JP2008071618A - 固体高分子型燃料電池用電極層およびその製造方法並びに固体高分子型燃料電池 - Google Patents

固体高分子型燃料電池用電極層およびその製造方法並びに固体高分子型燃料電池 Download PDF

Info

Publication number
JP2008071618A
JP2008071618A JP2006249145A JP2006249145A JP2008071618A JP 2008071618 A JP2008071618 A JP 2008071618A JP 2006249145 A JP2006249145 A JP 2006249145A JP 2006249145 A JP2006249145 A JP 2006249145A JP 2008071618 A JP2008071618 A JP 2008071618A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
layer
fuel cell
electrode
porous carbon
electrode layer
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP2006249145A
Other languages
English (en)
Inventor
Keiichi Iio
圭市 飯尾
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Toppan Inc
Original Assignee
Toppan Printing Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Toppan Printing Co Ltd filed Critical Toppan Printing Co Ltd
Priority to JP2006249145A priority Critical patent/JP2008071618A/ja
Publication of JP2008071618A publication Critical patent/JP2008071618A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Classifications

    • YGENERAL TAGGING OF NEW TECHNOLOGICAL DEVELOPMENTS; GENERAL TAGGING OF CROSS-SECTIONAL TECHNOLOGIES SPANNING OVER SEVERAL SECTIONS OF THE IPC; TECHNICAL SUBJECTS COVERED BY FORMER USPC CROSS-REFERENCE ART COLLECTIONS [XRACs] AND DIGESTS
    • Y02TECHNOLOGIES OR APPLICATIONS FOR MITIGATION OR ADAPTATION AGAINST CLIMATE CHANGE
    • Y02EREDUCTION OF GREENHOUSE GAS [GHG] EMISSIONS, RELATED TO ENERGY GENERATION, TRANSMISSION OR DISTRIBUTION
    • Y02E60/00Enabling technologies; Technologies with a potential or indirect contribution to GHG emissions mitigation
    • Y02E60/30Hydrogen technology
    • Y02E60/50Fuel cells
    • YGENERAL TAGGING OF NEW TECHNOLOGICAL DEVELOPMENTS; GENERAL TAGGING OF CROSS-SECTIONAL TECHNOLOGIES SPANNING OVER SEVERAL SECTIONS OF THE IPC; TECHNICAL SUBJECTS COVERED BY FORMER USPC CROSS-REFERENCE ART COLLECTIONS [XRACs] AND DIGESTS
    • Y02TECHNOLOGIES OR APPLICATIONS FOR MITIGATION OR ADAPTATION AGAINST CLIMATE CHANGE
    • Y02PCLIMATE CHANGE MITIGATION TECHNOLOGIES IN THE PRODUCTION OR PROCESSING OF GOODS
    • Y02P70/00Climate change mitigation technologies in the production process for final industrial or consumer products
    • Y02P70/50Manufacturing or production processes characterised by the final manufactured product

Abstract

【課題】多孔質カーボンからなる基材1上に、多孔質炭素層2、触媒担持カーボン、プロトン伝導性高分子からなる電極触媒層3が、この順に積層された固体高分子燃料電池用電極層において、高い電子伝導性、撥水性、層の均一性、高いガス拡散性を兼ね備えた多孔質炭素層を積層した固体高分子型燃料電池用電極層およびその製造方法並びに固体高分子型燃料電池を提供する。
【解決手段】少なくとも多孔質炭素層2が、柱状構造からなることを特徴とする固体高分子型燃料電池用電極層としたものである。
【選択図】図1

Description

本発明は、固体高分子型燃料電池用電極層およびその製造方法並びに固体高分子型燃料電池に関し、特に固体高分子型燃料電池用電極層における電極触媒層とガス拡散層の間に設けられる多孔質炭素層の製造方法に関する。
固体高分子型燃料電池は、一般的に多数の単セルが積層されて構成されている。単セルは、二つの電極(酸化極と還元極)で固体高分子膜を挟んで接合した膜・電極接合体を、ガス流路を有するセパレータで挟んだ構造をしている。この膜・電極接合体にはいくつかの成分からなる内部抵抗が存在する。セルの内部抵抗は大きく分けて2種類あり、電解質膜の伝導度や、電子伝導部分の接触性に依存するオーミック抵抗と、電極反応界面における反応抵抗である。この中で、オーミック抵抗を低減させるためには、電解質膜の導電性を向上させるだけで無く、セル内部の電子伝導部分の電気抵抗を低減させる必要がある。セル内部の電子伝導部分は大きく分けると、電極触媒層中のカーボン粒子、ガス拡散層、セパレータである。電気抵抗を低減させるためには、これら各々の伝導性を高めることのほかに、それぞれの界面における接触性を向上させる必要がある。中でも電極触媒層とガス拡散層の界面は、発電時において供給ガス、生成した水の通路になっており、単に接触性を向上させるだけでなく、ガスの透過性、発電による水の排水性等の特性が要求される。このため、電極触媒層とガス拡散層の間の界面構造を最適化することはセルの出力密度だけでなく、ガスの利用率、高負荷時の発電の安定性を高める為に重要な課題であるといえる。これまで、電極触媒層とガス拡散層の界面層を作製する研究が盛んに行われてきた。
膜・電極接合体の排水性を向上させるためには、一般的に撥水性の樹脂等を含有させる手法が用いられてきた。特許文献1によると、ガス拡散層中に撥水剤を含有させることで水の排水性を向上させることができる。また、特許文献2によると、電極触媒層中に撥水剤を含有させることで発電により発生する水の排水性を向上させることができる。
電極触媒層とガス拡散層の界面層は、一般的に多孔質の炭素が用いられている。これまでこの多孔質炭素層は、多孔質炭素微粒子を分散させたインキを塗布法やスクリーン印刷法などで基材上に塗布することで作製されてきた(例えば、特許文献3)。この場合、電子の伝導経路はカーボン粒子となる。このため層内におけるカーボン粒子の連結が行われている必要がある。撥水性を付与するために添加物を含有させた場合、カーボン粒子間の電子伝導が阻害され、セルの内部抵抗の増大の原因となっていた。また、塗布されたインキを乾燥させる際カーボンの凝集が起こりやすく、その結果、界面層における空隙率が低下することで燃料ガスの経路や発電により発生した水分の排水経路が遮断され、セルの出力密度が低下するなどの傾向が見られた。
以下に公知の文献を記す。
特開平7−134993号公報 特開2001−357858号公報 特開2005−216748号公報 G.K.Kiema, et.al., Solar Energy Materials and Solar Cells
本発明において解決しようとする課題は、上記課題点について鑑み、高い電子伝導性、撥水性、層の均一性、高いガス拡散性を兼ね備えた多孔質炭素層を積層した固体高分子型燃料電池用電極層およびその製造方法並びに固体高分子型燃料電池を提供することである。
本発明は係る課題に鑑みなされたもので、請求項1の発明は、多孔質カーボンからなる基材上に、多孔質炭素層、触媒担持カーボン、プロトン伝導性高分子からなる電極触媒層が、この順に積層された固体高分子燃料電池用電極層において、少なくとも多孔質炭素層が、柱状構造からなることを特徴とする固体高分子型燃料電池用電極層としたものである。
本発明の請求項2の発明は、前記の多孔質炭素層において、膜の空隙率が30%〜90%を特徴とする請求項1に記載の固体高分子型燃料電池用電極層としたものである。
本発明の請求項3の発明は、前記の多孔質炭素層において、膜厚が1μm以上20μm以下であることを特徴とする請求項1または2に記載の固体高分子型燃料電池用電極層としたものである。
本発明の請求項4の発明は、前記多孔質炭素層において、この層の電極触媒層側に、電極反応触媒元素が含まれている層を設けることを特徴とする請求項1〜3いずれか1項に記載の固体高分子型燃料電池用電極層としたものである。
本発明の請求項5の発明は、前記多孔質炭素層において、層内に撥水性の物質が含まれていることを特徴とする請求項1〜4いずれか1項に記載の固体高分子燃料電池用電極層としたものである。
本発明の請求項6の発明は、請求項1〜5いずれか1項に記載の固体高分子燃料電池用電極層の製造方法において、多孔質炭素層の形成が、真空蒸着法によって行われていることを特徴とする固体高分子燃料電池用電極層の製造方法としたものである。
本発明の請求項7の発明は、基材と蒸着源を結ぶ直線と基材の法線のなす角度θを0°<θ<90°の間で設定した状態で真空蒸着を行うことで、柱状構造からなる多孔質炭素層の形状を制御することを特徴とする請求項6に記載の固体高分子燃料電池用電極層の製造方法としたものである。
本発明の請求項8の発明は、多孔質炭素層内に白金あるいは撥水性物質が含まれている層が、共蒸着によって作製されていることを特徴とする請求項6または7に記載の固体高分子燃料電池用電極層の製造方法としたものである。
本発明の請求項9の発明は、酸化極、還元極によりプロトン伝導性電解質が挟持されており、少なくとも一方の電極が請求項1〜4いずれか1項に記載の固体高分子燃料電池用電極層、または請求項6〜8いずれか1項に記載の固体高分子燃料電池用電極層製造方法により得られた電極層からなることを特徴とする固体高分子型燃料電池としたものである。
本発明は、基材と蒸着源を結ぶ直線と基材の法線のなす角度θを0°<θ<90°の間で設定した状態で真空蒸着を行うことで、粒界抵抗が小さく、かつガス拡散性の高い多孔質の柱状構造を作製し、また、撥水剤を共蒸着させることでこの層に排水性を付与するものである。
本発明は、固体高分子燃料電池用の膜・電極接合体における電極触媒層とガス拡散層の界面に多孔質の炭素層を設けるものである。この多孔質炭素層は柱状構造を有しており、また排水性向上のために添加した撥水剤が層全体に均一に含まれている。製造方法は真空蒸着法であり、蒸着時の条件を制御することで、層の柱状構造や空隙率、撥水性を制御することができる。本発明による製造方法により作製された多孔質炭素層は、空隙率、導電性、撥水性を兼ね備えており、供給されるガスの拡散性が高く、また発電により発生した水の排水性が高い。この多孔質炭素層を電極触媒層とガス拡散層の界面に用いることで、出力密度の高い固体高分子型燃料電池用膜・電極接合体を得ることができる。
以下、本発明の詳細について説明する。本発明では、図1に示すとおり、真空蒸着法によってガス拡散層1上に多孔質炭素層2を作製し、その上に電極反応触媒の担持されたカーボン、プロトン伝導性高分子からなる電極触媒層3を作製したガス拡散性の基材上に電極触媒層を作製することで燃料電池用電極層を得る。
本発明で用いるガス拡散層としては、電子伝導性を有し、ガスの拡散性が高く、耐食性の高いものであれば何であっても構わないが、一般的にはカーボンペーパー、カーボンクロスなどの炭素系多孔質材料が用いられる。このとき、基材の表面の粗さによって、後述する真空蒸着法で成膜する際の膜の成長の形態が変化するが、何ら問題はなく、異なる粗さのガス拡散層を用いることにより逆に膜の密度を変化させることができる。
本発明における多孔質炭素層の構造は、図1に示すような柱状の構造体が集合したものからなっており、それぞれの構造体は粒界がなく、連続した構造を有することを特徴としている。この構造は、電子伝導性が高く、かつガス拡散性が高いため、多孔質炭素層として好適な材料である。
本発明における多孔質炭素層の厚さは、特に制限はないが、厚すぎる場合は内部抵抗が大きくなり、また薄すぎる場合は、電極触媒層を上から塗布した場合に、塗布インクがガス拡散層へしみ込むことによりガスの拡散性が大きく低下するため、1μm〜20μmの範囲であることが好ましい。
多孔質炭素層の空隙率は、特に制限はないが、ガスの拡散性、層の機械的強度を考慮すると、30〜90%であるのが好ましい。
本発明において得られる柱状構造からなる多孔質炭素層の作製には真空蒸着法が用いられる。真空蒸着法は成膜レート、成膜圧力、蒸発物質の入射角などの条件を変えることにより、膜の構造を制御することができ、ゆえに層の導電性やガス拡散性を制御することができるため好適である。以下、この条件について詳しく説明する。
図2において、蒸着源5の真上に基材4があり、基材4の法線と蒸着源5の置かれている面の法線が角度θをなす場合、蒸発粒子は基材に対して斜めに入射することになり、シャドウイング効果により、斜め柱状構造が得られることが知られている(例えば、非特許文献1参照)。角度θが大きくなるとシャドウイング効果は顕著になり、層の空隙率は大きくなる。このように、角度θを制御することにより、様々な空隙率の膜を作製することができる。
蒸着時の圧力は蒸発粒子の平均自由行程に大きく影響するため、成膜レート、膜の多孔性に大きく影響する。一般的には蒸着装置内へのガスの流量で圧力を調整することができる。このときのガスは蒸着物質に対して不活性である必要がある。柱状構造からなる多孔質膜を作製する場合、圧力が低いと膜に到達する蒸発粒子が多くなるために緻密で柱の太い膜が形成され、高い場合は空隙が多く柱の細い膜ができる。このように、成膜時の圧力を変化させることで、様々な表面積を有し、また様々な太さの柱を持つ柱状構造を形成することができる。これによって層のガス拡散性、電子伝導性を制御することができる。
蒸着源の温度を加熱や電子ビームなどにより変えることにより、膜の密度を変えることも可能である。このように様々な条件を変えることで、様々な構造、様々な表面積の膜を得ることができる。また、成膜中に条件を変化させることにより、膜の深さ方向に対して構造や表面積を傾斜的に変化させることも可能である。
本発明における真空蒸着では、複数の蒸着源を用いて二種類以上の物質を蒸着させる共蒸着法を用いて多孔質炭素層に他の物質を含有させることができる。これを活用して、層の撥水性を向上させるため撥水性の物質を導入することができる。撥水性の物質としては一般的にフッ素系の材料を使用することができる。また、多孔質炭素層において、電極触媒層の塗布面に電極触媒元素を導入し、その後触媒層を塗布することで、有効にはたらく電気化学反応界面を増大することができる。
次に、電極触媒層について説明する。本発明に用いられる触媒粒子としては、白金、パラジウム、ルテニウム、イリジウム、ロジウム、オスミウムの白金族元素の他、鉄、鉛、銅、クロム、コバルト、ニッケル、マンガン、バナジウム、モリブデン、ガリウム、アルミニウムなどの金属又はこれらの合金、または酸化物、複酸化物、炭化物等が使用できる。またこれらの触媒の粒径は、大きすぎる場合触媒の重量あたりの比表面積が低下し、その結果触媒の単位重量当たりの得られる電流値が小さくなる、逆に小さすぎる場合は触媒の安定性が低下するため、0.5〜50nmが好ましい。更に好ましくは1〜5nmが良い。また電極触媒層に使用する触媒と多孔質炭素層に含有させる触媒は同じものであることが好ましい。
これらの触媒を担持する担体には、一般的に炭素粉末が使用される。炭素の種類は、微粉末状で導電性を有し、電気化学的に安定なものであればどのようなものでも構わないが、カーボンブラック、グラファイト、黒鉛、活性炭、カーボンナノチューブ、フラーレンが使用できる。カーボンの粒径は、小さすぎると電子伝導パスが形成されにくくなり、また大きすぎると触媒層のガス拡散性が低下したり、触媒の利用率が低下するため、10〜1000nm程度が好ましい。更に好ましくは10〜100nmが良い。
触媒インキ中に含まれるプロトン伝導性高分子には様々なものが用いられるが、用いる電解質膜の成分によって、インキ中のプロトン伝導性高分子を選択する必要がある。市販のナフィオンを電解質膜として用いた場合は、ナフィオンを使用するのが好ましい。電解質膜にナフィオン以外の材料を用いた場合はインキ中に電解質膜と同じ成分を溶解させるなど、最適化をはかる必要がある。
触媒インクの分散媒として使用される溶媒は、触媒粒子や水素イオン伝導性樹脂を浸食することがなく、流動性の高い状態でプロトン伝導性高分子を溶解または微細ゲルとして分散できるものあれば特に制限はないが、発性の液体有機溶媒が少なくとも含まれることが望ましく、特に限定されるものではないが、メタノール、エタノール、1-プロパノ―ル、2-プロパノ―ル、1-ブタノ−ル、2‐ブタノ−ル、イソブチルアルコール、tert-ブチルアルコール、ペンタノ−ル、2−ヘプタノ−ル、ベンジルアルコール等のアルコール類、アセトン、メチルエチルケトン、メチルプロピルケトン、メチルブチルケトン、メチルイゾブチルケトン、メチルアミルケトン、ペンタノン、へプタノン、シクロヘキサノン、メチルシクロヘキサノン、アセトニルアセトン、ジエチルケトン、ジプロピルケトン、ジイソブチルケトンなどのケトン類、テトラヒドロフラン、テトラヒドロピラン、ジオキサン、ジエチレングリコールジメチルエーテル、アニソール、メトキシトルエン、ジエチルエーテル、ジプロピルエーテル、ジブチルエーテル等のエーテル類、イソプロピルアミン、ブチルアミン、イソブチルアミン、シクロヘキシルアミン、ジエチルアミン、アニリンなどのアミン類、蟻酸プロピル、蟻酸イソブチル、蟻酸アミル、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸プロピル、酢酸ブチル、酢酸イソブチル、酢酸ペンチル、酢酸イソペンチル、プロピオン酸メチル、プロピオン酸エチル、プロピオン酸ブチルなどのエステル類、その他酢酸、プロピオン酸、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、N-メチルピロリドン、エチレングリコール、ジエチレングリコール、プロピレングリコール、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールジメチルエーテル、エチレングリコールジエチルエーテル、ジアセトンアルコール、1-メトキシ-2-プロパノ-ル等の極性溶媒等が使用される。また、これらの溶媒のうち二種以上を混合させたものも使用できる。溶媒の中でも誘電率が異なる二種類の溶媒を用いることで、分散液中のプロトン伝導性高分子の分散状態を制御することも可能である。これらの溶媒また、溶剤として低級アルコールを用いたものは発火の危険性が高く、このような溶媒を用いる際は水との混合溶媒にするのが好ましい。水素イオン伝導性樹脂となじみがよい水が含まれていてもよい。水の添加量は、プロトン伝導性ポリマーが分離して白濁を生じたり、ゲル化しない程度であれば特に制限はない。また、成膜後の触媒層の空孔率を制御するために、造孔剤として、グリセリンや界面活性剤を添加することもできる。
触媒インクの粘度、インク中の粒子のサイズは、インクの分散処理の条件によって制御することができる。分散処理は、様々な装置を用いて行うことができる。例えば、ボールミル、ロールミル、せん断ミル、湿式ミル、超音波分散処理などが挙げられる。また、遠心力で撹拌を行うホモジナイザーなどを用いてもよい。
触媒層の形成方法としては、ドクターブレード法、ディッピング法、スクリーン印刷法、ロールコーティング法、スプレー法などの塗布法が一般的に用いられる。
触媒インクの粘度は、塗布方法によって最適値が異なる。例えば、スクリーン印刷法やドクターブレード法による塗布の場合、インキの粘度は50〜500cPであることが好ましい。この範囲の粘度よりも粘度が高い場合も低い場合もインキの塗布は困難になる。一方、スプレー法により基材上に噴霧する場合は、インキの粘度が0.1〜100cpであることが好ましい。この範囲よりもインキの粘度が低い場合はインキの粘度が高くなるため噴霧が困難になり、また少なすぎると成膜レートが非常に遅く、生産性が低下する。粘度は溶媒の種類、固形分濃度を変化させることで最適化する。またインキの分散時に分散剤を添加することで、粘度の制御をすることもできる。
以下に本発明における固体高分子型燃料電池およびその製造方法について、具体的な実施例を挙げて説明するが、本発明は実施例によって制限されるものではない。
<実施例1>
ガス拡散層としてカーボンクロスを用いた。この上に真空蒸着法によって多孔質炭素層を作製した。この時の蒸着条件は、図2においてカーボンの蒸着源の位置が座標軸で(x、y、z)=(0、0、0)(単位cmとする)、座標軸の原点と基材4の距離hが70cm、基材4の法線とZ軸のなす角度θ=10°、成膜圧力0.1〜0.5Pa、基材温度
25℃とした。得られた膜は柱状の構造体からなり、空隙率は70%、層の厚さは10μmであることがわかった。作製した多孔質炭素層上に電極触媒層を塗布した。まず、白金担持量が45wt%である白金担持カーボン触媒と市販のプロトン伝導性高分子(ナフィオン)溶液を溶媒中で混合し、遊星型ボールミル(FRITSCH社製 Pulverisette7)で分散処理することで塗布用インクを作製した。ボールミルのポット、ボールにはジルコニア製のものを用いた。出発原料の組成比は白金担持カーボン触媒とナフィオンは重量比で2:1とし、溶媒は水、1−プロパノ−ル、2−プロパノ−ルを体積比で1:1:1とした。また、固形分含有量は10wt%とした。このインクをドクターブレード法により塗工することで触媒層を作製した。塗工後、触媒層を60℃で5分乾燥させた。触媒層の厚さは、触媒層の白金担持量が0.5mg/cm2になるように調節した。
<実施例2>
実施例1と同様、カーボンクロス上に真空蒸着法によって多孔質炭素層を作製した、この時の蒸着条件は、図2においてカーボンの蒸着源の位置が座標軸で(x、y、z)=(0、0、0)(単位cmとする)、座標軸の原点と基材4の距離hが70cm、基材4の法線とZ軸のなす角度θ=40°、成膜圧力0.1〜0.5Pa、基材温度25℃とした。得られた膜は柱状の構造体からなり、空隙率は85%、層の厚さは10μmであることがわかった。作製した多孔質炭素層上に電極触媒層を塗布した。塗布用インキの作製条件および塗布条件は実施例1と同じとした。
<実施例3>
実施例1と同様、カーボンクロス上に真空蒸着法によって多孔質炭素層を作製した、またこのとき、炭素蒸着時に別の蒸着源を用いてフッ素系の材料を共蒸着させた。この時の蒸着条件は、この時の蒸着条件は、図2において蒸着源は2つで、その位置は、カーボンの蒸着源が座標軸で(x、y、z)=(0、0、0)、フッ素系材料の蒸着源は(x、y、z)=(0、−20、0)(単位cmとする)、座標軸の原点と基材4の距離hが70cm、基材4の法線とZ軸のなす角度θ=40°、成膜圧力0.1〜0.5Pa、基材温度25℃とした。得られた膜は柱状の構造体からなり、空隙率は80%、層の厚さは10μmであることがわかった。作製した多孔質炭素層上に電極触媒層を塗布した。塗布用インキの作製条件および塗布条件は実施例1と同じとした。
<実施例4>
実施例1と同様、カーボンクロス上に真空蒸着法によって多孔質炭素層を作製した、またこのとき、炭素蒸着時に別の蒸着源を用いてフッ素系の材料および白金を共蒸着させた。この時の蒸着条件は、この時の蒸着条件は、図2において蒸着源は3つで、その位置は、カーボンの蒸着源が座標軸で(x、y、z)=(0、0、0)、フッ素系材料の蒸着源は(x、y、z)=(0、−20、0)、白金の蒸着源は(x、y、z)=(0、20、0)(単位cmとする)、座標軸の原点と基材4の距離hが70cm、基材4の法線とZ軸のなす角度θ=40°、成膜圧力0.1〜0.5Pa、基材温度25℃とした。また、白金の共蒸着は炭素とフッ素系材料の共蒸着で層の厚さが8μmになるまで作製した後に行った。得られた膜は柱状の構造体からなり、空隙率は80%、層の厚さは10μmであることがわかった。作製した多孔質炭素層上に電極触媒層を塗布した。塗布用インキの作製条件および塗布条件は実施例1と同じとした。
<実施例5>
本実施例は、比較のための例1である。
カーボンクロス上にドクターブレード法によって多孔質炭素層を塗布により作製した。まず市販の多孔質カーボンブラックおよびPTFE分散液を分散媒中に投入し、ボールミルで分散処理を行うことで塗布用のインキを作製した。ボールミルは遊星型ボールミル(FRIT
SCH社製 Pulverisette7)を用いた。ボールミルのポット、ボールにはジルコニア製のものを用いた。分散媒は水、1−プロパノ−ル、2−プロパノ−ルを体積比で1:1:1とした。固形分含有量は10wt%とした。またこのとき多孔質カーボンブラックとPTFEの重量比は100:30とした。ドクターブレード法により塗布した後、乾燥することで多孔質炭素層を得た。このときの空隙率は80%、層の厚さは10μmであることがわかった。作製した多孔質炭素層上に電極触媒層を塗布した。塗布用インキの作製条件および塗布条件は実施例1と同じとした。
<膜・電極接合体作製>
実施例1〜4、比較例1においてカーボンクロス1上に多孔質炭素層2、電極触媒層3を順に積層させたものを用いて膜・電極接合体20を作製した。図3に膜・電極接合体の模式図を示す。作製した電極を5cm2の正方形に打ち抜き、酸化極7、還元極8とした。この2つの電極でプロトン伝導性高分子膜6を挟持した状態で130℃、588×104Pa、30分の条件でホットプレスを行い、膜・電極接合体を得た。プロトン伝導性高分子膜としてはデュポン株式会社製Nafion112を用いた。
<発電性能測定結果>
作製した膜・電極接合体の発電性能測定を行った。測定セルとして、膜・電極接合体を、ガス流路を有するセパレータで挟持させ、ボルトで両極を締め付けたものを用いた。評価条件はセル温度80℃、ガスは酸化極が水素、還元極は酸素とした。流量はアノードが200ml/min、カソードが100ml/min.とした。また、ガスの相対湿度は酸化極100%還元極26%とした。性能の比較は、電圧が0.7Vのときの電流密度および内部抵抗値で行った。内部抵抗の測定は交流インピーダンス法を用いて測定した。測定時には、セル電圧が0.7Vのときの電流を直流で加えた。交流インピーダンス法による測定では図4に示す複素平面上に描かれたいわゆるコールコールプロットから内部抵抗値を導く。内部抵抗は前述したオーミック抵抗9、反応抵抗10からなり、各々について比較した。表1に比較結果を示す。
表1は、実施例1〜4、比較例1で作製した電極層を用いて作製した膜・電極接合体の評価結果である。
本発明の固体高分子型燃料電池用電極層の例を断面で示した説明図である。 本発明の固体高分子型燃料電池用電極層の製造方法にかかる真空蒸着法における基材と蒸着源の位置関係を示す説明図である。 本発明にかかる膜・電極接合体の例を断面で示した説明図である。 本実施例の膜・電極接合体の内部抵抗を交流インピーダンス法で測定して得られたナイキストプロットである。
符号の説明
1… ガス拡散層
2… 多孔質炭素層
3… 電極触媒層
4… 基材
5… 蒸着源
6… プロトン伝導性高分子膜
7… 酸化極
8… 還元極
9… オーミック抵抗
10… 反応抵抗
20… 膜・電極接合体

Claims (9)

  1. 多孔質カーボンからなる基材上に、多孔質炭素層、触媒担持カーボン、プロトン伝導性高分子からなる電極触媒層が、この順に積層された固体高分子燃料電池用電極層において、少なくとも多孔質炭素層が、柱状構造からなることを特徴とする固体高分子型燃料電池用電極層。
  2. 前記の多孔質炭素層において、膜の空隙率が30%〜90%を特徴とする請求項1に記載の固体高分子型燃料電池用電極層。
  3. 前記の多孔質炭素層において、膜厚が1μm以上20μm以下であることを特徴とする請求項1または2に記載の固体高分子型燃料電池用電極層。
  4. 前記多孔質炭素層において、この層の電極触媒層側に、電極反応触媒元素が含まれている層を設けることを特徴とする請求項1〜3いずれか1項に記載の固体高分子型燃料電池用電極層。
  5. 前記多孔質炭素層において、層内に撥水性の物質が含まれていることを特徴とする請求項1〜4いずれか1項に記載の固体高分子燃料電池用電極層。
  6. 請求項1〜5いずれか1項に記載の固体高分子燃料電池用電極層の製造方法において、多孔質炭素層の形成が、真空蒸着法によって行われていることを特徴とする固体高分子燃料電池用電極層の製造方法。
  7. 基材と蒸着源を結ぶ直線と基材の法線のなす角度θを0°<θ<90°の間で設定した状態で真空蒸着を行うことで、柱状構造からなる多孔質炭素層の形状を制御することを特徴とする請求項6に記載の固体高分子燃料電池用電極層の製造方法。
  8. 多孔質炭素層内に白金あるいは撥水性物質が含まれている層が、共蒸着によって作製されていることを特徴とする請求項6または7に記載の固体高分子燃料電池用電極層の製造方法。
  9. 酸化極、還元極によりプロトン伝導性電解質が挟持されており、少なくとも一方の電極が請求項1〜4いずれか1項に記載の固体高分子燃料電池用電極層、または請求項6〜8いずれか1項に記載の固体高分子燃料電池用電極層製造方法により得られた電極層からなることを特徴とする固体高分子型燃料電池。
JP2006249145A 2006-09-14 2006-09-14 固体高分子型燃料電池用電極層およびその製造方法並びに固体高分子型燃料電池 Pending JP2008071618A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2006249145A JP2008071618A (ja) 2006-09-14 2006-09-14 固体高分子型燃料電池用電極層およびその製造方法並びに固体高分子型燃料電池

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2006249145A JP2008071618A (ja) 2006-09-14 2006-09-14 固体高分子型燃料電池用電極層およびその製造方法並びに固体高分子型燃料電池

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JP2008071618A true JP2008071618A (ja) 2008-03-27

Family

ID=39293025

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2006249145A Pending JP2008071618A (ja) 2006-09-14 2006-09-14 固体高分子型燃料電池用電極層およびその製造方法並びに固体高分子型燃料電池

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP2008071618A (ja)

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP5810860B2 (ja) 燃料電池用電極触媒層
US10135074B2 (en) Carbon powder for catalyst, catalyst, electrode catalyst layer, membrane electrode assembly, and fuel cell using the carbon powder
EP2991142B1 (en) Catalyst, electrode catalyst layer using said catalyst, membrane electrode assembly, and fuel cell
EP2990104B1 (en) Catalyst, method for producing same, and electrode catalyst layer using said catalyst
JP5458503B2 (ja) 電解質膜−電極接合体の製造方法
US7947411B1 (en) Membrane and electrode assembly and method of producing the same, and polymer electrolyte membrane fuel cell
JP5298566B2 (ja) 膜電極接合体
CN108539215B (zh) 燃料电池用催化剂油墨、燃料电池用催化剂层和膜电极接合体
US8614028B2 (en) Membrane and electrode assembly and method of producing the same, and polymer electrolyte membrane fuel cell
US20160079606A1 (en) Catalyst, and electrode catalyst layer, membrane electrode assembly and fuel cell using the catalyst
JP2007214008A (ja) 固体高分子型燃料電池用電極触媒層およびその製造方法並びに固体高分子型燃料電池
JP5332294B2 (ja) 膜電極接合体の製造方法
JP6131944B2 (ja) 固体高分子形燃料電池用膜電極接合体の製造方法
JP5034252B2 (ja) 固体高分子型燃料電池用電極触媒層およびその製造方法
JP2007214019A (ja) 燃料電池用膜電極接合体および燃料電池用ガス拡散層
JP4918753B2 (ja) 電極、電池およびその製造方法
JP5396730B2 (ja) 膜電極接合体
JP5755833B2 (ja) 燃料電池用アノード触媒層
JP2020057516A (ja) 電極層ならびに当該電極層を用いた膜電極接合体および燃料電池
JP2011070984A (ja) 燃料電池用電極触媒層の製造方法、およびこの電極触媒層を有する膜電極接合体
Louh et al. Novel Deposition of Pt∕ C Nanocatalysts and Nafion® Solution on Carbon-Based Electrodes via Electrophoretic Process for PEM Fuel Cells
JP2008071618A (ja) 固体高分子型燃料電池用電極層およびその製造方法並びに固体高分子型燃料電池
JP2010238513A (ja) 固体高分子形燃料電池用触媒粒子含有凝集体
JP2011258452A (ja) 電極触媒と膜電極接合体および固体高分子型燃料電池
JP5003078B2 (ja) 固体高分子型燃料電池用電極触媒層およびその製造方法ならびに固体高分子型燃料電池