JP4629063B2 - マスタシリンダ - Google Patents

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Description

本発明は、自動車のブレーキ装置等にブレーキ液を供給するマスタシリンダに関する。
従来のマスタシリンダとして、ディスクブレーキやドラムブレーキ等のブレーキ装置に対してブレーキ液を供給する際、作動初期に大容量のブレーキ液を供給する、いわゆるファストフィルを行うことで、ストローク初期の無効液量分を補い、その結果、ペダルストロークを短縮可能なものがある。
このマスタシリンダは、大径シリンダ部および小径シリンダ部を有する段付シリンダと、この段付シリンダの大径シリンダ部内に摺動可能に挿入される大径ピストン部および小径シリンダ内に摺動可能に挿入される小径ピストン部を有する段付ピストンと、段付シリンダ内を大径ピストン側の大径与圧室とブレーキ装置に連通する小径ピストン側の小径液圧室とに区画するとともに大径与圧室側から小径液圧室側へのブレーキ液の流れのみを許容する逆止開閉部とを備え、段付ピストンの小径液圧室側への摺動による大径与圧室の体積減少により逆止開閉部を開いて大径与圧室側から小径液圧室側へ液補給を行うようになっている。
このマスタシリンダには、段付ピストンの小径液圧室側への摺動による大径与圧室の体積減少により逆止開閉部を開かせて大径与圧室側から小径液圧室側へ液補給を行わせるとともに、大径与圧室の液圧を小径液圧室の液圧上昇に応じて徐々に低下させるようにリザーバ側に逃がす制御弁装置が設けられている(例えば特許文献1参照)。
特開2002−321609号公報
一方、近年、自動車において各車輪のブレーキ力を制御して車両挙動をコントロールするVDC(ビークル・ダイナミクス・コントロール)システムが採用されている。このVDCシステムでは、マスタシリンダの小径液圧室からブレーキ液をポンプで吸引してブレーキ液圧を発生させ、このブレーキ液圧によって各車輪のブレーキ力を制御するようになっている。
VDCシステムのポンプを上記のようにマスタシリンダの小径液圧室につないでポンプアップした場合、上記したファストフィルタイプのマスタシリンダでは、リザーバから小径液圧室までの間に絞りがあるため、液量が不足する場合がある。このため、リザーバと小径液圧室とをバイパス接続させるとともにバイパス途中に逆止弁装置を配置することが考えられている。このとき、単純にバイパスしたのでは、通路構成が複雑になって加工工数が増大し、生産性が悪化してしまう。
本発明は、逆止弁装置を設ける場合でも通路構成の簡素化を図ることで、加工工数の増大を抑制して生産性を向上させることができるマスタシリンダの提供を目的とする。
上記目的を達成するために、請求項1に係る発明は、大径シリンダ部および小径シリンダ部を有する段付シリンダと、該段付シリンダの前記大径シリンダ部内に摺動可能に挿入される大径ピストン部および前記小径シリンダ部内に摺動可能に挿入される小径ピストン部を有する段付ピストンと、前記段付シリンダ内を前記大径ピストン部側の大径与圧室と前記小径ピストン部側の小径液圧室とに区画するとともに前記大径与圧室側から前記小径液圧室側へのブレーキ液の流れのみを許容する逆止開閉部と、前記大径与圧室、前記小径液圧室およびリザーバに接続され、制御弁体が前記大径与圧室の液圧を前記小径液圧室の液圧上昇に応じて徐々に低下させるように前記リザーバ側に逃がす制御弁装置と、を有するマスタシリンダにおいて、前記大径与圧室の液圧を前記制御弁装置を介して前記リザーバに逃がす開放通路と前記小径液圧室とにそれぞれ連通する逆止弁室と、前記逆止弁室内に収容されて前記開放通路から前記小径液圧室へのブレーキ液の流通を許し逆方向のブレーキ液の流通を遮断する逆止弁体とを備えた逆止弁装置を設けたことを特徴としている。
請求項2に係る発明は、請求項1に係る発明において、前記制御弁装置の前記制御弁体の移動方向と前記逆止弁装置の前記逆止弁体の移動方向とが交差することを特徴としている。
請求項3に係る発明は、請求項1に係る発明において、前記小径液圧室と前記制御弁装置とを接続する小径液圧通路が前記逆止弁室に連通していることを特徴としている。
請求項4に係る発明は、請求項1乃至3のいずれか一項に係る発明において、前記制御弁装置の前記制御弁体の移動方向が水平方向とされ、前記逆止弁装置の前記逆止弁体の移動方向が鉛直方向とされたことを特徴としている。
請求項5に係る発明は、請求項1乃至4のいずれか一項に係る発明において、前記逆止弁装置の前記逆止弁室は、前記制御弁装置よりも鉛直方向下側に設けられていることを特徴としている。
請求項6に係る発明は、請求項1乃至4のいずれか一項に係る発明において、前記逆止弁装置の前記逆止弁室は、前記制御弁装置よりも鉛直方向上側に設けられていることを特徴としている。
請求項7に係る発明は、請求項1乃至6のいずれか一項に係る発明において、前記開放通路の一部は、鉛直方向に沿って設けられていることを特徴としている。
請求項8に係る発明は、請求項1乃至7のいずれか一項に係る発明において、前記逆止弁装置のケーシングおよび前記制御弁装置のケーシングが前記段付シリンダと一体に形成されていることを特徴としている。
請求項9に係る発明は、請求項5に係る発明において、前記制御弁装置は、前記開放通路に接続されて前記制御弁体を収容する制御弁室を有し、前記開放通路と前記逆止弁室とを連通する連通路は前記制御弁室を介して前記開放通路に接続されることを特徴としている。
請求項10に係る発明は、請求項9に係る発明において、前記連通路と前記開放通路の一部とは、前記制御弁室および前記逆止弁室を通る直線通路とされたことを特徴としている。
請求項11に係る発明は、請求項5に係る発明において、前記逆止弁装置の前記逆止弁室は、鉛直方向の下側が開口し、該開口を蓋体により閉塞される構成とし、前記小径液圧通路の一部は前記逆止弁室と前記小径液圧室とを結ぶ直線通路とされ、該直線通路の延長線は前記開口内に位置することを特徴としている。
請求項12に係る発明は、大径シリンダ部および小径シリンダ部を有する段付シリンダと、該段付シリンダの前記大径シリンダ部内に摺動可能に挿入される大径ピストン部および前記小径シリンダ部内に摺動可能に挿入される小径ピストン部を有する段付ピストンと、前記段付シリンダ内を前記大径ピストン部側の大径与圧室と前記小径ピストン部側の小径液圧室とに区画するとともに前記大径与圧室側から前記小径液圧室側へのブレーキ液の流れのみを許容する逆止開閉部と、前記大径与圧室、前記小径液圧室およびリザーバに接続され、制御弁体が前記大径与圧室の液圧を前記小径液圧室の液圧上昇に応じて徐々に低下させるように前記リザーバ側に逃がす制御弁装置と、を有するマスタシリンダにおいて、前記小径液圧室および前記制御弁装置を接続する小径液圧通路と前記リザーバとにそれぞれ連通する逆止弁室と、前記逆止弁室内に収容されて前記リザーバ側から前記小径液圧通路へのブレーキ液の流通を許し逆方向のブレーキ液の流通を遮断する逆止弁体とを備えた逆止弁装置を設けたことを特徴としている。
請求項13に係る発明は、請求項12に係る発明において、前記制御弁装置は、前記小径液圧通路に接続されて前記制御弁体に開弁方向への圧力を及ぼす制御圧力室を有し、該制御圧力室と前記小径液圧室とを接続する小径液圧通路は前記逆止弁室を介して連通していることを特徴としている。
請求項14に係る発明は、請求項13に係る発明において、前記小径液圧通路の一部は、前記制御圧力室および前記逆止弁室を通る直線通路とされたことを特徴としている。
請求項1に係る発明によれば、リザーバと小径液圧室とに連通する必要がある逆止弁装置の逆止弁室が、大径与圧室の液圧を制御弁装置を介してリザーバに逃がす開放通路と小径液圧室とにそれぞれ連通する構成となっているため、逆止弁室とリザーバとを、専用通路ではなく、大径与圧室の液圧を制御弁装置を介してリザーバに逃がす開放通路を利用して結ぶことができる。つまり、開放通路を制御弁装置と逆止弁装置とで共用することができる。したがって、通路構成の簡素化を図ることができ、加工工数の増大を抑制して生産性を向上させることができる。
請求項2に係る発明によれば、制御弁装置の制御弁体の移動方向と逆止弁装置の逆止弁体の移動方向とが交差するため、これら制御弁装置および逆止弁装置をコンパクトに配置することができる。
請求項3に係る発明によれば、小径液圧室と制御弁装置とを接続する小径液圧通路が逆止弁室に連通しているため、逆止弁室を小径液圧通路の一部として利用できる。したがって、通路構成のさらなる簡素化を図ることができ、加工工数の増大をさらに抑制して生産性を一層向上させることができる。
請求項4に係る発明によれば、制御弁装置の制御弁体の移動方向が水平方向とされ、逆止弁装置の逆止弁体の移動方向が鉛直方向とされているため、これら制御弁装置および逆止弁装置をさらにコンパクトに配置することができる。
請求項5に係る発明によれば、逆止弁装置の逆止弁室が、制御弁装置よりも鉛直方向下側に設けられているため、これら制御弁装置および逆止弁装置をコンパクトに配置することができる。
請求項6に係る発明によれば、逆止弁装置の逆止弁室が、制御弁装置よりも鉛直方向上側に設けられているため、これら制御弁装置および逆止弁装置をコンパクトに配置することができる。
請求項7に係る発明によれば、開放通路の一部は、鉛直方向に沿って設けられているため、マスタシリンダへのブレーキ液の充填時に、制御弁装置若しくは逆止弁装置内のエアを効率よく排出することができる。
請求項8に係る発明によれば、逆止弁装置のケーシングおよび制御弁装置のケーシングが段付シリンダと一体に形成されているため、部品点数を低減できるとともに、コンパクト化が図れ、低コスト化が図れる。
請求項9に係る発明によれば、開放通路と逆止弁室とを連通する連通路が、開放通路に接続される制御弁装置の制御弁室を介して開放通路に接続されるため、制御弁室を連通路の一部として共用できる。したがって、通路構成のさらなる簡素化を図ることができ、加工工数の増大をさらに抑制して生産性を一層向上させることができる。
請求項10に係る発明によれば、連通路と開放通路の一部とが、制御弁室および逆止弁室を通る直線通路とされているため、これらを一度の穴開け加工で形成できる。したがって、加工工数の増大をさらに抑制して生産性を一層向上させることができる。
請求項11に係る発明によれば、小径液圧通路の一部が逆止弁室と小径液圧室とを結ぶ直線通路とされており、この直線通路の延長線が、逆止弁室を構成する開口内に位置するため、開口を介して直線通路を加工することができる。
請求項12に係る発明によれば、リザーバと小径液圧室とに連通する必要がある逆止弁装置の逆止弁室が、大径与圧室の液圧を小径液圧室の液圧上昇に応じて徐々に低下させるようにリザーバ側に逃がす制御弁装置を小径液圧室に接続させる小径液圧通路とリザーバとにそれぞれ連通する構成となっているため、逆止弁室と小径液圧室とを、専用通路ではなく、制御弁装置を小径液圧室に接続させる小径液圧通路を利用して結ぶことができる。つまり、小径液圧通路を制御弁装置と逆止弁装置とで共用することができる。したがって、通路構成の簡素化を図ることができ、加工工数の増大を抑制して生産性を向上させることができる。
請求項13に係る発明によれば、制御弁装置は、小径液圧通路に接続されて制御弁体に開弁方向への圧力を及ぼす制御圧力室を有し、制御圧力室と小径液圧室とを接続する小径液圧通路が逆止弁室を介して連通しているため、逆止弁室を小径液圧通路の一部として利用できる。したがって、通路構成のさらなる簡素化を図ることができ、加工工数の増大をさらに抑制して生産性を一層向上させることができる。
請求項14に係る発明によれば、小径液圧通路の一部が、制御圧力室および逆止弁室を通る直線通路とされているため、制御圧力室および逆止弁室を一度の穴開け加工で連通させることができる。したがって、加工工数の増大をさらに抑制して生産性を一層向上させることができる。
本発明の第1実施形態に係るマスタシリンダを図1〜図9を参照して以下に説明する。なお、以下の説明ではマスタシリンダが車載された姿勢(車体取付姿勢)をもって説明する。
まず、図1を参照して、第1実施形態に係るマスタシリンダ10の基本構成を説明する。このマスタシリンダ10は、いわゆるプランジャ型のマスタシリンダであり、図示は略すがブレーキペダルの操作等によって移動するブースタの出力軸で押圧されることでディスクブレーキ等のブレーキ装置に導入するブレーキ液圧を発生させるものである。
マスタシリンダ10は、底部12と筒部13とを有する有底筒状をなすとともにその口部14側において図示略のブースタに取り付けられるシリンダボディ(段付シリンダ)15と、このシリンダボディ15のボア16内の口部14側に、筒部13の軸線(以下、シリンダ軸と称す)に沿って摺動可能となるように挿入されるプライマリピストン(段付ピストン)18と、シリンダボディ15のボア16内のプライマリピストン18よりも底部12側に、シリンダ軸方向に沿って摺動可能となるように挿入されるセカンダリピストン20とを有するタンデムタイプのものである。なお、本実施形態においては、シリンダ軸は水平に配置されるものとしている。
ここで、筒部13の内径側は、底部12側に第1小径摺動内径部22が形成されており、中間に第2小径摺動内径部23が形成されていて、口部14側に第1小径摺動内径部22および第2小径摺動内径部23よりも大径の大径摺動内径部24が形成されている。そして、セカンダリピストン20は第1小径摺動内径部22で摺動が案内されることになり、プライマリピストン18は、常に大径摺動内径部24で摺動が案内されるとともに、位置により第2小径摺動内径部23でも摺動が案内されることになる。
シリンダボディ15には、これと一体に、筒部13から筒部13の径方向(以下、シリンダ径方向と称す)における外側、具体的には、上側に突出する二カ所の取付台部25,26が、シリンダ軸方向に離間して筒部13の円周方向(以下、シリンダ円周方向と称す)における同位置に形成されており、これら取付台部25,26それぞれに形成された取付穴25a,26aにリザーバRが取り付けられる。
シリンダボディ15の第1小径摺動内径部22には、シリンダ軸方向における位置をずらして複数具体的には2カ所のシリンダ径方向外側に凹む環状のシール周溝28およびシール周溝29が底部12側から順に形成されている。底部12側のシール周溝28には、E字状断面を有するカップシールからなるシールリング30が底部12側にリップ側を配置した状態で嵌合されている。また、口部14側のシール周溝29には、C字状断面を有するカップシールからなるシールリング31が口部14側にリップ側を配置した状態で嵌合されている。
第1小径摺動内径部22には、シール周溝28とシール周溝29との間に、シリンダ径方向外側に凹む環状の開口溝33が形成されている。この開口溝33は、底部12側の取付穴25aに開口することでリザーバRに常時連通状態とされる連通穴34に連通されている。なお、シリンダボディ15のシール周溝28よりも底部12側には、第1小径摺動内径部22よりも若干大径の底部側大径内径部35が形成されている。
シリンダボディ15の第1小径摺動内径部22と第2小径摺動内径部23との間には、これらよりも若干大径の中間大径内径部38が形成されている。
第2小径摺動内径部23には、シリンダ径方向外側に凹む環状のシール周溝40が形成されており、このシール周溝40には、E字状断面を有するカップシールからなるシールリング(逆止開閉部)41が、底部12側にリップ側を配置した状態で嵌合されている。
第2小径摺動内径部23の中間大径内径部38側には、シール周溝40と中間大径内径部38とをつなぐ偏心溝42がシリンダ径方向外側に凹むように形成されている。この偏心溝42は第2小径摺動内径部23よりも小径であって第2小径摺動内径部23と平行な軸を中心とした円弧状をなしている。
シリンダボディ15の第2小径摺動内径部23と大径摺動内径部24との間には、これらよりも大径で、底部側大径内径部35および中間大径内径部38よりも大径の口部側大径内径部44が形成されている。
シリンダボディ15の大径摺動内径部24には、シリンダ軸方向における位置をずらして複数具体的には2カ所のシリンダ径方向外側に凹む環状のシール周溝46およびシール周溝47が底部12側から順に形成されている。底部12側のシール周溝46には、E字状断面を有するカップシールからなるシールリング48が底部12側にリップ側を配置した状態で嵌合されている。また、口部14側のシール周溝47には、C字状断面を有するカップシールからなるシールリング49が底部12側にリップ側を配置した状態で嵌合されている。
大径摺動内径部24には、シール周溝46とシール周溝47との間に、シリンダ径方向外側に凹む環状の開口溝51が形成されている。この開口溝51は、口部14側の取付穴26aに開口することでリザーバRに常時連通状態とされる連通穴52に連通されている。
シリンダボディ15の筒部13の側部には、ブレーキ液を図示せぬブレーキキャリパに供給するための図示せぬブレーキ配管が取り付けられるセカンダリ吐出路53およびプライマリ吐出路54が形成されている。
ここで、シリンダボディ15は、底部側大径内径部35と第1小径摺動内径部22と中間大径内径部38と第2小径摺動内径部23とが小径シリンダ部55を構成しており、口部側大径内径部44と大径摺動内径部24とが、小径シリンダ部55よりも全体として大径の大径シリンダ部56を構成している。
シリンダボディ15の底部12側に嵌合されるセカンダリピストン20は、円筒部57と、円筒部57の軸線方向における一側に形成された底部58とを有する有底円筒状をなしており、その円筒部57を底部12側に配置した状態でシリンダボディ15の第1小径摺動内径部22に摺動可能に嵌合されている。円筒部57の底部58に対し反対側の端部には、シリンダ径方向に貫通するポート59が複数放射状に形成されている。
ここで、シリンダボディ15の底部12および筒部13の底部12側とセカンダリピストン20とで囲まれてシールリング30でシールされる部分が、セカンダリ吐出路53に液圧を供給するセカンダリ液圧室60となっており、このセカンダリ液圧室60は、セカンダリピストン20がポート59を開口溝33に開口させる位置にあるとき、リザーバRに連通する。
シリンダボディ15の底部12側のシール周溝28に設けられたシールリング30は、内周がセカンダリピストン20の外周側に摺接することになり、セカンダリピストン20がポート59をシールリング30よりも底部12側に位置させた状態では、セカンダリ液圧室60とリザーバRとの連通を遮断可能となっており、これらに圧力差が生じた場合にリザーバR側からセカンダリ液圧室60側へのブレーキ液の流れのみを許容する。また、シリンダボディ15のシール周溝29に設けられたシールリング31は、内周がセカンダリピストン20の外周側に摺接することになり、リザーバRに連通する開口溝33と後述するプライマリ液圧室61との連通を遮断する。
セカンダリピストン20の底部58とシリンダボディ15の底部12との間には、ブースタ側から入力がない待機状態でこれらの間隔を決めるセカンダリピストンスプリング62を含む間隔調整部63が設けられている。
シリンダボディ15の口部14側に嵌合されるプライマリピストン18は、軸線方向一側が、小径ピストン部65とされ、軸線方向他側がこれより大径の大径ピストン部66とされた段付きの外形形状をなしており、軸方向両端側が円筒状をなしている。大径ピストン部66の小径ピストン部65側には環状溝67が形成されており、この環状溝67よりも小径ピストン部65側には軸線方向に沿って延在する連通溝68が複数形成されている。そして、プライマリピストン18は、その小径ピストン部65がシリンダボディ15内における小径シリンダ部55の第2小径摺動内径部23に摺動可能に挿入されるとともに大径ピストン部66がシリンダボディ15内における大径シリンダ部56の大径摺動内径部24に摺動可能に挿入されている。
プライマリピストン18の小径ピストン部65の大径ピストン部66に対し反対側の端部の円筒状部分には、径方向に貫通するポート69が複数放射状に形成されている。
ここで、シリンダボディ15の第1小径摺動内径部22と第2小径摺動内径部23との間とプライマリピストン18とセカンダリピストン20とで囲まれ、シールリング31およびシールリング41でシールされる部分がプライマリ吐出路54に液圧を供給するプライマリ液圧室(小径液圧室)61となっている。また、シリンダボディ15の第2小径摺動内径部23と大径摺動内径部24との間とプライマリピストン18とで囲まれ、シールリング41およびシールリング48でシールされる部分がプライマリ液圧室61より大径の大径与圧室70となっている。プライマリ液圧室61は、プライマリピストン18がポート69を大径与圧室70に開口させる位置にあるとき、大径与圧室70に連通する。
シリンダボディ15の第2小径摺動内径部23に設けられたシールリング41は、内周がプライマリピストン18の外周側に摺接することになり、プライマリピストン18がポート69をシールリング41よりも底部12側に位置させた状態では、プライマリ液圧室61と大径与圧室70との連通を遮断可能となっている。また、シールリング41は、カップシールであることから、シリンダボディ15内を大径ピストン部66側の大径与圧室70と小径ピストン部65側のプライマリ液圧室61とに区画するとともに、これらの間に圧力差が生じた場合に大径与圧室70側からプライマリ液圧室61側へのブレーキ液の流れのみを許容する。
シール周溝46に設けられたシールリング48は、内周がプライマリピストン18の大径ピストン部66の外周側に摺接することになり、プライマリピストン18が連通溝68および環状溝67をシールリング48よりも底部12側に位置させた状態では、大径与圧室70と連通穴52つまりリザーバRとの連通を遮断可能となっている。このシールリング48も、カップシールであることから、大径与圧室70とリザーバRとの間に圧力差が生じた場合に開口溝51および連通穴52を介してリザーバR側から大径与圧室70側へのブレーキ液の流れのみを許容する。
また、口部14側のシール周溝47に設けられたシールリング49は、プライマリピストン18の大径ピストン部66に摺接することにより、シリンダボディ15の内周側とプライマリピストン18の外周側との隙間を介しての連通穴52つまりリザーバRと外気との連通を遮断する。
セカンダリピストン20とプライマリピストン18との間には、図示略のブレーキペダル側から入力がない待機状態でこれらの間隔を決めるプライマリピストンスプリング72を含む間隔調整部73が設けられている。
なお、シリンダボディ15は、底部12と筒部13と取付台部25,26とが、例えばアルミニウム鋳造品からなる一体成形の素材から加工されて形成されている。
セカンダリピストン20は、図示略のブレーキペダル側から入力がない初期状態(このときの各部の位置を初期位置と以下称す)で、間隔調整部63のセカンダリピストンスプリング62の付勢力で最も底部12から離れた初期位置にある。このとき、セカンダリピストン20は、ポート59を開口溝33に開口させており、その結果、セカンダリ液圧室60を連通穴34を介してリザーバRに連通させている。
この状態からセカンダリピストン20がブレーキペダルの入力で底部12側に移動すると、セカンダリピストン20はそのポート59がシールリング30で閉塞され、その結果、セカンダリ液圧室60とリザーバRとの連通が遮断されることになり、これにより、さらにセカンダリピストン20が底部12側に移動することでセカンダリ液圧室60からセカンダリ吐出路53を介してブレーキ装置にブレーキ液を供給する。なお、ポート59を閉塞させた状態であってもリザーバR側の液圧(大気圧)よりもセカンダリ液圧室60の液圧が低くなると、シールリング30が開いてリザーバRのブレーキ液がセカンダリ液圧室60に流れるようになっている。
また、プライマリピストン18は、間隔調整部63のセカンダリピストンスプリング62の付勢力と間隔調整部73のプライマリピストンスプリング72の付勢力とによって最も口部14側の初期位置に配置された状態にあるとき、プライマリ液圧室61に連通するポート69を開いてプライマリ液圧室61と大径与圧室70とを連通させている。
この状態から、プライマリピストン18がブレーキペダルの入力で底部12側に移動すると、プライマリピストン18は、そのポート69がシールリング41で閉塞され、プライマリ液圧室61と大径与圧室70側とのポート69を介しての連通を遮断することになり、この状態からさらに底部12側に移動すると、プライマリ液圧室61からプライマリ吐出路54を介してブレーキ装置にブレーキ液を供給する。なお、ポート69を閉塞させた状態であっても大径与圧室70の液圧がプライマリ液圧室61の液圧より大きくなると、シールリング41を開いて大径与圧室70のブレーキ液がプライマリ液圧室61に流れるようになっている。
また、プライマリピストン18は、初期位置にあるとき、連通溝68と環状溝67と開口溝51と連通穴52とで大径与圧室70とリザーバRとを連通させている。この状態からプライマリピストン18が、底部12側に摺動すると、連通溝68および環状溝67がシールリング48で閉塞されて、大径与圧室70とリザーバRとの連通を遮断することになり、さらに摺動すると、大径ピストン部66が大径与圧室70の体積を減少させることで、大径与圧室70の液圧を高め、大径与圧室70とプライマリ液圧室61との間に設けられたシールリング41を開いて、大径与圧室70側からプライマリ液圧室61へ液補給を行うことになる。ブレーキ装置に対してブレーキ液を供給する際、このように作動初期に大容量のブレーキ液を供給する、いわゆるファストフィルを行うことで、ストローク初期の無効液量分を補い、ペダルストロークを短縮する。
そして、第1実施形態に係るマスタシリンダ10では、上記したファストフィル時に、プライマリ液圧室61への液補給の進行に伴って大径与圧室70の液圧を徐々に解除する必要がある。このため、上記した大径与圧室70、プライマリ液圧室61およびリザーバRに接続されるとともに、大径与圧室70の液圧をプライマリ液圧室61の液圧上昇に応じて徐々に低下させるようにリザーバR側に逃がすための制御弁装置75が、図2に示すように、シリンダボディ15に組み込まれて設けられている。
また、第1実施形態に係るマスタシリンダ10では、VDCシステムの図示略のポンプによるポンプアップに対応するため、リザーバRとプライマリ液圧室61とをバイパス接続させるとともに、リザーバR側からプライマリ液圧室61側へのブレーキ液の流通を許し、プライマリ液圧室61側からリザーバR側へのブレーキ液の流通を遮断する逆止弁装置76が、シリンダボディ15に組み込まれて設けられている。
つまり、シリンダボディ15には、図3〜図5に示すように筒部13のシリンダ軸方向の中間位置、具体的には、二カ所の取付台部25,26の間位置からシリンダ径方向に沿って水平側方に略円筒状をなして突出する側方突出部80と、この側方突出部80の基端側から鉛直下方に略円筒状をなして突出する下方突出部81と、側方突出部80の基端側から鉛直上方に若干突出する上方突出部82とが形成されている。これら側方突出部80、下方突出部81および上方突出部82も、シリンダボディ15の鋳造時に底部12、筒部13および取付台部25,26と一体成形される。
側方突出部80は、制御弁装置75のケーシングを構成するもので、シリンダボディ15における側方突出部80の位置には、図2および図6に示す水平方向に沿う水平穴83が形成されている。この水平穴83は、筒部13側から順に、口部側大径内径部44に開口することで大径与圧室70に連通する第1穴部84と、この第1穴部84と同軸でこれよりも大径の第2穴部85と、この第2穴部85と同軸でこれよりも大径の第3穴部86と、この第3穴部86と同軸でこれよりも大径の第4穴部87とを有しており、これらの軸線はシリンダ径方向に平行な水平方向に配置されている。第3穴部86には、メネジ88が形成されており、また、第4穴部87における第3穴部86とは反対側が、外側に開口する開口部89となっている。なお、水平穴83は、すべて側方突出部80の突出方向前方から工具で加工形成される。
また、下方突出部81は逆止弁装置76のケーシングを構成するもので、シリンダボディ15における下方突出部81および上方突出部82の位置には、図2および図7に示す鉛直方向に沿う鉛直穴90が形成されている。この鉛直穴90は、上側から順に、上方に開口する第1穴部91と、この第1穴部91と同軸でこれよりも若干小径の第2穴部92と、この第2穴部92と同軸でこれよりも大径の第3穴部93と、この第3穴部93と同軸でこれよりも大径の第4穴部94とを有しており、これらの軸線は鉛直に配置されている。第3穴部93には、メネジ96が形成されており、また、第4穴部94における第3穴部93とは反対側が、外側に開口する開口部97となっている。この鉛直穴90は、第1穴部91および第2穴部92が、上方突出部82の突出方向前方から工具で加工され、第3穴部93、第4穴部94およびメネジ96が下方突出部81の突出方向前方から工具で加工形成される。
ここで、上記した各穴部のうち、水平穴83の第2穴部85と鉛直穴90の第2穴部92とがシリンダ軸方向から見て交差しており、具体的には直交している。なお、図6および図7に示すように、水平穴83の第2穴部85と鉛直穴90の第2穴部92とは互いに中心軸線をシリンダ軸方向にずらしているが、図6に示すように鉛直穴90の第2穴部92が水平穴83の第2穴部85に開口している。
また、図2に示すように、シリンダボディ15には、水平穴83における第3穴部86の第2穴部85側の端部と、鉛直穴90における第3穴部93の第2穴部92側の端部とを近接位置同士で結ぶように連通穴100が形成されている。この連通穴100の延長線は水平穴83内にあってその開口部89内の位置から外方に延出する。この連通穴100は、水平穴83から挿入される工具で加工形成される。
さらに、図2および図8に示すように、シリンダボディ15には、鉛直穴90における第3穴部93の第2穴部92側の端部と中間大径内径部38とを結ぶことで、プライマリ液圧室61に連通する連通穴101が形成されている。この連通穴101の延長線は鉛直穴90内にあってその開口部97内の位置から外方に延出する。この連通穴101は、鉛直穴90から挿入される工具で加工形成される。
加えて、図9に示すように、鉛直穴90の第2穴部92における水平穴83との交差位置よりも第1穴部91側の中間部には、シリンダボディ15における口部14側の取付穴26a内に開口することでリザーバRに連通する連通穴102が形成されている。この連通穴102の延長線は取付穴26a内にある。この連通穴102は、取付穴26aから挿入される工具で加工形成される。なお、鉛直穴90の第1穴部91は図2に示すように球状の閉塞部材98が打ち込まれることで閉塞される。
上記した水平穴83は、図2に示すように、制御弁装置75のケーシングを構成する蓋体105で閉塞されている。この蓋体105は、筒部106とその軸方向一端を閉塞する底部107とを有する略有底円筒状をなしており、筒部106の底部107とは反対側に形成されたオネジ108において水平穴83のメネジ88に螺合される。オネジ108とメネジ88との螺合位置の外側には、水平穴83と蓋体105との隙間をシールするシール部材109が配設されている。
そして、水平穴83と蓋体105とで形成された空間内に、制御弁装置75の水平移動する制御弁体112と、これをシリンダボディ15の筒部13側に付勢する弁スプリング113とが配設されている。
制御弁体112は、第1穴部84側から順に、第1軸部115と、第1軸部115と同軸でこれより大径の第2軸部116と、第2軸部116と同軸でこれより大径の第3軸部117とを有するピストン部材118を有している。このピストン部材118には、第3軸部117の軸線方向端部に一端側が開口するとともに他端側が第1軸部115の外径面に開口する内部通路120が形成されている。ピストン部材118は、第2軸部116が第2穴部85に摺動可能に嵌合され、第3軸部117が蓋体105の筒部106の内周面に摺動可能に嵌合される。
また、制御弁体112は、ピストン部材118の第1軸部115の先端に嵌合され、水平穴83の第2穴部85の底面に当接することで第1穴部84を閉塞可能なシール部材124と、第2軸部116に嵌合されて、水平穴83との隙間を常時シールするシールリング125と、第3軸部117に嵌合されて、蓋体105との隙間を常時シールするシールリング126とを有している。
弁スプリング113は、ピストン部材118の内部通路120内に挿入されており、内部通路120内の段差面と蓋体105の底面とに当接して制御弁体112をそのシール部材124で第1穴部84を閉塞する方向に付勢する。
制御弁装置75は、主に水平穴83の第2穴部85の内側部分が制御弁室127となり、この制御弁室127に制御弁体112が収容されている。また、主に第2軸部116、蓋体105および水平穴83の第3穴部86で囲まれた部分が制御圧力室128となっている。
上記した鉛直穴90は、逆止弁装置76のケーシングを構成する蓋体130で閉塞されている。この蓋体130は、内側が大径内周部131とこれより小径の小径内周部132とからなる段付き形状の筒部133と、その小径内周部132側を閉塞する底部134とを有する略有底円筒状をなしており、筒部133の底部134とは反対側に形成されたオネジ135において鉛直穴90のメネジ96に螺合される。オネジ135とメネジ96との螺合位置の外側には、鉛直穴90と蓋体130との隙間をシールするシールリング136が配設されている。
そして、鉛直穴90と蓋体130とで形成された空間内に、逆止弁装置76の鉛直移動する逆止弁体140と、これを上方向に付勢する弁スプリング141と、逆止弁体140を係止する係止リテーナ142とが配設されている。
逆止弁体140は、上から順に、フランジ部144と、第1軸部145と、第1軸部145と同軸でこれより大径の第2軸部146と、第2軸部146と同軸でこれより小径の第3軸部147とを有するピストン部材148を有している。このピストン部材148には、第3軸部147の軸線方向端部に一端側が開口するとともに他端側が第3軸部147の第2軸部146側の外径面に開口する内部通路150が形成されている。このピストン部材148は、第3軸部147が蓋体130の小径内周部132に摺動可能に嵌合され、第2軸部146が大径内周部131に摺動可能に嵌合される。
また、逆止弁体140は、ピストン部材148のフランジ部144および第1軸部145に嵌合され、鉛直穴90の第3穴部93の底面に当接することで第2穴部92を閉塞可能なシール部材152を有している。
弁スプリング141は、ピストン部材148の第3軸部147を内側に挿入させるように設けられており、第2軸部146の端面と蓋体130の段差面とに当接して、逆止弁体140をそのシール部材152で第2穴部92を閉塞する方向に付勢する。
係止リテーナ142は、蓋体130の筒部133の開口側に係合されており、逆止弁体140の蓋体130からの抜け止めを図るものである。これは、蓋体130に予め逆止弁体140および弁スプリング141を組み込み係止リテーナ142で抜け止めを図った小組立体を作製するためであり、この小組立体をシールリング136とともにシリンダボディ15に組み付けるようになっている。
上記した逆止弁装置76は、主に鉛直穴90の第3穴部93の内側部分が逆止弁室153となっており、この逆止弁室153は、鉛直方向の下側に開口する開口部97が、蓋体130により閉塞される構成となっている。そして、この逆止弁室153内に逆止弁体140が収容されている。また、この逆止弁室153は、制御弁装置75よりも鉛直方向下側に設けられている。
上記した制御弁装置75の制御圧力室128は、連通穴100と逆止弁装置76の逆止弁室153と連通穴101とを介してプライマリ液圧室61に連通しており、連通穴100と連通穴101とが、逆止弁室153を介してプライマリ液圧室61と制御弁装置75の制御圧力室128とを接続する小径液圧通路160を形成している。言い換えれば、逆止弁室153は、プライマリ液圧室61および制御弁装置75を接続する小径液圧通路160に連通している。小径液圧通路160のうち連通穴100で形成される一部が直線通路160aとされ、連通穴101で形成される他の一部が直線通路160bとされている。
また、制御弁装置75の制御弁体112が水平穴83の第2穴部85の底面から離れた状態で、水平穴83の第1穴部84と、制御弁室127と、鉛直穴90の第2穴部92の制御弁室127よりも第1穴部91側の一部と、連通穴102とを介して大径与圧室70とリザーバRとが連通する。水平穴83の第1穴部84と、鉛直穴90の第2穴部92の制御弁室127よりも第1穴部91側の一部と、連通穴102とが、制御弁室127を介して大径与圧室70とリザーバRとを連通させることで、大径与圧室70の液圧を制御弁装置75を介してリザーバRに逃がす開放通路161を形成している。この開放通路161の鉛直穴90の第2穴部92で構成される一部は、鉛直方向に沿っている。
さらに、鉛直穴90の第2穴部92の制御弁室127よりも第3穴部93側の一部が、制御弁室127を介して開放通路161に常時連通し開放通路161と逆止弁室153とを連通可能な連通路162を形成している。鉛直穴90の第2穴部92によって構成される連通路162と開放通路161の一部とは、制御弁室127および逆止弁室153を通る直線通路163となっている。
よって、逆止弁装置76の逆止弁室153は、連通路162を介して開放通路161つまりリザーバRに連通するとともに小径液圧通路160の直線通路160bを介してプライマリ液圧室61に連通する。言い換えれば、プライマリ液圧室61と制御弁装置75の制御圧力室128とを接続する小径液圧通路160は、逆止弁室153に連通し、また、逆止弁室153を介して直線通路160aと直線通路160bとが連通する。そして、逆止弁室153内に収容された逆止弁体140は、リザーバRから、開放通路161、制御弁室127、連通路162および逆止弁室153を介して小径液圧通路160側へのブレーキ液の流通を許すことで、この小径液圧通路160を介してのプライマリ液圧室61へのブレーキ液の流通を許す一方、逆方向つまりプライマリ液圧室61から小径液圧通路160、逆止弁室153、連通路162、制御弁室127および開放通路161を介してのリザーバRへのブレーキ液の流通を遮断する。
その結果、VDCシステムの図示略のポンプでプライマリ液圧室61のブレーキ液をポンプアップすると、その吸引圧力によって逆止弁体140が弁スプリング141の付勢力に抗して移動して逆止弁装置76が開き、リザーバRから、開放通路161、制御弁室127、連通路162、逆止弁室153および小径液圧通路160の直線通路160bを介してプライマリ液圧室61へブレーキ液を大径与圧室70を介するよりも大流量で流すことになる。
制御弁装置75は、その制御圧力室128が、小径液圧通路160および逆止弁装置76の逆止弁室153を介して常時プライマリ液圧室61に連通している。その結果、制御弁体112には、プライマリ液圧室61の液圧とシールリング125,126の受圧面積差とで弁スプリング113の付勢力に抗する推力つまり開弁方向の推力が生じる。これにより、制御弁体112が弁スプリング113の付勢力に抗して移動すると、開放通路161が開放され、開放通路161の第1穴部84内の一部を介して連通する大径与圧室70の液圧を制御弁室127および開放通路161の他の一部を介してリザーバR側に逃がすことになる。ここで、制御圧力室128に導入されるプライマリ液圧室61の液圧に応じて制御弁体112に生じる推力が変わることになり、その結果、制御弁体112は、大径与圧室70の液圧を、プライマリ液圧室61の液圧上昇に応じて徐々に低下させるようにリザーバR側に逃がすことになる。
つまり、上記したファストフィル時に、シールリング41を押し開いて大径与圧室70からプライマリ液圧室61にブレーキ液が送り込まれ、ストローク初期の無効液量分(主にキャリパロールバック分)を補うことになるが、その後、プライマリ液圧室61の小径化に伴う液量不足を補うため、大径与圧室70からプライマリ液圧室61にブレーキ液が送り込まれながら、大径与圧室70とプライマリ液圧室61とが同圧で与圧室解除液圧まで上昇する。そして、与圧室解除液圧まで上昇すると、それまで閉状態にあった制御弁装置75が大径与圧室70の液圧を解除する。このとき、制御弁装置75は、上記したようにプライマリ液圧室61の液圧の上昇に応じて徐々に大径与圧室70の液圧が下がるように、大径与圧室70の液圧をリザーバR側に逃がすことになる。
上記のように、水平穴83と鉛直穴90とがシリンダ軸方向から見て交差(詳しくは直交)するため、水平穴83とこれに螺合される蓋体105とで摺動が案内される制御弁体112の移動方向と、鉛直穴90に螺合される蓋体130で摺動が案内される逆止弁体140の移動方向とがシリンダ軸方向から見て交差(詳しくは直交)する。しかも、水平穴83が水平に配置され鉛直穴90が鉛直に配置されているため、制御弁装置75の制御弁体112の移動方向が水平方向とされ、逆止弁装置76の逆止弁体140の移動方向が鉛直方向とされている。
また、上記のように、逆止弁室153とプライマリ液圧室61とに連通する連通穴101の延長線が鉛直穴90内にあってその開口部97内の位置から外方に延出するようになっているため、小径液圧通路160の一部であって連通穴101で形成される直線通路160bの延長線も同様に開口部97内に位置している。
加えて、上記のように、逆止弁室153と制御圧力室128とに連通する連通穴100の延長線が水平穴83内にあってその開口部89内の位置から外方に延出するようになっているため、小径液圧通路160の他の一部であって連通穴100で形成される直線通路160aの延長線も開口部89内に位置している。なお、この直線通路160aの延長線は、開口部97内に位置していても良い。
以上に述べた第1実施形態に係るマスタシリンダ10によれば、リザーバRとプライマリ液圧室61とに連通する必要がある逆止弁装置76の逆止弁室153が、大径与圧室70の液圧を制御弁装置75を介してリザーバRに逃がす開放通路161とプライマリ液圧室61とにそれぞれ連通する構成となっているため、逆止弁室153とリザーバRとを、専用通路ではなく、大径与圧室70の液圧を制御弁装置75を介してリザーバRに逃がす開放通路161を利用して結ぶことができる。つまり、開放通路161を制御弁装置75と逆止弁装置76とで共用することができる。したがって、通路構成の簡素化を図ることができ、加工工数の増大を抑制して生産性を向上させることができる。
また、制御弁装置75の制御弁体112の移動方向と逆止弁装置76の逆止弁体140の移動方向とがシリンダ軸方向から見て交差するため、これら制御弁装置75および逆止弁装置76をコンパクトに配置することができる。
また、プライマリ液圧室61と制御弁装置75とを接続する小径液圧通路160が逆止弁室153に連通しているため、逆止弁室153を小径液圧通路160の一部として利用できる。したがって、通路構成のさらなる簡素化を図ることができ、加工工数の増大をさらに抑制して生産性を一層向上させることができる。
また、制御弁装置75の制御弁体112の移動方向が水平方向とされ、逆止弁装置76の逆止弁体140の移動方向が鉛直方向とされているため、これら制御弁装置75および逆止弁装置76をさらにコンパクトに配置することができる。
また、逆止弁装置76の逆止弁室153が、制御弁装置75よりも鉛直方向下側に設けられているため、制御弁装置75および逆止弁装置76をコンパクトに配置することができる。
また、開放通路161の一部は、鉛直方向に沿って設けられているため、マスタシリンダ1へのブレーキ液の充填時に、逆止弁装置76内のエアを効率よく排出することができる。
また、逆止弁装置76のケーシングである下方突出部81および制御弁装置76のケーシングである側方突出部80がシリンダボディ15と一体に形成されているため、部品点数を低減できるとともに、コンパクト化が図れ、低コスト化が図れる。
また、開放通路161と逆止弁室153とを連通する連通路162が、開放通路161に接続される制御弁装置75の制御弁室127を介して開放通路161に接続されるため、制御弁室127を連通路162の一部として共用できる。したがって、通路構成のさらなる簡素化を図ることができ、加工工数の増大をさらに抑制して生産性を一層向上させることができる。
また、連通路162と開放通路161の一部とが、制御弁室127および逆止弁室153を通る直線通路163とされているため、これらを一度の穴開け加工で形成できる。したがって、加工工数の増大をさらに抑制して生産性を一層向上させることができる。
また、小径液圧通路160の一部である連通穴101で形成される部分が逆止弁室153とプライマリ液圧室61とを結ぶ直線通路160bとされており、この直線通路160bの延長線が、逆止弁室153を構成する鉛直穴90の開口部97内に位置するため、開口部97を介して直線通路160bを加工することができる。
また、リザーバRとプライマリ液圧室61とに連通する必要がある逆止弁装置76の逆止弁室153が、大径与圧室70の液圧をプライマリ液圧室61の液圧上昇に応じて徐々に低下させるようにリザーバR側に逃がす制御弁装置75をプライマリ液圧室61に接続させる小径液圧通路160とリザーバRとにそれぞれ連通する構成となっているため、逆止弁室153とプライマリ液圧室61とを、専用通路ではなく、制御弁装置75をプライマリ液圧室61に接続させる小径液圧通路160の直線通路160bを利用して結ぶことができる。つまり、小径液圧通路160の直線通路160bを制御弁装置75と逆止弁装置76とで共用することができる。したがって、通路構成の簡素化を図ることができ、加工工数の増大を抑制して生産性を向上させることができる。
また、制御弁装置75は、小径液圧通路160に接続されて制御弁体112に開弁方向への圧力を及ぼす制御圧力室128を有し、制御圧力室128とプライマリ液圧室61とを接続する小径液圧通路160が逆止弁室153を介して連通しているため、逆止弁室153を小径液圧通路160の一部として利用できる。したがって、通路構成のさらなる簡素化を図ることができ、加工工数の増大をさらに抑制して生産性を一層向上させることができる。
また、小径液圧通路160の一部が、制御圧力室128および逆止弁室153を通る直線通路160aとされているため、制御圧力室128および逆止弁室153を一度の穴開け加工で連通させることができる。したがって、加工工数の増大をさらに抑制して生産性を一層向上させることができる。
本発明の第2実施形態に係るマスタシリンダを主に図10を参照して第1実施形態との相違部分を中心に以下に説明する。なお、第1実施形態と同様の部分には同一の符号を付しその説明は略す。
第2実施形態では、大径与圧室70、プライマリ液圧室61およびリザーバRに接続されるとともに、大径与圧室70の液圧をプライマリ液圧室61の液圧上昇に応じて徐々に低下させるようにリザーバR側に逃がすための制御弁装置165と、リザーバR側からプライマリ液圧室61側へのブレーキ液の流通を許し、プライマリ液圧室61側からリザーバR側へのブレーキ液の流通を遮断する逆止弁装置166との配置が、主に第1実施形態と相違している。
つまり、第2実施形態では、シリンダボディ15に、筒部13のシリンダ軸方向の中間位置からシリンダ径方向に沿って水平側方に段付き円筒状に突出する側方突出部170と、この側方突出部170の基端側から下側ほど側方突出部170と同方向に位置するように斜め下方に延出する傾斜突出部171と、側方突出部170の基端側から鉛直上方に若干突出する上方突出部172とが形成されている。これら側方突出部170、傾斜突出部171および上方突出部172も、シリンダボディ15の鋳造時に、底部12、筒部13および取付台部25,26と一体成形される。
傾斜突出部171は、制御弁装置165のケーシングを構成するもので、シリンダボディ15における傾斜突出部171の位置には、傾斜突出部171の傾斜方向に沿う傾斜穴175が形成されている。この傾斜穴175は、筒部13側から順に、口部側大径内径部44に開口することで大径与圧室70に連通する第1穴部176と、この第1穴部176と同軸でこれよりも大径の第2穴部177と、この第2穴部177と同軸でこれよりも大径の第3穴部178と、この第3穴部178と同軸でこれよりも大径の第4穴部179とを有しており、これらの軸線はシリンダ径方向に平行に配置されている。第3穴部178には、メネジ180が形成されており、また、第4穴部179における第3穴部178とは反対側が、外側に開口する開口部181となっている。なお、傾斜穴175は、すべて傾斜突出部171の突出方向前方から工具で加工形成される。
シリンダボディ15における上方突出部172の位置には、鉛直穴184が形成されている。この鉛直穴184は、上方に開口する第1穴部185と、この第1穴部185と同軸でこれよりも若干小径の第2穴部186と、この第2穴部186と同軸でこれよりも小径の第3穴部187とを有しており、これらの軸線は鉛直方向に配置されている。鉛直穴184は、第3穴部187が傾斜穴175の第2穴部177の内周面に開口しており、すべて上方突出部172の突出方向前方から工具で加工形成される。
側方突出部170は、逆止弁装置166のケーシングを構成するもので、シリンダボディ15における側方突出部170の位置には、水平方向に沿う水平穴190が形成されている。この水平穴190は、筒部13側から順に、鉛直穴184の第2穴部186に開口する第1穴部191と、この第1穴部191と同軸でこれよりも大径の第2穴部192と、この第2穴部192と同軸でこれよりも大径の第3穴部193とを有しており、これらの軸線はシリンダ径方向に平行な水平方向に配置されている。第2穴部192には、メネジ195が形成されており、また、第3穴部193における第2穴部192とは反対側が、外側に開口する開口部196となっている。また、第2穴部192の底面には、第1穴部191と平行をなし中間大径内径部38に開口することで、プライマリ液圧室61に連通する連通穴198が形成されている。なお、水平穴190および連通穴198は、すべて側方突出部170の突出方向前方から工具で加工形成される。
ここで、上記した傾斜穴175および水平穴190は、それぞれの軸線がシリンダ軸方向から見て交差するように配置されている。
また、傾斜穴175における第3穴部178の第2穴部177側の端部と、水平穴190における第2穴部192の第1穴部191側の端部とを近接位置同士で結ぶように連通穴199が形成されている。この連通穴199は軸線を鉛直に配置しており、その延長線は傾斜穴175内にあってその開口部181内の位置から外方に延出する。この連通穴199は、傾斜穴175から挿入される工具で加工形成される。
加えて、鉛直穴184の第2穴部186における水平穴190との交差位置よりも第1穴部185側の中間部には、シリンダボディ15における口部14側の取付穴26a内に開口することでリザーバRに連通する連通穴200が形成されている。この連通穴200の延長線は口部14側の取付穴26a内にある。この連通穴200は、取付穴26aから挿入される工具で加工形成される。なお、鉛直穴184の第1穴部185は第1実施形態と同様の球状の閉塞部材98が打ち込まれることで閉塞されている。
上記した傾斜穴175は、制御弁装置165のケーシングを構成する、第1実施形態と同様の蓋体105およびシールリング109で閉塞されている。この蓋体105は、オネジ108を傾斜穴175のメネジ180に螺合させることになる。制御弁装置165は、傾斜穴175と蓋体105とで形成された空間内に、傾斜穴175の軸方向に沿って移動する第1実施形態と同様の制御弁体112と、これをシリンダボディ15の筒部13側つまり閉方向に付勢する第1実施形態と同様の弁スプリング113とが配設されている。
制御弁体112のピストン部材118は、第2軸部116が傾斜穴175の第2穴部177に摺動可能に嵌合されるとともに、第3軸部117が蓋体105の筒部106の内周面に摺動可能に嵌合される。また、制御弁体112は、そのシール部材124が傾斜穴175の第2穴部177の底面に当接することで第1穴部176を閉塞可能となっている。さらに、制御弁体112は、シールリング125,126が傾斜穴175および蓋体105との隙間を常時シールする。
制御弁装置165は、主に傾斜穴175の第2穴部177の内側部分が制御弁室203となり、この制御弁室203に制御弁体112が収容されている。また、主に第2軸部116、蓋体105および傾斜穴175の第3穴部178で囲まれた部分が制御圧力室204となっている。
上記した水平穴190は、逆止弁装置166のケーシングを構成する第1実施形態と同様の蓋体130およびシールリング136で閉塞されている。この蓋体130は、そのオネジ135を水平穴190のメネジ195に螺合させることになる。逆止弁装置166は、水平穴190と蓋体130とで形成された空間内に、水平移動する第1実施形態と同様の逆止弁体140と、これをシリンダボディ15の筒部13側つまり閉方向に付勢する第1実施形態と同様の弁スプリング141と、逆止弁体140を係止する第1実施形態と同様の係止リテーナ142とが配設されている。
逆止弁体140のシール部材152は、水平穴190の第2穴部192の底面に当接することで第1穴部191を閉塞可能となっている。なお、シール部材152は、第2穴部192の底面に当接しても連通穴198は閉塞させることはない。
上記した逆止弁装置166は、主に水平穴190の第2穴部192の内側部分が逆止弁室206となっており、この逆止弁室206は、水平側方に開口する開口部196が、第1実施形態と同様の蓋体130およびシールリング136により閉塞される構成となっている。そして、この逆止弁室206内に第1実施形態と同様の逆止弁体140が収容されている。また、この逆止弁室206は、制御弁装置165よりも鉛直方向上側に設けられている。
上記した制御弁装置165の制御圧力室204は、連通穴199と逆止弁装置166の逆止弁室206と連通穴198とを介してプライマリ液圧室61に連通しており、連通穴198と連通穴199とが、逆止弁室206を介してプライマリ液圧室61と制御弁装置165の制御圧力室204とを接続する小径液圧通路210を形成している。言い換えれば、逆止弁室206は、プライマリ液圧室61および制御弁装置165を接続する小径液圧通路210に連通している。小径液圧通路210のうち連通穴199で形成される一部が直線通路210aとされ、連通穴198で形成される他の一部が直線通路210bとされている。
また、制御弁装置165の制御弁体112が傾斜穴175の第2穴部177の底面から離れた状態で、傾斜穴175の第1穴部176と、制御弁室203と、鉛直穴184と、連通穴200とを介して大径与圧室70とリザーバRとが連通する。傾斜穴175の第1穴部176と、鉛直穴184と、連通穴200とが、制御弁室203を介して大径与圧室70とリザーバRとを連通させることで、大径与圧室70の液圧を制御弁装置165を介してリザーバRに逃がす開放通路211となっている。この開放通路211の鉛直穴184で構成される一部は、鉛直方向に沿っている。
さらに、水平穴190の第1穴部191が、開放通路211に常時連通し開放通路211と逆止弁室206とを連通可能な連通路212を形成している。
よって、逆止弁装置166の逆止弁室206は、連通路212を介して開放通路211つまりリザーバRに連通するとともに小径液圧通路210の直線通路210bを介してプライマリ液圧室61に連通する。言い換えれば、プライマリ液圧室61と制御弁装置165の制御圧力室204とを接続する小径液圧通路210は、逆止弁室206に連通し、また、逆止弁室206を介してその直線通路210aと直線通路210bとが連通する。そして、逆止弁室206内に収容された逆止弁体140は、リザーバRから、開放通路211、連通路212および逆止弁室206を介して小径液圧通路210側へのブレーキ液の流通を許すことで、この小径液圧通路210の直線通路210bを介してのプライマリ液圧室61へのブレーキ液の流通を許す一方、逆方向つまりプライマリ液圧室61から直線通路210b、逆止弁室206、連通路212および開放通路211を介してのリザーバRへのブレーキ液の流通を遮断する。
その結果、VDCシステムの図示略のポンプでブレーキ液をポンプアップすると、その吸引圧力によって逆止弁体140が弁スプリング141の付勢力に抗して移動して逆止弁装置166が開き、リザーバRから、開放通路211、連通路212、逆止弁室206および直線通路210bを介してプライマリ液圧室61へのブレーキ液を大流量で流すことになる。
制御弁装置165は、その制御圧力室204が、小径液圧通路210および逆止弁装置166の逆止弁室206を介して常時プライマリ液圧室61に連通しており、プライマリ液圧室61の液圧とシールリング125,126の受圧面積差とで、制御弁体112に弁スプリング113の付勢力に抗する推力つまり開弁方向の推力が生じる。このようにして、制御弁体112が弁スプリング113の付勢力に抗して移動すると、開放通路116が開放され、開放通路211の第1穴部176の部分を介して連通する大径与圧室70の液圧を開放通路211を介してリザーバR側に逃がすことになる。ここで、プライマリ液圧室61から導入される制御圧力室204の液圧に応じて制御弁体112に生じる推力が変わることになり、その結果、制御弁体112は、大径与圧室70の液圧を、プライマリ液圧室61の液圧上昇に応じて徐々に低下させるようにリザーバR側に逃がすことになる。
上記のように、傾斜穴175と水平穴190とがシリンダ軸方向から見て交差するため、傾斜穴175とこれに螺合される蓋体105とで摺動が案内される制御弁体112の移動方向と、水平穴190に螺合される蓋体130で摺動が案内される逆止弁体140の移動方向とがシリンダ軸方向から見て交差する。
また、逆止弁室206とプライマリ液圧室61とに連通する連通穴198の延長線が水平穴190内にあってその開口部196内の位置から外方に延出するようになっている。このため、小径液圧通路210の一部であって連通穴198で形成される直線通路210bは逆止弁室206とプライマリ液圧室61とを結んでおり、この直線通路210bの延長線は開口部196内に位置している。
加えて、逆止弁室206と制御圧力室204とに連通する連通穴199の延長線が傾斜穴175内にあってその開口部181内の位置から外方に延出するようになっている。このため、小径液圧通路210の他の一部であって連通穴199で形成される直線通路210aは、制御圧力室204および逆止弁室206を通り、この直線通路210aの延長線は開口部181内に位置している。
以上に述べた第2実施形態に係るマスタシリンダ10によれば、逆止弁装置166の逆止弁室206が、制御弁装置165よりも鉛直方向上側に設けられているため、制御弁装置165および逆止弁装置166をコンパクトに配置することができる。
また、開放通路211の一部は、鉛直方向に沿って設けられているため、マスタシリンダ1へのブレーキ液の充填時に、制御弁装置165内のエアを効率よく排出することができる。
本発明の第1実施形態に係るマスタシリンダを示す主断面図である。 本発明の第1実施形態に係るマスタシリンダを示す要部の断面図である。 本発明の第1実施形態に係るマスタシリンダのシリンダボディを示す平面図である。 図3のシリンダボディの正面図である。 図3のシリンダボディの側面図である。 図3に示すA−A断面図である。 図3に示すB−B断面図である。 図3に示すC−C断面図である。 図3に示すD−D断面図である。 本発明の第2実施形態に係るマスタシリンダを示す要部の断面図である。
符号の説明
10 マスタシリンダ
15 シリンダボディ(段付シリンダ)
18 プライマリピストン(段付ピストン)
41 シールリング(逆止開閉部)
55 小径シリンダ部
56 大径シリンダ部
61 プライマリ液圧室(小径液圧室)
65 小径ピストン部
66 大径ピストン部
70 大径与圧室
75,165 制御弁装置
76,166 逆止弁装置
80 側方突出部(制御弁装置のケーシング)
81 下方突出部(逆止弁装置のケーシング)
97 開口部(開口)
112,制御弁体
127,203 制御弁室
128,204 制御圧力室
130 蓋体
140 逆止弁体
153,206 逆止弁室
161,211 開放通路
160,210 小径液圧通路
160a,160b,163,210a,210b 直線通路
162,212 連通路
170 側方突出部(逆止弁装置のケーシング)
171 傾斜突出部(制御弁装置のケーシング)
R リザーバ

Claims (14)

  1. 大径シリンダ部および小径シリンダ部を有する段付シリンダと、
    該段付シリンダの前記大径シリンダ部内に摺動可能に挿入される大径ピストン部および前記小径シリンダ部内に摺動可能に挿入される小径ピストン部を有する段付ピストンと、
    前記段付シリンダ内を前記大径ピストン部側の大径与圧室と前記小径ピストン部側の小径液圧室とに区画するとともに前記大径与圧室側から前記小径液圧室側へのブレーキ液の流れのみを許容する逆止開閉部と、
    前記大径与圧室、前記小径液圧室およびリザーバに接続され、制御弁体が前記大径与圧室の液圧を前記小径液圧室の液圧上昇に応じて徐々に低下させるように前記リザーバ側に逃がす制御弁装置と、を有するマスタシリンダにおいて、
    前記大径与圧室の液圧を前記制御弁装置を介して前記リザーバに逃がす開放通路と前記小径液圧室とにそれぞれ連通する逆止弁室と、前記逆止弁室内に収容されて前記開放通路から前記小径液圧室へのブレーキ液の流通を許し逆方向のブレーキ液の流通を遮断する逆止弁体とを備えた逆止弁装置を設けたことを特徴とするマスタシリンダ。
  2. 前記制御弁装置の前記制御弁体の移動方向と前記逆止弁装置の前記逆止弁体の移動方向とが交差することを特徴とする請求項1に記載のマスタシリンダ。
  3. 前記小径液圧室と前記制御弁装置とを接続する小径液圧通路が前記逆止弁室に連通していることを特徴とする請求項1に記載のマスタシリンダ。
  4. 前記制御弁装置の前記制御弁体の移動方向が水平方向とされ、前記逆止弁装置の前記逆止弁体の移動方向が鉛直方向とされたことを特徴とする請求項1乃至3のいずれか一項に記載のマスタシリンダ。
  5. 前記逆止弁装置の前記逆止弁室は、前記制御弁装置よりも鉛直方向下側に設けられていることを特徴とする請求項1乃至4のいずれか一項に記載のマスタシリンダ。
  6. 前記逆止弁装置の前記逆止弁室は、前記制御弁装置よりも鉛直方向上側に設けられていることを特徴とする請求項1乃至4のいずれか一項に記載のマスタシリンダ。
  7. 前記開放通路の一部は、鉛直方向に沿って設けられていることを特徴とする請求項1乃至6のいずれか一項に記載のマスタシリンダ。
  8. 前記逆止弁装置のケーシングおよび前記制御弁装置のケーシングが前記段付シリンダと一体に形成されていることを特徴とする請求項1乃至7のいずれか一項に記載のマスタシリンダ。
  9. 前記制御弁装置は、前記開放通路に接続されて前記制御弁体を収容する制御弁室を有し、前記開放通路と前記逆止弁室とを連通する連通路は前記制御弁室を介して前記開放通路に接続されることを特徴とする請求項5に記載のマスタシリンダ。
  10. 前記連通路と前記開放通路の一部とは、前記制御弁室および前記逆止弁室を通る直線通路とされたことを特徴とする請求項9に記載のマスタシリンダ。
  11. 前記逆止弁装置の前記逆止弁室は、鉛直方向の下側が開口し、該開口を蓋体により閉塞される構成とし、前記小径液圧通路の一部は前記逆止弁室と前記小径液圧室とを結ぶ直線通路とされ、該直線通路の延長線は前記開口内に位置することを特徴とする請求項5に記載のマスタシリンダ。
  12. 大径シリンダ部および小径シリンダ部を有する段付シリンダと、
    該段付シリンダの前記大径シリンダ部内に摺動可能に挿入される大径ピストン部および前記小径シリンダ部内に摺動可能に挿入される小径ピストン部を有する段付ピストンと、
    前記段付シリンダ内を前記大径ピストン部側の大径与圧室と前記小径ピストン部側の小径液圧室とに区画するとともに前記大径与圧室側から前記小径液圧室側へのブレーキ液の流れのみを許容する逆止開閉部と、
    前記大径与圧室、前記小径液圧室およびリザーバに接続され、制御弁体が前記大径与圧室の液圧を前記小径液圧室の液圧上昇に応じて徐々に低下させるように前記リザーバ側に逃がす制御弁装置と、を有するマスタシリンダにおいて、
    前記小径液圧室および前記制御弁装置を接続する小径液圧通路と前記リザーバとにそれぞれ連通する逆止弁室と、前記逆止弁室内に収容されて前記リザーバ側から前記小径液圧通路へのブレーキ液の流通を許し逆方向のブレーキ液の流通を遮断する逆止弁体とを備えた逆止弁装置を設けたことを特徴とするマスタシリンダ。
  13. 前記制御弁装置は、前記小径液圧通路に接続されて前記制御弁体に開弁方向への圧力を及ぼす制御圧力室を有し、該制御圧力室と前記小径液圧室とを接続する小径液圧通路は前記逆止弁室を介して連通していることを特徴とする請求項12に記載のマスタシリンダ。
  14. 前記小径液圧通路の一部は、前記制御圧力室および前記逆止弁室を通る直線通路とされたことを特徴とする請求項13に記載のマスタシリンダ。
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