JP2003135626A - マルチピースソリッドゴルフボール - Google Patents
マルチピースソリッドゴルフボールInfo
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Abstract
および耐擦過傷性に優れたマルチピースソリッドゴルフ
ボールを提供する。 【解決手段】 本発明は、センター(1)と中間層(2)と
から成るコア(4)、および該コア(4)を被覆するカバー
(3)から成るマルチピースソリッドゴルフボールにおい
て、該センター(1)が直径37〜41mmを有し、該中
間層(2)が厚さ0.5〜2.0mmおよびショアD硬度
55〜70を有し、該中間層(2)の硬度が該センターの
表面硬度およびカバーの硬度より高く、かつ該中間層
(2)の比重が該センターおよびカバーの比重より低く、
該カバー(3)がポリウレタン系熱可塑性エラストマーを
主成分とし、かつ厚さ0.3〜1.0mmを有すること
を特徴とするマルチピースソリッドゴルフボールに関す
る。
Description
ッドゴルフボール、特に飛距離、スピン性能、打球感お
よび耐擦過傷性に優れたマルチピースソリッドゴルフボ
ールに関する。
を有するゴルフボールとして、軟質のゴムセンターと、
センター上にセンターよりも比較的硬いゴムあるいは樹
脂からなる中間層を被覆し、カバーに軟質材料を用い
た、2層コアあるいは2層カバータイプのゴルフボール
が種々提案されている(特許第2910516号公報、
特開平10‐151226号公報、特開平11‐151
320号公報等)。
ー径が29mm以上、JIS−C硬度による中間層硬度
が85以上、センター比重が中間層比重より重いマルチ
ピースゴルフボールが記載されている。しかしながら、
カバーの厚さが1〜3mmと大きいため、得られるゴル
フボールの反発性が低く、ドライバーでの飛距離の面で
満足できるものが得られていない。
ンターの100kg荷重変形量が2.5mm以上、ショ
アD硬度による中間層硬度がカバー硬度より13以上大
きく、ボールの慣性モーメントが83g・cm2以上の
マルチピースゴルフボールが記載されている。しかしな
がら、カバーが軟らかい上に厚さが1〜3と大きいた
め、得られるゴルフボールの反発性が低く、また吹き上
がる弾道となりやすく、ドライバーでの飛距離の面で満
足できるものが得られていない。
ンター及び中間層がポリブタジエンゴムを主材とするゴ
ム組成物からなり、センター直径が15〜22mm、シ
ョアD硬度によるセンター硬度が40〜70のマルチピ
ースゴルフボールが記載されている。しかしながら、セ
ンター直径が小さ過ぎるため、ボールとしたときの反発
性が低く、ドライバーでの飛距離の面で満足できるもの
が得られていない。
ール性(スピン性能)および耐擦過傷性のすべてを満足
するゴルフボールは得られていないのが現状であった。
な従来のゴルフボールの有する問題点を解決し、飛距
離、コントロール性、打球感および耐擦過傷性に優れた
マルチピースソリッドゴルフボールを提供することを目
的とする。
を解決すべく鋭意研究を重ねた結果、センター、中間層
およびカバーから成るマルチピースソリッドゴルフボー
ルにおいて、カバーにポリウレタン系熱可塑性エラスト
マーを主成分として用い、センターの直径、中間層の厚
さおよび硬度、中間層とセンターとの硬度差および比重
差、カバーの厚さ、並びに中間層とカバーとの硬度差お
よび比重差を特定範囲内に規定することにより、飛距
離、コントロール性、打球感および耐擦過傷性に優れた
マルチピースソリッドゴルフボールが得られることを見
出し、本発明を完成するに至った。
ー(1)上に形成した中間層(2)とから成るコア(4)、お
よび該コア(4)を被覆するカバー(3)から成るマルチピ
ースソリッドゴルフボールにおいて、該センター(1)が
直径37〜41mmを有し、該中間層(2)が厚さ0.5
〜2.0mmおよびショアD硬度55〜70を有し、該
中間層(2)の硬度が該センターおよびカバーより高く、
かつ該中間層(2)の比重が該センターおよびカバーより
低く、該カバー(3)がポリウレタン系熱可塑性エラスト
マーを主成分とし、かつ厚さ0.3〜1.0mmを有す
ることを特徴とするマルチピースソリッドゴルフボール
に関する。
(3)は、ポリウレタン系熱可塑性エラストマーを主成分
として含有することを要件としている。上記ポリウレタ
ン系熱可塑性エラストマーを用いたカバーは、一般的に
高強度を有し、スピン性能も優れるが、反発性が劣ると
いう欠点を有する。そこで、本発明では、反発性低下を
最小限に抑えるため、カバーの厚さを0.3〜1.0m
mと通常より小さくすることを要件としている。更に、
反発性能を補うために中間層(2)には硬くて高い反発性
を有する材料を使用する必要があるが、中間層の厚さが
大きくなり過ぎると打球感を損なうため、0.5〜2.
0mmとすることを要件とする。本発明のゴルフボール
では、これらの組み合わせにより、高飛距離、良好な打
球感および優れたコントロール性を達成することが可能
となったものである。
について更に詳しく説明する。図1は、本発明のゴルフ
ボールの1つの態様を示す概略断面図である。図1に示
すように、本発明のゴルフボールはセンター(1)と該セ
ンター上に形成された中間層(2)とから成るコア(4)
と、該コアを被覆するカバー(3)とから成る。上記カバ
ーは単層構造であっても、2層以上の多層構造を有して
もよい。但し、図1では説明をわかりやすくするため、
1層のカバー(3)を有するゴルフボール、即ちスリーピ
ースソリッドゴルフボールとした。
ポリブタジエンゴムを主成分とすることを要件とし、ポ
リブタジエンに共架橋剤、有機過酸化物および充填材を
必須成分として含有するゴム組成物を加熱加圧成形して
製造することが好ましい。ポリブタジエンは、従来から
ソリッドゴルフボールのコアに用いられているものであ
ればよいが、特にシス‐1,4‐結合少なくとも40%
以上、好ましくは80%以上を有するいわゆるハイシス
ポリブタジエンゴムが好ましく、所望により上記ポリブ
タジエンゴムには、天然ゴム、ポリイソプレンゴム、ス
チレンポリブタジエンゴム、エチレン‐プロピレン‐ジ
エンゴム(EPDM)等を配合してもよい。
クリル酸等のような炭素数3〜8個のα,β‐不飽和カ
ルボン酸の、亜鉛、マグネシウム塩等の一価または二価
の金属塩、またはトリメチロールプロパントリメタクリ
レート等の官能性モノマー等が挙げられるが、高い反発
性を付与するα,β‐不飽和カルボン酸の亜鉛塩、特に
アクリル酸亜鉛が好適である。配合量はポリブタジエン
ゴム100重量部に対して、10〜60重量部、好まし
くは10〜50重量部、より好ましくは25〜40重量
部である。60重量部より多いと硬くなり過ぎて打球感
が悪くなり、10重量部未満では、適当な硬さにするた
めに有機過酸化物の量を増加しなければならず反発が悪
くなり飛距離が低下する。
ーオキサイド、1,1‐ビス(t‐ブチルパーオキシ)‐
3,3,5‐トリメチルシクロヘキサン、2,5‐ジメチ
ル‐2,5‐ジ(t‐ブチルパーオキシ)ヘキサン、ジ‐t
‐ブチルパーオキサイド等が挙げられ、ジクミルパーオ
キサイドが好適である。配合量はポリブタジエン100
重量部に対して0.5〜5.0重量部、好ましくは0.
6〜4.0重量部、より好ましくは0.6〜2.0重量
部である。0.5重量部未満では軟らかくなり過ぎて反
発が悪くなり飛距離が低下する。5.0重量部を越える
と適切な硬さにするために共架橋剤の量を減少しなけれ
ばならず反発が悪くなり飛距離が低下する。
コアに通常配合されるものであればよく、例えば無機充
填材、具体的には、酸化亜鉛、硫酸バリウム、炭酸カル
シウム、酸化マグネシウム等が挙げられ、高比重金属充
填材、例えばタングステン粉末、モリブデン粉末等およ
びそれらの混合物と併用してもよい。配合量は、それぞ
れポリブタジエン100重量部に対して5〜30重量
部、好ましくは5〜20重量部である。5重量部未満で
は重量調整が難しく、30重量部を越えるとゴムの重量
分率が小さくなり反発が低くなり過ぎる。
は、有機硫黄化合物、老化防止剤、その他ソリッドゴル
フボールのコアの製造に通常使用し得る成分を適宜配合
してもよい。使用する場合、配合量は、ポリブタジエン
100重量部に対して、0.2〜5.0重量部、好まし
くは0.3〜4.0重量部、0.5〜2.0重量部であ
ることが好ましい。
(4)の製造方法を、図2を用いて説明する。図2は、本
発明のゴルフボールに用いられるコア成形用金型の1つ
の態様の概略断面図である。まず、上記センター用ゴム
組成物を、金型内で例えば140〜180℃で10〜6
0分間加熱プレスして、球状の加硫センターに成形す
る。次いで、上記中間層用組成物を射出成形して、半球
殻状中間層(5)を成形する。続いて、図2に示すような
上下2つのコア用金型(6)を用いて、上記加硫センター
(7)を上記半球殻状中間層(5)2個で挟んで、例えば1
40〜180℃で10〜60分間加硫成形して、センタ
ー(1)と該センター上に形成された中間層(2)とから成
るコア(4)を形成する。
が直径37〜41mmを有することを要件とするが、好
ましくは37〜40mm、より好ましくは38〜40m
mである。上記直径が37mmより小さくなると、得ら
れるゴルフボールの反発性能が低下する上、打撃時のス
ピン量が増えて吹き上がる弾道となりやすく飛距離が低
下する。41mmより大きくなると中間層あるいはカバ
ーが薄くなり、それぞれの効果が十分に得られなくな
る。
がショアD硬度による表面硬度30〜65、好ましくは
35〜60、より好ましくは40〜60であることが望
ましい。上記表面硬度が30より小さいとセンターが軟
らかくなりすぎ、反発性が低下して飛距離が低下し、6
5より大きいと硬くて悪い打球感となる。尚、センター
の表面硬度とは前述のように加硫成形して形成したセン
ター、即ち、中間層を被覆する前のセンターの表面で測
定した硬度を意味し、センターの中心硬度とは通常2等
分切断し、その切断面においてセンターの中心で測定し
た硬度を意味する。
が初期荷重98Nを負荷した状態から終荷重1275N
を負荷したときまでの変形量2.2〜4.0mm、好ま
しくは2.5〜3.7mm、より好ましくは2.8〜
3.5mmを有することが望ましい。2.2mmより小
さいとコアが硬くなり過ぎて、得られたゴルフボールの
打球感が悪くなり、4.0mmより大きいとコアが軟ら
かくなり過ぎて、得られたゴルフボールの耐久性が低下
し、また反発が悪くなり飛距離が低下する。
が比重1.1〜1.4、好ましくは1.1〜1.3、よ
り好ましくは1.1〜1.2を有することが望ましい。
上記センターの比重が1.1未満ではボール重量が軽く
なり弱い弾道になって飛距離が低下する。上記センター
の比重が1.4を超えると、ボール重量が大きくなり過
ぎ、ゴルフボールとしての重量規格に適合したボールを
構成するのが困難となる。尚、センター(1)の比重と
は、成形されたゴルフボールからセンターのサンプルを
採取し、そのサンプルを用いて測定した比重である。次
いで、上記センター(1)上には中間層(2)を形成する。
厚さ0.5〜2.0mmを有することを要件とするが、
好ましくは0.5〜1.6mm、より好ましくは0.7
〜1.4mmである。上記厚さが、0.5mmより小さ
くなると中間層の硬さの効果が十分に得られなくなり打
撃時のスピン量を抑えることができず、2.0mmより
大きくなると中間層に比較的硬い材料を用いているため
打球感が硬くて悪くなる。
ショアD硬度による硬度が上記センター(1)の表面硬度
より大きいことを要件とする。しかしながら、上記硬度
差が大きくなり過ぎるとセンターが軟らかくなり過ぎる
かまたは中間層が硬くなり過ぎることとなり、飛距離の
低下或いは打球感または耐久性の低下を招くこととな
る。また、上記硬度差が小さくなり過ぎると中間層被覆
後のコアの硬度差が小さくなることになり、打撃時のス
ピン量が増加して吹き上がる弾道となって飛距離が低下
する。従って、上記硬度差は、好ましくは2〜20、よ
り好ましくは3〜18、最も好ましくは5〜15であ
る。また、中間層を含むコア全体としての硬度差を大き
くして打撃時のスピン量を抑え、飛距離アップを図るた
め、センターの表面と中心との硬度差は10以上、特に
15以上が好ましい。
(2)がショアD硬度による硬度55〜70を有すること
を要件とするが、好ましくは57〜70、より好ましく
は60〜68である。上記中間層の表面硬度が55より
小さくなると、得られるゴルフボールの反発性能が低下
して飛距離が低下する。上記硬度が70より大きくなる
と、打球感が硬くて悪くなるだけでなく、耐擦過傷性も
悪くなる。尚、中間層硬度とは、各中間層用組成物から
作製された厚さ2mmの熱プレス成形シートを23℃で
2週間保存後、そのシートを3枚以上重ねて測定した硬
度(スラブ硬度)を意味する。
(2)の比重が上記センター(1)の比重より低いことを要
件とするが、上記比重差は好ましくは0.05〜0.
3、より好ましくは0.05〜0.25、最も好ましく
は0.1〜0.25である。上記比重差が0.05より
小さいと、相対的にセンターの比重が小さくなり、ゴル
フボールの慣性モーメントが大きくなることになり、ス
ピン性能が低下してコントロール性が低下する。上記比
重差が0.3より大きいとセンターの比重が大きくなり
過ぎ、ゴルフボールとしての重量規格に適合したボール
を構成するのが困難となる。
(2)が比重1.10以下、好ましくは1.08以下、よ
り好ましくは1.05以下を有することが望ましい。上
記中間層の比重が1.10を超えると、相対的に上記セ
ンターの比重を小さくすることが必要となり、得られる
ゴルフボールの慣性モーメントが大きくなり過ぎてコン
トロール性が低下する。
ては、特に限定されないが、高剛性かつ高反発材料とい
う観点からアイオノマー樹脂が最も好適に用いられる。
このようなアイオノマー樹脂としては、特にα‐オレフ
ィンと炭素数3〜8個のα,β‐不飽和カルボン酸の共
重合体中のカルボン酸の一部を金属イオンで中和したア
イオノマー樹脂、α‐オレフィンと炭素数3〜8個の
α,β‐不飽和カルボン酸とα,β‐不飽和カルボン酸エ
ステルとの三元共重合体中のカルボン酸の少なくとも一
部を金属イオンで中和したものまたはその混合物が用い
られる。上記アイオノマー樹脂中のα‐オレフィンとし
ては、エチレン、プロピレンが好ましく、α,β‐不飽
和カルボン酸としては、例えばアクリル酸、メタクリル
酸、フマル酸、マレイン酸、クロトン酸等が挙げられ、
特にアクリル酸、メタクリル酸等が好ましい。また、
α,β‐不飽和カルボン酸エステルとしては、例えばア
クリル酸、メタクリル酸、フマル酸、マレイン酸等のメ
チル、エチル、プロピル、n‐ブチル、イソブチルエス
テル等が用いられ、特にアクリル酸エステルとメタクリ
ル酸エステルが好ましい。更に、中和する金属イオンと
しては、アルカリ金属イオン、例えばNaイオン、Kイ
オン、Liイオン等;2価金属イオン、例えばZnイオ
ン、Caイオン、Mgイオン等;3価金属イオン、例えば
Alイオン、Ndイオン等;およびそれらの混合物が挙げ
られるが、Naイオン、Znイオン、Liイオン等が反発
性、耐久性等からよく用いられる。
だけに限定されないが、ハイミラン(Hi‐mila
n)1555、ハイミラン1557、ハイミラン160
1、ハイミラン1605、ハイミラン1652、ハイミ
ラン1702、ハイミラン1705,ハイミラン170
6,ハイミラン1707,ハイミラン1855,ハイミ
ラン1856、サーリン(Surlyn)8945、サ
ーリン9945、アイオテック(Iotek)701
0、アイオテック8000(エクソン(Exxon)社
製)等を例示することができる。これらのアイオノマー
は、上記例示のものをそれぞれ単独または2種以上の混
合物として用いてもよい。
の例としては、上記のようなアイオノマー樹脂のみであ
ってもよいが、アイオノマー樹脂と熱可塑性エラストマ
ーとを組合せて用いてもよい。上記熱可塑性エラストマ
ーの例として、ポリウレタン系熱可塑性エラストマー、
ポリアミド系熱可塑性エラストマー、ポリエステル系熱
可塑性エラストマー、スチレン系熱可塑性エラストマ
ー、ポリオレフィン系熱可塑性エラストマー等が挙げら
れる。具体例として、例えばBASFポリウレタンエラ
ストマーズ(株)から商品名「エラストラン」で市販され
ている(例えば、「エラストランET880」)ポリウ
レタン系熱可塑性エラストマー、アトフィナジャパン
(株)から商品名「ペバックス」で市販されている(例え
ば、「ペバックス2533」)ポリアミド系熱可塑性エ
ラストマー、東レ・デュポン(株)から商品名「ハイトレ
ル」で市販されている(例えば、「ハイトレル354
8」、「ハイトレル4047」)ポリエステル系熱可塑
性エラストマー、三菱化学(株)から商品名「ラバロ
ン」で市販されている(例えば、「ラバロンSR0
4」)スチレン系熱可塑性エラストマー、三菱化学(株)
から商品名「サーモラン」で市販されている(例えば、
「サーモラン3981N」)オレフィン系熱可塑性エラ
ストマー等が挙げられる。
は、特に限定されるものではなく、通常のゴルフボール
のカバーを被覆する方法で行うことができる。上記中間
層用組成物を予め半球殻状のハーフシェルに成形し、そ
れを2枚用いてセンターを包み、130〜170℃で1
〜5分間加圧成形するか、または上記中間層用組成物を
直接センター上に射出成形してセンターを包み込む方法
が用いられる。上記方法により、上記センター(1)上に
中間層(2)を被覆して、2層構造を有するコア(4)を形
成する。
重98Nを負荷した状態から終荷重1275Nを負荷し
たときまでの変形量2.0〜3.7mm、好ましくは
2.2〜3.5mm、より好ましくは2.5〜3.3m
mを有することが望ましい。2.0mmより小さいとコ
アが硬くなり過ぎて、得られたゴルフボールの打球感が
悪くなり、3.7mmより大きいとコアが軟らかくなり
過ぎて、得られたゴルフボールの耐久性が低下し、また
反発性が悪くなり飛距離が低下する。
バー(3)を被覆する。本発明のゴルフボールでは、カバ
ー(3)が厚さ0.3〜1.0mmを有することを要件と
するが、好ましくは0.4〜0.9mm、より好ましく
は0.4〜0.8mmである。上記カバーの厚さが0.
3mmより小さいと、カバーの軟らかい効果が発揮され
ず、ショートアイアン〜アプローチショット等でのスピ
ン量が少なくなり、コントロール性が劣ってくる。上記
カバーの厚さが1.0mmより大きくなると、得られる
ゴルフボールの反発性能が低下すると共に打撃時のスピ
ン量が増え、吹き上がる弾道となりやすく飛距離が低下
する。
(3)のショアD硬度による硬度が上記中間層(2)の硬度
より小さいことを要件とするが、両者の硬度差は好まし
くは8〜40、より好ましくは10〜40、最も好まし
くは15〜35である。上記硬度差が8より小さいと、
カバーが硬くなり過ぎるか中間層が軟らかくなり過ぎる
ことになり、アプローチショット等でのコントロール性
または飛行性能が低下する。上記硬度差が40より大き
くなると、カバーが軟らかくなり過ぎるか中間層が硬く
なり過ぎることになり、飛距離または打球感が低下す
る。
は30〜55、好ましくは33〜52、より好ましくは
35〜50であることが望ましい。上記カバー(3)の硬
度が30より小さいとドライバーやミドルアイアンによ
る打撃時のスピン量が増え、吹き上がる弾道となりやす
く飛距離が低下する。55より大きいとショートアイア
ンでのスピン量が少なくなってコントロール性が劣り、
また打球感も悪くなる。尚、カバー硬度とは、各カバー
用組成物から作製された厚さ2mmの熱プレス成形シー
トを23℃で2週間保存後、そのシートを3枚以上重ね
て測定した硬度(スラブ硬度)を意味する。
ように上記中間層(2)の硬度を上記センター(1)の表面
硬度およびカバー(3)の硬度より高くすることを要件と
している。これは、上記センター(1)はドライバーやミ
ドルアイアンによる打撃時の打球感を満足するために低
い硬度に設定し、カバーはアプローチショット時のコン
トロール性を満足するために低い硬度に設定している
が、これによる反発性低下を補うためのものである。従
って、上記中間層には、硬く、かつ反発性に優れた材料
を用いることが必要となる。
(2)の比重が上記カバー(3)の比重より低いことを要件
とするが、上記比重差は好ましくは0.05〜0.3
0、より好ましくは0.07〜0.25、最も好ましく
は0.1〜0.2である。上記比重差が0.05より小
さいと相対的にセンターの比重が小さくなり、ゴルフボ
ールの慣性モーメントが大きくなることにより、コント
ロール性が低下する。0.3より大きいとカバー比重を
大きくするため、多量の比重調整剤を添加する必要があ
り、反発性能が低下する。
(3)が比重1.00〜1.30、好ましくは1.00〜
1.25、より好ましくは1.05〜1.25を有する
ことが望ましい。上記カバーの比重が1.30を超える
と、得られるゴルフボールの慣性モーメントが大きくな
り過ぎてコントロール性が低下する。上記カバーの比重
が1.00未満となると、ゴルフボールの慣性モーメン
トが小さくなり過ぎて飛距離が低下する。
耐擦過傷性に優れるポリウレタン系熱可塑性エラストマ
ーが好ましく、特にその原料であるジイソシアネートが
脂環式ジイソシアネートであるポリウレタン系熱可塑性
エラストマーが反発性、耐擦過傷性、変色性の面から好
ましい。上記脂環式ジイソシアネートの例としては、
4,4’‐ジフェニルメタンジイソシアネート(MD
I)の水素添加物である4,4’‐ジシクロヘキシルメ
タンジイソシアネート(H12MDI)、キシリレンジ
イソシアネート(XDI)の水素添加物である1,3‐
ビス(イソシアナトメチル)シクロヘキサン(H6XD
I)、イソホロンジイソシアネート(IPDI)および
トランス‐1,4‐シクロヘキサンジイソシアネート
(CHDI)からなる群から選択される1種、または2
種以上の組み合わせ等が挙げられ、汎用性および加工性
の面からH12MDIが好適である。上記ポリウレタン
系熱可塑性エラストマーの具体例として、BASFポリ
ウレタンエラストマーズ(株)から商品名「エラストラ
ン」で市販されている(例えば、「エラストランXNY
90A」、「エラストランXNY97A」、「エラスト
ランXNY585」等)4,4’‐ジシクロヘキシルメ
タンジイソシアネート(H12MDI)を使用したポリ
ウレタン系熱可塑性エラストマー等が挙げられる。
の例として、上記ポリウレタン系熱可塑性エラストマー
のみであってもよいが、上記熱可塑性ポリウレタンエラ
ストマーに、その他の熱可塑性エラストマー、ジエン系
ブロック共重合体またはアイオノマー樹脂等の1種以上
とを組合せて用いてもよい。その他の熱可塑性エラスト
マーの例として、上記以外の他のポリウレタン系熱可塑
性エラストマー、ポリアミド系熱可塑性エラストマー、
ポリエステル系熱可塑性エラストマー、スチレン系熱可
塑性エラストマー、ポリオレフィン系熱可塑性エラスト
マー等が挙げられる。上記その他の熱可塑性エラストマ
ーとしては、カルボキシル基、グリシジル基、スルホン
基、エポキシ基等の官能基を有するものを用いてもよ
い。
例として、例えばBASFポリウレタンエラストマーズ
(株)から商品名「エラストラン」で市販されている(例
えば、「エラストランET880」)ポリウレタン系熱
可塑性エラストマー、アトフィナジャパン(株)から商品
名「ペバックス」で市販されている(例えば、「ペバッ
クス2533」)ポリアミド系熱可塑性エラストマー、
東レ・デュポン(株)から商品名「ハイトレル」で市販さ
れている(例えば、「ハイトレル3548」、「ハイト
レル4047」)ポリエステル系熱可塑性エラストマ
ー、三菱化学(株)から商品名「ラバロン」で市販され
ている(例えば、「ラバロンSR04」)スチレン系熱
可塑性エラストマー、三菱化学(株)から商品名「サーモ
ラン」で市販されている(例えば、「サーモラン398
1N」)オレフィン系熱可塑性エラストマー等が挙げら
れる。
ク共重合体または部分水添ブロック共重合体の共役ジエ
ン化合物に由来する二重結合を有するものである。その
基体となるブロック共重合体とは、少なくとも1種のビ
ニル芳香族化合物を主体とする重合体ブロックAと少な
くとも1種の共役ジエン化合物を主体とする重合体ブロ
ックBとから成るブロック共重合体である。また、部分
水添ブロック共重合体とは、上記ブロック共重合体を水
素添加して得られるものである。ブロック共重合体を構
成するビニル芳香族化合物としては、例えばスチレン、
α‐メチルスチレン、ビニルトルエン、p‐t‐ブチル
スチレン、1,1‐ジフェニルスチレン等の中から1種
または2種以上を選択することができ、スチレンが好ま
しい。また、共役ジエン化合物としては、例えばブタジ
エン、イソプレン、1,3‐ペンタジエン、2,3‐ジメ
チル‐1,3‐ブタジエン等の中から1種または2種以
上を選択することができ、ブタジエン、イソプレンおよ
びこれらの組合せが好ましい。上記ジエン系ブロック共
重合体の具体例としては、例えばダイセル化学工業(株)
から商品名「エポフレンド」市販されているもの(例え
ば、「エポフレンドA1010」)、(株)クラレから商
品名「セプトン」で市販されているもの(例えば、「セ
プトンHG‐252」)等が挙げられる。
層と同様のものを用いることができる。
ン系ブロック共重合体やアイオノマー樹脂の配合量は、
カバー用の基材樹脂100重量部に対して、0〜40重
量部、好ましくは0〜30重量部である。40重量部よ
り多いと耐擦過傷性、反発性、耐変色性のいずれかが低
下する。
樹脂以外に必要に応じて、種々の添加剤、例えば二酸化
チタン等の顔料、分散剤、老化防止剤、紫外線吸収剤、
光安定剤、蛍光材料、蛍光増白剤等を、ゴルフボールカ
バーによる所望の特性が損なわれない範囲で含有してい
てもよいが、通常、着色剤の配合量はカバー用樹脂10
0重量部に対して0.1〜5.0重量部が好ましい。
も、特に限定されるものではなく、通常のカバーを被覆
する方法で行うことができる。カバー用組成物を予め半
球殻状のハーフシェルに成形し、それを2枚用いてコア
を包み、130〜170℃で1〜5分間加圧成形する
か、または上記カバー用組成物を直接コア上に射出成形
してコアを包み込む方法が用いられる。
負荷した状態から終荷重1275Nを負荷したときまで
の変形量2.0〜3.5mm、好ましくは2.2〜3.
2mm、より好ましくは2.4〜3.0mmを有するこ
とが望ましい。2.0mmより小さいと打球感が硬くて
悪くなり、3.5mmより大きいと逆に軟らかくなり過
ぎて、打球感も頼りなく、また反発性が悪くなり飛距離
が低下する。
を形成し、また、カバー成形後、ペイント仕上げ、スタ
ンプ等も必要に応じて施し得る。本発明のゴルフボール
は、ゴルフボール規則に基づいて、直径42.67mm
以上(好ましくは42.67〜42.82mm)、重量
45.93g以下に形成される。
にて42.67mm以上と制限されているが、直径が大
きくなると飛行中の空気抵抗が増大して飛距離が低下す
るので、通常のゴルフボールの直径は42.67〜4
2.82mmに設定されており、本発明はこの直径のゴ
ルフボールに適用し得る。また、ゴルフボールの直径を
大きくして打ち易さの向上を狙った大径のゴルフボール
等も存在し、更に顧客の要望や目的に応じて規格を外れ
るゴルフボールが必要とされる場合もあり、それらも含
めると、ゴルフボールの直径は42〜44mm、更には
40〜45mmの範囲も想定し得るものであり、本発明
はこれら直径範囲のゴルフボールにも適用し得るもので
ある。
する。但し、本発明はこれら実施例に限定されるもので
はない。
および表2(比較例)に示した配合のセンター用ゴム組
成物を混合、混線し、金型内で170℃×15分間加熱
プレスすることにより球状のセンターを得た。得られた
センターの直径、重量、圧縮変形量、ショアD硬度によ
る表面硬度(K1)および比重(M1)を測定し、その結果を
表3(実施例)および表4(比較例)に示した。
下の表1(実施例)および表2(比較例)に示す中間層お
よびカバー用配合材料を二軸混練型押出機によりミキシ
ングし、ペレット状のカバー用組成物を得た。押出条件
は、スクリュー径=45mm,スクリュー回転数=20
0rpm,スクリューL/D=35であり、配合物は押
出機のダイの位置で160〜260℃に加熱された。各
中間層およびカバー用組成物から厚さ2mmの熱プレス
成形シートを作製し、23℃で2週間保存後、そのシー
トを3枚以上重ねて、ショアD硬度および比重を測定し
た。その結果を中間層硬度(K2)およびカバー硬度(K3)
並びに中間層比重(M2)およびカバー硬度(M3)として表
3(実施例)および表4(比較例)に示した。それらの
結果から、硬度差(K2−K1)および(K2−K3)、並びに
比重差(M1−M2)および(M2−M3)を計算し、同表に示
した。
の中間層用組成物を射出成形することによって、中間層
用の半球殻状成形物(5)を得た。
で作製した2つの中間層用半球殻状成形物(5)で挟ん
で、図2に示すような金型(6)内で、150℃×3分間
加熱プレスすることにより、2層構造を有するコア(4)
を作製した。得られた中間層の厚さ、並びに得られた2
層コアの重量、直径および圧縮変形量を測定し、その結
果を表3(実施例)および表4(比較例)に示した。
エンゴム (1,4‐シス‐ポリブタジエン含量:96%) (注2)デュポン社製のナトリウムイオン中和エチレン-
メタクリル酸共重合体系アイオノマー樹脂 (注3)デュポン社製の亜鉛イオン中和エチレン-メタク
リル酸共重合体系アイオノマー樹脂 (注4)商品名、三菱化学(株)製のスチレン系(SEB
S)熱可塑性エラストマー (注5)BASFポリウレタンエラストマーズ(株)から
商品名「エラストランXNY90A」で市販の4,4’
‐ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート(H 12M
DI)を使用したポリウレタン系熱可塑性エラストマー (注6)BASFポリウレタンエラストマーズ(株)から
商品名「エラストランXNY97A」で市販の4,4’
‐ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート(H 12M
DI)を使用したポリウレタン系熱可塑性エラストマー (注7)BASFポリウレタンエラストマーズ(株)から
商品名「エラストランXNY585」で市販の4,4’
‐ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート(H 12M
DI)を使用したポリウレタン系熱可塑性エラストマー
中間層と同様にして、得られたカバー用組成物を射出成
形することによって、カバー用の半球殻状成形物を得
た。上記のように作製したコアを、2つの上記カバー用
半球殻状成形物で挟んで、金型内で、150℃×3分間
加熱プレスすることにより、表3(実施例)および表4
(比較例)に示すカバー厚さを有するカバー層を形成
し、表面にクリヤーペイントを塗装して、直径42.7
mmおよび重量45.3gを有するゴルフボールを得
た。但し、比較例4は中間層のない1層構造のコア、即
ち、ツーピースゴルフボールとした。得られたゴルフボ
ールに関して、圧縮変形量、反発係数、飛行性能、打球
感、コントロール性および耐擦過傷性を測定または評価
し、その結果を表5(実施例)および表6(比較例)に示
す。試験方法は以下の通りとした。
ンターの表面硬度とし、センターを2等分切断し、その
切断面の中心点において測定したショアD硬度をセンタ
ーの中心硬度とした。ショアD硬度は、ASTM‐D2
240に規定されるスプリング式硬度計ショアD型を用
いた。
mの熱プレス成形シートを23℃で2週間保存後、その
シートを3枚以上重ねて、ASTM‐D2240‐68
に規定されるスプリング式硬度計ショアD型を用いて測
定した。
態から終荷重1275Nを負荷したときまでの変形量を
測定した。
5m/秒の速度で衝突させ、衝突後の上記円筒物および
ゴルフボールの速度を測定し、それぞれの衝突前後の速
度および重量から各ゴルフボールの反発係数を算出し
た。
ド製ウッド1番クラブ(住友ゴム工業(株)製のXXI
O、W#1、ロフト角8°、Xシャフト)を取り付け、
ヘッドスピードを50m/秒に設定して各ゴルフボール
を打撃し、打ち出し直後のスピン量(バックスピン
量)、およびトータル飛距離を測定した。測定は各ゴル
フボールで12回行って、その平均を算出して、各ゴル
フボールの結果とした。
実打テストを行い、打撃時の衝撃の大きさを評価し、最
も多い評価をそのゴルフボールの結果とした。評価基準
は以下の通りである。 評価基準 〇:衝撃が小さく、反発感もあって打球感が良好 △:普通 ×:衝撃が大きく、または重くて打球感が悪い
の実打テストを行い、最も多い評価をそのゴルフボール
の結果とした。評価基準は以下の通りである。 評価基準 〇:スピンがかかりやすく、コントロール性が良好 △:普通 ×:すべる感じでスピンがかかりにくく、コントロール
性が悪い
ウエッジ(住友ゴムエ業(株)製のツアーフォージト、
PW)を取り付け、ヘッドスピードを36m/秒に設定
して各ゴルフボールの2ケ所を各1回打撃し、2ケ所打
撃部の表面状態を目視観察にて評価した。評価基準は以
下の通り。 判定基準 〇:ゴルフボール表面に傷がわずかに残るがほとんど気
にならない程度。 △:ゴルフボール表面に傷がはっきり残り、若干の毛羽
立ちが見られる。 ×:ゴルフボール表面がかなり削れ、毛羽立ちが目立
つ。
〜4のゴルフボールに比べて、飛距離、打球感およびコ
ントロール性に優れることがわかった。
は、センター直径が小さく、中間層厚さが大きいため
に、打球感が悪くなっている。比較例2のゴルフボール
は、センター直径が小さく、カバーの厚さが大きくなり
過ぎて、反発係数が小さいと共に打撃時のスピン量が大
きくて飛距離が小さくなっている。
センター表面硬度との差(K2−K1)が負の値、即ち、中
間層硬度がセンター表面硬度より低いため、ドライバー
による打撃時のスピン量が非常に大きく、反発係数が非
常に小さいため、飛距離が非常に短いものとなってい
る。比較例4のゴルフボールは、ツーピースゴルフボー
ルであり中間層がないため、反発係数があまり高くない
上に、打撃時のスピン量が高くて飛距離が短いものとな
っており、また打球感も悪いものとなっている。
ールは、カバーにポリウレタン系熱可塑性エラストマー
を主成分として用い、センターの直径、中間層の厚さお
よび硬度、中間層とセンターとの硬度差および比重差、
カバーの厚さ、並びに中間層とカバーとの硬度差および
比重差を特定範囲内に規定することにより、飛距離、コ
ントロール性、打球感および耐擦過傷性に優れたマルチ
ピースソリッドゴルフボールが得られる。
面図である。
の態様の概略断面図である。
Claims (2)
- 【請求項1】 センター(1)と該センター(1)上に形成
した中間層(2)とから成るコア(4)、および該コア(4)
を被覆するカバー(3)から成るマルチピースソリッドゴ
ルフボールにおいて、 該センター(1)が直径37〜41mmを有し、 該中間層(2)が厚さ0.5〜2.0mmおよびショアD
硬度55〜70を有し、該中間層(2)の硬度が該センタ
ーの表面硬度およびカバーの硬度より高く、かつ該中間
層(2)の比重が該センターおよびカバーの比重より低
く、 該カバー(3)がポリウレタン系熱可塑性エラストマーを
主成分とし、かつ厚さ0.3〜1.0mmを有すること
を特徴とするマルチピースソリッドゴルフボール。 - 【請求項2】 前記ポリウレタン系熱可塑性エラストマ
ーが、脂環式ジイソシアネートから生成される請求項1
記載のマルチピースソリッドゴルフボール。
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