JP3407348B2 - 有機半導性薄膜及びその製造方法 - Google Patents

有機半導性薄膜及びその製造方法

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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、フラーレンと称される
球状炭素類を原料とする有機半導性薄膜及びその製造方
法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】ダイヤモンド、グラファイトに次ぐ第3
の結晶炭素として、球状炭素化合物であるフラーレンの
存在が明らかにされ、マクロ量の合成法が確立されたの
は1990年になってからである。
【0003】フラーレンは、炭素のみからなる一連の球
状炭素化合物(Higher Fullerenes)の総称であり、12
個の5員環と12個またはそれ以上の6員環を含んでい
る。すなわち、60個、70個、76個あるいは84個
等(炭素数は幾何学的に球状構造を形成し得る数から選
択される。)の炭素原子が球状に結合してクラスター
(分子集合体)を構成してなる球状炭素Cn であって、
それぞれC60、C70、C 76、C84等のように表される。
【0004】例えばC60は、図15に概略図示するよう
に、正二十面体の頂点を全て切り落として正五角形を出
した“切頭二十面体”と呼ばれる多面体構造を有し、図
16に図示するように、この多面体の60個の頂点を全
て炭素原子Cで置換したクラスターであり、公式サッカ
ーボール様の分子構造を有する。同様に、C70、C76
84等も、いわばラグビーボール様の分子構造を有す
る。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】ところで、上述のフラ
ーレンは、その用途を巡って各方面で研究が進められて
おり、例えばC60フラーレンにアルカリ金属をドープし
た物質が超電導性を示すことが確認されたことから、電
子材料としての応用が盛んに研究されている。
【0006】金属をドープしないC60フラーレンの電気
伝導度は、例えばケミカル・フィジカル・レターズ[
J.Mort et.al., Chemical Physics Letters, Volume 18
6, number 2.3, (1991), 284 ]等の文献にも見られる
ように、10-14S/cm[(Ωcm)-1]程度であり、絶縁
体の属することが知られている。そのため、電子材料の
一部として使用する際に、静帯電により静電気障害の原
因となることが容易に予想される。また、C60フラーレ
ン膜は、真空蒸着法で成膜可能であるが、こうした膜
は、上記に加えて、可視領域に吸収を持つために不透明
感があり、また機械的強度にも優れないという欠点があ
る。
【0007】本発明は、上述の従来の実情に鑑みて提案
されたものであって、導電率(電気伝導度)が高く、透
明性に優れ、しかも機械的強度も高い有機半導性薄膜を
提供することを目的とし、さらにはその効果的な製造方
法を提供することを目的とするものである。
【0008】
【課題を解決するための手段】上述の目的を達成するた
めに、本発明の有機半導性薄膜は、Cn (ただし、nは
幾何学的に球状化合物を形成し得る整数である。)で表
される球状炭素類のプラズマ重合体よりなり、
(Cn+j m (nは幾何学的に球状化合物を形成し得る
整数であり、jは−10〜10の整数、mは正の整数で
ある。)なる分子式で表されることを特徴とするもので
あり、さらにはシクロヘキサトリエニル部位同志が1,
2−サイクル付加結合することによって複数の球状炭素
類が重合した構造を少なくとも部分的に有し、前記構造
がアモルファス状に分布していることを特徴とするもの
である。
【0009】また、本発明の製造方法は、Cn (ただ
し、nは幾何学的に球状化合物を形成し得る整数であ
る。)で表される球状炭素類を昇華源としてプラズマ重
合を行い、前記の有機半導性薄膜を成膜することを特徴
とするものである。
【0010】本発明の有機半導性薄膜は、(Cn+j m
(nは60、70、76、84等より選ばれた幾何学的
に球状化合物を形成し得る整数であり、jは−10〜1
0の整数、mは正の整数である。)なる分子式で表され
るプラズマ重合膜であり、図1に例示する如く、Cn
のシクロヘキサトリエニル部位(Cn を構成している炭
素結合のうち、5員環を挟む6員環の1稜線の両端部位
を指す。)同志が1,2−サイクル付加結合によりシク
ロブタン環を介して重合したCn 重合構造を部分的に有
し、この構造がアモルファス状に分布した膜構造を有す
る。
【0011】上記のCn 重合構造は種々の形態をとるこ
とができ、図1に示すもの以外に、図2に示す如く、C
n 分子間が他の位置で結合したもの等も例示される。本
発明の有機半導性薄膜は、これらCn 重合構造のみによ
って形成されていてもよいが、この場合にはCn 重合構
造が共有結合により網目状に全体に広がっているものと
考えられる。また、Cn 重合構造を部分的に有する場合
には、重合していない部分では、ファン・デル・ワール
ス力によって結合しあっているものと推測される。な
お、この有機半導性薄膜においては、上記したCn 重合
構造とともに、原料であるC60等のCn 単体分子が混在
していてもよい。
【0012】上記有機半導性薄膜において、原料として
使用する球状炭素類Cn の炭素数nは60及び/または
70であることが好適であるが、これはこれ以外の球状
炭素類では生産収量が大幅に減少し産業上利用価値がな
いという観点からであり、工業的価値を別にすれば、例
えば炭素数nが76、84等の球状炭素類でも、同等の
特性を有するプラズマ重合膜を得ることが可能である。
原料の入手の容易さを考慮すれば、C60/C70(C60
70の混合物)が最も好適である。
【0013】また、上記有機半導性薄膜は、(Cn+j
m (nは60、70、76、84等より選ばれた幾何学
的に球状化合物を形成し得る整数であり、jは−10〜
10の整数、mは正の整数である。)なる分子式で表さ
れるが、ここでjの値は、C n 単体からの炭素の欠落、
または付加により、C58、C56・・・、あるいはC62
・・等が得られ、それらが重合するため、必ずしもCn
の整数倍が重合体の骨格となっていないことを表してい
る。
【0014】本発明の有機半導性薄膜は、上記したCn
重合構造の存在と、これがアモルファス状に分布してい
ることにより、導電率が高くて静電気を帯電させず、透
明性に優れ、しかも機械的強度の高い薄膜となり、応用
範囲の広い材料として有用なものとなる。特に、この有
機半導性薄膜は、導電率が蒸着膜の108 倍に相当する
10-6S/cm以上であり、また、波長450nmの可視光
での透過率が蒸着膜の約2.7倍に相当する1000Å
当たり52%以上となる。
【0015】したがって、本発明の有機半導性薄膜は、
半導体素子の表面保護膜等の電子材料をはじめ、磁気テ
ープや磁気ディスク等の磁気記録媒体の表面保護膜、光
磁気ディスク装置の光学ピックアップ側の表面保護膜等
として、広範囲に使用可能である。なお、上記有機半導
性薄膜は、プラズマ重合により直接成膜するようにして
もよいし、予めプラズマ重合により成膜した膜を適当な
溶媒(例えばベンゼン)に溶かし、これを塗布する等に
よって所望の厚み、形状等に仕上げることもできる。
【0016】本発明の有機半導性薄膜は、球状炭素類C
n を昇華源としてプラズマ重合すること(気相において
n 原料物質を昇華してプラズマを印加し、Cn 分子を
重合させる。)によって成膜することができる。
【0017】プラズマ発生の放電方式は、公知の直流放
電、低周波放電、高周波放電、マイクロ波放電等の各種
方式が採用可能であり、また電極の種類及び放電発生方
式としては、内部電極方式、外部電極方式、導波管方
式、容量結合型、誘導結合型、無電極発振型等から選択
可能である。
【0018】プラズマ重合は、C60/C70等の球状炭素
類単独雰囲気中で行ってもよいが、プラズマの均一性、
安定性等を向上させるという見地から、キャリアガスを
併用してもよい。キャリアガスとしては、プラズマ重合
の際に一般に使用されているものがいずれも使用でき、
アルゴン、窒素、ヘリウム等が例示される。
【0019】放電条件は、直流放電ではガス圧力、電極
間距離、電圧の関係を示すパッシェンの法則が成立する
範囲、交流放電では放電可能範囲であれば重合に問題は
ない。ガス圧は、好ましくは13パスカル(10-1
ル)以下である。
【0020】
【実施例】以下、本発明を適用した実施例について、具
体的な実験データを参照しながら詳細に説明する。
【0021】プラズマ重合装置 本発明においては、有機半導性薄膜の成膜に際して各種
プラズマ重合装置が使用可能であるが、ここでは本実施
例において使用した外部電極式容量結合型のプラズマ重
合装置及び平行平板電極式容量結合型のプラズマ重合装
置の構成について説明する。
【0022】先ず、図3は、本実施例で用いた外部電極
式容量結合型のプラズマ重合装置を示すものである。こ
のプラズマ重合装置は、容量約20リットルの反応器1
を備え、この反応器1にはガス供給管2,3が設けられ
ている。また、反応器1の底部には、油拡散ポンプ4や
ロータリーポンプ5,6、液体窒素トラップ7,8等か
ら構成される真空排気系に連結された排気口9が設けら
れている。
【0023】また、反応器1の上部には、プラズマ発生
用電極10,11が3.5cmの間隔を隔てて反応器1
外部に設置され、プラズマ電源12にインピーダンス整
合器13を介して接続されている。また、反応器1内に
は、C60/C70フラーレン昇華用のモリブデンボート1
4及び試料基板15が7cmの間隔を隔てて対向して設
置されており、モリブデンボート14には直流電源16
が接続されている。
【0024】プラズマ電源12の出力は、交流13.5
6MHzのラジオ波で、最高出力150Wである。ここ
では、25W、50W、100Wで13.5パスカルに
設定したアルゴンガス一定流量系にてアルゴンプラズマ
を発生させ、このプラズマ中にモリブデンボート14に
入れたC60/C70フラーレンを昇華させてプラズマ重合
を行った。なお、重合中の膜厚は、センサー17により
連続的にモニターした。
【0025】原料物質であるC60/C70フラーレンは、
公知の方法によりグラファイト電極間のアーク放電によ
り生成した粉末をフラッシュクロマトグラフィーにより
精製したものであり、C60:C70は約9:1であった。
【0026】一方、図4は、平行平板電極式容量結合型
のプラズマ重合装置を示すものである。この平行平板電
極式容量結合型のプラズマ重合装置も、先の外部電極式
容量結合型のプラズマ重合装置と同様、容量約20リッ
トルの反応器21を備え、この反応器21にはガス供給
管22,23が設けられている。また、反応器21の底
部には、油拡散ポンプ24やロータリーポンプ25,2
6、液体窒素トラップ27,28等から構成される真空
排気系に連結された排気口29が設けられている。
【0027】上記反応器21内には、プラズマ発生用電
極30,31が10cmの間隔を隔てて平行に配置さ
れ、一方の電極30は、インピーダンス整合器33を介
してプラズマ電源32に接続されている。また、上部の
電極30からはアルゴンガスがシャワー状にこれら電極
30,31間に導入されるようになっている。
【0028】さらに、上記電極30,31間には、C60
/C70フラーレン昇華用のモリブデンボート34及び試
料基板35が7cmの間隔を隔てて対向して設置されて
おり、モリブデンボート34には直流電源36が接続さ
れている。なお、本装置においても、重合中の膜厚はセ
ンサ37にて連続的にモニタされており、また直流電源
36は図3に示す重合装置の直流電源16と同一のもの
である。
【0029】有機半導性薄膜の作製及び特性の評価 上述の図3または図4に示すプラズマ重合装置を用い、
図5に示した基板上にC60/C70フラーレンのプラズマ
重合膜を厚さ1000Åで成膜した。すなわち、基板4
1は、図5に示すように、ガラス基板42の表面に金製
の櫛形電極43,44を櫛歯の部分43a,44aを噛
合する如く対向して形成し、これら櫛歯の部分43a,
44aを覆ってプラズマ重合膜45を成膜した。なお、
プラズマ重合膜は実際には図6中一点鎖線で示すように
櫛形電極43,44の櫛歯の部分43a,44a上を覆
うが、図面では櫛歯の部分43a,44a間にのみ図示
した。
【0030】したがって、図6に示すように、プラズマ
重合膜45は、櫛形電極43,44の櫛歯の部分43
a,44aの間で抵抗体として動作し、前記櫛形電極4
3,44間に定電圧で電流を流し、電流値(抵抗値)を
測定することにより、下記の数1よりその導電率を測定
することができる。なお、櫛形電極43,44の櫛歯の
部分43a,44aの間隔dは1mm、電極長Lは11
0mmである。
【0031】
【数1】
【0032】そこで、前述のようにして作製した試料の
導電率を、図7及び図8に示した電圧電流特性測定装置
を用いて測定した。なお、図7は、図8のF−F線位置
での断面を示すものである。この電圧電流特性測定装置
は、コンピュータ制御されており、銅製のファラデーケ
ージ型セル50内に発熱体51を備え、この発熱体51
上に試料ホルダ52を有してなるものであり、前記セル
50の上部は、真空バルブ53,54を備えた蓋体55
により閉蓋されている。
【0033】また、セル50の所定の位置には当該セル
50を貫通する同軸ケーブルプラグ56,57が設けら
れ、この同軸ケーブルプラグ56,57を介してガラス
基板42の表面に形成された櫛形電極43,44間の電
圧電流特性が測定される。なお、セル50内の温度は、
熱電対58によってモニタされている。
【0034】この結果、25〜100のプラズマ出力範
囲では、成膜した試料の導電性に変化は見られなかっ
た。代表値として、100Wでプラズマ重合したときの
プラズマ重合膜の大気中及び真空中での導電率を表1に
示す。表1には、C60蒸着膜の導電率も併せて示した。
【0035】
【表1】
【0036】また、作製した厚さ1000Åのプラズマ
重合膜のUV〜可視吸収スペクトルを図9に、また蒸着
膜のUV〜可視吸収スペクトルを図10にそれぞれ示
す。このスペクルデータから換算すると、プラズマ重合
膜では、450nmにおいて1000Å当たり蒸着膜よ
り吸収が27%減少しており、光透過率が20%から5
2%に増加している。
【0037】次に、作製したプラズマ重合膜の接着強度
や引っかき強度を調べたところ、蒸着膜に比べてガラス
基板への接着強度、引っかき強度が明らかに優れている
ことがわかった。
【0038】図11には、本実施例において作製したプ
ラズマ重合膜の赤外線吸収スペクトルを示した。100
0〜1300cm-1の吸収ピーク群は、C−C結合の架
橋を示唆し、1028cm-1の吸収ピークはサイクロブ
タン構造に特有のものであることから、上記プラズマ重
合膜が主にフラーレン上のシクロヘキサトリエニル部位
同志の1,2−サイクル付加結合によりCn 分子間が重
合していることを示しており、したがって図1に示す部
分構造をとることが確認された。
【0039】図12には、本実施例において作製したプ
ラズマ重合膜のX線回折スペクトルを示した。これによ
れば、例えば高田らにより日本物理学会秋の年会、(19
91)29pBPS23に報告されているようなC60フラ
ーレンの特徴的なエピタキシャル結晶による構造規則性
を示す回折ピークがなく、ブロードな回折ピーク(基板
のガラスに由来する回折ピークと推定される。)しか観
測されないことから、この膜の構造はアモルファスであ
ることがわかる。
【0040】図13及び図14には、レーザーデソープ
ション法によるTOF−MS(Time-of-flight mass sp
ectroscopy)により測定したC60プラズマ重合膜の質量
分布を示す。なお、図13には、m/z(mは質量、Z
は電荷)値の広範囲のシークエンスを、図14には、C
602量体付近のピークの詳細を掲げた。
【0041】図13では、少なくとも14量体までのピ
ークが観察されているのがわかる。一方、図14では、
一番ピーク強度が大きいのは、C60からC原子が欠落し
たC58の2量体の質量に相当するC116であり、次いで
114、C118、C112・・・とピーク強度が減少してい
くのが観察される。また、C60にC原子が1個付加した
512量体の分子量に相当するC122も観測されてい
る。
【0042】すなわち、プラズマ重合により、出発物質
であるC60は、質量の欠落、付加を起こし、C58、C56
・・・、C62等となり、それらが重合するため必ずしも
60の整数倍が重合体の質量になっていないことを示し
ている。これらを式にすると、(Cn+j m (nは幾何
学的に球状化合物を形成し得る整数であり、jは−10
〜10の整数、mは正の整数である。)で表される分子
式となる。
【0043】この式は、例えばプラズマ重合体がC60
2量体に相当する場合にも、(C60)だけでなく、(C
59+C61)、あるいは(C58+C62)等が含まれている
ことを表している。したがって、より厳密に表すなら
ば、この重合体の分子式は、(Cn )+(Cn+1 +C
n-1 )+(Cn+2 +Cn-2 )+(Cn+3 +Cn-3 )・・
・となる。
【0044】比較例 図3の装置を用いて成膜するに際して、プラズマを発生
させないで10-3パスカル(10-5トール)での蒸着に
より作製した試料の大気中の導電率を同様な測定方法で
求めたところ、表1に示すように10-9程度であり、プ
ラズマ重合膜に比べて約103倍導電性が劣る結果とな
った。なお、先の表1における真空中での導電率が報告
値と一致しないのは、報告値で用いた10-7パスカル
(10-9トール)に比べて真空度が低いことや、本例で
はC60/C70を用いておりC70等のC60以外の物質の影
響等によるものと考えられる。
【0045】また、この蒸着膜の赤外線吸収スペクトル
は、例えば D.S.Bethune et. al.,Chem. Phys. Lett.,
179(1,2),(1991),181-186に報告されているC60蒸着膜
のスペクトルとほぼ等しいことから、この膜は重合して
いないC60集合体の膜であると推定された。
【0046】以上、本発明を適用した実施例について説
明してきたが、本発明がこの実施例に限定されるもので
はなく、本発明の技術思想に基づいて種々の変形が可能
である。例えば、上述のプラズマ重合条件(プラズマ発
生条件、昇華条件、使用フラーレン種、使用ガス種、圧
力、さらには真空装置の構造等)は上述したものに限ら
ず、種々変更してよい。
【0047】
【発明の効果】以上の説明からも明らかなように、本発
明においては、球状炭素類をプラズマ重合することによ
り有機半導性薄膜を得るようにしているが、この有機半
導性薄膜の導電率は蒸着膜より格段に向上し、可視光透
過率、機械的強度も高いことから、電子材料、磁気記録
媒体の保護膜等として広い範囲で使用可能である。
【図面の簡単な説明】
【図1】Cn 重合構造の一例を示す模式図である。
【図2】Cn 重合構造の他の例を示す模式図である。
【図3】プラズマ重合装置の一構成例を示す概略断面図
である。
【図4】プラズマ重合装置の他の構成例を示す概略断面
図である。
【図5】プラズマ重合膜を成膜した測定試料の概略平面
図である。
【図6】プラズマ重合膜を成膜した測定試料の要部概略
断面図である。
【図7】導電率測定用セルの概略平面図である。
【図8】導電率測定用セルの概略側面図である。
【図9】プラズマ重合膜のUV−可視吸収スペクトルで
ある。
【図10】蒸着膜のUV−可視吸収スペクトルである。
【図11】プラズマ重合膜の赤外線吸収スペクトルであ
る。
【図12】プラズマ重合膜のX線回折スペクトルであ
る。
【図13】C60プラズマ重合膜のTOF−MSを示す特
性図である。
【図14】TOF−MSにおけるC602量体付近のピー
クを示す特性図である。
【図15】C60フラーレンの切頭二十面体構造を示す模
式図である。
【図16】C60フラーレンにおける炭素間の結合状態を
示す模式図である。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 松澤 伸行 東京都品川区北品川6丁目7番35号 ソ ニー株式会社内 (56)参考文献 A.M.RAO et al.,Ph otoinduced Polymer ization of Solid C 60 Films,SCIENCE,1993 年 2月12日,Vol.259,p.955− 957 (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) C01B 31/02

Claims (3)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 Cn (ただし、nは幾何学的に球状化合
    物を形成し得る整数である。)で表される球状炭素類の
    プラズマ重合体よりなり、(Cn+j m (nは幾何学的
    に球状化合物を形成し得る整数であり、jは−10〜1
    0の整数、mは正の整数である。)なる分子式で表され
    ることを特徴とする有機半導性薄膜。
  2. 【請求項2】 シクロヘキサトリエニル部位同志が1,
    2−サイクル付加結合することによって複数の球状炭素
    類が重合した構造を少なくとも部分的に有し、前記構造
    がアモルファス状に分布していることを特徴とする請求
    項1記載の有機半導性薄膜。
  3. 【請求項3】 Cn (ただし、nは幾何学的に球状化合
    物を形成し得る整数である。)で表される球状炭素類を
    昇華源としてプラズマ重合を行い、請求項1又は2記載
    の有機半導性薄膜を成膜することを特徴とする有機半導
    性薄膜の製造方法。
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A.M.RAO et al.,Photoinduced Polymerization of Solid C60 Films,SCIENCE,1993年 2月12日,Vol.259,p.955−957

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