JP2021093259A - 電極触媒層、膜電極接合体及び固体高分子形燃料電池 - Google Patents

電極触媒層、膜電極接合体及び固体高分子形燃料電池 Download PDF

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Abstract

【課題】電極触媒層中の物質輸送性およびプロトン伝導性を向上し、長期的に高い発電性能を発揮することが可能な電極触媒層、膜電極接合体及び固体高分子形燃料電池を提供する。【解決手段】固体高分子形燃料電池3に用いられる電極触媒層であって、触媒物質12と、該触媒物質を担持する導電性担体13と、高分子電解質14と、繊維状物質15とを含んでおり、繊維状物質は、電子伝導性繊維またはプロトン伝導性繊維から選ばれたいずれか一方または両方を含む一種類以上の繊維からなり、且つその繊維径分布が二つ以上のピークを持つことを特徴とする電極触媒層10。【選択図】図1

Description

本発明は、電極触媒層、膜電極接合体及び固体高分子形燃料電池に関する。
燃料電池は、水素と酸素の化学反応から電気を生み出す発電システムである。燃料電池は、従来の発電方式と比較して高効率、低環境負荷、低騒音といった特徴を持ち、将来のクリーンなエネルギー源として注目されている。特に、室温付近で使用可能な固体高分子形燃料電池は、車載用電源や家庭用定置電源などへの使用が有望視されており、近年、固体高分子形燃料電池に関する様々な研究開発が行われている。その実用化に向けての課題には、発電特性や耐久性などの電池性能向上、インフラ整備、製造コストの低減などが挙げられる。
固体高分子形燃料電池は、一般的に、多数の単セルが積層されて構成されている。単セルは、高分子電解質膜の両面に、燃料ガスを供給する燃料極(アノード)と酸化剤を供給する酸素極(カソード)とが接合された膜電極接合体を、ガス流路及び冷却水流路を有するセパレーターで挟んだ構造をしている。燃料極(アノード)及び酸素極(カソード)は、白金系の貴金属などの触媒物質、導電性担体及び高分子電解質を少なくとも含む電極触媒層と、ガス通気性と導電性とを兼ね備えたガス拡散層とで主に構成されている。
固体高分子形燃料電池では、以下のような電気化学反応を経て電気を取り出すことができる。まず、燃料極側電極触媒層において、燃料ガスに含まれる水素が触媒物質により酸化され、プロトン及び電子となる。生成したプロトンは、電極触媒層内の高分子電解質及び電極触媒層に接している高分子電解質膜を通り、酸素極側電極触媒層に達する。また、同時に生成した電子は、燃料極側電極触媒層内の導電性担体、燃料極側電極触媒層に接しているガス拡散層、セパレーター及び外部回路を通って酸素極側電極触媒層に達する。そして、酸素極側電極触媒層において、プロトン及び電子が空気などの酸化剤ガスに含まれる酸素と反応し、水を生成する。これら一連の反応において、電子伝導抵抗に比べてプロトン伝導抵抗が大きいため、反応性を向上させ、燃料電池としての性能向上を図るためにはプロトンを効率よく伝導することが重要である。
ガス拡散層はセパレーターから供給されるガスを拡散して電極触媒層中に供給する役割をもつ。そして、電極触媒層中の細孔は、セパレーターからガス拡散層を通じた先に位置し、複数の物質を輸送する通路の役割を果たす。燃料極の細孔は、酸化還元の反応場である三相界面に燃料ガスに含まれる水素を円滑に供給する機能が求められる。また、酸素極の細孔は、酸化剤ガスに含まれる酸素を円滑に供給する機能が求められる。さらに、酸素極の細孔は、反応によって生じた生成水を円滑に排出する機能が求められる。ここで、ガスを円滑に供給し、生成水を円滑に排出するためには、電極触媒層中に生成水を円滑に排出可能な十分な隙間があり、密な構造となっていないことが重要である。
電極触媒層の構造が密とならないようコントロールし、発電性能を向上する手段として、例えば、異なる粒子径のカーボンまたはカーボン繊維を含む電極触媒層が提案されている(特許文献1、2)。
特許文献1では、互いに適度に異なる粒径を有するカーボン粒子を組み合わせることで、電極触媒層中においてカーボン粒子が密に詰まることを抑えている。また、特許文献2では、互いに異なる繊維長を有するカーボン繊維を含み、その比率を一定範囲とすることで、電極触媒層中において適切細孔が多くを占めるようにしている。一方で、粒子径の大きな大粒子と粒子径の小さな小粒子を混合すると大粒子間の隙間に小粒子が入り込んでむしろ密に充填することがある。また、カーボン繊維を用いた場合では、密に充填されることは防げても、触媒層における電子伝導体の比率が増加してプロトン伝導体の比率が低下するため、プロトン移動抵抗は大きくなり発電性能の低下要因となってしまう。燃料電池における発電性能は、物質輸送性・電子伝導性・プロトン伝導性によって大きく変わるものであるから、結局のところ、カーボン粒子の組み合わせやカーボン繊維の組み合わせを用いるという電子伝導性のみを高める方法では、発電性能を高める事には限界がある。
特許第3617237号公報 特許第5537178号公報
本発明は、上記のような点に着目してなされたものであり、電極触媒層中の物質輸送性およびプロトン伝導性を向上し、長期的に高い発電性能を発揮することが可能な電極触媒層、膜電極接合体及び固体高分子形燃料電池を提供することを課題とする。
上記の課題を解決する手段として、本発明の一態様に係る電極触媒層は、固体高分子形燃料電池に用いられる電極触媒層であって、
触媒物質と、該触媒物質を担持する導電性担体と、高分子電解質と、繊維状物質とを含んでおり、
繊維状物質は、電子伝導性繊維またはプロトン伝導性繊維から選ばれたいずれか一方または両方を含む一種類以上の繊維からなり、且つその繊維径分布が二つ以上のピークを持つことを特徴とする。
また、本発明の一態様に係る電極触媒層は、前記繊維径分布の二つ以上のピークのうち、最も小径側の第一ピーク径が50nm以上200nm以下であり、第一ピークの次に大きい第二ピーク径が250nm以上500nm以下であることを特徴とする。
また、本発明の一態様に係る電極触媒層は、前記繊維状物質が電子伝導性繊維からなり、
前記電子伝導性繊維が、遷移金属元素の炭窒化物の部分酸化物と遷移金属元素の導電性酸化物と遷移金属元素の導電性酸窒化物の中から選ばれたいずれか一以上を含む繊維であることを特徴とする。
また、本発明の一態様に係る電極触媒層は、前記電子伝導性繊維がカーボンナノファイバーであることを特徴とする。
また、本発明の一態様に係る電極触媒層は、前記プロトン伝導性繊維が電解質ナノファイバーであることを特徴とする。
また、本発明の一態様に係る電極触媒層は、前記電極触媒層の厚みが、5μm以上30μm以下であることを特徴とする。
また、本発明の一態様に係る膜電極接合体は、本発明の電極触媒層が、高分子電解質膜の少なくとも一方の面に備えられていることを特徴とする。
また、本発明の一態様に係る固体高分子形燃料電池は、膜電極接合体を備えていることを特徴とする。
本発明の電極触媒層によれば、電極触媒層中の物質輸送性およびプロトン伝導性を向上し、長期的に高い発電性能を発揮することが可能な電極触媒層、膜電極接合体及び固体高分子形燃料電池を提供することが可能となる。
本発明の膜電極接合体によれば、本発明の電極触媒層を使用しているため、電極触媒層中の物質輸送性およびプロトン伝導性が向上していることにより、長期的に高い発電性能を発揮することが可能となる。
本発明の固体高分子形燃料電池によれば、本発明の膜電極接合体を使用しているため、電極触媒層中の物質輸送性およびプロトン伝導性が向上していることにより、長期的に高い発電性能を発揮することが可能となる。
本発明の電極触媒層の断面構造の例を模式的に示す断面図である。 本発明の電極触媒層に使用する繊維状物質の繊維径分布の例を模式的に示すグラフである。 本発明の電極触媒層の断面に露出した繊維状物質の切断面により観察可能となった繊維状物質の繊維径を例示した電子顕微鏡写真である。 固体高分子形燃料電池の構成例を示す分解斜視図である。
以下、本発明の実施形態について、図面を参照しつつ説明する。
なお、本発明は、以下に記載する実施形態に限定されるものではなく、当業者の知識を基に設計の変更等の変形を加えることも可能であり、そのような変形が加えられた実施形態も、本発明の範囲に含まれるものである。また、各図面は、理解を容易にするため適宜誇張して表現している。
本発明の発明者は、固体高分子形燃料電池の初期発電性能と耐久発電性能について鋭意検討を行った結果、これらの性能には電極触媒層におけるガス拡散性とプロトン伝導性が大きく影響していることを見出した。そして、電極触媒層に剛直な導電性繊維状物質とフレキシブルなプロトン伝導性繊維とを併せて用いることにより、広い空隙を形成してガスの拡散性が向上するとともにプロトン伝導抵抗を低下した結果、電池出力の低下及び当該電極触媒層の劣化を抑制し、長期的に高い発電性能を発揮する固体高分子形燃料電池を得ることに成功した。ここで導電性繊維状物質とは、電子が導電性を担う電子伝導性材料からなる繊維状物質を指す。
[電極触媒層の構成]
以下、図1から図3を参照しつつ、本実施形態に係る電極触媒層の具体的な構成を説明する。
図1に示す模式図のように、本実施形態に係る電極触媒層10は、高分子電解質膜11の表面に接合されており、触媒物質12と、触媒物質12を担持した導電性担体13と、高分子電解質14と、繊維状物質15と、を含んでいる。そして、上記のいずれの構成要素も存在しない部分が空隙4となっている。
本実施形態に係る電極触媒層10は、繊維状物質15の繊維径分布が少なくとも二つの
ピークを持つように構成されている。繊維径分布の二つ以上のピークのうち、最も小径側の第一ピーク径が50nm以上200nm以下であり、第二ピーク径が250nm以上500nm以下であることが好ましい。また、第一ピーク径を構成する繊維状物質は剛直な導電性物質であり、第二ピーク径を構成する繊維状物質はフレキシブルなプロトン伝導性物質であることが好ましい。第一ピーク径が上記範囲よりも小さい場合には、空隙が狭く十分な排水性及びガス拡散性が確保できない場合があり、第一ピーク径が上記範囲よりも大きい場合には、高分子電解質によるプロトン伝導の経路が遮断され、抵抗が増大する場合がある。第二ピーク径が上記範囲よりも小さい場合には、十分なプロトン伝導性が確保できない場合があり、第二ピーク径が上記範囲よりも大きい場合には、触媒層にクラックが生じるなど成膜性に問題が生じる可能性がある。
ここで、繊維状物質15の繊維径分布について説明する。
図2は、繊維状物質15の繊維径分布を示すグラフであり、電極触媒層10に含有されている繊維状物質15の繊維径ごとの頻度を表すヒストグラムであり、ピークが二つの場合の繊維径分布を表している。
ヒストグラムは、ヒストグラムの幅(bin Width)を10nmとして選定して作成する。例えば、繊維径の最大値が400nm、最小値が10nmである場合、ヒストグラムの幅を10nmとした時、ビンの数(ヒストグラムの本数)は(400−10)÷10=39(本)となる。また、ここでピークとは繊維径の度数が最も大きいところを指す。ピークに対応する繊維径は、ヒストグラムの幅の中心値とした。例えば、幅を5nm以上15nm未満とした場合、中心値を10nmとした。
例えば図3に示すように、繊維状物質15の繊維径は、電極触媒層10の断面を、走査型電子顕微鏡(SEM)を用いて観察した際に、その断面が露出している繊維状物質15の直径を測長することで得ることができる。繊維状物質15が斜めに切断された場合には露出する断面の形状は楕円形となることがある。その場合には、短軸に沿ってフィッティングした真円の直径を測定することで繊維状物質15の繊維径を得ることができる。複数、例えば100箇所の繊維状物質15の繊維径を測長することで、繊維径ごとの頻度を表すヒストグラムを得ることができる。繊維径の測定箇所は多い程、繊維径のピークを明確に把握する事が可能である。
電極触媒層10の断面を露出させる方法としては、例えば、イオンミリング、ウルトラミクロトーム等の公知の方法を用いることができる。断面を露出させる加工を行う際には、高分子電解質膜11や電極触媒層10を構成する高分子電解質14へのダメージを軽減するため、電極触媒層10を冷却しながら加工を行うクライオイオンミリングを用いることが特に好ましい。
電極触媒層10の厚さは、5μm以上30μm以下が好ましい。厚さが30μmよりも厚い場合には、クラックが生じやすいうえに、燃料電池に用いた際にガスや生成する水の拡散性及び導電性が低下して、出力が低下してしまう。また、厚さが5μmよりも薄い場合には、層厚にばらつきが生じ易くなり、内部の触媒物質12や高分子電解質14が不均一となりやすい。電極触媒層10の表面のひび割れや、厚さの不均一性は、燃料電池として使用し、長期に渡り運転した際の耐久性に悪影響を及ぼす可能性が高いため、好ましくない。
電極触媒層10の厚さは、例えば、電極触媒層10の断面を、走査型電子顕微鏡(SEM)を用いて観察することで計測することができる。電極触媒層10の断面を露出させる方法としては、例えば、イオンミリング、ウルトラミクロトーム等の公知の方法を用いる
ことができる。断面を露出させる加工を行う際には、高分子電解質膜11や電極触媒層10を構成する高分子電解質14へのダメージを軽減するため、電極触媒層10を冷却しながら加工を行うクライオイオンミリングを用いることが特に好ましい。
[膜電極接合体の構成]
次に、図4を参照して、膜電極接合体の構成を説明する。図4は、本実施形態に係る電極触媒層10を備えた膜電極接合体1を装着した固体高分子形燃料電池3の構成例を示す分解斜視図である。
膜電極接合体1は、高分子電解質膜11と、高分子電解質膜11の表裏面にそれぞれ接合された電極触媒層10C、10Aとを備えている。本実施形態では、高分子電解質膜11の上面(表面)に形成される電極触媒層10Cは、酸素極を構成するカソード側電極触媒層であり、高分子電解質膜11の下面(裏面)に形成される電極触媒層10Aは、燃料極を構成するアノード側電極触媒層である。以下、一対の電極触媒層10C、10Aは、区別する必要がない場合には、「電極触媒層10」と略記する場合がある。また、高分子電解質膜11の電極触媒層10が接合されていない外周部分からのガスリークを防ぐため、酸素極側のガスケット16C及び燃料極側のガスケット16Aが配置されている。
[膜電極接合体の製造方法]
以下、上述した膜電極接合体1の製造方法を説明する。
まず、触媒インクを作製する。触媒物質12、導電性担体13、高分子電解質14、および、繊維状物質15を分散媒に混合し、その後、混合物に分散処理を施すことによって触媒インクを作製する。分散処理は、例えば、遊星型ボールミル、ビーズミル、および、超音波ホモジナイザーなどを用いて行うことができる。
触媒インクの分散媒には、触媒物質12、導電性担体13、高分子電解質14、および、繊維状物質15を浸食せず、かつ、分散媒の流動性が高い状態で、高分子電解質14を溶解することができる、または、高分子電解質14を微細なゲルとして分散することが可能な溶媒を用いることができる。分散媒には水が含まれてもよい。触媒インクは、揮発性の液体有機溶媒を含むことが好ましい。溶媒が低級アルコールである場合には発火のおそれがあるため、こうした溶媒には、水が混合されることが好ましい。溶媒には、高分子電解質14が分離することによって、触媒インキが白濁したりゲル化したりしない範囲で水を混合することができる。
作製した触媒インクを基材に塗布した後に乾燥することによって、触媒インクの塗膜から溶媒が除去される。これにより、基材上に電極触媒層10が形成される。基材には、高分子電解質膜11、または、転写用基材を用いることができる。高分子電解質膜11を基材として用いる場合には、例えば、高分子電解質膜11の表面に触媒インクを直に塗布した後、触媒インクの塗膜から溶媒を除去することによって電極触媒層10を形成する方法を用いることができる。
転写用基材を用いる場合には、転写用基材の上に触媒インキを塗布した後に乾燥することによって、触媒層付き基材を作製する。その後、例えば、触媒層付き基材における電極触媒層10の表面と、高分子電解質膜11と、を接触させた状態で、加熱および加圧を行うことによって、電極触媒層10と高分子電解質膜11とを接合させる。高分子電解質膜11の両面に電極触媒層10を接合することによって、膜電極接合体1を製造することができる。
触媒インクを基材に塗布する方法には、様々な塗工方法を用いることができる。塗工方法には、例えば、ダイコート、ロールコート、カーテンコート、スプレーコート、および、スキージーなどを挙げることができる。塗工方法には、ダイコートを用いることが好ましい。ダイコートは、塗布期間の中間における膜厚が安定し、かつ、間欠的な塗工を行うことが可能である点で好ましい。触媒インクの塗膜を乾燥させる方法には、例えば、温風オーブンを用いた乾燥、IR(遠赤外線)乾燥、ホットプレートを用いた乾燥、および、減圧乾燥などを用いることができる。乾燥温度は、40℃以上200℃以下であり、40℃以上120℃以下程度であることが好ましい。乾燥時間は、0.5分以上1時間以下であり、1分以上30分以下程度であることが好ましい。
転写用基材に電極触媒層10を形成する場合には、電極触媒層10の転写時に電極触媒層10に掛かる圧力や温度が膜電極接合体1の発電性能に影響する。発電性能が高い膜電極接合体を得る上では、電極触媒層10に掛かる圧力は、0.1MPa以上20MPa以下であることが好ましい。圧力が20MPa以下であることによって、電極触媒層10が過剰に圧縮されることが抑えられる。圧力が0.1MP以上であることによって、電極触媒層10と高分子電解質膜11との接合性の低下により発電性能が低下することが抑えられる。接合時の温度は、高分子電解質膜11と電極触媒層10との界面の接合性の向上や、界面抵抗の抑制を考慮すると、高分子電解質膜11、または、電極触媒層10が含む高分子電解質14のガラス転移点付近であることが好ましい。
転写用基材には、例えば、高分子フィルム、および、フッ素系樹脂によって形成されたシート体を用いることができる。フッ素系樹脂は、転写性に優れている。フッ素系樹脂には、例えば、エチレンテトラフルオロエチレン共重合体(ETFE)、テトラフルオロエチレン−ヘキサフルオロプロピレン共重合体(FEP)、テトラフルオロパーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体(PFA)、および、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)などを挙げることができる。高分子フィルムを形成する高分子には、例えば、ポリイミド、ポリエチレンテレフタラート、ポリアミド(ナイロン(登録商標))、ポリサルホン、ポリエーテルサルホン、ポリフェニレンサルファイド、ポリエーテル・エーテルケトン、ポリエーテルイミド、ポリアリレート、および、ポリエチレンナフタレートなどを挙げることができる。転写用基材には、ガス拡散層を用いることもできる。
触媒物質12には、例えば、白金族に含まれる金属、白金族以外の金属、および、これら金属の合金、酸化物、複酸化物、および、炭化物などを用いることができる。白金族に含まれる金属は、白金、パラジウム、ルテニウム、イリジウム、ロジウム、および、オスミウムである。白金族以外の金属には、鉄、鉛、銅、クロム、コバルト、ニッケル、マンガン、バナジウム、モリブデン、ガリウム、および、アルミニウムなどを用いることができる。
導電性担体13には、導電性を有し、かつ、触媒物質12に侵食されることなく触媒物質12を担持することが可能な担体を用いることができる。導電性担体13には、カーボン粒子を用いることができる。カーボン粒子には、例えば、カーボンブラック、グラファイト、黒鉛、活性炭、カーボンナノチューブ、カーボンナノファイバー、および、フラーレンを用いることができる。カーボン粒子の粒径は、10nm以上1000nm以下程度であることが好ましく、10nm以上100nm以下程度であることがさらに好ましい。粒径が10nm以上であることによって、カーボン粒子が電極触媒層10において密に詰まり過ぎず、これによって、電極触媒層10のガス拡散性を低下させることが抑えられる。粒径が1000nm以下であることによって、電極触媒層10にクラックを生じさせることが抑えられる。なお、カーボン粒子の粒径は、レーザ回折/散乱法による体積平均径である。
高分子電解質膜11および電極触媒層10に含まれる高分子電解質には、プロトン伝導性を有する電解質を用いることができる。高分子電解質には、例えば、フッ素系高分子電解質、および、炭化水素系高分子電解質を用いることができる。フッ素系高分子電解質に
は、テトラフルオロエチレン骨格を有する高分子電解質を用いることができる。なお、テトラフルオロエチレン骨格を有する高分子電解質には、デュポン社製のNafion(登録商標)を例示することができる。炭化水素系高分子電解質には、例えば、スルホン化ポリエーテルケトン、スルホン化ポリエーテルスルホン、スルホン化ポリエーテルエーテルスルホン、スルホン化ポリスルフィド、および、スルホン化ポリフェニレンなどを用いることができる。
高分子電解質膜11に含まれる高分子電解質と、電極触媒層10に含まれる高分子電解質14とは、互いに同じ電解質であってもよいし、互いに異なる電解質であってもよい。ただし、高分子電解質膜11と電極触媒層10との界面における界面抵抗や、湿度が変化した場合において、高分子電解質膜11と電極触媒層10における寸法変化率を考慮すると、高分子電解質膜11に含まれる高分子電解質と、電極触媒層10に含まれる高分子電解質14とは、互いに同じ電解質であるか、熱膨張係数が近い高分子電解質であることが好ましい。
繊維状物質15には、電子伝導性繊維およびプロトン伝導性繊維を用いることができる。
電子伝導性繊維には、カーボンファイバー、カーボンナノチューブ、カーボンナノホーン、および、導電性高分子ナノファイバーなどを挙げることができる。導電性や分散性の観点から、カーボンナノファイバーを繊維状物質15として用いることが好ましい。
触媒能を有する電子伝導性繊維は、貴金属によって形成される触媒の使用量を低減できる点でより好ましい。電極触媒層10が酸素極を構成する電極触媒層10Cとして用いられる場合には、触媒能を有する電子伝導性繊維には、カーボンナノファイバーから作製したカーボンアロイ触媒を挙げることができる。触媒能を有する電子伝導性繊維は、電極活物質を繊維状に加工した繊維であってもよい。電極活物質には、Ta、Nb、Ti、および、Zrから構成される群から選択される少なくとも一つの遷移金属元素を含む物質を用いることができる。遷移金属元素を含む物質には、遷移金属元素の炭窒化物の部分酸化物、または、遷移金属元素の導電性酸化物、および、遷移金属元素の導電性酸窒化物を挙げることができる。
プロトン伝導性繊維としては、例えば、プロトン伝導性を有する高分子電解質を繊維状に加工したナノファイバーを挙げることができる。プロトン伝導性繊維を形成するための材料には、フッ素系高分子電解質、および、炭化水素系高分子電解質などを用いることができる。フッ素系高分子電解質には、例えば、デュポン社製のNafion(登録商標)、旭硝子(株)製のFlemion(登録商標)、旭化成(株)製のAciplex(登録商標)、および、ソルベイ社製のAquivion(登録商標)などを用いることができる。炭化水素系高分子電解質には、スルホン化ポリエーテルケトン、スルホン化ポリエーテルスルホン、スルホン化ポリエーテルエーテルスルホン、スルホン化ポリスルフィド、スルホン化ポリフェニレン、スルホン化ポリイミド、および、酸ドープ型ポリベンゾアゾール類などの電解質を用いることができる。
繊維状物質15には、上述した繊維のうちの一種のみが用いられてもよいし、二種以上が用いられてもよい。繊維状物質15として、電子伝導性繊維とプロトン伝導性繊維とを併せて用いてもよい。繊維状物質15は、上述した繊維状物質15のなかでも、カーボンナノファイバー、カーボンナノチューブ、および、電解質ナノファイバーから構成される群から選択される少なくとも1つを含むことが好ましい。
繊維状物質15の繊維径としては、50〜500nmが好ましい。繊維径をこの範囲に
することにより、電極触媒層10内の空隙を増加させるとともにプロトン伝導性の低下を抑制することができ、高出力化が可能になる。
また、繊維状物質15の繊維長は1〜50μmが好ましく、5〜20μmがより好ましい。繊維長を1μm以上50μm以下の範囲に設定することにより、電極触媒層10の強度を高めることができ、ひいては、電極触媒層10を形成するときに、電極触媒層10にクラックが生じることが抑えられる。加えて、電極触媒層10内の空隙を増加させることができ、ひいては、固体高分子形燃料電池3の高出力化が可能である。
ここで、繊維状物質15の配合率、高分子電解質の配合率、触媒インクの溶媒組成、触媒インク調整時の分散強度、塗布した触媒インクの加熱温度やその加熱速度などを調整する事により、電極触媒層10を、十分なガス拡散性およびプロトン伝導性を有するものとすることができる。
例えば、電極触媒層10中の高分子電解質14の配合率は、導電性担体13の重量に対して同程度から半分程度が好ましい。また、繊維状物質15の配合率は、導電性担体13の重量に対して同程度から半分程度が好ましい。触媒インクの固形分比率は、薄膜に塗工できる範囲で、高いほうが好ましい。
[固体高分子形燃料電池の構成]
次に、図4を参照しつつ、本実施形態に係る膜電極接合体1を備えた固体高分子形燃料電池3の具体的な構成例を説明する。図4は、膜電極接合体1を装着した固体高分子形燃料電池3の構成例を示す分解斜視図である。なお、図4は、単セルの構成例であり、固体高分子形燃料電池3は、この構成に限られず、複数の単セルを積層した構成であってもよい。
図4に示すように、固体高分子形燃料電池3は、膜電極接合体1と、酸素極側のガス拡散層17Cと、燃料極側のガス拡散層17Aとを備えている。ガス拡散層17Cは、膜電極接合体1の酸素極側のカソード側電極触媒層である電極触媒層10Cと対向して配置されている。また、ガス拡散層17Aは、膜電極接合体1の燃料極側のアノード側電極触媒層である電極触媒層10Aと対向して配置されている。そして、電極触媒層10C及びガス拡散層17Cから酸素極2Cが構成され、電極触媒層10A及びガス拡散層17Aから燃料極2Aが構成されている。また、高分子電解質膜11の、電極触媒層10(10C、10A)が接合されていない、外周部分からのガスリークを防ぐため、酸素極側のガスケット16C及び燃料極側のガスケット16Aが配置されている。
更に、固体高分子形燃料電池3は、酸素極2Cに対向して配置されたセパレーター18Cと、燃料極2Aに対向して配置されたセパレーター18Aと、を備えている。セパレーター18Cは、ガス拡散層17Cに対向する面に形成された反応ガス流通用のガス流路19Cと、ガス流路19Cが形成された面と反対側の面に形成された冷却水流通用の冷却水流路20Cとを備えている。また、セパレーター18Aは、セパレーター18Cと同様の構成を有しており、ガス拡散層17Aに対向する面に形成されたガス流路19Aと、ガス流路19Aが形成された面と反対側の面に形成された冷却水流路20Aとを備えている。セパレーター18C、18Aは、導電性でかつガス不透過性の材料からなる。
そして、固体高分子形燃料電池3は、セパレーター18Cのガス流路19Cを通って空気や酸素等の酸化剤が酸素極2Cに供給され、セパレーター18Aのガス流路19Aを通って水素を含む燃料ガス若しくは有機物燃料が燃料極2Aに供給されて、発電を行う。
本実施形態に係る膜電極接合体1を採用することで、十分な排水性及びガス拡散性を有し、長期的に高い発電性能を発揮することが可能となる。
すなわち、本実施形態によれば、固体高分子形燃料電池3の運転において十分なガス拡散性およびプロトン伝導性を有し、長期的に高い発電性能を発揮することが可能な電極触媒層10、膜電極接合体1及び固体高分子形燃料電池3を提供することができる。したがって、本発明は、固体高分子形燃料電池を利用した、定置型コジェネレーションシステムや燃料電池自動車等に好適に用いることができ、産業上の利用価値が大きい。
以下、本発明に基づく実施例に係る膜電極接合体について説明する。
[実施例1]
実施例1では、白金担持カーボン触媒(TEC10E50E、田中貴金属工業社製)と水と1−プロパノールと高分子電解質(ナフィオン(登録商標)分散液、和光純薬工業社製)とカーボンナノファイバー(VGCF(登録商標)−H、昭和電工社製)と電解質ナノファイバー(スルホン化ポリフェニレン、直径250−300nm)とを混合した。この混合物に対し、遊星型ボールミルを用いて60分間にわたって300rpmで分散処理を行った。その際、直径5mmのジルコニアボールをジルコニア容器の3分の1程度加えた。なお、高分子電解質の質量は炭素粒子の質量に対して100質量%、カーボンナノファイバーおよび電解質ナノファイバーの質量は炭素粒子の質量に対してそれぞれ10質量%、分散媒中の水の割合は50質量%、固形分濃度は10質量%となるように調整して、触媒インクを作製した。
触媒インクを、高分子電解質膜(ナフィオン(登録商標)211、Dupont社製)の片面にスリットダイコーターを用いて200μmの厚みとなるように塗布することによって塗膜を形成した。次いで、塗膜が形成された高分子電解質膜を80℃の温風オーブンにて、塗膜のタックがなくなるまで乾燥させ、カソード側電極触媒層を形成した。次に触媒インクを、高分子電解質膜の反対側の面にスリットダイコーターを用いて50μmの厚みとなるように塗布することによって塗膜を形成した。次いで、塗膜が形成された高分子電解質膜を80℃の温風オーブンにて、塗膜のタックがなくなるまで乾燥させ、アノード側電極触媒層を形成した。これにより、実施例1の膜電極接合体を得た。
[実施例2]
触媒インクを調製するときに、カーボンナノファイバー(VGCF(登録商標)−H、昭和電工(株)製)のかわりに多層カーボンナノチューブ(直径60−100nm、長さ>5μm、東京化成工業(株)製)を用いた以外は、実施例1と同様の方法によって、実施例2の膜電極接合体を得た。
[実施例3]
触媒インクを調製するときに、カーボンナノファイバーの量を実施例1の2分の1とした以外は、実施例1と同様の方法によって、実施例3の膜電極接合体を得た。
[実施例4]
触媒インクを調製するときに、電解質ナノファイバー(スルホン化ポリフェニレン、直径250−300nm)のかわりに電解質ナノファイバー(ポリベンズイミダゾール、直径300−400nm)を用いた以外は、実施例1と同様の方法によって、実施例4の膜電極接合体を得た。
[実施例5]
触媒インクを調製するときに、高分子電解質の量を実施例1の3分の2とした以外は、実施例1と同様の方法によって、実施例5の膜電極接合体を得た。
[実施例6]
実施例1と同様の方法によって、触媒インクを調製した。触媒インクを、PTFEフィルムの表面にスリットダイコーターを用いて200μmの厚みとなるように塗布することによって塗膜を形成した。次いで、塗膜が形成されたPTFEフィルムを80℃の温風オーブンにて、塗膜のタックがなくなるまで乾燥させ、カソード側電極触媒層付き転写基材を得た。次に、触媒インクを、別のPTFEフィルムの表面にスリットダイコーターを用いて50μmの厚みとなるように塗布することによって塗膜を形成した。次いで、塗膜が形成されたPTFEフィルムを80℃の温風オーブンにて、塗膜のタックがなくなるまで乾燥させ、アノード側電極触媒層付き転写基材を得た。
カソード側電極触媒層付き転写基材と、アノード側電極触媒層付き転写基材と、を高分子電解質膜(ナフィオン(登録商標)211、Dupont社製)の表裏面に、それぞれが対向するように配置し、積層体を形成した。次に、その積層体を120℃、1MPaの条件でホットプレスすることによって、高分子電解質膜の表裏面にそれぞれ電極触媒層を接合した。最後に、各電極触媒層からPTFEフィルムを剥離することによって、実施例6の膜電極接合体を得た。
[比較例1]
触媒インクを調製するときに、カーボンナノファイバー(VGCF(登録商標)−H、昭和電工(株)製)のかわりにカーボンナノチューブ(NC7000、Nanocyl社製)を用いた以外は、実施例1と同様の方法によって、比較例1の膜電極接合体を得た。
[比較例2]
触媒インクを調製するときに、カーボンナノファイバーを添加しなかった以外は、実施例1と同様の方法によって、比較例2の膜電極接合体を得た。
[比較例3]
触媒インクを調製するときに、電解質ナノファイバーを添加しなかった以外は、実施例1と同様の方法によって、比較例3の膜電極接合体を得た。
[比較例4]
触媒インクを調製するときに、カーボンナノファイバーおよび電解質ナノファイバーを添加しなかった以外は、実施例6と同様の方法によって、比較例4の膜電極接合体を得た。
以下、実施例1〜6の膜電極接合体及び比較例1〜4の膜電極接合体を備えた固体高分子形燃料電池のそれぞれの、繊維状物質の繊維径の分布と、カソード側電極触媒層の厚みと、発電性能と、を比較した結果を説明する。
[繊維状物質の繊維径の計測]
電極触媒層に含まれる繊維状物質の繊維径は、走査型電子顕微鏡(SEM)を用いて膜電極接合体の断面を観察して計測した。具体的には、まず膜電極接合体の小片を金属板に接着し、日本電子社製断面試料作製装置IB−19520CCPを使用して電極触媒層の断面を露出させた。次いで、露出させた断面を日立ハイテクノロジー社製FE-SEM S−4800を使用して観察して繊維径を計測した。
まず、観察倍率20000倍の視野内で、観察される繊維状物質の断面を円近似した際の直径を計測して、繊維状物質の繊維径とした。複数の観察点において、視野内に輪切り状の断面が観察される繊維状物質について、100個の繊維径を計測した。
[電極触媒層の厚み計測]
電極触媒層の厚みは、走査型電子顕微鏡(SEM)を用いて電極触媒層の断面を観察して計測した。具体的には、上述の繊維状物質の繊維径の計測に用いた断面を、日立ハイテクノロジー社製FE-SEM S-4800を使用して1000倍で観察し、10カ所の観察点における電極触媒層の厚みを計測して、その平均値を電極触媒層の厚みとした。
[発電性能の測定]
発電性能の測定には、新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)の刊行物である「セル評価解析プロトコル」に準拠し、膜電極接合体の両面にガス拡散層及びガスケット、セパレーターを配置し、所定の面圧となるように締め付けたJARI標準セルを評価用単セルとして用いた。そして、「セル評価解析プロトコル」に記載のIV測定(「標準」条件とする。)及びアノードの相対湿度とカソードの相対湿度を共にRH100%としてI−V測定(「高湿」条件とする。)を実施した。
[比較結果]
実施例1〜6の膜電極接合体及び比較例1〜4の膜電極接合体1を備えた燃料電池の繊維状物質の繊維径分布における第一ピーク径および第二ピーク径と、カソード側電極触媒層の厚みTと、発電性能と、を表1に示す。なお、発電性能については、「標準」条件においては、電圧が0.6Vのときの電流が25A以上である場合を「○」、25A未満である場合を「×」とした。また、「高湿」条件においては、電圧が0.6Vのときの電流が30A以上である場合を「○」、30A未満である場合を「×」とした。
Figure 2021093259
表1に示すように、実施例1〜6のいずれも、繊維状物質の繊維径分布における第一ピーク径が50nm以上200nm以下かつ、第二ピーク径が250nm以上500nm以下であった。そして、発電性能については、いずれの条件においても「○」となった。すなわち、実施例1〜6においては、発電性能に優れた燃料電池を構成可能な膜電極接合体が得られた。
一方、比較例においては、比較例1〜4のいずれも、繊維状物質の繊維径分布における第一ピーク径が50nm以上200nm以下かつ、第二ピーク径が250nm以上500nm以下を満たさなかった。そして、発電性能については、少なくとも一方の条件において「×」となった。すなわち、電極触媒層における繊維状物質の繊維径分布が所定の範囲外となった場合に、発電性能が低下した。
なお、カソード側電極触媒層の厚みTについては、発電性能が良好だった実施例1〜6のTは12μm〜21μm、発電性能が良好では無かった比較例1〜4のTは8μm〜15μmであった。Tが12μm〜15μmの範囲は重なっているが、発電性能が良好では無かった比較例1〜4の方が、Tが薄くなる傾向があった。これは、繊維径が2つのピーク径を持っている方が広い空隙が形成される傾向があることを示していると考えられる。
比較例1は、ピーク径が2つあるが、第一ピーク径が50nm以上200nm以下の範囲から外れて10nmと小さ過ぎる結果となり、良好な発電特性が得られなかったと思われる。
比較例2は、第一ピーク径が50nm以上200nm以下の範囲から外れて300nmと大きい為、Tが実施例2と同じ15μmとなったが、ピーク径が1つだけの為、良好な発電特性が得られなかったと思われる。
比較例3は第一ピーク径が50nm以上200nm以下の範囲に入る150nmであったが、ピーク径が1つであるため、高湿条件での発電特性は良好だったが、標準条件での発電特性が良好では無かったと思われる。
比較例4は、ピーク径が無い従来と同等の空隙の形成が少ない構造であると考えられ、最もTが小さかったと思われる。発電特性も従来と同様、標準条件での発電特性は良好だったが、高湿条件での発電特性は良好では無かったと思われる。
1…膜電極接合体
2C…酸素極
2A…燃料極
3…固体高分子形燃料電池
4…空隙
10、10C、10A…電極触媒層
11…高分子電解質膜
12…触媒物質
13…導電性担体
14…高分子電解質
15…繊維状物質
16C、16A…ガスケット
17C、17A…ガス拡散層
18C、18A…セパレーター
19C、19A…ガス流路
20C、20A…冷却水流路

Claims (8)

  1. 固体高分子形燃料電池に用いられる電極触媒層であって、
    触媒物質と、該触媒物質を担持する導電性担体と、高分子電解質と、繊維状物質とを含んでおり、
    繊維状物質は、電子伝導性繊維またはプロトン伝導性繊維から選ばれたいずれか一方または両方を含む一種類以上の繊維からなり、且つその繊維径分布が二つ以上のピークを持つことを特徴とする電極触媒層。
  2. 前記繊維径分布の二つ以上のピークのうち、最も小径側の第一ピーク径が50nm以上200nm以下であり、第一ピークの次に大きい第二ピーク径が250nm以上500nm以下であることを特徴とする請求項1に記載の電極触媒層。
  3. 前記繊維状物質が電子伝導性繊維からなり、
    前記電子伝導性繊維が、遷移金属元素の炭窒化物の部分酸化物と遷移金属元素の導電性酸化物と遷移金属元素の導電性酸窒化物の中から選ばれたいずれか一以上を含む繊維であることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の電極触媒層。
  4. 前記電子伝導性繊維がカーボンナノファイバーであることを特徴とする請求項1から請求項3のいずれかに記載の電極触媒層。
  5. 前記プロトン伝導性繊維が電解質ナノファイバーであることを特徴とする請求項1から請求項3のいずれかに記載の電極触媒層。
  6. 前記電極触媒層の厚みが、5μm以上30μm以下であることを特徴とする請求項1から請求項5のいずれかに記載の電極触媒層。
  7. 請求項1から請求項6のいずれかに記載の電極触媒層が、高分子電解質膜の少なくとも一方の面に備えられていることを特徴とする膜電極接合体。
  8. 請求項7に記載の膜電極接合体を備えていることを特徴とする固体高分子形燃料電池。
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