JP2016029162A - エピスルフィド化合物を含む硬化性組成物並びに硬化物及びその製造方法 - Google Patents

エピスルフィド化合物を含む硬化性組成物並びに硬化物及びその製造方法 Download PDF

Info

Publication number
JP2016029162A
JP2016029162A JP2015141454A JP2015141454A JP2016029162A JP 2016029162 A JP2016029162 A JP 2016029162A JP 2015141454 A JP2015141454 A JP 2015141454A JP 2015141454 A JP2015141454 A JP 2015141454A JP 2016029162 A JP2016029162 A JP 2016029162A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
group
curing agent
amine
cured product
formula
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Granted
Application number
JP2015141454A
Other languages
English (en)
Other versions
JP6546023B2 (ja
Inventor
越智 光一
Koichi Ochi
光一 越智
祐一郎 安田
Yuichiro Yasuda
祐一郎 安田
信輔 宮内
Shinsuke Miyauchi
信輔 宮内
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Osaka Gas Chemicals Co Ltd
Kansai University
Original Assignee
Osaka Gas Chemicals Co Ltd
Kansai University
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Osaka Gas Chemicals Co Ltd, Kansai University filed Critical Osaka Gas Chemicals Co Ltd
Priority to JP2015141454A priority Critical patent/JP6546023B2/ja
Publication of JP2016029162A publication Critical patent/JP2016029162A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP6546023B2 publication Critical patent/JP6546023B2/ja
Active legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Images

Landscapes

  • Polymers With Sulfur, Phosphorus Or Metals In The Main Chain (AREA)

Abstract

【課題】硬化性成分がフルオレン骨格を有するエピスルフィド化合物であっても、ゲル分率が高く、硬化物の強度が大きい硬化性組成物を提供する。【解決手段】下記式(1)で表されるエピスルフィド化合物を含む硬化性成分とアミン系硬化剤とを、モル比がチオエポキシ基/アミノ基=100/0.1〜100/65となる割合で組み合わせて硬化性組成物を調製する。(式中、環Zは芳香族炭化水素環、R1は置換基、R2はアルキレン基、R3は置換基を示し、kは0〜4の整数、mは1以上の整数、nは0以上の整数である)【選択図】なし

Description

本発明は、フルオレン骨格を有するエピスルフィド化合物及びアミン系硬化剤を含む硬化性組成物並びにその硬化物及び硬化物の製造方法に関する。
エポキシ樹脂は、種々の硬化剤で硬化させることにより、機械的性質、耐水性、耐薬品性、耐熱性、電気的性質などに優れた硬化物を形成する。そのため、エポキシ樹脂は、接着剤、塗料、積層板、成形材料、注型材料などの幅広い分野に利用されている。従来、工業的に最も使用されているエポキシ樹脂として、ビスフェノールA型エポキシ樹脂などが知られているが、このようなエポキシ樹脂には、用途によっては、耐熱性が不十分な場合もあった。さらに、エポキシ樹脂は光学材料などにも利用されるが、近年の光学材料では、高度な光学特性が要求されるため、高屈折率なども要求される。そこで、このような要求を充足させるために、樹脂原料に9,9−ビスフェニルフルオレン骨格を導入するとともに、エポキシ化合物の代わりにエピスルフィド化合物を用いる試みも行われている。
特開2001−181276号公報(特許文献1)には、下記式で表されるエピスルフィド化合物が開示されている。
Figure 2016029162
(式中、Xは酸素原子又は硫黄原子を示し、少なくとも一つは硫黄原子である。また、R〜Rは水素原子、ハロゲン原子又は炭素数1〜4のアルキル基を示し、同じであっても、異なってもよい)。
この文献には、前記エピスルフィド化合物の硬化剤として、公知のエポキシ樹脂の硬化剤が例示され、多価カルボン酸無水物、ポリフェノール類が好ましいと記載されている。さらに、この文献の実施例では、硬化剤として、メチルヘキサヒドロ無水フタル酸又はテトラヒドロ無水フタル酸が使用されている。
しかし、このエピスルフィド化合物は、固体であり、溶融粘度も高いため、成形性やハンドリング性が十分でない。
そこで、優れたハンドリング性と、高耐熱性や高屈折率などとを両立できるフルオレン骨格含有エピスルフィド化合物として、特開2013−124339号公報(特許文献2)には、下記式(1)で表されるエピスルフィド化合物が開示されている。
Figure 2016029162
(式中、環Zは芳香族炭化水素環、Rは置換基、Rはアルキレン基、Rは置換基を示し、kは0〜4の整数、mは1以上の整数、nは0以上の整数である)。
この文献には、前記エピスルフィド化合物をエポキシ樹脂と混合することで、硬化剤との反応性を向上でき、硬化剤としては、アミン系硬化剤が好ましいと記載されている。硬化剤の割合については、硬化性樹脂100重量部に対して、0.1〜1000重量部、好ましくは0.5〜500重量部、さらに好ましくは1〜300重量部程度であってもよいと記載されている。この文献の実施例では、ビスグリシジルオキシエトキシフェニルフルオレン(エポキシ樹脂)とビスグリシジルオキシエトキシフェニルフルオレンのエピスルフィド化合物(エピスルフィド樹脂)とを組み合わせた硬化性樹脂に対して、硬化剤としてジアミノジフェニルメタンが配合されている。この硬化剤の割合は、前記硬化樹脂のエポキシ基及びエピスルフィド基の合計モル数に対して、アミノ基が1.4〜1.8倍モル程度の割合である。
しかし、このエピスルフィド化合物でも、架橋密度(ゲル分率)が低く、硬化物の強度が充分ではなかった。さらに、エポキシ樹脂と組み合わせると、優れたハンドリング性と、高耐熱性や高屈折率などとを両立させるのが困難となる。
特開2001−181276号公報(請求項1、段落[0026]、実施例) 特開2013−124339号公報(請求項1、段落[0082][0090][0091][0093]、実施例)
従って、本発明の目的は、硬化性成分がフルオレン骨格を有するエピスルフィド化合物であっても、ゲル分率が高く、硬化物の強度が大きい硬化性組成物並びにその硬化物及び硬化物の製造方法を提供することにある。
本発明の他の目的は、優れたハンドリング性と、高耐熱性や高屈折率などとを両立できる硬化性組成物並びにその硬化物及び硬化物の製造方法を提供することにある。
本発明のさらに他の目的は、比較的低温であっても硬化可能な硬化性組成物並びにその硬化物及び硬化物の製造方法を提供することにある。
本発明者らは、前記課題を達成するため鋭意検討した結果、フルオレン骨格を有するエピスルフィド化合物を含む硬化性成分とアミン系硬化剤とを、硬化性成分のチオエポキシ基(エピスルフィド基)に対して、アミン系硬化剤の窒素原子(アミノ基や第3級窒素原子など)の割合を特定の範囲に調整して組み合わせることにより、硬化性成分がフルオレン骨格を有するエピスルフィド化合物であっても、ゲル分率が高く、硬化物の強度を向上できることを見出し、本発明を完成した。
すなわち、本発明の硬化性組成物は、下記式(1)で表されるエピスルフィド化合物を含む硬化性成分とアミン系硬化剤とを含む硬化性組成物であって、前記硬化性成分のチオエポキシ基と、前記アミン系硬化剤の窒素原子とのモル比(当量比)が、チオエポキシ基/窒素原子=100/0.1〜100/65である。
Figure 2016029162
(式中、環Zは芳香族炭化水素環、Rは置換基、Rはアルキレン基、Rは置換基を示し、kは0〜4の整数、mは1以上の整数、nは0以上の整数である)。
前記アミン系硬化剤は、第1級アミン(特に、環状脂肪族ポリアミン、芳香脂肪族ポリアミン及び芳香族ポリアミンからなる群より選択された少なくとも1種)であってもよい。前記硬化性成分のチオエポキシ基と、前記第1級アミンのアミノ基とのモル比(当量比)は、チオエポキシ基/アミノ基=100/30〜100/65(特に100/35〜100/60)程度である。
前記式(1)で表されるエピスルフィド化合物の割合は、硬化性成分全体に対して50モル%以上であってもよい。前記式(1)において、Rがアルキル基、kが0〜1、RがC2−4アルキレン基、mが1〜10、Rがアルキル基又はアリール基、nが0〜4であってもよい。
前記アミン系硬化剤は、第3級窒素原子を含むアミン(特に、イミダゾール類)であってもよい。前記硬化性成分のチオエポキシ基と、前記アミンの第3級窒素原子とのモル比(当量比)は、チオエポキシ基/第3級窒素原子=100/0.3〜100/5程度である。
本発明には、前記組成物を硬化させた硬化物も含まれる。この硬化物のゲル分率は90重量%以上であってもよい。また、本発明には、前記組成物を加熱処理して硬化させる硬化物の製造方法も含まれる。
なお、前述のように、本発明者らは、前記エピスルフィド化合物の硬化にとってアミン系硬化剤の割合が重要であることを突き止めたが、このことは出願時の技術常識からは極めて意外であった。すなわち、出願時の技術常識では、エピスルフィド化合物は、エポキシ化合物に構造が類似した化合物であるため、硬化作用も類似であると認識されていた。そのため、硬化物の強度を向上させるために、エポキシ樹脂と同様に、エピスルフィド基に対して等モルでアミノ基が反応するように、第1級アミン系硬化剤が配合されており、アミン系硬化剤の配合割合を調整することにより硬化物の強度を向上させることは想定されていなかった。特に、特許文献2の実施例では、エピスルフィド系樹脂がエポキシ樹脂よりも反応性が低いと考えられているためか、アミン系硬化剤を過剰に配合しており、硬化性成分のチオエポキシ基よりも、少量のアミノ基当量となる割合で、硬化剤を配合することは全く想定されていなかった。少量のアミン系硬化剤により硬化物のゲル分率を向上できる理由は明らかではないが、エポキシ化合物ではエポキシ基と第二級アミノ基とが1対1の当量比で反応するのに対して、エピスルフィド化合物では、生成した中間物(ツイッターイオン)に対してさらにチオエポキシ基が反応し、最終的にチオエポキシ基と第二級アミノ基とが2対1の当量比で反応していると推定できる。
さらに、本発明者らは、アミン系硬化剤として、第3級窒素原子を含むアミンを用いると、アミン系硬化剤が触媒的に作用するためか、第1アミン系硬化剤よりも、さらに少量であっても、硬化物が得られることを見出した。この硬化物は、密度が高く、耐熱性及び屈折率をさらに向上できる。
本発明では、フルオレン骨格を有するエピスルフィド化合物を含む硬化性成分とアミン系硬化剤とが、硬化性成分のチオエポキシ基(エピスルフィド基)に対して、アミン系硬化剤の窒素原子の割合が特定の範囲に調整されて組み合わされているため、硬化性成分がフルオレン骨格を有するエピスルフィド化合物であっても、ゲル分率が高く、硬化物の強度を向上できる。さらに、優れたハンドリング性と、高耐熱性や高屈折率などとを両立できる。また、比較的低温であっても硬化できるため、高温の硬化で問題となる着色も抑制できる。特に、アミン系硬化剤として第1級アミンを用いると、硬化剤により硬化物の特性を容易に制御でき、例えば、目的の機械的特性や屈折率を容易に調整できる。一方、アミン系硬化剤として第3級窒素原子を含むアミンを用いると、フルオレン骨格を有するエピスルフィド化合物の優れた特性を殆ど低下させることなく維持できるため、高い耐熱性と光学特性とを実現できる。
図1は、実施例におけるエピスルフィド化合物の割合と硬化物の屈折率との関係を示すグラフである。
[硬化性成分]
本発明の硬化性組成物は硬化性成分とアミン系硬化剤とを含み、この硬化性成分は、前記式(1)で表されるエピスルフィド化合物(エピスルフィド化合物(1))を含む。
(式(1)で表されるエピスルフィド化合物)
前記式(1)において、環Zで表される芳香族炭化水素環としては、ベンゼン環、縮合多環式芳香族炭化水素環[例えば、縮合二環式炭化水素環(例えば、インデン環、ナフタレン環などのC8−20縮合二環式炭化水素環、好ましくはC10−16縮合二環式炭化水素環)、縮合三環式炭化水素環(例えば、アントラセン環、フェナントレン環など)などの縮合二乃至四環式炭化水素環など]などが挙げられる。好ましい芳香族炭化水素環は、ベンゼン環、ナフタレン環、アントラセン環などが挙げられ、特に、ベンゼン環又はナフタレン環(特にベンゼン環)が好ましい。なお、フルオレンの9位に置換する2つの環Zは同一の又は異なる環であってもよく、通常、同一の環であってもよい。
なお、フルオレンの9位に置換する環Zの置換位置は、特に限定されず、例えば、フルオレンの9位に置換するナフチル基は、1−ナフチル基、2−ナフチル基などであってもよく、特に2−ナフチル基であるのが好ましい。
また、前記式(1)において、基Rで表される置換基としては、例えば、シアノ基、ハロゲン原子(フッ素原子、塩素原子、臭素原子など)、炭化水素基[例えば、アルキル基、アリール基(フェニル基などのC6−10アリール基)など]などの非反応性置換基(特に非エポキシ系置換基)が挙げられ、特に、ハロゲン原子、シアノ基又はアルキル基(特にアルキル基)である場合が多い。アルキル基としては、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、t−ブチル基などのC1−6アルキル基(例えば、C1−4アルキル基、特にメチル基)などが例示できる。なお、基Rが複数(2以上)である場合、基Rは互いに異なっていてもよく、同一であってもよい。また、フルオレン(又はフルオレン骨格)を構成する2つのベンゼン環に置換する基Rは同一であってもよく、異なっていてもよい。また、フルオレンを構成するベンゼン環に対する基Rの結合位置(置換位置)は、特に限定されず、例えば、フルオレン環の2位、7位、2及び7位などが挙げられる。好ましい置換数kは、0〜1、特に0である。なお、フルオレンを構成する2つのベンゼン環において、置換数kは、互いに同一であってもよく、異なっていてもよい。
前記式(1)において、基Rで表されるアルキレン基としては、例えば、エチレン基、プロピレン基、トリメチレン基、1,2−ブタンジイル基、テトラメチレン基などのC2−6アルキレン基、好ましくはC2−4アルキレン基、さらに好ましくはC2−3アルキレン基、特にエチレン基が挙げられる。なお、mが2以上であるとき、アルキレン基は異なるアルキレン基で構成されていてもよく、通常、同一のアルキレン基で構成されていてもよい。
オキシアルキレン基(基OR)の数(付加モル数)mは、1以上の整数であればよく、例えば、1〜25(例えば、1〜20)程度の範囲から選択でき、通常、1〜15、好ましくは1〜10、さらに好ましくは1〜8(例えば、1〜5)、特に1〜3(例えば、1〜2)程度であってもよい。なお、2つのmは、同一又は異なっていてもよい。
また、式(1)において、2つのmの合計は、例えば、2〜30(例えば、2〜20)、好ましくは2〜15(例えば、2〜10)、さらに好ましくは2〜6(例えば、2〜4)であってもよい。2つのmの合計により、硬化物における硬さや粘度などを調整でき、このような範囲に調整することにより、高屈折率、高耐熱性で硬質の硬化物を得やすい。また、より一層硬化性に優れたエピスルフィド化合物を効率よく得ることができる。なお、2つのmは、同一であってもよく、異なっていてもよい。
なお、エピスルフィド化合物(1)は、mの値が同一の化合物の集合体であってもよく、mの値が異なる化合物の集合体であってもよい。後者の場合、mの値及び2つのmの合計は、平均値(相加平均又は算術平均)である。
環Zに置換する置換基Rとしては、例えば、アルキル基(例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基などのC1−12アルキル基、好ましくはC1−8アルキル基、さらに好ましくはC1−6アルキル基など)、シクロアルキル基(シクロへキシル基などのC5−8シクロアルキル基、好ましくはC5−6シクロアルキル基など)、アリール基(例えば、フェニル基、トリル基、キシリル基などのC6−14アリール基、好ましくはC6−10アリール基、さらに好ましくはC6−8アリール基など)、アラルキル基(ベンジル基、フェネチル基などのC6−10アリール−C1−4アルキル基など)などの炭化水素基;アルコキシ基(メトキシ基などのC1−8アルコキシ基、好ましくはC1−6アルコキシ基など)、シクロアルコキシ基(C5−10シクロアルキルオキシ基など)、アリールオキシ基(C6−10アリールオキシ基など)などの基−OR[式中、Rは炭化水素基(前記例示の炭化水素基など)を示す];アルキルチオ基(メチルチオ基などのC1−8アルキルチオ基、好ましくはC1−6アルキルチオ基など)などの基−SR(式中、Rは前記と同じ);アシル基(アセチル基などのC1−6アシル基など);アルコキシカルボニル基(メトキシカルボニル基などのC1−4アルコキシ−カルボニル基など);ハロゲン原子(フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子など);ヒドロキシル基;ニトロ基;シアノ基などの非エポキシ系置換基が挙げられる。
これらのうち、基Rは、炭化水素基、アルコキシ基、シクロアルコキシ基、アリールオキシ基、アラルキルオキシ基、アシル基、ハロゲン原子、ニトロ基、シアノ基などであるのが好ましく、特に、好ましい基Rは、炭化水素基[例えば、アルキル基(例えば、C1−4アルキル基)]、アルコキシ基(C1−4アルコキシ基など)、ハロゲン原子(フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子など)などである。
なお、同一の環Zにおいて、基Rが複数(2以上)である場合、基Rは互いに異なっていてもよく、同一であってもよい。また、2つの環Zにおいて、基Rは同一であってもよく、異なっていてもよい。また、好ましい置換数nは、0〜8、好ましくは0〜6(例えば、1〜5)、さらに好ましくは0〜4、特に0〜2(例えば、0〜1)であってもよい。なお、2つの環Zにおいて、置換数nは、互いに同一又は異なっていてもよい。
なお、式(1)において、下記式
Figure 2016029162
で表される基[チオエポキシ基含有基又はエピスルフィド基含有基]の置換位置は、特に限定されず、環Zの適当な位置に置換していればよい。例えば、環Zがベンゼン環である場合、チオエポキシ基含有基は、3位又は4位、特に4位に置換していてもよい。また、環Zが縮合多環式芳香族炭化水素環である場合には、特に、フルオレンの9位に結合した炭化水素環とは別の炭化水素環(例えば、ナフタレン環の5位、6位など)に置換していてもよく、代表的には、ナフタレン環のチオエポキシ基含有基とフルオレンの置換位置との組み合わせが、1,5位、又は2,6位である場合が多い。
代表的なエピスルフィド化合物(1)には、下記式(1A)で表される化合物(式(1)において環Zがベンゼン環である化合物)、下記式(1B)で表される化合物(式(1)において環Zがナフタレン環である化合物)などが含まれる。
Figure 2016029162
(式中、n1は0〜4の整数、n2及びn3はそれぞれ0〜3の整数を示し、R、R、R、k、mは前記と同じ)。
代表的なエピスルフィド化合物(1)には、9,9−ビス[(2,3−エピチオプロポキシ)(ポリ)アルコキシフェニル]フルオレン類(又は式(1A)で表される化合物)、9,9−ビス[(2,3−エピチオプロポキシ)(ポリ)アルコキシナフチル]フルオレン類(式(1B)で表される化合物など)などが挙げられる。
9,9−ビス[(2,3−エピチオプロポキシ)(ポリ)アルコキシフェニル]フルオレン類としては、例えば、9,9−ビス{4−[2−(2,3−エピチオプロポキシ)エトキシ]フェニル}フルオレン(又は9,9−ビス{4−[2−(2,3−チオエポキシプロポキシ)エトキシ]フェニル}フルオレン、以下同じ)などの9,9−ビス[2−(2,3−エピチオプロポキシ)C2−4アルコキシフェニル]フルオレン;9,9−ビス{4−[2−(2,3−エピチオプロポキシ)エトキシ]−3−メチルフェニル}フルオレン、9,9−ビス{4−[2−(2,3−エピチオプロポキシ)エトキシ]−3,5−ジメチルフェニル}フルオレンなどの9,9−ビス[2−(2,3−エピチオプロポキシ)C2−4アルコキシ−アルキルフェニル]フルオレン;9,9−ビス{4−[2−(2,3−エピチオプロポキシ)エトキシ]−3−フェニルフェニル}フルオレンなどの9,9−ビス[2−(2,3−エピチオプロポキシ)C2−4アルコキシ−アリールフェニル]フルオレンなどの9,9−ビス[(2,3−エピチオプロポキシ)アルコキシフェニル]フルオレン類(式(1A)において、mが1である化合物)、これらの化合物に対応し、式(1A)において、2つのmの合計が2を超える化合物などが含まれる。
9,9−ビス[(2,3−エピチオプロポキシ)(ポリ)アルコキシナフチル]フルオレン類としては、例えば、9,9−ビス{6−[2−(2,3−エピチオプロポキシ)エトキシ]−2−ナフチル}フルオレン、9,9−ビス{5−[2−(2,3−エピチオプロポキシ)エトキシ]−1−ナフチル}フルオレンなどの9,9−ビス[2−(2,3−エピチオプロポキシ)C2−4アルコキシナフチル]フルオレンなどの9,9−ビス[(2,3−エピチオプロポキシ)アルコキシナフチル]フルオレン類(式(1B)において、mが1である化合物)、これらの化合物に対応し、式(1B)において、2つのmの合計が2を超える化合物などが含まれる。
硬化性成分は、エピスルフィド化合物(1)を含んでいればよいが、架橋密度を向上させ、硬化物の強度を向上できる点から、エピスルフィド化合物(1)を硬化性成分の主成分として含むのが好ましい。エピスルフィド化合物(1)の割合は、硬化性成分全体に対して50モル%以上(例えば、50〜100モル%)の範囲から選択でき、例えば、60モル%以上(例えば、65〜99モル%)、好ましくは70モル%以上(例えば、75〜98モル%)、さらに好ましくは80モル%以上(特に85〜97モル%)程度であり、通常80〜95モル%(例えば、85〜93モル%)程度であってもよい。エピスルフィド化合物(1)の割合が少なすぎると、硬化物の強度及び屈折率が低下する虞がある。
(エピスルフィド化合物(1)の製造方法)
式(1)で表されるエピスルフィド化合物は、例えば、下記式(A)で表されるエポキシ化合物をエピスルフィド化することにより製造できる。
Figure 2016029162
(式中、Z、R、R、R、k、m、nは前記と同じ)。
式(A)で表されるエポキシ化合物は、市販品を用いてもよく、慣用の方法(例えば、下記式で表される化合物と、エピクロロヒドリンとを反応させる方法など)により製造したものを用いてもよい。
Figure 2016029162
(式中、Z、R、R、R、k、m、nは前記と同じ)。
なお、式(A)で表される化合物は、特開2009−155256号公報などを参照して製造することもできる。
なお、前記のようにして製造する場合、式(A)で表されるエポキシ化合物の他に、式(A)で表されるエポキシ化合物の多量体(下記式(B)で表される化合物)や、単官能性のエポキシ化合物(下記式(C)で表される化合物)が生成する場合がある。
Figure 2016029162
(式中、pは1以上の整数を示し、Z、R、R、R、k、m、nは前記と同じ)。
そして、式(A)で表されるエポキシ化合物と、前記式(B)で表される多量体エポキシ化合物や、式(C)で表される単官能性エポキシ化合物を含むエポキシ組成物をエピスルフィド化すると、後述するエピスルフィド組成物が得られる。
式(A)で表されるエポキシ化合物をエピスルフィド化する方法としては、特に限定されないが、代表的には、式(A)で表されるエポキシ化合物と硫黄含有化合物(チオ尿素、チオシアン酸)とを反応させる方法が挙げられる。
硫黄含有化合物としては、エピスルフィド化可能であれば特に限定されず、例えば、チオ尿素、チオシアン酸又はその塩などが挙げられる。硫黄含有化合物は、単独で又は2種以上組み合わせてもよい。代表的には、チオ尿素を使用してもよい。
なお、硫黄含有化合物の割合は、エポキシ基の割合に応じて選択でき、式(A)で表されるエポキシ化合物(又はエポキシ化合物の組成物)1モルに対して、例えば、2モル以上(例えば、2.1〜30モル)、好ましくは2.5〜20モル、さらに好ましくは3〜15モル(例えば、3〜10モル)程度であってもよい。
なお、反応は、溶媒中で行ってもよい。溶媒としては、アルコール類(エタノール、プロパノール、イソプロパノールなどのアルキルアルコール類、エチレングリコール、プロピレングリコールなどのグリコール類など)、炭化水素類(ヘキサンなどの脂肪族炭化水素類、シクロヘキサンなどの脂環式炭化水素類、トルエン、キシレンなどの芳香族炭化水素類など)、ハロゲン化炭化水素類(塩化メチレン、クロロホルムなど)、エーテル類(ジメチルエーテル、ジエチルエーテルなどの鎖状エーテル類、ジオキサン、テトラヒドロフランなどの環状エーテル類など)、エステル類(酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸ブチルなど)、ケトン類(アセトン、エチルメチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノンなど)、セロソルブ類、カルビトール類、プロピレングリコールモノアルキルエーテル類、グリコールエーテルエステル類(エチレングリコールモノメチルエーテルアセテートなど)、アミド類(N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミドなど)、スルホキシド類(ジメチルスルホキシドなど)、ニトリル類(アセトニトリル、ベンゾニトリルなど)などの有機溶媒が挙げられる。溶媒は、単独で又は混合溶媒として使用できる。
反応温度や反応時間は、使用する原料の種類に応じて適宜選択できる。反応温度は、例えば、30〜120℃、好ましくは35〜100℃、さらに好ましくは40〜70℃程度であってもよい。また、反応時間は、例えば、30分〜100時間、通常、1〜80時間、好ましくは2〜60時間程度であってもよい。
反応は、還流しながら行ってもよく、副生成分を除去しながら行ってもよい。また、反応は、攪拌しながら行ってもよく、不活性雰囲気(窒素、希ガスなど)中で行ってもよく、常圧、加圧下又は減圧下で行ってもよい。
なお、生成した化合物(前記式(1)で表されるエピスルフィド化合物又はエピスルフィド組成物)は、慣用の方法、例えば、濾過、濃縮、抽出、晶析、再結晶、カラムクロマトグラフィーなどの分離手段や、これらを組み合わせた分離手段により分離精製してもよい。
(他のエピスルフィド化合物)
硬化性成分は、エピスルフィド化合物(1)に加えて、他のエピスルフィド化合物を含んでいてもよい。他のエピスルフィド化合物は、チオエポキシ基を有していればよく、特に限定されないが、例えば、エピスルフィド化合物(1)の製造過程で混入する他のエピスルフィド化合物であってもよい。すなわち、エピスルフィド化合物は、前述のように、通常、対応するエポキシ化合物(前記式(A)で表される化合物)をエピスルフィド化することで得られるが、このようなエポキシ化合物には、エポキシ化合物の多量体(前記式(B)で表される化合物)や、1つのエポキシ基を有する単官能性エポキシ化合物(前記式(C)で表される化合物)が含まれる場合がある。製造条件や精製により、このような多量体や単官能性エポキシ化合物を含まないエポキシ化合物を得ることもできるが、このような多量体や単官能性のエポキシ化合物を含むエポキシ組成物を原料としてエピスルフィド化すると、エピスルフィド化合物(1)に加えて、下記式(2)で表されるエピスルフィド化合物(多量体エポスルフィド化合物)や下記式(3)で表されるエピスルフィド化合物(単官能エピスルフィド化合物)を含むエピスルフィド組成物が得られる。このような多量体エピスルフィド化合物や単官能性エピスルフィド化合物は、硬化性や硬化物の物性などを低下させる虞があるため、多量に含まれるのは好ましくないが、ハンドリング性の向上などの観点から微量であればむしろ含まれている方が好ましい場合もある。
Figure 2016029162
(式中、Z、R、R、R、k、m、n、pは前記と同じ)。
前記式(2)において、pは、例えば、1〜10、好ましくは1〜4、さらに好ましくは1〜3、特に1〜2程度であってもよい。通常、式(2)で表される化合物は、式(2)において、pが1である化合物を少なくとも含んでいる。式(2)で表される化合物全体に対して、式(2)においてpが1である化合物の割合は、例えば、40モル%以上(例えば、45〜100モル%)、好ましくは50モル%以上(例えば、55〜99モル%)、さらに好ましくは60モル%以上(例えば、65〜97モル%)、特に70モル%以上(例えば、75〜95%)であってもよい。
式(2)で表される化合物の割合は、硬化性成分全体の50モル%以下(例えば、1〜45モル%)、好ましくは40モル%以下(例えば、2〜35モル%)、さらに好ましくは30モル%以下(例えば、3〜25モル%)であってもよい。
式(3)で表される化合物の割合は、硬化性成分全体の30モル%以下(例えば、0.5〜25モル%)、好ましくは25モル%以下(例えば、1〜22モル%)、さらに好ましくは20モル%以下(例えば、2〜18モル%)であってもよい。
また、式(2)で表される化合物及び式(3)で表される化合物の総量の割合は、硬化性成分全体の50モル%以下(例えば、1〜45モル%)、好ましくは40モル%以下(例えば、3〜35モル%)、さらに好ましくは30モル%以下(例えば、5〜25モル%)であってもよく、通常3〜20モル%(例えば、5〜15モル%)程度であってもよい。
なお、式(2)で表される化合物と式(3)で表される化合物との割合(モル比)は、例えば、前者/後者=99/1〜1/99(例えば、97/3〜10/90)、好ましくは95/5〜15/85(例えば、93/7〜20/80)、さらに好ましくは90/10〜30/70(例えば、85/15〜40/60)程度であってもよい。
本発明では、式(1)〜(3)で表されるエピスルフィド化合物の割合は、高速液体クロマトグラフィー(HPLC)による純度(面積比、面積%)を測定することにより求めることができる。
なお、硬化性成分において、式(2)で表される化合物や式(3)で表される化合物の割合は、原料となるエポキシ化合物の製造条件などにより容易に調整することができる。また、式(2)で表される化合物や式(3)で表される化合物を別途調製し、式(1)で表される化合物と混合してエピスルフィド組成物を調製することもできる。
なお、硬化性成分は、少量であれば、完全にエピスルフィド化が進行しなかった化合物(片末端エピスルフィド化合物)、例えば、前記式(1)や前記式(2)において、一方の硫黄原子が酸素原子である化合物などを含んでいてもよい。
ただし、このような化合物の割合が大きすぎると、所望の特性が得られなくなる場合があるため、硬化性成分中の割合は少量であるのが好ましい。なお、このような片末端エピスルフィド化合物の割合は、エピスルフィド化の反応条件の選択などにより容易に調整可能である。
(他の硬化性成分)
硬化性成分は、エピスルフィド化合物単独で構成されているのが好ましいが、本発明の効果を損なわない範囲であれば、エポキシ樹脂などの他の硬化性成分を含んでいてもよい。
エポキシ樹脂としては、グリシジルエーテル型エポキシ樹脂、例えば、ビスフェノール型エポキシ樹脂(ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂など)、フェノールノボラック型エポキシ樹脂、クレゾールノボラック型エポキシ樹脂、ジシクロペンタジエン変性フェノール(又はクレゾール)ノボラック型エポキシ樹脂、ビフェニル型エポキシ樹脂、トリフェノールアルカン型エポキシ樹脂(トリフェノールメタン型エポキシ樹脂など)、フェノールアラルキル型エポキシ樹脂、複素環型エポキシ樹脂(キサンテン単位を含むエポキシ樹脂を含む)、スチルベン型エポキシ樹脂、縮合環芳香族炭化水素変性エポキシ樹脂(1,6−ビス(グリシジルオキシ)ナフタレン、ビス(2,7−ビス(グリシジルオキシ)ナフタレン)アルカンなどのナフタレン環含有エポキシ樹脂など)、グリシジルエステル型エポキシ樹脂、フルオレン骨格を有するエポキシ樹脂などが挙げられる。これらのエポキシ樹脂は、単独で又は2種以上組み合わせてもよい。
特に、エポキシ樹脂は、少なくともフルオレン骨格を有するエポキシ樹脂で構成してもよい。フルオレン骨格を有するエポキシ樹脂は、共通するフルオレン骨格を有しているためか、エピスルフィド化合物との親和性に優れ、また、屈折率、耐熱性などの特性を保持しやすく、好適である。また、エピスルフィド化合物は前記のように硬化性に優れているため、フルオレン骨格を有するエポキシ樹脂と混合することで、保存安定性を向上させつつ、エピスルフィド化合物由来の特性を保持できる。さらに、硬化温度を効率よく下げることもできる。
フルオレン骨格を有するエポキシ樹脂としては、例えば、下記式(D)で表される化合物などが含まれる。
Figure 2016029162
(式中、m1は0又は1以上の整数を示し、Z、R、R、R、k、nは前記と同じ)。
前記式(D)において、m1は、0又は1以上の整数であればよく、1以上である場合、前記式(1)におけるmと同様の範囲から選択できる。2つのm1の合計も、m1が1以上の場合には、前記と同様である。特に、m1は、mと同様に1以上であってもよい。硬化物に柔軟性などが要求される場合には、m1が1以上のエポキシ樹脂を好適に用いてもよい。また、エピスルフィドの原料となる式(A)で表されるエポキシ化合物を好適に用いてもよい。
他の硬化性成分(特にエポキシ樹脂)の割合は、硬化性成分全体に対して30モル%以下であってもよく、例えば、20モル%以下、好ましくは10モル%以下、さらに好ましくは5モル%以下(例えば、0.01〜5モル%)である。他の硬化性成分の割合が多すぎると、硬化物の強度及び屈折率が低下する虞がある。
(アミン系硬化剤)
アミン系硬化剤としては、慣用のアミン系硬化剤として利用される第1級アミン、第3級窒素原子を含むアミンなどが挙げられる。第1級アミン、第3級窒素原子を含むアミンとは、用途に応じて選択でき、硬化剤によって機械的特性や屈折率を調整する必要がある場合は、第1級アミンであってもよく、高い耐熱性や光学特性(高屈折率など)を要求される場合は、第3級窒素原子を含むアミンであってもよい。
第1級アミンには、鎖状脂肪族アミン、環状脂肪族アミン、芳香脂肪族アミン、芳香族アミンなどが含まれる。これらの第1級アミンは、単独で又は二種以上組み合わせて使用できる。
鎖状脂肪族アミンとしては、例えば、エチレンジアミン、1,3−ジアミノプロパン、ジプロピレンジアミン、1,4−ジアミノブタン、ヘキサメチレンジアミン、2,5−ジメチルヘキサメチレンジアミン、トリメチルヘキサメチレンジアミンなどの鎖状脂肪族(又はアルカン)ジアミン;ジエチレントリアミン、トリエチレンテトラミン、テトラエチレンペンタミン、ペンタエチレンヘキサミンなどの鎖状脂肪族(又はポリアルキレン)ポリアミンなどが挙げられる。これらの鎖状脂肪族アミンは、単独で又は二種以上組み合わせて使用できる。
環状脂肪族アミンとしては、例えば、メンセンジアミン、イソホロンジアミン、ジアミノジシクロヘキシルメタン、ビス(4−アミノ−3−メチルシクロヘキシル)メタン、1,3−ビス(アミノメチル)シクロヘキサン(1,3−BAC)、N−アミノエチルピペラジン、3,9−ビス(3−アミノプロピル)−2,4,8,10−テトラオキサスピロ(5.5)ウンデカンなどの単環式脂肪族ジアミン;ノルボルナンジアミンなどの架橋環式ポリアミンなどなどが挙げられる。
芳香脂肪族ポリアミンとしては、例えば、キシリレンジアミンなど挙げられる。芳香族アミンとしては、例えば、メタフェニレンジアミン、ジアミノジフェニルメタン、ジアミノジフェニルスルホン、ジアミノジエチルジフェニルメタンなどが挙げられる。
これらの第1級アミンのうち、エピスルフィド化合物(1)との反応性などの点から、ジアミンなどのポリアミンが好ましく、硬化物の特性などの点から、環状脂肪族ポリアミン、芳香脂肪族ポリアミン及び芳香族アミンが特に好ましく、反応性、強靭性、透明性の観点から、環状脂肪族ジアミン(特に1,3−BACなどの単環式脂肪族ジアミン)が汎用される。
第3級窒素原子を含むアミンには、第3級アミン、イミダゾール類などが含まれる。
第3級アミンとしては、例えば、トリエチルアミン、トリブチルアミンなどのトリアルキルアミン;ベンジルジメチルアミンなどのアラルキルジアルキルアミン;トリエタノールアミンなどのトリアルカノールアミン;ジメチルアミノエタノールなどのジアルキルアルカノールアミン;トリス(ジメチルアミノメチル)フェノールなどのジアルキルアミノフェノール;1,5−ジアザビシクロ(4.3.0)ノネン−5(DBN)、1,8−ジアザビシクロ(5.4.0)−ウンデセン−7(DBU)などの環状アミンなどが挙げられる。
イミダゾール類としては、例えば、2−メチルイミダゾール、2−エチルイミダゾール、2−イソプロピルイミダゾールなどの2−C1−18アルキルイミダゾール;2−エチル−4−メチルイミダゾール、2−イソプロピル−4−メチルイミダゾールなどの2−C1−18アルキル−4−C1−4アルキルイミダゾール;2−フェニルイミダゾールなどの2−アリールイミダゾール;2−フェニル−4−メチルイミダゾールなどの2−アリール−4−C1−4アルキルイミダゾールなどが挙げられる。
これらの第3級窒素原子を含むアミンは、誘導体(例えば、フェノール塩、フェノールノボラック塩、炭酸塩、ギ酸塩などの塩)であってもよい。
これらの第3級窒素原子を含むアミンは、単独で又は二種以上組み合わせて使用できる。これらの第3級窒素原子を含むアミンのうち、硬化性に優れる点から、イミダゾール類が好ましく、取り扱い性に優れる点から、アルキルイミダゾール(特に2−エチル−4−メチルイミダゾールなどの2−C2−4アルキル−4−C1−3アルキルイミダゾール)が特に好ましい。
アミン系硬化剤の割合は、前記硬化性成分のチオエポキシ基(複数種のチオエポキシ化合物を含む場合は合計のチオエポキシ基)と、前記アミン系硬化剤の窒素原子(特にアミノ基及びアミン骨格を形成する窒素原子)とがモル比(窒素原子の価数を「1」としたとき、当量比)で、チオエポキシ基/窒素原子=100/0.1〜100/65の範囲から選択でき、例えば100/0.5〜100/60、好ましくは100/1〜100/50程度である。アミン系硬化剤の割合が少なすぎると、硬化物の強度が低下し、アミン系硬化剤の割合が多すぎると、硬化物の強度が低下するだけでなく、硬化物の屈折率も低下する虞がある。
特に、本発明では、アミン系硬化剤の種類に応じて、硬化性成分との割合を調整するのが好ましく、第1級アミンの割合は、前記硬化性成分のチオエポキシ基と、前記第1級アミンのアミノ基とがモル比(アミノ基の価数を「1」としたとき、当量比)で、チオエポキシ基/アミノ基=100/30〜100/65の範囲から選択でき、例えば100/35〜100/60、好ましくは100/40〜100/55、さらに好ましくは100/45〜100/55(特に100/45〜100/50)程度である。このように第1級アミンでは、比較的多量の硬化剤が硬化物に組み込まれるため、硬化剤の特性を硬化物に反映させることができる。そのため、硬化剤の種類や割合を調整して、硬化物の屈折率や強度などを制御できる。第1級アミンの割合が少なすぎると、硬化物の強度が低下し、第1級アミンの割合が多すぎると、硬化物の強度が低下するだけでなく、硬化物の屈折率も低下する虞がある。
一方、第3級窒素原子を含むアミンの割合は、前記硬化性成分のチオエポキシ基と、前記アミンの第3級窒素原子とが(第3級窒素原子の価数を「1」としたとき、当量比)で、チオエポキシ基/第3級窒素原子=100/0.1〜100/10の範囲から選択でき、例えば100/0.3〜100/5、好ましくは100/0.5〜100/3、さらに好ましくは100/0.8〜100/2(特に100/1〜100/1.5)程度である。このように第3級窒素原子を含むアミンでは、硬化剤の割合が少ないため、高い耐熱性と光学特性とを実現できる。第3級窒素原子を含むアミンの割合が少なすぎると、硬化物の強度が低下し、逆に多すぎると、硬化物の強度が低下するだけでなく、硬化物の耐熱性や屈折率も低下する虞がある。
(他の添加剤)
硬化性組成物は、硬化性成分及びアミン系硬化剤に加えて、さらに他の添加剤を含んでいてもよい。他の添加剤には、他の硬化剤、硬化促進剤、慣用の添加剤などが含まれる。
他の硬化剤はエピスルフィド化合物をエポキシ樹脂と併用した場合などに添加してもよい。他の硬化剤としては、例えば、ポリアミノアミド系硬化剤(例えば、ポリエチレンポリアミンと脂肪酸との縮合物など)、酸無水物系硬化剤(例えば、ドデセニル無水コハク酸、ポリアジピン酸無水物などの脂肪族系酸無水物;テトラヒドロ無水フタル酸、メチルテトラヒドロ無水フタル酸、ヘキサヒドロ無水フタル酸、メチルヘキサヒドロ無水フタル酸、無水メチルハイミック酸、メチルシクロヘキセンジカルボン酸無水物などの脂環族系酸無水物;無水フタル酸、無水トリメリット酸、無水ピロメリット酸、ベンゾフェノンテトラカルボン酸無水物などの芳香族系酸無水物)、フェノール系硬化剤{例えば、フェノール樹脂(フェノールノボラック樹脂、クレゾールノボラック樹脂などのノボラック樹脂など);フルオレン骨格を有するフェノール類[例えば、9,9−ビス(ヒドロキシフェニル)フルオレン(例えば、9,9−ビス(4−ヒドロキシフェニル)フルオレンなど)、9,9−ビス(アルキル−ヒドロキシフェニル)フルオレン(例えば、9,9−ビス(4−ヒドロキシ−3−メチルフェニル)フルオレン、9,9−ビス(4−ヒドロキシ−3,5−ジメチルフェニル)フルオレンなどの9,9−ビス(モノ又はジC1−4アルキル−ヒドロキシフェニル)フルオレン)、9,9−ビス(アリール−ヒドロキシフェニル)フルオレン(例えば、9,9−ビス(4−ヒドロキシ−3−フェニルフェニル)フルオレンなどの9,9−ビス(モノ又はジC6−10アリール−ヒドロキシフェニル)フルオレン)などの9,9−ビス(ヒドロキシフェニル)フルオレン類;9,9−ビス(ヒドロキシナフチル)フルオレン類など]などのフェノール化合物}などが挙げられる。これらの硬化剤は単独で又は2種以上組み合わせてもよい。
これらの硬化剤の割合は、硬化剤全体に対して50モル%以下、好ましくは30モル%以下、さらに好ましくは10モル%以下(例えば、0.01〜10モル%)程度である。
硬化促進剤(又は硬化触媒又は開始剤)としては、硬化剤の種類などに応じて選択でき、例えば、第4級アンモニウム塩[例えば、テトラ−n−ブチルアンモニウムクロライドなどの前記アミン系硬化剤の項で例示された第3級アミンに対応する第4級アンモニウム塩など]、アルカリ金属又はアルカリ土類金属アルコキシド、ホスフィン類(トリフェニルホスフィン、トリエチルホスフィン、トリ−n−ブチルホスフィンなど)、アミド化合物(ダイマー酸ポリアミドなど)、ルイス酸錯体化合物(3フッ化ホウ素・エチルアミン錯体など)、硫黄化合物[例えば、ポリサルファイド、メルカプタン化合物(、例えば、2−メルカプトエタノール、チオグリコール酸エステル、トリメチロールプロパントリス(β−チオプロピオネート)など)、チオエステル化合物(例えば、S−フェニルチオアセテートなど)など]、ホウ素化合物(フェニルジクロロボランなど)、縮合性有機金属化合物(有機チタン化合物、有機アルミニウム化合物など)などが挙げられる。また、アミン系硬化剤が第1級アミンである場合、アミン系硬化剤の項で例示された第3級窒素原子を含むアミン(第3級アミン及びイミダゾール類)を第1級アミンに対する硬化促進剤として利用してもよい。硬化促進剤は、単独で又は2種以上組み合わせてもよい。
硬化促進剤の割合は、その種類にもよるが、例えば、硬化性成分100重量部に対して、0.001〜50重量部、好ましくは0.005〜30重量部、さらに好ましくは0.01〜10重量部程度であってもよい。
慣用の添加剤としては、例えば、希釈剤(単官能性エポキシ化合物などの反応性希釈剤など)、着色剤、安定剤(熱安定剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤など)、充填剤、帯電防止剤、難燃剤、難燃助剤などを含んでいてもよい。希釈剤や添加剤は、単独で又は2種以上組み合わせて使用してもよい。
[硬化物]
本発明の硬化物は、前記硬化性組成物を硬化させて形成されている。特に、本発明のエピスルフィド化合物(1)は、硬化性に優れているため、少量のアミン系硬化剤の配合により、強度の高い硬化物を形成できる。
硬化物は、前記硬化性組成物を反応させる(硬化処理する)ことにより得ることができる。このような硬化処理は、硬化物の所望の形状に応じて、硬化性組成物を成形しつつ又は成形(又は予備成形)した後、行ってもよい。なお、硬化物の形状としては、三次元的硬化物、硬化膜や硬化パターンなどの一次元又は二次元的硬化物、点又はドット状硬化物などが挙げられる。具体的には、前記成形体は、前記硬化性組成物の硬化物で形成された所望の形状の製品、基材上に形成された前記硬化性組成物の硬化物で形成された硬化膜(塗膜)などであってもよい。例えば、前記硬化性組成物を、加熱溶融し、所定の型に流し込んで加熱することにより硬化し、所望の形状の成形体を得ることができる。また、硬化膜は、液状の硬化性組成物を、基材上に塗布し、乾燥し、次いで加熱することにより、基材上に形成することができる。なお、硬化性組成物を溶媒に溶解又は分散し、液状の硬化性組成物を得てもよい。成形方法及び硬化条件は特に限定されないが、例えば、所定の金型を用いて成形する場合には、加熱加圧による成形法やコールドプレスと呼ばれる低温成形法が用いられる。
硬化処理は、加熱などにより行うことができ、これらを組み合わせて行ってもよい。通常、少なくとも加熱により硬化処理を行う場合が多い。
硬化処理において、加熱温度としては、例えば、50〜250℃、好ましくは60〜200℃、さらに好ましくは80〜180℃(特に90〜170℃)程度であってもよく、160℃以下[例えば、60〜155℃、好ましくは150℃以下(例えば、70〜145℃)、さらに好ましくは140℃以下(例えば、90〜135℃)]であってもよい。本発明の硬化性組成物は、硬化性に優れており、比較的低温で硬化可能である。
また、加熱時間(硬化処理時間)は、例えば、10分〜24時間、好ましくは30分〜18時間、さらに好ましくは1〜12時間(例えば、2〜8時間)程度であってもよい。なお、硬化による内部応力を緩和するため、硬化処理は段階的に行ってもよく、例えば、比較的低温で加熱処理したのち、より高温で加熱処理してもよい。
なお、硬化処理(加熱処理)は、不活性ガス雰囲気中で行ってもよい。不活性ガス中で行うことで、硬化物の着色を効率よく抑制できる場合がある。また、硬化処理は、常圧下又は加圧下で行ってもよい。
また、硬化物を膜状(フィルム状、薄膜状)に形成する場合には、硬化性組成物を、基板(又は基体)に塗布することにより形成してもよい。基板は、例えば、樹脂、ガラス、セラミックなどの絶縁性基板、結晶シリコンやアモルファスシリコンなどの半導体基板、金属などの導体基板、これらの基板上に導体層を形成したもの、さらにはこれらを複合したものなどが挙げられる。
基板に塗膜(薄膜)を形成する塗布法としては、特に限定されないが、例えば、スピンコーティング法、ロールコーティング法、バーコーティング法、スリットコーティング法、グラビアコーティング法、スプレーコーティング法、ディッピング法、スクリーン印刷法などを挙げることができる。
塗膜(又は硬化物)の厚みは、硬化物の用途に応じて、例えば、0.01μm〜10mm、好ましくは0.05μm〜1mm、さらに好ましくは0.1〜100μm程度であってもよい。本発明では、比較的厚みの大きい[例えば、1μm以上(例えば、5〜1000μm)、好ましくは10μm以上(例えば、15〜800μm)、さらに好ましくは20μm以上(例えば、30〜500μm)の]硬化物を得ることもできる。
基板に塗布した硬化性組成物は、必要に応じて、乾燥処理を行ってもよい。乾燥処理は、公知の方法を用いて行うことができる。乾燥処理は、例えば、常圧下、加圧下または減圧下において行ってもよく、加熱手段(ホットプレート、オーブンなど)により加温して行ってもよい。加温時の温度は、使用する溶媒や乾燥方法によっても異なるが、通常、40〜200℃、好ましくは50〜170℃、さらに好ましくは60〜150℃程度であってもよい。
基板に塗布された塗膜は、上記のように、必要に応じて乾燥処理されたのち、通常、硬化処理される。硬化処理において、加熱温度や加熱時間は、前記と同様の範囲から選択できる。
本発明の硬化物は、高屈折率、高耐熱性などの特性を有している。硬化物のガラス転移温度は80℃以上であってもよく、アミン系硬化剤としてイミダゾール類などの第3級窒素原子を含むアミンを用いた場合、120℃以上であってもよく、好ましくは120〜180℃、さらに好ましくは130〜150℃程度であってもよい。
硬化物の屈折率(光源波長589nm)は1.64以上であってもよく、アミン系硬化剤としてイミダゾール類などの第3級窒素原子を含むアミンを用いた場合、例えば1.645以上であってもよく、好ましくは1.645〜1.66、さらに好ましくは1.65〜1.66程度であってもよい。
また、透明性に優れ、例えば、波長350nm、400nm及び450nmにおける光線透過率が、いずれも80%以上(例えば、82〜100%)、好ましくは85%以上(例えば、88〜99.9%)、さらに好ましくは90%以上(例えば、92〜99.5%)の硬化物を得ることもできる。
本発明の硬化物は、強固に架橋されており、ゲル分率は、例えば、50重量%以上(特に90重量%以上)であってもよく、例えば、50〜100重量%、好ましくは80〜100重量%、さらに好ましくは90〜100重量%(特に95〜100重量%)程度であってもよい。詳細には、ゲル分率は、後述する実施例で記載の測定方法で測定できる。
以下に、実施例に基づいて本発明をより詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例によって限定されるものではない。
なお、各種特性の測定や評価は以下の方法によって行った。
(GPC(ゲル浸透クロマトグラフィー))
高速GPC装置(東ソー(株)製「HLC−8320GPC」)を用い、試料をテトラヒドロフランに溶解させ、流量1.0mL/分、注入量100μL、温度40℃で測定した。
(HPLC)
高速液体クロマトグラフィー((株)日立ハイテクノロジーズ製「L−2000」)を用い、試料の希釈倍率2000倍(アセトニトリル)、温度30℃、波長254nm、流量0.5mL/分の条件下、水/アセトニトリル(重量比)=30/70で30分、その後、水/アセトニトリル(重量比)=0/100で30分測定した。
(ゲル分率)
実施例及び比較例で得られた硬化物をテトラヒドロフラン(THF)溶媒中で60℃、12時間撹拌した。その後硬化物を80℃で1日間減圧乾燥した。なお、抽出溶媒のTHFは2時間ごとに交換した。そして、抽出前後の硬化物の重量変化から次式を用いてゲル分率を算出した。
ゲル分率(%)=(抽出後の硬化物の重量/抽出前の硬化物の重量)×100。
(引張強度)
引張試験はインストロン型引張試験機((株)島津製作所製「AGS−J」)を用いて行った。測定条件は、クロスヘッドスピードを2mm/分、最大荷重を100kgとした。なお、試験片の大きさ及び形状はJIS−K−7161及びJIS−K−7162に従い、試験片サイズは1(1/5)号型、全長は30mm、幅は4mm、厚みは1.5mm、平行部分の長さは12mm、平行部分の幅は2mm、丸みの半径は12mm、つかみ具間距離は23mm、標線間距離は10mmとした。
(ガラス転移温度)
ガラス転移温度は、動的粘弾性測定のtanδを、ピークトップを測定することで得た。動的粘弾性測定には、非共振強制振動型粘弾性測定解析装置((株)ユービーエム製「DVE−V4」)を用いて行った。測定条件は、温度を変えながら、引張モードで正弦波の付加を加えることによって行った。なお、測定温度範囲は−150℃〜250℃、昇温速度は2.0℃/分、周波数は10Hz、変位振幅は5μmとした。また、試験片は厚み0.4mm×幅4.0mm×長さ30.0mmの直方体とした。なお、貯蔵弾性率E’及びtanδ値は以下の式により算出した。
Figure 2016029162
(式中、E:複素弾性率、E’:貯蔵弾性率、E’’:損失弾性率、W:試験片の幅、T:試験片の厚み、CD:試験片の長さ、DF:応力信号の振幅、DD:歪み信号のふり幅、δ:位相差を示す)。
(屈折率)
多波長アッベ屈折計「DR−M2/1550」((株)アタゴ製)を用い、光源波長589nm、測定温度25℃で測定した。
(光線透過率)
分光光度計「U3000」((株)日立ハイテクノロジーズ製)を用い、300〜800nmの波長で測定した。
(密度)
密度の測定は、JIS Z8807の「液中ひょう量法による密度及び比重の測定方法」に準拠して行った。
実施例1
9,9−ビス[4−(2−ヒドロキシエトキシ)フェニル]フルオレン(大阪ガスケミカル(株)製、以下、BPEFという)42g(0.096モル)をクロロメチルオキシラン(特級、キシダ化学(株)製)88g(0.96モル)に溶解し、さらにベンジルトリエチルアンモニウムクロライド(特級、関東化学(株)製)2.0gを加え、60℃にて1時間攪拌した。次に、減圧下(650mmHg)、45℃にて40%水酸化ナトリウム水溶液30gを1.5時間かけて滴下した。その間、生成する水をクロロメチルオキシランとの共沸により系外に除き、留出したクロロメチルオキシランは系内に戻した。滴下終了後、さらに3時間反応を継続した。その後、濾過により生成した塩を取り除き、さらに水洗した後、クロロメチルオキシランを留去して粘性液体を得た。得られた粘性液体をHPLC及びGPCにて分析した結果、9,9−ビス[4−(2−グリシジルオキシエトキシ)フェニル]フルオレン[又は9,9−ビス(4−ヒドロキシエトキシフェニル)フルオレンのジグリシジルエーテル、BPF−2EOGという]を主として含むエポキシ化合物(エポキシ樹脂)であることを確認した。
得られた粘性液体60.46重量部及びテトラヒドロフラン(THF、ナカライテスク(株)製)567重量部を添加し、溶解させた。
また、別の1Lのフラスコにチオ尿素(ナカライテスク(株)製)29.27重量部(385mmol)及びメタノール462重量部を添加し、チオ尿素のメタノール溶液を得た。
2Lのフラスコに滴下ロートを取り付け、チオ尿素のメタノール溶液を入れ、室温にて0.5時間かけて滴下した。滴下終了後、40〜54℃に加熱して44時間反応させた。反応の進行は、HPLC分析により確認し、BPF−2EOGに対応するピークが消失するまで反応を行った。その後、室温に戻した反応液をロータリーエバポレーターで約100gまで濃縮し、蒸留水400mLを投入した後、酢酸エチルにて抽出(400mL及び200mLでそれぞれ一回抽出)し、ブライン洗浄し、硫酸マグネシウムで乾燥した。
その後、溶媒を留去し、粘性液体(66.39重量部)を得た。なお、粘性液体には、酢酸エチルが5.3重量%残っており、固形分の収率は99.1重量%であった。得られた粘性液体をHPLC、GPC、FT−IR及びNMRにて分析した結果、9−ビス[4−(2−グリシジルオキシエトキシ)フェニル]フルオレンのエピスルフィド化合物(下記式で表される化合物)を主として含む粘性液体であることを確認した。純度は96.2%であった。なお、純度はHPLCによる面積比で求めた。
Figure 2016029162
H−NMR:δ(ppm)=7.7(d,2H)、7.2−7.4(m,6H)、7.1(d,4H)6.8(d,4H)、4.1(dd,2H)、3.8(dd,2H)、3.7(dd,2H)、3.5(dd、2H)、3.1(q、2H)、2.5(dd,2H)、2.2(dd,2H)。
さらに、得られたエピスルフィド化合物の屈折率(25℃、589nm)は、1.6262であった。
このエピスルフィド化合物3.000gをアルミカップに測り、110℃に設定したホットプレート上で完全に溶解させた後、硬化剤として1,3−BAC(東京化成工業(株)製「1,3−ビスアミノシクロヘキサン」)0.365gを添加し、110℃に設定したホットプレート上で均一になるまで攪拌した。エピスルフィド化合物のチオエポキシ基と、硬化剤のアミノ基とのモル比(当量比)は、チオエポキシ基/アミノ基=100/40であった。この混合物を40℃で2時間、80℃で2時間、120℃で2時間加熱硬化して硬化物を得た。昇温速度は2℃/分とした。
実施例2
エピスルフィド化合物のチオエポキシ基と、硬化剤のアミノ基とのモル比(当量比)を、チオエポキシ基/アミノ基=100/50とする以外は実施例1と同様にして硬化物を得た。
参考例1
エピスルフィド化合物のチオエポキシ基と、硬化剤のアミノ基とのモル比(当量比)を、チオエポキシ基/アミノ基=100/20とする以外は実施例1と同様にして硬化物を得た。
比較例1
エピスルフィド化合物のチオエポキシ基と、硬化剤のアミノ基とのモル比(当量比)を、チオエポキシ基/アミノ基=100/70とする以外は実施例1と同様にして硬化物を得た。
比較例2
フルオレンエピスルフィド化合物の代わりに、エピスルフィド化する前のエポキシ化合物を用い、エポキシ化合物のエポキシ基と、硬化剤のアミノ基とのモル比(当量比)を、エポキシ基/アミノ基=100/70とする以外は実施例1と同様にして硬化物を得た。
実施例1〜2、参考例1及び比較例1〜2で得られた硬化物のゲル分率、実施例2の引張強度及び屈折率を測定した結果を表1に示す。
Figure 2016029162
表1の結果から明らかなように、実施例の硬化物のゲル分率が高いのに対して、比較例の硬化物のゲル分率は低かった。
実施例3
実施例1で得られたフルオレンエピスルフィド化合物を容器に測りとり、85℃で完全に溶解させた後に、硬化促進剤として2E4MZ(2−エチル−4−メチルイミダゾール)をエピスルフィド化合物のチオエポキシ基と、硬化剤の第3級窒素原子とのモル比(当量比)を、チオエポキシ基/第3級窒素原子=100/0.65となるように加え85℃で均一になるまで撹拌した。この混合物を40℃で2時間、80℃で2時間、120℃で2時間加熱硬化させた。なお、昇温速度は2℃/分とした。
実施例4
エピスルフィド化合物のチオエポキシ基と、硬化剤の第3級窒素原子とのモル比(当量比)を、チオエポキシ基/第3級窒素原子=100/1.3とする以外は実施例3と同様にして硬化物を得た。
実施例5
エピスルフィド化合物のチオエポキシ基と、硬化剤の第3級窒素原子とのモル比(当量比)を、チオエポキシ基/第3級窒素原子=100/2.6とする以外は実施例3と同様にして硬化物を得た。
実施例6
エピスルフィド化合物のチオエポキシ基と、硬化剤の第3級窒素原子とのモル比(当量比)を、チオエポキシ基/第3級窒素原子=100/5.2とする以外は実施例3と同様にして硬化物を得た。
比較例3
フルオレンエピスルフィド化合物の代わりに、エピスルフィド化する前のエポキシ化合物を用い、エポキシ化合物のエポキシ基と、硬化剤の第3級窒素原子とのモル比(当量比)を、エポキシ基/第3級窒素原子=100/0.65とする以外は実施例3と同様にして硬化物を得た。
比較例4
エポキシ化合物のエポキシ基と、硬化剤の第3級窒素原子とのモル比(当量比)を、エポキシ基/第3級窒素原子=100/1.3とする以外は比較例3と同様にして硬化物を得た。
比較例5
エポキシ化合物のエポキシ基と、硬化剤の第3級窒素原子とのモル比(当量比)を、エポキシ基/第3級窒素原子=100/2.6とする以外は比較例3と同様にして硬化物を得た。
比較例6
エポキシ化合物のエポキシ基と、硬化剤の第3級窒素原子とのモル比(当量比)を、エポキシ基/第3級窒素原子=100/5.2とする以外は比較例3と同様にして硬化物を得た。
実施例3〜6及び比較例3〜6で得られた硬化物のゲル分率、ガラス転移温度、屈折率及び引張強度を測定した結果を表2に示す。
Figure 2016029162
表2の結果から明らかなように、実施例の硬化物の高い屈折率を示すのに対して、比較例の硬化物の屈折率は低かった。特に、実施例では、硬化剤の割合が低下すると、屈折率が向上する傾向が見られた。さらに、実施例の硬化物が1.3当量の硬化剤量で高いガラス転移温度を示すのに対して、比較例の硬化物では、5.2当量の硬化剤量で高いガラス転移温度を示しており、耐熱性を向上させるためには、多量の硬化剤が必要となり、光学特性が低下した。
なお、実施例1及び3の硬化物の密度を測定した結果が、実施例1の硬化物が1.236g/cmであるのに対して、実施例3の硬化物の密度1.255g/cmであり、イミダゾール類を硬化剤として用いた硬化物の方が高密度であった。
さらに、実施例1及び3において、エピスルフィド化合物の全部又は一部(30モル%又は10モル%)をエポキシ化合物に置き換えて硬化物を製造した後、屈折率を測定した結果を図1に示す。図1は、横軸のエピスルフィド化合物の割合と縦軸の屈折率との関係を示すが、何れの実施例においても、エピスルフィド化合物の割合が多くなるにつれて屈折率も向上した。さらに、硬化剤として、第1級アミン(1,3−BAC)を用いた実施例1よりも、イミダゾール(2E4MZ)を用いた実施例3の方が高い屈折率を示した。
本発明の硬化性組成物は、高屈折率、高耐熱性などの優れた特性を有している。また、フルオレン骨格を有しているため、顔料などの添加剤の分散性にも優れている。
このような本発明の硬化性組成物(又は硬化物)は、電子部品の層間の絶縁材、プリント基板用のソルダーレジスト、カバーレイなどのレジスト材料などとして有用である他、カラーフィルター、インキ(印刷インキなど)、封止剤(半導体封止剤など)、塗料、コーティング剤、接着剤、粘着剤、アンダーフィル、帯電防止剤、充填材、導電部材又は導電材料、積層材料、感熱材料(感熱紙用材料など)、カーボン材料、絶縁材料、発泡体、感圧材料、燃料電池用膜、光学材料(透明材料)[例えば、レンズ(リフローレンズ、ピックアップレンズ、マイクロレンズなど)、偏光膜、反射防止フィルム、タッチパネル用フィルム、フレキシブル基板用フィルム、ディスプレイ用フィルム、光ファイバー、光導波路、ホログラム]などのあらゆる材料(電気・電子材料、光学材料など)として有用である。

Claims (11)

  1. 下記式(1)で表されるエピスルフィド化合物を含む硬化性成分とアミン系硬化剤とを含む硬化性組成物であって、前記硬化性成分のチオエポキシ基と、前記アミン系硬化剤の窒素原子とのモル比が、チオエポキシ基/窒素原子=100/0.1〜100/65である硬化性組成物。
    Figure 2016029162
    (式中、環Zは芳香族炭化水素環、Rは置換基、Rはアルキレン基、Rは置換基を示し、kは0〜4の整数、mは1以上の整数、nは0以上の整数である)
  2. アミン系硬化剤が第1級アミンであり、かつ硬化性成分のチオエポキシ基と、前記第1級アミンのアミノ基とのモル比が、チオエポキシ基/アミノ基=100/30〜100/65である請求項1記載の硬化性組成物。
  3. エピスルフィド化合物のチオエポキシ基とアミン系硬化剤のアミノ基とのモル比が、チオエポキシ基/アミノ基=100/35〜100/60である請求項2記載の硬化性組成物。
  4. アミン系硬化剤が、環状脂肪族ポリアミン、芳香脂肪族ポリアミン及び芳香族ポリアミンからなる群より選択された少なくとも1種である請求項2又は3記載の硬化性組成物。
  5. アミン系硬化剤が第3級窒素原子を含むアミンであり、かつ硬化性成分のチオエポキシ基と、前記アミン系硬化剤の第3級窒素原子とのモル比が、チオエポキシ基/第3級窒素原子=100/0.3〜100/5である請求項1記載の硬化性組成物。
  6. 第3級窒素原子を含むアミンがイミダゾール類である請求項5記載の硬化性組成物。
  7. 式(1)で表されるエピスルフィド化合物の割合が、硬化性成分全体に対して50モル%以上である請求項1〜6のいずれかに記載の硬化性組成物。
  8. 式(1)において、Rがアルキル基、kが0〜1、RがC2−4アルキレン基、mが1〜10、Rがアルキル基又はアリール基、nが0〜4である請求項1〜7のいずれかに記載の硬化性組成物。
  9. 請求項1〜8のいずれかに記載の組成物を硬化させた硬化物。
  10. ゲル分率が90重量%以上である請求項9記載の硬化物。
  11. 請求項1〜8のいずれかに記載の組成物を加熱処理して硬化させる硬化物の製造方法。
JP2015141454A 2014-07-22 2015-07-15 エピスルフィド化合物を含む硬化性組成物並びに硬化物及びその製造方法 Active JP6546023B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2015141454A JP6546023B2 (ja) 2014-07-22 2015-07-15 エピスルフィド化合物を含む硬化性組成物並びに硬化物及びその製造方法

Applications Claiming Priority (3)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2014149267 2014-07-22
JP2014149267 2014-07-22
JP2015141454A JP6546023B2 (ja) 2014-07-22 2015-07-15 エピスルフィド化合物を含む硬化性組成物並びに硬化物及びその製造方法

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2016029162A true JP2016029162A (ja) 2016-03-03
JP6546023B2 JP6546023B2 (ja) 2019-07-17

Family

ID=55435186

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2015141454A Active JP6546023B2 (ja) 2014-07-22 2015-07-15 エピスルフィド化合物を含む硬化性組成物並びに硬化物及びその製造方法

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP6546023B2 (ja)

Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2021109898A (ja) * 2020-01-08 2021-08-02 公立大学法人大阪 硬化性組成物ならびに硬化物およびその製造方法
WO2023223891A1 (ja) * 2022-05-19 2023-11-23 信越化学工業株式会社 チオエポキシ基及び(メタ)アリル基含有フルオレン化合物、及びその製造方法
WO2023223892A1 (ja) * 2022-05-19 2023-11-23 信越化学工業株式会社 チオエポキシ基及び(メタ)アリル基含有フルオレン基を有する有機ケイ素化合物、及びその製造方法

Citations (5)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2000186087A (ja) * 1998-10-15 2000-07-04 Mitsubishi Gas Chem Co Inc エピスルフィド化合物の製造方法
JP2001181276A (ja) * 1999-12-27 2001-07-03 Nippon Steel Chem Co Ltd 新規な芳香族エピスルフィド化合物、これを含有する組成物及び硬化物
JP2005041925A (ja) * 2003-07-23 2005-02-17 Nagase Chemtex Corp エポキシ樹脂封止材組成物
JP2009155256A (ja) * 2007-12-26 2009-07-16 Osaka Gas Co Ltd フルオレン骨格を有するエポキシ化合物
JP2013124339A (ja) * 2011-12-15 2013-06-24 Kansai Univ フルオレン骨格を有するエピスルフィド化合物およびその硬化物

Patent Citations (5)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2000186087A (ja) * 1998-10-15 2000-07-04 Mitsubishi Gas Chem Co Inc エピスルフィド化合物の製造方法
JP2001181276A (ja) * 1999-12-27 2001-07-03 Nippon Steel Chem Co Ltd 新規な芳香族エピスルフィド化合物、これを含有する組成物及び硬化物
JP2005041925A (ja) * 2003-07-23 2005-02-17 Nagase Chemtex Corp エポキシ樹脂封止材組成物
JP2009155256A (ja) * 2007-12-26 2009-07-16 Osaka Gas Co Ltd フルオレン骨格を有するエポキシ化合物
JP2013124339A (ja) * 2011-12-15 2013-06-24 Kansai Univ フルオレン骨格を有するエピスルフィド化合物およびその硬化物

Cited By (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2021109898A (ja) * 2020-01-08 2021-08-02 公立大学法人大阪 硬化性組成物ならびに硬化物およびその製造方法
JP7368806B2 (ja) 2020-01-08 2023-10-25 公立大学法人大阪 硬化性組成物ならびに硬化物およびその製造方法
WO2023223891A1 (ja) * 2022-05-19 2023-11-23 信越化学工業株式会社 チオエポキシ基及び(メタ)アリル基含有フルオレン化合物、及びその製造方法
WO2023223892A1 (ja) * 2022-05-19 2023-11-23 信越化学工業株式会社 チオエポキシ基及び(メタ)アリル基含有フルオレン基を有する有機ケイ素化合物、及びその製造方法

Also Published As

Publication number Publication date
JP6546023B2 (ja) 2019-07-17

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP5581180B2 (ja) フルオレン骨格を有するエポキシ樹脂組成物およびその硬化物
JP5941668B2 (ja) 9,9−ビス(縮合多環式アリール)フルオレン骨格を有するエピスルフィド化合物およびその硬化物
JP6952684B2 (ja) 硬化樹脂用組成物及びその硬化物
TW202144451A (zh) 硬化性組合物及使其硬化而成之硬化物
TWI722027B (zh) 環氧系反應性稀釋劑及含有其之環氧樹脂組合物
KR20070043716A (ko) 에폭시 수지, 에폭시 수지 조성물 및 그의 경화물
KR20180111888A (ko) 플루오렌 골격을 갖는 비스페놀류 및 그 제조 방법, 그리고 그 비스페놀류로부터 유도되는 폴리아릴레이트 수지, (메트)아크릴레이트 화합물 및 에폭시 수지
US5939473A (en) Epoxy resin, resin composition, and resin-encapsulated semiconductor device
WO2019013081A1 (ja) エポキシ樹脂、およびこれを含むエポキシ樹脂組成物、並びに前記エポキシ樹脂組成物を用いた硬化物
JP6546023B2 (ja) エピスルフィド化合物を含む硬化性組成物並びに硬化物及びその製造方法
JP2019172996A (ja) エポキシ樹脂、エポキシ樹脂組成物及び硬化物
US20160122466A1 (en) Curable epoxy resin composition and cured product thereof, diolefin compound and production method therefor, and production method for diepoxy compound
JP5186200B2 (ja) フルオレン骨格を有するエポキシ化合物
JP6428606B2 (ja) 新規ポリカルボン酸無水物及びその用途
JP6600972B2 (ja) オリゴフルオレンエポキシ樹脂、エポキシ樹脂組成物、及びその硬化物
JP5198788B2 (ja) エポキシ樹脂組成物およびその硬化物
JP5860278B2 (ja) フルオレン骨格を有するエピスルフィド化合物およびその硬化物
JP6013563B2 (ja) フルオレン骨格を有するエピスルフィド化合物およびその硬化物
JP5860321B2 (ja) 新規フルオレンエポキシ化合物
JP2016199472A (ja) ビスフェノキシフェノールフルオレン骨格を有するエポキシ樹脂
WO2019017013A1 (ja) エポキシ樹脂、およびこれを含むエポキシ樹脂組成物、並びに前記エポキシ樹脂組成物を用いた硬化物
JP6587516B2 (ja) 硬化性組成物並びに硬化物及びその製造方法
TW202214736A (zh) 改質苯氧基樹脂、其製造方法、樹脂組成物、硬化物、電氣電子電路用積層板
JP2016216485A (ja) フルオレン骨格を有するエピスルフィド化合物およびその硬化物
KR20080013902A (ko) 에폭시 수지, 그 제조 방법 및 그 용도

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20180307

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A821

Effective date: 20180307

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20190131

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20190205

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20190314

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20190611

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20190620

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Ref document number: 6546023

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250