JPH09136641A - マスタシリンダ - Google Patents
マスタシリンダInfo
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- JPH09136641A JPH09136641A JP32119295A JP32119295A JPH09136641A JP H09136641 A JPH09136641 A JP H09136641A JP 32119295 A JP32119295 A JP 32119295A JP 32119295 A JP32119295 A JP 32119295A JP H09136641 A JPH09136641 A JP H09136641A
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- JP
- Japan
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- seal
- cup
- piston
- cylinder
- master cylinder
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- Transmission Of Braking Force In Braking Systems (AREA)
Abstract
(57)【要約】
【課題】 本発明は、シールリングの液戻し孔への押し
込みを防止することにより、シールリングの寿命を長く
することのできるマスタシリンダを提供することにあ
る。 【解決手段】 本発明のマスタシリンダは、ピストン
7,8に装着されるシールリング9は、リップ部43先
端側を圧力室12,22側に向けた弾性部材からなるカ
ップ型シール40と、カップ型シール40より高硬度の
材料から形成され内周面50bにリップ部43が弾接
し、外周面50aがシリンダ孔4の側周内壁4cに摺接
する摺動リング50とを有しているものである。
込みを防止することにより、シールリングの寿命を長く
することのできるマスタシリンダを提供することにあ
る。 【解決手段】 本発明のマスタシリンダは、ピストン
7,8に装着されるシールリング9は、リップ部43先
端側を圧力室12,22側に向けた弾性部材からなるカ
ップ型シール40と、カップ型シール40より高硬度の
材料から形成され内周面50bにリップ部43が弾接
し、外周面50aがシリンダ孔4の側周内壁4cに摺接
する摺動リング50とを有しているものである。
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、例えば、車両のブ
レーキやクラッチに用いられるマスタシリンダに関す
る。
レーキやクラッチに用いられるマスタシリンダに関す
る。
【0002】
【従来の技術】従来技術のマスタシリンダの一例として
は、山海堂が発行する『自動車選書,ブレーキ(青木
和彦著)』の刊行物の53頁から58頁に記載された、
コンベンショナル型マスタシリンダが知られている。こ
の種のマスタシンダは、例えば、図6に示すように、シ
リンダ本体103に形成されたシリンダ孔104に圧力
室122を区画するように摺動自在に嵌入されたピスト
ン108と、作動液を貯留する図示しないリザーバに連
通され、シリンダ孔104の側周内壁104cに開口す
る液戻し孔123と、ピストン108に装着され液戻し
孔123が開口するシリンダ孔104の側周内壁104
cを摺動するリップ部140Aを有するカップ型シール
140等を備えている。そして、ピストン108をカッ
プ型シール140とともに圧力室122側に移動させ
て、カップ型シール140のリップ部1401Aが液戻
し孔123を通過することによって、上記リザーバと圧
力室122との作動液の供給を遮断して、更に、ピスト
ン108を移動させることで、圧力室122内に液圧を
発生させて、この液圧を出力圧力としている。
は、山海堂が発行する『自動車選書,ブレーキ(青木
和彦著)』の刊行物の53頁から58頁に記載された、
コンベンショナル型マスタシリンダが知られている。こ
の種のマスタシンダは、例えば、図6に示すように、シ
リンダ本体103に形成されたシリンダ孔104に圧力
室122を区画するように摺動自在に嵌入されたピスト
ン108と、作動液を貯留する図示しないリザーバに連
通され、シリンダ孔104の側周内壁104cに開口す
る液戻し孔123と、ピストン108に装着され液戻し
孔123が開口するシリンダ孔104の側周内壁104
cを摺動するリップ部140Aを有するカップ型シール
140等を備えている。そして、ピストン108をカッ
プ型シール140とともに圧力室122側に移動させ
て、カップ型シール140のリップ部1401Aが液戻
し孔123を通過することによって、上記リザーバと圧
力室122との作動液の供給を遮断して、更に、ピスト
ン108を移動させることで、圧力室122内に液圧を
発生させて、この液圧を出力圧力としている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、従来技
術のマスタシリンダにおいては、ピストン108に装着
されるシールリングをカップ型シールとしているので、
ピストン108を圧力室122側に移動させる時には、
カップ型シール140のリップ部140Aが圧力室12
2内に発生する液圧の作用を受けて液戻し孔123内に
押し込まれる現象が発生する。これにより、カップ型シ
ール140のリップ部140Aが液戻し孔123に引っ
掛かり、又は喰われることによる損傷で、その寿命が短
くなるという問題があった。
術のマスタシリンダにおいては、ピストン108に装着
されるシールリングをカップ型シールとしているので、
ピストン108を圧力室122側に移動させる時には、
カップ型シール140のリップ部140Aが圧力室12
2内に発生する液圧の作用を受けて液戻し孔123内に
押し込まれる現象が発生する。これにより、カップ型シ
ール140のリップ部140Aが液戻し孔123に引っ
掛かり、又は喰われることによる損傷で、その寿命が短
くなるという問題があった。
【0004】このことは、特に、ブレーキをかける際に
車輪のロックを防止するアンチスッキッドブレーキシス
テムのように、マスタシリンダとホイールシリンダとの
間に、ホイールシリンダ側からマスタシリンダ側へ作動
液を加圧還流するポンプを有するものにおいては、アン
チスキッド制御が開始されてポンプが作動し始めると、
ポンプの脈動圧がマスタシリンダの圧力室に伝わること
となる。従って、マスタシリンダにおけるピストンのカ
ップ型シールがその脈動圧を受けて、繰り返し液戻し孔
の開口に押し込まれる現象が生じることがあり、こうし
た場合には、カップ型シールの損傷、寿命低下が顕著と
なる。
車輪のロックを防止するアンチスッキッドブレーキシス
テムのように、マスタシリンダとホイールシリンダとの
間に、ホイールシリンダ側からマスタシリンダ側へ作動
液を加圧還流するポンプを有するものにおいては、アン
チスキッド制御が開始されてポンプが作動し始めると、
ポンプの脈動圧がマスタシリンダの圧力室に伝わること
となる。従って、マスタシリンダにおけるピストンのカ
ップ型シールがその脈動圧を受けて、繰り返し液戻し孔
の開口に押し込まれる現象が生じることがあり、こうし
た場合には、カップ型シールの損傷、寿命低下が顕著と
なる。
【0005】本発明は、この問題を解決するためになさ
れたもので、シールリングの液戻し孔への押し込みを防
止することにより、シールリングの寿命を長くすること
のできるマスタシリンダを提供することを目的とする。
れたもので、シールリングの液戻し孔への押し込みを防
止することにより、シールリングの寿命を長くすること
のできるマスタシリンダを提供することを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】上記問題を解決するた
め、本発明のマスタシリンダでは、請求項1において
は、シリンダ孔を形成したシリンダ本体と、前記シリン
ダ孔に摺動自在に嵌入されるピストンと、前記ピストン
の先端側外周に装着され前記シリンダ孔内に圧力室を形
成するシールリングとを備え、前記シリンダ本体に、前
記圧力室をリザーバに連絡して前記シリンダ孔の側周内
壁に開口し、前記ピストンの移動に応じて前記シールリ
ングにより前記圧力室との連絡を遮断される液戻し孔を
形成したマスタシリンダにおいて、前記シールリング
は、リップ部先端側を前記圧力室側に向けた弾性部材か
らなるカップ型シールと、このカップ型シールよりも高
硬度の材料から形成され内周面に前記リップ部が弾接し
外周面が前記シリンダ孔の側周内壁に摺接する摺動リン
グとを有していることを特徴とするものである。これに
より、ピストンが移動し、圧力室に液圧が発生した時
に、カップシールのリップ部が液戻し孔に押し込まれる
ことなく、且つカップシールの摺動リングが液戻し孔の
開口を摺動するので、この摺動リングが液戻し孔に押し
込まれることもない。
め、本発明のマスタシリンダでは、請求項1において
は、シリンダ孔を形成したシリンダ本体と、前記シリン
ダ孔に摺動自在に嵌入されるピストンと、前記ピストン
の先端側外周に装着され前記シリンダ孔内に圧力室を形
成するシールリングとを備え、前記シリンダ本体に、前
記圧力室をリザーバに連絡して前記シリンダ孔の側周内
壁に開口し、前記ピストンの移動に応じて前記シールリ
ングにより前記圧力室との連絡を遮断される液戻し孔を
形成したマスタシリンダにおいて、前記シールリング
は、リップ部先端側を前記圧力室側に向けた弾性部材か
らなるカップ型シールと、このカップ型シールよりも高
硬度の材料から形成され内周面に前記リップ部が弾接し
外周面が前記シリンダ孔の側周内壁に摺接する摺動リン
グとを有していることを特徴とするものである。これに
より、ピストンが移動し、圧力室に液圧が発生した時
に、カップシールのリップ部が液戻し孔に押し込まれる
ことなく、且つカップシールの摺動リングが液戻し孔の
開口を摺動するので、この摺動リングが液戻し孔に押し
込まれることもない。
【0007】請求項2においては、請求項1記載のもの
に、前記カップシールに形成されて前記リップ部の後端
と連なるベース部は、その周方向にみて、薄肉部分と、
これからリップ部先端側に向けて張り出す厚肉部分とを
交互に形成されていることを特徴とするものである。こ
れにより、厚肉部分により、摺動リングをシリンダ孔の
側周内壁に押圧して密封作動を高めながら、薄肉部分に
よりリップ部の摺動リングの内周面から離れる弾性変形
を容易にして、ピストンの戻り時の圧力室への液補給機
能を持たせることが可能となる。
に、前記カップシールに形成されて前記リップ部の後端
と連なるベース部は、その周方向にみて、薄肉部分と、
これからリップ部先端側に向けて張り出す厚肉部分とを
交互に形成されていることを特徴とするものである。こ
れにより、厚肉部分により、摺動リングをシリンダ孔の
側周内壁に押圧して密封作動を高めながら、薄肉部分に
よりリップ部の摺動リングの内周面から離れる弾性変形
を容易にして、ピストンの戻り時の圧力室への液補給機
能を持たせることが可能となる。
【0008】請求項3においては、請求項2記載のもの
に、前記カップ型シールには、前記ベース部の薄肉部分
の外周からこれに連なるリップ部の途中まで溝を形成し
ていることを特徴とするものである。これにより、溝に
より摺動リングとカップ型シールの液補給通路を大きく
して、液補給を更に容易に行うことが可能となる。
に、前記カップ型シールには、前記ベース部の薄肉部分
の外周からこれに連なるリップ部の途中まで溝を形成し
ていることを特徴とするものである。これにより、溝に
より摺動リングとカップ型シールの液補給通路を大きく
して、液補給を更に容易に行うことが可能となる。
【0009】請求項4においては、請求項1乃至請求項
3記載のものに、前記液戻し孔のシリンダ孔開口端縁も
しくは当該開口端縁を通過する前記摺動リングの角部の
少なくとも一方は、面取りもしくは丸み加工を施したこ
とを特徴とするものである。これにより、ピストンの移
動の際に、摺動リングが液戻し孔の開口端縁に引っ掛か
ることがなく、摺動リングの損傷を少なくできる。
3記載のものに、前記液戻し孔のシリンダ孔開口端縁も
しくは当該開口端縁を通過する前記摺動リングの角部の
少なくとも一方は、面取りもしくは丸み加工を施したこ
とを特徴とするものである。これにより、ピストンの移
動の際に、摺動リングが液戻し孔の開口端縁に引っ掛か
ることがなく、摺動リングの損傷を少なくできる。
【0010】請求項5においては、請求項1乃至請求項
4記載のものに、前記摺動リングを低摩擦性の合成樹脂
材料により形成したことを特徴とするものである。これ
により、摺動リングで摺動抵抗を減少させつつ、更にピ
ストンをシリンダ孔にスムーズに移動させることができ
る。
4記載のものに、前記摺動リングを低摩擦性の合成樹脂
材料により形成したことを特徴とするものである。これ
により、摺動リングで摺動抵抗を減少させつつ、更にピ
ストンをシリンダ孔にスムーズに移動させることができ
る。
【0011】
【発明の実施の形態】以下、本発明のマスタシリンダに
ついて、図面を参照して説明する。尚、図1は本発明の
マスタシリンダの全体構成を示す断面図、図2は図1に
おける要部拡大図、図3(a)及び(b)は本発明のマ
スタシリンダのシールリングを構成するカップ型シール
を示す、平面図と断面図、図4は本発明のマスタシリン
ダにおける摺動リングと液戻し孔との関係を示す、図5
(a)及び(b)は、本発明のマスタシリンダの作動説
明図である。
ついて、図面を参照して説明する。尚、図1は本発明の
マスタシリンダの全体構成を示す断面図、図2は図1に
おける要部拡大図、図3(a)及び(b)は本発明のマ
スタシリンダのシールリングを構成するカップ型シール
を示す、平面図と断面図、図4は本発明のマスタシリン
ダにおける摺動リングと液戻し孔との関係を示す、図5
(a)及び(b)は、本発明のマスタシリンダの作動説
明図である。
【0012】図1において、1はタンデム型マスタシリ
ンダ、2はマスタシリンダ1に作動液を供給するリザー
バである。3はシリンダ本体であって、内部には一端が
開口する有底のシリンダ孔4が形成され、外周部にはリ
ザーバ2の2つの接続部5A,5Bにそれぞれ接続され
るボス部6A,6Bが半径方向に突出している。そし
て、シリンダ孔4内には、その開口部4a側から底部4
bに向かって主ピストン7と、従ピストン8とが収納さ
れている。
ンダ、2はマスタシリンダ1に作動液を供給するリザー
バである。3はシリンダ本体であって、内部には一端が
開口する有底のシリンダ孔4が形成され、外周部にはリ
ザーバ2の2つの接続部5A,5Bにそれぞれ接続され
るボス部6A,6Bが半径方向に突出している。そし
て、シリンダ孔4内には、その開口部4a側から底部4
bに向かって主ピストン7と、従ピストン8とが収納さ
れている。
【0013】主ピストン7は、この軸部7Aの軸線方向
の両端部分から半径外方向に突出する頭部7B,7Cを
有しており、頭部7Bにシールリング9を、頭部7Cに
カップシール10を介在させて、シリンダ孔4内に摺動
自在に嵌入されている。これにより、主ピストン7は、
この両方の頭部7B,7Cとシリンダ孔4の側周内壁4
cとの間に液補給室11を、従ピストン8との間に主圧
力室12をそれぞれ区画している。この液補給室11
は、ボス部6Aに形成された液補給孔13を介してリザ
ーバ2に連通されている。また、主圧力室12はシリン
ダ孔4の側周内壁4cに開口してボス部6Aに形成され
た液戻し孔14を介してリザーバ2に連通しているとと
もに、所定位置に形成されシリンダ孔4内に開口する液
供給ポート15Aを介して、図示しない一方側のホイー
ルシリンダに連絡されている。
の両端部分から半径外方向に突出する頭部7B,7Cを
有しており、頭部7Bにシールリング9を、頭部7Cに
カップシール10を介在させて、シリンダ孔4内に摺動
自在に嵌入されている。これにより、主ピストン7は、
この両方の頭部7B,7Cとシリンダ孔4の側周内壁4
cとの間に液補給室11を、従ピストン8との間に主圧
力室12をそれぞれ区画している。この液補給室11
は、ボス部6Aに形成された液補給孔13を介してリザ
ーバ2に連通されている。また、主圧力室12はシリン
ダ孔4の側周内壁4cに開口してボス部6Aに形成され
た液戻し孔14を介してリザーバ2に連通しているとと
もに、所定位置に形成されシリンダ孔4内に開口する液
供給ポート15Aを介して、図示しない一方側のホイー
ルシリンダに連絡されている。
【0014】一方、従ピストン8は、この軸部8Aの軸
線方向の両端部分から半径外方向に突出する頭部8B,
8Cを有しており、頭部8Bにシールリング9を、頭部
8Cにカップシール20を介在させて、シリンダ孔4内
に摺動自在に嵌入されている。これにより、従ピストン
8は、この両方の頭部8B,8Cとシリンダ孔4の側周
内壁4cとの間に液補給室21を、シリンダ孔4の底部
4bとの間に従圧力室22をそれぞれ区画している。こ
の液補給室21はボス部6Bに形成された液補給孔23
を介してリザーバ2に連通されている。また、従圧力室
22はシリンダ孔4の側周内壁4cに開口してボス部6
Bに形成された液戻し孔24を介してリザーバ2に連通
しているとともに、シリンダ本体3の底部4b近傍に形
成された液供給ポート15Bを介して、図示しない他方
側のホイールシリンダに連絡されている。
線方向の両端部分から半径外方向に突出する頭部8B,
8Cを有しており、頭部8Bにシールリング9を、頭部
8Cにカップシール20を介在させて、シリンダ孔4内
に摺動自在に嵌入されている。これにより、従ピストン
8は、この両方の頭部8B,8Cとシリンダ孔4の側周
内壁4cとの間に液補給室21を、シリンダ孔4の底部
4bとの間に従圧力室22をそれぞれ区画している。こ
の液補給室21はボス部6Bに形成された液補給孔23
を介してリザーバ2に連通されている。また、従圧力室
22はシリンダ孔4の側周内壁4cに開口してボス部6
Bに形成された液戻し孔24を介してリザーバ2に連通
しているとともに、シリンダ本体3の底部4b近傍に形
成された液供給ポート15Bを介して、図示しない他方
側のホイールシリンダに連絡されている。
【0015】そして、主ピストン7と従ピストン8と
は、ケージドスプリング装置30で連結されている。こ
のケージドスプリング装置30は、従ピストン9の頭部
9Cにに外嵌されて主圧力室12側に延びる筒状のばね
受部材31と、このばね受部材31と主ピストン7の頭
部7Bとの間に張設された主戻しばね32とを有し、こ
の主戻しばね32のばね力で各ピストン7,8を相互に
離間するように付勢している。そして、ばね受部材31
の内側に係合して貫通する規制ボルト33のねじ軸33
Aを主ピストン7の頭部7Bに螺合することで、各ピス
トン7,8との間の最大離間距離が規制されている。ま
た、従ピストン8は、シリンダ孔4の底部4bと、従ピ
ストン8の頭部8Bの縮径部8Dとの間に張設された従
戻しばね35のばね力で、従圧力室22を区画しつつ主
ピストン7側に付勢されている。この従戻しばね35
は、従ピストン8の縮径部8Dから縮径してシリンダ孔
4の底部4b側に延びる小径軸部36に外嵌されてお
り、この小径軸部36がシリンダ孔4の底部4bに係合
することで従ピストン8のシリンダ孔4の底部4b側の
移動を規制している。37はシリンダ孔4の開口部4a
を覆って、シリンダ本体3に外嵌取り付けされた断面凹
形状の止め部材であって、主ピストン7の開口部4a端
に係合して、主ピストン7のシリンダ孔4の開口部4a
側の移動を規制している。
は、ケージドスプリング装置30で連結されている。こ
のケージドスプリング装置30は、従ピストン9の頭部
9Cにに外嵌されて主圧力室12側に延びる筒状のばね
受部材31と、このばね受部材31と主ピストン7の頭
部7Bとの間に張設された主戻しばね32とを有し、こ
の主戻しばね32のばね力で各ピストン7,8を相互に
離間するように付勢している。そして、ばね受部材31
の内側に係合して貫通する規制ボルト33のねじ軸33
Aを主ピストン7の頭部7Bに螺合することで、各ピス
トン7,8との間の最大離間距離が規制されている。ま
た、従ピストン8は、シリンダ孔4の底部4bと、従ピ
ストン8の頭部8Bの縮径部8Dとの間に張設された従
戻しばね35のばね力で、従圧力室22を区画しつつ主
ピストン7側に付勢されている。この従戻しばね35
は、従ピストン8の縮径部8Dから縮径してシリンダ孔
4の底部4b側に延びる小径軸部36に外嵌されてお
り、この小径軸部36がシリンダ孔4の底部4bに係合
することで従ピストン8のシリンダ孔4の底部4b側の
移動を規制している。37はシリンダ孔4の開口部4a
を覆って、シリンダ本体3に外嵌取り付けされた断面凹
形状の止め部材であって、主ピストン7の開口部4a端
に係合して、主ピストン7のシリンダ孔4の開口部4a
側の移動を規制している。
【0016】次に、図2乃至図4に基づいて、各ピスト
ン7,8の頭部7B,8Bに設けられたシールリング9
の具体的な構成について説明する。尚、説明の便宜上、
各ピストン7,8に設けられたシールリング9は、同一
の構成を有するので、従ピストン8側のシールリング9
のみについて説明する。
ン7,8の頭部7B,8Bに設けられたシールリング9
の具体的な構成について説明する。尚、説明の便宜上、
各ピストン7,8に設けられたシールリング9は、同一
の構成を有するので、従ピストン8側のシールリング9
のみについて説明する。
【0017】図2において、従ピストン8の頭部8Bに
設けられたシールリング9は、カップ型シール40と、
摺動リング50とで構成されている。カップ型シール4
0は、図3(a)及び図3(b)に示すように、例え
ば、合成ゴム等の弾性材料で形成された環状ベース部4
1と、このベース部41の内外周から同軸線方向に突出
する内周リップ部42と、外周リップ部43とが一体形
成されており、この内周リップ部42が外周リップ部4
3より長く突出している。カップ型シール40のベース
部41は、各リップ部42,43の先端側に向けて張り
出す厚肉部分41Aと、この厚肉部分41Aより肉薄に
された薄肉部分41Bとを有しいる。これら厚肉部分4
1Aと薄肉部分41Bとは、この周方向に所定間隔毎に
交互に連続するして形成されている。また、カップ型シ
ール40の外周リップ部43には、ベース部41の薄肉
部分41Bに連続する外周面43aに複数の液補給溝4
4が形成されており、この各液補給溝44はベース部4
1端から外周リップ部43先端側の近傍まで延びてい
る。そして、カップ型シール40は、図2において、各
リップ部42,43先端側を従圧力室22に臨ませた状
態で、内周リップ部42を拡径するように変形させて、
従ピストン8の小径軸部36,頭部8Bに外嵌してい
き、液戻し孔24より液補給室21側に位置する頭部8
Bに形成された環状溝45内に嵌合されている。このよ
うに、カップ型シール40が環状溝45内に嵌め込まれ
ると、このベース部41と内周リップ部42先端が環状
溝45の各側面45a,45bにそれぞれ係合して、カ
ップ型シール40の従ピストン8の軸線方向の移動が規
制されている。
設けられたシールリング9は、カップ型シール40と、
摺動リング50とで構成されている。カップ型シール4
0は、図3(a)及び図3(b)に示すように、例え
ば、合成ゴム等の弾性材料で形成された環状ベース部4
1と、このベース部41の内外周から同軸線方向に突出
する内周リップ部42と、外周リップ部43とが一体形
成されており、この内周リップ部42が外周リップ部4
3より長く突出している。カップ型シール40のベース
部41は、各リップ部42,43の先端側に向けて張り
出す厚肉部分41Aと、この厚肉部分41Aより肉薄に
された薄肉部分41Bとを有しいる。これら厚肉部分4
1Aと薄肉部分41Bとは、この周方向に所定間隔毎に
交互に連続するして形成されている。また、カップ型シ
ール40の外周リップ部43には、ベース部41の薄肉
部分41Bに連続する外周面43aに複数の液補給溝4
4が形成されており、この各液補給溝44はベース部4
1端から外周リップ部43先端側の近傍まで延びてい
る。そして、カップ型シール40は、図2において、各
リップ部42,43先端側を従圧力室22に臨ませた状
態で、内周リップ部42を拡径するように変形させて、
従ピストン8の小径軸部36,頭部8Bに外嵌してい
き、液戻し孔24より液補給室21側に位置する頭部8
Bに形成された環状溝45内に嵌合されている。このよ
うに、カップ型シール40が環状溝45内に嵌め込まれ
ると、このベース部41と内周リップ部42先端が環状
溝45の各側面45a,45bにそれぞれ係合して、カ
ップ型シール40の従ピストン8の軸線方向の移動が規
制されている。
【0018】一方、摺動リング50は、カップ型シール
40より高硬度で低摩擦性の合成樹脂材料から形成され
ており、カップ型シール40を弾性変形しつつ環状溝4
5内に対して所定隙間を有して嵌合されている。これに
より、摺動リング50は、カップ型シール40の弾性変
形による押圧力を受けるが、特に、各厚肉部分41Aで
大きな押圧力を受けて、この内周面50aに外周リップ
部43が弾接する状態で、この外周面50bがシリンダ
孔4の側周内壁4cに押し付けられるように摺動自在に
接触されている。
40より高硬度で低摩擦性の合成樹脂材料から形成され
ており、カップ型シール40を弾性変形しつつ環状溝4
5内に対して所定隙間を有して嵌合されている。これに
より、摺動リング50は、カップ型シール40の弾性変
形による押圧力を受けるが、特に、各厚肉部分41Aで
大きな押圧力を受けて、この内周面50aに外周リップ
部43が弾接する状態で、この外周面50bがシリンダ
孔4の側周内壁4cに押し付けられるように摺動自在に
接触されている。
【0019】すなわち、カップ型シール40は、上記の
如く、摺動リング50で弾性変形されると、 主に、ベース部41の各厚肉部分41Aの弾性変形に
よる押圧力を持って、摺動リング50の外周面50bを
シリンダ孔4の側周内壁4cに押圧して密封作用を高め
ながら、この外周面50bとシリンダ孔4の側周内壁4
cとの間で従圧力室22と液補給室21との双方向の作
動液の移動を禁止させる機能と、 ベース部41の各薄肉部分41Bの弾性変形による、
各厚肉部分41Aに比して小さい押圧力を持って、この
各薄肉部分41Bに連続する外周リップ部43を摺動リ
ング50の内周面50aに弾接することで、後述する前
記ピストンの戻り工程において、圧力室22内の圧力が
前記圧力室21の圧力より小さくなった場合に、外周リ
ップ部43を弾性変形させて、前記液補給室21から前
記圧力室2への作動液の供給を行うことを可能とする液
補給弁の機能とを有するようにしたものである。
如く、摺動リング50で弾性変形されると、 主に、ベース部41の各厚肉部分41Aの弾性変形に
よる押圧力を持って、摺動リング50の外周面50bを
シリンダ孔4の側周内壁4cに押圧して密封作用を高め
ながら、この外周面50bとシリンダ孔4の側周内壁4
cとの間で従圧力室22と液補給室21との双方向の作
動液の移動を禁止させる機能と、 ベース部41の各薄肉部分41Bの弾性変形による、
各厚肉部分41Aに比して小さい押圧力を持って、この
各薄肉部分41Bに連続する外周リップ部43を摺動リ
ング50の内周面50aに弾接することで、後述する前
記ピストンの戻り工程において、圧力室22内の圧力が
前記圧力室21の圧力より小さくなった場合に、外周リ
ップ部43を弾性変形させて、前記液補給室21から前
記圧力室2への作動液の供給を行うことを可能とする液
補給弁の機能とを有するようにしたものである。
【0020】また、摺動リング50は、液戻し孔24の
開口より大きな巾を有して従ピストン8の軸線方向に延
びており、図4に示すように、シリンダ孔4の側周内壁
4cに押圧される外周面50bの各角部51には、丸み
加工が施されている。尚、この丸み加工に代えて、摺動
リング50の外周面50bの各角部51に面取り加工を
施してもよく、更に、液戻し孔24のシリンダ孔4に開
口する開口端縁24Aに、面取り加工や丸み加工を施し
てもよい。
開口より大きな巾を有して従ピストン8の軸線方向に延
びており、図4に示すように、シリンダ孔4の側周内壁
4cに押圧される外周面50bの各角部51には、丸み
加工が施されている。尚、この丸み加工に代えて、摺動
リング50の外周面50bの各角部51に面取り加工を
施してもよく、更に、液戻し孔24のシリンダ孔4に開
口する開口端縁24Aに、面取り加工や丸み加工を施し
てもよい。
【0021】本発明によるマスタリンダ1は、以上のよ
うに構成されるが、次に、このマスタシリンダ1の作動
について説明する。
うに構成されるが、次に、このマスタシリンダ1の作動
について説明する。
【0022】(1)図1及び図2に示すマスタシリンダ
1は、非作動状態であって、主圧力室12と、従圧力室
22とは各液戻し孔14,24を介してそれぞれリザー
バ2に連通している。また、各液補給室11,21とリ
ザーバ2とは、各液補給孔13,23を介して連通して
いる。
1は、非作動状態であって、主圧力室12と、従圧力室
22とは各液戻し孔14,24を介してそれぞれリザー
バ2に連通している。また、各液補給室11,21とリ
ザーバ2とは、各液補給孔13,23を介して連通して
いる。
【0023】(2)この状態から、図示しないブレーキ
ペダルが踏み込まれると、主ピストン7が主戻しばね3
2のばね力に抗してしてシリンダ孔4の底部4b側に移
動すると共に、この移動に追従してケージドスプリング
装置30で連結されている従ピストン8も従戻しばね3
5のばね力に抗してシリンダ孔4の底部4b側に移動
し、これらピストン7,8の移動に応じて各圧力室1
2,22は各液戻し孔14,24(リザーバ2)から遮
断される。このとき、各ピストン7,8は、各頭部7
B,8Bに設けられたシールリング9を構成する低摩擦
性の合成樹脂材料の摺動リング50が、シリンダ孔4の
側周内壁4cを摺動抵抗を低減するように摺動しつつ、
シリンダ孔4の底部4b側に移動されて、各液戻し孔1
4,24の開口端縁をスムーズに通過して、各圧力室1
2,22を各液戻し孔14,24から遮断する。特に、
摺動リング50の外周面50bの各角部51には丸み加
工、又は面取り加工が施されているので、各液戻し孔1
4,24を通過する際に、摺動リング50の先端側が各
液戻し孔14,24の開口端縁に喰われる(引っ掛か
る)となく、スムーズに摺動する。
ペダルが踏み込まれると、主ピストン7が主戻しばね3
2のばね力に抗してしてシリンダ孔4の底部4b側に移
動すると共に、この移動に追従してケージドスプリング
装置30で連結されている従ピストン8も従戻しばね3
5のばね力に抗してシリンダ孔4の底部4b側に移動
し、これらピストン7,8の移動に応じて各圧力室1
2,22は各液戻し孔14,24(リザーバ2)から遮
断される。このとき、各ピストン7,8は、各頭部7
B,8Bに設けられたシールリング9を構成する低摩擦
性の合成樹脂材料の摺動リング50が、シリンダ孔4の
側周内壁4cを摺動抵抗を低減するように摺動しつつ、
シリンダ孔4の底部4b側に移動されて、各液戻し孔1
4,24の開口端縁をスムーズに通過して、各圧力室1
2,22を各液戻し孔14,24から遮断する。特に、
摺動リング50の外周面50bの各角部51には丸み加
工、又は面取り加工が施されているので、各液戻し孔1
4,24を通過する際に、摺動リング50の先端側が各
液戻し孔14,24の開口端縁に喰われる(引っ掛か
る)となく、スムーズに摺動する。
【0024】(3)更に、主ピストン7がシリンダ孔4
の底部4b側に移動されると〔図5(a)の状態〕、こ
の移動に追従して従ピストン8も底部4b側に移動し、
各圧力室12,22に液圧Pが発生し、発生した液圧P
は各圧力室12,22に開口する液供給ポート15A,
15Bから図示しない各ホイールシリンダに送られ、ブ
レーキがかけられる。このような作動時に、各圧力室1
2,22の液圧Pが発生すると、この液圧Pが各ピスト
ン7,8の各圧力室12,22の臨む側の頭部7B,8
Bとシリンダ孔4の側周内壁4c、環状溝45を通して
摺動リング50を各液戻し孔14,24に押し込むよう
に作用することになるが、この摺動リング50は、リッ
プ型シール40より高硬度の材料で形成され、且つ各液
戻し孔14,24の開口端縁より大きい巾を有している
ので、各圧力室12,22に液圧が発生する初期状態に
おいては、図5(b)に示すように、各液戻し孔14,
24を閉鎖するように位置する。この結果、摺動リング
50が各圧力室12,22に発生する液圧の作用を受け
ても、各液戻し孔14,24に押し込まれることなく、
各液戻し孔14,24を通過する。また、各圧力室1
2,22に液圧Pが発生すると、この液圧Pは各圧力室
12,22に臨む側の頭部7B,8Bとシリンダ孔4の
側周内壁4cとの間の隙間か環状溝を介してカップ型シ
ール40にも作用する。これにより、カップ型シール4
0の外周リップ部43には、図5(b)に示すように、
この内周面43b側から各圧力室12,22に発生した
液圧Pが作用することになり、この液圧Pで外周リップ
部43の外周面43aが摺動リング50の内周面50a
に押圧される状態となるので、この外周リップ部43が
各液戻し孔14,24に押し込まれることなく、各圧力
室12,22と各液補給室11,21(リザーバ2)と
が遮断されるようになっている。
の底部4b側に移動されると〔図5(a)の状態〕、こ
の移動に追従して従ピストン8も底部4b側に移動し、
各圧力室12,22に液圧Pが発生し、発生した液圧P
は各圧力室12,22に開口する液供給ポート15A,
15Bから図示しない各ホイールシリンダに送られ、ブ
レーキがかけられる。このような作動時に、各圧力室1
2,22の液圧Pが発生すると、この液圧Pが各ピスト
ン7,8の各圧力室12,22の臨む側の頭部7B,8
Bとシリンダ孔4の側周内壁4c、環状溝45を通して
摺動リング50を各液戻し孔14,24に押し込むよう
に作用することになるが、この摺動リング50は、リッ
プ型シール40より高硬度の材料で形成され、且つ各液
戻し孔14,24の開口端縁より大きい巾を有している
ので、各圧力室12,22に液圧が発生する初期状態に
おいては、図5(b)に示すように、各液戻し孔14,
24を閉鎖するように位置する。この結果、摺動リング
50が各圧力室12,22に発生する液圧の作用を受け
ても、各液戻し孔14,24に押し込まれることなく、
各液戻し孔14,24を通過する。また、各圧力室1
2,22に液圧Pが発生すると、この液圧Pは各圧力室
12,22に臨む側の頭部7B,8Bとシリンダ孔4の
側周内壁4cとの間の隙間か環状溝を介してカップ型シ
ール40にも作用する。これにより、カップ型シール4
0の外周リップ部43には、図5(b)に示すように、
この内周面43b側から各圧力室12,22に発生した
液圧Pが作用することになり、この液圧Pで外周リップ
部43の外周面43aが摺動リング50の内周面50a
に押圧される状態となるので、この外周リップ部43が
各液戻し孔14,24に押し込まれることなく、各圧力
室12,22と各液補給室11,21(リザーバ2)と
が遮断されるようになっている。
【0025】(4)その後、上記各ブレーキを解消する
ために、ブレーキペダルの踏み込みを解除すると、各ピ
ストン7,8は主戻しばね32,従戻しばね35のばね
力によりシリンダ孔4の開口部4a側に移動される。こ
の場合においても、上述(2)及び(3)に記載した如
く、摺動リング50は各液戻し孔14,24内に喰わ
れ、且つ押し込まれることなく、スムーズに通過して、
各液戻し孔14,24を介して各圧力室12,22とリ
ザーバ2とを連通状態にする。これにより、上記各ホイ
ルールシリンダに供給された作動液が各圧力室12,2
2−各液補給孔14,24を介してリザーバ2に戻され
る。この結果、各圧力室12,22内の液圧の発生が解
消されて、上記(1)の記載の如く、リザーバ2から各
液補給室11,21に供給された作動液により、リップ
型シール40のベース部41の薄肉部分41Bに連続す
る外周リップ部43を環状溝45の底45c側に押し下
げて、各液補給室11,21(リザーバ2)と各圧力室
12,22とを連通状態にする。
ために、ブレーキペダルの踏み込みを解除すると、各ピ
ストン7,8は主戻しばね32,従戻しばね35のばね
力によりシリンダ孔4の開口部4a側に移動される。こ
の場合においても、上述(2)及び(3)に記載した如
く、摺動リング50は各液戻し孔14,24内に喰わ
れ、且つ押し込まれることなく、スムーズに通過して、
各液戻し孔14,24を介して各圧力室12,22とリ
ザーバ2とを連通状態にする。これにより、上記各ホイ
ルールシリンダに供給された作動液が各圧力室12,2
2−各液補給孔14,24を介してリザーバ2に戻され
る。この結果、各圧力室12,22内の液圧の発生が解
消されて、上記(1)の記載の如く、リザーバ2から各
液補給室11,21に供給された作動液により、リップ
型シール40のベース部41の薄肉部分41Bに連続す
る外周リップ部43を環状溝45の底45c側に押し下
げて、各液補給室11,21(リザーバ2)と各圧力室
12,22とを連通状態にする。
【0026】この時、上記ホイールシリンダに供給され
ていた作動液が各圧力室12,22を通じて各液戻し孔
14,24を介してリザーバ2に戻されるが、上記ホイ
ールシリンダから戻される作動液に遅れが生じると、こ
の作動液の戻りに比べて、各戻しばね32,35のばね
力で各ピストン7,8がシリンダ孔4の開口部4a側に
素早く移動されるので、各圧力室12,22の圧力がリ
ザーバ2の圧力(大気圧)より低くなる現象が生じる。
この結果、リザーバ2と連通している液補給室11,2
1を介してカップ型シール40に作用する作動液によ
り、図5(b)に示すように、外周リップ部43が各ピ
ストン7,8の内径側に弾性変形して縮径されて、前記
液補給室11,21から各圧力室12,22に作動液を
補給する。その後、液補給室11,21側(リザーバ2
側)と各圧力室12,22との圧力が同程度になると、
カップ型シール40の外周リップ部43がその弾性変形
を解除して液補給室11,21と各圧力室12,22と
の連通を遮断し、前記摺動リング50が各液戻し孔1
4,24を通過した時点で、前記液補給室11,21か
ら圧力室12,22に流入した作動液がリザーバ2に戻
される。
ていた作動液が各圧力室12,22を通じて各液戻し孔
14,24を介してリザーバ2に戻されるが、上記ホイ
ールシリンダから戻される作動液に遅れが生じると、こ
の作動液の戻りに比べて、各戻しばね32,35のばね
力で各ピストン7,8がシリンダ孔4の開口部4a側に
素早く移動されるので、各圧力室12,22の圧力がリ
ザーバ2の圧力(大気圧)より低くなる現象が生じる。
この結果、リザーバ2と連通している液補給室11,2
1を介してカップ型シール40に作用する作動液によ
り、図5(b)に示すように、外周リップ部43が各ピ
ストン7,8の内径側に弾性変形して縮径されて、前記
液補給室11,21から各圧力室12,22に作動液を
補給する。その後、液補給室11,21側(リザーバ2
側)と各圧力室12,22との圧力が同程度になると、
カップ型シール40の外周リップ部43がその弾性変形
を解除して液補給室11,21と各圧力室12,22と
の連通を遮断し、前記摺動リング50が各液戻し孔1
4,24を通過した時点で、前記液補給室11,21か
ら圧力室12,22に流入した作動液がリザーバ2に戻
される。
【0027】尚、本発明のマスタシリンダ1は、主ピス
トン7と従ピストン8との両側に、摺動リング50とカ
ップ型シール40とで構成されるシールリング9を設け
た場合について説明したが、これに限定されるのでな
く、主ピストン7、又は従ピストン8の片側のみに適用
したものであってもよい。この場合には、シールリング
9を設けない側のピストンは、例えば、ピストンの内部
にバルブを設けたセンタバルブ形式とする。また、本発
明のマスタシリンダ1を、上記に記載したような、アン
チスキッドブレーキシステムに適用した場合において
も、アンチスキッド制御が開始されてポンプの脈動圧が
マスタシリンダ1の各圧力室12,22に伝わって、各
ピストン7,8のシールリング9を構成するカップ型シ
ール40、摺動リング50とがその脈動圧を受けても、
各液戻し孔14,24の開口に押し込まれることがなく
なる。
トン7と従ピストン8との両側に、摺動リング50とカ
ップ型シール40とで構成されるシールリング9を設け
た場合について説明したが、これに限定されるのでな
く、主ピストン7、又は従ピストン8の片側のみに適用
したものであってもよい。この場合には、シールリング
9を設けない側のピストンは、例えば、ピストンの内部
にバルブを設けたセンタバルブ形式とする。また、本発
明のマスタシリンダ1を、上記に記載したような、アン
チスキッドブレーキシステムに適用した場合において
も、アンチスキッド制御が開始されてポンプの脈動圧が
マスタシリンダ1の各圧力室12,22に伝わって、各
ピストン7,8のシールリング9を構成するカップ型シ
ール40、摺動リング50とがその脈動圧を受けても、
各液戻し孔14,24の開口に押し込まれることがなく
なる。
【0028】
【発明の効果】このように本発明のマスタシリンダによ
れば、請求項1では、シールリングは、リップ部先端側
を圧力室側に向けた弾性部材からなるカップ型シール
と、このカップ型シールよりも高硬度の材料から形成さ
れ内周面にリップ部が弾接し外周面がシリンダ孔の側周
内壁に摺接する摺動リングとを有しているので、ピスト
ンが移動し、圧力室に液圧が発生した時に、カップシー
ルのリップ部が液戻し孔に押し込まれることなく、且つ
カップシールの摺動リングが液戻し孔の開口を摺動する
ので、この摺動リングが液戻し孔に押し込まれることも
ない。これにより、カップシールの寿命を、従来に比し
て長くすることができる。
れば、請求項1では、シールリングは、リップ部先端側
を圧力室側に向けた弾性部材からなるカップ型シール
と、このカップ型シールよりも高硬度の材料から形成さ
れ内周面にリップ部が弾接し外周面がシリンダ孔の側周
内壁に摺接する摺動リングとを有しているので、ピスト
ンが移動し、圧力室に液圧が発生した時に、カップシー
ルのリップ部が液戻し孔に押し込まれることなく、且つ
カップシールの摺動リングが液戻し孔の開口を摺動する
ので、この摺動リングが液戻し孔に押し込まれることも
ない。これにより、カップシールの寿命を、従来に比し
て長くすることができる。
【0029】請求項2では、カップシールに形成されて
リップ部の後端と連なるベース部は、その周方向にみ
て、薄肉部分と、これからリップ部先端側に向けて張り
出す厚肉部分とを交互に形成されているので、厚肉部分
により、摺動リングをシリンダ孔の側周内壁に押圧して
密封作動を高めながら、薄肉部分によりリップ部の摺動
リングの内周面から離れる弾性変形を容易にして、ピス
トンの戻り時の圧力室への液補給機能を持たせることが
可能となる。
リップ部の後端と連なるベース部は、その周方向にみ
て、薄肉部分と、これからリップ部先端側に向けて張り
出す厚肉部分とを交互に形成されているので、厚肉部分
により、摺動リングをシリンダ孔の側周内壁に押圧して
密封作動を高めながら、薄肉部分によりリップ部の摺動
リングの内周面から離れる弾性変形を容易にして、ピス
トンの戻り時の圧力室への液補給機能を持たせることが
可能となる。
【0030】請求項3では、前記液戻し孔のシリンダ孔
開口端縁もしくは当該開口端縁を通過する前記摺動リン
グの角部の少なくとも一方は、面取りもしくは丸み加工
を施したので、ピストンの移動の際に、摺動リングが液
戻し孔の開口端縁に引っ掛かることがなく、摺動リング
の損傷を少なくして、シールリングの寿命を従来に比し
て、長くすることができると共に、ピストンをスムーズ
に移動させることができる。
開口端縁もしくは当該開口端縁を通過する前記摺動リン
グの角部の少なくとも一方は、面取りもしくは丸み加工
を施したので、ピストンの移動の際に、摺動リングが液
戻し孔の開口端縁に引っ掛かることがなく、摺動リング
の損傷を少なくして、シールリングの寿命を従来に比し
て、長くすることができると共に、ピストンをスムーズ
に移動させることができる。
【0031】請求項5においては、請求項1乃至請求項
4記載のものに、前記摺動リングを低摩擦性の合成樹脂
材料により形成したことを特徴とするものである。これ
により、摺動リングで摺動抵抗を減少させつつ、更にピ
ストンをシリンダ孔にスムーズに移動させることができ
る。
4記載のものに、前記摺動リングを低摩擦性の合成樹脂
材料により形成したことを特徴とするものである。これ
により、摺動リングで摺動抵抗を減少させつつ、更にピ
ストンをシリンダ孔にスムーズに移動させることができ
る。
【図1】本発明のマスタシリンダの全体構成を示す断面
図である。
図である。
【図2】本発明のマスタシリンダにおけるシールリング
を構成するカップ型シールと、摺動リングの具体的な構
成を示す、図1における要部拡大図である。
を構成するカップ型シールと、摺動リングの具体的な構
成を示す、図1における要部拡大図である。
【図3】本発明のマスタシリンダのシールリングを構成
するカップ型シールを示す図であって、(a)はカップ
型シールの平面図、(b)はカップ型シールの断面図で
ある。
するカップ型シールを示す図であって、(a)はカップ
型シールの平面図、(b)はカップ型シールの断面図で
ある。
【図4】本発明のマスタシリンダにおける摺動リングと
液戻し孔との関係を示す、図2の要部拡大図である。
液戻し孔との関係を示す、図2の要部拡大図である。
【図5】本発明のマスタシリンダのシールリングを構成
するカップ型シールの作動を説明するための図であっ
て、(a)はカップ型シールによる圧力室と液補給室と
を遮断する作動を示す要部拡大図、(b)はピストン戻
り工程時に、圧力室内圧がリザーバ内圧より低くなった
時の液補給室から圧力室への液移動を示す要部拡大図で
ある。
するカップ型シールの作動を説明するための図であっ
て、(a)はカップ型シールによる圧力室と液補給室と
を遮断する作動を示す要部拡大図、(b)はピストン戻
り工程時に、圧力室内圧がリザーバ内圧より低くなった
時の液補給室から圧力室への液移動を示す要部拡大図で
ある。
【図6】従来技術のマスタシリンダの主要構成を示す断
面図である。
面図である。
1 マスタシリンダ 2 リザーバ 3 シリンダ本体 4 シリンダ孔 4c シリンダ孔の側周内壁 7 主ピストン 8 従ピストン 9 シールリング 12 主圧力室 13 液戻し孔 22 従圧力室 23 液戻し孔 40 カップ型シール 53 外周リップ部 60 摺動リング 60a 摺動リングの内周面 60b 摺動リングの外周面
Claims (5)
- 【請求項1】 シリンダ孔を形成したシリンダ本体と、
前記シリンダ孔に摺動自在に嵌入されるピストンと、前
記ピストンの先端側外周に装着され前記シリンダ孔内に
圧力室を形成するシールリングとを備え、前記シリンダ
本体に、前記圧力室をリザーバに連絡して前記シリンダ
孔の側周内壁に開口し、前記ピストンの移動に応じて前
記シールリングにより前記圧力室との連絡を遮断される
液戻し孔を形成したマスタシリンダにおいて、 前記シールリングは、リップ部先端側を前記圧力室側に
向けた弾性部材からなるカップ型シールと、このカップ
型シールよりも高硬度の材料から形成され内周面に前記
リップ部が弾接し外周面が前記シリンダ孔の側周内壁に
摺接する摺動リングとを有していることを特徴とするマ
スタシリンダ。 - 【請求項2】 前記カップシールに形成されて前記リッ
プ部の後端と連なるベース部は、その周方向にみて、薄
肉部分と、これからリップ部先端側に向けて張り出す厚
肉部分とを交互に形成されていることを特徴とする請求
項1記載のマスタシリンダ。 - 【請求項3】 前記カップシールには、前記ベース部の
薄肉部分の外周からこれに連なるリップ部の途中まで溝
を形成していることを特徴とする請求項2記載のマスタ
シリンダ。 - 【請求項4】 前記液戻し孔のシリンダ孔開口端縁もし
くは当該開口端縁を通過する前記摺動リングの角部の少
なくとも一方は、面取りもしくは丸み加工を施したこと
を特徴とする請求項1乃至請求項3いずれかに記載のマ
スタシリンダ。 - 【請求項5】 前記摺動リングを低摩擦性の合成樹脂材
料により形成したことを特徴とする請求項1乃至請求項
4いずれかに記載のマスタシリンダ。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP32119295A JPH09136641A (ja) | 1995-11-14 | 1995-11-14 | マスタシリンダ |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP32119295A JPH09136641A (ja) | 1995-11-14 | 1995-11-14 | マスタシリンダ |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPH09136641A true JPH09136641A (ja) | 1997-05-27 |
Family
ID=18129824
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP32119295A Pending JPH09136641A (ja) | 1995-11-14 | 1995-11-14 | マスタシリンダ |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JPH09136641A (ja) |
Cited By (4)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2007146951A (ja) * | 2005-11-25 | 2007-06-14 | Showa Corp | フロントフォーク |
JP2011093423A (ja) * | 2009-10-29 | 2011-05-12 | Hitachi Automotive Systems Ltd | マスタシリンダ |
CN104661885A (zh) * | 2012-10-31 | 2015-05-27 | 日立汽车系统株式会社 | 主缸 |
CN104661885B (zh) * | 2012-10-31 | 2016-11-30 | 日立汽车系统株式会社 | 主缸 |
-
1995
- 1995-11-14 JP JP32119295A patent/JPH09136641A/ja active Pending
Cited By (6)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2007146951A (ja) * | 2005-11-25 | 2007-06-14 | Showa Corp | フロントフォーク |
JP2011093423A (ja) * | 2009-10-29 | 2011-05-12 | Hitachi Automotive Systems Ltd | マスタシリンダ |
CN104661885A (zh) * | 2012-10-31 | 2015-05-27 | 日立汽车系统株式会社 | 主缸 |
KR20150079574A (ko) | 2012-10-31 | 2015-07-08 | 히다치 오토모티브 시스템즈 가부시키가이샤 | 마스터 실린더 |
CN104661885B (zh) * | 2012-10-31 | 2016-11-30 | 日立汽车系统株式会社 | 主缸 |
US10053076B2 (en) | 2012-10-31 | 2018-08-21 | Hitachi Automotive Systems, Ltd. | Master cylinder |
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