JPH0859220A - フラーレン重合体、フラーレン重合体膜、フラーレン重合体含有材料、及びこれらの製造方法 - Google Patents

フラーレン重合体、フラーレン重合体膜、フラーレン重合体含有材料、及びこれらの製造方法

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JPH0859220A
JPH0859220A JP6218141A JP21814194A JPH0859220A JP H0859220 A JPH0859220 A JP H0859220A JP 6218141 A JP6218141 A JP 6218141A JP 21814194 A JP21814194 A JP 21814194A JP H0859220 A JPH0859220 A JP H0859220A
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fullerene
polymer
plasma
film
molecules
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JP6218141A
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Masafumi Ata
誠文 阿多
Noboru Takahashi
昇 高橋
Nobuyuki Matsuzawa
伸行 松澤
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Original Assignee
Sony Corp
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Abstract

(57)【要約】 【構成】 少なくとも1つのフラーレン分子の構成炭素
原子の欠落部位に隣接する炭素原子を介して複数のフラ
ーレン分子が直接的に結合した構造からなり、特にフラ
ーレンの複数分子間が高い対称性を以て結合しており、
複数のフラーレン分子がすべて同一炭素原子数の同一種
類のものであるフラーレン重合体又はフラーレン多量
体。 【効果】 炭素源であるフラーレンの構造をある程度若
しくは十分に保持した重合体となっているので、このフ
ラーレン重合体は、フラーレンが本来有する優れた物性
を保持しながら、導電率(電気伝導度)が高く、透明性
に優れ、しかも機械的強度も高いという特性を示す。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、フラーレン重合体、フ
ラーレン重合体膜、フラーレン重合体含有材料、及びこ
れらの製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】ダイヤモンド、グラファィトに次ぐ第3
の結晶炭素として、球状炭素化合物であるフラーレンの
存在が明らかにされ、マクロ量の合成法が確立されたの
は1990年になってからである。
【0003】フラーレンは、炭素のみからなる一連の球
状炭素化合物であり、炭素60個からなるC60及びそれ以
上の偶数個の炭素からなるいわゆるHigher Fullerene
s の総称であり、12個の5員環と20個又はそれ以上の6
員環を含んでいる。即ち、60個、70個、74個、76個、78
個、80個、82個又は84個等(炭素原子数は幾何学的に球
状構造を形成し得る数から選択される。)の炭素原子が
球状に結合してクラスター(分子集合体)を構成してな
る球状炭素Cn であって、それぞれ、C60、C70
74、C76、C78、C80、C82、C84等のように表され
る。
【0004】例えばC60は、図32に概略図示するよう
に、正二十面体の頂点をすべて切り落として正五角形を
出した“切頭二十面体”と呼ばれる多面体構造を有し、
更に図33に明示するように、この多面体の60個の頂点を
すべて炭素原子Cで置換したクラスターであり、公式サ
ッカーボール型の分子構造を有する。同様に、C70、C
76、C84等も、いわばラグビーボール型の分子構造を有
する。
【0005】こうしたフラーレンは、その用途等につい
て種々研究が進められており、例えばC60フラーレンに
アルカリ金属をドープした物質が超電導性を示すことが
確認されたことから、電子材料としての応用が盛んに研
究されている。
【0006】但し、C60フラーレン膜は真空蒸着法で成
膜可能であるが、こうした膜は、導電性がそれ程高くは
なく、また、可視領域に吸収を持つために不透明感があ
り、また機械的強度にも優れないという欠点がある。
【0007】フラーレンは炭素のみからなる化合物であ
り、しかも真空下の加熱により容易に気化させることが
可能である。従って、この化合物の蒸着過程で、或いは
蒸着膜の状態で、フラーレン分子間が重合するに十分の
エネルギーを与えることにより、フラーレンの重合体
(又は多量体)を得ることができる。
【0008】こうした炭素のみからなるフラーレン多量
体は、上記したC60フラーレン膜の用途に加えて、更に
異なる用途にも使用可能であり、例えば炭素保護膜、炭
素セパレータ膜、センサ、電池電極材料等への応用、或
いはダイヤモンド膜等を得ることが可能である。
【0009】このような炭素薄膜を得るには、従来、炭
化水素化合物のピロリシスによる方法が一般的であり、
こうした方法から得られる炭素膜は一般に不定形の炭素
膜であった。従って、炭素源である出発物質の物性を保
持するような炭素膜の製造法は存在しなかった。
【0010】また、炭素源を用いた炭素膜の製造法とし
て、炭素スパッタ法も知られているが、この方法で得ら
れる炭素膜の形状も不定形であり、しかもスパッタに際
しては、炭素を蒸発させるための高エネルギーが必要で
あった。
【0011】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、炭素
源であるフラーレンのもつ優れた物性を保持し、種々の
用途にとって有用であるフラーレン重合体(又は多量
体)、及びこのフラーレン重合体からなる膜又は材料を
提供することにある。
【0012】本発明の他の目的は、炭素源であるフラー
レンの物性を保持したフラーレン重合体、フラーレン重
合体膜又はフラーレン重合体含有材料を確実に製造する
ことができる方法を提供することにある。
【0013】
【課題を解決するための手段】即ち、本発明は、C
n (但し、nは幾何学的に球状化合物を形成し得る整
数、例えば60、70、74、76、78、80、82、84等であ
る。)で表されるフラーレンの複数分子において少なく
とも1つのフラーレン分子の構成炭素原子が部分的に欠
落しており、この欠落部位に隣接する炭素原子を介して
前記複数分子が互いに直接的に結合した構造からなって
いるフラーレン重合体に係るものである。
【0014】本発明によるフラーレン重合体(又は多量
体)は、少なくとも1つのフラーレン分子の構成炭素原
子の欠落部位に隣接する炭素原子を介して複数のフラー
レン分子が直接的に結合した構造からなっているので、
炭素源であるフラーレンの構造をある程度若しくは十分
に保持した重合体となっている。従って、このフラーレ
ン重合体は、フラーレンが本来有する優れた物性を保持
しながら、導電率(電気伝導度)が高く、透明性に優
れ、しかも機械的強度も高いという特性を示すものとな
る。
【0015】本発明によるフラーレン重合体は、フラー
レンの構造を保持し、比較的安定な重合体構造を示すに
は、フラーレンの複数分子間が高い対称性を以て結合し
ていること、例えば2分子間の重合体では、D2hの対称
性をもつことが望ましい。
【0016】また、上記の物性又は特性を再現性良く確
実に発揮するためには、重合体を形成する複数のフラー
レン分子がすべて同一炭素原子数の同一種類のもの(例
えば、C60のみ又はC70のみからなるもの等)が望まし
い。
【0017】本発明によるフラーレン重合体(又は多量
体)は、このフラーレン重合体を主成分とするフラーレ
ン重合体膜として保護膜等に有用であり、また、このフ
ラーレン重合体を含有するフラーレン重合体含有材料と
して触媒等に有用である。
【0018】また、本発明は、上記したように炭素源で
あるフラーレンの構造を保持しながら重合し、比較的低
いエネルギーで炭素のみからなる本発明によるフラーレ
ン重合体を得るために、上記のCn で表されるフラーレ
ンの複数分子に対し、気相及び/又は固相状態で重合エ
ネルギー(例えば、プラズマ、光、電子線、X線又は
熱)を付与する工程を有する、フラーレン重合体の製造
方法も提供するものである。
【0019】この製造方法においても、上記と同様の理
由から、上記フラーレンの複数分子として、互いに同一
炭素原子数の同一種類となるように精製したものを使用
することが望ましい。
【0020】
【実施例】以下、本発明の実施例を説明する。
【0021】<フラーレン重合体の製造>まず、本発明
に基づいてフラーレン重合体(又は多量体)を得る方法
としてのアルゴンプラズマ法について説明する。
【0022】図23は、本実施例で用いる外部電極式容量
結合型のプラズマ重合装置を示すものである。このプラ
ズマ重合装置は、容量約20リットルの反応器1を有し、
この反応器1にはガス供給管2、3が設けられている。
また、反応器1の底部には、油拡散ポンプ40やロータリ
ーポンプ41、42、液体窒素トラップ43、44等からなり、
真空排気系に連結された排気口4が設けられている。
【0023】また、反応器1の上部には、プラズマ発生
用電極5、5’が 3.5cmの間隔を隔てて反応器1の外部
に設置され、プラズマ電源6にインピーダンス整合器7
を介して接続されている。また、反応器1内には、フラ
ーレン昇華用のモリブデンボート8および試料基板9が
7cmの間隔を隔てて対向して設置されており、モリブデ
ンボート8には直流電源10が接続されている。
【0024】プラズマ電源6の出力は、交流13.56MHzの
ラジオ波で最高出力 150Wである。ここでは、25W、50
W、 100Wで13.5パスカルに設定したアルゴンガスの一
定流量系にてアルゴンプラズマを発生させ、このプラズ
マ中に、モリブデンボート8に入れたフラーレンを数10
0 ℃で昇華させてプラズマ重合を行い、基板9上にフラ
ーレンプラズマ重合体を堆積させる。なお、重合中の膜
厚は、センサー11により連続的にモニターする。キャリ
アガスとしてはアルゴンガス、窒素ガスを使用する。
【0025】原料物質であるフラーレンは、次のように
して調製する。即ち、まず、公知の方法によりグラファ
イト電極間のアーク放電により生成した炭素粉末をトル
エン、二硫化炭素等の溶媒で抽出し、或いは直接昇華法
により、C60/C70(C60とC70との混合物であって、
60:C70は約9:1)を得る。次いで、このC60/C
70をカラム法により、例えば、活性アルミナカラムにお
いてトルエン+ヘキサン(トルエン1+ヘキサン9)で
展開し、C60とC70とを分離し、精製する。
【0026】本例では、C60/C70ではなく、同一炭素
原子数、同一種類のC60のみ又はC70のみを昇華源とし
て使用することが特徴的である。
【0027】図24は、平行平板電極式容量結合型のプラ
ズマ重合装置を示すものである。このプラズマ重合装置
も、図23の外部電極式容量結合型のプラズマ重合装置と
同様に、容量約20リットルの反応器11を有し、この反応
器11にはガス供給管12、13が設けられている。また、反
応器11の底部には、油拡散ポンプ50やロータリーポンプ
51、52、液体窒素トラップ53、54等からなり、真空排気
系に連結された排気口14が設けられている。
【0028】上記反応器11内には、プラズマ発生用電極
15、15’が10cmの間隔を隔てて平行に設置され、一方の
電極15は、インピーダンス整合器17を介してプラズマ電
源16に接続されている。また、上部の電極15からはアル
ゴンガスがシャワー状に電極15−15’間に導入されるよ
うになっている。
【0029】更に、上記電極15、15’間には、C60又は
70フラーレン昇華用のモリブデンボート18および試料
基板19が7cmの間隔を隔てて対向して設置されており、
モリブデンボート18には直流電源20が接続されている。
【0030】なお、この装置においても、重合中の膜厚
はセンサー21にて連続的にモニタされ、また、直流電源
20は図23に示す重合装置の直流電源10と同一のものであ
る。
【0031】<フラーレン重合体の構造の解析>上記し
たようにして基板上に成長させたフラーレン重合体(多
量体)の構造を明らかにするために、半経験的分子軌道
法による計算を行ったが、これにはJ. J. P.Stewart に
よるMNDO/AM−1法(QCPE Program 455, 19
83, Ver.5.01)を用いた。
【0032】60多量体について 上記した例えば図23の装置を用いて、精製したC60フラ
ーレンのみからなる炭素源をプラズマ重合させ、C60
ラズマ重合体を合成した。図1には、TOFMAS(Ti
me-of-flight mass spectroscopy)と称されるレーザデ
ソープションイオン化によるTime-of-Flight法により測
定したC60プラズマ重合体(C60多量体)の質量分布を
示す。
【0033】この図1においては、m/z(mは質量、
zは電荷)値の広範囲のシーケンスにおいて示し、図中
のスペクトルの数字は多量体を構成するフラーレン分子
の個数を表すが、C60の2量体〜14量体程度までの多量
体が生成していることが明らかである。
【0034】C60で表されるフラーレンは、図32及び図
33で示したように炭素原子60個からなる球状化合物であ
り、30個の等価な共役2重結合性の結合を有する。そし
て、プラズマ重合の初期過程として、プラズマ励起され
たC60化合物は、2重結合性の結合部位において、励起
3重項状態から2量化を開始すると考えられるが、この
付加反応性に関して理論的に検討した。
【0035】即ち、図2、図3、図4、図5には、可能
と考えられる2量体構造A、B、C、Dをそれぞれ示
す。これらの各構造は、各図中にC60の付加反応性の6
員環間で付加に関与する炭素原子を黒丸で記し、炭素−
炭素間付加結合を破線で示す。なお、これらについて
は、本発明者らによるJournal of Applied Physics, Vo
l.74, No.9 (1993), 5790-5798, Journal of Physical
Chemistry, Vol. 98(1994), 2555に記載されている。
【0036】また、構造A〜DのC602量体について、
下記の表1に、MNDO/AM−1法によるC60からの
生成反応熱(heat of reaction)の計算値を示す。
【0037】
【0038】このことから、構造AのC602量体のみが
発熱反応(自らは吸熱)で生成されるために特異的に安
定であり、 [2+2] Cycloaddition反応が起きている
こと、即ち、シクロヘキサトリエニル部位に付加してな
る1,2−サイクル結合によりC60分子間が結合してい
ることが示唆される。なお、構造Bは2量体が線対称、
構造Cは2量体が回転対称となっている。
【0039】しかるに、上記したC60多量体の製造方法
では、アルゴンプラズマが断続的に照射されているため
に、さらに反応が進む。これによって、図1に示したC
602量体及びその近傍領域でのスペクトルを示す図6の
データから、ピーク強度が最も大きいのは、C60から炭
素原子が2個欠落したC58の2量体に相当するC116
あり、次いでC114 、C118 、C112 ・・・とピーク強
度が減少していくことが分かる。また、C60に炭素原子
が1個付加したC612量体に相当するC122 も存在して
いる。
【0040】このように、C602量体の実際の主要な構
造はC116 、C118 等であり、C2のフラグメンテーシ
ョンが起きていることが示唆される。このC116 、C
118 等の生成には、以下の3つのプロセス(1)、
(2)、(3)が可能であると考えられる。
【0041】(1)図2の構造Aのような化合物の4員
環(シクロブタン環)構造は構造歪が大きく、この化合
物の励起状態からこの部分の炭素の脱離が起き、再結合
によりC116 、C118 等が生じるプロセス。
【0042】(2)Murreyらが指摘しているような Sto
ne−Wales 転移により、C60の励起状態から炭素原子2
個の脱離が起き、再結合によりC116 、C118 等が生じ
るプロセス(R. L. Murrey, et, al., Nature 356 (199
3) 426) 。
【0043】(3)M.Fieber−Erdmanらが指摘したよ
うにC60の励起状態からポリカチオンが生成し、この状
態から炭素のフラグメンテーションと再結合によりC
116 、C118 等が生じるプロセス(M. Fieber-Erdman e
t, al., Z. Phys. D 26 (1993)308)。
【0044】これらのプロセスのうち、どれが主要な過
程なのかを明確に判断することは困難であるが、図2の
構造Aのような化合物が初期過程として生じているなら
ば、(1)のプロセスが主要であると考えられる。この
構造Aの2量体は上記の表1で示したように安定である
から、初期過程では他の構造B、C、Dよりも優位に生
じているものと思われ、これが次の如きメカニズムでC
116 、C118 等に変化するものと考えられる。
【0045】即ち、図2に示す構造AのC602量体のシ
クロブタン環において1−位と2−位、3−位と4−位
の炭素−炭素結合が切断されて1−位及び2−位の炭素
原子が脱離し、同図中に白丸及び×で表す両フラーレン
分子の炭素原子同士が再結合し、例えば図7に示される
構造aのC118 が生じるものと考えられる。
【0046】図8に示す構造bのC118 は、図2のシク
ロブタン環において2−位と4−位の炭素原子が脱離
し、一方のフラーレン分子が他方に対して反転し、再結
合したものである。その他、上記のシクロブタン環にお
ける炭素原子の脱離位置と再結合位置によって、図9に
示す構造cが生じ、また、C116 として図10に示す構造
d、図11に示す構造e、図12に示す構造fがそれぞれ生
じる。
【0047】なお、これらの構造a〜fはフラーレンの
2量体として示したが、フラーレン分子中の他の2重結
合性炭素−炭素間結合位置においても、同様の炭素原子
の脱離及び再結合が生じ、3量体以上の重合体も生成さ
れる。即ち、本発明に基づくフラーレン多量体は、Cn
重合構造のみによって形成されていてもよいが、この場
合にはCn 重合構造が共有結合により網目状に全体に広
がっているものと考えられる。また、Cn 重合構造を部
分的に有する場合には、重合していない部分では、ファ
ン・デル・ワールス力によって結合し合っているものと
推測される。なお、このフラーレン多量体の膜又は材料
においては、上記したCn 重合構造と共に、原料である
60等のCn 単体分子が混在していてもよい。
【0048】下記の表2には、上記の各構造a〜fのフ
ラーレン多量体の生成熱(heat offormation)の値を示
す。ここで生成反応熱で示さない理由は、例えば2個の
60からC118 やC116 が生成する際に同時に生じるC
2 による反応への影響が不明であるからである。
【0049】
【0050】表2に示したフラーレン多量体の生成熱の
単位炭素原子当たりの値:ΔHf O/Cは、C118 とC
116 ではC116 の方が生成熱が小さいため構造的に安定
であり、実験結果を支持する。
【0051】更に、最も安定なC116 は構造f(図12参
照)のC116 であることが示唆されるが、この構造はD
2hの高い対称性(即ち、長軸と直交方向の軸を中心に回
転対称性)を有すると共に、4本のクロスリンク結合C
Lが2重結合性を示し、しかも本来C60の有していたケ
クレ構造も保存する。従って、図6の2量体ピークのな
かで最も主要な2量体であったC116 はfの構造である
と考えられる。また、このような結合様式が主要な多量
体形成のプロセスと考えられる。
【0052】70多量体について 上記した例えば図23の装置を用いて、精製したC70フラ
ーレンのみからなる炭素源をプラズマ重合させ、C70
ラズマ重合体を合成した。図13には、得られたC70の多
量体の質量分布を示す。
【0053】図13から明らかなように、C70の2量体〜
10量体程度までの多量体が生成していることが明らかで
ある。
【0054】図14には、C70の分子構造を示す。C70
は、太い線で示した4種類の共役2重結合性の結合が存
在する。この化合物の2量体を検討するに当たって、上
記したC60についての結果に基づいて、 [2+2] Cyc
loadditionのみが安定であると考えられることから、こ
れを検討した。
【0055】図15〜図18には、 [2+2] Cycloadditi
onによるC70の2量体を示す(これらの各図において
は、2量体の上面と正面とを上、下に示している)。即
ち、図15は構造E、図16は構造F、図17は構造G、図18
は構造HのC702量体をそれぞれ示し、これらは炭素の
結合位置(図14中の位置(1)〜(7)で示す。)によ
って異なる構造となっている。
【0056】これらのうち、構造F〜HにはAntisymme
tric(反対称)の構造異性体が存在するが、これらは
F’、G’、H’で表す。構造E、F、G、H及び
F’、G’、H’についてC70からの生成反応熱を求め
た。下記の表3にその結果を示す。
【0057】
【0058】この結果から、構造H及びH’のC702量
体が安定であることが示唆され、C70の2量体構造は1
−2及び3−4の結合(これは、図14の表示では(2)
−(2)、(1)−(1)間の結合)の [2+2] Cyc
loadditionによるC70の2量体であることが示唆され
る。なお、この表の値は、C70の1−2及び3−4の結
合がC60の共役2重結合とほぼ等しい化学反応性を有し
ていることを示しており、物性的にもC70の分子軸の両
端側はC60に近いことがわかる。
【0059】なお、この化合物の2量体も、4個の炭素
の脱離を伴うプロセスが最も主要であることが示唆され
た(図6参照)が、図15〜図18のC70の2量体の構造か
ら、4員環を形成する炭素4個を脱離させ、更に再結合
させた構造を図19、図20、図21、図22にそれぞれ示す。
これらの2量体は、炭素の脱離位置と再結合位置によっ
て異なる構造となっている。これらの2量体の単位炭素
原子当たりの生成熱を下記の表4に示す。
【0060】
【0061】図19、図20、図21、図22に示した構造g、
h、i、jの各C136 分子は、図15、図16、図17、図18
に示した構造E、F、G、Hの各C140 分子の4員環炭
素原子を脱離させたものにそれぞれ対応している。表4
の結果は、最も安定な2量体である図22の構造j(構造
HのC140 分子から導かれるC136 分子)が最も構造的
に安定であることを示している。
【0062】以上の説明から明らかなように、本発明に
基づいて、炭素源であるフラーレンの構造をある程度若
しくは十分に保持しながら重合させ、比較的低いエネル
ギーにより、炭素のみからなる安定したフラーレン多量
体を得ることが可能である。
【0063】<炭素源による物性への影響>但し、本発
明に基づけば、炭素源であるフラーレンは、数100 ℃の
温度で気化又は昇華するものであってこうした材料は炭
素源として他には存在しない。また、同一炭素原子数で
同一種類のC60のみ又はC70のみからなっているため、
得られるフラーレン多量体はフラーレンのもつ特長を確
実に保持した安定な構造(特に、図12の構造f、図22の
構造j)を再現性よく生成させることができる。
【0064】これに対し、C60とC70の例えば約9:1
混合物を炭素源として使用した場合、C60多量体とC70
多量体、更に場合によってはC60−C70間の多量体が混
在することになり、C60のみ、C70のみの重合体の中間
的な特性を有する多量体が得られることになる。
【0065】フラーレン多量体の諸物性のうち、例えば
保護膜としての耐水性において本発明に基づくフラーレ
ン多量体の耐水性は良好である。
【0066】<フラーレン重合体薄膜の作製及び特性の
評価>上記した図23又は図24に示すプラズマ重合装置を
用い、図25に示した基板39上にC60又はC70フラーレン
のプラズマ重合体膜31を厚さ1000Åに成膜した試料32を
作製する。即ち、ガラス基板39の表面に金製の櫛形電極
30、30’を櫛歯の部分が噛合する如く対向して形成し、
これらの櫛歯の部分を覆ってフラーレンプラズマ重合体
膜31を成膜した。なお、このプラズマ重合体膜は実際に
は、図25中に一点鎖線で示すように櫛形電極30、30’の
櫛歯の部分上を覆うが、図面では櫛歯部分の間にのみ図
示している。
【0067】従って、図25に示すように、プラズマ重合
体膜31は、櫛形電極30、30’の櫛歯の部分の間で抵抗体
として動作し、櫛形電極30−30’間に定電圧で電流を流
し、電流値(抵抗値)を測定することにより、下記の数
式からその導電率を測定することができる。なお、櫛形
電極30、30’の櫛歯の部分の間隔dは1mm、電極長Lは
110mmである。
【0068】
【数1】 σ:導電率 R:測定抵抗値 L:電極長 e:試料厚み
【0069】そこで、前述のようにして作製した試料の
導電率を、図26に示す電圧電流特性測定装置を用いて測
定した。この電圧電流特性測定装置は、コンピュータ制
御されており、銅製のファラデーケージ型セル60内に発
熱体61を備え、この発熱体61上に試料ホルダ62を有して
おり、セル60の上部は、真空バルブ63、64を備えた蓋体
65により閉蓋されている。
【0070】また、セル60の所定の位置には、セル60を
貫通する同軸ケーブルプラグ66、67が設けられ、これら
の同軸ケーブルプラグを介してガラス基板39の表面に形
成された櫛歯電極30−30’間の電圧電流特性が測定され
る。なお、セル60内の温度は、熱電対68によってモニタ
される。
【0071】この結果、25〜100 Wのプラズマ出力範囲
では成膜した試料(例えばC60のみを原料としたC60
ラズマ重合体膜)の導電性に変化は見られなかった。代
表値として、 100Wでプラズマ重合したときの上記プラ
ズマ重合体膜の大気中及び真空中での導電率を下記の表
5に示す。この表5には、C60蒸着膜の導電率も併せて
示したが、本発明に基づくプラズマ重合体膜の導電性が
向上していることが分かる。
【0072】 * J. Mort et al., Chem. Phys. Lett., 186(2,3), 284-286(1991)
【0073】また、上記の方法で作製した厚さ1000Åの
60プラズマ重合体膜のUV〜可視吸収スペクトルと、
蒸着膜のUV〜可視吸収スペクトルとを図27にそれぞれ
示す。このスペクトルデータから換算すると、C60プラ
ズマ重合体膜では、450nm において1000Å当たり蒸着膜
より吸収が27%減少しており、光透過率が20%から52%
に増加している。
【0074】また、作製したC60プラズマ重合体膜の接
着強度や引っかき強度を調べたところ、蒸着膜に比べて
ガラス基板への接着強度、引っかき強度が明らかに優れ
ていることが確認されている。
【0075】図28には、本実施例において作製したC60
プラズマ重合体膜の赤外線吸収スペクトルを示す。1000
〜1300cm-1の吸収ピーク群はC−C結合の架橋を示唆
し、1028cm-1の吸収ピークは上述したシクロブタン構造
(図2参照)に特有のものであることから、C60プラズ
マ重合体膜は、主にフラーレン上のシクロヘキサトリエ
ニル部位同士の1,2−サイクル付加結合によりCn
子間が重合した状態を一旦経て生成されるものと考えら
れる。
【0076】図29には、本実施例において作製したC60
プラズマ重合体膜のX線回折スペクトルを示した。これ
によれば、例えば高田らにより日本物理学会秋の年会、
(1991)29pBPS23に報告されているようなC60フラ
ーレンの特徴的なエピタキシャル結晶による構造規則性
を示す回折ピークがなく、ブロードな回折ピーク(基板
のガラスに由来する回折ピークと推定される。)しか観
測されないことから、この膜の構造はアモルファスであ
ることがわかる。
【0077】<フラーレン重合体の用途>本発明に基づ
くフラーレン多量体及びこれを主成分とする膜や材料
は、上記したCn 重合構造の存在と、これがアモルファ
ス状に分布していることにより、導電率が高くて静電気
を帯電させず、透明性に優れ、しかも機械的強度の高い
薄膜となり、応用範囲の広い材料として有用なものとな
る。特に、この有機半導性薄膜は、導電率が蒸着膜の10
8 倍に相当する10-6S/cm以上であり、また、波長 450nm
の可視光での透過率が蒸着膜の約 2.7倍に相当する1000
Å当たり52%以上となる。
【0078】従って、このフラーレン多量体膜は、半導
体素子の表面保護膜等の電子材料をはじめ、磁気テープ
や磁気ディスク等の磁気記録媒体の表面保護膜、光磁気
ディスク装置の光学ピックアップ側の表面保護膜等とし
て、広範囲に使用可能である。次に、その適用例を説明
する。
【0079】炭素膜 上記したようにして得られたフラーレン多量体は、共役
構造を保存することから構造的に安定である。従って、
フラーレン多量体の膜は水、酸素、酸、金属等の侵入を
ほぼ完全に防ぐことができ、物理的、化学的安定性を有
するため、炭素膜として、磁気テープ、ディスク等の記
録媒体の保護膜、潤滑膜、光学材料、センサ等に有用で
ある。
【0080】図30は、こうした炭素保護膜を形成するた
めの方法を例示するものであって、図23で述べたプラズ
マ重合装置と基本的に同じ構成のプラズマ重合装置にお
いて基板9をフィルム状として一方の供給ロール70から
連続的若しくは間欠的に送りながら、アルゴンプラズマ
によってフラーレン(C60又はC70)を昇華させ、フィ
ルム基板9上に堆積させ、更に巻き取りロール71に巻き
取る。なお、各ロール70及び71は反応器1の外部に配置
することができる。
【0081】こうして成膜されるフラーレン多量体膜
は、図31に示すように、例えば磁気テープ等の磁気記録
媒体の表面保護膜81として、磁性層80の表面に形成する
ことができる。この場合、図30に示した方法において、
基板9としてはベースフィルム82上に既に磁性層80を公
知の方法で形成したものを使用する。そして、磁性層80
上に成膜したフラーレン多量体膜81の表面には更に、脂
肪酸エステル系等の潤滑剤層83を塗布し、磁気ヘッドに
対する摺擦性を良くしておく。
【0082】その他の用途 一般にフラーレンは高い電気陰性度と高い付加反応性を
有することから、上記した重合方法の過程で他の分子や
金属等を共存させ、これらを含むフラーレン多量体膜を
形成することにより、導電性等の物性をコントロールす
ることが可能である。これは、電極材料等への応用が可
能である。
【0083】また、小さい分子量のフラーレン多量体に
関しては、触媒、染料、顔料等への適用が考えられる。
【0084】以上、本発明の実施例を説明したが、上述
した実施例は本発明の技術的思想に基づいて種々な変形
が可能である。
【0085】例えば、炭素源としてのフラーレンはC60
又はC70に限ることはなく、他のフラーレンを使用でき
る他、上述のプラズマ重合条件(プラズマ発生条件、昇
華条件、使用ガス種、圧力、更には真空装置の構造等)
は種々変更してよい。
【0086】炭素源については、球状炭素類Cn の炭素
数nは60及び/又は70であることが好適であるが、例え
ば炭素数nが76、84等の球状炭素類でも、同等の特性を
有するプラズマ重合膜を得ることが可能である。原料の
入手の容易さを考慮すれば、C60/C70(C60とC70
混合物)が好適である。
【0087】プラズマ重合条件については、プラズマ発
生の放電方式は、公知の直流放電、低周波放電、高周波
放電、マイクロ波放電等の各種方式が採用可能であり、
また電極の種類及び放電発生方式としては、内部電極方
式、外部電極方式、導波管方式、容量結合型、誘導結合
型、無電極発振型等から選択可能である。
【0088】プラズマ重合は、C60、C70、或いはC60
/C70等の球状炭素類の単独雰囲気中で行ってもよい
が、プラズマの均一性、安定性等を向上させるという見
地から、キャリアガスを併用してもよい。キャリアガス
としては、プラズマ重合の際に一般に使用されているも
のがいずれも使用でき、アルゴン、窒素、ヘリウム等が
例示される。
【0089】放電条件は、直流放電ではガス圧力、電極
間距離、電圧の関係を示すパッシェンの法則が成立する
範囲、交流放電では放電可能範囲であれば重合に問題は
ない。ガス圧は、好ましくは20パスカル以下である。
【0090】本発明に基づくフラーレン多量体膜は、プ
ラズマ重合により直接成膜するようにしてよいが、予め
プラズマ重合により成膜した膜を適当な溶媒(例えばベ
ンゼン)に溶かし、これを塗布する等によって所望の厚
み、形状等に仕上げることもできる。
【0091】また、本発明に基づくフラーレン多量体
は、上述のプラズマ重合による以外にも、フラーレン分
子の気相又は固相の状態、或いはこれら双方において所
定のエネルギーを付与することによって合成できるの
で、そうしたエネルギーは上述のプラズマ以外にも、例
えば光(紫外線等)、電子線、X線、熱等を適用するこ
とができる。固相状態では、例えばフラーレン蒸着膜を
成膜した後、これに紫外線のエネルギーを与えて重合さ
せることができる。
【0092】
【発明の作用効果】本発明によるフラーレン重合体(又
は多量体)は、少なくとも1つのフラーレン分子の構成
炭素原子の欠落部位に隣接する炭素原子を介して複数の
フラーレン分子が直接的に結合した構造からなっている
ので、炭素源であるフラーレンの構造をある程度若しく
は十分に保持した重合体となっている。従って、このフ
ラーレン重合体は、フラーレンが本来有する優れた物性
を保持しながら、導電率(電気伝導度)が高く、透明性
に優れ、しかも機械的強度も高いという特性を示すもの
となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に基づいてフラーレンC60分子のプラズ
マ重合により得られたフラーレン多量体のTime-of-Flig
ht質量分析スペクトル図である。
【図2】同フラーレン多量体の生成過程で生じるものと
考えられるC60分子の2量体構造を示す概略図である。
【図3】同フラーレン多量体の生成過程で生じるものと
考えられるC60分子の他の2量体構造を示す概略図であ
る。
【図4】同フラーレン多量体の生成過程で生じるものと
考えられるC60分子の他の2量体構造を示す概略図であ
る。
【図5】同フラーレン多量体の生成過程で生じるものと
考えられるC60分子の他の2量体構造を示す概略図であ
る。
【図6】C60分子のプラズマ重合により得られたフラー
レン多量体のTime-of-Flight質量分析スペクトルのう
ち、2量体部分の質量分布を拡大したスペクトル図であ
る。
【図7】C60分子のプラズマ重合により得られたフラー
レン多量体の2量体部分の質量分布で確認されたC118
分子と予測されるものの分子構造を示す概略図である。
【図8】C60分子のプラズマ重合により得られたフラー
レン多量体の2量体部分の質量分布で確認されたC118
分子と予測されるものの他の分子構造を示す概略図であ
る。
【図9】C60分子のプラズマ重合により得られたフラー
レン多量体の2量体部分の質量分布で確認されたC118
分子と予測されるものの他の分子構造を示す概略図であ
る。
【図10】C60分子のプラズマ重合により得られたフラー
レン多量体の2量体部分の質量分布で確認されたC116
分子と予測されるものの分子構造を示す概略図である。
【図11】C60分子のプラズマ重合により得られたフラー
レン多量体の2量体部分の質量分布で確認されたC116
分子と予測されるものの他の分子構造を示す概略図であ
る。
【図12】C60分子のプラズマ重合により得られたフラー
レン多量体の2量体部分の質量分布で確認されたC116
分子と予測されるものの他の分子構造を示す概略図であ
る。
【図13】C70分子のプラズマ重合により得られたフラー
レン多量体のTime-of-Flight質量分析スペクトル図であ
る。
【図14】C70分子の分子構造と4種類の共役2重結合を
示す概略図である。
【図15】同フラーレン多量体の生成過程で生じるものと
考えられるC70分子の2量体構造を示す概略図である。
【図16】同フラーレン多量体の生成過程で生じるものと
考えられるC70分子の他の2量体構造を示す概略図であ
る。
【図17】同フラーレン多量体の生成過程で生じるものと
考えられるC70分子の他の2量体構造を示す概略図であ
る。
【図18】同フラーレン多量体の生成過程で生じるものと
考えられるC70分子の他の2量体構造を示す概略図であ
る。
【図19】C70分子のプラズマ重合により得られたフラー
レン多量体の2量体部分の質量分布で確認されたC136
分子と予測されるものの分子構造を示す概略図である。
【図20】C70分子のプラズマ重合により得られたフラー
レン多量体の2量体部分の質量分布で確認されたC136
分子と予測されるものの他の分子構造を示す概略図であ
る。
【図21】C70分子のプラズマ重合により得られたフラー
レン多量体の2量体部分の質量分布で確認されたC136
分子と予測されるものの他の分子構造を示す概略図であ
る。
【図22】C70分子のプラズマ重合により得られたフラー
レン多量体の2量体部分の質量分布で確認されたC136
分子と予測されるものの他の分子構造を示す概略図であ
る。
【図23】本発明に使用可能なプラズマ重合装置の一構成
例を示す概略断面図である。
【図24】本発明に使用可能なプラズマ重合装置の他の構
成例を示す概略断面図である。
【図25】本発明に基づくプラズマ重合体膜(多量体膜)
を成膜した測定試料の概略平面図及びその一部の拡大断
面図である。
【図26】同測定試料の導電率測定用セルの概略横断面図
及びその縦断面図である。
【図27】成膜された薄膜について比較して示す紫外−可
視吸収スペクトル図である。
【図28】本発明に基づくプラズマ重合体膜の赤外線吸収
スペクトル図である。
【図29】本発明に基づくプラズマ重合体膜のX線回折ス
ペクトル図である。
【図30】本発明に基づくプラズマ重合体膜を有する製品
の製造方法の一例を示すプラズマ重合装置の概略断面図
である。
【図31】同製品の一例である磁気記録媒体の概略拡大断
面図である。
【図32】C60フラーレンの切頭二十面体構造を示す概略
図である。
【図33】C60フラーレンにおける炭素間の結合状態を示
す概略図である。
【符号の説明】
1、11・・・反応器 5、5’、15、15’・・・プラズマ発生用電極 6、16・・・プラズマ電源 8、18・・・モリブデンボート(C60又はC70フラーレ
ンを収容) 9、19、39・・・基板 10、20・・・昇華用電圧源 30、30’・・・電極 31、81・・・フラーレン多量体膜(重合体膜) C60、C70、Cn ・・・球状炭素類(フラーレン) C118 、C116 、C136 ・・・フラーレン多量体(重合
体)

Claims (8)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 Cn (但し、nは幾何学的に球状化合物
    を形成し得る整数である。)で表されるフラーレンの複
    数分子において少なくとも1つのフラーレン分子の構成
    炭素原子が部分的に欠落しており、この欠落部位に隣接
    する炭素原子を介して前記複数分子が互いに直接的に結
    合した構造からなっているフラーレン重合体。
  2. 【請求項2】 フラーレンの複数分子間が高い対称性を
    以て結合している、請求項1に記載したフラーレン重合
    体。
  3. 【請求項3】 複数のフラーレン分子がすべて同一炭素
    原子数の同一種類のものである、請求項1又は2に記載
    したフラーレン重合体。
  4. 【請求項4】 請求項1〜3のいずれか1項に記載した
    フラーレン重合体からなるフラーレン重合体膜。
  5. 【請求項5】 請求項1〜3のいずれか1項に記載した
    フラーレン重合体を含有するフラーレン重合体含有材
    料。
  6. 【請求項6】 請求項1に記載したフラーレンの複数分
    子に対し、気相及び/又は固相状態で重合エネルギーを
    付与する工程を有する、請求項1〜5のいずれか1項に
    記載したフラーレン重合体、フラーレン重合体膜又はフ
    ラーレン重合体含有材料の製造方法。
  7. 【請求項7】 重合エネルギーをプラズマ、光、電子
    線、X線又は熱によって付与する、請求項6に記載した
    製造方法。
  8. 【請求項8】 請求項1に記載したフラーレンの複数分
    子として、互いに同一炭素原子数の同一種類となるよう
    に精製したものを使用する、請求項6又は7に記載した
    製造方法。
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