JP2016052619A - 油脂を含有する有機性排水の処理方法及びその装置 - Google Patents

油脂を含有する有機性排水の処理方法及びその装置 Download PDF

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Abstract

【課題】油脂を含有する有機性排水中の油脂を効率的に除去し、油脂含有汚泥の発生量を抑制することができる有機性排水の処理方法及びその装置を提供すること。【解決手段】油脂を含有する有機性排水100を生物処理する有機性排水の処理方法において、有機性排水中の油脂を有機高分子凝集剤によって固化し、固化した油脂含有固化物46を取り出して油脂含有固化物46中の油脂を分解し、油脂分解物52を油脂含有固化物取り出し後の残留液48と混合して生物処理することを特徴とする。これにより、油脂分を高濃度で含む油脂含有固化物に対してのみ選択的に油脂分解処理が施され、有機性排水100中の油脂の効率的な分解除去を行うことができる。そして、油脂が低減した油脂分解物52を油脂含有固化物取り出し後の残留液48と混合することで、混合液54中で油脂分解物52中に残る油脂の濃度が残留液48によって希釈されてさらに生物処理が行いやすくなると共に、両者に対して同時に生物処理がなされるので効率的である。【選択図】図1

Description

本発明は、有機性排水の処理方法及びその装置に関し、特に、生物処理を伴う油脂を含む有機性排水の処理方法及びその装置に関する。
製油・油脂製造工場、惣菜工場、揚げ物製菓工場、ケーキ製造工場、ハム・ソーセージなどの畜産加工工場、乳製品製造工場、水産物加工工場、食堂・レストラン等の厨房や食品関連事業所などから排出される植物性油脂や動物性油脂を含む有機性排水には、一般にBOD(生物学的酸素要求量)含有量に対して油脂含有量が多い。したがって、生物処理施設での有機性排水の生物処理において活性汚泥の活性が阻害され、この生物処理が困難となる。すなわち、排水中の油脂が活性汚泥フロックの周囲に吸着して被膜となり、活性汚泥フロック内部に酸素が到達できず活性汚泥への酸素供給が不足し、このために活性汚泥の活性が低下する。この状況においては、有機性排水のBODの他、油脂を除去する効果も著しく低下する。
また、有機性排水中の油脂の形態は、温度低下により固化状態、乳化状態(エマルジョン状態)、分散した状態(コロイド状)、硬度成分(例えば、カルシウムやマグネシウム)などと結合したオイルボールの形態であり、一般的に乳化状態以外の油脂の形態では生物処理は困難である。
油脂を多く含む排水を生物処理する場合、生物処理水槽での発泡や放線菌由来のスカムなどの浮上物が発生し、安定した設備運転の支障となる。したがって、動植物油脂を多く含む有機性排水を生物処理する場合には、この排水が生物処理水槽に流入する前に油脂量を低減させることが必要となる。
排水の油脂濃度は、ヘキサン抽出物質として測定される(JISK0102:2013 工場排水試験 方法 24.2)。なお、ヘキサン抽出物質とは、油脂含有排水を有機溶剤のヘキサンと混合することにより、ヘキサン側に抽出される物質のことをいう。
下水道放流の際、放流水基準のヘキサン抽出物質濃度を大幅に低下させる必要がある。また、下水道管の保護やオイルボール発生防止のために油脂対策が求められる。このためにも、油脂を含む有機性排水の前処理が重要である。
油脂による生物処理の阻害を防止する方法として、生物処理の前段階で、加圧浮上によりあらかじめ油脂を除去する方法が一般的である。
加圧浮上以外には、有機性排水中の油脂を、油脂分解酵素(リパーゼ)を主成分とする酵素剤やリパーゼ活性を有する微生物であるバチルス属(Bacillus sp.)やラルストニア属(Ralstonia sp.)の微生物を含む微生物製剤により油脂を分解する方法が提案されている。
特許文献1には、油脂含有排水に油脂分解酵素のリパーゼを添加して排水中の油脂を加水分解した後、生物処理する方法が開示されている。また、特許文献2には、難分解性の脂質を含む有機性排水を脂質資化性酵母を含む汚泥と混合することで、脂質に対する別途の処理を行うことなく直接酵母による脂質の分解を行うことを可能とする有機性排水の処理装置が開示されている。
特許文献3には、油脂分解菌を流動担体に担持させ、油脂分解菌を担持した担体を油脂分解菌培養槽から油脂分解前処理槽または生物処理槽に供給する油脂含有排水の処理装置が開示されている。
特許文献4には、油脂分解菌を培養し、その培養液を油脂分解槽に供給して油脂含有排水中の油脂を分解し、後段の好気性処理で有機性汚濁を処理する油脂含有排水の処理装置が開示されている。
特開平5−146798号公報 特開2000−246284号公報 特開平11−188376号公報 特開2001−129580号公報
しかし、従来技術の加圧浮上は油脂を除去するには優れた方法ではあるが、除去された油脂含有固化物は濃縮性や脱水性が悪いため、腐敗しやすく、悪臭が発生しやすい。よって、除去後の油脂含有固化物は取り扱い性や作業性が悪く、処分コストが増加する。
また、特許文献1のリパーゼの添加によれば、添加したリパーゼは処理水とともに流出してしまうため、安定的な排水中の油脂の加水分解を継続するためには常時リパーゼを添加する必要があり、高コストとなる。
特許文献2の酵母処理によれば、酵母処理を行うためには有機性排水から酵母処理に適さないサイズの固形分を除去する必要があり、この固形分には油脂も含まれるので、その油脂含有固形分の処理が別途必要となる。
特許文献3及び特許文献4の処理装置では、油脂含有排水の生物処理(好気性処理)に先立ち、前培養した油脂分解菌によって油脂含有排水中の油脂を分解しているが、排水中の油脂部と他の部分が混在状態で油脂分解菌と接触するので、油脂部と油脂分解菌の接触効率が低く、処理効率が低い。よって、油脂含有排水中の油脂含量を低下させるためには長時間の処理を要することとなる。
本発明は、上記課題に鑑みてなされたものであり、その目的は、油脂を含有する有機性排水中の油脂を効率的に分解除去することができる有機性排水の処理方法及びその装置を提供することにある。
上記目的を達成するための請求項1に記載の発明は、油脂を含有する有機性排水を生物処理する有機性排水の処理方法において、有機性排水中の油脂を有機高分子凝集剤によって固化する固化工程と、該固化工程によって生じた油脂含有固化物を取り出して該油脂含有固化物中の油脂を分解する油脂分解工程と、該油脂分解工程によって生じた油脂分解物を前記油脂含有固化物取り出し後の残留液に混合して生物処理する生物処理工程と、を有することを特徴とする。
この構成によれば、固化工程において固化され、その後取り出された油脂含有固化物が油脂分解工程に供されるので、油脂分を高濃度で含む油脂含有固化物に対してのみ選択的に油脂分解処理が施され、有機性排水中の油脂の効率的な分解除去を行うことができる。そして、油脂が低減した油脂分解物を油脂含有固化物取り出し後の残留液と混合することで、混合液中で油脂分解物中に残る油脂の濃度が残留液によって希釈されてさらに生物処理が行いやすくなると共に、両者に対して同時に生物処理がなされるので効率的である。
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の処理方法において、前記油脂分解工程の前に、油脂分解を促進する酵素及び/又は該酵素を分泌する微生物を前記取り出された油脂含有固化物の少なくとも一部と混合して前記酵素反応を行う前反応工程を有し、該前反応工程で得られた反応物を油脂分解工程に供することを特徴とする。
この構成によれば、前反応工程において油脂分解を促進する酵素及び/又はこの酵素を分泌する微生物が添加されるので、当該前反応工程に活性汚泥が添加される場合、当該活性汚泥の処理能力を超える量の油脂含有固化物が上記酵素により分解されて活性汚泥による油脂分解が促進される。
その後、前反応工程で得られた、油脂分解を促進する酵素を含む反応液が油脂分解工程に供給されることで、油脂分解工程に供給すべき油脂分解を促進する酵素の量を削減することができる。
よって、有機性排水中の油脂のさらに効率的な分解除去が可能となる。
請求項3に記載の発明は、請求項1又は2に記載の処理方法において、前記生物処理工程で発生した余剰汚泥の一部又は全部を前記前反応工程及び/又は前記油脂分解工程で添加することを特徴とする。
この構成によれば、生物処理工程後の余剰汚泥の添加によって前反応工程及び/又は油脂分解工程における油脂の分解除去がさらに促進されるとともに、結果として生物処理後の余剰汚泥の排出量を削減することが可能となる。
請求項4に記載の発明は、油脂を含有する有機性排水を生物処理する有機性排水の処理装置において、有機性排水が有機高分子凝集剤と混合され、前記有機性排水中の油脂が固化される凝集剤混合槽と、該凝集剤混合槽又は該凝集剤混合槽の下流に設けられ、該凝集剤混合槽から前記油脂含有固化物を取り出す固化物取り出し装置と、該固化物取り出し装置によって取り出された油脂含有固化物に含まれる油脂を分解する油脂分解槽と、該油脂分解槽とは別の槽として設けられ、前記固化物取り出し装置によって取り出された油脂含有固化物の少なくとも一部が油脂分解を促進する酵素及び/又は該酵素を分泌する微生物と混合され、前記酵素反応の場となると共に該反応後の反応物を前記油脂分解槽に供給可能な前反応槽と、前記油脂分解槽からの油脂分解物及び前記固化物取り出し装置による前記油脂含有固化物取り出し後の残留液が混合されて生物処理される生物処理槽と、を有することを特徴とする。
この構成によれば、凝集剤混合槽において有機性排水中の油脂が固化され、その後取り出された油脂含有固化物の少なくとも一部が、油脂分解槽とは別の前反応槽において油脂分解酵素との反応に供され、この反応後の反応物及びこの反応に供されなかった油脂含有固化物が油脂分解槽における油脂分解に供される。よって、高濃度の油脂含有固化物に対してのみ選択的に油脂分解処理が行われるだけでなく、上記反応物によって油脂分解処理の効率が大きく向上している。
したがって、有機性排水中の油脂が効率的に分解除去される。
本発明によれば、有機性排水中の油脂を効率的に分解除去可能であるので、油脂を含有する有機性排水を系内で速やかに処理することが可能となり、固液分離された油脂を別途処分する煩雑さからも解放される。
本発明の実施の形態に係る有機性排水の処理装置の全体構成を示す概略図である。 本発明の実施の形態に係る有機性排水の処理装置を用いた処理方法の流れを説明するフローチャートである。 連続式の生物処理が行われる有機性排水の処理装置の要部概略図である。 本実施の形態の固化物取り出し装置の変形例を説明するための図である。
次に、本発明の実施の形態について図に基づいて詳細に説明する。油脂を含有する有機性排水の処理方法及びその装置を、図1及び図2を参照して説明する。図1は有機性排水の処理装置10の全体構成を示す概略図であり、図2は有機性排水の処理装置10を用いた処理方法の流れを説明するフローチャートである。
図1に示すように、有機性排水の処理装置10は、製油・油脂製造工場等から排出された油脂を含有する有機性排水100が流入する混合槽(第1の凝集剤混合槽)12を有する。混合槽(第1の凝集剤混合槽)12は、有機高分子凝集剤13(13a)が投入される投入経路と、有機性排水100をこの有機高分子凝集剤13(13a)と攪拌混合するための攪拌機を備える。
混合槽(第1の凝集剤混合槽)12の上流には、製油・油脂製造工場等から排出された有機性排水100を貯留し、混合槽(第1の凝集剤混合槽)12に流入させる有機性排水100の量を調整する調整槽(1)16が任意に設けられる。
混合槽(第1の凝集剤混合槽)12の下流には、混合槽(第1の凝集剤混合槽)12を経た有機性排水100を受け入れ、有機高分子凝集剤13(13b)と混合するための凝集槽(第2の凝集剤混合槽)18が設けられている。凝集槽(第2の凝集剤混合槽)18は、有機高分子凝集剤13(13b)が投入される投入経路と、有機性排水100をこの有機高分子凝集剤13(13b)と攪拌混合するための攪拌機を備える。
凝集槽(第2の凝集剤混合槽)18の下流には、凝集槽(第2の凝集剤混合槽)18からの流出物から固化物を取り出すためのスクリーン分離装置(固化物取り出し装置)22が設けられている。
スクリーン分離装置(固化物取り出し装置)22は、本実施の形態では、前記流出物を貯留する略矩形の貯留部と、貯留部の上部に設けられ、貯留部の一方の側壁から他方の側壁に斜めに架け渡された金網と、を有する。スクリーン分離装置(固化物取り出し装置)22は、市販の装置が使用でき、処理量と、金網の目開きから任意のものが使用できる。
凝集槽(第2の凝集剤混合槽)18から流出した流出物は、スクリーン分離装置(固化物取り出し装置)22によって、金網上に堆積する固化物と、金網を通過した液に固液分離される。金網に堆積された固化物は経路24を介して油脂可溶化槽(油脂分解槽)26に送られる。本実施の形態において、金網の目開きは2mmであるが、この大きさに限られるものではなく、後述する油脂含有固形物46の粒子の大きさとの関係で目開きのサイズを適宜に変更することが可能である。
スクリーン分離装置22の下流には、経路24を介して金網上に堆積した固化物が移送される油脂可溶化槽(油脂分解槽)26及び経路28を介して同じく固化物が移送される油脂可溶化槽26とは別の培養装置(前反応槽)30が、それぞれ設けられている。さらに、スクリーン分離装置22の下流には、金網を通過した液が経路23を介して移送される調整槽(2)29が設けられている。
培養装置(前反応槽)30は、培養装置(前反応槽)30を外部から覆うジャケット部を有しており、このジャケット部内を流通する伝熱媒体によって培養装置(前反応槽)30内部の温度調節が可能となっている。また、培養装置(前反応槽)30には、培養装置(前反応槽)30内の物質を攪拌可能な攪拌機と、後述する油脂分解剤15が投入される投入経路と、を有する。培養装置(前反応槽)30内の物質は、下流の油脂可溶化槽26に経路34を介して移送される。
油脂可溶化槽(油脂分解槽)26は、油脂分解剤15が投入される投入経路と、内部の物質を攪拌可能な攪拌機と、を備える。油脂可溶化槽26内の物質は、経路36を介して下流の調整槽(2)29に移送され、上述した金網を通過した分離液(残留液)と混合される。調整槽(2)29の下流には、この混合液が経路37を介して移送される生物処理槽32が設けられている。
生物処理槽32の下部には散気部が配設されており、生物処理槽32には後述する生物処理後の処理水110を排出する経路38が接続され、下部には生物処理後に発生する余剰汚泥120を排出するための経路40が接続されている。なお、経路40は、余剰汚泥120を培養装置(前反応槽)30及び油脂可溶化槽26にそれぞれ返送する経路42及び経路44に分岐している。
なお、図1において、生物処理槽32は、回分式の生物処理に用いられる生物処理槽を図示して説明したが、生物処理自体は連続式で行うことも可能である。図3は、連続式の生物処理が行われる有機性排水の処理装置の要部、すなわち、生物処理に用いられる構成の概略図である。図示のように、生物処理槽32の下流に沈殿槽33が設けられている。したがって、生物処理後の処理水110を排出するための経路38は、沈殿槽33に接続され、生物処理後に発生する余剰汚泥120を排出するための経路40が沈殿槽33の下部に接続されている。なお、経路40は、余剰汚泥120を培養装置(前反応槽)30、油脂可溶化槽26及び生物処理槽32にそれぞれ返送する経路42、経路44及び経路45に分岐している。
次に、以上の構成を有する有機性排水の処理装置10を用いた有機性排水の処理方法について以下に説明する。
[固化工程及び使用する有機高分子凝集剤]
まず、固化工程S101(図2を参照乞う)について説明する。そもそも有機性排水100中には油脂は溶解しているものに限らず、溶解しておらず分散している状態の固化した油脂含有粒子も存在している。本明細書においては、これらの油脂や油脂含有粒子を、後述するスクリーン分離装置22(図1参照)や加圧浮上分離装置60(図4参照)等の油脂含有固化物取り出し装置によって固液分離可能な大きさの固体にすることを称して「固化」ということとする。
図1に示すように、有機性排水100を、調整槽(1)16を介して混合槽(第1の凝集剤混合槽)12に投入し、この有機性排水100に対して有機高分子凝集剤13を混合する。
使用される有機高分子凝集剤13は、有機性排水100中の油脂を凝集させるものであればどのようなものでも良いが、本実施の形態ではカチオン系有機高分子凝集剤13aであり、例えば、エバグロースLDC−100、エバグロースLDC−201、エバグロースLDC−208及びエバグロースCS−374(以上、水ing株式会社製)を用いることができる。
カチオン系有機高分子凝集剤13aの添加量は有機性排水100のSSあたり1%wt/wt以上であり、好ましくは、1〜10%wt/wtの範囲であり、より好ましくは5〜10%wt/wtの範囲である。なお、SSとは、懸濁物質の意味で、水の濁りを示す指標の1つであり、水に含まれる粒子を孔径1μmのガラス繊維ろ紙またはMF膜ろ紙でろ過し、その粒子の乾物重量(mg/L)で表すものである。
カチオン系有機高分子凝集剤13aを混合した有機性排水100を攪拌機による攪拌後、混合液の全量を凝集槽(第2の凝集剤混合槽)18へと移送する。
凝集槽(第2の凝集剤混合槽)18へと移送された混合液に対し、さらに有機高分子凝集剤13を投入し、さらに攪拌機により攪拌混合する。
投入する有機高分子凝集剤13は、有機性排水100中の油脂を凝集させるものであればどのようなものでも良いが、本実施の形態ではアニオン系有機高分子凝集剤13bであり、例えば、エバグロースA−151、エバグロースA−151C、エバグロースA−161及びエバグロースA−202C(以上、水ing株式会社製)を用いることができる。
アニオン系有機高分子凝集剤13bの添加量は有機性排水100のSSあたり0.8%wt/wt以上であり、好ましくは、1〜5%wt/wtの範囲であり、より好ましくは、1〜3%wt/wtである。
なお、上記有機高分子凝集剤13の種類及び使用量はあくまで例示であり、フロック46生成後の後述する分離液(残留液)48中のヘキサン抽出物質の濃度が50mg/L以下(好ましくは、30mg/L以下)となることを目安として、いかなる種類及び使用量であってもよい。
撹拌混合すると、有機性排水100中の油脂が凝集して固化し、液中に強固なフロック、すなわち、油脂含有固化物46が生成される。
[油脂含有固化物取り出し工程(スクリーンろ過)]
次に、油脂含有固化物46を含む液から油脂含有固化物46を取り出す油脂含有固化物取り出し工程S102(図2参照)について説明する。図1に示すように、油脂含有固化物46を含有する液は、凝集槽(第2の凝集剤混合槽)18から凝集槽18外へと排出され、スクリーン分離装置(固化物取り出し装置)22に移送されて固液分離される。すなわち、油脂含有固化物46は金網上に堆積し、金網を通過した液は貯留部に貯留され、固液分離後の油脂含有固化物46取り出し後に残留する分離液(残留液)48となる。金網上の油脂含有固化物46の少なくとも一部が、経路28を介して別の培養装置(前反応槽)30に移送される。油脂含有固化物46の残った部分は、経路24を介して油脂可溶化槽26に移送される。培養装置(前反応槽)30に移送される油脂含有固化物46は、好ましくは、スクリーン分離装置22の金網上に堆積した油脂含有固化物46全量に対して5〜20%wt/wtである。
[前反応工程]
次に、油脂分解工程S104の前に行われる、前反応工程S103(図2参照)について説明する。図1に示すように、本工程では、油脂含有固化物46が投入された培養装置(前反応槽)30中に油脂分解剤15及び生物処理において使用される活性汚泥を添加し、攪拌機で撹拌しながら油脂分解剤15及び活性汚泥を油脂含有固化物46と反応させる。
活性汚泥は、生物処理において用いられる活性汚泥であればどのようなものでも良く、例えば、生物処理槽32の活性汚泥を用いることができる。活性汚泥の添加量は、培養装置(前反応槽)30に投入される油脂含有固化物46に対して乾燥重量で10%wt/wt以上である。
油脂分解剤15としては、油脂分解を促進する酵素及びこの酵素を分泌する微生物が挙げられる。油脂分解を促進する酵素を単独で用いてもよく、この酵素を分泌する微生物を単独で用いてもよく、両者を合わせて用いてもよい。
例えば、油脂分解剤15としては、市販されているユーサワー120、ユーサワー400(ともに、水ing株式会社製)を挙げることができる。ユーサワー120は油脂分解酵素を主成分とする製剤であり、ユーサワー400は油脂分解酵素及び油脂分解酵素を分泌する微生物を主成分とする製剤である。ユーサワー120を添加する場合、添加量は油脂含有固化物46のヘキサン抽出物質量に対して0.1%wt/wt以上であればよく、好ましくは0.3%以上である。
ユーサワー400を添加する場合、添加量はフロック46のヘキサン抽出物質量に対して0.1%wt/wt以上であればよく、好ましくは0.3%以上である。
反応温度はジャケット部30aを流通する伝熱媒体によって調整され、例えば30℃である。しかし、反応温度は、酵素反応に適する温度あるいは微生物の増殖に適する温度に適宜に調整可能である。
反応時間は、3日以上であればよく、好ましくは3日〜10日の範囲であり、より好ましくは5日〜10日の範囲である。
反応後、油脂含有固化物46は酵素反応により可溶化し、この反応液(反応物)50は、経路34を介して油脂可溶化槽26に移送される。
なお、前反応工程S104は必須ではない。前反応工程を行わない場合、スクリーン分離装置(固化物取り出し装置)22の金網上に分離された油脂含有固化物46を全量油脂分解工程S104に供することになる。
[油脂分解工程]
次に、油脂分解工程S104(図2参照)について説明する。図1に示すように、油脂可溶化槽(油脂分解槽)26に、油脂含有固化物取り出し工程S102において前反応工程S103に供されずに金網上に残った油脂含有固化物46の部分を投入する。前反応工程S103を行った場合、さらに油脂可溶化槽26に前反応工程S103で得られた反応液(反応物)50を添加する。
添加する反応液50の量は、油脂可溶化槽26に投入された油脂含有固化物46の量に対して5%wt/wt以上であればよく、好ましくは10%wt/wt以上であり、より好ましくは20%wt/wt以上である。
油脂分解工程S104を実施する期間は、その工程終了時の油脂分解物52中のヘキサン抽出物質の濃度が6,000mg/L以下になることを一つの目安として設定することができる。また、油脂分解を実施する温度は、油脂分解反応速度が十分に維持される範囲の温度に適宜に設定可能である。
反応液50を添加しない場合、油脂分解剤15を添加する。油脂分解剤15は前反応工程S103で説明した油脂分解剤15と同じ油脂分解剤15を用いることができる。さらに、油脂分解剤15と反応液50を共に添加することも可能である。
油脂分解工程S104終了後、油脂含有固化物46は可溶化された油脂分解物52となる。よって、油脂分解工程S104は油脂可溶化工程ともいうことができる。
得られた油脂分解物52を、経路36を介して調整槽(2)29に移送し、油脂含有固化物取り出し工程S102で得られた分離液(残留液)48と混合して混合液54とする。両者の混合比は、混合液54のヘキサン抽出物質の濃度が1,000mg/L以下(好ましくは、700mg/L以下)となるように設定する。混合液54は、経路37を介して生物処理槽32に移送する。
[生物処理工程]
次に、生物処理工程S105(図2参照)について回分式で実施する場合を例に説明する。図1に示すように、生物処理は、生物処理槽32に対して混合液54及び活性汚泥を添加して行うが、具体的には、混合液54に活性汚泥中の微生物を馴致させる馴致処理期間と、馴致後の定常処理と、によって行われる。
・馴致処理
混合液54を添加した生物処理槽32に、活性汚泥をMLSSが1〜5g/Lとなるように添加する(MLSSとは、SSをg/Lで表したものである)。その後、散気部からの曝気を行う。混合液54は、所定のBOD汚泥負荷となるように回分式で生物処理槽32に添加される。また、馴致処理及び定常処理において、栄養剤として窒素(N)及びリン(P)が、N及びPの質量比でそれぞれ、BOD:N:P=100:5:1となるような量で添加される。窒素源としては尿素やアンモニウム塩が、リン源としてはリン酸やリン酸塩が、それぞれ用いられる。その後、馴致処理期間中のBOD除去率が90%を超えると馴致が完了したものと判断する。BOD除去率は、以下のように計算される。
BOD除去率(%)={生物処理槽への流入水(混合液54)のBOD(mg/L)−処理水110のBOD(mg/L)}/流入水(混合液54)BOD(mg/L)*100
・定常処理
図1に示すように、馴致完了後の活性汚泥をMLSSが1〜5g/Lとなるように生物処理槽32に残し、混合液54を所定のBOD汚泥負荷となるように回分式で生物処理槽32に添加し、散気部からの曝気を行う。曝気期間は、例えば、10時間〜12時間であり、その後、活性汚泥を沈降させるための沈降時間をとる。沈降時間は、例えば1時間である。
活性汚泥の沈降後、生物処理後の処理水110は、経路38を介して公共水域(例えば、下水道等)に排出する。生物処理槽32中には、生物処理により活性汚泥中の微生物が増加することで活性汚泥の体積が増加し、その結果余剰汚泥120が発生しているので、この余剰汚泥120を、経路40を介して排出する。その後、新たな混合液54を生物処理槽32に添加し、次の生物処理が行われる。
なお、連続式で生物処理を実施する場合には、生物処理槽32には混合液54を連続的に供給しながら上記回分式の生物処理のような沈降時間をとることなく生物処理槽32から処理後の処理水110が下流に流出する。かかる処理水110には活性汚泥が含まれており、そのまま放流することは好ましくない。
したがって、連続式で生物処理を実施する場合には、図3に示すように、生物処理槽32の下流に設けられた沈殿槽33において、生物処理槽32から流出した活性汚泥及び処理水110が分離されていない懸濁液を沈殿させる。その後、沈殿槽33において沈澱させた後の上澄みを処理水110として経路38を介して排出する。沈殿槽33にて堆積した活性汚泥は余剰汚泥120として経路40を介して排出されるほか、経路45を介して生物処理槽32に返送される。
したがって、本実施の形態に係る有機性排水の処理方法及びその装置10によれば、固化工程S101において固化され、その後取り出された油脂含有固化物46が油脂分解工程S104に供されるので、油脂分を高濃度で含む油脂含有固化物46に対してのみ選択的に油脂分解処理が施され、有機性排水100中の油脂の効率的な分解除去を行うことができる。そして、油脂が低減して可溶化した油脂分解物52を油脂含有固化物取り出し後の分離液(残留液)48と混合することで、混合液54中で油脂分解物52中に残る油脂の濃度が分離液(残留液)48によって希釈されてさらに生物処理が行いやすくなると共に、両者に対して同時に生物処理がなされるので効率的である。
さらに、前反応工程S103が実施される場合には、当該前反応工程S103において油脂分解を促進する酵素及び/又はこの酵素を分泌する微生物と活性汚泥とが添加されるので、当該活性汚泥の処理能力を超える量の油脂含有固化物46が上記酵素により分解されて活性汚泥による油脂分解が促進される。
その後、前反応工程S103で得られた、油脂分解を促進する酵素を含む反応液(反応物)50が油脂分解工程S104に供給されることで、油脂分解工程S104に供給すべき油脂分解を促進する酵素の量を削減することができる。すなわち、油脂分解槽26に供給され続ける油脂分解を促進する酵素及び/又はこの酵素を分泌する微生物の量を削減することができるので、経済的である。
そのうえ、生物処理工程S105後に発生した余剰汚泥120を、経路42及び経路44を介して培養装置(前反応槽)30及び油脂可溶化槽(油脂分解槽)26にそれぞれ供給することも可能である。この場合、生物処理工程S105後の余剰汚泥120の添加によって前反応工程S103及び/又は油脂分解工程S104における油脂の分解除去がさらに促進されるとともに、結果として生物処理後の余剰汚泥120の排出量を削減することができる。
また、本実施の形態では、固化物取り出し装置を、凝集槽(第2の凝集剤混合槽)18の下流に設けられたスクリーン分離装置(固化物取り出し装置22)として例示したが、これに限定されるものではなく、種々の変形が可能である。以下に、固化物取り出し装置の変形例を図4に基づいて説明する。
図4において上述の図1及び図2に示した実施の形態と同様の要素には、同一の符号を付しその説明を省略する。
図4に示すように、本変形例においては、スクリーン分離装置22に代えて、凝集槽(第2の凝集剤混合槽)18の下流に加圧浮上処理装置(固化物取り出し装置)60が設けられている。加圧浮上処理装置60は、凝集槽(第2の凝集剤混合槽)18中の液を凝集物ごと受け入れる加圧浮上槽と、加圧浮上槽の底部近傍の側壁に設けられて加圧水130を流入させる加圧水流入部を備え、さらに、凝集槽(第2の凝集剤混合槽)18の液面に浮上したフロス(油脂含有固化物)46を掻き取るフロス掻取機を備える点において本実施の形態のスクリーン分離装置22とは異なる。
[油脂含有固化物取り出し工程(加圧浮上処理)]
本変形例に係る油脂含有固化物取り出し工程S102について説明する。図4に示すように、固化工程S101(図2参照)により生成された油脂含有固化物46を含有する液は、加圧浮上分離装置60の加圧浮上槽へと移送される。そして、この加圧浮上槽内に加圧水流出部から加圧水を流入させる。すると、加圧浮上槽内で減圧された加圧水から多数の気泡が発生し、油脂含有固化物46の粒子を付着しつつ水面に浮上する。さらにこの水面に浮上したフロス(油脂含有固化物)46が、フロス掻取機により掻き取られ、経路24及び経路28を介して油脂可溶化槽(油脂分解槽)26及び培養装置(前反応槽)30にそれぞれ移送される。
なお、本発明は上記実施の形態に限定されることはなく、発明の趣旨を逸脱しない範囲で種々変更可能である。本実施の形態においては、有機高分子凝集剤は、カチオン系有機高分子凝集剤とアニオン系有機高分子凝集剤の二種類を併用しているが、何れか一種類の使用であってもよい。繰り返しとなるが、有機高分子凝集剤としては、有機性排水中の油脂を凝集して固化させる機能を有するものであれば、どのようなものを用いても良い。
また、本実施の形態においては、凝集剤混合槽は二つ設けているが、一つのみであってもよく、さらに三つ以上であってもよい。
以下、本発明を実施例により説明する。
1−1.有機性排水の固化及び油脂含有固化物の取り出し(スクリーンろ過)
容量1リットルのビーカーに表1に示す仕出弁当製造排水(以下、有機性排水100と記す)1リットルを取り、この有機性排水100に表2に示すカチオン系有機高分子凝集剤13aを同表に示す量でそれぞれ添加して3分間急速攪拌した。急速攪拌条件は市販のジャーテスターを用い、1分間あたりの攪拌回転数120回転とした。次に、アニオン系有機高分子凝集剤13b(エバグロースA−151、水ing株式会社製品)を有機性排水100のSSあたり1%wt/wtの量で添加して3分間緩速攪拌した。緩速攪拌条件は市販のジャーテスターを用い、1分間あたりの攪拌回転数50回転とした。
この凝集により生成した油脂含有固化物46を含む有機性排水100の全量を、スクリーンの目開き2mmの略矩形の金網籠(縦5cm×横5cm×高さ3cm)に通し(スクリーンろ過し)、生成油脂含有固化物46を取り出した。
上記アニオン系有機高分子凝集剤13b(エバグロースA−151、水ing株式会社製品)を有機性排水100のSSあたり1%wt/wtの量で添加した場合、生成油脂含有固化物46の大きさは2mm〜5mmであり、目開き2mmの金網籠での全量ろ過に要した時間は7秒であった。
エバグロースA−151を有機性排水100のSSあたり0.8%wt/wtの量で添加すると、生成した強固なフロック、すなわち、油脂含有固化物46の大きさは1mm〜3mmとなり、金網の目からの油脂含有固化物46の流出が観察された。エバグロースA―151添加率を有機性排水100のSSあたり1.5%wt/wtに増加させると、生成油脂含有固化物46の大きさは3mm〜6mmと大きくなったが、目開き2mmの金網で全量ろ過に要した時間は20秒となった。
スクリーンろ過された生成油脂含有固化物46の含水率及び油脂含有固化物46取り出し後の分離液(残留液)48の水質を測定した。その結果を表2に示す。表2に示すように、カチオン系有機高分子凝集剤13aとしてエバグロースLDC−201(水ing株式会社製品)を有機性排水100のSSあたり5%wt/wtで添加し、アニオン系有機高分子凝集剤13bとしてエバグロースA−151を有機性排水100のSSあたり1%wt/wtで添加した場合が、油脂含有固化物46取り出し後の分離液(残留液)48中のヘキサン抽出物質の少なさ及び油脂含有固化物46の含水率の観点から最も好ましい添加条件であると判断した。
なお、含水率とは、試料を105〜110℃で2時間乾燥したときの減量分と試料重量の比に100を乗じた値である(下水試験方法上巻2012年版第5編汚泥・ガス試験 第1章一般汚泥試験 第6節蒸発残留物及び含水率による)。
Figure 2016052619
Figure 2016052619
1−2.有機性排水の固化及び油脂含有固化物の取り出し(加圧浮上処理)
「1−1.」の有機性排水100を使用し、「1−1.」と同じ条件で油脂含有固化物を生成させた後に、加圧水10%〜30%で加圧浮上処理試験を行った。加圧水は、水道水に空気を吹き込んで調製した。その加圧水を凝集処理した有機性排水100に添加し、油脂含有固化物に空気を付着させて浮上させて、生成したフロス(油脂含有固化物)46を取り出した。
加圧水添加率は、加圧水量/有機性排水100の量*100で、%vw/vw表示である。
その加圧浮上処理後の分離液(残留液)48の水質及び生成フロス(油脂含有固化物)46の含水率を測定した。その結果を、表3に示す。
加圧水添加量20%の区分は、いずれのカチオン系有機高分子凝集剤13aでのフロスの分離速度や水質が良好であった。
Figure 2016052619
2.前反応
「1−1.」の有機性排水100にカチオン系有機高分子凝集剤13a(エバグロースLDC201)を有機性排水100のSSあたり3%wt/wtの量で添加し、さらにアニオン系有機高分子凝集剤13b(エバグロースA−151)を有機性排水100のSSあたり1%wt/wtの量で添加して油脂含有固化物46を生成した。この油脂含有固化物46に対して「1−1.」と同じスクリーンろ過により油脂含有固化物46を取り出し、同時に油脂含有固化物取り出し後の分離液(残留液)48を得た。得られた油脂含有固化物46は、含水率90.0%(すなわち、固形分10%(100,000mg/L))であり、ヘキサン抽出物質は50,000mg/Lであった。
容量1リットルで外部から加温できる温水ジャケットと装置内部を撹拌できる撹拌機をつけた開放型培養装置(培養装置(前反応槽)30)に取り出された油脂含有固化物46 1kg(ヘキサン抽出物質量43g)を投入し、30℃に維持しながら油脂分解剤ユーサワー300(水ing株式会社製品)、ユーサワー120(水ing株式会社製品)、ユーサワー400(水ing株式会社製品)をそれぞれ添加し、培養装置30内部の液の性状変化を調査した。
表4に、5日後の培養装置(培養装置(前反応槽)30)内の液の性状を示し、表5に、培養装置内の液のヘキサン抽出物質濃度を測定した結果を示す。
Figure 2016052619
Figure 2016052619
3.油脂分解
「1−1.」の有機性排水100にカチオン系有機高分子凝集剤13a(エバグロースLDC201)を有機性排水100のSSあたり3%wt/wtで添加し、アニオン系有機高分子凝集剤13b(エバグロースA−151)を有機性排水100のSSあたり1%wt/wtで添加して油脂含有固化物46を生成した。この油脂含有固化物46を1−1.と同様にスクリーンろ過して取り出すと同時にこの油脂含有固化物46取り出し後の、固液分離された分離液(残留液)48を得た。
「1−1.」で生成した油脂含有固化物46は、含水率90.3%(すなわち、固形分9.7%(97,000mg/L)であり、ヘキサン抽出物質含有率はSSあたり50%であった(SSは97.0g/Lであり、ヘキサン抽出物質量は、97×0.5=48.5gである。なお、ここではSSと油脂は別成分である)。
容量1リットル(水深15cm)で装置内部を撹拌できる撹拌機をつけた開放型の油脂可溶化槽(油脂分解槽)26に「1−1.」で取り出された油脂含有固化物1kg(ヘキサン抽出物質49g/L)を投入し、15℃〜25℃で油脂分解剤ユーサワー120(水ing株式会社製品),ユーサワー400(水ing株式会社製品)や「2.前反応」で得られた反応液(反応物50)をそれぞれ添加し、油脂可溶化槽26での油脂分解を行った。
表6に、取り出された油脂含有固化物46の油脂分解の結果を示す。なお、反応液Aは「2.前反応」で得られたユーサワー120 添加率0.3%、反応日数5日の反応液であり、反応液Bは、ユーサワー400 添加率0.3%、反応日数5日の反応液である。「2.前反応」の反応液量(%wt/wt)は、「1−1.」で取り出された油脂含有固化物1kgに対する比率で示す。
反応液Aを生成油脂含有固化物46の重量に対して10%wt/wtの量で添加することで3日後のヘキサン抽出物質は6,000mg/Lまで減少した(表6の番号11を参照)。油脂分解後の区分(表6の番号11)の水質は、pH6.6、SS 50,000mg/L、BOD 80,000mg/Lであった。
Figure 2016052619
4.生物処理
4−1.生物処理に供する混合液の調整
表7は、「1−1.」での油脂含有固化物取り出し後の分離液(残留液)48と「3.油脂分解」で得られた油脂分解後の区分(表6の番号11)の水質を示す。
Figure 2016052619
表7に示す分離液(残留液)48及び油脂分解後の区分(表6、番号11)を10:1で混合した混合液54を調整し、生物処理に供した。
4−2.生物処理の条件について
生物処理は、この混合液54に活性汚泥中の微生物を馴致させる馴致処理と、馴致した活性汚泥で生物処理を行う定常処理と、によって行われる。表8に、馴致処理及び定常処理の生物処理条件を示す。本実施例においては回分式で生物処理を行っているが、連続式においても表8の生物処理条件が適用される。
Figure 2016052619
4−3.馴致及び生物処理
図1に示すように、水槽下部に散気部を備えた生物処理槽32(容量5リットル、水深30cm)に、下水処理施設の活性汚泥(種汚泥、MLSS 3.0g/L)、表7の混合液54及び表8の栄養剤を添加し、約22時間連続して散気部から曝気し、BODを除去した。その後曝気を停止して汚泥を沈降させ、1時間後の上澄液を馴致処理水として採取し、馴致汚泥濃度3.0g/L(MLSSとして)となるように余剰汚泥120を引き抜いた。その後、表7の混合液54を所定のBOD汚泥負荷となるように添加し、曝気を再開した。
馴致はBOD汚泥負荷 0.1kg/kg・日で行い、種汚泥の馴致を約2週間行い、馴致処理期間後半の1週間のBOD除去率は90%〜95%であり、馴致が完了したと判断した。表9に、馴致後の活性汚泥に対してBOD汚泥負荷0.2〜0.4(kg/kg・日)で生物処理を行った結果を示す。
Figure 2016052619
4−4.生物処理(比較例)
「1−1.」の有機性排水100を、「4−3.馴致及び生物処理」の馴致後の活性汚泥を用いて、「4−2.生物処理の条件について」の表8に示す条件で生物処理を行った。
表10に結果を示す。有機性排水100中にはヘキサン抽出物質が非常に多く、生物処理が阻害され、BOD汚泥負荷が0.2kg/kg・日を超えると生物処理槽でのスカム発生や異常発泡が多くなり、生物処理の継続は困難になった。
Figure 2016052619
4−5.油脂分解(油脂含有固化物+余剰汚泥)
「1−1.」で取り出された油脂含有固化物と、「4−1.生物処理に供する混合液の調整」〜「4−3.馴致及び生物処理」までの工程後、すなわち、生物処理後の余剰汚泥120(表9、BOD汚泥負荷0.2kg/kgのもの)とを、重量比で1:1で混合した混合物に対し、「3.油脂分解」に示す条件で油脂分解を行った。
表11に上記混合物の性質を示し、表12にその混合物の油脂分解の結果を示す。
Figure 2016052619
Figure 2016052619
活性汚泥である余剰汚泥120が混合されることで、「3.油脂分解」の表6に比べて、ヘキサン抽出物質の除去効果が高かった。
10 有機性排水の処理装置
12 混合槽(第1の凝集剤混合槽)
13 有機高分子凝集剤
13a カチオン系有機高分子凝集剤
13b アニオン系有機高分子凝集剤
15 油脂分解剤(油脂分解を促進する酵素及びこの酵素を分泌する微生物)
18 凝集槽(第2の凝集剤混合槽)
22 スクリーン分離装置(固化物取り出し装置)
26 油脂可溶化槽(油脂分解槽)
30 培養装置(前反応槽)
32 生物処理槽
46 油脂含有固化物、生成フロス(油脂含有固化物)
48 分離液(残留液)
50 反応液(反応物)
52 油脂分解物
54 混合液(混合物)
60 加圧浮上処理装置(固化物取り出し装置)
100 有機性排水
110 処理水
120 余剰汚泥

Claims (4)

  1. 油脂を含有する有機性排水を生物処理する有機性排水の処理方法において、
    有機性排水中の油脂を有機高分子凝集剤によって固化する固化工程と、
    該固化工程によって生じた油脂含有固化物を取り出して該油脂含有固化物中の油脂を分解する油脂分解工程と、
    該油脂分解工程によって生じた油脂分解物を前記油脂含有固化物取り出し後の残留液に混合して生物処理する生物処理工程と、
    を有することを特徴とする有機性排水の処理方法。
  2. 前記油脂分解工程の前に、油脂分解を促進する酵素及び/又は該酵素を分泌する微生物を前記取り出された油脂含有固化物の少なくとも一部と混合して前記酵素反応を行う前反応工程を有し、
    該前反応工程で得られた反応物を油脂分解工程に供することを特徴とする請求項1に記載の処理方法。
  3. 前記生物処理工程で発生した余剰汚泥の一部又は全部を前記前反応工程及び/又は前記油脂分解工程で添加することを特徴とする請求項1又は2に記載の処理方法。
  4. 油脂を含有する有機性排水を生物処理する有機性排水の処理装置において、
    有機性排水が有機高分子凝集剤と混合され、前記有機性排水中の油脂が固化される凝集剤混合槽と、
    該凝集剤混合槽又は該凝集剤混合槽の下流に設けられ、該凝集剤混合槽から前記油脂含有固化物を取り出す固化物取り出し装置と、
    該固化物取り出し装置によって取り出された油脂含有固化物に含まれる油脂を分解する油脂分解槽と、
    該油脂分解槽とは別の槽として設けられ、前記固化物取り出し装置によって取り出された油脂含有固化物の少なくとも一部が油脂分解を促進する酵素及び/又は該酵素を分泌する微生物と混合され、前記酵素反応の場となると共に該反応後の反応物を前記油脂分解槽に供給可能な前反応槽と、
    前記油脂分解槽からの油脂分解物及び前記固化物取り出し装置による前記油脂含有固化物取り出し後の残留液が混合されて生物処理される生物処理槽と、
    を有することを特徴とする処理装置。
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