JP2001010999A - トリシクロデカンジメタノール及び/又はペンタシクロペンタデカンジメタノールの製造法 - Google Patents
トリシクロデカンジメタノール及び/又はペンタシクロペンタデカンジメタノールの製造法Info
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Abstract
/又はペンタシクロペンタデカンメタノールの製造法を
提供する。 【解決手段】 ジシクロペンタジエン及び/又はトリシ
クロペンタジエンをヒドロホルミル化してトリシクロデ
カンジカルバルデヒド及び/又はペンタシクロペンタデ
カンジカルバルデヒド(ジアルデヒド)を含む反応液を
得、該反応液に多価アルコールからなる抽出溶媒を添
加、混合して炭化水素化合物層と抽出溶媒層に分離し、
該抽出溶媒層に接触水添を施し目的物を製造する。
Description
ン及び/又はトリシクロペンタジエンのヒドロホルミル
化反応によりトリシクロデカンジカルバルデヒド及び/
又はペンタシクロペンタデカンジカルバルデヒドを合成
し、該ジアルデヒドを水素還元してトリシクロデカンジ
メタノール及び/又はペンタシクロペンタデカンジメタ
ノールを得る方法に関する。トリシクロデカンジメタノ
ール及び/又はペンタシクロペンタデカンジメタノール
はポリエステル、ポリエステルカーボネート、アクリル
酸、メタクリル酸樹脂原料として有用である。特にトリ
シクロデカンジメタノール及び/又はペンタシクロペン
タデカンジメタノールを構成成分として合成されるポリ
カーボネート樹脂は光ディスク、光ファイバー、眼鏡レ
ンズ、工業用レンズ等の光学材料として優れた特性を有
しており、その簡便なる工業的製造法の確立が望まれ
る。
化反応と水素還元反応をワンポットで行い、直接トリシ
クロデカンジメタノールを得る方法は知られている。例
えば、前出の英国特許第1170226号公報には、ヒ
ドロホルミル化反応の終了後に反応温度及び圧力を上げ
ることにより水素還元されたトリシクロデカンジメタノ
ールが得られることが記されている。また、特公昭63
−31450号公報には、炭化水素系溶媒中、コバルト
−ホスフィン触媒を用いてヒドロホルミル化及び水素還
元を行った後、水と極性溶媒で抽出分離を行うトリシク
ロデカンジメタノールの製造方法が開示されており、さ
らに、特公平03−4526号公報には炭化水素系溶媒
中でヒドロホルミル化及び水素還元を行った後、トリシ
クロデカンジメタノール層を分離し、分離した触媒を含
む溶液を循環再使用する方法が記載されている。また、
米国特許第2880241号公報にはジシクロペンタジ
エンのヒドロホルミル化反応で生成するジアルデヒドを
高温下で安定なアセタール誘導体に転化しジアルデヒド
からの副反応を抑制する事を目的として、ヒドロホルミ
ル化反応の溶媒としてアルコール系溶媒を使用してトリ
シクロデカンジカルバルデヒドを得、さらに水素還元を
行ってトリシクロデカンジメタノールを製造する方法が
記載されている。
1−80068号公報ではロジウム触媒濃度を極端に低
減させ、ホスファイトを配位子として用い、共役ジエン
濃度を制御してジシクロペンタジエンのヒドロホルミル
化反応を実施する方法が記載されており、特開平11−
10033号公報には低級アルコール系溶媒中で第三級
アミン存在下、ロジウム触媒濃度を極端に低減させ、ホ
スファイトを配位子として用いヒドロホルミル化反応を
実施し、引き続き水素還元反応を行い、直接トリシクロ
デカンジメタノールを得る方法が記載されている。
ンジカルバルデヒドを合成し、引き続き水添によりトリ
シクロデカンジメタノールを得る製造法にはそれぞれ以
下のような問題点があり、工業的に必ずしも満足のでき
るものではない。英国特許第1170226号公報の実
施例によれば、本反応には反応温度が最高240℃、反
応圧力が最高250気圧という高温高圧が必要であり、
ロジウム触媒濃度も高いことから、装置費用、運転費用
及び触媒費用の点で問題がある。特公昭63−3145
0号公報、特公平03−4526号公報の炭化水素系溶
媒を用いトリシクロデカンジメタノールを製造する技術
では、生成物としてトリシクロデカンジメタノールのみ
の層あるいは若干の炭化水素系溶媒を含むトリシクロデ
カンジメタノールの層は得られるが、目的とするトリシ
クロデカンジメタノールは極めて高粘度の化合物であ
り、回収、抽出分離、精製などのハンドリング操作が困
難となるため、トリシクロデカンジメタノールの単離収
率が低下するという問題点が存在する。
ール系溶媒を用いるトリシクロデカンジメタノール製造
法には次のような問題点がある。アルコール系溶媒の存
在下でアセタール化したジアルデヒドは高温で安定であ
るが、水素還元反応が著しく遅くなってしまうためトリ
シクロデカンジカルバルデヒドからトリシクロデカンジ
メタノールを製造する工程の生産性が著しく低下してし
まう。また、水素還元されずにアセタール体が残存する
とトリシクロデカンジメタノールの沸点との間に差がな
いため蒸留分離が困難であるという問題も発生する。
1−80068号公報ではロジウム触媒濃度を極端に減
少させ、ホスファイトを配位子として用い、共役ジエン
濃度を制御してジシクロペンタジエンのヒドロホルミル
化反応を実施する方法であるが、本研究者が検討したと
ころ、特許記載のロジウム触媒濃度では反応が充分に進
行しないことが判明した。特許記載のように共役ジエン
濃度を150ppm以下にしても、ジエノフィルを共存
させたとしても充分な反応速度を得るにはロジウム触媒
濃度を高めてやらなければことが判った。また、ホスフ
ァイトを配位子として用いると、蒸留等の熱的履歴のか
かる分離法でトリシクロデカンジカルバルデヒドを得よ
うとすると特表昭61−501368号公報に記載され
ているようにホスファイトとアルデヒドが反応し高沸点
副生成物が生成し収率が低下する。また、蒸留中にこの
高沸点生成物の分解によりトリシクロデカンジカルバル
デヒドと沸点の近い化合物が生成し高純度のトリシクロ
デカンジカルバルデヒドを得ることが出来なかった。
ールを溶媒として第三級アミン化合物共存下、ロジウム
−ホスファイトからなる触媒でヒドロホルミル化反応を
実施し、その生成液をそのまま水素化触媒の存在下に水
素還元しトリシクロデカンジメタノールを製造する方法
であるが、特許記載のロジウム触媒濃度では反応が充分
に進行しないし、反応が進行するロジウム触媒濃度でヒ
ドロホルミル化を行った後、水素化触媒の存在下に水素
還元を実施するとヒドロホルミル化触媒の錯体を構成す
るロジウムが金属に還元され水素化触媒上や装置内に析
出し回収不可能になる。また、ホスファイトを含む生成
液を水素化触媒に導入すると、リンが触媒毒となり水素
化活性を著しく阻害する。そのため、反応時間を長くし
てやったり、温度や圧力などの反応条件を厳しくしてや
る必要がある。特にホスファイトを用いて水素化活性が
低下した場合、反応温度を上げると先に述べたようにホ
スファイトとアルデヒドが反応し高沸点副生成物の生成
が促進しトリシクロデカンジメタノールの収率が極端に
低下する。
ジエン及び/又はトリシクロペンタジエンのヒドロホル
ミル化反応によりトリシクロデカンジカルバルデヒド及
び/又はペンタシクロペンタデカンジカルバルデヒドを
合成し、該ジアルデヒドを水素還元(水添)してトリシ
クロデカンジメタノール及び/又はペンタシクロペンタ
デカンジメタノールを得る方法において、触媒費が安
く、比較的低い反応圧力で反応を実施することができる
ため反応装置費用が安く、しかも良好な収率で得ること
のできる、工業的に有利なトリシクロデカンジメタノー
ル及び/又はペンタシクロペンタデカンジメタノールの
製造法を提供することにある。
を解決すべく鋭意検討した結果、(1)炭化水素化合物
からなるヒドロホルミル化溶媒中、ロジウム化合物及び
有機リン化合物からなる触媒の共存下に、水素と一酸化
炭素を用いて、ジシクロペンタジエン及び/又はトリシ
クロペンタジエンをヒドロホルミル化してトリシクロデ
カンジカルバルデヒド及び/又はペンタシクロペンタデ
カンジカルバルデヒドを製造する工程1、(2)工程1
で得られたジアルデヒドを含有する反応生成液に、炭素
数2〜6の多価アルコールからなる抽出溶媒を添加、混
合して炭化水素化合物層と抽出溶媒層に分離し、触媒成
分を炭化水素化合物層に残し、トリシクロデカンジカル
バルデヒド及び/又はペンタシクロペンタデカンジカル
バルデヒドを抽出溶媒層に抽出する工程2、及び(3)
工程2で得られたジアルデヒドを含有する抽出溶媒層に
接触水添を施し、該ジアルデヒドを対応するジアルコー
ルに転化する工程3、からなるトリシクロデカンジメタ
ノール及び/又はペンタシクロペンタデカンジメタノー
ルの製造法、あるいは(1)炭化水素化合物からなるヒ
ドロホルミル化溶媒中、ロジウム化合物及び有機リン化
合物からなる触媒の共存下に、水素と一酸化炭素を用い
て、ジシクロペンタジエン及び/又はトリシクロペンタ
ジエンをヒドロホルミル化してトリシクロデカンジカル
バルデヒド及び/又はペンタシクロペンタデカンジカル
バルデヒドを製造する工程1、(2)工程1で得られた
ジアルデヒドを含有する反応生成液に、炭化水素化合物
と炭素数2〜6の多価アルコールからなる抽出溶媒とを
添加、混合して炭化水素化合物層と抽出溶媒層に分離
し、触媒成分を炭化水素化合物層に残し、トリシクロデ
カンジカルバルデヒド及び/又はペンタシクロペンタデ
カンジカルバルデヒドを抽出溶媒層に抽出する工程2、
及び(3)工程2で得られたジアルデヒドを含有する抽
出溶媒層に接触水添を施し、該アルデヒドを対応するア
ルコールに転化する工程3、からなるトリシクロデカン
ジメタノール及び/又はペンタシクロペンタデカンジメ
タノールの製造法により、トリシクロデカンジメタノー
ル及び/又はペンタシクロペンタデカンジメタノールを
収率良く、簡単なプロセスで製造できることを見出し、
本発明を完成させた。
タジエンのヒドロホルミル化及び水素還元によるトリシ
クロデカンジメタノールの生成反応を式(I)に、トリ
シクロペンタジエンのヒドロホルミル化及び水素還元に
よるペンタシクロペンタデカンジメタノールの生成反応
を式(II)示す。
化合物と錯体を形成し水素と一酸化炭素存在下でヒドロ
ホルミル化活性を示す物であればその前駆体の形態によ
らない。すなわち、Rh(acac)(CO)2, Rh2O3, Rh4(CO)12,
Rh6(CO)16, Rh(NO3)3などの触媒前駆体物質を有機リン
化合物と一緒に反応混合物中に導入し反応容器内で触媒
活性を持つロジウム金属ヒドリドカルボニルリン錯体を
形成させてもよいし、あらかじめロジウム金属ヒドリド
カルボニルリン錯体触媒を調製してそれを反応容器内に
導入してもよい。本発明の好ましい具体例では、Rh(aca
c)(CO)2 をロジウム前駆体物質として使用して溶媒の存
在下に有機リン化合物と反応させた後、過剰の遊離有機
リン化合物と一緒に反応器に導入し、触媒活性を持つロ
ジウム−有機リン錯体触媒とする。いずれにしても、本
発明の目的に対しては、ヒドロホルミル化反応で使用さ
れる一酸化炭素及び水素の存在する条件下で活性ロジウ
ム−有機リン触媒が反応混合物中に存在すれば充分であ
る。
ホルミル化反応の触媒を形成する有機リン化合物として
はホスファイト及びホスフィンである。ホスファイトの
使用がジシクロペンタジエンやトリシクロペンタジエン
のような内部オレフィンのヒドロホルミル化反応に有効
であることは米国特許第3,499,933号公報や米
国特許第4,443,638号公報に記載のごとく公知
であるが、本発明においては一般式 P(-OR1)(-OR2)(-O
R3) (式中、R1, R2及びR3はそれぞれ置換されていても
よいアリール基又はアルキル基を表わす。)で示され、
そのエレクロトニックパラメーターνが2080〜20
90cm-1であり、かつステリックパラメーターθが13
5〜190度であるような公知のホスファイトを使用す
ることが好ましい。ここで、エレクロトニックパラメー
ターν及びステリックパラメーターθは、トールマン
(C.A.Tolman)ケミカルレビューズ、77巻、313頁、
1977年により定義された値であって、エレクロトニ
ックパラメーターνはリン化合物が金属錯体を形成する
ときの電子的効果を評価するパラメーターとしてNiカ
ルボニル錯体のカルボニル収縮波に基づいて算出される
ものであり、また、ステリックパラメーターθは、リン
化合物の立体効果を評価するパラメーターとして分子モ
デルの円錐角度より算出されるものである。R1, R2及び
R3の具体例としては、メチル基、エチル基、イソプロピ
ル基、n-ブチル基、t-ブチル基、メトキシ基などで置換
されていてもよいフェニル基及びナフチル基などのアリ
ール基;メチル基、エチル基、イソプロピル基、n-ブチ
ル基、t-ブチル基などの脂肪族アルキル基;メチル基、
エチル基、イソプロピル基、n-ブチル基、t-ブチル基な
どの低級アルキル基で置換されていてもよいシクロペン
チル基、シクロヘキシル基などの脂環式アルキル基等が
挙げられる。好適なホスファイトの具体例としては、ト
リス(2−t−ブチルフェニル)ホスファイト、トリス
(3−メチル−6−t−ブチルフェニル)ホスファイ
ト、トリス(3−メトキシ−6−t−ブチルフェニル)
ホスファイト、トリス(2,4−ジ−t−ブチルフェニ
ル)ホスファイト、ジ(2−t−ブチルフェニル)t−
ブチルホスファイトなどが挙げられるが、これらのホス
ファイトのみに限定されるものではない。また、これら
のホスファイトは単独で使用してもよいし、2種以上を
組合わせて使用しても良い。
ホスフィンがジシクロペンタジエンやトリシクロペンタ
ジエンのような内部オレフィンのヒドロホルミル化反応
に有効であることは米国特許第3,168,553号公
報や米国特許第3,239,566号公報、米国特許第
3,511,880号公報に記載のごとく公知である
が、その中でもステリックパラメーターθが135〜1
90゜であるトリシクロアルキルホスフィンが特に好ま
しい。その代表例としてはトリシクロプロピルホスフィ
ン、トリシクロブチルホスフィン、トリシクロペンチル
ホスフィン、トリシクロヘキシルホスフィン、トリシク
ロヘプチルホスフィン、トリシクロオクチルホスフィン
などであるが、これらホスフィンに限定されるものでは
ない。また、これらのホスフィンは単独で使用してもよ
いし、2種以上を組合わせて使用しても良い。
量は、ヒドロホルミル化反応溶液中において有機リン化
合物がロジウム金属に対し1〜400モル倍の範囲、好
ましくは3〜200モル倍の範囲で存在すれば、満足で
きるヒドロホルミル化反応速度でジアルデヒドを得るこ
とが出来る。本発明に従うヒドロホルミル化反応は、溶
媒を用いずに実施することも可能であるが、反応に不活
性な有機溶媒を用いるとより好適に実施できる。ヒドロ
ホルミル化反応終了後、ジアルデヒドを含有する反応生
成液を炭素数2〜6の多価アルコールと接触させ、触媒
成分をジヒドロホルミル化溶媒層に残したまま、アルデ
ヒド成分を炭素数2〜6の多価アルコールからなる抽出
溶媒層に抽出し、層分離を行う。そのためヒドロホルミ
ル化溶媒は炭素数2〜6の多価アルコールと層分離する
ものが好ましい。この様な溶媒としては芳香族炭化水素
化合物、脂肪族炭化水素化合物、脂環式炭化水素化合物
が挙げられる。
及びトルエン、キシレン、メシチレン、プソイドクメン
などのメチルベンゼン類、エチルベンゼン、ジエチルベ
ンゼン、トリエチルベンゼンなどのエチルベンゼン類、
イソプロピルベンゼン、1,3−ジイソプロピルベンゼ
ン、1,4−ジイソプロピルベンゼンなどのプロピルベ
ンゼン類、またこれら以外の各種アルキルベンゼン類も
好適に使用できる。脂肪族炭化水素化合物としては、ペ
ンタン、ヘキサン、ヘプタン、オクタン、イソオクタ
ン、ドデカン、デカンが例示され、標準温度及び圧力で
液体であればこれらに限定されない。脂環式炭化水素化
合物としてはシクロヘキサン、シクロオクタン、シクロ
ドデカン、デカリン、メチルシクロヘキサンなどが好適
に使用される。一般に極性官能基を有する溶媒、例えば
ケトン類やエステル類、又は炭素と水素以外の原子を有
する溶媒は好ましくないが、これは、このような溶媒
が、満足できる分配特性を示さず、且つ触媒系に悪影響
を及ぼすためである。
しては、原料のジシクロペンタジエン及び/又はトリシ
クロペンタジエンに対して、ロジウム金属として50〜
5000ppmであり、より好ましくは50〜2000
ppmである。ロジウムを50ppm以上で使う場合に
おいては、触媒の再使用が必要になってくる。
ための温度及び圧力に関する条件は、40〜160℃、
好ましくは80〜140℃の反応温度及び、10〜15
0気圧の反応圧力である。温度が40℃より低い場合は
ヒドロホルミル化の反応が遅く、160℃より高い場合
は反応溶液中におけるジシクロペンタジエン及び/又は
トリシクロペンタジエンやヒドロホルミル化反応生成物
からの副反応が進行し反応成績が悪化する。また、圧力
が10気圧より低い場合はヒドロホルミル化の反応が遅
く、150気圧より高い場合は高圧の反応装置を使用す
るため装置費用が高くなってしまう。反応に用いられる
水素/一酸化炭素混合ガスにおける水素と一酸化炭素の
モル比は導入ガス組成(水素/一酸化炭素)として0.
2〜5.0の範囲から選ぶことができる。水素/一酸化
炭素混合ガスがこの範囲を外れるとヒドロホルミル化反
応の反応活性あるいはアルデヒド選択率が低下する。
は高純度の物が好ましい。ブタジエン、イソプレン、シ
クロペンタジエン、1,3−ペンタジエンなど不純物は
なるべく含有しないことが好ましい。しかし、たとえ高
純度のジシクロペンタジエンを使用しても、ヒドロホル
ミル化反応条件でジシクロペンタジエンは解重合を引き
起こしシクロペンタジエンを生成するので、この濃度を
ゼロにするのは実質的に不可能であり、少量のシクロペ
ンタジエンが共存しても進行する条件で反応を実施する
必要がある。
ンはジシクロペンタジエンから容易に合成される。ジシ
クロペンタジエンは熱により解重合と重合を引き起こし
トリシクロペンタジエンや4量体、5量体を生成する。
単量体及びこれら多量体を含む混合物から蒸留によりト
リシクロペンタジエンは取得することが出来る。上記の
式(II)からわかるように、本発明の原料に用いるトリ
シクロペンタジエンは2種の化合物からなる。
式としては、ロジウム−有機リン錯体触媒、溶媒、及び
水素と一酸化炭素との混合ガスの存在する反応器へ、原
料のジシクロペンタジエン及び/又はトリシクロペンタ
ジエン単独で、又はこれらと溶媒との混合溶液として供
給しながら行う連続フィード方式が採用される。この方
法を用いると、反応器中でジシクロペンタジエン及び/
又はトリシクロペンタジエンが熱分解してヒドロホルミ
ル化反応を阻害するシクロペンタジエンの生成を低減で
き、良好な反応速度と収率を維持できる。ジシクロペン
タジエン及び/又はトリシクロペンタジエンの流動性を
保持するため前述の溶媒で希釈し、これらが解重合しシ
クロペンタジエンを生成しない温度で反応器に供給する
ことが好ましい。
は、例えば、蒸留、薄膜蒸発、水蒸気蒸留などの方法に
より生成物を触媒成分と分離するが、本発明のジアルデ
ヒド生成物は沸点が高く、また使用する触媒量、触媒成
分から蒸留による熱的手法の分離法適用は不可能であ
り、また経済的に触媒をそのまま破棄することもできな
い。そこで、熱をかけずに生成物と触媒成分を効率よく
分離する方法が必要である。
応終了後、反応生成液をそのまま、又は、ヒドロホルミ
ル化溶媒として反応で使用した炭化水素化合物もしくは
他の炭化水素化合物で希釈した後、炭素数2〜6の多価
アルコールと接触させ、触媒成分をヒドロホルミル化溶
媒層に残したまま、生成物であるジアルデヒドを炭素数
2〜6の多価アルコールに抽出し、層分離を行う。炭素
数2〜6の多価アルコールとしてはエチレングリコー
ル、1,3−プロパンジオール,1,2−プロパンジオ
ール,1,4−ブタンジオール、1,2−ブタンジオー
ル、1,3−ブタンジオール、2,3−ブタンジオー
ル、ペンタンジオールの各異性体、ネオペンチルグリコ
ール、ヘキサンジオール、グリセリン、ペンタエリスリ
トール、トリメチロールプロパンなどが使用される。こ
の中で、エチレングリコールやプロパンジオール類、ブ
タンジオール類が比較的沸点が低く、価格も安く、液体
として取扱もしやすいので好適に使用される。また、こ
れら単独でも混合物で使用しても問題ない。炭素数2〜
6の多価アルコールに水を共存させて使用しても何等問
題はなく、水の添加によりアルデヒドや触媒成分の各層
への分配が向上する。ヒドロホルミル化反応に使用され
る反応溶媒と抽出溶媒は満足な層分離を実現するため密
度に差があるほうが好ましいが、ジアルデヒドを含むヒ
ドロホルミル化溶媒と抽出溶媒の組合わせでひとつの好
適な例はメチルシクロヘキサンとエチレングリコールと
の組合わせである。
ジアルデヒドの分配は平衡である。それに対して、触媒
成分であるロジウムと有機リンは実質的にヒドロホルミ
ル化溶媒にのみ存在し抽出溶媒中には分析限界以下しか
認められない。抽出溶媒と反応生成液との層対体積は、
ジアルデヒドの抽出溶媒に対する溶解度、抽出すべきジ
アルデヒド生成物の量によって決まる。例えば、分離す
べきジアルデヒドが抽出溶媒に対し高い溶解度を示し、
反応生成液に低濃度で存在する場合には、低い体積比率
(抽出溶媒/反応生成液)の抽出溶媒の使用でジアルデ
ヒドの実用的抽出が可能である。生成物の濃度が高いほ
ど、反応生成液からジアルデヒドを抽出するための体積
比率(抽出溶媒/反応生成液)を高くなる。ジアルデヒ
ド生成物が抽出溶液中で比較的低い溶解度を示す場合
は、単位体積のヒドロホルミル化反応生成液の体積比率
は10:1〜1:10の範囲で変動し得る。また、少な
い抽出溶媒使用量でジアルデヒドの取得量を多くするた
め、抽出溶媒を分け、数回の抽出操作を行うことが有効
である。
ヒドロホルミル化反応温度より高い温度で実施してもな
んら有効性はなく、ヒドロホルミル化反応温度以下で実
施するのが実際的である。反応器に反応後、抽出溶媒を
添加し抽出操作を実施してもよいし、反応器からヒドロ
ホルミル化反応生成液を抜出し、抽出槽で操作を実施し
てもよい。反応器に直接抽出溶媒を添加し抽出操作を実
施し、触媒成分を反応器にそのまま保持して次のヒドロ
ホルミル化を実施することもできる。ヒドロホルミル化
反応生成液を抜出し、抽出槽で操作を実施する場合は、
触媒を含有する炭化水素溶媒層は反応器に戻され、再度
反応に使用される。また、本プロセスは、バッチプロセ
スでも連続プロセスでも実施可能である。
と、ヒドロホルミル化生成物のジアルデヒドがアセター
ル化し高沸点生成物に成る場合がある。アセタールの生
成はアルデヒドの収率を低下させるだけでなく、水素化
生成物であるトリシクロデカンジメタノールやペンタシ
クロペンタデカンジメタノールを得ようとする場合、水
素化還元速度が著しく低下し、生産性が低くなる。さら
に、アセタール体の沸点とトリシクロデカンジメタノー
ルやペンタシクロペンタデカンジメタノールの沸点差が
少ないため蒸留分離が困難であるという問題がある。多
価アルコールに第3級アミンを添加するとこのアセター
ルの生成を防ぐことができる。
チルアミン、トリエチルアミン、トリ−n−ブチルアミ
ン、トリ−n−オクチルアミン、トリエタノールアミ
ン、N−メチルジエタノールアミン、N,N−ジメチル
エタノールアミンなどの脂肪族第3級アミン;N,N−
ジメチルアニリン、N,N−ジエチルアニリン、トリフ
ェニルアミンなどの芳香族第3級アミン又はピリジン、
キノリンなどのヘテロ環式第3級アミン化合物が挙げら
れる。これらの内、炭化水素系溶媒に溶解度が低く、多
価アルコールへの溶解度の高いトリエタノールアミン、
N−メチルジエタノールアミン、N,N−ジメチルエタ
ノールアミンが本発明の溶媒抽出による触媒成分とジア
ルデヒドを分離する方法の使用に最適である。多価アル
コールとしてエチレングリコール、プロパンジオール
類、ブタンジオール類を用いて抽出操作を行い、引続き
蒸留を行いトリシクロデカンジカルバルデヒドやペンタ
シクロペンタデカンジカルバルデヒドを取得する場合に
は、これらジオール類より沸点の高いトリエタノールア
ミン、N−メチルジエタノールアミンの使用が特に好ま
しい。これら第3級アミンは単独でも2種以上の混合物
での使用も可能であり、また、使用量もアセタールの生
成を防げる量であれば特に制限はない。
ミル化反応生成液からの触媒成分とジアルデヒド類の分
離を行う抽出工程から実施してもよいし、工程3の水素
還元直前に実施してもよい。工程2の抽出操作から添加
する場合は、グリコールと相溶解性の良好なトリエタノ
ールアミン、N−メチルジエタノールアミン、N,N−
ジメチルエタノールアミンが好適であり、工程3の水素
還元直前に添加する場合はトリメチルアミン、トリエチ
ルアミン、トリ−n−ブチルアミン、トリ−n−オクチ
ルアミン、トリエタノールアミン、N−メチルジエタノ
ールアミン、N,N−ジメチルエタノールアミンなどの
脂肪族第3級アミン;N,N−ジメチルアニリン、N,
N−ジエチルアニリン、トリフェニルアミンなどの芳香
族第3級アミン又はピリジン、キノリンなどのヘテロ環
式第3級アミン化合物の中から適時決められる。
デカンジカルバルデヒドやペンタシクロペンタデカンジ
カルバルデヒドを水素還元する触媒としては、公知の水
素還元能を有したニッケル、コバルト、ルテニウム、パ
ラジウム、ロジウム、白金などの周期率表VIII族及び亜
クロム酸銅、銅−亜鉛などの金属触媒を使用することが
できる。これらの金属触媒は、金属単体、金属酸化物、
シリカやアルミナ、ケイソウ土やカーボンなどの無機担
体に担持された形態、あるいは金属錯体などの形態で使
用できる。これらの水素化触媒のうち水素還元反応速度
と反応後の触媒分離の観点から、ラネーニッケル、ニッ
ケル/ケイソウ土、亜クロム酸銅、ルテニウム/カーボ
ン、ルテニウム/アルミナ触媒が特に好適に使用され
る。反応形態としては、撹拌式反応器に触媒をスラリー
として仕込み、回分式で反応を実施し、反応後触媒を沈
降ロ過し生成液と分離する方法や、成型された触媒を管
型反応器に仕込み、生成液と水素ガスを触媒上を流す潅
液型反応が適時採用される。使用される触媒量は工業的
に有利な生産性でトリシクロデカンジメタノールやペン
タシクロペンタデカンジメタノールを製造できれば特に
制限はない。
0℃、好ましくは70〜150℃の温度、及び10MP
a以下の反応圧力である。温度が40℃より低い場合は
水素還元反応が遅く、200℃より高い場合は目的のト
リシクロデカンジメタノールやペンタシクロペンタデカ
ンジメタノールからの副反応が進行し反応成績が悪化す
る。また、圧力が10MPaより高い場合は高圧の反応
装置を使用するため装置費用が高くなってしまう。
ジメタノールやペンタシクロペンタデカンジメタノール
とグリコール系溶媒を含む粗反応液は、容易なハンドリ
ング操作により回収、精製を行うことができる。一般的
手法、例えば溶媒を留去して得られた粗生成物から薄膜
蒸発、蒸留などの操作によりトリシクロデカンジメタノ
ールやペンタシクロペンタデカンジメタノールを分離精
製することができる。以下実施例により本発明を説明す
るが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではな
い。
導入管及びサンプル抜出し管を備えた内容量500ml
のステンレス製電磁撹拌式オートクレーブに、Rh(acac)
(CO)2 0.15g(0.581mmol)、トリス−
(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)ホスファイト1.
88g(2.91mmol)及びメチルシクロヘキサン
40gを水素/一酸化炭素=1/1(モル比)の混合ガ
ス雰囲気下、仕込み、次いでオートクレーブ内を水素/
一酸化炭素=1/1(モル比)の混合ガスを供給して内
圧を7.0MPaに維持しながら、ジシクロペンタジエ
ン250g、及びメチルシクロヘキサン10gからなる
混合液を2時間かけて連続的にオートクレーブにフィー
ドした。この間、オートクレーブ内の温度は130℃に
保った。ジシクロペンタジエンを含有する上記の混合液
のフィード終了後、130℃で更に3時間撹拌し反応を
継続した。反応終了後、オートクレーブ下部抜出し管よ
り生成液414.3gを取得した。この生成液は2層に
分離しており、下層はトリシクロデカンジカルバルデヒ
ドを多く含む層であり、上層は溶媒メチルシクロヘキサ
ンを多く含む層であった。また、それぞれの層にロジウ
ム成分とリン成分が存在していた。この生成液を激しく
撹拌し均一懸濁液とし、一部をサンプリングし、ガスク
ロマトグラフィーで分析したところ、ジシクロペンタジ
エンの転化率は100%であり、トリシクロデカンジカ
ルバルデヒドの収率は97.6%であることが判った。
なお、ジシクロペンタジエンの二重結合の1つだけがヒ
ドロホルミル化されたモノアルデヒド体(以下、単にモ
ノアルデヒドと略称する)の収率は2.4%であった
測定用温度計と、装置内雰囲気を窒素又は水素/一酸化
炭素に置換できる真空コックを備え、抽出操作後に抽出
層を抜出せるように装置下部にコックを備え、抽出操作
温度を変えられるようにジャケットタイプとした縦長の
1000mlの3口フラスコを用いて抽出実験を実施し
た。実施例1の生成液を激しく撹拌し均一懸濁液とし、
生成液100gをフラスコに仕込んだ。この生成液には
トリシクロデカンジカルバルデヒド85.66g、モノ
アルデヒド1.78g、ロジウムが原子として0.14
0mmol、リンが原子として0.701mmol含ま
れていた。ヒドロホルミル化反応溶媒であるメチルシク
ロヘキサンを300g加え、さらにエチレングリコール
300gを加えた。その混合物を25℃で30分間撹拌
し平衡状態に到達させ、撹拌を停止し、その混合物を3
0分間にわたり2層に分離させた。ヒドロホルミル化溶
媒を含んでなる上部層と底部の抽出溶媒層を得た。ヒド
ロホルミル化溶媒層(炭化水素化合物層)の重量は32
1.7gであり、トリシクロデカンジカルバルデヒド
8.57g、モノアルデヒド0.53g、ロジウムが原
子として0.140mmol、リンが原子として0.7
01mmol含まれていた。エチレングリコール層(抽
出溶媒層)の重量は378.3gであり、トリシクロデ
カンジカルバルデヒド77.09g、モノアルデヒド
1.25gが含まれていた。ロジウムは原子として0.
003mmol以下、リンは原子として0.01mmo
l以下で分析検出限界以下であり、実質的にエチレング
リコール層への抽出は認められなかった。エチレングリ
コール層に抽出されたトリシクロデカンジカルバルデヒ
ド、モノアルデヒドの一部微量はエチレングリコールと
アセタールを生成していたがこれらはトリシクロデカン
ジカルバルデヒド、モノアルデヒドとして取扱った。本
抽出プロセスの効率を、化合物[X]の分配係数(K
p)により測定でき以下の様に定義される。 Kp=[抽出溶媒中のXの濃度]/[ヒドロホルミル化溶媒中のXの濃度] トリシクロデカンジカルバルデヒドの分配係数 Kp=7.65 モノアルデヒドの 分配係数 Kp=2.01 であった。
デヒドとモノアルデヒドが含まれる上記エチレングリコ
ール層100gとN−メチルジエタノールアミン0.5
g、ラネーニッケル5gを200ml撹拌式ステンレス
製オートクレーブに仕込み、水素ガスで置換後、撹拌を
開始し、温度を120℃に、水素ガスの圧力を0.9M
Paに調整した。この条件で3時間反応を行った。水素
の吸収が認められなくなったので、冷却及び放圧後、反
応生成液を取り出した。トリシクロデカンジカルバルデ
ヒドの転化率は100%であり、上記抽出操作で生成し
たジアルデヒドのアセタール以上に水添操作で新たなア
セタールの生成は認めらなかった。ジアルデヒド基準の
トリシクロデカンジメタノールの収率は99.6%であ
り、アセタール体はトリシクロデカンジメタノールに対
し0.4%であった。
導入管及びサンプル抜出し管を備えた内容量500ml
のステンレス製電磁撹拌式オートクレーブに、Rh(acac)
(CO)2 0.15g(0.581mmol)、トリシクロ
ヘキシルホスフィン0.816g(2.91mmol)
及びメチルシクロヘキサン40gを水素/一酸化炭素=
1/1(モル比)の混合ガス雰囲気下、仕込み、次いで
オートクレーブ内を水素/一酸化炭素=1/1(モル
比)の混合ガスを供給して内圧を7.0MPaに維持し
ながら、ジシクロペンタジエン250g、及びメチルシ
クロヘキサン10gからなる混合液を2時間かけて連続
的にオートクレーブにフィードした。この間、オートク
レーブ内の温度は130℃に保った。ジシクロペンタジ
エンを含有する上記の混合液のフィード終了後、130
℃で更に3時間撹拌し反応を継続した。反応終了後、オ
ートクレーブ下部抜出し管より生成液409.2gを取
得した。この生成液は2層に分離しており、下層はトリ
シクロデカンジカルバルデヒドを多く含む層であり、上
層は溶媒メチルシクロヘキサンを多く含む層であった。
また、それぞれの層にロジウム成分とリン成分が存在し
ていた。この生成液を激しく撹拌し均一懸濁液とし、一
部をサンプリングし、ガスクロマトグラフィーで分析し
たところ、ジシクロペンタジエンの転化率は100%で
あり、トリシクロデカンジカルバルデヒドの収率は9
0.4%であることが判った。なお、ジシクロペンタジ
エンの二重結合の1つだけがヒドロホルミル化されたモ
ノアルデヒド体(以下、単にモノアルデヒドと略称す
る)の収率は9.6%であった。
しく撹拌し均一懸濁液とし、生成液100gをフラスコ
に仕込んだ。この生成液にはトリシクロデカンジカルバ
ルデヒド80.34g、モノアルデヒド7.20g、ロ
ジウムが原子として0.140mmol、リンが原子と
して0.701mmol含まれていた。ヒドロホルミル
化反応溶媒であるメチルシクロヘキサンを300g加
え、さらにエチレングリコール300gとN−メチルジ
エタノールアミン1.5gを加えた。その混合物を25
℃で30分間撹拌し平衡状態に到達させ、撹拌を停止
し、その混合物を30分間にわたり2層に分離させた。
ヒドロホルミル化溶媒を含んでなる上部層と底部の抽出
溶液層を得た。ヒドロホルミル化溶媒層(炭化水素化合
物層)の重量は322.7gであり、トリシクロデカン
ジカルバルデヒド8.03g、モノアルデヒド2.16
g、ロジウムが原子として0.140mmol、リンが
原子として0.701mmol含まれていた。エチレン
グリコール層(抽出溶媒層)の重量は378.9gであ
り、トリシクロデカンジカルバルデヒド72.31g、
モノアルデヒド5.04gが含まれていた。ロジウムは
原子として0.003mmol以下、リンは原子として
0.01mmol以下で分析検出限界以下であり、実質
的にエチレングリコール層への抽出は認められなかっ
た。N−メチルジエタノールアミンを添加するとエチレ
ングリコール層に抽出されたトリシクロデカンジカルバ
ルデヒド、モノアルデヒドのエチレングリコールとのア
セタールは生成していなかった。また、N−メチルジエ
タノールアミンは全量エチレングリコール層に存在して
いた。 トリシクロデカンジカルバルデヒドの分配係数 Kp=7.50 モノアルデヒドの 分配係数 Kp=1.96 であった。
デヒド、モノアルデヒドとN−メチルジエタノールアミ
ンが含まれる上記エチレングリコール層100gと5w
t%−Ru/C0.5gを200ml撹拌式ステンレス
製オートクレーブに仕込み、水素ガスで置換後、撹拌を
開始し、温度を120℃に、水素ガスの圧力を0.9M
Paに調整した。この条件で3時間反応を行った。水素
の吸収が認められなくなったので、冷却及び放圧後、反
応生成液を取り出した。トリシクロデカンジカルバルデ
ヒドの転化率は100%であり、上記抽出操作及び水添
操作を通じアセタールの生成は認められなかった。ジア
ルデヒド基準のトリシクロデカンジメタノールの収率は
99.7%以上であった。
ス導入管及びサンプル抜出し管を備えた内容量500m
lのステンレス製電磁撹拌式オートクレーブに、Rh(aca
c)(CO)2 0.15g(0.581mmol)、トリス−
(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)ホスファイト1.
88g(2.91mmol)及びメチルシクロヘキサン
40gを水素/一酸化炭素=1/1(モル比)の混合ガ
ス雰囲気下、仕込み、次いでオートクレーブ内を水素/
一酸化炭素=1/1(モル比)の混合ガスを供給して内
圧を7.0MPaに維持しながら、トリシクロペンタジ
エン250g、及びメチルシクロヘキサン10gからな
る混合液を2時間かけて連続的にオートクレーブにフィ
ードした。この間、オートクレーブ内の温度は130℃
に保った。トリシクロペンタジエンを含有する上記の混
合液のフィード終了後、130℃で更に3時間撹拌し反
応を継続した。反応終了後、オートクレーブ下部抜出し
管より生成液377.5gを取得した。この生成液は2
層に分離しており、下層はペンタシクロペンタデカンジ
カルバルデヒドを多く含む層であり、上層は溶媒メチル
シクロヘキサンを多く含む層であった。また、それぞれ
の層にロジウム成分とリン成分が存在していた。この生
成液を激しく撹拌し均一懸濁液とし、一部をサンプリン
グし、ガスクロマトグラフィーで分析したところ、トリ
シクロペンタジエンの転化率は100%であり、ペンタ
シクロペンタデカンジカルバルデヒドの収率は99.3
%であることが判った。なお、トリシクロペンタジエン
の二重結合の1つだけがヒドロホルミル化されたモノア
ルデヒド体(以下、単にモノアルデヒドと略称する)の
収率は0.7%であった。
媒としてエチレングリコール300gとトリエタノール
アミン1.0gを用いた以外は同様に実施した。エチレ
ングリコール層に、ロジウムは原子として0.003m
mol以下、リンは原子として0.01mmol以下で
分析検出限界以下しか抽出されず、実質的に認められな
かった。トリエタノールアミンを添加するとエチレング
リコール層に抽出されたペンタシクロペンタデカンジカ
ルバルデヒド、モノアルデヒドのエチレングリコールと
のアセタールは生成していなかった。また、トリエタノ
ールアミンは全量エチレングリコール層に存在してい
た。 ペンタシクロペンタデカンジカルバルデヒドの分配係数 Kp=9.57 モノアルデヒドの 分配係数 Kp=1.72 であった。
カルバルデヒド、モノアルデヒドとトリエタノールアミ
ンが含まれる上記エチレングリコール層100gとCu-C
r 触媒5gを200ml撹拌式ステンレス製オートクレ
ーブに仕込み、水素ガスで置換後、撹拌を開始し、温度
を120℃に、水素ガスの圧力を0.9MPaに調整し
た。この条件で3時間反応を行った。水素の吸収が認め
られなくなったので、冷却及び放圧後、反応生成液を取
り出した。ペンタシクロペンタデカンジカルバルデヒド
の転化率は100%であり、上記抽出操作及び水添操作
を通じアセタールの生成は認められなかった。ジアルデ
ヒド基準のトリシクロデカンジメタノールの収率は99.7
%以上であった。
ス導入管及びサンプル抜出し管を備えた内容量500m
lのステンレス製電磁撹拌式オートクレーブに、Rh(aca
c)(CO)2 0.15g(0.581mmol)、トリシク
ロヘキシルホスフィン0.816g(2.906mmo
l)及びメチルシクロヘキサン40gを水素/一酸化炭
素=1/1(モル比)の混合ガス雰囲気下、仕込み、次
いでオートクレーブ内を水素/一酸化炭素=1/1(モ
ル比)の混合ガスを供給して内圧を7.0MPaに維持
しながら、トリシクロペンタジエン250g、及びメチルシ
クロヘキサン10gからなる混合液を2時間かけて連続
的にオートクレーブにフィードした。この間、オートク
レーブ内の温度は130℃に保った。トリシクロペンタ
ジエンを含有する上記の混合液のフィード終了後、13
0℃で更に3時間撹拌し反応を継続した。反応終了後、
オートクレーブ下部抜出し管より生成液375.1gを
取得した。この生成液は2層に分離しており、下層はペ
ンタシクロペンタデカンジカルバルデヒドを多く含む層
であり、上層は溶媒メチルシクロヘキサンを多く含む層
であった。また、それぞれの層にロジウム成分とリン成
分が存在していた。この生成液を激しく撹拌し均一懸濁
液とし、一部をサンプリングし、ガスクロマトグラフィ
ーで分析したところ、トリシクロペンタジエンの転化率
は100%であり、ペンタシクロペンタデカンジカルバ
ルデヒドの収率は95.7%であることが判った。な
お、トリシクロペンタジエンの二重結合の1つだけがヒ
ドロホルミル化されたモノアルデヒド体(以下、単にモ
ノアルデヒドと略称する)の収率は4.3%であった。
上記ヒドロホルミル化生成液の抽出を行った。 ペンタシクロペンタデカンジカルバルデヒドの分配係数 Kp=10.2 モノアルデヒドの 分配係数 Kp=1.73 であった。
カルバルデヒド、モノアルデヒドとトリエタノールアミ
ンが含まれるエチレングリコール層100gとラネーニ
ッケル5gを仕込み、実施例1の水添操作と同様に行っ
た。ペンタシクロペンタデカンジカルバルデヒドの転化
率は100%であり、上記抽出操作及び水添操作を通じ
アセタールの生成は認められなかった。ジアルデヒド基
準のトリシクロデカンジメタノールの収率は99.7%
以上であった。
トリエチルアミン0.5gを添加し、触媒としてラネー
ニッケル5gを用い、実施例1の水添操作と同様に行っ
た。トリシクロデカンジカルバルデヒドの転化率は10
0%であり、抽出操作で生成したジアルデヒドのアセタ
ール以上に水添操作で新たなアセタールの生成は認めら
れず、ジアルデヒド基準のトリシクロデカンジメタノー
ルの収率は99.6%であり、アセタール体はトリシク
ロデカンジメタノールに対し0.4%であった。
N,N−ジメチルエタノールアミン0.5gを添加し、
触媒として5wt%−Ru/C 0.5gを用い、実施
例1の水添操作と同様に行った。トリシクロデカンジカ
ルバルデヒドの転化率は100%であり、抽出操作で生
成したジアルデヒドのアセタール以上に水添操作で新た
なアセタールの生成は認められず、ジアルデヒド基準の
トリシクロデカンジメタノールの収率は99.6%であ
り、アセタール体はトリシクロデカンジメタノールに対
し0.4%であった。
第3級アミンを添加せず、触媒としてラネーニッケル5
gを用い、実施例1の水添操作と同様に行った。トリシ
クロデカンジカルバルデヒドの転化率は100%であっ
たが、抽出操作で生成したジアルデヒドのアセタール以
上に水添操作で新たなアセタールの生成が認められ、ジ
アルデヒド基準のトリシクロデカンジメタノールの収率
は85.7%であり、アセタール体が14.3%生成し
ていた。
ル300gを加え均一にした。この液120gを採取
し、触媒としてラネーニッケル5gを用い、実施例1の
水添操作と同様に行った。水素吸収量は反応初期は高か
ったが、30分経過した時点から吸収が遅くなり、理論
量の水素吸収は得られなかった。生成液の分析を実施し
たところ、トリシクロデカンジカルバルデヒドの転化率
は56%であり、未反応トリシクロデカンジカルバルデ
ヒドとアセタール体が13.8%生成していた。また、
水添後の生成液のロジウムとリンを分析したところ、ロ
ジウムの回収率は5%未満、リンの回収率は70%程度
であった。
ル300gを加え均一にした。この液120gを採取し、触
媒としてラネーニッケル5gを用い、実施例1の水添操
作と同様に行った。水素吸収量は反応初期は高かった
が、30分経過した時点から吸収が遅くなり、理論量の
水素吸収は得られなかった。生成液の分析を実施したと
ころ、ペンタシクロペンタデカンジカルバルデヒドの転
化率は51%であり、未反応ペンタシクロペンタデカン
ジカルバルデヒドとアセタール体が12.5%生成して
いた。水添条件を160℃、3.0MPaと厳しくし更
に3時間反応を継続した。ペンタシクロペンタデカンジ
カルバルデヒドの転化率は92%まで向上したが、アセ
タール体の水添は起らず、系中に含まれるホスファイト
とペンタシクロペンタデカンジカルバルデヒドが反応し
たと考えられる高沸点物が多量に生成していた。また、
水添後の生成液のロジウムとリンを分析したところ、ロ
ジウムの回収率は2%未満、リンの回収率は10%程度
であった。
はペンタシクロペンタデカンメタノールを高収率で製造
可能な実用的な方法を提供できる。
Claims (5)
- 【請求項1】 (1)炭化水素化合物からなるヒドロホ
ルミル化溶媒中、ロジウム化合物及び有機リン化合物か
らなる触媒の共存下に、水素と一酸化炭素を用いて、ジ
シクロペンタジエン及び/又はトリシクロペンタジエン
をヒドロホルミル化してトリシクロデカンジカルバルデ
ヒド及び/又はペンタシクロペンタデカンジカルバルデ
ヒドを製造する工程1、(2)工程1で得られたジアル
デヒドを含有する反応生成液に、炭素数2〜6の多価ア
ルコールからなる抽出溶媒を添加、混合して炭化水素化
合物層と抽出溶媒層に分離し、触媒成分を炭化水素化合
物層に残し、トリシクロデカンジカルバルデヒド及び/
又はペンタシクロペンタデカンジカルバルデヒドを抽出
溶媒層に抽出する工程2、及び(3)工程2で得られた
ジアルデヒドを含有する抽出溶媒層に接触水添を施し、
該ジアルデヒドを対応するジアルコールに転化する工程
3、からなることを特徴とするトリシクロデカンジメタ
ノール及び/又はペンタシクロペンタデカンジメタノー
ルの製造法。 - 【請求項2】 (1)炭化水素化合物からなるヒドロホ
ルミル化溶媒中、ロジウム化合物及び有機リン化合物か
らなる触媒の共存下に、水素と一酸化炭素を用いて、ジ
シクロペンタジエン及び/又はトリシクロペンタジエン
をヒドロホルミル化してトリシクロデカンジカルバルデ
ヒド及び/又はペンタシクロペンタデカンジカルバルデ
ヒドを製造する工程1、(2)工程1で得られたジアル
デヒドを含有する反応生成液に、炭化水素化合物と炭素
数2〜6の多価アルコールからなる抽出溶媒とを添加、
混合して炭化水素化合物層と抽出溶媒層に分離し、触媒
成分を炭化水素化合物層に残し、トリシクロデカンジカ
ルバルデヒド及び/又はペンタシクロペンタデカンジカ
ルバルデヒドを抽出溶媒層に抽出する工程2、及び
(3)工程2で得られたジアルデヒドを含有する抽出溶
媒層に接触水添を施し、該アルデヒドを対応するアルコ
ールに転化する工程3、からなることを特徴とするトリ
シクロデカンジメタノール及び/又はペンタシクロペン
タデカンジメタノールの製造法。 - 【請求項3】 ヒドロホルミル化溶媒として用いる炭化
水素化合物と反応終了後に加える炭化水素化合物とが同
じである請求項2記載の製造法。 - 【請求項4】 工程2において用いる抽出溶媒が、第三
級アミン化合物を含む炭素数2〜6の多価アルコールか
らなる抽出溶媒である請求項1又は2記載の製造法。 - 【請求項5】 炭素数2〜6の多価アルコールからなる
抽出溶媒が水を含む請求項1又は2記載の方法。
Priority Applications (4)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP18868899A JP4573003B2 (ja) | 1999-07-02 | 1999-07-02 | トリシクロデカンジメタノール及び/又はペンタシクロペンタデカンジメタノールの製造法 |
DE60002526T DE60002526T3 (de) | 1999-07-02 | 2000-06-29 | Herstellung von Tricyclodecandicarbaldehyd, Pentacyclopentadecandicarbaldehyd und der entsprechenden Dimethanole |
EP00113132A EP1065194B2 (en) | 1999-07-02 | 2000-06-29 | Production of tricyclodecane dicarbaldehyde, pentacyclopentadecane dicarbaldehyde and corresponding dimethanols |
US09/609,374 US6365782B1 (en) | 1999-07-02 | 2000-07-03 | Production of tricyclodecane dicarbaldehyde, pentacyclopentadecane dicarbaldehyde and corresponding dimethanols |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP18868899A JP4573003B2 (ja) | 1999-07-02 | 1999-07-02 | トリシクロデカンジメタノール及び/又はペンタシクロペンタデカンジメタノールの製造法 |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
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