JP2680405B2 - ラージサイズのスリーピースソリッドゴルフボール - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 （産業上の利用分野） 本発明は優れた反撥性および飛距離を有するラージサ
イズのスリーピースソリッドゴルフボールに関する。

（従来の技術） これまでスリーピースソリッドゴルフボールについて
は多くの特許出願がなされているものの、ツーピースゴ
ルフボールより優れた性能、即ち高い反撥性、ゴルフボ
ールに重要な良好な飛び、高い耐久性及び快い打撃感を
有するものは未だ開発されていない。特にラージサイズ
のゴルフボールにおいて優れた性能を有するものはまだ
開発されていない。

例えば、特公昭63−61029号公報には、高反撥性およ
び好打撃感を得るために、ソリッドコアの内層（内芯）
の比重を外層の比重より大きくし、且つ内層（内芯）の
直径を大きくして比重差を持たせることが提案されてい
る。しかし、スモールサイズゴルフボールでは十分に大
きな比重差が得られるので、高反撥性が得られている
が、ラージサイズでは満足のいく反撥性、飛距離および
打撃感が得られていない。またラージ化に伴う耐久性の
低下の問題もある。特開昭62−181069号公報では、大き
な飛距離と、好打撃感およびコントロール性を得るため
に、内層（内芯）の硬度を軟かくし、ソリッドコアの内
径を24〜29mmと比較的小さくし、又大きな比重の内層と
小さな比重の外層により比重差を持たせている。しか
し、現行のツーピースゴルフボールと比較し反撥性およ
び飛びにおいてこれをしのぐに到っていない。更に内層
には現在はあまり使用されていないTMPT（米国特許第3,
313,545号）を配合しているため、耐久性において現行
ツーピースゴルフボールよりも非常に悪い。

特開昭60−241464号公報では、高反撥性と好打撃感を
得るために、上記特開昭62−181069号公報と同様、大き
な比重の内層と小さな比重の外層により比重差を持た
せ、又内層を軟くすることによりボールの慣性モーメン
トを小さくしている。このボールは打撃感については満
足のいく結果が選られているが、反撥性ではツーピース
ゴルフボールの最高反撥をしのぐものは得られていな
い。

（発明が解決しようとする課題） 本発明者らはスリーピースソリッドゴルフボールを検
討していくうちに、これまで提案されてきたスリーピー
スソリッドゴルフボールは全てスモールサイズに適して
おり、ラージサイズには必ずしも適していないことを発
見した。即ち、ラージサイズの場合、それに独特の構成
が必要であると考えられる。

本発明の目的は従来のツーピースゴルフボールより高
い反撥性を有し、かつツーピースゴルフボールの欠点で
ある打撃感を改善し、更に飛び性能、例えば飛距離およ
び耐久性等を向上したラージサイズのスリーピースソリ
ッドゴルフボールを開発することである。

（課題を解決するための手段） 上記目的を達成するため本発明者等は検討の結果、優
れた性能を有する、ラージサイズのスリーピースソリッ
ドゴルフボールを見出し、本発明を成すに至った。

即ち、内芯と該内芯を包む外被から成るソリッドコア
をカバーで被覆したスリーピースソリッドゴルフボール
において、内芯の配合組成がシス−1,4−ポリブタジエ
ン100重量部に対しアクリル酸亜鉛９〜20重量部および
酸化亜鉛３〜150重量部であり、内芯の直径が15〜24m
m、外被の直径が36〜40mm、内芯の中心硬度（JIS−Ｃ）
が25〜50、外被の表面硬度（JIS−Ｃ）が70〜90、内芯
の中心硬度と外被の表面硬度との差が20以上、内芯の比
重と外被の比重が内芯の比重≧外被の比重で且つ内芯の
比重≧1.1を満足することを特徴とするラージサイズの
スリーピースソリッドゴルフボールを提供する。

本発明によるラージサイズスリーピースソリッドゴル
フボールは第１図に示すように内芯（１）と外被（２）
とからなるソリッドコアをカバー（３）で被覆した構成
を有する。内芯（１）と外被（２）、即ちソリッドコア
はゴム組成物から得られる。ゴム組成物は従来のツーピ
ースソリッドゴルフボールのソリッドコアに用いられて
いる成分、即ち基材ゴム（シス−1,4−ポリブタジエ
ン、天然ゴム等）、架橋剤（有機過酸化物等）、共架橋
剤（不飽和脂肪酸の金属塩等）およびその他の充填剤
（酸化亜鉛）等を含有するが、本発明の内芯はそれらの
成分の中から基材ゴムとしてシス−1,4−ポリブタジエ
ン、共架橋剤としてアクリル酸亜鉛および充填剤として
酸化亜鉛を使用する。この組成において、耐久性、飛距
離等の性能が得易い。外被は組成を特に限定するもので
なく、従来ソリッドコアに用いられている成分が使用で
きるが、ゴルフボールの性能の点からやはりシス−1,4
−ポリブタジエンを基材ゴムとし、共架橋剤をアクリル
酸亜鉛とするのが好適である。内芯ではアクリル酸亜鉛
の配合量はシス−1,4−ポリブタジエン100重量部に対し
９〜20重量部、好ましくは10〜15重量部である。９重量
部より少ないとゴルフボールの耐久性が低くなり、又20
重量部より多いと内芯の中心硬度が50を越え硬くなり過
ぎ好ましくない。また、酸化亜鉛の配合量はシス−1,4
−ポリブタジエン100重量部に対し３〜150重量部であ
る。この配合量は内芯と外被の比重、ボールの重量規格
により変化する。外被ではアクリル酸亜鉛の配合量はシ
ス−1,4−ポリブタジエン100重量部に対し25〜45重量部
が好適である。外被に於いて25重量部より少ないと硬度
が軟かくなりすぎて反撥性、耐久性が低下する。また45
重量部より多いと硬くなりすぎフィーリング（打撃感）
が悪くなり好ましくない。

上記成分を配合して得られるソリッドコア内芯用組成
物は常套の混練機、例えばバンバリーミキサーやロール
等を用いて混練し、コア内芯用金型で圧縮または射出成
形し、成形体を架橋剤および共架橋剤が作用するのに十
分な温度（例えば架橋剤としてジクミルパーオキサイド
を用い、共架橋剤としてアクリル酸亜鉛を用いた場合に
は約150〜170℃）で加熱硬化して直径が15〜24mm、好ま
しくは17〜22mmのソリッドコア内芯を調製する。内芯直
径が15mmより小さいと外被の厚みが厚くなり過ぎ良いフ
ィーリングが得られず、又24mmを越えるとフィーリング
が軟かすぎ、又耐久性も低下する。

この場合、ソリッドコア内芯の硬度（JIS−Ｃ）が中
心で25〜50、好ましくは30〜45になるように加熱硬化条
件（例えば昇温速度、加熱温度、加熱時間等）を適宜調
整することが重要である。中心の硬度が25未満であると
フィーリングが柔らかくなりすぎ、又耐久性が低下す
る。50を越えるとボールが硬くなりすぎ、打撃時の感触
が悪く実用に耐えない。

本発明によるソリッドゴルフボールのソリッドコアは
上記のようにして調製される内芯上にさらに外被を設け
ることによって形成される。

即ち、前記成分を配合混練して得られるソリッドコア
外被用組成物を内芯上に同中心的に圧入成形し、この２
層成形体を外被中に配合された架橋剤や共架橋剤が作用
するのに十分な温度で加熱硬化して直径が36〜40mmのソ
リッドコアとする。ソリッドコアの直径が36mm未満であ
るとカバーが厚くなりフィーリングが悪く又、反撥性が
低下する。40mmを越えるとカバー厚が薄くなり耐久性が
悪くなる。

外被の表面硬度（JIS−Ｃ）は70〜90、好ましくは75
〜85にするのが良い。外被の表面硬度が70より小さいと
耐久性、反撥性が悪くなり、90を越えると反撥性の向上
はみられるものの、フィーリングが硬く実用に即さな
い。

本発明によれば、上記内芯の中心の硬度と外被の表面
強度の差が20以上であることを要する。換言すれば、内
芯が外被に比べてかなり軟かいのが好ましい。本発明者
等の検討によれば、内芯が軟らかい程、ボール打撃時の
衝撃力が低下し、外被の硬度を上げると反撥性が向上す
る。上記差が20より小さいと反撥性が低下し、かつ打撃
時の衝撃力が上がる。

本発明では内芯と外被の比重も重要であり、両者が内
芯の比重≧外被の比重であり、且つ内芯の比重≧1.1の
関係を満足することを要する。特に、ツーピースゴルフ
ボールより高い反撥性を有するゴルフボールを作製する
ためには内芯の比重が外被の比重より遥かに大きいのが
好ましい。内芯の比重が外被の比重より小さいとツーピ
ースゴルフボールよりも反撥性が劣り、又内芯の比重が
1.1より小さいと内芯の比重≧外部の比重の関係がとり
にくく、反撥性が低下し好ましくない。

以上の構造により、ボールの飛びに影響するスピン量
が減少し、打出角が高くなる傾向を有し、結果的にツー
ピースゴルフボールを越える飛距離と好フィーリングを
備えたラージサイズスリーピースゴルフボールが得られ
た。

以上のようにして得られるツーピースソリッドコアは
厚さ0.9〜2.9mmのカバーで被覆される。カバーとしては
アイオノマー樹脂を主材とし、必要により着色等の目的
で無機充填剤（例えば二酸化チタン、酸化亜鉛等）を含
有させたものが通常使用される。

好ましいアイオノマー樹脂はモノオレフインと炭素原
子数３〜８の不飽和モノまたはジカルボン酸およびそれ
らのエステルから成る群から選択される少なくとも１種
との重合体（不飽和モノまたはジカルボン酸および／ま
たはこれらのエステル４〜30重量％含有）に交差金属結
合を付与した熱可塑性樹脂である。このようなアイオノ
マー樹脂としてはデュ・ポン社から市販されている各種
の「サーリン」（例えば、サーリン1601、1707、1605等
またはこれらの組合せ）が例示される。

カバーをソリッドコアに被覆する方法は特に限定的で
はないが、通常は予め半球殻状に成形した２枚のカバー
でソリッドコアを包み、加熱加圧成形するが、カバー用
組成物を射出成形してソリッドコアを包みこんでもよ
い。

（発明の効果） 以上のようにして得られるラージサイズスリーピース
ソリッドゴルフボールは、従来のツーピースゴルフボー
ルに比べ高反撥性、好フィーリングを有し、かつ飛距離
等の飛び性能を向上し、且つツーピースゴルフボールに
匹敵する耐久性を有する。

（実施例） 以下、本発明を実施例によって説明するが、本発明は
これら実施例に限定されない。尚、硬度分布の測定位置
を特定する場合、すべて中心を基点とし、例えば５〜10
mmとは中心より５〜10mmの位置のことを示す。

実施例１〜５ 表−１の配合処方によるソリッドコア内芯用組成物を
混練ロールを用いて、155℃で30分間加圧成形してソリ
ッドコア内芯をそれぞれ調製した。

この内芯上に同中心的に、表−１の処方により配合混
練したソリッドコア外被用組成物を圧入成形によって設
け、この２層成形体を155℃で30〜40分間加熱処理して
ツーピースソリッドコアを得た。

得られたツーピースソリッドコアを表−１の配合処方
によって調製したカバー用組成物を射出成形してソリッ
ドコアを包み、ラージサイズのスリーピースソリッドゴ
ルフボールを製造した。

製造されたボールの物性を表−１に示す。

比較例１〜６ 表−１に示す配合で実施例１の手順に準拠してスリー
ピースソリッドゴルフボールを得た。得られたゴルフボ
ールの物性を表−１に示す。

比較例７ 市販の一級品ツーピースゴルフボールを使って物性試
験を行った。結果を表−１に示す。

比較例１より内芯の直径が15mmより小さいとフィーリ
ングが悪い。比較例２より内芯の中心硬度が50より大き
い場合もフィーリングが悪い。比較例３及び５より内芯
の比重が外被の比重より小さいとボール初速が示すよう
に反撥性が低下する。比較例４及び５より内芯直径が24
mmより大きいと耐久性及び反撥性が低下する。比較例６
より共架橋剤にアクリル酸亜鉛を使用しない場合は耐久
性が低下する。更に比較例７より市販のツーピースボー
ルは、本実施例１〜５のゴルフボールよりも反撥性、耐
久性及びフィーリング等が劣る。又実施例２および４よ
り内芯の比重が外被の比重より大きいと反撥性が向上す
る。

【図面の簡単な説明】

第１図は本発明によるラージサイズスリーピースソリッ
ドゴルフボールの模式的縦断面図である。 （１）はコア内芯、（２）はコア外被、（３）はカバー
を示す。

───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 岡 憲吾 兵庫県神戸市須磨区神の谷７丁目７番 102―504号 (56)参考文献 特開 昭61−168374（ＪＰ，Ａ) 特開 昭60−14877（ＪＰ，Ａ)

Claims (1)

(57)【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】内芯と該内芯を包む外被から成るソリッド
   コアをカバーで被覆したスリーピースソリッドゴルフボ
   ールにおいて、内芯の配合組成がシス−1,4−ポリブタ
   ジエン100重量部に対しアクリル酸亜鉛９〜20重量部お
   よび酸化亜鉛３〜150重量部であり、内芯の直径が15〜2
   4mm、外被の直径が36〜40mm、内芯の中心硬度（JIS−
   Ｃ）が25〜50、外被の表面硬度（JIS−Ｃ）が70〜90、
   内芯の中心硬度と外被の表面硬度との差が20以上、内芯
   の比重と外被の比重が内芯の比重≧外被の比重で且つ内
   芯の比重≧1.1を満足することを特徴とするラージサイ
   ズのスリーピースソリッドゴルフボール。