
ガス拡散電極と同等であればよく、1〜100μmであ
ることが好ましく、3〜50μmであることがより好ま
しい。
【0047】なお、電極内におけるガス拡散性を十分に
確保して高い電極反応活性を得る観点から、カソード
は、触媒層のイオン交換膜に接触していない側の面にガ
ス拡散層を更に配置した構成とすることが好ましい。こ
のようなガス拡散層の構成材料は特に限定されないが、
例えば、電子伝導性を有する多孔質体(例えば、カーボ
ンクロスやカーボンペーパー)を用いてもよい。
【0048】一方、本発明において、アノードの構成は
特に限定されず、例えば、公知のガス拡散電極の構成を
有していてもよく、また上記のカソードと同様の構造を
有するように構成してもよい。ただし、カソードと同様
に、触媒層の他にガス拡散層を有していることが好まし
い。更に、アノードに使用する電極触媒は特に限定され
ず、例えば、カソードに用いた電極触媒を使用してもよ
い。
【0049】更に、本発明において、カソードの触媒層
に含まれるイオン交換樹脂も特に限定されるものではな
く、例えば、上述したアノードの触媒層に含まれるイオ
ン交換樹脂と同様の樹脂を使用してもよい。
【0050】また、固体高分子型燃料電池に使用する高
分子電解質膜は、湿潤状態下で良好なイオン伝導性を示
すイオン交換膜であれば特に限定されない。このような
イオン交換膜としては、例えば、カソードの触媒層に含
有されるイオン交換樹脂と同様のスルホン酸基を有する
パーフルオロカーボン重合体、ポリサルホン樹脂、ホス
ホン酸基又はカルボン酸基を有するパーフルオロカーボ
ン重合体等を用いることができる。中でも、スルホン酸
基を有するパーフルオロカーボン重合体が好ましい。ス
ルホン酸基を有するパーフルオロカーボン重合体として
は、例えば、ナフィオン(デュポン社製、商品名)、フ
レミオン(旭硝子社製、商品名)等が挙げられる。
【0051】本発明の運転方法は、以上説明した構成を
有する固体高分子型燃料電池において、カソードの触媒
層に先に述べた式(1)で表される含水率Wの条件を満
たすイオン交換樹脂を含有させておき、電池を運転する
際、カソードに供給するカソード反応ガス中の水蒸気分
圧の値を、電池の作動温度よりも10℃低い温度におけ
る飽和水蒸気圧の値以下に調節する。
【0052】カソードに供給するカソード反応ガス中の
水蒸気分圧の値を上述のように調節する方法としては、
上記の水蒸気分圧の条件を満たすようにしてカソード反
応ガス中に水を混入させることのできる方法であれば、
特に限定されない。また、このとき、カソード反応ガス
中に混入される水の状態は、カソードに供給される時点
で最終的に気体(水蒸気)となればよく、気体以外に固
体、液体の状態であってもよい。
【0053】具体的には、例えば、カソード反応ガスの
供給源とカソードとを結ぶガスライン上に、水を蓄えた
加湿器を設け、電池の作動温度と加湿器の温度を独立に
制御できる温度制御装置を設けて、カソード反応ガスを
カソードに供給する前にこの加湿器の水に通じて加湿す
る構成とする方法がある。この場合、温度制御装置によ
り電池作動中に加湿器の温度を電池の作動温度に対して
10℃以上低い所定の温度に常に調節可能とすることに
より、カソードに供給するカソード反応ガス中の水蒸気
分圧の値を上述のように調節することができる。
【0054】また、カソード反応ガスの供給源とカソー
ドとを結ぶガスライン上に、電池の作動温度等に基づい
て所定量の水を噴射等により混入し、更にこの水をガス
ライン中において気化させることによりカソード反応ガ
ス中の水蒸気分圧の値を上述のように調節することので
きる手段を設けてもよい。
【0055】次に、上述の本発明の運転方法に基づいて
作動する本発明の燃料電池装置について説明する。この
ような燃料電池装置は、上述の固体高分子型燃料電池
と、還元剤となるアノード反応ガスをアノードに供給す
るアノード反応ガス供給装置と、酸化剤となるカソード
反応ガスをカソードに供給するカソード反応ガス供給装
置と、を有する。そして、カソード反応ガス供給装置に
は、カソードに供給する反応ガス中の水蒸気分圧の値
を、燃料電池の作動温度よりも10℃低い温度における
飽和水蒸気圧の値以下に調節する調節手段が備えられて
いる。
【0056】カソード反応ガス供給装置の具体的な構成
は特に限定されないが、例えば、カソード反応ガスを所
定の圧力で供給するための圧力調整器と、圧力調整器か
ら流出する空気の流量を調節するマスフローコントロー
ラと、マスフローコントローラと固体高分子型燃料電池
との間のガスライン上に配置されており所定量のイオン
交換水を有する加湿器(バブラー)と、固体高分子型燃
料電池の作動温度に基づいて加湿器内の温度を制御し、
カソード反応ガス中の水蒸気分圧の値を調節する温度制
御装置(調節手段)からなる構成があげられる。
【0057】このカソード反応ガス供給装置は、上述の
本発明の固体高分子型燃料電池の運転方法におけるカソ
ード反応ガス中の水蒸気分圧の値の条件を満たすように
作動すればよく、圧力調整器、マスフローコントロー
ラ、加湿器及び温度制御装置の具体的構成は特に限定さ
れず、公知のものを使用することができる。
【0058】更に、カソード反応ガスとしては電池反応
の酸化剤となるガスであれば特に限定されないが、例え
ば、空気等の酸素含有ガスがあげられる。
【0059】また、アノード反応ガス供給装置の具体的
な構成も特に限定されないが、例えば、アノード反応ガ
スを所定の圧力で供給するための圧力調整器と、圧力調
整器から流出するアノード反応ガスの流量を調節するマ
スフローコントローラと、マスフローコントローラと固
体高分子型燃料電池との間のガスライン上に配置されて
おり所定量のイオン交換水を有する加湿器と、加湿器内
の温度を制御する温度制御装置からなる構成があげられ
る。なお、メタノールや天然ガスといった炭化水素系原
燃料を水蒸気改質することによりアノード反応ガスを製
造しこれを利用する場合には、改質装置を設けてもよ
い。
【0060】このアノード反応ガス供給装置も、圧力調
整器、マスフローコントローラ、加湿器及び温度制御装
置の具体的構成は特に限定されず、公知のものを使用す
ることができる。更に、アノード反応ガスとしては電池
反応の還元剤となるガスであれば特に限定されないが、
例えば、純水素ガス、メタノールや天然ガスといった炭
化水素系原燃料を水蒸気改質して生成される水素含有ガ
ス(燃料ガス)、或いはこれらに水蒸気を混入したガス
等があげられる。
【0061】また、先に述べたカソードの作製方法及び
アノードの作製方法は特に限定されるものではなく、共
に公知のガス拡散電極の製造方法により作製することが
できるが、イオン交換樹脂(カソードの触媒層の場合に
式(1)の含水率Wの条件を満たすイオン交換樹脂)と
電極触媒とを溶媒又は分散媒に溶解又は分散させた塗工
液を用いて作製することが好ましい。
【0062】ここで用いる溶媒又は分散媒としては、例
えばアルコール、含フッ素アルコール、含フッ素エーテ
ル等が使用できる。そして、塗工液をイオン交換膜又は
ガス拡散層となるカーボンクロス等に塗工することによ
り触媒層を形成することができる。また、別途用意した
基材に上記塗工液を塗工して塗工層を形成し、これをイ
オン交換膜上に転写することによってもイオン交換膜上
にカソードの触媒層を形成することができる。
【0063】ここで、触媒層をガス拡散層上に形成した
場合には、触媒層とイオン交換膜とを接着法(特開平7
−220741、特開平7−254420)やホットプ
レス等により接合することが好ましい。また、イオン交
換膜上に触媒層を形成した場合には、触媒層のみでガス
拡散電極を構成してもよいが、更に触媒層に隣接してガ
ス拡散層を配置し、ガス拡散電極としてもよい。そし
て、ガス拡散電極の外側に、ガスの流路が形成されたセ
パレータを配置し、固体高分子型燃料電池が構成され
る。
【0064】
【実施例】以下、実施例及び比較例を挙げて本発明につ
いて更に詳しく説明するが、本発明はこれらの実施例に
限定されるものではない。
【0065】(実施例1)実施例1の燃料電池装置に備
える固体高分子型燃料電池の単位セル(膜・電極接合
体)は、以下に説明する手順により作製した。
【0066】アノード及びカソードの電極触媒として
は、カーボンブラック粉末に白金を40質量%担持した
ものを用いた。
【0067】カソードの触媒層形成用の触媒分散液C1
を以下のようにして調製した。カソードの触媒層に含有
させるイオン交換樹脂として、TFEに基づく繰返し単
位と下記式(v)で表されるモノマーに基づく繰返し単
位とからなる共重合体からなるイオン交換樹脂(AR
1.33meq./g)を用意した。
【化3】
【0068】次に、上述のイオン交換樹脂をエタノール
に溶解させ、該樹脂の濃度が5質量%であるエタノール
溶液を調製した。なお、このイオン交換樹脂の含水率W
は150%であった。次に、上述のエタノール溶液及び
電極触媒を混合して、触媒分散液C1を調製した。な
お、この触媒分散液C1中の触媒(担体の質量を含む)
とイオン交換樹脂との質量比は、電極触媒の質量:イオ
ン交換樹脂の質量=0.80:0.20とした。
【0069】なお、イオン交換樹脂の含水率Wは、以下
の手順で測定した。先ず、イオン交換樹脂を電池作動温
度に近い90℃の温水中に16時間浸した後、更に水中
で室温に戻した後にすばやく表面の水分を取り除きイオ
ン交換樹脂の膨潤質量Xwを計測した。その後、減圧オ
ーブン内において乾燥温度を160℃としてイオン交換
樹脂を16時間減圧乾燥した後、更にこのイオン交換樹
脂をドライボックス中で窒素雰囲気下において室温にま
で戻した後にその乾燥質量Xdを計測した。そしてこの
XwとXdを利用して(1)式に基づき各イオン交換樹
脂の含水率Wを求めた。
【0070】アノードの触媒層形成用の触媒分散液A1
を以下のようにして調製した。アノードの触媒層に含有
させるイオン交換樹脂として、TFEに基づく繰返し単
位と上述の式(v)で表されるモノマー(以下、PSV
Eという)に基づく繰返し単位とからなる共重合体(T
FE−PSVE共重合体)でAR=1.1meq./g
のものを用意した。なお、上記イオン交換樹脂の含水率
は50%であった。
【0071】次に、このイオン交換樹脂をエタノールに
溶解させ、該樹脂の濃度が5質量%であるエタノール溶
液を調製した。次に、触媒分散液C1で用いたものと同
じ電極触媒の粉末を上記エタノール溶液中に添加して十
分に混合し、触媒分散液A1を調製した。なお、この触
媒分散液A1中の電極触媒(担体の質量を含む)とイオ
ン交換樹脂との質量比は、電極触媒の質量:イオン交換
樹脂の質量=0.80:0.20とした。
【0072】次に、ガス拡散層として、撥水性カーボン
クロス(繊維織布)を撥水性カーボン粉末層(カーボン
ブラックとPTFEの混合物)で目詰めした厚さ300
μmのものを用意した。また、高分子電解質膜として、
スルホン酸型パーフルオロカーボン重合体からなるイオ
ン交換膜(商品名:フレミオンS、旭硝子社製、AR
1.0meq./g、乾燥膜厚80μm)を用意した。
【0073】次に、カソードの触媒層の白金の含有量が
0.5mg/cm2となるように触媒分散液C1を高分
子電解質膜の一方の面に噴霧した。また、アノードの触
媒層の白金の含有量が0.5mg/cm2となるように
触媒分散液A1を上記高分子電解質膜のもう一方の面に
噴霧した。次に、上記の触媒分散液C1と触媒分散液A
1とを噴霧した高分子電解質膜を大気中、100℃で1
時間乾燥させた。このようにして、高分子電解質膜にア
ノードの触媒層とカソードの触媒層とを一体化させた膜
・触媒層接合体を作製した。
【0074】次に、上述の撥水性カーボンクロスを2枚
用意し、それぞれの撥水性カーボン粉末層が互いに対向
するように配置させた。次に、これら2枚の撥水性カー
ボンクロスの間に膜・触媒層接合体を挟み込んだ状態で
配置させ、ホットプレスを行い接合させて膜・電極接合
体を作製した。
【0075】(実施例2)以下の手順で調整したカソー
ドの触媒層形成用の触媒分散液を用いてカソードを作製
したこと以外は、実施例1と同様にして、膜・電極接合
体を作製した。
【0076】すなわち、カソードの触媒層形成用の触媒
分散液に含まれるイオン交換樹脂としてARが1.45m
eq./gのTFE−PSVE共重合体を用いた以外は
実施例1と同様にして、膜・電極接合体を作製した。な
お、上記共重合体の含水率Wは250%であった。
【0077】(実施例3)以下の手順で調整したカソー
ドの触媒層形成用の触媒分散液を用いてカソードを作製
したこと以外は、実施例1と同様にして、膜・電極接合
体を作製した。
【0078】すなわち、BVE−PSVE共重合体(A
R=0.99meq./g)を用い、これをエタノールに
溶解させて該樹脂の濃度が5質量%であるエタノール溶
液を調製した。なお、この共重合体の含水率Wは320
%であった。また、BVE−PSVE共重合体は以下の
ように合成した。
【0079】先ず、窒素雰囲気下、300mLのフラス
コ内に、BVE:120.0g、CF2=CFOCF2
F(CF3)O(CF22SO2F:128.5g、ジイ
ソプロピルパーオキシジカーボネート:0.76gを入
れ、40℃に加熱・撹拌することで重合を開始した。1
6.7時間経過後、重合を止め、フラスコ内の生成物を
ヘキサンに投入することで再沈殿させ、更にヘキサンで
3回洗浄した。洗浄後の生成物をろ過し、更に80℃で
16時間、真空乾燥させることにより白色のポリマー:
47.8gを得た。硫黄の元素分析によりこの白色のポ
リマーのARを求めたところ、0.99meq./gで
あった。このポリマーをアルカリで加水分解し、酸処
理、水洗、乾燥して、-SO2F基を-SO3H基に変換し
た。
【0080】(実施例4)以下の手順で調整したカソー
ドの触媒層形成用の触媒分散液を用いてカソードを作製
したこと以外は、実施例1と同様にして、膜・電極接合
体を作製した。
【0081】すなわち、カソードの触媒層形成用の触媒
分散液に含まれるイオン交換樹脂としてARが1.1me
q./gのBVE−PSVE共重合体を用いた以外は、
実施例1と同様にして、膜・電極接合体を作製した。な
お、上記共重合体の含水率Wは380%であった。
【0082】(比較例1)以下の手順で調整したカソー
ドの触媒層形成用の触媒分散液を用いてカソードを作製
したこと以外は、実施例1と同様にして、膜・電極接合
体を作製した。
【0083】すなわち、TFE−PSVE共重合体(A
R=0.91meq./g)を用い、これをエタノール
に溶解させて該樹脂の濃度が5質量%であるエタノール
溶液を調製した。なお、この共重合体の含水率Wは30
wt%であった。
【0084】(比較例2)以下の手順で調整したカソー
ドの触媒層形成用の触媒分散液を用いてカソードを作製
したこと以外は、実施例1と同様にして、膜・電極接合
体を作製した。
【0085】すなわち、TFE−PSVE共重合体(A
R=1.6meq./g)を用い、エタノールに溶解さ
せて該樹脂の濃度が5質量%であるエタノール溶液を調
製した。なお、この共重合体の含水率は450%であっ
た。
【0086】(比較例3)以下の手順で調整したカソー
ドの触媒層形成用の触媒分散液を用いてカソードを作製
したこと以外は、実施例1と同様にして、膜・電極接合
体を作製した。
【0087】すなわち、BVE−PSVE共重合体(A
R=0.7meq./g)を用い、エタノールに溶解さ
せてこのイオン交換樹脂の濃度が5質量%であるエタノ
ール溶液を調製した。なお、この共重合体の含水率は8
0%であった。
【0088】[電池特性試験]上記の実施例1〜実施例
4、比較例1〜比較例3の各単位セル(膜・電極接合
体)にガス流路の形成されたセパレータを装着して測定
セルとした。そして、各定セルにアノード反応ガス供給
装置とカソード反応ガス供給装置をガスラインを介して
接続し、更に、測定セルの温度を調節する温度制御装置
を接続し、燃料電池装置を構成した。
【0089】ここで、アノード反応ガス供給装置は、水
素ガスを所定の圧力で供給するための水素ボンベと、水
素ボンベから流出する水素ガスの流量を調節するマスフ
ローコントローラと、マスフローコントローラと測定セ
ルとの間のガスライン上に配置されており所定量のイオ
ン交換水を有する加湿器(バブラー)と、加湿器内の温
度を制御する温度制御装置からなる構成とした。
【0090】また、カソード反応ガス供給装置は、空気
を所定の圧力で供給するためのコンプレッサと、コンプ
レッサから流出する空気の流量を調節するマスフローコ
ントローラと、マスフローコントローラと測定セルとの
間のガスライン上に配置されており所定量のイオン交換
水を有する加湿器(バブラー)と、加湿器内の温度を制
御する温度制御装置(調節手段)からなる構成とした。
【0091】そして、燃料電池装置の測定セルに電子負
荷と直流電源(高砂製作所社製、FK400L及びEX
750L)を接続し、以下の作動条件のもとでの測定セ
ルの電流−電圧(端子間電圧)特性試験を行った。
【0092】すなわち、作動条件は、水素圧力:0.1
MPa、空気圧力:0.1MPa、測定セルの作動温
度:80℃とした。また、この作動条件において水素利
用率が70%、空気利用率が40%となように水素ガス
及び空気の流量を調節した。
【0093】ここで、アノード反応ガス供給装置におい
て、加湿器の温度を70℃に保持してこれに水素ガスを
通じることにより、該水素ガスを加湿した。このとき、
アノードに供給される水素ガス中の水蒸気分圧は0.0
30MPaであった。一方、カソード反応ガス供給装置
において、加湿器の温度を50℃に保持してこれに空気
を通じることにより該空気を加湿した。このとき、カソ
ードに供給される空気中の水蒸気分圧は0.012MP
aであった。
【0094】そして、各測定セルの出力電流密度を0.
3A/cm2に保持して発電した場合における各測定セ
ルの端子間電圧を経時的に測定した。なお、各測定セル
の端子間電圧は、起動後10時間、500時間及び10
00時間の値を測定した。その結果を表1に示す。
【0095】
【表1】
【0096】
【発明の効果】以上説明したように、本発明の固体高分
子型燃料電池の運転方法によれば、カソードに供給する
反応ガス中の水蒸気量を低減させるか又は全く無しとし
た場合であっても、固体高分子型燃料電池を電池出力を
高く保持しつつ、起動初期から長期間にわたり安定して
作動させることができる。また、この運転方法に基づい
て作動する本発明の燃料電池装置によれば、燃料電池の
カソードに供給する反応ガス中の水蒸気量を低減させる
か又は全く無しとした場合であっても、装置全体として
の発電効率の低下を十分に抑制できる。更に、装置全体
のコンパクト化を容易に図ることができる。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 ハルディヤント ウィジャヤ 神奈川県横浜市神奈川区羽沢町1150番地 旭硝子株式会社内 Fターム(参考) 5H018 AA06 AS03 EE18 HH08 HH09 5H026 AA06 CX05 EE19 HH08 HH09 5H027 AA06 CC00 KK01 KK46

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 アノードと、カソードと、前記アノード
    と前記カソードとの間に配置された高分子電解質膜とを
    有しており、かつ、前記カソードが前記高分子電解質膜
    に隣接して配置される触媒層を有する固体高分子型燃料
    電池の運転方法であって、 前記カソードの前記触媒層には、90℃における含水率
    W[%]が下記式(1)の条件を満たすイオン交換樹脂
    が含有されており、かつ、 前記カソードに供給する反応ガス中の水蒸気分圧の値
    を、前記燃料電池の作動温度よりも10℃低い温度にお
    ける飽和水蒸気圧の値以下に調節して作動させること、 を特徴とする固体高分子型燃料電池の運転方法。 100≦W≦400…(1)
  2. 【請求項2】 前記イオン交換樹脂がスルホン酸基を有
    するパーフルオロカーボン重合体であることを特徴とす
    る請求項1に記載の固体高分子型燃料電池の運転方法。
  3. 【請求項3】 アノードと、カソードと、前記アノード
    と前記カソードとの間に配置された高分子電解質膜とを
    有しており、かつ、前記カソードが前記高分子電解質膜
    に隣接して配置される触媒層を有する固体高分子型燃料
    電池と、 還元剤となる反応ガスを前記アノードに供給するアノー
    ド反応ガス供給装置と、 酸化剤となる反応ガスを前記カソードに供給するカソー
    ド反応ガス供給装置と、を備える燃料電池装置であっ
    て、 前記カソードの前記触媒層には、90℃における含水率
    W[%]が下記式(1)の条件を満たすイオン交換樹脂
    が含有されており、かつ、 前記カソード反応ガス供給装置には、前記カソードに供
    給する前記反応ガス中の水蒸気分圧の値を、前記燃料電
    池の作動温度よりも10℃低い温度における飽和水蒸気
    圧の値以下に調節する調節手段が備えられていること、
    を特徴とする燃料電池装置。 100≦W≦400…(1)
  4. 【請求項4】 前記イオン交換樹脂がスルホン酸基を有
    するパーフルオロカーボン重合体であることを特徴とす
    る請求項3に記載の燃料電池装置。
JP2001242358A 2001-08-09 2001-08-09 固体高分子型燃料電池の運転方法及び燃料電池装置 Pending JP2003059494A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2001242358A JP2003059494A (ja) 2001-08-09 2001-08-09 固体高分子型燃料電池の運転方法及び燃料電池装置

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2001242358A JP2003059494A (ja) 2001-08-09 2001-08-09 固体高分子型燃料電池の運転方法及び燃料電池装置

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JP2003059494A true JP2003059494A (ja) 2003-02-28

Family

ID=19072639

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2001242358A Pending JP2003059494A (ja) 2001-08-09 2001-08-09 固体高分子型燃料電池の運転方法及び燃料電池装置

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP2003059494A (ja)

Cited By (9)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2005041330A1 (ja) * 2003-10-24 2005-05-06 Asahi Glass Company, Limited 固体高分子型燃料電池用膜・電極接合体及びその製造方法
JP2006004856A (ja) * 2004-06-21 2006-01-05 Toyota Motor Corp 燃料電池
JP2006134838A (ja) * 2004-11-09 2006-05-25 Nippon Kodoshi Corp 電極及び該電極を接合した固体電解質膜並びに該固体電解質膜を使用した電気化学システム
JP2008523550A (ja) * 2004-12-10 2008-07-03 ヌベラ・フュエル・セルズ・ヨーロッパ・ソチエタ・ア・レスポンサビリタ・リミタータ 水素を内部で再循環させる燃料電池
WO2008153148A1 (ja) * 2007-06-15 2008-12-18 Sumitomo Chemical Company, Limited 触媒インク、触媒インクの製造方法、膜-電極接合体の製造方法及びこれにより得られる膜-電極接合体、並びに、燃料電池
JP2010165622A (ja) * 2009-01-19 2010-07-29 Toyota Motor Corp 燃料電池用触媒層とその製造方法
US8182951B2 (en) 2009-07-31 2012-05-22 Asahi Glass Company, Limited Fuel cell system
US8597855B2 (en) 2009-07-31 2013-12-03 Asahi Glass Company, Limited Electrolyte material, liquid composition and membrane/electrode assembly for polymer electrolyte fuel cell
JP2014222666A (ja) * 2014-07-29 2014-11-27 旭化成イーマテリアルズ株式会社 膜電極複合体、及び固体高分子電解質型燃料電池

Citations (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPH06111827A (ja) * 1992-09-25 1994-04-22 Tanaka Kikinzoku Kogyo Kk 高分子固体電解質型燃料電池
JPH06349498A (ja) * 1993-06-11 1994-12-22 Asahi Chem Ind Co Ltd ガス拡散電極、接合体、燃料電池及びそれらの製造方法
JPH10284087A (ja) * 1997-04-04 1998-10-23 Asahi Chem Ind Co Ltd 固体高分子型燃料電池用電極及び膜・電極接合体
JP2000188109A (ja) * 1998-12-21 2000-07-04 Asahi Glass Co Ltd 固体高分子電解質型燃料電池

Patent Citations (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPH06111827A (ja) * 1992-09-25 1994-04-22 Tanaka Kikinzoku Kogyo Kk 高分子固体電解質型燃料電池
JPH06349498A (ja) * 1993-06-11 1994-12-22 Asahi Chem Ind Co Ltd ガス拡散電極、接合体、燃料電池及びそれらの製造方法
JPH10284087A (ja) * 1997-04-04 1998-10-23 Asahi Chem Ind Co Ltd 固体高分子型燃料電池用電極及び膜・電極接合体
JP2000188109A (ja) * 1998-12-21 2000-07-04 Asahi Glass Co Ltd 固体高分子電解質型燃料電池

Cited By (11)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2005041330A1 (ja) * 2003-10-24 2005-05-06 Asahi Glass Company, Limited 固体高分子型燃料電池用膜・電極接合体及びその製造方法
JP2006004856A (ja) * 2004-06-21 2006-01-05 Toyota Motor Corp 燃料電池
JP2006134838A (ja) * 2004-11-09 2006-05-25 Nippon Kodoshi Corp 電極及び該電極を接合した固体電解質膜並びに該固体電解質膜を使用した電気化学システム
JP4744121B2 (ja) * 2004-11-09 2011-08-10 ニッポン高度紙工業株式会社 電極並びに該電極を接合した固体電解質膜及びその製造方法並びに該固体電解質膜を使用した電気化学システム
JP2008523550A (ja) * 2004-12-10 2008-07-03 ヌベラ・フュエル・セルズ・ヨーロッパ・ソチエタ・ア・レスポンサビリタ・リミタータ 水素を内部で再循環させる燃料電池
WO2008153148A1 (ja) * 2007-06-15 2008-12-18 Sumitomo Chemical Company, Limited 触媒インク、触媒インクの製造方法、膜-電極接合体の製造方法及びこれにより得られる膜-電極接合体、並びに、燃料電池
JP2009021231A (ja) * 2007-06-15 2009-01-29 Sumitomo Chemical Co Ltd 触媒インク、触媒インクの製造方法、膜−電極接合体の製造方法及びこれにより得られる膜−電極接合体、並びに、燃料電池
JP2010165622A (ja) * 2009-01-19 2010-07-29 Toyota Motor Corp 燃料電池用触媒層とその製造方法
US8182951B2 (en) 2009-07-31 2012-05-22 Asahi Glass Company, Limited Fuel cell system
US8597855B2 (en) 2009-07-31 2013-12-03 Asahi Glass Company, Limited Electrolyte material, liquid composition and membrane/electrode assembly for polymer electrolyte fuel cell
JP2014222666A (ja) * 2014-07-29 2014-11-27 旭化成イーマテリアルズ株式会社 膜電極複合体、及び固体高分子電解質型燃料電池

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP4917794B2 (ja) 燃料電池用膜/電極接合体、及びこれを含む燃料電池システム
JP4887580B2 (ja) ガス拡散電極及びこれを備えた固体高分子型燃料電池
KR101319377B1 (ko) 연료 전지용 촉매, 이를 포함하는 막-전극 어셈블리 및이를 포함하는 연료 전지 시스템
JP4649705B2 (ja) 固体高分子型燃料電池
JPH10334923A (ja) 固体高分子型燃料電池用膜・電極接合体
JP2003059494A (ja) 固体高分子型燃料電池の運転方法及び燃料電池装置
JP4349826B2 (ja) 燃料電池セル及び燃料電池
KR20070098136A (ko) 연료 전지용 막-전극 어셈블리 및 이를 포함하는 연료 전지시스템
JP3813406B2 (ja) 燃料電池
JP2002015743A (ja) 固体高分子型燃料電池
JP2008300135A (ja) 燃料電池用複合電解質膜とその製造方法、膜電極接合体および燃料電池
JP2013225433A (ja) 燃料電池
WO2006085619A1 (ja) 燃料電池
JP2002319421A (ja) 固体高分子型燃料電池の起動方法及び製造方法
JP2002008677A (ja) 固体高分子型燃料電池の製造方法
KR100959117B1 (ko) 연료 전지용 전극 및 이를 포함하는 연료 전지 시스템
JP4117430B2 (ja) ガス拡散電極及びそれを備えた燃料電池
JP4438283B2 (ja) 膜電極接合体
JP2002008678A (ja) 固体高分子型燃料電池
JP2003272637A (ja) 固体高分子型燃料電池用膜電極接合体
JP4779278B2 (ja) 固体高分子型燃料電池用膜・電極接合体
KR101112693B1 (ko) 연료전지용 막전극 접합체 및 이의 제조방법
JP2002252001A (ja) ガス拡散電極及びこれを備えた固体高分子型燃料電池
JP2005085611A (ja) 燃料電池用電極
KR100599811B1 (ko) 연료 전지용 막/전극 어셈블리 및 이를 포함하는 연료전지 시스템

Legal Events

Date Code Title Description
A521 Written amendment

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20040420

A521 Written amendment

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A821

Effective date: 20040420

RD03 Notification of appointment of power of attorney

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A7423

Effective date: 20050603

RD05 Notification of revocation of power of attorney

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A7425

Effective date: 20050610

A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20080630

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20110107

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20110201

A521 Written amendment

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20110325

A521 Written amendment

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A821

Effective date: 20110328

A02 Decision of refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A02

Effective date: 20111115