JP6587516B2 - 硬化性組成物並びに硬化物及びその製造方法 - Google Patents

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本発明は、フルオレン骨格とオキシラン環及び/又はチイラン環とを有する硬化性成分及び金属酸化物を含む硬化性組成物並びにその硬化物及び硬化物の製造方法に関する。
エポキシ樹脂は、種々の硬化剤で硬化させることにより、機械的性質、耐水性、耐薬品性、耐熱性、電気的性質などに優れた硬化物を形成する。そのため、エポキシ樹脂は、接着剤、塗料、積層板、成形材料、注型材料などの幅広い分野に利用されている。従来、工業的に最も使用されているエポキシ樹脂として、ビスフェノールA型エポキシ樹脂などが知られているが、このようなエポキシ樹脂には、用途によっては、耐熱性が不十分な場合もあった。さらに、エポキシ樹脂は光学材料などにも利用されるが、近年の光学材料では、高度な光学特性が要求されるため、高屈折率なども要求される。そこで、このような要求を充足させるために、樹脂原料に9,9−ビスフェニルフルオレン骨格を導入するとともに、エポキシ化合物の代わりにエピスルフィド化合物を用いる試みも行われている。
特開2001−181276号公報(特許文献1)には、下記式で表されるエピスルフィド化合物が開示されている。
Figure 0006587516
(式中、Xは酸素原子又は硫黄原子を示し、少なくとも一つは硫黄原子である。また、R〜Rは水素原子、ハロゲン原子又は炭素数1〜4のアルキル基を示し、同じであっても、異なってもよい)。
この文献には、前記エピスルフィド化合物の硬化剤として、公知のエポキシ樹脂の硬化剤が例示され、多価カルボン酸無水物、ポリフェノール類が好ましいと記載されている。さらに、この文献の実施例では、硬化剤として、メチルヘキサヒドロ無水フタル酸又はテトラヒドロ無水フタル酸が使用されている。
しかし、このエピスルフィド化合物は、固体であり、溶融粘度も高いため、成形性やハンドリング性が十分でない。
そこで、優れたハンドリング性と、高耐熱性や高屈折率などとを両立できるフルオレン骨格含有エピスルフィド化合物として、特開2013−124339号公報(特許文献2)には、下記式(1)で表されるエピスルフィド化合物が開示されている。
Figure 0006587516
(式中、環Zは芳香族炭化水素環、Rは置換基、Rはアルキレン基、Rは置換基を示し、kは0〜4の整数、mは1以上の整数、nは0以上の整数である)。
この文献には、前記エピスルフィド化合物をエポキシ樹脂と混合することで、硬化剤との反応性を向上でき、硬化剤として、アミン系硬化剤、ポリアミノアミド系硬化剤、酸無水物系硬化剤、フェノール系硬化剤を利用できることが記載されている。
しかし、エポキシ樹脂と組み合わせると、優れたハンドリング性と、高耐熱性や高屈折率などとを両立させるのが困難となる。
特に、近年の光学材料では、高度な高屈折率が要求される用途もあり、特許文献1及び2のいずれの硬化物でも、このような用途では屈折率が十分ではなかった。
一方、「ネットワークポリマー」Vol.27 No.1(2006), p30-36(非特許文献1)には、水添ビスフェノールA型エピスルフィド樹脂に対して、チタニウムアルコキシドモノマー又はオリゴマー(チタニウムテトライソプロポキシド)を硬化剤として用いてハイブリッド化した高屈折材料が開示されている。この文献には、ハイブリッド体において、硬化剤の含有量を10重量%まで増加させ、屈折率を1.57まで増加できることが記載されている。
しかし、このハイブリッド体でも、高度な高屈折率が要求される用途では十分ではなかった。
特開2001−181276号公報(請求項1、段落[0026]、実施例) 特開2013−124339号公報(請求項1、段落[0082][0091]、実施例)
「ネットワークポリマー」Vol.27 No.1(2006), p30-36
従って、本発明の目的は、高屈折率の自立膜を形成できる硬化性組成物並びにその硬化物及び硬化物の製造方法を提供することにある。
本発明の他の目的は、透明性、耐熱性、高誘電性及び絶縁性に優れた自立膜を形成できる硬化性組成物並びにその硬化物及び硬化物の製造方法を提供することにある。
本発明のさらに他の目的は、耐光性に優れた自立膜を形成できる硬化性組成物並びにその硬化物及び硬化物の製造方法を提供することにある。
本発明者らは、前記課題を達成するため鋭意検討した結果、フルオレン骨格とオキシラン環及び/又はチイラン環とを有する硬化性成分と金属酸化物ナノ粒子とを組み合わせて熱硬化することにより、高屈折率の自立膜を形成できることを見出し、本発明を完成した。
すなわち、本発明の硬化性組成物は、下記式(1)で表される硬化性成分と、金属酸化物ナノ粒子とを含む。
Figure 0006587516
(式中、環Zは芳香族炭化水素環、Rは置換基、Rはアルキレン基、Rは置換基、Xは硫黄原子又は酸素原子を示し、kは0〜4の整数、mは1以上の整数、nは0以上の整数である)。
前記金属酸化物ナノ粒子は、周期表第4A族金属酸化物ナノ粒子(特に、酸化ジルコニウムナノ粒子)であってもよい。前記金属酸化物ナノ粒子の平均粒径は30nm以下であってもよい。前記式(1)で表される硬化性成分と前記金属酸化物ナノ粒子との重量割合は、前者/後者=70/30〜5/95(特に30/70〜10/90)程度である。前記式(1)において、Rはアルキル基、kは0〜1、RはC2−4アルキレン基、mは1〜10、Rはアルキル基又はアリール基、nは0〜4、Xは硫黄原子であってもよい。
本発明には、前記硬化性組成物を硬化させた硬化物も含まれる。この硬化物の屈折率は1.7以上であってもよい。また、本発明には、前記硬化性組成物を加熱処理して硬化させる硬化物の製造方法も含まれる。
本発明では、フルオレン骨格を有する(チオ)エポキシ化合物(エピスルフィド化合物及び/又はエポキシ化合物)と金属酸化物ナノ粒子とを組み合わせて熱硬化するため、高屈折率の自立膜を形成できる。また、透明性、耐熱性、高誘電性及び絶縁性に優れた自立膜を形成できる。さらに、金属酸化物ナノ粒子として、酸化ジルコニウムナノ粒子を用いると、自立膜の耐光性も向上でき、自立膜に高い屈折率を付与できるとともに、長期間光に曝されても、自立膜の機械的特性を維持できる。
[式(1)で表される硬化性成分]
本発明の硬化性組成物は、式(1)で表される硬化性成分(硬化性成分(1))を含む。
前記式(1)において、環Zで表される芳香族炭化水素環としては、ベンゼン環、縮合多環式芳香族炭化水素環[例えば、縮合二環式炭化水素環(例えば、インデン環、ナフタレン環などのC8−20縮合二環式炭化水素環、好ましくはC10−16縮合二環式炭化水素環)、縮合三環式炭化水素環(例えば、アントラセン環、フェナントレン環など)などの縮合二乃至四環式炭化水素環など]などが挙げられる。好ましい芳香族炭化水素環は、ベンゼン環、ナフタレン環、アントラセン環などが挙げられ、特に、ベンゼン環又はナフタレン環(特にベンゼン環)が好ましい。なお、フルオレンの9位に置換する2つの環Zは同一の又は異なる環であってもよく、通常、同一の環であってもよい。
なお、フルオレンの9位に置換する環Zの置換位置は、特に限定されず、例えば、フルオレンの9位に置換するナフチル基は、1−ナフチル基、2−ナフチル基などであってもよく、特に2−ナフチル基であるのが好ましい。
また、前記式(1)において、基Rで表される置換基としては、例えば、シアノ基、ハロゲン原子(フッ素原子、塩素原子、臭素原子など)、炭化水素基[例えば、アルキル基、アリール基(フェニル基などのC6−10アリール基)など]などの非反応性置換基(特に非エポキシ系置換基)が挙げられ、特に、ハロゲン原子、シアノ基又はアルキル基(特にアルキル基)である場合が多い。アルキル基としては、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、t−ブチル基などのC1−6アルキル基(例えば、C1−4アルキル基、特にメチル基)などが例示できる。なお、基Rが複数(2以上)である場合、基Rは互いに異なっていてもよく、同一であってもよい。また、フルオレン(又はフルオレン骨格)を構成する2つのベンゼン環に置換する基Rは同一であってもよく、異なっていてもよい。また、フルオレンを構成するベンゼン環に対する基Rの結合位置(置換位置)は、特に限定されず、例えば、フルオレン環の2位、7位、2及び7位などが挙げられる。好ましい置換数kは、0〜1、特に0である。なお、フルオレンを構成する2つのベンゼン環において、置換数kは、互いに同一であってもよく、異なっていてもよい。
前記式(1)において、基Rで表されるアルキレン基としては、例えば、エチレン基、プロピレン基、トリメチレン基、1,2−ブタンジイル基、テトラメチレン基などのC2−6アルキレン基、好ましくはC2−4アルキレン基、さらに好ましくはC2−3アルキレン基、特にエチレン基が挙げられる。なお、mが2以上であるとき、アルキレン基は異なるアルキレン基で構成されていてもよく、通常、同一のアルキレン基で構成されていてもよい。
オキシアルキレン基(基OR)の数(付加モル数)mは、1以上の整数であればよく、例えば、1〜25(例えば、1〜20)程度の範囲から選択でき、通常、1〜15、好ましくは1〜10、さらに好ましくは1〜8(例えば、1〜5)、特に1〜3(例えば、1〜2)程度であってもよい。なお、2つのmは、同一又は異なっていてもよい。
また、式(1)において、2つのmの合計は、例えば、2〜30(例えば、2〜20)、好ましくは2〜15(例えば、2〜10)、さらに好ましくは2〜6(例えば、2〜4)であってもよい。2つのmの合計により、硬化物における硬さや粘度などを調整でき、このような範囲に調整することにより、高屈折率、高耐熱性で硬質の硬化物を得やすい。また、より一層硬化性に優れた硬化性成分(1)を効率よく得ることができる。なお、2つのmは、同一であってもよく、異なっていてもよい。
なお、硬化性成分(1)は、mの値が同一の化合物の集合体であってもよく、mの値が異なる化合物の集合体であってもよい。後者の場合、mの値及び2つのmの合計は、平均値(相加平均又は算術平均)である。
環Zに置換する置換基Rとしては、例えば、アルキル基(例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基などのC1−12アルキル基、好ましくはC1−8アルキル基、さらに好ましくはC1−6アルキル基など)、シクロアルキル基(シクロへキシル基などのC5−8シクロアルキル基、好ましくはC5−6シクロアルキル基など)、アリール基(例えば、フェニル基、トリル基、キシリル基などのC6−14アリール基、好ましくはC6−10アリール基、さらに好ましくはC6−8アリール基など)、アラルキル基(ベンジル基、フェネチル基などのC6−10アリール−C1−4アルキル基など)などの炭化水素基;アルコキシ基(メトキシ基などのC1−8アルコキシ基、好ましくはC1−6アルコキシ基など)、シクロアルコキシ基(C5−10シクロアルキルオキシ基など)、アリールオキシ基(C6−10アリールオキシ基など)などの基−OR[式中、Rは炭化水素基(前記例示の炭化水素基など)を示す];アルキルチオ基(メチルチオ基などのC1−8アルキルチオ基、好ましくはC1−6アルキルチオ基など)などの基−SR(式中、Rは前記と同じ);アシル基(アセチル基などのC1−6アシル基など);アルコキシカルボニル基(メトキシカルボニル基などのC1−4アルコキシ−カルボニル基など);ハロゲン原子(フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子など);ヒドロキシル基;ニトロ基;シアノ基などの非エポキシ系置換基が挙げられる。
これらのうち、基Rは、炭化水素基、アルコキシ基、シクロアルコキシ基、アリールオキシ基、アラルキルオキシ基、アシル基、ハロゲン原子、ニトロ基、シアノ基などであるのが好ましく、特に、好ましい基Rは、炭化水素基[例えば、アルキル基(例えば、C1−4アルキル基)]、アルコキシ基(C1−4アルコキシ基など)、ハロゲン原子(フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子など)などである。
なお、同一の環Zにおいて、基Rが複数(2以上)である場合、基Rは互いに異なっていてもよく、同一であってもよい。また、2つの環Zにおいて、基Rは同一であってもよく、異なっていてもよい。また、好ましい置換数nは、0〜8、好ましくは0〜6(例えば、1〜5)、さらに好ましくは0〜4、特に0〜2(例えば、0〜1)であってもよい。なお、2つの環Zにおいて、置換数nは、互いに同一又は異なっていてもよい。
硬化性成分(1)は、式(1)において、Xが硫黄原子であるエピスルフィド化合物(エピスルフィド化合物(1))、式(1)において、Xが酸素原子であるエポキシ化合物(エポキシ化合物(1))のいずれであってもよい。さらに、硬化性成分(1)は、式(1)において、一方のXが硫黄原子であり、かつ他方Xが酸素原子である化合物であってもよく、エピスルフィド化合物(1)とエポキシ化合物(1)との混合物であってもよい。これらのうち、高度な光学特性と機械的特性とを両立できる点から、エピスルフィド化合物(1)を含むのが好ましく、エピスルフィド化合物(1)単独が特に好ましい。
なお、式(1)において、下記式
Figure 0006587516
で表される基[以下、単に「(チオ)エポキシ基含有基」という]の置換位置は、特に限定されず、環Zの適当な位置に置換していればよい。例えば、環Zがベンゼン環である場合、チオエポキシ基含有基は、3位又は4位、特に4位に置換していてもよい。また、環Zが縮合多環式芳香族炭化水素環である場合には、特に、フルオレンの9位に結合した炭化水素環とは別の炭化水素環(例えば、ナフタレン環の5位、6位など)に置換していてもよく、代表的には、ナフタレン環の(チオ)エポキシ基含有基とフルオレンの置換位置との組み合わせが、1,5位、又は2,6位である場合が多い。
代表的な硬化性成分(1)には、下記式(1A)で表される化合物(式(1)において環Zがベンゼン環である化合物)、下記式(1B)で表される化合物(式(1)において環Zがナフタレン環である化合物)などが含まれる。
Figure 0006587516
(式中、n1は0〜4の整数、n2及びn3はそれぞれ0〜3の整数を示し、R、R、R、X、k、mは前記と同じ)。
代表的な硬化性成分(1)には、9,9−ビス[(2,3−エピチオプロポキシ)(ポリ)アルコキシフェニル]フルオレン類(又は式(1A)において、Xが硫黄原子であるエピスルフィド化合物)、9,9−ビス[(2,3−エピチオプロポキシ)(ポリ)アルコキシナフチル]フルオレン類(式(1B)において、Xが硫黄原子であるエピスルフィド化合物など)、9,9−ビス[グリシジルオキシ(ポリ)アルコキシフェニル]フルオレン類(又は式(1A)においてXが酸素原子であるエポキシ化合物)、9,9−ビス[グリシジルオキシ(ポリ)アルコキシナフチル]フルオレン類(式(1B)においてXが酸素原子であるエポキシ化合物など)などが挙げられる。
9,9−ビス[(2,3−エピチオプロポキシ)(ポリ)アルコキシフェニル]フルオレン類としては、例えば、9,9−ビス{4−[2−(2,3−エピチオプロポキシ)エトキシ]フェニル}フルオレン(又は9,9−ビス{4−[2−(2,3−チオエポキシプロポキシ)エトキシ]フェニル}フルオレン、以下同じ)などの9,9−ビス[2−(2,3−エピチオプロポキシ)C2−4アルコキシフェニル]フルオレン;9,9−ビス{4−[2−(2,3−エピチオプロポキシ)エトキシ]−3−メチルフェニル}フルオレン、9,9−ビス{4−[2−(2,3−エピチオプロポキシ)エトキシ]−3,5−ジメチルフェニル}フルオレンなどの9,9−ビス[2−(2,3−エピチオプロポキシ)C2−4アルコキシ−モノ又はジアルキルフェニル]フルオレン;9,9−ビス{4−[2−(2,3−エピチオプロポキシ)エトキシ]−3−フェニルフェニル}フルオレンなどの9,9−ビス[2−(2,3−エピチオプロポキシ)C2−4アルコキシ−アリールフェニル]フルオレンなどの9,9−ビス[(2,3−エピチオプロポキシ)アルコキシフェニル]フルオレン類(式(1A)において、mが1である化合物)、これらの化合物に対応し、式(1A)において、2つのmの合計が2を超える化合物などが含まれる。
9,9−ビス[グリシジルオキシ(ポリ)アルコキシフェニル]フルオレン類としては、これらのエピスルフィド化合物に対応するエポキシ化合物などが含まれる。
9,9−ビス[(2,3−エピチオプロポキシ)(ポリ)アルコキシナフチル]フルオレン類としては、例えば、9,9−ビス{6−[2−(2,3−エピチオプロポキシ)エトキシ]−2−ナフチル}フルオレン、9,9−ビス{5−[2−(2,3−エピチオプロポキシ)エトキシ]−1−ナフチル}フルオレンなどの9,9−ビス[2−(2,3−エピチオプロポキシ)C2−4アルコキシナフチル]フルオレンなどの9,9−ビス[(2,3−エピチオプロポキシ)アルコキシナフチル]フルオレン類(式(1B)において、mが1である化合物)、これらの化合物に対応し、式(1B)において、2つのmの合計が2を超える化合物などが含まれる。
9,9−ビス[グリシジルオキシ(ポリ)アルコキシナフチル]フルオレン類としては、これらのエピスルフィド化合物に対応するエポキシ化合物などが含まれる。
(硬化性成分(1)の製造方法)
硬化成分(1)のうち、エポキシ化合物(1)は、市販品を用いてもよく、慣用の方法(例えば、下記式(A)で表される化合物と、エピクロロヒドリンとを反応させる方法など)により製造したものを用いてもよい。
Figure 0006587516
(式中、Z、R、R、R、k、m、nは前記と同じ)。
なお、このエポキシ化合物(1)は、特開2009−155256号公報などを参照して製造することもできる。
一方、エピスルフィド化合物(1)は、例えば、エポキシ化合物(1)をエピスルフィド化することにより製造できる。
なお、エポキシ化合物(1)を前記のようにして製造する場合、エポキシ化合物(1)の他に、エポキシ化合物(1)の多量体(下記式(B)で表される化合物)や、単官能性のエポキシ化合物(下記式(C)で表される化合物)が生成する場合がある。
Figure 0006587516
(式中、pは1以上の整数を示し、Z、R、R、R、k、m、nは前記と同じ)。
そして、エポキシ化合物(1)と、前記式(B)で表される多量体エポキシ化合物や、式(C)で表される単官能性エポキシ化合物を含むエポキシ組成物をエピスルフィド化すると、エピスルフィド化合物(1)を含むエピスルフィド組成物が得られる。
エポキシ化合物(1)をエピスルフィド化する方法としては、特に限定されないが、代表的には、エポキシ化合物(1)と硫黄含有化合物(チオ尿素、チオシアン酸)とを反応させる方法が挙げられる。
硫黄含有化合物としては、エピスルフィド化可能であれば特に限定されず、例えば、チオ尿素、チオシアン酸又はその塩などが挙げられる。硫黄含有化合物は、単独で又は2種以上組み合わせてもよい。代表的には、チオ尿素を使用してもよい。
なお、硫黄含有化合物の割合は、エポキシ基の割合に応じて選択でき、エポキシ化合物(1)(又はエポキシ化合物(1)を含むエポキシ組成物)1モルに対して、例えば、2モル以上(例えば、2.1〜30モル)、好ましくは2.5〜20モル、さらに好ましくは3〜15モル(例えば、3〜10モル)程度であってもよい。
なお、反応は、溶媒中で行ってもよい。溶媒としては、アルコール類(エタノール、プロパノール、イソプロパノールなどのアルキルアルコール類、エチレングリコール、プロピレングリコールなどのグリコール類など)、炭化水素類(ヘキサンなどの脂肪族炭化水素類、シクロヘキサンなどの脂環式炭化水素類、トルエン、キシレンなどの芳香族炭化水素類など)、ハロゲン化炭化水素類(塩化メチレン、クロロホルムなど)、エーテル類(ジメチルエーテル、ジエチルエーテルなどの鎖状エーテル類、ジオキサン、テトラヒドロフランなどの環状エーテル類など)、エステル類(酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸ブチルなど)、ケトン類(アセトン、エチルメチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノンなど)、セロソルブ類、カルビトール類、プロピレングリコールモノアルキルエーテル類、グリコールエーテルエステル類(エチレングリコールモノメチルエーテルアセテートなど)、アミド類(N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミドなど)、スルホキシド類(ジメチルスルホキシドなど)、ニトリル類(アセトニトリル、ベンゾニトリルなど)などの有機溶媒が挙げられる。溶媒は、単独で又は混合溶媒として使用できる。
反応温度や反応時間は、使用する原料の種類に応じて適宜選択できる。反応温度は、例えば、30〜120℃、好ましくは35〜100℃、さらに好ましくは40〜70℃程度であってもよい。また、反応時間は、例えば、30分〜100時間、通常、1〜80時間、好ましくは2〜60時間程度であってもよい。
反応は、還流しながら行ってもよく、副生成分を除去しながら行ってもよい。また、反応は、攪拌しながら行ってもよく、不活性雰囲気(窒素、希ガスなど)中で行ってもよく、常圧、加圧下又は減圧下で行ってもよい。
なお、生成した化合物(エピスルフィド化合物(1)又はエピスルフィド組成物)は、慣用の方法、例えば、濾過、濃縮、抽出、晶析、再結晶、カラムクロマトグラフィーなどの分離手段や、これらを組み合わせた分離手段により分離精製してもよい。
[金属酸化物ナノ粒子]
本発明の硬化性組成物は、前記硬化性成分(1)に加えて、硬化性成分(重合成分)として、さらに金属酸化物ナノ粒子を含む。本発明では、ナノメータサイズの金属酸化物粒子が、ナノサイズでの特異な挙動を示すためか、表面修飾されていなくても、加熱により前記硬化成分(1)と反応(重合)して、自立膜を形成できる。しかも、硬化性成分(1)に対する反応性に優れるため、前記硬化性成分(1)に対して多量に配合しても自立膜を形成でき、金属酸化物による特性(高屈折率など)を自立膜に付与できる。特に、金属酸化物ナノ粒子として、周期表第4A族金属酸化物ナノ粒子を用いると、屈折率1.7以上の高度な屈折率も実現できる。
金属酸化物ナノ粒子を構成する金属酸化物としては、例えば、周期表第4A族金属酸化物(例えば、酸化チタン、酸化ジルコニウムなど)、第5A族金属酸化物(酸化バナジウムなど)、第6A族金属酸化物(酸化モリブデン、酸化タングステンなど)、第7A族金属酸化物(酸化マンガンなど)、第8族金属酸化物(酸化ニッケル、酸化鉄など)、第1B族金属酸化物(酸化銅など)、第2B族金属酸化物(酸化亜鉛など)、第3B族金属酸化物(酸化アルミニウム、酸化インジウムなど)、第4B族金属酸化物(酸化錫など)、第5B族金属酸化物(酸化アンチモンなど)などが挙げられる。これらの金属酸化物で形成された金属酸化物ナノ粒子は、単独で又は二種以上組み合わせて使用できる。
これらの金属酸化物ナノ粒子のうち、屈折率の向上効果が大きい点から、第4A族金属酸化物ナノ粒子、第2B族金属酸化物ナノ粒子が好ましく、第4A族金属酸化物ナノ粒子が特に好ましい。さらに、屈折率を向上させ、かつ自立膜の耐光性も向上できる点から、酸化ジルコニウムナノ粒子(特に二酸化ジルコニウムナノ粒子)が好ましい。
金属酸化物ナノ粒子は、溶媒中に分散された分散液の形態であってもよい。溶媒としては、例えば、水、アルコール類(メタノール、エタノール、イソプロパノール、ブタノール、シクロヘキサノールなどの低級アルコールなど)、ケトン類(アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノンなど)、エステル類(酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸プロピル、酢酸ブチル、ギ酸メチル、ギ酸エチルなど)、エーテル類(ジエチルエーテル、ジオキサン、テトラヒドロフランなど)、脂肪族炭化水素類(ヘキサンなど)、脂環式炭化水素類(シクロヘキサンなど)、芳香族炭化水素類(ベンゼンなど)、ハロゲン化炭素類(ジクロロメタン、ジクロロエタンなど)、セロソルブ類(メチルセロソルブ、エチルセロソルブなど)、セロソルブアセテート類、アミド類(ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミドなど)などが挙げられる。これらの溶媒は、単独で又は二種以上組み合わせて使用できる。これらの溶媒のうち、メチルエチルケトンなどの脂肪族ケトン類が汎用される。分散液中の金属酸化物ナノ粒子の濃度は、例えば0.1〜50重量%、好ましくは1〜40重量%、さらに好ましくは5〜30重量%程度である。
金属酸化物ナノ粒子の表面は、溶媒への分散性を向上できる点などから、シランカップリング剤などの表面処理剤によって慣用の表面処理がされていてもよいが、硬化性成分との反応性の点から、表面処理がされていないナノ粒子が好ましい。本発明では、(チオ)エポキシ基に対して反応性を有する慣用の反応性基を表面処理剤で導入していないにも拘わらず、ナノサイズでの特異な挙動を示すためか、前記硬化性成分(1)との反応性に優れている。
金属酸化物ナノ粒子の形状は、特に限定されず、例えば、球状、楕円体状、多角体形(多角錘状、正方体状、直方体状など)、板状、棒状、不定形などが挙げられるが、略球状などの等方形状が好ましい。
金属酸化物ナノ粒子の平均粒径(個数平均一次粒径)は、ナノメータサイズであればよいが、硬化性成分(1)との反応性に優れる点から、50nm以下(特に30nm以下)であってもよく、例えば1〜30nm、好ましくは5〜25nm、さらに好ましくは10〜23nm(特に15〜20nm)程度である。金属酸化物ナノ粒子の平均粒径が大きすぎると、硬化性成分(1)との反応性が低下し、自立膜を形成できなくなる虞がある。
本発明では、金属酸化物ナノ粒子の平均粒径は、慣用の方法、例えば、走査型電子顕微鏡(SEM)写真に基づいて測定できる。
前記硬化性成分(1)と金属酸化物ナノ粒子との重量割合は、前者/後者=90/10〜1/99程度の範囲から選択でき、金属酸化物ナノ粒子の割合が多くても、硬化性成分(1)との硬化物(又は重合体)を形成でき、例えば70/30〜5/95、好ましくは50/50〜7/93(例えば40/60〜15/85)、さらに好ましくは30/70〜10/90(特に25/75〜15/85)程度である。金属酸化物ナノ粒子の割合が少なすぎると、硬化膜の屈折率が低下する虞があり、多すぎると、硬化膜の機械的強度が低下する虞がある。
[他の硬化性成分]
本発明の硬化性組成物は、硬化性成分(1)及び金属酸化物ナノ粒子に加えて、他の硬化性成分を含んでいてもよい。他の硬化性成分には、前記硬化成分(1)の製造過程で混入する(チオ)エポキシ化合物や、汎用のエポキシ樹脂などが含まれる。
前記(チオ)エポキシ化合物は、エポキシ化合物(1)の製造過程で混入する前述のエポキシ化合物や、このエポキシ化合物をエピスルフィド化した化合物、すなわち、下記式(2)で表される(チオ)エポキシ化合物(多量体(チオ)エポキシ化合物)や下記式(3)で表される(チオ)エポキシ化合物(単官能性(チオ)エポキシ化合物)であってもよい。このような多量体(チオ)エポキシ化合物や単官能性(チオ)エポキシ化合物は、硬化性や硬化物の物性などを低下させる虞があるため、多量に含まれるのは好ましくないが、ハンドリング性の向上などの観点から微量であればむしろ含まれている方が好ましい場合もある。
Figure 0006587516
(式中、Z、R、R、R、X、k、m、n、pは前記と同じ)。
前記式(2)において、pは、例えば、1〜10、好ましくは1〜4、さらに好ましくは1〜3、特に1〜2程度であってもよい。通常、式(2)で表される化合物は、式(2)において、pが1である化合物を少なくとも含んでいる。式(2)で表される化合物全体に対して、式(2)においてpが1である化合物の割合は、例えば、40モル%以上(例えば、45〜100モル%)、好ましくは50モル%以上(例えば、55〜99モル%)、さらに好ましくは60モル%以上(例えば、65〜97モル%)、特に70モル%以上(例えば、75〜95モル%)であってもよい。
式(2)で表される化合物の割合は、(チオ)エポキシ化合物全体の50モル%以下(例えば、1〜45モル%)、好ましくは40モル%以下(例えば、2〜35モル%)、さらに好ましくは30モル%以下(例えば、3〜25モル%)であってもよい。
式(3)で表される化合物の割合は、(チオ)エポキシ化合物全体の30モル%以下(例えば、0.5〜25モル%)、好ましくは25モル%以下(例えば、1〜22モル%)、さらに好ましくは20モル%以下(例えば、2〜18モル%)であってもよい。
また、式(2)で表される化合物及び式(3)で表される化合物の総量の割合は、(チオ)エポキシ化合物全体の50モル%以下(例えば、1〜45モル%)、好ましくは40モル%以下(例えば、3〜35モル%)、さらに好ましくは30モル%以下(例えば、5〜25モル%)であってもよく、通常3〜20モル%(例えば、5〜15モル%)程度であってもよい。
なお、式(2)で表される化合物と式(3)で表される化合物との割合(モル比)は、例えば、前者/後者=99/1〜1/99(例えば、97/3〜10/90)、好ましくは95/5〜15/85(例えば、93/7〜20/80)、さらに好ましくは90/10〜30/70(例えば、85/15〜40/60)程度であってもよい。
本発明では、式(1)〜(3)で表される(チオ)エポキシ化合物の割合は、高速液体クロマトグラフィー(HPLC)による純度(面積比、面積%)を測定することにより求めることができる。
なお、(チオ)エポキシ化合物において、式(2)で表される化合物や式(3)で表される化合物の割合は、原料となるエポキシ化合物の製造条件などにより容易に調整することができる。また、式(2)で表される化合物や式(3)で表される化合物を別途調製し、式(1)で表される化合物と混合して(チオ)エポキシ組成物を調製することもできる。
汎用のエポキシ樹脂としては、グリシジルエーテル型エポキシ樹脂、例えば、ビスフェノール型エポキシ樹脂(ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂など)、フェノールノボラック型エポキシ樹脂、クレゾールノボラック型エポキシ樹脂、ジシクロペンタジエン変性フェノール(又はクレゾール)ノボラック型エポキシ樹脂、ビフェニル型エポキシ樹脂、トリフェノールアルカン型エポキシ樹脂(トリフェノールメタン型エポキシ樹脂など)、フェノールアラルキル型エポキシ樹脂、複素環型エポキシ樹脂(キサンテン単位を含むエポキシ樹脂を含む)、スチルベン型エポキシ樹脂、縮合環芳香族炭化水素変性エポキシ樹脂(1,6−ビス(グリシジルオキシ)ナフタレン、ビス(2,7−ビス(グリシジルオキシ)ナフチル)アルカンなどのナフタレン環含有エポキシ樹脂など)、グリシジルエステル型エポキシ樹脂、フルオレン骨格を有するエポキシ樹脂などが挙げられる。これらのエポキシ樹脂は、単独で又は2種以上組み合わせてもよい。
汎用のエポキシ樹脂の割合は、硬化性成分全体に対して30モル%以下であってもよく、例えば、20モル%以下、好ましくは10モル%以下、さらに好ましくは5モル%以下(例えば、0.01〜5モル%)である。汎用のエポキシ樹脂の割合が多すぎると、硬化物の強度及び屈折率が低下する虞がある。
[他の添加剤]
本発明の硬化性組成物は、硬化性成分及び硬化剤に加えて、他の添加剤を含んでいてもよい。他の添加剤としては、例えば、溶媒、硬化剤(エピスルフィド化合物やエポキシ化合物の慣用の硬化剤、例えば、アミン系硬化剤、ポリアミノアミド系硬化剤、酸無水物系硬化剤、フェノール系硬化剤など)、硬化促進剤、希釈剤(単官能性(チオ)エポキシ化合物などの反応性希釈剤など)、着色剤、安定剤(熱安定剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤など)、充填剤、帯電防止剤、難燃剤、難燃助剤などを含んでいてもよい。他の添加剤は、単独で又は2種以上組み合わせて使用してもよい。他の添加剤の割合は、硬化性組成物全体に対して、30重量%以下(例えば10重量%以下)であってもよい。
[硬化物]
硬化物は、前記硬化性組成物を反応させる(硬化処理する)ことにより得ることができる。このような硬化処理は、硬化物の所望の形状に応じて、硬化性組成物を成形しつつ又は成形(又は予備成形)した後、行ってもよい。なお、硬化物の形状としては、三次元的硬化物、硬化膜や硬化パターンなどの一次元又は二次元的硬化物、点又はドット状硬化物などが挙げられる。具体的には、前記成形体は、前記硬化性組成物の硬化物で形成された所望の形状の製品、基材上に形成された前記硬化性組成物の硬化物で形成された硬化膜(塗膜)などであってもよい。例えば、前記硬化性組成物を、加熱溶融し、所定の型に流し込んで加熱することにより硬化し、所望の形状の成形体を得ることができる。また、硬化膜は、液状の硬化性組成物を、基材上に塗布し、乾燥し、次いで加熱することにより、基材上に形成することができる。なお、硬化性組成物を溶媒に溶解又は分散し、液状の硬化性組成物を得てもよい。成形方法及び硬化条件は特に限定されないが、例えば、所定の金型を用いて成形する場合には、加熱加圧による成形法やコールドプレスと呼ばれる低温成形法が用いられる。
硬化処理は、加熱などにより行うことができ、これらを組み合わせて行ってもよい。通常、少なくとも加熱により硬化処理を行う場合が多い。
硬化処理において、加熱温度としては、50℃以上であればよく、例えば50〜300℃、好ましくは80〜250℃、さらに好ましくは100〜200℃(特に150〜180℃)程度である。加熱温度が低すぎると、自立膜が形成できなくなる虞がある。
また、加熱時間(硬化処理時間)は、例えば10分〜24時間、好ましくは30分〜18時間、さらに好ましくは1〜12時間(特に2〜8時間)程度であってもよい。なお、硬化による内部応力を緩和するため、硬化処理は段階的に行ってもよく、例えば、比較的低温で加熱処理したのち、より高温で加熱処理してもよい。
なお、硬化処理(加熱処理)は、不活性ガス雰囲気中で行ってもよい。不活性ガス中で行うことで、硬化物の着色を効率よく抑制できる場合がある。また、硬化処理は、常圧下又は加圧下で行ってもよい。
また、硬化物を膜状(フィルム状、薄膜状)に形成する場合には、硬化性組成物を、基板(又は基体)に塗布することにより形成してもよい。基板は、例えば、樹脂、ガラス、セラミックなどの絶縁性基板、結晶シリコンやアモルファスシリコンなどの半導体基板、金属などの導体基板、これらの基板上に導体層を形成したもの、さらにはこれらを複合したものなどが挙げられる。
基板に塗膜(薄膜)を形成する塗布法としては、特に限定されないが、例えば、スピンコーティング法、ロールコーティング法、バーコーティング法、スリットコーティング法、グラビアコーティング法、スプレーコーティング法、ディッピング法、スクリーン印刷法などを挙げることができる。
塗膜(又は硬化物)の厚みは、硬化物の用途に応じて、例えば、0.01μm〜10mm、好ましくは0.05μm〜1mm、さらに好ましくは0.1〜100μm(特に0.5〜10μm)程度であってもよい。
基板に塗布した硬化性組成物は、必要に応じて、乾燥処理を行ってもよい。乾燥処理は、公知の方法を用いて行うことができる。乾燥処理は、例えば、常圧下、加圧下又は減圧下において行ってもよい。また、乾燥処理は、室温で行ってもよく、加熱手段(ホットプレート、オーブンなど)により加温して行ってもよい。
基板に塗布された塗膜は、前述のように、必要に応じて乾燥処理された後、硬化処理される。硬化処理において、加熱温度や加熱時間は、前記と同様の範囲から選択できる。
本発明の硬化物は、高屈折率であり、具体的に、硬化物の屈折率(光源波長632nm)は1.7以上であってもよく、例えば1.73以上(例えば1.73〜1.9)、好ましくは1.75以上(例えば1.75〜1.89)、さらに好ましくは1.8以上(例えば1.8〜1.88)であってもよい。
以下に、実施例に基づいて本発明をより詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例によって限定されるものではない。なお、各種特性の測定や評価は以下の方法によって行った。
(GPC(ゲル浸透クロマトグラフィー))
高速GPC装置(東ソー(株)製「HLC−8320GPC」)を用い、試料をテトラヒドロフランに溶解させ、流量1.0mL/分、注入量100μL、温度40℃で測定した。
(HPLC)
高速液体クロマトグラフィー((株)日立ハイテクノロジーズ製「L−2000」)を用い、試料の希釈倍率2000倍(アセトニトリル)、温度30℃、波長254nm、流量0.5mL/分の条件下、水/アセトニトリル(重量比)=30/70で30分、その後、水/アセトニトリル(重量比)=0/100で30分測定した。
(FT−IRスペクトル)
測定装置としてフーリエ変換赤外装置(PERKIN ELMER社製「Spectrum 100」)を用い、測定範囲:5000〜400cm−1、積算回数:4回、分解能:4cm−1の条件で測定した。
(NMR)
核磁気共鳴装置(日本電子(株)製「AL−300」)を用い、サンプル0.02gを0.4mlの重クロロホルムに溶解し、サンプルのH−NMRスペクトルを測定した。
(屈折率)
比較例1及び2では、多波長アッベ屈折計「DR−M2/1550」((株)アタゴ製)を用いて、光源波長589nm、測定温度25℃で測定した。
参考例1及び実施例1では、エリプソメーター(ULVAC(株)製「ESM−1T」、回転検光子法)を用いて、測定光は波長632nmのHe−Neレーザーを使用し、入射角70°固定で測定した。
比較例1
9,9−ビス[4−(2−ヒドロキシエトキシ)フェニル]フルオレン(大阪ガスケミカル(株)製、以下、BPEFという)42g(0.096モル)をクロロメチルオキシラン(特級、キシダ化学(株)製)88g(0.96モル)に溶解し、さらにベンジルトリエチルアンモニウムクロライド(特級、関東化学(株)製)2.0gを加え、60℃にて1時間攪拌した。次に、減圧下(650mmHg)、45℃にて40%水酸化ナトリウム水溶液30gを1.5時間かけて滴下した。その間、生成する水をクロロメチルオキシランとの共沸により系外に除き、留出したクロロメチルオキシランは系内に戻した。滴下終了後、さらに3時間反応を継続した。その後、濾過により生成した塩を取り除き、さらに水洗した後、クロロメチルオキシランを留去して粘性液体を得た。得られた粘性液体をHPLC及びGPCにて分析した結果、9,9−ビス[4−(2−グリシジルオキシエトキシ)フェニル]フルオレン[又は9,9−ビス(4−ヒドロキシエトキシフェニル)フルオレンのジグリシジルエーテル、BPF−2EOGという]を主として含むエポキシ化合物(エポキシ樹脂)であることを確認した。
得られた粘性液体60.46g及びテトラヒドロフラン(THF、ナカライテスク(株)製)567gを添加し、溶解させた。
また、別の1Lのフラスコにチオ尿素(ナカライテスク(株)製)29.27g(385mmol)及びメタノール462gを添加し、チオ尿素のメタノール溶液を得た。
2Lのフラスコに滴下ロートを取り付け、チオ尿素のメタノール溶液を入れ、室温にて0.5時間かけて滴下した。滴下終了後、40〜54℃に加熱して44時間反応させた。反応の進行は、HPLC分析により確認し、BPF−2EOGに対応するピークが消失するまで反応を行った。その後、室温に戻した反応液をロータリーエバポレーターで約100gまで濃縮し、蒸留水400mLを投入した後、酢酸エチルにて抽出(400mL及び200mLでそれぞれ一回抽出)し、ブライン洗浄し、硫酸マグネシウムで乾燥した。
その後、溶媒を留去し、粘性液体(66.39g)を得た。なお、粘性液体には、酢酸エチルが5.3重量%残っており、固形分の収率は99.1重量%であった。得られた粘性液体をHPLC、GPC、FT−IR及びNMRにて分析した結果、9−ビス[4−(2−グリシジルオキシエトキシ)フェニル]フルオレンのエピスルフィド化合物(下記式で表される化合物)を主として含む粘性液体であることを確認した。純度は96.2%であった。なお、純度はHPLCによる面積比で求めた。
Figure 0006587516
H−NMR:δ(ppm)=7.7(d,2H)、7.2−7.4(m,6H)、7.1(d,4H)6.8(d,4H)、4.1(dd,2H)、3.8(dd,2H)、3.7(dd,2H)、3.5(dd、2H)、3.1(q、2H)、2.5(dd,2H)、2.2(dd,2H)。
さらに、得られたエピスルフィド化合物の屈折率(25℃、589nm)は、1.626であった。
このエピスルフィド化合物3gをアルミカップに測り、110℃に設定したホットプレート上で完全に溶解させた後、硬化剤として1,3−BAC(東京化成工業(株)製「1,3−ビスアミノシクロヘキサン」)0.365gを添加し、110℃に設定したホットプレート上で均一になるまで攪拌した。この混合物を40℃で2時間、80℃で2時間、120℃で2時間加熱硬化して硬化物を得た。昇温速度は2℃/分とした。得られた硬化膜の屈折率は1.640であった。
比較例2
比較例1で得られたフルオレンエピスルフィド化合物3gをアルミカップに測りとり、85℃で完全に溶解させた後に、硬化剤として2E4MZ(東京化成工業(株)製「2−エチル−4−メチルイミダゾール」)0.0075gを添加し、85℃に設定したホットプレート上で均一になるまで攪拌した。この混合物を40℃で2時間、80℃で2時間、120℃で2時間加熱硬化して硬化物を得た。昇温速度は2℃/分とした。得られた硬化膜の屈折率は1.652であった。
参考例1
酸化ジルコニウムナノ粒子分散液(ソーラー(株)製、溶媒:メチルエチルケトン、濃度:30重量%、ナノ粒子平均粒径:15〜20nm)10g中に、比較例1で得られたフルオレンエピスルフィド化合物2gを添加し、混合した。得られた混合液をスピンコーターを用いて、シリコーンウエハー上に塗布し、0.5μmの薄膜を得た。室温で1日間放置して溶媒を乾燥除去し、150℃で2時間、180℃で2時間加熱硬化して硬化膜を得た。昇温速度は2℃/分とした。得られた硬化膜の屈折率は1.747であった。また、得られた硬化膜は、フルオレンエピスルフィド化合物と酸化ジルコニウムナノ粒子とが重合し、自立膜としての強度を有していた。なお、硬化膜中の酸化ジルコニウムナノ粒子(酸化ジルコニウム単位)の重量割合は60重量%である。
実施例
硬化膜中の酸化ジルコニウムナノ粒子の重量割合を80重量%に変更する以外は参考例1と同様にして硬化膜を得た。得られた硬化膜の屈折率は1.850であった。また、得られた硬化膜は、フルオレンエピスルフィド化合物と酸化ジルコニウムナノ粒子とが重合し、自立膜としての強度を有していた。
本発明の硬化性組成物は、電子部品の層間の絶縁材、プリント基板用のソルダーレジスト、カバーレイなどのレジスト材料などとして有用である他、カラーフィルター、インキ(印刷インキなど)、封止剤(半導体封止剤など)、塗料、コーティング剤、接着剤、粘着剤、アンダーフィル、帯電防止剤、充填材、導電部材又は導電材料、積層材料、感熱材料(感熱紙用材料など)、カーボン材料、絶縁材料、発泡体、感圧材料、燃料電池用膜、光学材料(透明材料)[例えば、レンズ(リフローレンズ、ピックアップレンズ、マイクロレンズなど)、偏光膜、反射防止フィルム、タッチパネル用フィルム、フレキシブル基板用フィルム、ディスプレイ用フィルム、光ファイバー、光導波路、ホログラム]などのあらゆる材料(電気・電子材料、光学材料など)として有用である。

Claims (8)

  1. 下記式(1)で表される硬化性成分と、金属酸化物ナノ粒子とを含む硬化性組成物であって、前記式(1)で表される硬化性成分と金属酸化物ナノ粒子との重量割合が、前者/後者=30/70〜10/90である硬化性組成物
    Figure 0006587516
    (式中、環Zは芳香族炭化水素環、Rは置換基、Rはアルキレン基、Rは置換基、Xは硫黄原子を示し、kは0〜4の整数、mは1以上の整数、nは0以上の整数である)
  2. 金属酸化物ナノ粒子が、周期表第4A族金属酸化物ナノ粒子である請求項1記載の硬化性組成物。
  3. 金属酸化物ナノ粒子が、酸化ジルコニウムナノ粒子である請求項1又は2記載の硬化性組成物。
  4. 金属酸化物ナノ粒子の平均粒径が30nm以下である請求項1〜3のいずれかに記載の硬化性組成物。
  5. 式(1)において、Rがアルキル基、kが0〜1、RがC2−4アルキレン基、mが1〜10、Rがアルキル基又はアリール基、nが0〜4である請求項1〜のいずれかに記載の硬化性組成物。
  6. 請求項1〜のいずれかに記載の硬化性組成物を硬化させた硬化物。
  7. 屈折率が1.7以上である請求項記載の硬化物。
  8. 請求項1〜のいずれかに記載の硬化性組成物を加熱処理して硬化させる硬化物の製造方法。
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