JP2000513609A - 多層ゴルフボール - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 本発明は、コア、内部カバー層及び外部カバー層を含む多層ゴルフボールを目的としており、ここで、該外部カバー層は注型可能な反応性液状物から形成される熱硬化性材料を含み、該外部層は0.127ｃｍ（0.05インチ）より少ない厚さを有し、かつ、該内部カバー層が曲げ弾性率の高い材料を含んでいる。本発明のゴルフボールは、ドライバーからウエッジまで“漸進的な性能”を提供すると考えられる。

Description

【発明の詳細な説明】 多層ゴルフボール 発明の分野 本発明は、一般的にはゴルフボール、より詳細には多層ゴルフボールに関する 。特に、本発明は、コア、内部カバー層及び非常に薄い外部カバー層を有するゴ ルフボールに関し、ここで該外部カバー層は注型可能で反応性の液体から形成さ れる熱硬化性材料を含み、該内部カバー層は曲げ弾性率が大きい材料を含んでい る。本発明の多層ゴルフボールは、種々のヘッドスピード及び打ち上げ角のゴル フクラブで打った場合、“漸進的な性能”特性を提供する。 発明の背景 最近まで、ゴルフボールは典型的に二つの一般的な型または群に分けられてい た：１）ツーピースボール及び２）糸巻きボール（スリーピースボールとしても 公知である）である。構造の異なる型に起因するプレーの特性における相違は非 常に顕著である。 ツーピース構造を有するボールは一般的に娯楽目的のゴルファーに最も人気が あるが、それは、きわめて耐久性のあるボールを提供する一方、最大の飛距離を も提供するからである。ツーピースボールは、一般に架橋ゴムで形成され、カバ ー材料に入っている単一の固形コアで製造されている。典型的には固形コアは、 ジアクリル酸亜鉛及び／又は同様の架橋剤で化学的に架橋したポリブタジエンで 作られている。カバーは、アイオノマー、例えばDuPontが市販している樹脂であ るSURLYNs（登録商標）又はExxonが市販しているIotek（登録商標）として知ら れている強靱で切断耐性の一又は複数の材料のブレンド含む。 先に述べたコアとカバー材料の組み合わせにより、ボールをゴルフクラブで打 つ場合に生じる切断及び他の傷に耐性である、“硬い”カバーのボールを提供す る。さらにこの組み合わせにより、ボールに早い初期速度が付与され、その結果 飛距離が増大する。しかしながら、硬いが故にこれらのボールは回転速度が相対 的に遅く、そのために、特に短いアプローチショットでボールをコントロールす ることを困難にしている。それ自体として、これらの型のボールは一般的に“飛 距離”ボールと認識されている。なぜなら、これらの材料は非常に硬く、クラブ で打ったときに硬い“打撃感”を有するためである。“打撃感”を改良し、回転 速度を上げるために、より柔らかいカバー材料、例えばバラタ（balata）及びあ る場合にはより柔らかいアイオノマーをツーピース構造のボールで使用してきた 。 糸巻きボールは、典型的には、固形ゴム又は液体を充填した中心部であって、 その周りに長大な伸張した弾性のあるスレッド又は糸を巻き付けてコアを形成し た中心を有する。巻き付けたコアを次いで耐久性のあるカバー材料、例えばＳＵ ＲＬＹＮ（登録商標）若しくは類似の材料又はより柔らかいカバー、例えばバラ タで被覆する。糸巻きボールは一般にツーピースボールより柔らかく、より多く の回転を提供し、このことにより熟練したゴルファーがボールの飛行についてよ りコントロールすることが可能となる。特に、ボールの飛行をコントロールし、 地上に落ちたボールの動作をコントロールするために、ゴルファーがゴルフボー ルにバックスピンをかけられることが望ましい。例えば、実質的にバックスピン がかかると、ボールが着地面を打った後、ボールが前にバウンドする代わりに一 度停止する。ゴルフボールにバックスピンがかけられる能力は、ゴルフクラブで ゴルフボールを打ったときのボールカバーの変形の程度に関係する。糸巻きボー ルは通常従来のツーピースボールより変形しやすいため、糸巻きボールにスピン をかけることは容易である。しかしながら、糸巻きボールは高スピンボールであ るが、ツーピースボールと比べると打ったときの飛距離が短い。さらに、その構 造が複雑なため、糸巻きボールは通常製造に長期間を要し、ツーピースボールよ り製造費用が高い。 ドライバーで39.6ｍ／ｓ、すなわち130ft／ｓの速度で打ったときに毎秒76.2 メートル(ｍ／ｓ)、又は250ft／ｓより大きな初速が達成可能（以下、“ＵＳＧ Ａ”試験という）なゴルフボールを米国ゴルフ協会（ＵＳＧＡ）が認定する競技 会で使用することを禁止する規則をＵＳＧＡが提示した。しかしながら、２％の 許容公差が認められているため、製造業者は77.7ｍ／ｓ（255ft／ｓ）の初期速 度を達成するゴルフボールを製造している。 ボールの型に関係なく、競技者は通常最大飛距離を出すゴルフボールを要求し ており、それには打撃時の早い初速が必要となる。それゆえ、市場の要求に合わ せようとする努力の中で、製造業者は、ＵＳＧＡ試験でほぼＵＳＧＡの最大値で ある77.7ｍ／ｓ又は255ft／ｓにできるだけ近い初速を有するゴルフボールを製 造しようとしている。 それゆえ、ゴルフボールの製造業者は引き続き、技術の程度が様々なゴルファ ーに対して飛距離と回転速度の観点から最高の性能のゴルフボールを提供する新 たな方法を探索している。 比較的最近、多数のゴルフボール製造業者が多層ゴルフボールを導入したが、 このボールは多重中間マンテル及び／又はカバー層を有しており、従来のツーピ ースボールの望ましくない点のいくつか、例えばその硬い打撃感を改良し、一方 このゴルフボールの積極的な利点（その初速及び飛距離の増加を含む）を保持し ようとの努力により導入されたものである。多層ボールの例は、Altus Newing(B ridgestone)、Reygrande 2x2、Giga(Spalding)Metal Mix(Dunlop)、Ultra Tour Balata(Wilson)を含む。 さらに、典型的な単一層コア及び／又は単一カバー層構造を変更して多層コア 及び／又はカバーを提供することにより、従来のツーピースボールの特性を修正 することを目的とする多数の特許が発行されている。これらの特許で開示された 発明は、多数のゴルフボールの特性を改良することを目的としている。 例えば、固形構造で提供された飛距離を維持しつつ固形ボールの回転、カチッ と当たること又は打撃感を改良することを目的とする多層ボールの特許が多数あ る。コア構造を取り扱う種々の方法が先行技術に記載されている。例えば、米国 特許第5,072,944号はゴム組成物、好ましくはポリブタジエンの基材ゴムを有す るゴム組成物から製造される中心部及び外部層を有するスリーピース固形ゴルフ ボールを開示している。この特許の教示は、中心部コアは外部層より柔らかいの が望ましいということであり、各層の硬度（ショアＣ）はそれぞれ25−50及び70 −90である。 米国特許第4,625,964号は、32ｍｍより大きくない直径を有するポリブタジエ ンゴムのコア、及びコア材料より低い比重を有するポリブタジエンゴム中間層 を有する固形ゴルフボールに関する。 米国特許第4,848,770号は、高度に充填した合成ゴム又は重合性材料のコア、 充填しない合成ゴムの中間マンテル及びカバーを含む糸巻きでないスリーピース ゴルフボールを開示している。コアと中間マンテルは50−95の硬度を有している 。 米国特許第5,002,281号は、25−70の硬度（ショアＣ）を有する内部コア及び8 0−95の硬度（ショアＣ）を有する外部シェルを有するスリーピース固形ゴルフ ボールを目的としており、ここで内部コアの比重は1.0より大きくなければなら ないが、1.3より小さくなければならない外部シェルの比重以下でなければなら ない。 米国特許第5,253,871号は、弾性体コア、少なくとも10％のエーテルブロック コポリマーを含み、好ましくはアイオノマーとブレンドした熱可塑性材料の中間 層、及び熱可塑性カバーを含むスリーピース構造を有するゴルフボールに関する 。 いくつかの付加的な特許は、多重カバー層を有するゴルフボールを目的として いる。例えば、米国特許第4,431,193号は、内部層が硬く、曲げ弾性率が大きな アイオノマー樹脂であり及び外部層が柔らかい、曲げ弾性率が小さいアイオノマ ー樹脂であり、一方又は両方の層が発泡アイオノマー樹脂を含んでもよい多層カ バーを有するゴルフボールに関する。 米国特許第5,314,187号も、多層で形成したカバーを有するゴルフボールであ って、外部層が内部層の上に形成されており、バラタと弾性体のブレンドを含み 、かつ内部層がアイオノマー樹脂であるゴルフボールに関する。 米国特許第4,919,434号は、内部層と外部層を含むカバーを有するゴルフボー ルであって、両者とも熱可塑性樹脂を含み、好ましくはこれらの層が相互に溶融 結合が可能な材料を含んでいるゴルフボールを目的としている。 英国特許出願ＧＢ2,291,817号及び2,291,812号は両者とも飛距離が改良された 糸巻きゴルフボールを目的としており、内部カバー層が外部カバー層と比較して 大きな硬度を有している二重カバー層を含んでいる。これらの文献が教示してい るところは、カバー層をバラタ又はアイオノマー樹脂から形成することができ、 組み合わせた厚さは４ｍｍより小さくなけばならないということである。 英国特許出願ＧＢ2,278,609号は競技性又は耐久性を犠牲にすることなく飛距 離の伸びた多層ゴルフボールを開示しており、これはコア、内部カバー層及び外 部カバー層を含み、内部カバー層は高酸性アイオノマーを、外部カバー層は柔ら かいアイオノマー又は非−アイオノマー性熱可塑性エラストマーを含んでいる。 しかしながら、これらの特許のうちいずれも、ここに開示した注型可能で反応 性の液体から形成できる極めて薄い熱硬化性の外部層を有する多層ボールが、“ 漸進的な性能”を示すゴルフボール、例えば本発明のゴルフボールを提供するこ とを開示していない。 本発明の概要 本発明は、種々のヘッドスピード及び打ち上げ角のゴルフクラブで打ったとき に“漸進的な性能”特性を提供する多層ゴルフボールを目的とする。 本発明はさらに、一般にコア、内部カバー層及び非常に薄い（すなわち＜0.12 7ｃｍ(0.05インチ)）外部カバー層を含む多層ゴルフボールを目的とし、ここで 、内部カバー層は曲げ弾性率が大きな材料を含み、外部カバー層は注型可能な反 応性液状材料から形成される熱硬化性材料を含む。 特定の態様において、本発明はコア、内部カバー層及び非常に薄い外部カバー 層を含むゴルフボールを目的とし、ここで：ａ）コアは周囲を長大な弾性のある スレッドで巻いた、固形状または液状の充填した中心部を含み；ｂ）内部カバー 層は曲げ弾性率の大きな材料を含み；及びｃ）外部カバー層は注型可能な反応性 液体から形成される熱硬化性材料を含む。 発明の詳細な説明 本発明によって、ここにクレームした構造のゴルフボールは、種々のクラブで 打った場合に“漸進的な性能”を有することがわかった。より詳細には、ここで 使用する“漸進的な性能”という用語は、ここにクレームしたゴルフボールが、 クラブヘッドの速度が速く打ち上げ角が低いクラブで打った場合に従来の硬いカ バーのツーピースボールと同じ飛距離の利点を有し、ヘッドの速度が遅く打ち上 げ角が低いクラブで打った場合に従来の柔らかなカバーの糸巻きボールの特性と 類似した高速回転及び打撃感の特性をも有することを意味している。それゆえ、 ここにクレームした構造のゴルフボールは、ゴルフボールの技術分野において“ 両方の世界での最良”を提供し、すなわち長いショット（たとえばドライバー） に対しては回転が速く飛距離が最高のボールを、短いショット（たとえばウエッ ジ）に対しては制御しやすさを提供する。 あらゆる特定の理論に制限されなければ、クラブヘッド速度が遅く打ち上げ角 が高いショット、例えば８−アイアン又はウエッジでのショットによるボールの 飛行特性には、ボールの全体の構造よりボールの表面の硬さの方が大きな影響を 与えると考えられている。それゆえ、他の全ての変数が同一であれば、ボールの 全体の構造には関係なく、表面が柔らかいボールは表面が硬いボールより大きな 回転速度を有する可能性がある。しかしながら、逆に、ゴルフボールをクラブヘ ッドの速度が速く打ち上げ角が低いクラブ、例えばドライバーで打った場合、反 対の結果が正しいと考えられ、すなわち、ボールの飛行特性に与える影響は表面 の硬さよりボール全体の構造の方が大きいと考えられる。 すなわち本発明により、回転が遅い構造を有するが注型可能な反応性液体から 形成された相対的に柔らかい熱硬化性材料の非常に薄い層を付加したゴルフボー ルを製造することにより、ドライバーからウエッジまで“漸進的な性能”を示す ゴルフボールを製造することが可能であることが分かった。ここで使用するよう に、“熱硬化性”材料という用語は、二又はそれより多いプレポリマー前駆体材 料の反応生成物である不可逆性の固形ポリマーを意味する。 本発明は、特に、コア、内部カバー層及び外部カバー層を含む多層ゴルフボー ルを目的とする。外部カバー層の厚さは、本発明のゴルフボールの“漸進的な性 能”にとって決定的である。外部カバー層が厚すぎると、ボール全体の構造が関 連する飛行中の特性に寄与することとなり、カバーの表面特性に寄与しない。し かしながら、外部カバー層が薄すぎると、ゴルファーのクラブによる繰り返しの 衝撃に十分耐えるだけの耐久性がないこととなる。詳細には、外部カバー層の厚 さは約0.127ｃｍ（約0.05インチ）より薄く、好ましくは約0.05〜約0.1ｃｍ（約 0.02〜0.04インチ）の間の厚さでなければならないことが決定された。最も好ま しくは、この厚さは約0.08ｃｍ（約0.03インチ）である。 外部カバー層は相対的に柔らかい熱硬化性材料から形成して、本発明のボール をピッチング及び他の“ショートゲーム”のショットで使用した場合に、バラタ ボールの柔らかい打撃感と速い回転プレー特性を写し取る。特に、外部カバー層 は、ショアＤ硬度で約30〜約60、好ましくは35〜50、最も好ましくは40〜45を有 すべきである。さらに、外部カバー層の材料は、ゴルフボールカバーとしての使 用に適合するために耐剥離性でなければならない。 本発明の外部カバー層は、注型可能な反応性の液状材料から形成される適切な 熱硬化性材料であればいずれも含むことができる。外部カバー層として好ましい 材料は、熱硬化性ウレタン及びポリウレタン、熱硬化性ウレタンアイオノマー及 び熱硬化性ウレタンエポキシを含むが、これに限定されない。適切なポリウレタ ンアイオノマーの例は同時係属出願である米国特許出願第08／482,519、1995年 ６月７日出願、発明の名称“ゴルフボールカバー”に開示されており、この出願 での開示全体を本出願に参考として取り込む。 熱硬化性ポリウレタン及びウレタンは、本発明のボールの外部カバー層として 特に好ましい。ポリウレタンは、ポリウレタンプレポリマーと硬化剤との反応生 成物である。ポリウレタンプレポリマーは、ポリオールとジイソシアナートとの 反応により形成される生成物である。硬化剤は、典型的にはジアミン又はグリコ ールのいずれかである。場合により、触媒を使用して硬化剤とポリウレタンプレ ポリマーとの反応を促進する。 通常は、ポリウレタンはジイソシアナート、例えば2,4−トルエンジイソシア ナート（ＴＤＩ）又はメチレンビス（４−シクロヘキシルイソシアナート）(Ｈ ＭＤＩ)及びポリアミンで硬化したポリオール、例えばメチレンジアニリン(ＭＤ Ａ)、又は三官能性グリコール、例えばトリメチロールプロパン、又は四官能性 グリコール、例えばＮ,Ｎ,Ｎ',Ｎ'−テトラキス（２−ヒドロキシプロピル）エ チレンジアミンを使用して製造する。しかしながら、本発明はこれらの特定の型 の熱硬化性ポリウレタンに限定されない。まさにそれと反対に、全ての適切な熱 硬化性ポリウレタンが、本発明の外部カバー層を製造するのに使用可能である。 本発明の内部カバー層は硬く、曲げ弾性率が大きく、弾性のある材料から製造 されるが、この性質が長いショット（例えばドライバー又はロングアイアン）で 打った場合にここでクレームしたボールの低回転、飛距離特性に貢献している。 詳細には、内部カバー層材料はショアＤ硬度で約65〜80、好ましくは約69〜74、 最も好ましくは約70〜72である。さらに、ここで定義したように、“高曲げ弾性 率”という用語は、曲げ弾性率(ＡＳＴＭ790で計測して)が少なくとも約448MPa( 約65,000psi)、好ましくは約483MPa〜約827MPa(約70,000psi〜約120,000psi)、 最も好ましくは少なくとも約517MPa（約75,000psi）であることを意味している 。内部カバー層の厚さは、約0.051ｃｍ〜約0.114ｃｍ(約0.020インチ〜約0.045 インチ)、好ましくは約0.076ｃｍ〜約0.102ｃｍ(約0.030インチ〜約0.040インチ )、最も好ましくは約0.089ｃｍ（0.035インチ）である。 内部カバー層は広い種類の硬く、曲げ弾性率が大きく弾性のある材料から製造 することができる。好ましい内部カバー材料は、硬く曲げ弾性率が大きいアイオ ノマー樹脂及びそのブレンドである。これらのアイオノマーは、3〜12の炭素原 子を有する不飽和モノ−又はジ−カルボキシル酸及びそのエステルから成る群か ら選択する少なくとも一のモノオレフィンのポリマー（ポリマーは1〜50質量％ の不飽和モノ−又はジ−カルボキシル酸及び／又はそのエステルを含む）に交叉 金属結合（cross metallic bond）を付与することによって得られる。特に酸− 含有エチレンコポリマーアイオノマー成分はＥ／Ｘ／Ｙコポリマーを含み、ここ でＥはエチレン、Ｘは軟化コモノマー、例えばアクリレート又はメタクリレート であり、ポリマーの0〜50（好ましくは0〜25、最も好ましくは0〜20）質量％存 在し、Ｙはアクリル酸又はメタクリル酸であり、ポリマーの5〜35（好ましくは 少なくとも約16、より好ましくは少なくとも約16〜35、最も好ましくは少なくと も約1〜20）質量％存在し、ここで酸部分はカチオンで1〜90％（好ましくは少な くとも40％、最も好ましくは少なくとも約60％）中和されてアイオノマーを形成 し、該カチオンは、例えばリチウム^★、ナトリウム^★、カリウム、マグネシウム^★ 、カルシウム、バリウム、鉛、スズ、亜鉛^★又はアルミニウム(^★＝好ましい) 、又はこれらのカチオンの組み合わせである。特定の酸−含有エチレンコポリマ ーは以下を含む：エチレン／アクリル酸、エチレン／メタクリル酸、エチレン／ アクリル酸／ｎ−ブチルアクリレート、エチレン／メタクリル酸／ｎ−ブチルア クリレート、エチレン／メタクリル酸／イソ−ブチルアクリレート、エチレン／ アクリル酸／イソ−ブチルアクリレート、エチレン／メタクリル酸／ｎ− ブチルメタクリレート、エチレン／アクリル酸／メチルメタクリレート、エチレ ン／アクリル酸／メチルアクリレート、エチレン／メタクリル酸／メチルアクリ レート、エチレン／メタクリル酸／メチルメタクリレート、及びエチレン／アク リル酸／ｎ−ブチルメタクリレート。好ましい酸−含有エチレンコポリマーは以 下を含む：エチレン／メタクリル酸、エチレン／アクリル酸、エチレン／メタク リル酸／ｎ−ブチルアクリレート、エチレン／アクリル酸／ｎ−ブチルアクリレ ート、エチレン／メタクリル酸／メチルアクリレート、及びエチレン／アクリル 酸／メチルアクリレートコポリマー。最も好ましい酸−含有エチレンコポリマー は、エチレン／メタクリル酸、エチレン／アクリル酸、エチレン／（メタ）アク リル酸／ｎ−ブチルアクリレート、エチレン／（メタ）アクリル酸／エチルアク リレート、及びエチレン／（メタ）アクリル酸／メチルアクリレートコポリマー である。 アイオノマーの製造方法は本技術において周知であり、例えば米国特許第3,26 2,272号に記載されている。これらのアイオノマー樹脂はDuPont Co.からＳＵＲ ＬＹＮ（登録商標）という商品名で、ExxonからIotek（登録商標）という商品名 で商業的に入手可能である。特に適したＳＵＲＬＹＮ（登録商標）は、ＳＵＲＬ ＹＮ（登録商標）8140（Na）及びＳＵＲＬＹＮ（登録商標）8546（Li）を含み、 約19％のメタクリル酸含量を有する。 しかしながら、内部カバー層用の材料はアイオノマー樹脂に限定されない。代 りに、本発明では、ゴルフボールの他の材料と相溶性がある、ほとんど全ての硬 い、曲げ弾性率が大きい、弾性のある材料を内部カバー層として使用することが できると考えられる。他の適切な内部カバー材料の例は、熱可塑性又は熱硬化性 ポリウレタン、熱可塑性又は熱硬化性ポリエーテルエステル又はポリエーテルア ミド、熱可塑性又は熱硬化性ポリエステル、動的加硫したエラストマー、機能化 スチレン−ブタジエンエラストマー、メタロセンポリマー又はそれらのブレンド を含む。 適切な熱可塑性ポリエーテルエステルは、DuPontからHytrel（登録商標）とい う商品名で商業的に入手可能である材料を含む。適切な熱可塑性ポリエーテルア ミドは、Elf−AtochemからPebax（登録商標）という商品名で入手可能で ある材料を含む。内部カバー材料用の他の適切な材料は、ナイロン及びアクリロ ニトリル−ブタジエン−スチレンコポリマー（ＡＢＳ）を含む。 本発明のゴルフボールのコアは、種々の構造体を含んでもよい。例えば、ゴル フボールのコアは、中心部と内部カバー層の間に配置した中間のマンテル層で取 り囲んだ従来の中心部を含むことができる。コアは単一層であってもよく、又は 複数の層を含んでもよい。コアの最も内側の部分は固形であってよく、又は液体 充填球であってよい。コアに関して、中間のマンテル層も複数の層を含んでもよ い。コアは、周囲を多数の伸長した弾性スレッド又は糸を巻きつけた固形又は液 体で充填した中心部を含んでもよい。 固形コアの材料は基材ゴム、架橋剤、充填剤、及び共−架橋剤又は開始剤を有 する組成物を含む。基材ゴムは典型的には天然又は合成ゴムを含む。好ましい基 材ゴムは、少なくとも40％のcis−構造を有する1,4−ポリブタジエンである。所 望の場合には、本技術で公知の他のエラストマー、例えば天然ゴム、ポリイソプ レンゴム及び／又はスチレン−ブタジエンゴムと混合してコアの特性を変性する ことができる。 架橋剤は不飽和脂肪酸の金属塩、例えば3〜8の炭素原子を有する不飽和脂肪酸 、例えばアクリル酸又はメタクリル酸の亜鉛又はマグネシウム塩を含む。適切な 架橋剤は、ジアクリル酸、ジメタクリル酸及びモノメタクリル酸の金属塩であり 、ここで金属はマグネシウム、カルシウム、亜鉛、アルミニウム、ナトリウム、 リチウム又はニッケルである。 開始剤は、硬化サイクルの間に分解する全ての公知の重合開始剤であることが できる。適切な開始剤は、ペルオキシド化合物、例えばジクミルペルオキシド、 1,1−ジ（t−ブチルペルオキシ）−3,3,5−トリメチルシクロヘキサン、a−aビ ス（t−ブチルペルオキシ）ジイソプロピルベンゼン、2,5−ジメチル−2,5−ジ （t−ブチルペルオキシ）ヘキサン又はジ−t−ブチルペルオキシド及びその混合 物を含む。 従来の先行技術のゴルフボールは、典型的にはジアクリレートペルオキシドコ ア系中に5〜50pphの酸化亜鉛を含んでいる。しかしながら、ジアクリレート−ペ ルオキシド系における酸化亜鉛を酸化カルシウムに置き換えて適切なコア組成 物を製造することが可能である。 ここ個で使用した“充填剤”という用語は、コアの密度及び他の特性を変化さ せるために使用される全てのコンパウンド又は組成物を含む。充填剤は、典型的 には材料、例えば酸化亜鉛、硫酸バリウム、シリカ、炭酸カルシウム、炭酸亜鉛 粉砕再生物（30メッシュの粒子に粉砕した再利用コア材料）及び類似物を含む。 本発明のある態様において、コアは、周囲を弾性のあるスレッドで巻かれた液 体−充填の又は固形の中心部を含む。固形の中心部は典型的には弾性材料、例え ばポリブタジエン又は天然ゴムの均質な質量である。液体−充填の中心部は、典 型的には、熱可塑性又は熱硬化性材料から製造した薄い壁の球であり、その中に 針で液体、例えばコーンシロップが注入される。次いで球を密閉し、典型的には 凍結してコアを固形質量とする。いずれの型の中心部に対しても、伸長した弾性 のあるスレッドでコアの周りを巻いて所望の厚さにすることによって糸巻きを行 う。 コア（中心部及び全ての中間マンテル層又は糸巻きを含む）の全外径（ＯＤ） は、本発明のゴルフボールの内部カバー層も合わせると、約4.013ｃｍ〜約4.166 ｃｍ(約1.580インチ〜約1.640インチ)、好ましくは約4.064ｃｍ〜約4.140ｃｍ( 約1.60インチ〜約1.630インチ)、最も好ましくは約4.115ｃｍ（約1.620インチ） である。 本多層ゴルフボールの直径はいかなる大きさであってもよい。米国ゴルフ協会 (ＵＳＧＡ)の仕様は競技用ゴルフボールの最小の大きさを、直径4.267ｃｍ（1.6 80インチ）より大きいことと制限しているものの、最大直径に関する仕様はない 。さらに、娯楽用にはどのような大きさのゴルフボールも使用することができる 。現在のゴルフボールの好ましい直径は約4.267ｃｍ〜約4.572ｃｍ（約1.680イ ンチ〜約1.800インチ）である。より好ましい直径は約4.267ｃｍ〜約4.470ｃｍ （約1.680インチ〜約1.760インチ）である。最も好ましい直径は約4.267ｃｍ〜 約4.420ｃｍ（約1.680インチ〜約1.740インチ）である。 本発明のゴルフボールのコア及び内部カバーは、ゴルフボールの技術で使用さ れた従来の全ての方法で製造することができる。例えば、固形中心部は射出成形 又は圧縮成形のいずれの方法でも成形できる。同様に、本発明で使用する糸巻き 中心部は、従来法で製造できる。内部カバー層及びマンテル層は、コアに、射出 成形又は圧縮成形で引き続き成形される。 しかしながら、非常に薄い（0.127ｃｍ（0.05インチ）より薄い）ために、ゴ ルフボールの技術でカバー材料を適用するのに通常使用される、従来の射出成形 又は圧縮成形を使用して本発明のボールの外部カバー層を形成することは実際的 でない。これらの従来のボール成形方法を、固形の球状表面に薄い外部カバー層 を形成するのに簡単に適用することはできない。 すなわち、本発明で、液状で適用される注型可能な反応性材料を使用すること によって、ゴルフボール上の非常に薄い外部カバー層が得られることが明らかと なった。詳細には、反応して熱硬化性材料を形成する、注型可能な反応性液体が 非常に薄い外部カバー層を提供することが分かった。 熱硬化性材料を形成するために使用した注型可能な反応性液体は、種々の適用 技術を使用して内部コアの上に適用することができるが、適用技術としては、本 技術で周知のスプレー法、浸漬法、スピン被覆法又はフロー被覆法がある。適切 な被覆技術の例は、同時係属出願である米国特許出願第08／432,657号、1995年 ５月２日出願、発明の名称“ゴルフボールへポリウレタンカバーを形成する方法 及び装置”、に開示されており、ここでこの開示の全てを参考として本出願に取 り込む。同様に、Brown et.al.,に対する米国特許第5,006,297号、及びWuに対す る米国特許第5,334,673号のいずれも、本発明で使用する注型可能で反応性の液 体を適用するのに使用することができる適切な被覆技術を開示している。これら の特許の全ての開示をここに参考として取り込む。しかしながら、本発明の方法 はこれらの技術の使用に限定されるものではない。 本発明に従って成形された多層ゴルフボールに関する以下の実施例は、本発明 を説明するためのものである。しかしながら、本実施例は説明の目的のためだけ のものであり、いかなる形においても本発明がこの特定の開示に限定されないこ とを理解すべきである。 実施例１ 本発明のゴルフボールを以下のように製造することができる。本技術で周知の 方法を使用して形成された従来の糸巻きコア構造又は従来のツーピースコア構造 のいずれかを使用してコアを製造することができる。糸巻きコア構造は、固形の ゴムを主体とする中心部又は液体を充填した中心部の周りを長大な弾性のあるス レッドで巻いたもののいずれかであることができる。従来のツーピース構造は好 ましくは、不飽和脂肪酸の金属塩、例えばジアクリル酸亜鉛で架橋したシス1,4 ポリブタジエンゴムを含む。 これらのコア構造を次いで、従来の圧縮成形の技術を使用して、メタクリル酸 含量が少なくとも約16質量％であるアイオノマー（好ましくはＳＵＲＬＹＮ8140 又はＳＵＲＬＹＮ8546）の内部カバー層で被覆する。 米国特許第5,006,297号及び米国特許第5,334,673号に記載された方法に従って 外部カバー層を成形することができる。外部カバー層の形成に特に好ましい材料 は40Ｄ注型可能なウレタンである。 本発明に従って製造されたゴルフボールは、ドライバーで打った場合、従来の “性能が良好な”ゴルフボール（例えばTour Balata[Titleist]）と比較して明 確に低い回転速度を示し(それゆえより大きな全飛距離を示す)、8−アイアン及 び／又は“50ヤード”ウエッジで打った場合は同等又はかえって速い回転速度を 示すが、このことは、本発明のゴルフボールがドライバーからウエッジまで“漸 進的な性能”を示すことを証明している。 ここに開示する発明の説明のための態様が先に述べた目的を達成していること は明らかである一方、当業者は多数の変形及び他の態様を考えられることが理解 されよう。それゆえ、添付した請求の範囲は、本発明の思想及び範囲に入る全て のこのような変形及び態様を含むことを意図していると理解されるべきである。

【手続補正書】 【提出日】平成１１年１１月２９日（１９９９．１１．２９） 【補正内容】 請求の範囲 １．カバー及びコアを含むゴルフボールであって、該カバーが該コアの周囲に配 置されかつ該カバーが以下を含むゴルフボール： （a）曲げ弾性率が大きい材料を含む内部カバー層；及び （b）30〜60より大きいショアＤ硬度を有し、約0.127ｃｍ（約0.050インチ） より少ない厚さを有し、かつ、少なくとも一の注型可能な反応性液状材料及びそ の反応生成物を含む外部カバー層。 ２．外部層が約0.051〜約0.114ｃｍ（約0.02〜約0.045インチ）の厚さである、 請求項１のゴルフボール。 ３．外部層が約35〜約50の間のショアＤ硬度を有する、請求項１のゴルフボール 。 ４．内部層が少なくとも約448MPa（約65,000psi）の曲げ弾性率を有する、請求 項１のゴルフボール。 ５．内部層が約483〜約827MPa（約70,000〜約120,000psi）の曲げ弾性率を有す る、請求項３のゴルフボール。 ６．内部層が少なくとも約65のショアＤ硬度を有する、請求項１のゴルフボール 。 ７．内部層が約69〜約74のショアＤ硬度を有する、請求項５のゴルフボール。 ８．熱硬化性材料がポリウレタン、ウレタンアイオノマー及びウレタンエポキシ より成る群から選択する材料を含む、請求項１のゴルフボール。 ９．内部カバー層がアイオノマー樹脂、ポリウレタン、ポリエーテルエステル、 ポリエーテルアミド、ポリエステル、動的加硫したエラストマー、機能化したス チレンブタジエンエラストマー、メタロセンポリマーナイロン、アクリロニトリ ルブタジエン−スチレンコポリマー又はこれらのブレンドを含む、請求項１のゴ ルフボール。 １０．内部カバー層が少なくとも約16質量％のカルボキシル酸を含むアイオノマ ー樹脂を含む、請求項９のゴルフボール。 １１．中心部及び内部カバー層の外径が約4.166ｃｍ（約1.640インチ）より小さ い、請求項１のゴルフボール。 １２．カバー及びコアを含むゴルフボールであって、 （a）カバーが内部カバー層及び外部カバー層を含み； （b）該内部カバー層が少なくとも約448MPa（約65,000psi）の曲げ弾性率を有 するアイオノマー樹脂を含み； （c）該外部カバー層が約0.051ｃｍ〜約0.114ｃｍ（約0.02インチ〜約0.045イ ンチ）の厚さを有しかつ注型可能な反応性液状材料から形成されるポリウレタン を含む、ゴルフボール。 １３．コアが液状充填中心部を含む、請求項12のゴルフボール。 １４．コアが周囲を長大な弾性のあるスレッドで巻かれている中心部を含む、請 求項13のゴルフボール。 １５．内部カバー層がアイオノマーを含む、請求項14のゴルフボール。 １６．カバー及びコアを含むゴルフボールであって、 （a）カバーが内部カバー層及び外部カバー層を含み； （b）該内部カバー層が少なくとも約448MPa（約65,000psi）の曲げ弾性率及び 約0.089ｃｍ（約0.035インチ）の厚さを有するアイオノマーを含み；かつ （c）該外部カバー層が約0.076ｃｍ（約0.030インチ）の厚さを有しかつ注型 可能な反応性液体から形成されるポリウレタンを含む、ゴルフボール。 １７．コアが固形の球を含む、請求項16のゴルフボール。 １８．コアが周囲を長大な弾性のあるスレッドで巻かれている固形の中心部を含 む、請求項16のゴルフボール。 １９．コアが周囲を長大な弾性のあるスレッドで巻かれている液状充填中心部を 含む、請求項16のゴルフボール。

───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 スネル ディーン アメリカ合衆国 カリフォルニア州 92057 オーシャンサイド ルーピン ウ ェイ 408

Claims (1)

1. 【特許請求の範囲】 １．カバー及びコアを含むゴルフボールであって、該カバーが以下を含むゴルフ ボール： （a）曲げ弾性率が大きい材料を含む内部カバー層；及び （b）約0.127ｃｍ（約0.050インチ）より少ない厚さを有し、熱硬化性材料を 含み、該熱硬化性材料が注型可能な反応性液状材料から形成される外部カバー層 。 ２．外部層が約0.051〜約0.114ｃｍ（約0.02〜約0.045インチ）の厚さである、 請求項１のゴルフボール。 ３．外部層が約60より小さいショアＤ硬度を有する、請求項１のゴルフボール。 ４．外部層が約35〜約50の間のショアＤ硬度を有する、請求項３のゴルフボール 。 ５．内部層が少なくとも約448MPa（約65,000psi）の曲げ弾性率を有する、請求 項１のゴルフボール。 ６．内部層が約483〜約827MPa（約70,000〜約120,000psi）の曲げ弾性率を有す る、請求項４のゴルフボール。 ７．内部層が少なくとも約65のショアＤ硬度を有する、請求項１のゴルフボール 。 ８．内部層が約69〜約74のショアＤ硬度を有する、請求項６のゴルフボール。 ９．熱硬化性材料がポリウレタン、ウレタンアイオノマー及びウレタンエポキシ より成る群から選択する材料を含む、請求項１のゴルフボール。 １０．内部カバー層がアイオノマー樹脂、ポリウレタン、ポリエーテルエステル 、ポリエーテルアミド、ポリエステル、動的加硫したエラストマー、機能化した スチレンブタジエンエラストマー、メタロセンポリマーナイロン、アクリロニト リルブタジエン−スチレンコポリマー又はこれらのブレンドを含む、請求項１の ゴルフボール。 １１．内部カバー層が少なくとも約16質量％のカルボキシル酸を含むアイオノマ ー樹脂を含む、請求項10のゴルフボール。 １２．中心部及び内部カバー層の外径が約4.166ｃｍ（約1.640インチ）より小さ い、請求項１のゴルフボール。 １３．カバー及びコアを含むゴルフボールであって、 （a）カバーが内部カバー層及び外部カバー層を含み； （b）該内部カバー層が少なくとも約448MPa（約65,000psi）の曲げ弾性率を有 するアイオノマー樹脂を含み； （c）該外部カバー層が約0.051ｃｍ〜約0.114ｃｍ（約0.02インチ〜約0.045イ ンチ）の厚さを有しかつ注型可能な反応性液状材料から形成されるポリウレタン を含む、ゴルフボール。 １４．コアが液状充填中心部を含む、請求項13のゴルフボール。 １５．コアが周囲を長大な弾性のあるスレッドで巻かれている中心部を含む、請 求項14のゴルフボール。 １６．内部カバー層がアイオノマーを含む、請求項15のゴルフボール。 １７．カバー及びコアを含むゴルフボールであって、 （a）カバーが内部カバー層及び外部カバー層を含み； （b）該内部カバー層が少なくとも約448MPa（約65,000psi）の曲げ弾性率及び 約0.089ｃｍ（約0.035インチ）の厚さを有するアイオノマーを含み；かつ （c）該外部カバー層が約0.076ｃｍ（約0.030インチ）の厚さを有しかつ注型 可能な反応性液体から形成されるポリウレタンを含む、ゴルフボール。 １８．コアが固形の球を含む、請求項17のゴルフボール。 １９．コアが周囲を長大な弾性のあるスレッドで巻かれている固形の中心部を含 む、請求項17のゴルフボール。 ２０．コアが周囲を長大な弾性のあるスレッドで巻かれている液状充填中心部を 含む、請求項17のゴルフボール。