JP2002068626A - エレベータの診断方法 - Google Patents

エレベータの診断方法

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JP2002068626A JP2001219448A JP2001219448A JP2002068626A JP 2002068626 A JP2002068626 A JP 2002068626A JP 2001219448 A JP2001219448 A JP 2001219448A JP 2001219448 A JP2001219448 A JP 2001219448A JP 2002068626 A JP2002068626 A JP 2002068626A
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    • B66B5/0006Monitoring devices or performance analysers
    • B66B5/0037Performance analysers

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Abstract

(57)【要約】 【課題】 人の介入や測定装置を付加的に取り付けるこ
とを要さずに、エレベータを定量的に診断する。 【解決手段】 ブレーキ距離および滑動距離を、エネル
ギー均衡の等式および速度/加速度/距離の等式に利用
して、かごの最大減速度および最小減速度を決定する。
最大減速度および最小減速度を規定コードにより規定さ
れる値と比較して、かごが全負荷を有する状態でかごを
停止させることが可能か否かを判定し、ブレーキシステ
ムの状態を決定し、ブレーキシステムに必要な調整を決
定し、牽引用の滑車およびロープの状態を検出し、レベ
リング異常の原因を突き止める。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、エレベータのブレ
ーキシステムの状態、牽引用の滑車およびロープの状
態、エレベータの減速能力、エレベータが全負荷状態で
停止し得るか否か、およびレベリング異常の発生を検出
することに関する。
【0002】
【従来の技術】一般的に、ブレーキ動作の点検は、エレ
ベータの整備士が距離を視覚的に測定してブレーキ動作
が実際に開始された時点を検出することによって、行わ
れてきた。このような試験には、ヒューマンエラーが生
じ易い。例えば、エレベータ速度が2.5メートル/秒
である場合、ブレーキ動作が実際に開始された時点を検
出する際にたった100×10-6秒の誤差が生じるだけ
で、4分の1メートルの誤差が生じる。10メートル/
秒で走行されるある種の最新型のエレベータの場合は、
誤差が測定不可能なほど大きくなるだろう。さらに、こ
のような試験を行うには、ある期間、エレベータの使用
を停止しなければならない。このような試験は、エレベ
ータの設置位置にいる整備工しか行うことができず、さ
らに、整備工がこのような試験を行うのに、5分〜20
分の時間を要する。このような試験は、定性的なものに
過ぎないため、得られる結果は、合格/不合格、もしく
は悪い/普通/良いというように示される。
【0003】最近では、エレベータのブレーキシステム
のパラメータを測定するのに、遠隔装置が利用されてい
る。このような装置は、一般的に、極めて複雑なもので
あり、利用するためにはハードウェアをさらにエレベー
タに取り付ける必要がある。さらに、運転が困難で、か
つ結果を理解するのに多くの専門知識を要する。
【0004】人を介して行なわれるこれらの試験は、明
らかに、規則的な時間間隔をあけるといった計画、もし
くはエレベータの利用状態に基づいた計画に従って行う
必要がある。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、エレ
ベータのブレーキシステム、および牽引用のロープおよ
び滑車の状態、およびこれらに関するパラメータを、人
の介入を要することなく、定量的に検出し、これによっ
て、規定コードに適合するか否かを判定することが可能
な離散値を発生させ、ヒューマンエラーといった誤差を
取り除くことである。このような検出は、極めて短い時
間で行うことができ、測定のために装置をさらにエレベ
ータシステムに取り付けることを要さず、結果の解釈が
容易であり、実行しかつ利用するのに多くの専門知識を
要さず、かつ所望の頻度で、少ない保守整備コストで、
かつ安全に行うことが可能なものでなけらばならない。
【0006】本発明の他の目的は、作業者の介入もしく
は測定装置や検出装置を新たに取り付けることを要さず
に、簡単に、自動的に、かつ定量的に、エレベータを監
視することである。このような監視方法は、人が介入し
たり、測定装置もしくは検出装置を新たに備えたりする
必要がないものとする。さらに、このような監視方法
は、かごの減速度を計算するのに十分な情報を提供する
ものでなければならない。計算された減速度を規定コー
ドと比較し、これによって、規定コードにより規定され
るように、エレベータが定格負荷の125%を搬送した
状態でこのエレベータを機械的ブレーキにより停止させ
ることが可能か否かを判断し、ブレーキシステムの状態
を判定し、牽引用の滑車およびロープの状態を判定し、
かつレベリング異常の原因を突き止める。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明によると、ブレー
キ距離(つまり、ブレーキ手段によるエレベータの機械
的停止が命令されてからエレベータが移動する距離)の
みならず、滑動距離(つまり、ロープと滑車との間の牽
引の滑りに起因した、エレベータロープ駆動装置の位置
とエレベータ自体の位置との差)を、エネルギー均衡の
等式および速度/加速度/距離の等式に利用することに
よって、かごの最大減速度および最小減速度を決定す
る。さらに、最大減速度および最小減速度を規定コード
により規定される値と比較して、かごが定格負荷の12
5%を搬送した状態でかごを停止させることが可能か否
かを判定し、ブレーキシステムの状態を決定し、ブレー
キシステムに必要な調整を決定し、牽引用の滑車および
ロープの状態を検出し、レベリング異常の原因を突き止
める。
【0008】本発明によると、エレベータかごが空であ
ることが検出された後で、かごを自動的に操縦し、定格
速度で走行している間に機械的な非常停止を行うととも
に、モータ位置エンコーダおよびかご位置エンコーダの
値を読み取る。しかし、かご位置エンコーダがシステム
に配置されていない場合は、昇降路における既知の距離
を公称速度で走行させる。
【0009】本発明の他の目的、特徴および利点は、そ
の実施例の詳細な説明および付随の図面によってより明
らかとなるだろう。
【0010】
【発明の実施の形態】図1を参照すると、エレベータか
ご10の質量はMであり、前記エレベータ10によっ
て、エレベータシステムの定格負荷Qの一部qである荷
重11が搬送されている。エレベータかご10は、ロー
プ13によって支持されており、ロープ13は、駆動滑
車14と係合し、つりあいおもり16をも支持してい
る。つりありおもり16の質量は、エレベータの質量に
エレベータの定格負荷の1/2の荷重を加算した値にほ
ぼ等しい。この場合は、つりあいおもりの質量が、エレ
ベータの質量にエレベータの定格負荷の1/2の荷重を
加算した値、M+0.5Qである。滑車14は、モータ
17により駆動され、この場合は、ドラムブレーキ19
に直接に連結されている。ドラムブレーキ19は、自動
車のブレーキと同様なものであり、一般的に、ドラムお
よび2つの内側パッドからなり、これらの内側パッド
が、強いスプリングによりドラムに付勢されてこれと係
合しており、電磁気力によってドラムから外れるように
構成されたものである。モータ位置エンコーダ21が
(通常はモータ17を介して)滑車14と同じ軸に連結
されており、このモータ位置エンコーダ21によって、
モータ位置を示すパルスが処理装置22に送られる。か
ご位置エンコーダ24が、ロープ13と同時に移動する
テープ(図示せず)に連結されており、このかご位置エ
ンコーダ24によって、かご位置を示す信号が処理装置
22に送られる。ここまでの説明は、従来技術で周知の
エレベータシステムに関する。エレベータには、2つの
主要な摩擦力が利用されている。本願では、ブレーキが
かかっている状態でのブレーキドラムとブレーキシュー
との間の摩擦力を、「ブレーキ摩擦力」と称する。定格
負荷の125%の荷重を搬送しているエレベータをブレ
ーキにより静止状態に維持し、かつ定格速度で移動して
いるエレベータをブレーキにより停止させることが可能
でなければならない。閉ループ型電気式レベリング装置
(closed-loop electric leveling)を備えていないエ
レベータにおいては、ブレーキ摩擦力によって、レベリ
ングの精度および乗り心地が決まる。駆動滑車とロープ
との間の摩擦力は、「牽引力」と称され、機械のブレー
キ容量および駆動容量と、かご/つりあいおもりシステ
ムと、の関係のみによって決まる。ロープと滑車との間
の摩擦力が不十分な場合は、危険な状態が生じる恐れが
ある。ブレーキ摩擦力および牽引力は、両方とも、エレ
ベータの耐用期間中に、激しく変化する。
【0011】ブレーキ摩擦力は、ブレーキの調整、ブレ
ーキドラムの状態(ブレーキドラム表面の凹凸や油の添
加量など)、ブレーキシューの状態(特に、ブレーキシ
ューの摩耗や結晶化)、および劣化(ブレーキのスプリ
ングの弾性定数の変化など)によって決まる。牽引力
は、主に、劣化、特に溝部の摩耗およびロープの直径の
減少量に依存する。溝部の摩耗およびロープの直径の減
少は、ブレーキの調整が悪かったりロープが均一に配置
されていない場合に、激しく生じる。牽引力は、さら
に、ロープと滑車との間の潤滑状態の変動や、公差の変
動によっても決まる。公差の変動は、駆動滑車に溝がさ
らに形成されたり、ロープがずれたりすることにより生
じる。
【0012】本発明は、最新式エレベータにおいてモー
タ駆動装置へのフィードバックが行われるモータ位置エ
ンコーダを利用し、システムがかご位置検出システムを
備えている場合は、かご位置検出システムを利用する。
【0013】図1を参照すると、ドアが閉じており、か
つかごボタンが動作していない状態でエレベータを20
分以上停止させることによって、エレベータかごが空で
あることを確認することができる。続いて、エレベータ
かごを、停止モードで最上階まで移動させる。これによ
って、エレベータかごが確実に空の状態で維持される。
続いて、エレベータかごを公称速度V0で最上階から下
方に移動させる。下方移動の試験のための幾つかの選択
された基準位置PRD(かご位置エンコーダにより検出さ
れる)において、かご位置エンコーダおよびモータ位置
エンコーダの値を記録し、さらに、非常停止、つまりブ
レーキによる機械的停止を命令する。
【0014】S0CD=PRD=かご位置エンコーダの値 S0BD=モータ位置エンコーダの値 かごが確実に停止状態になるように数秒間待機した後
で、両方の位置エンコーダの値を再び読み取る。
【0015】S1CD=かご位置エンコーダの値 S1BD=モータ位置エンコーダの値 下方のブレーキ距離値SBD、および滑動距離値SSDを、
決定し、記憶する。
【0016】SBD=S1BD−S0BDSD=S1CD−S0CD−SBD 図1のqを0にするために、これらの試験は、かごを空
にして行われる。
【0017】図2に示されているように、同様な試験
が、公称速度V0で上方に移動しているエレベータに対
して行われる。このとき、つりあいおもり16は、公称
速度V 0で下方に移動する。ここでもまた、図2のqを
0にするために、かごを空にして試験が行われる。同様
に、幾つかの基準位置PRUで、かご位置エンコーダおよ
びモータ位置エンコーダの値を記録し、ブレーキによる
機械的な非常停止を命令する。
【0018】S0CU=PRU=かご位置エンコーダの値 S0BU=モータ位置エンコーダの値 かごが確実に停止状態となるように数秒間待機した後
で、両エンコーダの値を再び読み取る。
【0019】S1CU=かご位置エンコーダの値 S1BU=モータ位置エンコーダの値 続いて、上方移動についてのブレーキ距離値SBU、およ
び滑動距離値SSUを検出し、記憶する。
【0020】SBU=S1BU−S0BUSU=S1CU−S0CU−SBU 図3に示されているように、ある種のエレベータシステ
ム、特に、階数があまり多くないエレベータシステムに
は、図1および図2に示されているようなかご位置変換
器24が備えられていない場合がある。従って、本発明
は、既に昇降路内部に存在する、昇降路位置の表示装置
を用いてブレーキ距離および滑動距離を測定することを
可能とする。この実施例では、複数のドア領域、および
レベリングベーン(leveling vane)が図示されている
が、所望により、他のスイッチ(例えば終端階のリミッ
トスイッチ)を用いることも可能である。図3では、磁
石もしくは光学的ベーン(optical vane)26〜29を
検出するために、昇降路位置読み取りボックス31がエ
レベータに取り付けられている。一方、エレベータシャ
フトに備えることが可能なものであれば、機械的なベー
ンやスイッチを用いることも可能である。
【0021】図3に示されているタイプのエレベータで
は、エレベータ10が最上階(磁石もしくはベーン26
により示されている)に停止し、ドアが閉じ、かつかご
が空の状態で、プロセスを開始する。続いて、昇降路位
置読み取り装置31により、次のベーンもしくは磁石2
7(第1の下方基準位置PRD1に存在する)が検出され
るまで、かごを公称速度(例えば定格速度)で下方に移
動させる。この位置で、モータ位置エンコーダの第1位
置S0BDを記録し、ブレーキを利用した機械的停止を命
令する。かごが確実に停止状態となるように数秒間待機
した後で、モータ位置エンコーダの第2の値S1BDを記
録する。続いて、かごを、低速度および低加速度で次の
基準位置PRD2(この実施例では、磁石もしくはベーン
28)まで下方に移動させ、この位置で、モータ位置エ
ンコーダの第3の値S2BDを記録する。PRD1とPRD2
の間の距離を測定してシステムに記憶する必要がある。
続いて、下方のブレーキ距離および滑動距離の値を記録
する。
【0022】SBD=S1BD−S0BDSD=PRD2−PRD1−(S2BD−S0BD) 図4を参照すると、かごが上方に移動すること以外は図
3に関して記載した方法と同様な方法が示されている。
この方法では、上方の第1基準位置(この実施例では磁
石もしくはベーン28)で、モータ位置エンコーダ値S
0BUを読み取り、ブレーキを用いた非常停止用機械停止
を始動し、エレベータが確実に停止状態になるように数
秒間待機した後で、モータ位置エンコーダの第2の値S
1BUを読み取る。続いて、エレベータを、第2基準点P
RU2(磁石もしくはベーン27とすることができる)ま
で低速で上昇させ、モータ位置エンコーダの第3の値S
2B Uを読み取る。ここで、上方のブレーキ距離および滑
動距離の値を以下のように記憶する。
【0023】SBU=S1BU−S0BUSU=PRU2−PRU1−(S2BU−S0BU) エレベータが空の場合、つりあいおもりの重量は、通
常、エレベータの質量(M)に定格負荷の2分の1を加
算した値にほぼ等しいため、下方に移動している場合
は、つりあいおもりの余分な重量によってかごの停止動
作が促進される。従って、安全のためには、かごの上方
移動についての試験を行う前に、かごの下方移動につい
ての試験を行うことが必要である。このような方法で
は、ブレーキ状態が上方移動に対して安全なものである
ことを確認することができる。
【0024】あらゆる状態で試験を最上階乗場で終了さ
せるために、上述した両方法では、上方の基準位置P
RU1を可能な限り高い位置に設定し、これによって、エ
レベータの減速が安全に行なわれるようにする。基準位
置PRU1の最大値PRU1maxは、最上階の高さHmax、公称
速度V0および前の試験の結果に関連する。
【0025】PRU1max=Hmax−V0 2minminは、少なくとも0.35gであり、前の試験での
加速度である。
【0026】本発明は、かごが下方に移動している状態
でエレベータが非常停止用の機械的停止を行う場合のエ
ネルギー均衡の等式を利用する。簡単化のために、全て
の質量がかごおよびつりあいおもりのいずれかに集中し
ており、かつブレーキ力が牽引滑車に直接に作用すると
仮定する。方程式は以下のようになる。
【0027】
【数1】
【0028】EC=かご/つりあいおもりシステムの運
動エネルギ
【0029】
【数2】
【0030】EP=かご/つりあいおもりシステムの位
置エネルギ
【0031】
【数3】
【0032】Ecal=滑車とロープとの間で摩擦として
失われる熱エネルギ
【0033】
【数4】
【0034】EB=ブレーキ/シュー摩擦により失われ
る熱エネルギ
【0035】
【数5】
【0036】M=かごの質量(Kg) Q=定格負荷の質量(Kg) M+0.5Q=つりあいおもりの質量q=かごの定格負
荷の一部 Fγ=滑車とロープとの間の摩擦力 FB=ブレーキとシューとの間の摩擦力 V0=定格速度 g=重力加速度=9.81m/sec 数式1に式2〜5を代入すると、
【0037】
【数6】
【0038】
【数7】
【0039】同様に、かごが上方に移動する場合のブレ
ーキ距離は、
【0040】
【数8】
【0041】かごを停止させるのに必要な負の加速度a
は、非常停止が命令された時点でのかごの公称速度つま
り定格速度、および最終速度Vfに相関する。
【0042】
【数9】
【0043】かごを停止させるのに必要な距離は、
【0044】
【数10】
【0045】つまり、
【0046】
【数11】
【0047】かごの減速度が規定コード(reguratoly c
ode)により許容される範囲内にあるか否かを判断する
ためには、最大減速度および最小減速度を決定し、これ
らのコードの範囲と比較する。
【0048】
【数12】
【0049】
【数13】
【0050】これは、本発明の第1の重要な形態であ
る。
【0051】どの時点でも、滑車/ロープ牽引力は、か
ご側のロープの張力とつりあいおもり側のロープの張力
との間の差のみならず、滑車溝部の状態およびロープの
状態によっても決まる。かごが定格負荷の125%であ
る荷重を搬送しながら下方に移動する場合を考慮する
と、かご側のロープ張力は、つりあいおもり側のロープ
張力よりも大きい。このような場合、一般的な関係式T
1/T2において、T1はかご側の張力であり、T2はつり
あいおもり側の張力である。ロープ張力は、
【0052】
【数14】
【0053】
【数15】
【0054】
【数16】
【0055】滑車とロープとの間の状態による影響を表
す係数Cを用いると、下方移動についての関係式は、以
下のようになる。
【0056】
【数17】
【0057】同様に、かごが空の状態での上方移動の場
合は、つりあいおもり側の張力の方が大きいことを考慮
すると、関係式T1/T2において、T1はつりあいおも
り側の張力である。
【0058】
【数18】
【0059】上述した試験は、全て、かごが空の状態で
行われたため、かごに可能な限り荷重が加えられた状態
での停止状態を検査する方法が必要である。この荷重
を、定格負荷の125%(1.25Q)であると仮定す
る。本発明のこの方法では、かごが空の状態で上方に移
動する場合のロープ/滑車状態ひいてはT1/T2が、か
ごが定格負荷の125%を有しながら下方に移動する場
合のT1/T2に極めて近いことが考慮されている。この
ことは、q=0の場合の式17と、q=1.25の場合
の式18と、を比較することによって理解することがで
きる。このような比較を行う際に、Cにより示されるロ
ープ/滑車状態は、上方移動および下方移動の両方にお
いて同じである。試験によっては、溝部/ロープ状態に
いかなる変化も生じないためである。さらに、重力も変
化しない。
【0060】エレベータの質量Mが荷重Qの130%で
あると仮定すると、q=1.25の場合の下方移動につ
いてのT1/T2(Tbとする)に対するq=0の場合の
上方移動についてのT1/T2(Taとする)の比率は、
【0061】
【数20】
【0062】ブレーキ力は、ブレーキの状態に依存し、
かごの荷重には依存しないため、a UとaDとの関係は、
以下のように見積もることができる。ここで、mUは、
上方に移動している状態での質量であり、mDは、下方
に移動している状態での質量であり、mCは、つりあい
おもりの質量であり、mEは、空のかごの質量であり、
Fは、定格負荷の125%であるかごの質量である。
【0063】FB=mUU=mDDU=mC−mE=M+0.5Q−M=0.5Q mD=mF−mC=(M+1.25Q)−(M+0.5
Q)=0.75Q 従って、mD=1.5mUであり、これによってaU
1.5aDであり、aUに依存して、牽引力比率は、以下
の範囲内で変化する。
【0064】0.91<Ta/Tb<1.1 従って、かごが空の状態で上方に移動する場合のブレー
キ状態は、かごに全負荷が加えられた状態で下方移動す
る場合のブレーキ状態とほぼ同じである。従って、全負
荷が加えられた状態で下方に移動する場合のブレーキ力
Bは、式8においてq=0とし、かつSSUを0と仮定
する(すなわち、ブレーキが直接にロープにかかると仮
定する)ことによって見積もることができる。
【0065】
【数21】
【0066】これは、本発明の重要な形態である。
【0067】本発明の他の形態によると、ブレーキシス
テムの性能は、SBDおよびSBUの値から推測することが
できる。これらの2つの要素は、かごを空にすること、
つまり、以下の式においてqの値を0とすることによっ
て決定することができる。このように決定する際に、さ
らに、ブレーキがロープに直接に作用すること、従っ
て、SSDおよびSSUの値が両方とも0であることを仮定
する。式7および式8は、以上の条件によって簡単にな
る。
【0068】
【数22】
【0069】
【数23】
【0070】ブレーキシューが摩耗するに従って、この
ような摩耗によりFBが除々に減少する。従って、エレ
ベータの走行回数もしくは走行時間に基づいてブレーキ
の調整を計画する代わりに、本発明を利用して自動計算
された値FBの最小しきい値を設定し、このしきい値に
基づいて、ブレーキ調整を計画することができる。これ
は、本発明の重要な形態である。
【0071】最新式エレベータには、2つのブレーキシ
ューを備えたドラムブレーキもしくはディスクブレーキ
(disc brake)が利用されている。一方のシュー(上方
および下方に対して時計方向および反時計方向のどちら
に向かっているかに依存する)が0.7FBDを担い、他
方のシューが0.3FBDのみを担うことが知られてい
る。かごが逆方向に進行する場合は、シューの摩耗状態
は変わる。従って、一般的には、2つのシューの摩耗は
同じであるが、実際は、このようにならない。本発明に
よると、上方移動に対するブレーキ力FBUと下方移動に
対するブレーキ力FBDとを比較することによって、さら
に調節する必要があるブレーキシューが決定される。ブ
レーキを適切に調節すると、FBUとFBDとが等しくな
る。これは、本発明の重要な形態である。
【0072】図5を参照すると、駆動ロープの移動距離
の比率SSとして示される滑動距離の大きさが、ロープ
張力の比率T1/T2の関数として示されている。この比
率S Sは、ロープおよび滑車が新しくかつ適切に潤滑さ
れているような最初の牽引状態と、劣化や潤滑といった
様々な要因によってロープ/滑車状態が悪くなっている
状態と、に対して示されている。最初の状態では、張力
比率とSSとの関係が、張力比率の値が約2.2になる
まで、線形であることがわかる。これに対して、ロープ
/滑車の係合が激しく劣化している状態では、張力比率
が特定値(この例では約1.4)になるまでの範囲内で
のみ、張力比率とSS値との関係が線形となっている。
さらに、比率SSが2.2の点をみると、劣化した状態
では、滑りが約70%であるのに対し、最初の状態で
は、滑りが約15%のみである。周知のように、エレベ
ータは、この線形領域でのみ運転しなければならない。
これは、ロープ/滑車係合の劣化に伴って滑りが増大し
た状態は危険であり、また、このような状態では、エレ
ベータの運転が適切に行われなくなるためである。
【0073】本発明によると、ロープ/滑車係合の状態
は、単に、かごを空の状態で上方移動させた状態で測定
した滑動距離と下方移動させた状態で測定した滑動距離
との比率と、かごを空の状態で上方移動させた状態での
張力比率(T1/T2UPと下方移動させた状態での張力
比率(T1/T2DNとの比率と、を関係付けることによ
って、決定することができる。
【0074】
【数24】
【0075】しかし、(T1/T2UPおよび(T1
2DNは、両方とも既知であるため、kの値を見積も
り、これを期待値と比較することによって、システム
が、張力比率と滑動距離との関係(図5)が線形である
領域で動作しているか、もしくは指数の領域で動作して
いるかを知ることができる。定数kは、試験されている
エレベータと同じタイプの新たなエレベータ(例えば同
じエレベータ)から決定する。本発明によると、張力比
率に対する滑動距離比率の比率kがしきい値よりも大き
い場合、すなわち以下の関係が成り立つ場合は、張力比
率と滑動距離との関係が非線形の領域でエレベータが動
作していることを示しており、従って、ロープ/滑車状
態が劣化していることを示している。これは、本発明の
重要な形態である。所望により、この比率の逆数を利用
することも可能である。
【0076】
【数25】
【0077】エレベータが過負荷状態にあることのみに
起因してレベリング異常が生じている場合は、その異常
を自動監視装置によって検出することができる。このよ
うに検出することによって、適切な運転を命令すること
が可能であり、さらに、この検出結果をエラーとしてエ
ラーメモリログに記憶することができる。
【0078】さらに、本発明によると、式7および式8
により決定されるブレーキシステム状態の表示、および
式25により決定されるロープ/滑車係合状態の表示を
監視することによって、レベリング異常の性質を検出す
ることができる。さらに、レベリング異常の原因を、ブ
レーキの故障、ブレーキシューの損傷、もしくは牽引力
の不足として決定することができる。これは、本発明の
重要な形態である。
【0079】本願の実施例では、かごが定格負荷の2分
の1の荷重(0.5Q)を搬送する場合に、つりあいお
もりの質量が、かごの質量(M)と同じであると仮定さ
れている。しかし、かごの質量とつりあいおもりの質量
との合計(2M+0.5Q)および本願で0.5Qとし
て示された値は、実際は、異なる値である。
【0080】ブレーキ距離および張力の滑り(tensoin
slippage)は、本願に開示された方法とは異なる方法に
よって測定することもできる。
【0081】本発明は、その実施例に関して図示および
記載が行われたが、本発明の主旨および範囲から逸脱す
ることなく、上述したように、もしくは別の様々な形態
で、変更、省略および追加を加えることができること
は、当業者であれば理解できるだろう。
【図面の簡単な説明】
【図1】かご位置エンコーダを備えたエレベータの下方
移動時のブレーキ距離および滑動距離を測定する方法を
示す概略図。
【図2】かご位置エンコーダを備えたエレベータの上方
移動時のブレーキ距離および滑動距離を測定する方法を
示す概略図。
【図3】かご位置エンコーダを備えていないエレベータ
の下方移動時のブレーキ距離および滑動距離を測定する
方法を示す概略図。
【図4】かご位置エンコーダを備えていないエレベータ
の上方移動時のブレーキ距離および滑動距離を測定する
方法を示す概略図。
【図5】駆動滑車の両側における張力比率(T1/T2
の関数として牽引滑動距離を示すグラフ。
【符号の説明】
10…エレベータかご 13…ロープ 14…牽引滑車 16…つりあいおもり 17…モータ 21…モータ位置エンコーダ 22…処理装置 24…かご位置エンコーダ
─────────────────────────────────────────────────────
【手続補正書】
【提出日】平成13年9月14日(2001.9.1
4)
【手続補正1】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】請求項2
【補正方法】変更
【補正内容】
【数27】 以下の式を用いて、空の状態で下方に移動している前記
かごを停止させるのに必要なブレーキ力FBDを計算する
ステップと、を有し、
【数28】 前記式において、2M+0.5Qは、前記かごの質量と
前記つりあいおもりの質量の合計値であり、0.5Q
は、前記つりあいおもりの質量から空の前記かごの質量
を減算した値であり、gは、重力加速度であり、さら
に、前記方法は、 前記ブレーキ力FBU,FBDを所定のブレーキ力しきい値
と比較するステップと、 前記ブレーキ力FBUもしくは前記ブレーキ力FBDが前記
ブレーキ力しきい値よりも小さい場合に、前記ブレーキ
の保守整備が必要であることを示すブレーキ力表示を発
生させ、そうでない場合には、前記のブレーキ力表示を
発生させないステップと、を有することを特徴とする方
法。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】請求項3
【補正方法】変更
【補正内容】
【数29】 以下の式を用いて、空の状態で下方に移動している前記
かごを停止させるのに必要な力FBDを計算するステップ
と、を有し、
【数30】 前記式において、2M+0.5Qは、前記かごの質量と
前記つりあいおもりの質量の合計値であり、0.5Q
は、前記つりあいおもりの質量から空の前記かごの質量
を減算した値であり、gは、重力加速度であり、さら
に、前記方法は、 前記ブレーキ力FBUと前記ブレーキ力FBDを比較し、前
記比較結果に応じて前記ブレーキの少なくとも1つの部
材を調節するステップを有することを特徴とする方法。
【手続補正3】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】請求項4
【補正方法】変更
【補正内容】
【数31】 以下の式を用いて、前記かごが空の状態で下方に移動し
ている状態で前記かごを停止させるのに必要な力FBD
計算するステップと、を有し、
【数32】 前記式において、2M+0.5Qは、前記かごの質量と
前記つりあいおもりの質量の合計値であり、0.5Q
は、前記つりあいおもりの質量から前記空のかごの質量
を減算した値であり、gは、重力加速度であり、さら
に、前記方法は、 前記ブレーキ力FBUと前記ブレーキ力FBDとの差を、所
定の差しきい値と比較するステップと、 前記差が前記差しきい値を上回る場合は、前記ブレーキ
の少なくとも1つの部材を調整する必要があることを示
すブレーキ差表示を発生させ、そうでない場合は、前記
ブレーキ差表示を発生させないステップと、を有するこ
とを特徴とする方法。
【手続補正4】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】請求項6
【補正方法】変更
【補正内容】
【数33】 以下の式を用いて、前記かごが空の状態で下方に移動し
ている状態で前記かごを停止させるのに必要な力FBD
計算するステップと、を有し、
【数34】 前記式において、2M+0.5Qは、前記かごの質量と
前記つりあいおもりの質量の合計値であり、0.5Q
は、前記つりあいおもりの質量から前記かごの質量を減
算した値であり、gは、重力加速度であり、さらに、前
記方法は、 前記ブレーキ力FBUと前記ブレーキ力FBDとの差を、所
定の差しきい値と比較するステップと、 前記差が前記差しきい値を上回る場合は、前記ブレーキ
の少なくとも1つの部材を調整する必要があることを示
すブレーキ差表示を発生させ、そうでない場合は、前記
ブレーキ差表示を発生させないステップと、 前記ブレーキ力FBU,FBDを所定のブレーキ力しきい値
と比較して、前記ブレーキ力FBUもしくは前記ブレーキ
力FBDが前記ブレーキ力しきい値よりも小さい場合に、
前記ブレーキの保守整備が必要であることを示すブレー
キ力表示を発生させるステップと、 前記エレベータかごのレベリングの異常が発生したこと
に応答して、前記滑動表示が発生されている場合に、滑
動レベリング異常の表示を発生させ、前記ブレーキ差表
示が発生されている場合に、ブレーキ差レベリング異常
表示を発生させ、前記ブレーキ力表示が発生されている
場合に、ブレーキ力レベリング異常表示を発生させ、前
記滑動表示、前記ブレーキ差表示および前記ブレーキ力
表示がいずれも発生されていない場合には、前記レベリ
ング異常表示のいずれも発生させないステップと、を特
徴とする方法。
【手続補正5】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】請求項9
【補正方法】変更
【補正内容】
【数37】 前記式において、2M+0.5Qは、前記かごの質量と
前記つりあいおもりの質量の合計値であり、0.5Q
は、前記つりあいおもりの質量から空の前記かごの質量
を減算した値であり、gは、重力加速度であり、前記方
法は、さらに、以下の式を用いて、空の状態で上方に移
動している前記かごを停止させるのに必要なブレーキ力
BUを計算するステップと、
【数38】 以下の式を用いて、空の状態で下方に移動している前記
かごを停止させるのに必要なブレーキ力FBDを計算する
ステップと、
【数39】 前記ブレーキ力FBU,FBDを所定のブレーキ力しきい値
と比較するステップと、 前記ブレーキ力FBUもしくは前記ブレーキ力FBDが前記
ブレーキ力しきい値よりも小さい場合に、前記ブレーキ
の保守整備が必要であることを示すブレーキ力表示を発
生させ、そうでない場合には、前記のブレーキ力表示を
発生させないステップと、 前記ブレーキ力FBUと前記ブレーキ力FBDとの差を、所
定の差しきい値と比較するステップと、 前記差が前記差しきい値を上回る場合は、前記ブレーキ
の少なくとも1つの部材を調整する必要があることを示
すブレーキ差表示を発生させ、そうでない場合は、前記
ブレーキ差表示を発生させないステップと、 一方の前記滑動距離の比率と他方の前記滑動距離の比率
との比率として、結合された滑動比率を決定するステッ
プと、 前記かごが上方に移動している状態での前記つりあいお
もり側のロープ張力に対する前記かご側のロープ張力の
比率として、上方移動時の張力比率を決定するステップ
と、 前記かごが下方に移動している状態での前記つりあいお
もり側のロープ張力に対する前記かご側のロープ張力の
比率として、下方移動時の張力比率を決定するステップ
と、 一方の前記張力比率と他方の前記張力比率との比率とし
て、結合された張力比率を決定するステップと、 (b)前記の結合された張力比率に対する、(a)前記
エレベータと同じタイプの新しいエレベータから測定さ
れた前記距離SSUおよび前記距離SSDから得られた前記
の結合された滑動比率の比率として、係数kを見積もる
ステップと、 現在の前記の結合された滑動比率の値が、前記の結合さ
れた張力比率をk倍した値と所定の滑動しきい値だけ異
なる場合に、前記ロープと前記滑車との間の滑りが過度
な大きさであることを示す滑動表示を発生させ、そうで
ない場合は、前記の滑動表示を発生させないステップ
と、 前記エレベータかごのレベリングの異常が発生したこと
に応答して、前記滑動表示が発生されている場合に、滑
動レベリング異常の表示を発生させ、前記ブレーキ差表
示が発生されている場合に、ブレーキ差レベリング異常
表示を発生させ、前記ブレーキ力表示が発生されている
場合に、ブレーキ力レベリング異常表示を発生させ、前
記滑動表示、前記ブレーキ差表示および前記ブレーキ力
表示がいずれも発生されていない場合には、前記レベリ
ング異常表示のいずれも発生させないステップと、 以下の式を用いて、最大減速度amaxおよび最小減速度
minを計算するステップと、を有し、前記式におい
て、V0は、前記エレベータの定格速度であることを特
徴とする方法。
【数40】
【数41】
【手続補正6】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0033
【補正方法】変更
【補正内容】
【0033】
【数4】
【手続補正7】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0038
【補正方法】変更
【補正内容】
【0038】
【数7】
【手続補正8】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0040
【補正方法】変更
【補正内容】
【0040】
【数8】
【手続補正9】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0069
【補正方法】変更
【補正内容】
【0069】
【数23】
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 ハリー ズィー.ヒャング アメリカ合衆国,コネチカット,プレイン ヴィル,ユニット 7−ジー,トムリンソ ン アヴェニュー 190 (72)発明者 チョウワン モーン アメリカ合衆国,コネチカット,グラスト ンベリー,ハンター レーン 11 Fターム(参考) 3F304 BA17 EB03

Claims (11)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 かごと、ブレーキを備えた滑車により駆
    動されるロープによって前記かごに連結されたつりあい
    おもりと、を備えたエレベータの診断方法であって、 前記かごが空の状態で定格速度V0で上方に移動してい
    る状態で、前記かごを停止させるのに必要な距離SBU
    測定するステップと、 以下の式を用いて、前記かごが定格負荷Qの125%を
    搬送しながら定格速度V0で下方に移動している状態で
    前記かごを停止させるのに必要な力FBDFを計算するス
    テップと、を有し、 【数26】 前記式において、2M+0.5Qは、前記の空のかごの
    質量と前記つりあいおもりの質量の合計値であり、0.
    5Qは、前記つりあいおもりの質量から前記の空のかご
    の質量を減算した値であり、gは、重力加速度であるこ
    とを特徴とする方法。
  2. 【請求項2】 かごと、ブレーキを備えた滑車により駆
    動されるロープによって前記かごに連結されたつりあい
    おもりと、を備えたエレベータの診断方法であって、前
    記方法は、 前記かごが空の状態で定格速度V0で上方に移動してい
    る状態で、前記かごを停止させるのに必要な距離SBU
    測定するステップと、 前記かごが空の状態で定格速度V0で下方に移動してい
    る状態で、前記かごを停止させるのに必要な距離SBD
    測定するステップと、 以下の式を用いて、空の状態で上方に移動している前記
    かごを停止させるのに必要なブレーキ力FBUを計算する
    ステップと、 【数27】 以下の式を用いて、空の状態で下方に移動している前記
    かごを停止させるのに必要なブレーキ力FBDを計算する
    ステップと、を有し、 【数28】 前記式において、2M+0.5Qは、前記かごの質量と
    前記つりあいおもりの質量の合計値であり、0.5Q
    は、前記つりあいおもりの質量から空の前記かごの質量
    を減算した値であり、gは、重力加速度であり、さら
    に、前記方法は、 前記ブレーキ力FBU,FBDを所定のブレーキ力しきい値
    と比較するステップと、 前記ブレーキ力FBUもしくは前記ブレーキ力FBDが前記
    ブレーキ力しきい値よりも小さい場合に、前記ブレーキ
    の保守整備が必要であることを示すブレーキ力表示を発
    生させ、そうでない場合には、前記のブレーキ力表示を
    発生させないステップと、を有することを特徴とする方
    法。
  3. 【請求項3】 かごと、ブレーキを備えた滑車により駆
    動されるロープによって前記かごに連結されたつりあい
    おもりと、を備えたエレベータの診断方法であって、前
    記方法は、 前記かごが空の状態で定格速度V0で上方に移動してい
    る状態で、前記かごを停止させるのに必要な距離SBU
    測定するステップと、 前記かごが空の状態で定格速度V0で下方に移動してい
    る状態で、前記かごを停止させるのに必要な距離SBD
    測定するステップと、 以下の式を用いて、空の状態で上方に移動している前記
    かごを停止させるのに必要な力FBUを計算するステップ
    と、 【数29】 以下の式を用いて、空の状態で下方に移動している前記
    かごを停止させるのに必要な力FBDを計算するステップ
    と、を有し、 【数30】 前記式において、2M+0.5Qは、前記かごの質量と
    前記つりあいおもりの質量の合計値であり、0.5Q
    は、前記つりあいおもりの質量から空の前記かごの質量
    を減算した値であり、gは、重力加速度であり、さら
    に、前記方法は、 前記ブレーキ力FBUと前記ブレーキ力FBDを比較し、前
    記比較結果に応じて前記ブレーキの少なくとも1つの部
    材を調節するステップを有することを特徴とする方法。
  4. 【請求項4】 かごと、ブレーキを備えた滑車により駆
    動されるロープによって前記かごに連結されたつりあい
    おもりと、を備えたエレベータの診断方法であって、前
    記方法は、 前記かごが空の状態で定格速度V0で上方に移動してい
    る状態で、前記かごを停止させるのに必要な距離SBU
    測定するステップと、 前記かごが空の状態で定格速度V0で下方に移動してい
    る状態で、前記かごを停止させるのに必要な距離SBD
    測定するステップと、 以下の式を用いて、前記かごが空の状態で上方に移動し
    ている状態で前記かごを停止させるのに必要な力FBU
    計算するステップと、 【数31】 以下の式を用いて、前記かごが空の状態で下方に移動し
    ている状態で前記かごを停止させるのに必要な力FBD
    計算するステップと、を有し、 【数32】 前記式において、2M+0.5Qは、前記かごの質量と
    前記つりあいおもりの質量の合計値であり、0.5Q
    は、前記つりあいおもりの質量から前記空のかごの質量
    を減算した値であり、gは、重力加速度であり、さら
    に、前記方法は、 前記ブレーキ力FBUと前記ブレーキ力FBDとの差を、所
    定の差しきい値と比較するステップと、 前記差が前記差しきい値を上回る場合は、前記ブレーキ
    の少なくとも1つの部材を調整する必要があることを示
    すブレーキ差表示を発生させ、そうでない場合は、前記
    ブレーキ差表示を発生させないステップと、を有するこ
    とを特徴とする方法。
  5. 【請求項5】 かごと、滑車により駆動されるロープに
    よって前記かごに連結されたつりあいおもりと、を備え
    たエレベータの診断方法であって、前記方法は、 前記かごが空の状態で上方に移動している状態で、有限
    距離の範囲内で前記ロープが前記滑車に対して滑る距離
    SUを測定するステップを有し、前記距離SSUは、前記
    の有限の距離に対する滑動距離の比率として示される値
    であり、前記方法は、さらに、 前記かごが空の状態で下方に移動している状態で、有限
    距離の範囲内で前記ロープが前記滑車に対して滑る距離
    SDを測定するステップを有し、前記距離SSDは、前記
    の有限の距離に対する滑動距離の比率として示される値
    であり、前記方法は、さらに、 一方の前記滑動距離の比率と他方の前記滑動距離の比率
    との比率として、結合された滑動比率を決定するステッ
    プと、 前記かごが上方に移動している状態での前記つりあいお
    もり側のロープ張力に対する前記かご側のロープ張力の
    比率として、上方移動時の張力比率を決定するステップ
    と、 前記かごが下方に移動している状態での前記つりあいお
    もり側のロープ張力に対する前記かご側のロープ張力の
    比率として、下方移動時の張力比率を決定するステップ
    と、 一方の前記張力比率と他方の前記張力比率との比率とし
    て、結合された張力比率を決定するステップと、 (b)前記の結合された張力比率に対する、(a)前記
    エレベータと同じタイプの新しいエレベータから測定さ
    れた前記距離SSUおよび前記距離SSDから得られた前記
    の結合された滑動比率の比率として、係数kを見積もる
    ステップと、 現在の前記の結合された滑動比率の値が、前記の結合さ
    れた張力比率をk倍した値と所定の滑動しきい値だけ異
    なる場合に、前記ロープと前記滑車との間の滑りが過度
    な大きさであることを示す滑動表示を発生させ、そうで
    ない場合は、前記の滑動表示を発生させないステップ
    と、を有することを特徴とする方法。
  6. 【請求項6】 かごと、滑車により駆動されるロープに
    よって前記かごに連結されたつりあいおもりと、を備え
    たエレベータの診断方法であって、前記方法は、 前記かごが空の状態で上方に移動している状態で、有限
    距離の範囲内で前記ロープが前記滑車に対して滑る距離
    SUを測定するステップを有し、前記距離SSUは、前記
    の有限の距離に対する滑動距離の比率として示される値
    であり、前記方法は、さらに、 前記かごが空の状態で下方に移動している状態で、有限
    距離の範囲内で前記ロープが前記滑車に対して滑る距離
    SDを測定するステップを有し、前記距離SSDは、前記
    の有限の距離に対する滑動距離の比率として示される値
    であり、前記方法は、さらに、 一方の前記滑動距離の比率と他方の前記滑動距離の比率
    との比率として、結合された滑動比率を決定するステッ
    プと、 前記かごが上方に移動している状態での前記つりあいお
    もり側のロープ張力に対する前記かご側のロープ張力の
    比率として、上方移動時の張力比率を決定するステップ
    と、 前記かごが下方に移動している状態での前記つりあいお
    もり側のロープ張力に対する前記かご側のロープ張力の
    比率として、下方移動時の張力比率を決定するステップ
    と、 一方の前記張力比率と他方の前記張力比率との比率とし
    て、結合された張力比率を決定するステップと、 (b)前記の結合された張力比率に対する、(a)前記
    エレベータと同じタイプの新しいエレベータから測定さ
    れた前記距離SSUおよび前記距離SSDから得られた前記
    の結合された滑動比率の比率として、係数kを見積もる
    ステップと、 現在の前記の結合された滑動比率の値が、前記の結合さ
    れた張力比率をk倍した値と所定の滑動しきい値だけ異
    なる場合に、前記ロープと前記滑車との間の滑りが過度
    な大きさであることを示す滑動表示を発生させ、そうで
    ない場合は、前記の滑動表示を発生させないステップ
    と、 前記かごが空の状態で定格速度V0で上方に移動してい
    る状態で、前記かごを停止させるのに必要な距離SBU
    測定するステップと、 前記かごが空の状態で定格速度V0で下方に移動してい
    る状態で、前記かごを停止させるのに必要な距離SBD
    測定するステップと、 以下の式を用いて、前記かごが空の状態で上方に移動し
    ている状態で前記かごを停止させるのに必要な力FBU
    計算するステップと、 【数33】 以下の式を用いて、前記かごが空の状態で下方に移動し
    ている状態で前記かごを停止させるのに必要な力FBD
    計算するステップと、を有し、 【数34】 前記式において、2M+0.5Qは、前記かごの質量と
    前記つりあいおもりの質量の合計値であり、0.5Q
    は、前記つりあいおもりの質量から前記かごの質量を減
    算した値であり、gは、重力加速度であり、さらに、前
    記方法は、 前記ブレーキ力FBUと前記ブレーキ力FBDとの差を、所
    定の差しきい値と比較するステップと、 前記差が前記差しきい値を上回る場合は、前記ブレーキ
    の少なくとも1つの部材を調整する必要があることを示
    すブレーキ差表示を発生させ、そうでない場合は、前記
    ブレーキ差表示を発生させないステップと、 前記ブレーキ力FBU,FBDを所定のブレーキ力しきい値
    と比較して、前記ブレーキ力FBUもしくは前記ブレーキ
    力FBDが前記ブレーキ力しきい値よりも小さい場合に、
    前記ブレーキの保守整備が必要であることを示すブレー
    キ力表示を発生させるステップと、 前記エレベータかごのレベリングの異常が発生したこと
    に応答して、前記滑動表示が発生されている場合に、滑
    動レベリング異常の表示を発生させ、前記ブレーキ差表
    示が発生されている場合に、ブレーキ差レベリング異常
    表示を発生させ、前記ブレーキ力表示が発生されている
    場合に、ブレーキ力レベリング異常表示を発生させ、前
    記滑動表示、前記ブレーキ差表示および前記ブレーキ力
    表示がいずれも発生されていない場合には、前記レベリ
    ング異常表示のいずれも発生させないステップと、を特
    徴とする方法。
  7. 【請求項7】 かごと、滑車により駆動されるロープに
    よって前記かごに連結されたつりあいおもりと、を備え
    たエレベータの診断方法であって、前記方法は、 前記かごが空の状態で上方に移動している状態で、有限
    距離の範囲内で前記ロープが前記滑車に対して滑る距離
    SUを測定するステップを有し、前記距離SSUは、前記
    の有限の距離に対する滑動距離の比率として示される値
    であり、前記方法は、さらに、 前記かごが空の状態で下方に移動している状態で、有限
    距離の範囲内で前記ロープが前記滑車に対して滑る距離
    SDを測定するステップを有し、前記距離SSDは、前記
    の有限の距離に対する滑動距離の比率として示される値
    であり、前記方法は、さらに、 前記かごが空の状態で定格速度で上方に移動している状
    態で、前記かごを停止させるのに必要な距離SBUを測定
    するステップと、 前記かごが空の状態で定格速度で下方に移動している状
    態で、前記かごを停止させるのに必要な距離SBDを測定
    するステップと、 以下の式を用いて、最大減速度amaxおよび最小減速度
    minを計算するステップと、を有し、前記式におい
    て、V0は、前記エレベータの定格速度であることを特
    徴とする方法。 【数35】 【数36】
  8. 【請求項8】 前記amax,aminを、適用可能なエレベ
    ータ規定コードにより要求される減速度範囲と比較する
    ステップを有することを特徴とする請求項7記載の方
    法。
  9. 【請求項9】 かごと、滑車により駆動されるロープに
    よって前記かごに連結されたつりあいおもりと、を備え
    たエレベータの診断方法であって、前記方法は、 前記かごが空の状態で上方に移動している状態で、有限
    距離の範囲内で前記ロープが前記滑車に対して滑る距離
    SUを測定するステップを有し、前記距離SSUは、前記
    の有限の距離に対する滑動距離の比率として示される値
    であり、前記方法は、さらに、 前記かごが空の状態で下方に移動している状態で、有限
    距離の範囲内で前記ロープが前記滑車に対して滑る距離
    SDを測定するステップを有し、前記距離SSDは、前記
    の有限の距離に対する滑動距離の比率として示される値
    であり、前記方法は、さらに、 前記かごが空の状態で定格速度で上方に移動している状
    態で、前記かごを停止させるのに必要な距離SBUを測定
    するステップと、 前記かごが空の状態で定格速度で下方に移動している状
    態で、前記かごを停止させるのに必要な距離SBDを測定
    するステップと、 以下の式を用いて、前記かごが定格負荷Qの125%を
    搬送しながら定格速度V0で下方に移動している状態で
    前記かごを停止させるのに必要な力FBDFを計算するス
    テップと、を有し、 【数37】 前記式において、2M+0.5Qは、前記かごの質量と
    前記つりあいおもりの質量の合計値であり、0.5Q
    は、前記つりあいおもりの質量から空の前記かごの質量
    を減算した値であり、gは、重力加速度であり、前記方
    法は、さらに、以下の式を用いて、空の状態で上方に移
    動している前記かごを停止させるのに必要なブレーキ力
    BUを計算するステップと、 【数38】 以下の式を用いて、空の状態で下方に移動している前記
    かごを停止させるのに必要なブレーキ力FBDを計算する
    ステップと、 【数39】 前記ブレーキ力FBU,FBDを所定のブレーキ力しきい値
    と比較するステップと、 前記ブレーキ力FBUもしくは前記ブレーキ力FBDが前記
    ブレーキ力しきい値よりも小さい場合に、前記ブレーキ
    の保守整備が必要であることを示すブレーキ力表示を発
    生させ、そうでない場合には、前記のブレーキ力表示を
    発生させないステップと、 前記ブレーキ力FBUと前記ブレーキ力FBDとの差を、所
    定の差しきい値と比較するステップと、 前記差が前記差しきい値を上回る場合は、前記ブレーキ
    の少なくとも1つの部材を調整する必要があることを示
    すブレーキ差表示を発生させ、そうでない場合は、前記
    ブレーキ差表示を発生させないステップと、 一方の前記滑動距離の比率と他方の前記滑動距離の比率
    との比率として、結合された滑動比率を決定するステッ
    プと、 前記かごが上方に移動している状態での前記つりあいお
    もり側のロープ張力に対する前記かご側のロープ張力の
    比率として、上方移動時の張力比率を決定するステップ
    と、 前記かごが下方に移動している状態での前記つりあいお
    もり側のロープ張力に対する前記かご側のロープ張力の
    比率として、下方移動時の張力比率を決定するステップ
    と、 一方の前記張力比率と他方の前記張力比率との比率とし
    て、結合された張力比率を決定するステップと、 (b)前記の結合された張力比率に対する、(a)前記
    エレベータと同じタイプの新しいエレベータから測定さ
    れた前記距離SSUおよび前記距離SSDから得られた前記
    の結合された滑動比率の比率として、係数kを見積もる
    ステップと、 現在の前記の結合された滑動比率の値が、前記の結合さ
    れた張力比率をk倍した値と所定の滑動しきい値だけ異
    なる場合に、前記ロープと前記滑車との間の滑りが過度
    な大きさであることを示す滑動表示を発生させ、そうで
    ない場合は、前記の滑動表示を発生させないステップ
    と、 前記エレベータかごのレベリングの異常が発生したこと
    に応答して、前記滑動表示が発生されている場合に、滑
    動レベリング異常の表示を発生させ、前記ブレーキ差表
    示が発生されている場合に、ブレーキ差レベリング異常
    表示を発生させ、前記ブレーキ力表示が発生されている
    場合に、ブレーキ力レベリング異常表示を発生させ、前
    記滑動表示、前記ブレーキ差表示および前記ブレーキ力
    表示がいずれも発生されていない場合には、前記レベリ
    ング異常表示のいずれも発生させないステップと、 以下の式を用いて、最大減速度amaxおよび最小減速度
    minを計算するステップと、を有し、前記式におい
    て、V0は、前記エレベータの定格速度であることを特
    徴とする方法。 【数40】 【数41】
  10. 【請求項10】 かご位置エンコーダを備えたかごと、
    滑車上のロープにより前記かごに連結されたつりあいお
    もりと、を備えたエレベータの診断方法であって、前記
    滑車は、ブレーキおよびモータ位置エンコーダを備えた
    モータにより駆動されるものにおいて、前記方法は、 前記かごを空の状態で垂直方向に移動させ、前記かごが
    任意の位置に存在する時点で、前記かご位置エンコーダ
    により示される位置S0Cと、前記モータ位置エンコーダ
    により示される位置S0Bと、を記録し、前記ブレーキに
    より実行されるべき非常停止を命令するステップと、 数秒間待機した後で、前記かご位置エンコーダにより示
    される位置S1Cと、前記モータ位置エンコーダにより示
    される位置S1Bと、を記録するステップと、 ブレーキ距離SBを、S1B−S0Bの値として計算するス
    テップと、 ロープ滑動距離SSを、S1C−S0C−SBの値として計算
    するステップと、を有することを特徴とする方法。
  11. 【請求項11】 かごと、滑車上のロープにより前記か
    ごに連結されたつりあいおもりと、を備えたエレベータ
    の診断方法であって、前記滑車は、ブレーキおよびモー
    タ位置エンコーダを備えたモータにより駆動されるもの
    において、前記方法は、 前記かごが垂直方向に移動する昇降路の内部の第1感応
    表示装置PR1を選択するステップと、 前記昇降路の内部の第2感応表示装置PR2を選択するス
    テップと、 前記第1感応表示装置PR1と前記第2感応表示装置PR2
    との間の距離をPR2‐PR1として示す距離表示PRを発
    生させるステップと、 前記かごを第1の垂直方向に定格速度で移動させ、前記
    かごが前記第1感応表示装置PR1を通過する時点で、前
    記モータ位置エンコーダにより示される位置S 0Bを記録
    し、前記ブレーキにより実行されるべき非常停止を命令
    するステップと、 数秒間待機した後で、前記モータ位置エンコーダにより
    示される位置S1Bを記録するステップと、 前記かごを第1の垂直方向に定格速度で移動させ、前記
    かごが前記第2感応表示装置PR2を通過する時点で、前
    記モータ位置エンコーダにより示される位置S 2Bを記録
    するステップと、 ブレーキ距離SBを、S1B−S0Bの値として計算するス
    テップと、 ロープ滑動距離SSを、PR−(S2B−S0B)の値として
    計算するステップと、を有することを特徴とする方法。
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