JP2001129580A - 油脂含有排水の処理装置 - Google Patents

油脂含有排水の処理装置

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JP2001129580A
JP2001129580A JP31196899A JP31196899A JP2001129580A JP 2001129580 A JP2001129580 A JP 2001129580A JP 31196899 A JP31196899 A JP 31196899A JP 31196899 A JP31196899 A JP 31196899A JP 2001129580 A JP2001129580 A JP 2001129580A
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fat
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oils
fats
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Kikuo Nozawa
喜久夫 野沢
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KL PLANT KK
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    • Y02ATECHNOLOGIES FOR ADAPTATION TO CLIMATE CHANGE
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    • Y02WCLIMATE CHANGE MITIGATION TECHNOLOGIES RELATED TO WASTEWATER TREATMENT OR WASTE MANAGEMENT
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    • Y02W10/10Biological treatment of water, waste water, or sewage

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  • Purification Treatments By Anaerobic Or Anaerobic And Aerobic Bacteria Or Animals (AREA)
  • Cleaning Or Clearing Of The Surface Of Open Water (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【課題】 油脂含有排水中の油脂を油脂分解菌培養液の
作用でグリセリンと脂肪酸などに分解し、かつ上記培養
液の供給量が少量でありながら沈殿槽を設けることなく
放流可能な処理水を得ることを課題とする。 【解決手段】 油脂含有排水中の油脂を油脂分解菌の作
用によりグリセリンと脂肪酸などに分解する散気装置1
9を有する固定床式油脂分解槽7と、油脂分解槽7で処
理された処理水中に含まれるグリセリンと脂肪酸などと
その他の有機性汚濁を好気性条件で処理する生物処理槽
24と、嫌気性ないしは半嫌気性条件で加温、撹拌を行
って油脂分解菌を培養し、その後保存液を加えて長期保
存可能な培養液を得る培養槽11と、培養槽11から培
養液を油脂分解槽7に供給する供給流路13とによって
構成した。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、油脂含有排水の処
理装置に係り、詳しくは、予め培養して増殖させた油脂
分解菌の培養液を油脂含有排水に供給し、生物的処理の
過程で更に油脂分解菌を増殖させることにより、少量の
培養液を使用するものでありながら、排水中の油脂を環
境保全に適合した排水可能な状態に処理し、最終処理工
程である処理水の沈澱工程を経ることなく、そのまま放
流することができる油脂含有排水の処理装置に関するも
のである。
【0002】
【従来の技術】食品工場やホテル、レストランなど各種
厨房設備の排水には、有機性汚濁だけでなく、活性汚泥
法など通常の生物処理では処理が困難な動植物油脂が多
く含まれている。このため、油脂含有排水の放流につい
ては環境保全の見地から規制が強化され、有効適切な処
理技術の出現が要望されている。
【0003】従来、このような排水の処理については、
グリーストラップなどの浮上分離装置や加圧浮上分離装
置などにより油脂分を予め分離除去してから、活性汚泥
法などの生物処理を行い、更に処理水を沈澱槽に貯留し
て上澄液を放流するのが一般的であった。
【0004】しかし、グリーストラップなどにより油脂
を除去する方法では、油脂の分離が十分に行われないた
め、後続の生物処理工程において油脂が浮上したり、ま
たは油脂が微生物菌体もしくは生物膜などに付着したり
して、酸素や栄養物などの浸透が妨げられて処理効率が
低下するとともに、油脂以外のBOD成分(有機性物
質)の処理も十分に行えなくなるという問題点があるう
え、グリーストラップなどのメンテナンスに手間がかか
り、コスト高になるという問題点もあった。
【0005】また、加圧浮上により油脂を除去する方法
では、油を吸着させるために硫酸バンド、塩化アルミニ
ウムなどの無機凝集剤を添加して凝集を行っているの
で、油の吸着効率が悪く大量の凝集剤を添加する必要が
あるとともに、発生する油スカムの含水率が高くなって
体積が増える許りでなく、凝集剤に油が付着したスカム
が粘質なため取扱が難しく、産業廃棄物として処理する
際のコストが高くなるという問題点があった。
【0006】いずれにせよ、グリーストラップなどによ
る浮上分離装置や凝集剤の添加による加圧浮上分離装置
には、叙上のような問題点があるため、技術的、経済的
視点から有効適切な処理装置でないことが認識され、近
年では油脂分解酵素や油脂分解菌を利用して、油脂を直
接生物処置する方法が提案されている。
【0007】油脂分解酵素を利用して油脂を処理する方
法として、例えば特開昭50−129789号公報に
は、固定化リパーゼを用いて油脂含有排水中の油脂を酵
素により分解する方法が開示されている。しかし、この
方法では、初期には一時的に処理水中の油分は低下する
が、その後は油脂の分解生成物である脂肪酸やグリセリ
ンが処理水中に流出するため、処理水中の油分の低下は
期待できず、初期において油分が低下するのは、分解生
成物が一時的に不溶性塩となって、固定化リパーゼの充
墳層に捕捉されるためであり、これが充墳層の目詰まり
の原因となって、処理効率を低下させるという問題点が
ある。
【0008】また、特開平5−146798号公報に
は、固定化しないリパーゼ酵素を油脂含有排水に添加し
て油脂を分解処理する方法が開示されている。しかし、
この方法では、前記の方法と同様に、リパーゼ処理の初
期において一時的に不溶性物が析出して凝集するので、
不溶性物が溶解し、かつ油脂が完全に脂肪酸およびグリ
セリンに分解するまでリパーゼ処理を行うため、高価な
微生物製剤を添加する必要があり運転コストが高くなる
という問題点ある。
【0009】一方、油脂分解菌を利用して油脂を処理す
る方法として、例えば特開平11−188376号公報
には、好気性雰囲気において油脂分解菌培養槽で油脂分
解菌を微小担体に担持して培養し、これを油脂分解槽や
流動床式生物処理槽に添加して油脂を処理する方法が開
示されている。しかし、この方法では、油脂分解菌を担
持した微小担体が生物処理を受けない無機質材料で形成
されているうえ、生物処理槽内で撹拌流動化されるた
め、担体そのものや担体から剥離した油脂分解菌が処理
水を懸濁させることになる。したがって、清澄な処理水
を得るには沈澱槽を設ける必要があるため、処理装置全
体の設備費が高くなるという問題点があり、また、発生
した汚泥を廃棄物として処分する必要があるため、運転
コストが高くなるという問題点もある。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、叙上のよう
に従来のグリーストラップなどの浮上分離装置や無機凝
集剤を添加する加圧浮上装置、またはリパーゼ酵素など
高価な微生物製剤を使用する処理装置や油脂分解菌を担
持させた担体を使用する処理装置などに種々の問題点が
あることに鑑み、全く新しい構想に基づいて創案された
ものであって、その意図するところは、油脂含有排水を
油脂分解菌を利用して処理するものでありながら、予め
培養して増殖させた油脂分解菌の培養液を油脂含有排水
に供給し、生物的処理の過程で更に油脂分解菌を増殖さ
せることにより、少量の培養液の使用で、排水中の油脂
を環境保全に適合した排水可能な状態に処理できるとと
もに、汚泥の発生も著しく減少させることができ、した
がって、最終処理工程である処理水の沈澱工程を経るこ
となくそのまま放流でき、もって、設備費と運転コスト
の大幅な低減を図ることができる油脂含有排水の処理装
置を提供することを課題とするものである。
【0011】
【課題を解決するための手段】上記課題を解決するた
め、本発明が採用した第1の技術手段は、油脂含有排水
中の油脂を油脂分解菌の作用によりグリセリンと脂肪酸
などに分解する油脂分解槽と、油脂分解槽で処理された
処理水中に含まれるグリセリンと脂肪酸などとその他の
有機性汚濁を好気性条件で処理する生物処理槽と、嫌気
性ないしは半嫌気性条件で加温、撹拌を行って油脂分解
菌を培養し、その後保存液を加えて長期保存可能な培養
液を得る培養槽と、培養槽から培養液を油脂分解槽に供
給する供給流路とによって構成したことを特徴とするも
のである。
【0012】本発明が採用した第2の技術手段は、油脂
分解槽が槽内に担体を積層状に固定し、担体の下部から
散気装置により空気を供給し、培養槽から供給された油
脂分解菌が担体の表面上で活動および増殖するようにし
た固定床式であることを特徴とするものである。
【0013】本発明が採用した第3の技術手段は、油脂
分解槽が槽内に担体を投入し、槽下部から散気装置によ
り供給される空気により担体を流動化させ、培養槽から
供給された油脂分解菌が担体の表面上で活動および増殖
するようにした流動床式であることを特徴とするもので
ある。
【0014】本発明が採用した第4の技術手段は、生物
処理槽が槽内に担体を積層状に固定し、担体の下部から
散気装置により空気を供給し、活性汚泥菌などが担体の
表面上で活動および増殖するようにした固定床式である
ことを特徴とするものである。
【0015】
【発明の実施の形態】本発明の実施の形態を添付図面に
基づいて詳細に説明する。図1は本発明の第1の実施形
態を示すフローシート図、図2は本発明の第2の実施形
態を示すフローシート図である。上記図1および図2に
おいて、1は油脂含有排水中の夾雑物を除去する夾雑物
除去装置であって、該夾雑物除去装置1にはウエッジワ
イヤ式スクリーン1aが装備されているとともに、その
流入口1b側には処理すべき油脂含有排水の供給流路2
が接続され、排水口1c側には夾雑物が除去された排水
を調整槽3に供給する供給流路4が接続されている。
【0016】上記調整槽3は夾雑物が除去された排水を
一時貯留するものであって、一時貯留された排水は槽内
底部に配設された水中ポンプ5により吸上供給路5aを
介して計量槽6などの計量設備で流量を調整しながら一
定量ずつ油脂分解槽7に供給されるようになっている。
また、調整槽3の槽内底部には貯留された排水の腐敗を
防止するために散気装置8が配設されており、該散気装
置8は空気供給路9を介して曝気用ブロワー10に連通
接続され、空気の供給により排水が撹拌されるようにな
っている。
【0017】11は油脂分解菌の培養槽であって、該培
養槽11で培養された油脂分解菌の培養液は、培養液供
給ポンプ12を介装した供給流路13から前記油脂分解
槽7に供給されるようになっている。油脂分解菌の培養
は、槽内を殺菌剤で殺菌を行ってから水を張り、微生物
製剤および栄養剤(有機物・微量ミネラル類)を添加
し、温度センサー14とヒータ15とからなる温度調節
機構により35〜40℃に温度を調節し、嫌気性ないし
半嫌気性条件で撹拌機16を用いて撹拌しながら24時
間培養を行う。この培養により微生物は100倍前後に
増殖される。なお、油脂分解菌としては、バチルス、シ
ュードモナス、アシネトバクターなどを用いることが好
ましいが、これらの微生物に限定されるものではなく、
油脂分解能の高い微生物であればよい。
【0018】培養後は再び殺菌を行い、更にアルコール
・ケトンなど、微生物の活動を抑制する保存液を0.5
から10%程度添加し、微生物の活動を休止させて培養
液を保存する。培養槽11はステンレス・鋼板・ポリエ
チレンなど、その素材に限定はないが、嫌気性ないし半
嫌気性条件で培養を行うため、密閉できるとともに、薬
剤投入が容易なように開閉式の蓋体を有する構造が好ま
しい。
【0019】調整槽3から油脂分解槽7に供給された油
脂含有排水中の油脂は、培養槽11から供給された油脂
分解菌の培養液(培養液の送液量は排水1m3当り10
0mlが標準)の作用によりグリセリンと脂肪酸などに
分解されるようになっている。油脂分解槽7には槽内に
担体を固定した固定床式と、槽内に担体を浮遊させる流
動床式とがあるが、本発明の第1の実施形態では固定床
式が採用され、第2の実施形態では流動床式が採用され
ている。
【0020】油脂分解槽7を固定床式とした場合は、図
1に示すように槽内に担体17を積層状に配設するとと
もに、該担体17を上下方向から挟持固定する支持架台
18を上下2段に架設する。該支持架台18は、鉄、ス
テンレスなどの金属素材や、ポリプロピレンなどの樹脂
素材で形成され、排水中で担体17を固定するのに十分
な強度を有し、かつ担体17を安定した状態で固定でき
るように上下の固定面が網目状構造となっているのが好
ましいが、安定した状態で固定できるものであれば、こ
れに限定されるものではない。
【0021】油脂分解槽7を固定床式とした場合に用い
られる担体17としては、ポリエチレン、ポリプロピレ
ンなどの樹脂製や、セラミックなどの無機質のもので、
構造を維持するのに十分な強度があり、かつ波板状、網
目状、ひも状など微生物を担持する表面積の大きなもの
が好ましいが、表面積を可及的に大きくできるものであ
れば、これらの担体17には限定されない。
【0022】支持架台18の下部には散気装置19が配
設されており、該散気装置19は空気供給路20を介し
て曝気用ブロワー10に連通接続されている。したが
て、油脂分解槽7内の油脂含有排水は散気装置19から
吹き出される空気により撹拌されるとともに、培養槽1
1から供給された油脂分解菌が担体17の表面上で生息
し増殖するので、油脂分解菌の培養液の供給量が少量で
あっても、油脂は効率的にグリセリンと脂肪酸などに分
解されるようになっている。なお、散気装置19のノズ
ルを下向き状に形成した場合には、吹き出した空気によ
り槽底部が撹拌され、余剰汚泥などの堆積を防ぐので、
一層効率的な処理ができる。
【0023】一方油脂分解槽7を流動床式とした場合
は、図2に示すように、槽内に容積が1〜10cm3/
個程度の担体17'を予め投入(槽容量に対して5〜8
0%程度の量)し、担体17'が流出しないように金鋼
21などが設置されている。担体17'としてはポリエ
チレン、ポリプロピレンなどの樹脂製や、セラミックな
どの無機質のもので、流動床内で衝撃や磨耗により崩壊
しない強度を有し、球状、立方体状、筒状などの形状で
多孔質構造のものが好ましい。
【0024】槽内下部には散気装置22が配設されてお
り、該散気装置22は空気供給路23を介して曝気用ブ
ロワー10に連通接続されている。したがって、油脂分
解槽7内の油脂含有排水は散気装置22から吹き出され
る空気により撹拌されるとともに、担体17'も流動化
され、培養槽11から供給された油脂分解菌が担体1
7'の表面上で活動し増殖されるので、油脂分解菌の培
養液の供給量が少量であっても、油脂は効率的にグリセ
リンと脂肪酸などに分解されるようになっている。な
お、散気装置22のノズルを下向き状に形成した場合に
は、吹き出した空気により槽底部が撹拌され、余剰汚泥
などの堆積を防ぐことができ、この場合、空気供給路2
3の垂直部分の中途部にモータMを介装して散気装置2
2を水平回転させれば、ノズルが回転軌跡に沿って移動
するので撹拌作用が助長され、槽底部の隅々まで散気を
行き渡らせることができ、一層効率的な処理ができる。
【0025】24は生物処理槽であって、該生物処理槽
24は油脂分解槽7で油脂の分解により発生したグリセ
リンや脂肪酸などとその他の有機性汚濁を含む処理水を
好気性条件で処理するものであって、生物処理槽24に
は油脂分解槽7からオーバーフローした処理水が、油脂
分解槽7の上部に接続した処理水流入路25を介して流
入されるようになっている。
【0026】生物処理槽24の形式については特に限定
されないが、本発明では、第1および第2の実施形態と
もに固定床式が採用され、その具体的構成は、第1の実
施形態で示した油脂分解槽7と同一の構成部材で構成さ
れている。
【0027】すなわち、槽内には担体17が積層状に配
設され、該担体17を安定した状態で固定する支持架台
18が上下ニ段に架設され、支持架台18の下部には散
気装置19が空気供給路26を介して曝気用ブロワー1
0に連通接続されて配設されている。したがって、油脂
分解槽7で油脂の分解により発生したグリセリンや脂肪
酸などとその他の有機性汚濁を含む処理水は、散気装置
19から吹き出される空気により撹拌されるとともに、
担体17の表面上に膜状に付着して生息する油脂分解
菌、活性汚泥菌などの作用により更に分解され、膜の内
部では余剰汚泥などの消化が嫌気的に行われ、余剰汚泥
や廃棄物の殆ど発生しない状態で、環境保全に適合した
放流可能な清澄水が得られるようになっている。
【0028】なお、9aは空気供給路9に設けたバル
ブ、20aは空気供給路20に設けたバルブ、23aは
空気供給路23に設けたバルブ、26aは空気供給路2
6に設けたバルブ、11aは培養槽11の底部と供給流
路13とを連通接続した培養液流入路11bに設けたバ
ルブである。
【0029】次に叙上のように構成した本発明の作用に
ついて説明する。いま、処理すべき油脂含有排水を供給
流路2から夾雑物除去装置1の流入口1bを介して連続
的に供給すると、該排水はウエッジワイヤ式スクリーン
1aで夾雑物が分離除去され、排水口1cを介して供給
流路4から下部の調整槽3内に一時貯留され、槽内底部
に配設された散気装置8から吹き出される空気により撹
拌されて腐敗が防止される。
【0030】一時貯留された排水は、槽内底部に配設し
た水中ポンプ5の吸上供給路5aに介装した計量槽6で
流量を調整しながら一定量ずつ油脂分解槽7(第1の実
施形態では固定床式・第2の実施形態では流動床式)に
供給され、また、油脂分解槽7には培養槽11で予め培
養して増殖された油脂分解菌の培養液が、培養液供給ポ
ンプ12を介装した供給流路13から供給される。
【0031】その際油脂分解槽7が固定床式である場合
は、槽内下部に配設した散気装置19から吹き出される
空気により排水が撹拌されるとともに、油脂分解菌が支
持架台18により固定された担体17の表面上で生息し
増殖するので、培養槽11から油脂分解槽7に供給する
油脂分解菌の培養液が少量であっても、排水中の油脂は
効率的にグリセリンと脂肪酸などに分解される。なお、
前記散気装置19のノズルを下向き状に形成した場合に
は、吹き出した空気により槽底部が撹拌されるので、余
剰汚泥などの堆積を防ぐことができ、一層効率的な処理
ができる。
【0032】一方、油脂分解槽7が流動床式である場合
は、槽内下部に配設された散気装置22から吹き出され
る空気により排水が撹拌されるとともに、容積が1〜1
0cm3/個程度の担体17'も流動化され、油脂分解菌
が担体17'の表面上で活動し増殖されるので、前記固
定床式の場合と同様に、油脂分解菌の培養液の供給量が
少量であっても、排水中の油脂は効率的に分解される。
また、散気装置22のノズルを下向き状に形成すると、
吹き出した空気により槽底部が撹拌されて余剰汚泥など
の堆積を防ぐことができるが、更に空気供給路23の垂
直部分の中途部にモーターMを介装し、該モーターMに
より散気装置22を水平回転させるようにすれば、排水
の撹拌と担体17'の流動化が助長され、より一層効率
的な処理ができる。
【0033】油脂分解槽7で油脂の分解により発生した
グリセリンや脂肪酸などとその他の有機性汚濁を含む処
理水のうち、オーバーフローした処理水は処理水流入路
25から生物処理槽24内に流入し、好気性条件で処理
される。生物処理槽24の形式は第1および第2の実施
形態とともに固定床式が採用されており、槽内に流入し
たグリセリンや脂肪酸などとその他の有機性汚濁を含む
処理水は、散気装置19から吹き出される空気により撹
拌されるとともに、担体17の表面上に膜状に付着して
生息する油脂分解菌、活性汚泥菌などの作用により更に
分解され、膜の内部では余剰汚泥などの消化が嫌気的に
行われるため、余剰汚泥や廃棄物の殆どが発生しない状
態で、環境保全に適合した放水可能な清澄水が得られ
る。
【0034】実験例1 第1の実施形態による実験例を示すと、洋菓子製造排水
(BOD:910mg/L、n−ヘキサン:110、懸
濁物質:260)をスクリーンで大きなゴミなどを除去
した後、油脂分解槽及び生物処理槽で処理を行った。油
脂分解槽の形成は固定床式で滞留時間は1時間、生物処
理槽の形式は固定床式で滞留時間は6時間だった。油脂
分解槽には油脂分解微生物の培養液を初期投入として槽
容量に対し200mL/m3、その後5mL/m3・日ず
づ添加した。処理前の原水は白濁していたが、処理後は
無色透明になり、またその分析値はBOD:7.9mg
/L、n−ヘキサン:2mg/L以下、懸濁物質:10m
g/L以下だった。
【0035】実験例2 第2の実施形態による実験例を示すと、食品製造排水
(BOD:3300mg/L、n−ヘキサン:450、
懸濁物質:600)をスクリーンで大きなゴミなどを除
去した後、油脂分解槽及び生物処理槽で処理を行った。
油脂分解槽の形成は流動床式で滞留時間は6時間、生物
処理槽の形式は固定床式で滞留時間は18時間だった。
油脂分解槽には油脂分解微生物の培養液を初期投入とし
て槽容量に対し200mL/m3、その後5mL/m3・
日ずづ添加した。処理前の原水は白濁していたが、処理
後は無色透明になり、またその分析値はBOD:16m
g/L、n−ヘキサン:2mg/L以下、懸濁物質:10
mg/L以下だった。
【発明の効果】これを要するに本発明は、油脂含有排水
中の油脂を油脂分解菌の作用によりグリセリンと脂肪酸
などに分解する散気装置を有する固定床式または流動床
式油脂分解槽と、油脂分解槽で処理された処理水中に含
まれるグリセリンと脂肪酸などとその他の有機性汚濁を
好気性条件で処理する散気装置を有する固定床式生物処
理槽と、嫌気性ないしは半嫌気性条件で加温、撹拌を行
って油脂分解菌を培養し、その後保存液を加えて長期保
存可能な培養液を得る培養槽と、培養槽から培養液を油
脂分解槽に供給する供給流路とによって構成したから、
油脂分解菌を利用して油脂含有排水を処理するものであ
りながら、油脂分解を培養する過程で増殖させ、更に排
水を生物処理する過程で増殖させるので、少量の培養液
の使用で排水中の油脂を環境保全に適合した排水可能な
状態に処理できるとともに、汚泥の発生も著しく減少さ
せることができ、したがって、最終処理工程である処理
水の沈澱工程を経ることなくそのまま放流できるため、
設備費と運転コストの大幅な低減を図ることができる極
めて有用な効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【図1】第1の実施形態を示すフローシート図
【図2】第2の実施形態を示すフローシート図
【符号の説明】
3 調整槽 7 油脂分解槽 11 培養槽 17 担体 17'担体 8 散気装置 19 散気装置 22 散気装置 24 生物処理槽
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き Fターム(参考) 2D025 BA32 4D003 AA01 AA12 AA13 AB02 BA02 BA03 CA01 DA02 DA14 DA18 DA20 DA29 EA03 EA16 EA17 EA20 EA24 EA30 FA05 FA06 4D040 DD03 DD12 DD24 DD31

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】油脂含有排水中の油脂を油脂分解菌の作用
    によりグリセリンと脂肪酸などに分解する油脂分解槽
    と、油脂分解槽で処理された処理水中に含まれるグリセ
    リンと脂肪酸などとその他の有機性汚濁を好気性条件で
    処理する生物処理槽と、嫌気性ないしは半嫌気性条件で
    加温、撹拌を行って油脂分解菌を培養し、その後保存液
    を加えて長期保存可能な培養液を得る培養槽と、培養槽
    から培養液を油脂分解槽に供給する供給流路とによって
    構成したことを特徴とする油脂含有排水の処理装置。
  2. 【請求項2】油脂分解槽が槽内に担体を積層状に固定
    し、担体の下部から散気装置により空気を供給し、培養
    槽から供給された油脂分解菌が担体の表面上で活動およ
    び増殖するようにした固定床式であることを特徴とする
    請求項1記載の油脂含有排水の処理装置。
  3. 【請求項3】油脂分解槽が槽内に担体を投入し、槽下部
    から散気装置により供給される空気により担体を流動化
    させ、培養槽から供給された油脂分解菌が担体の表面上
    で活動および増殖するようにした流動床式であることを
    特徴とする請求項1記載の油脂含有排水の処理装置。
  4. 【請求項4】生物処理槽が槽内に担体を積層状に固定
    し、担体の下部から散気装置により空気を供給し、活性
    汚泥菌などが担体の表面上で活動および増殖するように
    した固定床式であることを特徴とする請求項1記載の油
    脂含有排水の処理装置。
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