JP2001122835A - ビス−(アミノメチル)−トリシクロデカンまたはビス−(アミノメチル)−ペンタシクロペンタデカンの製造法 - Google Patents

ビス−(アミノメチル)−トリシクロデカンまたはビス−(アミノメチル)−ペンタシクロペンタデカンの製造法

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JP2001122835A JP30293899A JP30293899A JP2001122835A JP 2001122835 A JP2001122835 A JP 2001122835A JP 30293899 A JP30293899 A JP 30293899A JP 30293899 A JP30293899 A JP 30293899A JP 2001122835 A JP2001122835 A JP 2001122835A
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tricyclodecane
hydroformylation
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Kenichi Nakamura
健一 中村
Takashi Fujii
尊 藤井
Takashi Motoi
隆司 元井
Kazuhiro Yamada
和寛 山田
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Mitsubishi Gas Chemical Co Inc
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Abstract

(57)【要約】 【課題】ビス−(アミノメチル)−トリシクロデカンや
ビス−(アミノメチル)−ペンタシクロペンタデカンを
工業的に有利に製造する方法を提供する。 【解決手段】ジシクロペンタジエンやトリシクロペンタ
ジエンをヒドロホルミル化してジアルデヒドを含む反応
液を得、該反応液に多価アルコールからなる抽出溶媒を
添加、混合して炭化水素化合物層と抽出溶媒層に分離
し、該抽出溶媒層ヲ還元アミノ化する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明はジシクロペンタジエ
ンまたはトリシクロペンタジエンのヒドロホルミル化反
応によりジアルデヒドを合成し、該ジアルデヒドを還元
アミノ化してビス−(アミノメチル)−トリシクロデカ
ンまたはビス−(アミノメチル)−ペンタシクロペンタ
デカンを得る方法に関する。ビス−(アミノメチル)−
トリシクロデカンやビス−(アミノメチル)−ペンタシ
クロペンタデカンはナイロン、イソシアネート、ポリウ
レタン、エポキシ硬化剤原料として有用である。
【0002】
【従来の技術】ジシクロペンタジエンのヒドロホルミル
化反応によりトリシクロデカンジカルバルデヒドを得る
方法としては、英国特許第750144号に、希釈剤、
重合禁止剤、安定化剤およびコバルト化合物よりなる触
媒の存在下にジシクロペンンタジエンをヒドロホルミル
化反応させる方法が記載されている。しかしながら、実
施例によればジアルデヒドの収率が約28%と低い。
【0003】また、英国特許第1170226号には、
ジシクロペンタジエンのヒドロホルミル化反応を、80
℃以上、30気圧以上の条件にてロジウムを含む触媒を
用いる方法が開示されている。実施例によれば収率は約
80%とかなり改善されているが、反応圧力が250気
圧という高圧である点に問題が残されている。
【0004】さらに、EP公開第186075号には、
ロジウム化合物とスルホン酸基を有するホスフィンの第
四級アンモニウム塩からなる触媒の存在下にジシクロペ
ンタジエンのヒドロホルミル化反応を行う方法が示され
ている。この方法は高価なロジウム化合物を回収するた
め特定のホスフィンを反応系中に存在させるもので、ヒ
ドロホルミル化がジシクロペンタジエンの一つの二重結
合のみに起ったトリシクロデセンアルデヒドが主生成物
であり、トリシクロデカンジカルバルデヒドの取得量は
反応液中の比率として2.8%に過ぎず、トリシクロデ
カンジカルバルデヒドの製法とはなり得ない。
【0005】特表平6−501958号には、オレフィ
ンのロジウム触媒を用いるヒドロホルミル化反応によっ
て製造された高沸点アルデヒドを回収するための、第一
アルカノールおよび水を含んでなる抽出溶媒を用いる抽
出方法が記載されている。実施例では触媒成分の回収を
目的として触媒成分と生成物との抽出分離を行っている
が、トリシクロデカンジカルバルデヒドの収率が約45
%まで改善されてはいるものの、ジアルデヒドの分配係
数が約2であり、その分離効率も悪い。ロジウムの回収
率を上げるためにはカルボン酸のナトリウム塩を多量に
添加する必要があり、生成系からジアルデヒドを回収し
ようとするとカルボン酸のナトリウム塩が固体として析
出するなど系が複雑になる。アルデヒドはカルボン酸の
ナトリウム塩の影響で熱履歴によりアルドール縮合反応
を起こし、アルデヒドの収率を著しく低下させる。また
有機リン化合物の回収率は満足するものではない。
【0006】特開平5−261297号にはロジウム触
媒を抽出回収し循環再使用するための錯体形成性有機ホ
スフィン水溶液によるロジウム触媒の分離回収法が記さ
れている。実施例によれば、特定の有機ホスフィン水溶
液によりロジウムの97〜98%を回収できるが、反応
圧力が270気圧という高圧であること、ロジウムの回
収のために高価かつ特殊なホスフィンを使用すること、
および回収されたロジウム含有有機ホスフィン水溶液は
そのままでは再度ジシクロペンタジエンからトリシクロ
デカンジカルバルデヒドの製造には使えない。
【0007】特開平11−80067号および特開平1
1−80068号には、ロジウム触媒濃度を極端に低減
させ、ホスファイトを配位子として用い、共役ジエン濃
度を制御してジシクロペンタジエンのヒドロホルミル化
反応を実施する方法が記載されている。これについて本
研究者が検討したところ、記載されたロジウム触媒濃度
では反応が充分に進行せず、共役ジエン濃度を150p
pm以下にしても、ジエノフィルを共存させたとしても
反応率が低く、充分な反応速度を得るにはロジウム触媒
濃度を高めなければことが分かった。また、ホスファイ
トを配位子として用いると、蒸留等の熱的履歴のかかる
分離法でトリシクロデカンジカルバルデヒドを得ようと
すると、特表昭61−501268号に記載されている
ように、ホスファイトとアルデヒドが反応し高沸点副生
成物が生成し収率が低下する。更に、蒸留中にこの高沸
点生成物の分解によりトリシクロデカンジカルバルデヒ
ドと沸点の近い化合物が生成し高純度のトリシクロデカ
ンジカルバルデヒドを得ることが出来なかった。
【0008】また、特開平2−48556号には、ジシ
クロペンタジエンのヒドロホルミル化反応を行い、引き
続きジアルデヒドを分離することなくヒドロホルミル化
触媒を含有したまま、還元アミノ反応でビス−(アミノ
メチル)−トリシクロデカンを得る方法が記載されてい
る。この方法は、ヒドロホルミル化生成液をそのままア
ンモニア共存下、水素化触媒により還元アミノ化しビス
−(アミノメチル)−トリシクロデカンを製造する方法
であるが、記載のロジウム触媒濃度でヒドロホルミル化
を行った後、水素化触媒の存在下に還元アミノ化を実施
するとヒドロホルミル化触媒の錯体を構成するロジウム
が金属に還元され還元アミノ化触媒上や装置内に析出し
回収不可能になる。また、有機リンを含む生成液を還元
アミノ化触媒に導入すると、リンが触媒毒となり還元ア
ミノ化活性を著しく阻害する。そのため、反応時間を長
くしたり、温度や圧力などの反応条件を厳しくしてやる
必要がある。特に有機リンを用いて還元アミノ化活性が
低下した場合、反応温度を上げると有機リンとアルデヒ
ドが反応し高沸点副生成物の生成が促進しビス−(アミ
ノメチル)−トリシクロデカンの収率が極端に低下す
る。また、還元アミノ化反応の溶媒として、アルコール
系溶媒を用いると、反応温度の上昇は難還元性の副生ア
セタールの増加を引き起こす。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】以上の如くジシクロペ
ンタジエンのヒドロホルミル化反応によりトリシクロデ
カンジカルバルデヒドを得る方法は収率が低く、高価な
ロジウム触媒が使用されるが、その触媒の回収が困難で
あり、高圧反応となる等の問題点があり、工業的に必ず
しも満足のできるものではない。また、トリシクロデカ
ンジカルバルデヒドを合成し、引き続き還元アミノ化反
応によりビス−(アミノメチル)−トリシクロデカンを
得る場合にも、ロジウム触媒の回収が困難であり、低い
収率しか得られていない。
【0010】本発明の目的は、ジシクロペンタジエンま
たはトリシクロペンタジエンのヒドロホルミル化反応に
よりジアルデヒドを合成し、該ジアルデヒドを還元アミ
ノ化してビス−(アミノメチル)−トリシクロデカンま
たはビス−(アミノメチル)−ペンタシクロペンタデカ
ンを得る方法において、触媒費を低下させ、比較的低い
反応圧力で反応を行うことにより反応装置の費用を低下
させ、しかも良好な収率で得ることのできる、工業的に
有利な方法を提供することにある。
【0011】
【課題を解決するための手段】本発明者らは先に、炭化
水素化合物からなるヒドロホルミル化溶媒中、ロジウム
化合物および有機リン化合物からなる触媒の共存下に、
水素と一酸化炭素を用いて、ジシクロペンタジエンやト
リシクロペンタジエンをヒドロホルミル化し、得られた
ジアルデヒドを含有する反応生成液に、多価アルコール
抽出溶媒を添加、混合して炭化水素化合物層と抽出溶媒
層に分離し、触媒成分を炭化水素化合物層に残し、ジア
ルデヒドを抽出溶媒層に抽出する方法を見出し、特許出
願を行った(特願平11−188687号)。本発明者
らは上記方法により得られたジアルデヒドを含有する抽
出溶媒層をそのままアンモニアと水素、および触媒の共
存下で還元アミノ化反応を行うことにより、ヒドロホル
ミル化反応の触媒の損失がなく、またプロセス的にジア
ルデヒドの蒸留回収を行うことなしに、該ジアルデヒド
を対応するビス−(アミノメチル)化合物に有利に製造
できることを見出し、本発明に到達した。
【0012】即ち本発明は、(1)炭化水素化合物から
なるヒドロホルミル化溶媒中、ロジウム化合物および有
機リン化合物からなる触媒の共存下に、水素と一酸化炭
素を用いて、ジシクロペンタジエンおよび/またはトリ
シクロペンタジエンをヒドロホルミル化してトリシクロ
デカンジカルバルデヒドおよび/またはペンタシクロペ
ンタデカンジカルバルデヒドからなるジアルデヒドを製
造する工程1、(2)工程1で得られたジアルデヒドを
含有する反応生成液に、炭素数2〜6の多価アルコール
抽出溶媒を添加、混合して炭化水素化合物層と抽出溶媒
層に分離し、触媒成分を炭化水素化合物層に残し、ジア
ルデヒドを抽出溶媒層に抽出する工程2、および(3)
工程2で得られたジアルデヒドを含有する抽出溶媒層を
アンモニアと水素、および還元アミノ化反応用触媒の共
存下で反応を行い、該2つのアルデヒド基を対応するビ
ス−(アミノメチル)基に転化する工程3からなること
を特徴とするビス−(アミノメチル)−トリシクロデカ
ンおよび/またはビス−(アミノメチル)−ペンタシク
ロペンタデカンの製造法である。
【0013】
【発明の実施の形態】本発明の対象となるジシクロペン
タジエンのヒドロホルミル化および還元アミノ化による
ビス−(アミノメチル)−トリシクロデカンの生成反応
を[化1]に、トリシクロペンタジエンのヒドロホルミ
ル化および還元アミノ化によるビス−(アミノメチル)
−ペンタシクロペンタデカンの生成反応を[化2]に示
す。[化2]に示されるようにトリシクロペンタジエン
には2種の骨格異性体があり、それぞれの骨格異性体に
対応するビス−(アミノメチル)−ペンタシクロペンタ
デカンが得られる。
【0014】
【0015】
【0016】本発明の工程1で使用されるロジウム化合
物は有機リン化合物と錯体を形成し水素と一酸化炭素存
在下でヒドロホルミル化活性を示す物であればその前駆
体の形態によらない。すなわち、Rh(acac)(CO)2, Rh
2O3, Rh4(CO)12, Rh6(CO)16, Rh(NO3)3などの触媒前駆
体物質を有機リン化合物と共に反応混合物中に導入し反
応容器内で触媒活性を持つロジウム金属ヒドリドカルボ
ニルリン錯体を形成させても良いし、予めロジウム金属
ヒドリドカルボニルリン触媒を調製して反応容器内に導
入してもよい。本発明の好ましい具体例では、Rh(acac)
(CO)2 をロジウム前駆体物質として使用して溶媒の存在
下に有機リン化合物と反応させた後、過剰の遊離有機リ
ン化合物と共に反応器に導入し、触媒活性を持つロジウ
ム−有機リン錯体触媒とすることができる。何れにして
も、本発明の目的に対しては、ヒドロホルミル化反応で
使用される一酸化炭素および水素の存在する条件下で活
性ロジウム−有機リン触媒が反応混合物中に存在すれば
充分である。なお、触媒前駆体物質での(acac)はアセチ
ルアセトナート錯体を示す。
【0017】工程1において、ロジウム化合物とヒドロ
ホルミル化反応の触媒を形成する有機リン化合物にはホ
スファイトおよびホスフィンが用いられる。ホスファイ
トの使用がジシクロペンタジエンやトリシクロペンタジ
エンのような内部オレフィンのヒドロホルミル化反応に
有効であることは米国特許第3,499,933号や米
国特許第4,443,638号に記載の如く公知である
が、本発明においては一般式 P(-OR1)(-OR2)(-OR3)
(式中、R1,R2およびR3はそれぞれ置換されていてもよ
いアリール基またはアルキル基を表わす。)で示され、
そのエレクロトニックパラメーターνが2080〜20
90cm-1であり、かつステリックパラメーターθが13
5〜190度であるような公知のホスファイトを使用す
ることができる。ここで、エレクロトニックパラメータ
ーνおよびステリックパラメーターθは、トールマン
(C.A.Tolman)によりケミカルレビューズ、77巻、31
3頁、1977年により定義された値であって、エレク
ロトニックパラメーターνはリン化合物が金属錯体を形
成するときの電子的効果を評価するパラメーターとして
Niカルボニル錯体のカルボニル収縮波に基づいて算出
されるものであり、また、ステリックパラメーターθ
は、リン化合物の立体効果を評価するパラメーターとし
て分子モデルの円錐角度より算出されるものである。
【0018】工程1で用いられる上記の一般式で示され
るホスファイトのR1,R2およびR3の具体例としては、メ
チル基、エチル基、イソプロピル基、n-ブチル基、t-ブ
チル基、メトキシ基などで置換されていてもよいフェニ
ル基およびナフチル基などのアリール基;メチル基、エ
チル基、イソプロピル基、n-ブチル基、t-ブチル基など
の脂肪族アルキル基;メチル基、エチル基、イソプロピ
ル基、n-ブチル基、t-ブチル基などの低級アルキル基で
置換されていてもよいシクロペンチル基、シクロヘキシ
ル基などの脂環式アルキル基等が挙げられる。好適なホ
スファイトの具体例としては、トリス(2−t−ブチル
フェニル)ホスファイト、トリス(3−メチル−6−t
−ブチルフェニル)ホスファイト、トリス(3−メトキ
シ−6−t−ブチルフェニル)ホスファイト、トリス
(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)ホスファイト、ジ
(2−t−ブチルフェニル)t−ブチルホスファイトな
どが挙げられるが、これらのホスファイトのみに限定さ
れるものではない。また、これらのホスファイトは単独
で使用してもよいし、2種以上を組合わせて使用しても
良い。
【0019】ホスフィンの使用、特に立体障害アルキル
ホスフィンがジシクロペンタジエンやトリシクロペンタ
ジエンのような内部オレフィンのヒドロホルミル化反応
に有効であることは米国特許第3,168,553号や
米国特許第3,239,566号、米国特許第3,51
1,880号に記載の如く公知であるが、その中でもス
テリックパラメーターθが135〜190゜であるトリ
シクロアルキルホスフィンが特に好ましい。その代表例
としてはトリシクロプロピルホスフィン、トリシクロブ
チルホスフィン、トリシクロペンチルホスフィン、トリ
シクロヘキシルホスフィン、トリシクロヘプチルホスフ
ィン、トリシクロオクチルホスフィンなどであるが、こ
れらホスフィンに限定されるものではない。また、これ
らのホスフィンは単独で使用してもよいし、2種以上を
組合わせて使用しても良い。
【0020】工程1で用いられる有機リン化合物の使用
量は、ヒドロホルミル化反応溶液中において有機リン化
合物がロジウム金属に対し1〜400モル倍の範囲、好
ましくは3〜200モル倍の範囲で存在すれば、満足で
きるヒドロホルミル化反応速度でジアルデヒドを得るこ
とが出来る。
【0021】工程1のヒドロホルミル化反応は、溶媒を
用いずに実施することも可能であるが、反応に不活性な
有機溶媒を用いるとより好適に実施できる。ヒドロホル
ミル化反応終了後、ジアルデヒドを含有する反応生成液
を炭素数2〜6の多価アルコールと接触させ、触媒成分
をヒドロホルミル化溶媒層に残したまま、アルデヒド成
分を炭素数2〜6の多価アルコールからなる抽出溶媒層
に抽出し、層分離を行う。そのためヒドロホルミル化溶
媒は炭素数2〜6の多価アルコールと層分離するものが
用いる。この様な溶媒としては本発明では炭化水素化合
物からなる溶媒を用いる。
【0022】工程1の炭化水素化合物からなるヒドロホ
ルミル化溶媒には、芳香族炭化水素化合物、脂肪族炭化
水素化合物、脂環式炭化水素化合物が挙げられる。芳香
族炭化水素化合物としては、ベンゼンおよびトルエン、
キシレン、メシチレン、プソイドクメンなどのメチルベ
ンゼン類、エチルベンゼン、ジエチルベンゼン、トリエ
チルベンゼンなどのエチルベンゼン類、イソプロピルベ
ンゼン、1,3−ジイソプロピルベンゼン、1,4−ジ
イソプロピルベンゼンなどのプロピルベンゼン類、また
他の各種アルキルベンゼン類が好適に使用できる。脂肪
族炭化水素化合物としては、ペンタン、ヘキサン、ヘプ
タン、オクタン、イソオクタン、ドデカン、デカン等が
例示され、標準温度および圧力で液体であればこれらに
限定されない。脂環式炭化水素化合物としては、シクロ
ヘキサン、シクロオクタン、シクロドデカン、デカリ
ン、メチルシクロヘキサンなどが好適に使用される。一
般に極性官能基を有する溶媒、例えばケトン類やエステ
ル類、または炭素と水素以外の原子を有する溶媒は用い
ないが、これらの溶媒が、満足できる分配特性を示さ
ず、かつ触媒系に悪影響を及ぼすためである。
【0023】工程1で用いるロジウム触媒の使用量は、
原料のジシクロペンタジエンやトリシクロペンタジエン
に対して、ロジウム金属として50〜5000ppmで
あり、より好ましくは50〜2000ppmである。本
発明ではロジウムを50ppm以上使用するので、触媒
の再使用が必要となる。
【0024】工程1のヒドロホルミル化反応を実施する
ための反応温度は40〜160℃、好ましくは80〜1
40℃である。温度が40℃より低い場合はヒドロホル
ミル化の反応が遅く、160℃より高い場合は反応溶液
中におけるジシクロペンタジエンやトリシクロペンタジ
エンおよびヒドロホルミル化反応生成物からの副反応が
進行し反応成績が悪化する。また反応圧力は1.0〜1
5MPaである。圧力が1.0MPaより低い場合はヒ
ドロホルミル化の反応が遅く、15MPaより高い場合
は高圧の反応装置を使用するため装置費用が高くなる。
反応に用いられる水素/一酸化炭素混合ガスにおける水
素と一酸化炭素のモル比は導入ガス組成として0.2〜
5.0の範囲である。水素/一酸化炭素混合ガス比がこ
の範囲を外れるとヒドロホルミル化反応の反応活性ある
いはアルデヒド選択率が低下する。
【0025】本発明における原料のジシクロペンタジエ
ンは高純度の物が好ましい。ブタジエン、イソプレン、
シクロペンタジエン、1,3−ペンタジエンなど不純物
はなるべく含有しないことが好ましい。しかし、たとえ
高純度のジシクロペンタジエンを使用しても、ヒドロホ
ルミル化反応条件でジシクロペンタジエンは解重合を引
き起こしシクロペンタジエンを生成するので、この濃度
をゼロにするのは実質的に不可能であり、150ppm
より多い微量のシクロペンタジエンが共存しても進行す
る条件で反応を実施する必要がある。
【0026】本発明における原料のトリシクロペンタジ
エンはジシクロペンタジエンから容易に合成される。ジ
シクロペンタジエンは熱により解重合と重合を引き起こ
しトリシクロペンタジエンや4量体、5量体を生成す
る。単量体からこれら多量体を含む混合物から蒸留によ
りトリシクロペンタジエンは取得することが出来る。
【0027】工程1におけるヒドロホルミル化の反応方
式としては、ロジウム−有機リン錯体触媒、溶媒および
水素と一酸化炭素の混合ガスの存在する反応器へ、原料
のジシクロペンタジエンやトリシクロペンタジエンを単
独として、またはこれらと溶媒の混合溶液として供給し
ながら行う連続フィード方式が採用される。この方法を
用いると、反応器中でジシクロペンタジエンやトリシク
ロペンタジエンが熱分解してヒドロホルミル化反応を阻
害するシクロペンタジエンの生成を低減でき、良好な反
応速度と収率を維持できる。ジシクロペンタジエンやト
リシクロペンタジエンの流動性を保持するため、前述の
溶媒で希釈し、これらが解重合しシクロペンタジエンを
生成しない温度で反応器に供給することが好ましい。
【0028】一般にヒドロホルミル化反応生成液から
は、例えば、蒸留、薄膜蒸発、水蒸気蒸留などの方法に
より生成物を触媒成分と分離するが、本発明のジアルデ
ヒド生成物は沸点が高く、また使用する触媒量、触媒成
分から蒸留による熱的手法の分離法適用は不可能であ
り、経済的に触媒をそのまま破棄することもできない。
そこで、熱を懸けずに生成物と触媒成分を効率よく分離
する方法が必要である。
【0029】本発明の工程2では、ヒドロホルミル化反
応終了後、生成液をそのまま、または、ヒドロホルミル
化溶媒として反応で使用した炭化水素化合物もしくは他
の炭化水素化合物で希釈した後、炭素数2〜6の多価ア
ルコールと接触させ、触媒成分をヒドロホルミル化溶媒
層に残したまま、生成物であるジアルデヒドを炭素数2
〜6の多価アルコールに抽出し、層分離を行う。炭素数
2〜6の多価アルコールとしてはエチレングリコール、
1,3−プロパンジオール,1,2−プロパンジオー
ル,1,4−ブタンジオール、1,2−ブタンジオー
ル、1,3−ブタンジオール、2,3−ブタンジオー
ル、ペンタンジオールの各異性体、ネオペンチルグリコ
ール、ヘキサンジオール、グリセリン、ペンタエリスリ
トール、トリメチロールプロパンなどが使用される。こ
の中で、エチレングリコールやプロパンジオール類、ブ
タンジオール類が比較的沸点が低く、価格も安く、液体
として取扱も容易なので好適に使用される。また、これ
ら単独でも混合物で使用しても問題ない。これら炭素数
2〜6の多価アルコールに水を共存させて使用しても何
等ら問題はなく、水の添加によりアルデヒドや触媒成分
の各層への分配が向上する。
【0030】工程1のヒドロホルミル化反応に使用され
る反応溶媒と工程2の抽出溶媒は満足な層分離を実現す
るため密度に差があるほうが好ましいが、ジアルデヒド
を含むヒドロホルミル化溶媒と抽出溶媒の組合わせでひ
とつの好適な例はメチルシクロヘキサンとエチレングリ
コールである。
【0031】ヒドロホルミル化溶媒と抽出溶媒との間の
ジアルデヒドの分配は平衡である。それに対して、触媒
成分であるロジウムと有機リンは実質的にヒドロホルミ
ル化溶媒にのみ存在し抽出溶媒中には分析限界以下しか
認められない。抽出溶媒と反応生成液との層対体積は、
ジアルデヒドの抽出溶媒に対する溶解度、抽出すべきジ
アルデヒド生成物の量によって決まる。例えば、分離す
べきジアルデヒドが、抽出溶媒に対して高い溶解度を示
し、反応生成液に低濃度で存在する場合には、低い体積
比率(抽出溶媒/反応生成液)の抽出溶媒の使用でジア
ルデヒドの実用的抽出が可能である。生成物の濃度が高
いほど、反応生成液からジアルデヒドを抽出するための
体積比率(抽出溶媒/反応生成液)は高くなる。ジアル
デヒド生成物が抽出溶液中で比較的低い溶解度を示す場
合は、単位体積のヒドロホルミル化生成液の体積比率は
10:1〜1:10の範囲で変動し得る。また、少ない
全抽出溶媒使用量でアルデヒドの取得量を多くするた
め、抽出溶媒を分け、数回の抽出操作を行うことが有効
である。
【0032】抽出操作を行う温度は特に制限はないが、
ヒドロホルミル化反応温度より高い温度で実施してもな
んら有効性はなく、ヒドロホルミル化反応温度以下で実
施するのが実際的である。反応器に反応後、抽出溶媒を
添加し抽出操作を実施してもよいし、反応器からヒドロ
ホルミル化生成液を抜出し、抽出槽で操作を実施しても
よい。反応器に直接抽出溶媒を添加し抽出操作を実施
し、触媒成分を反応器にそのまま保持して次のヒドロホ
ルミル化を実施することもできる。ヒドロホルミル化生
成液を抜出し、抽出槽で操作を実施する場合は、触媒を
含有する炭化水素溶媒層は反応器に戻され、再度反応に
使用される。また、本プロセスは、バッチプロセスでも
連続プロセスでも実施可能である。
【0033】抽出溶媒として多価アルコールを用いる
と、ヒドロホルミル化生成物のジアルデヒドがアセター
ル化し高沸点生成物に成る場合がある。アセタールの生
成はアルデヒドの収率を低下させるだけでなく、還元ア
ミノ化生成物を得ようとする場合、還元速度が著しく低
下し、生産性が低くなる。さらに、アセタール体の沸点
とビス−(アミノメチル)−トリシクロデカンやビス−
(アミノメチル)−ペンタシクロペンタデカンの沸点差
が少ないため蒸留分離が困難であるという問題がある。
これに対して多価アルコールに第3級アミン化合物を添
加すると、このアセタールの生成を防ぐことができる。
【0034】多価アルコールに添加される第3級アミン
化合物の例としては、トリメチルアミン、トリエチルア
ミン、トリ−n−ブチルアミン、トリ−n−オクチルア
ミン、トリエタノールアミン、N−メチルジエタノール
アミン、N,N−ジメチルエタノールアミンなどの脂肪
族第3級アミン;N,N−ジメチルアニリン、N,N−
ジエチルアニリン、トリフェニルアミンなどの芳香族第
3級アミンまたはピリジン、キノリンなどのヘテロ環式
第3級アミン化合物が挙げられる。これらの内、炭化水
素系溶媒に溶解度が低く、多価アルコールへの溶解度の
高いトリエタノールアミン、N−メチルジエタノールア
ミン、N,N−ジメチルエタノールアミンが工程2の溶
媒抽出による触媒成分とアルデヒドを分離する方法の使
用に最適である。多価アルコールとしてエチレングリコ
ール、プロパンジオール類、ブタンジオール類を用いて
抽出操作を行い、引続き蒸留を行いトリシクロデカンジ
カルバルデヒドやペンタシクロペンタデカンジカルバル
デヒドを取得する場合には、これらジオール類より沸点
の高いトリエタノールアミン、N−メチルジエタノール
アミンの使用が特に好ましい。多価アルコールに添加す
る第3級アミンは、単独でも2種以上の混合物での使用
も可能であり、また使用量はアセタールの生成を防げる
量であれば特に制限はない。
【0035】第3アミン化合物の添加は、工程2のヒド
ロホルミル化反応生成液からの触媒成分とジアルデヒド
類の分離を行う抽出工程から実施しても良いし、工程3
の還元アミノ化直前に実施しても良い。工程2の抽出操
作から添加する場合は、多価アルコールと相溶解性の良
好なトリエタノールアミン、N−メチルジエタノールア
ミン、N,N−ジメチルエタノールアミンが好適であ
り、工程3の還元アミノ化直前に添加する場合はトリメ
チルアミン、トリエチルアミン、トリ−n−ブチルアミ
ン、トリ−n−オクチルアミン、トリエタノールアミ
ン、N−メチルジエタノールアミン、N,N−ジメチル
エタノールアミンなどの脂肪族第3級アミン;N,N−
ジメチルアニリン、N,N−ジエチルアニリン、トリフ
ェニルアミンなどの芳香族第3級アミンまたはピリジ
ン、キノリンなどのヘテロ環式第3級アミン化合物の中
から適時決められる。また、還元アミノ化の原料である
アンモニアを添加しても良い。
【0036】工程3におけるトリシクロデカンジカルバ
ルデヒドやペンタシクロペンタデカンジカルバルデヒド
を還元アミノ化する触媒としては、公知の水素還元能を
有したニッケル、コバルト、ルテニウム、パラジウム、
ロジウム、白金などの周期率表VIII族および亜クロム酸
銅、銅−亜鉛などの金属触媒を使用することができる。
これらの金属触媒は、金属単体、金属酸化物、シリカや
アルミナ、ケイソウ土やカーボンなどの無機担体に担持
された形態、あるいは金属錯体などの形態で使用でき
る。これらの還元アミノ化触媒のうち反応速度と反応後
の触媒分離の観点から、ラネーニッケル、ニッケル/ケ
イソウ土、亜クロム酸銅、ルテニウム/カーボン、ルテ
ニウム/アルミナ触媒が好適に使用される。触媒の価格
や寿命などの点からラネーニッケル、ニッケル/ケイソ
ウ土などのニッケル系触媒が最も好ましい。またモリブ
テンや銅、クロム、マンガン、レニウム、銀、パラジウ
ム、ロジウム、ルテニウム、白金で変性したニッケル系
触媒の使用も好ましい。
【0037】工程3の還元アミノ化の反応形態として
は、撹拌式反応器に触媒をスラリーとして仕込み、アル
コールなどの溶媒、アンモニア、原料を仕込み、水素加
圧下で、回分式で反応を実施する方法。溶媒、アンモニ
ア、触媒を反応器に仕込み、水素加圧下で原料ジアルデ
ヒドをポンプフイードするセミバッチ方式がある。これ
らの方法では、反応後触媒を沈降ロ過し生成液と分離す
る。また、成型された触媒を管型反応器に仕込み、原料
液とアンモニア、水素ガスを触媒上を流す潅液型反応が
適時採用される。いずれの反応方式を用いたとしても、
溶媒としてアルコールを用いる場合には、アセタールの
副生を抑える方法を選択すべきであり、そのためには回
分反応形式より連続またはセミバッチ方式が好適であ
る。使用される触媒量は工業的に有利な生産性でビス−
(アミノメチル)−トリシクロデカンやビス−(アミノ
メチル)−ペンタシクロペンタデカンを製造できれば特
に制限はない。還元アミノ化の溶媒としては、工程2で
使用した多価アルコールだけでも問題ないが、反応液の
粘度を調節したり、反応熱の除去を実施するために他の
溶媒、例えば低級アルコールやエーテルを加えて希釈し
実施することができる。低級アルコールとしては、メタ
ノール、エタノール、1−プロパノール、2−プロパノ
ール、ブタノール類などが好適に使用される。エーテル
としてはジエチレングリコール類、ジオキサン類、テト
ラヒドロフラン類が好適に使用される。
【0038】工程3の還元アミノ化の反応温度は40〜
200℃、好ましくは70〜170℃であり、反応圧力
は15MPa以下の圧力で充分である。温度が40℃よ
り低い場合は反応速度が遅く、200℃より高い場合は
目的のビス−(アミノメチル)−トリシクロデカンやビ
ス−(アミノメチル)−ペンタシクロペンタデカンから
の副反応が進行し反応成績が悪化する。また、圧力が1
5MPaより高い場合は高圧の反応装置を使用するため
装置費用が高くなる。
【0039】このようにして得られたビス−(アミノメ
チル)−トリシクロデカンやペンタシクロペンタデカン
とアルコール系溶媒を含む粗反応液は、容易なハンドリ
ング操作により回収、精製を行うことができる。一般的
手法、例えば溶媒を留去して得られた粗生成物から薄膜
蒸発、蒸留などの操作によりビス−(アミノメチル)−
トリシクロデカンやビス−(アミノメチル)−ペンタシ
クロペンタデカンを分離精製することができる。
【0040】
【実施例】以下、実施例により本発明を説明するが、本
発明はこれらの実施例に限定されるものではない。な
お、以下の実施例の工程2において、トリシクロデカン
ジカルバルデヒドまたはペンタシクロペンタデカンジカ
ルバルデヒドとモノアルデヒドの抽出溶媒への分配率は
次式による。 抽出溶媒へのX成分の分配率=[抽出溶媒中のX成分の
重量]/[X成分の総重量] また、工程2の抽出プロセスの効率は、化合物[X]の
分配係数(Kp)により測定でき、次式により定義され
る。 Kp=[抽出溶媒中のXの濃度]/[ヒドロホルミル化
溶媒中のXの濃度]
【0041】実施例1 [工程1:ジシクロペンタジエンのヒドロホルミル化反
応]ガス導入管およびサンプル抜出し管を備えた内容量
500mLのステンレス製電磁撹拌式オートクレーブに、Rh
(acac)(CO)2 0.15g(0.581mmol)、トリス−(2,4−ジ
−t−ブチルフェニル)ホスファイト1.88g(2.91mmol)
およびメチルシクロヘキサン40gを水素/一酸化炭素=
1/1(モル比)の混合ガス雰囲気下、仕込み、次いで
オートクレーブ内を水素/一酸化炭素=1/1(モル
比)の混合ガスを供給して内圧を5.0MPaに維持しなが
ら、ジシクロペンタジエン250g、およびメチルシクロヘ
キサン 10gからなる混合液を2時間かけて連続的にオー
トクレーブにフィードした。この間、オートクレーブ内
の温度は 100℃に保った。ジシクロペンタジエンを含有
する上記の混合液のフィード終了後、 100℃で更に3時
間撹拌し反応を継続した。反応終了後、オートクレーブ
下部抜出し管より生成液を取得した。この生成液の一部
をサンプリングし、ガスクロマトグラフィーで分析した
ところ、ジシクロペンタジエンの転化率は100%であり、
トリシクロデカンジカルバルデヒドの収率は98.4%であ
ることが分かった。なお、ジシクロペンタジエンの二重
結合の1つだけがヒドロホルミル化されたモノアルデヒ
ド体(以下、単にモノアルデヒド体と略称する)の収率
は1.6%であった
【0042】[工程2:抽出操作]ガラス製磁気撹拌機
と、液温測定用温度計と、装置内雰囲気を窒素または水
素/一酸化炭素に置換できる真空コックを備え、抽出操
作後に抽出層を抜出せるように装置下部にコックを備
え、抽出操作温度を変えられるようにジャケットタイプ
とした縦長の3Lの3口フラスコを用いて抽出を行った。
3Lの3口フラスコにエチレングリコール1000g、N-メチ
ル-ジエタノールアミン0.70gを仕込んでおき、メチルシ
クロヘキサン950gを加えた、ヒドロホルミル化生成液を
導入し、激しく撹拌した。混合物を25℃で30分間撹
拌し平衡状態に到達させ、撹拌を停止し、混合物を30
分間にわたり2層に分離させた。ヒドロホルミル化溶媒
を含んでなる上部層と底部の抽出溶液層を得た。ヒドロ
ホルミル化溶媒層の重量は1033.0gであり、トリシクロ
デカンジカルバルデヒド28.32g、モノアルデヒド2.62
g、ロジウムが原子として0.581mmol、リンが原子として
2.91mmol含まれていた。エチレングリコール層の重量は
1332.3gであり、トリシクロデカンジカルバルデヒド32
9.3g、モノアルデヒド2.29gが含まれていた。ロジウム
は原子として0.003mmol以下、リンは原子として0.01mmo
l以下で分析検出限界以下であり、実質的にエチレング
リコール層への抽出は認められなかった。この結果、エ
チレングリコール層へのトリシクロデカンジカルバルデ
ヒドの分配率は92.1%、モノアルデヒドの分配率は46.6%
であった。また、トリシクロデカンジカルバルデヒドの
分配係数(Kp)は9.02、モノアルデヒドの分配係数
(Kp)は0.68であった。
【0043】[工程3:還元アミノ化]電磁撹拌機付き
500mLオートクレーブにラネーニッケル触媒7.0g、ジオ
キサン50gを加えた後、0.5MPaの水素圧でオートクレー
ブ内を3回置換した。次にアンモニア60gを加え、水素
を1.5MPaになるまで加えた後昇温した。オートクレーブ
内温が 130℃になった後、さらに水素を導入し内圧を4.
0MPaに調整した。次に、抽出操作で得られたトリシクロ
デカンジカルバルデヒドとモノアルデヒドを含有するエ
チレングリコール溶液100gにジオキサン50gを混合した
溶液を2時間かけてオートクレーブ中に供給し、引続き
2時間反応を行った。この際、オートクレーブ内の全圧
が4.0MPaに成るよう逐次水素を補給しながら反応を行っ
た。反応後にオートクレーブを冷却し、未反応のアンモ
ニアを放圧し、内容物から触媒成分を沈降、ロ過分離し
てジアミンを含む反応液を得た。仕込みジアルデヒドに
対するジアミン収率、すなわちビス−(アミノメチル)
−トリシクロデカンの収率は95.2%であった。
【0044】実施例2 [工程1:トリシクロペンタジエンのヒドロホルミル化
反応]ガス導入管およびサンプル抜出し管を備えた内容
量500mLのステンレス製電磁撹拌式オートクレーブに、R
h(acac)(CO)2 0.0334g(0.129mmol)、トリス−(2,4
−ジ−t−ブチルフェニル)ホスファイト2.50g(3.86mm
ol)およびメチルシクロヘキサン40gを水素/一酸化炭素
=1/1(モル比)の混合ガス雰囲気下、仕込み、次い
でオートクレーブ内を水素/一酸化炭素=1/1(モル
比)の混合ガスを供給して内圧を5.0MPaに維持しなが
ら、トリシクロペンタジエン250g、およびメチルシクロ
ヘキサン 60g からなる混合液を2時間かけて連続的にオ
ートクレーブにフィードした。この間、オートクレーブ
内の温度は 100℃に保った。ジシクロペンタジエンを含
有する上記の混合液のフィード終了後、 100℃で更に3
時間撹拌し反応を継続した。反応終了後、オートクレー
ブ下部抜出し管より生成液を取得した。この生成液の一
部をサンプリングし、ガスクロマトグラフィーで分析し
たところ、ジシクロペンタジエンの転化率は100%であ
り、トリシクロデカンジカルバルデヒドの収率は99.0%
であることが分かった。なお、ジシクロペンタジエンの
二重結合の1つだけがヒドロホルミル化されたモノアル
デヒド体(以下、単にモノアルデヒド体と略称する)の
収率は1.0%であった
【0045】[工程2:抽出操作]ガラス製磁気撹拌機
と、液温測定用温度計と、装置内雰囲気を窒素または水
素/一酸化炭素に置換できる真空コックを備え、抽出操
作後に抽出層を抜出せるように装置下部にコックを備
え、抽出操作温度を変えられるようにジャケットタイプ
とした縦長の1Lの3口フラスコを用いて抽出実験を実施
した。1Lの3口フラスコにエチレングリコール365g、N-
メチル-ジエタノールアミン0.16gを仕込んでおき、ヒド
ロホルミル化生成液を導入し、激しく撹拌した。混合物
を25℃で30分間撹拌し平衡状態に到達させ、撹拌を
停止し、混合物を30分間にわたり2層に分離させた。
ヒドロホルミル化溶媒を含んでなる上部層と底部の抽出
溶液層を得た。ヒドロホルミル化溶媒層の重量は109.6g
であり、トリシクロデカンジカルバルデヒド6.53g、モ
ノアルデヒド0.55g、ロジウムが原子として0.129mmol、
リンが原子として3.86mmol含まれていた。エチレングリ
コール層の重量は488.2gであり、トリシクロデカンジカ
ルバルデヒド122.4g、モノアルデヒド0.60gが含まれて
いた。ロジウムは原子として0.003mmol以下、リンは原
子として0.01mmol以下で分析検出限界以下であり、実質
的にエチレングリコール層への抽出は認められなかっ
た。この結果、エチレングリコール層へのペンタシクロ
ペンタデカンジカルバルデヒドの分配率は94.9%、モノ
アルデヒドの分配率は52.2%であった。またペンタシク
ロペンタデカンジカルバルデヒドの分配係数(Kp)は
4.21、モノアルデヒドの分配係数(Kp)は0.25であっ
た。
【0046】[工程3:還元アミノ化]電磁撹拌機付き
500mLオートクレーブにラネーニッケル触媒7.0g、2-プ
ロパノール50gを加えた後、0.5MPaの水素圧でオートク
レーブ内を3回置換した。次にアンモニア60gを加え、
水素を1.5MPaになるまで加えた後昇温した。オートクレ
ーブ内温が 130℃になった後、さらに水素を導入し内圧
を4.0MPaに調整した。次に、抽出操作で得られたペンタ
シクロペンタデカンジカルバルデヒドとモノアルデヒド
を含有するエチレングリコール溶液100gに2-プロパノー
ル50gを混合した溶液を2時間かけてオートクレーブ中
に供給し、引続き2時間反応を行った。この際、オート
クレーブ内の全圧が4.0MPaに成るよう逐次水素を補給し
ながら反応を行った。反応後にオートクレーブを冷却
し、未反応のアンモニアを放圧し、内容物から触媒成分
を沈降、ロ過分離してジアミンを含む反応液を得た。仕
込みジアルデヒドに対するジアミン収率、すなわちビス
−(アミノメチル)−ペンタシクロペンタデカンの収率
は95.7%であった。
【0047】比較例1 電磁撹拌機付き500mLオートクレーブにラネーニッケル
触媒7.0g、2-プロパノール50gを加えた後、0.5MPaの水
素圧でオートクレーブ内を3回置換した。次にアンモニ
ア60gを加え、水素を1.5MPaになるまで加えた後昇温し
た。オートクレーブ内温が 130℃になった後、更に水素
を導入し内圧を4.0MPaに調整した。次に実施例1のトリ
シクロデカンジカルバルデヒドを含有するヒドロホルミ
ル化生成液100gに抽出操作を行わず、そのまま2-プロパ
ノール50gを混合した溶液を2時間かけてオートクレー
ブ中に供給し、引続き2時間反応を行った。この際、オ
ートクレーブ内の全圧が4.0MPaに成るよう逐次水素を補
給しながら反応を行った。反応後にオートクレーブを冷
却し、未反応のアンモニアを放圧し、内容物から触媒成
分を沈降、ロ過分離してジアミンを含む反応液を得た。
水素吸収量は反応初期は高かったが、原料を供給し出し
て30分経過した時点から吸収が遅くなり、理論量の水素
吸収は得られなかった。反応液の分析を実施したとこ
ろ、ジアミン収率は48%であった。また、還元アミノ化
後の反応液中のロジウムとリンを分析したところ、ロジ
ウムの回収率は1%未満、リンの回収率は70%程度であっ
た。
【0048】
【発明の効果】以上の実施例からも明らかなように、本
発明によれば工程1のヒドロホルミル化反応においてジ
アルデヒドが高収率で得られ、工程3の還元アミノ化反
応においてジアミンが高収率で得られることから、目的
とするビス−(アミノメチル)−トリシクロデカンやビ
ス−(アミノメチル)−ペンタシクロペンタデカンを高
収率で得ることができる。また工程2においてジアルデ
ヒドを含有する抽出溶媒層におけるロジウム等の触媒成
分の損失がないことから、安価な触媒費用で目的とする
ジアミンを製造することができる。更に本発明における
ヒドロホルミル化反応および還元アミノ化反応を低圧で
行うことができ、またジアルデヒドを含有する抽出溶媒
から蒸留等の操作によりジアルデヒドを回収することな
しに直接に還元アミノ化反応を実施できるので、反応装
置費用も安価である。従って本発明により目的とするビ
ス−(アミノメチル)−トリシクロデカンやビス−(ア
ミノメチル)−ペンタシクロペンタデカンを工業的に極
めて有利に製造することができる。
フロントページの続き (72)発明者 山田 和寛 茨城県つくば市和台22番地 三菱瓦斯化学 株式会社総合研究所内 Fターム(参考) 4H006 AA02 AC11 AC45 AC52 AD16 BA05 BA14 BA16 BA20 BA21 BA23 BA24 BA25 BA30 BA34 BA40 BA45 BA53 BB11 BB14 BB15 BB31 BC10 BC11 BC34 BC51 BE14 BE20 BE41 BJ30 BU34 FC36

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 (1)炭化水素化合物からなるヒドロホ
    ルミル化溶媒中、ロジウム化合物および有機リン化合物
    からなる触媒の共存下に、水素と一酸化炭素を用いて、
    ジシクロペンタジエンおよび/またはトリシクロペンタ
    ジエンをヒドロホルミル化してトリシクロデカンジカル
    バルデヒドおよび/またはペンタシクロペンタデカンジ
    カルバルデヒドからなるジアルデヒドを製造する工程
    1、(2)工程1で得られたジアルデヒドを含有する反
    応生成液に、炭素数2〜6の多価アルコール抽出溶媒を
    添加、混合して炭化水素化合物層と抽出溶媒層に分離
    し、触媒成分を炭化水素化合物層に残し、ジアルデヒド
    を抽出溶媒層に抽出する工程2、および(3)工程2で
    得られたジアルデヒドを含有する抽出溶媒層をアンモニ
    アと水素、および還元アミノ化反応用触媒の共存下で反
    応を行い、該2つのアルデヒド基を対応するビス−(ア
    ミノメチル)基に転化する工程3からなることを特徴と
    するビス−(アミノメチル)−トリシクロデカンおよび
    /またはビス−(アミノメチル)−ペンタシクロペンタ
    デカンの製造法。
  2. 【請求項2】工程2において、ジアルデヒドを含有する
    反応生成液に、炭素数2〜6の多価アルコールからなる
    抽出溶媒と炭化水素化合物を添加する請求項1に記載の
    ビス−(アミノメチル)−トリシクロデカンおよび/ま
    たはビス−(アミノメチル)−ペンタシクロペンタデカ
    ンの製造法。
  3. 【請求項3】工程1のヒドロホルミル化溶媒として用い
    る炭化水素化合物と工程2に添加する炭化水素化合物と
    が同一の炭化水素化合物である請求項2記載のビス−
    (アミノメチル)−トリシクロデカンおよび/またはビ
    ス−(アミノメチル)−ペンタシクロペンタデカンの製
    造法。
  4. 【請求項4】工程2における炭素数2〜6の多価アルコ
    ール抽出溶媒が水を含有するものである請求項1に記載
    のビス−(アミノメチル)−トリシクロデカンおよび/
    またはビス−(アミノメチル)−ペンタシクロペンタデ
    カンの製造法。
  5. 【請求項5】工程2における炭素数2〜6の多価アルコ
    ール抽出溶媒に第3級アミン化合物を添加する請求項1
    に記載のビス−(アミノメチル)−トリシクロデカンお
    よび/またはビス−(アミノメチル)−ペンタシクロペ
    ンタデカンの製造法。
  6. 【請求項6】工程3において、ジアルデヒドを含有する
    抽出溶媒層に低級アルコールおよび/またはエーテルを
    更に加えて反応を行う請求項1に記載のビス−(アミノ
    メチル)−トリシクロデカンおよび/またはビス−(ア
    ミノメチル)−ペンタシクロペンタデカンの製造法。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
CN115461619A (zh) * 2021-05-31 2022-12-09 Kh新化株式会社 五环十五烷二甲醇制品

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