JP2002360740A - スリーピースソリッドゴルフボール - Google Patents

スリーピースソリッドゴルフボール

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JP2002360740A
JP2002360740A JP2001168049A JP2001168049A JP2002360740A JP 2002360740 A JP2002360740 A JP 2002360740A JP 2001168049 A JP2001168049 A JP 2001168049A JP 2001168049 A JP2001168049 A JP 2001168049A JP 2002360740 A JP2002360740 A JP 2002360740A
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diisocyanate
center
thermoplastic
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Satoshi Iwami
聡 岩見
Takashi Sasaki
隆 佐々木
Satoshi Kato
聡 加藤
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Sumitomo Rubber Industries Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 本発明により、打球感、コントロール性、反
発性、耐擦過傷性、耐変色性および生産性に優れたゴル
フボールを提供する。 【解決手段】 本発明は、センター(1)と該センター上
に形成された中間層(2)から構成されるコア(4)、およ
び該コア上に形成されたカバー(3)とから成るスリーピ
ースソリッドゴルフボールにおいて、該カバー(3)が、
熱可塑性ポリウレタン系エラストマーと熱可塑性ポリア
ミド系エラストマーとの混合物を基材樹脂として含有す
ることを特徴とするスリーピースソリッドゴルフボール
に関する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、打球感、コントロ
ール性、反発性、耐擦過傷性、耐変色性および生産性に
優れたスリーピースソリッドゴルフボールに関する。
【0002】
【従来の技術】近年、ゴルフボールのカバー材としてア
イオノマー樹脂が広く使用されている。これは、アイオ
ノマー樹脂が反発性、耐久性、加工性等に優れているた
めである。しかしながら、アイオノマー樹脂は高い剛性
と硬度を有するため、カバー材としてアイオノマー樹脂
のみを用いると、打球感が硬くて悪いものとなり、スピ
ン性能も十分なものが得られずコントロール性が劣る等
の問題があった。
【0003】そこで、上記の問題を解決するために、そ
のような硬質のアイオノマー樹脂に三元共重合体系の軟
質アイオノマー樹脂をブレンドしたり(特開平5‐39
31号公報、特許第2709950号公報等)、熱可塑
性エラストマーをブレンドしたり(特開平6‐2990
52号公報、特開平6‐327794号公報等)するこ
とによってカバーを軟質化する試みが種々提案されてい
る。しかしながら、そのような硬質アイオノマー樹脂と
軟質アイオノマー樹脂とのブレンドでは、良好な打球感
とスピン性能が実現できるように調整した場合、反発性
能が大きく低下すると共に、特にアイアンショット時に
クラブフェースの溝によりカバー表面が削れ易く、ゴル
フボール表面が毛羽立ったり、ささくれ立ったりして耐
擦過傷性が劣るものであった。また、上記硬質アイオノ
マー樹脂と熱可塑性エラストマーのブレンドでは、反発
性能は上記の軟質アイオノマー樹脂とのブレンドより優
れるが、両者の相溶性が悪いためアイアンショット時の
耐擦過傷性が更に劣るという問題があった。
【0004】またカバー材として、熱硬化性ポリウレタ
ン組成物を用いたり(特開昭51‐74726号公報、
特許第2662909号公報、米国特許第4,123,
061号等)、熱可塑性ポリウレタン系エラストマーを
用いる(米国特許第3,395,109号、米国特許第
4、248、432号、特開平9‐271538号公
報、特開平11‐128401号公報、特開平11‐1
28402号公報等)ことによって上記の問題を解決し
ようとする試みも数多く提案されている。しかしなが
ら、カバー材に熱硬化性ポリウレタン組成物を用いる
と、前述の軟質アイオノマー樹脂や熱可塑性エラストマ
ーとのブレンドを用いる場合の欠点である耐擦過傷性に
は優れているものの、コアにカバーを被覆する工程が複
雑化するため、量産化が困難であり、生産性が低下す
る。
【0005】また、カバー材に熱可塑性ポリウレタン系
エラストマーを用いると、熱硬化性ポリウレタン組成物
に比較すると、生産性は向上するが、打球感、コントロ
ール性および反発性が十分には得られない。更に、ジイ
ソシアネートとして2,4−トリレンジイソシアネー
ト、2,6‐トリレンジイソシアネート、それらの混合
物(TDI)、4,4’‐ジフェニルメタンジイソシアネ
ート(MDI)等を用いた一般的な熱可塑性ポリウレタン
系エラストマーは、強度が大きく耐擦過傷性には優れて
いるものの、黄変し易く、白色ペイントが必要となると
いう問題点があった。そこでそのような耐変色性を改良
するため、脂肪族ジイソシアネートを使用する試みも提
案されている(特開平9‐271538号公報等)が、
上記のような芳香族ジイソシアネートを使用したものに
比較して、強度が低くて耐擦過傷性が低下してしまうと
いう問題があった。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、上記のよう
な従来のゴルフボールの有する問題点を解決し、打球
感、コントロール性、反発性、耐擦過傷性、耐変色性お
よび生産性に優れたゴルフボールを提供することを目的
とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明者等は、上記目的
を解決すべく鋭意研究を重ねた結果、カバーの基材樹脂
として、熱可塑性ポリウレタン系エラストマーと熱可塑
性ポリアミド系エラストマーとの混合物を用いることに
よって、打球感、コントロール性、反発性、耐擦過傷
性、耐変色性および生産性に優れたゴルフボールを提供
し得ることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0008】即ち、本発明は、センター(1)と該センタ
ー上に形成された中間層(2)から構成されるコア(4)、
および該コア上に形成されたカバー(3)とから成るスリ
ーピースソリッドゴルフボールにおいて、該カバー(3)
が、熱可塑性ポリウレタン系エラストマーと熱可塑性ポ
リアミド系エラストマーとの混合物を基材樹脂として含
有することを特徴とするスリーピースソリッドゴルフボ
ールに関する。
【0009】更に本発明を好適に実施するために、上記
熱可塑性ポリウレタン系エラストマーが脂環式ジイソシ
アネートを構成成分としてなり、上記脂環式ジイソシア
ネートが、4,4’‐ジシクロヘキシルメタンジイソシ
アネート、1,3‐ビス(イソシアナトメチル)シクロヘ
キサン、イソホロンジイソシアネートおよびトランス‐
1,4‐シクロヘキサンジイソシアネートから成る群か
ら選択される1種以上であり、上記カバーが、ショアD
硬度35〜55を有することが好ましい。
【0010】本発明のスリーピースソリッドゴルフボー
ルに関して、図1を参照して以下の通り説明する。図1
は本発明のスリーピースソリッドゴルフボールの1つの
態様の概略断面図である。本発明のスリーピースソリッ
ドゴルフボールは、センター(1)上に中間層(2)を被覆
してコア(4)を形成し、該コア(4)上にカバー(3)を形
成して得られる。本発明のゴルフボールのセンター(1)
は、基材ゴム、共架橋剤、有機過酸化物、充填材等を含
有するゴム組成物から成る。
【0011】本発明のゴルフボールのセンター(1)に用
いられる基材ゴムとしては、従来からソリッドゴルフボ
ールに用いられている合成ゴムが用いられ、特にシス‐
1,4‐結合少なくとも40%以上、好ましくは80%
以上を有するいわゆるハイシスポリブタジエンゴムが好
ましい。所望により、上記ポリブタジエンゴムには、天
然ゴム、ポリイソプレンゴム、スチレンポリブタジエン
ゴム、エチレン‐プロピレン‐ジエンゴム(EPDM)
等を配合してもよい。
【0012】共架橋剤は特に限定されないが、アクリル
酸またはメタクリル酸等のような炭素数3〜8のα,β
‐不飽和カルボン酸の、亜鉛、マグネシウム等の一価ま
たは二価の金属塩が好ましく、特に高い反発性を付与す
るアクリル酸亜鉛が好適である。配合量は、基材ゴム1
00重量部に対して、15〜45重量部、好ましくは2
5〜40重量部である。15重量部より少ないと軟らか
くなり過ぎて反発が悪くなり飛距離が低下し、45重量
部より多いと硬くなり過ぎて打撃時のフィーリングが悪
くなる。
【0013】有機過酸化物は架橋剤または硬化剤として
作用し、例えばジクミルパーオキサイド、1,1‐ビス
(t‐ブチルパーオキシ)‐3,3,5‐トリメチルシクロ
ヘキサン、2,5‐ジメチル‐2,5‐ジ(t‐ブチルパ
ーオキシ)ヘキサン、ジ‐t‐ブチルパーオキサイドが
挙げられ、ジクミルパーオキサイドが好適である。配合
量は、基材ゴム100重量部に対して、0.05〜3重
量部、好ましくは0.1〜1.5重量部である。0.0
5重量未満では軟らかくなり過ぎて反発が悪くなり飛距
離が低下し、3重量部を越えると硬くなり過ぎ、打撃時
のフィーリングが悪くなる。
【0014】充填材は、ゴルフボールのコアに通常配合
されるものであればよく、無機塩(具体的には、酸化亜
鉛、硫酸バリウム、炭酸カルシウム等)、高比重金属粉
末(例えば、タングステン粉末、モリブデン粉末等)お
よびそれらの混合物が挙げられる。配合量は、基材ゴム
100重量部に対して、1〜30重量部、好ましくは5
〜20重量部である。1重量未満では比重調整が困難に
なり適正な重量が得られなくなり、30重量部を越える
とコア全体に占めるゴム分率が小さくなって反発性が低
下する。
【0015】更に本発明のゴルフボールのセンターに
は、有機硫黄化合物、老化防止剤、その他ソリッドゴル
フボールのコアの製造に通常使用し得る成分を適宜配合
してもよい。尚、使用する場合、有機硫黄化合物は、基
材ゴム100重量部に対して、0.2〜5.0重量部が
好ましい。
【0016】センター(1)は前述のゴム組成物を、混
合、混練し、金型内で加硫成形することにより得ること
ができる。この際の条件は、特に限定されないが、通常
は130〜180℃、圧力2.9〜11.8MPaで1
0〜40分間で行われる。
【0017】本発明のゴルフボールのセンター(1)は、
直径30.0〜36.0mm、好ましくは31.0〜3
5.0mm、より好ましくは31.5〜34.0mmを
有するのが好適である。センター(1)の直径が30.0
mmよりも小さいと中間層またはカバーが厚くなり反発
性が低下し、36.0mmよりも大きいと中間層の厚さ
が薄くなり過ぎて、成形が困難となる。
【0018】本発明のゴルフボールのセンター(1)は、
初期荷重98Nを負荷した状態から終荷重1275Nを
負荷したときまでの変形量2.80〜4.50mm、好
ましくは2.90〜4.20mm、より好ましくは3.
00〜4.00mmを有することが望ましい。上記変形
量が2.80mm未満では打球感が硬くて悪くなり、
4.50mmを越えると逆に軟らかくなり過ぎて打球感
が重くて悪いものとなる。
【0019】本発明のゴルフボールのセンター(1)は、
ショアD硬度による中心硬度30〜45、好ましくは3
2〜43、より好ましくは35〜42を有することが望
ましい。上記中心硬度が30より小さいと軟らかくなり
過ぎて反発性が悪くなる。上記中心硬度が45より大き
いと、硬くなり過ぎて打撃時のフィーリングが悪くな
り、また打出角が低下し、スピン量も大きくなって飛行
性能が低下する。本明細書中で、センターの中心硬度と
は、通常センターを2等分切断して、その切断面の中心
点において測定した硬度を意味する。
【0020】本発明のゴルフボールのセンター(1)は、
ショアD硬度による表面硬度45〜60、好ましくは4
7〜58、より好ましくは48〜57を有することが望
ましい。上記表面硬度が45より小さいと軟らかくなり
過ぎて反発性が悪くなり、また打出角が低下し、スピン
量も大きくなって飛行性能が低下する。上記表面硬度が
60より大きいと、硬くなり過ぎて打撃時のフィーリン
グが悪くなる。本明細書中で、センターの表面硬度と
は、得られたセンターの外表面で測定した硬度を意味す
る。次いで、上記のセンター(1)上には、中間層(2)を
形成する。
【0021】本発明の中間層(2)は、上記センター(1)
と同様のゴム組成物から形成されても、または熱可塑性
樹脂、特に通常ゴルフボールのカバーに用いられるアイ
オノマー樹脂を基材樹脂として形成されてもよい。この
ようなアイオノマー樹脂としては、特にα‐オレフィン
と炭素数3〜8個のα,β‐不飽和カルボン酸の共重合
体中のカルボン酸の一部を金属イオンで中和したアイオ
ノマー樹脂、α‐オレフィンと炭素数3〜8個のα,β
‐不飽和カルボン酸とα,β‐不飽和カルボン酸エステ
ルとの三元共重合体中のカルボン酸の少なくとも一部を
金属イオンで中和したものまたはその混合物が用いられ
る。上記アイオノマー樹脂中のα‐オレフィンとして
は、エチレン、プロピレンが好ましく、α,β‐不飽和
カルボン酸としては、例えばアクリル酸、メタクリル
酸、フマル酸、マレイン酸、クロトン酸等が挙げられ、
特にアクリル酸、メタクリル酸等が好ましい。また、
α,β‐不飽和カルボン酸エステルとしては、例えばア
クリル酸、メタクリル酸、フマル酸、マレイン酸等のメ
チル、エチル、プロピル、n‐ブチル、イソブチルエス
テル等が用いられ、特にアクリル酸エステルとメタクリ
ル酸エステルが好ましい。更に、中和する金属イオンと
しては、アルカリ金属イオン、例えばNaイオン、Kイ
オン、Liイオン等;2価金属イオン、例えばZnイオ
ン、Caイオン、Mgイオン等;3価金属イオン、例えば
Alイオン、Ndイオン等;およびそれらの混合物が挙げ
られるが、Naイオン、Znイオン、Liイオン等が反発
性、耐久性等からよく用いられる。
【0022】アイオノマー樹脂の具体例としては、それ
だけに限定されないが、ハイミラン(Hi‐mila
n)1555、ハイミラン1557、ハイミラン160
1、ハイミラン1605、ハイミラン1652、ハイミ
ラン1702、ハイミラン1705,ハイミラン170
6,ハイミラン1707,ハイミラン1855,ハイミ
ラン1856、ハイミランAM7316(三井デュポン
ポリケミカル社製)、サーリン(Surlyn)894
5、サーリン9945、サーリン6320、サーリン8
320、サーリンAD8511、サーリンAD851
2、AD8542(デュポン社製)、アイオテック(I
otek)7010、アイオテック8000(エクソン
(Exxon)社製)等を例示することができる。これら
のアイオノマーは、上記例示のものをそれぞれ単独また
は2種以上の混合物として用いてもよい。
【0023】更に、本発明の中間層(2)の好ましい材料
の例としては、上記のようなアイオノマー樹脂のみであ
ってもよいが、アイオノマー樹脂と熱可塑性エラストマ
ーやジエン系ブロック共重合体等の1種以上とを組合せ
て用いてもよい。上記熱可塑性エラストマーの具体例と
して、例えば東レ(株)から商品名「ペバックス」で市販
されている(例えば、「ペバックス2533」)熱可塑
性ポリアミド系エラストマー、東レ・デュポン(株)から
商品名「ハイトレル」で市販されている(例えば、「ハ
イトレル3548」、「ハイトレル4047」)熱可塑
性ポリエステル系エラストマー、武田バーディシュ(株)
から商品名「エラストラン」で市販されている(例え
ば、「エラストランET880」)熱可塑性ポリウレタ
ン系エラストマー等が挙げられる。
【0024】上記ジエン系ブロック共重合体は、ブロッ
ク共重合体または部分水添ブロック共重合体の共役ジエ
ン化合物に由来する二重結合を有するものである。その
基体となるブロック共重合体とは、少なくとも1種のビ
ニル芳香族化合物を主体とする重合体ブロックAと少な
くとも1種の共役ジエン化合物を主体とする重合体ブロ
ックBとから成るブロック共重合体である。また、部分
水添ブロック共重合体とは、上記ブロック共重合体を水
素添加して得られるものである。ブロック共重合体を構
成するビニル芳香族化合物としては、例えばスチレン、
α‐メチルスチレン、ビニルトルエン、p‐t‐ブチル
スチレン、1,1‐ジフェニルスチレン等の中から1種
または2種以上を選択することができ、スチレンが好ま
しい。また、共役ジエン化合物としては、例えばブタジ
エン、イソプレン、1,3‐ペンタジエン、2,3‐ジメ
チル‐1,3‐ブタジエン等の中から1種または2種以
上を選択することができ、ブタジエン、イソプレンおよ
びこれらの組合せが好ましい。好ましいジエン系ブロッ
ク共重合体の例としては、エポキシ基を含有するポリブ
タジエンブロックを有するSBS(スチレン‐ブタジエ
ン‐スチレン)構造のブロック共重合体またはエポキシ
基を含有するポリイソプレンブロックを有するSIS
(スチレン‐イソプレン‐スチレン)構造のブロック共
重合体等が挙げられる。上記ジエン系ブロック共重合体
の具体例としては、例えばダイセル化学工業(株)から商
品名「エポフレンド」で市販されているもの(例えば、
「エポフレンドA1010」)、(株)クラレから商品
名「セプトン」で市販されているもの(例えば、「セプ
トンHG‐252」等)等が挙げられる。
【0025】上記の熱可塑性エラストマーやジエン系ブ
ロック共重合体等の配合量は、中間層用の基材樹脂10
0重量部に対して、1〜60重量部、好ましくは1〜3
5重量部である。1重量部より少ないとそれらを配合す
ることによる打球感の向上等の効果が不十分となり、6
0重量部より多いと中間層が軟らかくなり過ぎて反発性
が低下したり、またアイオノマー樹脂との相溶性が悪く
なって耐久性が低下しやすくなる。
【0026】上記中間層(2)がゴム組成物から形成され
る場合、中間層用ゴム組成物を混合、混練し、上記セン
ター(1)上に同心円状に被覆し、金型内で160〜18
0℃で10〜20分間加熱プレスすることにより、上記
センター(1)上に上記中間層(2)を被覆したコア(4)を
得ることができる。上記中間層(2)が熱可塑性樹脂から
形成される場合、中間層用樹脂組成物を、上記センター
(1)上に直接射出成形することによりコア(4)を得るこ
とができる。得られたコアは、その周りに被覆されるカ
バーとの密着性を向上するため、表面をバフ研磨してお
くことが好ましい。
【0027】上記中間層(2)とセンター(1)の中心との
ショアD硬度による硬度差が、25以上、好ましくは2
5〜40、より好ましくは30〜35であることが望ま
しい。上記硬度差が、25未満となると適正な飛行性能
(初期条件)が得られなくなる。
【0028】上記中間層(2)はショアD硬度による硬度
50〜80、好ましくは52〜75、より好ましくは5
5〜70を有することが望ましい。上記中間層硬度が5
0より小さいと、反発性が低下し、打出角が小さくなっ
て、飛行性能が低下し、また打撃時のフィーリングも悪
いものとなる。80より大きいと、硬くなり過ぎて打撃
時のフィーリングが硬く悪いものとなる。本明細書中
で、「中間層の硬度」とは、センター(1)上に中間層
(2)を被覆して得られたコア(4)の外表面において測定
した硬度である。上記中間層(2)の硬度を、センター
(1)の表面硬度より大きくすることにより、コア(4)と
して見た場合に、センター(1)の中心とコア(4)の表面
との硬度差が大きくなり、その結果ソフトで良好な打球
感を損なう事なく、高打出角化および低スピン化の達成
により飛距離が増大する。
【0029】上記中間層(2)の厚さは、センター(1)お
よびコア(4)の直径を規定することにより決定される
が、2.0〜5.0mm、好ましくは2.0〜4.5m
m、より好ましくは2.5〜4.0mmであることが望
ましい。上記中間層(2)の厚さが、2.0mm未満では
成形するのが困難となり、5.0mmを超えると打球感
が硬くて悪いものとなる。
【0030】本発明のゴルフボールのコア(4)は、直径
39.6〜41.8mm、好ましくは39.8〜41.
4mm、より好ましくは40.4〜41.2mmを有す
るのが好適である。上記コア(4)の直径が39.6mm
よりも小さいとカバーが厚くなり反発性が低下し、4
1.8mmよりも大きいとカバーの厚さが薄くなり過ぎ
て、カバーの効果が十分に得られず、また成形が困難と
なる。
【0031】本発明のゴルフボールのコア(4)は、初期
荷重98Nを負荷した状態から終荷重1275Nを負荷
したときまでの変形量2.50〜3.20mm、好まし
くは2.60〜3.10mm、より好ましくは2.70
〜3.00mmを有することが望ましい。上記変形量が
2.50mm未満では打球感が硬くて悪いものとなり、
3.20mmを越えると軟らかくなり過ぎて打球感が重
くて悪いものとなる。
【0032】上記コア(4)上には、次いでカバー(3)を
被覆する。本発明のゴルフボールに用いられるカバー
(3)は、熱可塑性ポリウレタン系エラストマーと熱可塑
性ポリアミド系エラストマーとの混合物を基材樹脂とし
て含有することを要件する。カバー(3)用組成物の基材
樹脂として、熱可塑性ポリウレタン系エラストマー、特
に耐変色(黄変)性の優れた脂肪族ジイソシアネートまた
は脂環式ジイソシアネートを使用した熱可塑性ポリウレ
タン系エラストマーを単独で用いた場合、樹脂押出時に
軟らか過ぎて樹脂切れが悪くなってペレタイジング(ペ
レット化)が困難であり、また成形(インジェクション
またはプレス)直後に生じるタック(粘着性)によりボー
ルどうしが付着するなど、生産性が低下するという問題
があった。これは、そのような熱可塑性ポリウレタン系
エラストマーの結晶性が低い(融点が低い)ため、十分に
冷却されない状態である押出時や成形直後には固化する
のが遅いことに起因する。
【0033】上記熱可塑性ポリウレタン系エラストマー
に結晶性の高い熱可塑性ポリアミド系エラストマーを混
合することにより、上記のような問題を解決し、生産性
が向上する。また、上記熱可塑性ポリアミド系エラスト
マーを混合することにより、混合物の溶融粘度が低下し
流動性が良くなるため、生産性が向上する。更に、熱可
塑性ポリアミド系エラストマーを混合することにより、
反発性も向上する。本発明において、種々の熱可塑性エ
ラストマーの中から熱可塑性ポリアミド系エラストマー
を選択したのは、熱可塑性ポリアミド系エラストマー
が、他の熱可塑性エラストマーと比較して、熱可塑性ポ
リウレタン系エラストマーとの相溶性が非常に良好であ
るからである。
【0034】熱可塑性ポリウレタン系エラストマーは、
一般にハードセグメントとしてポリウレタン構造を含有
し、ソフトセグメントとしてポリエステルまたはポリエ
ーテルを含有する。上記ポリウレタン構造は一般に、ジ
イソシアネートとアミン系等の硬化剤を含有する。上記
熱可塑性ポリウレタン系エラストマーとしては、構成成
分としての上記ジイソシアネートが芳香族ジイソシアネ
ート、脂環式ジイソシアネートおよび脂肪族ジイソシア
ネートであるものが挙げられる。
【0035】上記芳香族ジイソシアネートの例として、
トリレンジイソシアネート(TDI)、4,4’‐ジフェ
ニルメタンジイソシアネート(MDI)、1,5‐ナフチ
レンジイソシアネート(NDI)、トリレンジイソシアネ
ート(TODI)、キシリレンジイソシアネート(XDI)
等が挙げられ、MDIが好適に用いられる。上記MDI
を使用した熱可塑性ポリウレタン系エラストマーの具体
例として、BASFポリウレタンエラストマーズ(株)か
ら市販の「エラストランET890(商品名)」等が挙
げられる。
【0036】上記脂環式ジイソシアネートの例として
は、MDIの水素添加物である4,4’‐ジシクロヘキ
シルメタンジイソシアネート(H12MDI)、XDI
の水素添加物である1,3‐ビス(イソシアナトメチル)
シクロヘキサン(HXDI)、イソホロンジイソシア
ネート(IPDI)およびトランス‐1,4‐シクロヘ
キサンジイソシアネート(CHDI)から成る群から選
択される1種、または2種以上の組合せ等が挙げられ、
汎用性および加工性の面からH12MDIが好適であ
る。上記H12MDIを使用した熱可塑性ポリウレタン
系エラストマーの具体例として、BASFポリウレタン
エラストマーズ(株)から市販の「エラストランXNY9
0A(商品名)」、「エラストランXNY97A(商品
名)」、「エラストランXNY585」等が挙げられ
る。
【0037】上記脂肪族ジイソシアネートの例として、
1,6‐ヘキサメチレンジイソシアネート(HDI)が挙
げられ、HDIを使用した熱可塑性ポリウレタン系エラ
ストマーの具体例として大日本インキ化学工業(株)から
市販の「パンデックスT‐7890(商品名)」等が挙
げられる。
【0038】上記熱可塑性ポリウレタン系エラストマー
は、耐変色(黄変)性の観点から、分子内の骨格構造中に
二重結合を有さないジイソシアネート、即ち脂肪族ジイ
ソシアネートおよび脂環式ジイソシアネート、を使用し
た熱可塑性ポリウレタン系エラストマーが好ましい。ま
た、耐擦過傷性等を考慮して、機械的強度の大きい脂環
式ジイソシアネートおよび更に芳香族ジイソシアネート
を使用した熱可塑性ポリウレタン系エラストマーが好ま
しい。本発明のゴルフボールのカバーに用いる熱可塑性
ポリウレタン系エラストマーとしては、上記耐変色性お
よび耐擦過傷性の両者を考慮して、脂環式ジイソシアネ
ートを使用した熱可塑性ポリウレタン系エラストマーが
より好ましい。
【0039】熱可塑性ポリアミド系エラストマーは、一
般にハードセグメントとしてポリアミドを含有し、ソフ
トセグメントとしてポリエーテルまたはポリエステルを
含有する。本発明のゴルフボールのカバー(3)に用いら
れる熱可塑性ポリアミド系エラストマーとしては、熱可
塑性ポリエーテルポリアミド系エラストマーまたは熱可
塑性ポリエステルポリアミド系エラストマーであっても
よいが、熱可塑性ポリエーテルポリアミド系エラストマ
ーが好適に用いられる。このような熱可塑性ポリエーテ
ルポリアミド系エラストマーの具体例として、アトフィ
ナ・ジャパン(株)から市販の「ペバックス5533SN
00(商品名)」などが挙げられる。
【0040】上記熱可塑性ポリウレタン系エラストマ
ー:熱可塑性ポリアミド系エラストマーのブレンド比率
は、95:5〜60:40、好ましくは90:10〜7
0:30、より好ましくは90:10〜80:20であ
ることが望ましい。上記熱可塑性ポリアミド系エラスト
マーが5重量%より少ないと、ブレンドの効果が十分に
得られず、40重量%より多いと耐擦過傷性が悪くな
る。
【0041】本発明のゴルフボールにおいて、カバー材
には、上記のような樹脂成分以外に、必要に応じて、二
酸化チタン等の着色剤、分散剤、老化防止剤、紫外線吸
収剤、光安定剤、蛍光材料、蛍光増白剤等の添加剤等を
ゴルフボールカバ−による所望の特性が損なわれない範
囲で含有してもよいが、通常、着色剤の配合量は0.1
〜5重量部が好ましい。
【0042】上記カバー(3)を被覆する方法について
も、特に限定されるものではなく、通常のカバーを被覆
する方法で行うことができる。カバー用組成物を予め半
球殻状のハーフシェルに成形し、それを2枚用いてコア
を包み、160〜200℃で1〜10分間加圧成形する
か、または上記カバー用組成物を直接コア上に射出成形
してコアを包み込む方法が用いられる。
【0043】上記カバー(3)は、厚さ0.5〜1.6m
m、好ましくは0.7〜1.5mm、より好ましくは
0.8〜1.4mmを有することが望ましい。0.5m
mより小さいと薄くなり過ぎて成形が困難となり真球状
のボールが得られなくなり、1.6mmより大きいと厚
くなり過ぎて反発性が低下する。
【0044】本発明のゴルフボールのカバー(3)は、シ
ョアD硬度35〜55、好ましくは40〜50、より好
ましくは42〜48を有することが望ましい。上記カバ
ー硬度が35より小さいと、反発性が低く、また前述の
ような工程上の問題が発生する。55より大きいと、打
球感が硬くて悪いものとなる。尚、本明細書中で、カバ
ー硬度とは、カバー用組成物から作製された熱プレスシ
ートを用いて測定した硬度を意味する。
【0045】本発明のゴルフボールでは、カバー成形時
に、必要に応じて、ボール表面にディンプルを形成し、
また、カバー成形後、ペイント仕上げ、マーキングスタ
ンプ等も必要に応じて施し得る。
【0046】本発明のゴルフボールは、初期荷重98N
を負荷した状態から終荷重1275Nを負荷したときま
での変形量2.50〜3.20mm、好ましくは2.6
0〜3.10mm、より好ましくは2.65〜2.90
mmを有することが望ましい。2.50mm未満では打
球感が硬くて悪いものとなり、3.20mmを越えると
軟らかくなり過ぎて打球感が重くて悪いものとなる。
【0047】本発明のゴルフボールは、ゴルフボール規
則に基づいて、直径42.67mm以上(好ましくは4
2.67〜43mm)、重量45.93g以下に形成さ
れる。
【0048】
【実施例】次に、本発明を実施例により更に詳細に説明
する。但し、本発明はこれら実施例に限定されるもので
はない。
【0049】コアの作製 (i)センターの作製 以下の表1に示した配合のセンター用ゴム組成物を混
合、混練し、金型内で165℃で20分間加熱プレスす
ることにより球状のセンターを得た。得られたセンター
の直径および圧縮変形量を測定し、その結果を同表に示
した。
【0050】(ii)2層コアの作製 (コア配合I)以下の表1に示した配合の中間層用ゴム
組成物を混合、混練し、上記(i)で作製したセンター上
に同心円状に被覆し、金型内で165℃で20分間加熱
プレスすることにより2層コアを作製した。 (コア配合II)以下の表1に示した配合の中間層用ゴ
ム組成物を上記(i)で作製したセンター上に直接射出成
形することにより2層コアを作製した。得られた2層コ
アの直径および圧縮変形量を測定し、その結果を同表に
示した。
【0051】
【表1】
【0052】(注1)JSR(株)から商品名「BR‐1
8」で市販のハイシスポリブタジエンゴム(シス‐1,
4‐ポリブタジエン含量=96%) (注1‐2)JSR(株)から商品名「BR‐11」で市販
のハイシスポリブタジエンゴム(シス‐1,4‐ポリブ
タジエン含量=96%) (注2)三井デュポンポリケミカル(株)製のナトリウムイ
オン中和エチレン‐メタクリル酸共重合体系アイオノマ
ー樹脂 (注3)デュポン社製の亜鉛イオン中和エチレン‐メタク
リル酸共重合体系アイオノマー樹脂
【0053】カバー用組成物の調製 以下の表2および表3に示すカバー用配合材料を二軸混
練型押出機によりミキシングし、ペレット状のカバー用
組成物を得た。得られたカバー用組成物のペレタイジン
グ性を評価し、その結果を表4(実施例)および表5(比
較例)に示した。試験方法は後述の通り行った。押出条
件は、 スクリュー径 45mm スクリュー回転数 200rpm スクリューL/D 35 であり、配合物は押出機のダイの位置で200〜260
℃に加熱された。上記カバー用組成物から作製された厚
さ2mmの熱プレスシートを、23℃で2週間保存後、
そのシートを3枚以上重ねて、ASTM‐2240‐6
8に規定のスプリング式硬度計ショアD型を用いて測定
した硬度を、カバー硬度として表2〜5に示した。
【0054】
【表2】
【0055】
【表3】
【0056】(注4)商品名、BASFポリウレタンエラ
ストマーズ(株)製の4,4’‐ジシクロヘキシルメタン
ジイソシアネート(H12MDI)(=水添MDI)を使
用した熱可塑性ポリウレタン系エラストマー (注5)商品名、BASFポリウレタンエラストマーズ
(株)製の4,4’‐ジシクロヘキシルメタンジイソシア
ネート(H12MDI)(=水添MDI)を使用した熱可
塑性ポリウレタン系エラストマー (注6)商品名、BASFポリウレタンエラストマーズ
(株)製の4,4’‐ジフェニルメタンジイソシアネート
(MDI)を使用した熱可塑性ポリウレタン系エラストマ
ー (注7)大日本インキ化学工業(株)製のヘキサメチレンジ
イソシアネート(HDI)を使用した熱可塑性ポリウレタ
ン系エラストマー (注8)エルフ・アトケム・ジャパン(株)製の熱可塑性ポリ
エーテルポリアミド系エラストマー (注9)デュポン社製のナトリウムイオン中和エチレン‐
メタクリル酸共重合体系アイオノマー樹脂 (注10)三井デュポンポリケミカル(株)製の亜鉛イオン
中和エチレン‐メタクリル酸‐イソブチルアクリレート
三元共重合体系アイオノマー樹脂
【0057】実施例1〜7および比較例1〜5 得られたカバー用組成物を上記のようにして得られたコ
ア上に直接射出成形して、以下の表4(実施例)および
表5(比較例)に示したカバー厚さを有するカバー層を
形成した。成形直後のタック性を評価し、その結果を同
表に示した。次いで、表面にクリアーペイントを塗装し
て、直径42.8mmおよび重量45.3gを有するゴ
ルフボールを得た。得られたゴルフボールの圧縮変形
量、反発係数、飛距離、耐変色性(黄変性)および耐擦
過傷性を測定または評価し、その結果を以下の表4(実
施例)および表5(比較例)に示した。試験方法は以下
の通り行った。
【0058】(試験方法) (1)圧縮変形量 センター、コアまたはゴルフボールに初期荷重98Nを
負荷した状態から終荷重1275Nを負荷したときまで
の変形量を測定した。
【0059】(2)ペレタイジング性 ペレタイザー装置で、カバー用組成物を円形断面の形状
で押出し、それをカットしてペレット化を行い、カット
されたペレットの断面を評価した。判定基準は以下の通
りとした。 判定基準 ○ … 断面が円形である △ … 断面が円形から変形している × … 断面が大きく変形している
【0060】(3)成形直後のタック性 成形直後のゴルフボールを重ねて置き、ゴルフボールど
うしのくっつき(付着)状態を評価した。判定基準は以
下の通りとした。 判定基準 有 … ゴルフボールどうしがくっつく(付着する) 無 … ゴルフボールどうしがくっつかない(付着しな
い)
【0061】(4)反発係数 各ゴルフボールに200gのアルミニウム製円筒物を4
5m/秒の速度で衝突させ、衝突前後の上記円筒物およ
びゴルフボールの速度を測定し、それぞれの速度および
重量から各ゴルフボールの反発係数を算出した。測定は
各ゴルフボールについて5回ずつ行って、その平均値を
各ゴルフボールの反発係数とした。
【0062】(5)飛距離 ツルーテンパー社製スイングロボットにメタルヘッド製
ウッドl番クラブ(W#1、ドライバー)を取付け、ヘ
ッドスピード45m/秒に設定して各ゴルフボールを打
撃し、停止点までの飛距離(トータル)を測定した。測
定は各ゴルフボールについて5回ずつ行って、その平均
値を算出して各ゴルフボールの結果とした。
【0063】(6)耐変色性(黄変性) スガ試験機(株)のサンシャインウェザーメーターを用い
て、各ゴルフボールに120時間照射した。その前後の
Lab色差を色彩色差計(ミノルタ(株)から市販のCR
−221)を使用して測定し(ΔL、ΔaおよびΔ
b)、ΔEで表した。ΔEは以下の式を用いて求められ
る。この色差値が大きい程、変色(黄変)し易いことを
表す。 ΔE=[(ΔL)+(Δa)+(Δb)1/2
【0064】(7)耐擦過傷性 ツルーテンパー社製スイングロボットに市販のピッチン
グウェッジ(PW)を取り付け、ヘッドスピード36m/
秒に設定して各ゴルフボールの2箇所を各1回打撃し、
2箇所打撃部を目視で観察した。判定基準は以下の通り
とした。 判定基準 ○ … ゴルフボール表面に傷がわずかに残るがほとんど
気にならない程度。 △ … ゴルフボール表面に傷がはっきり残り、若干の毛
羽立ちが見られる。 × … ゴルフボール表面がかなり削れ、毛羽立ちが目立
つ。
【0065】(試験結果)
【表4】
【0066】
【表5】
【0067】以上の結果より、実施例1〜5および7の
本発明のゴルフボールは、比較例1〜4のゴルフボール
に比べて、反発性、打球感、コントロール性、耐変色性
および耐擦過傷性に優れることがわかった。また、実施
例6の本発明のゴルフボールは、カバー用基材樹脂とし
て芳香族ジイソシアネートを使用した熱可塑性ポリウレ
タン系エラストマーおよび熱可塑性ポリアミド系エラス
トマーを使用しているため、耐変色性は芳香族ジイソシ
アネートを使用した熱可塑性ポリウレタン系エラストマ
ーを用いた比較例2と同等であるが、他の特性は比較例
より優れる。
【0068】これに対して、比較例1のゴルフボールで
は、カバー用基材樹脂として脂環式ジイソシアネートを
使用した熱可塑性ポリウレタン系エラストマーのみを用
いて、熱可塑性ポリアミド系エラストマーを使用してい
ないため、耐擦過傷性は優れるものの、生産性(ペレタ
イジング性および成形直後タック性)が悪く、反発係数
が小さいものとなった。
【0069】比較例2のゴルフボールでは、カバー用基
材樹脂として芳香族ジイソシアネートを使用した熱可塑
性ポリウレタン系エラストマーのみを用いて、熱可塑性
ポリアミド系エラストマーを使用していないため、耐擦
過傷性は優れるものの、非常に黄変し易いものとなって
いる。
【0070】比較例3のゴルフボールでは、カバー用基
材樹脂として脂肪族ジイソシアネートを使用した熱可塑
性ポリウレタン系エラストマーのみを用いて、熱可塑性
ポリアミド系エラストマーを使用していないため、黄変
はしにくいものの、生産性が悪く、耐擦過傷性が劣るも
のとなっている。
【0071】比較例4のゴルフボールでは、カバー用基
材樹脂として低硬度のアイオノマー樹脂と熱可塑性ポリ
アミド系エラストマーを用いているため、生産性は優れ
るものの、反発係数が小さくなると共に、耐擦過傷性が
劣るものとなっている。
【0072】比較例5のゴルフボールでは、カバー用基
材樹脂として低硬度のアイオノマー樹脂のみを用いてい
るため、生産性は優れるものの、反発係数が小さくなる
と共に、耐擦過傷性が劣るものとなっている。
【0073】
【発明の効果】本発明のゴルフボールは、カバーの基材
樹脂として、熱可塑性ポリウレタン系エラストマーと熱
可塑性ポリアミド系エラストマーとの混合物を用いるこ
とによって、打球感、コントロール性、反発性、耐擦過
傷性、耐変色性および生産性に優れたゴルフボールを提
供し得たものである。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明のゴルフボールの一例を示す断面図。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 加藤 聡 兵庫県神戸市中央区脇浜町3丁目6番9号 住友ゴム工業株式会社内 Fターム(参考) 4J002 CK03W CK04W CL00X FD037 FD058 FD096

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 センター(1)と該センター上に形成され
    た中間層(2)から構成されるコア(4)、および該コア上
    に形成されたカバー(3)とから成るスリーピースソリッ
    ドゴルフボールにおいて、該カバー(3)が、熱可塑性ポ
    リウレタン系エラストマーと熱可塑性ポリアミド系エラ
    ストマーとの混合物を基材樹脂として含有することを特
    徴とするスリーピースソリッドゴルフボール。
  2. 【請求項2】 前記熱可塑性ポリウレタン系エラストマ
    ーが脂環式ジイソシアネートを構成成分としてなる請求
    項1記載のゴルフボール。
  3. 【請求項3】 前記脂環式ジイソシアネートが、4,
    4’‐ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート、1,
    3‐ビス(イソシアナトメチル)シクロヘキサン、イソホ
    ロンジイソシアネートおよびトランス‐1,4‐シクロ
    ヘキサンジイソシアネートから成る群から選択される1
    種以上である請求項1または2のいずれか1項記載のゴ
    ルフボール。
  4. 【請求項4】 前記カバー(3)が、ショアD硬度35〜
    55を有する請求項1〜3のいずれか1項記載のゴルフ
    ボール。
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