JP4029267B2 - スリーピースソリッドゴルフボール - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、優れたスピン性能、フィーリング、耐久性、反発性及び飛距離特性を有するスリーピースソリッドゴルフボールに関する。
【0002】
【従来の技術及び発明が解決しようとする課題】
従来から、それぞれゴム組成物から形成された内層コア及び外層コアの2層コアにカバーを包囲してなるスリーピースソリッドゴルフボールが提案されている(例えば、特開昭59−194760号、特開昭60−241464号、特開昭62−181069号、特開昭64−80377号、特開平2−228978号、特開平2−264674号公報)。
【0003】
しかし、これらの提案に係るスリーピースソリッドゴルフボールは、カバーが硬く、上級者やプロゴルファーの要求するアイアンでのショット、アプローチ時のスピン性能を満足するものではなかった。また、カバーの材料もアイオノマー樹脂であり、耐擦過傷性にも改良の余地がある上、フィーリングと飛びの両立をはかるための検討も不十分であった。
【0004】
本発明は、上記事情に鑑みなされたもので、上級者やプロゴルファーの満足できる飛び、スピン特性、フィーリング及び耐擦過傷性においてバランスのとれたスリーピースソリッドゴルフボールを提供することを目的とする。
【0005】
【課題を解決するための手段及び発明の実施の形態】
本発明者は、上記目的を達成するべく鋭意検討を行った結果、それぞれゴム組成物にて形成された内層コアと外層コアとからなる2層コアにソフトカバーとしてウレタンカバーを被覆すること、この場合、上記内層コアの直径、上記内層コアと外層コアの硬度及び硬度差、カバーの硬度を適正化すること、及び、これら両コア及びカバーの比重を適正化すること、またポリウレタン系エラストマーに特定のイソシアネート混合物を配合することがスピン性能、フィーリング、耐久性、飛距離に優れたゴルフボールが得られることを知見し、本発明をなすに至った。
【0006】
なお従来、特開平9−215778号公報には、ウレタンカバーのツーピースソリッドゴルフボールが提案されているが、スピン性能、フィーリング、耐久性、飛びへの追求がなお不十分であり、これに対し本発明のソリッドゴルフボールは、かかる従来のウレタンカバーボールの特性を顕著に凌駕するものである。
【0007】
従って、本発明は、下記のスリーピースソリッドゴルフボールを提供する。
請求項1:
ゴム組成物により形成された内層コアと、ゴム組成物により形成され、前記内層コアを覆う外層コアと、ポリウレタン系エラストマーを主材として形成され、前記外層コアを覆うカバーとを備えたスリーピースソリッドゴルフボールであって、前記内層コアの直径が31〜34mmであり、内層コアのJIS−C硬度が50〜85の範囲にあると共に、前記外層コアのJIS−C硬度が70〜90の範囲にあり、かつ外層コア表面のJIS−C硬度H0と内層コア中心部のJIS−C硬度H1との差(H0−H1)が22〜26であり、前記カバーのショアD硬度が46〜55、カバーの厚さが1.1〜2.1mmであり、内層コアの比重が1.0より大きく、外層コアの比重S0、内層コアの比重S1とすると、0≦S0−S1≦0.06の範囲内となるように内層コアと外層コアの比重を実質的に等しくすると共に、カバーの比重が最も大きいことを特徴とするスリーピースソリッドゴルフボール。
請求項2:
1分子中に官能基として2個以上のイソシアネート基を持つイソシアネート化合物を該イソシアネート基と実質的に反応しない熱可塑性樹脂中に分散させたイソシアネート混合物を、カバーのポリウレタン系エラストマーに混合してなる請求項1記載のスリーピースソリッドゴルフボール。
【0008】
以下、本発明につき更に詳しく説明する。
本発明のスリーピースソリッドゴルフボールにおけるコアは、それぞれゴム組成物により形成された内層コアと、これを被覆する外層コアとの2層コアからなる。
【0009】
この場合、これら内層及び外層コアを形成するゴム組成物は、ポリブタジエンを主材としたものが好ましい。ポリブタジエンは、シス−1,4結合を40%以上、特に90%以上含むものが好ましい。また、ポリブタジエンに加え、ポリイソプレン、スチレンブタジエンゴム、天然ゴム等のジエン系ゴムも配合し得るが、ポリブタジエンは、基材ゴム中50重量%以上、特に70重量%以上含有されていることが好ましい。
【0010】
本発明のゴム組成物は、上記基材ゴム以外に、アクリル酸亜鉛、メタクリル酸亜鉛等の不飽和脂肪酸の亜鉛塩、不飽和脂肪酸のマグネシウム塩、その他の金属塩やトリエタノールプロパンメタクリレート等のエステル化合物、メタクリル酸等の不飽和脂肪酸などの架橋剤を上記基材ゴム100部(重量部、以下同じ)に対し、好ましくは15〜50部の範囲で含有する。
【0011】
また、ジクミルパーオクサイド等の有機過酸化物を上記基材ゴム100部に対して好ましくは0.1〜3部の範囲で含有する。更に、反発性を向上させるため、ペンタクロロチオフェノール亜鉛塩やジフェニルジスルフィド等の有機硫黄化合物などの加硫剤を基材ゴム100部に対して0.1〜5部、特に0.2〜3部の範囲で配合することが好ましい。
【0012】
更に、必要に応じて、2,2−メチレンビス(4−メチル−6−tert−ブチルフェノール)等の老化防止剤、比重調整用等として酸化亜鉛、硫酸バリウム、炭酸カルシウム等の充填剤を配合することができる。この場合、充填剤の配合量は、基材ゴム100部に対し130部以下とすることができるが、好ましくは反発性等の点で50部より少なくすることがよく、より好ましくは30部以下、特に20部以下とすることが好ましい。なお、充填剤を配合する場合の下限配合量は1部以上、特に5部以上が好ましく、10部を超えてもよく、特に比重調整用に硫酸バリウムと酸化亜鉛が良く用いられるが、反発性向上の点から、酸化亜鉛を主に使用し、硫酸バリウムを10部以下、特に0部にすることが好ましい。
【0013】
上記ゴム組成物は、通常の混練機、例えばバンバリーミキサー、ニーダー、ロール等を用いて混練し、得られたコンパウンドをコンプレッション成形、インジェクション成形等によって所望形状に成形する。この場合、加硫は130〜180℃で10〜60分の条件とすることができる。
【0014】
ここで、内層コアは、コア直径が31〜34mmであることが必要である。小さすぎると打感が硬くなり、また反発性が低下し、十分な飛距離が得られなくなることがあり、一方、大きすぎると、打感が軟らかくなりすぎたり、繰り返し打撃による割れ耐久性が低下する場合がある。
【0015】
内層コアの任意の部分の硬度は、JIS−C硬度として50以上、好ましくは55以上、より好ましくは58以上、更に好ましくは60以上であり、上限として85以下、好ましくは82以下、更に好ましくは80以下である。硬度が小さすぎると、ドライバー打撃時の打感が軟らかくなりすぎると共に、反発性が低くなり、飛びが悪くなる。また、繰り返し打撃による割れ耐久性が低下する。硬度が高すぎると、ドライバー打撃時の打感が硬くなりすぎると共に、スピンが多くなり、吹き上がる弾道となって十分な飛びが得られない。
【0016】
一方、外層コアは、上記内層コアを被覆した状態での直径が38.5mm以上、特に39.0mm以上であり、上限として40.5mm以下とすることが好ましい。外層コアを被覆した状態での直径が小さすぎると、カバーが厚くなりすぎ、反発性が低下して十分な飛距離が得られなくなる場合があり、直径が大きすぎると、カバーが薄くなりすぎて耐擦過傷性が悪くなったり、パターでのフィーリングが硬くなりすぎるおそれがある。
【0017】
外層コアの硬度は、JIS−C硬度で70以上、好ましくは77以上、上限として90以下、好ましくは85以下であり、硬度が低すぎると、ドライバー打撃時のスピンが多くなってしまい、十分な飛距離が得られなくなり、また内層コアとの界面の硬度差が大きくなることにより、繰り返し打撃による割れ耐久性が悪くなることがある。一方、硬度が高すぎると打感が硬くなりすぎると共に、耐擦過傷性が悪くなる。
【0018】
この場合、外層コアの表面硬度のJIS−C硬度H0と内層コアの中心部のJIS−C硬度H1との差(H0−H1)が22以上で、上限として26以下であることが必要である。この差(H0−H1)が小さすぎると、ドライバー打撃時のスピンが多くなり、十分な飛距離が得られなくなり、大きすぎると、反発性が低くなり、十分な飛距離が得られなくなると共に、繰り返し打撃による割れ耐久性が悪くなる。
【0019】
また、上記内層コアと外層コアとの比重は、内層コアの比重が1.0より大きいことが好ましく、この場合、内層コアと外層コアとは、内層コアと外層コアの比重を実質的に等しくすることにより、二層コアの反発を最大化することができる。即ち、外層コアの比重S 0 、内層コアの比重S 1 とすると、0≦S 0 −S 1 ≦0.06の範囲内となるように内層コアと外層コアの比重が調整されるものであり、これにより内層コア又は外層コアの硬度のばらつきを大きくすることなくコアを形成することができると共に、良好な反発性が得られ、飛距離の増大を達成することができる。
【0020】
本発明のスリーピースソリッドゴルフボールは、カバーとしてポリウレタン系エラストマーを主材としたものを使用するものであり、これにより本発明の目的を効果的に達成し得たものである。この場合、ポリウレタン系エラストマーとしては、公知のいずれのものでもよいが、特に本発明においては、下記のカバー成形材料によりカバーを形成することが好ましい。
(A)熱可塑性ポリウレタン材料
(B)1分子中に官能基として2つ以上のイソシアネート基を持つイソシアネ−ト化合物(b−1)を、イソシアネートと実質的に反応しない熱可塑性樹脂(b−2)中に分散させたイソシアネート混合物
【0021】
本発明において、カバーを上述したカバー成形材料によって形成した場合には、より優れたフィーリング、コントロール性、耐カット性、耐擦過傷性、繰り返し打撃したときの割れ耐久性を有するゴルフボールを得ることができる。
【0022】
次に、上記成分(A),(B)について説明する。
(A)熱可塑性ポリウレタン材料
熱可塑性ポリウレタン材料の構造は、高分子ポリオール(ポリメリックグリコール)からなるソフトセグメントと、ハードセグメントを構成する鎖延長剤およびジイソシアネートからなる。ここで、原料となる高分子ポリオールとしては、従来から熱可塑性ポリウレタン材料に関する技術において使用されるものはいずれも使用でき、特に制限されるものではないが、ポリエステル系とポリエーテル系があり、反発弾性率が高く、低温特性に優れた熱可塑性ポリウレタン材料を合成できる点で、ポリエーテル系の方がポリエステル系に比べて好ましい。ポリエーテルポリオールとしてはポリテトラメチレングリコール、ポリプロピレングリコール等が挙げられるが、反発弾性率と低温特性の点でポリテトラメチレングリコールが特に好ましい。また、高分子ポリオールの平均分子量は1000〜5000であることが好ましく、特に反発弾性の高い熱可塑性ポリウレタン材料を合成するためには2000〜4000であることが好ましい。
【0023】
鎖延長剤としては、従来の熱可塑性ポリウレタン材料に関する技術において使用されるものを好適に用いることができ、例えば1,4−ブチレングリコール、1,2−エチレングリコール、1,3−ブタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、2,2−ジメチル−1,3−プロパンジオール等が挙げられるが、これらに限定されるものではない。これら鎖延長剤の平均分子量は20〜15000であることが好ましい。
【0024】
ジイソシアネートとしては、従来の熱可塑性ポリウレタン材料に関する技術において使用されるものを好適に用いることができ、例えば4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート、2,4−トルエンジイソシアネート、2,6−トルエンジイソシアネートなどの芳香族ジイソシアネートや、ヘキサメチレンジイソシアネートなどの脂肪族ジイソシアネート等が挙げられるが、これらに限定されるものではない。ただし、イソシアネート種によっては射出成形中の架橋反応をコントロールすることが困難なものがある。本発明では、後述するイソシアネート混合物(B)との反応性の安定性から、芳香族ジイソシアネートである4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネートが最も好ましい。
【0025】
上述した材料からなる熱可塑性ポリウレタン材料としては、市販品を好適に用いることができ、例えばディーアイシーバイエルポリマー(株)製パンデックスT−8290、T−8295、T−8260や、大日精化工業(株)製レザミン2593、2597などが挙げられる。
【0026】
(B)イソシアネート混合物
イソシアネート混合物(B)は、1分子中に官能基として2つ以上のイソシアネート基を持つイソシアネート化合物(b−1)を、イソシアネートと実質的に反応しない熱可塑性樹脂(b−2)中に分散させたものである。ここで、上記イソシアネート化合物(b−1)としては、従来の熱可塑性ポリウレタン材料に関する技術において使用されるものを好適に用いることができ、例えば4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート、2,4−トルエンジイソシアネート、2,6−トルエンジイソシアネートなどの芳香族ジイソシアネートや、ヘキサメチレンジイソシアネートなどの脂肪族ジイソシアネート等が挙げられるが、これらに限定されるものではない。ただし、反応性、作業安全性の面から、4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネートが最適である。
【0027】
また、前記熱可塑性樹脂(b−2)としては、吸水性が低く、熱可塑性ポリウレタン材料との相溶性に優れた樹脂が好ましい。このような樹脂として、例えばポリスチレン樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂、ABS樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリエステルエラストマー(ポリエーテル・エステルブロック共重合体、ポリエステル・エステルブロック共重合体等)が挙げられるが、反発弾性、強度の点からポリエステルエラストマー、中でもポリエーテル・エステルブロック共重合体が特に好ましい。
【0028】
イソシアネート混合物(B)における熱可塑性樹脂(b−2):イソシアネート化合物(b−1)の配合比は、重量比で100:5〜100:100、特に100:10〜100:40であることが好ましい。熱可塑性樹脂(b−2)に対するイソシアネート化合物(b−1)の配合量が少なすぎると、熱可塑性ポリウレタン材料(A)との架橋反応に充分な添加量を得るためにはより多くのイソシアネート混合物(B)を添加しなくてはならず、熱可塑性樹脂(b−2)の影響が大きく作用することでカバー成形材料(C)の物性が不充分となる。熱可塑性樹脂(b−2)に対するイソシアネート化合物(b−1)の配合量が多すぎると、イソシアネート化合物(b−1)が混練り中にすべり現象を起こし、イソシアネート混合物(B)の合成が困難となる。
【0029】
イソシアネート混合物(B)は、例えば、熱可塑性樹脂(b−2)にイソシアネート化合物(b−1)を配合し、これらを温度130〜250℃のミキシングロール又はバンバリーミキサーで充分に混練して、ペレット化又は冷却後粉砕することにより得ることができる。イソシアネート混合物(B)としては、市販品を好適に用いることができ、例えば大日精化工業(株)製クロスネートEM30などが挙げられる。
【0030】
(C)カバー成形材料
カバー成形材料(C)は、前述した熱可塑性ポリウレタン材料(A)およびイソシアネート混合物(B)を主成分とするものである。カバー成形材料(C)における熱可塑性ポリウレタン材料(A):イソシアネート混合物(B)の配合比は、重量比で100:1〜100:100、特に100:5〜100:50、中でも100:10〜100:30であることが好ましい。熱可塑性ポリウレタ材料(A)に対するイソシアネート混合物(B)の配合量が少なすぎると架橋効果が充分に発現せず、多すぎると未反応のイソシアネートが成形物に着色現象を起こさせるので好ましくない。
【0031】
カバー成形材料(C)には、上述した成分に加えて他の成分を配合することができる。このような他の成分として、例えば熱可塑性ポリウレタン材料以外の熱可塑性高分子材料を挙げることができ、例えばポリエステルエラストマー、ポリアミドエラストマー、アイオノマー樹脂、スチレンブロックエラストマー、ポリエチレン、ナイロン樹脂等を配合することができる。この場合、熱可塑性ポリウレタン材料以外の熱可塑性高分子材料の配合量は、必須成分である熱可塑性ポリウレタン材料100部に対して0〜100部、好ましくは10〜75部、更に好ましくは10〜50部であり、カバー材の硬度の調整、反発性の改良、流動性の改良、接着性の改良などに応じて適宜選択される。更に、カバー成形材料(C)には、必要に応じて種々の添加剤を配合することができ、例えば顔料、分散剤、酸化防止剤、耐光安定剤、紫外線吸収剤、離型剤等を適宜配合することができる。
【0032】
カバー成形材料(C)を用いたカバーの成形では、例えば、熱可塑性ポリウレタン材料(A)にイソシアネート混合物(B)を添加してドライミキシングし、この混合物を用いて射出成形機によりコアの周囲にカバーを成形することができる。成形温度は熱可塑性ポリウレタン材料(A)の種類によって異なるが、通常150〜250℃の範囲で行われる。
【0033】
上記のようにして得られたゴルフボールカバーの反応形態、架橋形態としては、熱可塑性ポリウレタン材料の残存OH基にイソシアネート基が反応してウレタン結合を形成したり、熱可塑性ポリウレタン材料のウレタン基にイソシアネート基の付加反応が生じ、アロファネート、ビュレット架橋形態を形成したりすると考えられる。この場合、カバー成形材料(C)の射出成形直後は架橋反応が充分に進んでいないが、成形後にアニーリングを行うことにより架橋反応が進行し、ゴルフボールカバーとして有用な特性を保持するようになる。アニーリングとは、カバーを一定温度、一定時間で加熱熟成したり、室温で一定期間熟成したりすることを言う。
【0034】
本発明において、カバーは、上記のようにポリウレタン系エラストマーを主材として形成されるが、その硬度(カバー材料をシート状に形成した時の硬度)をショアD硬度で46以上、好ましくは47以上、上限として55以下、好ましくは52以下とするものであり、硬度が低すぎると、反発性が低下し、またスピンのかかりすぎで飛距離特性が低下し、硬度が高すぎると、十分なアプローチでのスピン性能が得られなくなったり、割れ耐久性、耐擦過傷性が悪くなる。
【0035】
また、カバーの比重は、外層コアより大きい(即ち、内層コア、外層コア、カバーのうちで、カバーの比重が最も大きい)ことが必要とされ、この場合、カバーの比重が1.1以上、特に1.12以上、上限として1.4以下、特に1.2以下であることが好ましい。本発明のスリーピースソリッドゴルフボールの比重を、1.0<内層コアの比重≦外層コアの比重<カバー比重の態様とし、しかもカバー比重を1.1以上とすることにより、反発を良好なものにし、飛距離特性を良好なものとし、また耐久性を良好なものにすることができる。
【0036】
カバーの厚さは、1.0mm以上、特に1.2mm以上、上限として2.1mm以下、特に1.9mm以下とする。
【0037】
本発明のスリーピースゴルフボールは、常法に従って製造することができ、カバー成形後の研磨、塗装なども常法に従って行うことができる。
【0038】
本発明のスリーピースゴルフボールは、その直径、重さはゴルフ規則に従い、例えば直径42.67mm以上、重量45.93g以下に形成することができる。
【0039】
【発明の効果】
本発明のスリーピースゴルフボールは、反発性・飛距離性能、コントロール性、フィーリング、耐久性に優れたものである。
【0040】
【実施例】
以下、実施例及び比較例を示し、本発明を具体的に説明するが、本発明は下記実施例に制限されるものではない。
【0041】
[実施例、比較例]
常法により、表1,2に示す組成の内層コアを形成した後、表1,2に示す組成の外層コアを被覆形成し、表4,5に示す態様の内外層コアからなるソリッドコアを製造した。次いで、表3に示す組成のカバーをソリッドコアに射出成形し、表4,5に示す態様のゴルフボールを得た。
【0042】
得られたゴルフボールにつき、下記方法によりその特性を評価した。結果を表4,5に示す。
判定基準:
飛び
ドライバー(W#1)、HS=50m/sにて打撃した時の飛距離を測定。クラブはブリヂストンスポーツ社製TourStage X500(ロフト角8°)を使用した。
○:トータル飛距離が264m以上
×:トータル飛距離が264m未満
ボールコントロール性
SW、HS=20m/sでアプローチショットした時のボールのスピン量を測定した。
○:スピン量が5650rpm以上
△:スピン量が5650rpm未満5400rpm以上
×:スピン量が5400rpm未満
フィーリング
プロゴルファー5名により以下の基準で官能評価を行った。
○:5人中4人以上が良い打感であると評価した。
×:5人中4人以上が硬すぎる又は軟らかすぎると感じた。
繰り返し打撃時の初速低下までの耐久性
W#1、HS=50m/sで繰り返し打撃し、ボール反発が連続して3%低下した時の回数で判断した。
○:95回以上(実施例3における耐久性指数を100とした場合)
×:95回未満(実施例3における耐久性指数を100とした場合)
耐擦過傷性
溝が角溝であるピッチングウェッジ(PW)を用い、HS=45m/sで1回打撃した後のボール表面の状態を下記の基準で評価した。
○:まだ使用することができる。
△:使用できるか判別し難い。
×:ボール表面に傷が付き、もう使用することができない。
【0043】
【表1】
Figure 0004029267
【0044】
【表2】
Figure 0004029267
*1 過酸化物(1)…ジクミルパーオキサイド,商品名パークミルD(日本油脂製)
*2 過酸化物(2)…1,1−ビス(t−ブチルパーオキシ)−3,3,5−トリメチルシクロヘキサン,商品名パーヘキサ3M−40(日本油脂製)
*3 ノクラックNS−6(大内新興化学工業社製)
*4 金型により半球殻上に予備成形し、それを2個用いて先に成形した内コアを覆い、更に金型に入れて加硫成形した。
【0045】
【表3】
Figure 0004029267
Figure 0004029267
【0046】
【表4】
Figure 0004029267
【0047】
【表5】
Figure 0004029267
*5 外層コアとカバーとの接着剤…RB−182プライマー(日本ビー・ケミカル製)
【0048】
表4,5の結果より、以下の通り評価される。
比較例1は、外層コア径が小さく、カバーゲージが厚くなりすぎ、反発が低下して飛距離が出ない。
比較例2は、内層コアの中心硬度が軟らかすぎるため、▲1▼ボールの反発が低く飛距離が出ない、▲2▼ドライバーで打撃した時の打感が軟らかすぎる、▲3▼繰り返し打撃した時の割れ耐久性が悪くなる。
比較例3は、内層コアの表面硬度が硬すぎるためにドライバーで打撃した時にスピンが掛かりすぎ飛距離が出ない。また、W#1での打感も硬すぎる。
比較例4は、外層コアの表面硬度が軟らかすぎると共に、外層コア表面−内層コア中心硬度が20未満であるため、ドライバーで打撃したときにスピンが多すぎ飛距離が出ない。また、内層コア表面よりも外層コア表面硬度が10ポイント以上低いため、繰り返し打撃による割れ耐久性が劣る。
比較例5は、外層コアの表面硬度が硬すぎるため、パターで打ったときの打感が硬すぎると共にアイアンで打撃したときの耐擦過傷性も悪い。
比較例6は、外層コア表面−内層コア中心硬度が大きすぎるため、反発が低くなり飛距離が落ちると共に、繰り返し打撃による割れ耐久性も悪くなる。
比較例7は、外層コア表面−内層コア中心硬度が小さすぎるため、スピンがやや多く更に反発もやや低くなり、飛距離が出なくなる。
比較例8は、カバー硬度が軟らかすぎ、スピンが多すぎ飛ばない。
比較例9は、カバー硬度が硬すぎ、アプローチのスピンが足りない。また、耐擦過傷性・繰り返し打撃による割れ耐久性も悪い。
比較例10は、カバーがサーリンであるため、スピンがかかりにくくコントロール性に劣ると共に耐擦過傷性も悪い。
比較例11は、2P構造であるため、W#1でのスピンが多すぎ飛距離が出ない。
これに対し、実施例のゴルフボールは、飛距離、コントロール性、フィーリング、耐久性がいずれも満足し得るレベルのものである。

Claims (2)

  1. ゴム組成物により形成された内層コアと、ゴム組成物により形成され、前記内層コアを覆う外層コアと、ポリウレタン系エラストマーを主材として形成され、前記外層コアを覆うカバーとを備えたスリーピースソリッドゴルフボールであって、前記内層コアの直径が31〜34mmであり、内層コアのJIS−C硬度が50〜85の範囲にあると共に、前記外層コアのJIS−C硬度が70〜90の範囲にあり、かつ外層コア表面のJIS−C硬度H0と内層コア中心部のJIS−C硬度H1との差(H0−H1)が22〜26であり、前記カバーのショアD硬度が46〜55、カバーの厚さが1.1〜2.1mmであり、内層コアの比重が1.0より大きく、外層コアの比重S0、内層コアの比重S1とすると、0≦S0−S1≦0.06の範囲内となるように内層コアと外層コアの比重を実質的に等しくすると共に、カバーの比重が最も大きいことを特徴とするスリーピースソリッドゴルフボール。
  2. 1分子中に官能基として2個以上のイソシアネート基を持つイソシアネート化合物を該イソシアネート基と実質的に反応しない熱可塑性樹脂中に分散させたイソシアネート混合物を、カバーのポリウレタン系エラストマーに混合してなる請求項1記載のスリーピースソリッドゴルフボール。
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