JP2002011116A

JP2002011116A - ソリッドゴルフボール

Info

Publication number: JP2002011116A
Application number: JP2000194701A
Authority: JP
Inventors: Hideo Watanabe; 英郎渡辺
Original assignee: Bridgestone Sports Co Ltd
Current assignee: Bridgestone Sports Co Ltd
Priority date: 2000-06-28
Filing date: 2000-06-28
Publication date: 2002-01-15
Also published as: US20020019270A1; US6659887B2

Abstract

(57)【要約】【課題】コアとカバーとからなるソリッドゴルフボー
ルであって、カバーを厚くすることにより割れ耐久性を
向上させ、しかも飛び性能及び打撃時のフィーリングを
良好にしたゴルフボールを提供する。【解決手段】下記条件（１）〜（３）を満たすソリッ
ドゴルフボールとする。（１）カバーの厚さが２．５ｍｍ以上である。（２）カバーのショアＤ硬度が５９〜６２である。（３）［（コア表面部分のＪＩＳ−Ｃ硬度）−（コア中
心部分のＪＩＳ−Ｃ硬度）］の値が８以上である。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【発明の属する技術分野】本発明は、コアとカバーとか
らなるソリッドゴルフボールに関し、さらに詳述する
と、飛び性能と打撃時のフィーリングが良好であるとと
もに、割れ耐久性に優れるソリッドゴルフボールに関す
る。

【０００２】

【従来の技術】ソリッドゴルフボールは、糸巻きゴルフ
ボールに比べて飛び性能及び割れ耐久性に優れるため、
一般アマチュアゴルファーに広く使われている。しか
し、ソリッドゴルフボールの割れ耐久性をさらに向上さ
せることが望まれている。

【０００３】これに対し、カバーを硬くしたり、厚くし
たりすることにより、ソリッドゴルフボールの割れ耐久
性を向上させることが考えられる。しかし、ソリッドゴ
ルフボールのカバーを硬くしたり、厚くしたりする従来
技術は、いずれも問題を有するものであった。

【０００４】例えば、特開平５−１２３４２２号には厚
さ２．２〜２．９ｍｍの硬いカバーを有するゴルフボー
ル、特開平６−１５４３５７号には厚さ２．１〜２．８
ｍｍの硬いカバーを有するゴルフボール、特開平９−２
８８３０号には厚さ３〜５ｍｍの硬いカバーを有するゴ
ルフボールが開示されている。しかし、これらのゴルフ
ボールは、いずれもカバーが硬すぎて割れ耐久性及び打
撃時のフィーリングが悪いものであった。

【０００５】また、特開平９−２８８３１号には厚さ３
〜５ｍｍ、ショアＤ硬度５０〜６０のカバーを有するゴ
ルフボールが開示されている。しかし、このゴルフボー
ルは、コントロール性及びフィーリングに重きをおいて
カバーを軟らかくしすぎたため、飛び性能が十分ではな
い。

【０００６】一方、特開平８−２７６０３３号には、飛
び性能とフィーリングを良くするために、コアのμ硬度
と製品ゴルフボールのμ硬度との差を所定範囲に設定し
たゴルフボールが開示されている。しかし、このゴルフ
ボールは、コアの硬度分布が平坦であるため、十分な飛
び性能が得られていない。

【０００７】

【発明が解決しようとする課題】本発明は、前述した事
情に鑑みなされたもので、カバーを厚くすることにより
割れ耐久性をさらに向上させ、しかも飛び性能及び打撃
時のフィーリングを良好にしたソリッドゴルフボールを
提供することを目的としている。

【０００８】

【課題を解決するための手段】本発明は、前記目的を達
成するため、コアとカバーとからなるソリッドゴルフボ
ールにおいて、カバーの厚さが２．５ｍｍ以上、カバー
のショアＤ硬度が５９〜６２、［（コア表面部分のＪＩ
Ｓ−Ｃ硬度）−（コア中心部分のＪＩＳ−Ｃ硬度）］の
値が８以上であることを特徴とするソリッドゴルフボー
ルを提供する。

【０００９】本発明のゴルフボールは、カバーの厚さと
硬さのバランスを考慮すること、及び、コア中心部分の
ＪＩＳ−Ｃ硬度とコア表面部分のＪＩＳ−Ｃ硬度との差
を適正化することによって、割れ耐久性を向上させると
ともに、飛距離及びフィーリングを良好にしたものであ
る。

【００１０】

【発明の実施の形態】以下、本発明につきさらに詳しく
説明する。本発明のゴルフボールは、コアとカバーとか
らなる。コアの材質に限定はなく、例えばポリブタジエ
ンゴム、ポリイソプレンゴム、天然ゴム、シリコーンゴ
ム等を主成分とする加硫ゴムを用いることができるが、
ポリブタジエンゴムを主成分とする加硫ゴムを用いるこ
とが特に好ましい。

【００１１】本発明では、コアにペンタクロロチオフェ
ノール又はその金属塩を配合することにより、反発力の
大きいコアを作製して、ボールの飛び性能をより向上さ
せることができる。この場合、ペンタクロロチオフェノ
ール又はその金属塩としてはペンタクロロチオフェノー
ル亜鉛塩が好ましく、例えばＲｅｎａｃｉｔIV（Bayer
社製）等を用いることができる。また、コアにおけるペ
ンタクロロチオフェノール又はその金属塩の配合量は、
基材ゴム１００重量部に対し０．１〜２．０重量部、特
に０．２〜１．０重量部とすることが適当である。ペン
タクロロチオフェノール又はその金属塩の配合量が少な
すぎると、コアの高反発化が十分でなくなり、ゴルフボ
ールの反発力も低下して飛びが悪くなることがある。一
方、ペンタクロロチオフェノール又はその金属塩の配合
量が多すぎると、コアを形成するゴム組成物の架橋反応
を阻害することがある。

【００１２】本発明において、［（コア表面部分のＪＩ
Ｓ−Ｃ硬度）−（コア中心部分のＪＩＳ−Ｃ硬度）］の
値は８以上、好ましくは８〜２０、さらに好ましくは１
０〜１８である。上記硬度差が少なすぎると、ドライバ
ー打撃時にスピンが増えすぎて飛ばなくなることがあ
る。一方、上記硬度差が多すぎると、割れ耐久性が悪く
なることがある。

【００１３】コア表面部分のＪＩＳ−Ｃ硬度は、通常７
０〜８５、好ましくは７４〜８１である。コア表面部分
のＪＩＳ−Ｃ硬度が低すぎるとスピンが増えてボールが
飛ばなくなることがあり、高すぎるとフィーリングが硬
くなりすぎたり、割れ耐久性が悪くなったりすることが
ある。

【００１４】コア中心部分のＪＩＳ−Ｃ硬度は、通常５
５〜６９、好ましくは５７〜６７、さらに好ましくは５
９〜６５である。コア中心部分のＪＩＳ−Ｃ硬度が低す
ぎると割れ耐久性が悪くなることがあり、高すぎるとス
ピンが増えてボールが飛ばなくなったり、フィーリング
が硬くなりすぎたりすることがある。

【００１５】コアのμ硬度、すなわち、初期荷重９８Ｎ
（１０ｋｇｆ）から１２７５Ｎ（１３０ｋｇｆ）荷重負
荷時のたわみ（変形）量は、通常２．７〜５．５ｍｍ、
好ましくは３．０〜５．０ｍｍ、さらに好ましくは３．
３〜４．５ｍｍである。コアのμ硬度が高すぎると、打
撃時のフィーリングが硬くなりすぎるとともに、スピン
が増えすぎて飛ばなくなることがある。一方、コアのμ
硬度が低すぎると、打撃時のフィーリングが軟らかくな
りすぎるとともに、割れ耐久性が悪くなることがある。

【００１６】コアは一種の材料からなる単層構造として
もよく、異種の材料からなる層を積層した２層以上の多
層構造としてもよい。コアを多層構造とした場合、前述
したコア表面部分のＪＩＳ−Ｃ硬度は、コアの最外層の
表面部分の硬度を意味する。コアを多層構造とした場
合、全ての層はゴム系材料を主体に形成することが適当
である。

【００１７】本発明のゴルフボールにおいて、カバーの
材質に限定はなく、例えばアイオノマー樹脂単体、ある
いはアイオノマー樹脂を主材としてそれにポリエステル
系樹脂、ポリウレタン系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリ
オレフィン系樹脂等を混合した混合物等から任意に選択
することができるが、特にアイオノマー樹脂が好まし
く、具体的には、サーリン（デュポン社製）、ハイミラ
ン（三井・デュポンポリケミカル社製）などの市販品を
用いることができる。

【００１８】本発明のゴルフボールのカバーとして特に
好ましいのは、２価の金属イオン（Ｚｎ⁺⁺等）で中和し
たアイオノマー樹脂１０〜９０質量％と、１価の金属イ
オン（Ｎａ⁺等）で中和したアイオノマー樹脂９０〜１
０質量％とのブレンド樹脂を主材としたものである。こ
れにより、耐久性が高く、かつ十分な反発性を有するカ
バーを得ることができる。２価の金属イオンで中和した
アイオノマー樹脂と、１価の金属イオンで中和したアイ
オノマー樹脂とのより好ましいブレンド比は、前者２０
〜８０質量％、後者８０〜２０質量％であり、さらに好
ましいブレンド比は前者２５〜７５質量％、後者７５〜
２５質量％である。

【００１９】カバーの厚さは２．５ｍｍ以上、好ましく
は２．７ｍｍ以上、さらに好ましくは３．０ｍｍ以上と
する。カバーが薄すぎると割れ耐久性が十分でなくな
る。また、カバーの厚さは５ｍｍ以下、好ましくは４ｍ
ｍ以下とする。カバーが厚すぎるとゴルフボールの反発
性が低下して十分な飛びが得られないことがある。

【００２０】カバーのショアＤ硬度は５９〜６２、好ま
しくは５９〜６１、さらに好ましくは６０〜６１とす
る。カバーが軟らかすぎると、反発性が低下するととも
に、スピンが増えてボールが飛ばなくなる。一方、カバ
ーが硬すぎると、割れ耐久性が悪くなるとともに、特に
アイアンでのフィーリングが悪くなる。

【００２１】以上のようにして得られたゴルフボール
は、必要に応じて表面に塗装及びスタンプなどの仕上げ
処理を施すことができる。また、ボール全体のμ硬度、
すなわち初期荷重９８Ｎ（１０ｋｇｆ）から１２７５Ｎ
（１３０ｋｇｆ）荷重負荷時のたわみ（変形）量は、好
ましくは２．３〜３．５ｍｍ、より好ましくは２．６〜
３．３ｍｍであり、ボール直径及び重量はＲ＆Ａのゴル
フ規則に従い、直径４２．６７ｍｍ以上、重量４５．９
３ｇ以下に形成することができる。

【００２２】

【実施例】以下、実施例と比較例を示し、本発明を具体
的に説明するが、本発明は下記実施例に制限されるもの
ではない。

【００２３】［実施例、比較例］表１及び表２に示した
配合処方のコア用ゴム組成物をニーダーで混練し、コア
用金型内で１５５℃で１５分間加硫することにより、実
施例１〜４、比較例１〜４のゴルフボールのソリッドコ
アを作製した。比較例５のゴルフボールのソリッドコア
は、１４０℃×３０分、１７０℃×１０分の加硫を連続
して行うことにより作製した。ここで、表中のパーオキ
サイド（１）としては化学名ジクミルパーオキサイド、
商品名パークミルＤ（日本油脂社製）、パーオキサイド
（２）としては化学名１，１−ビス（ｔ−ブチルパーオ
キシ）３，３，５−トリメチルシクロヘキサン、商品名
パーヘキサ３Ｍ−４０（日本油脂社製）、老化防止剤と
してはノクラックＮＳ−６（大内新興化学工業社製）、
ペンタクロロチオフェノール亜鉛塩としてはＲｅｎａｃ
ｉｔIV（Bayer社製）を用いた。

【００２４】次に、得られたコアの周囲に表３に示した
配合処方のカバー材をインジェクション成形により被覆
し、通常の塗装を施して実施例１〜４、比較例１〜５の
ゴルフボールを作製した。

【００２５】次いで、各ゴルフボールについて、下記方
法により飛び性能、割れ耐久性及び打撃時のフィーリン
グを評価した。結果を表１〜５に示す。飛び性能スイングロボットを用い、ゴルフボールをドライバー
（Ｗ＃１）によりヘッドスピード４５ｍ／ｓで打撃した
場合における飛距離及びスピン量を測定した。また、ド
ライバーによる飛距離の評価を下記基準によって行っ
た。 ○…トータル距離が２２７．０ｍ以上 ×…トータル距離が２２６．０ｍ以下

【００２６】割れ耐久性スイングロボットを用い、ゴルフボールをによりヘッド
スピード４０ｍ／ｓで打撃し、ボールが割れ始めた打撃
数（割れ始め回数）を調べ、下記基準により割れ耐久性
を評価した。この場合、クラブでボールを打つ箇所はラ
ンダムとした。また、サンプル数は各ボールにつき１０
個とし、その中で最も早く割れた回数を割れ始め回数と
した。 ○…割れ始め回数が２３０回以上 ×…割れ始め回数が２２０回以下

【００２７】フィーリングゴルフボールをアマチュアゴルファー１０名により、ド
ライバー（Ｗ＃１）及び９番アイアン（Ｉ＃９）をそれ
ぞれ用いて打撃した時の打球感について下記基準により
官能評価した。 ○…良好な打感 ×…硬く感じる

【００２８】

【表１】

【００２９】

【表２】

【００３０】

【表３】

【００３１】表からわかるように、本発明のゴルフボー
ルは、飛び性能と打撃時のフィーリングが良好であると
ともに、割れ耐久性に優れるものであった。これに対
し、比較例のゴルフボールは、それぞれ下記の欠点を有
するものであった。・比較例１：カバーが硬いため、割れ耐久性及びアイア
ンでの打撃フィーリングが悪い。・比較例２：カバーが軟らかいとともに、カバーが２価
の金属イオン（Ｚｎ⁺⁺）で中和したアイオノマー樹脂の
みからなるため、反発が悪く、飛ばない。また、割れ耐
久性も悪い。・比較例３：カバーが軟らかく、スピンが多く反発も低
いため、飛ばない。・比較例４：カバーの厚さが薄いため、割れ耐久性が悪
い。・比較例５：コア表面と中心の硬度差が少なすぎるた
め、スピンが増えすぎて飛ばない。

【００３２】

【発明の効果】以上のように、本発明のソリッドゴルフ
ボールは、飛び性能と打撃時のフィーリングが良好であ
るとともに、割れ耐久性に優れるものである。

Claims

【特許請求の範囲】

【請求項１】コアとカバーとからなるソリッドゴルフ
ボールにおいて、カバーの厚さが２．５ｍｍ以上、カバ
ーのショアＤ硬度が５９〜６２、［（コア表面部分のＪ
ＩＳ−Ｃ硬度）−（コア中心部分のＪＩＳ−Ｃ硬度）］
の値が８以上であることを特徴とするソリッドゴルフボ
ール。
【請求項２】カバーが、２価の金属イオンで中和した
アイオノマー樹脂１０〜９０質量％と、１価の金属イオ
ンで中和したアイオノマー樹脂９０〜１０質量％とのブ
レンド樹脂を主材とする請求項１に記載のソリッドゴル
フボール。
【請求項３】ペンタクロロチオフェノール又はその金
属塩をコアに配合した請求項１又は２に記載のソリッド
ゴルフボール。