JP2001181276A - 新規な芳香族エピスルフィド化合物、これを含有する組成物及び硬化物 - Google Patents

新規な芳香族エピスルフィド化合物、これを含有する組成物及び硬化物

Info

Publication number
JP2001181276A
JP2001181276A JP36944999A JP36944999A JP2001181276A JP 2001181276 A JP2001181276 A JP 2001181276A JP 36944999 A JP36944999 A JP 36944999A JP 36944999 A JP36944999 A JP 36944999A JP 2001181276 A JP2001181276 A JP 2001181276A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
component
compound
episulfide
mol
aromatic
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Granted
Application number
JP36944999A
Other languages
English (en)
Other versions
JP4651768B2 (ja
Inventor
Koichi Fujishiro
光一 藤城
Hiroshi Ogata
博 緒方
Fumihiro Omori
史博 大森
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Nippon Steel Chemical and Materials Co Ltd
Original Assignee
Nippon Steel Chemical Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Nippon Steel Chemical Co Ltd filed Critical Nippon Steel Chemical Co Ltd
Priority to JP36944999A priority Critical patent/JP4651768B2/ja
Publication of JP2001181276A publication Critical patent/JP2001181276A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP4651768B2 publication Critical patent/JP4651768B2/ja
Anticipated expiration legal-status Critical
Expired - Fee Related legal-status Critical Current

Links

Landscapes

  • Epoxy Resins (AREA)
  • Epoxy Compounds (AREA)
  • Plural Heterocyclic Compounds (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【課題】 新規なエピスルフィド化合物を提供すると共
に、屈折率及びガラス転移温度が高く、吸水率、熱膨張
係数が小さい光学部品や電子部品の被覆や封止、絶縁に
適した硬化物を与える熱硬化性組成物を提供する。ま
た、酸無水物硬化剤を用いた熱硬化性組成物はグリシジ
ル化合物との同時硬化が可能となる。 【解決手段】 式(1)で表される芳香族エピスルフィ
ド及びこれを配合した熱硬化性組成物及びその硬化物で
あり、熱硬化性組成物には、前記芳香族エピスルフィ
ド、硬化触媒と開始剤とを必須成分とするものと、前記
芳香族エピスルフィド、グリシジル化合物、酸無水物硬
化剤と硬化触媒とを必須成分とするものがある。なお、
式(1)において、XはS又はOであり、X中に占めるS
の割合は50〜100モル%であり、R1〜R8はH、ハ
ロゲン又は低級アルキルである。 【化1】

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、電気部品、電子部品、
半導体チップ等などの電子素子の封止や絶縁に好適に利
用できる耐熱性に優れ、低吸湿な硬化物を与える新規な
芳香族エピスルフィド化合物又は芳香族エピスルフィド
組成物、これを含有する熱硬化性組成物及びその硬化物
に関する。
【0002】
【従来の技術】近年のエレクトロニクスの急発展に伴
い、IC, LSI等の半導体素子は種々の分野で用いられ、
低コスト、高集積化の流れは新しい様々な実装形態を産
み出し、従来の金型を用いたトランスファー成形による
デュアルインラインパッケージはもとより、ハイブリッ
ドIC、チップオンボード、テープキャリアパッケージ、
プラスチックピングリッドアレイ等の金型なしで、ベア
ーチップのスポット封止によって形成する実装形態もみ
られる。そして、これらに使用される硬化物はいずれも
信頼性と半田耐熱への要求から低吸湿かつ低熱膨張性が
求められている。
【0003】エポキシ樹脂を用いた熱架橋型樹脂組成物
の提案は光学材料や電子材料向けに多く見受けられ、信
頼性の観点から耐熱性の向上と低吸水率化が課題となっ
ている。例えば、組成物の易加工性からビスフェノール
A型エポキシ樹脂、脂環式エポキシ樹脂等の液状エポキ
シ樹脂を用いて酸無水物硬化剤で硬化を行うことが多
い。この場合、最もガラス転移温度を高く、最も吸水率
を小さくするエポキシ樹脂/酸無水物硬化剤の最適組成
が決まっており(例えば、3級アミン触媒を用いた場合
はエポキシ基/酸無水物基=1.0/0.75〜0.9モル比)、
したがって、硬化物の耐熱性や吸水率を維持しても依然
吸水率が2%を超えて高く、十分なものではない(例え
ば、エポキシ樹脂ハンドブック、日刊工業新聞社発行、
III-3章、VI-2章など)。
【0004】また、エポキシ樹脂系封止材の用途に低吸
水率化とPCT試験化(121℃、100RH)における信頼性向
上を目的にもっぱら多官能のノボラック系硬化剤を用い
ている。エポキシ環とフェノール性水酸基との付加反応
で高分子化するが、ここで架橋構造をとるわけでなく、
同時に2級アルコール性水酸基を副生するので、硬化物
の低吸水率化には限界があった。更に、ナフタレン骨格
を導入したエポキシ樹脂や硬化剤による低吸水化の試み
も報告されている(技術情報協会、「エポキシ樹脂の高
性能化と硬化剤の配合技術及び評価、応用」第8章6
節)。しかし、この場合でのPCT吸水率は2%を越え、
更に誘電率3.8〜4、熱膨張係数も60ppm/℃以上で
あった。また、フルオレン環を導入したエポキシ樹脂に
よる硬化物の高Tg化の試みが特開平1-240514、特開平2-
73823、特開平4-72321などに見られる。これらエポキシ
樹脂の単独硬化性は乏しいので、いずれも硬化剤との併
用による硬化物特性の記載があるが、ガラス転移温度が
160℃を超える耐熱に優れた硬化物となる。しかしな
がら、吸水率についてはシリカ充填剤を除いた硬化物自
体では1%(85℃、85RH)を超えるものであった。
【0005】一方、硬化物の高屈折率化を目的に、エポ
キシ化合物のエポキシ基の一部又は全部をエピスルフィ
ド基に変換した化合物を用いた光学材料の提案が特開平
1-98615号公報、特開平3-81320号公報に見られ、ここに
は多官能チオール化合物の具体例は見られるがエピスル
フィド基を有する具体的な化合物を用いた組成物及び硬
化物の特性について記載されていない。また、特開平9-
71580号公報及び特開平9-110979号公報には、新規なア
ルキルスルフィド型エピスルフィド化合物とその組成物
及び硬化物が提案されている。3級アミン触媒を用いた
アルキルスルフィド型エピスルフィド化合物の硬化物
は、100℃以上の軟化点、1.69以上の屈折率、3
5以上のアッべ数を持つ好適な光学材料となる報告があ
るが、吸水率や熱膨張性など電子材料に必要な特性の具
体的記載はなく、効果は明らかでない。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、新規
な化合物又は材料及びこれを含む硬化性組成物を提供す
ることにある。また、低吸湿性、耐熱性をもち、屈折率
の高い硬化物を提供し、更に電子部品用の封止、絶縁
に、あるいは光学部品に適した材料を提供することにあ
る。
【0007】
【課題を達成するための手段】前記諸物性をバランス良
く達成する熱硬化物として、本発明者らは鋭意検討した
結果、以下の芳香族エピスルフィドから得られる硬化物
が目的を達成することを明らかにした。
【0008】即ち、本発明は、下記式(1)で表される
芳香族エピスルフィド化合物又は芳香族エピスルフィド
系材料である。
【化5】 (式中、Xは酸素原子又は硫黄原子を示し、芳香族エピ
スルフィド化合物である場合は、Xの少なくとも一つは
硫黄原子であり、芳香族エピスルフィド系材料である場
合は、X中の硫黄原子の占める割合は平均50モル%以
上、好ましくは95モル%以上である。R1〜R8は水素
原子、ハロゲン原子又は炭素数1〜4のアルキル基を示
し、同じであっても、異なってもよい。)
【0009】また、本発明は、 下記式(2)で表され
る反応性基を1分子中に2つ以上もつエピスルフィド類
(A成分)、
【化6】 (式中、Zは酸素原子又は硫黄原子を示し、Z中の硫黄
原子の占める割合は平均50モル%以上である)100
重量部に対し、硬化触媒(B成分)0.01〜7重量
部、チオエステル化合物又はメルカプト化合物から選ば
れる開始剤(C成分)0.01〜7重量部を必須成分と
して含有し、且つA成分中の20重量%以上が前記芳香
族エピスルフィド化合物又は芳香族エピスルフィド系材
料からなる芳香族エピスルフィド(A’成分)であるこ
とを特徴とする熱硬化性組成物である。更に、本発明は
前記(A成分)と、1分子中に2つ以上のグリシジル基
を持つ芳香族グリシジルエーテル化合物又はグリシジル
エステル化合物からなるグリシジル化合物(D成分)、
酸無水物硬化剤(E成分)及び硬化触媒(B成分)を必須
成分として含有し、且つA成分中の20重量%以上が前
記A’成分であり、A、D及びEの3成分中の官能基の比率
が、酸無水物基1モルに対して、グリシジル基とβ-エ
ピチオプロピル基の総計が1.35〜4モルで、かつβ
-エピチオプロピル基が0.5〜2.5モル、グリシジル
基が0.5〜1.6モルであり、また硬化触媒(B成
分)がA、D及びE成分の総重量を100重量部としたと
きに0.01〜7重量部であることを特徴とする熱硬化
性樹脂組成物である。更にまた、本発明は、前記いずれ
かの熱硬化性樹脂組成物を硬化させて得られる硬化物で
ある。
【0010】本発明の芳香族エピスルフィド化合物又は
芳香族エピスルフィド系材料は、前記式(1)で表され
ることができる。式(1)において、R1〜R8は水素原
子、ハロゲン原子又は炭素数1〜4のアルキル基である
が、水素原子以外のものは2つ以下であることがよい。
【0011】本発明の芳香族エピスルフィド化合物は、
式(1)において、Xの一つが硫黄原子のものと、二つ
が硫黄原子のものとがある。本発明の芳香族エピスルフ
ィド系材料は、式(1)において、Xの一つが硫黄原子
のものと、二つが硫黄原子のものと、Xの二つが酸素原
子のものとの混合物であることができ、いずれか2種類
からなる混合物と3種類からなる混合物がある。混合物
である場合、X中に硫黄原子の占める割合は、平均50
モル%以上、好ましくは80モル%以上、より好ましく
は95モル%以上である。なお、この平均のモル%は、
X中のSとOのモル数から次の式で計算したものである。 平均モル(%)=S/(S+O)×100
【0012】式(1)で表される芳香族エピスルフィド
化合物及び芳香族エピスルフィド系材料は、例えば式
(1)においてXのいずれもが酸素原子である構造のフ
ルオレン型エポキシ樹脂(R1〜R8=H、新日鐵化学社
製ESF-300)を用い、グリシジルエーテル基をβ-エピチ
オプロピル基に変換する公知の手法により得られる。エ
ポキシ樹脂は通常、一般式(3)に示すようにn=0〜
10の混合物であるが、本発明ではn=0成分を主体に
する(ゲルパーミッションクロマトグラフィーを用いた
分析に於いて、RI検出器を用いてクロマトグラムの面積
比率が60%以上とする)。したがって、得られる芳香
族エピスルフィド化合物又は芳香族エピスルフィド系材
料は、同様にn=0〜10の混合物であるが、n=0成
分を主体とする、即ち式(1)主体のものである。
【化7】
【0013】例えば、このようなグリシジルエーテル化
合物をチオシアン酸塩、チオ尿素、トリフェニルフォス
フィンスルフィド、3-メチルベンゾチアゾール-2-チオ
ン等のチオ化合物と、好ましくはチオシアン酸塩、チオ
尿素等のチオ化合物と反応させて、グリシジル基の一部
又は全部をチイロニウム塩に変換して製造される。これ
らチオ化合物は量論的にエポキシ基に対して等当量以上
使用するが好ましい。
【0014】反応は、無溶媒あるいは溶媒中のいずれで
もかまわないが、溶媒を使用するときは、チオ化合物あ
るいは芳香族グリシジルエーテル化合物を溶媒中に細か
く分散して不均一系で行うか、又はいずれかが可溶のも
のを使用することが目的物の収率向上に望ましい。具体
例としては、水、メタノール、エタノール、イソプロパ
ノール等のアルコール類、ジエチルエーテル、ジオキサ
ン、ジグライム等のエーテル類、エチルセルソルブ、ブ
チルセルソルブ等のヒドロキシエーテル類、ベンゼン、
トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素類、クロロホル
ム、クロロベンゼン等のハロゲン化炭化水素類などが挙
げられ、これらの併用、例えば水と芳香族炭化水素類と
の組み合わせで2相で行うことも可能で、この場合未反
応のグリシジルエーテル化合物を同時に洗浄除去可能で
あるので本発明に好ましい効果を与える。
【0015】また、反応液中に酸を反応促進剤として添
加することが好ましい。酸の具体例としては、硝酸、硫
酸、塩酸、燐酸、酢酸、プロピオン酸等があげられ、こ
れらを併用してもかまわない。添加量は、反応総液量に
対して0.1〜20wt%である。反応温度は、通常2
0〜100℃で行われ、反応時間は通常20時間以下で
ある。
【0016】ここで得られる反応中間生成物は固体で得
られるので、ろ別後、原料芳香族グリシルエーテル化合
物が溶解可能なトルエンなどの溶媒で洗浄して更に、水
にて洗浄液のpHが3〜5になるまで洗浄することは、未
反応原料化合物を除去し、目的のβ-エピチオプロピル
基が95%以上の目的物を得るに好ましい。得られた中
間体を粉砕し、過剰の炭酸ナトリウム水溶液又は炭酸カ
リウム水溶液中に20〜100℃にて2〜20時間分散
させる。得られた反応固形物を水洗、乾燥後、トルエン
等の有機溶剤に溶解し、不溶の未反応塩をろ別して、目
的の芳香族エピスルフィド化合物溶液を得る。あるい
は、粉砕した中間体をトルエンなどの目的物であるエピ
スルフィド化合物を溶解する有機溶媒と共に過剰の炭酸
ナトリウム水溶液若しくは炭酸カリウム水溶液中に分散
させると、目的物の収率向上に好ましい。この有機溶液
を無水硫酸ナトリウム等で乾燥した後、溶剤を除去して
芳香族エピスルフィド化合物又は混合物を得る。チオ化
合物を、量論的にエポキシ基に対して等当量以上使用
し、十分に反応を進行させた場合は、式(1)における
Xがいずれも硫黄原子である芳香族エピスルフィド化合
物が選択的に得られる。
【0017】得られたエピスルフィド化合物又は材料
を、重クロロホルム溶媒に溶解し、プロトンNMR分析を
うことにより、エポキシ環中のメチレンに対応する2.
7ppm、2.9ppmの吸収とチイラン環中のメチレンに対
応する2.3ppm、2.6ppmの吸収から、グリシジル基
からβ-エピチオプロピル基に変換されていることを確
認し、面積比から変換率若しくはグリシジル基の残存率
を求めることができる。
【0018】前記の合成工程において、チオ化合物は量
論的にエポキシ基に対して等当量以下から0.6倍当量
以上で使用すると、未反応のエポキシ基が残存したチイ
ロニウム塩混合物が得られ、更にこれを溶媒洗浄するこ
となく中和すると、エポキシ基とβーエピチオプロピル
基が混在し、これら3員環の総量に対してβーエピチオ
プロピル基が50モル%以上の混合物が優先的に得られ
る。得られた混合物を重クロロホルム溶媒に溶解し、プ
ロトンNMR分析をうことにより、エポキシ環中のメチレ
ンに対応する2.7ppm、2.9ppmの吸収面積P1とチ
イラン環中のメチレンに対応する2.3ppm、2.6ppm
の吸収面積P2から、次式に従い3員環中のSの含有率
を求めることができる。 S含有率(モル%)=100×P2/(P1+P2) この値が50モル%以上となるのが本発明の芳香族エピ
スルフィド系材料であり、通常β-エピチオプロピル基
が様々な割合で導入された化合物の混合物であり、その
三員環中のSとOの合計に対してS含有率が50モル%
以上となるものである。本発明の目的とする低吸水率、
高ガラス転移温度を達成するには3員環中のS含有量が
50モル%以上、好ましくは66モル%以上である。9
5モル%以上では式(1)におけるXがいずれも硫黄原
子である本発明のエピスルフィド化合物と同等である。
【0019】本発明の芳香族エピスルフィド化合物又は
芳香族エピスルフィド系材料は、熱硬化性樹脂組成物の
構成材料として優れる。熱硬化性樹脂組成物の構成材料
として用いる場合、3員環中のS含有量が50モル%程
度であれば、3員環を構成するXの一つが硫黄原子であ
るエピスルフィド化合物とほぼ等価であり、95モル%
以上であれば3員環を構成するXの二つが硫黄原子であ
るエピスルフィド化合物とほぼ等価であるので、これら
をまとめて、芳香族エピスルフィド(A'成分)又はA'成
分という。すなわち、芳香族エピスルフィド(A'成分)
又はA'成分は、本発明の芳香族エピスルフィド化合物又
は芳香族エピスルフィド系材料又はこの両者を意味す
る。両者を含む場合で、量的関係を計算する場合は、両
者の合計を意味する。
【0020】芳香族エピスルフィド(A'成分)を用いる
熱硬化性組成物には、硬化剤を使用するものと、使用し
ない自己硬化性の熱硬化性組成物がある。この熱硬化性
組成物には、自己硬化の場合を含めてエポキシ樹脂の自
己硬化に用いられる公知の開始剤及び触媒を使用するこ
とが可能であり(参考文献;エポキシ樹脂ハンドブッ
ク)、芳香族エピスルフィド(A'成分)はエポキシ樹脂
に比較して自己硬化性が高く、架橋密度の高い、高ガラ
ス転移温度を持つ硬化物を与える。芳香族エピスルフィ
ド(A'成分)は、いずれの熱硬化性組成物の場合も、3
員環を構成するX中の硫黄原子が占める割合が50〜1
00モル%のものを使用することができるが、自己硬化
性の熱硬化性組成物には95〜100モル%のものが適
する。
【0021】本発明の熱硬化性組成物の一つは、前記式
(2)で表される反応性基を1分子中に2つ以上もつエ
ピスルフィド類(A成分)100重量部に対し、硬化触
媒(B成分)0.01〜7重量部、チオエステル化合物
又はメルカプト化合物から選ばれる開始剤(C成分)
0.01〜7重量部を必須成分として含有する熱硬化性
組成物であり、ここで前記(A成分)のうち20重量%
以上が、前記芳香族エピスルフィド(A'成分)である。
【0022】前記A成分は前記式(2)において、Z中
に硫黄原子の占める割合が平均50モル%以上である必
要があるが、酸無水物や1級アミン化合物などの硬化剤
を用いない場合、95〜100モル%であることが望ま
しい。Sの占める割合が90モル%未満となる場合は、
β-エピチオプロピル基の硬化速度がグリシジル基のそ
れよりも早く、また硬化物中に未反応グリシジル基が残
存して相分離による白濁やガラス転移点の低下が生じや
すくなる。なお、前記式(2)で表される反応性基を1
分子中に2つ以上もつエピスルフィド類(A成分)と
は、単一の化合物であってもよいし、Zの種類又は数が
定義された範囲内で異なる化合物の混合物であってもよ
いことを意味する。また、前記(A成分)は全部が芳香
族エピスルフィド(A'成分)であることもできるが、8
0重量%以下、好ましくは、60重量%以下は他のエピ
スルフィド化合物であることもできる。芳香族エピスル
フィド(A'成分)が20重量%を下回ると、目的とする
ガラス転移温度の向上に実質効果が少ない。
【0023】上記他のエピスルフィド化合物は、公知の
グリシジルエーテル化合物を出発原料にして、芳香族エ
ピスルフィド(A'成分)と同様にして公知の手法により
得ることができる。この目的で使用される公知のグリシ
ジルエーテル化合物としては、ビス(4-ヒドロキシフェ
ニル)ケトン、ビス(4-ヒドロキシフェニル)スルホ
ン、2,2-ビス(4-ヒドロキシフェニル)プロパン、ビ
ス(4-ヒドロキシフェニル)エーテル、ビス(4-ヒドロ
キシフェニル)ヘキサフルオロプロパン、9,9-ビス(4
-ヒドロキフェニル)フルオレン、ビス(4-ヒドロキシ
フェニル)ジメチルシラン、4,4'-ビフェノール、テト
ラメチル-4,4'-ビフェノール等のビスフェノール類、
フェノールノボラック、クレゾールノボラック、ナフト
ールノボラック、ナフトール若しくはナフタレンジオー
ルと1、4-ビスキシレノールとの縮合化合物などの多
官能フェノール類若しくはこれらの芳香環中の水素原子
の一部若しくは全てをハロゲン原子、炭素数1〜4のア
ルキル基に置換したものをエピクロロヒドリンと反応さ
せて1分子中にグリシジルエーテル基を2つ以上有する
もの等の芳香族グリシジルエーテル化合物類が挙げられ
る。また、グリシジル基を1分子中に2つ以上持つ液状
のグリシジルエステル化合物としてはジグリシジルフタ
レート、ジグリシジルヘキサヒドロフタレート、グリシ
ジルテトラヒドロフタレートを例示できる。より低い吸
水率を得る目的にはグリシジルエーテル化合物が好まし
く用いられる。また、これらは単独でも2種類以上を混
合して用いてもよい。
【0024】本発明の熱硬化性組成物を加熱により硬化
させる目的で使用される硬化触媒(B成分)は、エポキ
シ樹脂の硬化に用いられる公知のものを使用することが
可能で、エピスルフィド類(A成分)と均一に混合し、
50〜200℃で加熱して目的の硬化物を与える。硬化
触媒の例としては、3級アミン類、ホスフィン類、4級
アンモニウム塩類、ルイス酸類が使用される。具体例と
しては、トリエチルアミン、トリフェニルアミン、トリ
-n-ブチルアミン、N,N-ジメチルアニリン、ピリジンな
どの3級アミン類、イミダゾール、N-メチルイミダゾ
ール、2-メチルイミダゾール、4-メチルイミダゾー
ル、1−ベンジル−2−メチルイミダゾール等の各種イ
ミダゾール類、1、8-ジアザビシクロ(5、4、0)ウンデ
セン-7、1、5-ジアザビシクロ(4、3、0)ノネン-5、6-
ジブチルアミノ-1、8-ジアザビシクロ(5、4、0)ウン
デセン-7等のアミジン類などで代表される3級アミン系
化合物及びこれらと有機酸等との付加物、前記アミン類
とハロゲン、ルイス酸、有機酸、鉱酸、四フッ化ホウ素
酸等との4級アンモニウム塩、トリエチルホスフィン、
トリフェニルホスフィン、トリ-n-ブチルホスフィン等
のホスフィン類、3フッ化ホウ素、3フッ化ホウ素のエ
ーテラート等に代表されるルイス酸類等である。これら
の中で硬化物の着色が少ないことから、イミダゾール
類、4級アンモニウム塩類の使用が好ましく、4級アン
モニウム塩の使用がより好ましい。また、これらは単独
でも2種類以上を混合して用いてもよい。硬化触媒(B
成分)は、A成分100重量部に対して、0.01〜7重
量部であり、好ましくは0.1〜6重量部、より好まし
くは0.5〜5重量部である。硬化触媒の量が7重量部
より多いと、硬化物の吸水率及び着色が増加し、またこ
れより少ないと十分に硬化せずに耐熱性が不十分とな
る。
【0025】更に、上記熱硬化性組成物には、開始剤
(C成分)としてチオエステル化合物又はメルカプタン
化合物を加えると硬化反応が良好に進行し、高いガラス
転移温度を得るのに好ましい。また、組成物のポットラ
イフが長いこと、硬化物の着色が少ないことから沸点が
80℃以上のチオエステル化合物が好ましい。メルカプ
タン化合物の具体例としては、2-メルカプトエタノー
ル、又はチオグリコール酸2-エチルヘキシル、3-メルカ
プトプロピオン酸-2-エチルヘキシルなどの含エステル
脂肪族メルカプタン化合物類、トリメチロールプロパン
トリス(β-チオプロピオネート)、ペンタエリストー
ルテトラキス(β-チオグリコレート)などのポリメル
カプト化合物が挙げられ、チオエステルの具体例として
は、 S-フェニルチオアセテート、前記メルカプトン化
合物の酢酸チオエステルや安息香酸チオエステル類など
が挙げられる。以上の開始剤は、エピスルフィド類(A
成分)100重量部に対して、0.01〜7重量部であ
り、好ましくは0.1〜6重量部、より好ましくは0.5
〜5重量部である。開始剤の量が7重量部より多いと、
組成物のポットライフが短くなり、また硬化物の耐熱性
が損なわれる。
【0026】本発明の芳香族エピスルフィド(A'成分)
は、エピスルフィド基と反応可能な官能基を2個以上有
する化合物あるいは、これらの官能基1個以上と他の単
独重合可能な官能基を1個以上有する化合物と硬化重合
して成型物やコーティング膜を得ることが可能である。
したがって、本発明の前記熱硬化性組成物は硬化剤を含
有することができる。硬化剤としては、公知のエポキシ
樹脂の硬化剤、具体的には、多価カルボン酸無水物、ポ
リフェノール、ポリメルカプタン、アミン類等が挙げら
れる。これら硬化剤の共存下でエポキシ樹脂も同様に硬
化可能である。エピスルフィド基と反応可能な官能基一
個以上と他の単独重合可能な官能基を一個以上有する化
合物としては、ビニル、芳香族ビニル、(メタ)アクリ
ル、アリル基等の不飽和基を有するカルボン酸無水物、
メルカプタン類、フェノール類、アミン類、エポキシ類
等が挙げられる。この中でも、低吸水率な硬化物を与え
るものとして、多価カルボン酸無水物、ポリフェノール
類が好ましい。
【0027】多価カルボン酸無水物の具体例としては、
ヘキサヒドロ無水フタル酸、メチルテトラヒドロ無水フ
タル酸、メチルヘキサヒドロ無水フタル酸、無水メチル
ハイミック酸、トリアルキルテトラヒドロ無水フタル
酸、ドデセニル無水こはく酸、トリメリット酸無水物、
ピロメリット酸二無水物、ジフェニルテトラカルボン酸
二無水物、ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物な
どが挙げられる。また、ポリフェノール類の具体例とし
ては、ビス(4-ヒドロキシフェニル)ケトン、ビス(4-
ヒドロキシフェニル)スルホン、2,2-ビス(4-ヒドロ
キシフェニル)プロパン、ビス(4-ヒドロキシフェニ
ル)エーテル、ビス(4-ヒドロキシフェニル)ヘキサフ
ルオロプロパン、9,9-ビス(4-ヒドロキフェニル)フ
ルオレンなどのビスフェノール類、フェノールノボラッ
ク、クレゾールノボラックなどが挙げられる。
【0028】本発明の前記熱硬化性組成物には、公知の
酸化防止剤、紫外線吸収剤、充填剤等の添加剤を加え
て、得られる材料の実用性を向上せしめることも可能で
ある。また、公知の外部及び/又は内部離型剤を使用し
て、得られる硬化材料の型から離型性を向上せしめるこ
とも可能である。更に、接着剤やコーティング剤と使用
する際は、粘度調整の目的で加える溶剤や希釈剤、また
基材との密着性を高める目的でシランカップリング剤、
トリアジンチオールなどの密着付与剤を添加することも
できる。また、コーティング時の平滑性や蒸発ムラを抑
制する目的で、シリコン系やフッ素系の界面活性剤を加
えることができる。また、着色や更に低吸水率化、低熱
膨張化をすすめるために、球状シリカなどの充填剤を加
えてもよい。
【0029】但し、必須成分以外の添加剤がエポキシ基
を含み、硬化剤例えば、後述する酸無水物硬化剤が共存
しない場合は、架橋反応を十分に進めてガラス転移温度
を高くするために、エピチオプロピル基1モルに対して
エポキシ基を5モル%以下とする必要がある。エポキシ
基はエピチオプロピル基の重合を阻害し、十分な架橋構
造を与えずにガラス転移温度が低下する。
【0030】本発明の前記熱硬化性組成物を調製するに
際して、必須成分となるエピスルフィド類(A成分)を
1種若しくは数種をその融点より10℃ほど高い温度に
て液状化した後、硬化触媒(B成分)及び開始剤(C成
分)並びに必要に応じて加えられる酸化防止剤、紫外線
吸収剤又は離型剤などの添加剤と共に混合し、好ましく
は使用する直前に混合する。あるいは3本ロールを用い
て、少量の溶剤にB成分、C成分及び添加剤を溶解して
A成分と混合してもよい。混合後の組成物を成形材とし
て用いる場合は、ガラスや金属製の型に注入し、加熱に
より硬化反応を進めた後、型から外して製造される。各
原料、添加剤の混合前若しくは混合後に減圧下に脱ガス
操作を行うことは、後の注型重合硬化中の気泡発生を防
止する観点から好ましい方法である。硬化時間は、通常
1〜60時間であり、硬化温度は50〜200℃、好ま
しくは80〜180℃である。また、硬化終了後、材料
を硬化温度より低い50〜170℃の温度で10分〜5
時間程度のアニール処理を行うことは、本材料の歪みを
除くために好ましい処理である。
【0031】本発明の前記熱硬化性組成物を硬化して得
られる硬化物中の未反応β-エピチオプロピル基、すな
わち3員環であるチイラン環は、例えば赤外分光装置を
用いてA成分中のベンゼン環に起因する1510cm-1
収ピークを基準にしてチイラン環620cm-1の吸収ピー
クの強度比を1として、硬化後の吸収ピーク強度比より
各反応基の残存率を求めることが可能である。本発明の
硬化物は、チイラン環の残存率を5%以下、好ましくは
検出限界以下にすることがよい。チイラン環の残存率が
5%を超えると熱膨張係数の増加、ガラス転移温度の低
下が生じて好ましくない。硬化物のガラス転移温度は、
動的粘弾性測定においてtanδのヒ゜ークトッフ゜が100℃以
上で、好ましくは121℃以上であるあることが本発明
の電子材料用途に適している。
【0032】熱硬化性組成物の粘性を調製する目的で液
状のエポキシ樹脂を用いたり、硬化物の屈折率を調製す
る目的でエポキシ基を有するエポキシ樹脂を共存させる
には、同時に多価カルボン酸無水物を硬化剤として用い
て、次のような熱硬化性組成物として、硬化を行うと高
いガラス転移温度と低い吸水率を両立する好ましい硬化
物を与える。
【0033】したがって、本発明の第二の熱硬化性組成
物は、前記エピスルフィド類(A成分)と、1分子中に
2つ以上とグリシジル基を1分子中に2つ以上持つ芳香
族グリシジルエーテル化合物又はグリシジル基を1分子
中に2つ以上持つグリシジルエステル化合物からなるグ
リシジル化合物(D成分)、酸無水物硬化剤(E成分)及
び硬化触媒(B成分)を必須成分として含有し、更にA、
D、Eの3成分中の官能基の比率が、酸無水物基1モルに
対して、グリシジル基とβ-エピチオプロピル基の総計
が1.35〜4モルで、かつβ-エピチオプロピル基が
0.5〜2.5モル、グリシジル基が0.5〜1.6モ
ルであり、また硬化触媒(B成分)がA ,D及びE成分の
総重量を100重量部としたときに0.01〜7重量部
である熱硬化性樹脂組成物である。ここで、エピスルフ
ィド類(A成分)の20重量%以上、好ましくは40重
量%以上が前記芳香族エピスルフィド(A'成分)である
必要がある。20重量%を下回ると目的とするガラス転
移温度の向上に実質効果が少ない。
【0034】本発明の第二の熱硬化性組成物において、
A、A'及びB成分は、前記第一の熱硬化性組成物で説明し
たものと同様のものが使用されるが、A成分(A'成分を
含む)については、前記式(2)において三員環を構成
するZ中のSの占める割合は平均50モル%以上であれ
ば十分であり、それほど高いものを必要としない点で有
利である。もちろん、Sが95モル%以上であるA成分
を本発明の組成物に用いてもよく、これらエピスルフィ
ド系化合物は単独でも2種類以上を併用してもよい。
【0035】グリシジル化合物(D成分)としては、公
知のグリシジルエーテル化合物や公知のグリシジルエス
テル化合物を用いることができる。公知のグリシジルエ
ーテル化合物としては、ビス(4-ヒドロキシフェニル)
ケトン、ビス(4-ヒドロキシフェニル)スルホン、2,2
-ビス(4-ヒドロキシフェニル)プロパン、ビス(4-ヒ
ドロキシフェニル)エーテル、ビス(4-ヒドロキシフェ
ニル)ヘキサフルオロプロパン、9,9-ビス(4-ヒドロ
キフェニル)フルオレン、ビス(4-ヒドロキシフェニ
ル)ジメチルシラン、4,4'-ビフェノール、テトラメチ
ル-4,4'-ビフェノール等のビスフェノール類、フェノ
ールノボラック、クレゾールノボラック、ナフトールノ
ボラック、ナフトール若しくはナフタレンジオールと
1、4-ビスキシレノールとの縮合化合物などの多官能
フェノール類若しくはこれらの芳香環中の水素原子の一
部若しくは全部をハロゲン原子、炭素数1〜4のアルキ
ル基に置換したものをエピクロロヒドリンと反応させて
1分子中にグリシジルエーテル基を2つ以上有するもの
等の芳香族グリシジルエーテル化合物類が好ましいもの
として挙げられる。また、グリシジル基を1分子中に2
つ以上持つ液状のグリシジルエステル化合物としては、
ジグリシジルフタレート、ジグリシジルヘキサヒドロフ
タレート、グリシジルテトラヒドロフタレートを例示で
きる。より低い吸水率を得る目的にはグリシジルエーテ
ル化合物の方が好ましい。グリシジルエーテル化合物と
グリシジルエステル化合物は、一方のみを使用しても、
両者を併用してもよく、またそれぞれの化合物の中で、
1種又は2種類以上を併用してもよい。また、組成物を
液状として用いる液状封止材、液状注型材等の用途には
液状のエポキシ樹脂が好ましい。
【0036】酸無水物硬化剤(E成分)としては、公知
の多価カルボン酸無水物化合物を使用することができ
る。具体例としては、ヘキサヒドロ無水フタル酸、メチ
ルテトラヒドロ無水フタル酸、メチルヘキサヒドロ無水
フタル酸、無水メチルハイミック酸、トリアルキルテト
ラヒドロ無水フタル酸、ドデセニル無水こはく酸、トリ
メリット酸無水物、ピロメリット酸二無水物、ジフェニ
ルテトラカルボン酸二無水物、ベンゾフェノンテトラカ
ルボン酸二無水物などである。また、これらは単独でも
2種類以上を混合して用いてもよい。
【0037】本発明の第二の熱硬化性組成物では、硬化
物が低吸水率と耐熱性とを両立するために、A(A'成分
を含む)、D及びE成分中の官能基比率が、酸無水物基1
モルに対して、グリシジル基とβ-エピチオプロピル基
の総計が1.35〜4モル、好ましくは2.0〜3.7
モルであり、かつβ-エピチオプロピル基が0.5〜
2.5モル、好ましくは0.8〜2.2モルであり、か
つグリシジル基が0.5〜1.6モル、好ましくは0.
5〜1.4モルとなるように、 A、D及びE成分の組成比
を決定する。ここで、A成分は、Z及びXの種類によって
グリシジル基とβーエピチオプロピル基を有し得る。ま
た、D成分は、グリシジル基を有し、E成分は、酸無水物
基(=(CO)2O)を有する。
【0038】例えば、β-エピチオプロピル基をもつ化
合物は一般的には室温で固体状態であるために単独では
無溶剤組成物として扱いにくい。一方グリシジル基の単
独硬化では十分な架橋構造をもった硬化物を得られな
い。また、硬化物の屈折率を任意に調整する目的で、β
-エピチオプロピル基及びグリシジル基を持つ化合物の
混合系で触媒共存下における硬化を行うと、β-エピチ
オプロピル基の硬化速度がグリシジル基のそれよりも早
く、また硬化物の未反応グリシジル基が残存して相分離
による白濁やガラス転移点の低下が生じる。そこで、本
発明では、この系に酸無水物硬化剤を共存させると、硬
化触媒が酸無水物基を活性化して硬化反応を開始するた
めに、β-エピチオプロピル基とグリシジル基と共に硬
化反応に関与して、耐熱性に優れた硬化物を得ることが
可能であることを見いだした。
【0039】更に、本発明ではグリシジル基とβ-エピ
チオプロピル基及び酸無水物基を有する3成分が共存す
ることで組成物の粘度調整範囲が広範になると同時に、
前述の官能基比率の範囲となるようにA、D及びE成分を
調製することで、目的の特性を得られることを見いだし
た。即ち、酸無水物基1モルに対して、グリシジル基と
β-エピチオプロピル基の総当量が1.35モル以上とす
ることで、まず硬化物中の未反応酸無水物基の残存をな
くし、吸水率を低くすることが可能となった。また、β
-エピチオプロピル基を0.5モル以上とすることで硬
化物中のエステル結合の比率を下げて吸水率を1%未満
(85℃、85RHに於ける飽和吸水率)と低くした。
一方、グリシジル基を0.5モル以上共存させることで
架橋点がチオエステル結合主体となることによるガラス
転移点の低下を抑制した。更に、本発明の大きな特徴
は、3つの官能基が共存することで、またβ-エピチオ
プロピル基を2.5倍モルまでの組成物においても、硬
化物中に未反応官能基を残すことなくガラス転移点を維
持しながら、さらなる高屈折率化と低吸水率化が可能と
なったことにある。
【0040】一方で酸無水物基1モルに対して、グリシ
ジル基とβ-エピチオプロピル基の総当量が1.35モル
を下回ると硬化物の吸水率が高くなり、4モルを越える
と硬化物中に未反応のグリシジル基が残存して硬化物の
機械強度が低下する。グリシジル基が0.5倍モルを下
回ったり、1.6倍モルを超えると硬化物の架橋度が低
下して、機械強度が低下する。また、β-エピチオプロ
ピル基が0.5倍モルを下回ると、β-エピチオプロピル
基の添加によるところの硬化物の低吸水率化が十分に達
成されず、2.5倍モルを越えると組成物の粘度が高く
取り扱い難い。
【0041】一方、グリシジル基のみをもつエポキシ化
合物を硬化触媒の共存下で酸無水物により硬化させた場
合は、酸無水物基1モルに対してグリシジル基を1.1
〜1.25モルで最も高いガラス転移点、最も低い吸水
率を示すが、それでも吸水率は2%を越え、この範囲を
はずれると未反応基が多く残存してガラス転移点が低下
する。β-エピチオプロピル基のみの化合物を酸無水物
で硬化させた場合は、硬化物中のチオエステル結合が多
くなり、満足する高いガラス転移点が得られない。
【0042】光学用途に屈折率の高い硬化物を得る目的
においても同様にA(A’成分を含む)、D、E成分を前述
の官能基比率の範囲で調製するのが好ましい。なぜなら
ば、吸水により硬化物の寸法や屈折率が変化して光学材
料としては好ましくないからである。光学材料の屈折率
は、熱硬化性組成物中のエピチオプロピル基の重量割合
が高いほど、硬化物中の硫黄原子比率が高いほど高くす
ることができる。
【0043】以上のように本発明の第二の熱硬化性組成
物では、上記3成分と硬化触媒(B成分)を必須とする
ことにより組成物の広範な軟化点又は粘度調製範囲を達
成し、得られる硬化物が低吸水率と耐熱性とを両立しな
がら高い屈折率範囲で任意に調整可能である。
【0044】この熱硬化性組成物を加熱により硬化させ
る目的で使用される硬化触媒(B成分)は、前述したよ
うにエポキシ樹脂/酸無水物硬化系に用いられる公知の
ものを使用することが可能で、上記成分に混合して、5
0〜200℃、好ましくは80〜180℃で加熱して目
的の硬化物を与える。硬化触媒(B成分)は、A、D、E成
分の総量100重量部に対して、通常0.01〜7重量
部であり、好ましくは0.05〜6重量部、より好まし
くは0.1〜5重量部である。硬化触媒の量が7重量部
より多いと、硬化物の吸水率が増加し、またこれより少
ないと十分に硬化せずに耐熱性が不十分となる。
【0045】更に、この熱硬化性組成物には前述の開始
剤(C成分)、すなわちチオエステル化合物又はメルカ
プタン化合物を加えてもよく、この配合量はA、D、E成
分の総量100重量部に対して、通常0.01〜7重量
部であり、好ましくは0.05〜6重量部、より好まし
くは0.1〜5重量部である。開始剤の量が7重量部よ
り多いと、組成物のポットライフが短くなり、また硬化
物の耐熱性が損なわれる。
【0046】更にまた、この熱硬化性組成物には、公知
の酸化防止剤、紫外線吸収剤、充填剤等の添加剤を加え
て、得られる材料の実用性を向上せしめることは可能で
ある。また、公知の外部及び/又は内部離型剤を使用又
は添加して、得られる硬化材料の型から離型性を向上せ
しめることも可能である。更に、接着剤やコーティング
剤と使用する際は、粘度調整の目的で加える溶剤や希釈
剤、また基材との密着性を高める目的でγ-グリシジル
プロピルトリメトキシシランなどのシランカップリング
剤、トリアジンチオールなどの密着付与剤を添加するこ
ともできる。また、コーティング時の平滑性や蒸発ムラ
を抑制する目的で、シリコン系やフッ素系の界面活性剤
を加えることができる。また、着色や更に低吸水率化、
低熱膨張化をすすめるために、球状シリカなどの充填剤
を加えてもよい。これら添加剤中にエポキシ基、酸無水
物基を含む場合は、前述の官能基比率の範囲となるよう
に組成物を調製する。
【0047】本発明の第二の熱硬化性組成物を調製する
に際して、原料となるA'成分を含むエピスルフィド類
(A成分)の1種若しくは数種をその融点より10℃ほ
ど高い温度にて液状化した後、硬化触媒及び必要に応じ
て酸化防止剤、紫外線吸収剤又は離型剤などの添加剤と
共に混合し、好ましくは使用する直前に両者を混合す
る。あるいは3本ロールを用いて、少量の溶剤を使用し
て混合してもよい。混合後の組成物を成形材として用い
る場合は、ガラスや金属製の型に注入し、加熱により硬
化反応を進めた後、型から外し製造される。各原料、添
加剤の混合前若しくは混合後に減圧下に脱ガス操作を行
うことは、後の注型重合硬化中の気泡発生を防止する観
点から好ましい方法である。硬化時間は、通常1〜60
時間であり、硬化温度は50〜200℃、好ましくは8
0〜180℃である。また、硬化終了後、材料を硬化温
度より低い50〜180℃の温度で10分〜5時間程度
のアニール処理を行うことは、本材料の歪みを除くため
に好ましい処理である。
【0048】本発明の熱硬化性組成物を接着剤やコーテ
ィング剤として使用する際は、粘度調整の目的で加える
溶剤や希釈剤、また基材との密着性を高める目的でγ-
グリシジルプロピルトリメトキシシランなどのシランカ
ップリング剤、トリアジンチオールなどの密着付与剤
や、コーティング時の平滑性や蒸発ムラを抑制する目的
で、シリコン系やフッ素系の界面活性剤を加え、均一な
組成物を調製し、必要に応じて表面処理を施した基板に
塗布し、適当な乾燥方法により溶剤の一部又は全てを除
いた後、接着剤の場合は加圧しながら、コーティング材
の場合はそのまま、80〜200℃、より好ましくは8
0〜180℃に加熱して硬化させる。得られる硬化物
は、通常のエポキシ樹脂硬化物に比較して、熱膨張係
数、吸水率が小さく、寸法精度、信頼性に優れたものと
なる。
【0049】また、本発明の熱硬化性組成物は透明性、
低吸湿、耐熱性、低熱膨張であることから、発光ダイオ
ード(LED)封止用材料や半導体チップ封止材の原料と
しても好適に用いることができる。LEDの封止は、金
属、セラミックなどのステム又はメタルフレーム上にマ
ウントされたLEDデバイスをキャスティング又はトラン
スファーモールド成形方法によって被い、加熱封止す
る。
【0050】
【実施例】以下、実施例を用いて本発明を詳細に説明す
る。 実施例1 水4Lに、機械攪拌しなが235g(4.7eq)の特級硫
酸、次にチオ尿素358g(4.7eq)を懸濁させた。
次に、あらかじめ9,9−ビスフェノールフルオレン型
エポキシ樹脂(新日鐵化学社製ESF300、エポキシ
当量254)1.00kg(3.9eq)を5Lのトルエン
中に溶解させた溶液を前記硫酸水溶液に機械攪拌しなが
ら少しづつ加え、完了したら、50℃にて6時間撹拌を行
った。得られた生成物をガラスフィルターで濾過し、生
成した塩(無色固体)を粉砕し、濾液のpHが3〜5程度
になるまで水洗後に室温で減圧乾燥した。更に、塩中の
未反応の原料エポキシを除くため、前記無色粉体を2k
gのジクロロメタン溶媒中に機械的撹拌で分散し、固体
をろ別後、更に同量のジクロロメタンで洗浄し、室温に
て真空乾燥を行った。水4LにNa2CO3 336gを溶解
し、この水溶液によく粉砕した前記塩1.00kg(3.27eq)
を加え、更に5リットルのトルエンを加えて、60℃にて
6時間の撹拌を行った。室温に冷却後、未反応の塩に相
当する白色固体をガラスフィルターで濾別し、得られた
トルエン/水溶液からトルエン層を分液し、更に水層を
トルエン各1Lで2回抽出洗浄し、トルエン層を回収し
た。得られたトルエン層を無水硫酸ナトリウムと無水硫
酸マグネシウムで乾燥を行った。続いてトルエン溶液を
シリカゲルを充填したカラム中を通してトルエン層を回
収し、更にトルエン溶媒を減圧除去してエピスルフィド
化合物(A1)を500g得た。
【0051】得られたエピスルフィド化合物(A1)10
0mgを重クロロホルム溶媒に溶解し、270MHzのプ
ロトンNMR分析を行った。エポキシ環中のメチレンに対
応する2.7ppm、2.9ppmがほとんど消失し、チイラ
ン環中のメチレンに対応する2.3ppm、2.6ppmが見
られたことで、グリシジル基からβ-エピチオプロピル
基に変換されていることを確認した。また、IR分析に
よりエポキシ環に起因する915cm-1の吸収が消失
し、チイラン環に起因する620cm-1の吸収を確認し
た。得られたエピスルフィド化合物(A1)は、式(1)
においてXがいずれも硫黄原子であり、R1〜R8がいず
れも水素原子である芳香族エピスルフィド化合物である
と確認された。プロトンNMR及びIR測定の結果を図
1及び図2に示す。また、このものの融点は138〜1
39℃であった。
【0052】実施例2 合成例1において、ジクロロメタンによる塩の洗浄を省
略した他は同様に行い、無色固体(A2)を得た。得られ
た白色固体100mgを重クロロホルム溶媒に溶解し、
270MHzのプロトンNMR分析を行った。エポキシ環中の
メチレンに対応する2.7ppm、2.9ppmとチイラン環
中のメチレンに対応する2.3ppm、2.6ppmとが見ら
れた。その面積比よりグリシジル基とβ-エピチオプロ
ピル基との比が25:75となる芳香族エピスルフィド
系材料であることが確認された。
【0053】実施例3 実施例1で得た芳香族エピスルフィド化合物(A1)50
gをビーカー中にて150℃にて溶融し、50gのアニ
ソールを加えて均一な粘調液体を得た。テトラ-n-ブチ
ルアンモニウムクロライド(TBAC)1.6gとS-フェ
ニルチオアセテート(TPA)1.6gとをアニソール5
gに溶解して100℃に加熱した後、前記の組成物に加
え、すばやく100℃にて撹拌した。この組成物を冷却
することなく、直ちにシリコンゴムシートをアルミ箔で
被ったものを型として注型し、100℃にて1時間、1
20℃にて1時間更に160℃にて2時間加熱し、厚み
1mm〜3mmの透明な成型体を得た。物性測定値を表
1に示す。
【0054】なお、各物性値は以下の手法にて測定し
た。 <屈折率nD> 25℃でにてアッベ屈折計を用いて測
定した。 <外観> 肉眼により曇りがないか観察した。 <吸水率1> 25mm角x3mm厚みの硬化物を用い
て85℃、85RHにおける飽和吸水率を求めた。ただ
し、後に述べるガラス転移温度Tgが110℃以下の硬
化物については測定しなかった。 <吸水率2> 25mm角x3mm厚みの硬化物を用い
て、121℃、100RH下で48時間保持したときの
吸水率を求めた。 <動的粘弾性測定によるガラス転移点Tg> 5mm幅x
15mm長さx1mm厚みの硬化物を用いて、周波数1Hz
引っ張りモードに於いて2℃/分の昇温で室温から25
0℃まで動的粘弾性測定を行い、tanδのピーク温度を
ガラス転移温度Tg(℃)とした。 <熱膨張係数>TMA装置を用いて、厚み3mmの硬化物
に1g荷重をかけながら−30℃から100℃へ毎分1
0℃で昇温して求めた。 <赤外吸収(IR)スペクトル測定> ベンゼン環に起因
する1510cm-1吸収ピークを基準にして、硬化前のエ
ポキシ環915cm-1、チイラン環620cm-1の吸収ピー
クの強度比を1として、硬化後の吸収ピーク強度比より
各反応基の残存率を推定した。吸収ピークがスペクトル
のベースラインのばらつき以内であるときは、検出限度
以下(*)、若干見られる場合はtr.と表中に示し
た。
【0055】実施例4〜6 実施例3におけるTBACに換えて、1,8-ジアザビシク
ロ(5、4、0)ウンデセン-7(DBU、実施例4)及び
トリフェニルホスフィン(TPP、実施例5)と代え
て、又は開始剤を1,6-ヘキサンジチオール(HDS、実
施例6)に代えた他は 実施例3と同様に行った。
【0056】比較例1〜2 前記フルオレン型エポキシ樹脂(ESF-300)を用い、芳
香族エピスルフィド化合物(A1)の全量を置き換えた比
較例1と約半量置き換えた比較例2において、実施例3
と同様にして硬化物を調製した。
【0057】実施例7〜8及び比較例3 実施例1においてフルオレン型エポキシ樹脂ESF-300に
代えてビスフェノールA型エポキシ樹脂エピコート828
(828、エポキシ当量187)を用い、同様の手法で
もってビスフェノールA型エピスルフィド化合物(A3)
を調製した。このもののプロトンNMR分析では、残存エ
ポキシ環は見知されず、チイラン環に由来するスペクト
ルが得られた。続いて実施例3における化合物(A1)の
一部を化合物(A3)に置き換えて(実施例7〜8)、あ
るいは全部をA3に換えて(比較例3)同様な組成物を調
製し、同様に加熱して硬化物を調製した。
【0058】配合組成及び物性値の測定結果をまとめて
表1に示す。なお、表1〜3において、本文中に記載し
た略号以外は次のとおり。 828:エポキシ樹脂(エピコート828) ESF300:エポキシ樹脂(ESF300) MHPA:メチルヘキサヒドロ無水フタル酸 THPA:テトラヒドロ無水フタル酸 官能基モル比中の A:A成分中のエピチオプロピル基又はエピチオプロピル
基とグリシジル基 D:D成分中のグリシジル基 E:E成分中の酸無水物基
【0059】
【表1】
【0060】実施例3〜6は、いずれも吸水率1及び吸
水率2共に1%未満であり、またガラス転移温度Tg1
が240℃以上であった。また、屈折率は1.678、
アッベ数は24の透明な成形体であった。それに対し
て、比較例1では100℃で軟化しており、また硬化物
中にエポキシ基が多く残存して十分な硬化物となってい
ないことが判明した。比較例2においても硬化物中にエ
ポキシ基が多く残存しており、エポキシ基の多くの存在
は本硬化系では好ましくないことが判明した。また、十
分な硬化物の得られた実施例3〜6では熱膨張係数では
50〜60ppm/℃と低い値を示した。実施例7〜8で
は、いずれも透明な硬化物が得られた。フルオレン骨格
を有するエピスルフィド化合物(A1)は、ビスフェノー
ルA型エピスルフィド化合物(A3)に比較して、ガラス
転移温度Tgをかなり押し上げて、また吸水率も下げる
ことが明らかとなった。
【0061】実施例9〜15 合成例1で得たエピスルフィド化合物(A1)6.75g
とエピコート828(D成分、油化シェル製、エポキシ
当量187)10gとをビーカー中で140℃にて加熱
混合し(混合液AD)、一方、メチルヘキサヒドロ無水フ
タル酸(MHPA)7.14g(E成分)中にテトラ-n-
ブチルアンモニウムクロライド0.24g(B成分)を溶
解して均一溶液(混合液BE)とした後、これに前述の混
合液ADとS-フェニルチオアセテート0.13g(開始剤
C成分)とを80℃にて混合して目的の組成物を得た。
これを、シリコンゴムシート型中をアルミ箔で被ったも
のを型として、これに目的の組成物を注型し、100℃
にて30分、160℃にて2時間加熱し、厚み1mm〜
3mmの透明な成型体(硬化物)を得た(実施例9)。
また、D成分及びE成分を一定にして、表2に示すように
A1成分を増やし、それに見合うB成分及び開始剤C成分も
増量した熱硬化性組成物を調製した(実施例10〜1
3)他は、実施例9と同様に硬化物を調製した。
【0062】比較例4 実施例11においてA1成分を用いずにA1と同様なフル
オレン骨格を有するエポキシ樹脂(ESF300)に代え
て組成物を調製し、硬化物を調製した。
【0063】比較例5〜7 酸無水物基に対してエポキシ基を1.27倍モルとし、
エポキシ成分のうちエピコート828とESF-300との組
成比を変えて組成物及び硬化物を実施例9と同様にして
調製した。
【0064】実施例16及び比較例8 実施例11においてフルオレン骨格を有するエピスルフ
ィド化合物(A1)の一部(実施例16)若しくは全部
(比較例8)をビスフェノールA型のエピスルフィド化
合物(A3)に換えて同様に硬化物を調製した。結果をま
とめて表2に示す。
【0065】
【表2】
【0066】実施例9〜13から、エピスルフィド化合
物(A1)の添加量が増加するに従い、吸水率が減少し、
ガラス転移点Tgが高くなることが判明した。特に、吸
水率1はいずれも1%未満であり、また吸水率2も1.
3%以下となった。また、実施例11では良好な硬化物
が調製できたのに対し、比較例4では硬化物中に未反応
エポキシ基が残存し、十分な硬化物が得られていないこ
とが判明した。比較例5〜7からガラス転移点はESF300
の比率が増すほど高くなるが、化合物A1の自己硬化物
(実施例3)に比較して低いことが判明した。また、こ
れらの比較例では吸水率1が1%を越え、更に吸水率2
は2%前後となり、明らかに実施例よりも高かった。ま
た、実施例14では酸無水物E成分に対するエポキシ樹
脂D成分を増量し、実施例15ではD成分及びA成分共に
減量した例を示すが、吸水率1はいずれも1%未満、ガ
ラス転移点Tgは180℃を越えるものであった。これ
らの比較検討より、フルオレン骨格の導入により吸水率
の低下とTgの上昇が生じるが、更に本発明のフルオレ
ン型エピスルフィド化合物を用いることで、顕著に吸水
率が低下、ガラス転移温度Tが上昇することが判明し
た。
【0067】実施例17 実施例2で調製したエピスルフィド材料(A2)を用い、
表3に示す熱硬化性組成物を調製し、実施例11と同様
にして硬化物を調製した。硬化物は透明であり、残存の
エポキシ基及びβ-エピチオプロピル基の残存もほとん
どなかった。また、吸水率及びガラス転移点も実施例1
1とほぼ同等であった。
【0068】実施例18〜19 表3に示すように、硬化触媒TABC(B成分)を、テトラ-
n-ブチルアンモニウムクロライドから1,8-ジアザビシク
ロ(5、4、0)ウンデセン-7(DBU、実施例18)及び
トリフェニルホスフィン(TPP、実施例19)と代え
て、実施例11と同様の組成物及び硬化物を調製した。
硬化物は透明であり、その吸水率及びガラス転移温度は
実施例11とほぼ同等であった。
【0069】実施例20 表3に示すようにC成分を除いた他は実施例11と同様
に行った。硬化物は透明であり、その吸水率及びガラス
転移温度は実施例11とほぼ同等であった。結果をまと
めて表3に示す。
【0070】
【表3】
【0071】実施例9〜13で調製した硬化物の屈折率
nを測定し、A1、D, E成分の総和に対するA1成分の重量
比を横軸にしてプロットしたものを図3に示す(図中
○)。また、実施例11のA1成分に代えて成分を加えた
他は比較例8と同様にして硬化物を調製し、その屈折率
nを測定した。同様に、A3、D, E成分の総和に対するA3
成分の重量比を横軸にしてプロットしたものを図3に示
す(図中△)。実施例に該当するのエピスルフィド化合
物(A1)は比較例のエピスルフィド化合物(A3)よりも
屈折率の向上に寄与が大きいことが判明した。
【0072】
【発明の効果】本発明の芳香族エピスルフィド化合物及
び芳香族エピスルフィド組成物は、熱硬化性組成物の基
材として有用であり、これを配合して得られる熱硬化性
組成物は、屈折率及びガラス転移温度が高く、吸水率、
熱膨張係数が小さい硬化物を与える。したがって、本発
明の芳香族エピスルフィド化合物及び芳香族エピスルフ
ィド組成物並びにこれを配合して得られる熱硬化性組成
物は、光学部品や電子部品の被覆や封止、絶縁に適して
おり、これら光学部品や電子部品の信頼性向上に寄与す
る。
【図面の簡単な説明】
【図1】 芳香族エピスルフィド化合物のNMR測定図
【図2】 芳香族エピスルフィド化合物のIR測定図
【図3】 エピスルフィド化合物の配合率と屈折率との
関係を示すグラフ
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) C08G 59/42 C08G 59/42 (72)発明者 大森 史博 千葉県木更津市築地1番地 新日鐵化学株 式会社電子材料開発センター内 Fターム(参考) 4C048 AA01 BB10 CC02 UU05 XX04 4C063 AA01 BB08 CC91 DD71 EE10 4J036 AA01 AJ19 CC01 DB15 DC02 DD01 DD02 DD07 GA02 GA19 JA05 JA07

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 下記式(1)で表される芳香族エピスル
    フィド化合物。 【化1】 (式中、Xは酸素原子又は硫黄原子を示し、少なくとも
    一つは硫黄原子である。また、R1〜R8は水素原子、ハ
    ロゲン原子又は炭素数1〜4のアルキル基を示し、同じ
    であっても、異なってもよい)
  2. 【請求項2】 下記式(1)で表される芳香族エピスル
    フィド系材料。 【化2】 (式中、Xは酸素原子又は硫黄原子を示し、X中の硫黄
    原子の占める割合は平均50モル%以上である。R1
    8は水素原子、ハロゲン原子又は炭素数1〜4のアル
    キル基を示し、同じであっても、異なってもよい)
  3. 【請求項3】 式(1)で表される芳香族エピスルフィ
    ド系材料において、X中の硫黄原子の占める割合が平均
    95モル%以上である請求項2記載の芳香族エピスルフ
    ィド系材料。
  4. 【請求項4】 下記式(2)で表される反応性基を1分
    子中に2つ以上もつエピスルフィド類(A成分)、 【化3】 (式中、Zは酸素原子又は硫黄原子を示し、Z中の硫黄
    原子の占める割合は平均50モル%以上である)100
    重量部に対し、硬化触媒(B成分)0.01〜7重量
    部、チオエステル化合物又はメルカプト化合物から選ば
    れる開始剤(C成分)0.01〜7重量部を必須成分と
    して含有し、且つA成分中の20重量%以上が請求項1
    記載の芳香族エピスルフィド化合物又は請求項2記載の
    芳香族エピスルフィド系材料からなる芳香族エピスルフ
    ィド(A’成分)であることを特徴とする熱硬化性組成
    物。
  5. 【請求項5】 下記式(2)で表される反応性基を1分
    子中に2つ以上もつエピスルフィド類(A成分)、 【化4】 (式中、Zは酸素原子又は硫黄原子を示し、Z中の硫黄
    原子の占める割合は平均50モル%以上である)と、1
    分子中に2つ以上のグリシジル基を持つ芳香族グリシジ
    ルエーテル化合物又はグリシジルエステル化合物からな
    るグリシジル化合物(D成分)、酸無水物硬化剤(E成
    分)及び硬化触媒(B成分)を必須成分として含有し、
    且つA成分中の20重量%以上が請求項1記載の芳香族
    エピスルフィド化合物又は請求項2記載の芳香族エピス
    ルフィド系材料からなる芳香族エピスルフィド(A’成
    分)であり、A、D及びEの3成分中の官能基の比率が、
    酸無水物基1モルに対して、グリシジル基とβ-エピチ
    オプロピル基の総計が1.35〜4モルで、かつβ-エ
    ピチオプロピル基が0.5〜2.5モル、グリシジル基
    が0.5〜1.6モルであり、また硬化触媒(B成分)
    がA、D及びE成分の総重量を100重量部としたときに
    0.01〜7重量部であることを特徴とする熱硬化性樹
    脂組成物。
  6. 【請求項6】 請求項4又は5の熱硬化性樹脂組成物を
    硬化させて得られる硬化物。
JP36944999A 1999-12-27 1999-12-27 新規な芳香族エピスルフィド化合物、これを含有する組成物及び硬化物 Expired - Fee Related JP4651768B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP36944999A JP4651768B2 (ja) 1999-12-27 1999-12-27 新規な芳香族エピスルフィド化合物、これを含有する組成物及び硬化物

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP36944999A JP4651768B2 (ja) 1999-12-27 1999-12-27 新規な芳香族エピスルフィド化合物、これを含有する組成物及び硬化物

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2001181276A true JP2001181276A (ja) 2001-07-03
JP4651768B2 JP4651768B2 (ja) 2011-03-16

Family

ID=18494452

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP36944999A Expired - Fee Related JP4651768B2 (ja) 1999-12-27 1999-12-27 新規な芳香族エピスルフィド化合物、これを含有する組成物及び硬化物

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP4651768B2 (ja)

Cited By (10)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2001288177A (ja) * 2000-04-05 2001-10-16 Kyoeisha Chem Co Ltd フルオレン骨格を含有するエピスルフィド化合物とその硬化物、およびその製造方法。
JP2005345684A (ja) * 2004-06-02 2005-12-15 Mitsui Chemicals Inc 硫黄原子含有樹脂からなる光学材料
JP2010182908A (ja) * 2009-02-06 2010-08-19 Sekisui Chem Co Ltd 電子部品用熱硬化性接着剤及びこの接着剤を用いた電子部品内蔵基板の製造方法
JP2011042597A (ja) * 2009-08-19 2011-03-03 Sekisui Chem Co Ltd エピスルフィド化合物
TWI466878B (zh) * 2009-09-18 2015-01-01 Adeka Corp A novel cyclic sulfide compound, a hardened resin composition containing the cyclic sulfide compound, and a hardened product thereof
JP2016029162A (ja) * 2014-07-22 2016-03-03 学校法人 関西大学 エピスルフィド化合物を含む硬化性組成物並びに硬化物及びその製造方法
WO2018190347A1 (ja) * 2017-04-13 2018-10-18 Jnc株式会社 熱硬化性樹脂組成物、硬化膜、硬化膜付き基板、電子部品およびインクジェット用インク
JP2019172880A (ja) * 2018-03-29 2019-10-10 日産化学株式会社 チオエポキシ樹脂、硬化性樹脂組成物、その硬化物、及び電子デバイス
JP2019529662A (ja) * 2016-09-26 2019-10-17 サビック グローバル テクノロジーズ ベスローテン フェンノートシャップ 均一非晶質の高熱エポキシブレンド、物品、及びその使用
WO2022244525A1 (ja) * 2021-05-21 2022-11-24 信越化学工業株式会社 チオエポキシ基及び(メタ)アリル基含有化合物及びその製造方法

Citations (11)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
US3378522A (en) * 1961-11-29 1968-04-16 Shell Oil Co Epithio compounds, their preparation and polymers
JPH01240514A (ja) * 1988-03-18 1989-09-26 Nippon Steel Chem Co Ltd 耐熱性エポキシ樹脂組成物
JPH0273823A (ja) * 1988-09-09 1990-03-13 Nippon Steel Chem Co Ltd 半導体封止用エポキシ樹脂組成物
US5182340A (en) * 1990-10-09 1993-01-26 The Dow Chemical Company Blends of mesogenic polythiiranes, epoxy resin and curing agent
JPH07138254A (ja) * 1993-11-17 1995-05-30 Sumitomo Chem Co Ltd エピスルフィド化合物、それを含む熱硬化性樹脂組成物
JPH10298287A (ja) * 1997-04-22 1998-11-10 Mitsubishi Gas Chem Co Inc 新規な光学材料用樹脂
JPH1160683A (ja) * 1997-08-25 1999-03-02 Jsr Corp 感放射線性樹脂組成物および硬化膜
JPH11140161A (ja) * 1997-11-06 1999-05-25 Asahi Chiba Kk 速硬化性エポキシ樹脂組成物
JPH11166037A (ja) * 1997-12-03 1999-06-22 Mitsubishi Gas Chem Co Inc 新規な樹脂用組成物
JPH11209689A (ja) * 1998-01-29 1999-08-03 Yokohama Rubber Co Ltd:The 塗料およびコーティング剤用樹脂組成物
JPH11302359A (ja) * 1998-04-16 1999-11-02 Seiko Epson Corp 光学用樹脂組成物、光学用樹脂及びプラスチックレンズ

Patent Citations (11)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
US3378522A (en) * 1961-11-29 1968-04-16 Shell Oil Co Epithio compounds, their preparation and polymers
JPH01240514A (ja) * 1988-03-18 1989-09-26 Nippon Steel Chem Co Ltd 耐熱性エポキシ樹脂組成物
JPH0273823A (ja) * 1988-09-09 1990-03-13 Nippon Steel Chem Co Ltd 半導体封止用エポキシ樹脂組成物
US5182340A (en) * 1990-10-09 1993-01-26 The Dow Chemical Company Blends of mesogenic polythiiranes, epoxy resin and curing agent
JPH07138254A (ja) * 1993-11-17 1995-05-30 Sumitomo Chem Co Ltd エピスルフィド化合物、それを含む熱硬化性樹脂組成物
JPH10298287A (ja) * 1997-04-22 1998-11-10 Mitsubishi Gas Chem Co Inc 新規な光学材料用樹脂
JPH1160683A (ja) * 1997-08-25 1999-03-02 Jsr Corp 感放射線性樹脂組成物および硬化膜
JPH11140161A (ja) * 1997-11-06 1999-05-25 Asahi Chiba Kk 速硬化性エポキシ樹脂組成物
JPH11166037A (ja) * 1997-12-03 1999-06-22 Mitsubishi Gas Chem Co Inc 新規な樹脂用組成物
JPH11209689A (ja) * 1998-01-29 1999-08-03 Yokohama Rubber Co Ltd:The 塗料およびコーティング剤用樹脂組成物
JPH11302359A (ja) * 1998-04-16 1999-11-02 Seiko Epson Corp 光学用樹脂組成物、光学用樹脂及びプラスチックレンズ

Cited By (13)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2001288177A (ja) * 2000-04-05 2001-10-16 Kyoeisha Chem Co Ltd フルオレン骨格を含有するエピスルフィド化合物とその硬化物、およびその製造方法。
JP2005345684A (ja) * 2004-06-02 2005-12-15 Mitsui Chemicals Inc 硫黄原子含有樹脂からなる光学材料
JP2010182908A (ja) * 2009-02-06 2010-08-19 Sekisui Chem Co Ltd 電子部品用熱硬化性接着剤及びこの接着剤を用いた電子部品内蔵基板の製造方法
JP2011042597A (ja) * 2009-08-19 2011-03-03 Sekisui Chem Co Ltd エピスルフィド化合物
TWI466878B (zh) * 2009-09-18 2015-01-01 Adeka Corp A novel cyclic sulfide compound, a hardened resin composition containing the cyclic sulfide compound, and a hardened product thereof
JP2016029162A (ja) * 2014-07-22 2016-03-03 学校法人 関西大学 エピスルフィド化合物を含む硬化性組成物並びに硬化物及びその製造方法
JP2019529662A (ja) * 2016-09-26 2019-10-17 サビック グローバル テクノロジーズ ベスローテン フェンノートシャップ 均一非晶質の高熱エポキシブレンド、物品、及びその使用
WO2018190347A1 (ja) * 2017-04-13 2018-10-18 Jnc株式会社 熱硬化性樹脂組成物、硬化膜、硬化膜付き基板、電子部品およびインクジェット用インク
CN110494469A (zh) * 2017-04-13 2019-11-22 捷恩智株式会社 热硬化性树脂组合物、硬化膜、带硬化膜基板、电子零件及喷墨用墨水
CN110494469B (zh) * 2017-04-13 2022-07-26 捷恩智株式会社 热硬化性树脂组合物、硬化膜、带硬化膜基板、电子零件及喷墨用墨水
JP2019172880A (ja) * 2018-03-29 2019-10-10 日産化学株式会社 チオエポキシ樹脂、硬化性樹脂組成物、その硬化物、及び電子デバイス
JP7056314B2 (ja) 2018-03-29 2022-04-19 日産化学株式会社 チオエポキシ樹脂、硬化性樹脂組成物、その硬化物、及び電子デバイス
WO2022244525A1 (ja) * 2021-05-21 2022-11-24 信越化学工業株式会社 チオエポキシ基及び(メタ)アリル基含有化合物及びその製造方法

Also Published As

Publication number Publication date
JP4651768B2 (ja) 2011-03-16

Similar Documents

Publication Publication Date Title
US5939509A (en) Epoxy resin, resin composition, and resin-encapsulated semiconductor device
JP4651768B2 (ja) 新規な芳香族エピスルフィド化合物、これを含有する組成物及び硬化物
US6255365B1 (en) Epoxy resin composition for semiconductor encapsulation
EP1352008B1 (en) Epoxy resin composition for semiconductor encapsulation
CN102239157A (zh) 二烯化合物、环氧树脂、可固化树脂组合物及固化物
JP2001151888A (ja) 光学材料用樹脂組成物
JP4675443B2 (ja) 液状樹脂成形材料
JPH09235451A (ja) 半導体封止用エポキシ樹脂組成物
JP2001329051A (ja) ノボラック型樹脂、エポキシ樹脂組成物及びその硬化物
JP4302264B2 (ja) 熱硬化型樹脂硬化物
JP4259834B2 (ja) エポキシ樹脂、エポキシ樹脂組成物及びその硬化物
JP4832665B2 (ja) 新規なエピスルフィド化合物
JP5686629B2 (ja) エポキシ樹脂組成物
JP5088952B2 (ja) エポキシ樹脂、その製造方法及びその用途
JP3880912B2 (ja) 半導体封止用エポキシ樹脂組成物
KR100635746B1 (ko) 방향족 에피설파이드 함유 수지 조성물 및 광학재료
JPWO2004069893A1 (ja) エポキシ樹脂、その製造方法、それを用いたエポキシ樹脂組成物及び硬化物
WO2014112537A1 (ja) エポキシ樹脂、硬化性樹脂組成物および硬化物
JP3685669B2 (ja) エポキシ樹脂組成物
JP2011017018A (ja) エポキシ樹脂組成物及び半導体装置
JP5004147B2 (ja) 液状エポキシ樹脂、エポキシ樹脂組成物およびその硬化物
JP4033449B2 (ja) エポキシ樹脂及びその製造方法
JP2003277469A (ja) エポキシ樹脂、その製法、エポキシ樹脂組成物及び半導体装置
JP2019026754A (ja) ビスフェノールフルオレン骨格を有するエポキシ樹脂組成物
TW201835137A (zh) 環氧樹脂混合物、環氧樹脂組成物及其硬化物

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20061211

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20100217

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20100223

A02 Decision of refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A02

Effective date: 20100629

A521 Written amendment

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20100927

A911 Transfer of reconsideration by examiner before appeal (zenchi)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A911

Effective date: 20101118

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20101214

A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20101215

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20131224

Year of fee payment: 3

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20131224

Year of fee payment: 3

S533 Written request for registration of change of name

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R313533

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20131224

Year of fee payment: 3

R350 Written notification of registration of transfer

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R350

LAPS Cancellation because of no payment of annual fees