JP2003180879A

JP2003180879A - ツーピースソリッドゴルフボール

Info

Publication number: JP2003180879A
Application number: JP2001389215A
Authority: JP
Inventors: Takashi Sasaki; 隆佐々木; Keiji Moriyama; 圭治森山
Original assignee: Sumitomo Rubber Industries Ltd
Current assignee: Sumitomo Rubber Industries Ltd
Priority date: 2001-12-21
Filing date: 2001-12-21
Publication date: 2003-07-02
Also published as: US7059975B2; US20030144085A1

Abstract

(57)【要約】【課題】本発明により、良好な打球感を保持し、かつ
ミドルアイアンからドライバーでの打撃時に飛距離が大
きく、ショートアイアン等による打撃時にコントロール
性に優れたツーピースソリッドゴルフボールを提供す
る。【解決手段】本発明は、コアとカバーとから成るツー
ピースソリッドゴルフボールにおいて、該コアがシス‐
１,４‐ポリブタジエンを主成分とするソリッドコアで
あり、ショアＤ硬度による表面硬度が中心硬度より１５
以上だけ大きく；かつ該カバーが、基材樹脂としてポリ
ウレタン系熱可塑性エラストマーを主成分として含有す
るカバー用組成物から形成され、かつショアＤ硬度によ
る硬度が３５〜５５であり；かつ該コアの表面硬度より
低く、該カバー硬度をＡ、ディンプル総容積をＢ(ｍｍ
^３）とした場合に、両者の積ＡＢの値が２０,０００〜
３０,０００であることを特徴とするツーピースソリッ
ドゴルフボールに関する。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【発明の属する技術分野】本発明は、ツーピースソリッ
ドゴルフボールに関する。更に詳しくは、本発明は、糸
巻きゴルフボールのような良好な打球感を保持し、かつ
ミドルアイアンからドライバーでの打撃時に飛距離が大
きく、ショートアイアン等による打撃時にスピン量が大
きくてコントロール性に優れたツーピースソリッドゴル
フボールに関する。

【０００２】

【従来の技術】現在、市場には種々の構造のゴルフボー
ルがあり、ゲーム用としては一般に、ツーピースソリッ
ドゴルフボールと糸巻きゴルフボールがある。ツーピー
スソリッドゴルフボールは、糸巻きゴルフボールに比べ
て優れた飛行性能と耐久性を有するために、市場におい
ても大半を占めているが、打球感とアプローチショット
でのコントロール性の面で糸巻きゴルフボールに劣って
いる。

【０００３】ツーピースソリッドゴルフボールの性能を
更に向上するために数多くの提案がなされてきたが、例
えば、特開昭６３‐２２０８８９号公報、特開平６‐９
８９４９号公報、特開平７‐１９４７３２号公報等に
は、主にコアの硬度や硬度分布を適正化することによっ
て、飛距離（反発性）、耐久性、打球感、コントロール
性等の性能を向上したツーピースソリッドゴルフボール
が提案されている。また、特開平１０‐１２７８２３号
公報等では、カバーの厚さ、硬度およびゴルフボールの
硬度分布を適正化することによって、ボール性能を向上
したツーピースソリッドゴルフボールが提案されてい
る。更に、特開平９‐２１５７７８号公報ではコアやカ
バーの比重、ディンプル性状および慣性モーメントを適
正化することによってボール性能を向上したツーピース
ソリッドゴルフボールが提案されている。特開２００１
‐２５９０８０号公報では、コアの硬度分布、カバーの
厚さ、硬度およびゴルフボールの硬度分布、並びにディ
ンプル性状を適正化することによって、ボール性能を向
上したツーピースソリッドゴルフボールが提案されてい
る。

【０００４】特開昭６３‐２２０８８９号公報には、Ｊ
ＩＳ‐Ｃ硬度でコアの中心から１０ｍｍ未満の部分の硬
度が６０〜７９、中心から１０ｍｍを超える部分の硬度
が８０〜９０になるように硬度分布をコントロールし、
カバー厚さ１．５〜２．０ｍｍを有し、かつ得られたボ
ールが初荷重１０ｋｇｆから終荷重１３０ｋｇｆをかけ
たときの圧縮変形量１．９〜２．４ｍｍを有するツーピ
ースゴルフボールが開示されている。しかしながら、こ
のゴルフボールでは、ボールの変形量が小さく硬いた
め、打球感が悪いという問題があった。

【０００５】特開平６‐９８９４９号公報には、コアの
硬度が中心、中心から５〜１０ｍｍ、中心から１５ｍ
ｍ、表面と順に大きくなるように硬度分布をコントロー
ルしたツーピースゴルフボールが開示されている。しか
しながら、カバーに比較的硬い材料を用いているため飛
距離は優れているものの、ショートアイアン等による打
撃時にスピン量が小さくてコントロール性が劣るという
問題点があった。

【０００６】特開平７‐１９４７３２号公報には、コア
の中心硬度がＪＩＳ‐Ｃ硬度４０〜５７で、コアの表面
硬度がＪＩＳ‐Ｃ硬度７０〜９５であり、この表面硬度
と中心硬度の硬度差が２０〜４０であるツーピースゴル
フボールが開示されている。しかしながら、このゴルフ
ボールにおいても、カバーに比較的硬い材料を用いてい
るため、ショートアイアン等による打撃時にスピン量が
小さくてコントロール性が劣るという問題点があった。

【０００７】特開平１０‐１２７８２３号公報には、カ
バーの厚さが１．０〜２．１ｍｍと薄く、ＪＩＳ‐Ｃ硬
度が７５〜９５であり、コアの表面硬度とカバー硬度の
差がＪＩＳ‐Ｃ硬度で１０以下と小さい硬度分布を有す
るソリッドゴルフボールが開示されている。このゴルフ
ボールでは、カバーにアイオノマー樹脂のみを用いてい
るため、反発性が悪く、ドライバーによる打撃時に飛距
離が劣るという問題点があった。

【０００８】特開平９‐２１５７７８号公報には、コア
が比重１．００以上を有し、カバーの比重がコアの比重
より大きく、ディンプルのボール表面占有率やディンプ
ル空間体積等のディンプル性状や慣性モーメントとカバ
ー硬度との関係を適正化したツーピースゴルフボールが
開示されている。しかしながら、カバー比重が大き過ぎ
るためボールの慣性モーメントが非常に大きな値となっ
ており、比較的硬いカバーを有するゴルフボールの場合
は初期スピンが小さいので、スピン減衰を抑えて飛距離
が向上するが、コントロール性も重視した比較的軟らか
いカバーを有するゴルフボールの場合には、必要以上に
スピンが持続するため、吹き上がって飛距離が低下する
という問題点があった。

【０００９】特開２００１‐２５９０８０号公報には、
コアがＪＩＳ−Ｃ硬度による中心と表面との硬度差２０
以上を有し、カバーが厚さ１．３〜２ｍｍ、ショアＤ硬
度５５以下を有し、カバーの表面とコア表面のＪＩＳ−
Ｃ硬度による硬度差が０以下であり、ディンプル総数や
ディンプル体積占有率等のディンプル性状を適正化した
ツーピースゴルフボールが開示されている。しかしなが
ら、カバー材に軟質アイオノマー樹脂を使用しているた
め、ゴルフボールの反発性能が低下し、飛距離を損なう
と共に耐擦過傷性も劣るという問題点があった。

【００１０】上記ゴルフボールの欠点を改善し、飛行性
能の向上と共に、良好な打球感およびコントロール性を
有するゴルフボールへの要求がますます高まり、更にこ
れらの特性の向上が望まれている。また、近年、従来の
ツーピースソリッドゴルフボールに比較して、優れた飛
行性能を有し、かつ良好な打球感およびコントロール性
を有するマルチピースソリッドゴルフボールの登場によ
り、ツーピースソリッドゴルフボールにおいても更にこ
れら性能の向上が求められるようになった。

【００１１】

【発明が解決しようとする課題】本発明は、上記のよう
な従来のツーピースソリッドゴルフボールの有する問題
点を解決し、糸巻きゴルフボールのような良好な打球感
を保持し、かつミドルアイアンからドライバーでの打撃
時に飛距離が大きく、ショートアイアン等による打撃時
にスピン量が大きくてコントロール性に優れたツーピー
スソリッドゴルフボールを提供することを目的とする。

【００１２】

【課題を解決するための手段】本発明者等は、上記目的
を解決すべく鋭意研究を重ねた結果、カバーにポリウレ
タン系熱可塑性エラストマーを用い、カバー硬度、コア
およびゴルフボールの硬度分布、カバー硬度とディンプ
ル総容積との積を特定範囲内に規定することによって、
糸巻きゴルフボールのような良好な打球感を保持し、か
つミドルアイアンからドライバーでの打撃時に飛距離が
大きく、ショートアイアン等による打撃時にスピン量が
大きくてコントロール性に優れたツーピースソリッドゴ
ルフボールが得られることを見出し、本発明を完成する
に至った。

【００１３】即ち、本発明は、コアと該コア上に形成さ
れたカバーとから成るツーピースソリッドゴルフボール
において、該コアがシス‐１,４‐ポリブタジエンを主
成分とするソリッドコアであり、ショアＤ硬度による表
面硬度が中心硬度より１５以上だけ大きく、かつ該カバ
ーが、基材樹脂としてポリウレタン系熱可塑性エラスト
マーを主成分として含有するカバー用組成物から形成さ
れ、かつショアＤ硬度による硬度が３５〜５５であり、
かつ該コアの表面硬度より低く、該カバー硬度をＡ、デ
ィンプル総容積をＢ(ｍｍ^３）とした場合に、両者の積
ＡＢの値が２０,０００〜３０,０００であることを特徴
とするツーピースソリッドゴルフボールに関する。

【００１４】本発明のゴルフボールにおいては、コアの
表面と中心との硬度差を最適化することによって、ミド
ルアイアンからドライバーでの打撃時に高打出角化およ
び低スピン量化が図られて飛距離が大きくなり、カバー
硬度とディンプル総容積の積を最適化することにより、
ゴルフボールの弾道を最適化することにより飛距離が大
きくなり、またカバーにポリウレタン系熱可塑性エラス
トマーとのブレンドを採用し、コアの表面硬度とカバー
硬度との差を最適化することにより、糸巻きゴルフボー
ルのような良好な打球感を保持し、かつ飛距離が大き
く、ショートアイアン等による打撃時にスピン量が大き
くてコントロール性に優れたツーピースソリッドゴルフ
ボールを達成したものである。

【００１５】更に、本発明を好適に実施するためには、
上記カバーが、厚さ０．５〜２．０ｍｍを有し、かつ該
カバーの比重が前記コアの比重以下であり；上記熱可塑
性ポリウレタン系エラストマーが脂環式ジイソシアネー
トを構成成分としてなる；ことが好ましい。

【００１６】本発明のツーピースソリッドゴルフボール
では、コア上にカバーを被覆する。コアは基本的に、基
材ゴム、共架橋剤、有機過酸化物、充填材、老化防止剤
等を含有するゴム組成物を、通常のソリッドコアに用い
られる方法、条件を用いて加熱圧縮加硫することにより
得られる。

【００１７】本発明に用いられる基材ゴムとしては、従
来からソリッドゴルフボールに用いられている天然ゴム
および/または合成ゴムが用いられ、特にシス‐１,４‐
結合少なくとも４０％以上、好ましくは８０％以上を有
するいわゆるハイシスポリブタジエンゴムが好ましく、
所望により上記ポリブタジエンゴムには、天然ゴム、ポ
リイソプレンゴム、スチレンポリブタジエンゴム、エチ
レン‐プロピレン‐ジエンゴム（ＥＰＤＭ）等を配合し
てもよい。

【００１８】共架橋剤は特に限定されないが、アクリル
酸またはメタクリル酸等のような炭素数３〜８のα,β
‐不飽和カルボン酸の、亜鉛、マグネシウム等の一価ま
たは二価の金属塩が好ましく、特に高い反発性を付与す
るアクリル酸亜鉛が好適である。配合量は基材ゴム１０
０重量部に対して、１０〜５０重量部、好ましくは２０
〜４０重量部である。上記配合量が１０重量部より少な
いと、軟らかくなり過ぎて反発が悪くなり飛距離が低下
するとともに、カバーに軟らかい材料を使用しているた
め、ボールとしても軟らかくなり過ぎて打球感が悪いも
のとなる。また、上記配合量が５０重量部より多いと、
硬くなり過ぎて打球感が悪くなる。

【００１９】有機過酸化物は架橋剤または硬化剤として
作用し、例えばジクミルパーオキサイド、１,１‐ビス
(t‐ブチルパーオキシ)‐３,３,５‐トリメチルシクロ
ヘキサン、２,５‐ジメチル‐２,５‐ジ(ｔ‐ブチルパ
ーオキシ)ヘキサン、ジ‐ｔ‐ブチルパーオキサイドが
挙げられ、ジクミルパーオキサイドが好適である。配合
量は、基材ゴム１００重量部に対して、０．３〜３重量
部、好ましくは１．４〜２重量部である。０．３重量部
未満では軟らかくなり過ぎて反発が悪くなり飛距離が低
下する。３重量部を越えると適切な硬さにするために共
架橋剤の配合量を減少する必要があり、反発が悪くなり
飛距離が低下する。

【００２０】充填材としては、ソリッドゴルフボールの
コアに通常配合されるものであればよく、例えば無機充
填材、具体的には、酸化亜鉛、硫酸バリウム、炭酸カル
シウム、酸化マグネシウム等が挙げられ、高比重金属充
填材、例えばタングステン粉末、モリブデン粉末等およ
びそれらの混合物が挙げられる。配合量は、基材ゴム１
００重量部に対して２〜５０重量部、好ましくは５〜４
０重量部である。２重量部未満では重量調整が難しくな
る。５０重量部を越えるとコアの重量が大きくなり、適
正なボール重量に調整することが困難となる。

【００２１】更に本発明のゴルフボールのコアには、老
化防止剤またはしゃく解剤、その他ソリッドゴルフボー
ルのコアの製造に通常使用し得る成分を適宜配合しても
よい。尚、老化防止剤は、基材ゴム１００重量部に対し
て、０．２〜１．０重量部が好ましい。

【００２２】本発明のゴルフボール用いるコアは、前述
のゴム組成物を均一に混合および混練し、金型内で加熱
プレスすることにより得ることができる。この際の条件
は特に限定されないが、通常は１３０〜１８０℃、圧力
２．９〜９．８ＭＰａ、１０〜５０分間で行われる。

【００２３】本発明のゴルフボールでは、上記コアは直
径３８．５〜４２ｍｍ、好ましくは３９〜４２ｍｍ、よ
り好ましくは３９．５〜４２ｍｍである。上記直径が３
８．５ｍｍより小さいと、ゴルフボール規格に適合した
直径にするためにカバーを厚くする必要があり、ドライ
バー打撃時のスピン量が大きくなって飛距離が低下す
る。上記直径が４２ｍｍより大きいと、得られるゴルフ
ボールの直径が大きくなり過ぎるため、飛行時の空気抵
抗が大きくなって飛距離が低下する。適正サイズのゴル
フボールとした時に、カバーが薄くなり過ぎてアプロー
チでのスピン性能が損なわれる。

【００２４】本発明のゴルフボールにおいて、コアのシ
ョアＤ硬度による表面硬度が中心硬度より１５以上だけ
大きいことを要件とするが、好ましくは１８以上、より
好ましくは２０以上である。上記硬度差が、１５未満で
は打撃時のスピン量が増加して飛距離が低下する。ま
た、上記硬度差が大きくなり過ぎるとコアの中心硬度が
小さくなり過ぎて反発性が低下して飛距離が低下するた
め、上記硬度差の上限は５０以下、好ましくは４５以
下、より好ましくは４０以下であることが望ましい。

【００２５】上記コアのショアＤ硬度による表面硬度
は、５０〜６５、好ましくは５２〜６２、より好ましく
は５３〜６０であることが望ましい。上記コアの表面硬
度が５０未満または６５より高い範囲では、ゴルフボー
ルの変形量を適正な値に調整することが困難となるた
め、打球感や飛距離を損なうおそれがある。ここで、コ
アの表面硬度とは、作製したコアの表面で測定した硬度
を意味する。

【００２６】上記コアのショアＤ硬度による中心硬度
は、１０〜４５、好ましくは１５〜４０、より好ましく
は２０〜３５であることが望ましい。上記コアの中心硬
度が１０より小さくなると、コアの変形量が大きくなり
過ぎ、得られるゴルフボールも軟らかくなり過ぎて打球
感が悪いものとなる。上記コアの中心硬度が４５より大
きいと、コアの変形量が小さくなり過ぎ、得られるゴル
フボールも硬くなり過ぎて打球感が悪くなる。ここで、
コアの中心硬度とは、作製したコアを２等分切断し、そ
の切断面の中心点で測定した硬度を意味する。

【００２７】本発明のゴルフボールに用いられるコア
は、初期荷重９８Ｎを負荷した状態から終荷重１２７５
Ｎを負荷したときまでの変形量２．４〜３．８ｍｍ、好
ましくは２．５〜３．６ｍｍ、より好ましくは２．６〜
３．４ｍｍを有することが望ましい。上記変形量が、
２．４ｍｍ未満または３．８ｍｍを超える範囲では、得
られるゴルフボールの変形量を適正な範囲に調整するこ
とが困難となり、打球感や飛距離を損なうおそれがあ
る。

【００２８】本発明のゴルフボールにおいて、上記コア
は、比重１．０５〜１．２５、好ましくは１．１〜１．
２を有することが望ましい。上記コアの比重が１．０５
より低いとゴルフボールが軽くなり過ぎて飛行性能が低
下し、１．２５より高いと直径および重量の両方をゴル
フボール規格に適合させるのが困難となる。

【００２９】次いで、上記コア上にはカバーを被覆す
る。本発明のゴルフボールでは、上記カバーは厚さ０．
５〜２．０ｍｍ、好ましくは０．５〜１．８ｍｍ、より
好ましくは０．５〜１．５ｍｍである。上記厚さが０．
５ｍｍより小さいとカバー層が薄くなり過ぎるため、良
好な打球感と十分なスピン性能が得られなくなり、２．
５ｍｍより大きいとカバー層が厚くなり過ぎるため、ゴ
ルフボールとしての反発性能を損なうと共に、ドライバ
ーやミドルアイアンでの打撃時にスピン量が大きくなっ
て飛距離が低下する。

【００３０】本発明のゴルフボールでは、上記カバーの
ショアＤ硬度が、上記コアの表面硬度より低いことを要
件とするが、両者の硬度差は好ましくは１〜２５、より
好ましくは５〜２０である。上記カバー硬度が上記コア
の表面硬度以上となると、打球感やコントロール性が悪
いものとなり、上記硬度差が２５より大きいと、カバー
が軟らかくなり過ぎ、ドライバー等での打撃時のスピン
量が増加して飛距離が低下する。

【００３１】上記カバー硬度は、３５〜５５であること
を要件とするが、好ましくは３８〜５３、より好ましく
は４０〜５０、最も好ましくは４０〜４７である。上記
カバー硬度が３５より低くなると、カバーが軟らかくな
り過ぎ、ドライバーやミドルアイアンでの打撃時のスピ
ン量が増加して飛距離が低下する。上記カバー硬度が５
５より高いと、カバーが硬くなり過ぎ、打撃時の衝撃が
大きくて打球感が悪くなるばかりでなく、アプローチシ
ョット等でのスピン量も小さくなってコントロール性が
悪いものとなる。

【００３２】また、本発明のゴルフボールでは、カバー
厚さを（ｔ）、カバーのショアＤ硬度を（Ａ）とする
と、［Ａ/(ｔ＋１)］の値が１６〜２８、好ましくは１
７〜２６、より好ましくは１８〜２５であることが望ま
しい。上記［Ａ/(ｔ＋１)］の値が１６未満であると、
カバー硬度が低くなり過ぎるか厚さが大きくなり過ぎる
ため、飛距離が低下する。上記値が２８より大きいと、
カバー硬度が高くなり過ぎるか厚さが小さくなり過ぎる
ため、スピン性能が低下する。

【００３３】本発明のゴルフボールでは、コアとカバー
の比重差（コア比重−カバー比重）が−０．０５〜０．
１０、好ましくは０〜０．０７であることが望ましい。
上記比重差が−０．０５より小さくなると、即ちカバー
の比重がコアの比重より大きくなり過ぎると、慣性モー
メントが大きくなり過ぎて飛行性能およびコントロール
性が低下する。上記比重差が０．１０より大きくなる
と、カバー比重が小さくなり過ぎて慣性モーメントが小
さくなって、飛行中のスピン減衰が大きくなることによ
り飛距離が低下する。

【００３４】本発明のゴルフボールにおいて、上記カバ
ーは、比重１〜１．２、好ましくは１．０５〜１．１５
を有することが望ましい。上記カバーの比重が１より低
いとゴルフボールの慣性モーメントが小さくなり飛行時
のスピン減衰が大きくなって飛距離が低下し、１．２よ
り高いとゴルフボールの慣性モーメントが大きくなり過
ぎて飛行中に必要以上のスピン量となり、吹き上がる弾
道となって飛距離が低下する。

【００３５】本発明のゴルフボールのカバーは、基材樹
脂として、ポリウレタン系熱可塑性エラストマーを主成
分として含有するカバー用組成物から形成されることを
要件とする。上記ポリウレタン系熱可塑性エラストマー
は、一般にハードセグメントとしてポリウレタン構造を
含有し、ソフトセグメントとしてポリエステルまたはポ
リエーテル構造の高分子ポリオール化合物を含有する。
上記ポリウレタン構造は一般に、ジイソシアネートと鎖
延長剤としての多価アルコール類、アミン系等とから成
る。本発明のゴルフボールにおいては、上記高分子ポリ
オール化合物や鎖延長剤は特に制限されず、一般的にポ
リウレタン系熱可塑性エラストマーに使用されるものを
適宜用いることができる。

【００３６】上記ジイソシアネートとしては、芳香族ジ
イソシアネート、例えば４,４’‐ジフェニルメタンジ
イソシアネート(ＭＤＩ)、トリレンジイソシアネート
(ＴＤＩ)、パラフェニレンジイソシアネート(ＰＰＤ
Ｉ)；脂肪族ジイソシアネート、例えばヘキサメチレン
ジイソシアネート(ＨＤＩ)、リジンジイソシアネート
(ＬＤＩ)；脂環式ジイソシアネート、例えば４,４’‐
ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート(Ｈ_１２ＭＤ
Ｉ)、イソホロンジイソシアネート(ＩＰＤＩ)、１,３‐
ビス(イソシアナトメチル)シクロヘキサン(Ｈ_６ＸＤ
Ｉ)、トランス‐１,４‐シクロヘキサンジイソシアネー
ト(ＣＨＤＩ)；等が挙げられるが、耐黄変性、耐擦過傷
性等を考慮して、脂環式ジイソシアネートが好ましく用
いられ、特にＨ_１ _２ＭＤＩが好ましい。

【００３７】本発明のゴルフボールに用いられるカバー
において、上記のような脂環式ジイソシアネートを使用
したポリウレタン系熱可塑性エラストマーとしては、市
販品を用いることができ、例えばＢＡＳＦポリウレタン
エラストマーズ(株)から商品名「エラストランＸＮＹ９
０Ａ」、「エラストランＸＮＹ９７Ａ」、「エラストラ
ンＸＮＹ５８５」等が挙げられる。

【００３８】上記熱可塑性ポリウレタン系エラストマー
は、耐変色(黄変)性の観点から、分子内の骨格構造中に
二重結合を有さないジイソシアネート、即ち脂肪族ジイ
ソシアネートおよび脂環式ジイソシアネート、を使用し
た熱可塑性ポリウレタン系エラストマーが好ましい。ま
た、耐擦過傷性等を考慮して、機械的強度の大きい脂環
式ジイソシアネートおよび更に芳香族ジイソシアネート
を使用した熱可塑性ポリウレタン系エラストマーが好ま
しい。本発明のゴルフボールのカバーに用いる熱可塑性
ポリウレタン系エラストマーとしては、上記耐変色性お
よび耐擦過傷性の両者を考慮して、脂環式ジイソシアネ
ートを使用した熱可塑性ポリウレタン系エラストマーが
より好ましい。

【００３９】更に、本発明のゴルフボールにおいて、カ
バーを構成する材料として、上記熱可塑性ポリウレタン
エラストマーに、ポリエステル系熱可塑性エラストマ
ー、ポリアミド系熱可塑性エラストマー、スチレン系熱
可塑性エラストマー、ポリオレフィン系熱可塑性エラス
トマー等のその他の熱可塑性エラストマーまたはアイオ
ノマー樹脂等を適宜混合してもよい。上記その他の熱可
塑性エラストマーとしては、カルボキシル基、グリシジ
ル基、スルホン基、エポキシ基等の官能基を有するもの
を用いてもよい。

【００４０】使用する場合、上記その他の熱可塑性エラ
ストマーやアイオノマー樹脂の配合量は、カバー用の基
材樹脂１００重量部に対して、０〜４０重量部、好まし
くは０〜３０重量部である。４０重量部より多いと耐擦
過傷性、反発性、耐黄変性のいずれかが低下する。

【００４１】また、本発明において、上記カバー用組成
物には、主成分としての上記基材樹脂の他に必要に応じ
て、硫酸バリウム、炭酸カルシウム等の充填材や二酸化
チタン等の着色剤や、その他の添加剤、例えば分散剤、
老化防止剤、紫外線吸収剤、光安定剤並びに蛍光材料ま
たは蛍光増白剤等を、ゴルフボールカバーによる所望の
特性が損なわれない範囲で含有していてもよいが、通
常、着色剤の配合量はカバー樹脂１００重量部に対して
０．１〜５．０重量部が好ましい。

【００４２】上記カバーは、ゴルフボールのカバーの形
成に使用されている一般に公知の方法を用いて行うこと
ができ、特に限定されるものではない。カバー用組成物
を予め半球殻状のハーフシェルに成形し、それを２枚用
いてコアを包み、１３０〜１７０℃で１〜５分間加圧成
形するか、または上記カバー用組成物を直接コア上に射
出成形してコアを包み込む方法が用いられる。カバー成
形時、ディンプルと呼ばれるくぼみを多数表面上に形成
する。

【００４３】本発明のゴルフボールでは、上記のショア
Ｄ硬度によるカバー硬度をＡ、ディンプル総容積をＢ
(ｍｍ^３)とした場合に両者の積ＡＢの値が２０,０００
〜３０,０００であることを要件とするが、好ましくは
２２,０００〜２８,０００、より好ましくは２２,００
０〜２５,０００である。上記の値ＡＢが２０,０００よ
り小さいと、ゴルフボールの弾道が吹き上がりやすくな
って飛距離が低下し、３０,０００より大きいと弾道が
低くなり過ぎ、ドロップしやすくなって飛距離が低下す
る。本発明のゴルフボールでは、カバー硬度が大きい場
合にはディンプル総容積を小さくし、カバー硬度が小さ
い場合にはディンプル総容積を大きくし、両者の積を規
定の範囲内とすることにより、ゴルフボールの弾道を最
適化して飛距離を向上することができる。

【００４４】上記ディンプル総容積(Ｂ)は、３５０〜６
５０ｍｍ^３、好ましくは４００〜６００ｍｍ^３、より好
ましくは４５０〜６００ｍｍ^３であることが望ましい。
上記ディンプル総容積が３５０ｍｍ^３より小さいと吹き
上がる弾道となり飛距離が低下し、６５０ｍｍ^３より大
きいと弾道が低くなり過ぎ、ドロップしやすくなって飛
距離が低下する。ここで、ディンプルの総容積（Ｂ）と
は、ディンプルを形成することによって切り取られる部
分の容積の総和を表す。

【００４５】上記ディンプルのボール表面積占有率は、
０．７０〜０．９０、好ましくは０．７５〜０．９０で
あることが望ましい。上記ディンプルのボール表面積占
有率が０．７０未満であると、ボール表面を占めるディ
ンプルの割合が少なすぎ、ディンプルの効果が十分に得
られなくなって弾道が低くなり飛距離が低下する。上記
ディンプルのボール表面積占有率が０．９０より大きい
と、ボールの弾道が吹き上がり飛距離が低下する。ここ
でディンプルのボール表面積占有率とは、ディンプルを
形成することによって切り取られる（仮想）球面積の総
和の、ディンプルが存在しないと仮定した場合のボール
球面の表面積に対する割合を表す。

【００４６】上記ディンプルの総数は、２５０〜５００
個、好ましくは３００〜４８０個、より好ましくは３５
０〜４５０個であることが望ましい。上記ディンプル総
数が２５０個末満では、所定のボール表面積占有率を維
持しつつボール形状を略球状とすることが困難になる
（ボール表面の円滑さが失われる）。上記ディンプル総
数が５００個より多いと、輪郭長さの小さなディンプル
を多数配列することになり、打撃直後の抗力係数が大き
くなり、飛距離が低下する。

【００４７】上記ディンプルの形状は通常、輪郭が円形
であるが、上記の値を満足するものであれば、輪郭が楕
円、長円形などの非円形ディンプルと呼ばれるものにも
適用される。円形ディンプルの場合にはシングルラジア
スであっても、ダブルラジアスであっても、両者の組合
せであってもよい。

【００４８】本発明のゴルフボールは美観を高め、商品
価値を上げるために、通常ペイント仕上げ、マーキング
スタンプ等を施されで市場に投入される。尚、本明細書
中でディンプルのボール表面積占有率、輪郭長さおよび
総容積とは、ゴルフボール表面での状態を測定したもの
であり、カバー上に表面塗装されている場合は塗装状態
で測定したものである。

【００４９】本発明のゴルフボールは、初期荷重９８Ｎ
を負荷した状態から終荷重１２７５Ｎを負荷したときま
での変形量２．２〜３．５ｍｍ、好ましくは２．３〜
３．４ｍｍ、より好ましくは２．５〜３．３ｍｍを有す
ることが望ましい。上記変形量が、２．２ｍｍ未満では
打球感が硬くて悪いものとなり、３．５ｍｍを超えると
軟らかくなり過ぎて、打球感が重くて悪いものとなり、
飛距離も低下する。

【００５０】本発明のゴルフボールは、慣性モーメント
８１〜８４ｇｃｍ^２、好ましくは８１．５〜８３．５ｇ
ｃｍ^２を有することが望ましい。本発明のゴルフボール
の構造においては、慣性モーメントを上記範囲内に調整
することによって、飛行性能とコントロール性とのバラ
ンスがとれたゴルフボールが得られる。

【００５１】本発明のゴルフボールは、競技用としてゴ
ルフボール規則に基づいて、直径４２．６７ｍｍ以上
（好ましくは４２．６７〜４２．９０ｍｍ）、重量４
５．９３ｇ以下（好ましくは４４．５０〜４５．９３
ｇ）に形成される。

【００５２】上記のように、ゴルフボールの直径は規格
にて４２．６７ｍｍ以上と制限されているが、直径が大
きくなると飛行中の空気抵抗が増大して飛距離が低下す
るので、通常のゴルフボールの直径は４２．６７〜４
２．９０ｍｍに設定されており、本発明はこの直径のゴ
ルフボールに適用し得る。また、ゴルフボールの直径を
大きくして打ち易さの向上を狙った大径のゴルフボール
等も存在し、更に顧客の要望や目的に応じて規格を外れ
るゴルフボールが必要とされる場合もあり、それらも含
めると、ゴルフボールの直径は４２〜４４ｍｍ、更には
４０〜４５ｍｍの範囲も想定し得るものであり、本発明
はこれら直径範囲のゴルフボールにも適用し得るもので
ある。

【００５３】

【実施例】本発明を実施例により更に詳細に説明する
が、本発明はこれら実施例に限定されるものではない。

【００５４】コアの作製以下の表１に示した配合のコア用ゴム組成物を混合、混
練し、同表に示した加硫条件で加熱プレスすることによ
り、直径３９．９ｍｍ、以下の表３に示した重量および
比重を有する球状のコアを得た。得られたコアの圧縮変
形量、中心硬度(Ｃ)および表面硬度(Ｄ)を測定し、硬度
差(Ｄ−Ｃ)を計算により求め、それらの結果を同表に示
した。試験方法は後記の通り行った。

【００５５】

【表１】

【００５６】(注１）ＪＳＲ(株)製のハイシスポリブタ
ジエンゴム(１,４‐シス‐ポリブタジエン含量：９６
％)

【００５７】カバー用組成物の調製以下の表２に示した
配合の材料を、二軸混練型押出機によりミキシングし
て、ペレット状のカバー用組成物を調製した。押出条件
は、スクリュー径４５ｍｍ、スクリュー回転数２００ｒ
ｐｍ、スクリューＬ/Ｄ＝３５であり、配合物は押出機
のダイの位置で１５０〜２２０℃に加熱された。得られ
たカバー用組成物を用いた厚さ約２ｍｍの熱プレス成形
シートを作製し、ショアＤ硬度を測定し、その結果をカ
バー硬度（Ａ）として以下の表３(実施例)および表４
(比較例)に示す。硬度差(Ｄ−Ａ)を計算により求め、そ
の結果を同表に示す。試験方法は後記の通り行った。

【００５８】

【表２】

【００５９】(注２)商品名、ＢＡＳＦポリウレタンエラ
ストマーズ(株)製の４,４’‐ジシクロヘキシルメタン
ジイソシアネート(Ｈ_１２ＭＤＩ)（＝水添ＭＤＩ）を使
用した熱可塑性ポリウレタン系エラストマー (注３)商品名、ＢＡＳＦポリウレタンエラストマーズ
(株)製の４,４’‐ジシクロヘキシルメタンジイソシア
ネート(Ｈ_１２ＭＤＩ)を使用した熱可塑性ポリウレタン
系エラストマー (注４)商品名、ＢＡＳＦポリウレタンエラストマーズ
(株)製の４,４’‐ジフェニルメタンジイソシアネート
(ＭＤＩ)を使用した熱可塑性ポリウレタン系エラストマ
ー (注５)アトフィナ・ジャパン(株)製のポリアミド系熱可
塑性エラストマー (注６)三井デュポンポリケミカル(株)製のナトリウムイ
オン中和エチレン‐メタクリル酸共重合体系アイオノマ
ー樹脂 (注７)三井デュポンポリケミカル(株)製の亜鉛イオン中
和エチレン‐メタクリル酸共重合体系アイオノマー樹脂 (注８)三井デュポンポリケミカル（株）製の亜鉛イオン
中和エチレン‐メタクリル酸‐アクリル酸エステル三元
共重合体系アイオノマー樹脂 (注９)デュポン社製のナトリウムイオン中和エチレン‐
メタクリル酸‐アクリル酸エステル三元共重合体系アイ
オノマー樹脂

【００６０】（実施例１〜５および比較例１〜５）上記
のカバー用組成物を、得られたコア上に射出成形するこ
とによって、厚さ１．４ｍｍおよび以下の表３(実施例)
および表４(比較例)に示した比重を有するカバー層を形
成し、表面にクリアーペイントを塗装して、直径４２．
７ｍｍ、同表に示した重量および同表に示したディンプ
ルの総数および表面占有率を有するゴルフボールを得
た。得られたカバーの厚さ（ｔ）とカバー硬度(Ａ）と
から［Ａ/(ｔ＋１)］値を計算により求め、その結果を
同表に示した。得られたゴルフボールのディンプル性状
（体積占有率および総容積Ｂ)、圧縮変形量、反発係
数、慣性モーメント、飛行性能（スピン量および飛距
離)、打球感、コントロール性および耐擦過傷性を測定
または評価し、更にカバー硬度(Ａ）およびディンプル
総容積（Ｂ）から積ＡＢを計算して、それらの結果を表
３〜表６に示した。試験方法は以下の通り行った。

【００６１】（試験方法） (１）圧縮変形量コアまたはゴルフボールに初期荷重９８Ｎを負荷した状
態から終荷重１２７５Ｎを負荷したときまでの変形量を
測定することによって決定した。 (２）コア硬度コアの中心および表面でのショアＤ硬度を測定した。作
製したコアの表面で測定した硬度を、コアの表面硬度
(Ｄ)とした。作製したコアを２等分切断し、その切断面
の中心点で測定した硬度をそれぞれ、コアの中心硬度
(Ｃ)とした。ショアＤ硬度はＡＳＴＭ‐Ｄ２２４０に規
定されるスプリング式硬度計ショアＤ型を用いて測定し
た。

【００６２】(３）カバー硬度各カバー用組成物から作製された厚さ約２ｍｍの熱プレ
ス成形シートを２３℃で２週間保存後、そのシートを３
枚以上重ねて、ＡＳＴＭ‐Ｄ２２４０に規定されるスプ
リング式硬度計ショアＤ型を用いて測定した。

【００６３】(４）ディンプル性状 (４−１）ディンプル総容積ディンプル総容積は、各ディンプル容積の総和であり、
ディンプル容積は、図１に示すように、表面にディンプ
ルが存在しないと仮想した場合の仮想球面からディンプ
ル底までの全ての容積(１)、即ちディンプルを配置する
ことによって切り取られる部分の容積である。具体的に
は、ディンプル総容積の測定は、表面形状測定機を用い
て断面形状を測定し、その形状に基づいてディンプルの
容積を算出した。 (４−２）体積占有率体積占有率とは、表面にディンプルが存在しないと仮想
した場合の仮想球の体積に対する、各ディンプルの縁部
によって囲まれる平面の下のディンプル体積の総和の占
める割合である。このディンプル体積について、ディン
プルの断面図でみると、図２に示すように点Ｅおよび点
Ｆを通る接線Ｇを引き、この接線Ｇとディンプル底とで
囲まれる部分Ｈの体積を計算により求める。ディンプル
の体積の測定は、具体的には、ディンプル総容積と同様
にして表面形状測定機を用いて断面形状を測定し、その
形状に基づいてディンプルの体積を算出した。 (４−３）表面占有率表面にディンプルが存在しないと仮想した場合の仮想球
の表面積に対する、ディンプルを形成することによって
切り取られる仮想球面積の総和の占める割合を求めた。

【００６４】(５）反発係数各ゴルフボールに２００ｇのアルミニウム製円筒物を４
５ｍ/秒の速度で衝突させ、衝突後の上記円筒物および
ゴルフボールの速度を測定し、それぞれの衝突前後の速
度および重量から各ゴルフボールの反発係数を算出し
た。測定は各ゴルフボールについて５回ずつ行って、そ
の平均値を各ゴルフボールの反発係数とした。

【００６５】(６）慣性モーメント INERTIA DYNAMICS社製の慣性モーメント測定器を用いて
固有振動数を測定し、その値を用いてゴルフボールの慣
性モーメントを算出した。

【００６６】(７）飛行性能ゴルフラボラトリー社製スイングロボットにメタルヘッ
ド製ウッド１番クラブ（Ｗ＃１、ドライバー）を取付
け、ヘッドスピードを４５ｍ/秒に設定して各ゴルフボ
ールを打撃し、スピン量（バックスピン）および飛距離
を測定した。飛距離としてトータル（停止点までの距
離）測定した。測定は各ゴルフボールについて５回ずつ
行い（試料数ｎ＝５）、その平均を算出して、各ゴルフ
ボールの結果とした。

【００６７】(８）打球感１０人のゴルファーによる、メタルヘッド製ウッド１番
クラブ（Ｗ＃１、ドライバー）での実打テストを行い、
「打撃時の衝撃が小さく、かつ反発感もあり、打球感が
良好である」と答えたゴルファーの人数により評価す
る。評価基準は以下の通りである。評価基準 ○ … 打撃時の衝撃が小さく、反発感もあって、打球感
が良好である。 △ … 普通 × … 打撃時の衝撃が大きく、または重くて、打球感が
悪い

【００６８】(９）コントロール性ゴルファー１０人により、ピッチングウェッジ（ＰＷ）
での実打テストを行い、下記評価基準で評価し、最も多
い評価をそのゴルフボールの結果とした。評価基準 ○ … スピンがかかりやすく、コントロール性が良好で
ある。 △ … 普通 × … すべる感じでスピンがかかりにくく、コントロー
ル性が悪い。

【００６９】(１０）耐擦過傷性ゴルフラボラトリー社製スイングロボットに市販のピッ
チングウェッジ(ＰＷ)を取り付け、ヘッドスピード３６
ｍ/秒に設定して各ゴルフボールの２箇所を各１回打撃
し、２箇所打撃部を目視で観察した。判定基準は以下の
通りとした。判定基準 ○ … ゴルフボール表面に傷がわずかに残るがほとんど
気にならない程度。 △ … ゴルフボール表面に傷がはっきり残り、若干の毛
羽立ちが見られる。 × … ゴルフボール表面がかなり削れ、毛羽立ちが目立
つ。

【００７０】（試験結果）

【表３】

【００７１】

【表４】

【００７２】

【表５】

【００７３】

【表６】

【００７４】以上の結果より、本発明の実施例１〜５の
ゴルフボールは、比較例１〜５のゴルフボールに比較し
て、打球感が良好であり、かつドライバーでの打撃時に
飛距離が大きく、ピッチングウェッジ（ＰＷ）による打
撃時にコントロール性および耐擦過傷性に優れたツーピ
ースソリッドゴルフボールであることがわかる。

【００７５】これに対して、比較例１のゴルフボール
は、カバー硬度が低いため打撃時のスピン量が増加して
飛距離が低下し、カバー硬度とディンプル総容積の積Ａ
Ｂが小さいため吹き上がる弾道となって飛距離が大きく
低下している。

【００７６】比較例２のゴルフボールは、カバー材とし
て硬質アイオノマー樹脂のブレンドのみを用いているた
め、カバー硬度が高くなり過ぎてコアの表面硬度とカバ
ー硬度との差(Ｄ−Ａ)が小さくなっており、打球感が悪
く、ピッチングウェッジでの打撃時にコントロール性が
悪いものであった。

【００７７】比較例３のゴルフボールは、硬質アイオノ
マー樹脂と軟質アイオノマー樹脂とのブレンドのみを用
いているため、硬度の割に反発係数が小さく、飛距離が
短くなっており、耐擦過傷性も悪いものとなっている。

【００７８】比較例４のゴルフボールは、軟質アイオノ
マー樹脂のブレンドのみを用いているため、カバーが軟
らかくなり過ぎ、ドライバーでの打撃時のスピン量が増
加して飛距離が非常に短くなっており、耐擦過傷性が悪
いものとなっている。

【００７９】比較例５のゴルフボールは、コアの表面硬
度(Ｃ)および中心硬度(Ｄ)の差(Ｃ−Ｄ)が小さいため、
打撃時のスピン量が増加して飛距離が非常に短くなって
いる。

【００８０】

【発明の効果】本発明のツーピースソリッドゴルフボー
ルは、カバーにポリウレタン系熱可塑性エラストマーを
用い、カバー硬度、コアおよびゴルフボールの硬度分
布、カバー硬度とディンプル総容積との積を特定範囲内
に規定することによって、糸巻きゴルフボールのような
良好な打球感を保持し、かつミドルアイアンからドライ
バーでの打撃時に飛距離が大きく、ショートアイアン等
による打撃時にスピン量が大きくてコントロール性に向
上させ得たものである。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明のディンプル総容積の測定方法の説明
に用いるディンプルの概略断面図である。

【図２】本発明のディンプルの体積占有率の測定方法
の説明に用いるディンプルの概略断面図である。

Claims

【特許請求の範囲】

【請求項１】コアと該コア上に形成されたカバーとか
ら成るツーピースソリッドゴルフボールにおいて、該コアがシス‐１,４‐ポリブタジエンを主成分とする
ソリッドコアであり、ショアＤ硬度による表面硬度が中
心硬度より１５以上だけ大きく、かつ該カバーが、基材
樹脂としてポリウレタン系熱可塑性エラストマーを主成
分として含有するカバー用組成物から形成され、かつシ
ョアＤ硬度による硬度が３５〜５５であり、かつ該コア
の表面硬度より低く、該カバー硬度をＡ、ディンプル総容積をＢ(ｍｍ^３）と
した場合に、両者の積ＡＢの値が２０,０００〜３０,０
００であることを特徴とするツーピースソリッドゴルフ
ボール。
【請求項２】前記カバーが、厚さ０．５〜２．０ｍｍ
を有し、かつ該カバーの比重が前記コアの比重以下であ
る請求項１記載のツーピースソリッドゴルフボール。
【請求項３】前記熱可塑性ポリウレタン系エラストマ
ーが脂環式ジイソシアネートを構成成分としてなる請求
項１または２記載のゴルフボール。