JP2001007366A - 電荷移動型ヘテロ接合構造体及びその製造方法 - Google Patents

電荷移動型ヘテロ接合構造体及びその製造方法

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Matias Lamb
マティアス ラム
Masafumi Ata
誠文 阿多
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Sony Corp
Research Institute of Innovative Technology for the Earth RITE
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 構成材料の一部にフラーレン重合体膜を用い
ることによって、耐久性、電子物性、経済性等にすぐれ
た太陽電池や発光ダイオード等が得られる、電荷移動型
ヘテロ接合構造体及びその製造方法を提供すること。 【解決手段】 少なくとも一方が光透過性である一対の
電極1−5間に、電子供与性の導電性高分子膜3と電子
受容性のフラーレン重合体膜4とが積層されたヘテロ接
合構造体である。そして、その各層の形成において、フ
ラーレン重合体膜4の同定を特にラマン法とネグザフス
法とを併用して行い、重合体膜の確認後に上層を製膜す
る製造方法である。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、例えば太陽電池や
発光ダイオード等に用いられ、フラーレンを構成材料の
一部とする電荷移動型ヘテロ接合構造体、及びその製造
方法に関する。
【0002】
【従来の技術】従来より太陽電池の構成材料として、シ
リコンpn接合半導体等が広く用いられ、昨今ではその
エネルギー変換効率が開発当初に比べてかなり向上して
いる。
【0003】太陽電池の素材としては上記シリコン以外
にチタニアなどがあるが、最近では炭素化合物の一つで
あるフラーレンが注目されるようになった。以下、その
発見ならびに開発の歴史を振り返りつつ、フラーレンの
特徴について述べる。
【0004】フラーレンはダイヤモンドや黒鉛と同様に
炭素原子のみからなる一連の炭素化合物のことである。
その存在が確かめられたのは今世紀末に大分近づいてき
た頃で、1985年に炭素のレーザアブレーションによ
るクラスタービームの質量分析スペクトル中に発見され
た。しかし実際に製造法が確立されるにはさらに5年の
歳月を待たねばならず、1990年に至って初めて炭素
電極のアーク放電によるフラーレン(C60)の製造法が
見い出され、それ以来、フラーレンは炭素系半導体材料
等として注目される存在となっている。(Kratschmer,
W.; Fostiropoulos, K.; Huffman, D.R. Chem. Phys. L
ett. 1990, 170, 167. Kratschmer. W.;Lamb. L. D.; F
ostiropoulos, K.; Huffman, D. R. Nature 1990, 347,
354.)
【0005】フラーレンは、60個以上の偶数個の炭素
原子が球状に結合して分子集合体を構成した球状炭素C
n (n=60、70、76、78、80、82、84・
・・など)である。中でも特に代表的なのは、初めに挙
げた炭素数が60のC60と70のC70である。このうち
60フラーレンは正二十面体の頂点を全て切り落として
正五角形を出した切頭二十面体と呼ばれる多面体構造を
有し、図3(A)に示すようにその60個の頂点が全て
炭素原子で占められた言わばサッカーボール型の分子構
造を有する。それに対して、C70は図3(B)に示すよ
うにラグビーボール型の分子構造を有する。
【0006】C60の結晶はC60分子が面心立方構造に配
置され、バンドギャップが約1.6eVであって半導体
とみなせる。純粋な状態では約1014Ω/cmの電気抵
抗を有する。そして、500℃で約1mmTorrの蒸
気圧があり、昇華によって薄膜を蒸着することができ
る。C60に限らず、フラーレン分子は真空又は減圧下に
おいて容易に気化できることから、蒸着膜を形成し易い
素材である。
【0007】しかしながら、最も量産性に富むC60やC
70等のフラーレン分子は双極子モーメントがゼロである
ことから、それから得られる蒸着膜は、分子間にファン
・デル・ワールス力しか働かず、強度的に脆弱である。
そのため、この蒸着膜を空気中にさらすと、フラーレン
分子間の隙間に酸素や水分子等が拡散進入し易く(図3
4参照)、その結果、構造的に劣化するだけでなく、そ
の電子物性に悪影響を及ぼすことがある。このようなフ
ラーレン蒸着薄膜の脆弱さは、フラーレンを薄膜電子デ
バイスの製作に適用するときに、デバイスの安定性の面
で問題となる。さらにフラーレン分子間へ拡散進入した
酸素分子により常磁性中心が発現するので、その薄膜特
性の安定性の面からも問題があった。
【0008】このような問題点を克服するため、近年、
フラーレン分子同士を重合させる、いわゆるフラーレン
重合体膜の製造方法が提唱されている。その代表例とし
て光誘起によるフラーレン重合体の製膜方法を挙げるこ
とができる。〔(a) Rao,A.M.; Zhou,P.; Wang,K.-A; Ha
ger,G.T.; Holden,J.M.; Wang,Y.; Lee,W.-T.; Bi,X.-
X.; Eklund,P.C.; Cornett,D.S.; Duncan,M.A.; Amste
r,I.J. Science 1993, 256,955. (b) Cornett,D.C.; Am
ster,I.J.; Duncan,M.A.; Rao,A.M.; Eklund.P.C. J.Ph
ys.Chem.1993, 97,5036. (c) Li,J.; Ozawa,M.; Kino,
N.; Yoshizawa,T.;Mitsuki,T.; Horiuchi,H.; Tachikaw
a,O.; Kishio,K.; Kitazawa,K. Chem.Phys.Lett.1994,
227,572.〕
【0009】この方法はあらかじめ製膜したフラーレン
蒸着膜に対し、蒸着後に光照射を行うものであるが、重
合時に生じる体積収縮のため膜の表面に無数のヒビがは
いり易く、強度の面で問題がある。しかもこの方法で
は、面積の広い均一な薄膜を製膜することは極めて困難
である。
【0010】その外にも、フラーレン分子に圧力や熱を
加えるか、あるいはフラーレン分子同士を衝突させるこ
とによってフラーレン重合体膜を製膜できることが知ら
れているが、これらの方法では製膜はできても薄膜を得
ることは困難である。〔分子衝突法 (a)Yeretzian,C.;
Hansen,K.; Diederich,F.; Whetten,R.L. Nature 1992,
359,44. (b)Whetten,R.L.; Yeretzian,C. Int.J.Mod.P
hys.1992, B6,3801.(c)Hansen,K.; Yeretzian,C.; Whet
ten,R.L. Chem.Phys.Lett.1994, 218,462. (d)Seifert,
G.; Schmidt,R. Int.J.Mod.Phys.1992,B6,3845. イオン
ビーム法 (a)Seraphin,S.; Zhou,D.; Jiao,J. J.Mater.
Res.1993, 8,1995. (b)Gaber,H.; Busmann,H.-G.; His
s,R.; Hertel,I.V.; Romberg,H.; Fink,J.; Bruder,F.;
Brenn,R.J.Phys.Chem,1993,97,8244. 圧力法 (a)Duclo
s,S.J.; Brister,K.; Haddon,R.C.; Kortan,A.R.; Thie
l,F.A. Nature 1991,351,380. (b)Snoke,D.W.; Raptis,
Y.S.; Syassen,K. 1 Phys.Rev.1992,B45,14419. (c)Yam
awaki,H.; Yoshida,M.; Kakudate,Y.; Usuda,S.; Yoko
i,H.; Fujiwara,S.; Aoki,K.; Ruoff,R.; Malhotra,R.;
Lorents,D.J.Phys.Chem. 1993,97,11161. (d)Rao,C.N.
R.; Govindaraj,A.; Aiyer,H.N.; Seshadri,R.J.Phys.C
hem. 1995,99,16814. 〕
【0011】一方、これら従来法に替るフラーレン重合
法(又は製膜方法)として注目に値いするのが、本発明
者が先に提唱したプラズマ重合法やマイクロ波(プラズ
マ)重合法である。(たとえばTakahashi, N.; Dock,
H.; Matsuzawa, N.; Ata,M.J.Appl.Phys. 1993,74,579
0.) 。このような方法で得られるフラーレン重合体(図
32及び図33)の膜は、フラーレン分子が電子励起状
態を経て重合してできた薄膜であり、フラーレン蒸着薄
膜に比較して強度が格段に増加し、緻密にしてかつ柔軟
性に富む。そして真空中でも大気中でもその電子物性が
ほとんど変化しないことから、その緻密な薄膜構造が酸
素分子等による膜内部への拡散進入を効果的に抑制して
いるのだと考えられる。事実、このような方法で薄膜を
構成するフラーレンの多量体が生成されることは、レー
ザアブレーション法による飛行時間型質量分析によって
知ることができる。
【0012】プラズマ法の種類を問わず、フラーレン重
合体膜の電子物性はその重合形態に大きく依存するもの
と思われる。実際にマイクロ波プラズマ法により得られ
たC60の重合体膜の質量分析結果は、以前発明者らが報
告したC60のアルゴンプラズマ重合体薄膜のそれと、酷
似している〔Ata,M.; Takahashi,N.; Nojima,K.J.Phys.
Chem.1994,98,9960.Ata,M.; Kurihara,K.; Takahashi,
J.Phys.Chem.B 1996,101,5.参照〕。
【0013】フラーレン重合体の微細構造については、
パルスレーザ励起の飛行時間型質量分析(TOF−M
S)によって推定することができる。一般に高分子量の
ポリマーを非破壊的に測定する方法として、マトリック
スアシスト法が知られている。しかし、フラーレン重合
体を溶解する溶媒が存在しないことから、重合体の実際
の分子量分布を直接評価することは困難である。LDI
TOF−MS(Laser Desorption Ionization Time-of-
Flight Mass Spectroscopy) による質量評価も、適当な
溶媒が無いことと、C60とマトリックス分子とが反応し
てしまうためマトリックスアシスト法が適用できない等
の理由により、実際のフラーレン重合体の質量分布を正
確に評価することは困難である。
【0014】C60重合体の構造は、C60が重合を起こさ
ない程度のレーザパワーのアブレーションで観測したL
DITOF−MSの多量体のピーク位置や2量体のプロ
フィールから、推定することができる。たとえば50W
のプラズマパワーで得られたC60重合膜のLDITOF
−MSは、C60分子間の重合が4個の炭素のロスを伴う
過程が最も確率的に高いことを示している。すなわち2
量体の質量領域においてC120 はマイナープロダクトで
あり、最も高い確率で生成するのはC116 である。
【0015】また半経験的レベルのC60の2量体の計算
によると、このC116 は図5に示すようなD2h対称C
116 であると考えられる。これはC58の再結合によって
得られるが、このC58はC60のイオン化状態を含む高い
電子励起状態からC2 が脱離して生成されることが報告
されている〔(a)Fieber-Erdmann,M.et al,Z.Phys.D199
3,26,308.(b)Petrie,S.et al,Nature 1993,356,426.(c)
Eckhoff,W.C.;Scuseria,G.E.; Chem.Phys.Lett.1993,21
6,399. 〕。
【0016】この開殻C58分子が5員環2個が隣接する
構造へ転位する以前に2分子で結合すれば、図5に示さ
れるC116 が得られる。しかし本発明者は、C60のプラ
ズマ重合の初期の過程ではあくまでも励起3重項メカニ
ズムによる[ 2+2 ]環状付加反応(反応生成物は図4
に示す)が生じると考えている。また、前記のように最
も高い確率でC116 が生成するのは、C60の電子励起3
重項状態から図4のように[ 2+2 ]環状付加反応によ
り生成した(C602 のシクロブタンを形成する4個の
SP3 炭素の脱離と、2個のC58開殻分子の再結合とに
よるためと考えられる。
【0017】例えば、TOF−MSのイオン化ターゲン
ト上のC60微結晶に強いパルスレーザ光を照射すると、
マイクロ波プラズマ重合法と同様にフラーレン分子が電
子励起状態を経て重合が起こるが、C60光重合体のピー
クとともにC58,C56等のイオンも観測される。
【0018】しかし、C58 2+あるいはC2 + 等のフラグ
メントイオンは観測されないことから、前記Fieber-Erd
mannらの文献に述べられているようなC60 3+から直接C
58 2+とC2 + へフラグメンテーションすることは、この
場合には考えられない。また、C2 4 ガスプラズマ中
でC60を気化させて製膜した場合、そのLDITOF−
MSにはC60のFあるいはC2 4 のフラグメントイオ
ンの付加体のみが観測され、C60重合体は観測されな
い。このようにC60重合体の観測されないLDITOF
−MSには、C58,C56等のイオンも観測されないとい
う特徴がある。これらの観測結果もまた、C2 の損失が
60重合体を経てから起こることを支持している。
【0019】では、そのC2 損失が、プラズマ重合にお
いて果して図4に示す[ 2+2 ]環状付加反応による
1,2−(C602 から直接起こるのかどうかというこ
とが、次に問題となる。それを、ムーリーや大澤らは
1,2−(C602 の構造緩和のプロセスを提唱して以
下のように説明している〔(a)Murry,R.L.et al,Nature
1993,366,665.(b)Strout,D.L.et al,Chem.Phys.Lett. 1
993,214,576.Osawa,E.私信〕。
【0020】両者とも図4に示す1,2−(C602
構造緩和の初期過程では、クロスリンク部位の最も歪み
の大きい1,2−C−C結合の開裂した図6のC
120 (b)を経て、Stone-Wales 転位(Stone,A.J.; Wa
les,D.J.Chem.Phys.Lett. 1986,128,501. (b)Satio,
R.Chem.Phys.Lett.1992,195,537.)によるはしご型のク
ロスリンクを有する図7のC120 (c)から、図8のC
120 (d)が生成されるとしている。図4の1,2−
(C602 から図6のC120 (b)へ転位するとエネル
ギー的に不安定化するが、さらに図7のC120 (c)か
ら図8のC120 (d)と転位するにつれて再度安定化す
る。
【0021】このようにプラズマ誘起によるC60の重合
において観測されるnC2 の損失が、その初期過程と考
えられる図4の1,2−(C60)から直接起こるのか、
あるいはこれがある程度構造緩和した後で起こるのか明
確な知見は得られていないが、観測されるC118 は図8
のC120 (d)からのC2 の脱離とダングリングの再結
合によって図9の様な構造をとるものと考えられる。ま
た、図9のC118 の梯子型クロスリンクの2個の炭素が
脱離しダングリングが再結合することによって、図10
に示すようなC116 が得られる。2量体のTOF−MS
に奇数個のクラスターがほとんど観測されないことや構
造の安定さからすると、C2 の損失が1,2−(C60
2 から直接起こるよりも、図8のC120 (d)を経て起
こると考えた方が、理にかなっているように思われる。
【0022】また、大澤らは前記文献にC120 (a)か
ら多段階のStone-Wales 転位による構造緩和を経て、D
5d対称C120 構造が得られることを記述している。この
120 の構造はC70分子のグラファイト構造がC120
で延びたもので、C60重合体からナノチューブが得られ
ることを示唆する点で興味深い。しかし、プラズマ照射
による重合体の形成に際しては、C60重合体のTOF−
MSを見るかぎり、このような多段階の転位反応による
構造緩和よりもC2 の損失を伴う構造緩和の過程が優先
すると考えられる。
【0023】一般にπ軌道とσ軌道が直交する平面共役
化合物では 1(π−π* )− 3(π−π* )間のスピン
遷移は禁制であり、振電相互作用によりσ軌道が混ざる
場合に許容となる。C60の場合にはπ共役系の非平面性
によりπ軌道とσ軌道がミキシングすることから 1(π
−π* )− 3(π−π* )間のスピン−軌道相互作用に
よる項間交叉が可能となり、C60の高い光化学反応性が
もたらされる。C60分子の切頭20面体という高い対称
性は電子励起状態間や振動準位間の遷移に厳しい禁制則
をもたらす反面、平面分子では禁制であるスピン多重度
の異なる(π−π* )性の状態間の遷移を許容する点
が、フラーレン、特にC60の電子励起状態の挙動の特徴
である。
【0024】プラズマ重合法はC70分子の重合にも適用
可能である。しかし、C70分子間の重合となると、その
メカニズムを理解することはC60の場合より容易でな
い。そこで、便宜上、図11に示すようなC70の炭素原
子のナンバリングの助けを借りて、できるだけ分かり易
く説明したい。
【0025】C70の105本のC−C結合は、C(1)
−C(2),C(2)−C(4),C(4)−C
(5),C(5)−C(6),C(5)−C(10),
C(9)−C(10),C(10)−C(11),C
(11)−C(12)で代表される8種類のC−C結合
に分類され、このうちC(2)−C(4),C(5)−
C(6)はC60のC=C結合と同程度の2重結合性であ
る。この分子のC(9),C(10),C(11),C
(14),C(15)を含む6員環のπ電子は非極在化
し、5員環を形成するC(9)−C(10)結合が2重
結合性を帯びると同時に、C(11)−C(12)結合
が単結合性となる。C70の重合を2重結合性のC(2)
−C(4),C(5)−C(6),C(9)−C(1
0),C(10)−C(11)について考える。なお、
C(11)−C(12)結合はほぼ単結合であるが、2
つの6員環にわたる結合(6,6-ring fusion )であるの
で、この結合の付加反応性についても吟味する。
【0026】まず、C70の[ 2+2 ]環状付加反応から
考える。この5種類のC−C結合の[ 2+2 ]環状付加
反応からは25種類のC70の2量体が得られるが、計算
の便宜のために同じC−C結合間の9種の付加反応のみ
を考える。表1にMNDO/AM−1および/PM−3
レベルの2分子のC70からC140 の生成過程の反応熱
(ΔHf 0(r))を示す。
【0027】 表1 ──────────────────────────────────── クラスター ΔHf 0(r) ΔHf 0(r) クロスリンク 結合長 (参照図) (kcal/mol) (kcal/mol) (Å) AM−1 PM−3 ──────────────────────────────────── C140(a) −34.63 −38.01 C(2)-C(2')、C(4)-C(4') 1.544 (図14) C(2)-C(4) 、C(2')-C(4') 1.607 C140(b) −34.33 −38.00 C(2)-C(4')、C(4)-C(2') 1.544 (図15) C(2)-C(4) 、C(2')-C(4') 1.607 C140(c) −33.94 −38.12 C(5)-C(5')、C(6)-C(6') 1.550 (図16) C(5)-C(6) 、C(5')-C(6') 1.613 C140(d) −33.92 −38.08 C(5)-C(6')、C(6)-C(5') 1.551 (図17) C(5)-C(6) 、C(5')-C(6') 1.624 C140(e) −19.05 −20.28 C(9)-C(9')、C(10)-C(10') 1.553 (図18) C(9)-C(10)、C(9')-C(10') 1.655 C140(f) −18.54 −19.72 C(9)-C(10') 、C(10)-C(9') 1.555 (図19) C(9)-C(10)、C(9')-C(10') 1.655 C140(g) +3.19 −3.72 C(10)-C(10')、C(11)-C(11') 1.559 (図20) C(10)-C(11) 、C(10')-C(11') 1.613 C140(h) +3.27 −3.23 C(10)-C(11')、C(11)-C(10') 1.560 (図21) C(10)-C(11) 、C(10')-C(11') 1.613 C140(i) +64.30 +56.38 C(11)-C(11')、C(12)-C(12') 1.560 (図22) C(11)-C(12) 、C(11')-C(12') 1.683 ──────────────────────────────────── 表中、ΔHf 0(r)AM−1及びΔHf°(r)PM−3
とは、J. J. P. Stewartによる半経験的分子起動法であ
るMNDO法のパラメタリゼーションを用いる場合の反
応熱の計算値である。
【0028】表中、C140 (a)と(b),C
140 (c)と(d),C140 (e)と(f)およびC
140 (g)と(h)はそれぞれC(2)−C(4),C
(5)−C(6),C(9)−C(10)およびC(1
0)−C(11)結合のanti−syn異性体のペア
である。C(11)−C(12)結合間の付加反応では
2h対称のC140 (i)のみが得られる。これらの構造
は図14〜22に示す。なお、図12に最も安定な[ 2
+2] 環状付加反応によるC70重合体の初期構造を示
す。
【0029】この表1から、anti−syn異性体間
のエネルギー差は認められない。C(2)−C(4)お
よびC(5)−C(6)結合間の付加反応はC60の付加
反応と同程度に発熱的であり、逆にC(11)−C(1
2)結合間の付加反応は大きく吸熱的である。ところ
で、C(1)−C(2)結合は明らかに単結合である
が、この結合間の環状付加反応の反応熱はAM−1およ
びPM−3レベルでそれぞれ+0.19および−1.8
8kcal/molとなり、表1のC140 (g)と
(h)の反応熱とほぼ等しい。このことは、C(10)
−C(11)結合間の付加反応も熱力学的に起こりえな
いことを示唆する。従って、C70分子間の付加重合反応
はC(2)−C(4)およびC(5)−C(6)結合で
優先的に起こり、C(9)−C(10)結合間の重合は
起こったとしてもその確率は低いものと考えられる。な
お、単結合性であるC(11)−C(12)結合間の反
応熱がC(1)−C(2)結合間の反応熱より大きく発
熱的になるのは、C140 (i)のシクロブタン構造、と
りわけC(11)−C(12)結合の歪みが極めて大き
いことによると考えられる。なお、このような[ 2+2
]環状付加に際してのクロスリンク結合に隣接するsp
2 炭素の2p2 ローブの重なりの効果を評価するため
に、C70の2量体、C70−C60重合体およびC702
生成熱の比較を行った。詳細な数値データは割愛する
が、この重なりによる効果はC140 (a)〜(h)にわ
たってほぼ無視できると思われる。ただし、これはあく
までもMNDO近似レベルの計算での話である。
【0030】C70の重合膜のLDITOF−MSによる
2量体付近の質量分布は、C116 ,C118 等の2量体が
主生成物である。次に、C60からD2h−対称C116 を得
るプロセスと同様に、2量体(C702 のシクロブタン
を形成する4個の炭素原子を脱離させ、残りのC68の再
結合によるC136 の構造について考える。これらの構造
を図23〜31に示す。表2にC136 の生成熱(ΔHf
0 )の相対比較を示す。
【0031】 表2 ──────────────────────────────────── クラスター ΔHf 0(r) ΔHf 0(r) クロスリンク 結合長 (参照図) (kcal/mol) (kcal/mol) (Å) AM−1 PM−3 ──────────────────────────────────── C136(a) −65.50 −61.60 C(1)-C(8')、C(3)-C(5') 1.351 (図23) C(5)-C(3')、C(8)-C(1') 1.351 C136(b) −64.44 −61.54 C(1)-C(3')、C(3)-C(1') 1.351 (図24) C(5)-C(8')、C(8)-C(5') 1.351 C136(c) 0 0 C(4)-C(13') 、C(7)-C(10') 1.352 (図25) C(10)-C(7') 、C(13)-C(4') 1.352 C136(d) +0.09 +0.11 C(4)-C(7')、C(7)-C(4') 1.351 (図26) C(10)-C(13')、C(13)-C(10') 1.354 C136(e) +112.98 +102.89 C(5)-C(8')、C(8)-C(5') 1.353 (図27) C(11)-C(14')、C(14)-C(11') 1.372 C136(f) +69.47 +59.44 C(5)-C(14') 、C(14)-C(5') 1.358 (図28) C(11)-C(8') 、C(8)-C(11') 1.352 C136(g) −3.74 −9.20 C(5)-C(15') 、C(15)-C(5') 1.344 (図29) C(12)-C(9') 、C(9)-C(12') 1.352 C136(h) +2.82 −5.30 C(5)-C(9')、C(9)-C(5') 1.3
72 (図30) C(12)-C(15')、C(15)-C(12') 1.33
4 C136(i) +98.50 +84.36 C(13)-C(10')、C(15)-C(16') 1.376 (図31) C(10)-C(13')、C(16)-C(15') 1.376 ──────────────────────────────────── 但し、表2中のΔHf 0 AM−1、ΔHf 0 PM−3、
クロスリンク、結合長は、前記表1と同様である。
【0032】C136 (a)−(i)はそれぞれC
140 (a)−(i)に対応しており、たとえばC
140 (a)でクロスリンクを形成していたC(2),C
(4)はC136 (a)では脱離している。また、C136
(a)の4本のクロスリンクに関与する炭素はC
(1),C(3),C(5)およびC(8)であり、こ
れらはSP2 炭素である。表1に示した2量体のうちP
M−3レベルで最も安定な構造と予測されたのはC140
(c)であったことから、表2ではC140 (c)から得
られるC136 (c)のΔHf 0 を比較の基準とした。表
2からC136 (a)および(b)の構造が大きく安定化
すること、またC136 (e),(f)および(i)は不
安定化することがわかる。また、全てのC140 およびC
136 構造の単位炭素原子当たりのΔHf 0 の計算値を評
価すると、C140 からC136 構造への過程で構造緩和す
るのはC140 (a)および(b)からC136 (a)およ
び(b)への過程のみである。従って、MNDO近似レ
ベルの計算から、C70のクロスリンクにおいては、初期
過程の[ 2+2 ]環状付加反応の部位が分子主軸が通る
両端の5員環の付近に限定されるのみならず、C136
ようなπ共役系のクロスリンク構造も、C(2)−C
(4)結合間の環状付加反応によるC70の2量体から得
られるC136 のみに限定されることが示唆される。な
お、図12に示した構造の緩和過程で生成する、より安
定なC136 の分子構造を図13に示す。
【0033】このようなプラズマ等の電磁波誘起の重合
法で得られるC60の重合体膜の導電性は半導体的であ
り、暗電流の温度依存性から評価したバンドギャップは
1.5〜2eV程度である。大気中の酸素拡散の影響が
蒸着膜に比べて著しく少ないこともまた重合膜の特徴で
ある。マイクロ波パワー200Wで得られるC60重合膜
の暗電流は10-7〜10-8S/cm程度であるのに対
し、同じマイクロ波パワーで得られるC70重合膜では1
-13 S/cm以下とほぼ絶縁体である。このような重
合膜の電気電導性の違いはその重合膜の構造に起因する
と考えられる。C60重合膜の場合、図4の[ 2+2] 環
状付加反応による1,2−(C602 の2量体のクロス
リンクは、2分子のC60が開殻ビラジカル状態となる1
本のクロスリンクボンド同様に、導電性の向上には寄与
しないと考えられる。これに対し、C116 の様な分子間
クロスリンクはπ共役系を形成することから、導電性の
向上に寄与すると考えられる。C118 ,C114 ,C112
等のクロスリンク構造についても現在検討中であるが、
1,2−(C602 のクロスリンク部位の炭素の脱離と
再結合からなる、導電性に寄与するπ共役したクロスリ
ンクであると考えられる。
【0034】通常、導電性はフラーレン分子間の導電性
のクロスリンクの数に対してリニアーに増加するのでは
なく、ある一定の数で浸透限界を超えて大きく変化する
はずである。前述したように、C70の場合にはC60に比
べ[ 2+2 ]環状付加応の確率が低いのみならず、C
140 からC136 の様な導電性のクロスリンク構造への構
造緩和も特定の部位のみでしか起こりえないと考えられ
る。従ってC60の重合体膜には導電性に寄与するクロス
リンクの数が多く浸透限界を越えているが、C70の場合
には低い重合の確率と導電性のクロスリンクの形成の制
限から浸透限界を越えていないことが、両者の大きな導
電性の違いの原因と考えられる。
【0035】
【発明が解決しようとする課題】以上、フラーレン分子
の発見からその蒸着膜及び重合体膜、更には重合のメカ
ニズムについて説明してきたが、ここで話を冒頭の太陽
電池に戻すことにする。
【0036】フラーレンという素材は、経済的にも物性
的にも改良された太陽電池が得られる可能性を秘めてお
り、事実これ迄にもフラーレンを構成材料とする太陽電
池が幾つか提案されている(特許第9656473号、
同95230248号、同99325116号、USP
第5171373号、WO第9405045号等)。
【0037】しかし、提案されたどの太陽電池も、フラ
ーレン蒸着膜を使用する点では共通しており、したがっ
て既述した蒸着膜の脆弱さに由来する問題点、とりわけ
耐久性や電子物性に関する問題が、未解決のままであ
る。
【0038】ところで、上記蒸着膜と同じフラーレン系
に属するフラーレン重合体膜は、ポリマーバルクへの酸
素拡散が生じない等の優れた物性により、十分な耐久性
を示すものであるが、実際にこれを太陽電池製作のため
の構成材料に用いた試みは、未だかつて殆どない。
【0039】その大きな理由として、工業的なフラーレ
ン重合技術が開発されてまだ日が浅い、という事情も考
えられなくもないが、その外に、フラーレン重合体膜を
非破壊的手法で的確に同定できる方法が、未だ確立され
ていないことが挙げられる。
【0040】また、炭素系化合物の炭素骨格のつながり
を明らかにする手段として、核磁気共鳴法のような方法
も知られているが、フラーレン重合体膜のような炭素系
薄膜に対しては、導電性に依存して自由誘導減衰のパタ
ーンが明確に観測されなかったり、ダングリング不対ス
ピンによる核スピンへの横緩和の影響から、測定が難し
い場合が多い。
【0041】しかも、この核磁気共鳴法は、個体サンプ
ルのマジックアングルスピンが困難であり、炭素系薄膜
材料の構造変化をモニターする手段としては不適当であ
る。
【0042】本発明は上記事情を改善するためになされ
たもので、その目的は、フラーレン重合体膜の非破壊的
な同定法を確立し、かつ同重合体膜を積層構造に適用す
ることによって、耐久性や電子物性を始め、各種物性の
改良された太陽電池等が得られる、電荷移動型ヘテロ接
合構造体及びその製造方法を提供することにある。
【0043】
【課題を解決するための手段】すなわち、本発明の電荷
移動型ヘテロ接合構造体は、光透過性電極とその対向電
極との間に、導電性有機膜とフラーレン重合体膜とが積
層されていることを特徴とするものである。
【0044】また、本発明の電荷移動型ヘテロ接合構造
体の製造方法は、光透過性電極を形成する工程と、導電
性有機膜を形成する工程と、フラーレン重合体膜を形成
する工程と、対向電極を形成する工程とを具備し、前記
フラーレン重合体膜を同定したのちに他の構成層の形成
を行うことを特徴とするものである。
【0045】そして、上記同定は、ラマン法とネグザフ
ス法(NEXAFS: Near-Edge X-ray Fine Structure) とを
併用して行うのが、最も好ましい。
【0046】本発明のヘテロ接合構造体は、少なくとも
一方を光透過性とする一対の電極間に、電子供与性であ
る導電性有機膜と電子受容性であるフラーレン重合体膜
とが積層されているので、光誘起による電荷移動が可能
であり、太陽電池や発光ダイオードなどに好適な用途を
有する。そして、構成材料の一部にフラーレン重合体膜
が用いられているので、フラーレン蒸着膜を用いる場合
に比較して、耐久性と電子物性とにおいて一段と優れて
いる。蒸着膜の場合には、大気中での評価中、約1日で
特性は完全に失なわれ易いが、重合体化すれば、1ケ月
後でも特性はほとんど変化しない。
【0047】また、特に太陽電池に適用した場合は、従
来のシリコンpn接合型太陽電池とは比べて、著しく低
コストで軽量であり、柔軟性に優れた薄膜が可能とな
り、かつ、エネルギー変換効率に遜色がなく、更にチタ
ニア系太陽電池のように増感剤を用いずとも優れた光電
変換効率を達成できる。
【0048】また、本発明の製造方法によると、前記電
荷移動型ヘテロ接合構造体の各構成層を、困難を併なわ
ずに形成することができるうえ、フラーレン重合体膜の
同定を特にラマン法とネグザフス法の併用によって行う
ことができるので、フラーレン重合体膜の構造からその
重合度、アモルファス化、酸化、さらには高電圧印加に
よる絶縁破壊に至る各種評価を非破壊的に、且つ的確に
行うことが可能となる。こうしたフラーレン重合体膜に
ついての評価の結果に基づいて、フラーレン重合体膜を
正確に同定できるから、目的のヘテロ接合構造体を確実
に作製でき、かつその物性制御に役立てることができ
る。
【0049】
【発明の実施の形態】本発明の電荷移動型ヘテロ接合構
造体は、前記積層構造において、フラーレン重合体膜が
対向電極に接していることが好ましい。
【0050】また、このような場合も含めて、フラーレ
ン重合体膜と導電性有機膜との間に活性層がキャリア発
生層として介在していることが好ましい。
【0051】また、本発明では、各電極の外面側(大気
に露出する面)に基板を適宜、設けることができる。
【0052】本発明の代表的なヘテロ接合構造体として
は、図1(A)に示すように、シリコンやガラス等でで
きた透明基板1の上にITO(Indium tin oxide: イン
ジウム酸化物にスズをドープしたもの)などの光透過性
電極2と、ポリチオフェンなどの導電性高分子膜3と、
この導電性高分子膜とヘテロ接合を形成するフラーレン
重合体膜4と、アルミニウムなどからなる対向電極5と
が、この順に積層されていることが望ましい。さらに、
図1(B)に示すように、導電性高分子膜3とフラーレ
ン重合体膜4との間に、キャリア発生層としてたとえば
カーボンナノチューブやフタロシアニン等の活性層6が
介在していることが好ましい。ここで、導電性高分子膜
3、活性層6、フラーレン重合体膜4の各厚みはそれぞ
れ0.1〜50nm(好ましくは5〜20nm)(以
下、同様)であってよい。
【0053】ただし、図2(C)及び(D)に示すごと
く、導電性高分子膜3とフラーレン重合体膜4とが互い
に入れ替わったヘテロ接合構造体も電荷移動が可能であ
り、本発明の範囲に含まれる。
【0054】前記導電性有機膜は電子供与性を有してお
り、さらには共役π電子系を含むP型の導電性高分子か
ら形成されていることが望ましい。その好ましい具体例
を幾つか挙げると、ポリビニルカルバゾール、ポリ(p
−フェニレン)−ビニレン、ポリアニリン、ポリエチレ
ンオキサイド、ポリビニルピリジン、ポリビニルアルコ
ール、ポリチオフェン、ポリフルオレン及びポリパラフ
ェニレンなど、或いはこれらの構成モノマーの誘導体か
らなるポリマーがある。
【0055】なお、この導電性有機膜には、その導電性
を制御するために、硫酸根等をはじめ公知のドーパント
が添加されていてもよい。
【0056】前記フラーレン重合体膜は電子受容性の薄
膜として機能し、好ましくはC60の重合体及び/又はC
70の重合体から構成され、例えば図4〜図10や図12
〜図31に示すものや、図32及び図33に示すものが
例示される。ただし、後述するようにこれらの重合体に
限定する必要はない。このフラーレン重合体膜は、図3
4に示すフラーレン蒸着膜に比べ、フラーレン分子間が
共有結合によって密に結合していることが特徴的であ
る。
【0057】また、好ましく設けられる前記活性層はキ
ャリアの発生層であり、その材料としては、π電子系を
有する色素、金属錯体、導電性高分子、フラーレン分
子、及びその化学修飾された誘導体、単層や多層のカー
ボンナノチューブ等の単体もしくは複合体、などが挙げ
られる。上記色素としてはシアニン色素、フタロシアニ
ン及びその金属錯体、あるいはポルフィリンやその金属
錯体などがある。
【0058】前記光透過性電極の材料としては、一般的
に前記したITO(インジウム酸化物にスズをドープし
たもの)が好ましいが、これ以外にも、金、銀、白金、
ニッケルなどの薄膜も使用できる。
【0059】また、前記対向電極の材料としては、アル
ミニウム、マグネシウム、インジウムなどの金属の1種
又はその合金、あるいはITOなどがある。
【0060】一方、前記電荷移動型ヘテロ接合構造体を
つくるための本発明の製造方法は、基本的に光透過性電
極の形成工程、導電性有機膜の形成工程、フラーレン重
合体膜の形成工程及び対向電極の形成工程からなるが、
必ずしもこれらの工程の順序にとらわれない。ただし、
前記フラーレン重合体膜を同定してから、他の構成層の
形成を行うことが必要である。さらに、上記光透過性電
極や対向電極に基板を取付ける工程とか、あるいは活性
層を介在させる工程等が、必要に応じて付加される。
【0061】前記同定は、いずれも非破壊的分光法であ
るラマン法及びネグザフス法を併用して行うのが最も好
ましい。これらのいずれかを欠いては、同定法として不
十分となる。
【0062】同定の具体的作業としては、フラーレン重
合体の構造、重合度、アモルファス化、酸化、及び高電
圧印加による絶縁破壊、などの評価であり、これらの評
価の結果はフラーレン重合体膜の同定だけでなく、重合
条件の制御等の如き重合体膜の物性の制御に役立てるこ
とができる。
【0063】前記光透過性電極の形成工程では、同電極
を単独に形成するよりも、それを基板上に形成するのが
一般的であり、前述したITOなどの電極材料を基板上
に蒸着やスパッタリング等の手法を用いて製膜する。
【0064】ITOに替えて他の材料、たとえば金など
の安定な金属材料の薄膜を用いるときは、これを基板上
により薄く製膜して、光透過性を確保することが重要と
なる。なお、光透過性電極の形状やパターンは、マスク
その他の公知の手段により自由に工夫できる。
【0065】前記導電性有機膜(又はフラーレン重合体
膜)は、光透過性電極の上に形成される(なお、フラー
レン重合体膜を光透過性電極上に形成する場合は、導電
性有機膜を用いる場合と逆にすればよいので、以下、説
明を割愛する)。
【0066】この形成工程では、前記光透過性電極上
に、電子供与性を有する有機低分子化合物の蒸着膜やプ
ラズマ重合体膜を形成する。
【0067】すなわち、高分子物質の単量体やπ電子を
含む有機低分子化合物を気化させ、この気体に比較的低
エネルギーの高周波プラズマ、紫外線、電子線を照射す
ると、前記光透過性電極上に導電性有機膜を形成するこ
とができる。
【0068】こうしたπ共役有機低分子の蒸着膜やプラ
ズマ重合膜は少なくとも10-9S/cm程度以上の導電
性を有する。また後述するフラーレン重合体膜は電子受
容性の薄膜として機能することから、ここに言う有機低
分子の蒸着膜やプラズマ重合体膜は、電子供与性薄膜と
して機能する必要がある。
【0069】前記低分子有機化合物としては、具体的に
はエチレンやアセチレン等のπ共役低分子やベンゼン、
ナフタレン、アントラセンのようなカタ縮合有機化合
物、ペリレン、コロネンのようなペリ縮合芳香族化合
物、あるいはこれら化合物の窒素や酸素、硫黄のような
ヘテロ原子誘導体等が含まれる。また、例えば酸素、硫
黄、セレン、テルル等は有機骨格系の中にヘテロ原子と
して組み込むことができるが、これらの元素は通常2電
子をπ共役系に供給することから、例えばベンゼンと等
π電子系となる酸素や硫黄のヘテロ環化合物としてはフ
ランやチオフェンなどがある。さらにこれら元素の一個
が6員環に組み込まれたり、2個が5員環に組み込まれ
た場合には、π電子系が4n+2則に照して過剰に存在
するために、強い電子供与性化合物となる。たとえばテ
トラチアフルバレンが、そのような強い電子供与性化合
物の典型例である。このような電子供与性の強い有機化
合物の蒸着薄膜やプラズマ重合体膜は、後述する電子受
容性フラーレン重合体膜とヘテロ接合を形成して、より
効果的に光誘起による電荷移動をおこすことができる。
【0070】前記導電性有機膜の形成材料を、ポリマー
の具体例で説明すると、先に挙げたポリビニルカルバゾ
ールやポリチオフェンなどの外に、下記のような高分子
物質もしくはその誘導体が使用でき、これらは2種以上
を混合して用いることもできる。
【0071】即ち、ポリ(3−アルキルチオフェン)、
ポリ〔2−メトキシ−5−(2’−エチルヘクソキシ)
−p−フェニレン〕−ビニレン、ポリ〔2−メトキシ−
5−(2’−エチルヘクソキシ)−1,4−パラフェニ
レンビニレン、ポリ(3−アルキルチオフェン)、ポリ
(9,9−ジアルキルフルオレン)、ポリパラフェニレ
ン、ポリ(2,5−ジヘプチロキシ−1,4−フェニレ
ン)、ポリフェニレン、ポリアニリン、ポリ(p−フェ
ニレン)、ポリエチレンオキシド、ポリ(2−ビニルピ
リジン)、ポリ(ビニルアルコール)などである。ま
た、これら高分子化合物のモノマーやπ電子系を含む有
機化合物のガス雰囲気において、比較的低エネルギーの
高周波プラズマや紫外線、X線、電子線等の照射による
重合を行って、高導電性有機薄膜を形成することも可能
である。
【0072】次に、前述のように形成した導電性有機膜
上にフラーレン重合体膜を下記のようにして形成する。
【0073】まず、原料としてのフラーレン分子は、C
60、C70、高次フラーレンが使用でき、これらはそれぞ
れ単独に、あるいは2種以上の混合物として用いること
ができる。特に好ましいのは前述したC60フラーレン
か、C70フラーレンか、又はこれらの混合物であり、こ
れらにはさらにC70、C78、C80、C82、C84などの高
次フラーレンが含まれていてもよい。
【0074】これらのフラーレン分子は、たとえば図3
5に示すような装置を用いて炭素電極のアーク放電法に
より製造することができる。
【0075】この装置の反応容器8内には、交流又は直
流電源9に接続された一対の炭素電極、たとえばグラフ
ァイト製対向電極10a、10bが取付けられている。
まず、反応容器8内を真空ポンプで排気口11bから脱
気したのち、低圧の不活性ガス(ヘリウム、アルゴン
等)を導入口11aから導いて、反応容器8内に満た
す。
【0076】そして、対向電極10a、10bの端部
を、間隙を介して対向させ、直流電源9から所定の電
流、電圧を印加し、対向電極10a、10bの端部を所
定の時間だけアーク放電の状態に維持する。
【0077】このアーク放電により対向電極10a、1
0bは気化し、反応容器8の内壁面に取付けられた基板
12上に煤(スス)が次第に付着するようになる。この
付着量が増えてきたら、反応容器8を冷却し、基板12
を外に出すか、あるいは掃除機などを用いて、ススを回
収する。
【0078】この煤はC60やC70を始め種々のフラーレ
ン分子を含有しており、条件次第では約10%以上もの
フラーレン分子を含むことがある。
【0079】C60やC70などのフラーレンは、この煤か
らトルエンやベンゼン、二硫化炭素などのπ電子系の溶
媒を用いて抽出できる。この段階を経て得られるフラー
レンは粗製フラーレンと呼ばれ、さらにそれを例えばカ
ラムクロマトグラフィーにかけると、C60及びC70をそ
れぞれ単体として分離精製することができる。
【0080】このようにして得られたフラーレン分子
は、フラーレン重合体の製膜に際し、原料となるもので
ある。その重合法または製膜法としては下記の光重合
法、電子線照射法、プラズマ重合法、マイクロ波重合法
及び電解重合法、などが挙げられる。
【0081】光重合法:この重合法は、装置としてフラ
ーレン分子を気化させる抵抗加熱等の加熱手段と、窓を
通して紫外線等の光を照射する照射手段とを備えたもの
を使用し、フラーレンを蒸着しつつ紫外光の照射を一定
時間続けることによって、基板上にフラーレン重合体膜
を形成するものである。この際、フラーレン分子は光に
よって励起され、この励起状態を経て重合する。
【0082】なお、上記のように蒸着の過程ではなく、
いったん蒸着膜を形成したのちこれに紫外線等を照射し
ても重合が起るが、この場合は膜の表層のみが重合体化
し、膜内部は重合しないことがあるから、注意すべきで
ある(本発明者による実験でも、紫外線の照射でフラー
レン蒸着膜の表面にヒビ割れ模様の生じ得ることが、顕
微鏡で観察されている)。
【0083】電子線照射法:これは前記紫外線等の光に
替えて電子銃から発射される電子線を使用するものであ
る。重合の原理は前記光重合法と同様で、フラーレン分
子は電子線により励起されて、この励起状態を経て重合
する。
【0084】プラズマ重合法:高周波プラズマ法、直流
プラズマ法、ECRプラズマ法等があるが、ここでは図
面を参照して、普及度の高い高周波プラズマ法について
説明する。
【0085】図36は高周波プラズマ重合装置を示すも
ので、真空容器13内に1対の電極14a、14bが対
向配置され、これらは外部の高周波電源15に接続され
ており、一方の電極14b上にはフラーレン重合体膜を
付着させるための基板(すなわち、前記導電性高分子膜
を光透過性電極上に形成した基板)16が、セットされ
ている。
【0086】また、この真空容器13内には、原料のフ
ラーレン分子を収納するモリブデンボート等の容器17
が配設され、これは外部の抵抗加熱用電源18に接続さ
れている。
【0087】このような構造の重合装置において、まず
排気口20より脱気した真空容器13内にたとえば低圧
の不活性ガス(アルゴンその他)を導入口19から供給
し、器内を同ガスで満たしてから容器17に通電してこ
れを加熱し、中のフラーレン分子を気化させる。そし
て、高周波電源15から高周波電圧を印加して電極間に
高周波プラズマを発生させるとともに前記フラーレンの
気体中に照射すると、基板16上にπ電子骨格を保持し
たフラーレン重合体の膜を形成することができる。
【0088】なお、高周波電源15は直流電源に替えて
もよいし(直流プラズマ法)、またこれらの電源を駆動
せずに(従ってプラズマは発生しない)容器17を加熱
した場合は、フラーレンは重合しない替わりにその蒸着
膜が基板16上に形成される。
【0089】基板16の温度は、余り高くするとフラー
レン重合体膜の付着量が低下するので、通常は300℃
以下に保たれ、100W程度のプラズマパウワーなら、
70℃を越えることは殆どない。
【0090】マイクロ波重合法:図37にマイクロ波重
合装置を示す。これは原料供給源としてフラーレン分子
を収納するモリブデンボート等の容器21と、この容器
21から気化、飛翔するフラーレン分子にマイクロ波2
2を作用させるマイクロ波作用部23と、このマイクロ
波22による誘起(励起、非平衡プラズマ化)によって
フラーレン重合体を生成させ、それを気体24上に製膜
する反応室25と、前記マイクロ波22を発生させるマ
イクロ波発生装置とからなる。
【0091】容器21近傍の重合装置の内壁には、アル
ゴンガス等のキャリアガスを装置内に導入するためのガ
ス導入管26が開口している。このキャリアガス27
は、フラーレン分子28を随伴しこれを反応室25内の
基体24上に導くキャリア能を有するだけでなく、次の
ようにして基板24の表面を改質する能力をも備えてい
る。
【0092】すなわち、フラーレン分子28を装置内へ
供給する前に先ずキャリアガス27を導入し、それをマ
イクロ波作用部23にて励起させ、反応室25内の基体
24の表面にボンバードさせると、励起されたキャリア
ガス27により基体24の表面がエッチングされて、そ
の上に付着するフラーレン重合体膜との接着性もしくは
密着性が、向上するのである。
【0093】前記マイクロ波発生装置(マイクロ波ユニ
ット)は、マイクロ波発振源29と、アイソレータ30
と、パワーメータ31と、スリースタブチューナー32
と、反射キャビティ34とを、導波管35によって接続
した構造を有する。これらの構成部のうち、マイクロ波
発振源29はマグネトロン等の発振源からなり、アイソ
レータ30はマイクロ波の整流能を有し、パワーメータ
31はマイクロ波のパワーの検出能を有し、スリースタ
ブチューナー32はマイクロ波の発振数を調節しその整
合能を有する装置、そして反射キャビティ34は、マイ
クロ波を反射するとともに波長を整合することによっ
て、マイクロ波作用部23でのマイクロ波を定常波にす
るための装置である。
【0094】反応室25としてはキャリアガス27とフ
ラーレン分子28の流路である共振管36より大径に構
成することができ、共振管36のマイクロ波作用部23
で効率よく且つ高密度に誘起されたフラーレン分子を、
支持体(図示せず)に設けられたシリコンなどの基板2
4上に導き、そこにフラーレン重合体膜を均一に製膜さ
せることができる。なお、反応室25には真空排気系3
7が設けられていて、反応室25内を所定の圧力に保持
できるようになっている。
【0095】基板24を取付ける前記支持体は導電性で
も絶縁性であってもよく、また加熱手段(通電手段な
ど)を備えていてもよい。
【0096】このようなマイクロ波重合装置を使用する
ときは、まず反応室25の内部をたとえばアルゴンガス
で0.05〜1Torr程度に保持し、容器21を加熱
手段により加熱して中のフラーレン分子を気化させる。
そして、これにマイクロ波作用部23にてたとえば1
3、56MHz程度の高周波プラズマを照射する。この
ようにすると、フラーレン分子は励起されて、基体24
上にフラーレン重合体膜が形成される。
【0097】基体24の温度は通常、300℃以下でよ
い。300℃を超えると、フラーレン重合体膜の付着量
が低下することがある(なお、バイアスをかけると、フ
ラーレン重合体膜が付着し易くなる)。製膜時の基体2
4の温度を上記通常範囲に維持するのに、特別な制御は
必要としない。たとえば、マイクロ波のパワーが100
W程度であれば、100℃を超えることは殆どない。た
だし、基体24をマイクロ波作用部23に置くようなこ
とをすると、1000℃付近まで昇温することがある。
【0098】電解重合法:図38は電解重合装置を示し
ており、電解セル38には、ポテンシャルスタット41
に接続された陽極としての電極39と陰極としての電極
40とが設けられるほか、同じくポテンショスタット4
1に参照電極42が接続されていて、電極39と40と
の間に所定の電気ポテンシャルが印加されるようになっ
ている。
【0099】また、電解セル38には、非水溶媒43か
ら酸素ガス等を除去するために、不活性ス44を導入す
るガス導入管45が設けられている。さらに、電解セル
38の下部には、同セル内の攪拌子(図示せず)を動か
すための、マグネックスターラー46が取付けてある。
【0100】このような構造を有する電解重合装置を稼
働するには、電解セル38内に、原料となるフラーレン
分子と、電解を促進させるための支持電解質と、非水溶
媒43とを仕込み、ポテンショスタット41を動作させ
て、電極39、40間に所定の電気エネルギーを作用さ
せる。すると、フラーレン分子はアニオンラジカルとな
り、フラーレン重合体が負電極40上に薄膜及び/又は
沈澱物として形成される。なお、沈澱物として得られた
球状フラーレン重合体は、濾過や乾燥等の手段により容
易に回収することが可能であり、回収後はそれを固めた
り、あるいは樹脂に練り込んだりして、薄膜に形成する
ことができる。
【0101】なお、電極39及び40としては、金属電
極が望ましいが、他の導電性材料で形成されていてもよ
く、また、ガラスやシリコン等の基板上に金属などの導
電性材料を蒸着したものを用いてもよい。参照電極42
の材料についても、支持電解質にも依存するが、特定の
金属に限定する必要はない。
【0102】不活性ガス44による酸素等の除去は、通
常、ヘリウムガスのバブリングによって行うことができ
るが、ヘリウムガスの代わりに他の不活性ガス、たとえ
ば窒素やアルゴンなどを用いてもよい。なお、酸素等の
除去を徹底させるには、電解前に予め脱水剤を使用し、
さらに真空脱気を行ってそれぞれの溶媒をアンプルに保
存し、真空ラインを通じて電解セル38中に導入するよ
うにするとよい。
【0103】いずれにせよ、電解質溶液から酸素等を除
去するのは、酸素等がフラーレン重合体膜中に取込まれ
るのを防ぎ、常磁性中心の発現を抑制し、以って、フラ
ーレン重合体膜の安定性を向上させるために他ならな
い。
【0104】前記支持電解質としては、例えば、テトラ
ブチルアンモニウムパークロライド、リチウムテトラフ
ルオロボラート(LiBF4 )、リチウムヘキサフルオ
ロホスフェート(LiPF6 )、過酸化ナトリウム(N
aClO4 )、LiCF3 SO3 、リチウムヘキサフル
オロアーセナイト(LiAsF6 )などを使用すること
ができるが、これらの支持電解質を使用した場合、得ら
れる球状炭素重合体は電解質溶液中で沈澱することが多
い。
【0105】これに対して、例えば、過塩素酸リチウム
(LiClO4 )又はtert−ブチルアンモニウムパーク
ロレート塩を用いると、電解重合反応の際の温度にもよ
るが、電極上に薄膜として球状炭素重合体を得ることが
できる。
【0106】また、本発明では、前記非水溶媒として、
フラーレン分子を溶解する第1溶媒と、前記支持電解質
を溶解する第2溶媒との混合溶媒を使用することが望ま
しい。その混合割合は、第1溶媒:第2溶媒=1:10
〜10:1(容量比)が望ましい。
【0107】第1溶媒としては、π電子系を有する極性
の低い溶媒(低極性溶媒)を使用することが好ましく、
例えば、二硫化炭素(CS2 )、トルエン、ベンゼン及
びオルトジクロルベンゼンからなる群より選ばれた少な
くとも1種の溶媒等が挙げられる。
【0108】また、第2溶媒としては、極性が高く、誘
電率の大きい溶媒を使用することが好ましく、例えば、
アセトニトリル、ジメチルホルムアミド、ジメチルスル
ホキシド及びジメチルアセトアミドからなる群より選ば
れた少なくとも1種の溶媒等が挙げられる。なかでも、
アセトニトリルが特に好ましい。
【0109】一般に、フラーレン分子は、二硫化炭素を
始めとする前記低極性溶媒にしか溶解せず、n−ヘキサ
ン等の脂肪族系溶媒に対する溶解度さえ極めて低い。当
然、極性溶媒には溶解せず、このことがフラーレン分子
の電解重合を行う際の最大の問題点である。
【0110】なぜなら、通常、電解重合で用いられる支
持電解質は、水などの極性溶媒にしか溶解しないからで
ある。
【0111】フラーレン分子の電解重合を行うには、フ
ラーレン分子と支持電解質の両者を同時に溶解できる溶
媒を選択する必要があるが、この条件を満たす溶媒は、
単体では存在しない。少なくとも、上記溶解性能をそれ
ぞれ備えた個々の溶媒からなる、混合溶媒が必要であ
る。
【0112】しかし、かかる混合溶媒でありさえすれば
どんなものでもよいかと言うと、必ずしもそうとは限ら
ない。単に、このような混合溶媒を用いただけでは、フ
ラーレン分子及び支持電解質のいずれか一方、あるいは
両者の溶解度が十分でないことが多いのである。
【0113】たとえば、一般に水を始めとする水系溶媒
は塩である支持電解質の良好な溶媒として知られている
が、フラーレン分子を溶解できる低極性溶媒とは十分溶
解しないので、両者からなる混合溶媒は、好ましいとは
言えない。
【0114】本発明者の研究によれば、本発明に用いる
好ましい混合溶媒としては、第1溶媒と第2溶媒とから
なり、このうち第1溶媒としては低極性溶媒を用い、第
2溶媒としては極性が高く、かつ誘電率の大きな有機溶
媒を用いることが望ましい。
【0115】この第2溶媒の具体例については前記のと
おりであるが、中でも最も適切なのはアセトニトリルで
ある。このアセトニトリルは、電解セル中で支持電解質
の存在下に有機物のラジカルを調製する際に、よく用い
られる溶媒である。
【0116】しかし、本発明では第2溶媒としてこのア
セトニトリルに特に限定する必要はなく、前記したよう
にジメチルホルムアミドやその他の溶媒も、本発明の目
的達成に好ましいのである。
【0117】以上の方法で得られるフラーレン重合体薄
膜は、シリコンやガラス等の単体基板の上、ITO等の
透明電巨億基板の上、シリコンやガラス基板上に蒸着や
スパッタリング等により製膜された金、白金、アルミニ
ウム等の金属基板の上に、製膜される。あるいは、マス
クを用いて金、白金、アルミニウム等を櫛形に蒸着ある
いはスパッタリングしたいわゆる櫛形電極の上に製膜さ
れる場合もある。さらに、いわゆる電極で挟まれたサン
ドイッチ構造とすることも可能である。このような構造
体を得るには、ガラスあるいはシリコン基板等に製膜し
た金属電極の上あるいはITOの様な透明電極の上に、
フラーレン重合体を所望の厚さで製膜してから、そのフ
ラーレン重合膜の上にマスクを置いて、さらに金、白金
あるいはアルミニウム等の金属層あるいはITOの様な
透明導電体層をスパッタリングあるいは蒸着などの手法
により製膜すればよい。
【0118】以上、各種重合法により得られたフラーレ
ン重合体膜の表面は、フラーレンの分子構造が部分的に
残存するため、多数の2重結合性の結合が存在する。そ
のため、様々な方法で表面修飾(表面処理)することが
可能である。
【0119】たとえば、アセチレン、メタン、エタン、
プロパン、ブタン、トルエン、ベンゼン、アセトン、ア
セトニトリル、エタノール、メタノールなどの炭化水素
のガスや、酸素、水素、塩素、フッ素などのガスの雰囲
気の下で、フラーレン重合体膜をマイクロ波誘起、直流
プラズマ、交流プラズマなどの手法を用いて表面修飾す
ることができるし、あるいは又、溶液中で金属錯体や有
機ラジカルを利用してフラーレン重合体膜を表面修飾す
ることができる。
【0120】このような表面修飾は、目的や用途に応じ
て、フラーレン重合体膜を改質したり、あるいはそれに
特異性を付与するのに有効である。
【0121】ところで、フラーレン重合体膜、とくにマ
イクロ波重合法で得られるフラーレン重合体膜には、ダ
ングリングスピンの問題がある。たとえば、C60及び/
又はC70を原料とし、パワーを100Wから数百Wと
し、常温でマイクロ波重合を実施すると、およそ1018
spings/g程度のダングリングスピンを含むフラ
ーレン重合体膜が得られる。
【0122】このダングリングスピンは、フラーレン重
合体膜の導電性やバンド構造、あるいは物性の経時的安
定性に大きな影響を及ぼす。
【0123】このダングリングスピンが形成されるの
は、理想的なクロスリンク構造が形成されなかったため
と考えらえるが、その含有量は、フラーレン重合体膜を
付着させるための基板の温度を調節したり、製膜後に水
素プラズマ等の雰囲気にさらすことによって、ある程度
減少させることが可能である。その減少の過程は、電子
スピン共鳴法による吸収強度の違いから確認することが
できる。
【0124】なお、前記各工程を経て得られた光透過性
電極−導電性高分子膜−フラーレン重合体膜(あるいは
光透過性電極−フラーレン重合体膜−導電性高分子膜)
とからなる積層体に対し、本発明では更なる工程とし
て、対向電極を形成することが必要である。
【0125】この対向電極は、たとえばITOなどの酸
化物の外に、アルミニウム、マグネシウム、インジウム
などの金属、またはこれらの2種以上の金属からなる合
金で構成され、蒸着やスパッタリング、電子銃、電解メ
ッキなどの手法を用いて前記フラーレン重合体膜上に薄
膜として形成することができる。
【0126】このようにして得られる本発明のヘテロ接
合構造体は、電極間に電子供与性の導電性高分子と、電
子受容性のフラーレン重合体膜とが積層されているの
で、光誘起による電荷移動が可能である。更に言うと、
ヘテロ接合薄膜の両側において導電性電極との接合がオ
ーミック接合であり、しかも図39(A)に示すように
ヘテロ接合においてエネルギーバンドにステップが存在
しない場合は電子とホールの移動がスムーズとなり、太
陽電池として機能するのに対し、同図(B)のようにエ
ネルギーバンドにステップが存在する場合は、そこで電
子とホールが再結合して光を発生するので、発光ダイオ
ードとして機能する。ステップの有無は前述した電極間
の積層体の材料を工夫することにより、調整することが
できる。
【0127】本発明においては、ヘテロ接合構造体の各
層の形成工程においてフラーレン重合体膜の同定を行っ
てから、他の構成層の形成を行うことが重要である。
【0128】すなわち、特にラマン法及びネグザフス法
を用いてフラーレン重合体膜を分光学的に吟味すること
により、その構造、重合度、アモルファス化、酸化、高
電圧印加による絶縁破壊、などに関する知見を得るので
ある。
【0129】一般に炭素薄膜の分光学的検討ではラマン
スペクトルが用いられる場合が多い。これは電磁波の照
射による分極率の変化に基づく振動解析法である。これ
がよく用いられるのは、炭素材料は一般に赤外光を吸収
しやすく、測定が困難だからである。一例として、図4
0に比較的低温のCVD法で得られたアモルファスカー
ボンのラマンスペクトルを示す。励起源はアルゴンイオ
ンレーザの514.5nmである。
【0130】図40のスペクトルは、線幅の大小はある
ものの、アモルファスカーボン薄膜の特徴をよく反映し
たものであり、1350と1600cm−1付近に特徴
的な2つのバンドが観測され、それぞれDisorder Band,
Graphitic Band と呼ばれている。
【0131】フラーレン重合体膜を製膜した場合に、上
記のようなラマンスペクトルが得られれば、フラーレン
重合体ではなくアモルファスカーボンの構造に変化して
いることが推測される。また1350cmのバンドが多
少なりとも観測される場合には、分子間のクロスリンク
構造が不十分であること、あるいは多くのダングリング
構造が存在していることが予測できる。
【0132】また、一般に周期的構造を有するC60重合
体のラマンスペクトルは、多くの特徴的なバンドを有す
ることが知られている〔T.Wagberg,et al.,Appl Phys.
A,64.223(1997),A.M.Rao et al.,Phys.Rev.B,55,4766(1
997) 〕
【0133】しかしながら、プラズマ重合法や電解重合
法等により得られる、ランダムに繋がった重合体のラマ
ンスペクトルに関しては、これまで明確な判断の基準は
示されていない。
【0134】一方、ネグザフススペクトルは、炭素薄膜
を形成する炭素原子のコア電子(1s電子)から空軌道
への遷移を観測するもので、これまで有機高分子薄膜の
空軌道または導電帯の状態密度の評価に用いられてき
た。
【0135】本発明者は上述したラマン法とネグザフス
法の併用によってはじめて、これまで実現できなかった
フラーレン重合体のより的確な同定が可能になることを
知見することができた。
【0136】以下、実施の形態に基づいて本発明をさら
に具体的に説明する。ただし、本発明は以下の実施形態
に限定されるものではない。
【0137】例1(光透過性電極(ITO薄膜)のフェ
ルミレベルの測定) 市販の石英ガラスの上にITO薄膜をスパッタリングに
より製膜して光透過性電極を形成し、その光電子放出ス
ペクトロスコピィ(PES:Photoelectron Emission Spect
ro-scopy) を測定し、ITO薄膜のフェルミ表面のレベ
ルを評価した。その結果を図41に示す。
【0138】この測定結果より、ITO薄膜のフェルミ
レベルは真空レベル下で4.87eVに存在することが
明らかとなった。
【0139】例2(ポリチオフェン薄膜(導電性有機
膜)の製膜とその物性測定) 次に、前記ITO膜の上に市販のポリチオフェン薄膜
(硫酸根をドーパントとする)を製膜した。このポリチ
オフェン薄膜のPESの測定結果を図42に示す。
【0140】この測定結果から、ポリチオフェン薄膜の
低電子帯エッジレベルは、真空レベル下で4.82eV
に存在することが明らかとなった。
【0141】また、ポリチオフェン薄膜を石英ガラス上
に形成し、その電流−電圧(VI)特性を調べた。図4
3に、VI特性、及び光量子エネルギーによる吸収系数
の測定結果を示す。
【0142】ITO薄膜と金薄膜の上にポリチオフェン
薄膜をそれぞれ形成した。まずITOと金のフェルミレ
ベルを光電子放出法(Photoelectron Emission法)で測
定し、この測定値を基準にして、前記ポリチオフェン薄
膜のフェルミレベルを接触電位差法により測定した。
【0143】その結果、ITO薄膜上に形成したポリチ
オフェン薄膜のフェルミレベルが4.4eVであるのに
対し、金薄膜上に形成したポリチオフェン薄膜のそれ
は、4.5eVとほぼ同じ値を示した。
【0144】例3(フラーレン重合体膜の製膜と各種物
性の測定) 次に、前記ポリチオフェン薄膜上にフラーレン重合体膜
を製膜した。
【0145】まず、原料としてのフラーレン分子は次の
ようにして調製した。図35に示すような装置におい
て、直径10mm、長さ35cmのグラファイトロッド
を正極とし、ヘリウム100Torr、の雰囲気下に1
50アンペアの直流電流によるアーク放電を行い、グラ
ファイトロッドがほとんど気化しフラーレンを含むスス
が得られた後、2つの電極の極性を逆にして、本来の負
極上に堆積したカーボンナノチューブ等の堆積物をさら
に気化させ、煤とした。水冷反応容器内に堆積したスス
を掃除機で回収し、トルエンで抽出して粗製のフラーレ
ンを得た。この粗製フラーレンをヘキサンで洗浄乾燥し
たのち、真空昇華により精製した。このようにして得ら
れたフラーレン分子を飛行時間型質量分析にかけたとこ
ろ、C60とC70が約9:1の割合で含まれていた。
【0146】<マイクロ波重合>次に、フラーレン重合
体膜の製膜を行うため、上記フラーレン分子をモリブデ
ンボートに充填し、図37に示すようなマイクロ波重合
装置の反応管部位に設置した。分子ターボポンプにより
反応室内を充分に脱気した後、アルゴンガスの導入を開
始した。反応室内部が0.05Torrと一定になった
ところでマイクロ波発振装置を作動させ、チューナーで
調整を行いながら400Wのマイクロ波パワーとした。
マイクロ波の出力が一定となったところでモリブデンボ
ートに通電し、徐々に電流値をあげることによりこれを
昇温した。フラーレンの気化堆積は、基板の横に設置し
た水晶膜厚センサーによりモニターした。確認のため、
接触型膜厚計を用いてフラーレン重合体膜の膜厚を測定
した。電流測定にはナノアンメータを用いた。フラーレ
ン重合体膜のバンドギャップは電流値の温度依存性から
決定した。
【0147】製膜時に、ベルジャー内にガラス基板及び
シリコン基板等も同時に設置し、物性の測定を行った。
フラーレン重合体膜の質量分析は、窒素パルスレーザに
よるアブレーションとイオン化により飛行時間型質量分
析計を用いて行った。ダングリングスピンの測定は、窒
素の雰囲気中でxバンド電子スピン共鳴装置を用いて行
った。標準スピンとしてジ−tert−ブチルニトロキ
シド(Di-tert-butylnitroxide) のトルエン溶液を用
い、デジタルマンガンマーカーの低磁場から3番目と4
番目の吸収線との相対比較法により、フラーレン重合体
膜の単位重量当たりのダングリングスピン数を求めた。
結果は以下のとおりである。なお、バンドギャップの値
は透過率測定の結果をフォビデン−インデレクト(Forb
idden-indirect) 法で求めた。 膜厚(接触膜厚計) : 30nm 電気伝導度 : 1.1×10-8S/cm バンドギャップ : 1.4eV ダングリング : 2.0×1018 spins/g
【0148】次に、前記真空昇華に替えて、活性炭フィ
ラーを充填したフラッシュカラムを用いてC60を精製
し、これを原料に用いて同じような条件でフラーレン重
合体膜を製膜した。物性評価の結果を以下に示す。 膜厚(接触膜厚計) : 30nm 電気伝導度 : 1.2×10-7S/cm バンドギャップ : 1.5eV ダングリング : 2.5×1018 spins/g
【0149】<プラズマ重合>以上はマイクロ波重合に
よる製膜であったが、次に、図36に示すようなRFプ
ラズマ重合装置を用いてRFプラズマ(13.56MH
z)によるフラーレン重合体膜の製膜を行った。精製し
たC60をモリブデンボートに収納し、抵抗加熱により気
化せしめ、70Wのパワーで重合を行った。得られたフ
ラーレン重合体膜につき、同様の物性評価を行った。そ
の結果は以下のとおりであった。 膜厚(接触膜厚計) : 30nm 電気伝導度 : 1.8×10-7S/cm バンドギャップ : 1.5eV ダングリング : 2.0×1018 spins/g
【0150】また、上記マイクロ波重合法とプラズマ重
合法で得られたフラーレン重合体膜にそれぞれラマン分
光測定を行ったところ、両者の重合構造は殆ど同じであ
ることが示唆された。
【0151】次に、原料としてC60を市販のC70に替
え、前記と同様にしてArプラズマ重合を行った。得ら
れたフラーレン重合体膜の物性評価の結果を、下に示
す。 膜厚(接触膜厚計) : 45nm 電気伝導度 : 1.0×10-8S/cm バンドギャップ : 1.5eV ダングリング : 7.8×1017 spins/g
【0152】なお、前記C60重合体膜のラマン分光測定
結果をグラファイト様炭素のそれと比較したところ、図
44に示すようにアモルファスカーボンの1350cm
−1付近に観測される所謂無秩序(Disorder) バンドは
観測されなかった。1460及び1580cm−1のバ
ンドはそれぞれ5員環を形成している単結合C−Cの対
象伸縮振動と、弱く共役したC=C二重結合の対称伸縮
振動に帰属される。
【0153】次に、フラーレン薄膜のバンド構造を明ら
かにするために、前記プラズマ重合法と前記電解重合法
により得られたC60重合体膜につき、光電子放出スペク
トルから価電子帯のエッジのレベルを評価した。その結
果を図45に示す。なお、比較のため、C60蒸着膜の場
合も併せて示す。
【0154】例4(ヘテロ接合構造体の作製とその物
性) 次に、ITO電極上にポリチオフェン膜とC60重合体膜
とを形成した前記積層体に対し、さらに対向電極として
アルミニウム電極を次のようにして形成した。まず、蒸
着機をターボポンプにより10-8Torrまで真空に引
き、その後、高純度水素ガスをバックファイルした。1
-5Torrの水素雰囲気下にアルミニウムを上記積層
体のC60重合体膜上に製膜しヘテロ接合構造体を得た。
【0155】光電子放出法による価電子帯バンドのエッ
ジ、接触電位差法によるフェルミ準位、および光学的手
法によるバンドギャップの評価から、得られたヘテロ接
合構造体のバンド構造は図46に示すようになる。
【0156】また、このヘテロ接合構造体のVI特性を
評価した。その結果を図47に示す。また、500Wの
Xeランプを用いてフォトセルとしての特性を有するか
どうかの確認を行った。その結果、ITO側から光照射
を行った場合に、図示のとおり、フォトセルとしての顕
著な機能が確認された。
【0157】また、前記アルミニウムを金に替えたこと
以外は同じ構造のヘテロ接合構造体につき、VI特性を
評価した。その結果を図48に示す。このヘテロ接合構
造体も、フォトセルとしての機能を有する。
【0158】また、比較のため、前記ポリチオフェン膜
を省くとともに対向電極にそれぞれインジウムと金を用
い、光透過性電極にITOを用いた積層体につき、使用
温度と電圧、電流との関係を測定したところ、図49及
び50に示すような結果が得られた。いずれも所望のV
I物性が得られず温度により特性が変わることが分か
る。
【0159】次に、上述のフラーレン重合体膜などにつ
いて、ラマンスペクトルの測定をそれぞれ行った。
【0160】例5 上述のプラズマ重合において、アルゴン圧0.1Tor
r、プラズマパウワー50WでC60のプラズマ重合を行
った。得られた重合体膜のラマンスペクトルを測定した
結果、図51に示すようなスペクトルを得た。ただし、
この測定に際してはアルゴンイオンレーザのパワーは光
誘起の構造変化を起こさない程度に抑えられた。
【0161】例6 例5と同様に製膜したC60重合体膜の表面に200Wの
アルゴンプラズマを2時間照射した後、例16と同じ強
さのレーザ光でラマン測定を行った。その結果、図52
に示すようなラマンスペクトルを得た。
【0162】例7 常法によりC60の蒸着膜を製膜し、例5と同じ強さのレ
ーザ光でラマン測定を行った。その結果、図53に示す
ようなラマンスペクトルを得た。
【0163】例8 市販のグラファイト様炭素のラマン測定を行った。結果
を図54に示す。
【0164】以上、ラマン測定の結果から図51に示し
たスペクトルはランダムに配向したC60ポリマーを特徴
付けるスペクトルで、1464cm−1のピークは単結
合性の対称伸縮振動に、また1571cm−1のピーク
は2重結合性の対称伸縮振動に帰属される。また、14
25cm−1付近に見られる肩は分子間結合のC−C対
称伸縮振動に帰属される。ここで大事なことは、図53
に示したスペクトルのPentagonal Pinch Mode と呼ばれ
る1470cm−1のピークが、図51の1464cm
−1のピークの起源であって、これが僅かにシフトする
ことでありる。
【0165】さらに例6のスペクトルは明らかに大きな
Disorder Band が観測されたことからアモルファス化し
ていることが示唆される。線の幅は異なるものの、図5
4に示したグラファイト様炭素のスペクトルとピーク位
置が一致している。このように、図51の様なスペクト
ルのプロファイルはC60の重合体に特有なものである。
【0166】なお、図55に75Wのアルゴンプラズマ
中で製膜したC60重合体膜と、発見者らの論文〔P.Stra
sser,M.Ata,J.Phys.Chem.B,102,4131(1998) 〕に示した
電解重合法で製膜したC60重合体のラマンスペクトルを
示す。ピークの位置、波ともに図51とよく一致してお
り、C60のランダム配向重合体であれば、必ず146
4、1571cm−1のピークが観測される。
【0167】例9 次に、0.1Torrの圧力下でプラズマパワーを種々
に変えて、プラズマ重合法により製膜したC60重合体膜
につき、ラマン測定を行った。その結果を図56に示
す。
【0168】また、同様のプラズマ重合法を用い、50
Wのプラズマパワーの下で圧力を種々に変えて製膜した
60重合体膜につき、ラマン測定を行った。その結果を
図57に示す。
【0169】また、図58は0.01Torrの圧力
下、図59は0.025Torrの圧力下、図60は
0.2Torrの圧力下、でそれぞれ蒸着法により製膜
したC60蒸着膜のラマン測定の結果を示す。
【0170】さらに、圧力0.1Torr、プラズマパ
ウワー10Wのプラズマ重合によりC60重合体膜を製膜
し、そのラマン測定を行った。その結果を図61に示す
とともに、プラズマパウワーを30Wに変えたこと以外
は同様にして得たC60重合体膜の、ラマン測定の結果を
図62に示す。
【0171】上記の各ラマンシフトをまとめて下記の表
3に示す。
【0172】次にネグザフス法による評価を行った。
【0173】例1060蒸着膜のK(K軌道)エッジネグザフススペクトル
の測定を行った。その結果を図63に示す。
【0174】例11 例5で得たC60プラズマ重合膜のKエッジネグザフスス
ペクトルの測定を行った。結果を図64に示す。
【0175】例10及び11のπ反結合性の軌道への遷
移部分を拡大して図65に示した。半経験的レベルの分
子軌道計算及びMNDO/AM−1,MNDO/PM−
3両パラメタリゼーションで行った計算に基づく固有値
の帰属を図示した。また、同レベルでのC60の2量体の
計算結果は、軌道レベルの分散は起きるものの、π電子
と見なせる電子の個数の減少にともない、スペクトル強
度の減少が予測された。実際のスペクトルパターンはこ
れをよく再現している。
【0176】例12 例6の炭素薄膜のネグザフス測定を行い、図66に示し
た。このパターンは例10及び11とは全く異なるもの
となり、アモルファス化が進行したことを裏付けるもの
である。
【0177】例13 例12のサンプルの表面を50WのO2 プラズマで5分
間処理し、酸素K−EdgeのNEZAFS測定をおこ
なった。その結果を図67に示す。本来、このようなピ
ークは酸化されていない表面からは観測されないことか
ら、強力なプラズマ照射がアモルファス化を誘導し、さ
らに大気中において酸化が進行したことが伺える。
【0178】上記したネグザフス測定の結果をバレンス
バンドレベルで比較すると、下記の表4のようになる。
【0179】なお、図68に、上記したネグザフス法に
よるスペクトルと、これに対応した光誘起による電子及
びホールの軌道遷移との関係を示す。
【0180】例14 例4において製作したITO電極、ポリチオフェン膜、
60重合体膜及びアルミニウム電極(対向電極)からな
るヘテロ接合構造体において、ポリチオフェン膜とC60
重合体膜との間にフタロシアニン膜(活性層)を介在さ
せ、対向電極として金を用いたヘテロ接合構造体を例4
に準じて製作した。
【0181】そのVI特性を図69に示すが、良好なフ
ォトセル特性を示すことが分かる。なお、フタロシアニ
ン膜のフォトレレクトロンエミッションスペクトルの測
定結果を図70に示すとともに、フォトンエネルギーと
吸収係数との関係を図71に示す。
【0182】例15 例4において製作したITO電極、ポリチオフェン膜、
60重合体膜及びアルミニウム電極(対向電極)からな
るヘテロ接合構造体において、ITO電極の外面(大気
にさらされる面)にガラス基板を積層し、かつ、ポリチ
オフェン膜をC60重合体膜とを互いに入れ替えた図2
(c)に示した如きヘテロ接合構造体を例6に準じた方
法で製作した。
【0183】このヘテロ接合構造体は、フォトセルとし
ては十分機能しなかったが、電荷移動が可能であり、リ
ニアなVI特性を示すことから、光量測定等には使用可
能である。
【0184】例16 また、例14のヘテロ接合構造体において、対向電極と
して金の替わりにアルミニウムを用いたヘテロ接合構造
体を例6に準じて製作し、そのVI特性を測定した。そ
の結果を図72に示す。この図から、このヘテロ接合構
造体がフォトセルとしての機能を有することが分かる。
【0185】例17 まず、テトラチアフルバレン分子をモリブデン抵抗加熱
体により気化させつつ20Wの低プラズマパワーのアル
ゴンプラズマ照射を行って例1と同じITO上に製膜し
た。同過程の中で、ガラス基板上にも薄膜を形成させ、
フォトエレクトロエミッションとバンドギャップの測定
を行った。その結果、バンドギャップは2.4eVと評
価された。またそのバレンスエッジはITOのフェルミ
レベルとほぼ一致した。
【0186】さらに、得られたテトラチアフルバレンの
ラマン、赤外線の測定結果は、テトラチアフルバレン分
子が脱水素化され、ポリマー化された構造であることを
示唆した。またプラズマの微妙な条件に左右されるもの
の、導電性は10-4〜10 -2 S/cmのオーダーであ
った。
【0187】次に、このテトラチアフルバレン薄膜の上
にフラーレンポリマーの製膜を行った。まず、原料であ
るフラーレン分子は以下のように調製した。図35に示
すような装置において、直径10mm、長さ35cmの
グラファイトロッドを正極とし、ヘリウム100Tor
r下150アンペアの直流電流によるアーク放電を行っ
た。グラファイトロッドがほとんど気化し、フラーレン
を含むススが得られた後、2つの電極の極性を逆にし
て、本来の負極上に堆積したカーボンナノチューブ等の
堆積物をさらに気化させ、ススとした。水冷反応管内に
堆積したススを掃除機で回収し、トルエンで抽出して粗
製のフラーレンを得た。得られた粗製フラーレンをヘキ
サンで洗浄乾燥したのち、活性炭を充填したフラッシュ
カラムによりC60のみを得、さらにこれを真空昇華によ
り精製した。
【0188】次に、フラーレン重合体の製膜を行った。
原料となるフラーレン分子は上述の例と同様にして製造
した。このフラーレン分子をモリブデンボートに充填
し、プラズマ重合装置に反応管部位に設置した。分子タ
ーボポンプにより充分に脱気した後、アルゴンガスの導
入を開始した。反応管内部が0.05Torrと一定に
なったところでプラズマ発振装置を作動させ、マッチン
グ調整を行いながら50Wのパワーとした。モリブデン
ボートに通電し、徐々に電流値を上げることによりこれ
を昇温した。フラーレンの気化堆積は、基板の横に設置
した水晶膜厚センサーによりモニターした。確認のた
め、接触型膜厚計を用いてフラーレン重合薄膜の膜厚を
測定した。電流値測定にはナノアンメータを用いた。フ
ラーレン重合薄膜のバンドギャップは電流値の温度依存
性から決定した。
【0189】製膜時に、ベルジャー内にガラス基板及び
シリコン基板等も同時に設置し、物性測定を行った。フ
ラーレン重合薄膜の質量分析は、窒素パルスレーザによ
るアブレーションとイオン化により飛行時間型質量分析
計により行った。ダングリングスピンの測定は、窒素雰
囲気中で、xバンド電子スピン共鳴装置を用いて行っ
た。標準スピンとしてジ−tert−ブチルニトロキシ
ド(Di-tert-butylnitroxide) のトルエン溶液を用い、
デジタルマンガンマーカーの低磁場から3番目と4番目
の吸収線との相対比較法により、フラーレン重合体膜の
単位重量当たりのダングリングスピン数を求めた。な
お、バンドギャップの値は透過率測定の結果をフォビデ
ン−インデレクト(Forbidden-indirect) 法で求めたも
のである。
【0190】これらの測定結果は、前記例3と同じであ
った。また、C60重合体膜のラマン分光測定と価電子帯
のエッジレベルの評価を行ったところ、前記図44及び
45と同じであった。なお、このITO−テトラチアフ
ルバレン−C60重合体からなる積層体の透過率特性を測
定したところ、図73に示すような結果が得られた。
【0191】次に、プラズマ重合によりC60ポリマーを
テトラチアフルバレン膜(導電性ポリマー)上に形成し
た積層体に対し、さらに対向電極としてインジウム電極
を設置した。まず、蒸着機をターボポンプにより10-8
Torrまで真空に引き、その後、高純度水素ガスをバ
ックファイルした。10-5Torrの水素雰囲気下でイ
ンジューム膜をヘテロ薄膜上に製膜した。Photoelectro
n Emission法による価電子帯バンドのエッジ、接触電位
差法によるフェルミ準位、および光学的手法によるバン
ドギャップの評価から、得られたヘテロ接合構造体のバ
ンド構造は図46と同様なものになる。
【0192】また、このヘテロ接合構造体のVI特性を
評価した。また、500WのXeランプを用いてフォト
セルとしての特性を有するかどうかの確認を行った。そ
の結果、ITO側から光照射を行った場合、顕著なフォ
トセルとしての機能が確認された。
【0193】例18 また、前記インジウムをアルミニウムに替えたこと以外
は同様の構造のヘテロ接合構造体を製作し、そのVI特
性を測定した。その結果を図74に示す。これに明らか
なように、このヘテロ接合構造体はフォトセルとしての
機能を発揮する。
【0194】例19 例17において製作したITO電極、テトラチアフルバ
レン層、C60重合体膜及びインジウム電極とからなるヘ
テロ接合構造体において、テトラチアフルバレン層とC
60重合体膜とを互いに入れ替えたヘテロ接合構造体を製
造した。このヘテロ接合構造体はVI特性はリニアーと
なり、フォトセルとしては十分機能しなかったが、電荷
移動は可能である。
【0195】以上から明らかなように、本発明のヘテロ
接合構造体は、光誘起による電荷移動が可能であり、太
陽電池や発光ダイオード等として好適な用途を有する。
【0196】また、フラーレン重合体の同定も、ラマン
法ネグザフス法の併用により始めて的確な結果が得られ
ることが分かる。従って、フラーレン重合体膜が確かに
製膜されたことを確認し、次の上層の製膜工程に入るこ
とができるため、常に目的とするヘテロ接合体を作製で
きる。しかも、フラーレン重合体膜の重合度が不十分で
あることが判ったときには、この情報を重合工程へフィ
ードバックしてフラーレンの重合条件を制御することが
できる。
【0197】なお、本発明のヘテロ接合構造体は、既述
した基本的構成を有する限り、積層構造に種々の変化を
もたせることが可能であり、使用目的に応じて各層を複
数層に分割したり、各層の層厚を任意に設計することが
できる。
【0198】
【発明の効果】本発明のヘテロ接合構造体は、少なくと
も一方を光透過性とする一対の電極間に、電子供与性で
ある導電性有機膜と電子受容性であるフラーレン重合体
膜とが積層されているので、光誘起による電荷移動が可
能であり、太陽電池や発光ダイオードなどに好適な用途
を有する。その場合、フラーレン蒸着膜を構成材料に用
いた場合に比べ、耐久性と電子物性とにおいて一段と優
れている。
【0199】そして、特に太陽電池に適用した場合は、
従来のシリコンpn接合型太陽電池とは比べて、経済的
な太陽電池が得られ、軽量性や柔軟性にも著しく優れて
おり、またエネルギー変換効率は遜色がなく、更にチタ
ニア系太陽電池と比べれば増感剤を用いずとも優れた光
電変換効率を達成できる。
【0200】また、本発明の製造方法によると、前記ヘ
テロ接合構造体の各構成層を、困難を伴わずに形成する
ことができるうえ、フラーレン重合体膜の同定を特にラ
マン法とネグザフス法の併用によって確実に行うことが
できる。しかも、フラーレン重合体膜の構造から、その
重合度、アモルファス化、酸化、さらには高電圧印加に
よる絶縁破壊に至る各種評価を非破壊的に且つ的確に実
施することが可能となり、その評価の結果はヘテロ接合
構造体の作製条件(従って、その物性)の制御に役立て
ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明のヘテロ接合構造体を例示するものであ
って、(A)は単純ヘテロ構造体、(B)はダブルヘテ
ロ構造体の各概略断面図である。
【図2】同、他の単純ヘテロ接合構造体を例示するもの
であって、(C)は単純ヘテロ構造体、(D)はダブル
ヘテロ構造体の概略断面図である。
【図3】(A)はC60の分子構造を示す模式図、(B)
はC70の分子構造を示す模式図である。
【図4】フラーレン重合体の生成過程で生じるものと考
えられるC60分子の2量体構造を示す図である。
【図5】フラーレン重合体の生成過程で生じるものと考
えられるC60分子の他の2量体構造を示す図である。
【図6】同、フラーレン重合体の生成過程で生じるもの
と考えられるC60分子の他の2量体構造〔C
120 (b)〕を示す図である。
【図7】同、フラーレン重合体の生成過程で生じるもの
と考えられるC60分子の他の2量体構造〔C
120 (c)〕を示す図である。
【図8】同、フラーレン重合体の生成過程で生じるもの
と考えられるC60分子の他の2量体構造〔C
120 (d)〕を示す図である。
【図9】同、フラーレン重合体の生成過程で生じるもの
と考えられるC118 分子の構造示す図である。
【図10】同、フラーレン重合体の生成過程で生じるも
のと考えられるC116 分子の構造示す図である。
【図11】C70分子のナンバリングシステムを示す図で
ある。
【図12】フラーレン重合体の過程で生じるものと考え
られるC70分子の2量体構造を示す図である。
【図13】フラーレン重合体の過程で生じるものと考え
られるC70分子の他の2量体構造を示す図である。
【図14】同、フラーレン重合体の生成過程で生じるも
のと考えられるC70分子の2量体構造〔C140 (a)〕
を示す図である。
【図15】同、フラーレン重合体の生成過程で生じるも
のと考えられるC70分子の他の2量体構造〔C
140 (b)〕を示す図である。
【図16】同、フラーレン重合体の生成過程で生じるも
のと考えられるC70分子の他の2量体構造〔C
140 (c)〕を示す図である。
【図17】同、フラーレン重合体の生成過程で生じるも
のと考えられるC70分子の他の2量体構造〔C
140 (d)〕を示す図である。
【図18】同、フラーレン重合体の生成過程で生じるも
のと考えられるC70分子の他の2量体構造〔C
140 (e)〕を示す図である。
【図19】同、フラーレン重合体の生成過程で生じるも
のと考えられるC70分子の他の2量体構造〔C
140 (f)〕を示す図である。
【図20】同、フラーレン重合体の生成過程で生じるも
のと考えられるC70分子の他の2量体構造〔C
140 (g)〕を示す図である。
【図21】同、フラーレン重合体の生成過程で生じるも
のと考えられるC70分子の他の2量体構造〔C
140 (h)〕を示す図である。
【図22】同、フラーレン重合体の生成過程で生じるも
のと考えられるC70分子の他の2量体構造〔C
140 (i):D2h対称)を示す図である。
【図23】同、フラーレン重合体の生成過程で生じるも
のと考えられるC70分子の他の2量体構造〔C
136 (a)〕を示す図である。
【図24】同、フラーレン重合体の生成過程で生じるも
のと考えられるC70分子の他の2量体構造〔C
136 (b)〕を示す図である。
【図25】同、フラーレン重合体の生成過程で生じるも
のと考えられるC70分子の他の2量体構造〔C
136 (c)〕を示す図である。
【図26】同、フラーレン重合体の生成過程で生じるも
のと考えられるC70分子の他の2量体構造〔C
136 (d)〕を示す図である。
【図27】同、フラーレン重合体の生成過程で生じるも
のと考えられるC70分子の他の2量体構造〔C
136 (e)〕を示す図である。
【図28】同、フラーレン重合体の生成過程で生じるも
のと考えられるC70分子の他の2量体構造〔C
136 (f)〕を示す図である。
【図29】同、フラーレン重合体の生成過程で生じるも
のと考えられるC70分子の他の2量体構造〔C
136 (g)〕を示す図である。
【図30】同、フラーレン重合体の生成過程で生じるも
のと考えられるC70分子の他の2量体構造〔C
136 (h)〕を示す図である。
【図31】同、フラーレン重合体の生成過程で生じるも
のと考えられるC70分子の他の2量体構造〔C
136 (i)〕を示す図である。
【図32】C60重合体の構造の一例を示す図である。
【図33】C60重合体膜の構造の一例を示す図である。
【図34】C60蒸着膜の構造を示す図である。
【図35】アーク放電によるフラーレン分子の製造装置
を示す図である。
【図36】プラズマ重合法によるフラーレン重合体膜の
製造装置を示す図である。
【図37】マイクロ波重合法によるフラーレン重合体膜
の製造装置を示す図である。
【図38】電解重合法によるフラーレン重合体膜の製造
装置を示す図である。
【図39】本発明のヘテロ接合構造体のヘテロ接合部に
おける電子とホールの移動状態を示すもので、(A)は
ステップが存在しない場合、(B)はステップが存在す
る場合である。
【図40】アモルファスカーボンのラマンスペクトルを
示す図である。
【図41】ITO薄膜のフェルミレベルを示す図であ
る。
【図42】ポリチオフェン薄膜のPES測定結果を示す
図である。
【図43】ポリチオフェン薄膜のダイオード特性を示す
図である。
【図44】C60重合体膜のラマン分光測定結果をグラフ
ァイト様炭素のそれと比較して示す図である。
【図45】フラーレン薄膜(C60重合体膜及びC60蒸着
膜)の光電子放出測定結果を示す図である。
【図46】本発明のヘテロ接合構造体の一例のバンド構
造を示す図である。
【図47】同、ヘテロ接合構造体のVI特性等を示す図
である。
【図48】本発明の他のヘテロ接合構造体のVI特性等
を示す図である。
【図49】同、ヘテロ接合構造体から導電性高分子膜の
形成を省き、対向電極の材料を替えた積層体のVI特性
を示す図である。
【図50】同、積層体の対向電極の材料を変えた積層体
のVI特性を示す図である。
【図51】プラズマ重合法により得られたC60重合体膜
のラマンスペクトルを示す図である。
【図52】同、プラズマ重合法の条件を変えて得られ
た、C60重合体膜のラマンスペクトルを示す図である。
【図53】C60蒸着膜膜のラマンスペクトルを示す図で
ある。
【図54】グラファイト様炭素のラマンスペクトルを示
す図である。
【図55】アルゴンプラズマ重合法で製膜したC60重合
体膜と、電解重合法で製膜したC60重合体膜の、ラマン
スペクトルを示す図である。
【図56】一定圧力下で、プラズマパワーを変えた場合
の、プラズマ重合法で製膜したC60重合体膜のラマンス
ペクトルを示す図である。
【図57】プラズマパワーを一定とし、圧力を変えた場
合の、プラズマ法で製膜したC60重合体膜のラマンスペ
クトルを示す図である。
【図58】一定圧力下で得られたC60蒸着膜のラマンス
ペクトルを示す図である。
【図59】圧力を変えた場合の同C60蒸着膜のラマンス
ペクトルを示す図である。
【図60】さらに圧力を変えた同C60蒸着膜のラマンス
ペクトルを示す図である。
【図61】圧力を変え、一定のパワー下でプラズマ重合
法を実施して得られたC60重合体膜のラマンスペクトル
を示す図である。
【図62】プラズマパワーを変えた場合の同C60重合体
膜のラマンスペクトルを示す図である。
【図63】C60蒸着膜のネグザフススペクトルを示す図
である。
【図64】C60プラズマ重合体膜のネグザフススペクト
ルを示す図である。
【図65】図63及び図64の各試料についてπ反結合
性の軌道への遷移部分を拡大して示す図である。
【図66】図52の試料のC60重合体膜のネグザフスス
ペクトルを示す図である。
【図67】図66の試料の炭素薄膜の酸素Kエッジのネ
グザフススペクトルを示す図である。
【図68】本発明のヘテロ接合構造体において、フラー
レン重合体膜のネグザフス法によるスペクトルと、光誘
起による電子及びホールの軌道遷移との関係を示す図で
ある。
【図69】導電性高分子膜とフラーレン重合体膜との間
に活性層を介在した本発明のヘテロ接合構造体のVI特
性等を示す図である。
【図70】フタロシアニン膜の光電子放出スペクトルを
示す図である。
【図71】同、膜の光電子エネルギーと吸収係数との関
係を示す図である。
【図72】図69のヘテロ接合構造体において、対向電
極を変えた場合のVI特性を示す図である。
【図73】ITO−テトラチアフルバレン−C60重合体
からなる積層体のVI特性を示す図である。
【図74】本発明の他のヘテロ接合構造体のVI特性を
示す図である。
【符号の簡単な説明】
1…基板、2…透明電極、3…導電性高分子膜、4…フ
ラーレン重合体膜、5…対向電極、6…活性層
フロントページの続き (72)発明者 阿多 誠文 東京都品川区北品川6丁目7番35号 ソニ ー株式会社内 Fターム(参考) 4G046 CA00 CA04 CB03 CB09 CC06 4K030 BA36 BB05 BB12 FA01 HA02 LA16 5F041 AA03 AA44 CA45 5F051 AA11 BA14 BA18 GA03 5H032 AA06 BB10 EE01 EE02 EE04 EE18

Claims (25)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 光透過性電極とその対向電極との間に、
    導電性有機膜とフラーレン重合体膜とが積層されている
    電荷移動型ヘテロ接合構造体。
  2. 【請求項2】 前記フラーレン重合体膜が前記対向電極
    に接している、請求項1に記載の電荷移動型ヘテロ接合
    構造体。
  3. 【請求項3】 前記フラーレン重合体膜と前記導電性有
    機膜との間に活性層が介在されている、請求項1に記載
    の電荷移動型ヘテロ接合構造体。
  4. 【請求項4】 前記導電性有機膜が共役π電子系を有す
    る、請求項1に記載の電荷移動型ヘテロ接合構造体。
  5. 【請求項5】 基板上に、前記光透過性電極と前記導電
    性有機膜と前記フラーレン重合体膜と前記対向電極とが
    この順に積層されている、請求項1に記載の電荷移動型
    ヘテロ接合構造体。
  6. 【請求項6】 基板上に、前記光透過性電極と前記フラ
    ーレン重合体膜と前記導電性有機膜と前記対向電極とが
    この順に積層されている、請求項1に記載の電荷移動型
    ヘテロ接合構造体。
  7. 【請求項7】 前記導電性有機膜が、ポリビニルカルバ
    ゾール、ポリ(p−フェニレン)−ビニレン、ポリアニ
    リン、ポリエチレンオキサイド、ポリビニルピリジン、
    ポリビニルアルコール、ポリチオフェン、ポリフルオレ
    ン、ポリパラフェニレンからなる群より選ばれた少なく
    とも1種の高分子膜、またはこれら高分子の少なくとも
    1種の原料モノマーの誘導体を重合した高分子膜であ
    る、請求項4に記載の電荷移動型ヘテロ接合構造体。
  8. 【請求項8】 前記導電性有機膜に導電性制御用のドー
    パントが添加されている、請求項1に記載の電荷移動型
    ヘテロ接合構造体。
  9. 【請求項9】 前記フラーレン重合体膜がC60の重合体
    及び/又はC70の重合体からなっている、請求項1に記
    載の電荷移動型ヘテロ接合構造体。
  10. 【請求項10】 前記フラーレン重合体膜が、フラーレ
    ン分子の光重合、電子線照射重合、プラズマ重合、マイ
    クロ波重合又は電解重合によって形成されたものであ
    る、請求項1に記載の電荷移動型ヘテロ接合構造体。
  11. 【請求項11】 前記光透過性電極及び前記対向電極
    が、金属酸化物又は金属の薄膜からなる、請求項1に記
    載の電荷移動型ヘテロ接合構造体。
  12. 【請求項12】 前記光透過性電極が、インジウム酸化
    物にスズをドープした金属酸化物、又は金、銀、白金、
    ニッケルの薄膜からなり、前記対向電極が前記金属酸化
    物又はアルミニウム、マグネシウム、インジウムの薄膜
    からなる、請求項11に記載の電荷移動型ヘテロ接合構
    造体。
  13. 【請求項13】 光透過性電極を形成する工程と、導電
    性有機膜を形成する工程と、フラーレン重合体膜を形成
    する工程と、対向電極を形成する工程とを具備し、前記
    フラーレン重合体膜を同定したのちに他の構成層の形成
    工程を行う、電荷移動型ヘテロ接合構造体の製造方法。
  14. 【請求項14】 前記フラーレン重合体膜に接して前記
    対向電極を形成する、請求項13に記載の電荷移動型ヘ
    テロ接合構造体の製造方法。
  15. 【請求項15】 前記フラーレン重合体膜と前記導電性
    有機膜との間に活性層を介在させる、請求項13に記載
    の電荷移動型ヘテロ接合構造体の製造方法。
  16. 【請求項16】 前記導電性有機膜として共役π電子系
    を有するものを使用する、請求項13に記載の電荷移動
    型ヘテロ接合構造体の製造方法。
  17. 【請求項17】 基板上に、前記光透過性電極と前記導
    電性有機膜と前記フラーレン重合体膜と前記対向電極と
    をこの順に積層する、請求項13に記載の電荷移動型ヘ
    テロ接合構造体の製造方法。
  18. 【請求項18】 基板上に、前記光透過性電極と前記フ
    ラーレン重合体膜と前記導電性有機膜と前記対向電極と
    をこの順に積層する、請求項13に記載の電荷移動型ヘ
    テロ接合構造体の製造方法。
  19. 【請求項19】 前記導電性有機膜を、ポリビニルカル
    バゾール、ポリ(p−フェニレン)−ビニレン、ポリア
    ニリン、ポリエチレンオキサイド、ポリビニルピリジ
    ン、ポリビニルアルコール、ポリチオフェン、ポリフル
    オレン、ポリパラフェニレンからなる群より選ばれた少
    なくとも1種の高分子膜、またはこれら高分子の少なく
    とも1種の原料モノマーの誘導体を重合した高分子膜で
    形成する、請求項16に記載の電荷移動型ヘテロ接合構
    造体の製造方法。
  20. 【請求項20】 前記導電性有機膜に導電性制御用のド
    ーパントを添加する、請求項13に記載の電荷移動型ヘ
    テロ接合構造体の製造方法。
  21. 【請求項21】 前記フラーレン重合体膜をC60の重合
    体及び/又はC70の重合体によって形成する、請求項1
    3に記載の電荷移動型ヘテロ接合構造体の製造方法。
  22. 【請求項22】 前記フラーレン重合体膜を、フラーレ
    ン分子の光重合、電子線照射重合、プラズマ重合、マイ
    クロ波重合又は電解重合によって形成する、請求項13
    に記載の電荷移動型ヘテロ接合構造体の製造方法。
  23. 【請求項23】 前記光透過性電極及び前記対向電極を
    金属酸化物又は金属によって形成する、請求項13に記
    載の電荷移動型ヘテロ接合構造体の製造方法。
  24. 【請求項24】 前記光透過性電極を、インジウム酸化
    物にスズをドープした金属酸化物、又は金、銀、白金、
    ニッケルによって形成し、前記対向電極を前記金属酸化
    物又はアルミニウム、マグネシウム、インジウムによっ
    て形成する、請求項23に記載の電荷移動型ヘテロ接合
    構造体の製造方法。
  25. 【請求項25】 前記フラーレン重合体膜を、ラマン法
    及びネグザフス(NEXAFS:Near−Edge
    X−ray Fine Structure)法により
    同定する、請求項13に記載の電荷移動型ヘテロ接合体
    の製造方法。
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