JP2010027295A - 膜電極接合体 - Google Patents

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Abstract

【課題】発電性能を低下させることなく、燃料電池の耐久性を向上させる手段を提供する。
【解決手段】電解質膜110と、前記電解質膜を挟持し、触媒と前記触媒を担持する担体とから構成されるカソード触媒層120cおよびアノード触媒層120aと、を備えた膜電極接合体100であって、前記アノード触媒層120aにおける、下記数式で求められる水素酸化反応の交換電流密度と酸素還元反応の交換電流密度との比の対数値が4〜10であり、かつ前記酸素還元反応の交換電流密度と触媒塗布面積あたりの触媒実面積の値との積が所定の値以下である膜電極接合体100である。log10(水素酸化反応の交換電流密度/酸素還元反応の交換電流密度)
【選択図】図1

Description

本発明は膜電極接合体に関し、より詳細には、燃料電池の耐久性を向上させうる膜電極接合体に関する。
燃料電池システムを起動する際、燃料電池内部のアノード流路およびカソード流路に滞留している空気を窒素等の不活性ガスによってパージし、アノード流路およびカソード流路にそれぞれ燃料(水素)および酸化剤(空気)が導入されることが一般的である。また、燃料電池システムを停止する際は、燃料電池内部のアノード流路に滞留している燃料(水素)およびカソード流路に滞留している酸化剤(空気)を窒素等の不活性ガスによってパージすることが一般的である。
しかし、不活性ガスによるパージを行うには、不活性ガスを貯蔵しておくための高圧ガスボンベやその付帯設備を必要とするため、発電装置の容積増加が避けられない。また、不活性ガスの充填や高圧ボンベの交換を定期的実施する必要があり、コストがかかるだけでなく取扱いに慣れた人員を必要とする。そのため、例えば車載用燃料電池システム等の移動体および可搬体用としての利用や、家庭用小型燃料電池システム等での利用には適さない。
そのため、不活性ガスによるパージを行わず、燃料電池システムの起動時に空気が滞留した状態のアノード流路に水素を供給することが考えられる。しかしながら、アノード流路内に水素と空気が共に存在するときに、アノード上で空気中の酸素が還元され、それに対向するカソードの触媒層に使用されているカーボンが腐食し、燃料電池の劣化が進行することが明らかになっている。また、燃料電池システムを停止させる時にアノード内に滞留している水素を空気にてパージする際、起動時と同様にアノード流路内を空気と水素とが共に存在する。そのため、カソードの触媒層に使用されているカーボンが腐食し、燃料電池の劣化が進行することが明らかになっている。
そのため、不活性ガスによるパージ操作をすることなく、燃料電池の劣化を抑制する手段が提案されている。特許文献1では、燃料電池スタックのアノード触媒層の単位触媒塗布面積あたりの触媒表面積と、前記アノード触媒層の触媒の酸素還元反応の交換電流密度との積を所定値以下とする方法が開示されている。すなわち、特許文献1に記載の方法は、アノード触媒層における白金量を低減することによって、アノードにおける副反応である酸素還元反応を抑制し、カソードが高電位になるのを防ぎ、触媒成分の担体であるカーボンの劣化を抑制するというものである。
特開2006−351270号公報
しかしながら、特許文献1に記載の方法では、アノード触媒層における白金量の低減が、電極触媒の被毒耐性の低下や、アノードにおける水素拡散抵抗の増加に繋がる虞があり、燃料電池の発電性能の低下に繋がる虞がある。
そこで、本発明は、発電性能を低下させることなく、燃料電池の耐久性を向上させる手段を提供することを目的とする。
本発明者らは、上記の課題に鑑み、鋭意研究を積み重ねた。その結果、水素酸化反応と酸素還元反応とを比較した際、水素酸化反応に対して高い選択性を有する触媒成分をアノード触媒層に用いることにより、アノードにおける酸素還元反応を抑制できることを見出した。さらに、前記酸素還元反応の交換電流密度と触媒塗布面積あたりの触媒実面積の値との積が所定の値以下となるアノード触媒層を用いると、アノードにおける酸素還元反応を抑制できることを見出した。これらの手段により、担体であるカーボンの劣化を抑制でき、燃料電池の耐久性が向上しうることを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明は、電解質膜と、前記電解質膜を挟持し、触媒と前記触媒を担持する担体とから構成されるカソード触媒層およびアノード触媒層と、を備えた膜電極接合体であって、前記アノード触媒層における、下記数式1で求められる水素酸化反応の交換電流密度と酸素還元反応の交換電流密度との比の対数値が4〜10であり、かつ前記酸素還元反応の交換電流密度と触媒塗布面積あたりの触媒実面積の値との積が所定の値以下である膜電極接合体である。
Figure 2010027295
本発明によれば、水素酸化反応に対して高い選択性を有する膜電極接合体が提供されうる。これにより、燃料電池の起動時にアノード内に水素と空気とが共存しても、カーボンの劣化を抑制することができ、燃料電池の発電性能を低下させることなく燃料電池の耐久性を向上させることができる。
以下、本発明の好ましい実施形態を説明する。
本実施形態は、導電性担体に触媒成分が担持されてなる電極触媒と、高分子電解質とを含むアノード触媒層およびカソード触媒層が、固体高分子電解質膜の両面に対向して配置され、これを一対のガス拡散層で挟持してなる膜電極接合体に関する。そして、前記アノード触媒層における水素酸化反応の交換電流密度/酸素還元反応の交換電流密度の比の対数値(前記数式1参照)が4〜10であり、かつ前記酸素還元反応の交換電流密度と触媒塗布面積あたりの触媒実面積の値との積が所定の値以下である。
以下、図面を参照しながら、本発明を説明するが、本発明の技術的範囲は特許請求の範囲の記載に基づいて定められるべきであり、以下の形態のみに制限されない。なお、図面の説明において同一の要素には同一の符号を付し、重複する説明を省略する。また、図面の寸法比率は、説明の都合上誇張されており、実際の比率とは異なる場合がある。
[膜電極接合体]
図1は、本発明の膜電極接合体の一般的な全体構造を模式的に表した断面概略図である。図1に示すように、本発明の膜電極接合体100は、アノード触媒層120aおよびカソード触媒層120cが、固体高分子電解質膜110の両面に対向して配置されている。そして、これを一対のアノード側ガス拡散層140aおよびカソード側ガス拡散層140cが挟持してなる。アノード触媒層120aおよびカソード触媒層120cは、電極触媒および高分子電解質を含む。この電極触媒は、導電性担体が触媒成分を担持してなる。
以下、本発明の膜電極接合体を構成する部材について簡単に説明するが、本発明の技術的範囲は下記の形態のみに制限されない。
(電極触媒層)
電極触媒層には、アノード触媒層およびカソード触媒層の2つがある。以下、アノード触媒層とカソード触媒層との区別をしないときは、単に「電極触媒層」という。電極触媒層は、電気化学反応により、電気エネルギーを生み出す機能を有する。アノード触媒層では水素の酸化反応により、プロトンおよび電子が生成する。ここで生じたプロトンおよび電子は、カソード触媒層での酸素の還元反応に用いられる。
本発明において、アノード触媒層における前記数式1で求められる水素酸化反応の交換電流密度と酸素還元反応の交換電流密度の比の対数値は4〜10の範囲である。この範囲内であれば、アノード触媒層において水素酸化反応が選択的に起こり、酸素還元反応が抑制される。これにより、カソード触媒層で担体として使用されているカーボンの腐食を抑制でき、カーボンの劣化、ひいては燃料電池の劣化を抑制することができる。
前記対数値が4未満である場合、カソードでのカーボンの腐食が発生し、膜電極接合体の劣化が進行する。また、前記対数値が10を超える場合、起動時の水素欠乏が起こりやすくなり、アノードでのカーボンの腐食が発生する。前記対数値は、好ましくは4〜8であり、より好ましくは4〜5である。
本発明において、前記水素酸化反応の交換電流密度および前記酸素還元反応の交換電流密度は、図2に示すような、回転電極装置(RDE)10を用いて、0.5M硫酸溶液内で測定することができる。具体的には、次のような方法で測定する。すなわち、アノード触媒を含むペースト状のアノード用触媒インクをカーボン電極上に塗布し、乾燥することにより評価用の電極を作成する。この電極を回転電極装置10に装備し、水素酸化反応の交換電流密度と酸素還元反応の交換電流密度を測定する。水素酸化反応の交換電流密度および酸素還元反応の交換電流密度のより詳細な測定方法は、以下の通りである。
・水素酸化反応交換電流密度の評価方法
電解液1として0.5mol/l硫酸を装置内に満たした回転電極装置10の作用極2に、評価用の電極を装備する。この装置内に、反応ガス導入口3より水素ガスを100ml/minの流量で30分間流通させる。この操作により、電解液内の溶存ガスが水素ガスによって飽和される。続いて、回転軸4を所定の回転数で回転させ、作用極2を回転させる。この回転数をそのまま維持しながら、ポテンショスタット装置5により、水素参照極6と作用極2との間の電位差が、0mVから100mVにまでなるように1mV/sの速度で掃引し、対極7と作用極2との間の電流を計測する。この電流値より、触媒有効面積あたりの電流密度の値が算出される。この値から、電位−電流密度図を描くと、水素酸化反応における分極曲線が得られる。この分極曲線より、水素酸化反応の交換電流密度を算出する。
・酸素還元反応交換電流密度の評価
電解液1として0.5mol/l硫酸を装置内に満たした回転電極装置10の作用極2に、評価用の電極を装備する。この装置内に、反応ガス導入口3より酸素ガスを100ml/minの流量で30分間流通させる。この操作により、電解液内の溶存ガスが酸素ガスによって飽和される。続いて、回転軸4を所定の回転数で回転させ、作用極2を回転させる。この回転数をそのまま維持しながら、ポテンショスタット装置5により、水素参照極6と作用極2との間の電位差が、1200mVから0mVにまでなるように−10mV/sの速度で掃引し、対極7と作用極2との間の電流を計測する。この電流値より、触媒有効面積あたりの電流密度の値が算出される。この値から、電位−電流密度図を描くと、酸素還元反応における分極曲線が得られる。この分極曲線より、酸素還元反応の交換電流密度を算出する。
こうして得られた水素酸化反応の交換電流密度と酸素還元反応の交換電流密度との比の対数値を、前記数式1に従って算出する。
また、本発明において、アノード触媒層における酸素還元反応の交換電流密度と触媒塗布面積あたりの触媒実面積の値との積が、所定の値以下である。具体的には、1.0×10−7A/cm以下であることが好ましく、5.0×10−7A/cm以下であることがより好ましく、1.0×10−8A/cm以下であることがさらに好ましい。アノード触媒層における酸素還元反応の交換電流密度と触媒塗布面積あたりの触媒実面積の値との積がこの範囲内であれば、燃料電池の起動時の、カソードのカーボンの腐食を抑制することができる。前記の酸素酸化酸素還元反応の交換電流密度と触媒塗布面積あたりの触媒実面積の値との積の下限値は特に限定されないが、1.0×10−14A/cm以上であることが好ましい。より好ましくは1.0×10−13A/cm以上であり、1.0×10−12A/cm以上であることがさらに好ましい。
なお、本発明において、前記の触媒塗布面積あたりの触媒実面積の値は、サイクリックボルタンメトリ法によって算出した値を採用するものとする。
導電性担体に担持される触媒成分は、触媒作用を有し、かつ前記数式1で求められる水素酸化反応の交換電流密度と酸素還元反応の交換電流密度の比の対数値の範囲が4〜10となるものであれば特に制限はなく、従来公知の触媒成分を適宜採用できる。触媒成分の例としては、具体的には、白金、ルテニウム、イリジウム、ロジウム、パラジウム、オスミウム、タングステン、鉛、鉄、クロム、コバルト、ニッケル、マンガン、バナジウム、モリブデン、ガリウム、アルミニウムなどの金属、およびこれらの合金などが挙げられる。
これらのうち、前記触媒成分はパラジウム、ニッケル、クロム、モリブデン、タングステン、コバルト、および鉄からなる群より選択される少なくとも1種を含むことが好ましい。これらの金属を選択すれば、前記数式1で表す水素酸化反応の交換電流密度と酸素還元反応の交換電流密度の比の対数値、および前記酸素還元反応の交換電流密度と触媒塗布面積あたりの触媒実面積の値との積を前記の範囲に、より容易に制御することができる。
本発明の効果を一層発揮させるという観点から、触媒成分は、パラジウムおよびニッケルの少なくとも一方と、クロム、モリブデン、タングステン、コバルト、および鉄からなる群より選択される少なくとも1種の金属と、を含むことがより好ましい。この際、触媒成分中の組成は、パラジウムおよびニッケルの少なくとも一方が5〜95質量%であり、クロム、モリブデン、タングステン、および鉄からなる群より選択される少なくとも1種の金属が5〜95質量%であることが好ましい。より好ましくは、パラジウムおよびニッケルの少なくとも一方が55〜75質量%であり、クロム、モリブデン、タングステン、コバルト、および鉄からなる群より選択される少なくとも1種の金属が25〜45質量%である。
アノード反応過電圧の低減という観点から、触媒成分は上記の金属に加えてさらに白金を含むことが好ましい。この際、白金の使用量は適宜選択できるが、触媒成分中に好ましくは1〜20質量%、より好ましくは5〜15質量%含まれるようにすればよい。
電極触媒層の触媒成分として合金を使用する場合の合金の組成は、合金化する金属の種類などによって異なり、適宜選択できる。例えば、Pd−Co合金を用いる場合、好ましくはPdが55〜75原子%程度、Coが25〜45原子%程度である。なお、「合金」とは、一般に金属元素に1種以上の金属元素または非金属元素を加えたものであって、金属的性質を有しているものの総称である。合金の組織には、成分元素が別個の結晶となるいわば混合物である共晶合金、成分元素が完全に溶け合い固溶体となっているもの、成分元素が金属間化合物または金属と非金属との化合物を形成しているものなどがあり、本発明ではいずれであってもよい。ここで、合金組成の特定は、ICP発光分析法を用いることで可能である。
また、本発明では、触媒成分として、上記金属を含む化合物を用いてもよい。該化合物の具体例としては、例えば、フェナントロリンパラジウム錯体、ビピリジンパラジウム錯体などのパラジウム化合物;フェナントロリンニッケル錯体、ビピリジンニッケル錯体などのニッケル化合物;フェナントロリンクロム錯体、ビピリジンクロム錯体などのクロム化合物;フェナントロリンモリブデン錯体、ビピリジンモリブデン錯体などのモリブデン化合物;フェナントロリンタングステン錯体、ビピリジンタングステン錯体などのタングステン化合物;フェナントロリン鉄錯体、ビピリジン鉄錯体などの鉄化合物;フェナントロリン白金錯体、ビピリジン白金錯体などの白金化合物、などが挙げられる。これらは単独でも、または2種以上混合しても用いることができる。
前記のような化合物を2種以上用い、かつ化合物に含まれる金属種が2種以上となる場合、その化合物の使用量は、化合物に含まれる金属が上記に示す組成の範囲となるように設定すればよい。
(固体高分子電解質膜)
固体高分子電解質膜は、プロトン伝導性を有する高分子電解質から構成され、固体高分子形燃料電池の運転時にアノード触媒層で生成したプロトンを膜厚方向に沿ってカソード触媒層へと選択的に透過させる機能を有する。また、固体高分子電解質膜は、アノード側に供給される燃料ガスとカソード側に供給される酸化剤ガスとを混合させないための隔壁としての機能をも有する。
固体高分子電解質膜の具体的な構成は特に制限されず、燃料電池の技術分野において従来公知の高分子電解質からなる膜が適宜採用できる。固体高分子電解質膜は、構成材料である高分子電解質の種類に応じて、フッ素系固体高分子電解質膜と炭化水素系固体高分子電解質膜とに大別される。
フッ素系固体高分子電解質膜を構成する高分子電解質としては、例えば、ナフィオン(登録商標、デュポン社製)、アシプレックス(登録商標、旭化成株式会社製)、フレミオン(登録商標、旭硝子株式会社製)などのパーフルオロカーボンスルホン酸系ポリマー、パーフルオロカーボンホスホン酸系ポリマー、トリフルオロスチレンスルホン酸系ポリマー、スルホン酸型ポリスチレン−グラフト−エチレン−テトラフルオロエチレン共重合体、エチレン−テトラフルオロエチレン共重合体、ポリビニリデンフルオリド−パーフルオロカーボンスルホン酸系ポリマーなどが挙げられる。耐熱性、化学的安定性などの発電性能上の観点からはこれらのフッ素系固体高分子電解質膜が好ましく用いられ、より好ましくはパーフルオロカーボンスルホン酸系ポリマーから構成されるフッ素系固体高分子電解質膜が用いられる。
炭化水素系固体高分子電解質膜を構成する高分子電解質としては、例えば、スルホン化ポリエーテルスルホン(S−PES)、スルホン化ポリアリールエーテルケトン、スルホン化ポリベンズイミダゾールアルキル、ホスホン化ポリベンズイミダゾールアルキル、スルホン化ポリスチレン、スルホン化ポリエーテルエーテルケトン(S−PEEK)、スルホン化ポリフェニレン(S−PPP)などが挙げられる。原料が安価で製造工程が簡便であり、かつ材料の選択性が高いといった製造上の観点からは、これらの炭化水素系固体高分子電解質膜が好ましく用いられる。なお、上述したイオン交換樹脂は、1種のみが単独で用いられてもよいし、2種以上が併用されてもよい。
上述した固体高分子電解質膜を構成する高分子電解質以外の材料が高分子電解質として用いられてもよい。このような材料としては、例えば、高いプロトン伝導性を有する液体、固体、ゲル状材料などが利用可能であり、リン酸、硫酸、アンチモン酸、スズ酸、ヘテロポリ酸などの固体酸、リン酸などの無機酸を炭化水素系高分子化合物にドープさせたもの、一部がプロトン伝導性の官能基で置換された有機/無機ハイブリッドポリマー、高分子マトリックスにリン酸溶液や硫酸溶液を含浸させたゲル状プロトン導電性材料などが挙げられる。プロトン伝導性と電子伝導性とを併有する混合導電体もまた、高分子電解質として利用できる。
固体高分子電解質膜の厚さは、膜電極接合体や高分子電解質の特性を考慮して適宜決定され、特に限定はされない。ただし、固体高分子電解質膜の厚さは、好ましくは5〜300μmであり、より好ましくは5〜200μmであり、さらに好ましくは10〜150μmであり、特に好ましくは15〜50μmである。厚さがこのような範囲内の値であると、製膜時の強度や使用時の耐久性、および使用時の出力特性のバランスが適切に制御できる。
(ガス拡散層)
ガス拡散層には、アノード側ガス拡散層およびカソード側ガス拡散層の2つがある。以下、アノード側ガス拡散層とカソード側ガス拡散層との区別をしないときは、単に「ガス拡散層」という。ガス拡散層は、後述するセパレータが有するガス流路を介して供給された反応ガスの触媒層への拡散を促進させる機能、および電子伝導パスとしての機能を有する。
ガス拡散層の基材を構成する材料は特に限定されず、従来公知の知見が適宜参照できる。例えば、炭素製の織物、紙状抄紙体、フェルト、不織布といった導電性および多孔質性を有するシート状材料が挙げられる。基材の厚さは、得られるガス拡散層の特性を考慮して適宜決定すればよいが、30〜500μm程度とすればよい。基材の厚さがこのような範囲内の値であれば、機械的強度とガスおよび水などの拡散性とのバランスが適切に制御できる。
ガス拡散電極は、必要に応じて、他の部材(層)をさらに含んでもよい。例えば、触媒層に存在する過剰な水分の排出を促進させてフラッディング現象の発生を抑制するために、ガス拡散層は、カーボン粒子を含むカーボン粒子層を基材の触媒層側に有してもよい。
カーボン粒子層に含まれるカーボン粒子は特に限定されず、カーボンブラック、黒鉛、膨張黒鉛などの従来公知の材料が適宜採用できる。なかでも、電子伝導性に優れ、比表面積が大きいことから、オイルファーネスブラック、チャネルブラック、ランプブラック、サーマルブラック、アセチレンブラックなどのカーボンブラックを用いることが好ましい。カーボン粒子の平均粒子径は、10〜100nm程度とするのがよい。これにより、毛細管力による高い排水性が得られるとともに、触媒層との接触性も向上させることが可能となる。
カーボン粒子層は撥水剤を含んでもよい。撥水剤としては、例えば、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、ポリフッ化ビニリデン(PVdF)、ポリヘキサフルオロプロピレン、テトラフルオロエチレン−ヘキサフルオロプロピレン共重合体(FEP)などのフッ素系の高分子材料、ポリプロピレン、ポリエチレンなどが挙げられる。なかでも、撥水性、電極反応時の耐食性などに優れることから、フッ素系の高分子材料を用いることが好ましい。
上記電極触媒層は、導電性担体に触媒成分が担持されてなる電極触媒および高分子電解質を含む。
(導電性担体)
導電性担体は、触媒成分を担持する担体であって、導電性を有する。導電性担体としては、触媒成分を所望の分散状態で担持させるのに充分な比表面積を有し、かつ、充分な電子伝導性を有するものであればよい。導電性担体の組成は、主成分がカーボンであることが好ましい。導電性担体の材質として、具体的には、カーボンブラック、活性炭、コークス、天然黒鉛、人造黒鉛、カーボンナノチューブなどが挙げられる。なお、「主成分がカーボンである」とは、主成分として炭素原子を含むことをいい、炭素原子のみからなる、実質的に炭素原子からなる、の双方を含む概念である。場合によっては、燃料電池の特性を向上させるために、炭素原子以外の元素が含まれていてもよい。なお、「実質的に炭素原子からなる」とは、2〜3質量%程度以下の不純物の混入が許容できることを意味する。
導電性担体のBET(Brunauer−Emmet−Teller)比表面積は、触媒成分を高分散担持させるのに充分な比表面積であればよく、特に制限はないが、好ましくは100〜1500m/gであり、より好ましくは600〜1000m/gである。導電性担体の比表面積がこのような範囲内の値であると、導電性担体上での触媒成分の分散性と触媒成分の有効利用率とのバランスが適切に制御できる。
導電性担体の平均粒子径についても特に制限はないが、通常は5〜200nmであり、好ましくは10〜100nm程度である。なお、本発明において、前記の「導電性担体の平均粒子径」は、透過型電子顕微鏡(TEM)による一次粒子径測定法によって算出される値を採用するものとする。
(触媒成分)
触媒成分は、上記電気的化学反応の触媒作用をする機能を有する。触媒成分の種類については、上述した通りであるので、ここでは説明を省略する。
触媒成分の形状や大きさは特に制限されず、従来公知の触媒成分と同様の形状および大きさが適宜採用できるが、触媒成分の形状は、粒状であることが好ましい。そして、触媒成分粒子の平均粒子径は、好ましくは0.5〜30nmであり、より好ましくは1〜20nmである。触媒成分粒子の平均粒子径がこのような範囲内の値であると、電気化学反応が進行する有効電極面積に関連する触媒利用率と担持の簡便さとのバランスが適切に制御できる。なお、本発明において、「触媒成分粒子の平均粒子径」の値は、X線回折における触媒成分粒子の回折ピークの半値幅より求められる結晶子径や、透過型電子顕微鏡像より調べられる触媒成分の粒子径の平均値として算出できる。
電極触媒における導電性担体と触媒成分との含有量の比は、特に制限されない。ただし、触媒成分の含有率(担持量)は、電極触媒の全質量に対して、好ましくは5〜70質量%であり、より好ましくは10〜60質量%であり、さらに好ましくは30〜55質量%である。触媒成分の含有率が5質量%以上であると、電極触媒の触媒性能が充分に発揮され、ひいては固体高分子形燃料電池の発電性能の向上に寄与する。一方、触媒成分の含有率が70質量%以下であると、導電性担体の表面における触媒成分どうしの凝集が抑制され、触媒成分が高分散状態で担持されるため、好ましい。なお、本発明において、上述した含有量の比の値は、ICP発光分析法により測定される値を採用するものとする。
(高分子電解質)
高分子電解質は、電極触媒層のプロトン伝導性を向上させる機能を有する。電極触媒層に含まれる高分子電解質の具体的な形態に特に制限はなく、燃料電池の技術分野において従来公知の知見が適宜参照できる。例えば、電極触媒層に含まれる高分子電解質としては、上述した固体高分子電解質膜を構成する高分子電解質を同様に用いることができる。そのため、高分子電解質の具体的な形態の詳細はここでは省略する。なお、電極触媒層に含まれる高分子電解質は、1種単独であってもよいし、2種以上であってもよい。
電極触媒層に含まれる高分子電解質のイオン交換容量は、イオン伝導性に優れるという観点から、0.8〜1.5mmol/gであることが好ましく、1.0〜1.5mmol/gであることがより好ましい。なお、高分子電解質の「イオン交換容量」とは、高分子電解質の単位乾燥質量当りのスルホン酸基のモル数を意味する。「イオン交換容量」の値は、高分子電解質分散液の分散媒を加熱乾燥などにより除去して固形の高分子電解質とし、これを中和滴定することにより、算出できる。
電極触媒層における高分子電解質の含有量についても特に制限はない。ただし、電極触媒層における導電性担体の含有量に対する高分子電解質の含有量の質量比(高分子電解質/導電性担体の質量比)は、好ましくは0.5〜2.0であり、より好ましくは0.6〜1.5であり、さらに好ましくは0.8〜1.3である。アイオノマー/導電性担体の質量比が0.8以上であると、膜電極接合体の内部抵抗値の抑制という観点から好ましい。一方、アイオノマー/導電性担体の質量比が1.3以下であると、フラッディングの抑制という観点から好ましい。
[膜電極接合体の製造方法]
本発明の膜電極接合体の製造方法は特に制限されず、膜電極接合体の製造分野において従来公知の知見を適宜参照することにより製造できる。以下、本発明の膜電極接合体の製造方法を簡単に説明するが、本発明の技術的範囲は特許請求の範囲の記載に基づいて定められるべきであり、以下の形態のみに制限されない。
本発明の膜電極接合体は、固体高分子電解質膜の両面にアノード側およびカソード側の電極触媒層を形成し、これをガス拡散層で挟持することにより製造できる。電極触媒層は、上記のような電極触媒、高分子電解質および溶媒などからなる触媒インクを、固体高分子電解質膜にスプレー法、転写法などの従来公知の方法を用いて塗布することにより製造できる。
電極触媒は、導電性担体に触媒成分を担持させることによって調製する。導電性担体に触媒成分を担持させるには、含浸法、液相還元担持法、蒸発乾固法、コロイド吸着法、噴霧熱分解法、逆ミセル法(マイクロエマルジョン法)などの従来公知の方法を用いて行えばよい。また、市販されている電極触媒を用いてもよい。
溶媒としては、特に制限されず、電極触媒層を形成するのに使用される通常の溶媒が同様にして使用できる。具体的には、水、シクロヘキサノールやエタノール(EtOH)や1−プロパノール(NPA)、2−プロパノールなどの低級アルコールが使用できる。溶媒の使用量も、特に制限されず公知と同様の量が使用できる。触媒インクに含まれる電極触媒の量は、所望の作用、すなわち、アノード側での水素の酸化反応またはカソード側での酸素の還元反応を触媒する作用を十分発揮できる量であれば、特に制限されない。触媒インク中の電極触媒の量は、好ましくは3〜30質量%、より好ましくは5〜20質量%である。高分子電解質もまた、電極触媒と同様の量/割合で存在することが好ましい。
また、触媒インクを転写法によって塗布する場合などには、増粘剤を含んでもよい。増粘剤の使用は、触媒インクが転写用台紙上にうまく塗布できない場合などに有効である。この際使用できる増粘剤は、特に制限されず、公知の増粘剤が使用できるが、例えば、グリセリン、エチレングリコール(EG)、ポリビニルアルコール(PVA)、プロピレングリコール(PG)などが挙げられる。これらのうち、プロピレングリコール(PG)が好ましく使用される。増粘剤を使用する際の、増粘剤の添加量は、本発明の上記効果を妨げない程度の量であれば特に制限されないが、触媒インクの全質量に対して、好ましくは5〜40質量%である。
触媒インクは、上記の電極触媒、高分子電解質および溶媒などを混合、分散することによって調製できる。高分子電解質は、予め上記の溶媒中に分散された高分子電解質分散液として用いてもよい。前記触媒インクを調製する際に、攪拌時間などを調整することにより導電性担体の分散性を調整してもよい。これにより、得られる電極触媒層における空孔径、空隙率や面抵抗値などを調整できる。攪拌手段としては、ホモジナイザ、超音波分散装置、サンドミル、ジェットミル、ビーズミルなどの従来公知の手段が挙げられる。この際、上述したような空孔構造を得るための、触媒インク中の触媒成分粒子の平均体積粒子径(二次粒子径)は、一般的には0.1〜1.6μmであり、好ましくは0.2〜1.3μmであり、より好ましくは0.3〜1.1μmである。なお、ここでいう平均体積粒子径は、レーザー回折・散乱式の粒度分布測定装置で得られた値を採用する。
電極触媒層の形成には、従来公知の方法を用いることができる。例えば、固体高分子電解質膜に直接塗布、乾燥する方法、または触媒インクを基材(例えば、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)シート)上に塗布、乾燥して電極触媒層を形成し、これを固体高分子電解質膜に転写する方法などがある。また、ガス拡散層の片方の面に電極触媒層を形成してもよい。塗布方法としては、スプレー法、スクリーン印刷法、ドクターブレード法、ダイコーター法など従来公知の方法を用いることができる。なかでも、上記の空孔構造を形成するためには、スプレー法を用いて塗布することが好ましい。固体高分子電解質膜とで触媒インクの塗布量は、電極触媒が電気化学反応を触媒する作用を十分発揮できる量であれば特に制限されないが、単位面積あたりの触媒成分の質量が0.05〜1mg/cmとなるように塗布することが好ましい。また、塗布する触媒インクの厚さは、乾燥後に5〜30μmとなるように塗布することが好ましい。なお、上記の触媒インクの塗布量および厚さは、アノード側およびカソード側で同じである必要はなく、適宜調整することができる。
本発明の膜電極接合体は、ガス拡散層をさらに有する。膜電極接合体の形成には、従来公知の方法を用いることができる。例えば、固体高分子電解質膜上に形成された電極触媒層を一対のガス拡散層で挟持させて、これを接合することによって膜電極接合体が製造できる。またはガス拡散層の片面に電極触媒層を形成し、電極触媒層が対向するように1対のガス拡散層で固体高分子電解質膜を挟持させて、これを接合することによって製造してもよい。
[燃料電池]
本発明の燃料電池は、本発明の膜電極接合体と、燃料ガスが流れる燃料ガス流路を有するアノード側セパレータと酸化剤ガスが流れる酸化剤ガス流路を有するカソード側セパレータとからなる一対のセパレータとを有する。
図3は、本発明の燃料電池の一実施形態である、固体高分子形燃料電池(PEFC)の一般的な全体構造を模式的に表した断面外略図である。なお、図3には固体高分子形燃料電池の単セルが図示されている。
図3に示す固体高分子形燃料電池200は、本発明の膜電極接合体100を有する。そして、固体高分子形燃料電池200において、膜電極接合体100は、アノード側セパレータ150aおよびカソード側セパレータ150cからなる1対のセパレータにより挟持されている。ここで、アノード側セパレータ150aのアノード側ガス拡散層140a側表面には、運転時に燃料ガスが流通する燃料ガス流路152aが設けられており、反対側の表面には、運転時に冷却剤が流通する冷却流路(図示せず)が設けられている。一方、カソード側セパレータ150cのカソード側ガス拡散層140c側の表面には、運転時に酸化剤ガスが流通する酸化剤ガス流路152cが設けられており、反対側の表面には、運転時に冷却剤が流通する冷却流路(図示せず)が設けられている。そして、固体高分子形燃料電池200の周囲には、1対のガス拡散電極を包囲するように、ガスケット160が配置されている。
上記のような、本発明の膜電極接合体を有する燃料電池は、優れた発電性能を発揮する。
以下、本発明の燃料電池を構成する部材について簡単に説明するが、本発明の技術的範囲は下記の形態のみに制限されない。
(セパレータ)
セパレータは、固体高分子形燃料電池などの燃料電池の単セルを複数個直列に接続して燃料電池スタックを構成する際に、各セルを電気的に直列に接続する機能を有する。また、セパレータは、燃料ガス、酸化剤ガス、および冷却剤を互に分離する隔壁としての機能も有する。そのため、上述したように、セパレータのそれぞれにはガス流路および冷却流路が設けられている。セパレータを構成する材料としては、緻密カーボングラファイト、炭素板などのカーボンや、ステンレスなどの金属など、従来公知の材料が適宜制限なく採用できる。セパレータの厚さやサイズ、設けられる各流路の形状やサイズなどは特に限定されず、得られる燃料電池の所望の出力特性などを考慮して適宜決定できる。
(ガスケット)
ガスケットは、1対の電極触媒層およびガス拡散層を包囲するように燃料電池の周囲に配置され、触媒層に供給されたガスが外部にリークするのを防止する機能を有する。ガス拡散電極とは、ガス拡散層および電極触媒層の接合体をいう。ガスケットを構成する材料としては、特に制限はないが、フッ素ゴム、シリコンゴム、エチレンプロピレンゴム(EPDM)、ポリイソブチレンゴムなどのゴム材料、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)、ポリヘキサフルオロプロピレン、テトラフルオロエチレン−ヘキサフルオロプロピレン共重合体(FEP)などのフッ素系の高分子材料、ポリオレフィンやポリエステルなどの熱可塑性樹脂などが挙げられる。また、ガスケットの厚さにも特に制限はなく、好ましくは50μm〜2mmであり、より好ましくは100μm〜1mm程度とすればよい。
[車両]
上述した本発明の燃料電池や燃料電池スタックを搭載した車両もまた、本発明の技術的範囲に包含される。本発明の燃料電池や燃料電池スタックは、耐久性に非常に優れている。
本発明の効果を、以下の実施例および比較例を用いて説明する。ただし、本発明の技術的範囲が以下の実施例のみに制限されるわけではない。なお、回転電極装置は、北斗電工株式会社製 HR−301を用いた。また、ポテンショスタット装置は、北斗電工株式会社製 HZ-5000を用いた。
(実施例1)
膜電極接合体におけるアノード触媒層の触媒としてPdを使用し、カソード触媒層の触媒としてPtを使用した。触媒塗布面積はアノード触媒層、カソード触媒層共に25cmとした。この場合、アノード触媒層の触媒塗布面積あたりの触媒実面積の値は120cm/cmであり、カソード触媒層の触媒塗布面積あたりの触媒実面積の値は200cm/cmであった。
水素酸化反応交換電流密度および酸素還元反応交換電流密度の測定に用いた電極は、下記(1)〜(3)の手順で作製した。
(1)触媒を20mg秤量し、超純水19mlとイソプロパノール6mlとの混合溶媒中に触媒を加えインク溶液を作製した。さらに、5質量% ナフィオン(登録商標)分散溶液を100μl加え、その混合溶液を超音波により30分処理した。
(2)調製した混合溶液を10μl回転電極作用極であるグラッシーカーボン上に滴下した。
(3)60℃に調整されたオーブン中で溶媒を乾燥させ、電極を得た。
[水素酸化反応交換電流密度の評価方法]
回転電極装置を用いて、水素ガスで電解質を飽和させ、サンプル電極の回転数を3600rpmに維持しながら、0mVより100mVまで電位を1mV/sで掃引し、触媒有効面積あたりの電流密度の値を計測し、水素酸化反応における分極曲線を得た。その分極曲線より水素酸化反応交換電流密度を算出した。
[酸素還元反応交換電流密度の評価方法]
回転電極装置を用いて、酸素ガスで電解質を飽和させ、サンプル電極の回転数1600rpmに維持しながら、1000mVから0mVまで電位を−10mV/sで掃引し、触媒有効面積あたりの電流密度の値を計測し、酸素還元反応における分極曲線を得た。その分極曲線より、酸素還元反応交換電流密度を算出した。
得られた水素酸化反応交換電流密度は5.0×10−6mA/cmであり、酸素還元交換電流密度は1.0×10−10mA/cmであり、触媒塗布面積あたりの触媒実面積の値と酸素還元交換電流密度との積は1.2×10−8A/cmであった。
(実施例2〜4、比較例)
下記表1に記載の触媒を用いて、実施例1と同様にして電極を作製し、水素酸化反応交換電流密度および酸素還元反応交換電流密度を測定した。結果を表1に示す。
Figure 2010027295
本発明の膜電極接合体の一般的な全体構造を模式的に表した断面概略図である。 水素酸化反応の交換電流密度および酸素還元反応の交換電流密度の測定に用いる回転電極装置の概略図である。 本発明の燃料電池の一実施形態である、固体高分子形燃料電池の一般的な全体構造を模式的に表した断面外略図である。
符号の説明
1 電解液、
2 作用極、
3 反応ガス導入口、
4 回転軸、
5 ポテンショスタット装置、
6 水素参照極、
7 対極、
10 回転電極装置、
100 膜電極接合体、
110 固体高分子電解質膜、
120a アノード触媒層、
120c カソード触媒層、
140a アノード側ガス拡散層、
140c カソード側ガス拡散層、
150a アノード側セパレータ、
150c カソード側セパレータ、
152a 燃料ガス流路、
152c 酸化剤ガス流路、
160 ガスケット、
200 固体高分子型燃料電池。

Claims (6)

  1. 電解質膜と、
    前記電解質膜を挟持し、触媒と前記触媒を担持する担体とから構成されるカソード触媒層およびアノード触媒層と、
    を備えた膜電極接合体であって、
    前記アノード触媒層における、下記数式1で求められる水素酸化反応の交換電流密度と酸素還元反応の交換電流密度との比の対数値が4〜10であり、かつ前記酸素還元反応の交換電流密度と触媒塗布面積あたりの触媒実面積の値との積が所定の値以下である膜電極接合体。
    Figure 2010027295
  2. 前記アノード触媒層がパラジウム、ニッケル、クロム、モリブデン、タングステン、コバルト、および鉄からなる群より選択される少なくとも1種の金属を含む、請求項1に記載の膜電極接合体。
  3. 前記アノード触媒層がパラジウムおよびニッケルの少なくとも一方と、クロム、モリブデン、タングステン、コバルト、および鉄からなる群より選択される少なくとも1種の金属と、を含む請求項2に記載の膜電極接合体。
  4. 前記アノード触媒層がさらに白金を含む、請求項2または3に記載の膜電極接合体。
  5. 請求項1〜4のいずれか1項に記載の膜電極接合体を用いた燃料電池。
  6. 請求項5に記載の燃料電池を搭載した車両。
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