JP2002319421A - 固体高分子型燃料電池の起動方法及び製造方法 - Google Patents

固体高分子型燃料電池の起動方法及び製造方法

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JP2002319421A
JP2002319421A JP2001123378A JP2001123378A JP2002319421A JP 2002319421 A JP2002319421 A JP 2002319421A JP 2001123378 A JP2001123378 A JP 2001123378A JP 2001123378 A JP2001123378 A JP 2001123378A JP 2002319421 A JP2002319421 A JP 2002319421A
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current density
polymer electrolyte
conditioning
external circuit
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Yasuhiro Kunisa
康弘 国狭
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Asahi Glass Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 高い電池出力で迅速に起動することができる
固体高分子型燃料電池の起動方法及び製造方法の提供。 【解決手段】 固体高分子型燃料電池4を発電状態にす
る前に、燃料電池を外部回路7に接続し、燃料電池及び
外部回路に、発電時において外部負荷要求に基づき要求
される所定の出力電流密度の設定値よりも高い電流密度
値の電流を予め流すことによりコンディショニングす
る。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、固体高分子型燃料
電池の起動方法及び製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】水素・酸素燃料電池は、その反応生成物
が原理的に水のみであり、地球環境への悪影響のほとん
どない発電システムとして注目されている。その中で
も、イオン交換膜からなる高分子電解質膜を有する固体
高分子型燃料電池は、小型軽量化が容易であることか
ら、電気自動車等の移動車両や、小型コジェネレーショ
ンシステムの電源等としての実用化が期待されている。
そして、固体高分子型燃料電池は、出力密度の向上を図
るための電極やイオン交換膜の開発等、様々な検討がな
されている。
【0003】発電中の固体高分子型燃料電池のカソード
においてはプロトンと電子と酸素が反応して生成水が生
じる。ここで、プロトンはカソードに含まれるイオン交
換樹脂中の水で満たされたクラスター部分を通って移動
する。そのため、発電に際しては、カソード内の触媒を
被覆しているイオン交換樹脂の含水量を十分に確保する
必要がある。これにより触媒表面にプロトンが到達しや
すくなり、事実上の反応サイトを数多く得ることができ
る。カソードにおける反応サイトが増大すれば電池電圧
が増大するので、高い出力密度で作動する燃料電池を得
ることができる。
【0004】また、アノードについてもカソードと同様
に、発電に際してアノード内の触媒を被覆しているイオ
ン交換樹脂の含水量を十分に確保することにより高い出
力密度で作動する燃料電池を得ることができる。
【0005】固体高分子型燃料電池においては、発電中
の電極の触媒層に含まれるイオン交換樹脂の含水量を所
定の範囲に保持するため、加湿した反応ガスを電極に供
給している。しかし、電池を起動させる場合には、加湿
した反応ガスを電極に供給するだけでは、複雑な微細構
造を有する電極の触媒層中に分布しているイオン交換樹
脂に対して十分な量の水を供給することが困難であり、
発電開始時から高い電池電圧を得ることは困難であっ
た。
【0006】そのため、従来より、以下のような起動方
法が採用されている。すなわち、先ず、電池を発電状態
とする前に、電池の温度を所望の作動温度にまで昇温さ
せつつ加湿した反応ガスを電極に供給し、発電時に要求
される出力電流密度よりも低い電流密度(例えば、0.
3A/cm2程度)で放電させるいわゆるコンディショ
ニングを行う。このコンディショニングは、電池電圧が
放電初期の値から徐々に上昇しやがて殆ど変動しないほ
ぼ一定の値に安定化するまで行う。そしてコンディショ
ニングの後、電池の出力電流密度を発電時に要求される
値(例えば、0.5A/cm2程度)に設定し発電を開
始させる。電池を発電状態とする前にコンディショニン
グを行うことにより、発電開始時の電池電圧を大きくす
ることができる。
【0007】なお、コンディショニング中、電池は外部
回路に接続してあっても外部回路の抵抗値を調節するこ
と等により電源として用いられない状態となっている。
これに対して発電状態とは電池を外部回路に接続し電源
として使用する状態を示す。また、電池の昇温は、ヒー
ター等を用いて行う場合と、ヒーター等を用いずに放電
の際の反応熱を利用する場合とがある。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、本発明
者らは、上記従来の固体高分子型燃料電池の起動方法
は、コンディショニングする際の放電の電流密度が低い
ため、コンディショニングを開始してから発電を開始す
るまでにかかる時間が非常に長く、しかも、発電を開始
した後に得られる電池出力も不十分であることを見出し
た。
【0009】すなわち、従来の起動方法では、電池電圧
が徐々に上昇して一定の値に安定化するまでに長い時間
を要していた。また、その一定の値となった電池電圧自
体も不十分であった。
【0010】本発明は、上記従来技術の有する課題に鑑
みてなされたものであり、高い電池出力で迅速に起動す
ることができる固体高分子型燃料電池の起動方法及び製
造方法を提供することを目的とする。
【0011】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、上記目的
を達成するべく鋭意研究を重ねた結果、コンディショニ
ング時に燃料電池と外部回路に流す電流の電流密度値
を、外部負荷要求に基づき要求される所定の出力電流密
度の設定値よりも高くすることにより、コンディショニ
ングにかかる時間を低減できることを見出し、本発明に
到達した。
【0012】すなわち、本発明は、アノードと、カソー
ドと、アノードとカソードとの間に配置されたイオン交
換膜からなる高分子電解質膜とを有する固体高分子型燃
料電池の起動方法であって、燃料電池を発電状態にする
前に、燃料電池を外部回路に接続し、燃料電池及び外部
回路に、発電時において外部負荷要求に基づき要求され
る所定の有効電極面積あたりの出力電流密度の設定値よ
りも高い有効電極面積あたりの電流密度値になるような
電流を予め流すことによりコンディショニングすること
を特徴とする固体高分子型燃料電池の起動方法を提供す
る。
【0013】コンディショニングするときの電池及び外
部回路に流す電流の電流密度を上記の条件を満たすよう
に設定することにより、電極の触媒層中のイオン交換樹
脂の含水量を外部負荷要求に基づいて要求される所定の
出力を得ることが可能な水準にまで速やかに増大させる
ことができる。また、本発明の起動方法により固体高分
子型燃料電池を起動すれば、発電を開始した直後から従
来の起動方法よりも高い電池出力を得ることができる。
【0014】ここで、本発明において、「発電状態」と
は、電池を外部回路に接続し電源として使用する状態を
示す。また、「コンディショニング」とは、電池を外部
回路に接続し、かつ外部回路の抵抗値を調節すること等
により電池を電源として用いられない状態としたうえ
で、電池及び外部回路に電流を流すことをいう。
【0015】また、本発明において、「発電時において
外部負荷要求に基づき要求される所定の有効電極面積あ
たりの出力電流密度の設定値」とは、外部負荷要求が変
動しかつこれに応じて電池出力も変動させる場合であっ
ても、外部負荷要求に基づいて決定される電池出力[W
/cm2]を得るために必要な有効電極面積あたりの電
流密度値[A/cm2]である。この出力電流密度の設
定値は、燃料電池を電源として作動する装置の作動条
件、搭載される燃料電池の単セルの性能、燃料電池の搭
載数、燃料電池の作動条件(定電流又は定電圧駆動等の
駆動方式、作動温度、燃料ガス種、燃料ガス利用率、反
応ガスの分圧等)、燃料電池以外の補助電源(二次電池
等)がある場合にはこれの作動条件等、を決定すること
により、実験データ或いはシミュレーション等で予め把
握しておくことが可能である。そして、本発明において
は、予め把握されている出力電流密度の設定値よりも高
い電流密度値の電流を燃料電池と外部回路に流すことに
よりコンディショニングを行う。
【0016】例えば、燃料電池を定置用電源として使用
し定電流駆動させる場合、燃料電池に要求される出力電
流密度は電池効率や電池電圧の安定性を考慮して、一般
に0.1〜0.5A/cm2であり、この場合、前述の
出力電流密度の設定値は上記電流密度範囲(0.1〜
0.5A/cm2)に設定され、コンディショニングを
行なう際の電流密度は上記電流密度の0.5A/cm2
よりも高い値に設定される。また、燃料電池を自動車等
の移動車輌用電源として使用し定電流駆動させる場合に
は、例えば、0.1〜1.0A/cm2の範囲の高い出
力電流密度が要求されるので、この場合のコンディショ
ニング時の電流密度もこれに応じて1.0A/cm2
りも高い値が設定される。
【0017】更に、燃料電池を定置用電源として使用し
定電圧駆動させる場合、燃料電池に要求される出力電圧
は例えば0.6〜0.8Vであり、この範囲の出力電圧
を確保することが可能な出力電流密度値の範囲は、例え
ば0.1〜0.5A/cm2であり、この場合、コンデ
ィショニングを行なう際の電流密度は上記電流密度の
0.5A/cm2よりも高い値に設定される。また、燃
料電池を自動車等の移動車輌用電源として使用し定電圧
駆動させる場合には、例えば、出力電圧が一時的に0.
4〜0.6Vになる場合があるため、これに対応する出
力電流密度値の範囲は、0.5〜1.0A/cm2にな
ることもあり、この場合、1.0A/cm2よりも高い
値が設定される。
【0018】また、本発明は、アノードと、カソード
と、アノードとカソードとの間に配置されたイオン交換
膜からなる高分子電解質膜とを有する固体高分子型燃料
電池の製造方法であって、燃料電池を外部回路に接続
し、燃料電池及び外部回路に、発電時において外部負荷
要求に基づき要求される所定の有効電極面積あたりの出
力電流密度の設定値よりも高い有効電極面積あたりの電
流密度値になるような電流を流すコンディショニング工
程を経ること、を特徴とする固体高分子型燃料電池の製
造方法を提供する。
【0019】このように、燃料電池を製造する過程にお
いて、先に述べた本発明の固体高分子型燃料電池の起動
方法と同様の条件のコンディショニングを予め施してお
くことにより、電極の触媒層に含まれるイオン交換樹脂
を予め十分に含水させておくことが可能となるので、迅
速に起動し、しかも、発電開始時から高い電池出力を得
ることのできる固体高分子型燃料電池を製造することが
できる。
【0020】
【発明の実施の形態】以下、図面を参照しながら、本発
明の固体高分子型燃料電池の起動方法及び製造方法につ
いて詳細に説明する。
【0021】図1は、本発明の固体高分子型燃料電池の
起動方法に基づいて燃料電池をコンディショニングする
際の燃料電池とこれに接続された外部回路の基本構成の
一例を示す系統図である。
【0022】図1に示すように、燃料電池4には、直流
電源5と電子負荷6が接続されている。図1に示す燃料
電池4は、アノード1と、カソード2と、アノード1と
カソード2との間に配置されたイオン交換膜3とから構
成される膜・電極接合体を備えている。そして、アノー
ド1及び/又はカソード2は、少なくとも触媒とイオン
交換樹脂とを含有する触媒層(図示せず)と、撥水化処
理が施されたガス拡散層基材を有するガス拡散層(図示
せず)と、を有する構成のガス拡散電極である。
【0023】直流電源5と電子負荷6は、発電時に膜・
電極接合体において外部負荷要求に基づき要求される所
定の有効電極面積あたりの出力電流密度の設定値よりも
高い有効電極面積あたりの電流密度になるような電流を
燃料電池4を含む外部回路7内に流すことにより、燃料
電池4を放電した状態にしてコンディショニングするた
めのものである。
【0024】本発明の起動方法は、前述の条件のもとで
コンディショニングした後に発電を開始すればよく、そ
れ以外の起動の手順は限定されない。例えば、コンディ
ショニングを行う際の電池の温度は室温付近から作動温
度の間で特に限定されない。ただし、コンディショニン
グを行う際には燃料電池4を放電状態とするため、アノ
ード1及びカソード2にはそれぞれ反応ガスを供給して
おく必要がある。なお、反応ガスの加湿についても特に
限定されず、アノード1に供給する反応ガス或いはカソ
ード2に供給する反応ガスの何れか一方のみ加湿しても
よく、両者を共に加湿してもよい。更にこの時の加湿温
度等の加湿条件も特に限定されるものではない。
【0025】ここで、燃料電池4を速やかに起動させる
観点からは、燃料電池4の昇温は反応ガスの供給と同時
に行うことが好ましい。更に、上記と同様の観点から、
コンディショニングの開始も燃料電池4の昇温と同様に
反応ガスの供給と同時に行うことが好ましい。
【0026】前述の条件のもとでコンディショニングを
行なうことにより、コンディショニングの前において
は、触媒層中のイオン交換樹脂は十分に濡れていないの
で触媒層中の反応サイトが少なくコンディショニングせ
ずに発電した場合の電池電圧は低い。しかし、ここで先
に述べた条件を満たす高い電流密度でのコンディショニ
ングを施すことにより、触媒層中のイオン交換樹脂が短
時間のうちに含水されるので、発電時には、高い電池電
圧を保持しつつ負荷要求に基づいた出力電流密度の電流
を出力できる。
【0027】ここで、コンディショニングの際に、燃料
電池4及び当該燃料電池4に接続された外部回路7に流
す電流の電流密度値は、特に限定されず、先に述べたよ
うな燃料電池4の作動条件により決定してよい。しか
し、燃料電池4の作動条件として、先に述べた条件以外
に、カソード2には反応ガス(酸化剤ガス)として空気
を使用することが多いこと、アノード1には反応ガス
(燃料ガス)として純水素、メタノール改質ガス、又は
水素と二酸化炭素の混合ガス等の模擬ガスを使用するこ
と、発電時のこれらの反応ガスの圧力は多くの場合約
0.3MPa程度であること、燃料ガスを加湿するこ
と、酸化剤ガスを必要に応じて加湿する場合があること
等を考慮した場合、コンディショニングの際に、燃料電
池4及び当該燃料電池4に接続された外部回路7に流す
電流の電流密度値は0.7〜2.0A/cm2であるこ
とが好ましい。この電流密度の範囲で作動する場合に
は、特にカソード2の触媒層における生成水量が多くな
るので、該触媒層に含まれているイオン交換樹脂をより
短時間で十分に含水させることができる。そのため、触
媒層中の触媒の有効表面積をより広く確保することがで
きる。
【0028】コンディショニング時の電流密度が0.7
A/cm2よりも低い場合、カソード2での生成水の量
が不足して電極の触媒層のイオン交換樹脂全体を短時間
で十分に含水させることができなくなるおそれがある。
そしてこの場合、コンディショニングを開始した後に電
池電圧が安定するまでの時間が非常に長くかかる傾向が
ある。一方、コンディショニング時の電流密度が2.0
A/cm2を超えると、電池電圧が低くなりすぎて電解
状態になり、イオン交換膜3を破損するおそれがある。
更にこの場合、生成水が多くなりすぎるために触媒層の
細孔が閉塞され反応ガスの供給が阻害されるおそれがあ
る。そして、上記と同様の観点から、コンディショニン
グ時の電流密度は、1.0〜1.5A/cm2であるこ
とがより好ましい。
【0029】コンディショニングの時間は外部負荷要求
に基づき要求される所定の有効電極面積あたりの出力電
流密度の設定値と、コンディショニングの際の電流密度
値との関係にもより特に限定されないが、通常2時間〜
1日程度が好ましく、3〜15時間程度がより好まし
い。この時間が短すぎると充分にイオン交換樹脂が含水
せず出力が安定しないおそれがある。一方、必要以上に
長い時間コンディショニングを行ってもイオン交換樹脂
の含水状態はかわらなくなる。
【0030】燃料電池4を構成するイオン交換膜3は特
に限定されるものではなく公知のものを使用できる。例
えば、ナフィオン(デュポン社製)、フレミオン(旭硝
子社製)等のようなスルホン酸基を有するパーフルオロ
カーボン重合体(以下、スルホン酸型パーフルオロカー
ボン重合体という)からなるイオン交換膜が挙げられ
る。また、多孔体、織布、フィブリル等の補強材を含む
複合型の補強膜を使用してもよい。更に、用途によって
は炭化水素系又は一部フッ素化された炭化水素系のイオ
ン交換膜も使用してもよい。また、イオン交換膜3のイ
オン交換容量(以下、ARとする)は、0.5〜2.0
ミリ当量/g乾燥樹脂(以下、meq./gとする)で
あることが好ましく、0.8〜1.5meq./gであ
ることがより好ましい。
【0031】更に、アノード1及びカソード2の触媒層
に用いる触媒は白金又は白金合金をカーボンに担持した
触媒が好ましいが、その他各種合金系貴金属触媒やそれ
をカーボン等に担持した触媒を用いても構わず限定され
ない。また、触媒層に含有されるイオン交換樹脂も特に
限定されず、先に述べたイオン交換膜を構成する樹脂と
同じものを使用してもよく異なるものを使用してもよ
い。更に、触媒層中には、撥水化剤が含まれていてもよ
く、この撥水化剤も特に限定されず、公知のものを使用
してよい。
【0032】また、触媒層に含有されるイオン交換樹脂
のARもイオン交換膜3と同様に、0.5〜2.0me
q./gであることが好ましく、0.8〜1.5me
q./gであることがより好ましい。イオン交換樹脂の
Rが0.5meq./g未満となると、反応サイトが
著しく減少するため十分な電池出力を得ることが困難に
なる傾向がある。一方、イオン交換樹脂のARが2.0
meq./gを超えると、イオン交換樹脂中のイオン交
換基の密度が増大し、触媒層におけるガス拡散性或いは
排水性が低下してフラッディングが発生し易くなる。
【0033】次に、本発明の固体高分子型燃料電池の製
造方法について説明する。本発明の固体高分子型燃料電
池の製造方法は、図1に示す構成の燃料電池4を製造す
る過程において、前述の本発明の起動方法と同様のコン
ディショニングをおこなうコンディショニング工程を得
る方法であればよく、他の製造手順は特に限定されな
い。すなわち、図1に示したように、本発明のコンディ
ショニング工程は、燃料電池4を外部回路7に接続する
ことにより、発電時(使用時)において外部負荷要求に
基づき要求される所定の出力電流密度の設定値よりも高
い電流密度値の電流を流す工程である。そしてこの場合
にも、燃料電池4及び外部回路7に流す電流の電流密度
値は0.7〜2.0A/cm2であることが好ましい。
【0034】以上、本発明について詳細に説明したが、
本発明はこれに限定されるものではない。例えば、燃料
電池4の起動時のコンディショニング、或いは、燃料電
池4の製造時のコンディショニング工程において燃料電
池4に接続される外部回路7の構成は、図1に示した構
成に限定されることはない。例えば、図2に示す系統図
のように、複数個の燃料電池4の単位セルを直列に接続
したスタック8を使用する場合には、十分な電圧を得る
ことができるので図1に示した直流電源5を省き、電子
負荷6のみを接続するだけの構成としてもよい。
【0035】
【実施例】以下、実施例及び比較例を挙げて本発明の固
体高分子型燃料電池の起動方法及び製造方法の内容を更
に詳しく説明するが、本発明はこれらの実施例に限定さ
れるものではない。
【0036】(実施例1)アノード及びカソードの触媒
層に含有させるイオン交換樹脂を以下の手順に従って行
った。先ず、ステンレス鋼製オートクレーブに、重合開
始剤としてのジイソプロピルパーオキシカーボネート
と、CF2=CF−OCF2CF(CF3)−OCF2CF
2SO2Fとを仕込んだ。次いでオートクレーブ内を液体
窒素で充分に脱気した後、CF2=CF2を仕込んで40
℃にてバルク重合を開始した。
【0037】重合中は系外からCF2=CF2を導入する
ことによりオートクレーブ内の圧力を一定に保持した。
10時間後に未反応のCF2=CF2をパージして重合を
終了させ、得られたポリマー溶液をメタノールで凝集
し、洗浄、乾燥させてCF2=CF2に基づく繰り返し単
位とCF2=CF−OCF2CF(CF3)−OCF2CF
2SO2Fに基づく繰り返し単位とからなる共重合体を得
た。
【0038】その後、ジメチルスルホキシド30質量%
及びKOHを15質量%含む混合水溶液中でこの共重合
体を加水分解し、水洗した後1Nの塩酸中に浸漬するこ
とで−SO2F基を−SO3H基に変換し、スルホン酸型
パーフルオロカーボン重合体(AR=1.1meq./
g)を得た。
【0039】次に、触媒層形成用の触媒分散液を調製し
た。すなわち、40質量%白金担持カーボン触媒と、上
記のスルホン酸型パーフルオロカーボン重合体とを質量
比で7:3となるようにして、エタノール/水の混合溶
媒(質量比で1:1)に分散させることにより固形分濃
度5質量%の触媒分散液とした。
【0040】また、アノード及びカソードのガス拡散層
として、撥水性カーボン粉末層を有するガス拡散層シー
ト(ジャパンゴアテックス社製、商品名;「カーベルC
L」)を予め160℃、5MPa、の条件のもとで5分
間ホットプレスしたものを用意した。
【0041】次に、以下の手順に従いアノードおよびカ
ソードを作製した。触媒層形成用の触媒分散液をガス拡
散層シートの撥水性カーボン粉末層側に白金担持量が
0.5mg/cm2となるように1回塗布、乾燥させる
ことで触媒層を形成した。これを2枚作製し、さらに有
効電極面積が25cm2となるようにそれぞれ切り出
し、アノード及びカソードとした。
【0042】また、イオン交換膜としてスルホン酸型パ
ーフルオロカーボン重合体からなるイオン交換膜(旭硝
子社製、商品名;「フレミオンHR」、AR=1.1m
eq./g、乾燥膜厚;50μm)を使用した。
【0043】次に、アノード及びカソードともに触媒層
側の面を内側に向けて対向させ、その間にイオン交換膜
を挟み込んだ状態でホットプレスを行い接合させること
により、膜・電極接合体(固体高分子型燃料電池)を作
製した。
【0044】次に、膜・電極接合体を、図1に示した構
成の外部回路に接続し、以下に示す手順によりコンディ
ショニングを行なった。先ず、膜・電極接合体にガスの
流路が形成されたセパレータを装着して測定セルとし、
この測定セルに、電子負荷(高砂製作所社製、FK40
0L)と直流電源(高砂製作所社製、EX750L)を
図1と同様の構成となるように接続した。
【0045】次に、反応ガスとして水素ガス及び空気を
測定セルに供給するとともに測定セルの昇温を開始し
た。なお、この測定セルの昇温は、温水を循環させるこ
とにより行った。また、この時の測定セルに供給する水
素ガス及び空気の圧力は、発電した際の電流密度が1.
0A/cm2のときの測定セルの入口の圧力での0.1
5MPaとなるように調節した。更に、両方のガス共に
加湿器(温度;80℃)を使用して加湿した。
【0046】そして、測定セルの温度が80℃に到達し
た後は測定セルの温度を80℃に保持しつつ、測定セル
の端子間電圧がゼロ以下にならないように注意しながら
約5分の間に測定セル及び外部回路に流す電流の電流密
度値を1.5A/cm2まで徐々に増やした。続いて、
電流密度値を1.5A/cm2に保持したままの状態で
4時間測定セルのコンディショニングを行なった。この
時の測定セルの端子間電圧の経時変化を図3に示す。
【0047】次に、上記の電子負荷と直流電源を用いて
測定セルの発電時の電流電圧特性を測定した。測定条件
は、電流密度値をコンディショニング時よりも低い1.
0A/cm2に保持し、水素利用率を70%、空気利用
率を40%とした以外は、コンディショニング時と同様
の条件のもとで行った。電流密度の値を1.5A/cm
2から1.0A/cm2に切り替えた直後(発電開始直
後)からの端子間電圧の経時変化を示す曲線C1の結果
を図5に示す。
【0048】(比較例1)実施例1と全く同仕様の膜・
電極接合体を作製し、電流密度値を0.5A/cm2
し、電流密度値をこの値に保持したままの状態で4時間
測定セルのコンディショニングを行なったこと以外は、
実施例1と全く同様にして膜・電極接合体を起動した。
この時の測定セルの端子間電圧の経時変化を図4に示
す。そして、電流密度値をコンディショニング時よりも
高い1.0A/cm2に保持して実施例1と同様の条件
のもとで測定セルの発電時の電流電圧特性を測定した。
なお、電流密度の値を0.5A/cm2から1.0A/
cm2に切り替えた直後(発電開始直後)からの端子間
電圧の経時変化を示す曲線C2の結果を図5に示す。
【0049】
【発明の効果】本発明では、ガス拡散電極中に含有され
ているイオン交換樹脂を速やかに膨潤させて樹脂内のイ
オン伝導抵抗を十分に低くした状態とすることができ
る。そのため、本発明の固体高分子型燃料電池の起動方
法によれば、固体高分子型燃料電池を高い電池出力で迅
速に起動することができる。また、本発明の固体高分子
型燃料電池の製造方法によれば、高い電池出力で迅速に
起動することができる固体高分子型燃料電池を製造する
ことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の起動方法に基づき固体高分子型燃料
電池をコンディショニングする際の基本構成の一例を示
す系統図である。
【図2】 図1に示した基本構成の他の例を示す系統図
である。
【図3】 本発明の起動方法に基づき固体高分子型燃料
電池をコンディショニングする際の端子間電圧の経時変
化の一例(実施例1)を示すグラフである。
【図4】 従来の起動方法に基づき固体高分子型燃料電
池をコンディショニングする際の端子間電圧の経時変化
の一例(比較例1)を示すグラフである。
【図5】 図3及び図4に示したコンディショニングを
施した後に発電を開始させた場合の固体高分子型燃料電
池の出力電圧の経時変化を示すグラフである。
【符号の説明】
1…アノード、2…カソード、3…イオン交換膜、4…
固体高分子型燃料電池の単位セル、5…直流電源、6…
電子負荷、7…外部回路、8…スタック、C1…図3に
示すコンディショニングを施した後の固体高分子型燃料
電池の出力電圧の経時変化を示す曲線、C2…図4に示
すコンディショニングを施した後の固体高分子型燃料電
池の出力電圧の経時変化を示す曲線。

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 アノードと、カソードと、前記アノード
    と前記カソードとの間に配置されたイオン交換膜からな
    る高分子電解質膜とを有する固体高分子型燃料電池の起
    動方法であって、 前記燃料電池を発電状態にする前に、前記燃料電池を外
    部回路に接続し、前記燃料電池及び前記外部回路に、発
    電時において外部負荷要求に基づき要求される所定の有
    効電極面積あたりの出力電流密度の設定値よりも高い有
    効電極面積あたりの電流密度値になるような電流を予め
    流すことによりコンディショニングすることを特徴とす
    る固体高分子型燃料電池の起動方法。
  2. 【請求項2】 前記コンディショニングの際に、前記燃
    料電池及び当該燃料電池に接続された前記外部回路に流
    す電流の前記電流密度値が0.7〜2.0A/cm2
    あることを特徴とする請求項1に記載の固体高分子型燃
    料電池の起動方法。
  3. 【請求項3】 アノードと、カソードと、前記アノード
    と前記カソードとの間に配置されたイオン交換膜からな
    る高分子電解質膜とを有する固体高分子型燃料電池の製
    造方法であって、 前記燃料電池を外部回路に接続し、前記燃料電池及び前
    記外部回路に、発電時において外部負荷要求に基づき要
    求される所定の有効電極面積あたりの出力電流密度の設
    定値よりも高い有効電極面積あたりの電流密度値になる
    ような電流を流すコンディショニング工程を経ること、
    を特徴とする固体高分子型燃料電池の製造方法。
  4. 【請求項4】 前記コンディショニング工程において、
    前記燃料電池及び前記外部回路に流す電流の前記電流密
    度値が0.7〜2.0A/cm2であることを特徴とす
    る請求項3に記載の固体高分子型燃料電池の製造方法。
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