JP2000128574A - ビスマス系ガラス組成物 - Google Patents

ビスマス系ガラス組成物

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Abstract

(57)【要約】 【課題】 500℃以下の温度で焼成が可能であるとと
もに、PbOを含有しないために環境問題が生じたり、
電気絶縁性が低下する恐れがないガラス組成物を提供す
る。 【解決手段】 モル分率で、Bi23 30〜50%、
23 10〜40%、BaO+SrO 1〜10%、
ZnO 0〜30%、CuO 0〜20%、Fe 23
0〜5%、SiO2+Al23 0〜5%、Cs2O 0
〜5%、F2 0〜20%の組成を有し、かつ、Bi2
3/(BaO+SrO)が3.5〜35.0の関係を満た
すことを特徴とする。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は電子部品の接着、封着、
被覆等に好適なビスマス系ガラス組成物に関するもので
ある。
【0002】
【従来の技術】従来から電子部品の接着や封着材料とし
て、或いは電子部品に形成された電極や抵抗体の保護や
絶縁のための被覆材料としてガラスが用いられている。
【0003】これらのガラスは、その用途に応じて化学
耐久性、機械的強度、流動性、電気絶縁性等種々の特性
が要求されるが、何れの用途にも共通する特性として、
低温で焼成可能であることが挙げられる。それゆえ何れ
の用途においても、ガラスの融点を下げる効果が極めて
大きいPbOを多量に含有した低融点ガラスが広く用い
られている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら最近、P
bO含有ガラスに対して環境上の問題が指摘されてお
り、PbOを含まないガラスに置換することが望まれて
いる。またPbOを多量に含有するガラスを用いて電気
絶縁膜を形成すると、Pb2+イオンが拡散して電気絶縁
性が低下し易いという不都合もある。
【0005】本発明は上記事情に鑑みなされたものであ
り、500℃以下の温度で焼成が可能であるとともに、
PbOを含有しないために環境問題が生じたり、電気絶
縁性が低下する恐れがないガラス組成物を提供すること
を目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明のビスマス系ガラ
スは、モル分率で、Bi23 30〜50%、B23
0〜40%、BaO+SrO 1〜10%、ZnO 0
〜30%、CuO0〜20%、Fe23 0〜5%、S
iO2+Al23 0〜5%、Cs2O 0〜5%、F2
0〜20%の組成を有し、かつ、Bi23/(BaO
+SrO)が3.5〜36.0の関係を満たすことを特
徴とする。
【0007】
【作用】本発明のビスマス系ガラス組成物の組成を上記
のように限定した理由は次のとおりである。
【0008】Bi23はガラスの軟化点を下げるための
主要成分であり、その含有量は30〜50%、好ましく
は35〜45%である。Bi23 の含有量が30%よ
り少ないと転移点が高くなり過ぎて500℃以下で焼成
できなくなり、50%より多いと安定なガラスが得られ
なくなる。
【0009】B23はガラス形成成分として必須であ
り、その含有量は10〜40%、好ましくは18〜40
%である。B23の含有量が10%より少ないとガラス
が不安定になって失透し易くなる。また失透を生じない
場合でも、焼成時に結晶の析出速度が極めて大きく、接
着、封着、被覆等の作業に必要な流動性が得られない。
一方、B23が40%より多くなるとガラスの粘性が高
くなり過ぎて500℃以下の温度で焼成が困難になる。
【0010】BaOとSrOはガラスの安定化に大きな
効果があり、これらを合量で1〜10%、好ましくは2
〜9%含有する。これらの成分の合量が1%より少ない
とその効果がなく、一方、10%より多くなると転移点
が高くなる。なおBaOの含有量は0〜10%、特に2
〜9%であることが好ましく、またSrOの含有量は0
〜5%、特に0〜3%であることが好ましい。
【0011】また、Bi23と(BaO+SrO)の割
合は、低融点でかつ安定なガラスを得る上で重要な要素
であり、モル比でBi23/(BaO+SrO)が3.
5〜35.0、好ましくは4.0〜15.0、さらに好
ましくは5.0〜10.0である。Bi23/(BaO
+SrO)が3.5未満になると、ガラスの転移点が高
くなり、500℃以下の温度で封着し難くなる。また3
5.0を超えると結晶の析出速度が極めて大きくなって
流動性が悪くなる。
【0012】ZnOはガラスの安定化に大きな効果があ
り、その含有量は0〜30%、好ましくは15〜25%
である。その含有量が30%より多くなるとガラスが結
晶化しやすくなって流動性が悪くなる。
【0013】CuOはガラスを安定化するための成分で
あり、その含有量は0〜20%、好ましくは0〜15%
である。CuOが20%を超えると結晶の析出速度が極
めて大きくなって流動性が悪くなる。
【0014】Fe23はガラスを安定化するための成分
であり、その含有量は0〜5%、好ましくは0〜2%で
ある。Fe23が5%を超えると逆にガラスが不安定に
なる。
【0015】SiO2及びAl23は何れもガラスをよ
り安定化させるために含有させる成分であり、合量で5
%以下、好ましくは2%以下使用する。これらの成分が
上記範囲を超えるとガラスの粘性が高くなり過ぎて好ま
しくない。なおSiO2及びAl23の含有量はそれぞ
れ0〜2%であることが好ましい。
【0016】Cs2OとF2はガラスをより低粘性化する
成分であり、Cs2Oの含有量は0〜5%、好ましくは
0〜3%、F2の含有量は0〜20%、好ましくは0〜
10%である。これらの成分が上記範囲を超えるとガラ
スの化学耐久性が低下する。
【0017】なお上記成分以外にも、ガラスの粘性や熱
膨張係数の調整のために、MgO、La23、Ti
2、ZrO2、V25、Nb25、MoO3、WO3、T
eO2、Ag2O、Na2O、K2O、Li2O等を5%以
下添加することが可能である。ただしPbO等、環境上
問題のある成分の添加は避けるべきである。
【0018】以上の組成を有するガラスは、500℃以
下の温度で良好な流動性を示す非結晶性又は結晶性のガ
ラスである。また30〜300℃における熱膨張係数が
約100×10-7/℃以上であり、これと適合する高膨
張材料を500℃以下の温度で接着、封着又は被覆する
ことが可能である。
【0019】一方、熱膨張係数の適合しない材料の接
着、封着又は被覆を行う場合、対象物との熱膨張係数差
を是正するために、耐火性フィラーを混合して使用する
ことが可能である。また機械的強度が不足する場合も耐
火性フィラーを混合して使用することができる。
【0020】耐火性フィラーを混合する場合、その混合
割合はガラス45〜95体積%と耐火性フィラー55〜
5体積%であることが好ましい。両者の割合をこのよう
に規定した理由は、耐火性フィラーが5体積%より少な
いとその効果がなく、55体積%より多くなると流動性
が悪くなり易いためである。
【0021】耐火性フィラーとしては、チタン酸鉛系セ
ラミック、ウイレマイト系セラミック、β−ユークリプ
タイト、コーディエライト、ジルコン系セラミック、酸
化錫系セラミック、ムライト、石英ガラス、アルミナ等
の粉末を単独、或は組み合わせて使用することが好まし
い。
【0022】なお本発明のビスマス系ガラス組成物の具
体的な用途としては、蛍光表示管用パッケージの封
着、絶縁層の形成、プラズマディスプレイ−パネルの
気密封着、絶縁層や誘電体層の形成、バリアリブの形
成、磁気ヘッド−コア同士又はコアとスライダーの封
着、等が挙げられる。また使用時の形態は特に制限はな
く、粉末状、板状、棒状等、その用途に応じて種々の形
態に成形して使用することができる。
【0023】
【実施例】以下、本発明のビスマス系ガラス組成物を実
施例に基づいて詳細に説明する。
【0024】表1〜3は、本発明の実施例(試料No.
1〜12)及び比較例(試料No.13〜15)を示す
ものである。
【0025】
【表1】(モル%)
【0026】
【表2】(モル%)
【0027】
【表3】(モル%)
【0028】表の各試料は次のようにして調製した。
【0029】まず表に示したガラス組成となるように各
種酸化物、炭酸塩等を調合したガラスバッチを準備し、
これを白金坩堝に入れて900〜1000℃で2時間溶
融した後、溶融ガラスをステンレス製の金型に流しだし
て成形した。得られた各試料について、ガラス転移点、
30〜300℃における熱膨張係数、焼成温度、及び結
晶性か非結晶性かを評価した。結果を表に示す。
【0030】表から明らかなように、本発明の実施例で
あるNo.1〜12の各試料は、ガラス転移点が345
〜373℃、30〜300℃の温度範囲における熱膨張
係数が109〜119×10-7/℃であり、焼成温度が
500℃以下であった。また試料No.1、3、4、
7、9、12は結晶性であり、試料No.2、5、6、
8、10、11は非結晶性であった。
【0031】一方、比較例であるNo.13の試料はB
aOとSrOの含有量が1%未満であり、またBi23
/(BaO+SrO)が35.0を超える。このためガ
ラスの結晶化傾向が著しく、その結果、流動性が悪く、
500℃以下で焼成できなかった。No.14の試料は
BaOとSrOが合量で10%を超え、Bi23/(B
aO+SrO)が3.5未満であるために、またNo.
15の試料はBi23が30%未満であるために、ガラ
ス転移点が高くなり、何れも500℃以下の温度で焼成
できなかった。
【0032】なお転移点は示差熱分析装置(DTA)に
より求めた。熱膨張係数は、成形したガラス体を直径4
mm、長さ40mmの円柱状に研磨加工し、押し棒式熱
膨張係数測定装置を用いて測定した。焼成温度は、次の
ようにして求めた。まずガラス体を粉砕してガラス粉末
を得、ガラスの真比重に相当する重量のガラス粉末を金
型を用いて外径20mm、高さ約5mmのボタン状に加
圧成形した。次いでこのボタンを板ガラスの上に載せて
電気炉に入れ、10℃/分の速度で昇温し、種々の温度
で10分間保持した。このようにして得られたボタンの
外径が21〜22mmの範囲にある温度を焼成温度とし
た。また結晶性か非結晶性かの判定は、焼成温度で10
分間加熱された後の試料の外観を顕微鏡で観察し、結晶
の析出状態から評価した。
【0033】
【発明の効果】以上のように本発明のビスマス系ガラス
組成物は、PbOを含有しないため、環境問題を引き起
こす心配がない。また500℃以下の温度で焼成できる
ため、従来のPbOを含有する低融点ガラスの代替材料
として、電子部品の接着、封着、被覆等の用途に使用す
ることが可能である。
フロントページの続き Fターム(参考) 4G062 AA08 AA09 AA15 BB07 BB08 CC10 DA01 DA02 DA03 DB01 DB02 DB03 DC04 DC05 DD01 DE01 DE02 DE03 DE04 DF01 EA01 EA10 EB01 EC01 ED01 EE01 EF01 EF02 EF03 EG01 EG02 EG03 FA01 FA10 FB01 FC01 FD01 FE01 FF01 FG01 FH01 FJ01 FK01 FL01 GA05 GB01 GC01 GD01 GE01 GE02 GE03 GE04 HH01 HH02 HH03 HH04 HH05 HH07 HH09 HH11 HH12 HH13 HH15 HH17 HH20 JJ01 JJ03 JJ05 JJ07 JJ10 KK01 KK03 KK05 KK07 KK10 MM05 MM08 MM12 MM23 NN32 PP02 PP03 PP05 PP06 PP09

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 モル分率で、Bi23 30〜50%、
    23 10〜40%、BaO+SrO 1〜10%、
    ZnO 0〜30%、CuO 0〜20%、Fe23
    0〜5%、SiO2+Al23 0〜5%、Cs2O 0
    〜5%、F20〜20%の組成を有し、かつ、Bi23
    /(BaO+SrO)が3.5〜35.0の関係を満た
    すことを特徴とするビスマス系ガラス組成物。
  2. 【請求項2】 本質的にPbOを含有しないことを特徴
    とする請求項1のビスマス系ガラス組成物。
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