JP2019026754A - ビスフェノールフルオレン骨格を有するエポキシ樹脂組成物 - Google Patents

ビスフェノールフルオレン骨格を有するエポキシ樹脂組成物 Download PDF

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Abstract

【課題】誘電正接および熱膨張率の小さい硬化物を与えるエポキシ樹脂組成物の提供。【解決手段】下記式のエポキシ樹脂と硬化剤を含むエポキシ樹脂組成物が誘電正接および熱膨張率の小さい硬化物を与える。(R1〜R4は夫々独立にアルキル基、アリール基又はハロゲン原子;n1及びn2は夫々独立に1〜4の整数;k1〜k4は夫々独立に0〜4の整数;k1〜k4が2以上である場合、夫々対応するR1〜R4は独立にmは0以上の整数)【選択図】なし

Description

本発明は、誘電正接および線熱膨張係数の小さい硬化物を与えるエポキシ樹脂組成物および該エポキシ樹脂組成物を硬化してなる硬化物に関する。
エポキシ樹脂は、一般的に硬化剤で硬化させることにより、機械的性質、耐水性、耐薬品性、耐熱性、電気的性質などに優れた硬化物が得られることから、接着剤、塗料、積層板、成形材料、注型材料などの幅広い分野に利用されている。従来、工業的に最も使用されているエポキシ樹脂として、液状ないし固形のビスフェノールA型エポキシ樹脂がある。前記エポキシ樹脂は、例えば、プリント配線基板材料等として電気・電子部品の分野で使用されている(例えば、特許文献1)。
しかしながら、プリント配線基板材料の分野においては、近年、各種電子機器における信号の高速化、高周波数化が進んでいることから、その材料には優れた電気特性(低誘電率、低誘電正接)を有することが求められている。殊に誘電正接(tanδ)に関しては、電気信号の信頼性等に大きく影響する(特許文献2)ことから、より一層の低減が求められているが、ビスフェノールA型エポキシ樹脂では、特に1GHzを超える高周波数領域での誘電正接が大きくなるといった問題があった。
また、半導体素子の分野では、近年、CSP(チップサイズパッケージ:Chip Size Package)が広く採用されている。CSPに用いられるプリント配線基板は、熱膨張率が小さいことが求められていることから、該プリント配線基板の材料にも熱膨張率が小さいことが求められるが、該プリント基板の材料としてビスフェノールA型エポキシ樹脂を用いた場合には、熱膨張率が大きくなり、パッケージに反りやクラックが生じる場合があった。
特開平7−307576号公報 特開2004−087639号公報
本発明の目的は、誘電正接および熱膨張率の小さい硬化物を与えるエポキシ樹脂組成物を提供することにある。
本発明者らは、前記の課題を解決すべく鋭意研究を重ねた結果、下記一般式(1)で表されるフルオレン骨格を有するエポキシ樹脂を含むエポキシ樹脂組成物が前記特性を発現することを見出した。本発明は、具体的には以下のものを含む。
[1]下記一般式(1):
Figure 2019026754
(式中、R〜Rはそれぞれ同一又は異なってアルキル基、アリール基又はハロゲン原子を表し、n及びnはそれぞれ同一又は異なって1〜4の整数を表し、k〜kはそれぞれ同一又は異なって0〜4の整数を表す。k〜kが2以上である場合、それぞれ対応するR〜Rは同一であっても異なってもよい。mは0以上の整数を表す。)
で表されるエポキシ樹脂と硬化剤とを含むエポキシ樹脂組成物。
[2][1]に記載のエポキシ樹脂組成物を硬化させてなる硬化物。
本発明によれば、誘電正接および熱膨張率の小さい硬化物を与えるエポキシ樹脂組成物が提供可能となる。
また、本発明のエポキシ樹脂組成物は、フルオレン骨格を有するエポキシ樹脂を含むことから、高耐熱性、高屈折率であるといった特徴も有する。
製造例1で得られた、式(4)で表されるビスフェノールのH−NMR(CDCl)チャートである。 製造例1で得られた、式(4)で表されるビスフェノールの13C−NMR(CDCl)チャートである。 実施例1で得られた、式(5)で表されるエポキシ樹脂のH−NMR(CDCl)チャートである。 実施例1で得られた、式(5)で表されるエポキシ樹脂の13C−NMR(CDCl)チャートである。 実施例1で得られた、式(5)で表されるエポキシ樹脂の質量分析チャートである。
<本発明のエポキシ樹脂組成物>
本発明のエポキシ樹脂組成物とは、上記一般式(1)で表されるエポキシ樹脂と硬化剤とを含むエポキシ樹脂組成物である。以下、本発明のエポキシ樹脂組成物について詳述する。
本発明のエポキシ樹脂組成物に含まれる上記一般式(1)で表されるエポキシ樹脂の置換基R〜Rとしては、アルキル基(例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基等の分岐を有してもよいアルキル基や、シクロペンチル基、シクロヘキシル基等の環状のアルキル基)、アリール基(例えば、フェニル基やトリル基等の置換基を有してもよい芳香族基)、又はハロゲン原子(例えば、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子等)が例示される。これら置換基の中でも、後述する一般式(2)で表されるビスフェノール類の入手性の観点から、分岐を有してもよい炭素数1〜4のアルキル基が好ましい。
上記一般式(1)において、置換基(R〜R)の数を表すk〜kは、それぞれ同一又は異なって0〜4の整数であり、後述する一般式(2)で表されるビスフェノール類の入手性の観点から0〜2の整数であることが好ましく、0又は1であることがより好ましい。2以上である場合、それぞれ対応する置換基は同一であっても異なってもよい。
上記一般式(1)において、水酸基を有するフェニル基と一方のフェニル基とを結ぶメチレン基の数を表すn及びnはそれぞれ同一又は異なって1〜4の整数を表し、後述する一般式(2)で表されるビスフェノール類の入手性の観点から1又は2が好ましく、1であることがより好ましい。
上記一般式(1)において、重合数を表すmは0以上の整数であり、好ましくはm=0〜10の整数、更に好ましくはm=0〜2の整数、最も好ましくはm=0または1である。なお、重合数mが単一のものを精製により得ることも可能ではあるが、通常は複数の重合数mを有する化合物の混合物を、上記一般式(1)で表されるエポキシ樹脂として使用する。
本発明のエポキシ樹脂組成物に含まれる硬化剤としては、ビスフェノール類、フェノール樹脂類、酸無水物類、アミン類、アミド類、イミダゾール類、熱/光カチオン重合開始剤、有機リン化合物、グアニジン誘導体、有機酸ジヒドラジド、ハロゲン化ホウ素アミン錯体、ポリメルカプタン系硬化剤、イソシアネート系硬化剤、ブロックイソシアネート系硬化剤等の通常使用されるエポキシ樹脂用硬化剤を使用することができる。これら硬化剤の具体例として例えば、ビスフェノールA、ビスフェノールF、4,4’−ジヒドロキシジフェニルメタン、4,4’−ジヒドロキシジフェニルエーテル、1,4−ビス(4−ヒドロキシフェノキシ)ベンゼン、1,3−ビス(4−ヒドロキシフェノキシ)ベンゼン、4,4’−ジヒドロキシジフェニルスルフィド、4,4’−ジヒドロキシジフェニルケトン、4,4’−ジヒドロキシジフェニルスルホン、4,4’−ジヒドロキシビフェニル、2,2’−ジヒドロキシビフェニル、フェノ−ルノボラック、及びこれらの変性物、1,12−ジアミノドデカン、ジアミノジフェニルメタン、ジエチレントリアミン、トリエチレンテトラミン、ジアミノジフェニルスルホン、イソホロンジアミン、ジシアンジアミド、4−メチルシクロヘキサン−1,2−ジカルボン酸無水物、無水フタル酸、無水トリメリット酸、無水ピロメリット酸、無水マレイン酸、テトラヒドロ無水フタル酸、メチルテトラヒドロ無水フタル酸、無水メチルナジック酸、ヘキサヒドロ無水フタル酸、メチルヘキサヒドロ無水フタル酸、2−フェニルイミダゾール、2−エチル−4−メチルイミダゾール、2−フェニル−4−メチルイミダゾール、1−ベンジル−2−メチルイミダゾール、1−ベンジル−2−フェニルイミダゾール、1−シアノエチル−2−ウンデシルイミダゾール、1−シアノエチル−2−フェニルイミダゾール、1−シアノエチル−2−ウンデシルイミダゾール・トリメリテイト、1−シアノエチル−2−フェニルイミダゾリウム・トリメリテイト、2,4−ジアミノ−6−[2−(2−メチル−1−イミダゾリル)エチル]−1,3,5−トリアジン、2−フェニルイミダゾールイソシアヌル酸付加体、2−フェニル−4,5−ジヒドロキシメチルイミダゾール、2−フェニル−4−メチル−5−ヒドロキシメチルイミダゾール、BF−アミン錯体等が挙げられる。これらは単独で用いてもよく、2種以上併用してもよい。これら硬化剤の中でも、酸無水物類(4−メチルシクロヘキサン−1,2−ジカルボン酸無水物、無水フタル酸、無水トリメリット酸、無水ピロメリット酸、無水マレイン酸、テトラヒドロ無水フタル酸、メチルテトラヒドロ無水フタル酸、無水メチルナジック酸、ヘキサヒドロ無水フタル酸、メチルヘキサヒドロ無水フタル酸等)が好ましく、4−メチルシクロヘキサン−1,2−ジカルボン酸無水物がより好ましい。酸無水物類を用いることにより、透明性、耐トラッキング性および耐候性にも優れる硬化物が得られる。
硬化剤の使用量は、本発明のエポキシ樹脂組成物中の全エポキシ基1モルに対して0.5〜1.5モルが好ましく、さらに好ましくは0.7〜1.2モルである。硬化剤を0.5モル以上1.5モル以下使用することにより硬化を完全とすることができ、その結果、良好な硬化物性を有する硬化物を得ることができる。
本発明のエポキシ樹脂組成物中には上記一般式(1)で表されるエポキシ樹脂および硬化剤の他、更に反応希釈剤、硬化促進剤、溶剤や、必要に応じて慣用の添加剤など(例えば、ガラス繊維や無機フィラー、難燃剤、サイジング剤、カップリング剤、着色材、安定材、帯電防止材など)を含んでいてもよい。また、他のエポキシ樹脂を併用してもよい。
本発明のエポキシ樹脂組成物において、上記一般式(1)で表されるエポキシ樹脂と併用しうる他のエポキシ樹脂としては、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂などのビスフェノール系エポキシ樹脂、ビフェニル型エポキシ樹脂、フェノール樹脂、ノボラック型エポキシ樹脂などの多官能フェノール系エポキシ樹脂、ナフタレン系エポキシ樹脂(ナフタレン型エポキシ樹脂又はジヒドロキシナフタレン類を原料とするエポキシ樹脂)、上記一般式(1)で表されるエポキシ樹脂以外のフルオレン系エポキシ樹脂(後述する一般式(2)で表されるビスフェノール類以外のビスフェノールフルオレン類を原料とするエポキシ樹脂)などが挙げられる。これらの他のエポキシ樹脂は、単独で用いてもよく、2種以上併用してもよい。また、他のエポキシ樹脂を併用する場合の使用量は、本発明のエポキシ樹脂組成物中に含まれる全エポキシ樹脂100重量部に対し、通常70〜10重量部、好ましくは50〜30重量部である。他のエポキシ樹脂を70〜10重量部使用することで、エポキシ樹脂組成物の粘度が低減され、ハンドリング性がより向上する。
本発明のエポキシ樹脂組成物に含まれていてもよい硬化促進剤として、例えば、2−メチルイミダゾール、2−エチルイミダゾール、2−エチル−4−メチルイミダゾール等のイミダゾ−ル類、2−(ジメチルアミノメチル)フェノール、1,8−ジアザ−ビシクロ(5,4,0)ウンデセン−7等の第3級アミン類、トリフェニルホスフィン等のホスフィン類が挙げられる。これら硬化促進剤は単独で用いてもよく、2種以上併用してもよい。硬化促進剤を使用する場合の使用量は、本発明のエポキシ樹脂組成物中の全エポキシ樹脂100重量部に対して通常0.2〜5.0重量部である。
本発明のエポキシ樹脂組成物に含まれていてもよい反応性希釈剤としては、粘度調整を行うために添加する低粘度なエポキシ基を有する化合物であり、特に二官能以上の低粘度エポキシ化合物が好ましい。反応性希釈剤として例えば、ジグリシジルエーテル、ブタンジオールジグリシジルエーテル、ジグリシジルアニリン、ネオペンチルグリコールジグリシジルエーテル、シクロヘキサンジメタノールジグリシジルエーテル、アルキレンジグリシジルエーテル、ポリグリコールジグリシジルエーテル、ポリプロピレングリコールジグリシジルエーテル、トリメチロールプロパントリグリシジルエーテル、グリセリントリグリシジルエーテル、4−ビニルシクロヘキセンモノオキサイド、ビニルシクロヘキセンジオキサイド、メチル化ビニルシクロヘキセンジオキサイド、フェニルグリシジルエーテル、4−tert−ブチルフェニルグリシジルエーテル、o−フェニルフェニルグリシジルエーテルなどが例示される。これら反応性希釈剤は単独で用いてもよく、2種以上併用してもよい。上記反応性希釈剤は、本発明の目的を阻害しない範囲で使用することができ、例えば、全エポキシ樹脂組成物中に0〜50重量%含まれるような範囲で使用可能である。
本発明のエポキシ樹脂組成物に含まれていてもよい溶剤として、例えば、メタノール、エタノールなどのアルコール類、テトラヒドロフランなどのエーテル類、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、エチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテルなどのグリコールエーテル類、メチルセロソルブアセテート、エチルセロソルブアセテート、ブチルセロソルブアセテート、プロピレングリコールメチルエーテルアセテート、3−メトキシブチル−1−アセテートなどのアルキレングリコールモノアルキルエーテルアセテート類、トルエン、キシレンなどの芳香族炭化水素類、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、メチルアミルケトン、シクロヘキサノン、4−ヒドロキシ−4−メチル−2−ペンタノンなどのケトン類、及び2−ヒドロキシプロピオン酸エチル、2−ヒドロキシ−2−メチルプロピオン酸メチル、2−ヒドロキシ−2−メチルプロピオン酸エチル、エトキシ酢酸エチル、ヒドロキシ酢酸エチル、2−ヒドロキシ−2−メチルブタン酸メチル、3−メトキシプロピオン酸メチル、3−メトキシプロピオン酸エチル、3−エトキシプロピオン酸メチル、3−エトキシプロピオン酸エチル、酢酸エチル、酢酸ブチル、乳酸メチル、乳酸エチルなどのエステル類等が例示される。これらの溶剤は単独で用いてもよく、2種以上併用してもよい。
<本発明の硬化物>
続いて、本発明の硬化物およびその製造方法について詳述する。
本発明の硬化物は、例えば、上記一般式(1)で表されるエポキシ樹脂および硬化剤並びに必要により併用しうる他のエポキシ樹脂、反応希釈剤、硬化促進剤、溶剤、無機フィラー及び難燃剤など必要に応じて配合される添加物等を均一になるまで充分に混合して、本発明のエポキシ樹脂組成物を得、得られたエポキシ樹脂組成物を、金型に流し込み注型した後、光及び/又は熱により硬化させることによって得られる。例えば、熱により硬化させる場合、硬化温度は、使用する硬化剤や併用する他のエポキシ樹脂によって異なるが、通常25〜250℃の範囲であり、80〜240℃の範囲が好ましく、100〜230℃の範囲がより好ましい。硬化方法としては高温で一気に硬化させることもできるが、段階的に昇温し、硬化反応を進めることが好ましい。具体的には80〜150℃の間で初期硬化を行い、その後、100℃〜230℃の間で後硬化を行う。
本発明でいう「硬化」とは通常、エポキシ樹脂及び硬化剤、必要に応じて配合されるその他成分を混合した後、熱及び/又は光等によりエポキシ樹脂組成物を意図的に硬化させることを意味するものであり、その硬化の程度は所望の物性、用途により制御すればよい。進行の程度は完全硬化であっても、半硬化の状態であってもよい。なお、エポキシ基と硬化剤との反応率は通常5〜95%である。
本発明の硬化物は、誘電正接および熱膨張率が小さいといった特徴を有する。本発明において熱膨張率が小さいとは、線熱膨張係数が小さいことを言う。
具体的には、誘電正接の値が、通常0.0080以下、好ましくは0.0075以下であり、また、線熱膨張係数が、通常65ppm以下、好ましくは60ppm以下である。
また、本発明の硬化物は、フルオレン骨格を有する上記一般式(1)で表されるエポキシ樹脂を含むエポキシ樹脂組成物を硬化させてなることから、高耐熱性といった特徴も有する。具体的には、物理的耐熱性の指標となるガラス転移温度が、通常130℃以上、好ましくは140℃以上であり、化学的耐熱性の指標となる5%重量減少温度が通常260℃以上、好ましくは280℃以上である。
本発明における誘電正接、線熱膨張係数、ガラス転移温度及び5%重量減少温度は、それぞれ後述する測定方法によって測定された値である。
<上記一般式(1)で表されるエポキシ樹脂の製造方法>
本発明のエポキシ樹脂組成物に含まれる、上記一般式(1)で表されるエポキシ樹脂は例えば、後述する製造法にて製造される、以下一般式(2):
Figure 2019026754
(式中、R〜R、n及びn、k〜kは前述の通りである。)
で表されるビスフェノール類とエピハロヒドリンとを反応させる方法により製造可能である。以下、上記一般式(1)で表されるエポキシ樹脂の製造方法について詳述する。
上記一般式(2)で表されるビスフェノール類とエピハロヒドリンとの反応方法として例えば、上記一般式(2)で表わされるビスフェノール類とエピハロヒドリンを混合させ、続いて、該混合物に通常20〜120℃、好ましくは40〜80℃でアルカリ金属水酸化物を添加し、その後、20〜120℃で、好ましくは40〜100℃で反応させる方法が例示される(以下、該反応をエポキシ化反応と称することがある)。なお、アルカリ金属水酸化物は一括添加してもよいが、前記した温度を維持するため、一定時間かけて連続、あるいは必要量を分割添加することが好ましい。
エポキシ化反応で用いるアルカリ金属水酸化物として例えば、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等が例示され、その使用量は上記一般式(2)で表されるビスフェノール類1モルに対し通常0.8〜10.0モル、好ましくは2.0〜5.0モルである。アルカリ金属水酸化物はその水溶液を使用してもよい。また、アルカリ金属水酸化物の水溶液を使用する場合は該水溶液を連続的に反応系内に添加するとともに減圧下、又は常圧下連続的に水及びエピハロヒドリンを留出させ、留出液を分液することで水を反応系外へ除去するとともにエピハロヒドリンを反応系内に戻す方法としてもよい。
エポキシ化反応で用いるエピハロヒドリンとして具体的には、エピクロルヒドリン、エピブロムヒドリン等が例示され、その使用量は上記一般式(2)で表されるビスフェノール類1モルに対し通常2〜40モル、好ましくは4〜30モル使用する。なお、上記一般式(1)で表わされるエポキシ樹脂の重合数を表すmは上記一般式(2)で表わされるビスフェノール類とエピハロヒドリンとのモル比により調整が可能である。すなわち、上記一般式(2)で表わされるビスフェノール類に対してエピハロヒドリンを大過剰に使用すると、mが0の化合物が主成分として得られ、エピハロヒドリンの使用量を下げることにより、mが0より大きい化合物の割合を高くすることが可能である。
エポキシ化反応を実施する際は、テトラメチルアンモニウムクロリド、テトラメチルアンモニウムブロミド、テトラブチルアンモニウムブロミド、ベンジルトリメチルアンモニウムクロリド、ベンジルトリエチルアンモニウムクロリド、アミルトリフェニルホスホニウムブロミド、ベンジルトリフェニルホスホニウムブロミド、ベンジルトリフェニルホスホニウムクロリド、アリルトリフェニルホスホニウムクロリド等の4級アンモニウム塩、4級ホスホニウム塩をさらに添加することにより、反応速度を向上させることが可能となる。これらの塩の添加量は上記一般式(2)で表されるビスフェノール類1モルに対し、通常0.01〜0.50モル、好ましくは0.02〜0.20モルである。また、これらの塩を使用する場合、通常、上記一般式(2)で表されるビスフェノール類とエピハロヒドリンとの混合物にアルカリ金属水酸化物を添加する前にこれらの塩を添加する。
エポキシ化反応後、上記一般式(1)で表されるエポキシ樹脂を含む反応液はそのまま硬化剤、必要に応じて反応希釈剤、硬化促進剤、溶媒や、さらに必要に応じて、前述した添加剤等を添加することによってエポキシ樹脂組成物としてもよい。
また、必要に応じ得られた反応液を濾過もしくは水洗し、不溶解分や無機塩、アルカリ金属水酸化物を除去したり、エピハロヒドリンを過剰量使用している場合、加熱減圧下、例えば、100〜180℃、内圧30mmHg以下、好ましくは、内圧10mmHg以下でエピハロヒドリンを除去することにより、上記一般式(1)で表されるエポキシ樹脂の純度を向上させることも可能である。
さらには、加水分解性ハロゲンの少ないエポキシ樹脂とするために、上記一般式(1)で表されるエポキシ樹脂を含む反応液、又は上記一般式(1)で表されるエポキシ樹脂を、ベンゼン、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素類等に溶解し、水酸化ナトリウム、水酸化カリウムなどのアルカリ金属水酸化物の水溶液を加えてさらに閉環反応を行い、閉環を確実なものにすることもできる。この場合アルカリ金属水酸化物の使用量はエポキシ化反応に使用した上記一般式(2)で表されるビスフェノール類の水酸基1モル当量に対して通常0.01〜15.0モル、好ましくは0.20〜7.5モルであり、反応温度は通常20〜120℃である。
閉環反応終了後、副生成したタール分、塩を濾過して除去、又は、水洗処理により除去した後、上記一般式(1)で表されるエポキシ樹脂を含む溶液のpHが8.0〜4.0になるようにリン酸、リン酸ナトリウム、シュウ酸、酢酸、炭酸等を添加して中和を行い、水洗を繰り返した後、濾過して、さらに、加熱減圧下、上記記載の反応や抽出等で用いた溶媒を留去することにより、加水分解性ハロゲンの少ない、上記一般式(1)で表されるエポキシ樹脂が得られる。
<上記一般式(2)で表されるビスフェノール類の製造方法>
上記一般式(1)で表されるエポキシ樹脂の原料となる、上記一般式(2)で表されるビスフェノール類は、例えば、酸存在下、下記一般式(3):
Figure 2019026754
(式中、R及びRはそれぞれ同一又は異なってアルキル基、アリール基又はハロゲン原子を表し、nは1〜4の整数を表し、j及びjはそれぞれ同一又は異なって0〜4の整数を表す。j及びjが2以上である場合、対応するR及びRはそれぞれ同一であっても異なってもよい。)
で表されるフェノール化合物と9−フルオレノン(以下、フルオレノンと称することがある)とを反応させることによって製造することができる(以下、該反応をビスフェノール化反応と称することがある)。以下、ビスフェノール化反応について具体的に詳述する。
上記一般式(3)で表されるフェノール化合物は一般に入手可能な化合物であり、市販品を用いても良く、また公知の方法、例えばJournal of Organic Chemistry 1970,35(1),57−62.に記載される方法で所望の構造を有するものを製造することも可能である。上記一般式(3)中、置換基(R、R)としては、アルキル基(例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基等の分岐を有してもよいアルキル基や、シクロペンチル基、シクロヘキシル基等の環状のアルキル基)、アリール基(例えば、フェニル基やトリル基等の置換基を有してもよい芳香族基)、又はハロゲン原子(例えば、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子等)が例示される。これら置換基の中でも、上記一般式(2)で表されるビスフェノール類の製造容易性の観点から、分岐を有してもよい炭素数1〜4のアルキル基が好ましい。
置換基(R及びR)数を表すj及びjは、それぞれ同一又は異なって0〜4の整数であり、上記一般式(3)で表されるフェノール化合物の製造容易性の観点から0〜2の整数であることが好ましく、0又は1であることがより好ましい。2以上である場合、それぞれ対応する置換基は同一であっても異なってもよい。
水酸基を有するフェニル基と一方のフェニル基とを結ぶメチレン基の数を表すnはそれぞれ同一又は異なって1〜4の整数を表し、上記一般式(3)で表されるフェノール化合物の製造容易性の観点から1又は2が好ましく、1であることがより好ましい。
上記一般式(3)で表されるフェノール化合物の使用量は通常、フルオレノン1モルに対し2〜5モルであり、より経済的に上記一般式(2)で表されるビスフェノール類を製造する観点から、好ましくは2〜3モル使用する。上記一般式(2)で表されるビスフェノール類は必要に応じ2種以上混合して使用してもよい。2種以上混合して使用することにより、非対称の上記一般式(2)で表されるビスフェノール類が製造可能となる。
ビスフェノール化反応の際に使用される酸として、無機酸、有機酸等各種の酸が使用可能である。具体的には、無機酸として例えば、硫酸、塩化水素、塩酸、リン酸、ヘテロポリ酸、ゼオライト、粘土鉱物等が挙げられ、有機酸として例えば、メタンスルホン酸、トリフルオロメタンスルホン酸、パラトルエンスルホン酸、イオン交換樹脂等が挙げられる。これら酸の中でも入手性、取扱性の観点から塩酸、又はパラトルエンスルホン酸が好適に用いられる。酸の使用量は通常、フルオレノン1モルに対し0.1〜5.0モルであり、十分な反応速度を得る観点及び後処理の容易さの観点から好ましくはフルオレノン1モルに対し0.5〜1.0モル使用する。これら酸は1種、あるいは必要に応じ2種以上混合して使用してもよい。
ビスフェノール化反応を実施する際、反応速度向上の観点から含硫黄化合物を共存させることができる。使用可能な含硫黄化合物として例えば、メルカプトカルボン酸類、アルキルメルカプタン類、アラルキルメルカプタン類及びこれらの塩類等が挙げられる。具体的に例えばチオ酢酸、β−メルカプトプロピオン酸、α−メルカプトプロピオン酸、チオグリコール酸、チオシュウ酸、メルカプトコハク酸、メルカプト安息香酸、n−ブチルメルカプタン、ドデシルメルカプタン等のC1−16アルキルメルカプタン等が挙げられる。これら含硫黄化合物の中でも、工業的な取扱性の良さからドデシルメルカプタンが好適に用いられる。これら含硫黄化合物を使用する場合の使用量は、フルオレノン1重量部に対し通常0.01〜1.0重量部、十分な反応速度を得る観点及び後処理の容易さの観点から、好ましくはフルオレノン1重量部に対し0.01〜0.50重量部である。これら含硫黄化合物は1種、あるいは必要に応じ2種以上混合して使用してもよい。
ビスフェノール化反応を実施する際、必要に応じ溶媒存在下で反応を実施してもよい。使用可能な溶媒として例えば、脂肪族炭化水素類、芳香族炭化水素類、エーテル類、ハロゲン化炭化水素類などが例示される。脂肪族炭化水素類として例えばヘキサン、ヘプタン、オクタン、デカンなどのアルカン類が例示され、芳香族炭化水素類として例えばベンゼン、トルエン、キシレン、エチルベンゼン等が例示され、エーテル類として例えばジエチルエーテルなどのジアルキルエーテル類、テトラヒドロフラン、ジオキサンなどの環状エーテル類が例示され、ハロゲン化炭化水素類として例えば塩化メチレン、クロロホルム、四塩化炭素等の脂肪族ハロゲン化炭化水素類、及びクロロベンゼン、ジクロロベンゼン等の芳香族ハロゲン化炭化水素類が例示される。これら溶媒の中でも、入手性や取扱性の観点からトルエン、キシレン等の芳香族炭化水素類が好適に使用される。これら溶媒を使用する場合の使用量は、フルオレノン1重量部に対し通常0.1〜10重量部、十分な反応速度を得る観点及び経済的な観点から、好ましくはフルオレノン1重量部に対し0.5〜5.0重量部使用する。これら溶媒は1種、あるいは必要に応じ2種以上混合して使用してもよい。
ビスフェノール化反応は例えば、フルオレノン、上記一般式(3)で表されるフェノール化合物、酸、並びに必要に応じ含硫黄化合物及び溶媒を反応器に入れ、通常内温50〜200℃、好ましくは80〜140℃で撹拌を行うことによって実施される。また、十分な反応速度を得る観点から必要に応じて、常圧あるいは減圧還流下、脱水しながら反応を実施してもよい。
ビスフェノール化反応後、得られた反応液を必要に応じ中和、水洗、濃縮、晶析、濾過等の常法により、上記一般式(2)で表されるビスフェノール類を取り出すことができる。得られた上記一般式(2)で表されるビスフェノール類は、再結晶、蒸留、吸着、カラムクロマトグラフィー等の定法により精製することも可能である。また、必要に応じ、得られた反応液をそのまま、前述のエポキシ樹脂の製造へと供してもよい。
以下、実施例等を挙げて本発明をより詳細に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。なお、実施例等において、各測定値は、次の方法、測定条件に従った。また、以下実施例等に記載した各成分の生成率(残存率)及び純度は、下記条件でHPLC分析を行った際に得られた面積百分率である。
〔1〕HPLC分析
・装置:(株)島津製作所製「LC−2010AHT」
・カラム:(株)住化分析センター製 「SUMIPAX ODS A−212」(5μm、6.0mmφ×150mm)
・カラム温度:40℃
・検出波長:UV 254nm
・移動相:A液=アセトニトリル、B液=水
・移動相流量:1.0ml/分
・移動相グラジエント:A液濃度:50%(0分)→100%(40分後)→50%(60分後)
〔2〕NMR測定
H−NMR及び13C−NMRは、溶媒としてクロロホルム−d1を用いて、JEOL−ESC400分光計によって記録した。
〔3〕LC−MS測定
LC−MSは次の測定条件で分離、質量分析し、目的物を同定した。
・装置:(株)Waters製「Xevo G2 Q−Tof」
・カラム:日本ウォーターズ株式会社製「ACQUITY UPLC BEH C18」(1.7μm、2.1mmφ×100mm)
・カラム温度:40℃
・検出波長:UV 220−500nm
・移動相:A液=10mM酢酸アンモニウム水、B液=アセトニトリル
・移動相流量:0.3ml/分
移動相グラジエント:B液濃度:80%(0分)→100%(10分後)→100%(15分後)
検出法:Q−Tof
イオン化法:ESI(+)法
Ion Source:電圧(+)2.0kV、温度120℃
Sampling Cone :電圧 30V、ガスフロー50L/h
・Desolvation Gas:温度500℃、ガスフロー1000L/h
〔4〕エポキシ当量
JIS K7236に準拠し、自動滴定装置(京都電子製 AT−5100)を用いて測定を行った。
〔5〕誘電正接
各実施例および各比較例で得られた硬化物について、温度23℃、湿度50%の部屋で24時間以上状態調節をおこなった後、アジレントテクノロジー(株)Agilent E4991A RFインピーダンス/マテリアル・アナライザを用いて、周波数1GHzでの誘電正接を測定した。
〔6〕5%重量減少温度
熱重量測定器((株)リガク製 TG−DTA 8121/S)を用いて、窒素気流下、室温から500℃まで10℃/分で昇温し、測定した。
〔7〕ガラス転移温度及び線熱膨張係数
各実施例および各比較例で得られた硬化物からそれぞれ試験片(3.0mm×3.0mm×3.0mm)を作製し、熱機械分析装置((株)日立ハイテクサイエンス製 TMA−7100)を用いて昇温開始温度を30℃とし昇温速度5℃/分で270℃まで昇温させて、セカンドランのTMA曲線より次のように決定した。
・ガラス転移温度:TMA曲線の変曲点の温度
・線熱膨張係数:40℃からガラス転移未満の温度の間の平均値
<製造例1 以下式(4)で表されるビスフェノールの製造例>
Figure 2019026754
攪拌器、冷却器及び温度計を備えた500mlのガラス製反応容器に、9−フルオレノン40.03g(0.222mol)、2−ベンジル−6−フェニルフェノール173.20g(0.666mol)、1−ドデカンチオール2.26g(0.011mol)、パラトルエンスルホン酸・一水和物26.20g(0.138mol)及びトルエンを投入し、120℃まで昇温、同温度で還流脱水しながら4時間攪拌した。得られた反応液を60℃まで冷却し、水を加え、24%水酸化ナトリウムで中和し、室温まで冷却させ、析出した結晶を濾過した。次いで、得られた結晶をトルエンで2回洗浄した後、水で3回洗浄し、減圧下乾燥することにより、上記式(4)で表されるビスフェノールの白色結晶104.70gを得た(9−フルオレノン基準の収率:69.1%)。この白色結晶のHPLC純度は98.6%であった。
また、得られた上記式(4)で表されるビスフェノールのH−NMR及び13C−NMRの各スペクトル値を下記すると共に、図1及び2に各NMRチャートを示す。
H−NMR(CDCl
δ(ppm):3.93ppm(4H、s)、5.12(2H、s)、6.91(2H、d)、7.06(2H、d)、7.15−7.40(26H、m)、7.71(2H、d)
13C−NMR(CDCl
δ(ppm):36.83ppm、64.33ppm、120.20ppm、126.00ppm、127.19ppm、127.35ppm、127.68ppm、127.75ppm、127.78ppm、127.94ppm、128.38ppm、128.75ppm、129.26ppm、130.72ppm、137.39ppm、137.97ppm、140.06ppm、140.59ppm、149.26ppm、151.78ppm
<製造例2 以下式(5)で表されるエポキシ樹脂の製造例>
Figure 2019026754
(式中、mは0以上の整数を表す。)
攪拌器、冷却器及び温度計を備えた500mlのガラス製反応容器に、窒素雰囲気下、製造例1で得られた、上記式(4)で表されるビスフェノール50.02g(0.073mol)、エピクロルヒドリン203.36g(2.197mol)、ベンジルトリエチルアンモニウムクロリド1.67g(0.007mol)を仕込み70℃まで昇温した後、同温度で3.5時間攪拌した。撹拌後、HPLCにより反応液の分析を行ったところ、原料である上記式(4)で表されるビスフェノールの残存率は0.5%以下であった。
反応終了後、得られた反応液を120℃まで加熱し、内圧10mmHgの減圧下、過剰のエピクロルヒドリン等を留去し、濃縮物を得た。その後、110℃まで冷却し、得られた濃縮物にトルエンを加え溶解させ、60℃まで冷却した後、60℃で24重量%の水酸化ナトリウム水溶液61.30g(0.366mol)を添加し、同温度で3.5時間攪拌した。撹拌後静置し、下層を分液除去した。
その後、酸を加えて中和した後、水層を分液除去した。次いで、有機層を水で洗浄した後、有機層に活性炭を加え、60℃で2時間撹拌を行った後に濾過を行い不溶解分及び活性炭を除去した後、減圧濃縮しトルエンを留去することにより、薄黄色固体である、上記式(5)で表されるエポキシ樹脂56.18gを得た。
得られた上記式(5)で表されるエポキシ樹脂をHPLCで分析した所、上記式(5)においてm=0のものが96.1%であり、エポキシ当量は402g/eqであった。
また、得られた上記式(5)で表されるエポキシ樹脂のH−NMR、13C−NMR及びLC−MSの各スペクトル値を下記すると共に、図3〜5に各NMRチャート及び質量分析チャートを示す。
1H-NMR(CDCl3
δ(ppm):2.21(dd、J=2.80、J=2.0、2H)、2.55(t、J=4.00,2H)、2.80(m、2H)、3.17−3.27(m、4H)、3.98(s、4H)、6.97(d、J=2.40,2H)、7.05(d、J=2.00,2H)、7.10−7.40(m、26H)、7.72(d、J=7.60,2H)。
13C−NMR(CDCl
δ(ppm):36.37、44.75、49.96、64.55、73.44、120.19、125.84、125.99、127.12、127.46、127.67、128.17、128.23、128.51、128.71、128.84、129.16、130.57、134.04、134.25、138.60、140.02、140.99、141.58、151.09、153.09。
質量分析値:812.3742(上記式(5)で表されるエポキシ樹脂の計算上の分子量(TOF MS ESI;C5542+NH):812.3740)
<実施例1>
プラスチック製容器に、製造例2で得た上記式(5)で表されるエポキシ樹脂3.00g、ビスフェノールA型エポキシ樹脂(AER 260 旭化成ケミカルズ(株)製)7.00gを仕込み、160℃で溶融させた。溶融後、更に4−メチルシクロヘキサン−1,2−ジカルボン酸無水物7.49g、トリフェニルホスフィン0.50gを加え、ディスパーで撹拌し、減圧下(0.6〜1.0kPa)で脱泡後、高温恒温器((株)楠本化成株式会社 ETAC HT310)を使用し110℃で2時間、140℃で2時間、170℃で2時間加熱し硬化させて硬化物を得た。
<比較例1>
プラスチック製容器に、ビスフェノールA型エポキシ樹脂(AER 260 旭化成ケミカルズ(株)製)5.00g、4−メチルシクロヘキサン−1,2−ジカルボン酸無水物4.44g、及びトリフェニルホスフィン0.25gを仕込み、ディスパーで撹拌し、減圧下(0.6〜1.0kPa)で脱泡後、高温恒温器((株)楠本化成株式会社 ETAC HT310)を使用し105℃で2時間、135℃で2時間、155℃で2時間加熱し硬化させて硬化物を得た。
<参考例1>
従来公知のビスフェノールフルオレン骨格を有するエポキシ樹脂として、以下式(6):
Figure 2019026754
(式中、mは0または1以上の整数である。)
で表わされるエポキシ樹脂(東京化成(株)社製、白色結晶、m=0であるものの割合:97.3%、エポキシ当量:234g/eq)について同様に硬化物を作成し評価を行った。
プラスチック製容器に、上記式(6)で表されるエポキシ樹脂6.00g、ビスフェノールA型エポキシ樹脂(AER 260 旭化成ケミカルズ(株)製)14.00gを仕込み、160℃で溶融させた。溶融後、更に4−メチルシクロヘキサン−1,2−ジカルボン酸無水物16.75g、及びトリフェニルホスフィン1.00gを仕込み、ディスパーで撹拌し、減圧下(0.6〜1.0kPa)で脱泡後、高温恒温器((株)楠本化成株式会社 ETAC HT310)を使用し110℃で2時間、135℃で2時間、160℃で2時間加熱し硬化させて硬化物を得た。
Figure 2019026754

Claims (2)

  1. 下記一般式(1):
    Figure 2019026754
    (式中、R〜Rはそれぞれ同一又は異なってアルキル基、アリール基又はハロゲン原子を表し、n及びnはそれぞれ同一又は異なって1〜4の整数を表し、k〜kはそれぞれ同一又は異なって0〜4の整数を表す。k〜kが2以上である場合、それぞれ対応するR〜Rは同一であっても異なってもよい。mは0以上の整数を表す。)
    で表されるエポキシ樹脂と硬化剤とを含むエポキシ樹脂組成物。
  2. 請求項1に記載のエポキシ樹脂組成物を硬化させてなる硬化物。
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