JP2002249040A - マスタシリンダ - Google Patents

マスタシリンダ

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JP2002249040A
JP2002249040A JP2001051128A JP2001051128A JP2002249040A JP 2002249040 A JP2002249040 A JP 2002249040A JP 2001051128 A JP2001051128 A JP 2001051128A JP 2001051128 A JP2001051128 A JP 2001051128A JP 2002249040 A JP2002249040 A JP 2002249040A
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small
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貴人 荻原
Kenji Sano
健次 佐野
Naganori Koshimizu
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  • Transmission Of Braking Force In Braking Systems (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【課題】 ファーストフィルの性能およびハイフローの
性能を確保した上で、コストを低減することが可能なマ
スタシリンダを提供する。 【解決手段】 小径液圧室側遮断部201が閉状態とな
るまでの段付ピストン16の無効ストロークが、大径与
圧室側遮断部202が閉状態となるまでの段付ピストン
16の無効ストロークに対し長くすることで、大径与圧
室側遮断部202を、ハイフローに対応しかつ無効スト
ロークが短くファーストフィルに対応した遮断構造と
し、小径液圧室側遮断部201をハイフローに対応した
無効ストロークの長い低コストなタイプの遮断構造にす
る。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、自動車のブレーキ
装置等にブレーキ液を供給するマスタシリンダに関す
る。
【0002】
【従来の技術】従来のマスタシリンダとして、実願昭5
5−152602号(実開昭57−73248号)のマ
イクロフィルムに記載されているように、ディスクブレ
ーキやドラムブレーキ等のブレーキ装置に対してブレー
キ液を供給する際、作動初期に大容量のブレーキ液を供
給する、いわゆるファーストフィルを行うことで、スト
ローク初期の無効液量分を補い、その結果、ペダルスト
ロークを短縮可能なものがある。
【0003】この種のマスタシリンダは、大径シリンダ
部および小径シリンダ部を有する段付シリンダと、該段
付シリンダの大径シリンダ部内に摺動可能に挿入される
大径ピストン部および小径シリンダ部内に摺動可能に挿
入される小径ピストン部を有する段付ピストンと、段付
シリンダ内を大径ピストン部側の大径与圧室と小径ピス
トン部側の小径液圧室とに区画するとともに大径与圧室
側から小径液圧室側へのブレーキ液の流れのみを許容す
る逆止開閉部と、段付ピストンの小径液圧室側への摺動
により閉じられて大径与圧室とリザーバとの連通を遮断
する大径与圧室側遮断部と、段付ピストンの小径液圧室
側への摺動により閉じられて大径与圧室と小径液圧室と
の連通を遮断する小径液圧室側遮断部とを備えている。
【0004】そして、ブレーキペダルの入力により段付
ピストンが小径液圧室側へ摺動すると、段付ピストンの
小径液圧室側への摺動による大径与圧室の体積減少によ
り逆止開閉部を開いて大径与圧室側から小径液圧室側へ
液補給を行うことで、上記ファーストフィルを行うよう
になっている。
【0005】ところで、上記したファーストフィルの性
能を高めるためには、小径液圧室側遮断部および大径与
圧室側遮断部が閉状態となるまでの段付ピストンの無効
ストロークを可能な限り短くする必要がある。単に無効
ストロークを短く設定すると、小径液圧室側遮断部およ
び大径与圧室側遮断部の流路断面積を狭めてしまうこと
になる。このように、流路断面積を狭めてしまうと、ト
ラクションコントロール装置と組み合わせて使用される
場合、トラクションコントロール装置がブレーキ装置を
作動させるためにマスタシリンダを介してリザーバから
強制的にブレーキ液を吸引する際に、十分な流量すなわ
ちハイフローでブレーキ液を流すことができないという
問題がある。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】このため、本出願人
は、小径液圧室側遮断部および大径与圧室側遮断部に、
先に出願を行った特願平10−294502号の構造を
適用することを考えた。この構造は、ピストンの外周部
に開口するポートをピストンの摺動によりカップシール
で閉塞する構造であって、ピストンの外周部のポートの
開口部より後側に、前側が小径となる制御テーパ面を形
成することで、ピストンの摺動時にカップシール全体が
完全にポートを越えなくても、カップシールの後端部が
制御テーパ面に乗り上げることで面圧を高めてポートを
閉塞させるようになっており、ハイフローに対応した上
で、ピストンの無効ストロークを短くすることができる
ようになっている。
【0007】しかしながら、上記構造を小径液圧室側遮
断部および大径与圧室側遮断部に適用すると、両方に制
御テーパ面を形成しなければならず、また、両方のポー
トの位置精度を厳しく管理する必要があるため、コスト
が増大してしまうという問題があった。
【0008】本発明は上記事情に鑑みてなされたもの
で、その目的とするところは、ファーストフィルの性能
およびハイフローの性能を確保した上で、コストを低減
することが可能なマスタシリンダを提供することであ
る。
【0009】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するた
め、本発明のマスタシリンダは、大径シリンダ部および
小径シリンダ部を有する段付シリンダと、該段付シリン
ダの前記大径シリンダ部内に摺動可能に挿入される大径
ピストン部および前記小径シリンダ部内に摺動可能に挿
入される小径ピストン部を有する段付ピストンと、前記
段付シリンダ内を前記大径ピストン部側の大径与圧室と
前記小径ピストン部側の小径液圧室とに区画するととも
に前記大径与圧室側から前記小径液圧室側へのブレーキ
液の流れのみを許容する逆止開閉部と、前記段付ピスト
ンの前記小径液圧室側への摺動により閉じられて前記大
径与圧室とリザーバとの連通を遮断する大径与圧室側遮
断部と、前記段付ピストンの前記小径液圧室側への摺動
により閉じられて前記大径与圧室と前記小径液圧室との
連通を遮断する小径液圧室側遮断部とを備え、前記段付
ピストンの前記小径液圧室側への摺動による前記大径与
圧室の体積減少により前記逆止開閉部を開いて前記大径
与圧室側から前記小径液圧室側へ液補給を行うマスタシ
リンダにおいて、前記小径液圧室側遮断部が閉状態とな
るまでの前記段付ピストンの無効ストロークが、前記大
径与圧室側遮断部が閉状態となるまでの前記段付ピスト
ンの無効ストロークに対し長くされていることを特徴と
している。
【0010】このように、小径液圧室側遮断部が閉状態
となるまでの段付ピストンの無効ストロークが、大径与
圧室側遮断部が閉状態となるまでの段付ピストンの無効
ストロークに対し長くされているため、例えば、大径与
圧室側遮断部を、ハイフローに対応しかつ無効ストロー
クが短くファーストフィルに対応した遮断構造とし、小
径液圧室側遮断部をハイフローに対応した無効ストロー
クの長い低コストなタイプの遮断構造にできる。そし
て、このようにしても、大径与圧室から小径液圧室への
液補給の際には、無効ストロークが長い小径液圧室側遮
断部が閉状態となっていなくても、無効ストロークが短
い大径与圧室側遮断部が閉状態になっていれば、段付ピ
ストンの小径液圧室側への摺動による大径与圧室の体積
減少により生じるブレーキ液の流れは、小径液圧室側遮
断部を介するものは大径与圧室側から小径液圧室側へで
あり、逆止開閉部を介しての大径与圧室側から小径液圧
室側へ液補給と同じ流れになるため、上記ファーストフ
ィル性能を低下させることがない。
【0011】
【発明の実施の形態】本発明の一実施形態のマスタシリ
ンダを図面を参照して説明する。
【0012】図1は、本実施形態のマスタシリンダを示
すもので、図1中、符号11は図示せぬブースタを介し
て導入されるブレーキペダルの入力に応じてブレーキ液
圧を発生させるマスタシリンダ本体を、符号12は該マ
スタシリンダ本体11の上部に取り付けられて該マスタ
シリンダ本体11に対しブレーキ液を給排するリザーバ
をそれぞれ示している。
【0013】マスタシリンダ本体11は、横方向に沿う
略有底筒状の段付シリンダ15と、該段付シリンダ15
の開口部側(図における右側)に摺動可能に嵌合された
プライマリピストン(段付ピストン)16と、段付シリ
ンダ15のプライマリピストン16より底部15a側
(図における左側)に摺動自在に嵌合されたセカンダリ
ピストン17とを有している。
【0014】段付シリンダ15は、該段付シリンダ15
の底部15aが形成されるとともに横方向に沿って穴部
20が形成された有底円筒状の第1部材21と、該第1
部材21の穴部20内に底部15a側から順次嵌合され
る略円筒状の第2部材22、第3部材23、第4部材2
4および第5部材25と、第5部材25の底部15aに
対し反対側に該第5部材25を覆うように設けられる第
6部材26と、該第6部材26の底部15aに対し反対
側に設けられるとともに第1部材21に螺合されて第2
部材22〜第6部材26を第1部材21に保持する第7
部材27とを有している。
【0015】第2部材22の内側に、上記セカンダリピ
ストン17が摺動可能に嵌合されている。セカンダリピ
ストン17は一端側から穴部30が形成された有底円筒
状をなしており、該穴部30を第1部材21の底部15
aに対向させるようにして第2部材22に嵌合されてい
る。
【0016】ここで、第1部材21の底部15a側とセ
カンダリピストン17の底部15a側すなわち穴部30
側とで囲まれた部分が、セカンダリ側小径液圧室32と
なっている。
【0017】第2部材22には、一端側が該第2部材2
2の径方向における内周面に開口するとともに他端側が
第1部材21の流路33を介してリザーバ12に常時連
通するポート34が形成されており、セカンダリピスト
ン17には、上記ポート34とセカンダリ側小径液圧室
32とを連通可能なリリーフポート35が形成されてい
る。
【0018】第2部材22と第1部材21との間には、
セカンダリ側小径液圧室32とポート34との連通を遮
断可能なカップシール36が設けられている。このカッ
プシール36はセカンダリ側小径液圧室32の液圧がリ
ザーバ12側の液圧以上の場合にこれらの連通を遮断す
るもので、セカンダリ側小径液圧室32の液圧がリザー
バ12側の液圧より低い場合にはこれらを連通させ液補
給を可能とする。
【0019】セカンダリピストン17の穴部30と第1
部材21の底部15aとの間には、図示せぬブレーキペ
ダル側(図における右側)から入力がない初期状態(こ
のときの各部の位置を初期位置と以下称す)でこれらの
間隔を決めるセカンダリピストンスプリング38が設け
られている。この初期位置にあるとき、セカンダリピス
トン17は、リリーフポート35をポート34に連通さ
せており、その結果、セカンダリ側小径液圧室32をリ
ザーバ12に連通させている。
【0020】この状態からセカンダリピストン17が第
1部材21の底部15a側に移動すると、セカンダリ側
小径液圧室32の液圧がリザーバ12側の液圧以上の状
態においては、該セカンダリピストン17はそのリリー
フポート35がカップシール36で閉塞されてポート3
4との連通が遮断され、その結果、セカンダリ側小径液
圧室32とリザーバ12との連通が遮断されることにな
り、これにより、さらにセカンダリピストン17が底部
15a側に移動することでセカンダリ側小径液圧室32
からブレーキ装置にブレーキ液を供給する。
【0021】ここで、リリーフポート35を含むセカン
ダリピストン17とカップシール36とが、セカンダリ
ピストン17のセカンダリ側小径液圧室32側への摺動
により閉じられるセカンダリ側遮断部200となってい
る。
【0022】第4部材24は、底部15a側の小径シリ
ンダ部40と、底部15aに対し反対側の、小径シリン
ダ部40より大径の大径シリンダ部41とを有する段付
形状をなしており、これら小径シリンダ部40および大
径シリンダ部41の内側に、上記プライマリピストン1
6が摺動可能に嵌合されている。
【0023】プライマリピストン16は一端側に、セカ
ンダリピストン17に対向配置される穴部43が形成さ
れるとともに他端側にも図示せぬブースタのロッドが挿
入される穴部44が形成されており、第4部材24の小
径シリンダ部40に摺動可能に挿入される小径ピストン
部46と、第4部材24の大径シリンダ部41に摺動可
能に挿入される大径ピストン部47とを有している。こ
の大径ピストン部47は、第5部材25にも摺動可能に
挿入されている。
【0024】セカンダリピストン17の底部15aに対
し反対側と、プライマリピストン16の底部15a側す
なわち穴部43側と第3部材23とで囲まれた部分が、
プライマリ側小径液圧室(小径液圧室)49となってい
る。
【0025】ここで、第3部材23には、第1部材21
との間に、穴部50を介してプライマリ側小径液圧室4
9に常時連通する小径液圧室連通流路51が形成されて
いる。
【0026】第2部材22と第3部材23とセカンダリ
ピストン17との間には、プライマリ側小径液圧室49
と流路33及びポート34との連通を遮断可能なカップ
シール53が設けられている。
【0027】また、第3部材23の小径液圧室連通流路
51より底部15a側と第1部材21との間には、小径
液圧室連通流路51と流路33及びポート34との連通
を常時遮断するOリング54が設けられている。
【0028】プライマリピストン16と第4部材24の
大径シリンダ部41側とで囲まれた部分が、大径与圧室
56となっている。
【0029】第4部材24には、一端側が小径シリンダ
部40の径方向の内周面に開口するとともに他端側が大
径与圧室56に常時連通するポート57が形成されてお
り、プライマリピストン16の小径ピストン部46に
は、上記ポート57と穴部43すなわちプライマリ側小
径液圧室49とを連通可能なリリーフポート58が形成
されている。なお、ポート57は、第3部材23と第4
部材24との間の与圧室連通流路59にも常時連通して
いる。
【0030】第3部材23と第4部材24とプライマリ
ピストン16の小径ピストン部46との間には、プライ
マリ側小径液圧室49と大径与圧室56側との連通を遮
断可能なカップシール(逆止開閉部)61が設けられて
いる。このカップシール61は、プライマリ側小径液圧
室49の液圧が大径与圧室56の液圧以上の場合にこれ
らの連通を遮断するもので、逆に大径与圧室56の液圧
がプライマリ側液圧室49の液圧より高い場合には、第
3部材23とプライマリピストン16の小径ピストン部
46との間であってカップシール61の変形により生じ
た流路を介して、これらを連通可能とする。このカップ
シール61は、言い換えれば、段付シリンダ15内を大
径ピストン部47側の大径与圧室56と小径ピストン部
46側のプライマリ側小径液圧室49とに区画するとと
もに大径与圧室56側からプライマリ小径液圧室49側
へのブレーキ液の流れのみを許容するものである。
【0031】第3部材23の小径液圧室連通流路51よ
り底部15aに対し反対側と第1部材21との間には、
小径液圧室連通流路51と大径与圧室56側との連通を
常時遮断するOリング62が設けられている。
【0032】セカンダリピストン17とプライマリピス
トン16との間には、図示せぬブレーキペダル側(図1
における右側)から入力がない初期状態でこれらの間隔
を決めるプライマリ初期位置決機構64が設けられてい
る。このプライマリ初期位置決機構64は、セカンダリ
ピストン17に当接する当接部材65と、プライマリピ
ストン16側に延出するように該当接部材65に固定さ
れた軸部材66と、該軸部材66を所定の範囲で移動可
能に保持するとともにプライマリピストン16の穴部4
3の底側に突き当てられる当接部材67と、当接部材6
5,67同士を相反方向に付勢するプライマリピストン
スプリング68とを有している。
【0033】プライマリ初期位置決機構64がプライマ
リピストンスプリング68の付勢力で当接部材65,6
7同士を軸部材66で規定される最も離れた位置に位置
させるとき、プライマリピストン16は、初期位置に配
置され、このとき、リリーフポート58をポート57に
連通させており、プライマリ側小径液圧室49を大径与
圧室56に連通させている。
【0034】初期状態から底部15a側に移動すると、
プライマリ側小径液圧室49の液圧が大径与圧室56の
液圧以上の場合に、プライマリピストン16は、そのリ
リーフポート58がカップシール61で閉塞されてポー
ト57との連通が遮断され、プライマリ側小径液圧室4
9と大径与圧室56側との該リリーフポート58を介し
ての連通を遮断することになり、この状態からさらに底
部15a側に移動すると、プライマリ側小径液圧室49
からブレーキ装置にブレーキ液を供給する。なお、リリ
ーフポート58を閉塞させた状態であっても大径与圧室
56の液圧がプライマリ側小径液圧室49の液圧より大
きいときは、カップシール61を介して大径与圧室56
のブレーキ液がプライマリ側小径液圧室49に流れるよ
うになっている。
【0035】ここで、リリーフポート58を含む小径ピ
ストン部46とカップシール61とが、プライマリピス
トン16のプライマリ側小径液圧室49側への摺動によ
り閉じられて大径与圧室56とプライマリ側小径液圧室
49との連通を遮断する小径液圧室側遮断部201とな
っている。
【0036】第4部材24は、第1部材21との間に、
第1部材21の流路70を介してリザーバ12に常時連
通する大気圧の液補給室71を形成している。この第4
部材24の液補給室71より底部15a側と第1部材2
1との間には、大径側与圧室56と液補給室71との連
通を常時遮断するOリング72が設けられている。
【0037】第5部材25には、一端側が径方向におけ
る内周面に開口するとともに他端側が液補給室71に常
時連通するポート74が形成されており、プライマリピ
ストン16には、一端側が大径ピストン部47の径方向
における外周面に開口することでポート74すなわち液
補給室71に連通可能であるとともに他端側が大径ピス
トン部47と小径ピストン部46との境界の段部75す
なわち大径与圧室56に常時連通するリリーフポート7
6が形成されている。
【0038】第4部材24と第5部材25とプライマリ
ピストン16の大径ピストン部47との間には、大径与
圧室56と液補給室71との連通を遮断可能なカップシ
ール78が設けられている。このカップシール78は、
大径与圧室56の液圧が液補給室71の液圧以上の場合
にこれらの連通を遮断するもので、逆に液補給室71の
液圧が大径与圧室56の液圧より高い場合にはこれらを
連通させて液補給を行う。
【0039】ここで、初期位置にあるとき、プライマリ
ピストン16は、リリーフポート76をポート74に連
通させており、大径与圧室56を液補給室71に連通さ
せている。そして、プライマリピストン16が、初期状
態から底部15a側すなわちプライマリ側小径液圧室4
9側に摺動すると、大径与圧室56側の液圧が液補給室
71の液圧以上の場合、そのリリーフポート76がカッ
プシール78で閉塞されてポート74との連通が遮断さ
れ、大径与圧室56と液補給室71との該リリーフポー
ト76を介しての連通を遮断することになり、さらにプ
ライマリ側小径液圧室49側に摺動すると、プライマリ
ピストン16は大径ピストン部47が大径与圧室56の
体積を減少させることで、大径与圧室56の液圧を高
め、該大径与圧室56とプライマリ側小径液圧室49と
の間に設けられたカップシール61を開いて、大径与圧
室56側からプライマリ側小径液圧室49へ液補給を行
うことになる。
【0040】ここで、リリーフポート76を含む大径ピ
ストン部47とカップシール78とが、プライマリピス
トン16のプライマリ側小径液圧室49側への摺動によ
り閉じられて大径与圧室56と液補給室71すなわちリ
ザーバ12との連通を遮断する大径与圧室側遮断部20
2となっている。
【0041】第5部材25と第6部材26とプライマリ
ピストン16の大径ピストン部47との間には、カップ
シール79が設けられ、第1部材21と第6部材26と
の間にはOリング80が設けられている。
【0042】なお、リリーフポート35,58,76
は、液流通抵抗を抑えるためすべて直径がφ2(mm)
と大きくされかつそれぞれ数箇所設けられている。
【0043】そして、本実施形態においては、小径液圧
室側遮断部201が閉状態となるまでのプライマリピス
トン16の無効ストロークが、大径与圧室側遮断部20
2が閉状態となるまでのプライマリピストン16の無効
ストロークに対し長くされており、具体的には、大径与
圧室側遮断部202を、ハイフローに対応しかつ無効ス
トロークが短くファーストフィルに対応した遮断構造と
し、小径液圧室側遮断部201をハイフローに対応した
無効ストロークの長い低コストなタイプの遮断構造にし
ている。
【0044】小径液圧室側遮断部201は、図2に示す
構造をなしており、大径与圧室側遮断部202は、図3
に示す構造をなしている。
【0045】ここで、小径液圧室側遮断部201および
大径与圧室側遮断部202に用いられるカップシール6
1,78は、大きさは異なるものの、ともに、略有孔円
板状の底部205と、該底部205の内周側から一側に
突出する環状のインナリップ部206と、底部205の
外周側からインナリップ部206と同側に突出する環状
のアウタリップ部207とを有しており、外力を受けな
い自由状態でインナリップ部206が突出先端側の径が
小さくなるように若干傾斜しており、自由状態でアウタ
リップ部207が突出先端側の径が大きくなるように若
干傾斜している。
【0046】大径与圧室側遮断部202について説明す
る。セカンダリピストン17の大径ピストン部47は、
底側15a側(図3における左側)すなわち先側の外周
部がストレート形状の小径外径部210とされる一方、
底側15aに対し反対側の外周部が小径外径部201よ
りも大径のストレート形状の大径外径部211とされ、
さらにこれら小径外径部210と大径外径部211との
間は、これらを連続させるように傾斜するテーパ外径部
212とされている。なお、小径外径部210よりもさ
らに底部15a側の先端部は、第4部材24の大径シリ
ンダ部41に摺動案内されるため小径外径部210より
も大径の先端外径部213とされている。
【0047】そして、上記リリーフポート76が、その
開口部76aを小径外径部210のテーパ外径部212
側の一部からテーパ外径部212の小径外径部210側
の一部に開口させている。そして、カップシール78
は、初期位置において、小径外径部210の外径側に位
置しており、開口部76aに若干重なり合っている。
【0048】このような大径与圧室側遮断部202は、
プライマリピストン16が初期位置から摺動するとカッ
プシール78の後端部が開口部76aより大径外径部2
11側のテーパ外径部212に載り上げることでカップ
シール78が拡径されて、プライマリピストン16に対
する締代すなわち緊迫力を部分的に大きくし、プライマ
リピストン16との間に部分的にピークを有するように
面圧を発生させることになる。その結果、カップシール
78が、リリーフポート76を介しての大径与圧室56
と液補給室71すなわちリザーバ12との連通を遮断す
る。
【0049】さらに、プライマリピストン16が前進
し、カップシール78の後端部がテーパ外径部212と
大径外径部211との境界の角部に載り上げると、カッ
プシール78はプライマリピストン16に対し角部で線
接触することになり、面圧のピークをこの線接触部分に
位置させることになる。これにより、カップシール78
が、リリーフポート76を介しての大径与圧室56と液
補給室71すなわちリザーバ12との連通を遮断し続け
ることになる。
【0050】そして、さらなるプライマリピストン16
の前進中、この角部にカップシール78が接触している
間は、この角部の位置で面圧のピークを保ち、リリーフ
ポート78を介しての大径与圧室56と液補給室71す
なわちリザーバ12との連通を遮断し続け、最終的に、
カップシール78が全体として大径外径部211に載り
上げると、カップシール78の底部15a側すなわち前
部に面圧のピークが移動し、この部分でリリーフポート
76を介しての大径与圧室56と液補給室71すなわち
リザーバ12との連通を遮断し続ける。
【0051】これにより、大径与圧室側遮断部202が
閉状態となるまでのプライマリピストン16の無効スト
ロークは、カップシール78の後端部が開口部76aよ
り後側のテーパ外径部212に載り上げるまでであり、
図3にX1で示すように短くなる。しかも、初期位置に
おいてリリーフポート76の開口部76aは大きく開口
しているため、ハイフロー性能も確保される。すなわ
ち、トラクションコントロール装置と組み合わせ、該ト
ラクションコントロール装置がプライマリ側小径液圧室
49、大径与圧室56および液補給室71を介してリザ
ーバ12から強制的にブレーキ液を吸入する際に、ブレ
ーキ液をトラクションコントロール装置に大きな流量で
流すことができるようになっている。
【0052】次に、小径液圧室側遮断部201について
説明する。セカンダリピストン17の小径ピストン部4
6は、ストレート形状をなしており、リリーフポート5
8が、その開口部58aをストレート形状の外周面に開
口させている。そして、カップシール61は、初期位置
において、開口部58aよりも全体として底部15a側
(図2における左側)に設けられている。
【0053】このような小径液圧室側遮断部201は、
カップシール61が同一外径の外周面上を移動すること
から、カップシール61の底部15a側すなわち前部に
面圧のピークが位置するため、カップシール61がリリ
ーフポート58の開口部58aを越えた時点で、面圧ピ
ーク部分すなわち前部でリリーフポート58を介しての
大径与圧室56とプライマリ側小径液圧室49との連通
を遮断する。
【0054】これにより、小径液圧室側遮断部201が
閉状態となるまでのプライマリピストン16の無効スト
ロークは、カップシール58の前部が開口部58aより
後側に位置するまでであり、図2にX2で示すように長
くなる(X2>X1)。ただし、初期位置においてリリ
ーフポート58の開口部58aはカップシール61に重
なり合うことなく大きく開口しているため、ハイフロー
性能は確保される。
【0055】なお、セカンダリ側遮断部200も、大径
与圧室側遮断部202と同様の構成となっており、ハイ
フロー性能が確保されている。
【0056】第1部材21には、小径液圧室連通流路5
1を介してプライマリ側小径液圧室49に常時連通する
小径液圧室連通ポート82と、与圧室連通流路59を介
して大径与圧室56に常時連通する与圧室連通ポート8
3と、液補給室71に常時連通する液補給室連通ポート
84とが形成されており、これらポート82,83,8
4には、それぞれ外部配管からなる連結流路85a〜8
5cを介して該マスタシリンダ本体11とは別体の制御
弁86が連結されている。
【0057】制御弁86は、有底円筒状のバルブシリン
ダ87と、該バルブシリンダ87内に摺動可能に嵌合さ
れるバルブピストン88と、該バルブピストン88をバ
ルブシリンダ87の底部87a方向に押圧するバルブス
プリング89と、バルブシリンダ87の開口側を閉塞さ
せるとともにバルブピストン88との間にバルブスプリ
ング89を保持する蓋部材90と、バルブシリンダ87
に蓋部材90を固定するCリング91とを有している。
【0058】バルブピストン88は、先端側に第1軸部
93が形成され、該第1軸部93に隣り合ってこれより
大径の第2軸部94が形成され、また、該第2軸部94
に隣り合ってこれより小径の第3軸部95が形成され、
さらに、該第3軸部95に隣り合って第2軸部94より
大径の第4軸部96が形成され、最後に、該第4軸部9
6に隣り合ってこれより小径でバルブスプリング89内
に挿入される第5軸部97が形成されている。そして、
第1軸部93の先端にはシール部材99が設けられてい
る。また、第2軸部94と第4軸部96とには、バルブ
シリンダ87の内面との隙間を常時シールするOリング
100,101が設けられている。
【0059】バルブシリンダ87の底部87aには、バ
ルブピストン88のシール部材99で開閉されるポート
102が形成されており、該ポート102が連結流路8
5bを介して与圧室連通ポート83に連通されている。
また、バルブシリンダ87の側部87bの底部87a側
には、バルブシリンダ87、バルブピストン88の第1
軸部93、第2軸部94およびシール部材100で囲ま
れた液室104に常時連通するポート105が形成され
ており、該ポート105が連結流路85cを介して液補
給室連通ポート84に連通されている。さらに、バルブ
シリンダ87の側部87bには、バルブシリンダ87、
バルブピストン88の第2軸部94、第3軸部95、第
4軸部96、シール部材100およびシール部材101
で囲まれた液室106に常時連通するポート107が形
成されており、該ポート107が連結流路85aを介し
て小径液圧室連通ポート82に連通されている。
【0060】そして、制御弁86は、バルブピストン8
8を、ポート102に導入される大径与圧室56の液圧
と液室106に導入されるプライマリ側小径液圧室49
の液圧とバルブスプリング89の付勢力でバランスさせ
る。このときのバランスは次式で表される。
【0061】すなわち、図4に示すように、Oリング1
01によるシール断面積をA1、Oリング100による
シール断面積をA2(ただし、A2<A1)、シール部
材99によるシール断面積をA3とし、プライマリ側小
径液圧室49の液圧をPa、大径与圧室56の液圧をP
b、バルブスプリング89のセット荷重をFとすると、 Pa×(A1−A2)+Pb×A3=F となる。
【0062】そして、図4に示すように、大径与圧室5
6の液圧が上昇を開始すると(p1点)、プライマリ側
小径液圧室49もカップシール61が開かれることで該
大径与圧室56の液圧と同圧で上昇する(p1点〜p2
点)。そして、Pa×(A1−A2)+Pb×A3>F
となると(p2点。この点の液圧を与圧室解除液圧と称
す)、制御弁86のバルブピストン88がバルブスプリ
ング89の付勢力に抗して微小に移動してポート102
を微小に開き、大径与圧室56の液圧解除を開始させ
る。このとき、Pa×(A1−A2)+Pb×A3=F
の式を満足させるようにプライマリ側小径液圧室49の
液圧Paの上昇に応じて徐々に大径与圧室56の液圧P
bが下がるように、言い換えれば、プライマリ側小径液
圧室49の液圧上昇に相関して大径与圧室56の液圧P
bが低下するように、大径与圧室56の液圧Pbを液補
給室71を介してリザーバ12側に逃がすことになる
(p2点〜p3点)。
【0063】ここで、高昇圧時すなわちブレーキペダル
を比較的速い速度で踏圧する操作時においては、ブレー
キブースタからの入力はリニアに上昇することになり、
プライマリ側小径液圧室49の液圧Paは一定割合で上
昇することになるため、制御弁86は、大径与圧室56
の液圧Pbを設定した勾配に沿って徐々に低下するよう
にリザーバ12側に逃がすことになる。この勾配は任意
に設定可能であり、車両に合わせたチューニングが可能
である。
【0064】そして、大径与圧室56の液圧が解除され
大気圧になると(p3点以降)、バランス式は、 Pa×(A1−A2)>F となり、制御弁86は開状態が維持されるため、プライ
マリ側小径液圧室49のみでブレーキ液圧を制御するこ
とになる。
【0065】次に、上記マスタシリンダの作動について
説明する。ブレーキペダルに連結されたブースタのロッ
ドによりプライマリピストン16が底部15a方向に押
されると、プライマリピストンスプリング68を介して
セカンダリピストン17も同時に移動する。そして、プ
ライマリピストン16側については、無効ストロークの
短い大径与圧室側遮断部202がそのカップシール78
でリリーフポート76を閉じた時点で大径与圧室56が
液圧を上昇させ、カップシール61を介してプライマリ
側小径液圧室49に液補給を行う。このとき、無効スト
ロークの長い小径液圧室側遮断部201が閉じきってい
なくても、大径与圧室56側からプライマリ側小径液圧
室49側に液が小径液圧室側遮断部201を介して補給
されるだけであり、カップシール61による液補給と同
様であるため問題はない。セカンダリピストン17につ
いても、セカンダリ側遮断部200のリリーフポート3
5がカップシール36により閉じられた時点でセカンダ
リ側小径液圧室32が液圧を上昇させる。
【0066】そして、液圧が上昇すると、プライマリ側
小径液圧室49については、プライマリピストン16の
ストローク量×(大径与圧室56の外径−プライマリ側
小径液圧室49の外径)分の液量が、主に第3部材23
とプライマリピストン16との間のカップシール61の
変形により生じた流路を介して、大径与圧室56からプ
ライマリ側小径液圧室49に送り込まれ、ストローク初
期の無効液量分(主にキャリパロールバック分)を補
う。その後、プライマリ側小径液圧室49の小径化に伴
う液量不足を補うため、大径与圧室56からプライマリ
側小径液圧室49にブレーキ液が送り込まれつつ、大径
与圧室56とプライマリ側小径液圧室49とが同圧で与
圧室解除液圧まで上昇する(p1点〜p2点)。
【0067】そして、与圧室解除液圧まで上昇すると、
制御弁86が大径与圧室56の液圧を解除する。このと
き、制御弁86は、上記したようにプライマリ側小径液
圧室49の液圧Paの上昇に応じて徐々に大径与圧室5
6の液圧Pbが下がるように、大径与圧室56の液圧P
bを液補給室71を介してリザーバ12側に逃がすこと
になる(p2点〜p3点)。
【0068】そして、大径与圧室56の液圧が解除され
大気圧になると、制御弁86は開状態が維持され、プラ
イマリ側小径液圧室49のみでブレーキ液圧を制御する
ことになる。
【0069】以上に述べた実施形態によれば、小径液圧
室側遮断部201が閉状態となるまでのプライマリピス
トン16の無効ストロークが、大径与圧室側遮断部20
2が閉状態となるまでのプライマリピストン16の無効
ストロークに対し長くされているため、上記のように大
径与圧室側遮断部202を、ハイフローに対応しかつ無
効ストロークが短くファーストフィルに対応した遮断構
造とし、小径液圧室側遮断部201をハイフローに対応
した無効ストロークの長い低コストなタイプの遮断構造
にできる。そして、このようにしても、大径与圧室56
からプライマリ側小径液圧室49への液補給の際には、
無効ストロークが長い小径液圧室側遮断部201が閉状
態となっていなくても、無効ストロークが短い大径与圧
室側遮断部202が閉状態になっていれば、プライマリ
ピストン16のプライマリ側小径液圧室49側への摺動
による大径与圧室56の体積減少により生じるブレーキ
液の流れは、小径液圧室側遮断部201を介するものは
大径与圧室56側からプライマリ側小径液圧室49側へ
であり、カップシール61を介しての大径与圧室56側
からプライマリ側小径液圧室49側へ液補給と同じ流れ
になるため、ファーストフィル性能を低下させることが
ない。
【0070】したがって、ファーストフィルの性能およ
びハイフローの性能を確保した上で、一方の小径液圧室
側遮断部201に低コストなタイプの遮断構造を採用で
きるため、コストを低減することができる。
【0071】なお、以上に述べた実施形態を以下のよう
に変更することもできる。図6および図7に示すよう
に、プライマリピストン16に形成された穴状のリリー
フポート76をやめて、大径ピストン部47のテーパ外
径部212よりも底部15a側(図6における左側)
に、軸線方向に沿って底部15a側に貫通するストレー
ト形状の溝部215を円周方向に複数設け(例えば円周
を36等分する位置に設ける)、この溝部215を介し
てポート74と大径与圧室56とを連通可能とするので
ある。
【0072】そして、プライマリピストン16が初期位
置にあるとき、テーパ外径部212に当接しないカップ
シール78が溝部215を介してポート74と大径与圧
室56とを連通させ、プライマリピストン16がプライ
マリ側小径液圧室49側に摺動しカップシール78がテ
ーパ外径部212に載り上げると、カップシール78が
溝部215を介してのポート74と大径与圧室56との
連通を遮断するのである。この場合、全ての溝部215
とカップシール78との間の隙間の流路断面積は、φ4
(mm)相当以上とされる。ここで、溝部215は、図
7に示すV字溝以外に、U字溝および四角溝のいずれで
もよい。そして、溝部215の後端部には、公差が厳し
くても対応可能な円環状のV字溝216が形成されてい
る。
【0073】以上のように構成すれば、複雑なポートを
形成する必要がなくなるとともに、溝部215は転造や
鍛造により容易に成形可能であるため、加工時間の短縮
およびそれに伴うコストの低減が可能になる。また、溝
部215の深さを深くすることで容易に流路断面積を拡
大でき、ハイフロー性能の向上にも効果がある。
【0074】上述した実施形態のマスタシリンダでは、
段付シリンダ15内を大径ピストン部47側の大径与圧
室56と小径ピストン部46側のプライマリ側小径液圧
室49とに区画し、かつ大径与圧室56からプライマリ
側小径液圧室49へのブレーキ流の流れのみを許容する
カップシール61を設けた例について説明したが、これ
に限られることなく、カップシール61に替わってシー
ル性のある弁体移動型の逆止弁(逆止開閉部)を設けて
も良い。
【0075】
【発明の効果】以上説明したように、本発明のマスタシ
リンダによれば、小径液圧室側遮断部が閉状態となるま
での段付ピストンの無効ストロークが、大径与圧室側遮
断部が閉状態となるまでの段付ピストンの無効ストロー
クに対し長くされているため、例えば、大径与圧室側遮
断部を、ハイフローに対応しかつ無効ストロークが短く
ファーストフィルに対応した遮断構造とし、小径液圧室
側遮断部をハイフローに対応した無効ストロークの長い
低コストなタイプの遮断構造にできる。そして、このよ
うにしても、大径与圧室から小径液圧室への液補給の際
には、無効ストロークが長い小径液圧室側遮断部が閉状
態となっていなくても、無効ストロークが短い大径与圧
室側遮断部が閉状態になっていれば、段付ピストンの小
径液圧室側への摺動による大径与圧室の体積減少により
生じるブレーキ液の流れは、小径液圧室側遮断部を介す
るものは大径与圧室側から小径液圧室側へであり、逆止
開閉部を介しての大径与圧室側から小径液圧室側へ液補
給と同じ流れになるため、上記ファーストフィル性能を
低下させることがない。
【0076】したがって、ファーストフィルの性能およ
びハイフローの性能を確保した上で、一方に低コストな
タイプの遮断構造を採用可能であるため、コストを低減
することが可能となる。また、ペダルによる昇圧速度の
影響を受けないため、どのような昇圧動作時にも安定し
てファーストフィルを行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の一実施形態のマスタシリンダの構成
を示す側断面図である。
【図2】 本発明の一実施形態のマスタシリンダの図1
におけるA部詳細図である。
【図3】 本発明の一実施形態のマスタシリンダの図1
におけるB部詳細図である。
【図4】 本発明の一実施形態のマスタシリンダの制御
弁のバルブピストンのシール部分の断面積を示す断面図
である。
【図5】 本発明の一実施形態のマスタシリンダのプラ
イマリ側小径液圧室の液圧と大径与圧室の液圧との関係
を示す特性線図である。
【図6】 本発明の一実施形態のマスタシリンダの変形
例のプライマリピストンの部分断面図である。
【図7】 本発明の一実施形態のマスタシリンダの変形
例の図6のC矢視図である。
【符号の説明】
11 マスタシリンダ本体 12 リザーバ 15 段付シリンダ 16 プライマリピストン(段付ピストン) 40 小径シリンダ部 41 大径シリンダ部 46 小径ピストン部 47 大径ピストン部 49 プライマリ側小径液圧室(小径液圧室) 56 大径与圧室 61 カップシール(逆止開閉部) 201 小径液圧室側遮断部 202 大径与圧室側遮断部
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 輿水 長典 山梨県中巨摩郡櫛形町吉田1000番地 トキ コ株式会社山梨工場内 Fターム(参考) 3D047 BB41 CC15

Claims (1)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 大径シリンダ部および小径シリンダ部を
    有する段付シリンダと、 該段付シリンダの前記大径シリンダ部内に摺動可能に挿
    入される大径ピストン部および前記小径シリンダ部内に
    摺動可能に挿入される小径ピストン部を有する段付ピス
    トンと、 前記段付シリンダ内を前記大径ピストン部側の大径与圧
    室と前記小径ピストン部側の小径液圧室とに区画すると
    ともに前記大径与圧室側から前記小径液圧室側へのブレ
    ーキ液の流れのみを許容する逆止開閉部と、 前記段付ピストンの前記小径液圧室側への摺動により閉
    じられて前記大径与圧室とリザーバとの連通を遮断する
    大径与圧室側遮断部と、 前記段付ピストンの前記小径液圧室側への摺動により閉
    じられて前記大径与圧室と前記小径液圧室との連通を遮
    断する小径液圧室側遮断部とを備え、 前記段付ピストンの前記小径液圧室側への摺動による前
    記大径与圧室の体積減少により前記逆止開閉部を開いて
    前記大径与圧室側から前記小径液圧室側へ液補給を行う
    マスタシリンダにおいて、 前記小径液圧室側遮断部が閉状態となるまでの前記段付
    ピストンの無効ストロークが、前記大径与圧室側遮断部
    が閉状態となるまでの前記段付ピストンの無効ストロー
    クに対し長くされていることを特徴とするマスタシリン
    ダ。
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