JP5396730B2 - 膜電極接合体 - Google Patents

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Description

本発明は、膜電極接合体(Membrane Electrode Assembly;MEA)に関する。特に、本発明は、高加湿条件下においても、高い出力密度で安定した発電が可能な膜電極接合体に関する。
近年、エネルギー・環境問題を背景とした社会的要求や動向と呼応して、常温でも作動して高出力密度が得られる燃料電池が電気自動車用電源、定置型電源として注目されている。燃料電池は、電極反応による生成物が原理的に水であり、地球環境への悪影響がほとんどないクリーンな発電システムである。特に、固体高分子形燃料電池(PEFC)は、比較的低温で作動することから、電気自動車用電源として期待されている。固体高分子形燃料電池(以下、単に「燃料電池」とも称する)の構成は、一般的には、膜電極接合体(MEA)を、セパレータで挟持した構造となっている。膜電極接合体は、電極触媒層が固体高分子電解質膜の両面に対向して配置され、さらにこれを一対のガス拡散層が挟持してなるものである。
上記のような膜電極接合体を有する固体高分子形燃料電池では、固体高分子電解質膜を挟持する両電極触媒層(カソードおよびアノード)において、その極性に応じて下記の反応式で示される電極反応を進行させ、電気エネルギーを得ている。まず、アノード(水素極)側に供給された燃料ガスに含まれる水素は、触媒成分により酸化され、プロトンおよび電子となる(2H→4H+4e:反応1)。次に、生成したプロトンは、数個の水分子を伴いながら、電極触媒層に含まれる高分子電解質(以下、アイオノマーとも称する)、さらに電極触媒層と接触している固体高分子電解質膜を通り、カソード(酸素極)触媒層に達する。また、アノード触媒層で生成した電子は、電極触媒層を構成している導電性担体、さらに電極触媒層の固体高分子電解質膜と異なる側に接触しているガス拡散層、セパレータおよび外部回路を通じてカソード触媒層に達する。そして、カソード触媒層に達したプロトンおよび電子はカソード側に供給されている酸化剤ガスに含まれる酸素と反応し水を生成する(O+4H+4e→2HO:反応2)。燃料電池では、上述した電気化学反応を通して、電気を外部に取り出すことが可能となる。
上記の電気化学反応は、電極触媒−電解質−反応ガスの三相界面で起こる。よって、電極触媒と電解質との接触面積を増大させるために、通常、電極触媒の周囲には、固体高分子電解質膜と同様の材料からなる高分子電解質が分散されている。高分子電解質としては、スルホン酸基を持つパーフルオロカーボン系樹脂が汎用されている。このようなパーフルオロカーボン系樹脂は架橋構造を持たず、周囲の水分濃度の環境によって膨潤・収縮しやすい構造となっている。さらに、パーフルオロカーボン系樹脂は、樹脂中の含水率が低下すると、プロトン伝導率が低下する性質を有する。よって、良好なプロトン伝導性を維持するためには、このような樹脂からなる高分子電解質を十分に膨潤する程度に、電極触媒層中の水分濃度を保つことが好ましい。しかしながら、逆に、電極触媒層に水分が過剰に存在すると、電極触媒層の空孔で水が凝集するために、電極触媒層のからの排水が滞り、ガス拡散性が低下する。これによって、上記電気化学反応で用いられる反応ガスの供給が十分になされず、出力の低下となりうる。
一般的に、上記のような膜電極接合体において、アノード触媒層は、燃料ガスの酸化反応に伴うプロトンの移動と同時に水分子がカソード側に移動するために、比較的低加湿条件になることが知られている。一方、カソード触媒層は前記電気化学反応によって生じた水により、比較的高加湿条件になる。このようなことから、アノード側およびカソード側の電極触媒層の水分管理が適切になされることが望まれる。
特許文献1には、触媒を含有するガス拡散電極からなり、該ガス拡散電極が有する細孔のうち、0.1μmより大きな孔径の細孔容積が0.4cc/g以上であることを特徴とする固体高分子型燃料電池用電極が記載されている。これにより、ガス拡散性に優れ、電極触媒層の導電性の高い、抵抗の低い高出力密度の固体高分子型燃料電池を得ることができる、としている。
また、特許文献2には、アノード側およびカソード側の触媒層を、細孔径および細孔容積が相対的に小さい第1の触媒層と、細孔径および細孔容積が相対的に大きい第2の触媒層から構成する固体高分子形燃料電池が記載されている。そして、第1の触媒層を反応ガスの入口側に、また第2の触媒層を反応ガスの出口側に配している。これにより、電解質膜の水分量が全域にわたって適度に保たれ、かつ触媒層のガス拡散性が良好に維持され、優れたセル特性を有する固体高分子型燃料電池が得られうる、としている。
特開平9−283154号公報 特開2002−237306号公報
しかしながら、上記特許文献1に記載の、大きな孔径の細孔の割合が高いガス拡散電極は、高加湿条件下での排水性が不十分で、所望の発電性能が得られないという問題点があった。
また、上記特許文献2には、具体的には、第1の触媒層の細孔径が0.01〜0.05μm、細孔容積が0.05〜0.4ml/gであり、第2の触媒層の細孔径が0.05〜0.1μm、細孔容積が0.4〜1.0ml/gであることが記載されている。しかしながら、このような2種類の触媒層を用いると、排水性が悪く、所望の発電性能を得られないという問題点があった。さらに、細孔径および細孔容積が大きい第2の触媒層のみを用いても、依然として排水性が不十分で、特に、高加湿条件下では満足のいく出力密度が得られないという問題点があった。
そこで本発明は、高加湿条件下においても、優れた発電性能を発揮する膜電極接合体を提供することを目的とする。
本発明者らは、上記の問題を解決すべく、鋭意研究を行った。その結果、所定の空孔直径を有する空孔が電極触媒層中に均一に存在することにより、排水性およびガス拡散性に優れた膜電極接合体が得られることを見出した。
すなわち、上記目的を達成するための本発明の膜電極接合体は、導電性担体に触媒成分が担持されてなる電極触媒と、高分子電解質とを含むアノード触媒層およびカソード触媒層が、固体高分子電解質膜の両面に対向して配置され、これを一対のガス拡散層で挟持してなる。そして、前記アノード触媒層または前記カソード触媒層の少なくとも一部が、所定の空孔構造を有する。具体的には、当該空孔構造は、水銀圧入法による空孔分布において、空孔直径0.01〜0.10μmの範囲における最頻空孔径を0.045〜0.060μmの範囲に有する。そして、前記最頻空孔径のピークのピーク高さに対する半値幅の比は0.045μm/(cm−1)以下である。
本発明によれば、高加湿条件下においても、優れた発電性能を発揮する膜電極接合体を提供できる。
以下、本発明の好ましい実施形態を説明する。
本実施形態は、導電性担体に触媒成分が担持されてなる電極触媒と、高分子電解質とを含むアノード触媒層およびカソード触媒層が、固体高分子電解質膜の両面に対向して配置され、これを一対のガス拡散層で挟持してなる膜電極接合体に関する。そして、前記アノード触媒層または前記カソード触媒層の少なくとも一部が、所定の空孔構造を有する。具体的には、当該空孔構造は、水銀圧入法による空孔分布において、空孔直径0.01〜0.10μmの範囲における最頻空孔径を0.045〜0.060μmの範囲に有する。そして、前記最頻空孔径のピークのピーク高さに対する半値幅の比は0.045μm/(cm−1)以下である。
以下、図面を参照しながら、本発明を説明するが、本発明の技術的範囲は特許請求の範囲の記載に基づいて定められるべきであり、以下の形態のみに制限されない。なお、図面の説明において同一の要素には同一の符号を付し、重複する説明を省略する。また、図面の寸法比率は、説明の都合上誇張されており、実際の比率とは異なる場合がある。
[膜電極接合体]
図1は、本発明の膜電極接合体の一般的な全体構造を模式的に表した断面概略図である。図1に示すように、本発明の膜電極接合体100は、アノード触媒層120aおよびカソード触媒層120cが、固体高分子電解質膜110の両面に対向して配置されている。そして、これを一対のアノード側ガス拡散層140aおよびカソード側ガス拡散層140cが挟持してなる。アノード触媒層120aおよびカソード触媒層120cは、電極触媒および高分子電解質を含む。この電極触媒は、導電性担体が触媒成分を担持してなる。
以下、本発明の膜電極接合体を構成する部材について簡単に説明するが、本発明の技術的範囲は下記の形態のみに制限されない。
(電極触媒層)
電極触媒層には、アノード触媒層およびカソード触媒層の2つがある。以下、アノード触媒層とカソード触媒層との区別をしないときは、単に「電極触媒層」とも称する。電極触媒層は、電気化学反応により、電気エネルギーを生み出す機能を有する。アノード触媒層では水素の酸化反応により、プロトンおよび電子が生成する。ここで生じたプロトンおよび電子は、カソード触媒層での酸素の還元反応に用いられる。
アノード側またはカソード側の電極触媒層の少なくとも一部は、所定の空孔構造を有する。具体的には、当該空孔構造は、水銀圧入法による空孔分布において、空孔直径0.01〜0.10μmの範囲における最頻空孔径を0.045〜0.060μmの範囲に有する。そして、前記最頻空孔径のピークのピーク高さに対する半値幅の比は0.045μm/(cm−1)以下である。なお、以下の説明において、空孔はすべて円筒形であると仮定し、空孔直径はD、空孔容積はVで表す。
ここで、水銀圧入法とは、大抵の物質と反応せず、濡れもない水銀を、圧力を加えて固体の空孔中へ圧入し、その時に加えた圧力と押し込まれた(侵入した)水銀容積の関係から試料表面の空孔の大きさとその体積を測定する手法である。サンプルおよび水銀を充填したセルを高圧容器内で連続的に加圧していくと、水銀は大きな空孔から小さな空孔へと順に圧入されていく。どれくらいの圧力をかけたときに、どれくらいの大きさの孔に水銀が入っていくかは、理論的にWashburnの式(D=−4σcosθ/P)から計算できる。ここで、Pは加える圧力、Dは空孔直径、σは水銀の表面張力、θは水銀と空孔壁面の接触角である。σおよびθを定数として取り扱うことで、Washburnの式から加えた圧力Pと空孔径Dの関係が求められ、その時の侵入容積を測定することにより、空孔径とその容積分布が導かれる。なお、下記実施例においては、水銀の表面張力σを485 dyn cm−1、水銀と空孔壁面の接触角を130°として空孔直径を算出している。そこで、本発明と従来公知の技術との比較においては、これらの値を用いて従来公知の技術における空孔直径を算出しなおす必要がある。
具体的には、固体高分子電解質膜の両面に本発明に係る電極触媒層を形成し、CCM(catalyst coated membrane)を作製する。このCCMを測定セルに投入し、この試料が投入された測定セルを真空排気した後に水銀を充填し、セル内部を連続的に加圧し、その過程での水銀侵入容積(W1[cm])を静電容量検出器で検知する。別途、電極触媒層を形成する前の固体高分子電解質膜単独について同様の操作を行ない、水銀侵入容積(W0[cm])を検知する。このCCMの水銀侵入容積と電解質膜の水銀侵入容積との差(W1−W0[cm])を電極触媒層質量(g)で除した値が、電極触媒層の空孔容積V(cm/g)である。
また、本発明において、空孔分布とは、ログ微分空孔容積分布をいう。ログ微分空孔容積分布を求めるには、まず、上記の水銀圧入法により得られる電極触媒層の空孔容積をVとし、空孔直径をDとした際の、差分空孔容積dVを空孔直径の対数扱いの差分値d(logD)で割った値(dV/d(logD))を求める。そして、このdV/d(logD)を各区分の平均空孔直径に対してプロットすればよい。なお、差分空孔容積dVとは、測定ポイント間の空孔容積の増加分をいう。
図2は、本発明に係る電極触媒層が有する、一般的な空孔構造の空孔分布を表したグラフである。図2に示すように、横軸が空孔直径(対数目盛り)を表し、左側の縦軸がログ微分空孔容積を表す。ここで、実線は左側の縦軸のログ微分積分空孔容積に対してのグラフであり、破線は右側の縦軸の積算空孔容積に対してのグラフである。
本発明に係る空孔構造は、水銀圧入法による空孔分布において、空孔直径0.01〜0.10μmの範囲における最頻空孔径を0.045〜0.060μmの範囲に有する。これは、空孔直径0.01〜0.10μmの範囲におけるログ微分空孔容積の最大値が、空孔直径0.045〜0.060μmの範囲に存在することを意味する。なお、以下において、「空孔直径0.01〜0.10μmの範囲における最頻空孔径」を、単に「最頻空孔径」とも称する。高加湿条件下での発電性能の観点からは、最頻空孔径は、0.050〜0.060μmの範囲に存在することが好ましく、0.052〜0.057μmの範囲に存在することがより好ましい。最頻空孔径が0.045μm未満であると、電極触媒層における水の排出が好適になされない虞がある。一方、最頻空孔径が0.060μmを超えると、電極触媒層のアイオノマーネットワークが良好に形成されず、保水性が低下する虞がある。また、発電性能に与える加湿条件の影響の小ささ(以下、「加湿ロバスト性」とも称する)の観点からは、最頻空孔径は、0.045〜0.050μmの範囲に存在することが好ましく、0.045〜0.049μmの範囲に存在することが好ましい。最頻空孔径が0.050μm以下であると、アイオノマーネットワークが良好に形成され、保水性が向上する。これにより、低加湿条件下での発電性能の低下が抑えられる。すなわち、このような空孔構造が存在する膜電極接合体を有する燃料電池は、供給される反応ガス自体の水分量の変化や複雑に変化するセル内の湿度分布に対する影響が小さく、安定した発電性能を発揮しうる。
そして、上記空孔構造において、最頻空孔径のピークのピーク高さに対する半値幅の比は0.045μm/(cm−1)以下である。なお、以下において、「最頻空孔径のピークのピーク高さに対する半値幅の比」を、単に「半値幅/ピーク高さ」とも称する。最頻空孔径のピークとは、ログ微分空孔容積の最大値を含むピークをいう。ピーク高さとは、ベースラインからピークトップまでの距離を指す。ここで、本発明における空孔分布は空孔直径が0.50μmにおけるログ微分空孔容積の値を0cm−1と定義する。これは、空孔直径が0.50μmにおける積算空孔容積の値を0cm−1と定義することに起因する。そして、ログ微分空孔容積の値が0cm−1のラインをベースラインと定義する。つまり、本発明において、ベースラインはログ微分空孔容積分布のグラフの横軸となる。よって、ピーク高さは横軸からピークトップまでの値、すなわち、ピークの最大値に相当する。半値幅はあるピークの広がりの程度を表す指標で、そのピーク高さの1/2の高さにおけるピーク幅を指す。半値幅/ピーク高さは、好ましくは0.044μm/(cm−1)以下であり、より好ましくは0.043μm/(cm−1)以下である。半値幅/ピーク高さが0.045μm/(cm−1)を超えると、空孔構造の均一性が低下し、排水性およびガス拡散性が低下する虞がある。また、加湿ロバスト性の観点からは、半値幅/ピーク高さが0.025μm/(cm−1)以下であることが好ましく、0.021μm/(cm−1)以下であることがより好ましい。半値幅/ピーク高さが0.025μm/(cm−1)以下であると、空孔がより均一に存在するので、アイオノマーネットワークが良好に形成され、保水性がより向上する。そして、これにより、低加湿条件下での発電性能の低下が抑えられる。半値幅/ピーク高さは、理論的には0を超える値であって、小さい値ほど好ましいが、現実的に製造可能な限界を考慮すると、好ましくは0.010μm/(cm−1)以上である。
これらの2つの数値範囲を満たすということは、すなわち、好適な大きさの空孔が電極触媒層内に均一に存在することを意味する。したがって、このような空孔構造を有する電極触媒層が配された膜電極接合体は、優れた発電性能を発揮する。
また、上記の水銀圧入法による空孔分布において、最頻空孔径のピークの半値幅が0.045μm以下であると好ましい。なお、以下において、「最頻空孔径のピークの半値幅」を、単に「半値幅」とも表す。高加湿条件下での発電性能の観点からは、半値幅は、より好ましくは0.043μm以下であり、さらに好ましくは0.042μm以下である。半値幅が0.045μm以下であると、排水性およびガス拡散性に寄与する空孔がより均一に存在するので、排水性およびガス拡散性がより向上する。また、加湿ロバスト性の観点からは、半値幅が0.030μm以下であることがより好ましく、0.026μm以下であることがさらに好ましい。半値幅が0.030μm以下であると、上述の、加湿ロバスト性の向上に好適な最頻空孔径を有する空孔が、電極触媒層により均一に存在するので、アイオノマーネットワークが良好に形成され、保水性が向上する。これにより、低加湿条件下での発電性能の低下が抑えられる。半値幅は、理論的には0を超える値であって、小さい値ほど好ましいが、現実的に製造可能な限界を考慮すると、好ましくは0.010μm以上であり、より好ましくは0.019μm以上である。
さらに、上記空孔構造において、空孔直径が0.01〜0.50μmの範囲の全空孔容積が0.40〜0.60cm−1であると好ましい。なお、以下において、「空孔直径が0.01〜0.5μmの範囲の全空孔容積」を、単に「全空孔容積」とも表す。高加湿条件下での発電性能の観点からは、全空孔容積は、より好ましくは0.47〜0.60cm−1であり、さらに好ましくは0.49〜0.56cm−1である。全空孔容積が0.40〜0.60cm−1であると、発電に好ましい形態の空孔が触媒層内に十分存在し、発電性能が向上する。全空孔容積が0.40cm−1以上であると、十分な空孔数が存在するために、発電性能が向上する。また、全空孔容積が0.60cm−1以下であると、触媒層の強度が維持される。また、加湿ロバスト性の観点からは、全空孔容積が0.40〜0.50cm−1であることがより好ましく、0.42〜0.45cm−1であることがより好ましい。全空孔容積が0.40〜0.50cm−1であると、アイオノマーネットワークが良好に形成された保水性の向上に寄与できる空孔が触媒層内に十分存在する。これにより、低加湿条件下での発電性能の低下が抑えられる。
本発明の膜電極接合体は、上記空孔構造をアノード側またはカソード触媒層の少なくとも一部に有していればよい。言い換えると、電極触媒層において、上述した数値範囲を満たす空孔構造を有する領域に加えて、上述した数値範囲を満たさない空孔構造を有する領域が存在してもよい。この際、空孔構造の空孔分布の評価には、膜電極接合体に用いられるアノード側またはカソード触媒層の全体積を基準にして、20体積%以上の領域を有する電極触媒層を評価用サンプルとして用いる。つまり、アノードまたはカソード触媒層からランダムに選択された評価用サンプルのうち、少なくとも一つの評価サンプルが、上述した数値範囲を満たす空孔構造を有すればよい。また、本発明に係る空孔構造を有する領域が占める割合は、アノードまたはカソード触媒層の全体積を基準にして、好ましくは30〜100体積%であり、より好ましくは40〜100体積%であり、さらに好ましくは50〜100体積%であり、特に好ましくは60〜100体積%であり、最も好ましくは100体積%(全体)である。上記空孔構造をアノードまたはカソード触媒層の少なくとも一部に有していれば、高加湿条件下においても、優れた発電性能を発揮できるが、上記空孔構造が存在する領域が増大すると、当該作用効果は一層高まる。
なかでも、カソード触媒層はアノード触媒層と比較して、上記電気化学反応によって生じた水により、比較的高加湿条件になり易い。そこで、本発明の膜電極接合体は、上記空孔構造をカソード触媒層の少なくとも一部に有することが好ましい。上記空孔構造をカソード触媒層の少なくとも一部に有すると、電気化学反応によって生じる水によって、高加湿条件となっても、優れた発電性能を発揮できる。
(固体高分子電解質膜)
固体高分子電解質膜は、プロトン伝導性を有する高分子電解質から構成され、固体高分子形燃料電池の運転時にアノード触媒層で生成したプロトンを膜厚方向に沿ってカソード触媒層へと選択的に透過させる機能を有する。また、固体高分子電解質膜は、アノード側に供給される燃料ガスとカソード側に供給される酸化剤ガスとを混合させないための隔壁としての機能をも有する。
固体高分子電解質膜の具体的な構成は特に制限されず、燃料電池の技術分野において従来公知の高分子電解質からなる膜が適宜採用できる。固体高分子電解質膜は、構成材料である高分子電解質の種類に応じて、フッ素系固体高分子電解質膜と炭化水素系固体高分子電解質膜とに大別される。
フッ素系固体高分子電解質膜を構成する高分子電解質としては、例えば、ナフィオン(登録商標、デュポン社製)、アシプレックス(登録商標、旭化成株式会社製)、フレミオン(登録商標、旭硝子株式会社製)などのパーフルオロカーボンスルホン酸系ポリマー、パーフルオロカーボンホスホン酸系ポリマー、トリフルオロスチレンスルホン酸系ポリマー、エチレンテトラフルオロエチレン−g−スチレンスルホン酸系ポリマー、エチレン−テトラフルオロエチレン共重合体、ポリビニリデンフルオリド−パーフルオロカーボンスルホン酸系ポリマーなどが挙げられる。耐熱性、化学的安定性などの発電性能上の観点からはこれらのフッ素系固体高分子電解質膜が好ましく用いられ、より好ましくはパーフルオロカーボンスルホン酸系ポリマーから構成されるフッ素系固体高分子電解質膜が用いられる。
炭化水素系固体高分子電解質膜を構成する高分子電解質としては、例えば、スルホン化ポリエーテルスルホン(S−PES)、スルホン化ポリアリールエーテルケトン、スルホン化ポリベンズイミダゾールアルキル、ホスホン化ポリベンズイミダゾールアルキル、スルホン化ポリスチレン、スルホン化ポリエーテルエーテルケトン(S−PEEK)、スルホン化ポリフェニレン(S−PPP)などが挙げられる。原料が安価で製造工程が簡便であり、かつ材料の選択性が高いといった製造上の観点からは、これらの炭化水素系固体高分子電解質膜が好ましく用いられる。なお、上述したイオン交換樹脂は、1種のみが単独で用いられてもよいし、2種以上が併用されてもよい。
上述した固体高分子電解質膜を構成する高分子電解質以外の材料が高分子電解質として用いられてもよい。このような材料としては、例えば、高いプロトン伝導性を有する液体、固体、ゲル状材料などが利用可能であり、リン酸、硫酸、アンチモン酸、スズ酸、ヘテロポリ酸などの固体酸、リン酸などの無機酸を炭化水素系高分子化合物にドープさせたもの、一部がプロトン伝導性の官能基で置換された有機/無機ハイブリッドポリマー、高分子マトリックスにリン酸溶液や硫酸溶液を含浸させたゲル状プロトン導電性材料などが挙げられる。プロトン伝導性と電子伝導性とを併有する混合導電体もまた、高分子電解質として利用できる。
固体高分子電解質膜の厚さは、膜電極接合体や高分子電解質の特性を考慮して適宜決定され、特に限定はされない。ただし、固体高分子電解質膜の厚さは、好ましくは5〜300μmであり、より好ましくは5〜200μmであり、さらに好ましくは10〜150μmであり、特に好ましくは15〜50μmである。厚さがこのような範囲内の値であると、製膜時の強度や使用時の耐久性、および使用時の出力特性のバランスが適切に制御できる。
(ガス拡散層)
ガス拡散層には、アノード側ガス拡散層およびカソード側ガス拡散層の2つがある。以下、アノード側ガス拡散層とカソード側ガス拡散層との区別をしないときは、単に「ガス拡散層」という。ガス拡散層は、後述するセパレータが有するガス流路を介して供給された反応ガスの触媒層への拡散を促進させる機能、および電子伝導パスとしての機能を有する。
ガス拡散層の基材を構成する材料は特に限定されず、従来公知の知見が適宜参照できる。例えば、炭素製の織物、紙状抄紙体、フェルト、不織布といった導電性および多孔質性を有するシート状材料が挙げられる。基材の厚さは、得られるガス拡散層の特性を考慮して適宜決定すればよいが、30〜500μm程度とすればよい。基材の厚さがこのような範囲内の値であれば、機械的強度とガスおよび水などの拡散性とのバランスが適切に制御できる。
ガス拡散電極は、必要に応じて、他の部材(層)をさらに含んでもよい。例えば、触媒層に存在する過剰な水分の排出を促進させてフラッディング現象の発生を抑制するために、ガス拡散層は、カーボン粒子を含むカーボン粒子層を基材の触媒層側に有してもよい。
カーボン粒子層に含まれるカーボン粒子は特に限定されず、カーボンブラック、黒鉛、膨張黒鉛などの従来公知の材料が適宜採用できる。なかでも、電子伝導性に優れ、比表面積が大きいことから、オイルファーネスブラック、チャネルブラック、ランプブラック、サーマルブラック、アセチレンブラックなどのカーボンブラックを用いることが好ましい。カーボン粒子の平均粒子径は、10〜100nm程度とするのがよい。これにより、毛細管力による高い排水性が得られるとともに、触媒層との接触性も向上させることが可能となる。
カーボン粒子層は撥水剤を含んでもよい。撥水剤としては、例えば、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、ポリフッ化ビニリデン(PVdF)、ポリヘキサフルオロプロピレン、テトラフルオロエチレン−ヘキサフルオロプロピレン共重合体(FEP)などのフッ素系の高分子材料、ポリプロピレン、ポリエチレンなどが挙げられる。なかでも、撥水性、電極反応時の耐食性などに優れることから、フッ素系の高分子材料を用いることが好ましい。
上記電極触媒層は、導電性担体に触媒成分が担持されてなる電極触媒および高分子電解質を含む。
(導電性担体)
導電性担体は、触媒成分を担持する担体であって、導電性を有する。導電性担体としては、触媒成分を所望の分散状態で担持させるのに充分な比表面積を有し、かつ、充分な電子伝導性を有するものであればよい。導電性担体の組成は、主成分がカーボンであることが好ましい。導電性担体の材質として、具体的には、カーボンブラック、活性炭、コークス、天然黒鉛、人造黒鉛などが挙げられる。なお、「主成分がカーボンである」とは、主成分として炭素原子を含むことをいい、炭素原子のみからなる、実質的に炭素原子からなる、の双方を含む概念である。場合によっては、燃料電池の特性を向上させるために、炭素原子以外の元素が含まれていてもよい。なお、「実質的に炭素原子からなる」とは、2〜3質量%程度以下の不純物の混入が許容できることを意味する。
導電性担体のBET(Brunauer−Emmet−Teller)比表面積は、触媒成分を高分散担持させるのに充分な比表面積であれば特に制限はないが、好ましくは100〜1500m/gであり、より好ましくは600〜1000m/gである。導電性担体の比表面積がこのような範囲内の値であると、導電性担体上での触媒成分の分散性と触媒成分の有効利用率とのバランスが適切に制御できる。
導電性担体の平均粒子径についても特に制限はないが、通常は5〜200nmであり、好ましくは10〜100nm程度である。なお、「導電性担体の平均粒子径」の値としては、透過型電子顕微鏡(TEM)による一次粒子径測定法によって算出される値を採用する。
(触媒成分)
触媒成分は、上記電気的化学反応の触媒作用をする機能を有する。導電性担体に担持される触媒成分は、上述した電気的化学反応を促進する触媒作用を有するものであれば特に制限はなく、従来公知の触媒成分を適宜採用できる。触媒成分として、具体的には、白金、ルテニウム、イリジウム、ロジウム、パラジウム、オスミウム、タングステン、鉛、鉄、クロム、コバルト、ニッケル、マンガン、バナジウム、モリブデン、ガリウム、アルミニウムなどの金属、およびこれらの合金などが挙げられる。これらのうち、触媒活性、耐溶出性などに優れるという観点からは、触媒成分は少なくとも白金を含むことが好ましい。電極触媒層の触媒成分として合金を使用する場合の合金の組成は、合金化する金属の種類などによって異なり、当業者によって適宜選択できるが、好ましくは白金が30〜90原子%程度、合金化する他の金属が10〜70原子%程度である。なお、「合金」とは、一般に金属元素に1種以上の金属元素または非金属元素を加えたものであって、金属的性質を有しているものの総称である。合金の組織には、成分元素が別個の結晶となるいわば混合物である共晶合金、成分元素が完全に溶け合い固溶体となっているもの、成分元素が金属間化合物または金属と非金属との化合物を形成しているものなどがあり、本願ではいずれであってもよい。ここで、合金組成の特定は、ICP発光分析法を用いることで可能である。
触媒成分の形状や大きさは特に制限されず、従来公知の触媒成分と同様の形状および大きさが適宜採用できるが、触媒成分の形状は、粒状であることが好ましい。そして、触媒成分粒子の平均粒子径は、好ましくは0.5〜30nmであり、より好ましくは1〜20nmである。触媒成分粒子の平均粒子径がこのような範囲内の値であると、電気化学反応が進行する有効電極面積に関連する触媒利用率と担持の簡便さとのバランスが適切に制御できる。なお、本発明において、「触媒成分粒子の平均粒子径」の値は、X線回折における触媒成分粒子の回折ピークの半値幅より求められる結晶子径や、透過型電子顕微鏡像より調べられる触媒成分の粒子径の平均値として算出できる。
電極触媒における導電性担体と触媒成分との含有量の比は、特に制限されない。ただし、触媒成分の含有率(担持量)は、電極触媒の全質量に対して、好ましくは5〜70質量%であり、より好ましくは10〜60質量%であり、さらに好ましくは30〜55質量%である。触媒成分の含有率が5質量%以上であると、電極触媒の触媒性能が充分に発揮され、ひいては固体高分子形燃料電池の発電性能の向上に寄与する。一方、触媒成分の含有率が70質量%以下であると、導電性担体の表面における触媒成分どうしの凝集が抑制され、触媒成分が高分散状態で担持されるため、好ましい。なお、上述した含有量の比の値としては、ICP発光分析法により測定される値を採用するものとする。
(高分子電解質)
高分子電解質は、電極触媒層のプロトン伝導性を向上させる機能を有する。電極触媒層に含まれる高分子電解質の具体的な形態に特に制限はなく、燃料電池の技術分野において従来公知の知見が適宜参照できる。例えば、電極触媒層に含まれる高分子電解質としては、上述した固体高分子電解質膜を構成する高分子電解質を同様に用いることができる。そのため、高分子電解質の具体的な形態の詳細はここでは省略する。なお、電極触媒層に含まれる高分子電解質は、1種単独であってもよいし、2種以上であってもよい。
電極触媒層に含まれる高分子電解質のイオン交換容量は、イオン伝導性に優れるという観点から、0.8〜1.5mmol/gであることが好ましく、1.0〜1.5mmol/gであることがより好ましい。なお、高分子電解質の「イオン交換容量」とは、高分子電解質の単位乾燥質量当りのスルホン酸基のmol数を意味する。「イオン交換容量」の値は、高分子電解質分散液の分散媒を加熱乾燥などにより除去して固形の高分子電解質とし、これを中和滴定することにより、算出できる。
電極触媒層における高分子電解質の含有量についても特に制限はない。ただし、電極触媒層における導電性担体の含有量に対する高分子電解質の含有量の質量比(高分子電解質/導電性担体の質量比)は、好ましくは0.5〜2.0であり、より好ましくは0.6〜1.5であり、さらに好ましくは0.8〜1.3である。アイオノマー/導電性担体の質量比が0.8以上であると、膜電極接合体の内部抵抗値の抑制という観点から好ましい。一方、アイオノマー/導電性担体の質量比が1.3以下であると、フラッディングの抑制という観点から好ましい。
[膜電極接合体の製造方法]
本発明の膜電極接合体の製造方法は特に制限されず、膜電極接合体の製造分野において従来公知の知見を適宜参照することにより製造できる。以下、本発明の膜電極接合体の製造方法を簡単に説明するが、本発明の技術的範囲は特許請求の範囲の記載に基づいて定められるべきであり、以下の形態のみに制限されない。
本発明の膜電極接合体は、固体高分子電解質膜の両面にアノード側およびカソード側の電極触媒層を形成し、これをガス拡散層で挟持することにより製造できる。電極触媒層は、上記のような電極触媒、高分子電解質および溶媒などからなる触媒インクを、固体高分子電解質膜にスプレー法、スクリーンプリンター塗布/転写法(以下、単に「転写法」とも称する)などの従来公知の方法を用いて塗布することにより製造できる。
電極触媒は、導電性担体に触媒成分を担持させることによって調製する。導電性担体に触媒成分を担持させるには、含浸法、液相還元担持法、蒸発乾固法、コロイド吸着法、噴霧熱分解法、逆ミセル法(マイクロエマルジョン法)などの従来公知の方法を用いて行えばよい。また、市販されている電極触媒を用いてもよい。
溶媒としては、特に制限されず、電極触媒層を形成するのに使用される通常の溶媒が同様にして使用できる。具体的には、水、シクロヘキサノールやエタノール(EtOH)や1−プロパノール(NPA)、2−プロパノールなどの低級アルコールが使用できる。溶媒の使用量も、特に制限されず公知と同様の量が使用できる。触媒インクに含まれる電極触媒の量は、所望の作用、すなわち、アノード側での水素の酸化反応またはカソード側での酸素の還元反応を触媒する作用を十分発揮できる量であれば、特に制限されない。触媒インク中の電極触媒の量は、好ましくは3〜30質量%、より好ましくは5〜20質量%である。高分子電解質もまた、電極触媒と同様の量/割合で存在することが好ましい。
また、触媒インクを転写法によって塗布する場合などには、増粘剤を含んでもよい。増粘剤の使用は、触媒インクが転写用台紙上にうまく塗布できない場合などに有効である。この際使用できる増粘剤は、特に制限されず、公知の増粘剤が使用できるが、例えば、グリセリン、エチレングリコール(EG)、ポリビニルアルコール(PVA)、プロピレングリコール(PG)などが挙げられる。これらのうち、プロピレングリコール(PG)が好ましく使用される。増粘剤を使用する際の、増粘剤の添加量は、本発明の上記効果を妨げない程度の量であれば特に制限されないが、触媒インクの全質量に対して、好ましくは5〜40質量%である。
触媒インクは、上記の電極触媒、高分子電解質および溶媒などを混合、分散することによって調製できる。高分子電解質は、予め上記の溶媒中に分散された高分子電解質分散液として用いてもよい。前記触媒インクを調製する際に、攪拌時間などを調整することにより導電性担体の分散性を調整してもよい。これにより、得られる電極触媒層における空孔径、空隙率や面抵抗値などを調整できる。攪拌手段としては、ホモジナイザ、超音波分散装置、サンドミル、ジェットミル、ビーズミルなどの従来公知の手段が挙げられる。この際、上述したような空孔構造を得るための、触媒インク中の触媒成分粒子の平均体積粒子径(二次粒子径)は、一般的には0.1〜2.0μmであり、好ましくは0.3〜1.0μmであり、より好ましくは0.450〜0.900μmである。なお、ここでいう平均体積粒子径は、レーザー回折・散乱式の粒度分布測定装置で得られた値を採用する。
電極触媒層の形成には、従来公知の方法を用いることができる。例えば、固体高分子電解質膜に直接塗布して乾燥する方法などがある。また、触媒インクを基材(例えば、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)シート)上に塗布、乾燥して電極触媒層を形成し、これを固体高分子電解質膜に転写する方法などがある。また、ガス拡散層の片方の面に電極触媒層を形成してもよい。塗布方法としては、スプレー法、スクリーンプリンター法、ドクターブレード法、ダイコーター法など従来公知の方法を用いることができる。固体高分子電解質膜とで触媒インクの塗布量は、電極触媒が電気化学反応を触媒する作用を十分発揮できる量であれば特に制限されないが、単位面積あたりの触媒成分の質量が0.05〜1mg/cmとなるように塗布することが好ましい。また、塗布する触媒インクの厚さは、乾燥後に5〜30μmとなるように塗布することが好ましい。なお、上記の触媒インクの塗布量および厚さは、アノード側およびカソード側で同じである必要はなく、適宜調整することができる。
本発明に係る電極触媒層の製造方法においては、上述のとおり、従来公知の方法を適宜採用することができるが、以下で特に好ましい形態を説明する。
触媒インクの塗布方法は、転写法またはスプレー法を用いることが特に好ましい。転写法を用いる場合、触媒インクを均一に塗布する観点から、触媒インクに上述の増粘剤を添加することが好ましい。増粘剤の中でも、プロピレングリコールが好適に用いられる。そして、塗布後の触媒インクの乾燥を、分散媒が0.7mg/分以下の速度で揮発する条件で行うことが好ましい。この際、触媒インクの乾燥のために、適宜加熱してもよい。このように比較的ゆっくり触媒インクを乾燥することにより、排水性およびガス拡散性に寄与する、比較的大きい空孔径を有する空孔が均一に形成されうる。また、スプレー法を用いる場合、塗布後の触媒インクの乾燥を、分散媒が0.7mg/分以上の速度で揮発する条件で行うことが好ましい。この際、触媒インクの乾燥のために、適宜加熱してもよい。このように比較的早く触媒インクを乾燥することにより、電極触媒層内に比較的小さい空孔径を有する空孔が均一に形成されうる。このような空孔は排水性およびガス拡散性が良好であるだけでなく、アイオノマーネットワークが良好に形成され、保水性の高い電極触媒層が得られうる。
本発明の膜電極接合体は、ガス拡散層をさらに有する。膜電極接合体の形成には、従来公知の方法を用いることができる。例えば、固体高分子電解質膜上に形成された電極触媒層を一対のガス拡散層で挟持させて、これを接合することによって膜電極接合体が製造できる。またはガス拡散層の片面に電極触媒層を形成し、電極触媒層が対向するように1対のガス拡散層で固体高分子電解質膜を挟持させて、これを接合することによって製造してもよい。
[燃料電池]
本発明の燃料電池は、本発明の膜電極接合体と、燃料ガスが流れる燃料ガス流路を有するアノード側セパレータと酸化剤ガスが流れる酸化剤ガス流路を有するカソード側セパレータとからなる一対のセパレータとを有する。
図3は、本発明の燃料電池の一実施形態である、固体高分子形燃料電池(PEFC)の一般的な全体構造を模式的に表した断面外略図である。なお、図3には固体高分子形燃料電池の単セルが図示されている。
図3に示す固体高分子形燃料電池200は、本発明の膜電極接合体100を有する。そして、固体高分子形燃料電池200において、膜電極接合体100は、アノード側セパレータ150aおよびカソード側セパレータ150cからなる一対のセパレータにより挟持されている。ここで、アノード側セパレータ150aのアノード側ガス拡散層140a側表面には、運転時に燃料ガスが流通する燃料ガス流路152aが設けられており、反対側の表面には、運転時に冷却剤が流通する冷却流路(図示せず)が設けられている。一方、カソード側セパレータ150cのカソード側ガス拡散層140c側の表面には、運転時に酸化剤ガスが流通する酸化剤ガス流路152cが設けられており、反対側の表面には、運転時に冷却剤が流通する冷却流路(図示せず)が設けられている。そして、固体高分子形燃料電池200の周囲には、一対のガス拡散電極を包囲するように、ガスケット160が配置されている。
上記のような、本発明の膜電極接合体を有する燃料電池は、高加湿条件下において、優れた発電性能を発揮する。
以下、本発明の燃料電池を構成する部材について簡単に説明するが、本発明の技術的範囲は下記の形態のみに制限されない。
(セパレータ)
セパレータは、固体高分子形燃料電池などの燃料電池の単セルを複数個直列に接続して燃料電池スタックを構成する際に、各セルを電気的に直列に接続する機能を有する。また、セパレータは、燃料ガス、酸化剤ガス、および冷却剤を互に分離する隔壁としての機能も有する。そのため、上述したように、セパレータのそれぞれにはガス流路および冷却流路が設けられている。セパレータを構成する材料としては、緻密カーボングラファイト、炭素板などのカーボンや、ステンレスなどの金属など、従来公知の材料が適宜制限なく採用できる。セパレータの厚さやサイズ、設けられる各流路の形状やサイズなどは特に限定されず、得られる燃料電池の所望の出力特性などを考慮して適宜決定できる。
(ガスケット)
ガスケットは、一対の電極触媒層およびガス拡散層を包囲するように燃料電池の周囲に配置され、触媒層に供給されたガスが外部にリークするのを防止する機能を有する。ガス拡散電極とは、ガス拡散層および電極触媒層の接合体をいう。ガスケットを構成する材料としては、特に制限はないが、フッ素ゴム、シリコンゴム、エチレンプロピレンゴム(EPDM)、ポリイソブチレンゴムなどのゴム材料、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)、ポリヘキサフルオロプロピレン、テトラフルオロエチレン−ヘキサフルオロプロピレン共重合体(FEP)などのフッ素系の高分子材料、ポリオレフィンやポリエステルなどの熱可塑性樹脂などが挙げられる。また、ガスケットの厚さにも特に制限はなく、好ましくは50μm〜2mmであり、より好ましくは100μm〜1mm程度とすればよい。
[燃料電池の運転方法]
さらに、本発明は、上記燃料電池の運転方法を提供する。上述したように、本発明に係る電極触媒層は、ガス拡散性および保水性が高い。よって、この電極触媒層を有する本発明の燃料電池は、特に、高加湿条件下において、優れた発電性能を有する。そこで、上記空孔構造を有する電極触媒層に燃料ガスまたは酸化剤ガスを高加湿条件で供給して燃料電池を運転することによって、本発明の効果がより顕著なものとなる。
本発明の燃料電池の運転方法は、アノード触媒層の少なくとも一部が上記空孔構造を有する場合に、燃料ガスを相対湿度70〜100%の条件で供給し、カソード触媒層の少なくとも一部が上記空孔構造を有する場合に、酸化剤ガスを相対湿度70〜100%の条件で供給することを特徴とする。燃料ガスまたは酸化剤ガスの相対湿度は、好ましくは80〜100%、より好ましくは90〜100%、さらに好ましくは95〜100%である。燃料ガスまたは酸化剤ガスの相対湿度が70〜100%であれば、本発明の燃料電池の発電性能は、従来の燃料電池と比較してより向上する。なお、燃料ガスまたは酸化剤ガスの相対湿度は、ガス流路のセルへの入り口付近における相対湿度とする。
燃料ガスおよび酸化剤ガスの種類、供給量、および供給温度、ならびに燃料電池の運転温度などのその他の条件は特に制限されず、燃料電池の技術分野において従来公知の運転方法が適宜採用できる。
この運転方法のうち、好ましくは、カソード触媒層の少なくとも一部が上記空孔構造を有し、前記燃料ガスを相対湿度70〜100%の条件で供給する。カソード触媒層は、アノード側と比較して高加湿条件になり易いため、このような運転方法によると、本発明の燃料電池の発電性能がさらに向上する。
[車両]
上述した本発明の燃料電池や燃料電池スタックを搭載した車両もまた、本発明の技術的範囲に包含される。本発明の燃料電池や燃料電池スタックは、高加湿条件における出力性能に非常に優れているため、高出力を要求される車両用途に適している。
本発明の作用効果を、以下の実施例および比較例を用いて説明する。ただし、本発明の技術的範囲が以下の実施例のみに制限されるわけではない。
以下の実施例および比較例では、カソード触媒層の最頻空孔直径および半値幅/ピーク高さ、半値幅、ならびに全空孔容積を変えて膜電極接合体を作製し、この膜電極接合体を配した固体高分子形燃料電池単セルの発電性能を評価した。
具体的には、実施例1〜6および比較例1〜3の膜電極接合体を、下記のようにして作製した。
[膜電極接合体の作製]
(カソード用触媒インクの調製)
<実施例1>
導電性担体としてのカーボンブラックに白金を触媒成分として担持した触媒担持体(白金含有率46質量%)16g、高分子電解質分散液(イオン交換容量1.0mmol/g、電解質含有率12質量%、イオン交換水含有率88質量%)70g、イオン交換水3g、1−プロパノール16g、プロピレングリコール49gを混合し、サンドミルを用いて10分間混合分散することで、カソード用触媒インク(触媒粒子の平均体積粒子径0.770μm)を得た。
<実施例2>
実施例1と同様の触媒担持体16g、実施例1と同様の高分子電解質分散液70g、イオン交換水3g、エタノール16g、プロピレングリコール49gを混合し、サンドミルを用いて10分間混合分散することで、カソード用触媒インク(触媒粒子の平均体積粒子径0.820μm)を得た。
<実施例3>
実施例1と同様の触媒担持体16g、実施例1と同様の高分子電解質分散液70g、イオン交換水19g、1−プロパノール16g、プロピレングリコール32gを混合し、サンドミルを用いて10分間混合分散することで、カソード用触媒インク(触媒粒子の平均体積粒子径0.840μm)を得た。
<実施例4>
実施例1と同様の触媒担持体16g、実施例1と同様の高分子電解質分散液37g、イオン交換水18g、プロピレングリコール78gを混合し、サンドミルを用いて10分間混合分散することで、カソード用触媒インク(触媒粒子の平均体積粒子径0.860μm)を得た。
<実施例5>
実施例1と同様の触媒担持体7g、実施例1と同様の高分子電解質分散液30g、イオン交換水2g、1−プロパノール112gを混合し、サンドミルを用いて30分間混合分散することで、カソード用触媒インク(触媒粒子の平均体積粒子径0.488μm)を得た。
<実施例6>
実施例1と同様の触媒担持体7g、実施例1と同様の高分子電解質分散液30g、イオン交換水57g、プロピレングリコール56gを混合し、サンドミルを用いて30分間混合分散することで、カソード用触媒インク(触媒粒子の平均体積粒子径0.538μm)を得た。
<比較例1>
実施例1と同様の触媒担持体7g、実施例1と同様の高分子電解質分散液16g、イオン交換水78g、1−プロパノール49gを混合し、サンドミルを用いて120分間混合分散することで、カソード用触媒インク(触媒粒子の平均体積粒子径0.380μm)を得た。
<比較例2>
実施例1と同様の触媒担持体7g、実施例1と同様の高分子電解質分散液16g、イオン交換水78g、1−プロパノール49gを混合し、サンドミルを用いて30分間混合分散することで、カソード用触媒インク(触媒粒子の平均体積粒子径0.528μm)を得た。
<比較例3>
実施例1と同様の触媒担持体7g、実施例1と同様の高分子電解質分散液30g、イオン交換水57g、メタノール56gを混合し、サンドミルを用いて30分間混合分散することで、カソード用触媒インク(触媒粒子の平均体積粒子径0.489μm)を得た。
(アノード用触媒インクの調製)
導電性担体としてのカーボンブラックに、白金を触媒成分として担持した触媒担持体(白金含有率46質量%)5g、高分子電解質分散液(イオン交換容量1.0mmol/g、電解質含有率22質量%、1−プロパノール含有率42質量%、イオン交換水含有率36質量%)11g、イオン交換水81g、1−プロパノール52gを混合し、サンドミルを用いて30分間混合分散することで、アノード用触媒インク(触媒粒子の平均体積粒子径0.420μm)を得た。
(電極触媒層−固体高分子電解質膜接合体の作製)
<実施例1〜4>
80mm四方の正方形で厚さ80μmのポリテトラフルオロエチレン(PTFE)製シートを2枚用意した。このPTFE製シートの片面にカソード用触媒インクを0.3mg−Pt/cmとなるようにスクリーンプリンターを用いて塗布後、130℃のドライオーブン中で30分間乾燥した。もう1枚のPTFE製シートの片面にアノード用触媒インクを0.1mg−Pt/cmとなるように、スクリーンプリンターを用いて塗布後、130℃のドライオーブン中で30分間乾燥した。
80mm四方の正方形で厚さ25μmの固体高分子電解質膜(DuPont社製、NAFION NRE−211)を用意した。この固体高分子電解質膜を挟んで、上記でアノード用電極触媒層を形成したPTFE製シートおよびカソード用電極触媒層を形成したPTFE製シートを両電極触媒層が対向するように重ねた。さらに80mm四方の正方形で厚さ0.5mmのステンレススチール製板2枚で挟み、PTFE製シートを0.8MPaの圧力で、130℃で、10分間ホットプレスした。冷却後PTFE製シートのみを剥がすことで高分子電解質膜に触媒層を転写し、電極触媒層−固体高分子電解質膜接合体を得た。
<実施例5および6ならびに比較例1〜3>
80mm四方の正方形で厚さ25μmの固体高分子電解質膜(DuPont社製、NAFION NRE−211)を用意した。この固体高分子電解質膜の片面にアノード用触媒インクを0.1mg−Pt/cmとなるように、スプレーコーティングにより塗布後、80℃のホットプレート上で15分間乾燥した。この固体高分子電解質膜のもう一方の面にカソード用触媒インクを0.3mg−Pt/cmとなるように、スプレーコーティングにより塗布後、80℃のホットプレート上で15分間乾燥し(実施例6のみ、この後さらに130℃のドライオーブン中で30分間乾燥した)、電極触媒層−固体高分子電解質膜接合体を得た。
(評価用燃料電池単セルの作製)
上記で作製した電極触媒層−固体高分子電解質膜接合体を挟むように、2枚のガス拡散層(SGLカーボン社製、GDL25BC)をガス拡散層のカーボン粒子層が対向するように重ねて膜電極接合体とした。これを2枚のグラファイト製セパレータ、2枚の金メッキしたステンレススチール製集電板、2枚のステンレススチール製エンドプレートの順序で挟持し、評価用燃料電池単セルとした。
[電極触媒層の空孔構造の評価]
カソード用触媒インクを固体高分子電解質膜の両面に0.3mg−Pt/cmになるように塗布した。それ以外は、上記の電極触媒層−固体高分子電解質膜接合体の作製と同様の方法で、実施例1〜6および比較例1〜4の電極触媒層−固体高分子電解質膜接合体を作製した。得られた電極触媒層−固体高分子電解質膜接合体を20cmに切り出し、これをセル容積約6cc、ステム容積約0.39ccの測定用セル内に導入した。この測定用セルをオートポアIV 9510型(マイクロメリティクス製)にセットして水銀圧入量の測定を実施し、空孔直径が400μm〜3nmの範囲の、積算空孔容積(cm/g−Pt)、およびログ微分空孔容積(cm/g−Pt)を得た。
[電解質抵抗値の測定]
周波数応答解析器(Frequency Response Analyzer;FRA)に接続した電位・電流を制御するポテンシオ・ガルバノスタットを用い、電気化学的な交流インピーダンス測定により電解質抵抗値を算出した。FRAは正弦波発信回路を内蔵し、変調周波数を自動走査してインピーダンスのスペクトルを決める。FRAから正弦波信号をポテンシオ・ガルバノスタットに送り、ポテンシオ・ガルバノスタットが正弦波電位変調をセルに与えて、応答電流を測定する。変調電位と変調電流はポテンシオ・ガルバノスタットからFRAに出力され、各周波数でのインピーダンスが決定される。ここで測定条件を、印加電位450mV、電位振幅10mV、周波数範囲100mHz〜15kHzとした。
このようにして得られたインピーダンスを複素平面に表示し(ナイキストプロット)、このナイキストプロットから文献(M. Lefebvre et al, Elec. & Solid State Letters,2(6)259−261(1999))記載の手法で電解質抵抗値を算出した。具体的にはナイキストプロットの直線部分と実軸との交点と、プロットの実軸との交点との差を3倍することで触媒層中の電解質抵抗値を算出した。
[燃料電池単セルの評価]
燃料電池単セルの温度を80℃とし、ガス流路のセルへの入り口付近の相対湿度(RH)を40%、70%、または100%に設定した。そして、常圧下で、アノード側から水素を毎分4Lの流量で供給し、カソード側から空気を毎分8Lの流量で供給することにより燃料電池単セルの運転を行った。この条件で、電流密度1A/cmのときの単セル電圧を測定した。また、40%RH、70%RH、および100%RH条件下で測定した電圧のうちで最大の電圧(最大電圧)を基準とした、各々のRH条件下で測定した電圧(測定電圧)の変化率(%)を下記数式1に従って算出した。
Figure 0005396730
結果を表1に示す。
Figure 0005396730
表1に示す結果より、最頻空孔径が0.045〜0.060μmの範囲に存在し、最頻空孔径のピークのピーク高さに対する半値幅の比が0.045μm/(cm−1)以下である実施例1〜6は、その範囲に最頻空孔径と半値幅/ピーク高さの値を有しない比較例1〜3と比較して、相対湿度100%の際に、高い出力密度を示した。実施例のうち、最頻空孔径が0.050〜0.060μmの範囲に存在する実施例1〜4は、実施例5および6と比較して、相対湿度100%の際に、よりいっそう高い出力密度を示した。一方、最頻空孔径が0.045〜0.050μmの範囲に存在し、前記最頻空孔径のピークのピーク高さに対する半値幅の比が0.025μm/(cm−1)以下である実施例5および6は、実施例1〜4と比較して、相対湿度40%の際に高い出力密度を有し、各相対湿度条件下での最大電圧に対する変化率(%)の絶対値が小さかった。すなわち、実施例5および6は、実施例1〜4と比較して、加湿ロバスト性に優れ、広い加湿範囲においても良好な発電性能を有することが示された。
本発明の膜電極接合体の一般的な全体構造を模式的に表した断面概略図である。 本発明に係る電極触媒層が有する、一般的な空孔構造の空孔分布を表したグラフである。 本発明の燃料電池の一実施形態である、固体高分子形燃料電池の一般的な全体構造を模式的に表した断面外略図である。
符号の説明
100 膜電極接合体、
110 固体高分子電解質膜、
120a アノード触媒層、
120c カソード触媒層、
140a アノード側ガス拡散層、
140c カソード側ガス拡散層、
150a アノード側セパレータ、
150c カソード側セパレータ、
152a 燃料ガス流路、
152c 酸化剤ガス流路、
160 ガスケット、
200 固体高分子形燃料電池。

Claims (9)

  1. 導電性担体に触媒成分が担持されてなる電極触媒と、高分子電解質とを含むアノード触媒層触媒層およびカソード触媒層が、固体高分子電解質膜の両面に対向して配置され、これを一対のガス拡散層で挟持してなる膜電極接合体であって、
    前記アノード触媒層または前記カソード触媒層の少なくとも一部に、水銀圧入法による空孔分布において(1)空孔直径0.01〜0.10μmの範囲における最頻空孔径が0.045〜0.060μmの範囲に存在し、(2)前記最頻空孔径のピークのピーク高さに対する半値幅の比が0.045μm/(cm−1)以下である空孔構造が存在し、
    前記半値幅が0.045μm以下であり、
    前記空孔構造において、空孔直径0.01〜0.50μmの範囲の全空孔容積が0.40〜0.60cm−1であり、
    前記カソード触媒層の少なくとも一部が前記空孔構造を有することを特徴とする、膜電極接合体。
  2. 前記最頻空孔径が0.045〜0.050μmの範囲に存在し、前記最頻空孔径のピークのピーク高さに対する半値幅の比が0.025μm/(cm−1)以下である、請求項1に記載の膜電極接合体。
  3. 前記半値幅が0.030μm以下である、請求項1または2に記載の膜電極接合体。
  4. 前記空孔構造において、空孔直径0.01〜0.50μmの範囲の全空孔容積が0.40〜0.50cm−1である、請求項1〜3のいずれか1項に記載の膜電極接合体。
  5. 前記最頻空孔径が0.050〜0.060μmの範囲に存在する、請求項1〜4のいずれか1項に記載の膜電極接合体。
  6. 前記空孔構造において、空孔直径0.01〜0.50μmの範囲の全空孔容積が0.47〜0.60cm−1である、請求項1〜5のいずれか1項に記載の膜電極接合体。
  7. 請求項1〜6のいずれか1項に記載の膜電極接合体と、
    燃料ガスが流れる燃料ガス流路を有するアノード側セパレータと酸化剤ガスが流れる酸化剤ガス流路を有するカソード側セパレータとからなる一対のセパレータと、
    を有する燃料電池。
  8. 記酸化剤ガスを相対湿度70〜100%の条件で供給する、請求項7に記載の燃料電池の運転方法。
  9. 記燃料ガスを相対湿度70〜100%の条件で供給する、請求項7に記載の燃料電池の運転方法。
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