JP5000411B2 - マスタシリンダおよびその製造方法 - Google Patents
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Description
このマスタシリンダは、シリンダ本体に、補給通路を迂回してリザーバと圧力室を連通するバイパス通路が設けられ、このバイパス通路内に、圧力室内の圧力がリザーバの圧力よりも低くなったときに開弁する逆止弁が介装されている。この逆止弁は、弁孔を有する弁座部材と、弁座部材の弁座に離接する弁体と、弁体を弁座方向に付勢する付勢スプリングと、を備え、これらがバイパス通路内に設けられた弁室に収容されている。
最初に、図1〜図9に示す第1の実施形態について説明する。
図面において、1は、この発明に係るマスタシリンダであり、2は、このマスタシリンダ1の上部に取付けられたリザーバである。この実施形態のマスタシリンダ1は車両のブレーキ装置に用いられ、運転席のブレーキ操作に連動してブレーキ回路に作動液を供給する。また、ブレーキ回路には図示しないトラクションコントロール用の制御ポンプ(液圧機器)が設けられ、車両の運転状況に応じて、運転者のブレーキ操作とは別にマスタシリンダ1から制御ポンプに作動液が吸引されるようになっている。
さらに、プライマリピストン4には圧力室6に臨む円筒壁4aが設けられ、その円筒壁4aには径方向に貫通する戻し孔17が形成されている。この戻し孔17は、プライマリピストン4が最大に後退した初期位置にあるときに、圧力室6と環状溝14とを導通させ、圧力室6およびブレーキ回路をリザーバ2と同圧の大気圧に維持するようになっている。
なお、図示は省略されているが、セカンダリ側についても、ここで説明したプライマリ側と同様の導通溝や戻し孔の構造が採用されている。
なお、この実施形態の場合、シリンダ本体3の連通孔13a,13b,環状溝14および戻し孔17がこの発明における補給通路を構成している。また、本明細書において、給排孔10は圧力室6の一部を成すものとする。
なお、ここで説明したリザーバ通路35,弁室33,圧力室通路36は、前述した補給通路(連通孔13,環状溝14及び戻し孔17)をバイパスしてリザーバ2と圧力室6を連通するバイパス通路37を構成している。
また、この実施形態においては、圧力室通路36を直接圧力室と接続しているが、圧力室6の一部をなす給排孔10に圧力室通路36を接続しても良い。
なお、バルブケース38の筒状壁の下端外周には断面の小さいOリング25(環状弾性部材)が装着されている。このOリング25は、蓋部材32をバルブケース38に嵌合したときに、弾性変形を伴って両者に密着し、それによって蓋部材32とバルブケース38を仮固定するようになっている。このOリング25による蓋部材32とバルブケース38の係合力は、カートリッジ39を搬送したり、弁収容ブロック30に組付けたりするときにカートリッジ39が分解しない程度のものとなっている。また、蓋部材32の底壁56の外周は八角形状の係止部56aとされ、その係止部56aが弁室33の凹部31に形成された八角形状の係止溝31aに嵌合されるようになっている。
弁部60は、脚部61と一体に形成される金属製の弁部本体62と、弁部本体62に取り付けられるゴム製の弁シート63と、から成り、弁部本体62は、弁部60の軸心に沿って突出する支軸62aの先端にフランジ部62bが形成され、支軸62aとフランジ部62bに円環状の弁シート63が嵌着固定されている。弁シート63の端部は、フランジ部62bよりも上方側に円環状に突出し、弁部60が上方変位したときに弁孔43の周域の弁座40に弾接するようになっている。ただし、弁シート63が所定以上の荷重で弁座40に圧接されると、弁シート63の弾性変形に伴って金属製のフランジ部62bが弁座40に直接当接するようになる。
脚部61は、上下端の外周に夫々フランジ部64,64が形成され、これらのフランジ部64が主にバルブケース38の筒状壁45にガイドされるが、両フランジ部64,64を含む脚部61の摺動方向の長さは、脚部61の最大直径よりも長く設定されている。また、バルブケース38の筒状壁45の摺動方向の長さは、脚部61の摺動方向長さよりも長く設定されている。なお、脚部61の上下のフランジ部64には作動液の流通を許容するための複数の溝65が形成されている。
また、弁室33の凹部31のうちの開口寄りの内周面には雌ねじ66が設けられ、凹部31内にカートリッジ39を嵌入した後に、雌ねじ66にナット67が螺合されることによってカートリッジ39の蓋部材32が弁収容ブロック30に締め付け固定されるようになっている。
ただし、図10に示す第2の実施形態のように、蓋部材132の外周に雄ねじ69を設け、蓋部材132を弁室の凹部に直接ねじ込むようにしても良い。この場合には、さらなる部品点数の削減が可能になる。
この実施形態は、基本的な構成は第1の実施形態とほぼ同様であるが、弁室33の凹部31に収容される逆止弁機構234の構成が異なっている。具体的には、逆止弁機構234の構成のうちでも、バルブケース38と蓋部材32によってカートリッジ39が形成されている点や、カートリッジ39内に弁体241と付勢スプリング42が収容される点等は同様であるが、弁体241と、弁体241のガイド部の構成が異なっている。
この実施形態は、弁体241と、そのガイド部の構成が若干異なるものの、第1の実施形態とほぼ同様の作用と効果を得ることができる。
この実施形態では、弁体341と付勢スプリング42を収容するカートリッジ339が、他の実施形態と同様にバルブケース338と蓋部材332によって構成されているが、蓋部材332側に、弁体341の昇降作動を許容する凹部80と、弁体341の昇降をガイドするための構造が設けられている。バルブケース338には、弁体341に離接する弁座40と弁孔43と径方向孔48が形成されているが、上記の他の実施形態に比較して薄肉に、かつ小型に形成されている。この実施形態の場合、バルブケース338と蓋部材332は環状部同士の凹凸嵌合によって相互に固定されている。
また、カートリッジ339は、蓋部材332の凹部80内に付勢スプリング4と弁体341が収容され、その状態から蓋部材332の上部にバルブケース338が嵌合固定されることによって組み立てられる。
2…リザーバ
3…シリンダ本体
4…プライマリピストン(ピストン)
6…圧力室
13a…連通孔(補給通路)
14…環状溝(補給通路)
17…戻し孔(補給通路)
25…Oリング(環状弾性部材)
31…凹部
32,132…蓋部材(蓋体)
33…弁室
34,234…逆止弁機構
35…リザーバ通路
37…バイパス通路
38,338…バルブケース
39,339…カートリッジ
40…弁座
41,241,341…弁体
42…付勢スプリング(付勢手段)
43…弁孔(軸方向孔)
45a…内周面(ガイド部)
51…Oリング(環状シール部材)
59…Oリング(シール部材)
Claims (10)
- リザーバから作動液が導入され内部に圧力室を有するシリンダ本体と、前記リザーバから前記圧力室に作動液を補給する補給通路と、前記シリンダ本体内に摺動自在に嵌合されて前記圧力室を画成するとともに摺動位置に応じて前記補給通路を連通、遮断するピストンと、前記補給通路をバイパスして前記リザーバと前記圧力室を連通し、前記圧力室内の圧力が前記リザーバの圧力よりも低いときに開弁して作動液を前記リザーバから前記圧力室へ流通させる逆止弁機構を有するバイパス通路と、を備えたマスタシリンダにおいて、
前記バイパス通路は、前記シリンダ本体に一体に形成され重力方向下方に開口する凹部によって形成される弁室を有し、
該弁室は、前記シリンダ本体における前記圧力室の径方向外側に位置して前記リザーバおよび前記圧力室に連通して形成され、
前記弁室の上端は、前記リザーバよりも重力方向下方に配置され、
前記バイパス通路のうちの、前記弁室と前記リザーバを連通するリザーバ通路は、前記弁室の上端となる前記凹部の底面に開口して接続されてなり、
前記逆止弁機構は、一端が開口したバルブケースと前記一端の開口を閉塞する蓋体とからなるカートリッジと、該カートリッジ内に収容され弁座に離着座する弁体と、前記カートリッジ内に収容され前記弁体を着座する方向に付勢する付勢手段と、を備え、前記弁体および前記付勢手段を収容した前記カートリッジが前記弁室内に連通配置されていることを特徴とするマスタシリンダ。 - 前記弁室は、前記凹部と、この凹部を閉塞する蓋部材とにより構成され、前記弁体および前記付勢手段を収容した前記カートリッジの蓋体が前記蓋部材を兼ねることを特徴とする請求項1に記載のマスタシリンダ。
- 前記弁体は、付勢手段により弁座に向けて付勢されたリフト弁であり、該リフト弁は、弁座に離着座する弁部と摺動部とを有し、前記カートリッジには、前記摺動部を摺動可能に案内するガイド部が設けられていることを特徴とする請求項1または2に記載のマスタシリンダ。
- 前記ガイド部は、前記バルブケースに設けられ、前記弁体は、前記バルブケースのガイド部に摺動する摺動部が設けられ、前記弁体の摺動部は断面略円形状で前記摺動部の摺動方向長さは該摺動部の直径よりも長く設定されていることを特徴とする請求項3に記載のマスタシリンダ。
- 前記蓋体は、有底筒状であり、内周側が前記バルブケースと嵌合し、外周側が前記凹部の内周にシール部材により液密に嵌合されていることを特徴とする請求項1乃至4のいずれかに記載のマスタシリンダ。
- 前記バルブケースと蓋体の間には環状弾性部材が設けられ、該環状弾性部材により前記バルブケースと蓋体とが固定されていることを特徴とする請求項5に記載のマスタシリンダ。
- 前記カートリッジは、前記弁体が重力方向に移動するように前記弁室内に配置されていることを特徴とする請求項1乃至6のいずれかに記載のマスタシリンダ。
- 前記バルブケースには、前記カートリッジが前記弁室に嵌合されたときに、前記弁室内をリザーバ側連通空間と圧力室側連通空間に画成する環状シール部材が設けられていることを特徴とする請求項1乃至7のいずれかに記載のマスタシリンダ。
- 前記リフト弁の弁部は、前記摺動部と一体の弁部本体と、これに取り付けられて前記弁座に接離するゴム製の弁シートとを有し、該弁シートは、所定以上の圧力で前記弁座に押圧されたときに前記リフト弁の摺動方向に圧縮され、前記弁部本体は、このときに前記弁座に当接することを特徴とする請求項3に記載のマスタシリンダ。
- リザーバから作動液が導入されるシリンダ本体と、このシリンダ本体内に摺動自在に嵌合されてシリンダ本体内に圧力室を画成するピストンと、前記シリンダ本体に形成されて前記リザーバから前記圧力室に作動液を補給する補給通路と、この補給通路をバイパスして前記リザーバと前記圧力室を連通するバイパス通路と、このバイパス通路に介装されて前記圧力室内の圧力が前記リザーバの圧力よりも低いときに開弁する逆止弁機構と、を備えたマスタシリンダの製造方法において、
前記バイパス通路の一部を構成する前記リザーバに連通するリザーバ通路を、前記シリンダ本体の重力方向下方へ開口し、前記圧力室の径方向外側に形成される凹部の底面から重力方向上方へ延出して形成する工程と、
一端が開口し他端側の内面に弁座を有するバルブケースと前記一端の開口を閉塞する蓋体とからなるカートリッジを用意する工程と、
該カートリッジ内に、前記バルブケースの弁座に離着座する弁体および該弁体を着座方向に付勢する付勢手段を収容する工程と、
前記弁体および前記付勢手段を収容した前記カートリッジを前記凹部内に連通配置する工程と、を有することを特徴とするマスタシリンダの製造方法。
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