JP2004081849A - マルチピースソリッドゴルフボール - Google Patents

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Abstract

  【課題】 本発明により、生産性を損なうことなく、反発性および飛行性能に優れたマルチピースソリッドゴルフボールを提供する。
  【解決手段】 本発明は、コア(1)、該コア(1)上に形成した中間層(2)および該中間層(2)を被覆するカバー(3)から成るゴルフボールにおいて、
 該中間層(2)が官能基変性樹脂を主成分として含有する中間層用樹脂組成物から形成され、該カバー(3)が該該中間層中の官能基変性樹脂の官能基と反応可能な極性部位を有する樹脂を主成分として含有するカバー用樹脂組成物から形成され、かつ該中間層(2)の硬度が該カバーの硬度より高いことを特徴とするマルチピースソリッドゴルフボールに関する。
【選択図】 図1

Description

 本発明は、生産性を損なうことなく、反発性および飛行性能に優れたマルチピースソリッドゴルフボールに関する。
 通常市販されているゴルフボールには、ツーピ―スゴルフボールやスリーピースゴルフボールなどのソリッドゴルフボールと糸巻きゴルフボールがある。近年、ツーピ―スゴルフボールおよびスリーピースゴルフボールは、従来の糸巻きゴルフボールと同等のソフトな打球感や優れたスピン性能を維持したまま、飛距離を増大させることが可能であることから、市場においても大半を占めている。また、スリーピースゴルフボールのようなマルチピースゴルフボールにおいては、ツーピースゴルフボールに比較して多種の硬度分布を得ることができ、飛行性能を損なうことなく打球感に優れたゴルフボールが提供されている。
 そのようなゴルフボールは、ツーピースゴルフボールのコアとカバーの間に中間層を設けてスリーピースにしたものであり、例えば、特許文献1、特許文献2等に開示されている。これらのゴルフボールにおいては、中間層にアイオノマー樹脂、熱可塑性エラストマーや官能基変性された熱可塑性エラストマー、またはそれらの混合物等の熱可塑性樹脂を用いて、コア、中間層やカバーの硬度や硬度分布等を適性化させることにより、飛行性能と打球感とを両立させる試みがなされている。
 そのような試みの中でも、特許文献1には、コアとカバーの間に1層以上の中間層を設けたマルチピースソリッドゴルフボールであって、中間層がアイオノマー樹脂、末端に‐OH基が付加した熱可塑性エラストマー、エポキシ基を含有するスチレン‐ブタジエン‐スチレンブロック共重合体またはスチレン‐イソプレン‐スチレンブロック共重合体の3成分のうち少なくとも2成分の加熱混合物を主成分として構成され、上記中間層の硬度がJIS‐C硬度で40〜80であり、かつコアの中心から表面までの硬度差がJIS‐C硬度で15以内であるマルチピースソリッドゴルフボールが開示されている。
 また、特許文献2には、ソリッドコアと少なくとも一層のカバーの間に少なくとも一層の中間層を備えたマルチピースゴルフボールであって、中間層がショアD硬度8〜35の熱可塑性樹脂を主材として形成されると共に、カバーが熱可塑性樹脂を主材としたカバー材から形成され、このカバー材に無機充填剤を添加し、かつカバーのショアD硬度が中間層のショアD硬度より25以上高いマルチピースソリッドゴルフボールが開示されている。
 上記のような従来のゴルフボールでは、中間層とカバーとの密着性が不十分であるため、中間層を形成した後、中間層の表面を研磨等の方法により粗化し、その上にカバーを形成することにより密着性を向上させようとするものであった。しかしながら、そのような方法だけでは中間層とカバーとの密着性が不十分であり、得られるゴルフボールの反発やスピンにロスが生じ、耐久性が低下するという問題があった。
 そのような問題を解決するために、中間層とカバーとの間に接着剤層を介在させることにより、中間層とカバーとの密着性を向上しようとする試みもなされている(特許文献3等)。しかしながら、中間層とカバーとの密着性は向上するものの、製造工程が複雑となり生産性の低下につながるという問題があった。従って、生産性を損なうことなく、更に反発性および飛行性能の優れたマルチピースソリッドゴルフボールヘの要求がますます高まりつつある。
特開平10‐174728号公報 特特開2000‐70409号公報 特開平10‐179795号公報
 本発明は、上記のような従来のゴルフボールの有する問題点を解決し、生産性を損なうことなく、反発性および飛行性能に優れたマルチピースソリッドゴルフボールを提供することを目的とする。
 本発明者等は、上記目的を解決すべく鋭意研究を重ねた結果、中間層の基材樹脂として官能基変性樹脂を用い、かつカバーの基材樹脂として中間層中の官能基変性樹脂の官能基と反応性を有する樹脂を用い、中間層硬度をカバー硬度より低くすることによって、生産性を損なうことなく、反発性および飛行性能に優れたゴルフボールを提供し得ることを見出し、本発明を完成するに至った。
 即ち、本発明は、コア(1)、該コア(1)上に形成した中間層(2)および該中間層(2)を被覆するカバー(3)から成るゴルフボールにおいて、
 該中間層(2)が官能基変性樹脂を主成分として含有する中間層用樹脂組成物から形成され、該カバー(3)が該中間層中の官能基変性樹脂の官能基と反応可能な極性部位を有する樹脂を主成分として含有するカバー用樹脂組成物から形成され、かつ該中間層(2)の硬度が該カバーの硬度より高いことを特徴とするゴルフボールに関する。
 本発明のゴルフボールでは、中間層に官能基変性樹脂を用い、かつカバーにそのような官能基と反応可能な極性部位を有する樹脂を用いることにより、両層間に接着剤層を設ける等により工程を増加することなく、即ち、生産性を低下することなく、両層間の密着性を向上することが可能となる。これは、中間層用の官能基変性樹脂の官能基(例えば、エポキシ基)とカバー用樹脂の極性部位(例えば、アイオノマー樹脂のカルボキシル基)とが化学的な結合により、両層界面の密着性を向上させた効果と考えられる。この影響による打撃時の両層間の力の伝播を向上(即ち、ロスの減少)させ、更に中間層硬度をカバー硬度より高くすることにより、高反発化、ドライバーやミドルアイアンクラブによる打撃時の高打出角化および低スピン量化、並びにアプローチショットでの高スピン量化が実現されるものである。
 更に本発明を好適に実施するために、
 上記官能基変性樹脂がポリエステル系熱可塑性エラストマーであり;
 上記官能基変性樹脂の官能基が、イソシアネート基、エポキシ基、酸基、水酸基および酸無水物基から成る群から選択される;
ことが好ましい。
 本発明のゴルフボールは、中間層の基材樹脂として官能基変性樹脂を用い、かつカバーの基材樹脂として中間層中の官能基変性樹脂の官能基と反応可能な極性部位を有する樹脂を用い、中間層硬度をカバー硬度より高くすることによって、生産性や打球感を損なうことなく、反発性および飛行性能に優れたゴルフボールを提供し得たものである。
 以下、図1を用いて本発明のゴルフボールについて更に詳しく説明する。図1は、本発明のゴルフボールの1つの態様を示す概略断面図である。図1に示すように、本発明のゴルフボールはコア(1)、該コア上に形成された中間層(2)および該中間層を被覆するカバー(3)とから成る。上記コアは単層構造であっても、2層以上の多層構造を有してもよい。但し、図1では説明をわかりやすくするため、1層のコア(1)を有するゴルフボール、即ちスリーピースソリッドゴルフボールとした。
 本発明のゴルフボールのコアに用いられる基材ゴムとしては、従来からソリッドゴルフボールに用いられている合成ゴムが用いられ、特にシス‐1,4‐結合少なくとも40%以上、好ましくは80%以上を有するいわゆるハイシスポリブタジエンゴムが好ましい。所望により、上記ポリブタジエンゴムには、天然ゴム、ポリイソプレンゴム、スチレンポリブタジエンゴム、エチレン‐プロピレン‐ジエンゴム(EPDM)等を配合してもよい。
 共架橋剤は特に限定されないが、アクリル酸またはメタクリル酸等のような炭素数3〜8のα,β‐不飽和カルボン酸の、亜鉛、マグネシウム等の一価または二価の金属塩が好ましい。上記コアが内層コアおよび外層コアから成る2層構造を有し、外層コアを薄くする場合、内層コアには高い反発性を付与するα,β‐不飽和カルボン酸の亜鉛塩、特にアクリル酸亜鉛が好適であり、外層コアには金型離型性の良好なα,β‐不飽和カルボン酸のマグネシウム塩、特にメタクリル酸マグネシウムが好適である。配合量は、基材ゴム100重量部に対して、15〜45重量部、好ましくは25〜40重量部である。15重量部より少ないと軟らかくなり過ぎて反発が悪くなり飛距離が低下し、45重量部より多いと硬くなり過ぎて打撃時のフィーリングが悪くなる。
 有機過酸化物は架橋剤または硬化剤として作用し、例えばジクミルパーオキサイド、1,1‐ビス(t‐ブチルパーオキシ)‐3,3,5‐トリメチルシクロヘキサン、2,5‐ジメチル‐2,5‐ジ(t‐ブチルパーオキシ)ヘキサン、ジ‐t‐ブチルパーオキサイドが挙げられ、ジクミルパーオキサイドが好適である。配合量は、基材ゴム100重量部に対して、0.05〜3重量部、好ましくは0.1〜1.5重量部である。0.05重量未満では軟らかくなり過ぎて反発が悪くなり飛距離が低下し、3重量部を越えると硬くなり過ぎ、打撃時のフィーリングが悪くなる。
 充填材は、ゴルフボールのコアに通常配合されるものであればよく、無機塩(具体的には、酸化亜鉛、硫酸バリウム、炭酸カルシウム等)、高比重金属粉末(例えば、タングステン粉末、モリブデン粉末等)およびそれらの混合物が挙げられる。配合量は、基材ゴム100重量部に対して、1〜30重量部、好ましくは5〜20重量部である。1重量未満では比重調整が困難になり適正な重量が得られなくなり、30重量部を越えるとコア全体に占めるゴム分率が小さくなって反発性が低下する。
 更に本発明のゴルフボールのコアには、有機硫黄化合物、老化防止剤、その他ソリッドゴルフボールのコアの製造に通常使用し得る成分を適宜配合してもよい。尚、使用する場合、有機硫黄化合物は、基材ゴム100重量部に対して、0.2〜5.0重量部が好ましい。
 コアは前述のゴム組成物を、混合、混練し、金型内で加硫成形することにより得ることができる。この際の条件は、特に限定されないが、通常は130〜180℃、圧力2.9〜11.8MPaで10〜40分間で行われる。
 上記コアが多層構造、例えば内層コアおよび外層コアからなる2層構造を有する場合、両層共同様に上記のようなゴム組成物から成ることが好ましいが、外層コアに用いられる材料は、前述のような特性が得られるものであれば特に限定されず、前述のような基材ゴムとしてシス‐1,4‐ポリブタジエンを含有するゴム組成物であっても、またはアイオノマー樹脂、熱可塑性エラストマーまたはそれらの混合物等の熱可塑性樹脂であってもよい。
 本発明のゴルフボールのコアは、直径32.0〜41.0mm、好ましくは34.2〜40.4mm、より好ましくは35.2〜39.4mmを有するのが好適である。上記コアの直径が32.0mmよりも小さいと中間層やカバーを厚くする必要があり反発性が低下し、41.0mmよりも大きいと中間層やカバーを薄くする必要があり、中間層やカバーの効果が十分に得られなくなる。
 本発明のゴルフボールのコアは、初期荷重98Nを負荷した状態から終荷重1275Nを負荷したときまでの変形量2.80〜4.20mm、好ましくは3.00〜4.00mm、より好ましくは3.20〜3.80mmを有することが望ましい。上記変形量が2.80mm未満では硬くなり過ぎて打球感が悪くなり、スピン量が大きくなって飛距離が低下し、4.20mmを越えると打撃時のコア変形量が大きくなり過ぎて打球感が重くて悪いものとなると共に、得られるゴルフボールの反発性が低下する。
 更に本発明では、コア(1)がショアD硬度による表面硬度35〜75、好ましくは37〜72、より好ましくは39〜70であることが望ましい。上記表面硬度が35より低いと打球感が重くて悪く、反発性が低下して飛距離が低下し、75より高いと硬くて悪い打球感となる。尚、コアの表面硬度とは前述のように加硫成形して形成したコア、即ち、中間層を被覆する前のコアの表面で測定した硬度を意味する。
 上記コアが多層構造、例えば内層コアと外層コアから成る2層構造を有する場合、得られた2層コアの直径、変形量や表面硬度が上記範囲内にあればよい。また、2層コアの作製方法についても、従来から用いられている方法であってもよく特に限定されないが、内層コア用ゴム組成物を混合、混練し、金型内で上記加硫条件で加熱プレスすることにより、球状の内層コアを形成し、次いで外層コア用ゴム組成物を混合、混練し、上記内層コア上に同心円状に被覆し、金型内で160〜180℃で10〜20分間加熱プレスすることにより、上記内層コア上に上記外層コアを被覆した2層構造コアを得ることができる。次いで、上記コア(1)上には中間層(2)を形成する。
 本発明のゴルフボールでは、中間層(2)が厚さ0.4〜2.9mm、好ましくは0.4〜2.0mm、より好ましくは0.7〜1.6mmを有することが望ましい。上記厚さが、0.4mmより小さくなると中間層の効果が十分に得られなくなって反発性および初期飛行性能が悪くなり、2.9mmより大きくなると硬くなり過ぎて打球感が悪いものとなる。
 本発明のゴルフボールでは、中間層(2)がショアD硬度による硬度50〜75、好ましくは55〜70、より好ましくは58〜65を有することが望ましい。上記中間層硬度が50より低くなると、軟らかくなり過ぎて得られるゴルフボールの反発性および初期飛行性能が悪いものとなる。上記中間層硬度が75より高くなると、打球感が硬くて悪くなる。尚、中間層硬度とは、中間層用組成物から作製された厚さ約2mmの熱プレス成形シートを23℃で2週間保存後、そのシートを3枚以上重ねて測定した硬度(スラブ硬度)を意味する。
 本発明のゴルフボールに用いられる中間層(2)は、官能基変性樹脂を主成分として含有する樹脂組成物から形成されることを要件とする。上記官能基変性樹脂の例としては、官能基変性されているものであればベース樹脂については特に限定されないが、アイオノマー樹脂や官能基変性された熱可塑性エラストマー等の熱可塑性樹脂を主成分として含有することが望ましい。上記官能基変性された熱可塑性樹脂のベース樹脂の例として、ポリエステル系熱可塑性エラストマー、ポリウレタン系熱可塑性エラストマー、ポリアミド系熱可塑性エラストマー、スチレン系熱可塑性エラストマー、ポリオレフィン系熱可塑性エラストマー等の熱可塑性エラストマー、ポリオレフィン樹脂等が挙げられる。上記官能基変性樹脂として、反発性の面から特にアイオノマー樹脂および官能基変性されたポリエステル系熱可塑性エラストマーが好ましい。また、上記官能基変性樹脂の官能基は、イソシアネート基、エポキシ基、酸基、水酸基および酸無水物基から成る群から選択されることが望ましい。上記官能基変性樹脂の具体例として、例えばエポキシ変性ポリエステル系熱可塑性エラストマー、イソシアネート変性ポリエステル系熱可塑性エラストマー、エポキシ変性スチレン系熱可塑性エラストマー、エポキシ変性ポリオレフィン系熱可塑性エラストマー、エポキシ変性ポリオレフィン樹脂等が挙げられる。上記官能基変性樹脂を主成分として含有するとは、中間層用基材樹脂の総重量に対して、上記樹脂の配合量が、50重量%以上、好ましくは80重量%以上、より好ましくは90重量%以上であることを表す。
 本発明のゴルフボールに用いられる中間層(2)を被覆する方法については、特に限定されるものではなく、通常のゴルフボールのカバーを被覆する方法で行うことができる。上記中間層用組成物を予め半球殻状のハーフシェルに成形し、それを2枚用いてコア(1)を包み、130〜170℃で1〜5分間加圧成形するか、または上記中間層用組成物を直接コア上に射出成形してコアを包み込む方法が用いられる。上記方法により、上記コア(1)上に中間層(2)を形成する。
 本発明のゴルフボールにおいて、上記中間層(2)上には、次いでカバー(3)を被覆する。本発明のゴルフボールに用いられるカバー(3)は、前述のように中間層中の官能基変性樹脂の官能基と反応可能な極性部位を有する樹脂を主成分として含有するカバー用樹脂組成物から形成されることを要件とするが、そのような樹脂の例として、アイオノマー樹脂(カルボキシル基)、ポリウレタン系熱可塑性エラストマー(ウレタン結合)、ポリエステル系熱可塑性エラストマー(エステル結合)、ポリアミド系熱可塑性エラストマー(アミド結合)、ポリウレタン系熱硬化性エラストマー(ウレタン結合)、熱硬化性ポリウレア(ウレア結合)、またはそれらの混合物が挙げられる。反発性の面で、アイオノマー樹脂、ポリエステル系熱可塑性エラストマー等が好ましい。上記カバー用樹脂組成物の基材樹脂には、上記成分以外に、その他の樹脂、例えばポリオレフィン系樹脂、ポリスチレン系樹脂等を含有してもよい。
 前述のように、本発明のゴルフボールに用いられるカバー(3)は、中間層中の官能基変性樹脂の官能基と反応可能な極性部位を有する樹脂を主成分として含有するカバー用樹脂組成物から形成されることを要件とするが、上記中間層(2)とカバー(3)の組み合せ(中間層/カバー)として、特にエポキシ変性樹脂/アイオノマー樹脂、イソシアネート変性樹脂/ポリウレタン系エラストマー等が好ましい。上記樹脂を主成分として含有するとは、カバー用基材樹脂の総重量に対して、上記樹脂の配合量が、50重量%以上、好ましくは80重量%以上、より好ましくは90重量%以上であることを表す。
 本発明のゴルフボールにおいて、カバー材には、上記のような樹脂成分以外に、必要に応じて、二酸化チタン等の着色剤、分散剤、老化防止剤、紫外線吸収剤、光安定剤、蛍光材料、蛍光増白剤等の添加剤等をゴルフボールカバ−による所望の特性が損なわれない範囲で含有してもよいが、通常、着色剤の配合量は0.1〜5重量部が好ましい。
 上記カバーを被覆する方法についても、特に限定されるものではなく、通常のカバーを被覆する方法で行うことができる。カバー用組成物を予め半球殻状のハーフシェルに成形し、それを2枚用いて中間層を被覆したコアを包み、160〜200℃で1〜10分間加圧成形するか、または上記カバー用組成物を直接コア上に射出成形してコアを包み込む方法が用いられる。成形性の面で射出成形が好適に用いられる。
 上記カバーは、厚さ0.5〜2.0mm、好ましくは0.8〜1.8mm、より好ましくは1.0〜1.6mmを有することが望ましい。上記厚さが、0.5mmより小さくなると反発性が低下して飛距離が低下し、また耐久性も悪いものとなり、2.0mmより大きくなると打球感が硬くて悪くなる。
 本発明のゴルフボールにおいて、上記中間層の硬度(a)がカバーの硬度(b)より高いことを要件とするが、両者のショアD硬度による硬度差(a‐b)は好ましくは7〜40、より好ましくは10〜35である。上記硬度差が0以下となると、フライト初期条件が、低打出角、高スピン量になり、飛距離が低下する。
 本発明のゴルフボールにおいて、カバーがショアD硬度30〜55、好ましくは35〜50、より好ましくは37〜48を有することが望ましい。上記カバー硬度が30より低いとスピン量が大きくなって飛距離が低下し、55より高いとスピン量が小さくなり過ぎ、また打球感が硬くて悪いものとなる。尚、本明細書中で、カバー用樹脂組成物の硬度とは、カバー用組成物から作製された熱プレスシートを用いて測定した硬度を意味する。
 本発明のゴルフボールでは、カバー成形時に、必要に応じて、ボール表面にディンプルを形成し、また、カバー成形後、ペイント仕上げ、マーキングスタンプ等も必要に応じて施し得る。
 本発明のゴルフボールは、初期荷重98Nを負荷した状態から終荷重1275Nを負荷したときまでの変形量2.5〜3.5mm、好ましくは2.6〜3.2mm、より好ましくは2.7〜3.0mmを有することが望ましい。2.5mm未満では打球感が硬くて悪いものとなり、3.5mmを越えると打撃時の変形量が大きくなり過ぎて打球感が重くて悪いものとなる。
 本発明のゴルフボールは、ゴルフボール規則に基づいて、直径42.67mm以上(好ましくは42.67〜43mm)、重量45.93g以下に形成される。
 次に、本発明を実施例により更に詳細に説明する。但し、本発明はこれら実施例に限定されるものではない。
 コアの作製
 以下の表1に示した配合のコア用ゴム組成物を混合、混練し、金型内で同表に示す加硫条件で加熱プレスすることにより球状のコアを得た。得られたコアの直径、表面硬度および圧縮変形量を測定し、その結果を表1、表4(実施例)および表5(比較例)に示した。
Figure 2004081849
 (注1)JSR(株)から市販されているハイシスポリブタジエンゴム(1,4‐シス‐ポリブタジエン含量:96%)
 (注2)日本油脂(株)から商品名「パークミルD」で市販のジクミルパーオキサイド
 (注3)住友精化(株)から市販されているジフェニルジスルフィド
 中間層およびカバー用組成物の調製
 以下の表2(中間層)および表3(カバー)に示す中間層およびカバー用配合材料を二軸混練型押出機によりミキシングし、ペレット状の中間層およびカバー用組成物を得た。押出条件は、スクリュー径=45mm,スクリュー回転数=200rpm,スクリューL/D=35であり、配合物は押出機のダイの位置で160〜260℃に加熱された。上記中間層およびカバー用組成物から厚さ約2mmの熱プレス成形シートを作製し、23℃で2週間保存後、そのシートを3枚以上重ねて、ショアD硬度を測定した。その結果を中間層硬度およびカバー硬度として表2〜表5に示した。
Figure 2004081849
 (注4)東洋紡績(株)製のエポキシ変性ポリエステル系熱可塑性エラストマー、ショアD硬度:53
 (注5)東洋紡績(株)製のエポキシ変性ポリエステル系熱可塑性エラストマー、ショアD硬度:58
 (注6)東洋紡績(株)製のイソシアネート変性ポリエステル系熱可塑性エラストマー、ショアD硬度:69
 (注7)東洋紡績(株)製のエポキシ変性ポリエステル系熱可塑性エラストマー、ショアD硬度:20
 (注8)東洋紡績(株)から商品名「ペルプレンP150B」で市販のポリエステル系熱可塑性エラストマー(未変性)、ショアD硬度:57
Figure 2004081849
 (注9)BASFジャパン(株)から商品名「エラストランXNY97A」で市販の4,4’‐ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート(H12MDI)‐ポリオキシテトラメチレングリコール(PTMG)系ポリウレタン系熱可塑性エラストマー、JIS‐A硬度:97
 (注10)アトフィナ・ジャパン(株)から商品名「ペバックス5533SN00」で市販のポリアミド系熱可塑性エラストマー、ショアD硬度:55
 (注11)BASFジャパン(株)から商品名「エラストランXNY97A」で市販の4,4’‐ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート(H12MDI)‐ポリオキシテトラメチレングリコール(PTMG)系ポリウレタン系熱可塑性エラストマー、JIS‐A硬度:85
 (注12)ジフェニルメタンジイソシアネート(MDI)‐アジペート系ポリウレタン系熱可塑性エラストマー、JIS‐A硬度:90
 (注13)デュポン社製のナトリウムイオン中和エチレン‐メタクリル酸共重合体系アイオノマー樹脂、ショアD硬度:65
 (注14)デュポン社製の亜鉛イオン中和エチレン‐メタクリル酸共重合体系アイオノマー樹脂、ショアD硬度:64
 (注15)東洋紡績(株)から商品名「ペルプレンP30B」で市販のポリエステル系熱可塑性エラストマー(未変性)、ショアD硬度:29
 (注16)日本ポリケム(株)から市販のポリプロピレン、ショアD硬度:66
 中間層の形成
 得られた中間層用組成物を上記のようにして得られたコア上に直接、射出成形することにより、表3(実施例)および表4(比較例)に示した厚さを有する中間層を形成した。
 実施例1〜7および比較例1〜5
 カバー用組成物を上記のように得られた中間層上に直接、射出成形することにより、表3(実施例)および表4(比較例)に示した厚さを有するカバー層を形成し、バリ取りをした後、表面にクリヤーペイントを塗装して、直径42.8mmおよび重量45.4gを有するゴルフボールを得た。得られたゴルフボールに関して、圧縮変形量、反発係数および飛行性能(打出角、スピン量および飛距離)を測定し、その結果を表5(実施例)および表6(比較例)に示す。試験方法は以下の通りとした。
 (試験方法)
 (1)圧縮変形量
 コアまたはゴルフボールに初期荷重98Nを負荷した状態から終荷重1275Nを負荷したときまでの変形量を測定することにより決定した。
 (2)中間層およびカバー硬度
 中間層用およびカバー用組成物から作製された厚さ約2mmの熱プレス成形シートを、23℃で2週間保存後、そのシートを3枚以上重ねて、測定したショアD硬度(スラブ硬度)をカバー硬度とした。ショアD硬度は、ASTM‐D2240に規定されるスプリング式硬度計ショアD型を用い、高分子計器(株)製自動ゴム硬度計LA1型にて測定した。
 (3)反発係数
 各ゴルフボールに200gのアルミニウム製円筒物を45m/秒の速度で衝突させ、衝突前後の上記円筒物およびゴルフボールの速度を測定し、それぞれの速度および重量から各ゴルフボールの反発係数を算出した。測定は各ゴルフボールについて5回ずつ行って、その平均を算出して、各ゴルフボールの結果とした。実施例1の上記反発係数を100とした場合の指数により表示した。この指数の値が大きい程、ゴルフボールの反発係数が大きいことを示す。
 (4)飛行性能
  (i)飛行性能‐1
 ツルーテンパー社製スイングロボットに市販のウッドl番クラブ(W#1、ドライバー)を取付け、ヘッドスピード45m/秒に設定して各ゴルフボールを打撃し、打出角、打ち出し直後のスピン量(バックスピン量)、および飛距離(トータル:ボールの停止点までの距離)を測定した。測定は各ゴルフボールで12回行って、その平均を算出して、各ゴルフボールの結果とした。飛距離は、その平均を算出し、実施例2の上記飛距離を100とした場合の指数により表示した。
  (ii)飛行性能‐2
 ツルーテンパー社製スイングロボットに市販のサンドウェッジ(SW)を取付け、ヘッドスピード21m/秒に設定して各ゴルフボールを打撃し、打ち出し直後のスピン量(バックスピン量)を測定した。測定は各ゴルフボールで12回行って、その平均を算出して、各ゴルフボールの結果とした。
(試験結果)
Figure 2004081849
Figure 2004081849
Figure 2004081849
Figure 2004081849
 以上の結果より、実施例1〜7の本発明のゴルフボールは、比較例1〜5のゴルフボールに比べて、反発係数が大きく、また打出角が大きくスピン量が小さくて飛距離が向上されていることがわかった。
 これに対して、比較例1のゴルフボールでは、中間層硬度が低くなり過ぎて、中間層硬度がカバー硬度より低いため、反発係数が小さく、また打出角が小さくスピン量が大きくて飛距離が短いものとなった。
 比較例2のゴルフボールでは、中間層用基材樹脂として官能基変性していないポリエステル系熱可塑性エラストマーを用いているため、中間層とカバーとの密着性が十分に得られず、反発係数が小さく、また打出角が小さくスピン量が大きくて飛距離が短いものとなった。
 比較例3のゴルフボールでは、カバー硬度が高いため、ゴルフボール全体が硬いものとなり、反発係数は大きいものの、打出角が小さくスピン量が大きくて飛距離が短いものとなった。
 比較例4のゴルフボールでは、カバー硬度が低いため、反発係数が小さくなって飛距離が短いものとなった。
 比較例5のゴルフボールでは、カバーの基材樹脂として中間層中の官能基変性樹脂の官能基と反応可能な極性部位を有さない樹脂を用いているため、中間層とカバーとの密着性が十分に得られず、反発係数が小さく、また打出角が小さくスピン量が大きくて飛距離が短いものとなった。
本発明のゴルフボールの1つの態様を示す概略断面図である。
符号の説明
 1 コア
 2 中間層
 3 カバー

Claims (3)

  1.  コア(1)、該コア(1)上に形成した中間層(2)および該中間層(2)を被覆するカバー(3)から成るゴルフボールにおいて、
     該中間層(2)が官能基変性樹脂を主成分として含有する中間層用樹脂組成物から形成され、
     該カバー(3)が該中間層中の官能基変性樹脂の官能基と反応可能な極性部位を有する樹脂を主成分として含有するカバー用樹脂組成物から形成され、かつ
     該中間層(2)の硬度が該カバーの硬度より高いことを特徴とするマルチピースソリッドゴルフボール。
  2.  前記官能基変性樹脂が官能基変性ポリエステル系熱可塑性エラストマーである請求項1記載のゴルフボール。
  3.  前記官能基変性樹脂の官能基が、イソシアネート基、エポキシ基、酸基、水酸基および酸無水物基から成る群から選択される請求項1または2記載のゴルフボール。

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