JP2000005341A

JP2000005341A - ソリッドゴルフボール

Info

Publication number: JP2000005341A
Application number: JP10171298A
Authority: JP
Inventors: Atsushi Nakamura; 篤史仲村
Original assignee: Bridgestone Sports Co Ltd
Current assignee: Bridgestone Sports Co Ltd
Priority date: 1998-06-18
Filing date: 1998-06-18
Publication date: 2000-01-11
Anticipated expiration: 2018-06-18
Also published as: GB2338421A; GB9913078D0; GB2338421B; JP3710080B2; US20020010038A1; US6348016B2

Abstract

(57)【要約】【課題】ソフトコアと硬いカバーとからなり、割れ耐久
性が飛躍的に向上した今までにはないソフト化ゴルフボ
ールを得る。【解決手段】ソリッドコアと、このコアを被覆するカバ
ーとからなるソリッドゴルフボールにおいて、上記カバ
ーが熱可塑性樹脂を主材としたカバー材から形成され、
このカバー材１００重量部に対して粒状無機充填剤を１
１重量部以上添加すると共に、上記ソリッドコアの１０
０ｋｇ荷重負荷時のたわみ量が３．０〜５．５ｍｍであ
ることを特徴とするソリッドゴルフボール。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【発明の属する技術分野】本発明は、ソリッドゴルフボ
ールに関し、更に詳述すると、カバー材に無機充填剤を
添加することにより、カバーの割れ耐久性が大幅に改善
したソリッドゴルフボールに関する。

【０００２】

【従来の技術及び発明が解決しようとする課題】従来よ
り、ゴルフボールのソフト化、つまり反発性、フィーリ
ングの向上を目的として、フィーリングの面でコアを
ソフト化し、このコアの周囲に反発性を補うために硬
いカバーを被覆するという方法が一般的に行われている
が、この方法によると反発性は向上するが、繰り返し打
撃によりカバーの割れが生じてしまうという問題があっ
た。

【０００３】一方、カバー材に無機充填剤を添加すると
いう技術は数多く提案されている(特公平５−７３４２
７号公報、特開平６−２７７３１２号公報、特開昭５７
−２５８６７号公報、同６０−２１０２７２号公報
等）。

【０００４】しかしながら、これらはいずれも基本的に
はカバーの高比重化によりボールの慣性モーメントを増
加させ、飛距離性能を向上させることを主眼としたもの
であり、無機充填剤を入れすぎると却ってボールの反発
性や割れ耐久性を損なってしまうという問題があった。

【０００５】本発明は、上記事情に鑑みなされたもの
で、カバー材に一定比重の無機充填剤を補強材として所
定量添加することにより、繰り返し打撃でのカバーの割
れ耐久性が大幅に改善したソリッドゴルフボールを提供
することを目的とする。

【０００６】

【課題を解決するための手段及び発明の実施の形態】本
発明者は、上記目的を達成するため鋭意検討を重ねた結
果、カバー材に一定比重の無機充填剤を所定量添加する
ことにより、この無機充填剤が補強材として有利に働
き、割れ耐久性が向上し、今までにはないソフトコアと
硬いカバーからなるゴルフボールが得られることを知見
した。

【０００７】即ち、ソリッドコアと、このコアを被覆す
るカバーとからなるソリッドゴルフボールにおいて、上
記カバーが熱可塑性樹脂を主材としたカバー材から形成
され、このカバー材１００重量部に対して粒状無機充填
剤を１１重量部以上添加すると共に、上記ソリッドコア
の１００ｋｇ荷重負荷時のたわみ量が３．０〜５．５ｍ
ｍであること、好ましくは比重４．８以下の無機充填剤
をカバー材中に均一に分散させることにより、意外にも
この無機充填剤が優れた補強効果を発揮し得、繰り返し
打撃による割れの発生を可及的に防止でき、今までには
なかった軟らかいコアと硬いカバーとを組み合わせた、
優れた反発性と良好なフィーリングを有するソフト化ゴ
ルフボールが得られることを見出し、本発明を完成した
ものである。

【０００８】なお、本発明は、カバー材に無機充填剤を
添加し、カバーを高比重化することによりボールの慣性
モーメントを増加させ、飛び性能を向上させることを目
的とするものではなく、ある程度の平均粒子径と一定比
重を有する無機充填剤を適正な量で均一にカバー材中に
分散させることにより、この無機充填剤が補強材として
効果的に働きカバーの割れ耐久性が向上し、今までにな
い軟らかいコアと硬いカバーとを組み合わせたソフト化
ゴルフボールを得ることを主眼としたものである。

【０００９】従って、本発明は、（１）ソリッドコア
と、このコアを被覆するカバーとからなるソリッドゴル
フボールにおいて、上記カバーが熱可塑性樹脂を主材と
したカバー材から形成され、このカバー材１００重量部
に対して粒状無機充填剤を１１重量部以上添加すると共
に、上記ソリッドコアの１００ｋｇ荷重負荷時のたわみ
量が３．０〜５．５ｍｍであることを特徴とするソリッ
ドゴルフボール、（２）上記無機充填剤の比重が４．８
以下である（１）記載のソリッドゴルフボール、及び、
（３）上記無機充填剤の添加量がカバー材１００重量部
に対して１１〜４５重量部である（１）又は（２）記載
のソリッドゴルフボールを提供する。

【００１０】以下、本発明につき更に詳しく説明する
と、本発明のゴルフボールは、ソリッドコアと、該ソリ
ッドコアを被覆するカバーから構成されている。

【００１１】上記ソリッドコアは、ポリブタジエンゴ
ム、ポリイソプレンゴム、天然ゴム、シリコーンゴムを
主成分とする基材ゴムを主材とするゴム組成物から形成
することができるが、特に反発性を上げるためにはポリ
ブタジエンゴムが好ましい。ポリブタジエンゴムとして
は、シス構造を少なくとも４０％以上有する１，４−シ
スポリブタジエンが好適である。また、この基材ゴム中
には、所望により上記ポリブタジエンに天然ゴム、ポリ
イソプレンゴム、スチレンブタジエンゴムなどを適宜配
合することができるが、ゴム成分を多くすることにより
ゴルフボールの反発性を向上させることができるので、
これらポリブタジエン以外のゴム成分はポリブタジエン
１００重量部に対して１０重量部以下とすることが好ま
しい。

【００１２】上記ゴム組成物には、ゴム成分以外に架橋
剤としてメタクリル酸亜鉛、アクリル酸亜鉛等の不飽和
脂肪酸の亜鉛塩、マグネシウム塩やトリメチルプロパン
メタクリレート等のエステル化合物などを配合し得る
が、特に反発性の高さからアクリル酸亜鉛を好適に使用
し得る。これら架橋剤の配合量は、基材ゴム１００重量
部に対し１５〜４０重量部であることが好ましい。

【００１３】また、ゴム組成物中には、通常、ジクミル
パーオキサイド等の加硫剤が配合されており、この加硫
剤の配合量は基材ゴム１００重量部に対し０．１〜５重
量部とすることができる。

【００１４】上記ゴム組成物には、更に必要に応じて、
老化防止剤や比重調整用の充填剤として酸化亜鉛や硫酸
バリウム等を配合することができ、これら充填剤の配合
量は、基材ゴム１００重量部に対し０〜１３０重量部で
ある。

【００１５】本発明におけるソリッドコア用ゴム組成物
の好適な実施態様は、以下に示す通りである。

【００１６】シス−１，４−ポリブタジエン１００重量部酸化亜鉛５〜４０重量部アクリル酸亜鉛１５〜４０重量部硫酸バリウム０〜４０重量部パーオキサイド０．１〜５．０重量部加硫条件：好ましくは１５０±１０℃の条件で５〜２０
分間加硫を行う。

【００１７】そして、上記コア用ゴム組成物は、通常の
混練機（例えばバンバリーミキサー、ニーダー及びロー
ル等）を用いて混練し、得られたコンパウンドをコア用
金型を用いてインジェクション成形又はコンプレッショ
ン成形により形成する。

【００１８】このようにして得られたソリッドコアは、
その直径が好ましくは３３〜４２ｍｍ、より好ましくは
３７〜４０ｍｍであり、重量が３０．０〜３８．０ｇ、
好ましくは３２．０〜３７．０ｇである。

【００１９】また、コアの１００ｋｇ荷重負荷時のたわ
み量は３．０〜５．５ｍｍ、好ましくは３．５〜５．０
ｍｍ、より好ましくは４．０〜５．０ｍｍである。コア
のたわみ量が３．０ｍｍ未満ではコアが硬くなりすぎ、
本発明の目的であるソフトコア化が達成できなくなる。
一方、５．５ｍｍを超えるとコアが軟らかくなりすぎ反
発性を著しく低下させてしまう。

【００２０】なお、コアは１種類の材料からなる単層構
造としてもよく、異種の材料からなる層を積層した２層
以上からなる多層構造としても構わない。

【００２１】上記カバーは、熱可塑性樹脂を主材とし
た、比較的高硬度のものが好ましく、例えばポリエステ
ルエラストマー、アイオノマー樹脂、スチレン系エラス
トマー、ウレタン系樹脂、水添ブタジエン樹脂及びこれ
らの混合物などが挙げられるが、特にアイオノマー樹脂
が好ましく、具体的には、「ハイミラン」（三井・デュ
ポンポリケミカル社製）、「サーリン」（デュポン社
製）等の市販品を用いることができる。

【００２２】本発明においては、上記熱可塑性樹脂を主
材としたカバー材に補強材として無機充填剤を所定量添
加する。

【００２３】この無機充填剤は粒状を呈しており、その
平均粒子径が好ましくは０．０１〜１００μｍ、より好
ましくは０．１〜１０μｍ、更に好ましくは０．１〜
１．０μｍである。平均粒子径が上記範囲より小さすぎ
ても、大きすぎても充填時の分散性を悪化させることに
なり、本発明の作用効果を達成できない場合がある。

【００２４】また、無機充填剤の比重は４．８以下であ
り、より好ましくは１．０〜４．５である。比重が４．
８を超えるとカバー材が非常に重くなり、ゴルフ規則に
より全体重量が規定されているゴルフボールにおいては
現実的でなくなる場合がある。一方比重が１．０未満で
は主材自身の比重を低下させてしまい、コア配合上、有
利に働かなくなる場合がある。

【００２５】このような平均粒子径及び比重の無機充填
剤としては、例えば硫酸バリウム（比重約４．４７）、
二酸化チタン（比重約４．１７）、炭酸カルシウム（比
重約２．６）などが挙げられ、これらの１種を単独で、
或いは２種以上を組み合わせて用いることができる。

【００２６】この無機充填剤をカバー材１００重量部に
対して、１１重量部以上、好ましくは１１〜４５重量
部、より好ましくは１５〜４０重量部添加する。無機充
填剤の添加量が１１重量部未満では補強効果が生じなく
なる。一方、４５重量部を超えると分散性や反発性に悪
影響が出る場合がある。

【００２７】なお、カバー材には、必要に応じてＵＶ吸
収剤、酸化防止剤、金属石鹸等の分散剤などを添加する
こともできる。

【００２８】上記カバーをコアの周囲に被覆する方法と
しては、特に制限はなく、通常のインジェクション成形
又はコンプレッション成形を採用することができる。な
お、カバーは１種の材料からなる単層構造としてもよ
く、異種の材料からなる層を積層した２層以上の多層構
造としてもよい。

【００２９】このようにして成形されたカバーの比重は
０．９７以上、好ましくは１．０５〜１．５、より好ま
しくは１．１６〜１．３である。カバーの比重が０．９
７未満ではソリッドコアを従来より重くしなければなら
ず、反発性の面で不利となる場合がある。

【００３０】また、カバーの厚みは好ましくは０．５〜
４．０ｍｍ、より好ましくは１．０〜３．０ｍｍであ
り、カバーのショアＤ硬度は４５〜７０、好ましくは５
５〜７０である。カバーのショアＤ硬度が４５未満で
は、カバーが軟らかくなりすぎ、ボールとしての反発性
が悪くなると共に、もともとのカバーの耐久性が良いた
め、充填剤の添加で耐久性をあげるという主旨にそぐわ
なくなり、一方、７０を超えると、もともとのカバーの
耐久性が非常に悪く、充填剤の補強効果が明確に現れな
い場合がある。

【００３１】このようにして得られた軟らかいコアと硬
いカバーとを組み合わせた本発明のゴルフボールは、ソ
フトで良好なフィーリングと高反発性を備えると共に、
繰り返し打撃での耐久性が飛躍的に向上したものであ
る。

【００３２】なお、本発明のゴルフボールは、その表面
に多数のディンプルが形成されており、必要に応じて表
面に塗装及びスタンプなどの仕上げ処理を施すことがで
きる。またボール全体の硬度が１００ｋｇの荷重を負荷
した時に生じるたわみ量で好ましくは２．６〜５．０ｍ
ｍ、より好ましくは２．８〜４．５ｍｍであり、ボール
直径及び重量はＲ＆Ａのゴルフ規則に従い、直径４２．
６７ｍｍ以上、重量４５．９３ｇ以下に形成することが
できる。

【００３３】

【発明の効果】本発明によれば、カバー材に添加した無
機充填剤が補強材として働き、その補強効果により今ま
でにはないソフトコアと硬いカバーからなる優れた割れ
耐久性とソフトなゴルフボールが得られるものである。

【００３４】

【実施例】以下、実施例と比較例を示し、本発明を具体
的に説明するが、本発明は下記実施例に制限されるもの
ではない。なお、表１，２の配合量は総て重量部であ
る。

【００３５】〔実施例、比較例〕表１，２に示した配合
処方のコア用ゴム組成物をニーダーで混練し、コア用金
型内で１５５℃の温度で約１５分間加硫することにより
実施例、比較例のソリッドコアを作成した。

【００３６】得られたコアの周囲に表１，２に示したカ
バー材を射出成形により被覆形成して、直径４２．７ｍ
ｍ、重量４５．２ｇの実施例１〜４及び比較例１〜３の
ソリッドゴルフボールを作成した。

【００３７】次いで、得られたゴルフボールについて、
下記の方法によりコア，ボール硬度、耐久性指数及び初
速を測定した。結果を表１，２に示す。コア硬度コアに１００ｋｇ荷重を負荷した時のたわみ量（ｍｍ）
で表した。ボール硬度ボールに１００ｋｇ荷重を負荷した時のたわみ量（ｍ
ｍ）で表した。耐久性指数スイングロボットを用いてボールをドライバー（Ｊ’ｓ
ＷｏｒｌｄＳｔａｇｅロフト角１１度（ブリヂス
トンスポーツ株式会社製））でヘッドスピード４５ｍ／
ｓｅｃの条件で繰り返し打撃した時に、カバーに割れが
生じるまでの打撃回数で評価し、比較例１のボールを１
００とした場合の相対比率で表した。初速スイングロボットを用いてボールをドライバー（Ｊ’ｓ
ＷｏｒｌｄＳｔａｇｅロフト角１１度（ブリヂス
トンスポーツ株式会社製））でヘッドスピード４５ｍ／
ｓｅｃの条件で打撃した時の初速をＲ＆Ａと同じタイプ
の初速度計で測定した。

【００３８】

【表１】

【００３９】

【表２】＊１：「ハイミラン」三井・デユポンポリケミカル株式
会社製アイオノマー樹脂＊２：比重４．４７、平均粒子径０．７μｍ＊３：比重４．１７、平均粒子径０．３μｍ

【００４０】表１，２の結果から、比較例１はカバー材
に無機充填剤を含まないため、耐久性が劣るものであ
る。

【００４１】比較例２はカバー材に添加する無機充填剤
の量が多すぎるため、補強効果が十分発揮し得ず、耐久
性が劣るものである。

【００４２】比較例３は実施例４と対比してコアの硬度
が軟らかすぎるため、実施例４と同じカバー材を用いた
としても耐久性が著しく劣る上に、ボール初速が出ない
ものである。

【００４３】これに対して、実施例１〜４のボールはソ
フトコアに硬いカバーを被覆した構造であっても、繰り
返し打撃での耐久性が飛躍的に向上し、良好な反発性を
有するものである。

Claims

【特許請求の範囲】

【請求項１】ソリッドコアと、このコアを被覆するカ
バーとからなるソリッドゴルフボールにおいて、上記カ
バーが熱可塑性樹脂を主材としたカバー材から形成さ
れ、このカバー材１００重量部に対して粒状無機充填剤
を１１重量部以上添加すると共に、上記ソリッドコアの
１００ｋｇ荷重負荷時のたわみ量が３．０〜５．５ｍｍ
であることを特徴とするソリッドゴルフボール。
【請求項２】上記無機充填剤の比重が４．８以下であ
る請求項１記載のソリッドゴルフボール。
【請求項３】上記無機充填剤の添加量がカバー材１０
０重量部に対して１１〜４５重量部である請求項１又は
２記載のソリッドゴルフボール。