JP4045089B2 - マルチピースソリッドゴルフボール - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、マルチピースソリッドゴルフボール、特に飛距離、スピン性能および打球感に優れたマルチピースソリッドゴルフボールに関する。
【0002】
【従来の技術】
高飛距離とアプローチでの高スピン性能を持つゴルフボールとして、軟質のゴムセンターと、センター上にセンターよりも比較的硬いゴムあるいは樹脂からなる中間層を被せ、カバーに軟質材料を用いた、2層コアあるいは2層カバータイプのゴルフボールが種々提案されている(特許第2910516号公報、特開平9‐239068号公報、特開平10‐151225号公報、特開平10‐151226号公報等)。
【0003】
特許第2910516号公報には、センター径が29mm以上、JIS‐C硬度による中間層硬度が85以上、センター比重が中間層比重より重いマルチピースゴルフボールが記載されている。しかしながら、中間層およびカバーの厚さが大きいため、打撃時にボール全体が変形しにくく、得られるゴルフボールの反発性が低く、トライバーでの飛距離の面で満足できるものが得られていない。
【0004】
特開平9‐239068号公報には、コアと中間層とカバーから成るスリーピースソリッドゴルフボールであって、コアの中心硬度がJIS‐C硬度75以下であり、コアの表面硬度がJIS‐C硬度85以下であり、コアの表面硬度が中心硬度より8〜20硬く、中間層がコア表面よりJIS‐C硬度で5以上硬く、カバーが中間層より5以上軟らかく、かつディンプル占有率が62%以上であるスリーピースソリッドゴルフボールが開示されている。しかしながら、コアの表面と中心との硬度差が小さく、打撃時のスピン量も大きいため、トライバーでの飛距離の面で満足できるものが得られていない。
【0005】
特開平10‐151225号公報には、ソリッドコアと中間層とカバーから成るスリーピースソリッドゴルフボールであって、ソリッドコアの比重が中間層およびカバーのいずれの比重より小さく、中間層硬度がカバー硬度より大きく、ボールの慣性モーメントが83g・cm2以上のマルチピースゴルフボールが記載されている。また、特開平10‐151226号公報には、センターの100kg荷重変形量が2.5mm以上、ショアD硬度による中間層硬度がカバー硬度より13以上大きく、ボールの慣性モーメントが83g・cm2以上のマルチピースゴルフボールが記載されている。しかしながら、これらのゴルフボールにおいては、中間層およびカバーの厚さが大きいため、打撃時にボール全体が変形しにくく、得られるゴルフボールの反発性が低く、トライバーでの飛距離の面で満足できるものが得られていない。
【0006】
上記のように、飛距離および打球感を共に満足するゴルフボールは得られていないのが現状であった。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、上記のような従来のゴルフボールの有する問題点を解決し、飛距離、スピン性能および打球感に優れたマルチピースソリッドゴルフボールを提供することを目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】
本発明者等は、上記目的を解決すべく鋭意研究を重ねた結果、センターと中間層から成るコア、およびカバーから成るマルチピースソリッドゴルフボールにおいて、センターの表面硬度と中心硬度との硬度差、中間層の厚さ、センターとコアとの圧縮変形量の差、中間層とセンターとの硬度差、カバーの厚さと硬度、および中間層とカバー硬度との硬度差を特定範囲内に規定することにより、飛距離、スピン性能および打球感に優れたマルチピースソリッドゴルフボールが得られることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0009】
即ち、本発明は、センター(1)と該センター(1)上に形成した中間層(2)とから成るコア(4)、および該コア(4)を被覆するカバー(3)から成るマルチピースソリッドゴルフボールにおいて、
該センター(1)のショアD硬度による表面硬度が中心硬度より15以上だけ高く、
該中間層(2)が、熱可塑性樹脂を主成分とし、かつ厚さ0.3mm以上1.0mm未満を有し、
該カバー(3)が、熱可塑性樹脂を主成分とし、かつ厚さ0.3mm以上1.0mm未満およびショアD硬度35以上55未満を有し、
該中間層の硬度が該センターの表面硬度およびカバー硬度より高く、
該センター(1)の初期荷重98Nを負荷した状態から終荷重1275Nを負荷したときまでの変形量をA(mm)とし、該コア(4)の初期荷重98Nを負荷した状態から終荷重1275Nを負荷したときまでの変形量をB(mm)とした場合に、変形量差(A−B)が0.15mm以上0.35mm未満である
ことを特徴とするマルチピースソリッドゴルフボールに関する。
【0010】
本発明のゴルフボールにおいては、
上記センター(1)のショアD硬度による表面硬度を中心硬度より15以上だけ高くすることにより、ゴルフクラブによる打撃時にゴルフボール全体を変形させやすく高打出角化および低スピン量化が可能となり;
上記中間層(2)が、熱可塑性樹脂を主成分とし、かつ厚さ0.3mm以上1.0mm未満を有することにより、後述の通り中間層硬度をセンターおよびカバーより高く設定しても、中間層厚さを小さくすることにより、ゴルフクラブによる打撃時にゴルフボール全体を変形させやすく反発性能を向上することが可能となり(中間層厚さを小さくし過ぎるとドライバー等を用いた打撃による高衝撃時の大きい変形に耐えられるゴルフボールに設計できなくなる);
上記カバー(3)が、熱可塑性樹脂を主成分とし、かつ厚さ0.3mm以上1.0mm未満およびショアD硬度35以上55未満を有することにより、カバー硬度を低く設定してアプローチショット等の低衝撃時のコントロール性能を向上し、カバー厚さを小さく設定してドライバー等を用いた打撃による高衝撃時の反発性能を向上することが可能となり;
上記中間層の硬度がセンターの表面硬度およびカバー硬度より高いことにより、カバー硬度を低く設定してアプローチショット等の低衝撃時のコントロール性能を向上させる一方、それによる反発性能の低下を防止するために硬い中間層を設けることで反発性能を向上することが可能となり;
上記センター(1)とコア(4)との初期荷重98Nを負荷した状態から終荷重1275Nを負荷したときまでの変形量差を0.15mm以上0.35mm未満とすることにより、ゴルフクラブによる打撃時に最適なゴルフボール変形となるようにして反発性能を向上することが可能となるものである。
【0011】
更に、本発明を好適に実施するためには、
上記センター(1)が直径39.0mm以上41.3mm未満を有し、かつ上記中間層(2)がショアD硬度による硬度62以上65未満を有し;
上記中間層(2)が、アイオノマー樹脂を主成分とし、かつ上記カバー(3)が脂環式ジイソシアネートから生成されるポリウレタン系熱可塑性エラストマーを主成分とする;ことが好ましい。
【0012】
以下、図1を用いて本発明のゴルフボールについて更に詳しく説明する。図1は、本発明のゴルフボールの1つの態様を示す概略断面図である。図1に示すように、本発明のゴルフボールはセンター(1)と該センター上に形成された中間層(2)から成るコア(4)、および該コアを被覆するカバー(3)とから成る。上記カバーは単層構造であっても、2層以上の多層構造を有してもよい。但し、図1では説明をわかりやすくするため、1層のカバー(3)を有するゴルフボール、即ちスリーピースソリッドゴルフボールとした。
【0013】
上記センター(1)は、ポリブタジエンゴムを主成分とすることが望ましく、ポリブタジエンに共架橋剤、有機過酸化物および充填材を必須成分として含有するゴム組成物を加熱加圧成形して製造することが好ましい。上記ポリブタジエンは、従来からソリッドゴルフボールのコアに用いられているものであればよいが、特にシス‐1,4‐結合少なくとも40%以上、好ましくは80%以上を有するいわゆるハイシスポリブタジエンゴムが好ましく、所望により上記ポリブタジエンゴムには、天然ゴム、ポリイソプレンゴム、スチレンポリブタジエンゴム、エチレン‐プロピレン‐ジエンゴム(EPDM)等を配合してもよい。
【0014】
共架橋剤としては、アクリル酸またはメタクリル酸等のような炭素数3〜8個のα,β‐不飽和カルボン酸の、亜鉛、マグネシウム塩等の一価または二価の金属塩、またはトリメチロールプロパントリメタクリレート等の官能性モノマー等が挙げられるが、高い反発性を付与するα,β‐不飽和カルボン酸の亜鉛塩、特にアクリル酸亜鉛が好適である。配合量はポリブタジエンゴム100重量部に対して、10〜60重量部、好ましくは10〜50重量部、より好ましくは25〜40重量部である。60重量部より多いと硬くなり過ぎて打球感が悪くなり、10重量部未満では、適当な硬さにするために有機過酸化物の量を増加しなければならず反発が悪くなり飛距離が低下する。
【0015】
有機過酸化物としては、例えばジクミルパーオキサイド、1,1‐ビス(t‐ブチルパーオキシ)‐3,3,5‐トリメチルシクロヘキサン、2,5‐ジメチル‐2,5‐ジ(t‐ブチルパーオキシ)ヘキサン、ジ‐t‐ブチルパーオキサイド等が挙げられ、ジクミルパーオキサイドが好適である。配合量はポリブタジエン100重量部に対して0.5〜5.0重量部、好ましくは0.6〜4.0重量部、より好ましくは0.6〜2.0重量部である。0.5重量部未満では軟らかくなり過ぎて反発が悪くなり飛距離が低下する。5.0重量部を越えると適切な硬さにするために共架橋剤の量を減少しなければならず反発が悪くなり飛距離が低下する。
【0016】
充填材としては、ソリッドゴルフボールのコアに通常配合されるものであればよく、例えば無機充填材、具体的には、酸化亜鉛、硫酸バリウム、炭酸カルシウム、酸化マグネシウム等が挙げられ、高比重金属充填材、例えばタングステン粉末、モリブデン粉末等およびそれらの混合物と併用してもよい。配合量は、それぞれポリブタジエン100重量部に対して5〜30重量部、好ましくは5〜20重量部である。5重量部未満では重量調整が難しく、30重量部を越えるとゴムの重量分率が小さくなり反発が低くなり過ぎる。
【0017】
更に本発明のゴルフボールのセンターには、有機硫黄化合物、老化防止剤、その他ソリッドゴルフボールのコアの製造に通常使用し得る成分を適宜配合してもよい。使用する場合、配合量は、ポリブタジエン100重量部に対して、0.2〜5.0重量部、好ましくは0.3〜4.0重量部、好ましくは0.5〜2.0重量部であることが望ましい。
【0018】
本発明のゴルフボールに用いられるセンター(1)は、前述のゴム組成物を混合、混練し、金型内で加硫成形することにより得ることができる。この際の条件は、特に限定されないが、通常は140〜180℃、圧力2.9〜11.8MPaで10〜60分間で行われる。
【0019】
本発明のゴルフボールでは、センター(1)が直径39.2mm以上41.3mm未満、好ましくは39.4〜41.0mm、より好ましくは39.4〜40.2mmを有することが望ましい。上記直径が39.2mmより小さくなると打撃時のスピン量が増え、吹き上がる弾道となりやすく飛距離が低下する。41.3mm以上となると中間層あるいはカバーが薄くなり、それぞれの効果が十分に得られなくなる。
【0020】
本発明のゴルフボールでは、センター(1)のショアD硬度による表面硬度が中心硬度より15以上だけ高いことを要件とするが、両者の硬度差は好ましくは15〜40、より好ましくは15〜35、最も好ましくは17〜25である。上記硬度差が15より小さいと打撃時のスピン量を抑える効果が小さくなって飛距離が低下し、また打球感も硬く悪くなる。上記硬度差が大きくなり過ぎると、ゴルフクラブにて打撃する際にゴルフボールが変形し過ぎ、逆に反発性が低下して飛距離が低下する。
【0021】
上記センター(1)のショアD硬度による中心硬度が30〜70、好ましくは30〜60、より好ましくは30〜50、最も好ましくは35〜45であることが望ましい。上記中心硬度が30より低いと、得られるゴルフボールの打球感が重くて悪くなり、軟らかくなり過ぎて反発性が低下して、飛距離が低下する。また適正なボール硬度を得るために中間層硬度を高くする必要があり、その結果として耐久性が悪いものとなる。上記中心硬度が70より高いと、打撃時に十分に高打出角化ができず飛距離が低下する。
【0022】
更に本発明では、センター(1)のショアD硬度による表面硬度が40〜70、好ましくは45〜65、より好ましくは50〜65、最も好ましくは50〜60であることが望ましい。上記表面硬度が40より低いと、打球感が重くて悪く、反発性が低下して飛距離が低下し、70より高いと打球感が硬くて悪いものとなる。尚、センターの表面硬度とは前述のように加硫成形して形成したセンター、即ち、中間層を被覆する前のセンターの表面で測定した硬度を意味し、センターの中心硬度とは通常2等分切断し、その切断面においてセンターの中心で測定した硬度を意味する。
【0023】
本発明のゴルフボールにおいて、センター(1)は初期荷重98Nを負荷した状態から終荷重1275Nを負荷したときまでの変形量2.0〜4.0mm、好ましくは2.5〜3.5mm、より好ましくは2.8〜3.2mmを有する。上記変形量が2.0mmより小さいと得られるゴルフボールが硬くなり過ぎて打球感が硬くて悪くなり、4.0mmより大きいとゴルフボールとしての所望の硬さが十分に得られず、反発性が低下して飛距離が低下する。
【0024】
本発明のゴルフボールでは、センター(1)が比重1.05〜1.20、好ましくは1.10〜1.15を有することが望ましい。上記センターの比重が1.05未満ではボール重量が軽くなり弱い弾道になりやすい。上記センターの比重が1.20を超えるとセンター中の充填材量が増えゴムの架橋度が少なく反発が低くなる。尚、センター(1)の比重とは、成形されたゴルフボールからセンターのサンプルを採取し、そのサンプルを用いて測定した比重である。次いで、上記センター(1)上には中間層(2)を形成する。
【0025】
本発明のゴルフボールでは、中間層(2)が厚さ0.3mm以上1.0mm未満を有することを要件とするが、好ましくは0.4〜0.9mm、より好ましくは0.5〜0.9mmである。上記厚さが、0.3mmより小さくなると中間層の硬さの効果が十分に得られなくなり打撃時のスピン量を抑えることができず、1.0mm以上となると中間層に比較的硬い材料を用いているため打球感が硬くて悪くなる。
【0026】
本発明のゴルフボールでは、中間層(2)のショアD硬度が上記センター(1)の表面硬度より高いことを要件とするが、両者の硬度差は好ましくは1〜20、より好ましくは2〜15、最も好ましくは2〜10である。上記中間層硬度がセンターの表面硬度以下であると打撃時のスピン量が増え、吹き上がる弾道となりやすく飛距離が低下する。上記硬度差が大きくなり過ぎると、中間層が硬くなり過ぎるため、打球感が硬くて悪くなるばかりでなく、耐擦過傷性および耐久性が悪くなる。
【0027】
上記中間層(2)のショアD硬度は62以上65未満、好ましくは62〜64、より好ましくは62〜63であることが望ましい。上記中間層の表面硬度が62より低くなると、打撃時のボールの変形が大きくなり過ぎて反発性能が低下する。上記硬度が65以上となると、打球感が硬くて悪くなる。尚、中間層の表面硬度とは、中間層用組成物から作製された厚さ2mmの熱プレス成形シートを23℃で2週間保存後、そのシートを3枚以上重ねて測定した硬度(スラブ硬度)を意味する。
【0028】
本発明のゴルフボールでは、中間層(2)が比重0.9〜1.05、好ましくは0.9〜1.0を有することが望ましい。上記センターの比重が0.9未満ではボールの慣性モーメントが小さくなり、スピン減衰率が大きくなって飛距離が手低下する。上記中間層の比重が1.05を超えると、中間層のボール反発性への寄与が小さくなる。尚、中間層の比重とは、成形されたゴルフボールから中間層のサンプルを採取し、そのサンプルを用いて測定した比重である。
【0029】
前述のように、本発明の中間層(2)は、熱可塑性樹脂を主成分とすることを要件とするが、特に通常ゴルフボールのカバーに用いられるアイオノマー樹脂を基材樹脂として形成されることが好ましい。このようなアイオノマー樹脂としては、特にα‐オレフィンと炭素数3〜8個のα,β‐不飽和カルボン酸の共重合体中のカルボン酸の一部を金属イオンで中和したアイオノマー樹脂、α‐オレフィンと炭素数3〜8個のα,β‐不飽和カルボン酸とα,β‐不飽和カルボン酸エステルとの三元共重合体中のカルボン酸の少なくとも一部を金属イオンで中和したものまたはその混合物が用いられる。上記アイオノマー樹脂中のα‐オレフィンとしては、エチレン、プロピレンが好ましく、α,β‐不飽和カルボン酸としては、例えばアクリル酸、メタクリル酸、フマル酸、マレイン酸、クロトン酸等が挙げられ、特にアクリル酸、メタクリル酸等が好ましい。また、α,β‐不飽和カルボン酸エステルとしては、例えばアクリル酸、メタクリル酸、フマル酸、マレイン酸等のメチル、エチル、プロピル、n‐ブチル、イソブチルエステル等が用いられ、特にアクリル酸エステルとメタクリル酸エステルが好ましい。更に、中和する金属イオンとしては、アルカリ金属イオン、例えばNaイオン、Kイオン、Liイオン等;2価金属イオン、例えばZnイオン、Caイオン、Mgイオン等;3価金属イオン、例えばAlイオン、Ndイオン等;およびそれらの混合物が挙げられるが、Naイオン、Znイオン、Liイオン等が反発性、耐久性等からよく用いられる。
【0030】
アイオノマー樹脂の具体例としては、それだけに限定されないが、ハイミラン(Hi‐milan)1555、ハイミラン1557、ハイミラン1601、ハイミラン1605、ハイミラン1652、ハイミラン1702、ハイミラン1705,ハイミラン1706,ハイミラン1707,ハイミラン1855,ハイミラン1856、ハイミランAM7316(三井デュポンポリケミカル社製)、サーリン(Surlyn)8945、サーリン9945、サーリン6320、サーリン8320、サーリンAD8511、サーリンAD8512、AD8542(デュポン社製)、アイオテック(Iotek)7010、アイオテック8000(エクソン(Exxon)社製)等を例示することができる。これらのアイオノマーは、上記例示のものをそれぞれ単独または2種以上の混合物として用いてもよい。
【0031】
更に、本発明の中間層(2)の好ましい材料の例としては、上記のようなアイオノマー樹脂のみであってもよいが、アイオノマー樹脂と熱可塑性エラストマーとを組合せて用いてもよい。上記熱可塑性エラストマーの例として、ポリウレタン系熱可塑性エラストマー、ポリアミド系熱可塑性エラストマー、ポリエステル系熱可塑性エラストマー、スチレン系熱可塑性エラストマー、ポリオレフィン系熱可塑性エラストマー等が挙げられ、ポリアミド系熱可塑性エラストマーが好ましい。具体例として、東レ(株)から商品名「ペバックス」で市販されている(例えば、「ペバックス2533」)ポリアミド系熱可塑性エラストマー等が挙げられる。
【0032】
上記中間層(4)を被覆する方法については、特に限定されるものではなく、通常のゴルフボールのカバーを被覆する方法で行うことができる。上記中間層用組成物を予め半球殻状のハーフシェルに成形し、それを2枚用いてセンターを包み、130〜170℃で1〜5分間加圧成形するか、または上記中間層用組成物を直接センター上に射出成形してセンターを包み込む方法が用いられる。上記方法により、上記センター(1)上に中間層(2)を被覆して、2層構造を有するコア(4)を形成する。
【0033】
本発明のゴルフボールのコア(4)は初期荷重98Nを負荷した状態から終荷重1275Nを負荷したときまでの変形量2.0〜4.0mm、好ましくは2.2〜3.5mm、より好ましくは2.5〜3.3mm、最も好ましくは2.5〜3.0mmを有することが望ましい。2.0mmより小さいとコアが硬くなり過ぎて、得られたゴルフボールの打球感が悪くなり、4.0mmより大きいとコアが軟らかくなり過ぎて、得られたゴルフボールの耐久性が低下し、また反発性が悪くなり飛距離が低下する。
【0034】
本発明のゴルフボールにおいては、上記センター(1)とコア(4)との初期荷重98Nを負荷した状態から終荷重1275Nを負荷したときまでの変形量をそれぞれA(mm)およびB(mm)とした場合に、変形量差(A−B)が0.15mm以上0.35mm未満であることを要件とするが、好ましくは0.16〜0.34mm、より好ましくは0.18〜0.30mmである。上記変形量差が0.15mmより小さいとゴルフボールの変形が大きくなり過ぎて逆に弾性力のロスを引き起こして反発性能が低下し、0.35mm以上となるとゴルフボール外側からの衝撃を受ける時にゴルフボールの変形を大きくすることができないため十分な反発性能が得られない。
【0035】
本発明では、センター(1)と中間層(2)との硬度差を前述のように規定することによって打撃時のスピン量の増加を抑制して飛距離を向上させ、中間層硬度が高くなり過ぎるのを抑制して打球感を向上させるのに加えて、単に硬度差だけでなくセンター(1)とコア(4)との荷重時の変形量の差(A−B)を上記範囲内に規定することにより、ゴルフクラブによる打撃時に最適なゴルフボール変形となるようにして反発性能を向上させることを可能としたものである。尚、上記変形量差(A−B)の技術的意義として、ゴルフクラブでボールに衝撃を加えた時の変形を想定するための値であり、センターとコア(センター+中間層)が特にドライバーからミドルアイアン等の高衝撃の挙動に大きな影響を与えると想定して、硬度ではなく潰れた(変形した)時の強度差を表すことでボール初期条件(初期飛行性能)の最適値を見つけることができたものである。
【0036】
次いで、上記コア(4)上には1層以上のカバー(3)を被覆する。本発明のゴルフボールでは、カバー(3)が厚さ0.3mm以上1.0mm未満を有することを要件とするが、好ましくは0.4〜0.9mm、より好ましくは0.5〜0.9mm、最も好ましくは0.5〜0.8mmである。上記カバー厚さが0.3mmより小さいと、カバーの軟らかい効果が発揮されず、ショートアイアンからアプローチショット等でのスピン量が小さくなり、コントロール性が低下する。上記カバー厚さが1.0mm以上となると、得られるゴルフボールの反発性が低下するとともに打撃時のスピン量が増え、吹き上がる弾道となりやすく飛距離が低下する。
【0037】
また本発明のゴルフボールでは、上記中間層(2)の硬度がカバー(3)のショアD硬度による硬度より高いことを要件とするが、両者の硬度差は好ましくは1〜35、より好ましくは5〜30、最も好ましくは7〜23である。上記中間層硬度がカバー硬度以下であると、カバー硬度が高く、アプローチショット等でスピン量が小さくなり、コントロール性が低下する。上記硬度差が大きくなり過ぎると、カバー硬度が小さくなり過ぎるため、反発性が低下すると共に、打撃時のスピン量が増加し、吹き上がる弾道となって飛距離が低下する。
【0038】
上記カバー(3)は、ショアD硬度による硬度35以上55未満を有することを要件とするが、好ましくは35〜53、より好ましくは40〜52である。上記カバー(3)の硬度が35より低いと打撃時のスピン量が増え、吹き上がる弾道となりやすく飛距離が低下する。上記カバー硬度が55以上となるとショートアイアンからアプローチショット等でのスピン量が小さくなり、コントロール性が低下する。尚、カバー硬度とは、各カバー用組成物から作製された厚さ2mmの熱プレス成形シートを23℃で2週間保存後、そのシートを3枚以上重ねて測定した硬度(スラブ硬度)を意味する。
【0039】
本発明のゴルフボールに用いられるカバー材料としては、熱可塑性樹脂を主成分とすることを要件とするが、耐擦過傷性に優れるポリウレタン系熱可塑性エラストマーが好ましく、特にその原料であるジイソシアネートが脂環式ジイソシアネートであるポリウレタン系熱可塑性エラストマーが反発性、耐擦過傷性、変色性の面から好ましい。上記脂環式ジイソシアネートの例としては、4,4’‐ジフェニルメタンジイソシアネート(MDI)の水素添加物である4,4’‐ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート(H12MDI)、キシリレンジイソシアネート(XDI)の水素添加物である1,3‐ビス(イソシアナトメチル)シクロヘキサン(H6XDI)、イソホロンジイソシアネート(IPDI)およびトランス‐1,4‐シクロヘキサンジイソシアネート(CHDI)からなる群から選択される1種、または2種以上の組み合わせ等が挙げられ、汎用性および加工性の面からH12MDIが好適である。上記ポリウレタン系熱可塑性エラストマーの具体例として、BASFポリウレタンエラストマーズ(株)から商品名「エラストラン」で市販されている(例えば、「エラストランXNY585」、「エラストランXNY90A」、エラストランXNY97A」等)4,4’‐ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート(H12MDI)を使用したポリウレタン系熱可塑性エラストマー等が挙げられる。
【0040】
更に、本発明のカバー(3)の好ましい材料の例として、上記ポリウレタン系熱可塑性エラストマーのみであってもよいが、上記熱可塑性ポリウレタンエラストマーに、その他の熱可塑性エラストマー、ジエン系ブロック共重合体またはアイオノマー樹脂等の1種以上とを組合せて用いてもよい。その他の熱可塑性エラストマーの例として、上記以外の他のポリウレタン系熱可塑性エラストマー、ポリアミド系熱可塑性エラストマー、ポリエステル系熱可塑性エラストマー、スチレン系熱可塑性エラストマー、ポリオレフィン系熱可塑性エラストマー等が挙げられる。上記その他の熱可塑性エラストマーとしては、カルボキシル基、グリシジル基、スルホン基、エポキシ基等の官能基を有するものを用いてもよい。
【0041】
上記その他の熱可塑性エラストマーの具体例として、例えばBASFポリウレタンエラストマーズ(株)から商品名「エラストラン」で市販されている(例えば、「エラストランET880」)ポリウレタン系熱可塑性エラストマー、東レ(株)から商品名「ペバックス」で市販されている(例えば、「ペバックス2533」)ポリアミド系熱可塑性エラストマー、東レ・デュポン(株)から商品名「ハイトレル」で市販されている(例えば、「ハイトレル3548」、「ハイトレル4047」)ポリエステル系熱可塑性エラストマー、旭化成工業(株) から商品名「タフテック」で市販されている(例えば、「タフテックH1051」)スチレン系熱可塑性エラストマー、三菱化学(株)から商品名「サーモラン」で市販されている(例えば、「サーモラン3981N」)オレフィン系熱可塑性エラストマー、住友化学工業(株)から商品名「住友TPE」で市販されている(例えば、「住友TPE3682」、「住友TPE9455」等)ポリオレフィン系熱可塑性エラストマー等が挙げられる。
【0042】
上記ジエン系ブロック共重合体は、ブロック共重合体または部分水添ブロック共重合体の共役ジエン化合物に由来する二重結合を有するものである。その基体となるブロック共重合体とは、少なくとも1種のビニル芳香族化合物を主体とする重合体ブロックAと少なくとも1種の共役ジエン化合物を主体とする重合体ブロックBとから成るブロック共重合体である。また、部分水添ブロック共重合体とは、上記ブロック共重合体を水素添加して得られるものである。ブロック共重合体を構成するビニル芳香族化合物としては、例えばスチレン、α‐メチルスチレン、ビニルトルエン、p‐t‐ブチルスチレン、1,1‐ジフェニルスチレン等の中から1種または2種以上を選択することができ、スチレンが好ましい。また、共役ジエン化合物としては、例えばブタジエン、イソプレン、1,3‐ペンタジエン、2,3‐ジメチル‐1,3‐ブタジエン等の中から1種または2種以上を選択することができ、ブタジエン、イソプレンおよびこれらの組合せが好ましい。上記ジエン系ブロック共重合体の具体例としては、例えばダイセル化学工業(株)から商品名「エポフレンド」市販されているもの(例えば、「エポフレンドA1010」)、(株)クラレから商品名「セプトン」で市販されているもの(例えば、「セプトンHG‐252」)等が挙げられる。
【0043】
上記アイオノマー樹脂としては、上記中間層(2)に用いたものと同様のアイオノマー樹脂を用いることができ、それぞれ単独または2種以上の混合物として用いてもよい。
【0044】
上記その他の熱可塑性エラストマー、ジエン系ブロック共重合体やアイオノマー樹脂の配合量は、カバー用の基材樹脂100重量部に対して、0〜40重量部、好ましくは0〜30重量部である。40重量部より多いと耐擦過傷性、反発性、耐変色性のいずれかが低下する。
【0045】
本発明に用いられるカバー(3)には、上記樹脂以外に必要に応じて、種々の添加剤、例えば二酸化チタン等の顔料、分散剤、老化防止剤、紫外線吸収剤、光安定剤、蛍光材料、蛍光増白剤等を、ゴルフボールカバーによる所望の特性が損なわれない範囲で含有していてもよいが、通常、着色剤の配合量はカバー用樹脂100重量部に対して0.1〜5.0重量部が好ましい。
【0046】
上記カバー(3)を被覆する方法についても、特に限定されるものではなく、通常のカバーを被覆する方法で行うことができる。カバー用組成物を予め半球殻状のハーフシェルに成形し、それを2枚用いてコアを包み、130〜170℃で1〜5分間加圧成形するか、または上記カバー用組成物を直接コア上に射出成形してコアを包み込む方法が用いられる。そして、カバー成形時に、ボール表面にディンプルを形成し、また、カバー成形後、ペイント仕上げ、スタンプ等も必要に応じて施し得る。本発明のゴルフボールは、ゴルフボール規則に基づいて、直径42.67mm以上(好ましくは42.67〜42.82mm)、重量45.93g以下に形成される。
【0047】
【実施例】
次に、本発明を実施例により更に詳細に説明する。但し、本発明はこれら実施例に限定されるものではない。
【0048】
(1)コアの作製
(i)センターの作製
以下の表1に示した配合のセンター用ゴム組成物を均一に混合、混線し、金型内で同表に示した加硫条件で加熱プレスすることにより球状のセンターを得た。得られたセンターの直径、重量、比重、変形量(A)、中心硬度(C)および表面硬度(D)を測定し、その結果を表3に示した。それらの結果から、センターの表面硬度と中心硬度との硬度差(D−C)を計算し、同表に示した。
【0049】
(ii)中間層用組成物の調製
以下の表1に示す中間層用配合材料を二軸混練型押出機によりミキシングし、ペレット状の中間層用組成物を得た。押出条件は、スクリュー径=45mm,スクリュー回転数=200rpm,スクリューL/D=35であり、配合物は押出機のダイの位置で160〜260℃に加熱された。各中間層用組成物から厚さ2mmの熱プレス成形シートを作製し、23℃で2週間保存後、そのシートを3枚以上重ねて、ショアD硬度を測定した。その結果を中間層硬度(E)として表3に示した。それらの結果から、中間層硬度とセンターの表面硬度との硬度差(E−D)を計算し、同表に示した。
(ii)中間層の被覆
得られた中間層用組成物を射出成形することにより中間層用半球殻状成形物(ハーフシェル)を作製し、それを2枚用いて、上記(i)で作製したセンター(1)を包み、センター上に同心円状に被覆し、金型内で150℃で2分間加熱プレスすることにより、上記センター(1)上に表3に示した厚さおよび比重を有する中間層(2)を被覆して、2層構造を有するコア(4)を作製した。得られた2層コアの直径、重量および変形量(B)を測定し、その結果を表3に示した。それらの結果から、センターの変形量(A)とコアの変形量(B)との変形量差(A−B)を計算し、同表に示した。
【0050】
【表1】
【0051】
(注1)JSR(株)製のハイシスポリブタジエンゴム
(1,4‐シス‐ポリブタジエン含量:96%)
(注2)商品名、三井デュポンポリケミカル(株)製のナトリウムイオン中和エチレン‐メタクリル酸共重合体系アイオノマー樹脂
(注3)商品名、三井デュポンポリケミカル(株)製の亜鉛イオン中和エチレン‐メタクリル酸共重合体系アイオノマー樹脂
(注4)商品名、三井デュポンポリケミカル(株)製の亜鉛イオン中和エチレン‐メタクリル酸‐イソブチルアクリレート三元共重合体系アイオノマー樹脂
【0052】
(2)カバー用組成物の調製
以下の表2に示すカバー用配合材料を二軸混練型押出機によりミキシングし、ペレット状のカバー用組成物を得た。押出条件は、スクリュー径=45mm,スクリュー回転数=200rpm,スクリューL/D=35であり、配合物は押出機のダイの位置で160〜260℃に加熱された。各カバー用組成物から厚さ2mmの熱プレス成形シートを作製し、23℃で2週間保存後、そのシートを3枚以上重ねて、ショアD硬度を測定した。その結果をカバー硬度(F)として表2および表3に示した。それらの結果から、中間層硬度とカバー硬度との硬度差(E−F)を計算し、表3に示した。
【0053】
【表2】
【0054】
(注5)BASFポリウレタンエラストマーズ(株)から商品名「エラストランXNY585」で市販の4,4’‐ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート(H12MDI)を使用したポリウレタン系熱可塑性エラストマー
(注6)BASFポリウレタンエラストマーズ(株)から商品名「エラストランXNY97A」で市販の4,4’‐ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート(H12MDI)を使用したポリウレタン系熱可塑性エラストマー
【0055】
実施例1〜4および比較例1〜3
得られたカバー用組成物を射出成形することにより、カバー用半球殻状成形物(ハーフシェル)を作製し、それを2枚用いて、上記(iii)で得られた2層コアを包み、コア上に同心円状に被覆し、金型内で160℃で2分間加熱プレスすることにより、表3に示したカバー厚さを有するカバー層を形成し、表面にクリヤーペイントを塗装して、直径42.8mmおよび重量45.4gを有するゴルフボールを得た。得られたゴルフボールに関して、飛行性能および打球感を測定または評価し、その結果を表4に示す。試験方法は以下の通りとした。
【0056】
(試験方法)
(1)センター硬度
作製したセンターの外表面で測定したショアD硬度をセンターの表面硬度とし、センターを2等分切断し、その切断面の中心点において測定したショアD硬度をセンターの中心硬度とした。ショアD硬度は、ASTM‐D2240に規定されるスプリング式硬度計ショアD型を用いた。
【0057】
(2)変形量
センターおよびコアに初期荷重98Nを負荷した状態から終荷重1275Nを負荷したときまでの変形量を測定した。
(3)中間層硬度およびカバー硬度
中間層硬度およびカバー硬度は、それぞれ中間層用およびカバー用組成物から作製された厚さ2mmの熱プレス成形シートを23℃で2週間保存後、そのシートを3枚以上重ねて、ASTM‐D2240に規定されるスプリング式硬度計ショアD型を用いて測定した。
【0058】
(4)飛行性能1
ゴルフラボラトリー社製スイングロボットにメタルヘッド製ウッド1番クラブ(住友ゴム工業(株)製のXXIO、W#1、ロフト角8°、Xシャフト)を取り付け、ヘッドスピードを50m/秒に設定して各ゴルフボールを打撃し、打ち出し直後の初速度、スピン量(バックスピン量)、およびトータル飛距離(停止点までの距離)を測定した。測定は各ゴルフボールで12回行って、その平均を算出して、各ゴルフボールの結果とした。
【0059】
(5)飛行性能2
ゴルフラボラトリー社製スイングロボットにサンドウェッジ(住友ゴム工業(株)製のDP‐601、SW)を取り付け、ヘッドスピードを21m/秒に設定して各ゴルフボールを打撃し、打ち出し直後のスピン量(バックスピン量)を測定した。測定は各ゴルフボールで12回行って、その平均を算出して、各ゴルフボールの結果とした。
【0060】
(6)打球感(衝撃)
ゴルファー10人によるメタルヘッド製ドライバー(W#1)を用いた実打テストを行い、打球感として、打撃時の衝撃の大きさを評価し、最も多い評価をそのゴルフボールの結果とした。評価基準は以下の通りとした。
評価基準
〇:衝撃が小さくて打球感が良好
△:普通
×:衝撃が大きくて打球感が悪い
【0061】
(7)打球感(反発感)
ゴルファー10人によるメタルヘッド製ドライバー(W#1)を用いた実打テストを行い、打球感として、打撃時の反発感の有無を評価し、最も多い評価をそのゴルフボールの結果とした。判定基準は以下の通りとした。
判定基準
〇 … 反発感があって打球感が良好
△ … 普通
× … 反発感がなく打球感が重くて悪い
【0062】
(試験結果)
【表3】
【0063】
【表4】
【0064】
実施例1〜4のゴルフボールは、比較例1〜3のゴルフボールに比べて、飛距離、スピン性能、打球感に優れることがわかった。
【0065】
これに対して、比較例1のゴルフボールは、中間層の厚さが大きいため、ボールの初速度が低く、ドライバーによる打撃時のスピン量も多くて、飛距離が小さく、また打球感も悪くなっている。
【0066】
比較例2のゴルフボールは、カバーの厚さが大きいため、ボールの初速度が低く、ドライバーによる打撃時のスピン量も多くて、飛距離が小さく、また打球感も悪くなっている。
【0067】
比較例3のゴルフボールは、センターの表面硬度と中心硬度との硬度差(D−C)が小さいため、ドライバーによる打撃時のスピン量が多く、飛距離が小さく、また打球感も悪くなっている。
【0068】
【発明の効果】
本発明のマルチピースソリッドゴルフボールは、センターの表面硬度と中心硬度との硬度差、中間層の厚さ、センターとコアとの変形量の差、中間層とセンターとの硬度差、カバーの厚さと硬度、および中間層とカバー硬度との硬度差を特定範囲内に規定することにより、飛距離、スピン性能および打球感に優れたマルチピースソリッドゴルフボールが得られる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明のゴルフボールの1つの態様の概略断面図である。
【符号の説明】
1 … センター
2 … 中間層
3 … カバー
4 … コア
Claims (2)
- センター(1)と該センター(1)上に形成した中間層(2)とから成るコア(4)、および該コア(4)を被覆するカバー(3)から成るマルチピースソリッドゴルフボールにおいて、
該センター ( 1 ) が直径39.2mm以上41.3mm未満を有し、該センター(1)のショアD硬度による表面硬度が中心硬度より15以上だけ高く、
該中間層(2)が、熱可塑性樹脂を主成分とし、かつショアD硬度による硬度62以上65未満および厚さ0.3mm以上1.0mm未満を有し、
該カバー(3)が、熱可塑性樹脂を主成分とし、かつ厚さ0.3mm以上1.0mm未満およびショアD硬度35以上55未満を有し、
該中間層のショアD硬度が該センターの表面硬度およびカバー硬度より高く、
該センター(1)の初期荷重98Nを負荷した状態から終荷重1275Nを負荷したときまでの変形量をA(mm)とし、該コア(4)の初期荷重98Nを負荷した状態から終荷重1275Nを負荷したときまでの変形量をB(mm)とした場合に、変形量差(A−B)が0.15mm以上0.35mm未満であり、該変形量Aが2.5〜3.5mmである
ことを特徴とするマルチピースソリッドゴルフボール。 - 前記中間層(2)が、アイオノマー樹脂を主成分とし、かつ前記カバー(3)が脂環式ジイソシアネートから生成されるポリウレタン系熱可塑性エラストマーを主成分とする請求項1記載のマルチピースソリッドゴルフボール。
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