JP2018181508A - 電気化学デバイス用電極触媒層、膜/電極接合体、および電気化学デバイス - Google Patents
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Abstract
【課題】本発明は、高いプロトン伝導性を有する電気化学デバイス用電極触媒層を提案する。【解決手段】本発明に係る電気化学デバイス用電極触媒層は、金属触媒を担持したカーボン粒子と、有機化合物とを混合してなる組成物を紡糸して得られた異なる径を有する繊維からなる繊維集合体により構成されており、繊維集合体は、異なる径を有する繊維同士がランダムに配向し、互いに絡み合って形成される。【選択図】 なし
Description
本発明は、電気化学デバイスにおいて用いられる電極触媒層、該電極触媒層を備えた膜/電極接合体、および該膜/電極接合体を用いた電気化デバイスに関するものである。
二つの電極触媒層の間に固体高分子電解質膜を設置した固体高分子形燃料電池が知られている。この固体高分子形燃料電池は、燃料極に水素を供給してプロトンを発生させ、空気極に酸素を含むガスを供給して固体高分子電解質膜内を伝導して空気極に伝導したプロトンと酸素とが反応し、水を生じさせる。この水素と酸素とによる水の生成過程で生じた電子を外部に取り出すことで、発電装置として機能する。
燃料電池の発電性能は、ガス透過性(ガス拡散性)およびプロトン伝導性に依存する。そこで、燃料電池の電極触媒層は、ガス透過性を確保するため、電極触媒層の表面から内部にかけ多数の孔が存在する多孔質性の電極触媒層を用いている。
ガス透過性の高い電極触媒層として、電解紡糸方法により紡糸した繊維を集積させた不織布構造を有する燃料電池用電極触媒層(例えば、特許文献1、特許文献2、特許文献3)が提案されている。
また、上記した不織布構造の空隙率を制御する方法としては、不織布構造を有する繊維集合体の製造後にプレス機により外圧をかける方法(例えば、非特許文献1)、および電解紡糸法による紡糸時に使用する繊維の素となる液状混合物の溶媒成分を最適化する方法(例えば、特許文献4)が提案されている。
Wenjing Zhang, Peter N. Pintauro, High-Performance Nanofiber Fuel Cell Electrodes, "ChemSusChem", Volume 4, Issue 12, December 16, 2011, p 1753-1757
本発明は、一例として、プロトン伝導性の高い電気化学デバイス用電極触媒層、電気化学デバイス用膜/電極接合体、および電気化学デバイスを提供することを課題とする。
本発明に係る電気化学デバイス用電極触媒層の一態様は、金属触媒を担持したカーボン粒子と、有機化合物とを混合してなる組成物を紡糸して得られた異なる径を有する繊維からなる繊維集合体により構成されており、前記繊維集合体は、異なる径を有する繊維同士がランダムに配向し、互いに絡み合って形成される。
また、本発明に係る膜/電極接合体の一態様は、高分子電解質膜と、前記高分子電解質膜の両側に設けられ、電極触媒層およびガス拡散層を含む燃料極および空気極と、を備え、少なくとも前記空気極および前記燃料極のいずれか一方の前記電極触媒層は、金属触媒を担持したカーボン粒子と、有機化合物とを混合してなる組成物を紡糸して得られた異なる径を有する繊維からなる繊維集合体により構成されており、前記繊維集合体は、異なる径を有する繊維同士がランダムに配向し、互いに絡み合って形成される電気化学デバイス用電極触媒層からなる。
また、本発明に係る電気化学デバイスの一態様は、高分子電解質膜と、前記高分子電解質膜の両側に設けられ、電極触媒層およびガス拡散層を含む燃料極および空気極と、を備え、少なくとも前記空気極および前記燃料極のいずれか一方の前記電極触媒層は、金属触媒を担持したカーボン粒子と、有機化合物とを混合してなる組成物を紡糸して得られた異なる径を有する繊維からなる繊維集合体により構成されており、前記繊維集合体は、異なる径を有する繊維同士がランダムに配向し、互いに絡み合って形成される電気化学デバイス用電極触媒層からなる膜/電極接合体を用いる。
本発明は以上に説明したように構成され、高いプロトン伝導性を有することができるという効果を奏する。
(本発明の一形態を得るに至った経緯)
固体高分子形燃料電池の多孔質電極触媒の製造方法としては、例えば、下記の方法が一般的に良く知られている。
固体高分子形燃料電池の多孔質電極触媒の製造方法としては、例えば、下記の方法が一般的に良く知られている。
すなわち、触媒および有機化合物(プロトン伝導性樹脂等)をアルコール類(エタノール等)の溶媒に溶解または分散させた組成物(液状混合物)を、固体高分子電解質膜の表面に直接塗布して乾燥させることにより形成する方法である(以下、従来の第1の製造方法と称する)。
この方法により製造された電極触媒層では、電極触媒層内における細孔量が不十分であり、ガス透過性が十分ではないという課題が存在する。そこで、このガス透過性が十分ではないという課題を解決するため、上記した特許文献1−3では、電解紡糸方法により紡糸した繊維を集積させて形成した、不織布構造を有する繊維集合体からなる電極触媒層が提案されている。なお、本明細書では、不織布構造を有する繊維集合体とは、繊維を不規則(ランダム)に絡ませ形成された3次元の繊維集合体を意味するものとする。特許文献1−3に提案されているように、電極触媒層を不織布構造とすることで、従来の第1の製造方法で製造された電極触媒層よりもより空隙を大きくすることができ、ガス透過性を向上させることができる。
しかしながら、本発明者らが鋭意検討した結果、不織布構造を有する電極触媒層は、従来の第1の製造方法で製造された電極触媒層と比較し、プロトン伝導性が十分ではないということを見出した。また、本発明者らは、不織布構造を有する電極触媒層の空隙率がプロトン伝導性に相関することを見出した。なお、空隙率とは、繊維の内部に空間は存在しない物とし、次の式(1)で求められる値である。
空隙率=1−(繊維が占める体積/燃料電池用電極触媒層の全体積) ・・・(1)
具体的には、本発明者らが、不織布構造を有する繊維集合体における空隙率とプロトン伝導性との関係をシミュレーションにより求めたところ、図1に示す結果が得られた。図1は、不織布構造を有する繊維集合体における空隙率とプロトン伝導性との関係を示すグラフである。なお、図1では、繊維集合体の空隙率が56%のときのプロトン伝導性を1として、繊維集合体の空隙率とプロトン伝導性との関係を示している。
空隙率=1−(繊維が占める体積/燃料電池用電極触媒層の全体積) ・・・(1)
具体的には、本発明者らが、不織布構造を有する繊維集合体における空隙率とプロトン伝導性との関係をシミュレーションにより求めたところ、図1に示す結果が得られた。図1は、不織布構造を有する繊維集合体における空隙率とプロトン伝導性との関係を示すグラフである。なお、図1では、繊維集合体の空隙率が56%のときのプロトン伝導性を1として、繊維集合体の空隙率とプロトン伝導性との関係を示している。
図1に示すように、電極触媒層における空隙率が低下するとプロトン伝導性は向上する傾向にあることが分かった。そこで、不織布構造を有する繊維集合体から構成される電極触媒層においてプロトン伝導性を改善するためには、この繊維集合体における空隙率を低下させるように制御すればよいと考えられる。
ここで、不織布構造の空隙率を制御する方法としては、上記した非特許文献1および特許文献4の方法が提案されている。しかしながら、不織布構造を有する電極触媒層におけるプロトン伝導性を改善するために非特許文献1で提案された方法を利用して空隙率を制御する場合、例えば、特許文献1−3で開示された電極触媒層の製造工程よりも工程数が増加するという問題が生じることを見出した。一方、特許文献4で提案された方法を利用して空隙率を制御する場合、不織布構造を有する電極触媒層を製造する際に使用する、繊維の素となる液状混合物の成分あるいは組成が制限されるという課題を見出した。
そこで、非特許文献1のように新たな製造工程を追加することなく、また、特許文献4のように紡糸に使用する液状混合物の組成や成分の制限を受けることなく製造できる、プロトン伝導性が高い不織布構造を有した電極触媒層を検討した結果、本発明に至った。
具体的には、電極触媒層を構成する繊維集合体を、異なる径を有する繊維同士がランダムに配向し、互いに絡み合うように形成することで、単一の径の繊維で形成された繊維集合体よりも空隙率を低下させるように制御することができることを見出した。つまり、本発明者は、図2、3に示すように、単一の径の繊維で形成された不織布構造を有する繊維集合体の空隙率と、異なる径を有する繊維を絡み合わせて形成された不織布構造を有する繊維集合体の空隙率とを比較したところ、前者の空隙率よりも後者の空隙率の方が小さくなることを見出した。
図2は、不織布構造を有した繊維集合体の繊維径の分布の一例を示す繊維径分布図である。図2では、縦軸を繊維の存在割合(%)とし、横軸を繊維径(μm)としている。図2に示す各繊維径分布は、電極触媒層の主面と平行な任意の面の所定範囲(例えば、縦横寸法が20μm×20μm等)における分布である。この繊維径分布は、不織布構造を有する繊維集合体を電子顕微鏡で観察し、所定範囲において無作為に選択した100本以上の繊維の径を測定し求めた。また、図3は、図2に示す繊維径分布を有する繊維集合体それぞれの空隙率を示すグラフである。図3では、縦軸に空隙率(%)を示し、横軸に各繊維径集合体((I)〜(IV))を示す。
図2に示すように、(I)および(IV)の繊維集合体では、繊維径分布においてピークが1つしか現れていない。また、この繊維径分布に対してピーク分離を行ってもやはりピークが1つしか現れなかった。このことから、(I)および(IV)の繊維径分布は単一の径の繊維からなる繊維集合体であるといえる。なお、(I)および(IV)の繊維径分布は、本発明の実施の形態における比較例1および比較例2に相当する。
また、図2の(III)に示す繊維径分布では、ピークが2つ現れており、このことから(III)の繊維径分布は2つの異なる繊維径の繊維からなる繊維集合体であるといえる。一方、図2の(II)に示す繊維径分布では、ピークが1つしか現れていないように見えるが、この繊維径分布に対してピーク分離を行ったところ図4に示すように2つのピークが現れた。なお、ガウス関数やローレンツ関数等の波形関数を基にピークフィッティングを行うことで、ピークの分離を行った。図4は、図2の(II)に示す繊維径分布に対してピーク分離を行った後の繊維径分布図である。このことから(II)の繊維径分布は2つの異なる径の繊維からなる繊維集合体であるといえる。なお、(III)および(II)の繊維径分布は、本発明の実施の形態における実施例1および実施例2に相当する。
ここで、図3に示すように、単一の径の繊維で形成された不織布構造を有する繊維集合よりも、異なる径を有する繊維から形成された不織布構造を有する繊維集合体の方が、空隙率が小さくなることが分かる。つまり、図3では、図2の(III)および(II)に示す繊維径分布(実施例1、2の繊維径分布)の方が、図2の(I)および(IV)に示す繊維径分布(比較例1、2の繊維径分布)よりも空隙率が小さくなっていることが分かる。
このメカニズムは以下のように考えることができる。単一の径の繊維で繊維集合体を形成した場合において、繊維集合体は、例えば、図5に示すように繊維αが密に配列していると仮定すると、このとき形成される空隙pの空隙率は約21%となる。図5は、単一の径の繊維αが密に配列された状態の一例示す模式図である。図5に示す状態において空隙率をさらに下げるためには、図6に示すように隣接する繊維αによって形成された空隙p内に、別の径の繊維(より径の小さい繊維β)を充填する必要があると考えられる。図6は、図5に示すように配列された状態にある繊維αの空隙pに、別の径の繊維βを充填した状態の一例を示す模式図である。
図6に示すように、別の径の繊維βを上記した空隙pに充填することで、この空隙pの割合はさらに小さくなる。それゆえ、単一の径の繊維αで形成された不織布構造を有する繊維集合体よりも、異なる径を有する繊維(例えば、繊維αおよび繊維β)から形成された不織布構造を有する繊維集合体の方が、空隙率が小さくなることを見出した。
このように異なる径の繊維から不織布構造を有する繊維集合体を形成することで、空隙率を低下させることができる。このため、不織布構造を有する繊維集合体の空隙率を低下させるにあたり、非特許文献1のように不織布構造体を有する繊維集合体を形成した後、プレス機により外圧をかける必要がない。また、特許文献4のように液状混合物の組成や成分を制限する必要がない。
上記した本発明者らの知見は、これまで明らかにされていなかったものであり、顕著な作用効果を奏する新規な技術的特徴を有するものである。そこで、本発明では具体的には以下に示す態様を提供する。
本発明の第1の態様に係る電気化学デバイス用電極触媒層は、金属触媒を担持したカーボン粒子と、有機化合物とを混合してなる組成物を紡糸して得られた異なる径を有する繊維からなる繊維集合体により構成されており、前記繊維集合体は、異なる径を有する繊維同士がランダムに配向し、互いに絡み合って形成される。
上記構成によると、電気化学デバイス用電極触媒層は、異なる径を有する繊維同士がランダムに配向し、互いに絡み合って形成された繊維集合体から構成されているため、単一の径の繊維同士がランダムに配向し、互いに絡み合って形成された繊維集合体から構成された場合よりも空隙率を低下させることができる。
よって、本発明の第1の態様に係る電気化学デバイス用電極触媒層は、高いプロトン伝導性を有することができるという効果を奏する。
本発明の第2の態様に係る電気化学デバイス用電極触媒層は、上記した第1の態様において、前記繊維集合体は、前記異なる径を有する繊維として、第1の繊維と、該第1の繊維よりも径が小さい第2の繊維とを有しており、集積された前記第1の繊維において形成される空隙内に前記第2の繊維が入り込むようにして、該第1の繊維と該第2の繊維とが絡み合った構造を含んでもよい。
上記構成によると、電気化学デバイス用電極触媒層を構成する繊維集合体は、集積された第1の繊維において形成される空隙内に第2の繊維が入り込むようにして、第1の繊維と第2の繊維とが絡み合った構造を含んでいる。このため、繊維集合体における空隙率を低下させることができる。
よって、本発明の第2の態様に係る電気化学デバイス用電極触媒層は、高いプロトン伝導性を有することができる。
本発明の第3の態様に係る電気化学デバイス用電極触媒層は、上記した第1の態様において、前記電気化学デバイス用電極触媒層の主面と平行な任意の面の所定範囲における前記繊維集合体の繊維径分布は、2つ以上のピークを有する分布となってもよい。
ここで、所定範囲とは、例えば、縦横寸法を20μm×20μmとする極小範囲とすることができる。
上記構成によると、所定範囲における繊維集合体の繊維径分布は、2つ以上のピークを有する分布となっている。このため、繊維集合体は、2つ以上の異なる径を有する繊維同士がランダムに配向し、互いに絡み合って形成されており、繊維集合体における空隙率を低下させることができる。
よって、本発明の第3の態様に係る電気化学デバイス用電極触媒層は、高いプロトン伝導性を有することができる。
本発明の第4の態様に係る電気化学デバイス用電極触媒層は、上記した第1の態様において、前記電気化学デバイス用電極触媒層の主面と平行な任意の面の所定範囲における前記繊維集合体の繊維径分布は、ピーク分離により2つ以上のピークに分離することができる分布となってもよい。
ここで、所定範囲とは、例えば、縦横寸法を20μm×20μmとする極小範囲とすることができる。
上記構成によると、所定範囲における繊維集合体の繊維径分布は、ピーク分離により2つ以上のピークに分離することができる分布となっている。このため、繊維集合体は、2つ以上の異なる径を有する繊維同士がランダムに配向し、互いに絡み合って形成されており、繊維集合体における空隙率を低下させることができる。
よって、本発明の第4の態様に係る電気化学デバイス用電極触媒層は、高いプロトン伝導性を有することができる。
本発明の第5の態様に係る電気化学デバイス用電極触媒層は、上記した第3または第4の態様において、前記繊維径分布は、前記ピークとして、第1ピークと第2ピークとを含み、該第1ピークのピークトップに対応する繊維の径よりも該第2ピークのピークトップに対応する繊維の径の方が大きくなっており、前記第2ピークのピークトップとなる繊維の径の大きさは、前記第1ピークのピークトップとなる繊維の径の大きさの2.4倍以上となってもよい。
上記構成によると、第2ピークのピークトップとなる繊維の径の大きさは、第1ピークのピークトップとなる繊維の径の大きさの2.4倍以上となっている。このため、第2ピークのピークトップに対応する径を有する繊維によって形成される空隙に、第1ピークのピークトップに対応する径を有する繊維を配置することができる。
本発明の第6の態様に係る膜/電極接合体は、高分子電解質膜と、前記高分子電解質膜の両側に設けられ、電極触媒層およびガス拡散層を含む燃料極および空気極と、を備え、少なくとも前記空気極および前記燃料極のいずれか一方の前記電極触媒層は、金属触媒を担持したカーボン粒子と、有機化合物とを混合してなる組成物を紡糸して得られた異なる径を有する繊維からなる繊維集合体により構成されており、前記繊維集合体は、異なる径を有する繊維同士がランダムに配向し、互いに絡み合って形成される電気化学デバイス用電極触媒層からなる。
上記構成によると、電極触媒層は、異なる径を有する繊維同士がランダムに配向し、互いに絡み合って形成された繊維集合体から構成されているため、単一の径の繊維同士がランダムに配向し、互いに絡み合って形成された繊維集合体から構成された場合よりも空隙率を低下させることができる。
よって、本発明の第6の態様に係る膜/電極接合体は、高いプロトン伝導性を有することができる。
本発明の第7の態様に係る電気化学デバイスは、高分子電解質膜と、前記高分子電解質膜の両側に設けられ、電極触媒層およびガス拡散層を含む燃料極および空気極と、を備え、少なくとも前記空気極および前記燃料極のいずれか一方の前記電極触媒層は、金属触媒を担持したカーボン粒子と、有機化合物とを混合してなる組成物を紡糸して得られた異なる径を有する繊維からなる繊維集合体により構成されており、前記繊維集合体は、異なる径を有する繊維同士がランダムに配向し、互いに絡み合って形成される電気化学デバイス用電極触媒層からなる膜/電極接合体を用いる。
上記構成によると、電極触媒層は、異なる径を有する繊維同士がランダムに配向し、互いに絡み合って形成された繊維集合体から構成されているため、単一の径の繊維同士がランダムに配向し、互いに絡み合って形成された繊維集合体から構成された場合よりも空隙率を低下させることができる。このため、電気化学デバイスは、高いプロトン伝導性を有する膜/電極接合体を備えることができる。
それゆえ、電気化学デバイスを例えば、燃料電池としたとき発電効率を高めることができる。
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照しながら説明する。なお、以下では、全ての図を通じて同一または対応する構成部材には同一の参照符号を付して、その説明については省略する場合がある。
[実施の形態]
本発明の実施形態に係る電気化学デバイスとして燃料電池を例に挙げて説明するが、電気化学デバイスは燃料電池に限定されるものではなく、水素と酸素とを製造するために水を電気分解する水電解装置であってもよい。
本発明の実施形態に係る電気化学デバイスとして燃料電池を例に挙げて説明するが、電気化学デバイスは燃料電池に限定されるものではなく、水素と酸素とを製造するために水を電気分解する水電解装置であってもよい。
(膜/電極接合体、燃料電池の単セル)
まず、図7を参照にして、本発明の実施形態に係る燃料電池(電気化学デバイス)の膜/電極接合体(MEA)10およびこの膜/電極接合体を用いた単セル20の構成について説明する。図7は、本発明の実施形態に係る燃料電池が備える単セルの概略構成の一例を示す模式図である。
まず、図7を参照にして、本発明の実施形態に係る燃料電池(電気化学デバイス)の膜/電極接合体(MEA)10およびこの膜/電極接合体を用いた単セル20の構成について説明する。図7は、本発明の実施形態に係る燃料電池が備える単セルの概略構成の一例を示す模式図である。
膜/電極接合体10は、図7に示すように、高分子電解質膜11と、電極触媒層(電気化学デバイス用電極触媒層)12およびガス拡散層13を含む燃料極(アノード)および空気極(カソード)とを備え、高分子電解質膜11の両側を、燃料極と空気極とによって挟み込む構成となっている。つまり、図7に示すように、高分子電解質膜11の両側に一対の電極触媒層12が形成され、さらに一対の電極触媒層12を挟むようにして一対のガス拡散層13が配置された構成となっている。
単セル20は、膜/電極接合体10の両側を、さらに反応ガス(水素または酸素)の供給路を兼ねた一対のセパレータ14によって挟持することで形成される。そして、この単セル20を集合化して、例えば、燃料電池のスタックとすることができる。
次に、膜/電極接合体10を構成する高分子電解質膜11、ガス拡散層13、および電極触媒層12について説明する。
(高分子電解質膜)
高分子電解質膜11は、空気極と燃料極との間のイオン(プロトン)伝導を行うものであり、プロトン伝導性とガスバリア性とを併せ持つ必要がある、高分子電解質膜11は、例えば、イオン交換性フッ素系樹脂膜、またはイオン交換性炭化水素系樹脂膜が例示される。中でも、パーフルオロスルホン酸樹脂膜は、プロトン伝導性が高く、例えば、燃料電池の発電環境下でも安定に存在するため好ましい。イオン交換樹脂のイオン交換容量は0.9以上2.0以下ミリ当量/g乾燥樹脂であることが好ましい。イオン交換容量が0.9ミリ当量/g乾燥樹脂以上であると、高いプロトン伝導性を得やすく、イオン交換容量が2.0ミリ当量/g乾燥樹脂以下であると、含水による樹脂の膨潤が抑制され、高分子電解質膜11の寸法変化が抑えられるため好ましい。また、高分子電解質膜11の膜厚は、5μm以上50μm以下であることが好ましい。膜厚が5μm以上であると、高いガスバリア性を得られ、50μm以下であると、高いプロトン伝導性を得られる。
高分子電解質膜11は、空気極と燃料極との間のイオン(プロトン)伝導を行うものであり、プロトン伝導性とガスバリア性とを併せ持つ必要がある、高分子電解質膜11は、例えば、イオン交換性フッ素系樹脂膜、またはイオン交換性炭化水素系樹脂膜が例示される。中でも、パーフルオロスルホン酸樹脂膜は、プロトン伝導性が高く、例えば、燃料電池の発電環境下でも安定に存在するため好ましい。イオン交換樹脂のイオン交換容量は0.9以上2.0以下ミリ当量/g乾燥樹脂であることが好ましい。イオン交換容量が0.9ミリ当量/g乾燥樹脂以上であると、高いプロトン伝導性を得やすく、イオン交換容量が2.0ミリ当量/g乾燥樹脂以下であると、含水による樹脂の膨潤が抑制され、高分子電解質膜11の寸法変化が抑えられるため好ましい。また、高分子電解質膜11の膜厚は、5μm以上50μm以下であることが好ましい。膜厚が5μm以上であると、高いガスバリア性を得られ、50μm以下であると、高いプロトン伝導性を得られる。
(ガス拡散層)
ガス拡散層13は、集電作用とガス透過性と撥水性とを併せ持つ層であり、図7に示すように、基材13aおよびコーティング層13bの2層を含む構成であっても良い。基材13aは、導電性、ならびに気体および液体の透過性に優れた材料であれば良く、例えば、カーボンペーパー、炭素繊維クロス、炭素繊維フェルト等の多孔質性材料が例示される。コーティング層13bは、基材13aと電極触媒層12との間に介在し、これらの接触抵抗を下げ、液体の透過性(排水性)を向上するための層である。コーティング層13bとしては、例えば、カーボンブラックなどの導電性材料およびポリテトラフルオロエチレン(PTFE)などの撥水性樹脂を主成分として形成される。
ガス拡散層13は、集電作用とガス透過性と撥水性とを併せ持つ層であり、図7に示すように、基材13aおよびコーティング層13bの2層を含む構成であっても良い。基材13aは、導電性、ならびに気体および液体の透過性に優れた材料であれば良く、例えば、カーボンペーパー、炭素繊維クロス、炭素繊維フェルト等の多孔質性材料が例示される。コーティング層13bは、基材13aと電極触媒層12との間に介在し、これらの接触抵抗を下げ、液体の透過性(排水性)を向上するための層である。コーティング層13bとしては、例えば、カーボンブラックなどの導電性材料およびポリテトラフルオロエチレン(PTFE)などの撥水性樹脂を主成分として形成される。
(電極触媒層)
電極触媒層12は、電極の電気化学反応の速度を促進させる層である。電極触媒層12は、金属触媒を担持したカーボン粒子と、有機化合物とを混合してなる組成物を紡糸して得られた異なる径を有する繊維からなる繊維集合体により構成されている。そして、この繊維集合体は、異なる径を有する繊維同士がランダムに配向し、互いに絡み合って形成された、いわゆる不織布構造を有している。
電極触媒層12は、電極の電気化学反応の速度を促進させる層である。電極触媒層12は、金属触媒を担持したカーボン粒子と、有機化合物とを混合してなる組成物を紡糸して得られた異なる径を有する繊維からなる繊維集合体により構成されている。そして、この繊維集合体は、異なる径を有する繊維同士がランダムに配向し、互いに絡み合って形成された、いわゆる不織布構造を有している。
具体的には、電極触媒層12は、上記した図2の(III)で表す繊維径分布(実施例1の繊維径分布)、または図2に(II)で表す繊維径分布(実施例2の繊維径分布)となる繊維集合体より構成されている。
つまり、図2の(III)の繊維径分布に示すように、電極触媒層12の主面と平行な任意の面の所定範囲における繊維集合体の繊維径分布が、2つ以上のピークを有する分布となる。なお、所定範囲は、例えば、縦横寸法が20μm×20μmとなるような極小範囲であってもよい。この所定範囲は、縦横寸法が20μm×20μmに限定されるものではなく、例えば、縦横寸法が10μm×10μmであってもよい。所定範囲は、電極触媒層12を構成する繊維集合体の繊維のうち、より径が大きくなる繊維(図5、6に示す繊維α)の径の寸法と、該繊維(繊維α)だけで不織布構造を形成したときの空隙率と、繊維径分布の資料として取り出す繊維(繊維α)の本数との関係から適宜設定されることが好ましい。例えば、より径が大きな繊維(繊維α)の径が0.6μmで、この繊維(繊維α)単体で不織布構造を形成したとしたときの平均空隙率が50%となる場合において、100本の繊維を繊維径分布の資料として取り出すとき、縦横寸法が約20μm×20μmとなる範囲が必要となる。
または、図2の(II)の繊維径分布のように、電極触媒層12の主面と平行な任意の面の所定範囲における繊維集合体の繊維径分布に対してピーク分離を行うことにより、2つ以上のピークに分離することができる分布となる。
このように、電極触媒層12を構成する繊維集合体の繊維径分布は、所定範囲において2つ以上のピークが現れる分布(図2の(III);実施例1の分布)、または、繊維径分布に対してピーク分離すると2つ以上のピークが存在するような分布(図2の(II);実施例2の分布)となる。このため、電極触媒層12を構成する繊維集合体は異なる径を有する繊維同士がランダムに配向し、互いに絡み合って形成された不織布構造を有する。
つまり、電極触媒層12の繊維集合体は、異なる径を有する繊維として第1の繊維(図6に示す繊維α)と、この第1の繊維よりも径が小さい第2の繊維(図6に示す繊維β)とを有している。そして、集積された第1の繊維において形成される空隙(図5に示す空隙p)内にこの第2の繊維が入り込むようにして、第1の繊維と第2の繊維とが絡み合った構造を含んでいるといえる。
このため、本発明の実施形態の電極触媒層12を構成する繊維集合体は、単一径の繊維同士からなる不織布構造を有した繊維集合体(図2の(I)、(IV);比較例1、比較例2)と比べて、空隙率を低下させることができる。
それ故、本発明の実施形態の電極触媒層12は、比較例1、2の繊維集合体からなる電極触媒層12よりもプロトン伝導性を高めることができる。
また、上記した図6に示すように、密に配列された状態にある第1の繊維(繊維α)の空隙p内に配置できる、第2の繊維(繊維β)の径は、最大で2(√2−1)rとなる。なお、ここでrは繊維αの半径を示す。換言すると、第1の繊維(繊維α)の径は、第2の繊維(繊維β)の径の2.4倍以上となる必要があり、第1の繊維(繊維α)の径が第2の繊維(繊維β)の径の2.4倍よりも小さくなる場合は、空隙pよりも第2の繊維(繊維β)の径の方が大きくなってしまう。このため、この空隙p内に繊維βが配置できない状態が想定されうる。
例えば、図2の(III)に示す実施例1の繊維径分布では、第2の繊維(図6に示す繊維β)のピークトップとなる繊維径が0.3μmであるのに対して第1の繊維(図6に示す繊維α)のピークトップとなる繊維径が0.8μmとなり、第1の繊維の径は、第2の繊維の径の約2.6倍となっている。このため、集積された第1の繊維間に形成される空隙内に第2の繊維を配置できる構成となっている。
したがって、本発明の実施の形態に係る電極触媒層12を構成する繊維集合体では、繊維径分布に現れる2つ以上のピークまたは繊維径分布に対してピーク分離を行うことで出現した2つ以上のピークにおいて、より径が小さい繊維(図6に示す繊維β)の方のピークを第1ピークとし、より径が大きい繊維(図6に示す繊維α)の方のピークを第2ピークとしたとき、第2ピークのピークトップとなる繊維の径の大きさは、第1ピークのピークトップとなる繊維の径の大きさの2.4倍以上となっている。
(電極触媒層の製造方法)
次に、本発明の実施形態に係る電極触媒層12の製造方法について説明する。電極触媒層12を構成する繊維集合体は、金属触媒を担持したカーボン粒子と、有機化合物とを混合してなる組成物を紡糸して得られた、異なる径を有する繊維から構成されている。
次に、本発明の実施形態に係る電極触媒層12の製造方法について説明する。電極触媒層12を構成する繊維集合体は、金属触媒を担持したカーボン粒子と、有機化合物とを混合してなる組成物を紡糸して得られた、異なる径を有する繊維から構成されている。
ここで、繊維を紡糸して不織布製造を形成する方法としては、例えば、エレクトロスピニング法(電解紡糸法)、メルトブローン法、エアレイド法、スパンボンド法等が知られている。本実施の形態では、エレクトロスピニング法により形成した繊維集合体からなる電極触媒層12を例に挙げて説明する。
エレクトロスピニング法は、図8に示すように、繊維を捕集するコレクタ4と吐出ノズル2、3との間に高電圧を印加し、繊維の素となる液状混合物(組成物)を吐出ノズル2、3の先端から吐出することで、繊維を形成する紡糸手法である。図8はエレクトロスピニング法による紡糸装置1の一例を示す構成図である。紡糸装置1は、吐出ノズル2、3を有し、各吐出ノズル2、3と、コレクタ4との間に、高圧電源5により電圧が印加される。また、繊維の素となる液状混合物は、供給ポンプ6および供給ポンプ7により、電圧が印加されている吐出ノズル2および吐出ノズル3へ供給される。
吐出ノズル2、3において、電圧の印加により生じる静電的な引力が液状混合物の表面張力を超えると、液状混合物が吐出ノズル2、3の先端でテイラーコーン(Taylor cone)と呼ばれる円錐状の形を形成し、引き伸ばされる。
引き伸ばされ帯電した液状混合物は、液状混合物自体の静電反発により微細化する。微細化した液状混合物から溶媒が蒸発し、繊維が形成される。帯電した繊維は、反対の電荷を帯びているコレクタ4に付着する。繊維がコレクタ4に堆積することにより、コレクタ4上に不織布構造を有する繊維集合体が形成される。なお、繊維を捕集するコレクタ4は、例えば、回転ドラムコレクタ、ロールトゥロール型コレクタ、吸引捕集型コレクタ等が例示できる。
本発明の実施形態では、例えば、吐出ノズル2および吐出ノズル3それぞれから、平均繊維径が異なる繊維を吐出させる。これにより、平均繊維径が異なる繊維同士がコレクタ4に付着するまでの間に絡み合う。または平均繊維径が異なる繊維同士がコレクタ4に付着した際に絡み合う。このようにして平均繊維径が異なる繊維同士が絡み合うことで、不織布構造を有する繊維集合体の空隙を低下させることができる。
吐出ノズル2と吐出ノズル3とから、平均繊維径が異なる繊維を吐出する方法としては、例えば、吐出ノズル2と吐出ノズル3との間において先端の内径の寸法を変更させる方法が挙げられる。または、供給ポンプ6、7によって吐出ノズル2、3に供給する繊維の素と成る液状混合物の供給速度を制御したり、高圧電源により吐出ノズル2、3とコレクタ4との間に印加される電圧および吐出ノズル2、3とコレクタ4との距離により決まる電界強度の大きさを制御したりすることで平均繊維径が異なる繊維を吐出させる構成であってもよい。あるいは、繊維の素となる液状混合物における溶媒以外の組成を変更させたり、繊維の素となる液状混合物内に存在する触媒の分散性を変えたりすることで平均繊維径が異なる繊維を吐出させる構成であってもよい。
なお、本発明の実施形態に係る紡糸装置1では、液状混合物を、2つの供給ポンプ6および供給ポンプ7により、吐出ノズル2および吐出ノズル3へそれぞれ供給する構成であった。しかしながら、この構成に限定されるものではなく、1つの供給ポンプによって液状混合物を吐出ノズル2、3それぞれに供給させる構成であってもよい。
また、紡糸装置1は、1つの高圧電源5を有し、この高圧電源5によってコレクタ4と吐出ノズル2、3それぞれとの間に電圧を印加する構成であった。しかしながら、この構成に限定されるものではなく、複数の高圧電源を備え、複数の高圧電源によって各吐出ノズル2,3とターゲットとの間に異なる電圧を印加する構成としても良い。
また、紡糸装置1は、2つの吐出ノズル2、3を備える構成であるがこれに限定されるものではなく、吐出ノズルを2つ以上、備える構成であってもよい。互いに絡み合わせる異なる径の繊維の数に応じて吐出ノズルは適宜設けられてもよい。
吐出ノズル2、3の先端の内径は、0.18mmから1.64mmの範囲であることが好ましい。また、吐出ノズル2と吐出ノズル3との距離は、0.5cmから25cmの範囲であることが好ましい。
また、各吐出ノズル2、3とコレクタ4とがなす角度は、各吐出ノズル2、3がコレクタ4の方向へ向かって延伸しており、かつ各吐出ノズル2、3の延伸方向とコレクタ4の面とが垂直となる位置関係にある場合の角度を0度としたとき、−120度°から+120度の範囲であることが好ましい。
また、高圧電源5により各吐出ノズル2,3とコレクタ4との間に印加される電圧は、3kVから30kVの範囲が好ましい。電圧を印加する際、高圧電源を2つ以上用いて、例えば、各吐出ノズル2、3とアースとの間に+10kVの電圧を印加し、コレクタ4とアースとの間に−5kVの電圧を印加し、各吐出ノズル2、3とコレクタ4との間において、実質的に15kVの電圧を印加する構成であっても良い。
また、各供給ポンプ6、7により各吐出ノズル2、3それぞれへ送られる液状混合物の量は、0.1mL/hから20mL/hの範囲が好ましい。
また、繊維の素となる液状混合物は、触媒と樹脂(有機化合物)と溶媒とを少なくとも含んでいる。触媒は、金属が担持されたカーボン粒子であって、樹脂はプロトン伝導性を有する樹脂であり、溶媒はカーボン粒子が分散するものであればよく、それぞれが混ざりあった状態となっている。
カーボン粒子に担持される金属としては、白金(Pt)、ルテニウム(Ru)、パラジウム(Pd)、イリジウム(Ir)、銀(Ag)および金(Au)等が挙げられる。触媒金属は粒子形状をしており、触媒金属の平均粒径は、1nm以上であり20nm以下であることが好ましい。
プロトン伝導性を有する樹脂としては、イオン交換性樹脂を好適に用いることができる。中でも、パーフルオロスルホン酸樹脂がより好ましい。イオン交換樹脂のイオン交換容量は0.9以上2.0以下ミリ当量/g乾燥樹脂であることが好ましい。
繊維の素となる液状混合物の組成は、溶媒中に存在する、触媒と樹脂とを加えた物の割合(以下、固形分濃度)が、溶媒の重量と比較し、5%から20%の範囲が好ましい。また、この液状混合物の組成は、溶媒中に存在する、樹脂の割合が、触媒であるカーボン粒子の重量と比較し、30%から120%の範囲が好ましい。
(空隙率の測定方法)
以下に、本発明の実施形態に係る電極触媒層12を構成する繊維集合体における空隙率の測定方法について説明するが、本発明はこの測定方法によって限定されるものではない。
以下に、本発明の実施形態に係る電極触媒層12を構成する繊維集合体における空隙率の測定方法について説明するが、本発明はこの測定方法によって限定されるものではない。
まず、以下の手順により電極触媒層12を製作した。繊維の素となる液状混合物(組成物)を用意した。液状混合物の溶媒として水と2−プロパノールとを使用した。液状混合物の触媒として市販の白金担持カーボンブラック触媒(田中貴金属工業株式会社製、TEC10E50E)を使用した。液状混合物の固形分濃度は10%とした。液状混合物の、溶媒中に存在する樹脂の割合は80%とした。
そして、液状混合物を以下のようにして作製した。まず、溶媒に触媒を添加し、超音波分散処理を行い溶媒/触媒溶液を作製した。超音波分散処理を行った溶媒/触媒溶液へ樹脂を添加し、再度、分散処理を行うことで、液状混合物を作製した。
繊維の集合体は、図8に示した紡糸装置1で製造した。吐出ノズル2、3としては、内径0.70mmの注射針を使用した。吐出ノズル2、3の先端からターゲットまでの間に13kVの電圧を印加した。吐出ノズル2、3からターゲットまでの距離を15cmとした。吐出ノズル2の先端と吐出ノズル3の先端との間の距離が9cmになるように配置した。各吐出ノズル2、3は、それら吐出ノズル2、3の延伸方向がコレクタ4の面と90度となるように配置した。供給ポンプ6、7による吐出ノズル2、3への液状混合物の供給量を2mL/hとした。
また、ターゲットにはPTFEフィルムを使用した。このような条件によりターゲットであるPTFEフィルム上に繊維集合体を形成した。PTFEフィルム上に形成した繊維集合体の上へ高分子膜を乗せ、140℃の高温下において7kgf/cm2の圧力を5分間、加えることにより、高分子膜上へ不織布構造を有する繊維集合体を転写し、電極触媒層12を作製した。
以上のようにして作製した電極触媒層12において、繊維集合体の表面を電子顕微鏡で観察し、無作為に選択した120本の繊維の径を測定することで、繊維径分布を測定した。また、繊維集合体に含まれる白金量をエネルギー分散型蛍光X線分析装置(株式会社島津製作所製、EDX−7000)で測定した。次に、電極触媒層12を高分子膜ごと液体窒素で3分間冷却し、割ることで繊維集合体の断面を露出させた。この断面を電子顕微鏡で観察し、無作為に選択した10か所の厚みを測定することで、繊維集合体の平均厚みを測定した。そして、繊維集合体に含まれる白金量と、繊維集合体の平均厚みと、液状混合物の固形分濃度とから、繊維集合体の空隙率を算出した。
以上の方法により不織布構造を有する繊維集合体の空隙率を求めた。
上記説明から、当業者にとっては、本発明の多くの改良や他の実施の形態が明らかである。従って、上記説明は、例示としてのみ解釈されるべきであり、本発明を実行する最良の態様を当業者に教示する目的で提供されたものである。本発明の精神を逸脱することなく、その構造及び/又は機能の詳細を実質的に変更できる。
本発明は、不織布構造を有する繊維集合体から構成された電極触媒層を備える、膜/電極接合体、およびこの膜/電極接合体を用いた電気化学デバイスに有用である。
1 紡糸装置
2 吐出ノズル
3 吐出ノズル
4 コレクタ
5 高圧電源
6 供給ポンプ
7 供給ポンプ
10 膜/電極接合体
11 高分子電解質膜
12 電極触媒層
13 ガス拡散層
13a 基材
13b コーティング層
14 セパレータ
20 単セル
p 空隙
α 繊維
β 繊維
2 吐出ノズル
3 吐出ノズル
4 コレクタ
5 高圧電源
6 供給ポンプ
7 供給ポンプ
10 膜/電極接合体
11 高分子電解質膜
12 電極触媒層
13 ガス拡散層
13a 基材
13b コーティング層
14 セパレータ
20 単セル
p 空隙
α 繊維
β 繊維
Claims (7)
- 金属触媒を担持したカーボン粒子と、有機化合物とを混合してなる組成物を紡糸して得られた異なる径を有する繊維からなる繊維集合体により構成されており、
前記繊維集合体は、異なる径を有する繊維同士がランダムに配向し、互いに絡み合って形成される電気化学デバイス用電極触媒層。 - 前記繊維集合体は、
前記異なる径を有する繊維として、第1の繊維と、該第1の繊維よりも径が小さい第2の繊維とを有しており、
集積された前記第1の繊維において形成される空隙内に前記第2の繊維が入り込むようにして、該第1の繊維と該第2の繊維とが絡み合った構造を含む請求項1に記載の電気化学デバイス用電極触媒層。 - 前記電気化学デバイス用電極触媒層の主面と平行な任意の面の所定範囲における前記繊維集合体の繊維径分布は、2つ以上のピークを有する分布となる請求項1に記載の電気化学デバイス用電極触媒層。
- 前記電気化学デバイス用電極触媒層の主面と平行な任意の面の所定範囲における前記繊維集合体の繊維径分布は、ピーク分離により2つ以上のピークに分離することができる分布となる請求項1に記載の電気化学デバイス用電極触媒層。
- 前記繊維径分布は、前記ピークとして、第1ピークと第2ピークとを含み、該第1ピークのピークトップに対応する繊維の径よりも該第2ピークのピークトップに対応する繊維の径の方が大きくなっており、
前記第2ピークのピークトップとなる繊維の径の大きさは、前記第1ピークのピークトップとなる繊維の径の大きさの2.4倍以上となる請求項3または4に記載の電気化学デバイス用電極触媒層。 - 高分子電解質膜と、
前記高分子電解質膜の両側に設けられ、電極触媒層およびガス拡散層を含む燃料極および空気極と、を備え、
少なくとも前記空気極および前記燃料極のいずれか一方の前記電極触媒層は、請求項1から5のいずれか1項に記載の電気化学デバイス用電極触媒層からなる膜/電極接合体。 - 請求項6に記載の膜/電極接合体を用いた電気化学デバイス。
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2017
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