JP4703867B2 - マスタシリンダ - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、自動車のブレーキ装置等にブレーキ液を供給するマスタシリンダに関する。
【0002】
【従来の技術】
従来のマスタシリンダとして、実願昭55−152602号(実開昭57−73248号)のマイクロフィルムに記載されているように、ディスクブレーキやドラムブレーキ等のブレーキ装置に対してブレーキ液を供給する際、作動初期に大容量のブレーキ液を供給する、いわゆるファーストフィルを行うことで、ストローク初期の無効液量分を補い、その結果、ペダルストロークを短縮可能なものがある。
【0003】
この種のマスタシリンダは、大径シリンダ部および小径シリンダ部を有する段付シリンダと、該段付シリンダの大径シリンダ部内に摺動可能に挿入される大径ピストン部および小径シリンダ部内に摺動可能に挿入される小径ピストン部を有する段付ピストンと、段付シリンダ内を大径ピストン部側の大径与圧室と小径ピストン部側の小径液圧室とに区画するとともに大径与圧室側から小径液圧室側へのブレーキ液の流れのみを許容する逆止開閉部と、段付ピストンの小径液圧室側への摺動により閉じられて大径与圧室とリザーバとの連通を遮断する大径与圧室側遮断部と、段付ピストンの小径液圧室側への摺動により閉じられて大径与圧室と小径液圧室との連通を遮断する小径液圧室側遮断部とを備えている。
【0004】
そして、ブレーキペダルの入力により段付ピストンが小径液圧室側へ摺動すると、段付ピストンの小径液圧室側への摺動による大径与圧室の体積減少により逆止開閉部を開いて大径与圧室側から小径液圧室側へ液補給を行うことで、上記ファーストフィルを行うようになっている。
【0005】
ところで、上記したファーストフィルの性能を高めるためには、小径液圧室側遮断部および大径与圧室側遮断部が閉状態となるまでの段付ピストンの無効ストロークを可能な限り短くする必要がある。単に無効ストロークを短く設定すると、小径液圧室側遮断部および大径与圧室側遮断部の流路断面積を狭めてしまうことになる。このように、流路断面積を狭めてしまうと、トラクションコントロール装置と組み合わせて使用される場合、トラクションコントロール装置がブレーキ装置を作動させるためにマスタシリンダを介してリザーバから強制的にブレーキ液を吸引する際に、十分な流量すなわちハイフローでブレーキ液を流すことができないという問題がある。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
このため、本出願人は、小径液圧室側遮断部および大径与圧室側遮断部に、先に出願を行った特願平10−294502号の構造を適用することを考えた。この構造は、ピストンの外周部に開口するポートをピストンの摺動によりカップシールで閉塞する構造であって、ピストンの外周部のポートの開口部より後側に、前側が小径となる制御テーパ面を形成することで、ピストンの摺動時にカップシール全体が完全にポートを越えなくても、カップシールの後端部が制御テーパ面に乗り上げることで面圧を高めてポートを閉塞させるようになっており、ハイフローに対応した上で、ピストンの無効ストロークを短くすることができるようになっている。
【0007】
しかしながら、上記構造を小径液圧室側遮断部および大径与圧室側遮断部に適用すると、両方に制御テーパ面を形成しなければならず、また、両方のポートの位置精度を厳しく管理する必要があるため、コストが増大してしまうという問題があった。
【0008】
本発明は上記事情に鑑みてなされたもので、その目的とするところは、ファーストフィルの性能およびハイフローの性能を確保した上で、コストを低減することが可能なマスタシリンダを提供することである。
【0009】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するため、請求項1の発明のマスタシリンダは、大径シリンダ部および小径シリンダ部を有する段付シリンダと、該段付シリンダの前記大径シリンダ部内に摺動可能に挿入される大径ピストン部および前記小径シリンダ部内に摺動可能に挿入される小径ピストン部を有する段付ピストンと、前記段付シリンダ内を前記大径ピストン部側の大径与圧室と前記小径ピストン部側の小径液圧室とに区画するとともに前記大径与圧室側から前記小径液圧室側へのブレーキ液の流れのみを許容する逆止開閉部と、前記段付ピストンの前記小径液圧室側への摺動により閉じられて前記大径与圧室とリザーバとの連通を遮断する大径与圧室側遮断部と、前記段付ピストンの前記小径液圧室側への摺動により閉じられて前記大径与圧室と前記小径液圧室との連通を遮断する小径液圧室側遮断部と、前記大径与圧室の液圧を前記小径液圧室の液圧上昇に応じて徐々に低下させる制御弁とを備え、前記段付ピストンの前記小径液圧室側への摺動による前記大径与圧室の体積減少により前記逆止開閉部を開いて前記大径与圧室側から前記小径液圧室側へ液補給を行うマスタシリンダにおいて、前記小径液圧室側遮断部が閉状態となるまでの前記段付ピストンの無効ストロークが、前記大径与圧室側遮断部が閉状態となるまでの前記段付ピストンの無効ストロークに対し長くされており、前記制御弁は、バルブシリンダ内にバルブピストンと該バルブピストンを付勢するバルブスプリングとを有しており、前記バルブピストンは前記小径液圧室の液圧により生じる推進力と前記大径与圧室の液圧により生じる推進力とが前記バルブスプリングによる付勢力を越えると、前記大径与圧室の液圧を低下させ、前記制御弁は、前記バルブシリンダ内を画成すべく前記バルブシリンダと前記バルブピストンとの間に少なくとも2つのリングシールが設けられ、該リングシール間に形成される室と前記小径液圧室とが連通しており、前記バルブピストンの一側に前記バルブスプリングが配置され、前記バルブピストンの他側には、前記リザーバと前記大径与圧室とへ連通するリリーフ室が配設され、前記制御弁は、該リリーフ室と前記大径与圧室とを連通遮断する開閉弁機構を有していることを特徴としている。
【0010】
このように、小径液圧室側遮断部が閉状態となるまでの段付ピストンの無効ストロークが、大径与圧室側遮断部が閉状態となるまでの段付ピストンの無効ストロークに対し長くされているため、例えば、大径与圧室側遮断部を、ハイフローに対応しかつ無効ストロークが短くファーストフィルに対応した遮断構造とし、小径液圧室側遮断部をハイフローに対応した無効ストロークの長い低コストなタイプの遮断構造にできる。そして、このようにしても、大径与圧室から小径液圧室への液補給の際には、無効ストロークが長い小径液圧室側遮断部が閉状態となっていなくても、無効ストロークが短い大径与圧室側遮断部が閉状態になっていれば、段付ピストンの小径液圧室側への摺動による大径与圧室の体積減少により生じるブレーキ液の流れは、小径液圧室側遮断部を介するものは大径与圧室側から小径液圧室側へであり、逆止開閉部を介しての大径与圧室側から小径液圧室側へ液補給と同じ流れになるため、上記ファーストフィル性能を低下させることがない。
また、請求項2の発明のマスタシリンダは、前記段付ピストンの前記大径ピストン部の前記小径ピストン部側の端部には、前記段付ピストンが期位置にあるとき、前記大径与圧室と前記リザーバとを連通する溝部が前記段付ピストンの軸方向に沿って形成されていることを特徴としている。
請求項3の発明のマスタシリンダは、前記溝部の後端部には円環状の溝が形成されていることを特徴としている。
【0011】
【発明の実施の形態】
本発明の一実施形態のマスタシリンダを図面を参照して説明する。
【0012】
図1は、本実施形態のマスタシリンダを示すもので、図1中、符号11は図示せぬブースタを介して導入されるブレーキペダルの入力に応じてブレーキ液圧を発生させるマスタシリンダ本体を、符号12は該マスタシリンダ本体11の上部に取り付けられて該マスタシリンダ本体11に対しブレーキ液を給排するリザーバをそれぞれ示している。
【0013】
マスタシリンダ本体11は、横方向に沿う略有底筒状の段付シリンダ15と、該段付シリンダ15の開口部側(図における右側)に摺動可能に嵌合されたプライマリピストン(段付ピストン)16と、段付シリンダ15のプライマリピストン16より底部15a側(図における左側)に摺動自在に嵌合されたセカンダリピストン17とを有している。
【0014】
段付シリンダ15は、該段付シリンダ15の底部15aが形成されるとともに横方向に沿って穴部20が形成された有底円筒状の第1部材21と、該第1部材21の穴部20内に底部15a側から順次嵌合される略円筒状の第2部材22、第3部材23、第4部材24および第5部材25と、第5部材25の底部15aに対し反対側に該第5部材25を覆うように設けられる第6部材26と、該第6部材26の底部15aに対し反対側に設けられるとともに第1部材21に螺合されて第2部材22〜第6部材26を第1部材21に保持する第7部材27とを有している。
【0015】
第2部材22の内側に、上記セカンダリピストン17が摺動可能に嵌合されている。セカンダリピストン17は一端側から穴部30が形成された有底円筒状をなしており、該穴部30を第1部材21の底部15aに対向させるようにして第2部材22に嵌合されている。
【0016】
ここで、第1部材21の底部15a側とセカンダリピストン17の底部15a側すなわち穴部30側とで囲まれた部分が、セカンダリ側小径液圧室32となっている。
【0017】
第2部材22には、一端側が該第2部材22の径方向における内周面に開口するとともに他端側が第1部材21の流路33を介してリザーバ12に常時連通するポート34が形成されており、セカンダリピストン17には、上記ポート34とセカンダリ側小径液圧室32とを連通可能なリリーフポート35が形成されている。
【0018】
第2部材22と第1部材21との間には、セカンダリ側小径液圧室32とポート34との連通を遮断可能なカップシール36が設けられている。このカップシール36はセカンダリ側小径液圧室32の液圧がリザーバ12側の液圧以上の場合にこれらの連通を遮断するもので、セカンダリ側小径液圧室32の液圧がリザーバ12側の液圧より低い場合にはこれらを連通させ液補給を可能とする。
【0019】
セカンダリピストン17の穴部30と第1部材21の底部15aとの間には、図示せぬブレーキペダル側(図における右側)から入力がない初期状態(このときの各部の位置を初期位置と以下称す)でこれらの間隔を決めるセカンダリピストンスプリング38が設けられている。この初期位置にあるとき、セカンダリピストン17は、リリーフポート35をポート34に連通させており、その結果、セカンダリ側小径液圧室32をリザーバ12に連通させている。
【0020】
この状態からセカンダリピストン17が第1部材21の底部15a側に移動すると、セカンダリ側小径液圧室32の液圧がリザーバ12側の液圧以上の状態においては、該セカンダリピストン17はそのリリーフポート35がカップシール36で閉塞されてポート34との連通が遮断され、その結果、セカンダリ側小径液圧室32とリザーバ12との連通が遮断されることになり、これにより、さらにセカンダリピストン17が底部15a側に移動することでセカンダリ側小径液圧室32からブレーキ装置にブレーキ液を供給する。
【0021】
ここで、リリーフポート35を含むセカンダリピストン17とカップシール36とが、セカンダリピストン17のセカンダリ側小径液圧室32側への摺動により閉じられるセカンダリ側遮断部200となっている。
【0022】
第4部材24は、底部15a側の小径シリンダ部40と、底部15aに対し反対側の、小径シリンダ部40より大径の大径シリンダ部41とを有する段付形状をなしており、これら小径シリンダ部40および大径シリンダ部41の内側に、上記プライマリピストン16が摺動可能に嵌合されている。
【0023】
プライマリピストン16は一端側に、セカンダリピストン17に対向配置される穴部43が形成されるとともに他端側にも図示せぬブースタのロッドが挿入される穴部44が形成されており、第4部材24の小径シリンダ部40に摺動可能に挿入される小径ピストン部46と、第4部材24の大径シリンダ部41に摺動可能に挿入される大径ピストン部47とを有している。この大径ピストン部47は、第5部材25にも摺動可能に挿入されている。
【0024】
セカンダリピストン17の底部15aに対し反対側と、プライマリピストン16の底部15a側すなわち穴部43側と第3部材23とで囲まれた部分が、プライマリ側小径液圧室(小径液圧室)49となっている。
【0025】
ここで、第3部材23には、第1部材21との間に、穴部50を介してプライマリ側小径液圧室49に常時連通する小径液圧室連通流路51が形成されている。
【0026】
第2部材22と第3部材23とセカンダリピストン17との間には、プライマリ側小径液圧室49と流路33及びポート34との連通を遮断可能なカップシール53が設けられている。
【0027】
また、第3部材23の小径液圧室連通流路51より底部15a側と第1部材21との間には、小径液圧室連通流路51と流路33及びポート34との連通を常時遮断するOリング54が設けられている。
【0028】
プライマリピストン16と第4部材24の大径シリンダ部41側とで囲まれた部分が、大径与圧室56となっている。
【0029】
第4部材24には、一端側が小径シリンダ部40の径方向の内周面に開口するとともに他端側が大径与圧室56に常時連通するポート57が形成されており、プライマリピストン16の小径ピストン部46には、上記ポート57と穴部43すなわちプライマリ側小径液圧室49とを連通可能なリリーフポート58が形成されている。なお、ポート57は、第3部材23と第4部材24との間の与圧室連通流路59にも常時連通している。
【0030】
第3部材23と第4部材24とプライマリピストン16の小径ピストン部46との間には、プライマリ側小径液圧室49と大径与圧室56側との連通を遮断可能なカップシール(逆止開閉部)61が設けられている。このカップシール61は、プライマリ側小径液圧室49の液圧が大径与圧室56の液圧以上の場合にこれらの連通を遮断するもので、逆に大径与圧室56の液圧がプライマリ側液圧室49の液圧より高い場合には、第3部材23とプライマリピストン16の小径ピストン部46との間であってカップシール61の変形により生じた流路を介して、これらを連通可能とする。このカップシール61は、言い換えれば、段付シリンダ15内を大径ピストン部47側の大径与圧室56と小径ピストン部46側のプライマリ側小径液圧室49とに区画するとともに大径与圧室56側からプライマリ小径液圧室49側へのブレーキ液の流れのみを許容するものである。
【0031】
第3部材23の小径液圧室連通流路51より底部15aに対し反対側と第1部材21との間には、小径液圧室連通流路51と大径与圧室56側との連通を常時遮断するOリング62が設けられている。
【0032】
セカンダリピストン17とプライマリピストン16との間には、図示せぬブレーキペダル側(図1における右側)から入力がない初期状態でこれらの間隔を決めるプライマリ初期位置決機構64が設けられている。このプライマリ初期位置決機構64は、セカンダリピストン17に当接する当接部材65と、プライマリピストン16側に延出するように該当接部材65に固定された軸部材66と、該軸部材66を所定の範囲で移動可能に保持するとともにプライマリピストン16の穴部43の底側に突き当てられる当接部材67と、当接部材65,67同士を相反方向に付勢するプライマリピストンスプリング68とを有している。
【0033】
プライマリ初期位置決機構64がプライマリピストンスプリング68の付勢力で当接部材65,67同士を軸部材66で規定される最も離れた位置に位置させるとき、プライマリピストン16は、初期位置に配置され、このとき、リリーフポート58をポート57に連通させており、プライマリ側小径液圧室49を大径与圧室56に連通させている。
【0034】
初期状態から底部15a側に移動すると、プライマリ側小径液圧室49の液圧が大径与圧室56の液圧以上の場合に、プライマリピストン16は、そのリリーフポート58がカップシール61で閉塞されてポート57との連通が遮断され、プライマリ側小径液圧室49と大径与圧室56側との該リリーフポート58を介しての連通を遮断することになり、この状態からさらに底部15a側に移動すると、プライマリ側小径液圧室49からブレーキ装置にブレーキ液を供給する。なお、リリーフポート58を閉塞させた状態であっても大径与圧室56の液圧がプライマリ側小径液圧室49の液圧より大きいときは、カップシール61を介して大径与圧室56のブレーキ液がプライマリ側小径液圧室49に流れるようになっている。
【0035】
ここで、リリーフポート58を含む小径ピストン部46とカップシール61とが、プライマリピストン16のプライマリ側小径液圧室49側への摺動により閉じられて大径与圧室56とプライマリ側小径液圧室49との連通を遮断する小径液圧室側遮断部201となっている。
【0036】
第4部材24は、第1部材21との間に、第1部材21の流路70を介してリザーバ12に常時連通する大気圧の液補給室71を形成している。この第4部材24の液補給室71より底部15a側と第1部材21との間には、大径側与圧室56と液補給室71との連通を常時遮断するOリング72が設けられている。
【0037】
第5部材25には、一端側が径方向における内周面に開口するとともに他端側が液補給室71に常時連通するポート74が形成されており、プライマリピストン16には、一端側が大径ピストン部47の径方向における外周面に開口することでポート74すなわち液補給室71に連通可能であるとともに他端側が大径ピストン部47と小径ピストン部46との境界の段部75すなわち大径与圧室56に常時連通するリリーフポート76が形成されている。
【0038】
第4部材24と第5部材25とプライマリピストン16の大径ピストン部47との間には、大径与圧室56と液補給室71との連通を遮断可能なカップシール78が設けられている。このカップシール78は、大径与圧室56の液圧が液補給室71の液圧以上の場合にこれらの連通を遮断するもので、逆に液補給室71の液圧が大径与圧室56の液圧より高い場合にはこれらを連通させて液補給を行う。
【0039】
ここで、初期位置にあるとき、プライマリピストン16は、リリーフポート76をポート74に連通させており、大径与圧室56を液補給室71に連通させている。そして、プライマリピストン16が、初期状態から底部15a側すなわちプライマリ側小径液圧室49側に摺動すると、大径与圧室56側の液圧が液補給室71の液圧以上の場合、そのリリーフポート76がカップシール78で閉塞されてポート74との連通が遮断され、大径与圧室56と液補給室71との該リリーフポート76を介しての連通を遮断することになり、さらにプライマリ側小径液圧室49側に摺動すると、プライマリピストン16は大径ピストン部47が大径与圧室56の体積を減少させることで、大径与圧室56の液圧を高め、該大径与圧室56とプライマリ側小径液圧室49との間に設けられたカップシール61を開いて、大径与圧室56側からプライマリ側小径液圧室49へ液補給を行うことになる。
【0040】
ここで、リリーフポート76を含む大径ピストン部47とカップシール78とが、プライマリピストン16のプライマリ側小径液圧室49側への摺動により閉じられて大径与圧室56と液補給室71すなわちリザーバ12との連通を遮断する大径与圧室側遮断部202となっている。
【0041】
第5部材25と第6部材26とプライマリピストン16の大径ピストン部47との間には、カップシール79が設けられ、第1部材21と第6部材26との間にはOリング80が設けられている。
【0042】
なお、リリーフポート35,58,76は、液流通抵抗を抑えるためすべて直径がφ2(mm)と大きくされかつそれぞれ数箇所設けられている。
【0043】
そして、本実施形態においては、小径液圧室側遮断部201が閉状態となるまでのプライマリピストン16の無効ストロークが、大径与圧室側遮断部202が閉状態となるまでのプライマリピストン16の無効ストロークに対し長くされており、具体的には、大径与圧室側遮断部202を、ハイフローに対応しかつ無効ストロークが短くファーストフィルに対応した遮断構造とし、小径液圧室側遮断部201をハイフローに対応した無効ストロークの長い低コストなタイプの遮断構造にしている。
【0044】
小径液圧室側遮断部201は、図2に示す構造をなしており、大径与圧室側遮断部202は、図3に示す構造をなしている。
【0045】
ここで、小径液圧室側遮断部201および大径与圧室側遮断部202に用いられるカップシール61,78は、大きさは異なるものの、ともに、略有孔円板状の底部205と、該底部205の内周側から一側に突出する環状のインナリップ部206と、底部205の外周側からインナリップ部206と同側に突出する環状のアウタリップ部207とを有しており、外力を受けない自由状態でインナリップ部206が突出先端側の径が小さくなるように若干傾斜しており、自由状態でアウタリップ部207が突出先端側の径が大きくなるように若干傾斜している。
【0046】
大径与圧室側遮断部202について説明する。
セカンダリピストン17の大径ピストン部47は、底側15a側(図3における左側)すなわち先側の外周部がストレート形状の小径外径部210とされる一方、底側15aに対し反対側の外周部が小径外径部201よりも大径のストレート形状の大径外径部211とされ、さらにこれら小径外径部210と大径外径部211との間は、これらを連続させるように傾斜するテーパ外径部212とされている。なお、小径外径部210よりもさらに底部15a側の先端部は、第4部材24の大径シリンダ部41に摺動案内されるため小径外径部210よりも大径の先端外径部213とされている。
【0047】
そして、上記リリーフポート76が、その開口部76aを小径外径部210のテーパ外径部212側の一部からテーパ外径部212の小径外径部210側の一部に開口させている。そして、カップシール78は、初期位置において、小径外径部210の外径側に位置しており、開口部76aに若干重なり合っている。
【0048】
このような大径与圧室側遮断部202は、プライマリピストン16が初期位置から摺動するとカップシール78の後端部が開口部76aより大径外径部211側のテーパ外径部212に載り上げることでカップシール78が拡径されて、プライマリピストン16に対する締代すなわち緊迫力を部分的に大きくし、プライマリピストン16との間に部分的にピークを有するように面圧を発生させることになる。その結果、カップシール78が、リリーフポート76を介しての大径与圧室56と液補給室71すなわちリザーバ12との連通を遮断する。
【0049】
さらに、プライマリピストン16が前進し、カップシール78の後端部がテーパ外径部212と大径外径部211との境界の角部に載り上げると、カップシール78はプライマリピストン16に対し角部で線接触することになり、面圧のピークをこの線接触部分に位置させることになる。これにより、カップシール78が、リリーフポート76を介しての大径与圧室56と液補給室71すなわちリザーバ12との連通を遮断し続けることになる。
【0050】
そして、さらなるプライマリピストン16の前進中、この角部にカップシール78が接触している間は、この角部の位置で面圧のピークを保ち、リリーフポート78を介しての大径与圧室56と液補給室71すなわちリザーバ12との連通を遮断し続け、最終的に、カップシール78が全体として大径外径部211に載り上げると、カップシール78の底部15a側すなわち前部に面圧のピークが移動し、この部分でリリーフポート76を介しての大径与圧室56と液補給室71すなわちリザーバ12との連通を遮断し続ける。
【0051】
これにより、大径与圧室側遮断部202が閉状態となるまでのプライマリピストン16の無効ストロークは、カップシール78の後端部が開口部76aより後側のテーパ外径部212に載り上げるまでであり、図3にX1で示すように短くなる。しかも、初期位置においてリリーフポート76の開口部76aは大きく開口しているため、ハイフロー性能も確保される。すなわち、トラクションコントロール装置と組み合わせ、該トラクションコントロール装置がプライマリ側小径液圧室49、大径与圧室56および液補給室71を介してリザーバ12から強制的にブレーキ液を吸入する際に、ブレーキ液をトラクションコントロール装置に大きな流量で流すことができるようになっている。
【0052】
次に、小径液圧室側遮断部201について説明する。
セカンダリピストン17の小径ピストン部46は、ストレート形状をなしており、リリーフポート58が、その開口部58aをストレート形状の外周面に開口させている。そして、カップシール61は、初期位置において、開口部58aよりも全体として底部15a側(図2における左側)に設けられている。
【0053】
このような小径液圧室側遮断部201は、カップシール61が同一外径の外周面上を移動することから、カップシール61の底部15a側すなわち前部に面圧のピークが位置するため、カップシール61がリリーフポート58の開口部58aを越えた時点で、面圧ピーク部分すなわち前部でリリーフポート58を介しての大径与圧室56とプライマリ側小径液圧室49との連通を遮断する。
【0054】
これにより、小径液圧室側遮断部201が閉状態となるまでのプライマリピストン16の無効ストロークは、カップシール58の前部が開口部58aより後側に位置するまでであり、図2にX2で示すように長くなる(X2>X1)。ただし、初期位置においてリリーフポート58の開口部58aはカップシール61に重なり合うことなく大きく開口しているため、ハイフロー性能は確保される。
【0055】
なお、セカンダリ側遮断部200も、大径与圧室側遮断部202と同様の構成となっており、ハイフロー性能が確保されている。
【0056】
第1部材21には、小径液圧室連通流路51を介してプライマリ側小径液圧室49に常時連通する小径液圧室連通ポート82と、与圧室連通流路59を介して大径与圧室56に常時連通する与圧室連通ポート83と、液補給室71に常時連通する液補給室連通ポート84とが形成されており、これらポート82,83,84には、それぞれ外部配管からなる連結流路85a〜85cを介して該マスタシリンダ本体11とは別体の制御弁86が連結されている。
【0057】
制御弁86は、有底円筒状のバルブシリンダ87と、該バルブシリンダ87内に摺動可能に嵌合されるバルブピストン88と、該バルブピストン88をバルブシリンダ87の底部87a方向に押圧するバルブスプリング89と、バルブシリンダ87の開口側を閉塞させるとともにバルブピストン88との間にバルブスプリング89を保持する蓋部材90と、バルブシリンダ87に蓋部材90を固定するCリング91とを有している。
【0058】
バルブピストン88は、先端側に第1軸部93が形成され、該第1軸部93に隣り合ってこれより大径の第2軸部94が形成され、また、該第2軸部94に隣り合ってこれより小径の第3軸部95が形成され、さらに、該第3軸部95に隣り合って第2軸部94より大径の第4軸部96が形成され、最後に、該第4軸部96に隣り合ってこれより小径でバルブスプリング89内に挿入される第5軸部97が形成されている。そして、第1軸部93の先端にはシール部材99が設けられている。また、第2軸部94と第4軸部96とには、バルブシリンダ87の内面との隙間を常時シールするOリング100,101が設けられている。
【0059】
バルブシリンダ87の底部87aには、バルブピストン88のシール部材99で開閉されるポート102が形成されており、該ポート102が連結流路85bを介して与圧室連通ポート83に連通されている。また、バルブシリンダ87の側部87bの底部87a側には、バルブシリンダ87、バルブピストン88の第1軸部93、第2軸部94およびシール部材100で囲まれた液室104に常時連通するポート105が形成されており、該ポート105が連結流路85cを介して液補給室連通ポート84に連通されている。さらに、バルブシリンダ87の側部87bには、バルブシリンダ87、バルブピストン88の第2軸部94、第3軸部95、第4軸部96、シール部材100およびシール部材101で囲まれた液室106に常時連通するポート107が形成されており、該ポート107が連結流路85aを介して小径液圧室連通ポート82に連通されている。
【0060】
そして、制御弁86は、バルブピストン88を、ポート102に導入される大径与圧室56の液圧と液室106に導入されるプライマリ側小径液圧室49の液圧とバルブスプリング89の付勢力でバランスさせる。このときのバランスは次式で表される。
【0061】
すなわち、図4に示すように、Oリング101によるシール断面積をA1、Oリング100によるシール断面積をA2(ただし、A2<A1)、シール部材99によるシール断面積をA3とし、プライマリ側小径液圧室49の液圧をPa、大径与圧室56の液圧をPb、バルブスプリング89のセット荷重をFとすると、
Pa×(A1−A2)+Pb×A3=F
となる。
【0062】
そして、図4に示すように、大径与圧室56の液圧が上昇を開始すると(p1点)、プライマリ側小径液圧室49もカップシール61が開かれることで該大径与圧室56の液圧と同圧で上昇する(p1点〜p2点)。そして、Pa×(A1−A2)+Pb×A3>Fとなると(p2点。この点の液圧を与圧室解除液圧と称す)、制御弁86のバルブピストン88がバルブスプリング89の付勢力に抗して微小に移動してポート102を微小に開き、大径与圧室56の液圧解除を開始させる。このとき、Pa×(A1−A2)+Pb×A3=Fの式を満足させるようにプライマリ側小径液圧室49の液圧Paの上昇に応じて徐々に大径与圧室56の液圧Pbが下がるように、言い換えれば、プライマリ側小径液圧室49の液圧上昇に相関して大径与圧室56の液圧Pbが低下するように、大径与圧室56の液圧Pbを液補給室71を介してリザーバ12側に逃がすことになる(p2点〜p3点)。
【0063】
ここで、高昇圧時すなわちブレーキペダルを比較的速い速度で踏圧する操作時においては、ブレーキブースタからの入力はリニアに上昇することになり、プライマリ側小径液圧室49の液圧Paは一定割合で上昇することになるため、制御弁86は、大径与圧室56の液圧Pbを設定した勾配に沿って徐々に低下するようにリザーバ12側に逃がすことになる。この勾配は任意に設定可能であり、車両に合わせたチューニングが可能である。
【0064】
そして、大径与圧室56の液圧が解除され大気圧になると(p3点以降)、バランス式は、
Pa×(A1−A2)>F
となり、制御弁86は開状態が維持されるため、プライマリ側小径液圧室49のみでブレーキ液圧を制御することになる。
【0065】
次に、上記マスタシリンダの作動について説明する。
ブレーキペダルに連結されたブースタのロッドによりプライマリピストン16が底部15a方向に押されると、プライマリピストンスプリング68を介してセカンダリピストン17も同時に移動する。そして、プライマリピストン16側については、無効ストロークの短い大径与圧室側遮断部202がそのカップシール78でリリーフポート76を閉じた時点で大径与圧室56が液圧を上昇させ、カップシール61を介してプライマリ側小径液圧室49に液補給を行う。このとき、無効ストロークの長い小径液圧室側遮断部201が閉じきっていなくても、大径与圧室56側からプライマリ側小径液圧室49側に液が小径液圧室側遮断部201を介して補給されるだけであり、カップシール61による液補給と同様であるため問題はない。セカンダリピストン17についても、セカンダリ側遮断部200のリリーフポート35がカップシール36により閉じられた時点でセカンダリ側小径液圧室32が液圧を上昇させる。
【0066】
そして、液圧が上昇すると、プライマリ側小径液圧室49については、プライマリピストン16のストローク量×(大径与圧室56の外径−プライマリ側小径液圧室49の外径)分の液量が、主に第3部材23とプライマリピストン16との間のカップシール61の変形により生じた流路を介して、大径与圧室56からプライマリ側小径液圧室49に送り込まれ、ストローク初期の無効液量分(主にキャリパロールバック分)を補う。その後、プライマリ側小径液圧室49の小径化に伴う液量不足を補うため、大径与圧室56からプライマリ側小径液圧室49にブレーキ液が送り込まれつつ、大径与圧室56とプライマリ側小径液圧室49とが同圧で与圧室解除液圧まで上昇する(p1点〜p2点)。
【0067】
そして、与圧室解除液圧まで上昇すると、制御弁86が大径与圧室56の液圧を解除する。このとき、制御弁86は、上記したようにプライマリ側小径液圧室49の液圧Paの上昇に応じて徐々に大径与圧室56の液圧Pbが下がるように、大径与圧室56の液圧Pbを液補給室71を介してリザーバ12側に逃がすことになる(p2点〜p3点)。
【0068】
そして、大径与圧室56の液圧が解除され大気圧になると、制御弁86は開状態が維持され、プライマリ側小径液圧室49のみでブレーキ液圧を制御することになる。
【0069】
以上に述べた実施形態によれば、小径液圧室側遮断部201が閉状態となるまでのプライマリピストン16の無効ストロークが、大径与圧室側遮断部202が閉状態となるまでのプライマリピストン16の無効ストロークに対し長くされているため、上記のように大径与圧室側遮断部202を、ハイフローに対応しかつ無効ストロークが短くファーストフィルに対応した遮断構造とし、小径液圧室側遮断部201をハイフローに対応した無効ストロークの長い低コストなタイプの遮断構造にできる。そして、このようにしても、大径与圧室56からプライマリ側小径液圧室49への液補給の際には、無効ストロークが長い小径液圧室側遮断部201が閉状態となっていなくても、無効ストロークが短い大径与圧室側遮断部202が閉状態になっていれば、プライマリピストン16のプライマリ側小径液圧室49側への摺動による大径与圧室56の体積減少により生じるブレーキ液の流れは、小径液圧室側遮断部201を介するものは大径与圧室56側からプライマリ側小径液圧室49側へであり、カップシール61を介しての大径与圧室56側からプライマリ側小径液圧室49側へ液補給と同じ流れになるため、ファーストフィル性能を低下させることがない。
【0070】
したがって、ファーストフィルの性能およびハイフローの性能を確保した上で、一方の小径液圧室側遮断部201に低コストなタイプの遮断構造を採用できるため、コストを低減することができる。
【0071】
なお、以上に述べた実施形態を以下のように変更することもできる。
図6および図7に示すように、プライマリピストン16に形成された穴状のリリーフポート76をやめて、大径ピストン部47のテーパ外径部212よりも底部15a側(図6における左側)に、軸線方向に沿って底部15a側に貫通するストレート形状の溝部215を円周方向に複数設け(例えば円周を36等分する位置に設ける)、この溝部215を介してポート74と大径与圧室56とを連通可能とするのである。
【0072】
そして、プライマリピストン16が初期位置にあるとき、テーパ外径部212に当接しないカップシール78が溝部215を介してポート74と大径与圧室56とを連通させ、プライマリピストン16がプライマリ側小径液圧室49側に摺動しカップシール78がテーパ外径部212に載り上げると、カップシール78が溝部215を介してのポート74と大径与圧室56との連通を遮断するのである。この場合、全ての溝部215とカップシール78との間の隙間の流路断面積は、φ4(mm)相当以上とされる。ここで、溝部215は、図7に示すV字溝以外に、U字溝および四角溝のいずれでもよい。そして、溝部215の後端部には、公差が厳しくても対応可能な円環状のV字溝216が形成されている。
【0073】
以上のように構成すれば、複雑なポートを形成する必要がなくなるとともに、溝部215は転造や鍛造により容易に成形可能であるため、加工時間の短縮およびそれに伴うコストの低減が可能になる。また、溝部215の深さを深くすることで容易に流路断面積を拡大でき、ハイフロー性能の向上にも効果がある。
【0074】
上述した実施形態のマスタシリンダでは、段付シリンダ15内を大径ピストン部47側の大径与圧室56と小径ピストン部46側のプライマリ側小径液圧室49とに区画し、かつ大径与圧室56からプライマリ側小径液圧室49へのブレーキ流の流れのみを許容するカップシール61を設けた例について説明したが、これに限られることなく、カップシール61に替わってシール性のある弁体移動型の逆止弁(逆止開閉部)を設けても良い。
【0075】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明のマスタシリンダによれば、小径液圧室側遮断部が閉状態となるまでの段付ピストンの無効ストロークが、大径与圧室側遮断部が閉状態となるまでの段付ピストンの無効ストロークに対し長くされているため、例えば、大径与圧室側遮断部を、ハイフローに対応しかつ無効ストロークが短くファーストフィルに対応した遮断構造とし、小径液圧室側遮断部をハイフローに対応した無効ストロークの長い低コストなタイプの遮断構造にできる。そして、このようにしても、大径与圧室から小径液圧室への液補給の際には、無効ストロークが長い小径液圧室側遮断部が閉状態となっていなくても、無効ストロークが短い大径与圧室側遮断部が閉状態になっていれば、段付ピストンの小径液圧室側への摺動による大径与圧室の体積減少により生じるブレーキ液の流れは、小径液圧室側遮断部を介するものは大径与圧室側から小径液圧室側へであり、逆止開閉部を介しての大径与圧室側から小径液圧室側へ液補給と同じ流れになるため、上記ファーストフィル性能を低下させることがない。
【0076】
したがって、ファーストフィルの性能およびハイフローの性能を確保した上で、一方に低コストなタイプの遮断構造を採用可能であるため、コストを低減することが可能となる。
また、ペダルによる昇圧速度の影響を受けないため、どのような昇圧動作時にも安定してファーストフィルを行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の一実施形態のマスタシリンダの構成を示す側断面図である。
【図2】 本発明の一実施形態のマスタシリンダの図1におけるA部詳細図である。
【図3】 本発明の一実施形態のマスタシリンダの図1におけるB部詳細図である。
【図4】 本発明の一実施形態のマスタシリンダの制御弁のバルブピストンのシール部分の断面積を示す断面図である。
【図5】 本発明の一実施形態のマスタシリンダのプライマリ側小径液圧室の液圧と大径与圧室の液圧との関係を示す特性線図である。
【図6】 本発明の一実施形態のマスタシリンダの変形例のプライマリピストンの部分断面図である。
【図7】 本発明の一実施形態のマスタシリンダの変形例の図6のC矢視図である。
【符号の説明】
11 マスタシリンダ本体
12 リザーバ
15 段付シリンダ
16 プライマリピストン(段付ピストン)
40 小径シリンダ部
41 大径シリンダ部
46 小径ピストン部
47 大径ピストン部
49 プライマリ側小径液圧室(小径液圧室)
56 大径与圧室
61 カップシール(逆止開閉部)
201 小径液圧室側遮断部
202 大径与圧室側遮断部

Claims (3)

  1. 大径シリンダ部および小径シリンダ部を有する段付シリンダと、
    該段付シリンダの前記大径シリンダ部内に摺動可能に挿入される大径ピストン部および前記小径シリンダ部内に摺動可能に挿入される小径ピストン部を有する段付ピストンと、
    前記段付シリンダ内を前記大径ピストン部側の大径与圧室と前記小径ピストン部側の小径液圧室とに区画するとともに前記大径与圧室側から前記小径液圧室側へのブレーキ液の流れのみを許容する逆止開閉部と、
    前記段付ピストンの前記小径液圧室側への摺動により閉じられて前記大径与圧室とリザーバとの連通を遮断する大径与圧室側遮断部と、
    前記段付ピストンの前記小径液圧室側への摺動により閉じられて前記大径与圧室と前記小径液圧室との連通を遮断する小径液圧室側遮断部と、
    前記大径与圧室の液圧を前記小径液圧室の液圧上昇に応じて徐々に低下させる制御弁とを備え、
    前記段付ピストンの前記小径液圧室側への摺動による前記大径与圧室の体積減少により前記逆止開閉部を開いて前記大径与圧室側から前記小径液圧室側へ液補給を行うマスタシリンダにおいて、
    前記小径液圧室側遮断部が閉状態となるまでの前記段付ピストンの無効ストロークが、前記大径与圧室側遮断部が閉状態となるまでの前記段付ピストンの無効ストロークに対し長くされており、
    前記制御弁は、バルブシリンダ内にバルブピストンと該バルブピストンを付勢するバルブスプリングとを有しており、前記バルブピストンは前記小径液圧室の液圧により生じる推進力と前記大径与圧室の液圧により生じる推進力とが前記バルブスプリングによる付勢力を越えると、前記大径与圧室の液圧を低下させ、
    前記制御弁は、前記バルブシリンダ内を画成すべく前記バルブシリンダと前記バルブピストンとの間に少なくとも2つのリングシールが設けられ、該リングシール間に形成される室と前記小径液圧室とが連通しており、
    前記バルブピストンの一側に前記バルブスプリングが配置され、前記バルブピストンの他側には、前記リザーバと前記大径与圧室とへ連通するリリーフ室が配設され、前記制御弁は、該リリーフ室と前記大径与圧室とを連通遮断する開閉弁機構を有していることを特徴とするマスタシリンダ。
  2. 前記段付ピストンの前記大径ピストン部の前記小径ピストン部側の端部には、前記段付ピストンが期位置にあるとき、前記大径与圧室と前記リザーバとを連通する溝部が前記段付ピストンの軸方向に沿って形成されていることを特徴とする請求項1に記載のマスタシリンダ。
  3. 前記溝部の後端部には円環状の溝が形成されていることを特徴とする請求項2に記載のマスタシリンダ。
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