JP2011124551A - 凹凸構造体の製造方法およびそれを用いた光起電力素子 - Google Patents

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Abstract

【課題】より簡易に凹凸構造体を製造する方法を提供すること。
【解決手段】(1)少なくとも高分子化合物および該高分子化合物と相分離構造を形成する低分子化合物を含む塗布材料を基材上に塗布して塗布膜を形成する工程、(2)前記塗布膜から低分子化合物の少なくとも一部を選択的に除去して凹凸構造の鋳型を形成する工程、(3)前記鋳型の凹部の少なくとも一部を充填材料で充填する工程、および(4)前記鋳型の凸部の少なくとも一部を除去する工程を有する凹凸構造体の製造方法。
【選択図】図1

Description

本発明は凹凸構造体の製造方法およびそれを用いた光起電力素子に関する。
太陽電池は環境に優しい電気エネルギー源として、現在深刻さを増すエネルギー問題に対して有力なエネルギー源と注目されている。現在、太陽電池の光起電力素子の半導体材料としては、単結晶シリコン、多結晶シリコン、アモルファスシリコン、化合物半導体などの無機物が使用されている。しかし、無機半導体を用いて製造される太陽電池は、火力発電や原子力発電などの発電方式と比べてコストが高いために、一般家庭に広く普及するには至っていない。コスト高の要因は主として、真空かつ高温下で半導体薄膜を形成するプロセスにある。そこで、製造プロセスの簡略化が期待される半導体材料として、共役系重合体や有機結晶などの有機半導体や有機色素を用いた有機太陽電池が検討されている。このような有機太陽電池においては、半導体材料を塗布法で作製することが可能なため、製造プロセスを簡略化することができる。
しかし、共役系重合体などを用いた従来の有機太陽電池は、従来の無機半導体を用いた太陽電池と比べて光電変換効率が低いために、まだ実用化には至っていない。従来の共役系重合体を用いた有機太陽電池の光電変換効率が低い理由として、主に次の2点が挙げられる。第1に、入射光によって生成された電子と正孔が分離しにくいエキシトンと呼ばれる束縛状態が形成されやすいことである。第2に、キャリア(電子、正孔)を捕獲するトラップが形成されやすいため、生成したキャリアがトラップに捕獲されやすく、キャリアの移動度が低いことである。すなわち、半導体材料には一般にその材料が有するキャリアに高い移動度μが要求されるが、共役系重合体では従来の無機結晶半導体やアモルファスシリコンと比べて移動度μが低いという課題がある。
このため、生成した電子と正孔をエキシトンから効率的に分離する手段と、共役系重合体の非晶領域や共役系重合体鎖間でのキャリアの散乱やトラップによるキャリアの捕捉を抑制して移動度を向上できる手段を見出すことが、有機半導体材料による太陽電池を実用化するための鍵となる。
これまでに知られている有機半導体による光起電力素子は、現在のところ一般的に次のような素子構成に分類することができる。電子供与性有機材料(p型有機半導体)と仕事関数の小さい金属を接合させるショットキー型、電子受容性有機材料(n型有機半導体)と電子供与性有機材料(p型有機半導体)を接合させるヘテロ接合型などである。これらの光起電力素子は、接合部の有機層(数分子層程度)のみが光電流生成に寄与するため、光電変換効率が低い。
そこで、光電変換効率向上の一つの方法として、電子受容性有機材料(n型有機半導体)と電子供与性有機材料(p型有機半導体)を混合し、光電変換を生じるpn接合面の面積を増加させたバルクヘテロ接合型(例えば、非特許文献1参照)が提案されている。例えば、電子供与性有機材料(p型有機半導体)として共役系重合体を用い、電子受容性有機材料としてn型の半導体特性をもつ導電性高分子のほかC60などのフラーレンやカーボンナノチューブを用いた光電変換材料が提案されている(例えば、非特許文献2、特許文献1〜2参照)。
バルクヘテロ接合型光起電力素子では、光照射によって生成した電荷が活性層中を素早く移動し、活性層を挟持する電極に到達できなければ、正電荷と負電荷が再結合して光電変換効率が低下する。これに対し、バルクヘテロ接合型光起電力素子に、基板に垂直方向に酸化亜鉛ナノロッドを配置することによって電荷を素早く取り出し、光電変換効率を向上させることが提案されている(例えば、非特許文献3参照)。酸化亜鉛ナノロッドを配置し、活性層と酸化亜鉛に凹凸構造を形成することによって、電荷は活性層中をわずかに移動するだけで酸化亜鉛ナノロッドに捕捉され、電荷再結合が生じるよりも早くに外部回路に電荷が運ばれる。
一方、凹凸構造体の製造方法としては、これまでに様々な方法が開示されている。例えば、基板上に酸化亜鉛を含む溶液を塗布し、500℃で熱処理することによって酸化亜鉛種結晶層を設け、種結晶をさらに結晶成長させることによって酸化亜鉛の凹凸構造体を製造する方法が開示されている(例えば、非特許文献3参照)。また、少なくとも1つの熱分解性ポリマー鎖を有するブロックコポリマーまたはグラフトコポリマーを含有するパターン形成材料からなる成形体を形成する工程と、前記成形体をアニールしてミクロ相分離構造を形成する工程と、熱分解温度以上に加熱することによって、前記ミクロ相分離構造から熱分解ポリマー相を除去して多孔質構造体を形成する工程と、前記多孔質構造体の空孔に無機物質を充填する工程を具備する多孔質構造体の製造方法が開示されている(例えば、特許文献3参照)。また、主鎖がエネルギー線の照射により切断されるポリマー鎖とエネルギー線に対して難分解性のポリマー鎖とを有するブロックコポリマーやグラフトコポリマーからなる成形体を相分離させ、エネルギー線照射と現像によって一つのポリマー相を除去して多孔質構造体を作製する方法が開示されている。また、三次元ネットワーク構造を形成し得る金属または金属酸化物の原料を三次元網目状有機高分子ゲルに導入し、ゲル間隙の溶媒を除去することにより、有機高分子ゲルを鋳型または反応場とした無機−有機構造を有する三次元ネットワーク構造体の前駆体を形成し、当該前駆体中の有機高分子ゲルを除去する金属または金属酸化物の三次元ネットワーク構造体の製造方法が開示されている(例えば、特許文献4参照)。
その他、バルクヘテロ接合型光起電力素子の活性層のポリマーネットワークを観察する方法として、基板上に製膜したπ共役ポリマーとフラーレン誘導体の混合膜をアルカンジチオールで洗浄し、フラーレン誘導体のみを溶解させることによってπ共役ポリマーを観察する方法が開示されている(例えば、非特許文献4参照)。
特開2003−347565号公報 特開2004−165474号公報 特開2007−297644号公報 特開2005−88089号公報
「ネイチャー(Nature)」、1995年、376巻、498−500頁 「アプライド フィジクス レターズ(Applied Physics Letters)」、(米国)、2002年、80巻、112−114頁 「ジャーナル オブ フィジカル ケミストリー C(Journal of Physical Chemistry C)」、(米国)、2007年、111巻、7218−7223頁 「ジャーナル オブ ザ アメリカン ケミカル ソサイエティー(Journal of the American Chemical Society)」、(米国)、2008年、130巻、3619−3623頁
しかしながら、開示されているような方法では、凹凸構造や多孔質構造作製のために、例えば高温や長時間の熱処理、またはエネルギー線照射が必要である。そこで、本発明はより簡易に凹凸構造体を製造する方法を提供することを目的とする。
本発明は、(1)少なくとも高分子化合物および該高分子化合物と相分離構造を形成する低分子化合物を含む塗布材料を基材上に塗布して塗布膜を形成する工程、(2)前記塗布膜から低分子化合物の少なくとも一部を選択的に除去して凹凸構造の鋳型を形成する工程、(3)前記鋳型の凹部の少なくとも一部を充填材料で充填する工程、および(4)前記鋳型の凸部の少なくとも一部を除去する工程を有する凹凸構造体の製造方法である。
本発明によれば、高温や長時間の熱処理やエネルギー線照射を必要とせずに、簡易な方法で凹凸構造体を製造することができる。また、本発明の製造方法により得られる凹凸構造体を用いることによって、光電変換効率の高い光起電力素子を提供することができる。

本発明の凹凸構造体の製造方法の一態様を示す模式断面図。 本発明の光起電力素子の一態様を示す模式断面図。 本発明の光起電力素子の別の一態様を示す模式断面図。 本発明の光起電力素子の別の一態様を示す模式断面図。 本発明の光起電力素子の別の一態様を示す模式断面図。 本発明の光起電力素子の別の一態様を示す模式断面図。 本発明の光起電力素子の別の一態様を示す模式断面図。 本発明の光起電力素子の別の一態様を示す模式断面図。 本発明の光起電力素子の別の一態様を示す模式断面図。 本発明の光起電力素子の別の一態様を示す模式断面図。 本発明の光起電力素子の別の一態様を示す模式断面図。 本発明の光起電力素子の別の一態様を示す模式断面図。 実施例1におけるPEDOT:PSS膜の表面AFM像。 実施例1における高分子化合物:低分子化合物塗布膜の表面AFM像。 実施例1における鋳型の表面AFM像。 実施例1におけるPEDOT:PSS充填後の鋳型の表面AFM像。 凹凸構造体Iの表面AFM像。 凹凸構造体IIの表面AFM像。 実施例3におけるITO透明導電層の表面AFM像。 凹凸構造体IIIの表面AFM像。 実施例7における鋳型の表面AFM像。 実施例7におけるPEDOT:PSS充填後の鋳型の表面AFM像。 凹凸構造体IVの表面AFM像。
本発明において、凹凸構造体とは凸部と凹部を有するものを指し、その材料は限定されない。凸部の形状としては、突起状、円柱状、壁状、椀状などが挙げられ、それらが2次元または3次元的に繋がりあっていても構わない。凹部は前記凸部が配置されることによって生じた隙間であり、その形状は限定されない。凸部と凹部それぞれの幅または径は、がナノメートルスケール〜マイクロメートルスケールであることが好ましい。例えば、円柱状凸部を有する場合、円柱の直径がナノメートルスケール〜マイクロメートルスケールであり、隣接する円柱間の隙間もナノメートルスケール〜マイクロメートルスケールであることが好ましい。また、凹部と凸部の高さの差は、ナノメートルスケール〜マイクロメートルスケールであることが好ましい。凹部と凸部の高さの差は凹凸構造体の表面粗さ(Ra)に反映されるため、Raもナノメートルスケール〜マイクロメートルスケールであることが好ましい。
本発明の凹凸構造体の製造方法は、(1)少なくとも高分子化合物および該高分子化合物と相分離構造を形成する低分子化合物を含む塗布材料を基材上に塗布して塗布膜を形成する工程、(2)前記塗布膜から低分子化合物の少なくとも一部を選択的に除去して凹凸構造の鋳型を形成する工程、(3)前記鋳型の凹部の少なくとも一部を充填材料で充填する工程、および(4)前記鋳型の凸部の少なくとも一部を除去する工程を有することを特徴とする。
本発明の凹凸構造体の製造方法によれば、高分子化合物と低分子化合物の相分離膜を鋳型に加工する工程において、高分子化合物と低分子化合物の溶解性などの物性差を利用して簡易に鋳型を作製することができ、その結果、簡易に凹凸構造体を製造することが可能である。
図1に、本発明の凹凸構造体の製造方法の一態様を示す模式断面図を示す。以下、図1を用いて本発明の凹凸構造体の製造方法の例について説明する。
本発明の凹凸構造体の製造方法は、(1)少なくとも高分子化合物および該高分子化合物と相分離構造を形成する低分子化合物を含む塗布材料を基材上に塗布して塗布膜を形成する工程を有する。この工程を図(1)に示す。高分子化合物2と、高分子化合物2と相分離構造を形成する低分子化合物3とを含む塗布材料を、基材1上に塗布して塗布膜を形成する工程である。
基材としては、塗布膜が形成できるものを適宜選択して用いることができる。例えば、無アルカリガラス、石英ガラスなどの無機材料、ポリエステル、ポリカーボネート、ポリオレフィン、ポリアミド、ポリイミド、ポリフェニレンスルフィド、ポリパラキシレン、エポキシ樹脂、フッ素系樹脂などの有機材料から任意の方法によって作製されたフィルムや板が使用可能である。
本発明において、高分子化合物とは、重合体など多数の原子が共有結合してできる数平均分子量2000以上の化合物を指す。高分子化合物は特に限定されないが、適度に溶解性を有することが好ましい。このような高分子化合物を用いることによって、主に高分子化合物で形成される鋳型を除去する際に溶媒洗浄などの方法により容易に除去することができる。
本発明において、低分子化合物とは、分子量が2000より小さい化合物を指す。低分子化合物は特に限定されないが、適度に溶解性を有することが好ましい。このような低分子化合物を用いることによって、鋳型を形成する工程において低分子化合物を除去する際に溶媒洗浄などの方法により容易に除去することができる。
本発明において、高分子化合物と低分子化合物とが相分離構造を形成することが必要である。相分離構造を形成した塗布膜から、後述する(2)の工程において低分子化合物の少なくとも一部を選択的に除去することによって、鋳型を形成するためである。もし、高分子化合物と低分子化合物が相分離せずに相溶するならば、低分子化合物を選択的に除去することが困難となる。相分離構造の各相の大きさは、ナノメートルスケール〜マイクロメートルスケールが好ましい。この相分離スケールは鋳型に反映され、その結果、凹凸構造体の凸部と凹部それぞれの幅または径をナノメートルスケール〜マイクロメートルスケールに容易に調整することができる。
相分離構造を形成する高分子化合物と低分子化合物の組み合わせとしては、例えば、共役系高分子とフラーレン化合物の組み合わせが挙げられる。ジャーナル オブ ザ アメリカン ケミカル ソサイエティー(Journal of the American Chemical Society)、(米国)、2008年、130巻、3619−3623頁に記載されるように、共役系高分子とフラーレン化合物の塗布膜は相分離構造を形成する。さらに、適当な添加剤の添加や溶媒の選択によって、相分離構造の各相の大きさを変化させることができる。
共役系高分子としては、例えば、ポリチオフェン系重合体、2,1,3−ベンゾチアジアゾール−チオフェン系共重合体、キノキサリン−チオフェン系共重合体、ポリ−p−フェニレンビニレン系重合体、ポリ−p−フェニレン系重合体、ポリフルオレン系重合体、ポリピロール系重合体、ポリアニリン系重合体、ポリアセチレン系重合体、ポリチエニレンビニレン系重合体などが挙げられる。これらを2種以上含有してもよい。ここで、例えばポリチオフェン系重合体とは、チオフェン骨格を主鎖に有する共役系重合体を指す。
フラーレン化合物とはフラーレンまたはその誘導体のことであり、具体的には、C60、C70、C76、C78、C82、C84、C90、C94を始めとする無置換のものと、[6,6]−フェニル C61 ブチリックアシッドメチルエステル([6,6]−C61−PCBM、または[60]PCBM)、[5,6]−フェニル C61 ブチリックアシッドメチルエステル、[6,6]−フェニル C61 ブチリックアシッドヘキシルエステル、[6,6]−フェニル C61 ブチリックアシッドドデシルエステル、フェニル C71 ブチリックアシッドメチルエステル([70]PCBM)を始めとする置換誘導体などが挙げられる。これらを2種以上含有してもよい。
また、その他にも、高分子化合物と高沸点液体化合物の組み合わせが挙げられる。ここで、高沸点液体化合物とは、常温常圧で基板上にスピンコート(1000rpm、30秒程度)しても完全に気化しない程度に揮発性が小さく、常温常圧で液体であり、組み合わせる高分子化合物への溶解性が小さな化合物のことである。
具体的には、ヨードエタン、1−ヨードプロパン、2−ヨードプロパン、1−ヨードブタン、1−ヨードオクタンや1,3−ジヨードプロパン、1,8−ジヨードオクタンなどのヨード化合物や、エタンチオール、1−プロパンチオール、2−プロパンチオール、1−ブタンチオール、1−オクタンチオールや1,2−エタンジチオール、1,3−プロパンジチオール、1,8−オクタンジチオールなどのチオール化合物、N,N−ジメチルホルムアミドやN−メチルピロリドンなどのアミド化合物、ジメチルスルホキシドなどのスルホキド化合物、その他にもアルコール類やケトン類、エステル化合物などが挙げられる。組み合わせる高分子化合物への溶解性などに応じて適当な低分子化合物を用いればよい。また、これらを2種以上含有してもよい。
共役系高分子と高沸点液体化合物が相分離していることは、後述する(2)の工程において低分子化合物の少なくとも一部を選択的に除去したあとに、高分子化合物の凹凸構造が形成されることから間接的に確認することができる。
塗布材料は、上記高分子化合物と低分子化合物に加えて、本発明の目的を阻害しない範囲において、相分離構造を形成しない界面活性剤やバインダー樹脂、フィラーなどを含有してもよい。また、溶媒を含有することが好ましい。溶媒としては、例えば、トルエン、キシレン、アセトン、酢酸エチル、テトラヒドロフラン、ジクロロメタン、クロロホルム、ジクロロエタン、クロロベンゼン、ジクロロベンゼン、トリクロロベンゼンなどが挙げられる。
上記高分子化合物と低分子化合物、さらに必要によりその他成分を含む塗布材料を基材上に塗布することにより、塗布膜を形成する。塗布方法としては、スピンコート塗布、ブレードコート塗布、スリットダイコート塗布、スクリーン印刷塗布、バーコーター塗布、鋳型塗布、印刷転写法、浸漬引き上げ法、インクジェット法、スプレー法などを挙げることができる。塗布膜の厚さ調整や配向制御など、得ようとする塗布膜の特性に応じて、塗布方法を選択すればよい。
本発明の凹凸構造体の製造方法は、(2)前記塗布膜から低分子化合物の少なくとも一部を選択的に除去して凹凸構造の鋳型を形成する工程を有する。この工程を図1(2)に示す。図1(1)で形成した塗布膜から低分子化合物3を選択的に除去して、凹凸構造の鋳型を形成する工程である。低分子化合物を実質的に全て除去してもよいし、部分的に除去してもよい。
低分子化合物を選択的に除去する方法としては、例えば、低分子化合物の溶解性が高く、高分子化合物の溶解性が低い溶媒を用いて塗布膜を洗浄する方法が挙げられる。洗浄溶媒は、用いる高分子化合物と低分子化合物に応じて適宜選択すればよい。例えば、高分子化合物として共役系高分子を、低分子化合物としてフラーレン化合物を用いる場合、アルカンチオール化合物を用いて塗布膜を洗浄することにより、フラーレン化合物を選択的に除去できる。アルカンチオール化合物としては、例えば、エタンチオール、1−プロパンチオール、2−プロパンチオール、1−ブタンチオール、1−オクタンチオールや1,2−エタンジチオール、1,3−プロパンジチオール、1,8−オクタンジチオールなどが挙げられる。これらを2種以上用いてもよい。その他、高分子化合物として共役系高分子を、低分子化合物として高沸点液体化合物を用いる場合、アセトンなどを用いて塗布膜を洗浄することにより、高沸点液体化合物を選択的に除去できる。
塗布膜の洗浄方法としては、例えば、浸漬やスプレー、シャワーなどによる洗浄方法を用いることができる。除去したい低分子化合物量に応じ、上記方法を2回以上行ってもよいし、2種以上の洗浄方法を組み合わせてもよい。例えば、低分子化合物をほぼ完全に除去する場合、浸漬を繰り返すことが好ましい。
本発明の凹凸構造体の製造方法は、(3)前記鋳型の凹部の少なくとも一部を充填材料で充填する工程を有する。この工程を図1(3)に示す。図1(2)で形成した鋳型の凹部を、充填材料4で充填する工程である。凹部を実質的に全て充填してもよいし、部分的に充填してもよい。
充填材料は、鋳型に充填する工程において鋳型を壊さないこと、充填材料またはその反応物が後述する(4)の工程において除去されないことを満たす材料であれば、特に限定されない。例えば、ポリエチレンジオキシチオフェン(PEDOT)、ポリスチレンスルホネート(PSS)やこれらの混合物、無機物などが挙げられる。無機物としては、例えば、チタン酸化物、亜鉛酸化物、インジウム亜鉛酸化物、アルミニウム亜鉛酸化物、ガリウム亜鉛酸化物、モリブデン酸化物などの金属酸化物や、銀、金、銅、白金、アルミニウムなどの金属が挙げられる。これらを2種以上用いてもよい。
PEDOTとPSSとの混合物は、通常水溶液として用いられ、乾燥させることにより不溶化する。そのため、鋳型が非水溶性であれば、PEDOTとPSSとの混合物を水溶液にして鋳型に塗布し、乾燥させることにより、鋳型の凹部をPEDOTとPSSとの混合物で充填することができる。塗布方法としては、前記(1)の工程について例示した方法を挙げることができる。乾燥方法としては、加熱処理や真空乾燥などの方法を挙げることができる。
鋳型の凹部に金属酸化物を充填する方法としては、金属アルコキシド、金属有機錯体などの金属酸化物前駆体溶液を鋳型に塗布し、熱処理などによって金属酸化物前駆体を金属酸化物に変換する方法が挙げられる。金属を充填する方法としては、金属微粒子や金属ナノ粒子を含む溶液を鋳型に塗布し、乾燥させる方法が挙げられる。いずれの場合も、塗布方法および乾燥方法は、PEDOTとPSSとの混合物の場合に例示した方法を用いることができる。
本発明の凹凸構造体の製造方法は、(4)前記鋳型の凸部の少なくとも一部を除去する工程を有する。この工程を図(4)に示す。図1(2)で形成した鋳型の凸部を除去する工程であり、充填材料4の凹凸構造が形成される。鋳型の凸部を実質的に全て除去してもよいし、部分的に除去してもよい。
鋳型の凸部を除去する方法としては、例えば、鋳型を構成する材料の溶解性が高く、充填材料の溶解性が低い溶媒を用いて洗浄する方法が挙げられる。洗浄溶媒は、上記の要件を満たす溶媒であれば特に限定されず、鋳型を構成する材料に応じて適宜選択すればよい。例えば、前記(1)の工程における塗布材料に含まれる溶媒として例示した溶媒が、溶解性の点で好ましい。
鋳型の洗浄方法としては、例えば、浸漬やスプレー、シャワーなどによる洗浄方法を用いることができる。除去したい鋳型の量に応じ、上記方法を2回以上行ってもよいし、2種以上の洗浄方法を組み合わせてもよい。例えば、鋳型をほぼ完全に除去する場合、浸漬を繰り返すことが好ましい。
上記の方法で製造された凹凸構造体は、光起電力素子に好ましく用いることができる。すなわち、少なくともいずれか一方が光透過性を有する第1電極および第2電極、前記第1電極と前記第2電極に挟持された活性層、および必要により前記第1電極または前記第2電極と前記活性層との間に正孔取り出し層または電子取り出し層を有する光起電力素子であって、前記活性層に隣接する第1電極、第2電極、正孔取り出し層または電子取り出し層が上記製造方法で製造される凹凸構造体で構成され、その凹凸面が前記活性層側に配される光起電力素子である。
本発明の光起電力素子は、活性層に隣接する第1電極、第2電極、正孔取り出し層または電子取り出し層が本発明の製造方法で製造される凹凸構造体で形成され、その凹凸面が活性層側に配されることを特徴とする。このように凹凸構造体の凹凸面と活性層が接することによって、活性層で発生した電荷は容易に凹凸構造体に捕捉され、素早く外部回路へと取り出される。これにより、短絡電流密度(Isc)またはフィルファクター(FF)が向上することによって光電変換効率が向上する。凹凸構造体は第1電極、第2電極、正孔取り出し層または電子取り出し層のいずれであってもかまわないし、これらの2層以上であってもかまわない。凹凸構造体が正孔取り出し層または電子取り出し層である場合、さらに別の正孔取り出し層または電子取り出し層を設けてもよい。
図2は、本発明の光起電力素子の一態様を示す模式断面図である。基板9の上に第2電極8、凹凸構造体で構成される正孔取り出し層7、活性層6および第1電極5をこの順に有する。
図3は、本発明の光起電力素子の別の一態様を示す模式断面図である。基板9の上に第2電極8、凹凸構造体で構成される電子取り出し層10、活性層6および第1電極5をこの順に有する。
図4は、本発明の光起電力素子の別の一態様を示す模式断面図である。基板9の上に第2電極8と凹凸構造体で構成される第2電極11を有し、さらに活性層6および第1電極5をこの順に有する。
図5は、本発明の光起電力素子の別の一態様を示す模式断面図である。基板9の上に第2電極8、正孔取り出し層13と凹凸構造体で構成される正孔取り出し層12、活性層6および第1電極5をこの順に有する。
図6は、本発明の光起電力素子の別の一態様を示す模式断面図である。基板9の上に第2電極8、凹凸構造体で構成される正孔取り出し層12、活性層6、電子取り出し層14および第1電極5をこの順に有する。
図7は、本発明の光起電力素子の別の一態様を示す模式断面図である。基板9の上に第2電極8、電子取り出し層14、凹凸構造体で構成される電子取り出し層10、活性層6および第1電極5をこの順に有する。
図8は、本発明の光起電力素子の別の一態様を示す模式断面図である。基板9の上に第2電極8、凹凸構造体で構成される電子取り出し層10、活性層6、正孔取り出し層13、第1電極5をこの順に有する。
図9は、本発明の光起電力素子の別の一態様を示す模式断面図である。基板9の上に第2電極8と凹凸構造体で構成される第2電極11を有し、さらに活性層6、正孔取り出し層13および第1電極5をこの順に有する。
図10は、本発明の光起電力素子の別の一態様を示す模式断面図である。基板9の上に第2電極8と凹凸構造体で構成される第2電極11を有し、さらに活性層6、電子取り出し層14および第1電極5をこの順に有する。
図11は、本発明の光起電力素子の別の一態様を示す模式断面図である。基板9の上に第2電極8、正孔取り出し層13、凹凸構造体で構成される正孔取り出し層12、活性層6、電子取り出し層14および第1電極5をこの順に有する。
図12は、本発明の光起電力素子の別の一態様を示す模式断面図である。基板9の上に第2電極8、電子取り出し層14、凹凸構造体で構成される電子取り出し層10、活性層6、正孔取り出し層13および第1電極5をこの順に有する。
基板は、電極や活性層が積層できるものを選択して用いることができる。例えば、無アルカリガラス、石英ガラスなどの無機材料、ポリエステル、ポリカーボネート、ポリオレフィン、ポリアミド、ポリイミド、ポリフェニレンスルフィド、ポリパラキシレン、エポキシ樹脂、フッ素系樹脂などの有機材料から任意の方法によって作製されたフィルムや板が使用可能である。また、基板側から光を入射させる場合は、基板の光透過率は60〜100%が好ましい。ここで、光透過率とは、
[透過光強度(W/m)/入射光強度(W/m)]×100(%)
で与えられる値である。
本発明の光起電力素子は、第1電極または第2電極は光透過性を有する。少なくともいずれか一方が光透過性を有すればよく、両方が光透過性を有してもよい。ここで光透過性を有するとは、活性層に入射光が到達して起電力が発生する程度のことをいう。すなわち、光透過率として0%を超える値を有する場合、光透過性を有するという。この光透過性を有する電極は、400nm以上900nm以下の全ての波長領域において60〜100%の光透過率を有することが好ましい。また、光透過性を有する電極の厚さは十分な導電性が得られればよく、材料によって異なるが、20nm〜300nmが好ましい。なお、光透過性を有さない電極は、導電性があれば十分であり、厚さも特に限定されない。
電極材料としては、正孔取り出し電極には仕事関数の大きな導電性材料、もう一方の電子取り出し電極には仕事関数の小さな導電性材料を使用することが好ましい。
仕事関数の大きな導電性材料としては、金、白金、クロム、ニッケル、銅などの金属、透明性を有するインジウム、スズなどの金属酸化物や複合金属酸化物(インジウム錫酸化物(ITO)、インジウム亜鉛酸化物(IZO)、アルミニウム亜鉛酸化物(AZO)、ガリウム亜鉛酸化物(GZO)など)、導電性高分子が好ましく用いられる。
正孔取り出し電極と活性層の間に、正孔取り出し層を有することが好ましい。正孔取り出し層により、キャリアを取り出すために適した界面状態を形成できる。さらに、電極間の短絡を防止する効果がある。正孔取り出し層を形成する材料としては、ドーパントを含むポリチオフェン系重合体、ポリ−p−フェニレンビニレン系重合体、ポリフルオレン系重合体などの導電性高分子や、酸化モリブデンなどの金属酸化物が好ましく用いられる。なお、ポリチオフェン系重合体、ポリ−p−フェニレンビニレン系重合体、ポリフルオレン系重合体とは、それぞれチオフェン骨格、p−フェニレンビニレン骨格、フルオレン骨格を主鎖に有する重合体を指す。これらの中でも、ドーパントを含む導電性高分子が好ましく、ドーパントを含むポリチオフェン系重合体がより好ましい。さらに好ましくはドーパントを含むポリエチレンジオキシチオフェンなどのポリチオフェン系重合体、特にPEDOTとPSSの混合物である。
仕事関数の小さな導電性材料としては、リチウムなどのアルカリ金属、マグネシウムやカルシウムなどのアルカリ土類金属、錫、銀、銅、アルミニウムなどや、複合金属酸化物(インジウム錫酸化物(ITO)、インジウム亜鉛酸化物(IZO)、アルミニウム亜鉛酸化物(AZO)、ガリウム亜鉛酸化物(GZO)など)が好ましく用いられる。さらに、上記の金属からなる合金や上記の金属の積層体からなる電極も好ましく用いられる。
電子取り出し電極と活性層の間に、電子取り出し層を有してもよい。電子取り出し層を形成する材料としては、フッ化リチウム、フッ化セシウムなどの金属フッ化物や、チタン酸化物、亜鉛酸化物などの金属酸化物が好ましく用いられる。
次に、本発明の光起電力素子における活性層について説明する。活性層は、前記第1電極および第2電極に挟持され、上記製造方法で製造される凹凸構造体の凹凸面に接する。活性層は、少なくとも後述する電子供与性有機半導体および電子受容性有機半導体を含むことが好ましく、例えば、電子供与性有機半導体と電子受容性有機半導体の混合物からなる層や、電子供与性有機半導体層と電子受容性有機半導体層とを積層したものが挙げられる。電子供与性有機半導体または電子受容性有機半導体を2種以上含有してもよい。本発明における電子供与性有機半導体と電子受容性有機半導体は、混合されていることが好ましい。活性層における電子供与性有機半導体と電子受容性有機半導体の含有比率は特に限定されないが、電子供与性有機半導体:電子受容性有機半導体の重量分率が、1〜99:99〜1の範囲であることが好ましく、より好ましくは10〜90:90〜10の範囲であり、さらに好ましくは20〜60:80〜40の範囲である。活性層は、電子供与性有機半導体および電子受容性有機半導体が光吸収によって光起電力を生じるのに十分な厚さがあればよい。材料によって異なるが、10nm〜1000nmの厚さが好ましく、より好ましくは50nm〜500nmである。本発明における活性層は、本発明の目的を阻害しない範囲において、界面活性剤やバインダー樹脂、フィラーなどの他の成分を含んでいてもよい。
電子供与性有機半導体は、p型半導体特性を示す有機物であれば特に限定されない。例えば、ポリチオフェン系重合体、2,1,3−ベンゾチアジアゾール−チオフェン系共重合体、キノキサリン−チオフェン系共重合体、ポリ−p−フェニレンビニレン系重合体、ポリ−p−フェニレン系重合体、ポリフルオレン系重合体、ポリピロール系重合体、ポリアニリン系重合体、ポリアセチレン系重合体、ポリチエニレンビニレン系重合体などの共役系重合体や2,1,3−ベンゾチアジアゾール−チオフェン系化合物、Hフタロシアニン(HPc)、銅フタロシアニン(CuPc)、亜鉛フタロシアニン(ZnPc)などのフタロシアニン誘導体、ポルフィリン誘導体、N,N’−ジフェニル−N,N’−ジ(3−メチルフェニル)−4,4’−ジフェニル−1,1’−ジアミン(TPD)、N,N’−ジナフチル−N,N’−ジフェニル−4,4’−ジフェニル−1,1’−ジアミン(NPD)などのトリアリールアミン誘導体、4,4’−ジ(カルバゾール−9−イル)ビフェニル(CBP)などのカルバゾール誘導体、オリゴチオフェン誘導体(ターチオフェン、クウォーターチオフェン、セキシチオフェン、オクチチオフェンなど)などの低分子有機化合物などが挙げられる。これらを2種以上用いてもよい。なかでも、上記ポリチオフェン系重合体、2,1,3−ベンゾチアジアゾール−チオフェン系共重合体、2,1,3−ベンゾチアジアゾール−チオフェン系化合物、キノキサリン−チオフェン系共重合体およびポリ−p−フェニレンビニレン系重合体が、より高い光電変換効率を得るために好ましい。
ポリチオフェン系重合体とは、チオフェン骨格を主鎖に有する共役系重合体を指し、側鎖を有するものも含む。ポリチオフェン系重合体は均質な薄膜を得るのに適しているうえ、長波長の光を光電変換に利用できる点で好ましい。具体的には、ポリ−3−メチルチオフェン、ポリ−3−ブチルチオフェン、ポリ−3−ヘキシルチオフェン、ポリ−3−オクチルチオフェン、ポリ−3−デシルチオフェンなどのポリ−3−アルキルチオフェン、ポリ−3−メトキシチオフェン、ポリ−3−エトキシチオフェン、ポリ−3−ドデシルオキシチオフェンなどのポリ−3−アルコキシチオフェン、ポリ−3−メトキシ−4−メチルチオフェン、ポリ−3−ドデシルオキシ−4−メチルチオフェンなどのポリ−3−アルコキシ−4−アルキルチオフェンなどが挙げられる。
2,1,3−ベンゾチアジアゾール−チオフェン系共重合体および2,1,3−ベンゾチアジアゾール−チオフェン系化合物とは、チオフェン骨格とベンゾチアジアゾール骨格を主鎖に有する共役系共重合体またはチオフェン骨格とベンゾチアジアゾール骨格を主骨格に有する共役系化合物を指し、側鎖を有するものも含む。例えば、下記一般式(1)で表される共役系重合体および共役系化合物が挙げられる。
上記一般式(1)中、R〜R12はそれぞれ同じでも異なっていてもよく、水素、アルキル基、アルコキシ基、アリール基、ヘテロアリール基またはハロゲンを示す。W、X、YおよびZはそれぞれ同じでも異なっていてもよく、単結合、アリーレン基、ヘテロアリーレン基、エテニレン基およびエチニレン基からなる群から選ばれる。mは0または1である。nは1〜1000の範囲を示す。
ここで、アルキル基とは、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、ノニル基、デシル基、ウンデシル基、ドデシル基などの飽和脂肪族炭化水素基を示す。アルキル基は、直鎖状であっても分岐状であってもよく、無置換でも置換されていてもかまわない。また、アルコキシ基とは、例えば、メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、ブトキシ基などのエーテル結合を介した脂肪族炭化水素基を示し、無置換でも置換されていてもかまわない。また、アリール基とは、例えば、フェニル基、ナフチル基、ビフェニル基、フェナントリル基、アントリル基、ターフェニル基、ピレニル基、フルオレニル基などの芳香族炭化水素基を示し、無置換でも置換されていてもかまわない。また、ヘテロアリール基とは、例えば、チエニル基、フリル基、ピロリル基、イミダゾリル基、ピラゾリル基、オキサゾリル基、ピリジル基、ピラジル基、ピリミジル基、キノリニル基、イソキノリル基、キノキサリル基、アクリジニル基、カルバゾリル基などの炭素以外の原子を有する複素芳香環基を示し、無置換でも置換されていてもかまわない。また、ハロゲンはフッ素、塩素、臭素またはヨウ素である。
また、アリーレン基とは、2価(結合部位が2箇所)のアリール基を示し、無置換でも置換されていてもかまわない。アリーレン基の好ましい具体例としては、上記のアリール基の好ましい例として挙げたものの2価の基が挙げられる。また、ヘテロアリーレン基とは、2価のヘテロアリール基を示し、無置換でも置換されていてもかまわない。ヘテロアリーレン基の好ましい具体例としては、上記のヘテロアリール基の好ましい例として挙げたものの2価の基が挙げられる。また、エテニレン基とは、トランス型−C=C−二重結合またはシス型−C=C−二重結合を示し、無置換でも置換されていてもかまわない。また、エチニレン基とは−C≡C−三重結合である。
2,1,3−ベンゾチアジアゾール−チオフェン系共重合体または2,1,3−ベンゾチアジアゾール−チオフェン系化合物として、具体的には下記のような構造が挙げられる。以下の式において、nは1〜1000の範囲を示す。
キノキサリン−チオフェン系共重合体とは、チオフェン骨格とキノキサリン骨格を主鎖に有する共役系共重合体を指す。キノキサリン−チオフェン系共重合体として、具体的には下記のような構造が挙げられる。以下の式において、nは1〜1000の範囲を示す。
ポリ−p−フェニレンビニレン系重合体とは、p−フェニレンビニレン骨格を主鎖に有する共役系重合体を指し、側鎖を有するものも含む。具体的には、ポリ[2−メトキシ−5−(2−エチルヘキシルオキシ)−1,4−フェニレンビニレン]、ポリ[2−メトキシ−5−(3’,7’−ジメチルオクチルオキシ)−1,4−フェニレンビニレン]などが挙げられる。
電子受容性有機半導体は、n型半導体特性を示す有機物であれば特に限定されない。例えば、1,4,5,8−ナフタレンテトラカルボキシリックジアンハイドライド、3,4,9,10−ペリレンテトラカルボキシリックジアンハイドライド、N,N'−ジオクチル−3,4,9,10−ナフチルテトラカルボキシジイミド、オキサゾール誘導体(2−(4−ビフェニリル)−5−(4−t−ブチルフェニル)−1,3,4−オキサジアゾール、2,5−ジ(1−ナフチル)−1,3,4−オキサジアゾールなど)、トリアゾール誘導体(3−(4−ビフェニリル)−4−フェニル−5−(4−t−ブチルフェニル)−1,2,4−トリアゾールなど)、フェナントロリン誘導体、フラーレンまたはその誘導体、カーボンナノチューブ、ポリ−p−フェニレンビニレン系重合体にシアノ基を導入した誘導体(CN−PPV)などが挙げられる。これらを2種以上用いてもよい。安定でキャリア移動度の高いn型半導体であることから、フラーレンまたはその誘導体が好ましく用いられる。
上記フラーレンまたはその誘導体の具体例として、C60、C70、C76、C78、C82、C84、C90、C94を始めとする無置換のものと、[6,6]−フェニル C61 ブチリックアシッドメチルエステル([6,6]−C61−PCBM、または[60]PCBM)、[5,6]−フェニル C61 ブチリックアシッドメチルエステル、[6,6]−フェニル C61 ブチリックアシッドヘキシルエステル、[6,6]−フェニル C61 ブチリックアシッドドデシルエステル、フェニル C71 ブチリックアシッドメチルエステル([70]PCBM)を始めとする置換誘導体などが挙げられる。なかでも[70]PCBMがより好ましい。
次に、本発明の光起電力素子の製造方法について、図2に示す光起電力素子を例に挙げて説明する。
(a)基板9上にITOなどの透明電極から形成される第2電極8(この場合正孔取り出し電極に相当)を形成する。透明電極の形成には、一般にスパッタリング法が用いられる。
(b)前記(a)記載の方法により基板9上に正孔取り出し電極(第2電極8)を形成した後、前記工程(1)〜(4)記載の方法によって凹凸構造体で構成される正孔取り出し層7を形成する。
(c)前記凹凸構造体で構成される正孔取り出し層7上に、活性層材料を真空蒸着や、塗布・乾燥することにより、活性層6を形成する。活性層材料の塗布方法としては、スピンコート塗布、ブレードコート塗布、スリットダイコート塗布、スクリーン印刷塗布、バーコーター塗布、鋳型塗布、印刷転写法、浸漬引き上げ法、インクジェット法、スプレー法などを挙げることができる。活性層の厚さ調整や配向制御など、得ようとする塗布膜特性に応じて塗布方法を選択すればよい。例えば、厚さ5〜200nmの均質な活性層を得るためには、電子供与性有機半導体と電子受容性有機半導体の重量の和が、後述する溶媒1mL中5〜30mgとなるように調製した活性層材料を用いて、スピンコート法により活性層を形成することが好ましい。活性層材料は、電子供与性有機半導体や電子受容性有機半導体の材料を溶解する溶媒を含有することが好ましい。溶媒としては、例えば、トルエン、キシレン、アセトン、酢酸エチル、テトラヒドロフラン、ジクロロメタン、クロロホルム、ジクロロエタン、クロロベンゼン、ジクロロベンゼン、トリクロロベンゼンなどが挙げられる。これらの中でも、電子供与性有機半導体、電子受容性有機半導体のそれぞれの25℃における溶解度が5mg/mL以上であるものが好ましい。このような高い溶解性を有する溶媒として、クロロベンゼン、ジクロロベンゼン、クロロホルムが好ましい。また、活性層材料は、本発明の目的を阻害しない範囲において、界面活性剤やバインダー樹脂、フィラーなどの他の成分を含有してもよい。
(d)次いで、活性層材料に溶媒が含まれる場合には、好ましくは減圧下または不活性ガス雰囲気下(窒素やアルゴン雰囲気下)で乾燥し、塗布膜から溶媒を除去する。
(e)次に、活性層6上にAlなどの金属から形成される第1電極5(この場合電子取り出し電極に相当)を形成する。金属電極の形成には、一般に蒸着法やスパッタ法が用いられる。
次に、図3に示す光起電力素子の製造方法の例を説明する。
(a)基板9上にITOなどの透明電極から形成される第2電極8(この場合電子取り出し電極に相当)を形成する。透明電極の形成には、一般にスパッタリング法が用いられる。
(b)前記(a)記載の方法により基板9上に電子取り出し電極(第2電極8)を形成した後、前記工程(1)〜(4)記載の方法によって凹凸構造体で構成される電子取り出し層10を形成する。
(c)前記凹凸構造体で構成される電子取り出し層10上に、活性層6を形成する。活性層の形成方法としては、図2を例とした場合と同様の方法を用いることができる。
(d)次いで、活性層材料に溶媒が含まれる場合には、好ましくは減圧下または不活性ガス雰囲気下(窒素やアルゴン雰囲気下)で乾燥し、塗布膜から溶媒を除去する。
(e)次に、活性層6上に金などの金属から形成される第1電極5(この場合正孔取り出し電極に相当)を形成する。金属電極の形成には、一般に蒸着法やスパッタ法が用いられる。
以下、本発明を実施例に基づいてさらに具体的に説明する。なお、本発明は下記実施例に限定されるものではない。また実施例などで用いた特性や化合物のうち、略語を使用しているものについて、以下に示す。
Isc:短絡電流密度
Voc:開放電圧
η:光電変換効率
ITO:インジウム錫酸化物
PEDOT:ポリエチレンジオキシチオフェン
PSS:ポリスチレンスルホネート
A−1:化学式(5)で表される化合物
A−2:化学式(6)で表される化合物
[70]PCBM:フェニル C71 ブチリックアシッドメチルエステル(分子量:1031)
CB:クロロベンゼン
CF:クロロホルム
なお、上記化合物A−1およびA−2は、アドバンスト ファンクショナル マテリアルズ(Advanced Functional Materials)2007年、17巻、3836−3842頁に記載の方法によって合成した。A−1およびA−2の平均分子量(数平均分子量、重量平均分子量)をGPC(ゲルパーミエーションクロマトグラフィー)装置(クロロホルムを送液したTOSOH社製、高速GPC装置HLC−8220GPC)を用い、絶対検量線法によって算出したところ、それぞれ、ポリスチレン標準試料換算でA−1の数平均分子量は15260、重量平均分子量は32992、A−2の数平均分子量は5320、重量平均分子量は9330であった。
各実施例・比較例における光電変換効率は、次式により求めた。
η(%)=Isc(mA/cm)×Voc(V)×FF/照射光強度(mW/cm)×100
FF=JVmax/(Isc(mA/cm)×Voc(V))
JVmax(mW/cm)は、印加電圧が0Vから開放電圧までの間で電流密度と印加電圧の積が最大となる点における電流密度と印加電圧の積の値である。
実施例1
CF 0.15mLを、A−1 0.3mg、[70]PCBM(ソレーヌ社製)1.2mgの入ったサンプル瓶の中に加え、超音波洗浄機(井内盛栄堂(株)製US−2、出力120W)中で30分間超音波照射することにより溶液Aを得た。
スパッタリング法により正極となるITO透明導電層を125nm堆積させたガラス基板を38mm×46mmに切断した後、ITOをフォトリソグラフィー法により38mm×13mmの長方形状にパターニングした。得られた基板の光透過率を日立分光光度計U−3010で測定した結果、400nm〜900nmの全ての波長領域において85%以上であった。この基板をアルカリ洗浄液(フルウチ化学(株)製、“セミコクリーン”EL56)で10分間超音波洗浄した後、超純水で洗浄した。
この基板を30分間UV/オゾン処理した後に、基板上に正孔取り出し層となるPEDOT:PSS水溶液(PEDOT0.8重量%、PSS0.5重量%)をスピンコート法により塗布し、ホットプレートにより200℃で5分間加熱乾燥して60nmの厚さに成膜した。このときのPEDOT:PSS膜表面を原子間力顕微鏡(AFM;デジタルインスツルメンツ製、NanoScopeIIIa)で観察した。得られた表面AFM像を図13に示した。図13に示した全領域から算出した表面粗さ(Ra)は1.2nmであった。
上記の溶液AをPEDOT:PSS層上に滴下し、スピンコート法により膜厚100nmの高分子化合物と低分子化合物の混合した塗布膜を形成した。このときの塗布膜表面をAFMで観察した。得られた表面AFM像を図14に示した。図14に示した全領域から算出した表面粗さ(Ra)は1.5nmであった。
さらに、塗布膜をエタンジチオールで洗浄後に窒素ブローすることで乾燥させ、鋳型を作製した。このときの鋳型表面をAFMで観察した。得られた表面AFM像を図15に示した。図15に示した全領域から算出した表面粗さ(Ra)は11.8nmであった。
次に、得られた鋳型にイソプロピルアルコール90%含有PEDOT:PSS溶液(PEDOT0.8重量%、PSS0.5重量%)をスピンコート法により塗布し、ホットプレートにより110℃で10分間加熱乾燥して充填した。PEDOT:PSS充填後の鋳型表面をAFMで観察した。得られた表面AFM像を図16に示した。図16に示した全領域から算出した表面粗さ(Ra)は4.0nmであった。
最後に、CBで洗浄して、鋳型を十分に溶解することによって凹凸構造体Iを得た。このときの凹凸構造体I表面をAFMで観察した。得られた表面AFM像を図17に示した。図17に示した全領域から算出した表面粗さ(Ra)は4.8nmであった。図13と図17との比較、基板上に形成したPEDOT:PSS膜と凹凸構造体Iの表面粗さの比較から、凹凸構造体が形成されていることがわかる。
実施例2
CF 0.15mLを、A−1 0.6mg、[70]PCBM(ソレーヌ社製)2.4mgの入ったサンプル瓶の中に加え、超音波洗浄機(井内盛栄堂(株)製US−2、出力120W)中で30分間超音波照射することにより溶液Bを得た。溶液Aに代えて溶液Bを用いた他は実施例1と全く同様にして凹凸構造体IIを得た。凹凸構造体II表面をAFMで観察した。得られた表面AFM像を図18に示した。図18に示した全領域から算出した表面粗さ(Ra)は19.3nmであった。図13と図18との比較、基板上に形成したPEDOT:PSS膜と凹凸構造体IIの表面粗さの比較から、凹凸構造体が形成されていることがわかる。
実施例3
実施例1と同様にしてガラス基板上にITO透明導電層を堆積した基板を洗浄し、洗浄後のITO透明導電層表面をAFMで観察した。得られた表面AFM像を図19に示した。図19に示した全領域から算出した表面粗さ(Ra)は1.9nmであった。
実施例1で得られた溶液AをITO上に滴下し、スピンコート法により膜厚100nmの高分子化合物と低分子化合物の混合した塗布膜を形成した。さらに、塗布膜をエタンジチオールで洗浄後に窒素ブローすることで乾燥させ、鋳型を作製した。次に、得られた鋳型に酸化チタン前駆体溶液をスピンコート法により塗布し、ホットプレートにより110℃で10分間加熱乾燥して充填した。酸化チタン前駆体溶液はアドバンスト ファンクショナル マテリアルズ(Advanced Functional Materials)2006年、18巻、572−576頁に記載の方法によって調製した。最後に、CBで洗浄して、鋳型を十分に溶解することによって凹凸構造体IIIを得た。このときの凹凸構造体III表面をAFMで観察した。得られた表面AFM像を図20に示した。図20に示した全領域から算出した表面粗さ(Ra)は12.3nmであった。図19と図20との比較、ITO透明導電層と凹凸構造体IIIの表面粗さの比較から、凹凸構造体が形成されていることがわかる。
実施例1〜3の表面粗さを表1に示す。
実施例4
CB 0.15mLを、A−1 1.2mg、[70]PCBM(ソレーヌ社製)4.8mgの入ったサンプル瓶の中に加え、超音波洗浄機(井内盛栄堂(株)製US−2、出力120W)中で30分間超音波照射することにより溶液Cを得た。
上記の溶液Cを、実施例1で得られた凹凸構造体Iの上に滴下し、スピンコート法により膜厚200nmの活性層を形成した。その後、基板と電子取り出し電極用マスクを真空蒸着装置内に設置して、装置内の真空度を1×10−3Pa以下になるまで排気し、抵抗加熱法によって、電子取り出し電極となるアルミニウム層を80nmの厚さに蒸着した。作製した素子の上下の電極から引き出し電極を取り出し、帯状のITO層とアルミニウム層が重なり合う部分の面積が5mm×5mmである光起電力素子を作製した。得られた光起電力素子は、基板/ITO透明導電層(第2電極)/正孔取り出し層/凹凸構造を有する正孔取り出し層/活性層/電子取り出し電極(第1電極)の構成を有する。
このようにして作製された光起電力素子の上下の電極をヒューレット・パッカード社製ピコアンメーター/ボルテージソース4140Bに接続して、大気下でITO層側から白色光(AM1.5;100mW/cm)を照射し、印加電圧を−1Vから+2Vまで変化させたときの電流値を測定した。得られた結果より算出した光電変換効率(η)は3.18%であった。
実施例5
凹凸構造体Iに代えて凹凸構造体IIを用いた他は実施例4と全く同様にして光起電力素子を作製し、印加電圧を変化させたときの電流値を測定した。得られた結果より算出した光電変換効率(η)は3.37%であった。
比較例1
実施例1と同様の方法で、ITO透明導電層を125nm堆積させたガラス基板を洗浄し、UV/オゾン処理した後に、PEDOT:PSS水溶液を塗布・乾燥して厚さ60nmのPEDOT:PSS膜を形成した。このPEDOT:PSS膜上に活性層を形成する以外は実施例4と同様にして光起電力素子を作製し、印加電圧を変化させたときの電流値を測定した。得られた結果より算出した光電変換効率(η)は3.08%であった。
実施例6
凹凸構造体Iに代えて凹凸構造体IIIを用い、活性層形成後に正孔取り出し層となるPEDOT:PSS水溶液をスピンコート法により塗布し、ホットプレートにより110℃で10分間加熱乾燥して60nmの厚さに成膜し、アルミニウム層80nmを金層40nmに変更した以外は実施例4と同様にして光起電力素子を作製し、印加電圧を変化させたときの電流値を測定した。得られた光起電力素子は、基板/ITO透明導電層(第2電極)/凹凸構造を有する電子取り出し層/活性層/正孔取り出し層/正孔取り出し電極(第1電極)の構成を有する。得られた結果より算出した光電変換効率(η)は2.12%であった。
比較例2
実施例1と同様の方法で、ITO透明導電層を125nm堆積させたガラス基板を洗浄し、UV/オゾン処理した。この基板を凹凸構造体IIIに代えて用いた他は、実施例6と同様にして光起電力素子を作製し、印加電圧を変化させたときの電流値を測定した。得られた結果より算出した光電変換効率(η)は1.87%であった。
実施例4〜6および比較例1〜2の評価結果を表2に示す。実施例4〜5と比較例1、実施例6と比較例2の対比から、本発明により光電変換効率を向上させることができることが分かる。
実施例7
CF 0.2mLを、A−2 1.0mg、ジヨードオクタン(分子量:366、東京化成工業(株)製)11mgの入ったサンプル瓶の中に加え、超音波洗浄機(井内盛栄堂(株)製US−2、出力120W)中で30分間超音波照射することにより溶液Dを得た。溶液Aに代えて溶液Dを用いた他は実施例1と全く同様にして、高分子化合物と低分子化合物の混合した塗布膜を形成した。
さらに、塗布膜をアセトンで洗浄後に窒素ブローすることで乾燥させ、鋳型を作製した。このときの鋳型表面をAFMで観察した。得られた表面AFM像を図21に示した。図21に示した全領域から算出した表面粗さ(Ra)は14.9nmであった。
次に、実施例1と全く同様にして、PEDOT:PSSを充填した。PEDOT:PSS充填後の鋳型表面をAFMで観察した。得られた表面AFM像を図22に示した。図22に示した全領域から算出した表面粗さ(Ra)は8.4nmであった。
最後に、CBで洗浄して、鋳型を十分に溶解することによって凹凸構造体IVを得た。このときの凹凸構造体IV表面をAFMで観察した。得られた表面AFM像を図23に示した。図23に示した全領域から算出した表面粗さ(Ra)は10.9nmであった。図13と図23との比較、基板上に形成したPEDOT:PSS膜と凹凸構造体IVの表面粗さの比較から、凹凸構造体が形成されていることがわかる。
実施例7の表面粗さを表3に示す。
実施例8
CB 0.15mLを、A−2 1.2mg、[70]PCBM(ソレーヌ社製)4.8mgの入ったサンプル瓶の中に加え、超音波洗浄機(井内盛栄堂(株)製US−2、出力120W)中で30分間超音波照射することにより溶液Eを得た。
凹凸構造体Iに代えて凹凸構造体IVを用い、溶液Cに代えて溶液Eを用いた他は実施例4と同様にして光起電力素子を作製し、印加電圧を変化させたときの電流値を測定した。得られた光起電力素子は、基板/ITO透明導電層(第2電極)/正孔取り出し層/凹凸構造を有する正孔取り出し層/活性層/電子取り出し電極(第1電極)の構成を有する。得られた結果より算出した光電変換効率(η)は0.82%であった。
比較例3
実施例1と同様の方法で、ITO透明導電層を125nm堆積させたガラス基板を洗浄し、UV/オゾン処理した後に、PEDOT:PSS水溶液を塗布・乾燥して厚さ60nmのPEDOT:PSS膜を形成した。このPEDOT:PSS膜上に活性層を形成する以外は実施例8と同様にして光起電力素子を作製し、印加電圧を変化させたときの電流値を測定した。得られた結果より算出した光電変換効率(η)は0.58%であった。
実施例8および比較例3の評価結果を表4に示す。実施例8と比較例3の対比から、本発明により光電変換効率を向上させることができることが分かる。
1 基材
2 高分子化合物
3 低分子化合物
4 充填材料
5 第1電極
6 活性層
7 凹凸構造体で構成される正孔取り出し層
8 第2電極
9 基板
10 凹凸構造体で構成される電子取り出し層
11 凹凸構造体で構成される第2電極
12 凹凸構造体で構成される正孔取り出し層
13 正孔取り出し層
14 電子取り出し層

Claims (6)

  1. (1)少なくとも高分子化合物および該高分子化合物と相分離構造を形成する低分子化合物を含む塗布材料を基材上に塗布して塗布膜を形成する工程、(2)前記塗布膜から低分子化合物の少なくとも一部を選択的に除去して凹凸構造の鋳型を形成する工程、(3)前記鋳型の凹部の少なくとも一部を充填材料で充填する工程、および(4)前記鋳型の凸部の少なくとも一部を除去する工程を有する凹凸構造体の製造方法。
  2. 少なくともいずれか一方が光透過性を有する第1電極および第2電極、前記第1電極と前記第2電極に挟持された活性層、および必要により前記第1電極または前記第2電極と前記活性層との間に正孔取り出し層または電子取り出し層を有する光起電力素子であって、前記活性層に隣接する第1電極、第2電極、正孔取り出し層または電子取り出し層が請求項1記載の製造方法で製造される凹凸構造体で構成され、その凹凸面が前記活性層側に配される光起電力素子。
  3. 前記低分子化合物が液体ヨード化合物である請求項2記載の光起電力素子。
  4. 前記低分子化合物がフラーレン化合物である請求項2記載の光起電力素子。
  5. 前記高分子化合物が共役系高分子である請求項2〜4のいずれか記載の光起電力素子。
  6. 前記充填材料がポリエチレンジオキシチオフェンとポリスチレンスルホネートとの混合物、金属酸化物または金属である請求項2〜5のいずれか記載の光起電力素子。
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