JP4983879B2 - ジオールの製造方法 - Google Patents

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本発明は、各種ポリエステル、ポリウレタン、ポリカーボネートの原料物質として、工業的に有用なジオール類を製造する方法に関する。特に、ジシクロペンタジエンおよび/またはトリシクロペンタジエンのヒドロホルミル化反応によりトリシクロデカンジカルバルデヒドおよび/またはペンタシクロペンタデカンジカルバルデヒドを合成し、該ジアルデヒドを水素化して得られるトリシクロデカンジメタノールおよび/またはペンタシクロペンタデカンジメタノールは光学材料ポリカーボネートの原料物質として有用であり、高純度品の簡便なる工業的製造法の確立が望まれる。
ジアルデヒドを出発原料として、水素化触媒と水素の存在下に還元反応を行い、ジオールを合成する方法はすでに公知である。例えば特開昭58−140030号公報には1,9−ノナンジアールをラネーニッケル、ニッケルケイソウ土あるいはルテニウム/C担持触媒を用いて水素の存在下に還元し1,9−ノナンジオールを製造する方法が開示されている。このなかで、得られたジオールを含む粗反応液から、通常の操作によって触媒を除去したのち、分留を行うことにより高純度の1,9−ノナンジオールが取得されると記載されている。また、英国特許第750144号公報にはジシクロペンタジエンのヒドロホルミル化反応に依り得られたトリシクロデカンジカルバルデヒドを、ニッケル触媒の存在下で水素還元してトリシクロデカンジメタノールを製造する方法が記されている。同様にジシクロペンタジエンのヒドロホルミル化により生成したジアルデヒドを経てトリシクロデカンジメタノールを得る方法として、英国特許1170226号公報にはロジウム触媒を用いてヒドロホルミル化と水素還元を行う方法が、特開昭63−119429号公報にはコバルト化合物触媒を用いた水素還元による方法が記載されている。しかし、これら文献には、目的物を含む粗反応液から高純度のトリシクロデカンジメタノールを蒸留精製する時の条件、収率についての記載がない。
特開平9−124524号公報では共重合ポリエステル原料としてのトリシクロデカンジメタノールの精製法として液/液二層系による紫外線吸収物質の抽出除去法を提案しているが、高純度のトリシクロデカンジメタノールを得るためには回収率を大きく犠牲にしなければならない。特開平11−60525号公報では高純度でジオールを得る方法として、水素化還元反応で得られた粗反応液に、非共有電子対を有する硫黄原子を含む化合物を添加して蒸留することによりジオールの分解を抑制し、低沸点分解物の混入を防いでいるが、トリシクロデカンジメタノールと沸点の近い不純物の除去法についての提案はされていない。
本発明者らは先に特願平10−310818号において、トリシクロデカンジメタノールおよび/またはペンタシクロペンタデカンジメタノールは光学材料ポリカーボネートの原料物質として有用であり、不純物としてアルデヒド基を含有する化合物の含量が少ないほど、得られるポリマーの光学特性、色調が優れていることを見出している。また、特願平11−188687号,特願平11−188688号においてヒドロホルミル化、溶媒抽出、水素化からなる簡便なトリシクロデカンジメタノールおよび/またはペンタシクロペンタデカンジメタノール製造法を提案しているが、不純物アルデヒド基含有化合物とジオール類の沸点が近いため、高純度品をえるためには蒸留による損失が多い。そこで簡便なる不純物アルデヒド基含有化合物との分離が可能な方法の確立が望まれる。
本研究者らは上記課題を解決すべく鋭意検討した結果、ジアルデヒドを出発原料として、水素化触媒と水素の存在下で還元反応を行うことにより得られたジオール類を含有する粗反応生成液に、該ジオール類と蒸留分離可能な一級アミンまたはホスファイトを添加して蒸留することにより、高純度ジオールを損失が少なく、収率良く、簡単に製造できることを見出し、本発明を完成させた。
本発明によりアルデヒドを含まない高純度なジオール類を製造することが出来、工業的意義は大きい。
本発明においてジオール類合成の出発原料となるジアルデヒド類としては、炭素数4〜20の直鎖脂肪族、分岐鎖脂肪族、脂環式または芳香族骨格を有するジアルデヒドが挙げられる。具体的には、ブタンジアール、ヘキサンジアール、オクタンジアール、ノナンジアール、デカンジアール、ドデカンジアール、ヘキサデカンジアール、オクタデカンジアール、エイコサンジアールなどの直鎖脂肪族ジアルデヒド;2−メチルオクタンジアール、2−メチルノナンジアール、2,7−ジメチルオクタンジアールなどの分岐鎖脂肪族ジアルデヒド;1,3−シクロヘキサンジカルバルアルデヒド、1,4−シクロヘキサンジカルバルアルデヒド、トリシクロデカンジカルバルデヒド、ペンタシクロペンタデカンジカルバルデヒド、ビシクロヘプタンジカルバルデヒド、などの脂環式ジアルデヒド;テレフタルアルデヒド、イソフタルアルデヒドなどの芳香族ジアルデヒドがあげられる。上記アルデヒドを原料にそれぞれ対応するジオールが製造される。
これらのジアルデヒド類を水素化し、対応するジオールを得る際、水素化が不十分であると、片方のアルデヒド基が未反応のまま残存した不純物(モノアルデヒドと以下略す)がジオールに混入する。モノアルデヒドはジオールとの沸点差が小さい。このモノアルデヒドをゼロにすることは実質的に難しく、そのためには水素化反応時間を無限に長くする必要があり困難である。通常の工業的に実施できる条件でのジアルデヒド類の水素化においては、数1000ppm オーダーでのモノアルデヒド混入は避けられない。
本発明の対象の一つであるトリシクロデカンジカルバルデヒドおよびペンタシクロペンタデカンジカルバルデヒドからのトリシクロデカンジメタノールおよびペンタシクロペンタデカンジメタノールを例にすると、式(I)と式(II)の中間体として示されるモノアルデヒドが生成する。
Figure 0004983879
Figure 0004983879
これらモノアルデヒドはジオールとの沸点差が小さいため通常の蒸留分離が難しい。本発明では、水素化還元反応により得られたジオールを含む粗反応液は、反応液に含まれる水素化触媒を一般的なロ過などの方法により除去し、溶媒等の低沸点物を分離蒸留の後、得られた粗ジオールを蒸留精製することにより目的とするジオールを高純度で取得することができる。
本発明に用いられる一級アミンおよび/またはホスファイトを添加する時期としては、蒸留精製工程において実質的にジオールを留出する前の段階であれば、溶媒等の低沸点物の分離蒸留の前でも、あるいはその後の粗ジオール液の蒸留精製の前でも良い。また、一級アミンおよび/またはホスファイトを添加した粗反応液をジオールが留出する前に、それより低い温度で数分から数時間程度混合撹拌することでモノアルデヒドの分離をより効果的に行うことができる。
本発明で用いられる一級アミンとしては、目的のジオールと沸点差の大きいものが好ましい。ここで添加された一級アミンはモノアルデヒドとシッフ塩基結合を有する、ジオールより高沸点の複合体を形成し、高沸点成分として蒸留分離される。未反応の一級アミンは、ジオールと沸点差を利用して蒸留分離される。具体的には炭素数が6以上の一級アミンを使用することが好ましく、ヘキシルアミン、ヘプチルアミン、オクチルアミン、デシルアミン、ドデシルアミン、ヘキサデシルアミン、オクタデシルアミン、2−メチルオクチルアミン、2−メチルドデシルアミン、2,2−ジメチルオクチルアミンなどの脂肪族モノアミン、シクロヘキシルアミン、アミノメチルシクロヘキサンなどの脂環式モノアミン、アニリン、ナフチルアミンなどの芳香族アミン、ヘキサンジアミン、ヘプタンジアミン、オクチルジアミン、ノナンジアミン、デシルジアミンなどの脂肪族ジアミン、1,3−ビス(アミノメチル)シクロヘキサンなどの脂環式ジアミン、4,4’−メチレンジアニリン、ジアミノナフタレンなどの芳香族ジアミンなどが挙げられるがこれらに限定されるものではない。
本発明で用いられるホスファイトも、目的のジオールと沸点差の大きいものが好ましい。ここで添加されたホスファイトはモノアルデヒドとジオールより高沸点の複合体(最終的にはホスホン酸)を形成し、高沸点成分として蒸留分離される。未反応のホスファイトは、ジオールと沸点差を利用して蒸留分離される。ホスファイトとしては、炭素数が6以上のホスファイトを使用することが好ましく、トリエチルホスファイト、トリプロピルホスファイト、トリブチルホスファイトやトリシクロヘキシルホスファイトなどのアルキルホスファイト類、トリフェニルホスファイト、トリス(2−t−ブチルフェニル)ホスファイト、トリス(3−メチル−6−t−ブチルフェニル)ホスファイト、トリス(3−メトキシ−6−t−ブチルフェニル)ホスファイト、トリス(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)ホスファイト、ジ(2−t−ブチルフェニル)t−ブチルホスファイト、トリナフチルホスファイトなどのアリールホスファイト類が挙げられるがこれらに限定されるものではない。
一級アミンおよび/またはホスファイトの使用量は、対象ジオール粗反応液中に存在するモノアルデヒドの量を定量し、その分析値に応じて決めることができる。使用範囲としてはモノアルデヒドのモル数に対して0.5 〜10倍モル量が好ましく、1 〜5 倍モル量がより好ましい。蒸留工程における一連の操作は、温度、圧力等には特別な配慮をする必要はなく、公知の方法に従って実施される。
以下実施例により本発明を説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
参考例1
[ジシクロペンタジエンのヒドロホルミル化反応]ガス導入管およびサンプル抜出し管を備えた内容量500mL のステンレス製電磁撹拌式オートクレーブに、Rh(acac)(CO)2 0.15g(0.581mmol)、トリス−(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)ホスファイト1.88g(2.91mmol) およびメチルシクロヘキサン40g を水素/一酸化炭素=1/1(モル比)の混合ガス雰囲気下、仕込み、次いでオートクレーブ内を水素/一酸化炭素=1/1(モル比)の混合ガスを供給して内圧を5.0MPaに維持しながら、ジシクロペンタジエン250gおよびヒドロホルミル化溶媒としてのメチルシクロヘキサン10gからなる混合液を2時間かけて連続的にオートクレーブにフィードした。この間、オートクレーブ内の温度は100℃に保った。ジシクロペンタジエンを含有する上記の混合液のフィード終了後、100℃で更に3時間撹拌し反応を継続した。反応終了後、オートクレーブ下部抜出し管より生成液を取得した。この生成液の一部をサンプリングし、ガスクロマトグラフィーで分析したところ、ジシクロペンタジエンの転化率は100%であり、トリシクロデカンジカルバルデヒドの収率は98.4%であることが判った。なお、ジシクロペンタジエンの二重結合の1つだけがヒドロホルミル化されたモノアルデヒド体の収率は1.6 %であった。
[抽出操作]ガラス製磁気撹拌棒と、液温測定用温度計と、装置内雰囲気を窒素または水素/一酸化炭素に置換できる真空コックを備え、抽出操作後に抽出層を抜出せるように装置下部にコックを備え、抽出操作温度を変えられるようにジャケットタイプとした縦長の3Lの3口フラスコを用いて抽出実験を実施した。3Lの3口フラスコに抽出溶媒としてエチレングリコール1000g 、アセタール生成阻止剤としてN-メチル- ジエタノールアミン0.70g を仕込んでおき、メチルシクロヘキサン950gを加えた、ヒドロホルミル化生成液を導入し、激しく撹拌した。混合物を25℃Cで30分間撹拌し平衡状態に到達させ、撹拌を停止し、混合物を30分間にわたり2層に分離させた。ヒドロホルミル化溶媒を含んでなる上部層と底部の抽出溶液層を得た。ヒドロホルミル化溶媒層の重量は1033.0g であり、トリシクロデカンジカルバルデヒド28.32g、モノアルデヒド2.62g 、ロジウムが原子として0.581mmol 、リンが原子として2.91mmol含まれていた。エチレングリコール層の重量は1332.3g であり、トリシクロデカンジカルバルデヒド329.3g、モノアルデヒド2.29g が含まれていた。ロジウムは原子として0.003mmol 以下、リンは原子として0.01mmol以下で分析検出限界以下であり、実質的にエチレングリコール層への抽出は認められなかった。
本実験における、トリシクロデカンジカルバルデヒドとモノアルデヒドの抽出溶媒への分配率を以下の様に定める。
抽出溶媒へのX成分の分配率=[抽出溶媒へのX成分の重量]/[X成分の総重量]
その結果、トリシクロデカンジカルバルデヒドの分配率は92.1% であり、モノアルデヒドの分配率は46.6% であった。本抽出プロセスの効率を、化合物[X]の分配係数(Kp)により測定でき以下の様に定義される。
Kp=[抽出溶媒中のXの濃度]/[ヒドロホルミル化溶媒中のXの濃度]
その結果、トリシクロデカンジカルバルデヒドの分配係数Kpは9.07、モノアルデヒドの分配係数Kpは0.68であった。
[水素化]電磁撹拌機付き5Lオートクレーブにラネーニッケル触媒50g、2-プロパノール500gを加えた後、0.5MPaの水素圧でオートクレーブ内を3回置換した。次に、水素を1.5MPaになるまで加えた後昇温した。オートクレーブ内温が130℃になった後、さらに水素を導入し内圧を4.0MPaに調整した。次に、抽出操作で得られたトリシクロデカンジカルバルデヒドとモノアルデヒドを含有するエチレングリコール溶液1332.3g に2-プロパノール500gを混合した溶液を2時間かけてオートクレーブ中に供給し、引続き2時間反応を行った。この際、オートクレーブ内の全圧が4.0MPaに成るよう逐次水素を補給しながら反応を行った。反応後にオートクレーブを冷却、放圧し、内容物から触媒成分を沈降、ロ過分離してジオールを含む反応液を得た。この反応液から溶媒である2-プロパノールとエチレングリコールをロータリーエバポレーターで留去し、粗ジオール生成液を得た。
[蒸留精製]この粗ジオール生成液にはモノアルデヒドがトリシクロデカンジメタノールに対して1500ppm 存在していた。粗ジオール生成液100gを単蒸留装置に仕込み、モノアルデヒドと等モル量の1,3−ビス(アミノメチル)シクロヘキサンを添加した。蒸留装置下部の温度と減圧度を徐々に変化させ、エチレングリコール溶媒と少量の低沸点副生物、未反応1,3−ビス(アミノメチル)シクロヘキサン、トリシクロデカンジメタノールの一部を留去した(この初留に含まれるトリシクロデカンジメタノールは全体のトリシクロデカンジメタノール総量に対して4.8%にあたる)。さらに減圧度1.5torr で蒸留を行い、175 〜178℃の主留分としてトリシクロデカンジメタノールを得た。この留分中のモノアルデヒドの濃度は150ppmであった。また、蒸留釜に残った高沸点生成物の量は得られたトリシクロデカンジメタノールに対して1.4%であった。
比較例1
参考例1の蒸留精製操作を1,3−ビス(アミノメチル)シクロヘキサンを添加せずに行った。モノアルデヒドがトリシクロデカンジメタノールに対して1500ppm存在している粗ジオール生成液100gを単蒸留装置に仕込み、蒸留装置下部の温度と減圧度を徐々に変化させ、エチレングリコール溶媒と少量の低沸点副生物、トリシクロデカンジメタノールの一部を留去した(この初留に含まれるトリシクロデカンジメタノールは全体のトリシクロデカンジメタノール総量に対して36%にあたる)。さらに減圧度1.5torr で蒸留を行い、175 〜178℃の主留分としてトリシクロデカンジメタノールを得た。この留分中のモノアルデヒドの濃度は1000ppm であった。また、蒸留釜に残った高沸点生成物の量は得られたトリシクロデカンジメタノールに対して1.1%であった。単蒸留で初留を多く取っただけではモノアルデヒドの濃度を大きく低下させることは難しかった。
参考例2
[トリシクロペンタジエンのヒドロホルミル化反応]ガス導入管およびサンプル抜出し管を備えた内容量500mLのステンレス製電磁撹拌式オートクレーブに、Rh(acac)(CO)20.0334g(0.129mmol)、トリス−(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)ホスファイト2.50g(3.86mmol) およびメチルシクロヘキサン40g を水素/一酸化炭素=1/1(モル比)の混合ガス雰囲気下、仕込み、次いでオートクレーブ内を水素/一酸化炭素=1/1(モル比)の混合ガスを供給して内圧を5.0MPaに維持しながら、トリシクロペンタジエン250g、およびヒドロホルミル化溶媒としてのメチルシクロヘキサン60gからなる混合液を2時間かけて連続的にオートクレーブにフィードした。この間、オートクレーブ内の温度は100℃に保った。トリシクロペンタジエンを含有する上記の混合液のフィード終了後、100℃で更に3時間撹拌し反応を継続した。反応終了後、オートクレーブ下部抜出し管より生成液を取得した。この生成液の一部をサンプリングし、ガスクロマトグラフィーで分析したところ、トリシクロペンタジエンの転化率は100%であり、ペンタシクロペンタデカンジカルバルデヒドの収率は99.0%であることが判った。なお、トリシクロペンタジエンの二重結合の1つだけがヒドロホルミル化されたモノアルデヒド体(以下、単にモノアルデヒド体と略称する)の収率は1.0 %であった
[抽出操作]ガラス製磁気撹拌棒と、液温測定用温度計と、装置内雰囲気を窒素または水素/一酸化炭素に置換できる真空コックを備え、抽出操作後に抽出層を抜出せるように装置下部にコックを備え、抽出操作温度を変えられるようにジャケットタイプとした縦長の1Lの3口フラスコを用いて抽出実験を実施した。1Lの3口フラスコに抽出溶媒としてエチレングリコール365g、アセタール生成阻止剤としてN-メチル- ジエタノールアミン0.16g を仕込んでおき、ヒドロホルミル化生成液を導入し、激しく撹拌した。混合物を25℃Cで30分間撹拌し平衡状態に到達させ、撹拌を停止し、混合物を30分間にわたり2層に分離させた。ヒドロホルミル化溶媒を含んでなる上部層と底部の抽出溶液層を得た。ヒドロホルミル化溶媒層の重量は109.6gであり、ペンタシクロペンタデカンジカルバルデヒド6.53g 、モノアルデヒド0.55g 、ロジウムが原子として0.129mmol 、リンが原子として3.86mmol含まれていた。エチレングリコール層の重量は488.2gであり、ペンタシクロペンタデカンジカルバルデヒド122.4g、モノアルデヒド0.60g が含まれていた。ロジウムは原子として0.003mmol 以下、リンは原子として0.01mmol以下で分析検出限界以下であり、実質的にエチレングリコール層への抽出は認められなかった。
本実験における、ペンタシクロペンタデカンジカルバルデヒドとモノアルデヒドの抽出溶媒への分配率を以下の様に定める。
抽出溶媒へのX成分の分配率=[抽出溶媒へのX成分の重量]/[X成分の総重量]
その結果、ペンタシクロペンタデカンジカルバルデヒドの分配率は52.2% であり、モノアルデヒドの分配率は94.9% であった。本抽出プロセスの効率を、化合物[X]の分配係数(Kp)により測定でき以下の様に定義される。
Kp=[抽出溶媒中のXの濃度]/[ヒドロホルミル化溶媒中のXの濃度]
その結果、ペンタシクロペンタデカンジカルバルデヒドの分配係数Kpは4.21であり、モノアルデヒドの分配係数Kpは0.25であった。
[水素化]電磁撹拌機付き2Lオートクレーブにラネーニッケル触媒20g 、2-プロパノール200gを加えた後、0.5MPaの水素圧でオートクレーブ内を3回置換した。次に、水素を1.5MPaになるまで加えた後昇温した。オートクレーブ内温が130℃になった後、さらに水素を導入し内圧を4.0MPaに調整した。次に、抽出操作で得られたペンタシクロペンタデカンジカルバルデヒドとモノアルデヒドを含有するエチレングリコール溶液488.2gに2-プロパノール200gを混合した溶液を2時間かけてオートクレーブ中に供給し、引続き2時間反応を行った。この際、オートクレーブ内の全圧が4.0MPaに成るよう逐次水素を補給しながら反応を行った。反応後にオートクレーブを冷却、放圧し、内容物から触媒成分を沈降、ロ過分離してジオールを含む反応液を得た。この反応液から溶媒である2-プロパノールとエチレングリコールをロータリーエバポレーターで留去し、粗ジオール生成液を得た。
[蒸留精製]この粗ジオール生成液にはモノアルデヒドがペンタシクロペンタデカンジメタノールに対して1300ppm存在していた。粗ジオール生成液100gを単蒸留装置に仕込み、モノアルデヒドと等モル量の1,3−ビス(アミノメチル)シクロヘキサンを添加した。蒸留装置下部の温度と減圧度を徐々に変化させ、エチレングリコール溶媒と少量の低沸点副生物、未反応1,3−ビスアミノメチル−シクロヘキサン、ペンタシクロペンタデカンジメタノールの一部を留去した(この初留に含まれるペンタシクロペンタデカンジメタノールは全体のペンタシクロペンタデカンジメタノール総量に対して4.5%にあたる)。さらに減圧度1.5torr で蒸留を行い、215℃の主留分としてペンタシクロペンタデカンジメタノールを得た。この留分中のモノアルデヒドの濃度は130ppmであった。また、蒸留釜に残った高沸点生成物の量は得られたペンタシクロペンタデカンジメタノールに対して1.3%であった。
実施例1
参考例2の蒸留精製操作を1,3−ビス(アミノメチル)シクロヘキサンの代わりにトリス−(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)ホスファイトを添加しておこなった。モノアルデヒドがペンタシクロペンタデカンジメタノールに対して1300ppm 存在する粗ジオール生成液100gを単蒸留装置に仕込み、モノアルデヒドの2倍モル量のトリス−(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)ホスファイトを添加した。蒸留装置下部の温度と減圧度を徐々に変化させ、エチレングリコール溶媒と少量の低沸点副生物、ペンタシクロペンタデカンジメタノールの一部を留去した(この初留に含まれるペンタシクロペンタデカンジメタノールは全体のペンタシクロペンタデカンジメタノール総量に対して4.3%にあたる)。さらに減圧度1.5torr で蒸留を行い、215℃の主留分としてペンタシクロペンタデカンジメタノールを得た。この留分中のモノアルデヒドの濃度は120ppmであった。また、蒸留釜に残った高沸点生成物の量は得られたペンタシクロペンタデカンジメタノールに対して1.7%で、未反応のトリス−(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)ホスファイトは蒸留釜に残存した。

Claims (3)

  1. ジアルデヒドを出発原料として、水素化触媒と水素の存在下で還元反応を行うことにより得られたジオールを含有する粗反応生成液に、該ジオールと蒸留分離可能なホスファイトを添加して蒸留することを特徴とするジオールの製造方法であり、ジオールがトリシクロデカンジメタノールおよび/またはペンタシクロペンタデカンジメタノールであり、該ホスファイトが炭素数が6以上のホスファイトであるジオールの製造方法。
  2. 該ホスファイトがトリエチルホスファイト、トリプロピルホスファイト、トリブチルホスファイト、トリシクロヘキシルホスファイト、トリフェニルホスファイト、トリス(2−t−ブチルフェニル)ホスファイト、トリス(3−メチル−6−t−ブチルフェニル)ホスファイト、トリス(3−メトキシ−6−t−ブチルフェニル)ホスファイト、トリス(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)ホスファイト、ジ(2−t−ブチルフェニル)t−ブチルホスファイトまたはトリナフチルホスファイトである請求項1記載の製造方法。
  3. 該ホスファイトがトリス−(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)ホスファイトである請求項1記載の製造方法。
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