JP2004299546A - マスタシリンダ装置 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】ホイールシリンダに対してフェイルセーフ弁を介して接続されるタンデム型マスタシリンダ4のシリンダ本体10に、マスタシリンダ4内の液圧室13のブレーキ液を導入して、ブレーキペダルの必要なストロークを確保するストロークシミュレータ5を外付けしたマスタシリンダ装置1において、液圧室13とストロークシミュレータ5とを連通する通液路6を、後退位置にあるセカンダリピストン12に対するピストンシール19の近傍に設定し、通液路6内に配設したチルトバルブ7の作動ロッド72を前記セカンダリピストン12に接離させて通液路6を開き、制御系の失陥時には、作動ロッド7からセカンダリピストン12の端部を離脱させて、チルトバルブ7により液通路6を閉じる。
【選択図】 図1
Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、自動車のブレーキ系統に係り、特にホイールシリンダへ供給する液圧を電気的に制御するブレーキ制御装置に用いられるマスタシリンダ装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
この種のブレーキ制御装置に用いられるマスタシリンダ装置は、ホイールシリンダに対してフェイルセーフ弁を介して接続されるマスタシリンダと該マスタシリンダ内のブレーキ液を導入してブレーキペダルの必要なストロークを確保するストロークシミュレータとを備えており、制御系の失陥時には、前記フェイルセーフ弁が開かれて、マスタシリンダの発生液圧がホイールシリンダへ供給されるようになっている。
【0003】
そして従来、このようなマスタシリンダ装置としては、特許文献1に記載されるものがあった。このものは、タンデム型マスタシリンダのシリンダ本体にシミュレータシリンダを外付けしてなっており、マスタシリンダ内のプライマリピストンとセカンダリピストンとの間に画成される液圧室と、ストロークシミュレータとを連通する通液路が、後退位置にあるセカンダリピストンに対するピストンシール位置よりもプライマリピストン側に設定されている。
そして、その1つの実施形態(特許文献1の図2、3)では、セカンダリピストンの延長端部(ランド)にシール部材を支持させると共に、シリンダ本体のボア内面に、セカンダリピストンが後退位置にあるときに前記シール部材に対向して配置される環状溝を形成し、制御系の正常時には、前記シール部材を前記環状溝に対向させて液圧室内のブレーキ液をストロークシミュレータへ導き、制御系の失陥時には、セカンダリピストンの前進に応じて前記シール部材を前記環状溝を超えて移動させ、ストロークシミュレータへのブレーキ液導入を遮断するようにしている。
また、他の実施形態では(特許文献1の図4、5)では、セカンダリピストンの延長部に設けた軸方向孔にプランジャを摺動可能に嵌装し、該プランジャをスプール弁として機能させ(図4)、あるいは前記孔内に嵌装したシール部材に接離可能とし(図5)、制御系の正常時には、前記プランジャにより流路を開いて液圧室内のブレーキ液をストロークシミュレータへ導き、制御系の失陥時には、前記プランジャをセカンダリピストンと相対移動させて、ストロークシミュレータへのブレーキ液導入を遮断するようにしている。
【0004】
【特許文献1】
特表2001−526150号公報
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記特許文献1に記載のマスタシリンダ装置によれば、何れの実施形態ともに、マスタシリンダ内のセカンダリピストンに延長部を設けて、この延長部にストロークシミュレータに対するブレーキ液の導入および導入遮断を行う機構を配設しているため、セカンダリピストンの全長ひいてはマスタシリンダの全長が長くなり、車両への搭載性が悪化する。
本発明は、上記した従来の問題点に鑑みてなされたもので、その課題とするところは、マスタシリンダの全長を長くすることなく、ストロークシミュレータの円滑な作動とマスタシリンダ自体の円滑な作動とを保証し、もって車両への搭載性の向上に寄与するマスタシリンダ装置を提供することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するため、本発明は、ホイールシリンダに対してフェイルセーフ弁を介して接続されるタンデム型マスタシリンダと、該マスタシリンダ内のプライマリピストンとセカンダリピストンとの間に画成される液圧室のブレーキ液を導入して、ブレーキペダルの必要なストロークを確保するストロークシミュレータとを備え、前記ストロークシミュレータが前記マスタシリンダのシリンダ本体に外付けされるマスタシリンダ装置において、前記マスタシリンダ内の液圧室と前記ストロークシミュレータとを連通する通液路を前記シリンダ本体に設け、後退位置にあるセカンダリピストンに当接して前記通液路を開き、かつ前記セカンダリピストンの後退位置からの前進に応じて前記通液路を閉じる弁機構を、前記シリンダ本体の前記通液路内に配設したことを特徴とする。
このように構成したマスタシリンダ装置においては、シリンダ本体の通液路内に配設した弁機構をセカンダリピストンに接離させて通液路の開閉を行うので、セカンダリピストンに延長部を設ける必要はなくなる。
本発明において、上記弁機構が、ばねにより閉弁方向へ付勢される弁体と、シリンダ本体にその軸線方向に移動可能に支持され、セカンダリピストンの動きに応じてこれに接離し、前記弁体を開閉動作させる作動ロッドとを備えている構成とすることができる。この場合は、良好なシール性を確保できることはもちろん、シール部材を用いる場合のように損傷する危険もなくなる。
本発明において、上記弁機構は、前記弁機構が、チルトバルブである構成とすることができる。
【0007】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。
図1および2は、本発明に係るマスタシリンダ装置1の全体的構造を示したものである。本マスタシリンダ装置1は、ホイールシリンダ(図示略)に対してフェイルセーフ弁2A、2Bを介して接続され、ブレーキペダル3の踏力に応じた液圧を発生するタンデム型マスタシリンダ4と、マスタシリンダ4のシリンダ本体10に外付けされ、マスタシリンダ4内のプライマリピストン11とセカンダリピストン12との間に画成される液圧室(第1液圧室)13のブレーキ液を導入して、ブレーキペダル3の必要なストロークを確保するストロークシミュレータ5と、前記第1液圧室13とストロークシミュレータ5内とを連通し、前記シリンダ本体10に設けられた通液路6内に配設されたチルトバルブ(弁機構)7とから概略構成されている。なお、ブレーキ制御装置は、本マスタシリンダ装置1以外に液圧源、液圧制御弁、電子制御ユニット等を含む液圧制御手段を備えており、常時はマスタシリンダ4の発生液圧やブレ−ォペダル3の操作力または操作量等に基づいて前記液圧制御手段がホイールシリンダへ供給する液圧を制御するようになっている。
【0008】
本マスタシリンダ装置1を構成するシリンダ本体10は有底筒状をなし、そのボア14内に、前記プライマリピストン11と前記セカンダリピストン12とが摺動可能に収納されている。プライマリピストン11は、ピストン部11aとこのピストン部11aに連接された軸部11bとからなっており、その軸部11bが、ボア14の開口端部に液密に装着したピストンガイド16をカップシール17を介して摺動可能に挿通してシリンダ本体10の後方へ延ばされている。また、ピストン部11aには、ボア14の内面との間をシールするカップシール(ピストンシール)18が装着されており、前記第1液圧室13は、このピストンシール18により外部から遮断されている。
【0009】
一方、セカンダリピストン12の両端部には、ボア14の内面との間をシールするカップシール(ピストンシール)19、20が装着されている。前記第1液圧室13は、このセカンダリピストン12の一端側に装着したピストンシール19と前記プライマリピストン11上のピストンシール18とにより密閉室として区画されている。また、ボア14の内底側は、前記セカンダリピストン12の他端側に装着したピストンシール20により液圧室(第2液圧室)21として区画されている。なお、シリンダ本体10には、前記第1、第2液圧室13、21内を前記フェイルセーフ弁2A、2Bに各独立に連通するポート21A、21B(図2)が設けられている。
【0010】
上記プライマリピストン11とセカンダリピストン12との間には第1戻しばね21が、セカンダリピストン12とボア14の内底との間には第2戻しばね22がそれぞれ介装されている。プライマリピストン11には、前記ピストンガイド16に添設したストッパプレート23に当接可能なストッパ環24が外嵌されており、プライマリピストン11はそのストッパ環24をストッパプレート23に当接させる位置が戻り位置となっている。また、セカンダリピストン12は、その中間部に貫設した軸径方向孔(長孔)25に挿入されたストッパピン26により戻り端が規制されている。ストッパピン26は、図3に示すようにボア14を横断して延ばされ、その基端部がシリンダ本体10の壁に螺着されている。なお、第1戻しばね21の一端はプライマリピストン11に装着したリテーナ27Aに、第2戻しばね22の一端はセカンダリピストン12に装着したリテーナ27Bに係止されている。
【0011】
プライマリピストン11のピストン部11aの背面とピストンガイド16との間には、軸部11bを囲む環状の給油室(プライマリ側給油室)28が形成されている。このプライマリ側給油室28は、シリンダ本体10に設けた通液路29によりリザーバ(図示略)に連通される一方で、前記軸部11bに貫設した軸径方向孔(長孔)30と前記ピストン部11aに貫設した軸方向孔31とにより第1液圧室13に連通されている。
【0012】
ここで、第1液圧室13に面するプライマリピストン11の端部には前記軸方向孔31が開口する凹部32が形成されており、この凹部32内には、該軸方向孔31を開閉するセンターバルブ33が配設されている。このセンターバルブ33は、前記リテーナ27Aに一端が係止された弁ばね34により前記軸方向孔31を閉じる方向へ付勢された弁体35とこの弁体35から軸方向孔31を挿通して前記軸径方向孔30内まで延ばされたバルブステム36とを備えている。前記軸径方向孔30には、前記ストッパ環24に両端部が支持されたストッパピン37が配置されており、プライマリピストン11が戻り位置にあるときには、このストッパピン37にバルブステム36が当接することで、弁体35が軸方向孔31を開く位置に移動し、これにより第1液圧室13が前記リザーバに対して開放される。一方、ストッパ環24は、ばね38によりピストンガイド16側へ付勢されており、プライマリピストン11が前記戻り位置から前進すると、図5に示すようにストッパ環24と一体にストッパピン37がピストンガイド16側へ相対移動し、センターバルブ33の弁体35が軸方向孔31を閉じるようになる。
【0013】
また、セカンダリピストン12の中間部は小径部となっており、この小径部の周りは、環状の給油室(セカンダリ側給油室)39として区画されている。このセカンダリ側給油室39は、シリンダ本体10に設けた通液路40により図示を略すリザーバに連通される一方で、セカンダリピストン12に貫設した前記軸径方向孔25とセカンダリピストン12の前端部に貫設した軸方向孔41とにより前記第2液圧室21に連通されている。
【0014】
ここで、第2液圧室21に面するセカンダリピストン12の端部には前記軸方向孔41が開口する凹部42が形成されており、この凹部42内には該軸方向孔41を開閉するセンターバルブ43が配設されている。このセンターバルブ43は、前記リテーナ27Bに一端が係止された弁ばね44により軸方向孔41を閉じる方向へ付勢された弁体45とこの弁体45から軸方向孔41を挿通して前記軸径方向孔25内まで延ばされたバルブステム46とを備えている。セカンダリピストン12が戻り位置にあるときには、前記ストッパピン26にバルブステム46が当接することで、弁体45が軸方向孔41を開く位置に移動し、これにより第2液圧室21が前記リザーバに対して開放される。一方、セカンダリピストン12が前進すると、これと相対にストッパピン26が移動し、センターバルブ43の弁体45が軸方向孔41を閉じるようになる。
【0015】
上記ストロークシミュレータ5は、特開平11−334577号公報に記載されたアキュムレータと実質同じものであり、小径ボア50と大径ボア51とを環状のストッパ壁52を介して連接してなる有底のシリンダ本体53を備えている。このストロークシミュレータ5は、そのシリンダ本体53の一端に突設したボス部54を上記マスタシリンダ4側のシリンダ本体10に設けられた通液路6に螺合させることにより該シリンダ本体10に直結(外付け)されている。
【0016】
上記シリンダ本体53の小径ボア50内には、円筒状の大径ピストン55と小径ピストン56とが同心に配設されている。大径ピストン55には小径ボア50の内面との間をシールするカップシール(ピストンシール)57が、小径ピストン56には大径ピストン55の内面との間をシールするカップシール(ピストンシール)58がそれぞれ設けられており、両ピストン55および56と小径ボア50の内底との間には密閉の圧力室59が画成されている。また、前記シリンダ本体53のボス部54には、上記マスタシリンダ4側の通液路6に対して前記圧力室59を連通させるポート60が設けられている(図4)。
【0017】
一方、シリンダ本体53の大径ボア51内には、可動ばね受け61が配設されている。この可動ばね受け61は、大径ボア51の底面との間に介装した大径の第1ばね62により常時は小径ボア50側へ付勢され、その先端部に設けた円筒部61aを小径ボア50内に臨ませている。また、この可動ばね受け61の円筒部61aの底面と前記小径ピストン56との間には、前記第1ばね62よりもばね力の小さい小径の第2ばね63が介装されており、小径ピストン56は、常時はこの第2ばね63により、その先端肩部を大径ピストン55の開口端の内方フランジ55a(図4)に当接させる前進端に位置決めされている。なお、大径ボア51内は、前記マスタシリンダ4内の、リザーバと連通するセカンダリ側給油室39に対して配管64により接続されている。
【0018】
このようなストロークシミュレータ5において、圧力室59内の液圧が上昇すると、先ず、大径ピストン55および小径ピストン56が第2ばね63のばね力に抗して一体に後退し、大径ピストン52がストッパ壁52に当接した後は、小径ピストン56のみが第2ばね63のばね力に抗して後退する。そして、その後、さらに液圧が上昇すると、小径ピストン56が可動ばね受け61に当接して、小径ピストン56と可動ばね受け61とが第1ばね62のばね力に抗して一体となって後退する。
【0019】
上記マスタシリンダ4とストロークシミュレータ5とを連通する通液路6は、図4および図5によく示されるように、後退位置にあるセカンダリピストン12に対するピストンシール19の位置よりもプライマリピストン11側であって、該ピストンシール19に隣接する部位にその開口部6aが設定されている。この通液路6に挿入された、ストロークシミュレータ5側のボス部54の先端部には凹部54aが形成されており、この凹部54aの底には、前記ポート60を囲む弁座70が形成されている。また、ボス部54の先端側外周部はおねじ部54bが形成されており、通液路6に形成されためねじ部6bに螺合することで、ストロークシミュレータ95がマスタシリンダ4に固定される。
【0020】
上記チルトバルブ7は、前記弁座70に離着座する弁体71と、この弁体71に一端部が係止され、他端部が前記開口部6aを挿通してマスタシリンダ4内の第1液圧室13内に延出された作動ロッド(駆動部材)72と、通液路6内でボス部54に嵌合したスリーブ73に嵌着され、前記作動ロッド72を支持する弾性支持体74と、ボス部54に一端が係止され、前記弁体71を常時は弁座70に着座する閉弁方向へ付勢する弁ばね75とからなっている。
弾性支持体74は、図5に示されるように、周辺の固定部76と、前記作動ロッド72を支持する中心の支持部77と、前記固定部76と支持部77とを連接するスクロール状のブリッジ部78とを備えており、例えば、ポリアミド樹脂により一体成形されている。
このようなチルトバルブ7において、上記作動ロッド72は、セカンダリピストン12が後退位置にあるとき、該セカンダリピストン12の後端部(端部)80に当接してプライマリピストン11側へ移動するようになっており、これに応じて弁体71が傾動し、ストロークシミュレータ5側のポート60がマスタシリンダ4内の第1液圧室13へ開放される。
【0021】
以下、上記のように構成したマスタシリンダ装置の作用を図6も参照して説明する。
先ず、ブレーキ制御装置の制御系が正常に作動している場合について説明する。この場合は、フェイルセーフ弁2A、2Bが閉鎖されており、ブレーキペダル3の踏込みに応じてプライマリピストン11が、同図の左方向へ前進し、プライマリピストン11上のストッパ環24と一体にストッパピン26が図1の右方向へ相対移動する。これにより、センターバルブ33の弁体35が弁ばね34のばね力で同図の右方向へ移動し、プライマリピストン11内の軸方向孔31が閉じられ、第1液圧室13と図示を略すリザーバとの連通が遮断される。この結果、第1液圧室13内にブレーキペダル3の入力に応じた液圧が発生し、このとき、後退位置にあるセカンダリピストン12の後端部80との係合によりチルトバルブ7の弁体71が開いているので、第1液圧室13内のブレーキ液は、通液路6からポート60を経てストロークシミュレータ5内の圧力室59に導入される。ここで、プライマリピストン11の前進により第1液圧室13内の圧力上昇し、この圧力がセカンダリピストン12に伝達され、セカンダリピストン12も前進するが、このセカンダリピストン12と相対にストッパピン26が後退するので、その前面のセンターバルブ43が閉弁動作し、これによりセカンダリピストン12はわずか前進して停止し、この結果、チルトバルブ7の開弁状態が維持される。
【0022】
一方、ストロークシミュレータ5の圧力室59にブレーキ液が導入されると、先ず、大径ピストン55および小径ピストン56が第2ばね63のばね力に抗して一体に後退し、これにより圧力室59が急速に拡大し、ブレーキペダル3の適切な初期ストロークが確保される。そして、大径ピストン52がストッパ壁52に当接することで、小径ピストン56のみが第2ばね63のばね力に抗して後退し、この間、ブレーキペダル3のストロークに対する反力が適当に高まり、良好なブレーキ操作感(ペダルフィーリング性)が得られる。その後、さらにブレーキペダル3が踏込まれると、小径ピストン56が可動ばね受け61に当接して、小径ピストン56と可動ばね受け61とが第1ばね62のばね力に抗して一体となって後退する。これにより、ブレーキペダル3のストロークに対する反力がさらに高まり、いわゆる踏み応えが生じて、ペダルフィーリング性は理想の状態となる。なお、このとき、ストロークシミュレータ5内の大径ボア51内は前記マスタシリンダ4内のセカンダリ側給油室39を経由してリザーバと連通されているので、可動ばね受け61の円滑な移動が保証される。
【0023】
次に、ブレーキ制御装置の制御系が失陥した場合について説明する。この場合は、フェイルセーフ弁2A、2Bが切換わってマスタシリンダ4がホイールシリンダへ接続され、プライマリピストン11の前進により第1液圧室13に発生した液圧は、フェイルセーフ弁2Aを通って対応するホールシリンダへ供給される。一方、このプライマリピストン11の前進によりセカンダリピストン12も前進し、これにより第2液圧室21にも液圧が発生し、この液圧はフェイルセーフ弁2Bを通って対応するホイールシリンダへ供給される。しかして、このセカンダリピストン12がが前進すると、図6に示すように、その後端部80とチルトバルブ7の作動ロッド72との当接が外れ、弁体71が弁ばね75の付勢力により起立姿勢となる。すると、マスタシリンダ4とストロークシミュレータ5とを連通するポート60が閉じられ、これによりストロークシミュレータ5へのブレーキ液供給は停止する。この結果、ストロークシミュレータ5でブレーキ液が消費されることがなくなり、各ホイールシリンダに対して必要なブレーキ液が供給され、マニュアルのブレーキとして作動する。
【0024】
このように本マスタシリンダ装置1によれば、マスタシリンダ4のシリンダ本体10に設けた通液路6内に弁機構としてのチルトバルブ7を配置し、このチルトバルブ7の作動ロッド72をセカンダリピストン12の端部80に接離させて該通液路6の連通遮断を行うので、従来のようにセカンダリピストン12に延長部を設ける必要はなくなり、結果として車両への搭載性が向上する。
また、本実施の形態では、弁機構としてチルトバルブ7を用いているので、良好なシール性を確保できることはもちろん、シール部材を用いる場合のように損傷する危険もなくなり、装置の耐久信頼性は向上する。また、チルトバルブ7は、弾性支持体74に作動ロッド72を支持させる構造となっているので、その円滑な作動が保証される。
なお、この弁機構は、チルトバルブに限らず、セカンダリピストンに当接するものであれば、スライド弁、スプール弁等を用いてもよい。
【0025】
【発明の効果】
以上詳述したように、本発明に係るマスタシリンダ装置によれば、セカンダリピストンの端部と係脱する弁機構の作動によりマスタシリンダからストロークシミュレータへの液通路を連通遮断するので、セカンダリピストンひいてはマスタシリンダの全長が長くなることはなくなり、車両への搭載性が向上する。
また、弁機構としてチルトバルブを用いているので、良好なシール性を確保できることはもちろん、シール部材を用いる場合のように損傷の危険もなく、装置の耐久信頼性は向上する。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係るマスタシリンダ装置の全体的構造を示す断面図である。
【図2】本マスタシリンダ装置の全体的構造を示す斜視図である。
【図3】本マスタシリンダ装置を構成するマスタシリンダの一部を拡大して示す断面図である。
【図4】本マスタシリンダ装置を構成する弁機構の構造と使用態様とを示す断面図である。
【図5】弁機構を構成する弾性支持体の形状を示す平面図である。
【図6】本マスタシリンダ装置の、制御系失陥時における作動状態を示す断面図である。
【符号の説明】
1 マスタシリンダ装置
2A、2B フェイルセーフ弁
3 ブレーキベダル
4 マスタシリンダ
5 ストロークシミュレータ
6 通液路
7 チルトバルブ(弁機構)
11 プライマリピストン
12 セカンダリピストン
13 第1液圧室(液圧室)
55 ストロークシミュレータの大径ピストン
56 ストロークシミュレータの小径ピストン
59 ストロークシミュレータの圧力室
71 弁機構の弁体
72 弁機構の作動ロッド
74 弁機構の弾性支持体
75 弁機構の弁ばね
Claims (3)
- ホイールシリンダに対してフェイルセーフ弁を介して接続されるタンデム型マスタシリンダと、該マスタシリンダ内のプライマリピストンとセカンダリピストンとの間に画成される液圧室のブレーキ液を導入して、ブレーキペダルの必要なストロークを確保するストロークシミュレータとを備え、前記ストロークシミュレータが前記マスタシリンダのシリンダ本体に外付けされるマスタシリンダ装置において、前記マスタシリンダ内の液圧室と前記ストロークシミュレータとを連通する通液路を前記シリンダ本体に設け、後退位置にあるセカンダリピストンに当接して前記通液路を開き、かつ前記セカンダリピストンの後退位置からの前進に応じて前記通液路を閉じる弁機構を、前記シリンダ本体の前記通液路内に配設したことを特徴とするマスタシリンダ装置。
- 前記弁機構が、ばねにより閉弁方向へ付勢される弁体と、シリンダ本体にその軸線方向に移動可能に支持され、セカンダリピストンの動きに応じてこれに接離し、前記弁体を開閉動作させる作動ロッドとを備えていることを特徴とする請求項1に記載のマスタシリンダ装置。
- 前記弁機構が、チルトバルブであることを特徴とする請求項1または2に記載のマスタシリンダ装置。
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- 2003-03-31 JP JP2003095090A patent/JP2004299546A/ja active Pending
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