JP2000108878A - マスタシリンダ - Google Patents
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Abstract
駆動力制御装置との組み合わせに好適となるマスタシリ
ンダを提供する。 【解決手段】 シリンダ11とピストン13の外周面と
で形成されリザーバに連通する液補給室34を圧力室1
7に対し区画するため、ピストン13の外周面に摺接可
能となるようシリンダ11の内周側に保持された環状の
カップシール46を有し、ピストン13には、その外周
面に一側が開口するとともに他側が圧力室17に常時開
口し圧力室17を液補給室34に連通可能なリリーフポ
ート56が形成されているものであって、ピストン13
の外周部のリリーフポート56の開口部88より後側
に、前側が小径となる制御テーパ面86が、カップシー
ル46の内周部と当接可能に形成されてなる。
Description
動させる液圧を発生させるマスタシリンダに関する。
開平2−136363号公報に開示されたものがある。
このマスタシリンダは、図12に示すように、シリンダ
111と、該シリンダ111に摺動可能に設けられると
ともに該シリンダ111とで前進側(図2における左
側)に液圧を発生させる圧力室112を形成するピスト
ン113と、シリンダ111とピストン113の外周面
とで形成され図示せぬリザーバに連通する液補給室11
4を圧力室112に対し区画するため、ピストン113
のストレートな形状の外周面に摺接可能となるようシリ
ンダ111の内周側に保持された環状のカップシール1
15とを有するもので、ピストン113には、その外周
面に一側が開口するとともに他側が圧力室112に常時
開口し圧力室112を液補給室114に連通可能なリリ
ーフポート116が形成されている。ここで、このマス
タシリンダで使用されるカップシール115は、図13
にX0で示すように、ピストン113の移動方向におけ
る前側にピストン113に対する面圧のピーク位置が配
置されている。そして、図14に示すように、ピストン
113が圧力室112に対し最も反対側に位置する初期
位置にある初期状態においては、実線で示すようにリリ
ーフポート116が圧力室112を液補給室114に連
通させており、ピストン113が圧力室112側に前進
を始め、二点鎖線で示すようにリリーフポート116が
カップシール115の面圧ピーク近傍の所定位置を越え
る位置まで前進すると、圧力室112と液補給室114
とが完全に遮断されて圧力室112にあるブレーキ液を
ピストン113が押圧して液圧を発生させるようになっ
ている。
ンダは、車両におけるブレーキフィーリングの関係上、
初期位置から液圧発生開始までのピストン113のいわ
ゆる無効ストロークAは、ある程度決まっているため
(A=1.2mm〜1.5mm程度)、液圧発生開始位
置であるリリーフポート116がカップシール115の
面圧ピーク近傍の所定位置を越える位置からこの無効ス
トローク値Aの分だけ戻ったところをピストン113の
初期位置としなければならない。このようにピストン1
13の初期位置を設定すると、上記のマスタシリンダに
おいては、ピストン113のリリーフポート116は、
カップシール115の後端部により開口部117が大部
分塞がれざるを得ず、液補給室114に対するその開口
量すなわち連通量を十分に確保できないという問題があ
った。このため、このマスタシリンダをトラクションコ
ントロール装置等の制駆動力制御装置と組み合わせ、ト
ラクションコントロール等のために圧力室に連通する配
管から強制的にブレーキ液を吸引しようとしても、ブレ
ーキ液がリザーバから圧力室に流れにくく、制駆動力制
御装置との組み合わせに適さないという問題があった。
ークを長大化させることなく、制駆動力制御装置との組
み合わせに好適となるマスタシリンダを提供することで
ある。
め、本発明の請求項1記載のマスタシリンダは、シリン
ダと、該シリンダに摺動可能に設けられるとともに該シ
リンダとで前側に液圧を発生させる圧力室を形成するピ
ストンと、前記シリンダと前記ピストンの外周面とで形
成されリザーバに連通する液補給室を前記圧力室に対し
区画するため、前記ピストンの外周面に摺接可能となる
よう前記シリンダの内周側に保持された環状のカップシ
ールと、を有し、前記ピストンには、その外周面に一側
が開口するとともに他側が前記圧力室に常時開口し前記
圧力室を前記液補給室に連通可能なリリーフポートが形
成されているものであって、前記ピストンの外周部の前
記リリーフポートの開口部より後側に、前側が小径とな
る制御テーパ面が、前記カップシールの内周部と当接可
能に形成されてなることを特徴としている。
ポートの開口部より後側に、前側が小径となる制御テー
パ面が、カップシールの内周部と当接可能に形成されて
なるため、ピストンを前進させた場合に、カップシール
の内周部の後端部側に制御テーパ面を当接させ該制御テ
ーパ面に沿ってカップシールを拡径させると、該カップ
シールとピストンとの間の面圧を部分的に高くすること
ができる。その結果、該カップシールの後端部側で十分
な面圧を発生させて圧力室と液補給室とを遮断し圧力室
にあるブレーキ液をピストンで押圧して液圧を発生させ
ることが可能となる。よって、カップシールの後端部側
で、圧力室と液補給室とを遮断するに十分な面圧を発生
させることが可能となるため、リリーフポートの開口部
はこの制御テーパ面より前側に位置していればよいこと
になる。その結果、無効ストロークを長大化させること
なく、初期位置にあるピストンのリリーフポートをカッ
プシールに対しより後側に配置することが可能となり、
液補給室に対するその開口量すなわち連通量を十分に確
保できることになる。
よれば、請求項1記載のものに関して、前記ピストンの
外周部に凹部を形成するとともに該凹部に前記リリーフ
ポートの開口部を配置し、さらに該リリーフポートの開
口部より後側の前記凹部を前記制御テーパ面としてなる
ことを特徴としている。
側の凹部を制御テーパ面としてなるため、ピストンの外
周部より外側に設けられた液補給室のリリーフポート側
の流路の断面積を増大させることができる。
タシリンダを図1〜図11を参照して以下に説明する。
図1は、マスタシリンダ10の全体構成を示すもので、
図中符号11は一端が開口する略有底筒状のシリンダ
を、符号12は、シリンダ11の開口部側(図における
右側)に摺動可能に嵌合されたプライマリピストンを、
符号13は、シリンダ11のプライマリピストン12よ
り底部側(図における左側)に摺動自在に嵌合されたセ
カンダリピストンを、それぞれ示している。
2とセカンダリピストン13との間に配置され、図示せ
ぬブレーキペダル側(図における右側)から入力がない
初期状態(このときの各部の位置を初期位置と以下称
す)でこれらの間隔を決める初期間隔維持機構部を、符
号15は、セカンダリピストン13とシリンダ11の底
部との間に配置され、ブレーキペダル側から入力がない
初期状態でこれら間隔を決める初期間隔維持機構部を、
符号16は、プライマリピストン12、セカンダリピス
トン13およびシリンダ11で画成されるプライマリ圧
力室を、符号17は、セカンダリピストン13およびシ
リンダ11の底部側で画成されるセカンダリ圧力室、を
それぞれ示している。
ライマリピストン12のセカンダリピストン13に対し
反対側から例えばブースタで助勢されたブレーキペダル
の踏込み力が入力されることになり、これによりプライ
マリピストン12はプライマリ圧力室16側(各図にお
ける左側)に前進し、セカンダリピストン13はセカン
ダリ圧力室17側(各図における左側)に前進する一
方、ブレーキペダルの踏込み力が解除されることで、そ
れぞれ逆側(各図における右側)に後退する。なお、以
下における前後は、この方向を用いるものとする。
およびセカンダリピストン13が嵌合されるシリンダ穴
20の前部を構成する第1部材21と、該第1部材21
の最も底部に近接する側にシリンダ穴20と同軸をなす
よう嵌合される略円環状の第2部材22と、第2部材2
2の後側に隣接されシリンダ穴20と同軸をなすよう第
1部材21に嵌合される有孔円板状の第3部材23と、
第3部材23の後側に隣接されるよう第1部材21に嵌
合されるとともに、シリンダ穴20の中間部分を構成す
る略円筒状の第4部材24と、第4部材24の後側にシ
リンダ穴20と同軸をなすよう嵌合される略円筒状の第
5部材25と、第1部材21に螺合されつつ第4部材2
4および第5部材25の外側に嵌合されシリンダ穴20
の最も後部側を構成する略円筒状の第6部材26とを有
している。
付けられる取付部28が形成されており、取付部28に
は、取り付けられたリザーバの内部に個別に連通する二
カ所の液通路29,30が、前後方向に配列されて形成
されている。一方の前側の液通路29は、第2部材22
に径方向に貫通形成された液通路32に常時連通させら
れている。ここで、第2部材22の内周側には、セカン
ダリピストン13の外径よりも大径の環状の段部33が
形成されており、これにより、第2部材22の段部33
とセカンダリピストン13の外周面と第3部材23との
間には環状の液補給室34が形成されている。そして、
液通路32は、段部33の内周面に開口しており、これ
により液補給室34に常時連通させられている。
向に貫通形成された液通路36に常時連通させられてお
り、該液通路36は、第5部材25に径方向に貫通形成
された液通路37に常時連通させられている。ここで、
第5部材25の内周側には、プライマリピストン12の
外径よりも大径の環状の段部38が形成されており、こ
れにより、第5部材25の段部38とプライマリピスト
ン12の外周面との間には環状の液補給室39が形成さ
れている。そして、液通路37は、段部38の内周面に
開口しており、これにより液補給室39に常時連通させ
られている。
3と第4部材24との隙間を介してプライマリ圧力室1
6に通じる液室41が形成されており、第4部材24の
前側の外周部には、第1部材21と第4部材24との隙
間を介して液室41が液通路29および液通路30に連
通するのを防ぐ環状のシール部材42およびシール部材
43が設けられている。また、第6部材26の外周部に
も、第1部材21と第6部材26との隙間を介して液通
路30が外部に連通するのを防ぐ環状のシール部材44
が設けられている。
ピストン13との間には、セカンダリピストン13と第
4部材24との隙間を介して液補給室34と液室41と
が連通するのを防ぐ、その軸線を含む面における断面が
凹形状の環状のシール部材45が設けられている。この
シール部材45は断面形状における開口側を液室41側
に配置している。
2部材22とセカンダリピストン13との間には、セカ
ンダリピストン13と第1部材21との隙間を介して液
補給室34とセカンダリ圧力室17とが連通するのを防
ぐ、すなわち液補給室34とセカンダリ圧力室17とを
区画するための、その軸線を含む面における断面が凹形
状の環状のカップシール46が、セカンダリピストン1
3の外周面に摺接可能となるように保持されている。こ
のカップシール46は断面形状における開口側をセカン
ダリ圧力室17側に配置している。
ピストン12との間には、プライマリピストン12と第
6部材26との隙間を介して液補給室39が外部に連通
するのを防ぐ、その軸線を含む面における断面が凹形状
の環状のシール部材48が設けられている。このシール
部材48は断面形状における開口側を液補給室39側に
配置している。
5部材25とプライマリピストン12との間には、プラ
イマリピストン12と第4部材24との隙間を介して液
補給室39とプライマリ圧力室16とが連通するのを防
ぐ、すなわち液補給室39とプライマリ圧力室16とを
区画するための、その軸線を含む面における断面が凹形
状の環状のカップシール49が、プライマリピストン1
2の外周面に摺接可能となるように保持されている。こ
のカップシール49は断面形状における開口側をプライ
マリ圧力室16側に向け配置している。
方向に沿って穴部51が形成されており、該穴部51内
に初期間隔維持機構部15が設けられている。この初期
間隔維持機構部15は、シリンダ11の底部に当接され
るリテーナ52と、該リテーナ52のセカンダリピスト
ン13側に摺動自在に嵌合されるとともにセカンダリピ
ストン13側への移動限界が決められた連結ロッド53
と、該連結ロッド53のセカンダリピストン13側に固
定されるとともにセカンダリピストン13の穴部51の
底面に当接されるリテーナ54と、リテーナ52とリテ
ーナ54とを相反する方向に付勢するスプリング55と
を有している。これにより、セカンダリピストン13に
プライマリピストン12側から入力がない状態において
は、スプリング55の付勢力でリテーナ52とリテーナ
54とが連結ロッド53により決められる限界まで離間
させられた状態とされ、セカンダリピストン13のシリ
ンダ11の底部との間隔が既定の間隔とされる。
は、穴部51からセカンダリピストン13の外周面に径
方向に貫通することによりセカンダリ圧力室17に常時
開口するとともに、該セカンダリピストン13の位置に
よってはセカンダリ圧力室17を液補給室34に連通可
能なリリーフポート56が形成されている。
軸線方向に沿って穴部58が形成されており、該穴部5
8に図示せぬブースタの出力軸が配置されることにな
る。そして、ブレーキペダルの踏込みを該ブースタで助
勢した出力が、出力軸を介して入力されるようになって
いる。
向に沿って穴部59が形成されており、該穴部59内に
初期間隔維持機構部14が設けられている。この初期間
隔維持機構部14は、セカンダリピストン13の後側に
当接されるリテーナ60と、該リテーナ60のプライマ
リピストン12側に摺動自在に嵌合されるとともにプラ
イマリピストン12側への移動限界が決められた連結ロ
ッド61と、該連結ロッド61のプライマリピストン1
2側に固定されるとともにプライマリピストン12の穴
部59の底面に当接されるリテーナ62と、リテーナ6
0とリテーナ62とを相反する方向に付勢するスプリン
グ63とを有している。これにより、プライマリピスト
ン12にブレーキペダル側から入力がない状態において
は、スプリング63の付勢力でリテーナ60とリテーナ
62とが連結ロッド61により決められる限界まで離間
させられた状態とされ、プライマリピストン12のセカ
ンダリピストン13との間隔が既定の間隔とされる。以
上の初期間隔維持機構部14,15によりプライマリピ
ストン12およびセカンダリピストン13は初期位置が
既定の位置に決められる。
は、穴部59からプライマリピストン12の外周面に径
方向に貫通することにより、プライマリ圧力室16に常
時開口するとともに、該プライマリピストン12の位置
によってはプライマリ圧力室16を液補給室39に連通
可能なリリーフポート64が形成されている。
フポート56の近傍には、カップシール46を含む連通
切換部66が設けられており、プライマリピストン12
のリリーフポート64の近傍にも、カップシール49を
含む同様の連通切換部67が設けられている。以下に、
これらのうち、セカンダリピストン13のリリーフポー
ト56の近傍の連通切換部66を例にとり図2を参照し
て説明する。
ダ穴20と同軸をなして該シリンダ穴20より大径の大
径穴部69が形成されており、この大径穴部69の底部
には、軸線方向に沿って後側に突出する環状の突出部7
0が形成されている。なお、突出部70を介して外周側
の底面71は内周側の底面72よりも前側に配置されて
いる。そして、この第1部材21の大径穴部69に第2
部材22が嵌合されており、これら第1部材21と第2
部材22との間に、上記したカップシール46が保持さ
れている。
底部74と、該底部74の内周側から一側に突出する環
状のインナリップ部75と、底部74の外周側からイン
ナリップ部75と同側に突出する環状のアウタリップ部
76とを有している。このカップシール46は、外力を
受けない自由状態でインナリップ部75が突出先端側の
径が小さくなるように若干傾斜しており、自由状態でア
ウタリップ部76が突出先端側の径が大きくなるように
若干傾斜している。なお、インナリップ部75は、自由
状態において、突出先端側の径が小さくなるように若干
傾斜する内周側の摺接面77と、該摺接面77の突出先
端側に連設され先端側となるほど径が大きくなるよう傾
斜する面取面78とを有している。
部材22に当接させ第1部材21の突出部70をインナ
リップ部75とアウタリップ部76との間に介在させる
ようにして第1部材21と第2部材22とで保持されて
いる。
が、カップシール46の後端部の内径よりも若干大径と
されるとともに後側になるほど徐々に大径となる傾斜面
80とされ、該傾斜面80の後側が、位置によらず同径
の円筒面81とされている。そして、円筒面81の傾斜
面80側の端部から若干傾斜面80にかかる位置に、上
述した液通路32が開口している。
には、該セカンダリピストン13にブレーキペダル側か
らの入力がなくセカンダリ圧力室17に対し最も反対側
に位置する初期位置にある初期状態においてカップシー
ル46のインナリップ部75を自由状態またはアウタリ
ップ部76の締代を損なわない締代を有した状態で収納
可能な環状の凹部83が形成されている。
小径となるよう傾斜する第1テーパ面84と、第1テー
パ面84の後側に連設されて後側が大径となるよう傾斜
する第2テーパ面85と、第2テーパ面85の後側に連
設されて後側が大径となる(前側が小径となる)よう第
2テーパ面85より大きなテーパで傾斜する第3テーパ
面(制御テーパ面)86とを有している。
初期状態にあるカップシール46の面取面78と前後方
向位置を重ね合わせた状態でほぼ平行をなして若干離間
するよう対向配置されることになる。ここで、初期位置
において、第1テーパ面84の前端部は、カップシール
46の面取面78の前端部より前側に位置している。
初期状態にあるカップシール46の摺接面77と前後方
向位置を重ね合わせた状態でほぼ平行をなして対向配置
される。ここで、初期位置において、第2テーパ面85
の前端部は、カップシール46の摺接面77の前端部よ
り前側に位置しており、また、第2テーパ面85の後端
部は、カップシール46の摺接面77の後端部より後側
に位置している。
おいて、第2部材22の傾斜面80の前後方向における
中間位置に位置しており、また、第3テーパ面86の後
端部は、初期位置において、第2部材22の液通路32
の内側に前後方向位置を配置させている。これにより、
凹部83の後端部は液補給室34に前後方向における位
置を重ね合わせている。
ンダリピストン13の最大外径の外周面であって、カッ
プシール46のインナリップ部75の摺接面77の最大
内径より大径で該カップシール46と締代をもって摺接
する締代摺接面87に連続している。そして、セカンダ
リピストン13のリリーフポート56の外周側の開口部
88は、第2テーパ面85に該第2テーパ面85の第3
テーパ面86との境界位置まで形成されている。
フポート56の開口部88より後側に、カップシール4
6の摺接面77の後端部と当接可能とされており、ま
た、リリーフポート56は凹部83に開口部88を配置
していて、さらに該リリーフポート56の開口部88よ
り後側の凹部83は全域が第3テーパ面86とされてい
る。
56は、初期位置において、その前端部がカップシール
46の後端面より若干前側に位置しており、その後端部
がカップシール46の後端面より後側に位置している。
すなわち、リリーフポート56は前側の一部がカップシ
ール46と前後方向において重なり合っており後側の一
部がカップシール46と前後方向において位置を異なら
せている。
作動をセカンダリピストン13側を例にとり説明する。
ブレーキペダルへの入力が開始されると、ブースタで助
勢された出力がプライマリピストン12および初期間隔
維持機構部14を介してセカンダリピストン13に入力
され、該セカンダリピストン13がシリンダ11内で初
期位置から前進する。すると、セカンダリピストン13
は、カップシール46の摺接面77の後端部側に第3テ
ーパ面86を当接させる。
前進すると、図3に示すように、カップシール46の摺
接面77の後端部が第3テーパ面86によって拡径され
てセカンダリピストン13に対する締代すなわち緊迫力
を部分的に大きくし、セカンダリピストン13との間に
部分的にピークを有するように面圧(図3に示すX1が
このときの面圧分布を示す)を発生させることになる。
その結果、カップシール46が、リリーフポート56を
介してのセカンダリ圧力室17と液補給室34との連通
を遮断し、セカンダリ圧力室17にあるブレーキ液をセ
カンダリピストン13で押圧して液圧を発生させること
になる。
し、図4に示すように、カップシール46の後端部を第
3テーパ面86の締代摺接面87と境界の角部90に載
り上げさせると、カップシール46はセカンダリピスト
ン13に対し角部90で線接触することになり、面圧の
ピークをこの線接触部分に位置させることになる(図4
に示すX2がこのときの面圧分布を示す)。これによ
り、カップシール46が、リリーフポート56を介して
のセカンダリ圧力室17と液補給室34との連通を遮断
し続け、セカンダリ圧力室17にあるブレーキ液をセカ
ンダリピストン13で押圧して液圧を発生させ続けるこ
とになる。
の前進中、この角部90にカップシール46が接触して
いる間は、図5に示すように、この角部90の位置で面
圧のピークを保ち(図5に示すX3がこのときの面圧分
布を示す)、セカンダリ圧力室17と液補給室34との
連通を遮断し続ける。さらにセカンダリピストン13が
前進して、カップシール46が全体として締代摺接面8
7に載り上げると、図6に示すように、従来と同様にカ
ップシール46の前部に面圧のピークが移動し(図6に
示すX4がこのときの面圧分布を示す)、この部分でセ
カンダリ圧力室17と液補給室34との連通を遮断し続
ける。
と、セカンダリピストン13が図2に示す初期位置に戻
ることになる。そして、このように初期位置に戻った状
態で、トラクションコントロール等のためにセカンダリ
圧力室17に連通する配管から強制的にブレーキ液を吸
引した場合、リザーバから液通路29,32、液補給室
34およびリリーフポート56を介して、ブレーキ液が
流れることになる。
13の外周部のリリーフポート56の開口部88より後
側に、前側が小径となる第3テーパ面86が、カップシ
ール46の内周部と当接可能に形成されているため、セ
カンダリピストン13を前進させた場合に、カップシー
ル46の摺接面77の後端部側に第3テーパ面86を当
接させ該第3テーパ面86に沿ってカップシール46を
拡径させると、該カップシール46の後端部とセカンダ
リピストン13との間の面圧を部分的に高くすることが
できる。その結果、カップシール46の後端部側で十分
な面圧を発生させてセカンダリ圧力室17と液補給室3
4とを遮断しセカンダリ圧力室17にあるブレーキ液を
セカンダリピストン13で押圧して液圧を発生させるこ
とができる。さらに、カップシール46のインナリップ
部75の面圧(X1,X2,X3,X4)のピークがセ
カンダリピストン13の前進に連れてインナリップ部7
5上を後端側から前端側へ移動することになるため、セ
カンダリピストン13の前進位置においては効率的なシ
ール効果を発揮でき、よって、効率を損なうことなく従
来と同様にブレーキ液圧を発生させることができる。
で、セカンダリ圧力室17と液補給室34とを遮断する
に十分な面圧を発生させることが可能となるため、リリ
ーフポート56の開口部88は第3テーパ面86より前
側に位置していればよいことになる。その結果、図7に
示すように、無効ストロークAを長大化させることな
く、初期位置にあるセカンダリピストン13のリリーフ
ポート56をカップシール46に対しより後側に配置す
ることが可能となる。すなわち、カップシール46に対
し図7に二点鎖線で示す位置にリリーフポート56が前
進したときに、セカンダリ圧力室17と液補給室34と
を遮断するに十分な面圧を発生させるため、この位置か
ら無効ストロークAの分だけ戻った図7に実線で示すカ
ップシール46に対しより後側の位置に初期位置のリリ
ーフポート56を配置することができる。よって、液補
給室34に対するその開口量すなわち連通量を十分に確
保できることになる。
ることなくとも、リザーバから液通路29,32、液補
給室34およびリリーフポート56を介して十分な流量
のブレーキ液を流すことができるため、制駆動力制御装
置との組み合わせに好適となる。
ンダリピストン13のリリーフポート56をカップシー
ル46に対しより後側に配置することが可能となるた
め、リリーフポート56の大径化で効果的に連通量を増
大させることができる。
より後側の凹部83を第3テーパ面86としており、し
かもこの第3テーパ面86の後端部の前後方向の位置を
初期位置において液補給室34に重ね合わせているた
め、セカンダリピストン13の外周部より外側に設けら
れた液補給室34のリリーフポート56側の流路の断面
積を増大させることができる。したがって、リザーバか
ら液通路29,32、液補給室34およびリリーフポー
ト56を介してさらに十分な流量のブレーキ液を流すこ
とができるため、制駆動力制御装置との組み合わせにさ
らに好適となる。
別なものにする必要がないため、カップシール46の信
頼性を確保することができる。加えて、セカンダリピス
トン13が初期位置からセカンダリ圧力室17側に前進
すると、凹部83の第2テーパ面85および第3テーパ
面86が徐々に拡径する方向にカップシール46に対し
移動するため、カップシール46がこれら第2テーパ面
85および第3テーパ面86で姿勢を保つよう案内され
ながら移動することになる。したがって、無効ストロー
クを安定させることができる。
13が初期位置にあるときにカップシール46のインナ
リップ部75を自由状態またはインナリップ部75が締
代摺接面87に載り上げた場合の締代力よりも弱い締代
力状態で配置可能であるため、初期位置にあるときはカ
ップシール46が自由状態となり、ヘタリを生じにくく
なる。したがって、カップシール46の長寿命化を図る
ことができる。
ストン13の外周部のリリーフポート56の開口部より
後側にテーパ面を形成すれば、上記に限定されることな
く、種々の構造とすることができる。例えば、図8に示
すように、セカンダリピストン13の軸線を含む面の断
面形状が円弧状となるように凹部83を形成し、これに
合わせて、カップシール46の摺接面77をその軸線を
含む面の断面形状を円弧凸状としたり、図9に示すよう
に、第3テーパ面86をなくし、第2テーパ面85が締
代摺接面87に連設するようにしたり、図10に示すよ
うに、第1テーパ面84および第3テーパ面86をなく
し、第2テーパ面85の前端部を軸線に直交する端面9
2に連設させるとともにその後端部を締代摺接面87に
連設させ、これに合わせてカップシール46の内周部か
ら面取面をなくしたり、図11に示すように、第1テー
パ面をなくし、第2テーパ面85の前端部からストレー
トにセカンダリピストン13の前端面まで延びる円筒面
93を形成するとともに第2テーパ面85の後端部を締
代摺接面87に連設させたりすることが可能である。
ン13側の連通切換部66を例にとり説明したが、プラ
イマリピストン12側の連通切換部67も上記と同様の
構造を採用しているため、同様の効果を発揮することに
なる。
記載のマスタシリンダによれば、ピストンの外周部のリ
リーフポートの開口部より後側に、前側が小径となる制
御テーパ面が、カップシールの内周部と当接可能に形成
されてなるため、ピストンを前進させた場合に、カップ
シールの内周部の後端部側に制御テーパ面を当接させ該
制御テーパ面に沿ってカップシールを拡径させると、該
カップシールとピストンとの間の面圧を部分的に高くす
ることができる。その結果、該カップシールの後端部側
で十分な面圧を発生させて圧力室と液補給室とを遮断し
圧力室にあるブレーキ液をピストンで押圧して液圧を発
生させることが可能となる。
圧力室と液補給室とを遮断するに十分な面圧を発生させ
ることが可能となるため、リリーフポートの開口部はこ
の制御テーパ面より前側に位置していればよいことにな
る。その結果、無効ストロークを長大化させることな
く、初期位置にあるピストンのリリーフポートをカップ
シールに対しより後側に配置することが可能となり、液
補給室に対するその開口量すなわち連通量を十分に確保
できることになる。したがって、無効ストロークを長大
化させることなく、制駆動力制御装置との組み合わせに
好適となる。しかも、このように、初期位置にあるピス
トンのリリーフポートをカップシールに対しより後側に
配置することが可能となるため、リリーフポートの大径
化で効果的に連通量を増大させることができる。加え
て、カップシールの形状自体を特別なものにする必要が
ないため、カップシールの信頼性を確保することができ
る。
よれば、リリーフポートの開口部より後側の凹部を制御
テーパ面としてなるため、ピストンの外周部より外側に
設けられた液補給室のリリーフポート側の流路の断面積
を増大させることができる。したがって、液補給室から
リリーフポートへのブレーキ液の流量をさらに増大させ
ることができるため、制駆動力制御装置との組み合わせ
にさらに好適となる。
全体構成を示す断面図である。
連通切換部を示す部分拡大断面図である。
連通切換部を、カップシールによる面圧分布を含んで示
す部分拡大断面図であって、ピストン前進時の一状態を
示すものである。
連通切換部を、カップシールによる面圧分布を含んで示
す部分拡大断面図であって、ピストン前進時の別の状態
を示すものである。
連通切換部を、カップシールによる面圧分布を含んで示
す部分拡大断面図であって、ピストン前進時のさらに別
の状態を示すものである。
連通切換部を、カップシールによる面圧分布を含んで示
す部分拡大断面図であって、ピストン前進時のさらに別
の状態を示すものである。
連通切換部を示す部分拡大断面図であって、ピストンの
無効ストロークとリリーフポートとの関係を示すもので
ある。
連通切換部の別の例を示す部分拡大断面図である。
連通切換部のさらに別の例を示す部分拡大断面図であ
る。
の連通切換部のさらに別の例を示す部分拡大断面図であ
る。
の連通切換部のさらに別の例を示す部分拡大断面図であ
る。
よる面圧分布を含んで示す部分拡大断面図である。
図である。
Claims (2)
- 【請求項1】 シリンダと、 該シリンダに摺動可能に設けられるとともに該シリンダ
とで前側に液圧を発生させる圧力室を形成するピストン
と、 前記シリンダと前記ピストンの外周面とで形成されリザ
ーバに連通する液補給室を前記圧力室に対し区画するた
め、前記ピストンの外周面に摺接可能となるよう前記シ
リンダの内周側に保持された環状のカップシールと、を
有し、 前記ピストンには、その外周面に一側が開口するととも
に他側が前記圧力室に常時開口し前記圧力室を前記液補
給室に連通可能なリリーフポートが形成されているマス
タシリンダにおいて、 前記ピストンの外周部の前記リリーフポートの開口部よ
り後側に、前側が小径となる制御テーパ面が、前記カッ
プシールの内周部と当接可能に形成されてなることを特
徴とするマスタシリンダ。 - 【請求項2】 前記ピストンの外周部に凹部を形成する
とともに該凹部に前記リリーフポートの開口部を配置
し、さらに該リリーフポートの開口部より後側の前記凹
部を前記制御テーパ面としてなることを特徴とする請求
項1記載のマスタシリンダ。
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