JPWO2013176180A1 - 光起電力素子および光起電力素子の製造方法 - Google Patents

光起電力素子および光起電力素子の製造方法 Download PDF

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Abstract

光電変換効率の優れた光起電力素子および光起電力素子の製造方法を提供すること。本発明の光起電力素子10は、電子供与性有機半導体とC70フラーレン化合物を含む電子受容性有機半導体とを有する光電変換層3を備え、光電変換層3を陽極2および陰極4で挟持した光起電力素子10であって、光電変換層3中、C70フラーレン化合物が陽極側から陰極側に高い濃度差を持って存在することを特徴とする。

Description

本発明は光起電力素子および光起電力素子の製造方法に関する。
太陽電池は環境に優しい電気エネルギー源として、現在深刻さを増すエネルギー問題に対して有力な解決手段として注目されている。現在、太陽電池の光起電力素子の半導体材料としては、単結晶シリコン、多結晶シリコン、アモルファスシリコン、化合物半導体などの無機物が使用されている。しかし、無機半導体を用いて製造される太陽電池はまだコストが高いために、一般家庭に広く普及するには至っていない。コスト高の要因は主として、真空かつ高温下で半導体薄膜を形成するプロセスにある。そこで、製造プロセスの簡略化が期待される半導体材料として、共役系重合体や有機結晶などの有機半導体や有機色素を用いた有機太陽電池が検討されている。このような有機太陽電池においては、半導体材料を塗布法で作製することが可能なため、製造プロセスを簡略化することができる。
しかし、共役系重合体などを用いた有機太陽電池は、従来の無機半導体を用いた太陽電池と比べて光電変換効率が低いために、まだ実用化には至っていない。有機太陽電池の実用化のためには、さらに高い光電変換効率を実現するための技術が必要である。
有機太陽電池の光電変換効率を向上させる方法としては、例えば、有機太陽電池の光電変換層に含まれる電子供与性有機半導体(p型材料)と電子受容性有機半導体(n型材料)に濃度差やドメインサイズ勾配を付与することが開示されている(例えば、特許文献1参照)。特許文献1によれば、静電塗布法により、p型材料とn型材料を射出する時間、射出時の印加電圧の強弱、p型材料とn型材料の混合比等によりドメインサイズを変更できるとするものの、実施例がなく、該方法により製造された有機太陽電池の光電変換効率がどの程度向上されるか確認されていない。
また、光電変換層に含まれる電子供与性有機半導体と電子受容性有機半導体に濃度差を付与する方法として、電子供与性有機半導体であるポリチオフェン膜上に電子受容性有機半導体であるC60フラーレン化合物のジクロロメタン溶液を塗布する方法など、第1有機半導体層上に第2有機半導体溶液を塗布する方法が開示されている(例えば、非特許文献1や特許文献2参照)。この方法によれば、光電変換層中にポリチオフェンとC60フラーレン化合物に濃度差が付与できるものの、電子受容性有機半導体としてC70フラーレン化合物を使用した例は開示されていない。
さらに、少なくとも2層の有機半導体層を有する有機薄膜太陽電池またはその製造方法であって、有機半導体層の下層を形成する塗工液に高分子材料を配合することにより、下層の成分の上層への溶出を防止したり、有機半導体層間の界面に凹凸を形成等することにより、光電変換効率を向上させる技術が開示されている(例えば、特許文献3および4参照)。しかしながら、かかる技術は、光電変換層中の電子供与性有機半導体と電子受容性有機半導体に濃度差を付与するものではなく、電子受容性有機半導体としてC70フラーレン化合物を使用した例も開示されていない。
さらにまた、電子供与性有機半導体および/または電子受容性有機半導体を、インクジェット装置の複数のノズルから射出することにより、電子供与性有機半導体と電子受容性有機半導体との濃度差を付与した光電変換層を有する有機光電変換素子の製造方法が開示されている(例えば、特許文献5参照)。特許文献5では、複数のノズルから異なる半導体材料を射出して光電変換層を形成することにより光電変換効率が向上することが確認されているものの、電子受容性有機半導体としてC70フラーレン化合物を使用した例はなく、同様の効果が得られるかは不明である。
また、ポリチオフェン/C60フラーレン化合物から成る光電変換層上に、C60フラーレン化合物微溶性の溶媒を塗布、乾燥することにより電子供与性有機半導体と電子受容性有機半導体に濃度差を付与する技術が開示されている(例えば、特許文献6参照)。しかしながら、特許文献6では、電子受容性有機半導体としてC70フラーレン化合物を使用した例は開示されていない。
特開2012−4299号公報 特表2009−514184号公報 特開2006−310727号公報 特開2007−73717号公報 特開2011−124467号公報 特開2007−273939号公報
「ザ ジャーナル オブ フィジカル ケミストリー C (The Journal of Physical Chemistry C)」、2012年、116巻、7287−7292頁
本発明者らは、光起電力素子の光電変換効率向上を目的として、非特許文献1に開示されている方法で、C60フラーレン化合物より光吸収特性に優れたC70フラーレン化合物を用いて同様に評価したところ、C70フラーレンの数マイクロメートルほどの大きさの凝集体が生じてしまい、光電変換効率も低下することがわかった。光電変換効率の低下は、発生した凝集体が電荷分離や電荷輸送を阻害するためと推定される。
本発明は、上記に鑑みてなされたものであって、光吸収特性に優れたC70フラーレン化合物が濃度差を有して存在する光電変換層によって、光電変換特性に優れた光起電力素子および光起電力素子の製造方法を提供することを目的とする。
本発明者らは、C70フラーレン化合物の凝集が、溶媒のC70フラーレン化合物の溶解性不足に起因すると考えた。そこで、単純にC70フラーレン化合物の溶解性が高い溶媒を用いて電子供与性有機半導体膜上に塗布して電子受容性有機半導体層の積層を試みが、使用する溶媒の電子供与性有機半導体の溶解性も高くなることで、電子供与性有機半導体が溶解してしまうという新たな問題が生じた。また、塗布時は電子供与性有機半導体の溶解、およびC70フラーレンの凝集という問題がない溶媒系であっても、乾燥途中にC70フラーレン濃度の上昇によりC70フラーレン化合物が凝集するという問題が生ずるケースがあることにも気づいた。
そこで、本発明者らはさらに鋭意検討を重ね、C70フラーレン化合物を含む電子受容性有機半導体溶液の溶媒として、電子供与性有機半導体材料の溶解度が5g/L未満であり、C70フラーレン化合物の溶解度が5g/L以上である第1溶媒と、C70フラーレン化合物の溶解度が20g/L以上であり、第1溶媒よりも沸点が30℃以上高い第2溶媒とを少なくとも含む溶媒を用いたところ、C70フラーレンを凝集させることなく、かつ電子供与性有機半導体を溶解させることなく、電子供与性有機半導体膜上に濃度差を持ってC70フラーレン化合物を含む電子受容性有機半導体層を形成できることを見出した。
すなわち、本発明は、電子供与性有機半導体とC70フラーレン化合物を含む電子受容性有機半導体とを有する光電変換層を、陽極および陰極で挟持した光起電力素子であって、C70フラーレン化合物が陰極側から陽極側に高い濃度差を持って存在する光起電力素子である。
本発明によれば、光電変換効率に優れた光起電力素子を提供することができる。
図1は、C70フラーレン化合物の平均傾きが1%/nmの場合の膜厚方向分布パターンの例を示す図である。 図2は、本発明の光起電力素子の一態様を示す断面図である。 図3は、実施例1の光起電力素子の光電変換層表面をレーザー顕微鏡で撮像した写真である。 図4は、比較例2の光起電力素子の光電変換層表面をレーザー顕微鏡で撮像した写真である。
本発明の光起電力素子は、C70フラーレン化合物を含む電子受容性有機半導体と電子供与性有機半導体を有する光電変換層を、陽極および陰極で挟持した光起電力素子であって、C70フラーレン化合物が陽極側から陰極側に高い濃度差を持って存在する光起電力素子である。
本発明の光起電力素子において、光電変換層で電荷分離した電子は、光電変換層のC70フラーレン化合物を含む電子受容性有機半導体ドメインを移動して陰極へと取り出される。そのため、C70フラーレン化合物が、陰極側から陽極側に高い濃度差を持って存在することで電子取り出し効率が向上して光電変換効率が向上する。
このとき、光電変換層で電荷分離した正孔は、光電変換層の電子供与性有機半導体ドメインを移動して陽極へと取り出されるため、電子供与性有機半導体が陽極側から陰極側に高い濃度差を持って存在することがより好ましい。
ここで、C70フラーレン化合物が、光電変換素子中、陰極側から陽極側に高い濃度差を持つとは、以下の3種類(濃度差A,濃度差B,濃度差C)のうち少なくとも濃度差Cを満たすことをいう。さらに、濃度差Cに加えて濃度差Aや濃度差Bを満たすことが好ましい。
濃度差Aを満たすとは、陰極/光電変換層界面から光電変換層の1/2の深さまでにおけるC70フラーレン化合物の最大存在量Mを示す深さdから、陽極/光電変換層界面から光電変換層の1/2の深さまでにおけるC70フラーレン化合物の最小存在量Mを示す深さdまでの、C70フラーレン化合物の存在量の平均傾き(M−M)/(d−d)が、1%/nm以上であることを指す。C70フラーレン化合物の最大存在量Mおよび最小存在量Mは、後述する測定方法等により、陰極/光電変換層界面から光電変換層の1/2の深さにおいて、C70フラーレン化合物の存在量が最大となる値を100%(M)としたとき、陽極/光電変換層界面から光電変換層の1/2の深さにおいて、C70フラーレン化合物の存在量が最小となる値として、Mに対する相対値(M)を用いた。
なお、C70フラーレン化合物の最大存在量Mを示す深さが2箇所以上ある場合は、陰極により近い深さを選ぶこととする。また、C70フラーレン化合物の最小存在量Mの深さが2箇所以上ある場合は、陽極により近い深さを選ぶこととする。
70フラーレン化合物の存在量の平均傾きが1%/nmの場合のC70フラーレン化合物の膜厚方向分布パターンを図1にいくつか例示した。ただし、本発明は特にこれに限定されるものではない。
濃度差Bを満たすとは、陰極/光電変換層界面から光電変換層の1/2の深さまでにおけるC70フラーレン化合物の最大存在量Mと、陽極/光電変換層界面から光電変換層の1/2の深さまでにおけるC70フラーレン化合物の最小存在量Mとの差(M−M)が60%以上であることを指す。濃度差Bにおいても、MおよびMの定義は、濃度差Aと同様である。
濃度差Cを満たすとは、陰極/光電変換層界面から光電変換層の1/2の深さまでのC70フラーレン化合物の存在量の平均値M1aと、陽極/光電変換層界面から光電変換層の1/2の深さまでにおけるC70フラーレン化合物の存在量の平均値M2aとの差(M1a−M2a)が、20%以上であることを指す。C70フラーレン化合物の存在量の平均値M1aおよび平均値M2aは、後述する測定方法等により、陰極/光電変換層界面から光電変換層の1/2の深さにおいて、C70フラーレン化合物の存在量が最大となる値を100%としたとき、最大値(100%)に対する相対値の平均値である。
濃度差A,B,Cは、例えば、アプライド サーフェス サイエンス(Applied Surface Science)2004年、231−232巻、353−356頁に記載の方法を用いて、第1電極または第2電極と光電変換層の内部を飛行時間型二次イオン質量分析法(TOF−SIMS)で分析することによって測定することができる。測定は、まず、光電変換層と電極を含む試料を数μm以上にわたって斜めに切削して、光電変換層内部を露出させる。次に露出した斜め切削面の光電変換層に対応する部分に対して、TOF−SIMS分析を行う。その他の方法として、スパッタリングによって徐々に内部を露出しながらTOF−SIMS分析を行う方法も挙げられる。
TOF−SIMS分析によって得られた試料構成成分のシグナル強度を対応する膜厚に対してプロットすることによって、光電変換層の各構成成分の膜厚方向分布を調べることができる。この膜厚方向の分布において、C70フラーレン化合物の分布を知るには、C70フラーレン化合物に由来する2次イオンに注目し、そのシグナル強度を対応する膜厚に対してプロットすればよい。C70フラーレン化合物に由来する2次イオンとしては、用いるC70フラーレン化合物の種類にもよるが、例えば、C70プラスイオン(C70、質量数840)がよい。TOF−SIMSで得られた、C70プラスイオン成分の膜厚方向シグナル強度分布(膜厚方向に10点平均をとることで分布を平滑化するほうがよい。)を、陰極/光電変換層界面から光電変換層の1/2の深さまでにおけるC70プラスイオン成分の最大強度を最大存在量M(100%)として規格化することで、光電変換層中の深さ方向の存在量分布を相対的に求めることができる。濃度差は、この深さ方向の相対存在量分布から算出することができる。
電子供与性有機半導体材料が陽極側から陰極側に高い濃度差を持つとは、上記C70フラーレン化合物の場合と同様に定義することができる。すなわち、電子供与性有機半導体が陽極側から陰極側に高い濃度差を持つとは、以下の3種類(濃度差D,濃度差E,濃度差F)のうち少なくとも濃度差Fを満たす場合を言う。さらに、濃度差Fに加えて、濃度差Dや濃度差Eを満たすことが好ましい。
濃度差Dを満たすとは、陽極/光電変換層界面から光電変換層の1/2の深さまでにおける電子供与性有機半導体の最大存在量Mを示す深さdから、陰極/光電変換層界面から光電変換層の1/2の深さまでにおける電子供与性有機半導体の最小存在量Mを示す深さまでの、電子供与性有機半導体の存在量の平均傾き(M−M)/(d−d)が、1%/nm以上であることを指す。電子供与性有機半導体材料の最大存在量Mおよび最小存在量Mは、後述する測定方法等により、陽極/光電変換層界面から光電変換層の1/2の深さにおいて、電子供与性有機半導体材料の存在量が最大となる値を100%(M)としたとき、陰極/光電変換層界面から光電変換層の1/2の深さにおいて、電子供与性有機半導体材料の存在量が最小となる値として、Mに対する相対値(M)を用いた。
濃度差Eを満たすとは、陽極/光電変換層界面から光電変換層の1/2の深さまでにおける電子供与性有機半導体材料の最大存在量Mと、陰極/光電変換層界面から光電変換層の1/2の深さまでにおける電子供与性有機半導体材料の最小存在量Mとの差(M−M)が60%以上であることを指す。濃度差Eにおいても、MおよびMの定義は、濃度差Dと同様である。
濃度差Fを満たすとは、陽極/光電変換層界面から光電変換層の1/2の深さまでにおける電子供与性有機半導体材料の存在量の平均値M3aと、陰極/光電変換層界面から光電変換層の1/2の深さまでにおける電子供与性有機半導体材料の存在量の平均値M4aとの差(M3a−M4a)が、20%以上であることを指す。電子供与性有機半導体材料の存在量の平均値M3aおよび平均値M4aは、後述する測定方法等により、陽極/光電変換層界面から光電変換層の1/2の深さにおいて、電子供与性有機半導体材料の存在量が最大となる値を100%としたとき、最大値(100%)に対する相対値の平均値である。
電子供与性有機半導体材料の濃度差を知るには、上記電子受容性有機半導体材料の分析法と同様の方法において、電子供与性有機半導体材料に由来するシグナルについて調べればよい。
また、本発明の光起電力素子は、陽極表面に電子供与性有機半導体材料を含む溶液を塗布して電子供与性有機半導体層を作製し、該電子供与性有機半導体層に、C70フラーレン化合物を含む電子受容性有機半導体溶液を塗布することより、C70フラーレン化合物が陰極側から陽極側に高い濃度差を持って存在する光電変換層を作製するが、C70フラーレン化合物を含む電子受容性有機半導体溶液を塗布することにより作製された光電変換層の表面粗さRaは、0nm〜5nmであることが好ましい。光電変換層の表面粗さが5nm以下であると、C70フラーレン化合物の凝集が十分に抑制されており、電荷分離や電荷輸送が阻害されることがない。なお、光電変換層の表面粗さRa(算術平均粗さ)は、原子間力顕微鏡により光電変換層表面上の任意の場所(5μm×5μm)を測定した値(JISB0601)である。
同様に、光電変換層の線粗さRqは、0nm〜6nmであることが好ましい。光電変換層の線粗さRqが6nm以下であると、C70フラーレン化合物の凝集が十分に抑制されており、電荷分離や電荷輸送が阻害されることがない。光電変換層の線粗さRq(二乗平均平方根粗さ)は、原子間力顕微鏡により光電変換層表面上の任意の場所(5μm×5μm)を測定した値(JISB0601)である。
次に、本発明の光起電力素子について説明する。図2は本発明の光起電力素子の一態様を示す断面図である。本発明の光起電力素子10は、基板1の上に、陽極2、光電変換層3、陰極4がこの順に形成され、光電変換層3中、C70フラーレン化合物は、陰極4側から陽極2側に高い濃度差を持って存在する。
基板1は、陽極2および陰極4等の電極や、光電変換層3が積層できるものを選択して用いることができる。例えば、無アルカリガラス、石英ガラス等の無機材料、ポリエステル、ポリカーボネート、ポリオレフィン、ポリアミド、ポリイミド、ポリフェニレンスルフィド、ポリパラキシレン、エポキシ樹脂やフッ素系樹脂等の有機材料から任意の方法によって作製されたフィルムや板が使用可能である。また、基板1側から光を入射させる場合は、基板1の光透過率は60−100%が好ましい。ここで、光透過率とは、下記式で与えられる値である。
光透過率(%)=[透過光強度(W/m)/入射光強度(W/m)]×100
本発明の光起電力素子において、陽極2または陰極4は光透過性を有する。少なくともいずれか一方が光透過性を有すればよく、両方が光透過性を有してもよい。ここで光透過性を有するとは、光電変換層3に入射光が到達して起電力が発生する程度のことをいう。すなわち、光透過率として0%を超える値を有する場合、光透過性を有するという。この光透過性を有する電極は、400nm以上900nm以下の全ての波長領域において60−100%の光透過率を有することが好ましい。また、光透過性を有する電極の厚さは十分な導電性が得られればよく、材料によって異なるが、20nm〜300nmが好ましい。なお、光透過性を有さない電極は、導電性があれば十分であり、厚さも特に限定されない。
電極材料としては、陽極2には仕事関数の大きな導電性材料、もう一方の陰極4には仕事関数の小さな導電性材料を使用することが好ましい。
仕事関数の大きな導電性材料としては、金、白金、クロム、ニッケルなどの金属、透明性を有するインジウム、スズなどの金属酸化物や複合金属酸化物(インジウム錫酸化物(ITO)、インジウム亜鉛酸化物(IZO)など)、導電性高分子が好ましく用いられる。
また、陽極2は正孔取り出し層を有することがより好ましい。正孔取り出し層により、キャリアを取り出すのに適した界面状態を形成できる。さらに、電極間の短絡を防止する効果がある。正孔取り出し層を形成する材料としては、ドーパントを含むポリチオフェン系重合体、ポリ−p−フェニレンビニレン系重合体、ポリフルオレン系重合体などの導電性高分子や、酸化モリブデンなどの金属酸化物が好ましく用いられる。なお、ポリチオフェン系重合体、ポリ−p−フェニレンビニレン系重合体、ポリフルオレン系重合体とは、それぞれチオフェン骨格、p−フェニレンビニレン骨格、フルオレン骨格を主鎖に有する重合体を指す。これらの中でも、酸化モリブデン、もしくはドーパントを含むポリエチレンジオキシチオフェン(PEDOT)などのポリチオフェン系重合体、特にPEDOTとポリスチレンスルホネート(PSS)の混合物がより好ましい。また、正孔取り出し層は、これらの材料を複数積層させていてもよく、積層させる材料は異なっていてもよい。
仕事関数の小さな導電性材料としては、リチウムなどのアルカリ金属、マグネシウムやカルシウムなどのアルカリ土類金属、錫、銀、アルミニウムなどが好ましく用いられる。さらに、上記の金属からなる合金や上記の金属の積層体からなる電極も好ましく用いられる。また、陰極には電子取り出し層を有していてもよい。電子取り出し層としては例えば、フッ化リチウム、フッ化セシウムなどの金属フッ化物や、バソクプロインなどの電子輸送性を有するフェナントロリン化合物などが挙げられる。
次に、本発明の光起電力素子における光電変換層について説明する。光電変換層は、前記陽極および陰極に挟持され、少なくとも電子供与性有機半導体、C70フラーレン化合物を含む電子受容性有機半導体を有する。さらに、C70フラーレン化合物は陽極側から陰極側に高い濃度差を持って存在する。C70フラーレン化合物は光吸収特性や電子輸送性に優れることから、光電変換層は、電子受容性有機半導体として1〜100質量%のC70フラーレン化合物を含むことが好ましく、10〜100質量%含むことがより好ましい。光電変換層は、電子供与性有機半導体または電子受容性有機半導体をそれぞれ2種以上含有してもよい。
本発明の光起電力素子において、電子供与性有機半導体と電子受容性有機半導体は、混合層を形成している。光電変換層全体における電子供与性有機半導体と電子受容性有機半導体の含有比率は特に限定されないが、電子供与性有機半導体:電子受容性有機半導体の重量分率が、1〜99:99〜1の範囲であることが好ましく、より好ましくは10〜90:90〜10の範囲であり、さらに好ましくは20〜60:80〜40の範囲である。光電変換層は、電子供与性有機半導体および電子受容性有機半導体が光吸収によって光起電力を生じるのに十分な厚さがあればよい。材料によって異なるが、10nm〜1000nmの厚さが好ましく、より好ましくは50nm〜500nmである。本発明における光電変換層は、本発明の目的を阻害しない範囲において、界面活性剤やバインダー樹脂、フィラー等の他の成分を含んでいてもよい。
電子供与性有機半導体は、p型半導体特性を示す有機物であれば特に限定されない。例えば、ポリチオフェン系重合体、2,1,3−ベンゾチアジアゾール−チオフェン系共重合体、キノキサリン−チオフェン系共重合体、チオフェン−ベンゾジチオフェン系共重合体、ポリ−p−フェニレンビニレン系重合体、ポリ−p−フェニレン系重合体、ポリフルオレン系重合体、ポリピロール系重合体、ポリアニリン系重合体、ポリアセチレン系重合体、ポリチエニレンビニレン系重合体などの共役系重合体、Hフタロシアニン(HPc)、銅フタロシアニン(CuPc)、亜鉛フタロシアニン(ZnPc)等のフタロシアニン化合物、ポルフィリン化合物、N,N’−ジフェニル−N,N’−ジ(3−メチルフェニル)−4,4’−ジフェニル−1,1’−ジアミン(TPD)、N,N’−ジナフチル−N,N’−ジフェニル−4,4’−ジフェニル−1,1’−ジアミン(NPD)等のトリアリールアミン化合物、4,4’−ジ(カルバゾール−9−イル)ビフェニル(CBP)等のカルバゾール化合物、オリゴチオフェン化合物(ターチオフェン、クウォーターチオフェン、セキシチオフェン、オクチチオフェンなど)等の低分子有機化合物などが挙げられる。これらを2種以上用いてもよい。
ポリチオフェン系重合体とは、チオフェン骨格を主鎖に有する共役系重合体を指し、側鎖を有するものも含む。具体的には、ポリ−3−メチルチオフェン、ポリ−3−ブチルチオフェン、ポリ−3−ヘキシルチオフェン、ポリ−3−オクチルチオフェン、ポリ−3−デシルチオフェンなどのポリ−3−アルキルチオフェン、ポリ−3−メトキシチオフェン、ポリ−3−エトキシチオフェン、ポリ−3−ドデシルオキシチオフェンなどのポリ−3−アルコキシチオフェン、ポリ−3−メトキシ−4−メチルチオフェン、ポリ−3−ドデシルオキシ−4−メチルチオフェンなどのポリ−3−アルコキシ−4−アルキルチオフェンなどが挙げられる。
2,1,3−ベンゾチアジアゾール−チオフェン系共重合体とは、チオフェン骨格と2,1,3−ベンゾチアジアゾール骨格を主鎖に有する共役系共重合体を指す。2,1,3−ベンゾチアジアゾール−チオフェン系共重合体として、具体的には下記のような構造が挙げられる。以下の式において、nは1〜1000の範囲を示す。
キノキサリン−チオフェン系共重合体とは、チオフェン骨格とキノキサリン骨格を主鎖に有する共役系共重合体を指す。キノキサリン−チオフェン系共重合体として、具体的には下記のような構造が挙げられる。以下の式において、nは1〜1000の範囲を示す。
チオフェン−ベンゾジチオフェン系重合体とは、チオフェン骨格とベンゾジチオフェン骨格を主鎖に有する共役系共重合体を指す。チオフェン−ベンゾジチオフェン系共重合体として、具体的には下記のような構造が挙げられる。以下の式において、nは1〜1000の範囲を示す。
ポリ−p−フェニレンビニレン系重合体とは、p−フェニレンビニレン骨格を主鎖に有する共役系重合体を指し、側鎖を有するものも含む。具体的には、ポリ[2−メトキシ−5−(2−エチルヘキシルオキシ)−1,4−フェニレンビニレン]、ポリ[2−メトキシ−5−(3’,7’−ジメチルオクチルオキシ)−1,4−フェニレンビニレン]などが挙げられる。
本発明で使用するC70フラーレン化合物としては、例えば、無置換のC70や[6,6]−フェニル−C71−ブチリックアシッドドデシルエステル、フェニル−C71−ブチリックアシッドメチルエステル([70]PCBM)などの置換C70化合物が挙げられる。
70フラーレン化合物以外に電子受容性有機半導体を使用する場合、n型半導体特性を示す有機物であれば特に限定されない。例えば、1,4,5,8−ナフタレンテトラカルボキシリックジアンハイドライド、3,4,9,10−ペリレンテトラカルボキシリックジアンハイドライド、N,N'−ジオクチル−3,4,9,10−ナフチルテトラカルボキシジイミド、オキサゾール化合物(2−(4−ビフェニリル)−5−(4−t−ブチルフェニル)−1,3,4−オキサジアゾール、2,5−ジ(1−ナフチル)−1,3,4−オキサジアゾール等)、トリアゾール化合物(3−(4−ビフェニリル)−4−フェニル−5−(4−t−ブチルフェニル)−1,2,4−トリアゾール等)、フェナントロリン化合物、フラーレン化合物、カーボンナノチューブ、ポリ−p−フェニレンビニレン系重合体にシアノ基を導入した化合物(CN−PPV)などが挙げられる。これらを2種以上用いてもよい。
70フラーレン化合物以外のフラーレン化合物の具体例としては、C60、C76、C78、C82、C84、C90、C94を始めとする無置換のものと、[6,6]−フェニル−C61−ブチリックアシッドメチルエステル([6,6]−C61−PCBM、または[60]PCBM)、[5,6]−フェニル−C61−ブチリックアシッドメチルエステル、[6,6]−フェニル−C61−ブチリックアシッドヘキシルエステル、[6,6]−フェニル−C61−ブチリックアシッドドデシルエステルを始めとする置換化合物などが挙げられる。
また本発明の光起電力素子は、1つ以上の電荷再結合層を介して2層以上の光電変換層を積層(タンデム化)して直列接合を形成してもよい。この場合、電荷再結合層は隣接する光電変換層の陰極および陽極を兼ねていると考えることができる。例えば、基板/陽極/第1の光電変換層/第1の電子取出し層/電荷再結合層/第2の光電変換層/第2の電子取出し層/陰極という積層構成を挙げることができる。このとき、電荷再結合層は、第1の光電変換層に対する陰極であり、尚且つ第2の光電変換層の陽極とみなすことができる。すなわち、第1の光電変換層中での有機半導体の濃度差は陽極から電荷再結合層にかけて存在することが好ましく、第2の光電変換層中での有機半導体の濃度差は電荷再結合層から陰極にかけて存在することが好ましい。このように積層することにより、開放電圧を向上させることができる。なお、陽極と第1の光電変換層の間、および、電荷再結合層と第2の光電変換層の間に上述の正孔取出し層を設けてもよく、第1の光電変換層と電荷再結合層の間、および、第2の光電変換層と陰極の間に上述の正孔取出し層を設けてもよい。
ここで用いられる電荷再結合層は、複数の光電変換層が光吸収できるようにするため、光透過性を有する必要がある。また、電荷再結合層は、十分に正孔と電子とが再結合するように設計されていればよいので、必ずしも膜である必要は無く、例えば光電変換層上に一様に形成された金属クラスターであってもかまわない。従って、電荷再結合層には、上述の金、白金、クロム、ニッケル、リチウム、マグネシウム、カルシウム、錫、銀、アルミニウムなどから成る数オングストロームから数十オングストローム程度の光透過性を有する非常に薄い金属膜や金属クラスター(合金を含む)、ITO、IZO、AZO、GZO、FTO、酸化チタンや酸化モリブデンなどの光透過性の高い金属酸化物膜およびクラスター、PSSが添加されたPEDOTなどの導電性有機材料膜、またはこれらの複合体等が用いられる。例えば、銀を、真空蒸着法を用いて水晶振動子膜厚モニター上で数オングストローム〜1nmとなるように蒸着すれば、一様な銀クラスターが形成できる。
その他にも、酸化チタン膜を形成するならば、アドヴァンスト マテリアルズ(Advanced Materials)、2006年、18巻、572−576頁に記載のゾルゲル法を用いればよい。ITO、IZOなどの複合金属酸化物であるならば、スパッタリング法を用いて製膜すればよい。これら電荷再結合層形成法や種類は、電荷再結合層形成時の光電変換層への非破壊性や、次に積層される光電変換層の形成法等を考慮して適当に選択すればよい。
次に本発明の光起電力素子の製造方法について説明する。基板上にITOなどの透明電極(この場合陽極に相当)をスパッタリング法などにより形成する。
陽極と光電変換層との間に正孔取り出し層を設ける場合には、所望のp型有機半導体材料(PEDOTなど)を陽極上にスピンコート法、バーコーティング法、ブレードによるキャスト法等で塗布した後、真空恒温槽やホットプレートなどを用いて溶媒を除去し、正孔取り出し層を形成する。酸化モリブデンなどの無機材料を使用する場合には、真空蒸着機を用いた真空蒸着法を適用することも可能である。
次に、電子供与性有機半導体材料を溶媒に溶解させて溶液を作り、透明電極上(正孔取り出し層を設ける場合には正孔取り出し層上)に塗布し、電子供与性有機半導体層を形成する。このとき用いられる溶媒は有機溶媒が好ましく、例えば、メタノール、エタノール、ブタノール、トルエン、キシレン、o−クロロフェノール、アセトン、酢酸エチル、エチレングリコール、テトラヒドロフラン、ジクロロメタン、クロロホルム、ジクロロエタン、クロロベンゼン、ジクロロベンゼン、トリクロロベンゼン、クロロナフタレン、ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド、N−メチルピロリドン、γ−ブチロラクトンなどが挙げられる。
次に、C70フラーレン化合物を含む電子受容性有機半導体材料を溶媒に溶解させて溶液を作り、電子供与性有機半導体層上に塗布する。このとき、塗布溶液が電子供与性有機半導体層に浸透して光電変換層を形成することによって、濃度差を有する光電変換層が形成される。また、このとき用いられる溶媒として、少なくとも、電子供与性有機半導体の溶解度が5g/L未満であり、C70フラーレン化合物の溶解度が5g/L以上である第1溶媒と、C70フラーレン化合物の溶解度が20g/L以上であり、第1溶媒よりも沸点が30℃以上高い第2溶媒とを含む。ここで、溶解度とは常温常圧下での値のことである。
電子供与性有機半導体の溶解度が5g/L未満である第1溶媒は、C70フラーレン化合物の溶解度もあまり高くないため、第1溶媒のみを使用すると、C70フラーレン化合物の溶解性不足によって、C70フラーレン化合物の凝集が生じる。塗布時には、C70フラーレン化合物は第1溶媒に溶解しているが、乾燥後期においては、第1溶媒が気化してC70フラーレン化合物が濃縮されるためである。一方、C70フラーレン化合物の溶解度が20g/L以上である第2溶媒は、C70フラーレン化合物と同様に共役系化合物である電子供与性有機半導体の溶解度も高いため、第2溶媒のみを使用すると、第2溶媒により電子供与性有機半導体層の溶解が生じる。本発明では、溶媒として、第1溶媒と、電子供与性有機半導体層への不溶性を損なわない範囲の第2溶媒を使用することによって、C70フラーレン化合物の凝集を防ぐことができる。これは、塗布乾燥中により低沸点である第1溶媒が優先的に気化するため、乾燥後期ではC70フラーレン化合物高溶解性の第2溶媒が主成分となり、乾燥過程全体にわたってC70フラーレン化合物の溶媒への高溶解性、すなわち高分散性が維持されるためである。
第1溶媒と第2溶媒の混合比率としては、電子供与性有機半導体層への不溶性を損なわない範囲であれば特に限定されないが、第1溶媒:第2溶媒の質量分率が、50〜99.9:50〜0.1の範囲であることが好ましく、より好ましくは70〜99:30〜1の範囲であり、さらに好ましくは90〜99:10〜1の範囲である。
第1溶媒の電子供与性有機半導体の溶解度は5g/L未満であれば特に限定されないが、好ましくは1g/L未満である。また、第1溶媒のC70フラーレン化合物の溶解度は5g/L以上であれば特に限定されないが、好ましくは10g/L以上である。
第2溶媒のC70フラーレン化合物の溶解度は20g/L以上であれば特に限定されないが、好ましくは50g/L以上、より好ましくは100g/L以上である。また、第2溶媒の沸点は第1溶媒よりも30℃以上高ければ特に限定されないが、好ましくは50℃以上300℃未満であり、より好ましくは90℃以上200℃未満である。
第1溶媒としては上記物性を満たす溶媒であれば特に限定されないが、有機溶媒が好ましく、例えば、ジクロロメタン、1,2−ジクロロエチレン、1,1,1,2―テトラクロロエタン、1,1,1,3−テトラクロロプロパン、1,2,2,3−テトラクロロプロパン、1,1,2,3−テトラクロロプロパン、トルエン、1,3−ジクロロプロパン、1,3−ジブロモプロパン、1,2−ジブロモプロパン、1−ヨードプロパンなどが挙げられる。
第2溶媒としては上記物性を満たす溶媒であれば特に限定されないが、有機溶媒が好ましく、例えば、1,1,1,2―テトラクロロエタン、クロロベンゼン、1,2−ジクロロベンゼン、1,2,4−トリクロロベンゼン、1−クロロナフタレン、1−ブロモナフタレン、1−メチルナフタレン、1,3−ジブロモプロパン、1,2−ジブロモプロパン、ジブロモオクタン、ヨードプロパン、ジヨードオクタンなどが挙げられる。
第1溶媒と第2溶媒の組み合わせとしては、ジクロロメタンとクロロベンゼン、ジクロロメタンと1,2−ジクロロベンゼン、ジクロロメタンと1,2,4−トリクロロベンゼン、ジクロロメタンと1−クロロナフタレン、ジクロロメタンと1,3−ジブロモプロパン、ジクロロメタンと1,1,2−テトラクロロエタン、トルエンと1,2−ジクロロベンゼン、1,2−ジブロモプロパンと1,2−ジクロロベンゼン、1−ヨードプロパンと1,2−ジクロロベンゼン、1,3−ジクロロプロパンと1,2−ジクロロベンゼン等が例示される。
電子受容性有機半導体溶液の溶媒は、電子受容性有機半導体用液塗布後の処理工程にもよるが、塗布膜中に微量ながら残存することがあり、下記のような分析方法等によって残存溶媒を検出することが可能である。
残存溶媒分析方法としては例えば、加熱ガス発生分析法が挙げられ、熱重量測定−質量分析(TG−MS(Thermogravimetry−Mass Spectrometry))や、昇温脱離−質量分析(TPD−MS(Temperature Programmed Desorption − Mass Spectrometry))、昇温脱ガス分析(TDS(Thermal DesorptionSpectrometry))、パージアンドトラップ−ガスクロマトグラフィー−質量分析(P&T−GC−MS(Purge&Trap−Gas Chromatography−Mass Spectrometry))、溶液化GC−MS分析(発電層を再溶解させた後、GC−MS分析を行う。)などを用いることで塗布膜中に微量に残存する溶媒を検出することができる。
電子供与性有機半導体層上への電子受容性有機半導体溶液塗布による光電変換層の形成には、スピンコート塗布、ブレードコート塗布、スリットダイコート塗布、スクリーン印刷塗布、バーコーター塗布、鋳型塗布、印刷転写法、浸漬引き上げ法、インクジェット法、スプレー法、真空蒸着法など何れの方法を用いてもよく、膜厚制御や配向制御など、得ようとする光電変換層特性に応じて形成方法を選択すればよい。例えばスピンコート塗布を行う場合には、本発明の電子供与性有機材料、電子受容性有機材料が1〜50g/Lの濃度(本発明の電子供与性有機材料または電子受容性有機材料と、溶媒とを含む溶液の体積に対する、本発明の電子供与性有機材料または電子受容性有機材料の質量濃度)であることが好ましく、この濃度にすることで厚さ5〜200nmの均質な光電変換層を得ることができる。塗布された電子受容性有機半導体溶液中から溶媒を除去して光電変換層を形成するために、減圧下または不活性雰囲気下(窒素やアルゴン雰囲気下)でアニーリング処理を行ってもよい。アニーリング処理の好ましい温度は40℃〜300℃、より好ましくは50℃〜200℃である。このアニーリング処理は、陰極の形成後に行ってもよい。
光電変換層の形成後、光電変換層上にAlやAgなどの金属電極(この場合陰極に相当)を真空蒸着法やスパッタ法により形成することにより光起電力素子を作製することができる。
本発明の光起電力素子は、光電変換機能、光整流機能などを利用した種々の光電変換デバイスへの応用が可能である。例えば光電池(太陽電池など)、電子素子(光センサ、光スイッチ、フォトトランジスタなど)、光記録材(光メモリなど)などに有用である。
以下、本発明を実施例に基づいてさらに具体的に説明する。なお、本発明は下記実施例に限定されるものではない。また実施例等で用いた化合物のうち、略語を使用しているものについて、以下に示す。
Isc:短絡電流密度
Voc:開放電圧
η:光電変換効率
ITO:インジウム錫酸化物
PEDOT:ポリエチレンジオキシチオフェン
PSS:ポリスチレンスルホネート
[70]PCBM:フェニル−C71−ブチリックアシッドメチルエステル
A−1:下記式で表される化合物
A−2:下記式で表される化合物
各実施例・比較例における光電変換効率η(%)は、次式により求めた。
η(%)=Isc(mA/cm)×Voc(V)×FF/照射光強度(mW/cm)×100
FF=JVmax/(Isc(mA/cm)×Voc(V))
JVmax(mW/cm)は、印加電圧が0Vから開放電圧までの間で電流密度と印加電圧の積が最大となる点における電流密度と印加電圧の積の値である。
(合成例1)
化合物A−1を下式に示す方法で合成した。
化合物(1−a)((株)東京化成工業製)4.3gと臭素((株)和光純薬工業製)10gを48%臭化水素酸((株)和光純薬工業製)150mlに加え、120℃で3時間撹拌した。室温に冷却し、析出した固体をグラスフィルターで濾過し、水1000mlとアセトン100mlで洗浄した。得られた固体を60℃で真空乾燥し、化合物(1−b)を6.72g得た。
5.56gの化合物(1−b)をエタノール((株)和光純薬工業製)180mlに加え、窒素雰囲気下、5℃でNaBH((株)和光純薬工業製)13.2gを加えた後、室温で2日間撹拌した。溶媒を留去したのち水500mlを加え、固体を濾取し、水1000mlで洗浄した。得られた固体をジエチルエーテル200mlに溶解し、水300mlで洗浄後、硫酸マグネシウムで乾燥した。溶媒を留去し、化合物(1−c)を2.37g得た。
2.37gの化合物(1−c)とベンジル((株)和光純薬工業製)1.87gをクロロホルム80mlに加え、窒素雰囲気下でメタンスルホン酸((株)和光純薬工業製)3滴を加えた後、11時間加熱還流した。得られた溶液を炭酸水素ナトリウム水溶液で洗浄後、硫酸マグネシウムで乾燥した。得られた溶液をカラムクロマトグラフィー(充填材:シリカゲル、溶離液:クロロホルム)で精製し、メタノールで洗浄して化合物(1−d)を3.72g得た。
1.0gの化合物(1−d)と、トリブチル(2−チエニル)すず((株)東京化成工業製)1.87gをテトラヒドロフラン((株)和光純薬工業製)20mlに加え、窒素雰囲気下でビス(トリフェニルホスフィン)パラジウムジクロリド((株)東京化成工業製)32mgを加え、5時間加熱還流した。室温に冷却後メタノール50mlを加え、析出した沈澱を濾取し、メタノール、水、メタノールの順に洗浄した。得られた固体をカラムクロマトグラフィー(充填材:シリカゲル、溶離液:ジクロロメタン)で精製し、メタノールで洗浄して化合物(1−e)を693mg得た。
693mgの化合物(1−e)をジメチルホルムアミド((株)和光純薬工業製)80mlに溶解し、N−ブロモスクシンイミド((株)和光純薬工業製)550mgを加え、室温で4時間撹拌した。得られた溶液に水250mlを加え、析出した沈澱を濾取し、水、メタノールの順に洗浄した。得られた固体をカラムクロマトグラフィー(充填材:シリカゲル、溶離液:ジクロロメタン)で精製し、メタノールで洗浄して化合物(1−f)を900mg得た。化合物(1−f)のH−NMR測定結果を示す。
H−NMR(CDCl,ppm):8.10(s,2H)、7.72−7.69(m,4H)、7.59(d,2H)、7.43−7.41(m,6H)、7.13(d,2H)。
330mgの化合物(1−f)と、化合物(1−g)(アルドリッチ社製)304mgをトルエン70mlに溶解した。ここに水20ml、炭酸カリウム1.51g、テトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(0)((株)東京化成工業製)63mg、Aliquat336(アルドリッチ社製)2滴を加え、窒素雰囲気下、100℃にて4.5時間撹拌した。次いで、ブロモベンゼン((株)東京化成工業製)200mgを加え、100℃にて1時間撹拌した。次いで、フェニルボロン酸((株)東京化成工業製)200mgを加え、100℃にて2時間撹拌した。得られた溶液にメタノール200mlを加え、生成した固体を濾取し、メタノール、アセトン、水、アセトンの順に洗浄した。得られた固体をアセトン300mlに加え、30分間加熱還流した。熱時濾過して得られた固体をクロロホルム300mlに溶解させ、シリカゲルショートカラム(溶離液:クロロホルム)を通した後に濃縮し、メタノールで再沈澱させて化合物A−1を354mg得た(収率78%)。重量平均分子量は39500、数平均分子量は16600、重合度nは47.4であった。
(合成例2)
化合物A−2を下式に示す方法で合成した。なお、合成例2記載の化合物(2−a)は「アドバンスドファンクショナルマテリアルズ(Advanced Functional Materials)」、2011年、21巻、71−728頁に記載されている方法を参考にして合成した。
1.18g(2.0mmol)の化合物(2−a)およびトリブチル(2−チエニル)すず(東京化成工業(株)製)2.2g(6.0mmol)のトルエン/ジメチルホルムアミド溶液(50ml/10ml)に、ジクロロビス(トリフェニルホスフィン)パラジウム触媒(東京化成工業(株)製)100mgを加え、窒素下で8時間還流した。反応溶液を室温まで冷却した後、水50mlを加え、有機層を水で2回、次いで飽和食塩水で洗浄した。無水硫酸マグネシウムで溶媒を乾燥させた後、ろ過し、溶媒を減圧留去した。シリカゲルカラムクロマトグラフィー(溶離液、ヘキサン:酢酸エチル=20:1)で精製することにより化合物(2−b)を黄色固体(900mg、収率75%)として得た。化合物(2−b)のH−NMRの測定結果を以下に示す。
H−NMR(270MHz,CDCl):8.02(d,J=3.4Hz,2H),7.43(d,J=3.4Hz,2H),7.12(t,J=7.3Hz,2H),3.55(d,J=7.3Hz,2H),1.89(brs,1H),1.4−1.2(m,34H),0.86(m,6H)ppm。
837mg(1.4mmol)の化合物(2−b)を溶解したクロロホルム溶液(50ml)に、N−ブロモスクシンイミド(東京化成工業(株)製)498mg(2.8mmol)を加え、6時間室温で撹拌した。水50mlを加えた後、有機層を水で2回、次いで飽和食塩水で1回洗浄し、無水硫酸マグネシウムで乾燥後、溶媒を減圧留去した。粗生成物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(溶離液、ヘキサン:クロロホルム=1:1)で精製することにより化合物(2−c)を黄色固体(820mg、収率78%)として得た。化合物(2−c)のH−NMRの測定結果を以下に示す。
H−NMR(270MHz,CDCl):7.66(d,J=4.1Hz,2H),7.07(J=4.1Hz,2H),3.53(d,J=7.3Hz,2H),1.87(brs,1H),1.4−1.1(m,34H),0.86(m,6H)ppm。
113mg(0.15mmol)の化合物(2−c)および116mg(0.15mmol)の化合物(2−d)をトルエン(和光純薬工業(株)製)10mlに溶解させたところに、トリス(ジベンジリデンアセトン)ジパラジウム(東京化成工業(株)製)4mg、トリス(2−メチルフェニル)ホスフィン(東京化成工業(株)製)を7mg加え、窒素雰囲気下、100℃で12時間撹拌した。次いで、ブロモベンゼン(東京化成工業(株)製)10mgを加え、100℃にて1時間撹拌した。次いで、トリブチル(2−チエニル)すず(東京化成工業(株)製)40mgを加え、100℃にてさらに1時間撹拌した。撹拌終了後、反応混合物を室温まで冷却し、メタノール100mlに注いだ。析出した固体をろ取し、メタノール、水、アセトンの順に洗浄し、次いでソックスレー抽出器を用いてアセトン、ヘキサンの順で洗浄した。次に、得られた固体をクロロホルムに溶解させ、セライト(ナカライテスク(株)製)、次いでシリカゲルカラム(遊離液、クロロホルム)に通した後、溶媒を減圧留去した。得られた固体を再度クロロホルムに溶解させた後、メタノールに再沈殿し、化合物A−2(72mg)を得た。重量平均分子量は45,300、数平均分子量は22,000、重合度nは44であった。
(実施例1)
クロロベンゼン溶液1mLを、(A−1)が10mg入ったサンプル瓶の中に加え、超音波洗浄機(井内盛栄堂(株)製US−2、出力120W)中で30分間超音波照射することにより電子供与性有機半導体溶液Aを得た。次いで、クロロベンゼン(第2溶媒)を3質量%の割合で混合したジクロロメタン(第1溶媒)溶液1mLを、[70]PCBM(ソレーヌ社製)が8mg入ったサンプル瓶の中に加え、超音波洗浄機中で30分間超音波照射することにより電子受容性有機半導体溶液Bを得た。ここで、(A−1)のジクロロメタン(第1溶媒)への溶解性は1g/Lであった。
スパッタリング法により陽極となるITO透明導電層を125nm堆積させたガラス基板を38mm×46mmに切断した後、ITOをフォトリソグラフィー法により38mm×13mmの長方形状にパターニングした。得られた基板の光透過率を日立分光光度計U−3010で測定した結果、400nm〜900nmの全ての波長領域において85%以上であった。この基板をアルカリ洗浄液(フルウチ化学(株)製、セミコクリーンEL56)で10分間超音波洗浄した後、超純水で洗浄した。この基板を30分間UV/オゾン処理した後に、基板上にPEDOT:PSS水溶液(PEDOT0.8質量%、PSS0.5質量%)をスピンコート法により塗布し、ホットプレートにより200℃で5分間加熱乾燥して約30nmの厚さに成膜した。電子供与性有機半導体溶液AをPEDOT:PSS層上に滴下し、スピンコート法により電子供与性有機半導体層を形成した。次いで、電子受容性有機半導体溶液Bを電子供与性有機半導体層上に滴下し、スピンコート法により光電変換層を形成した。その後、基板と陰極用マスクを真空蒸着装置内に設置して、装置内の真空度を1×10−3Pa以下になるまで排気し、抵抗加熱法によって、陰極となるAl層を80nmの厚さに蒸着した。作製した素子の上下の電極から引き出し電極を取り出し、帯状のITO層とAl層が重なり合う部分の面積が5mm×5mmである光起電力素子を作製した。
このようにして作製された光起電力素子の上下の電極をケースレー社製2400シリーズ ソースメータに接続して、大気下でITO層側から白色光(AM1.5;100mW/cm)を照射し、印加電圧を−1Vから+2Vまで変化させたときの電流値を測定した。得られた電流値より算出した結果、光電変換効率(η)は4.85%であった。
TOF−SIMS分析によって、光電変換層中の[70]PCBMの濃度差を算出した結果、平均傾きとして規定される濃度差Aは1.2%/nm、存在量差として規定される濃度差Bは65%、平均存在量差として規定される濃度差Cは33%であった。また、原子間力顕微鏡(Veeco社製、Dimension Edge)により任意の光電変換層5μm×5μm、および5μmを測定した結果、表面粗さRaは0.6nm、線粗さRqは0.5nmであった。
さらに、レーザー顕微鏡(キーエンス製、VK−9700)で膜表面を観察したところ[70]PCBMの凝集はみられなかった(図3)。
(比較例1)
クロロベンゼン溶液1mLを、10mgの(A−1)、および10mgの[70]PCBM(ソレーヌ社製)が入ったサンプル瓶の中に加え、超音波洗浄機(井内盛栄堂(株)製US−2、出力120W)中で30分間超音波照射することにより有機半導体混合溶液Cを得た。
溶液Aに替えて溶液Cを用い、溶液Bの塗布を行わなかった他は実施例1と全く同様にして光起電力素子を作製して測定を行った。得られた電流値より算出した結果、光電変換効率(η)は1.32%であった。
TOF−SIMS分析によって、光電変換層中の[70]PCBMの濃度差を算出した結果、平均傾きである濃度差Aは0.57%/nm、存在量差である濃度差Bは38%、平均存在量差である濃度差Cは10%であった。
(比較例2)
電子受容性有機半導体溶液の溶媒として、クロロベンゼンを3質量%の割合で混合したジクロロメタン溶液に替えて、ジクロロメタン溶媒のみを用いた他は実施例1と全く同様にして光起電力素子を作製して測定を行った。得られた電流値より算出した結果、光電変換効率(η)は0.88%であった。
また、原子間力顕微鏡(Veeco社製、Dimension Edge)により任意の光電変換層5μm×5μm、および5μmを測定した結果、表面粗さRaは45nm、線粗さRqは18〜100nmであった。さらに、レーザー顕微鏡(キーエンス製、VK−9700)で膜表面を観察したところ[70]PCBMが激しく凝集していた(図4)。
(実施例2)
クロロベンゼン溶液1mLを、(A−2)が10mg入ったサンプル瓶の中に加え、超音波洗浄機(井内盛栄堂(株)製US−2、出力120W)中で30分間超音波照射することにより電子供与性有機半導体溶液Dを得た。次いで、1,3−ジブロモプロパン(第2溶媒)を20質量%の割合で混合したジクロロメタン(第1溶媒)溶液1mLを、[70]PCBM(ソレーヌ社製)が10mg入ったサンプル瓶の中に加え、超音波洗浄機中で30分間超音波照射することにより電子受容性有機半導体溶液Eを得た。溶液Aに替えて溶液Dを用い、溶液Bに替えて溶液Eを用いた他は実施例1と全く同様にして光起電力素子を作製して測定を行った。得られた電流値より算出した結果、光電変換効率(η)は3.06%であった。
TOF−SIMS分析によって、光電変換層中の[70]PCBMの濃度差を算出した結果、平均傾きである濃度差Aは1.5%/nm、存在量差である濃度差Bは63%、平均存在量差である濃度差Cは43%であった。また、原子間力顕微鏡(Veeco社製、Dimension Edge)により任意の光電変換層5μm×5μm、および5μmを測定した結果、表面粗さRaは6.9nm、線粗さRqは4.2nmであった。
(比較例3)
(A−1)に替えて(A−2)を用いた他は比較例1と全く同様にして光起電力素子を作製して測定を行った。得られた電流値より算出した結果、光電変換効率(η)は0.26%であった。
TOF−SIMS分析によって、光電変換層中の[70]PCBMの濃度差を算出した結果、平均傾きである濃度差Aは0.44%/nm、存在量差である濃度差Bは6%、平均存在量差である濃度差Cは−54%であった。
実施例1および2と比較例1〜3の結果を表1にまとめた。実施例1と比較例1、および2との対比から、また、実施例2と比較例3との対比から、光電変換層中、[70]PCBMが濃度差を持つ本発明の光起電力素子は、光電変換効率が向上したことが分かる。
以下、実施例1と同様の方法で作製された[70]PCBMが濃度差を持つ光起電力素子の変換効率から、その溶媒の物性の重要性について示す。
(実施例3)
電子受容性有機半導体溶液の溶媒として、クロロベンゼンを3質量%の割合で混合したジクロロメタン溶液に替えて、1,2−ジクロロベンゼンを3質量%の割合で混合したジクロロメタン溶液を用いた他は実施例1と全く同様にして光起電力素子を作製して測定を行った。得られた電流値より算出した結果、光電変換効率(η)は4.66%であった。また、原子間力顕微鏡(Veeco社製、Dimension Edge)により任意の光電変換層5μm×5μm、および5μmを測定した結果、表面粗さRaは0.2nm、線粗さRqは0.3nmであった。
(実施例4)
電子受容性有機半導体溶液の溶媒として、クロロベンゼンを3質量%の割合で混合したジクロロメタン溶液に替えて、1,2,4−トリクロロベンゼンを3質量%の割合で混合したジクロロメタン溶液を用いた他は実施例1と全く同様にして光起電力素子を作製して測定を行った。得られた電流値より算出した結果、光電変換効率(η)は4.54%であった。また、原子間力顕微鏡(Veeco社製、Dimension Edge)により任意の光電変換層5μm×5μm、および5μmを測定した結果、表面粗さRaは0.3nm、線粗さRqは0.4nmであった。
(実施例5)
電子受容性有機半導体溶液の溶媒として、クロロベンゼンを3質量%の割合で混合したジクロロメタン溶液に替えて、1―クロロナフタレンを3質量%の割合で混合したジクロロメタン溶液を用いた他は実施例1と全く同様にして光起電力素子を作製して測定を行った。得られた電流値より算出した結果、光電変換効率(η)は3.54%であった。また、原子間力顕微鏡(Veeco社製、Dimension Edge)により任意の光電変換層5μm×5μm、および5μmを測定した結果、表面粗さRaは0.3nm、線粗さRqは0.4nmであった。
(実施例6)
電子受容性有機半導体溶液の溶媒として、クロロベンゼンを3質量%の割合で混合したジクロロメタン溶液に替えて、1,3−ジブロモプロパンを3質量%の割合で混合したジクロロメタン溶液を用いた他は実施例1と全く同様にして光起電力素子を作製して測定を行った。得られた電流値より算出した結果、光電変換効率(η)は1.83%であった。また、原子間力顕微鏡(Veeco社製、Dimension Edge)により任意の光電変換層5μm×5μm、および5μmを測定した結果、表面粗さRaは1.8nm、線粗さRqは4.7nmであった。
(実施例7)
電子受容性有機半導体溶液の溶媒として、クロロベンゼンを3質量%の割合で混合したジクロロメタン溶液に替えて、1,1,1,2−テトラクロロエタンを3質量%の割合で混合したジクロロメタン溶液を用いた他は実施例1と全く同様にして光起電力素子を作製して測定を行った。得られた電流値より算出した結果、光電変換効率(η)は3.08%であった。また、原子間力顕微鏡(Veeco社製、Dimension Edge)により任意の光電変換層5μm×5μm、および5μmを測定した結果、表面粗さRaは3.4nm、線粗さRqは4.1nmであった。
(実施例8)
電子受容性有機半導体溶液の溶媒として、クロロベンゼンを3質量%の割合で混合したジクロロメタン溶液に替えて、1,2−ジクロロベンゼンを3質量%の割合で混合したトルエン溶液を用い、C70フラーレン化合物として[70]PCBM 8mgに替えて[70]PCBM 20mgを用いた他は実施例1と全く同様にして光起電力素子を作製して測定を行った。得られた電流値より算出した結果、光電変換効率(η)は4.60%であった。また、原子間力顕微鏡(Veeco社製、Dimension Edge)により任意の光電変換層5μm×5μm、および5μmを測定した結果、表面粗さRaは0.3nm、線粗さRqは0.4nmであった。
(実施例9)
電子受容性有機半導体溶液の溶媒として、クロロベンゼンを3質量%の割合で混合したジクロロメタン溶液に替えて、1,2−ジクロロベンゼンを3質量%の割合で混合した1,2−ジブロモプロパン溶液を用い、C70フラーレン化合物として[70]PCBM 8mgに替えて[70]PCBM 20mgを用いた他は実施例1と全く同様にして光起電力素子を作製して測定を行った。得られた電流値より算出した結果、光電変換効率(η)は4.56%であった。また、原子間力顕微鏡(Veeco社製、Dimension Edge)により任意の光電変換層5μm×5μm、および5μmを測定した結果、表面粗さRaは0.4nm、線粗さRqは0.4nmであった。
(実施例10)
電子受容性有機半導体溶液の溶媒として、クロロベンゼンを3質量%の割合で混合したジクロロメタン溶液に替えて、1,2−ジクロロベンゼンを3質量%の割合で混合した1−ヨードプロパン溶液を用い、C70フラーレン化合物として[70]PCBM 8mgに替えて[70]PCBM 15mgを用いた他は実施例1と全く同様にして光起電力素子を作製して測定を行った。得られた電流値より算出した結果、光電変換効率(η)は4.69%であった。また、原子間力顕微鏡(Veeco社製、Dimension Edge)により任意の光電変換層5μm×5μm、および5μmを測定した結果、表面粗さRaは0.3nm、線粗さRqは0.2nmであった。
(実施例11)
電子受容性有機半導体溶液の溶媒として、クロロベンゼンを3質量%の割合で混合したジクロロメタン溶液に替えて、1,2−ジクロロベンゼンを3質量%の割合で混合した1,3−ジクロロプロパン溶液を用い、C70フラーレン化合物として[70]PCBM 8mgに替えて[70]PCBM 15mgを用いた他は実施例1と全く同様にして光起電力素子を作製して測定を行った。得られた電流値より算出した結果、光電変換効率(η)は3.65%であった。また、原子間力顕微鏡(Veeco社製、Dimension Edge)により任意の光電変換層5μm×5μm、および5μmを測定した結果、表面粗さRaは0.5nm、線粗さRqは0.7nmであった。
(比較例4)
電子受容性有機半導体溶液の溶媒として、クロロベンゼンを3質量%の割合で混合したジクロロメタン溶液に替えて、クロロホルムを3質量%の割合で混合したジクロロメタン溶液を用いた他は実施例1と全く同様にして光起電力素子を作製して測定を行った。得られた電流値より算出した結果、光電変換効率(η)は0.88%であった。また、原子間力顕微鏡(Veeco社製、Dimension Edge)により任意の光電変換層5μm×5μm、および5μmを測定した結果、表面粗さRaは30nm、線粗さRqは12〜70nmであった。
(比較例5)
電子受容性有機半導体溶液の溶媒として、クロロベンゼンを3質量%の割合で混合したジクロロメタン溶液に替えて、クロロベンゼンを3質量%の割合で混合したトルエン溶液を用い、C70フラーレン化合物として[70]PCBM 8mgに替えて[70]PCBM 20mgを用いた他は実施例1と全く同様にして光起電力素子を作製して測定を行った。得られた電流値より算出した結果、光電変換効率(η)は0.89%であった。また、原子間力顕微鏡(Veeco社製、Dimension Edge)により任意の光電変換層5μm×5μm、および5μmを測定した結果、表面粗さRaは29nm、線粗さRqは24〜36nmであった。
(比較例6)
電子受容性有機半導体溶液の溶媒として、クロロベンゼンを3質量%の割合で混合したジクロロメタン溶液に替えて、ジクロロベンゼンを3質量%の割合で混合した1,2−ジブロモロプロパン溶液を用い、C70フラーレン化合物として[70]PCBM 8mgに替えて[70]PCBM 20mgを用いた他は実施例1と全く同様にして光起電力素子を作製して測定を行った。得られた電流値より算出した結果、光電変換効率(η)は0.86%であった。また、原子間力顕微鏡(Veeco社製、Dimension Edge)により任意の光電変換層5μm×5μm、および5μmを測定した結果、表面粗さRaは5.1nm、線粗さRqは6.3nmであった。
(比較例7)
電子受容性有機半導体溶液の溶媒として、クロロベンゼンを3質量%の割合で混合したジクロロメタン溶液に替えて、ジクロロベンゼンを3質量%の割合で混合した1−ヨードプロパン溶液を用い、C70フラーレン化合物として[70]PCBM 8mgに替えて[70]PCBM 15mgを用いた他は実施例1と全く同様にして光起電力素子を作製して測定を行った。得られた電流値より算出した結果、光電変換効率(η)は0.70%であった。また、原子間力顕微鏡(Veeco社製、Dimension Edge)により任意の光電変換層5μm×5μm、および5μmを測定した結果、表面粗さRaは14nm、線粗さRqは19nmであった。
(比較例8)
電子受容性有機半導体溶液の溶媒として、クロロベンゼンを3質量%の割合で混合したジクロロメタン溶液に替えて、ジクロロベンゼンを3質量%の割合で混合した1,3−ジクロロプロパン溶液を用い、C70フラーレン化合物として[70]PCBM 8mgに替えて[70]PCBM 15mgを用いた他は実施例1と全く同様にして光起電力素子を作製して測定を行った。得られた電流値より算出した結果、光電変換効率(η)は0.75%であった。また、原子間力顕微鏡(Veeco社製、Dimension Edge)により任意の光電変換層5μm×5μm、および5μmを測定した結果、表面粗さRaは41nm、線粗さRqは15〜52nmであった。
実施例1および3〜11と比較例2および4〜8の結果を表2にまとめた。実施例1および3〜7と比較例2および4、実施例8と比較例5、実施例9と比較例6、実施例10と比較例7、および実施例11と比較例8との対比から、第1溶媒と第2溶媒の沸点の差が30℃以上でなければならないことが分かる。
次に、実施例1と同様の方法で作製された[70]PCBMが濃度差を持つ光起電力素子の変換効率から、第1溶媒と第2溶媒の比率について示す。
(実施例12)
電子受容性有機半導体溶液の溶媒として、クロロベンゼンを3質量%の割合で混合したジクロロメタン溶液に替えて、クロロベンゼンを1質量%の割合で混合したジクロロメタン溶液を用いた他は実施例1と全く同様にして光起電力素子を作製して測定を行った。得られた電流値より算出した結果、光電変換効率(η)は1.79%であった。また、原子間力顕微鏡(Veeco社製、Dimension Edge)により任意の光電変換層5μm×5μm、および5μmを測定した結果、表面粗さRaは0.5nm、線粗さRqは0.3〜5.4nmであった。
(実施例13)
電子受容性有機半導体溶液の溶媒として、クロロベンゼンを3質量%の割合で混合したジクロロメタン溶液に替えて、クロロベンゼンを5質量%の割合で混合したジクロロメタン溶液を用いた他は実施例1と全く同様にして光起電力素子を作製して測定を行った。得られた電流値より算出した結果、光電変換効率(η)は4.40%であった。また、原子間力顕微鏡(Veeco社製、Dimension Edge)により任意の光電変換層5μm×5μm、および5μmを測定した結果、表面粗さRaは1.2nm、線粗さRqは1.5nmであった。
(実施例14)
電子受容性有機半導体溶液の溶媒として、クロロベンゼンを3質量%の割合で混合したジクロロメタン溶液に替えて、クロロベンゼンを10質量%の割合で混合したジクロロメタン溶液を用いた他は実施例1と全く同様にして光起電力素子を作製して測定を行った。得られた電流値より算出した結果、光電変換効率(η)は3.33%であった。また、原子間力顕微鏡(Veeco社製、Dimension Edge)により任意の光電変換層5μm×5μm、および5μmを測定した結果、表面粗さRaは1.4nm、線粗さRqは1.8nmであった。
(実施例15)
電子受容性有機半導体溶液の溶媒として、クロロベンゼンを3質量%の割合で混合したジクロロメタン溶液に替えて、クロロベンゼンを20質量%の割合で混合したジクロロメタン溶液を用いた他は実施例1と全く同様にして光起電力素子を作製して測定を行った。得られた電流値より算出した結果、光電変換効率(η)は2.87%であった。また、原子間力顕微鏡(Veeco社製、Dimension Edge)により任意の光電変換層5μm×5μm、および5μmを測定した結果、表面粗さRaは0.7nm、線粗さRqは0.7nmであった。
(実施例16)
電子受容性有機半導体溶液の溶媒として、クロロベンゼンを3質量%の割合で混合したジクロロメタン溶液に替えて、クロロベンゼンを50質量%の割合で混合したジクロロメタン溶液を用いた他は実施例1と全く同様にして光起電力素子を作製して測定を行った。得られた電流値より算出した結果、光電変換効率(η)は1.63%であった。また、原子間力顕微鏡(Veeco社製、Dimension Edge)により任意の光電変換層5μm×5μm、および5μmを測定した結果、表面粗さRaは0.5nm、線粗さRqは0.4nmであった。
実施例1および12〜16と比較例2の結果を表3にまとめた。実施例1および12〜16と比較例2との対比から、第1溶媒と第2溶媒の比率が99:1〜50:50において有用であることが分かる。
1 基板
2 陽極
3 光電変換層
4 陰極
5 最大存在量の深さ
6 最小存在量の深さ
10 光起電力素子

Claims (12)

  1. 70フラーレン化合物を含む電子受容性有機半導体と電子供与性有機半導体とを有する光電変換層を備え、該光電変換層を陽極および陰極で挟持した光起電力素子であって、
    前記光電変換層中、C70フラーレン化合物が前記陰極側から前記陽極側に高い濃度差を持って存在することを特徴とする光起電力素子。
  2. 前記電子受容性有機半導体は、前記C70フラーレン化合物を1〜100質量%含むことを特徴とする請求項1に記載の光起電力素子。
  3. 前記陰極と前記光電変換層界面から前記光電変換層の1/2の深さまでの前記C70フラーレン化合物の存在量の平均値M1aと、前記陽極と前記光電変換層界面から前記光電変換層の1/2の深さまでの前記C70フラーレン化合物の存在量の平均値M2aとの差(M1a−M2a)は、平均値M1aの20%以上であることを特徴とする請求項1または2に記載の光起電力素子。
  4. 前記陰極と前記光電変換層界面から前記光電変換層の1/2の深さまでの前記C70フラーレン化合物の相対的な最大存在量Mを示す深さdから、前記陽極と前記光電変換層界面から前記光電変換層の1/2の深さまでの前記C70フラーレン化合物の相対的な最小存在量Mを示す深さdまでの、前記C70フラーレン化合物の存在量の平均傾き(M−M)/(d−d)が、1%/nm以上であることを特徴とする請求項3に記載の光起電力素子。
  5. 前記陰極と前記光電変換層界面から前記光電変換層の1/2の深さまでの前記C70フラーレン化合物の最大存在量Mと、前記陽極と前記光電変換層界面から前記光電変換層の1/2の深さまでの前記C70フラーレン化合物の最小存在量Mとの差(M−M)が、最大存在量Mの60%以上であることを特徴とする請求項3に記載の光起電力素子。
  6. 前記C70フラーレン化合物を含む光電変換層の線粗さRqは、0nm〜6nmであることを特徴とする請求項1〜5のいずれか一つに記載の光起電力素子。
  7. 前記C70フラーレン化合物を含む光電変換層の表面粗さRaは、0nm〜5nmであることを特徴とする請求項1〜5のいずれか一つに記載の光起電力素子。
  8. 前記光電変換層中、前記電子供与性有機半導体が前記陽極側から前記陰極側に高い濃度差を持って存在することを特徴とする請求項1〜7のいずれか一つに記載の光起電力素子。
  9. 70フラーレン化合物を含む電子受容性有機半導体と、電子供与性有機半導体とを有する光電変換層を備え、該光電変換層を陽極および陰極で挟持した光起電力素子の製造方法であって、
    前記陽極表面に電子供与性有機半導体材料を含む溶液を塗布して前記電子供与性有機半導体層を作製する第1工程と、
    前記電子供与性有機半導体層に、前記C70フラーレン化合物を含む電子受容性有機半導体溶液を塗布して、前記C70フラーレン化合物が前記陰極側から前記陽極側に高い濃度差を持って存在する光電変換層を作製する第2工程と、を有し、
    前記電子受容性有機半導体溶液の溶媒として、少なくとも電子供与性有機半導体材料の溶解度が5g/L未満であり、前記C70フラーレン化合物の溶解度が5g/L以上である第1溶媒と、前記C70フラーレン化合物の溶解度が20g/L以上であり、前記第1溶媒よりも沸点が30℃以上高い第2溶媒とを含むことを特徴とする光起電力素子の製造方法。
  10. 前記第1溶媒と前記第2溶媒との質量分率が、50:50〜99:1の範囲であることを特徴とする請求項9に記載の光起電力素子の製造方法。
  11. 前記第2溶媒は、前記C70フラーレン化合物の溶解度が100g/L以上であることを特徴とする請求項9または10に記載の光起電力素子の製造方法。
  12. 前記第1溶媒は、前記C70フラーレン化合物の溶解度が10g/L以上であることを特徴とする請求項9〜11のいずれか一つに記載の光起電力素子の製造方法。
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