JP2011171513A - 光電変換素子及び撮像素子並びにその製造方法 - Google Patents

光電変換素子及び撮像素子並びにその製造方法 Download PDF

Info

Publication number
JP2011171513A
JP2011171513A JP2010033905A JP2010033905A JP2011171513A JP 2011171513 A JP2011171513 A JP 2011171513A JP 2010033905 A JP2010033905 A JP 2010033905A JP 2010033905 A JP2010033905 A JP 2010033905A JP 2011171513 A JP2011171513 A JP 2011171513A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
photoelectric conversion
conversion element
electrode
fullerene
layer
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Granted
Application number
JP2010033905A
Other languages
English (en)
Other versions
JP5352495B2 (ja
Inventor
Katsuyuki Yofu
克行 養父
Daigo Sawaki
大悟 澤木
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Fujifilm Corp
Original Assignee
Fujifilm Corp
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Fujifilm Corp filed Critical Fujifilm Corp
Priority to JP2010033905A priority Critical patent/JP5352495B2/ja
Publication of JP2011171513A publication Critical patent/JP2011171513A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP5352495B2 publication Critical patent/JP5352495B2/ja
Active legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Images

Classifications

    • YGENERAL TAGGING OF NEW TECHNOLOGICAL DEVELOPMENTS; GENERAL TAGGING OF CROSS-SECTIONAL TECHNOLOGIES SPANNING OVER SEVERAL SECTIONS OF THE IPC; TECHNICAL SUBJECTS COVERED BY FORMER USPC CROSS-REFERENCE ART COLLECTIONS [XRACs] AND DIGESTS
    • Y02TECHNOLOGIES OR APPLICATIONS FOR MITIGATION OR ADAPTATION AGAINST CLIMATE CHANGE
    • Y02EREDUCTION OF GREENHOUSE GAS [GHG] EMISSIONS, RELATED TO ENERGY GENERATION, TRANSMISSION OR DISTRIBUTION
    • Y02E10/00Energy generation through renewable energy sources
    • Y02E10/50Photovoltaic [PV] energy
    • Y02E10/549Organic PV cells

Landscapes

  • Photovoltaic Devices (AREA)
  • Light Receiving Elements (AREA)
  • Hybrid Cells (AREA)
  • Solid State Image Pick-Up Elements (AREA)

Abstract

【課題】フラーレンを含む光電変換層を備える光電変換素子の耐光性向上を図る。
【解決手段】第1電極11と第2電極15との間にフラーレンを含む光電変換層12を備え該光電変換層12内に前記フラーレンの励起状態を失活させる消光剤を含有させる。励起状態となったフラーレンを消光剤が失活させることで、フラーレンの重合が過度に進むのを阻止し、耐光性を高める。
【選択図】図1

Description

本発明は、太陽電池等に用いる光電変換素子やイメージセンサとして用いる撮像素子並びにその製造方法に係り、特に、有機光電変換色素とフラーレンの混合物を有機光電変換層として備える光電変換素子及び撮像素子並びにその製造方法に関する。
有機光電変換色素とフラーレンの混合物を有機光電変換層として備える、例えば下記の特許文献1記載の様な光電変換素子が注目されている。太陽光を受けて電気エネルギを生成する太陽電池は、石油エネルギに代わるクリーンエネルギの生成装置として普及が目覚ましいが、特に、有機光電変換色素とフラーレンの混合物を有機光電変換層として備える太陽電池は、光電変換効率が高いという利点があるため、注目されている。
しかしながら、この様な有機光電変換層は、光照射を受ける期間が経年的に長くなると、光電変換効率が低下してしまうという問題がある。
また、被写体の画像を撮像する撮像素子は、個々の画素が夫々光電変換素子を備えるが、従来のCCD型イメージセンサやCMOS型イメージセンサと言われる撮像素子は、微細化のためにその製造限界が近づいており、様々な問題に直面している。以下、この問題について説明する。
デジタルスチルカメラ,デジタルビデオカメラ,携帯電話機用カメラ,内視鏡用カメラ等に搭載されている従来のイメージセンサ(撮像素子)は、シリコンチップなどの半導体基板に、光電変換素子としてのフォトダイオードを含む画素が二次元アレイ状に配列形成され、各画素のフォトダイオードで発生した光電子に対応する信号電荷を、同じ半導体基板に形成されているCCD型やCMOS型の信号読出回路で外部に読み出す構成になっている。
このように、従来のイメージセンサは、半導体基板上に、光電変換素子であるフォトダイオードだけでなく、信号読出回路やそれに付随する多層配線等も一緒に形成されているために、画素の微細化が進展するにつれ、1画素に占める信号読出回路や配線領域が相対的に広くなり、1チップ上のフォトダイオードの受光面積が相対的に小さくなるという「開口率の低下」が問題となってきている。
開口率の低下は、感度の低下につながり、明るい画像,低ノイズの画像の撮像が困難になる。そこで、信号読出回路や配線等は半導体基板に形成し、この半導体基板の上方に光電変換層を積層することで、開ロ率を向上させるという「積層型固体撮像素子」が下記の特許文献2などに提案されている。
光電変換層積層型固体撮像素子は、例えば、信号読出回路や配線が形成された半導体基板上に二次元アレイ状に複数の画素電極膜を配列形成し、その上に1枚構成で光電変換層を積層し、更にその上に1枚構成の透明な対向電極膜を形成することで構成される。対向電極膜が半導体基板側、画素電極膜が光入射側となる場合もある。この場合には、画素電極膜を透明電極膜とする。
斯かる光電変換層積層型固体撮像素子は、画素電極膜と対向電極膜との間にバイアス電圧を印加することで、光電変換層内で発生した励起子が電子と正孔に解離し、バイアス電圧に従って画素電極膜に移動した電子又は正孔の電荷に応じた信号が、半導体基板内に設けられたCCD型やCMOS型の信号読出回路で撮像素子外部に撮像画像信号として出力される。
光電変換層として有機半導体を用いた従来技術が、下記の特許文献3,4などに紹介されている。有機半導体で構成された光電変換層は、光の吸収係数が大きいので薄膜化でき、隣接画素への電荷拡散が少なく、光学的な混色と電気的な混色(クロストーク)が低減可能となる。
しかしながら、特許文献2,3,4に記載されたP型有機半導体とN型有機半導体を含む光電変換素子は、構造的に劣化しやすいなど耐久性の点で問題があり、光照射により感度が劣化する点で改善の余地がある。
これに対し、下記の特許文献5に記載の従来技術では、画素電極膜と対向電極膜との間に設ける光電変換層を、フラーレン蒸着膜とフラーレン重合膜との積層構造とし、フラーレン蒸着膜のC60分子同士の分子間力による不安定な結合による膜構造の劣化を、フラーレン重合膜で克服している。
この従来技術では、フラーレンの薄膜の特性を利用しながら耐久性も改良され、室温動作可能な性能を保持しつつ、なおかつ、物理的にも化学的にも安定した光電変換素子を得ることが可能となっている。
しかし、特許文献5に記載の方法だけでは、上述した太陽電池の場合と同様に、光照射が経年的に進むと、感度の劣化(光電変換効率の劣化)が抑制できなくなってしまうという問題がある。
下記の非特許文献1によると、有機太陽電池(有機光電変換素子)において、大気が光劣化要因の一つとされている。しかし、大気中のどの元素が有機太陽電池のどの構成材料を劣化させているのか明確になっていない。
特開2001―7366号公報 特公平1−34509号公報 特開2008−72090号公報 特開2007−273945号公報 特許第3986697号公報
Proc.of SPIE vol.4801,1
本発明の目的は、光照射が長期間に及んでも感度の劣化,光電変換効率の劣化を抑制できる光電変換素子及び撮像素子並びにその製造方法を提供することにある。
本発明の光電変換素子は、第1電極と第2電極との間にフラーレン又はフラーレン誘導体を含む光電変換層を備え該光電変換層内に前記フラーレン又はフラーレン誘導体の励起状態を失活させる消光剤を含有させたことを特徴とする。
本発明の撮像素子は、前記第1電極が画素毎に区分けされた画素電極膜で構成されることを特徴とする。
本発明の光電変換素子,撮像素子の作製方法は、作成後に空気中に暴露して前記光電変換層に酸素を含有させることを特徴とする。
本発明によれば、有機光電変換色素とフラーレン又はフラーレン誘導体の混合物(バルクヘテロ構造)を有機光電変換層とした光電変換素子,撮像素子において、フラーレン又はフラーレン誘導体の励起状態を消光させる消光剤(例えば酸素O)を有機光電変換層に混入させておくことで、光照射が長期間継続されても、フラーレン又はフラーレン誘導体の過度の光重合に起因する感度劣化(光電変換効率の劣化)を抑制することが可能となり、光耐久性が向上する。
(a)(b)(c)は夫々本発明の第1,第2,第3実施形態に係る光電変換素子の断面模式図である。 フラーレン重合率と感度の関係を定性的に示すグラフである。 本発明の第4実施形態に係る撮像素子の断面模式図である。 本発明の第5実施形態に係る撮像素子の断面模式図である。 本発明の第6実施形態に係る撮像素子の断面模式図である。 本発明の第7実施形態に係る撮像素子の部分表面模式図である。 図6のX―X線位置の断面模式図である。
以下、本発明の一実施形態について、図面を参照して説明する。
図1(a)は、太陽電池等で用いる本発明の第1実施形態に係る光電変換素子の概略断面図である。図1に示す光電変換素子10aは、下部電極として機能する導電性膜11と、上部電極(光入射側を「上部」とする。)として機能する透明な導電性膜15と、上部電極15と下部電極11との間に形成された有機光電変換層(有機光電変換膜ともいう。)12とで構成され、下部電極11,光電変換膜12,上部電極15の順に積層される。
光電変換膜12は、有機光電変換色素とフラーレン(又はフラーレン誘導体)とが共蒸着されることで積層され、バルクヘテロ構造となる。この光電変換素子10aが製造された後、例えば空気中に曝露しておくことで、光電変換膜12内に酸素Oが浸入する。空気中に曝露することで、上部電極膜15,下部電極膜11が酸化して劣化してしまうと、光電変換特性の劣化に繋がるため、上部電極15,下部電極11は、共に、酸化の進まない材料を用いるのが好ましい。電極材料については詳細は後述するが、例えばITO(酸化インジウム錫)や窒化チタン等を用いるのが好ましい。また、上部電極は、酸素を良好に透過させる膜であるのが好ましい。
図1(b)は、撮像素子で用いる本発明の第2実施形態に係る光電変換素子の概略断面図である。この光電変換素子10bは、図1(a)に示す光電変換素子10aに対し、下部電極11と光電変換膜12との間に電子ブロッキング層16Aを追加した構成となっており、下部電極11,電子ブロッキング層16A,光電変換膜12,上部電極15の順に積層される。
光電変換素子10bの光電変換膜12も、有機光電変換色素とフラーレン(又はフラーレン誘導体)とが共蒸着されることで積層され、バルクヘテロ構造となり、酸素Oが混入される。上部電極15,下部電極11共に、酸化の進まない材料を用いるのが好ましいのは、上述と同じである。
図1(c)は、撮像素子で用いる本発明の第3実施形態に係る光電変換素子の概略断面図である。この光電変換素子10cは、図1(b)に示す光電変換素子10bに対し、上部電極15と光電変換膜12との間に正孔ブロッキング層16Bを追加した構成となっており、下部電極11,電子ブロッキング層16A,光電変換膜12,正孔ブロッキング層16B,上部電極15の順に積層される。
光電変換素子10cの光電変換膜12も、有機光電変換色素とフラーレン(又はフラーレン誘導体)とが共蒸着されることで積層され、バルクヘテロ構造となり、酸素Oが混入される。上部電極15,下部電極膜11共に、酸化の進まない材料を用いるのが好ましいのは、上述と同じである。
なお、光電変換素子10a,10b,10cにおいて、下部電極11,電子ブロッキング層16A,光電変換層12,正孔ブロッキング層16B,上部電極12の積層順は、光電変換素子の用途や特性に応じて逆にしても良い。この場合、光が透過する側の電極(導電性膜)は透明材料で構成するのが良い。
また、これらの光電変換素子を使用する場合には、上部電極15,下部電極11間に電場を印加するのが好ましく、例えば、一対の電極間に、1×10−4V/cm以上、1×10V/cm以下の範囲内で任意の所定電場を印加することができる。
以下、光電変換素子10a,10b,10cの構成材料について説明する。
〔電極〕
上部電極(透明導電性膜)15と下部電極(導電性膜)11は、導電性材料から構成される。導電性材料としては、金属、合金、金属酸化物、電気伝導性化合物、又はこれらの混合物などを用いることができる。
上部電極15から光が入射されるため、上部電極15は検知したい光に対し十分に透明であることが必要である。具体的には、アンチモンやフッ素等をドープした酸化錫(ATO,FTO)、酸化錫、酸化亜鉛、酸化インジウム、酸化インジウム錫(ITO)、酸化亜鉛インジウム(IZO)等の導電性金属酸化物、金、銀、クロム、ニッケル等の金属薄膜、更にこれらの金属と導電性金属酸化物との混合物又は積層物、ヨウ化銅、硫化銅などの無機導電性物質、ポリアニリン、ポリチオフェン、ポリピロールなどの有機導電性材料、及びこれらとITOとの積層物などが挙げられる。
この中で好ましいのは、高導電性、透明性等の点から、導電性金属酸化物である。上部電極15は有機光電変換層12上に成膜するため、有機光電変換層12の特性を劣化させることのない方法で成膜されることが好ましい。また、上部電極15は、透明導電性酸化物からなることが好ましい。
下部電極11は、用途に応じて、透明性を持たせる場合と、逆に透明を持たせず光を反射させるような材料を用いる場合等がある。具体的には、アンチモンやフッ素等をドープした酸化錫(ATO,FTO)、酸化錫、酸化亜鉛、酸化インジウム、酸化インジウム錫(ITO)、酸化亜鉛インジウム(IZO)等の導電性金属酸化物、金、銀、クロム、ニッケル、チタン、タングステン、アルミ等の金属及びこれらの金属の酸化物や窒化物などの導電性化合物(一例として窒化チタン(TiN)を挙げる)、更にこれらの金属と導電性金属酸化物との混合物又は積層物、ヨウ化銅、硫化銅などの無機導電性物質、ポリアニリン、ポリチオフェン、ポリピロールなどの有槻灘鷹性材料、及びこれらとITO又は窒化チタンとの積層物などが挙げられる。
上述したように、本実施形態では、有機光電変換層12内に消光剤として酸素を混入するため、上部電極15,下部電極11が酸化されて光電変換素子の特性を劣化させる虞がある。そこで、酸化される虞がある金属膜、例えば上記のアルミやタングステン,銀などを単体で使用せずに、酸化しないITO等の導電性膜でアルミ膜等を挟んで使用するのが好ましい。
電極を形成する方法は特に限定されず、電極材料との適正を考慮して適宜選択することができる。具体的には、印刷方式、コーティング方式等の湿式方式、真空蒸着法、スパッタリング法、イオンプレーティング法等の物理的方式、CVD、プラズマCVD法等の化学的方式等により形成することができる。
電極材料がITOの場合、電子ビーム法、スパッタリング法、抵抗加熱蒸着法、化学反応法(ゾルーゲル法など)、酸化インジウムスズの分散物の塗布などの方法で形成することができる。更に、ITOを用いて作製された膜に、UV―オゾン処理、プラズマ処理などを施すことができる。電極材料がTiNの場合、反応性スパッタリング法をはじめとする各種の方法が用いられ、更にUV―オゾン処理、プラズマ処理などを施すことができる。
上部電極15はプラズマフリーで作製することが好ましい。プラズマフリーで上部電極15を作成することで、プラズマが基板に与える影響を少なくすることができ、光電変換特性を良好にすることができる。ここで、プラズマフリーとは、上部電極15の成膜中にプラズマが発生しないか、又はプラズマ発生源から電極膜を成膜する基体までの距離が少なくとも2cm以上、好ましくは10cm以上、更に好ましくは20cm以上であり、基体に到達するプラズマが減ずるような状態を意味する。
上部電極15の成膜中にプラズマが発生しない装置としては、例えば、電子線蒸着装置(EB蒸着装置)やパルスレーザ蒸着装置がある。EB蒸着装置又はパルスレーザ蒸着装置については、沢田豊監修「透明導電膜の新展開」(シーエムシー刊、1999年)、沢田豊監修「透明導電膜の新展開II」(シーエムシー刊、2002年)、日本学術振興会著「透明導電膜の技術」(オーム社、1999年)、及びそれらに付記されている参考文献等に記載されているような装置を用いることができる。
以下では、EB蒸着装置を用いて透明電極膜の成膜を行う方法をEB蒸着法と言い、パルスレーザ蒸着装置を用いて透明電極膜の成膜を行う方法をパルスレーザ蒸着法と言う。
TCOなどの透明導電膜を上部電極15とした場合、DCショート、あるいはリーク電流増大が生じる場合がある。この原因の一つは、光電変換層12に導入される微細なクラックがTCOなどの緻密な膜によってカバレッジされ、反対側の電極11との間の導通が増すためと考えられる。そのため、アルミなど膜質が比較的劣る電極の場合、リーク電流の増大は生じにくい。上部電極15の膜厚を、光電変換層12の膜厚(すなわち、クラックの深さ)に対して制御することにより、リーク電流の増大を大きく抑制できる。上部電極15の厚みは、光電変換層12の厚みの1/5以下、好ましくは1/10以下とすることが望ましい。
通常、導電性膜をある範囲より薄くすると、急激な抵抗値の増加をもたらすが、本実施形態に係る光電変換素子を組み込んだ固体撮像素子では、シート抵抗は、好ましくは100〜10000Ω/□でよく、薄膜化できる膜厚の範囲の自由度は大きい。
また、上部電極(透明導電性膜)15は厚みが薄いほど吸収する光の量は少なくなり、一般に光透過率が増す。光透過率の増加は、光電変換層12での光吸収を増大させ、光電変換能を増大させるため、非常に好ましい。薄膜化に伴うリーク電流の抑制,薄膜の抵抗値の増大,光透過率の増加を考慮すると、上部電極15の膜厚は、5〜100nmであることが好ましく、更に好ましくは5〜20nmである事が望ましい。
〔有機光電変換色素〕
有機光電変換色素とは、HOMO準位がフラーレンのHOMO準位より浅く、LUMO準位がフラーレンのLUMO準位より浅い化合物で、可視領域(波長400nm〜700nm)に吸収ピークを有する色素(染料,顔料)であればよい。例えば、アリーリデン化合物、メロシアニン化合物、スクアリリウム化合物、クマリン化合物、アゾ系化合物、ポルフィリン化合物、キナクリドン化合物、アントラキノン化合物、フタロシアニン化合物、インジゴ化合物、ジケトピロロピロール化合物などを挙げることができる。
有機光電変換色素は下記一般式(1)で表される化合物又はキナクリドンであることが好ましい。
Figure 2011171513
(式中、L、L、Lは、それぞれメチン基を表す。nは0〜2の整数を表す。Arは、2価の置換アリーレン基、又は無置換アリーレン基を表す。Ar、Arは、それぞれ独立に、置換アリール基、又は無置換アリール基を表す。Lは下記一般式(2)又は(3)で表される置換基と結合する。
Figure 2011171513
(式中、Rはアルキル基を表す。*はLに結合する結合位置を表す。)
Arが表すアリーレン基としては、好ましくは炭素数6〜30のアリーレン基であり、より好ましくは炭素数6〜18のアリーレン基である。該アリーレン基は、置換基を有していてもよく、好ましくは炭素数1〜4のアルキル基を有していてもよい炭素数6〜18のアリーレン基である。例えば、フェニレン基、ナフチレン基、メチルフェニレン基、ジメチルフェニレン基等が挙げられ、フェニレン基が好ましい。
Ar、Arが表すアリール基としては、それぞれ独立に、好ましくは炭素数6〜30のアリール基であり、より好ましくは炭素数6〜18のアリール基である。該アリール基は、置換基を有していてもよく、好ましくは炭素数1〜4のアルキル基又は炭素数6〜18のアリール基を有していてもよい炭素数6〜18のアリール基である。例えば、フェニル基、ナフチル基、メチルフェニル基、ジメチルフェニル基、ビフェニル基等が挙げられ、フェニル基が好ましい。
が表すアルキル基としては、好ましくは炭素数1〜6のアルキル基であり、より好ましくは炭素数1〜4のアルキル基である。例えばメチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、t−ブチル基が挙げられ、メチル基又はエチル基が好ましく、メチル基がより好ましい。
nは0又は1が好ましい。
一般式(1)で表される化合物の中でも、実施例に記載した化合物15〜18が特に好ましい。
〔フラーレン〕
フラーレンとは、フラーレンC60、フラーレンC70、フラーレンC76、フラーレンC78、フラーレンC80、フラーレンC82、フラーレンC84、フラーレンC90、フラーレンC96、フラーレンC240、フラーレン540、ミックスドフラーレン、フラーレンナノチューブを表す。
フラーレン誘導体とは、これらに置換基が付加された化合物のことを表す。置換基としては、アルキル基、アリール基、又は複素環基が好ましい。フラーレン誘導体としては、例えば特開2007−123707号公報に記載されている下記の一般式(化1)で表される化合物を使用するのが好ましい。
Figure 2011171513
化3の一般式においてR1は置換基を表す。置換基として好ましくは、アルキル基、アリール基、又は複素環基である。アルキル基として更に好ましくは、炭素数1〜12までのアルキル基であり、アリール基、及び複素環基として好ましくは、ベンゼン環、ナフタレン環、アントラセン環、フェナントレン環、フルオレン環、トリフェニレン環、ナフタセン環、ビフェニル環、ピロール環、フラン環、チオフェン環、イミダゾール環、オキサゾール環、チアゾール環、ピリジン環、ピラジン環、ピリミジン環、ピリダジン環、インドリジン環、インドール環、ベンゾフラン環、ベンゾチオフェン環、イソベンゾフラン環、ベンズイミダゾール環、イミダゾピリジン環、キノリジン環、キノリン環、フタラジン環、ナフチリジン環、キノキサリン環、キノキサゾリン環、イソキノリン環、カルバゾール環、フェナントリジン環、アクリジン環、フェナントロリン環、チアントレン環、クロメン環、キサンテン環、フェノキサチイン環、フェノチアジン環、又はフェナジン環であり、更に好ましくは、ベンゼン環、ナフタレン環、アントラセン環、フェナントレン環、ピリジン環、イミダゾール環、オキサゾール環、又はチアゾール環であり、特に好ましくはベンゼン環、ナフタレン環、又はピリジン環である。これらは更に置換基を有していてもよく、その置換基は可能な限り結合して環を形成してもよい。なお、nが2以上のとき複数のR1は同一であっても異なっていても良い。また、複数のR1は可能な限り結合して環を形成してもよい。nは1から60までの整数を表すが、好ましくは1から10までの整数である。
また、フラーレン及びフラーレン誘導体としては、日本化学会編 季刊化学総説No.43(1999)、特開平10−167994号公報、特開平11−255508号公報、特開平11−255509号公報、特開2002−241323号公報、特開2003−196881号公報等に記載されている化合物を用いることもできる。フラーレン及びフラーレン誘導体のうち、フラーレンが好ましく、特に、フラーレンC60が好ましい。
〔消光剤〕
消光剤とは、溶液中あるいは固体膜中で、蛍光物質と混合したときに、その蛍光を消光させる物質のことをいう。フラーレン(又はフラーレン誘導体)の励起状態をエネルギ移動により失活させる化合物であればどのような物質でもよいが、三重項消光剤が好ましく、安価かつ汎用性の高い点から、酸素が特に好ましい。
酸素を有機光電変換層12に混入しておくと、励起状態となったフラーレン(又はフラーレン誘導体)から酸素がエネルギを奪ってフラーレン(又はフラーレン誘導体)を失活させ、替わりに酸素が励起状態となるが、酸素の励起状態は時間経過とともに基底状態に戻る。フラーレン(又はフラーレン誘導体)の励起状態が長時間続くと、有機光電変換層12内でのフラーレンの重合が進んでしまい、有機光電変換層12内でのフラーレンの重合が過度に進むと、有機光電変換層12の感度,光電変換効率が劣化してしまう。
〔有機光電変換層〕
有機光電変換層12においては、上述した有機光電変換色素と、フラーレン(又はフラーレン誘導体)とが混合された状態で形成されるバルクヘテロ構造をなしていることが好ましい。ヘテロ接合構造を含有させることにより、光電変換層の励起子拡散長が短いという欠点を補い、光電変換層の光電変換効率を向上させることができる。
有機光電変換色素に対するフラーレン(又はフラーレン誘導体)の体積比率〔{フラーレン(又はフラーレン誘導体)}/有機光電変換色素×100(%)〕は、50%以上であることが好ましく、80%以上1000%以下(体積比率)であることがより好ましく、100%以上700%以下(体積比率)であることが更に好ましい。
光電変換層は、乾式成膜法又は湿式成膜法により成膜することができる。乾式成膜法の具体的な例としては、真空蒸着法、スパッタリング法、イオンプレーティング法,MBE法等の物理気相成長法あるいはプラズマ重合等のCVD法が挙げられる。湿式成膜法としては、キャスト法、スピンコート法、ディッピング法、LB法等が用いられる。好ましくは乾式成膜法であり、真空蒸着法がより好ましい。真空蒸着法により成膜する場合、真空度、蒸着温度等の製造条件は常法に従って設定することができる。
光電変換層の厚みは、10nm以上1000nm以下が好ましく、更に好ましくは50nm以上800nm以下、特に好ましくは100nm以上500nm以下である。10nm以上とすることにより、好適な暗電流抑制効果が得られ、1000nm以下とすることにより、好適な光電変換効率が得られる。
〔電荷ブロッキング層〕
電荷ブロッキング層には、電子の注入を抑制し、正孔を輸送する電子ブロッキング層と、正孔の注入を抑制し、電子を輸送する正孔ブロッキング層がある。電子ブロッキング層,正孔ブロッキング層の厚みは、10nm以上200nm以下が好ましく、更に好ましくは30nm以上150nm以下、特に好ましくは50nm以上100nm以下である。この厚みが薄すぎると、光吸収強度が低下してしまい、厚すぎると光電変換効率が低下してしまうためである
〔電子ブロッキング層〕
電子ブロッキング層には、電子供与性有機材料を用いることができる。具体的には、低分子材料では、N,N’―ビス(3―メチルフェニル)―(1,1’―ビフェニル)―4,4’―ジアミン(TPD)や4,4’―ビス[N―(ナフチル)―N―フェニル―アミノ]ビフェニル(α―NPD)等の芳香族ジアミン化合物、オキサゾール、オキサジアゾール、トリアゾール、イミダゾール、イミダゾロン、スチルベン誘導体、ピラゾリン誘導体、テトラヒドロイミダゾール、ポリアリールアルカン、ブタジエン、4,4’,4”トリス(N―(3―メチルフェニル)N―フェニルアミノ)トリフェニルアミン(m−MTDATA)、ポルフィン、テトラフェニルポルフィン銅、フタロシアニン、銅フタロシアニン、チタニウムフタロシアニンオキサイド等のポリフィリン化合物、トリアゾール誘導体、オキサジザゾール誘導体、イミダゾール誘導体、ポリアリールアルカン誘導体、ピラゾリン誘導体、ピラゾロン誘導体、フェニレンジアミン誘導体、アニールアミン誘導体、アミノ置換カルコン誘導体、オキサゾール誘導体、スチリルアントラセン誘導体、フルオレノン誘導体、ヒドラゾン誘導体、シラザン誘導体などを用いることができ、高分子材料では、フェニレンビニレン、フルオレン、力ルバゾール、インドール、ピレン、ピロール、ピコリン、チオフェン、アセチレン、ジアセチレン等の重合体や、その誘導体を用いることができる。
電子供与性化合物でなくとも、十分なホール輸送性を有する化合物であれば用いることは可能である。具体的には、例えば、特開2008−72090号公報に記載された下記の化4〜化10の化合物を用いるのが好ましい。なお、下記のEaはその材料の電子親和力、Ipはその材料のイオン化ポテンシャルを示す。EB―1,2,…の「EB」は「電子ブロッキング」の略である。
Figure 2011171513
Figure 2011171513
Figure 2011171513
Figure 2011171513
Figure 2011171513
Figure 2011171513
Figure 2011171513
〔正孔ブロッキング層〕
正孔ブロッキング層には、電子受容性有機材料を用いることができる。電子受容性材料としては、1,3―ビス(4―tert―ブチルフェニル―1,3,4―オキサジアゾリル)フェニレン(OXD―7)等のオキサジアゾール誘導体、アントラキノジメタン誘導体、ジフェニルキノン誘導体、バソクプロイン、バソフェナントロリン、及びこれらの誘導体、トリアゾール化合物、トリス(8―ヒドロキシキノリナート)アルミニウム錯体、ビス(4―メチル―8―キノリナート)アルミニウム錯体、ジスチリルアリーレン誘導体、シロール化合物などを用いることができる。また、電子受容性有機材料でなくとも、十分な電子輸送性を有する材料ならば使用することは可能である。ポルフィリン系化合物や、DCM(4―ジシアノメチレン―2―メチル―6―(4―(ジメチルアミノスチリル))―4Hピラン)等のスチリル系化合物、4Hピラン系化合物を用いることができる。
具体的には、例えば、特開2008−72090号公報に記載されている下記の化11〜化16の化合物を使用することが好ましい。HB―1,2,…の「HB」は「正孔ブロッキング」の略である。
Figure 2011171513
Figure 2011171513
Figure 2011171513
Figure 2011171513
Figure 2011171513
Figure 2011171513
上述した各種材料を用いて、図1(a)(b)(c)の光電変換素子を製造することで、経年的な感度劣化を抑制することが可能な光電変換素子を得ることが可能となる。特に、光電変換層12に消光剤(例えば酸素O)を混入するのが、感度劣化の抑制に効果的となる。
図2は、光電変換層12の感度とフラーレン重合率との関係を示すグラフである。光電変換層12は、上述した様に、有機光電変換色素とフラーレン(又はフラーレン誘導体)とのバルクヘテロ構造でなるが、光照射が進むと、光電変換層12内でフラーレン重合が進んでくる。光電変換層12内におけるフラーレン重合率が50%,60%と増えるほど、感度(光電変換効率)は高くなるが、過度に重合が進んで、例えば90%を越すと、感度低下が著しくなる。
この90%という値は単なる例示に過ぎず、有機光電変換色素の材料やフラーレン(又はフラーレン誘導体)の種類によって異なる値となるが、どの様な材料を用いても、フラーレン重合率が過度に高くなると、定性的な特性として感度低下が始まる。
本実施形態の様に、光電変換層12に消光剤を混入しておくと、蛍光を発する状態のフラーレン即ち励起状態にあるフラーレンから励起エネルギを消光剤に移すことができ、フラーレンの過度な重合を阻止することが可能となる。この結果、光電変換層12の経年的な感度低下を抑制することができ、光電変換層12の光電変換率を高い状態に維持することが可能となる。
光電変換素子は、光電池と光センサに大別できるが、図1(b)(c)に示した光電変換素子は、光センサに適している。光センサとしては、光電変換素子単独で用いたものでもよいし、光電変換素子を直線状に配したラインセンサや、平面上に配した2次元センサの形態とすることができる。
ラインセンサでは、スキャナ等の様に光学系及び駆動部を用いて光画像情報を電気信号に変換し、2次元センサでは、撮像モジュールのように光画像情報を光学系でセンサ上に結像させ電気信号に変換することで、撮像素子として機能する。
光電池(太陽電池)は発電装置であるため、光エネルギを電気エネルギに変換する効率が重要な性能となるが、暗所での電流である暗電流は、光電池の機能上、問題にならない。また、撮像素子の様にカラーフィルタを設置する必要がないため、後段の加熱工程の必要もない。
光センサは、明暗信号を高い精度で電気信号に変換することが重要な性能となるため、光量を電流に変換する効率も重要な性能となる。しかも、光電池と異なり、暗所での信号を出力すると画像を劣化させるノイズとなるため、低い暗電流が要求される。更に、カラーフィルタを積層するなど後段の製造工程に対する耐性も重要となる。
図3は、図1(b)(c)で説明した光電変換素子を用いた本発明の第4実施形態に係る撮像素子の1画素分の断面模式図である。ここで、「1画素」とは、RGBの3色の信号を得ることができる画素を単位としている。なお、以下に説明する構成例において、図1で説明した部材などと同等な構成,作用を有する部材等については、図中に同一符号又は相当符号を付すことにより、説明を簡略化或いは省略する。
撮像素子とは画像の光情報を電気信号に変換する素子であり、複数の光電変換素子が同一平面状でマトリクス上に配置されており、各々の光電変換素子(画素)において光信号を電気信号に変換し、その電気信号を画素ごとに、逐次、撮像素子外に出力できるものをいう。そのために、画素ひとつあたり、一つの光電変換素子及び一つ以上のトランジスタから構成される。
図2に示す撮像素子100は、1画素が同一平面上でアレイ状に多数配置されたものであり、この1画素から得られる信号によって画像データの1つの画素データを生成することができる。
撮像素子100は、n型シリコン基板1と、n型シリコン基板1上に形成された透明な絶縁膜7とを備え、絶縁膜7の上に、図1(b)又は図1(c)で説明した光電変換素子10b又は10cが形成される。図3に示す光電変換素子では、符号を、下部電極101、光電変換層102、上部電極104として示しており、また、図3では、電子ブロッキング層や正孔ブロッキング層は図示を省略している。
光電変換素子10b(10c)の上には、開ロ114aが設けられた遮光膜114が形成され、開口114a上の上部電極104の上及び遮光膜114の上には、透明な絶縁膜115が形成されている。
n型シリコン基板1の表面部の開口114a直下には、その浅い方から、p型不純物領域(以下、p領域と略す)4と、n型不純物領域(以下、n領域と略す)3と、p領域2がこの順に形成されている。p領域4の遮光膜114によって遮光されている部分の表面部には、高濃度のp領域6が形成され、p領域6の周りはn領域5によって囲まれている。
p領域4とn領域3とのpn接合面の、n型シリコン基板1表面からの深さは、青色光を吸収する深さ(約0.2μm)となっている。従って、p領域4とn領域3は、青色光を吸収してそれに応じた電荷を蓄積するフォトダイオード(Bフォトダイオード)を形成する。
p領域2とn型シリコン基板1とのpn接合面の、n型シリコン基板1表面からの深さは、赤色光を吸収する深さ(約2μm)となっている。従って、p領域2とn型シリコン基板1は、赤色光を吸収してそれに応じた電荷を蓄積するフォトダイオード(Rフォトダイオード)を形成する。
p領域6は、絶縁膜7に開けられた開口に形成される接続部9を介して下部電極101と電気的に接続されている。下部電極101で捕集された正孔は、p領域6の電子と再結合するため、捕集した正孔の数に応じ、p領域6にリセット時に蓄積された電子が減少することになる。接続部9の外周面は絶縁膜8で覆われており、接続部9は、下部電極101及びp領域6以外とは絶縁膜8によって電気的に絶縁される。
p領域2に蓄積された電子は、n型シリコン基板1内に形成されたpチャネルMOSトランジスタからなるMOS回路(図示省略)によってその電荷量に応じた信号に変換され、p領域4に蓄積された電子は、n領域3内に形成されたpチャネルMOSトランジスタからなるMOS回路(図示省略)によってその電荷量に応じた信号に変換され、p領域6に蓄積されている電子は、n領域5内に形成されたpチャネルMOSトランジスタからなるMOS回蕗(図示省略)によってその電荷量に応じた信号に変換され、撮像素子100の外部へと出力される。
各MOS回路は、配線113によって図示しない信号読出パッドに接続される。なお,p領域2,p領域4に引出電極を設け、所定のリセツト電位をかけると、各領域2,4が空乏化し、各pn接合部の容量は限リなく小さい値になる。これにより、接合面に生じる容量を極めて小さくすることができる。
このような構成により、光電変換層102でG(緑)光を光電変換し、n型シリコン基板1中のBフォトダイオードとRフォトダイオードでB(青)光及びR(赤)光を光電変換することができる。また、半導体基板の上方でG光がまず吸収されるため、半導体基板に形成したBフォトダイオード,RフォトダイオードによるB−G間及びG−R間の色分離は優れている。
半導体基板内に、Bフォトダイオード,Rフォトダイオードの他にGフォトダイオードの3つのフォトダイオードを設け、半導体基板でB光,G光,R光を全て分離する形式の撮像素子に比べ、図3の実施形態の撮像素子の大きく優れた点が、この色分離性能にある。
図4に、本発明の第5実施形態に係る撮像素子の1画素分の断面模式図である。本実施形態の撮像素子200は、図3の撮像素子100のように半導体基板1内に2つのフォトダイオードを積層する構成ではなく、入射光の入射方向に対して垂直な方向(即ち、半導体基板の表面に沿う方向)に2つのフォトダイオードを配列して、n型シリコン基板内で2色の光を検出するようにしたものである。
図4において、本実施形態の撮像素子200は、n型シリコン基板17と、n型シリコン基板17の表面には、透明な絶縁膜24が積層され、その上に、図1(c)で説明した光電変換素子10cが積層される。図4に示す光電変換素子10cの各構成部材の符号は、下部電極101,光電変換層102,上部電極104としているのは図3と同様であり、電子ブロッキング層は図示を省略しているが、正孔ブロッキング層106は図示している。なお、図1(b)の光電変換素子10bとすることでも良い。光電変換素子10c上には、開口34aが設けられた遮光膜34が形成されている。また、上部電極104の開口34a上及び遮光膜34上には透明な絶縁膜33が形成されている。
遮光膜34の開口34a下方のn型シリコン基板17表面部には、n領域19とp領域18からなるフォトダイオートと、n領域21とp領域20からなるフォトダイオードとが、n型シリコン基板17表面に並んで形成されている。n型シリコン基板17表面上の任意の面方向が、入射光の入射方向に対して垂直な方向となる。
n領域19とp領域18からなるフォトダイオードの上方には、透明な絶縁膜24を介してB光を透過するカラーフィルタ28が形成され、その上に下部電極101が形成されている。また、n領域21とp領域20からなるフォトダイオードの上方には、透明な絶縁膜24を介してR光を透過するカラーフィルタ29が形成され、その上に下部電極101が形成されている。カラーフィルタ28,29の周囲は、透明な絶縁膜25で覆われている。なお、下部電極(画素電極)101間の符号30は、画素電極間を分離する絶縁層である。
n領域19とp領域18からなるフォトダイオードは、力ラーフィルタ28を透過したB光を吸収してそれに応じた電子を発生し、発生した電子をp領域18に蓄積する基板内光電変換部として機能する。n領域21とp領域20からなるフォトダイオードは、カラーフィルタ29を透過したR光を吸収してそれに応じた電子を発生し、発生した電子をp領域20に蓄積する基板内光電変換部として機能する。
n型シリコン基板17表面の遮光膜34によって遮光されている部分には、p領域23が形成され、このp領域23は、周りがn領域22によって囲まれている。
p領域23は、絶縁膜24,25に開けられた開口内に形成された接続部27を介して下部電極101と電気的に接続されている。光電変換層102で発生し下部電極101で捕集された正孔は、接続部27を通してp領域23の電子と再結合するため、捕集された正孔の数に応じ、p領域23にリセット時に蓄積された電子が減少することになる。接続部27は、周囲が絶縁膜26で囲まれており、下部電極101及びp領域23以外とは電気的に絶縁される。
p領域18に蓄積された電子は、n型シリコン基板17内に形成されたpチャネルMOSトランジスタからなるMOS回路(図示省略)によってその電荷量に応じた信号に変換され、p領域20に蓄積された電子は、n型シリコン基板17内に形成されたpチャネルMOSトランジスタからなるMOS回路(図示省略)によってその電荷量に応じた信号に変換される。同様に、p領域23に蓄積されている電子は、n領域22内に形成されたnチャネルMOSトランジスタからなるMOS回路(図示省略)によってその電荷量に応じた信号に変換される。変換された各信号は、撮像素子200外部へと出力される。各MOS回路は配線35によって図示しない信号読出パッドに接続される
なお、上述したMOSトランジスタでなる信号読出回路は、MOS回路でなく、CCDとアンプによって構成してもよい。つまり、p領域18、p領域20、及びp領域23に蓄積された電子を、夫々n型シリコン基板17内に形成したCCD(電荷転送路)に読み出してこれをアンプまで転送し、このアンプによって、電子量に応じた電圧値信号を撮像画像信号として出力させる構成としても良い。
このように、信号読出部は、CCD及びCMOS構造が挙げられるが、消費電力、高速読み出し、画素加算の容易さ、部分読出の容易さ等の点から、CMOS型の方が好ましい。なお、図4の撮像素子200では、力ラーフィルタ28,29によってR光とB光の色分離を行っているが、カラーフィルタ28,29を設けずに、p領域20とn領域21のpn接合面の深さと、p領域18とn領域19のpn接合面の深さを調整して、それぞれのフォトダイオードでR光とB光を吸収するようにしてもよい。
n型シリコン基板17と下部電極101との間(例えば、絶縁膜24とn型シリコン基板17との間)に、光電変換層102を透過した光を吸収して、該光に応じた電荷を発生しこれを蓄積する無機材料からなる無機光電変換部を形成することも可能である。この場合、n型シリコン基板17内に、この無機光電変換部の電荷蓄積領域に蓄積された電荷に応じた信号を読み出すためのMOS回路を設け、このMOS回路にも配線35を接続しておけばよい。
また、n型シリコン基板17内に設けるフォトダイオードを1画素当たり1つとし、n型シリコン基板17の上方に光電変換層を複数層積層した構成としてもよい。例えば、G信号をフォトダイオードで検出し、R信号を検出する第1光電変換層とB信号を検出する第2光電変換層を積層する。
更に、n型シリコン基板17内に設けるフォトダイオードを1画素当たり複数とし、n型シリコン基板17の上方に光電変換層を複数層積層した構成としてもよい。例えば、1画素でR,G,B,エメラルド色の4色を検出する撮像素子とし、2色を2つのフォトダイオードで、残り2色を2層の光電変換層で検出する構成としても良い。
また、カラー画像を作る必要がないのであれば、n型シリコン基板17内に設けるフォトダイオードを1画素当たり1つとし、光電変換層を1層だけ積層した構成としてもよい。
図5は、本発明の第6実施形態に係る撮像素子の1画素分の断面模式図である。本実施形態の撮像素子300は、シリコン基板内にフォトダイオードを設けずに、R,G,Bの3色の信号を、シリコン基板の上方に設けた3層の光電変換層で検出する構成となっている。
本実施形態の撮像素子300は、R光検出用のR光電変換素子と、B光検出用のB光電変換素子と、G光検出用のG光電変換素子の3つの光電変換素子を、シリコン基板41の上方に順に積層した構成となっている。各光電変換素子は、図1(c)の構成を基本としているが、光電変換層に用いる有機光電変換色素は、検出する光の波長を効率的に検出できる材料を用いる。
R光電変換素子は、シリコン基板41の上方に絶縁層48を介して積層された、下部電極101rと、下部電極101r上に形成された光電変換層102rと、光電変換層102r上に形成された正孔ブロッキング層106rと、該正孔ブロッキング層106rの上に形成された上部電極104rと備える。なお、図1(c)に図示した電子ブロッキング層は、図5では図示を省略している(以下の光電変換素子でも同様である。)。
B光電変換素子は、R光電変換素子の上部電極104r上に透明絶縁層59を介して積層された下部電極101bと、下部電極101b上に形成された光電変換層102bと、光電変換層102b上に形成された正孔ブロッキング層106bと、正孔ブロッキング層106b上に形成された上部電極104bとを備える。
G光電変換素子は、B光電変換素子の上部電極104b上に透明絶縁層63を介して積層された下部電極101gと、下部電極101g上に形成された光電変換層102gと、光電変換層102g上に形成された正孔ブロッキング層106gと、正孔ブロッキング層106gの上に形成された上部電極104gを備える。
この様に、本実施形態の撮像素子300は、R光電変換素子とB光電変換素子とG光電変換素子とが、この順にシリコン基板41に積層される構成となっている。
最上層に積層されたG光電変換素子の上部電極104gの上には、開ロ68aが開けられた遮光膜68が形成され、開口68a内で露出する上部電極104gと遮光膜68とを覆うように透明な絶縁膜67が形成されている。
R,G,Bの各光電変換素子に含まれる下部電極,光電変換層,上部電極の材料は、前述した実施形態と同様のもので構成される。但し、前述した様に、光電変換層102gは、緑色光を吸収してこれに応じた電子及び正孔を発生する有機材料を含み、光電変換層102bは、青色光を吸収してこれに応じた電子及び正孔を発生する有機材料を含み、光電変換層102rは、赤色光を吸収してこれに応じた電子及び正孔を発生する有機材料を含む。
シリコン基板41表面の遮光膜68によって遮光されている部分には、p領域43,45,47が形成され、それぞれの周りはn領域42,44,46によって囲まれている。
p領域43は、絶縁膜48に開けられた開口内に形成された接続部54を介して下部電極101rと電気的に接続されている。下部電極101rで捕集された正孔は、p領域43の電子と再結合するため、捕集した正孔の数に応じ、p領域43にリセット時に蓄積された電子が減少することになる。接続部54の外周部には絶縁膜51が形成され、接続部54は、下部電極101r及びp領域43以外とは電気的に絶縁される。
p領域45は、絶縁膜48とR光電変換素子と絶縁膜59とを貫通する孔内に形成された接続部53を介して下部電極101bと電気的に接続されている。下部電極101bで捕集された正孔は、p領域45の電子と再結合するため、捕集した正孔の数に応じ、p領域45にリセット時に蓄積された電子が減少することになる。接続部53の外周部には絶縁膜50が形成され、接続部53は、下部電極101b及びp領域45以外とは電気的に絶縁される。
p領域47は、絶縁膜48とR光電変換素子と絶縁膜59とB光電変換素子と絶縁膜63を貫通する孔内に形成された接続部52を介して下部電極101gと電気的に接続されている。下部電極101gで捕集された正孔は、p領域47の電子と再結合するため、捕集した正孔の数に応じ、p領域47にリセット時に蓄積された電子が減少することになる。接続部52の外周部には絶縁膜49が形成され、接続部52は、下部電極101g及びp領域47以外とは電気的に絶縁される。
p領域43に蓄積されている電子は、n領域42内に形成されたpチャネルMOSトランジスタからなるMOS回路(図示省略)によってその電荷量に応じた信号に変換され、p領域45に蓄積されている電子は、n領域44内に形成されたpチャネルMOSトランジスタからなるMOS回路(図示省略)によってその電荷量に応じた信号に変換され、p領域47に蓄積されている電子は、n領域46内に形成されたpチャネルMOSトランジスタからなるMOS回路(図示省略)によってその電荷量に応じた信号に変換され、撮像素子300外部へと出力される。各MOS回路は、配線55によって図示しない信号読出パッドに接続される。
なお、信号読出部は、第5実施形態で説明したと同様に、MOS回路ではなくCCDとアンプによって構成してもよい。
B光を吸収する光電変換層102bは、例えば、少なくとも波長400nm〜500nmの光を吸収することができる材料を使用し、更に、その波長域でのピーク波長の吸収率が50%以上である材料を使用するのが好ましい。
G光を吸収する光電変換層102gは、例えば、少なくとも波長500nm〜600nmの光を吸収することができる材料を使用し、更に、その波長域でのピーク波長の吸収率が50%以上である材料を使用するのが好ましい。
R光を吸収する光電変換層102rは、例えば、少なくとも波長600nm〜700nmの光を吸収することができる材料を使用し、更に、その波長域でのピーク波長の吸収率が50%以上である材料を使用するのが好ましい。
図6は、本発明の第7実施形態に係る撮像素子400の部分表面模式図であり、図7は、図6のX―X線断面模式図である。
n型シリコン基板401上にはpウェル層402が形成されている。以下では、n型シリコン基板401とpウェル層402とを併せて半導体基板という。半導体基板の上方の同一面上の行方向(図7参照)とこれに直交する列方向(図7参照)には、主としてR光を透過するカラーフィルタ413rと、主としてG光を透過するカラーフィルタ413gと、主としてB光を透過するカラーフィルタ413bの3種類のカラーフィルタがそれぞれ多数配列されている。カラーフィルタ413r,413g,413bは、夫々公知の材料を用いて製造することができる。
カラーフィルタ413r,413g,413bの配列は、公知の単板式固体撮像素子に用いられているカラーフィルタ配列(ベイヤー配列、縦ストライプ、横ストライプ等)を採用することができる。
カラーフィルタ413r,413g,413bの下部のpウェル層402には夫々高濃度のn領域404r,404g,404bが形成され、夫々に隣接して信号読出部405r,405g,405bが形成される。n領域404r,404g,404bには、後述の光電変換膜412で発生した入射光量に応じた電荷が蓄積される。
pウェル層402の表面には絶縁層403が積層され、絶縁層403の上には、n領域404r,404g,404bの夫々に対応した画素電極(下部電極)膜411r,411g,411bが形成される。画素電極411r,411g,411b間には絶縁層408が設けられ、カラーフィルタ413r,413g,413bに対応して各画素電極411r,411g,411b間が分離されている。
下部電極411r,411g,411bの各々の上には、カラーフィルタ413r,413g,413bの各々で共通の一枚構成である光電変換膜412が形成されている。
光電変換膜412上には、カラーフィルタ413r,4139,413bの各々で共通の一枚構成である透明な上部電極413が形成され、上部電極413の上に、透明な絶縁層415及び透明な平坦層416が積層され、その上に、カラーフィルタ413r,413g,413bが積層される。
下部電極411rと、それに対向する上部電極413と、これらに挟まれる光電変換膜412の一部とにより、カラーフィルタ413rに対応する光電変換素子が形成される。この光電変換素子がR光電変換素子となる。
下部電極411gと、それに対向する上部電極413と、これらに挟まれる光電変換膜412の一部とにより、カラーフィルタ413gに対応する光電変換素子が形成される。この光電変換素子がG光電変換素子となる。
下部電極411bと、それに対向する上部電極413と、これらに挟まれる光電変換膜412の一部とにより、カラーフィルタ413bに対応する光電変換素子が形成される。この光電変換素子がB光電変換素子となる。
各下部電極411r,411g,411bと、対応するn領域404r,404g,404bとは、絶縁層403に開口された孔内に形成されるコンタクト部406r,406g,406bで電気的に接続される。コンタクト部406r,406g,406bは、例えばアルミニウム等の金属で形成される。
なお、各n領域404r,404g,404bに光電変換膜412を透過した光が入射するのを防止するため、夫々の上方に遮光膜を設けるのが好ましい。下部電極411r,411g,411bを不透明電極膜あるいは反射率の高い電極膜として遮光膜を兼用させ、下部電極間を分離する絶縁層408も不透明材料,反射材料としても良い。
斯かる構成において、画素電極411r,411g,411bと対向電極(上部電極)413との間にバイアス電圧を印加した状態で、被写体からの光が撮像素子400に入射すると、赤色フィルタ413rを通った光が光電変換膜412内の画素電極411r上に入射し、電荷を発生させる。この電荷は、コンタクト部406rを通して対応するn領域404rに移動し、赤色入射光量に応じた電荷がn領域(電荷蓄積領域)404rに蓄積される。
同様に、緑色フィルタ413gを通った光が光電変換膜412内の画素電極411g上に入射し、電荷を発生させる。この電荷は、コンタクト部406gを通して対応するn領域404gに移動し、緑色入射光量に応じた電荷がn+領域(電荷蓄積領域)404gに蓄積される。
同様に、青色フィルタ413bを通った光が光電変換膜412内の画素電極411b上に入射し、電荷を発生させる。この電荷は、コンタクト部406bを通して対応するn+領域404bに移動し、青色入射光量に応じた電荷がn領域(電荷蓄積領域)404bに蓄積される。
電荷蓄積領域404r,404g,404bの蓄積電荷に応じた信号が、隣接する信号読出部405r,405g,405bによって撮像素子400の外部に読み出される。この信号読出部405r,405g,405bは、前述の実施形態と同様に、CMOS回路でもよく、また、CCD回路でも良い。
このように、本実施形態に係る撮像素子400によれば、カラー画像を得ることができるが、光電変換素子が薄くなるため、撮像画像の解像度が向上し、偽色も低減できる。また、半導体基板に設ける信号読出回路によらず、開口率を大きくできるため、高感度化を図ることが可能となる。更に、従来のCCD型やCMOS型のイメージセンサで用いられたマイクロレンズを省略可能なため、部品数が減り製造工程削減の効果もある。
本実施形態で用いる有機光電変換膜412は、緑色光の波長領域に最大吸収波長があり、可視光全体に吸収域を有する必要があるが、上述した材料を選別し用いることで実現することができる。
以下に、実施例を挙げて詳細に説明するが、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。
[実施例1]
Figure 2011171513
〔化合物15の合成〕
アリーリデン化合物の1つである化合物15は、公知の方法(US2005-0065351)に従って合成した。
〔素子の作製〕
信号読出回路としてCMOS回路が形成された半導体基板上に、アモルファス性ITOをスパッタ法により30nm成膜した後、フォトリソグラフィーにより半導体基板上のフォトダイオード(PD)の上にそれぞれ1つずつ画素が存在するようにパターニングして画素電極(下部電極)とした。更にその上に、上記の化6で示した電子ブロッキング材料(EB―3)を100nm、その上に、化合物15とフラーレン(C60)とをそれぞれ単層換算で100nmと300nmの比率になるように共蒸着した層をそれぞれ真空加熱蒸着により成膜して光電変換層とし、更に、上部電極としてスパッタ法によりアモルファス性ITOを5nm成膜して透明電極とすることにより、固体撮像素子を作製した。光電変換層12の真空蒸着は全て4×10−4Pa以下の真空度で行った。
[実施例2]
〔素子の作製〕
実施例1において作製した固体撮像素子を大気中に1時間放置した後に、上部電極上に、保護層として加熱蒸着によるSiO膜形成後、その上にALCVD法によりAl層を形成した。
[実施例3]
〔素子の作製〕
実施例1において作製した固体撮像素子1の上部電極上に、保護層として加熱蒸着によるSiO膜形成後、大気中に1日放置した後に、ALCVD法によりAl層を形成した。
[実施例4]
Figure 2011171513
〔化合物16の合成〕
アリーリデン化合物の1つである化合物16は、公知の方法(US2005-0065351)に従って合成した。
〔素子の作製〕
実施例1において、光電変換層12における化合物15を化合物16に変更すること以外は同様にして固体撮像素子を作製した。
[実施例5]
Figure 2011171513
〔化合物17の合成〕
化合物17は、公知の方法(US2005-0065351)に従って合成した。
〔化合物17の同定〕
H NMR(CDCl)δ:6.97(2H,d),7.39−7.61(7H,m),7.61−7.73(4H,m),7.78−8.00(6H,m),8.03−8.12(2H,m),8.44(2H,d),8.50(2H,d)
〔素子の作製〕
実施例1において、光電変換層12における化合物15を化合物17に変更すること以外は同様にして固体撮像素子を作製した。
[実施例6]
Figure 2011171513
〔化合物18の合成〕
化合物18は、公知の方法(J. Mater. Chem., 2002, 12, 1671.)に従って合成した。
〔素子の作製〕
実施例1において、光電変換層12における化合物15を化合物18に変更すること以外は同様にして固体撮像素子を作製した。
[実施例7]
Figure 2011171513
化合物19のキナクリドンは、東京化成社から購入した。
〔素子の作製〕
実施例1において、光電変換層12における化合物15を化合物19に変更すること以外は同様にして固体撮像素子を作製した。
[比較例1]
実施例1において、固体撮像素子を作製した後、大気中に出すことなく、グローブボックス内で、ガラス封止を行った。グローボックス内でガラス封止を行うと、光電変換層12中の酸素量は、10ppm未満となる。
[比較例2]
比較例1において、光電変換層12における化合物15を化合物16に変更すること以外は同様にして固体撮像素子を作製した。
[比較例3]
比較例1において、光電変換層12における化合物15を化合物17に変更すること以外は同様にして固体撮像素子を作製した。
[比較例4]
比較例1において、光電変換層12における化合物15を化合物18に変更すること以外は同様にして固体撮像素子を作製した。
[比較例5]
比較例1において、光電変換層12における化合物15を化合物19に変更すること以外は同様にして固体撮像素子を作製した。
実施例1〜7及び比較例1〜5における各素子に対し、大気中で、1000ルクスの白色光を168時間照射する前と後の、2x10V/cmの電界をかけた時の、最大感度波長における外部量子効率を表1に示す。
Figure 2011171513
Al層やガラス封止などの保護層のない撮像素子を作成した後に大気(酸素濃度、約20%)中に撮像素子を暴露しておくことで、光電変換層12内に空気中の酸素が侵入すると考えられる。光電変換層12内の酸素濃度は、比較例の様にグローボックス内で撮像素子をガラス封止したときの酸素濃度より高濃度であることは容易に推測可能である。
その結果、上記の表1に示されるように、比較例では光照射後の外部量子効率が光照射前より大きく落ち込むのに対し、実施例では光照射後の外部量子効率は光照射前の外部量子効率と殆ど同じとなり、光電変換層内にフラーレンの過度の重合を阻止する消光剤を混入することで、固体撮像素子の耐光性を高めることが判明した。
上記の実施例は、撮像素子で実験を行ったが、電子ブロッキング層のない図1(a)に示す光電変換素子でも同様の結果が得られる。
以上述べた様に、実施形態による光電変換素子は、第1電極と第2電極との間にフラーレン又はフラーレン誘導体を含む光電変換層を備え該光電変換層内に前記フラーレン又はフラーレン誘導体の励起状態を失活させる消光剤を含有させたことを特徴とする。
また、実施形態の光電変換素子の前記光電変換層は前記フラーレン又はフラーレン誘導体と有機光電変換色素と前記消光剤を備えることを特徴とする。
また、実施形態の光電変換素子は、前記フラーレン又はフラーレン誘導体と前記有機光電変換色素がバルクヘテロ構造をとることを特徴とする。
また、実施形態の光電変換素子の前記消光剤は酸素であることを特徴とする。
また、実施形態の光電変換素子は、前記光電変換層内の前記酸素の濃度が少なくとも10ppmであることを特徴とする。
また、実施形態の光電変換素子は、前記第1電極又は前記第2電極の少なくとも一方が酸素透過性を備えることを特徴とする。
また、実施形態の光電変換素子は、前記第1電極又は前記第2電極と前記光電変換層との間に電荷ブロッキング層を備えることを特徴とする。
また、実施形態の光電変換素子は、前記電荷ブロッキング層が電子ブロッキング層であることを特徴とする。
また、実施形態の光電変換素子は、前記電荷ブロッキング層が正孔ブロッキング層であることを特徴とする。
また、実施形態の光電変換素子は、前記第1電極と前記光電変換層との間に電子ブロッキング層を備えると共に前記第2電極と前記光電変換層との間に正孔ブロッキング層を備えることを特徴とする。
また、実施形態の光センサは、上記のいずれかに記載の光電変換素子を備えることを特徴とする。
また、実施形態の撮像素子は、上記のいずれかに記載の光電変換素子の前記第1電極が画素毎に区分けされた画素電極膜で構成されることを特徴とする。
また、実施形態の光電変換素子の作製方法は、該光電変換素子を作成後に大気中に暴露することで前記光電変換層に酸素を含有させることを特徴とする。
また、実施形態の光センサの作製方法は、該光センサを作製後に大気中に暴露することで前記光電変換層に前記消光剤である酸素を含有させることを特徴とする。
また、実施形態の撮像素子の作製方法は、該撮像素子を作製後に大気中に暴露することで前記光電変換層に前記消光剤である酸素を含有させることを特徴とする。
以上述べた様に、フラーレン又はフラーレン誘導体を含む光電変換層内にフラーレン又はフラーレン誘導体の励起状態を失活させる消光剤を含有させたため、光電変換効率が高く長期間に渡って感度低下を抑制する耐光性の高い素子を得ることが可能となる。
本発明に係る光電変換素子及び撮像素子は、長期間使用しても感度低下を抑制することができるため、太陽電池として使用したり、また、この撮像素子をデジタルスチルカメラ、デジタルビデオカメラ、携帯電話用カメラ、内視鏡用カメラ等の撮像装置に搭載すると有用である。
11,101 下部電極(画素電極膜)
12,102 有機光電変換層
15,104 上部電極(対向電極膜)
16A 電子ブロッキング層
16B 正孔ブロッキング層
100,200,300,400 撮像素子

Claims (15)

  1. 第1電極と第2電極との間にフラーレン又はフラーレン誘導体を含む光電変換層を備え該光電変換層内に前記フラーレン又はフラーレン誘導体の励起状態を失活させる消光剤を含有させた光電変換素子。
  2. 請求項1に記載の光電変換素子であって、前記光電変換層は前記フラーレン又はフラーレン誘導体と有機光電変換色素と前記消光剤を備える光電変換素子。
  3. 請求項2に記載の光電変換素子であって、前記フラーレン又はフラーレン誘導体と前記有機光電変換色素はバルクヘテロ構造をとる光電変換素子。
  4. 請求項1乃至請求項3のいずれかに記載の光電変換素子であって、前記消光剤は酸素である光電変換素子。
  5. 請求項4に記載の光電変換素子であって、前記光電変換層内の前記酸素の濃度が少なくとも10ppmである光電変換素子。
  6. 請求項4又は請求項5に記載の光電変換素子であって、前記第1電極又は前記第2電極の少なくとも一方が酸素透過性を備える光電変換素子。
  7. 請求項1乃至請求項6のいずれかに記載の光電変換素子であって、前記第1電極又は前記第2電極と前記光電変換層との間に電荷ブロッキング層を備える光電変換素子。
  8. 請求項7に記載の光電変換素子であって、前記電荷ブロッキング層が電子ブロッキング層である光電変換素子。
  9. 請求項7に記載の光電変換素子であって、前記電荷ブロッキング層が正孔ブロッキング層である光電変換素子。
  10. 請求項1乃至請求項6のいずれかに記載の光電変換素子であって、前記第1電極と前記光電変換層との間に電子ブロッキング層を備えると共に前記第2電極と前記光電変換層との間に正孔ブロッキング層を備える光電変換素子。
  11. 請求項1乃至請求項10のいずれかに記載の光電変換素子を備える光センサ。
  12. 請求項1乃至請求項10のいずれかに記載の光電変換素子の前記第1電極が画素毎に区分けされた画素電極膜で構成される撮像素子。
  13. 請求項4乃至請求項6のいずれかに記載の光電変換素子の作製方法であって、該光電変換素子を作成後に大気中に暴露することで前記光電変換層に酸素を含有させる光電変換素子の作製方法。
  14. 請求項11に記載の光センサの作製方法であって、該光センサを作製後に大気中に暴露することで前記光電変換層に前記消光剤である酸素を含有させる光センサの作製方法。
  15. 請求項12に記載の撮像素子の作製方法であって、該撮像素子を作製後に大気中に暴露することで前記光電変換層に前記消光剤である酸素を含有させる撮像素子の作製方法。
JP2010033905A 2010-02-18 2010-02-18 光電変換素子、光センサ、及び撮像素子の作製方法 Active JP5352495B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2010033905A JP5352495B2 (ja) 2010-02-18 2010-02-18 光電変換素子、光センサ、及び撮像素子の作製方法

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2010033905A JP5352495B2 (ja) 2010-02-18 2010-02-18 光電変換素子、光センサ、及び撮像素子の作製方法

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2011171513A true JP2011171513A (ja) 2011-09-01
JP5352495B2 JP5352495B2 (ja) 2013-11-27

Family

ID=44685316

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2010033905A Active JP5352495B2 (ja) 2010-02-18 2010-02-18 光電変換素子、光センサ、及び撮像素子の作製方法

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP5352495B2 (ja)

Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2013055248A (ja) * 2011-09-05 2013-03-21 Fujifilm Corp 光電変換素子の製造方法
CN109075182A (zh) * 2016-08-05 2018-12-21 松下知识产权经营株式会社 摄像装置
WO2023162982A1 (ja) * 2022-02-28 2023-08-31 ソニーセミコンダクタソリューションズ株式会社 光電変換素子および光検出装置ならびに電子機器

Citations (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2001007366A (ja) * 1999-06-25 2001-01-12 Sony Corp 電荷移動型ヘテロ接合構造体及びその製造方法
JP2007335760A (ja) * 2006-06-16 2007-12-27 Fujifilm Corp 光電変換膜、並びに、該光電変換膜を含む太陽電池、光電変換素子、又は撮像素子

Patent Citations (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2001007366A (ja) * 1999-06-25 2001-01-12 Sony Corp 電荷移動型ヘテロ接合構造体及びその製造方法
JP2007335760A (ja) * 2006-06-16 2007-12-27 Fujifilm Corp 光電変換膜、並びに、該光電変換膜を含む太陽電池、光電変換素子、又は撮像素子

Cited By (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2013055248A (ja) * 2011-09-05 2013-03-21 Fujifilm Corp 光電変換素子の製造方法
CN109075182A (zh) * 2016-08-05 2018-12-21 松下知识产权经营株式会社 摄像装置
CN109075182B (zh) * 2016-08-05 2023-05-12 松下知识产权经营株式会社 摄像装置
WO2023162982A1 (ja) * 2022-02-28 2023-08-31 ソニーセミコンダクタソリューションズ株式会社 光電変換素子および光検出装置ならびに電子機器

Also Published As

Publication number Publication date
JP5352495B2 (ja) 2013-11-27

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP5114541B2 (ja) 光センサの製造方法
JP5520560B2 (ja) 光電変換素子、光電変換素子材料、光センサ、及び撮像素子
JP4677314B2 (ja) センサーおよび有機光電変換素子の駆動方法
JP4802286B2 (ja) 光電変換素子及び撮像素子
JP5427349B2 (ja) 固体撮像素子
JP5581116B2 (ja) 光電変換素子、撮像素子及び光電変換素子の駆動方法
JP4905762B2 (ja) 光電変換素子、撮像素子、および該光電変換素子の製造方法
JP2009049278A (ja) 光電変換素子、光電変換素子の製造方法、固体撮像素子
WO2016017350A1 (ja) 光電変換素子および撮像素子
US10892302B2 (en) Photoelectric conversion element, imaging element, stacked-type imaging element, and solid-state imaging apparatus
KR101777534B1 (ko) 광전 변환 소자, 촬상 소자, 광 센서
JP6128593B2 (ja) 有機光電変換素子および撮像素子
JP5525890B2 (ja) 光電変換素子及び撮像素子
KR102232972B1 (ko) 광전 변환 소자, 광센서, 촬상 소자, 및 화합물
JP5352495B2 (ja) 光電変換素子、光センサ、及び撮像素子の作製方法
JP2009267169A (ja) 光電変換素子及び固体撮像素子
JP6535093B2 (ja) 光電変換素子、撮像素子、光センサ、化合物
JP5449270B2 (ja) 固体撮像素子、固体撮像素子の製造方法
JP5469918B2 (ja) 光電変換素子の製造方法、光電変換素子、及び撮像素子
JP2019016701A (ja) 光電変換素子及び固体撮像素子

Legal Events

Date Code Title Description
RD04 Notification of resignation of power of attorney

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A7424

Effective date: 20111216

A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20120613

RD03 Notification of appointment of power of attorney

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A7423

Effective date: 20120914

RD04 Notification of resignation of power of attorney

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A7424

Effective date: 20121004

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20130521

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20130522

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20130711

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20130730

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20130826

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Ref document number: 5352495

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250