JP4153221B2 - 環状ジカルバルデヒドの精製方法 - Google Patents

環状ジカルバルデヒドの精製方法 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、環状ジカルバルデヒドの精製方法に関する。更に詳しくは、抽出溶媒として非プロトン性極性溶媒と炭化水素系溶媒とを用いる、溶剤抽出による環状ジエン化合物のヒドロホルミル化反応により得られる環状モノカルバルデヒドと環状ジカルバルデヒド混合物からの環状ジカルバルデヒドの分離・精製方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
一般的に、アルデヒド類は還元してアルコール類へ、また、酸化してカルボン酸へ誘導できるためこれら化合物の有機合成上の中間体として重要な化合物である。
【0003】
ところで、環状ジエン化合物を周期律表第8族乃至第10族の金属化合物系触媒、例えばロジウム化合物系触媒の存在下でヒドロホルミル化することにより環状アルデヒドを得る方法においては、ヒドロホルミル化反応が完全に完結した環状ジカルバルデヒドのほかに反応が完結していない環状モノカルバルデヒドが生成する。この環状モノカルバルデヒドを還元して得られるモノオール化合物は、アクリル酸エステルに誘導して脂環式骨格を側鎖に有する高分子原料に用いることが可能である。一方、環状ジカルバルデヒドを水素還元して得られるジオール化合物はポリエステル、ポリカーボネート、アクリル酸、メタクリル酸樹脂の原料として有用であり、特にジシクロペンタジエンのヒドロホルミル化および水素還元により製造されるトリシクロデカンジメタノール、トリシクロペンタジエンのヒドロホルミル化および水素還元により製造されるペンタシクロペンタデカンジメタノールは、光ディスク、光ファイバー、レンズ等の光学材料ポリマーの原料として優れた特性を有しているが、これに環状モノカルバルデヒドから誘導されるモノオール化合物が混入するとその特性に大きな影響を与えるため、環状ジカルバルデヒドの精製が必要である。
【0004】
また、トリシクロデカンジカルバルデヒドおよびペンタシクロペンタデカンジカルバルデヒドを還元アミノ化して得られるトリシクロデカンジメタナミンおよびペンタシクロペンタデカンジメタナミンは、ポリアミド樹脂やイソシアネート原料として有用である。従って、これらジオール化合物およびジアミン化合物の中間原料である環状ジカルバルデヒドの簡便な工業的製造方法の確立が望まれている。
【0005】
従来から熱的に不安定な物質を精製する方法として、減圧蒸留、水蒸気蒸留、等の方法が広く知られているが、環状ジアルデヒド類を精製する場合には、これらの方法を用いても熱的変化を十分に防ぐことができず、低い収率となる条件で実施せざるを得なかった。特に高級ジエン化合物から製造されるジアルデヒドは沸点が高いため、高い温度での処理とならざるを得ず熱的変化を受けやすいという問題があった。
【0006】
このような高温によるジアルデヒドの熱的変化を避けるために種々の抽出操作による方法が提案されている。例えば、特開昭58−21638号公報には、ジエン化合物のヒドロホルミル化反応後、反応液を重亜硫酸アルカリ水溶液と接触させることでジアルデヒド類を重亜硫酸アルカリ付加物の形で水溶液中に抽出する方法を記載している。また、特開昭58−157739号公報には、ジエン化合物のヒドロホルミル化反応後の反応液を炭素数が5〜11の飽和脂肪族第1級アルコールと炭素数が5〜10の飽和脂肪族炭化水素との混合溶媒により抽出する方法を記載している。更に、特開昭61−238751号公報には、ジアルデヒドを含有するスルホラン水溶液を40℃以上の温度で炭素数5〜7の飽和脂環式炭化水素で抽出する方法を記載している。更にまた、特開2001−11008号公報には、ジエン化合物のヒドロホルミル化反応後に多価アルコールによる抽出操作により多価アルコール相にジカルバルデヒドを抽出する方法を記載しているが、モノアルデヒドとの分離精製に関しては言及していない。一方、特開平9−328447号公報には工業的に実用可能で、かつ熱的な変化を受けない、高収率でジアルデヒド類を精製する方法として、20〜200mmHg程度の減圧下で水蒸気蒸留する方法を記載している。
【0007】
しかしながら、上述の抽出操作による方法では抽出時の熱的変化は少ないが、抽出物の精製・脱溶剤のために最終的には蒸留、蒸発等の操作が必要となるため、依然として高価で高付加価値のあるジアルデヒド類が精製時のロス等により失われ、収率が低くなるという点で問題があった。また、上記の水蒸気蒸留法も低炭素数のジアルデヒドで実施しているが、炭素数12以上の高沸点ジアルデヒドに関しては具体的な記載がなく、また沸点も高くなるため熱的な影響を受けやすくなる。さらにアルコール類を用いた抽出による方法では、ジアルデヒドとアルコールからアセタールが副生するため、第3成分の添加が必要となるという問題があった。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、このような従来技術の現状に鑑みなされたものであり、熱的変化の影響が少ない抽出操作による方法によって、環状モノカルバルデヒドと環状ジカルバルデヒドとを効率よく分離し、精製された環状ジカルバルデヒドを高い収率で得る、工業的に実用性のある環状ジカルバルデヒドの精製方法を提供することをその課題とするものである。
【0009】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、上記の課題を解決すべく鋭意検討した結果、環状モノカルバルデヒドと環状ジカルバルデヒドとの分配率の差を利用して、非プロトン性極性溶媒と炭化水素系溶媒とを用いて環状モノカルバルデヒドと環状ジカルバルデヒドの混合物を抽出操作に付することにより、環状モノカルバルデヒドを環状ジカルバルデヒドから分離し、環状ジカルバルデヒドを精製することができることを見出し、本発明を完成した。
【0010】
即ち本発明は、環状ジエン化合物をヒドロホルミル化して得られる環状モノカルバルデヒドおよび環状ジカルバルデヒドを含む混合物を、抽出溶媒として非プロトン性極性溶媒と炭化水素系溶媒との混合溶剤を用いて抽出操作に付して、環状モノカルバルデヒドと環状ジカルバルデヒドとを分離することを特徴とする、環状ジカルバルデヒドの精製方法を提供するものである。
【0011】
また本発明は、抽出溶媒の分配率の差によって、非プロトン性極性溶媒に環状ジカルバルデヒドの主要部を移行させ、炭化水素系溶媒に環状モノカルバルデヒドの主要部を移行させることを特徴とする上記の環状ジカルバルデヒドの精製方法を提供するものである。
【0012】
更に本発明は、非プロトン性極性溶媒として水を含むものを使用する上記の環状ジカルバルデヒドの精製方法を提供するものである。
【0013】
【発明の実施の形態】
本発明において、ヒドロホルミル化反応に付される環状ジエンは、共役ジエン又は非共役ジエンのいずれでもよく、具体的には、例えば、ジシクロペンタジエン、トリシクロペンタジエン、ノルボルナジエン、1,3−シクロヘキサジエン、1,4−シクロヘキサジエン、1,5−シクロオクタジエン等が挙げられる。これら環状ジエンのうち、特にジシクロペンタジエンおよびトリシクロペンタジエンは、ヒドロホルミル化反応によりそれぞれトリシクロデカンジカルバルデヒドおよびペンタシクロペンタデカンジカルバルデヒドを生成し、工業的に有用である。
【0014】
また、ヒドロホルミル化反応に用いられる触媒としては、周期律表第8族〜第10族金属化合物系触媒が挙げられる。具体的には、ルテニウム、コバルト、ロジウム、イリジウム、ニッケル、パラジウム等を中心金属とする化合物からなる触媒が挙げられるが、特にロジウム化合物系が好ましい。このロジウム化合物系触媒は、ロジウム化合物と有機リン化合物からなるものであり、リンを配位子として錯体形成することにより、水素と一酸化炭素の存在下でヒドロホルミル化活性を示すものであれば、その前駆体の形態によらず使用することができる。
【0015】
このロジウム化合物系触媒の調製法としては、Rh(acac)(C242、Rh(acac)(CO)2、Rh23、Rh4(CO)12、Rh6(CO)16等の触媒前駆体物質を有機リン化合物と一緒に反応混合物中に導入し、反応容器内で触媒活性を持つロジウム金属ヒドリドカルボニルリン錯体を形成させてもよいし、あらかじめロジウム金属ヒドリドカルボニルリン錯体触媒を調製してそれを反応容器内に導入してもよい。
【0016】
また、上記触媒の調製に用いられる有機リン化合物としては、環状ジカルバルデヒドの抽出操作において抽出溶媒として用いる非プロトン性極性溶媒に対して溶解度が増加するような官能基を持たず、かつ、該抽出溶媒との反応性がないものが好適に用いられる。より好適な有機リン化合物の具体例としては、トリス(2−t−ブチルフェニル)ホスファイト、トリス(3−メチル−6−t−ブチルフェニル)ホスファイト、トリス(3−メトキシ−6−t−ブチルフェニル)ホスファイト、トリス(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)ホスファイト、ジ(2−t−ブチルフェニル)t−ブチルホスファイト等のトリ有機ホスファイト類、トリシクロプロピルホスフィン、トリシクロブチルホスフィン、トリシクロペンチルホスフィン、トリシクロヘキシルホスフィン、トリシクロヘプチルホスフィン等のトリシクロアルキルホスフィン類が挙げられる。これらのホスファイトおよびホスフィンは単独で使用してもよいし、2種以上を組み合わせて使用しても良い。
【0017】
ヒドロホルミル化反応はアルデヒドを生成する条件であればよく、反応溶媒、反応温度、反応圧力等何ら制限されるものではないが、一般的には、40〜160℃、好適には80〜130℃の反応温度、1〜10MPaの反応圧力で行われる。
【0018】
本発明の精製方法においては、上記のように環状ジエン化合物をヒドロホルミル化して得られる反応生成物である環状モノカルバルデヒドと環状ジカルバルデヒド(以下、これらを「環状モノアルデヒド」、「環状ジアルデヒド」あるいは「モノアルデヒド」、「ジアルデヒド」と略称することがある)を含む混合物を、抽出溶媒として非プロトン性極性溶媒と炭化水素系溶媒との混合溶剤を用いて抽出操作に付する。この非プロトン性極性溶媒と炭化水素系溶媒の混合溶剤は二層に互いに相分離し、それぞれの溶剤相への環状モノアルデヒドと環状ジアルデヒドの分配率が相違するため、環状ジアルデヒドの主要部が非プロトン性極性溶媒相へ移行し、一方、環状モノアルデヒドの主要部は炭化水素系溶媒に移行するため、非プロトン性極性溶媒相において純度の高い環状ジアルデヒドを得ることができる。
【0019】
ここで使用する非プロトン性極性溶媒は、炭化水素系溶媒とは相分離するものであって、分離の対象となる環状ジアルデヒドの分配係数が大きく、かつ環状モノアルデヒドの分配係数との差が大きいものが好ましく、例えば、環状ジアルデヒドの分配係数が5以上であり、かつ、環状ジアルデヒドの分配係数が環状モノアルデヒドの分配係数と比較して8倍以上大きいものが好ましい。このような非プロトン性極性溶媒としては、その構造中に窒素または硫黄を含有する化合物が好ましく、例えば、窒素を含有する化合物としては、アセトニトリル等のニトリル化合物、N−メチル−2−ピロリジノン、1,5−ジメチル−2−ピロリジノン、1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノン等のN−置換ラクタム化合物、N,N−ジメチルアセトアミド、N,N−ジメチルホルムアミド等のN−置換アミド化合物等が挙げられ、硫黄を含有する化合物としてはジメチルスルホキシド等のスルホキシド化合物が挙げられる。なかでもアセトニトリルは、環状ジアルデヒドの抽出効率が高く、汎用的な溶媒であって安価なことから好適である。また、抽出した環状ジアルデヒドを抽出溶媒より分離する場合も、アセトニトリルは沸点が小さく蒸留により容易に分離・回収できるので好適である。
【0020】
上記の非プロトン性極性溶媒は、水を含んでいてもよいが、抽出効率の点からいえば、水と非プロトン性極性溶媒との質量比は、0〜1の範囲にあることが好適である。
【0021】
また、本発明方法で使用する炭化水素系溶媒としては、脂肪族炭化水素化合物及び脂環式炭化水素化合物が好ましく、脂肪族炭化水素化合物としては、例えば、ペンタン、ヘキサン、ヘプタン、オクタン、イソオクタン、デカン、ドデカン等が、脂環式炭化水素化合物としては、シクロヘキサン、メチルシクロヘキサン、シクロオクタン、シクロデカン、シクロドデカン、デカリン等がそれぞれ挙げられる。
【0022】
本発明方法における、上記抽出溶媒の量は、ヒドロホルミル化反応物中の目的とする環状ジアルデヒドの量および抽出溶媒に対する分配係数によって適宜決められるが。一般に、反応溶媒と抽出溶媒(水を含む)の体積比で、4:1〜1:30の範囲が好適である。また、非プロトン系極性溶媒と炭化水素系溶媒の配合比は、10:1から1:10程度であり、特に5:1から1:5とすることが好ましい。
【0023】
また、抽出操作を行う温度には特に制限はないが、環状アルデヒドを生成するヒドロホルミル化反応温度より高い温度で実施してもなんら有効性はなく、ヒドロホルミル化反応温度以下で実施するのが実際的である。特に、10から120℃で行うことが望ましい。
【0024】
更に、抽出操作は、バッチ式または連続ヒドロホルミル化反応のプロセスとの組み合わせによる連続操作様式で行うこともできる。バッチ式では、ヒドロホルミル化反応後の反応器に直接抽出溶媒を添加して抽出を実施してもよいし、反応器からヒドロホルミル化反応生成物を抜出し、抽出槽で実施してもよい。連続操作様式の場合は、反応生成物と抽出溶媒を撹拌されている抽出槽へ連続供給して抽出を実施することができる。また、抽出操作はヒドロホルミル化反応の反応ガス(水素/一酸化炭素混合ガス)雰囲気下または窒素、アルゴン等の不活性ガス雰囲気下で行うことが好適である。
【0025】
【実施例】
次に、実施例を挙げて本発明を更に説明するが、本発明はこれら実施例に限定されるものではない。なお、実施例における転化率及び組成での%は質量基準である。
【0026】
実 施 例 1
アルゴン雰囲気下、ジシクロペンタジエンのヒドロホルミル化反応で得られたモノアルデヒドおよびジアルデヒドの混合物(ジシクロペンタジエンの転化率>99%、モノアルデヒド<1%、ジアルデヒド>99%)4.34g(22.68mmol)を100mLシュレンク管に取り、シクロヘキサン20mL、および1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノン20mL及び水2.5mLの混合溶剤を添加し30分間撹拌した後、30分間静置したところ二相に分離した。
【0027】
得られた二相中のモノアルデヒド量とジアルデヒド量をガスクロマトグラフィーにより分析した結果、1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノン/水相中のジアルデヒド量とシクロヘキサン中のジアルデヒド量との質量比は15.23であった。また、1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノン/水相中のモノアルデヒド量とシクロヘキサン中のモノアルデヒドとの質量比は1.4であった。この結果から、反応混合物中のジアルデヒド体(トリシクロデカンジカルバルデヒド)は大部分が1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノン/水溶媒相に移行して高濃度に濃縮され、一方、モノアルデヒド体は1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノン/水溶媒相への移行量が少ないことがわかる。
【0028】
実 施 例 2
アルゴン雰囲気下、ジシクロペンタジエンのヒドロホルミル化反応で得られたモノアルデヒドおよびジアルデヒドの混合物(ジシクロペンタジエンの転化率>99%、モノアルデヒド<1%、ジアルデヒド>99%)4.34g(22.68mmol)を100mLシュレンク管に取り、シクロヘキサン20mL、およびジメチルスルホキシド20mLを添加し30分間撹拌した後、30分間静置したところ二相に分離した。
【0029】
二相中のモノアルデヒド量とジアルデヒド量をガスクロマトグラフィーにより分析した結果、ジメチルスルホキシド中のジアルデヒド量とシクロヘキサン中のジアルデヒド量との質量比は19.8であった。一方、ジメチルスルホキシド中のモノアルデヒド量とシクロヘキサン中のモノアルデヒド量との質量比は1.1であった。この結果から、反応混合物中のジアルデヒド体(トリシクロデカンジカルバルデヒド)は大部分がジメチルスルホキシド溶媒相に移行して高濃度に濃縮され、一方、モノアルデヒド体はジメチルスルホキシド溶媒相への移行量が少ないことがわかる。
【0030】
実 施 例 3
アルゴン雰囲気下、ジシクロペンタジエンのヒドロホルミル化反応で得られたモノアルデヒドおよびジアルデヒドの混合物(ジシクロペンタジエンの転化率>99%、モノアルデヒド<1%、ジアルデヒド>99%)4.34g(22.68mmol)を100mLシュレンク管に取り、シクロヘキサン20mLおよびアセトニトリル20mLを添加し30分間撹拌した後、30分間静置したところ二相に分離した。
【0031】
二相中のモノアルデヒド量とジアルデヒド量をガスクロマトグラフィーにより分析した結果、アセトニトリル中のジアルデヒド量とシクロヘキサン中のジアルデヒド量との質量比は30.0であった。一方、アセトニトリル中のモノアルデヒド量とシクロヘキサン中のモノアルデヒド量との質量比は1.2であった。同様に、この結果から、反応混合物中のジアルデヒド体(トリシクロデカンジカルバルデヒド)は大部分がアセトニトリル溶媒相に移行して高濃度に濃縮され、一方、モノアルデヒド体はアセトニトリル溶媒相への移行量が少ないことがわかる。
【0032】
実 施 例 4
アルゴン雰囲気下、トリシクロペンタジエンのヒドロホルミル化反応で得られたモノアルデヒドおよびジアルデヒドの混合物(トリシクロペンタジエンの転化率>99%、モノアルデヒド<1%、ジアルデヒド>99%)5.84g(22.68mmol)を100mLシュレンク管に取り、シクロヘキサン20mLおよびアセトニトリル20mLを添加し30分間撹拌した後、30分間静置したところ二相に分離した。
【0033】
二相中のモノアルデヒド量とジアルデヒド量をガスクロマトグラフィーにより分析した結果、アセトニトリル中のジアルデヒド量とシクロヘキサン中のジアルデヒド量との質量費は9.8であった。一方、アセトニトリル中のモノアルデヒド量とシクロヘキサン中のモノアルデヒド量の質量比は0.9であった。同様に、この結果から、反応混合物中のジアルデヒド体(ペンタシクロペンタデカンジカルバルデヒド)のかなりの部分がアセトニトリル溶媒相に移行して高濃度に濃縮され、一方、モノアルデヒド体はアセトニトリル溶媒相への移行量が少ないことがわかる。
【0034】
【発明の効果】
以上のように、本発明によれば、環状ジエン化合物のヒドロホルミル化反応によって得られた環状モノカルバルデヒドと環状ジカルバルデヒドに対する分配率の差を利用して、非プロトン性極性溶媒と炭化水素系溶媒とを用いてこれらの混合物を抽出することによって、環状モノカルバルデヒドと環状ジカルバルデヒドを含む混合物から、熱的な悪影響を受けることなく、かつ工業的に実用的な方法で、高収率で環状ジカルバルデヒドを分離し、精製することができる。
以 上

Claims (5)

  1. 環状ジエン化合物をヒドロホルミル化して得られる環状モノカルバルデヒドおよび環状ジカルバルデヒドを含む混合物を、抽出溶媒として非プロトン性極性溶媒と炭化水素系溶媒との混合物を用いて抽出操作に付して、環状モノカルバルデヒドと環状ジカルバルデヒドとを分離することを特徴とする、環状ジカルバルデヒドの精製方法。
  2. 抽出溶媒の分配率の差によって、非プロトン性極性溶媒に環状ジカルバルデヒドの主要部を移行させ、炭化水素系溶媒に環状モノカルバルデヒドの主要部を移行させることを特徴とする請求項第1項記載の環状ジカルバルデヒドの精製方法。
  3. 非プロトン性極性溶媒が、水を含有するものである請求項第1項または第2項記載の環状ジカルバルデヒドの精製方法。
  4. 非プロトン性極性溶媒が、窒素原子又は硫黄原子を含む化合物である請求項第1項ないし第3項の何れかの項記載の環状ジカルバルデヒドの精製方法。
  5. 非プロトン性極性溶媒が、アセトニトリル、N−メチル−2−ピロリジノン、1,5−ジメチル−2−ピロリジノン、1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノンまたはジメチルスルホキシドから選ばれた化合物のいずれかである請求項第1項ないし第4項の何れかの項に記載の環状ジカルバルデヒドの精製方法。
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