JP2993555B2 - マスタシリンダ - Google Patents

マスタシリンダ

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JP2993555B2
JP2993555B2 JP32119095A JP32119095A JP2993555B2 JP 2993555 B2 JP2993555 B2 JP 2993555B2 JP 32119095 A JP32119095 A JP 32119095A JP 32119095 A JP32119095 A JP 32119095A JP 2993555 B2 JP2993555 B2 JP 2993555B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、例えば、車両の液
圧ブレーキやクラッチに用いられるマスタシリンダに関
する。
【0002】
【従来の技術】従来技術のマスタシリンダの一例として
は、山海堂が発行する『自動車選書,ブレーキ(青木
和彦著)』の刊行物の53頁から58頁に記載された、
コンベンショナル型マスタシリンダが知られている。こ
の種のマスタシンダは、例えば、図10に示すように、
シリンダ本体703に形成されたシリンダ孔704に圧
力室710を区画するように摺動自在に嵌入されたピス
トン70と、作動液を貯留する図示しないリザーバに
連通され、シリンダ孔704の側周内壁704に開口
する液戻し孔716と、ピストン70に装着され液戻
し孔716が開口するシリンダ孔704の側周内壁70
を摺動するリップ部750Aを有するカップ型シー
ル750等を備えている。そして、ピストン70をカ
ップ型シール750とともに圧力室710側に移動させ
て、カップ型シール750のリップ部7501Aが液戻
し孔716を通過することによって、上記リザーバと圧
力室710との作動液の供給を遮断して、更に、ピスト
ン707を移動させることで、圧力室710内に液圧を
発生させて、この液圧を出力圧力としている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、従来技
術のマスタシリンダにおいては、ピストン707に装着
されるシールリングをカップ型シールとしているので、
ピストン707を圧力室710側に移動させる時には、
カップ型シール750のリップ部750Aが圧力室71
0内に発生する液圧の作用を受けて液戻し孔716内に
押し込まれる現象が発生する。これにより、カップ型シ
ール750のリップ部750Aが液戻し孔71に引っ
掛かり、又は喰われることによる損傷で、その寿命が短
くなるという問題があった。
【0004】このことは、特に、ブレーキをかける際に
車輪のロックを防止するアンチスッキッドブレーキシス
テムのように、マスタシリンダとホイールシリンダとの
間に、ホイールシリンダ側からマスタシリンダ側へ作動
液を加圧還流するポンプを有るものにおいては、アンチ
スキッド制御が開始されてポンプが作動し始めると、ポ
ンプの脈動圧がマスタシリンダの圧力室に伝わることと
なる。従って、マスタシリンダにおけるピストンのカッ
プ型シールがその脈動圧を受けて、繰り返し液戻し孔の
開口に押し込まれる現象が生じることがあり、こうした
場合には、カップ型シールの損傷、寿命低下が顕著とな
る。
【0005】本発明は、この問題を解決するためになさ
れたもので、シールリングの液戻し孔への押し込みを防
止することにより、シールリングの寿命を長くすること
のできるマスタシリンダを提供することを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】上記問題を解決するた
め、本発明のマスタシリンダでは、請求項1において
は、シリンダ孔を形成したシリンダ本体と、前記シリン
ダ孔に摺動自在に嵌入されるピストンと、前記ピストン
の先端側外周に装着され前記シリンダ孔内に圧力室を形
成するシールリングとを備え、前記シリンダ本体に、前
記圧力室をリザーバに連絡して前記シリンダ孔の側周内
壁に開口し、前記ピストンの移動に応じて前記シールリ
ングにより前記圧力室との連通を遮断される液戻し孔を
形成したマスタシリンダにおいて、前記シールリング
は、前記シリンダ孔内を摺動する前記ピストンに形成さ
れた環状凹所に装着されて位置決めされ、且つ、前記ピ
ストンが前記圧力室側に移動することにより、前記液戻
し孔を通過して前記圧力室と前記リザーバ側間の双方向
の液移動を禁止し、これにより前記圧力室を加圧する
のであって、弾性材料から形成され前記ピストンの外周
に接合する第1リングと、この第1リングよりも高硬度
の材料から形成され内周面が前記第1リングに密着して
外周面が前記シリンダ孔の側周内壁に摺接する第2リン
グとを有するとともに、当該第1および第2リングによ
る密封部分を迂回して前記圧力室と前記リザーバ側間を
連絡する液補給通路と、この液補給通路を介した前記リ
ザーバ側から前記圧力室側に向かう液移動のみを許容す
る補給弁を設けたことを特徴とするものである。これに
より、ピストンが移動し、圧力室に液圧が発生した時
に、シールリングの第リングが液戻し孔の開口を摺動
するので、この第リングが液戻し孔に押し込まれるこ
とがなくなると共に、ピストンの摺動と関係のない場所
に、従来、ピストン外周に嵌着されたシールリングの変
形でリザーバからの作動液を圧力室に供給する機能を有
する補給弁を設けたので、例え、カップ型シールで弁体
を形成してもこれが損傷することがない。
【0007】請求項2においては、シリンダ本体に形成
したひとつのシリンダ孔内に、ふたつのピストンを移動
自在に挿入して、外部からの操作力を受ける一方のピス
トンおよび両ピストン間に形成される圧力室を含むプラ
イマリ側部分、このプライマリ側部分に従動する他方の
ピストンおよびこれと前記シリンダ孔の閉鎖端との間に
形成される圧力室を含むセカンダリ側部分の各々が設け
られたタンデム型のマスタシリンダであって、前記プラ
イマリ側部分またはセカンダリ側部分の少なくとも片方
が、前記圧力室をリザーバ側に連絡可能に前記シリンダ
本体に形成され、前記シリンダ孔の側周内壁に開口する
液戻し孔と、ピストンの先端側外周に嵌着されて、当該
ピストンの圧力室側への移動に応じて前記液戻し孔の開
口を通過することにより圧力室を前記リザーバ側から遮
断するシールリングとを備えるマスタシリンダにおい
て、前記シールリングは、前記シリンダ孔内を摺動する
前記ピストンに形成された環状凹所に装着されて位置決
めされ、且つ、前記ピストンが前記圧力室側に移動する
ことにより、前記液戻し孔を通過して前記圧力室と前記
リザーバ側間の双方向の液移動を禁止し、これにより前
記圧力室を加圧するものであって、弾性材料から形成さ
れ前記ピストンの外周に接合する第1リングと、この第
1リングよりも高硬度の材料から形成され内周面が前記
第1リングに密着して外周面が前記シリンダ孔の側周内
壁に摺接する第2リングとを有するとともに、これら第
1および第2リングを設けたピストンに対応する圧力室
と前記リザーバ側との間を連通させる液補給路を、前記
第1および第2リングによる密封部分を迂回する箇所に
設け、その液補給路を介した前記リザーバ側から前記圧
力室に向かう液移動のみを許容する補給弁を設けたこと
を特徴とするものである。これにより、2つのピストン
が移動し、圧力室に液圧が発生した時に、シールリング
の第リングがリザーバ側と圧力室側間の双方向の液移
動を禁止しつつ、液戻し孔の開口を摺動するので、この
リングが液戻し孔に押し込まれることがなくなると
共に、ピストンの摺動と関係のない場所に、従来、ピス
トン外周に嵌着されたシールリングの変形でリザーバか
らの作動液を圧力室に供給されていた機能を有する補給
弁を設けたので、例え、カップ型シールで弁体を形成し
てもこれが損傷することがない。
【0008】請求項3においては、前記第1リングは、
前記第2リングを前記シリンダ孔の側周内壁に向けて押
圧する弾性力を有していることを特徴とするものであ
る。これにより、第2リングを、リザーバ側と圧力室側
との連通を遮断してシリンダ孔の側周内壁に弾接させる
ことができる。
【0009】請求項4においては、前記液戻し孔のシリ
ンダ孔開口端縁、もしくは、前記開口端縁を通過する第
2リンクの角部の少なくとも一方は、面取りないしは丸
み加工を施されていることを特徴とするものである。こ
れにより、ピストンの移動の際に、第リングが液戻し
孔の開口端縁に引っ掛かることがなく、第リングの損
傷を少なくできる。
【0010】請求項5においては、前記第2リングは、
低摩擦性の合成樹脂材料から形成されていることを特徴
とするものである。これにより、第リングで摺動抵抗
を減少しつつ、更に、ピストンをリンダ孔にスムーズに
移動させることができる。
【0011】請求項6においては、前記第1リングは、
合成ゴム製のOリングであるものである。これにより、
汎用されている合成ゴム製のOリングを用いることがで
き、経済的である。
【0012】請求項7においては、前記ピストンには、
前記液補給通路となる連絡孔を形成するとともに、当該
ピストンの前記圧力室および前記連絡孔に臨む部分に、
前記補給弁を設けたことを特徴とするものである。これ
により、ピストンとシリンダ孔との摺動に関係のない場
所に補給弁を設けることができ、補給弁の損傷も少なく
できる。
【0013】請求項8においては、前記補給弁の弁体
は、前記ピストンに係合する係合部材により前記ピスト
ンの所定位置に保持されていることを特徴とするもので
ある。これにより、補給弁の弁体は、常に、所定位置に
保持されるので、補給弁の開閉弁作動が正確に行うこと
ができる。
【0014】請求項9においては、前記係合部材は、前
記ピストンを非作動位置に向けて付勢する戻しバネのバ
ネ受であることを特徴とするものである。これにより、
容易な構造でピストンを非作動位置の付勢する戻しバネ
を保持することができる。
【0015】請求項10においては、前記係合部材は、
前記ピストンに係止されたリテーナであることを特徴と
するものである。これにより、容易な構造で戻しバネを
保持することができる。
【0016】請求項11におては、前記ピストンの圧力
室側端部に前記リザーバ側と連通する凹所を形成して、
前記補給弁の弁体を、リップ部先端側を前記圧力室側に
向けて前記凹所内に嵌入されるカップ型シールとし、前
記補給弁の弁座を、前記リップ部が弾接する前記凹所の
内周壁としたことを特徴とするものである。これによ
り、ピストンとシリンダ孔との摺動と関係のない場所
で、カップ型シールのリップ部を弁座に対して接離され
るという簡単な構造で、補給弁を構成することができ
る。
【0017】請求項12においては、前記補給弁の弁体
を板状の弾性部材により形成して、前記ピストンの前記
圧力室側端部に保持し、その圧力室側端部に形成した弁
座に弾接させたことを特徴とするものである。これによ
り、弁体を板状の弾性部材により形成するして、ピスト
ンの端部に保持するという簡単な構造で、補給弁を構成
することができる。
【0018】請求項13においては、前記ピストンに
は、前記圧力室に対して開口し底部側が前記リザーバ側
に連通する凹所を形成し、前記補給弁が、前記凹所の底
部に形成される弁座と、前記凹所にその軸線方向に沿っ
て移動自在に挿入される弁ピストンと、この弁ピストン
に装着され前記弁座に着離座可能なシール部材と、前記
弁ピストンを前記弁座に向けて付勢する弁ばねとを有し
ていることを特徴とするものである。これにより、ピス
トンとシリンダ孔との摺動と関係のない場所で、弁ピス
トンを弁座に対して接離されるという簡単な構造で、補
給弁を構成することができる。
【0019】請求項14においては、前記シール部材を
前記弁ピストンの前記弁座を対向する端面に 取り付け
て、前記凹所の内周面を、前記弁ピストン両端間の液連
通を許容しつつ、弁ピストンの外周を案内支持するガイ
ド部材としたものである。これにより、弁ピストンが案
内されなが確実に、弁座に対して接離させることができ
る。
【0020】
【発明の実施の形態】以下、本発明のマスタシリンダに
ついて、図面を参照して説明する。図1において、1は
タンデム型マスタシリンダ、2はマスタシリンダに作動
液を供給するリザーバである。3はシリンダ本体であっ
て、内部には一端が開口して他端が閉鎖端4aとなって
いるシリンダ孔4が形成され、外周部にはリザーバ2の
2つの接続部5A,5Bとにそれぞれ接続されるボス部
6A,6Bが半径外方向に突出形成されている。シリン
ダ孔4内には、その開口部4b側から閉鎖端4aに向か
ってプライマリ側部分7とセカンダリ側部分8とを収納
している。このプライマリ側部分7は、シリンダ孔4の
開口部4b側に摺動自在に挿入された主ピストン9と、
この主ピストン9とセカンダリ側部分8との間に形成さ
れる主圧力室10とを含むものであり、また、セカンダ
リ側部分8は、シリンダ孔4の閉鎖端4a側に摺動自在
に挿入された従ピストン11と、この閉鎖端4aと従ピ
ストン11との間に形成される従圧力室12とを含むも
のである。
【0021】プライマリ側部分7の主ピストン9は、こ
の軸部9Aの軸線方向の両端部分から半径外方向に突出
する頭部9B,9Cを有しており、頭部9Bにシールリ
ング13を、頭部9Cにカップシール14を介在させて
シリンダ孔4に摺動自在に挿入されている。これによ
り、主ピストン9は、この両方の頭部9B,9Cとシリ
ンダ孔4の側周内壁4cとの間に液補給室15を、セカ
ンダリ側部分8の従ピストン11との間に主圧力室10
とをそれぞれ区画している。この液補給室15はボス部
6Aに形成された液補給孔16を介してリザーバ2に連
通されている。また、主圧力室10はシリンダ孔4の側
周内壁4cに開口してボス部6Aに形成された液戻し孔
17を介してリザーバ2に連通しているとともに、シリ
ンダ本体3のセカンダリ側部分8の従ピストン11の近
傍に形成された液供給ポート18Aを介して、図示しな
い一方側のホイールシリンダに連絡されている。また、
主ピストン9の頭部9Bには、この先端側で主圧力室1
0に開口する環状凹所20が形成されており、この凹所
20の底には、この軸線方向に延びる複数の横連絡孔2
1が開口している。この各連絡給孔21は、相互に主ピ
ストン9の周方向に所定間隔を有して形成されており、
主ピストン9を半径方向に貫通して液補給室15に開口
する縦連絡孔22に連絡されている。これにより、リザ
ーバ2に連通する液補給孔16,液補給室15,縦連絡
孔2及び各横連絡孔21とで、シールリング13を迂
回してリザーバ2と主圧力室10とを連絡する液補給通
路25を形成している。そして、主ピストン9の頭部9
Bに形成された環状凹所20には、リザーバ2側から主
圧力室10への作動液の流れを許容し、主圧力室10側
からリザーバ2への作動液の流れを阻止する補給弁30
が設けられている。
【0022】一方、セカンダリ側部分8の従ピストン1
1は、この軸部11Aの軸線方向の両端部分から半径外
方向に突出する頭部11B,11Cを有しており、頭部
11Bにシールリング13を、頭部11Cにカップシー
ル14を介在させてシリンダ孔4に摺動自在に挿入され
ている。これにより、従シリンダ11は、この両方の頭
部11B,11Cとシリンダ孔4の側周内壁4cとの間
に液補給室31を、シリンダ孔4の閉鎖端4aとの間で
従圧力室12とをそれぞれ区画している。この液補給室
31はボス部6Bに形成された液補給孔32を介してリ
ザーバ2に連通されている。また、従圧力室12はシリ
ンダ孔4の側周内壁4cに開口してボス部6Bに形成さ
れた液戻し孔33を介してリザーバ2に連通していると
ともに、シリンダ本体3の閉鎖端4a側に形成された液
供給ポート18Bを介して、図示しない他方側のホイー
ルシリンダに連絡されている。また、従ピストン11の
頭部11Bには、この先端側で従圧力室12に開口する
環状凹所20が形成されており、この凹所20の底に
は、この軸線方向に延びる複数の横連絡孔34が開口し
ている。この各横連絡孔34は、従ピストン11の周方
向に所定間隔を有して形成されて、液補給室31に連通
している。これにより、リザーバ2に連通する液補給孔
32,液補給室31及び各連絡孔34とで、シールリン
グ13を迂回してリザーバ2と従圧力室12とを連絡す
る液補給通路25を形成している。そして、従ピストン
11の頭部11Bに形成された環状凹所20内には、リ
ザーバ2側から従圧力室12への作動液の流れを許容
し、従圧力室12側からリザーバ2への作動液の流れを
阻止する補給弁30が設けられている。
【0023】また、主ピストン9と従ピストン11と
は、ケージドスプリング装置35で連結されている。こ
のケージドスプリング装置35は主ピストン9の頭部9
Bに嵌め込まれた係合部材36に連続するバネ受板37
Aと、従ピストン11の主圧力室10側端に設けられた
バネ受板37Bと、この両バネ受板37A,37Bとの
間に張設された主戻しバネ38とで構成され、この主戻
しバネ38のばね力で各ピストン9,11を相互に離間
するように付勢している。また、各ピストン9,11と
は、両バネ受板37A,37Bとを貫通して係合する連
結軸39で、その最大離間距離が規制されている。ま
た、従ピストン11は、シリンダ孔4の閉鎖端4aに設
けられた規制部材40と、従ピストン11の頭部11B
に設けられた係合部材36との間に張設された従戻しバ
ネ41のバネ力でシリンダ孔の閉鎖端4aとの間に従圧
力室12を区画しつつ、主ピストン9側に付勢されてい
る。この従戻しバネ41はシリンダ孔4の閉鎖端4a側
から従ピストン11側に突出する規制部材40の突起部
40Aと、従ピストン11の頭部11Bから縮径して閉
鎖端4a側に突出する突出部11Dとに外嵌されてお
り、この規制部材40の突起部40Aの先端に従ピスト
ン11の突出部11Dが当接することで、従ピストン1
1の閉鎖端4a側への移動が規制されるようになってい
る。42はシリンダ孔4の開口部4bを覆うようにして
シリンダ本体3に外嵌取り付けされた断面凹状の止め部
材であって、主ピストン9のシリンダ孔4の開口部4b
側端に係合して、主ピストン9の開口部4b側への移動
を規制している。
【0024】次に、図2及び図3に基づいて、各ピスト
ン9,11の頭部9B,11Bに設けられたシールリン
グ13,及び補給弁30,係止部材36の具体的な構成
について説明する。尚、説明の便宜上、従ピストン11
に設けられるシールリング13の構成のみについて説明
するが、主ピストン9に設けられるシールリング13も
同様な構成を有するので、その説明は省略する。
【0025】図2において、従ピストン11の頭部11
Bに設けられたシールリング13は、第1リング45と
第2リング46とで構成されている。第1リング45は
合成ゴム等の弾性材料で形成されたOリングであって、
液戻し孔33より液補給室31側に位置する頭部11B
の外周面に亘って形成された環状溝47内に嵌合されて
いる。また、第2リング46は、第1リング45より高
硬度で低摩擦性の合成樹脂材料から形成されており、第
1リング45が嵌合された環状溝47内に、この第1リ
ング45の内周面45aを環状溝47の底47a(従ピ
ストン11の外周面)に密着するように弾性変形させて
嵌合されている。これにより、第2リング46は、第1
リング45の弾性変形による押圧力を受けて、この内周
面46aが第1リング45の外周面45bに密着された
状態で、この外周面46bがシリンダ孔4の側周内周壁
4cに押圧されている。これにより、シールリング13
は、液補給室31側と従圧力室12側との間の双方向の
作動液の移動を禁止するようになっている。
【0026】また、第2リング46は、液戻し孔33の
開口より大きい巾を有して従ピストン11の軸線方向に
延びており、シリンダ孔4の側周内壁4cに押圧される
外周面46bの各角部48には、図3に示すように、面
取り加工が施されている。尚、この面取りに代えて、第
2リング46の外周面46bの各角部48に丸み加工を
施してもよく、また、液戻し孔33のシリンダ孔4の開
口端縁に、面取り加工、又は丸み加工を施してもよい。
これにより、従ピストン11がシリンダ孔4内を摺動し
て、シールリング13の第2リング46が液戻し孔33
を通過するに際に、液戻し孔33に引っ掛かり、又は喰
われることなくスムーズに通過させることができる。
【0027】補給弁30は、この弁体となるカップ型シ
ール50を有している。カップ型シール50は、ベース
部50Aの内外周から同軸線方向に突出する内周リップ
部50Bと、外周リップ部50Cとが一体形成されてお
り、この内周リップ部50Bは外周リップ部50Cより
長く突出している。そして、カップ型シール50は、こ
の各リップ部50B,50Cの先端側を従圧力室12に
向けた状態で、この内周リップ部50Bを拡径するよう
に弾性変形させて従ピストン11の突出部11Dに外嵌
していき、従ピストン11の環状凹所20内に嵌合され
ている。これにより、カップ型シール50は、このベー
ス部50Aが各横連通孔34を閉鎖する状態で環状凹所
20の底20aに係合していると共に、この外周リップ
部50Cの先端側が環状凹所20の内周壁20bに弾接
して、この内周壁20bが補給弁30の弁座を担ってい
る。51はカップ型シール50のベース部50Aと環状
凹所20の底20aとの間に介装された環状スペーサで
ある。
【0028】一方、係合部材36は、従戻しバネ41を
受けるバネ受部材54である。このバネ受部材54は、
従ピストン11の突出部11Dに外嵌される筒状部55
と、この筒状部55の一端から半径外方向に突出するフ
ランジ部56とを有しており、このフランジ部56で従
戻しバネ41を受けて、このばね力により環状凹所20
を覆う状態で従ピストン11の頭部11Bの端面11b
に係合している。また、バネ受部材54のフランジ部5
6には、この周方向に所定間隔を有してフランジ部56
の一部を、従ピストン11の軸線方向に折り曲げられた
複数の折曲部57が形成されており、この各折曲部57
が折り曲げられたフランジ部56には従圧力室12と環
状凹所20内とを連通する連通孔58が形成されてい
る。そして、バネ受部材54のフランジ部56とカップ
型シール50との間には、環状保持部材59が介装され
ている。この環状保持部59は、この内周面59aをカ
ップ型シール50の内周リップ部50Bに外嵌し、且つ
この外周面59bを環状凹所20の内周壁20bに内嵌
しつつ環状凹所20内に嵌合されていると共に、この両
方の側面59c,59dがカップ型シール50の外周リ
ップ部50C先端と、バネ受部材54のフランジ部56
とにそれぞれ係合している。これにより、カップ型シー
ル50は、環状凹所20の底20aと、環状保持部材5
9を介してバネ受部材54とで挟持される状態にされて
いると共に、従戻しバネ41のバネ力で従ピストン11
の軸線方向への移動が規制される非作動位置に保持され
ている。
【0029】本発明によるマスタシリンダ1は、以上の
ように構成されるが、次に、このマスタシリンダ1の作
動について説明する。
【0030】(1)図1に示す、マスタシリンダ1は、
非作動状態であって、主圧力室10と、従圧力室12と
は各液戻し孔17,33を介してそれぞれリザーバ2に
連通している。また、補給弁30は、図2に示すよう
に、カップ型シール50の外周リップ部50Cが凹所2
0の内周壁20baに弾接して閉弁状態になっている。
【0031】(2)この状態から、図示しないブレーキ
ペダルが踏み込まれると、主ピストン9が主戻しバネ3
8のばね力に抗してシリンダ孔4の閉鎖端4a側に移動
すると共に、この移動に追従してケージドスプリング装
置35で連結されている従ピストン11も従戻しバネ4
1のばね力に抗してシリンダ孔4の閉鎖端4a側に移動
し、これらピストン9,11の移動に応じて各圧力室1
0,12は各液戻し孔17,33(リザーバ2)から遮
断される。このとき、各ピストン9,11は、各頭部9
B,11Bに設けられたシールリング13を構成する低
摩擦性の合成樹脂材料の第2リング46が、リザーバ2
側と各圧力室10,12側間の双方向の作動液移動を
禁止しつつ、シリンダ孔4の側周内壁4cを摺動して、
シリンダ孔4の閉鎖端4a側に移動されて、各液戻し孔
17,33の開口端縁をスムーズに通過して、各圧力室
10,12を各液戻し孔17,33から遮断する。特
に、第2リング46の外周面46aの各角部48には面
取り加工、又は丸み加工が施されているので、各液戻し
孔17,33を通過する際に、この第2リング46の先
端側が各液戻し孔17,33の開口端縁に引っ掛かり、
又は喰われることなく、スムーズに摺動する。
【0032】(3)更に、主ピストン9がシリンダ孔4
の閉鎖端4a側に移動されると、この移動に追従して従
ピストン11も閉鎖端4a側に移動し、各圧力室10,
12に液圧が発生し、発生した液圧は各圧力室10,1
2に開口する各液供給ポート18A,18Bから図示し
ない各ホイールシリンダに送られ、ブレーキがかけられ
る。このような作動時に、各圧力室10,12の液圧が
発生すると、この液圧が各ピストン9,11の環状凹所
47から第2リング46を各液戻し孔17,33に押し
込むように作用することになるが、この第2リング46
は第1リング45より高硬度の材料で形成され、且つ各
液戻し孔17,33の開口端縁より大きい巾を有してい
ると共に、第1リング45の弾性変形による押圧力を受
けているので、各圧力室10,12に液圧が発生する初
期状態においては、リザーバ2側と各圧力室10,12
側間の双方向の作動液の移動を禁止しつつ、各液戻し孔
17,33を閉鎖するように位置する。この結果、シー
ルリング13の第2リング46が各圧力室10,12に
発生する液圧の作用を受けても、各液戻し孔17,33
に押し込まれることなく、各液戻し孔17,33を通過
する。また、各圧力室10,12に液圧が発生すると、
この液圧は各圧力室10,12に臨むバネ受部材54の
各連絡孔58から環状凹所20を介してカップ型シール
50にも作用する。これにより、カップ型シール50の
ベース部50Aが、環状スペーサ51とともに各横連絡
孔21,34を閉鎖するように凹所20の底20aに係
合すると共に、この外周リップ部50Cが凹所20の内
周壁20bに弾接される状態となり、補給弁30の閉弁
状態が維持されるので、各圧力室10,12から各液補
給通路25を介してリザーバ2に液圧が逆流することが
防止されるようになっている。
【0033】(4)その後、上記各ブレーキを解消する
ために、上記ブレーキペダルの踏み込みを解除すると、
各ピストン9,11は主戻しバネ38と従戻しバネ41
のバネ力によりシリンダ孔4の開口部4b側に移動され
る。この場合においても、上記(2)及び(3)に記載
した如く、シールリング13の第2リング46は各液戻
し孔17,33の開口端縁に引っ掛かり、又は喰われ、
且つ押し込まれることなく、スムーズに通過して、各液
戻し孔17,33を介して各圧力室10,12とリザー
バ2とを連通状態にする。これにより、上記各ホイール
シリンダに供給された作動液が各圧力室10,12−各
液戻し孔17,33を介して戻されることになるが、上
記各ホイールシリンダから戻される作動液に遅れが生じ
ると、この作動液の戻りに比べて、各戻しバネ38,4
1のバネ力で各ピストン9,11がシリンダ孔4の開口
部4bに素早く移動されるので、各圧力室10,12の
圧力がリザーバ2側の圧力(大気圧)より低くなる現象
が生じる。この結果、リザーバ2から各液補給通路25
を介してカップ型シール50に作用する作動液により、
外周リップ部50Cが各ピストン9,11の内径側に弾
性変形して縮径されて、補給弁30を開弁状態として、
リザーバ2から各圧力室10,12に作動液を補給す
る。その後、各液補給通路25側(リザーバ2側)と各
圧力室10,12側との圧力が同程度になると、カップ
型シール50の外周リップ部50Cがその弾性変形を解
除して凹所20の内周壁20bに弾接して、補給弁30
を閉弁状態にし、前記シールリング13が各戻し孔1
7,33を通過した時点(圧力室10,12とリザーバ
2とが、各液戻し孔17,33により連通した時点)
で、前記補給弁30を介して前記圧力室10,12に流
入した作動液が前記リザーバ2に戻される。
【0034】本発明のマスタシリンダ1は、以上のよう
に構成されるが、次に 各ピストンに設けられた補給弁
30と、係合部材36の種々の変形例を、図4乃至図9
に基づいて説明する。尚、説明の便宜上、説明の便宜
上、主ピストン9、又は従ピストン11のいずれか一方
に設けられる補給弁30と、係合部材36の構成のみに
ついて説明するが、他方のピストン9又は11に設けら
れる補給弁30と、係合部材36も同様な構成を有する
ので、その説明は省略する。また、図4乃至図9におい
て、上記図1乃至図3と同一の符号は、同一の構成を有
するので、その説明も省略する。
【0035】(A)図4に示す補給弁30,係合部材3
6の具体的な構成: 図4において、従ピストン11の頭部11Bには、従圧
力室12に開口する凹所120が形成されており、この
凹所120内に補給弁30が設けられている。この補給
弁30は、円盤状ベース部150Aの外周から軸線方向
に拡径しつつ突出する外周リップ部150Cを有する弁
体となるカップ型シール150を有している。そして、
カップ型シール150は、この外周リップ部150Cの
先端側を従圧力室12側に向けてベース部150A側か
ら凹所120内に嵌合されている。これにより、カップ
型シール150は、このベース部150が凹所120の
底120aとの間にスペーサ151を介して、液補給通
路25を閉鎖するように、底120aに係合していると
共に、この外周リップ部150Cが凹所120の傾斜側
面120bに亘って係合して、この傾斜側面120bが
補給弁30の弁座を担っている。尚、液補給通路25
は、凹所120の底120aに開口して液補給室31に
連通するL字状連絡孔152と、液補給室31及び液補
給孔32とで構成されている。
【0036】一方、係合部材36は、従戻しバネの41
のバネ力を受けるバネ受けの機能と、カップ型シール1
50を保持する機能とを兼ね備えたバネ受部材154で
ある。このバネ受部材154は、側周壁154Aを有す
る皿形状を呈しており、この底部154Bから縮径して
側周壁154Aが延びると反対方向に突出する突出部1
54Cが形成されている。そして、バネ受部材154
は、その開口側を従圧力室12に臨むようにして、この
突出部154Bを凹所120内に挿入してカップ型シー
ル150のベース部150Aに係合していると共に、こ
の側周壁154Aと底部154Bとで従戻しバネ41を
受けて、このばね力でカップ型シール150のベース部
150Aを凹所120の底120aに付勢することで、
補給弁30を閉弁状態にしている。
【0037】そして、図示しないブレーキペダルの踏み
込みで、各ピストン9,11がシリンダ孔4の閉鎖端4
a側に移動されて、シールリング13が液戻し孔17,
33を通過し、このシールリング13により各圧力室1
0,12とリザーバ2との間を遮断し、各圧力室10,
12に液圧が発生すると、この液圧は各圧力室10,1
2に臨むバネ受部材154から凹所120を介してカッ
プ型シール150に作用するので、カップ型シール15
0のベース部150Aが、スペーサ151とともに各液
連絡通路25を閉鎖するように凹所120の底120a
に押圧されると共に、この外周リップ部150Cが凹所
120の内周壁120bに弾接される状態となり、補給
弁30の閉弁状態が維持される。また、上記各ブレーキ
を解消するために、ブレーキペダルの踏み込みを解除す
ると、各ピストン9,11は主戻しバネ38と従戻しバ
ネ41のはね力によりシリンダ孔4の開口部4b側に移
動される。これにより、上記各ホイールシリンダに供給
された作動液が各圧力室10,12−各液戻し孔17,
33を介して戻されることになるが、上記各ホイールシ
リンダから戻される作動液遅れにより各圧力室10,
12の圧力がリザーバ2側の圧力(大気圧)より低くな
ると、リザーバ2から各液補給通路25を介してカップ
型シール150に作用する作動液により、外周リップ部
150Cが凹所120の中心側に弾性変形して縮径され
て、補給弁30を開弁状態として、リザーバ2から各圧
力室10,12に作動液を補給する。その後、各液補給
通路25側(リザーバ2側)と各圧力室10,12側と
の圧力が同程度になると、カップ型シール150の外周
リップ部150Cがその弾性変形を解除して凹所120
の内周壁120bに弾接して、補給弁30を閉弁状態に
し、前記シールリング13が各液戻し孔17,33を通
過した時点(圧力室10,12とリザーバ2とが、各液
戻し孔17,33により連通した時点)で、前記補給弁
30を介して前記圧力室10,12に流入した作動液が
前記リザーバ2に戻される。更に、上記ブレーキペダル
の踏み込み、又は踏み込み解除により、シリンダ孔4の
閉鎖端4aと開口部4b間を往復移動される各ピストン
9,11は、各頭部9B,11Bに設けられたシールリ
ング13を構成する低摩擦性の合成樹脂材料の第2リン
グ46が、リザーバ2側と各圧力室10,12側間の双
方向の作動液の移動を禁止しつつ、シリンダ孔4の側周
内壁4cを摺動して、各液戻し孔17,33の開口端縁
をスムーズに通過する。
【0038】(B)図5に示す補給弁30,係合部材3
6の具体的な構成: 図5において、補給弁30は、弾性部材で形成された環
状の板状弁体250を有しており、この板状弁体250
は従ピストン11の突出部11Dに外嵌されて、環状ス
ペーサ251を介して頭部11Bの端面11bに係合し
て、この頭部11Bの11が補給弁30の弁座を担っ
ている。また、板状弁体250には、従ピストン11の
端面11bに開口する液補給通路25に対向して環状の
溝部252が形成されている。尚、液補給通路25は、
従ピストン11の端面11Bに板状弁体250の溝部2
52に対向するように開口して、従ピストン11の軸線
方向に延びる横連絡孔255と、この横連絡孔255に
連絡して液補給室31に連通する縦連絡孔256と、液
補給室31及び液補給孔32とで構成されている。
【0039】一方、係合部材36は、従戻しバネの41
のバネ力を受けるバネ受けの機能と、カップ型シール2
50を保持する機能とを兼ね備えた環状のバネ受板25
4である。このバネ受板254は従ピストン11の突出
部11Dに外嵌されて、板状弁体250のベース部25
0Aと、このベース部250Aから従圧力室12側に突
出する突起部250Bとに亘って係合している。また、
バネ受板254は、板状弁体250のベース部250A
と係合する部分で従戻しバネ41を受けており、この従
戻しバネ41のばね力で板状弁体250を従ピストン1
1の端面11bに付勢することで、補給弁30を閉弁状
態にしている。
【0040】そして、図示しないブレーキペダルの踏み
込みで、各ピストン9,11がシリンダ孔4の閉鎖端4
a側に移動されて、シールリング13が液戻し孔17,
33を通過し、このシールリング13により各圧力室1
0,12とリザーバ2との間を遮断し、各圧力室10,
12に液圧が発生すると、この液圧は各圧力室10,1
2に臨むバネ受板254と、板状弁体250とに作用す
るので、このベース部250Aが各ピストン9,11の
端面9b,11bに弾接される状態となり、補給弁30
の閉弁状態が維持される。また、上記各ブレーキを解消
するために、ブレーキペダルの踏み込みを解除すると、
各ピストン9,11は主戻しバネ38と従戻しバネ41
のばね力によりシリンダ孔4の開口部4b側に移動され
る。これにより、上記各ホイールシリンダに供給された
作動液が各圧力室10,12−各液戻し孔17,33を
介して戻されることになるが、上記各ホイールシリンダ
から戻される作動液の遅れにより各圧力室10,12の
圧力がザーバ2側の圧力(大気圧)より低くなると、リ
ザーバ2から各液補給通路25を介して板状弁体250
に作用する作動液により、ベース部250Aの外周側が
各圧力室10,12側に弾性変形しつつ押されて、補給
弁30を開弁状態として、リザーバ2から各圧力室1
0,12に作動液を補給する。その後、各液補給通路2
5側(リザーバ2側)を各圧力室10,12側との圧力
が同程度になると、板状弁体250のベース部250A
がその弾性変形を解除して各ピストン9,11の端面9
b,11bに弾接して、補給弁30を閉弁状態にし、前
記シールリング13が各液戻し孔17,33を通過した
時点(圧力室10,12とリザーバ2とが、各液戻し孔
17,33により連通した時点)で、前記補給弁30を
介して前記圧力室10,12に流入した作動液が前記リ
ザーバ2に戻される。更に、上記ブレーキペダルの踏み
込み、又は踏み込み解除により、シリンダ孔4の閉鎖端
4aと開口部4b間を往復移動される各ピストン9,1
1は、各頭部9B,11Bに設けられたシールリング1
3を構成する低摩擦性の合成樹脂材料の第2リング46
が、リザーバ2側と各圧力室10,12側間の双方向の
作動液の移動を禁止しつつ、シリンダ孔4の側周内壁4
cを摺動して、各液戻し孔17,33の開口端縁をスム
ーズに通過する。
【0041】(C)図6に示す補給弁30,係合部材3
6の具体的な構成: 図6において、従ピストン11には、この突出部11D
端に開口して、頭部11Bまで延びる凹所320が形成
されており、この凹所320内に補給弁30が設けられ
ている。この補給弁30は、円盤状ベース部350Aの
外周から軸線方向に拡径しつつ突出する外周リップ部3
50Cを有する弁体となるカップ型シール350を有し
ている。そして、カップ型シール350は、この外周リ
ップ部350Cの先端側を従圧力室12側に向けてベー
ス部350A側から凹所320内に嵌合されている。こ
れにより、カップ型シール350は、このベース部35
0Aが凹所320の底320aとの間に円柱部材351
を介して、液補給通路25を閉鎖するように、底320
aに係合していると共に、この外周リップ部350Cが
凹所320の内周壁320bに亘って弾接して、この内
壁面320bが補給弁30の弁座を担っている。この円
柱状部材351には、液補給通路25に連通してこの軸
線方向に延びる横孔352と、この横孔352に連続し
て半径方向に貫通して凹所320の間で区画される第1
補助室内353に開口する縦孔354とが形成されてい
る。尚、液補給通路25は、縦孔354、横孔352
と、従ピストン11に形成されたT字状連絡孔360
と、液補給室31及び液補給孔32とで構成されてい
る。
【0042】一方、係合部材36は、環状板部355か
ら突出する有底の筒状部356とからなる筒状リテーナ
357であって、この筒状部356側から凹所320内
に圧入して、この筒状部356の底356aでカップ型
シール350のベース部350Aから突出する突起部3
50Dを押し付けていると共に、この環状板部355が
従ピストン11の突起部11Dの端面11dに係合し
て、カップ型シール350を保持している。これによ
り、筒状リテーナ357とカップ型シール350との間
に第2補助室358が区画される。また、従ピストン1
1の突出部11Dには従圧力室12と第2補助室358
とを連通する複数の液供給孔359が形成されている。
また、従戻しバネ41は、シリンダ孔4の閉鎖端4aと
従ピストン11の頭部11Bの端面11bとの間に張設
されている。
【0043】そして、図示しないブレーキペダルの踏み
込みで、各ピストン9,11がシリンダ孔4の閉鎖端4
a側に移動されて、シールリング13が液戻し孔17,
33を通過し、このシールリング13により各圧力室1
0,13とリザーバ2との間を遮断し、各圧力室10,
12に液圧が発生すると、この液圧は液供給孔359を
介して第2補助室358に導入されて、カップ型シール
350に作用するので、この外周ベース部350Cが凹
所320の内周壁320bに弾接される状態となり、補
給弁30の閉弁状態が維持される。また、上記各ブレー
キを解消するために、ブレーキペダルの踏み込みを解除
すると、各ピストン9,11は主戻しバネ38と従戻し
バネ41のばね力によりシリンダ孔4の開口部4b側に
移動される。これにより、上記各ホイールシリンダに供
給された作動液が各圧力室10,12−各液戻し孔1
7,33を介して戻されることになるが、上記各ホイー
ルシリンダから戻される作動液の遅れにより各圧力室1
0,12の圧力がザーバ2側の圧力(大気圧)より低く
なると、リザーバ2から各液補給通路25−円柱部材3
51の横孔352と縦孔354、及び第1補助室353
からカップ型シール350に作用する作動液により、外
周リップ部350Cが凹所320の中心側に弾性変形し
て縮径されて、補給弁30を開弁状態として、リザーバ
2から各圧力室10,12に作動液を補給する。その
後、各液補給通路25側(リザーバ2側)と各圧力室1
0,12側との圧力が同程度になると、カップ型シール
350の外周リップ部350Cがその弾性変形を解除し
て凹所320の内周壁320bに弾接して、補給弁30
を閉弁状態にし、前記シールリング13が各液戻し孔1
7,33を通過した時点(圧力室10,12とリザーバ
2とが、各液戻し孔17,33により連通した時点)
で、前記補給弁30を介して前記圧力室10,12に流
入した作動液が前記リザーバ2に戻される。更に、上記
ブレーキペダルの踏み込み、又は踏み込み解除により、
シリンダ孔4の閉鎖端4aと開口部4b間を往復移動さ
れる各ピストン9,11は、各頭部9B,11Bに設け
られたシールリング13を構成する低摩擦性の合成樹脂
材料の第2リング46が、リザーバ2側と各圧力室1
0,12側間の双方向の作動液の移動を禁止しつつ、シ
リンダ孔4の側周内壁4cを摺動して、各液戻し孔1
7,33の開口端縁をスムーズに通過する。
【0044】(D)図7に示す補給弁30,係合部材3
6の具体的な構成: 図7において、従ピストン11には、図6に示したと同
様な凹所420が形成されており、この凹所内に補給弁
30が設けられている。この補給弁30は、円盤状ベー
ス部450Aの外周から軸線方向に拡径しつつ突出する
外周リップ部450Cを有する弁体となるカップ型シー
ル450を有している。そして、カップ型シール450
は、この外周リップ部450Cの先端側を従圧力室12
側に向けてベース部450A側から凹所420内に嵌合
されている。これにより、カップ型シール450は、こ
のベース部450Aが凹所420の底420aに開口す
る液補給通路25を閉鎖するように、この底420aに
係合していると共に、この外周リップ部450Cが凹所
420の内周壁420に亘って弾性して、この内周壁
420が補給弁30の弁座を担っている。
【0045】一方、係合部材36は、図6に示すと同様
な筒状リテーナ357であって、この筒状部356側か
ら凹所420内に圧入して、この筒状部356の底35
6aで断面十字形状のスペーサ455を介してカップ型
シール450のベース部450Aを押し付けていると共
に、この環状板部355が従ピストン11の突起部11
Dの端面11dに係合して、カップ型シール450を保
持している。これにより、筒状リテーナ357とカップ
型シール450との間に補助室456が区画される。ま
た、従ピストン11の突出部11Dには従圧力室12と
補助室456とを連通する複数の液供給孔457が形成
されている。また、従戻しバネ41は、シリンダ孔4の
閉鎖端4aと従ピストン11の頭部11の端面11bと
の間で張設されている。また、図7において、シールリ
ング13を構成する第1リング45の断面を矩形状とし
たものを用いた例を示している。
【0046】そして、図示しないブレーキペダルの踏み
込みで、各ピストン9,11がシリンダ孔4の閉鎖端4
a側に移動されて、シールリング13が液戻し孔17,
33を通過し、このシールリング13により各圧力室1
0,12をリザーバ2との間を遮断し、各圧力室10,
12に液圧が発生すると、この液圧は液供給孔457を
介して補助室456に導入されて、カップ型シール45
0に作用するので、この外周ベース部450Cが凹所4
20の内周壁420bに弾接される状態となり、補給弁
30の閉弁状態が維持される。また、上記各ブレーキを
解消するために、ブレーキペダルの踏み込みを解除する
と、各ピストン9,11は主戻しバネ38と従戻しバネ
41のばね力によりシリンダ孔4の開口部4b側に移動
される。これにより、上記各ホイールシリンダに供給さ
れた作動液が各圧力室10,12−各液戻し孔17,3
3を介して戻されることになるが、上記各ホイールシリ
ンダから戻される作動液の遅れにより各圧力室10,1
2の圧力がザーバ2側の圧力(大気圧)より低くなる
と、リザーバ2から各液補給通路25を通してカップ型
シール450に作用する作動液により、外周リップ部4
50Cが凹所420の中心側に弾性変形して縮径され
て、補給弁30を開弁状態として、リザーバ2から各圧
力室10,12に作動液を補給する。その後、各液補給
通路25側(リザーバ2側)と各圧力室10,12側と
の圧力が同程度になると、カップ型シール450の外周
リップ部450Cがその弾性変形を解除して凹所420
の内周壁420に弾接して、補給弁30を閉弁状態
し、前記シールリング13が各液戻し孔17,33を通
過した時点(圧力室10,12とリザーバ2とが、各液
戻し孔17,33により連通した時点)で、前記補給弁
30を介して前記圧力室10,12に流入した作動液が
前記リザーバ2に戻される。更に、上記ブレーキペダル
の踏み込み、又は踏み込み解除により、シリンダ孔4の
閉鎖端4aと開口部4b間を往復移動される各ピストン
9,11は、各頭部9B,11Bに設けられたシールリ
ング13を構成する低摩擦性の合成樹脂材料の第2リン
グ46が、リザーバ2側と各圧力室10,12側間の双
方向の作動液の移動を禁止しつつ、シリンダ孔4の側周
内壁4cを摺動して、各液戻し孔17,33の開口端縁
をスムーズに通過する。
【0047】(E)図8に示す補給弁30,係合部材3
6の具体的な構成: 図8において、従ピストン11の頭部11Bには、従圧
力室12に開口する段付き凹所520が形成されてお
り、この段付き凹所520内に補給弁30が設けられて
いる。この補給弁は、段付き凹所520の小径孔部52
0Aに摺動自在に嵌合された軸状の弁ピストン525
と、この弁ピストン525を凹所520の底520aを
弁座として付勢する弁バネ526と、弁ピストン525
と凹所520の底520aとの間に介在される環状のシ
ール部材527とで構成されている。また、弁ピストン
525の外周面525aには、凹所520の小径孔部5
20Aとの間で液供給通路530を形成するようにこの
軸線方向に貫通する複数の液供給溝531が形成されて
いる。一方、係合部材36は、凹所520の開口側から
大径孔部520B内に圧入されたバネ受板554であっ
て、従戻しバネ41を受けている。また、バネ受板55
4と弁ピストン525との間には補助室555を区画す
るように、弁バネ526が張設されており、この弁バネ
526のばね力で、弁ピストン525に装着されたシー
ル部材527を弾性変形しつつ弁ピストン525を凹所
520の底520a(弁座)に付勢している。これによ
り、補給弁30は、液補給通路25と従圧力室12を遮
断する閉弁状態にされている。
【0048】そして、図示しないブレーキペダルの踏み
込みで、各ピストン9,11がシリンダ孔4の閉鎖端4
a側に移動されて、シールリング13が液戻し孔17,
33を通過し、このシールリング13により圧力室1
0,12とリザーバ2との間を遮断し、各圧力室10,
12に液圧が発生すると、この液圧はバネ受板554と
従ピストン11の頭部11の端面11bとの隙間から補
助室555に導入されて、弁ピストン525に作用する
ので、このシール部材527がより凹所520の底52
0a(弁座)に弾接される状態となり、補給弁30の閉
弁状態が維持される。また、上記各ブレーキを解消する
ために、ブレーキペダルの踏み込みを解除すると、各ピ
ストン9,11は主戻しバネ38と従戻しバネ41のば
ね力によりシリンダ孔4の開口部4b側に移動される。
これにより、上記各ホイールシリンダに供給された作動
液が各圧力室10,12−各液戻し孔17,33を介し
て戻されることになるが、上記各ホイールシリンダから
戻される作動液の遅れにより各圧力室10,12の圧力
がザーバ2側の圧力(大気圧)より低くなると、リザー
バ2から各液補給通路25を通して弁ピストン525に
作用する作動液により、弁ピストン525が弁バネ52
6に抗して従圧力室12側に移動されて、補給弁30を
開弁状態として、リザーバ2から液補給通路25−液供
給通路530−補助室555を介して各圧力室10,1
2に作動液を補給する。その後、各液補給通路25側
(リザーバ2側)と各圧力室10,12側との圧力が同
程度になると、弁ピストン525が弁バネ526のばね
力で凹所520の底520a側に移動されて、遂には、
凹所520の底520a(弁座)にシール部材527を
弾接して、補給弁30を閉弁状態にし、前記シールリン
グ13が各液戻し孔17,33を通過した時点(圧力室
10,12とリザーバ2とが、各液戻し孔17,33に
より連通した時点)で、前記補給弁30を介して前記圧
力室10,12に流入した作動液が前記リザーバ2に戻
される。更に、上記ブレーキペダルの踏み込み、又は踏
み込み解除により、シリンダ孔4の閉鎖端4aと開口部
4b間を往復移動される各ピストン9,11は、各頭部
9B,11Bに設けられたシールリング13を構成する
低摩擦性の合成樹脂材料の第2リング46が、リザーバ
2側と各圧力室10,12側間の双方向の作動液の移動
を禁止しつつ、シリンダ孔4の側周内壁4cを摺動し
て、各液戻し孔17,33の開口端縁をスムーズに通過
する。
【0049】(F)図9に示す補給弁30,係合部材3
6の具体的な構成: 図9において、従ピストン11には、この突出部11D
端に開口して、頭部11Bまで延びる凹所620が形成
されており、この凹所620内に補給弁30が設けられ
ている。この補給弁30は、弁軸部650Aの先端部を
覆うように装着されたシール部材650Bを有す弁ピス
トン650と、この弁ピストン650を凹所620の底
620aを弁座として付勢する弁バネ655とで構成さ
れている。この弁ピストン650は、この弁軸部650
Aを従ピストン11の軸線方向に延びて凹所620の底
620aに開口するガイド部となる横連絡孔656に遊
嵌して、シール部材650Bを凹所620の底620a
に係合するように配置されている。係合部材36は、凹
所620の開口側に嵌め込まれたバネ受部材670であ
って、止めリング671により凹所620からの抜け出
ないようにされている。そして、バネ受部材670と弁
ピストン650のシール部材650Bに形成された段部
650Cとの間には、補助室675を区画するように、
弁バネ655が張設定されており、この弁バネ655の
ばね力で弁ピストン650のシール部材650Bを凹所
620の底620a(弁座)に付勢している。これによ
り、補給弁30は、液補給通路25と従圧力室12とを
遮断する閉弁状態にされている。
【0050】そして、図示しないブレーキペダルの踏み
込みで、各ピストン9,11がシリンダ孔4の閉鎖端4
a側に移動されて、シールリング13が液戻し孔17,
33を通過し、このシールリング13により各圧力室1
0,12とリザーバ2との間を遮断し、各圧力室10,
12に液圧が発生すると、この液圧はバネ受部材670
の連通孔680から補助室675に導入されて、弁ピス
トン650に作用するので、このシール部材650Bが
より凹所620の底620a(弁座)に弾接される状態
となり、補給弁30の閉弁状態が維持される。また、上
記各ブレーキを解消するために、ブレーキペダルの踏み
込みを解除すると、各ピストン9,11は主戻しバネ3
8と従戻しバネ41のばね力によりシリンダ孔4の開口
部4b側に移動される。これにより、上記各ホイールシ
リンダに供給された作動液が各圧力室10,12−各液
戻し孔17,33を介して戻されることになるが、上記
各ホイールシリンダから戻される作動液の遅れにより各
圧力室10,12の圧力がザーバ2側の圧力(大気圧)
より低くなると、リザーバ2から各液補給通路25から
弁ピストン650に作用する作動液により、弁ピストン
650は、弁バネ655のバネ力に抗して従圧力室12
側に弁軸部650Aが横連絡孔656で案内されながら
移動されて、補給弁30を開弁状態として、リザーバ2
から液補給通路25−横連絡孔656−補助室675を
介して各圧力室12に作動液を補給する。その後、各液
補給通路25側(リザーバ2側)と各圧力室10,12
側との圧力が同程度になると、弁ピストン650が弁バ
ネ655のばね力で凹所620の底620a側に移動さ
れて、遂には、凹所620の底620a(弁座)にシー
ル部材650Bを弾接して、補給弁30を閉弁状態に
し、前記シールリング13が各液戻し孔17,33を通
過した時点(圧力室10,12とリザーバ2とが、各液
戻し孔17,33により連通した時点)で、前記補給弁
30を介して前記圧力室10,12に流入した作動液が
前記リザーバ2に戻される。更に、上記ブレーキペダル
の踏み込み、又は踏み込み解除により、シリンダ孔4の
閉鎖端4aと開口部4b間を往復移動される各ピストン
9,11は、各頭部9B,11Bに設けられたシールリ
ング13を構成する低摩擦性の合成樹脂材料の第2リン
グ46が、リザーバ2側と各圧力室10,12側間の双
方向の作動液の移動を禁止しつつ、シリンダ孔4の側周
内壁4cを摺動して、各液戻し孔17,33の開口端縁
をスムーズに通過する。
【0051】
【発明の効果】このように本発明のマスタシリンダによ
れば、請求項1又は請求項2では、シールリングは、シ
リンダ孔の側周内壁に第1リングで摺接する第2リング
とを有しているので、ピストンが移動し、圧力室に液圧
が発生した時に、シールリングの第1リングがリザーバ
側と圧力室側間の双方向の液移動を禁止しつつ、液戻し
孔の開口を摺動することになり、この第1リングが液戻
し孔に押し込まれることがなくなる。この結果、カップ
シールの寿命を、従来に比して長くすることができる。
また、ピストンの摺動と関係のない場所に、従来、ピス
トン外周に嵌着されたシールリングの変形でリザーバか
らの作動液を圧力室に供給されていた機能を有する補給
弁を設けたので、例え、カップ型シールで弁体を形成し
てもこれが損傷することがなくなる。
【0052】請求項3では、第1リングは、前記第2リ
ングを前記シリンダ孔の側周内壁に向けて押圧する弾性
力を有しているので、第2リングを、リザーバ側と圧力
室側との連通を、確実に遮断してシリンダ孔の側周内壁
に弾接させることができる。
【0053】請求項4では、液戻し孔のシリンダ孔開口
端縁、もしくは、開口端縁を通過する第2リンクの角部
の少なくとも一方は、面取りないしは丸み加工を施され
ているので、ピストンの移動の際に、第1リングが液戻
し孔の開口端縁に引っ掛かることがなく、第1リングの
損傷を少なくできる。
【0054】請求項5では、第2リングは、低摩擦性の
合成樹脂材料から形成されているので、第1リングで摺
動抵抗を減少しつつ、更に、ピストンをリンダ孔にスム
ーズに移動させることができる。
【0055】請求項6では、1リングは、合成ゴム製の
Oリングで形成されていので、、汎用されている合成ゴ
ム製のOリングを用いることができ、経済的である。
【0056】請求項7では、ピストンには、液補給通路
となる連絡孔を形成するとともに、ピストンの圧力室お
よび連絡孔に臨む部分に、補給弁を設けたので、ピスト
ンとシリンダ孔との摺動に関係のない場所に補給弁を設
けることができ、補給弁の損傷も少なくできる。
【0057】請求項8では、補給弁の弁体は、ピストン
に係合する係合部材によりピストンの所定位置に保持さ
れているので、補給弁の弁体は、常に、圧力室に発生す
る液圧により移動することなく所定位置に保持されるの
で、補給弁の開閉弁作動が正確に行うことができる。
【0058】請求項9では、係合部材は、ピストンを非
作動位置に向けて付勢する戻しバネのバネ受としたの
で、容易な構造でピストンを非作動位置の付勢する戻し
バネを保持することができる。
【0059】請求項10では、係合部材は、前記ピスト
ンに係止されたリテーナであるので、容易な構造で戻し
バネを保持することができる。
【0060】請求項11では、ピストンの圧力室側端部
に前記リザーバ側と連通する凹所を形成して、補給弁の
弁体を、リップ部先端側を圧力室側に向けて凹所内に嵌
入されるカップ型シールとし、補給弁の弁座を、リップ
部が弾接する凹所の内周壁としたので、ピストンとシリ
ンダ孔との摺動と関係のない場所で、カップ型シールの
リップ部を弁座に対して接離されるという簡単な構造
で、補給弁を構成することができる。
【0061】請求項12では、補給弁の弁体を板状の弾
性部材により形成して、ピストンの圧力室側端部に保持
し、その圧力室側端部に形成した弁座に弾接させたの
で、弁体を板状の弾性部材により形成して、ピストンの
端部に保持するという簡単な構造で、補給弁を構成する
ことができる。
【0062】請求項13では、ピストンには、圧力室に
対して開口し底部側がリザーバ側に連通する凹所を形成
し、補給弁が、凹所の底部に形成される弁座と、凹所に
その軸線方向に沿って移動自在に挿入される弁ピストン
と、この弁ピストンに装着され弁座に着離座可能なシー
ル部材と、弁ピストンを前記弁座に向けて付勢する弁ば
ねとを有しているので、ピストンとシリンダ孔との摺動
と関係のない場所で、弁ピストンを弁座に対して接離さ
れるという簡単な構造で、補給弁を構成することができ
る。
【0063】請求項14では、シール部材を弁ピストン
の弁座を対向する端面に 取り付けて、凹所の内周面
を、弁ピストン両端間の液連通を許容しつつ、弁ピスト
ンの外周を案内支持するガイド部材としたので、弁ピス
トンが案内されなが確実に、弁座に対して接離させるこ
とができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明のマスタシリンダの全体構成を示す断面
図である。
【図2】本発明のマスタシリンダにおけるシールリング
と補給弁との具体的な構成を示す、図1における要部拡
大図である。
【図3】本発明のマスタシリンダにおけるシールリング
の第2リングと液戻し孔との関係を示す、図2の要部拡
大図である。
【図4】本発明のマスタシリンダの第1変形例を示す要
部拡大図である。
【図5】本発明のマスタシリンダの第2変形例を示す要
部拡大図である。
【図6】本発明のマスタシリンダの第3変形例を示す要
部拡大図である。
【図7】本発明のマスタシリンダの第4変形例を示す要
部拡大図である。
【図8】本発明のマスタシリンダの第5変形例を示す要
部拡大図である。
【図9】本発明のマスタシリンダの第6変形例を示す要
部拡大図である。
【図10】従来技術のマスタシリンダの主要構成を示す
断面図である。
【符号の説明】 1 マスタシリンダ 2 リザーバ 3 シリンダ本体 4 シリンダ孔 4c 側周内壁 9 主ピストン 11 従ピストン 13 シールリング 25 液補給通路 30 補給弁 45 第1リング 46 第2リング
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (56)参考文献 特開 昭61−244656(JP,A) 特開 昭58−211955(JP,A) 実公 昭55−30765(JP,Y2) (58)調査した分野(Int.Cl.6,DB名) B60T 11/16

Claims (14)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 シリンダ孔を形成したシリンダ本体と、
    前記シリンダ孔に摺動自在に嵌入されるピストンと、前
    記ピストンの先端側外周に装着され前記シリンダ孔内に
    圧力室を形成するシールリングとを備え、前記シリンダ
    本体に、前記圧力室をリザーバに連絡して前記シリンダ
    孔の側周内壁に開口し、前記ピストンの移動に応じて前
    記シールリングにより前記圧力室との連通を遮断される
    液戻し孔を形成したマスタシリンダにおいて、 前記シールリングは、前記シリンダ孔内を摺動する前記
    ピストンに形成された環状凹所に装着されて位置決めさ
    れ、且つ、前記ピストンが前記圧力室側に移動すること
    により、前記液戻し孔を通過して前記圧力室と前記リザ
    ーバ側間の双方向の液移動を禁止し、これにより前記圧
    力室を加圧するものであって、弾性材料から形成され前
    記ピストンの外周に接合する第1リングと、この第1リ
    ングよりも高硬度の材料から形成され内周面が前記第1
    リングに密着して外周面が前記シリンダ孔の側周内壁に
    摺接する第2リングとを有するとともに、当該第1およ
    び第2リングによる密封部分を迂回して前記圧力室と前
    記リザーバ側間を連絡する液補給通路と、この液補給通
    路を介した前記リザーバ側から前記圧力室側に向かう液
    移動のみを許容する補給弁を設けたことを特徴とするマ
    スタシリンダ。
  2. 【請求項2】 シリンダ本体に形成したひとつのシリン
    ダ孔内に、ふたつのピストンを移動自在に挿入して、外
    部からの操作力を受ける一方のピストンおよび両ピスト
    ン間に形成される圧力室を含むプライマリ側部分、この
    プライマリ側部分に従動する他方のピストンおよびこれ
    と前記シリンダ孔の閉鎖端との間に形成される圧力室を
    含むセカンダリ側部分の各々が設けられたタンデム型の
    マスタシリンダであって、前記プライマリ側部分または
    セカンダリ側部分の少なくとも片方が、前記圧力室をリ
    ザーバ側に連絡可能に前記シリンダ本体に形成され、前
    記シリンダ孔の側周内壁に開口する液戻し孔と、ピスト
    ンの先端側外周に嵌着されて、当該ピストンの圧力室側
    への移動に応じて前記液戻し孔の開口を通過することに
    より圧力室を前記リザーバ側から遮断するシールリング
    とを備えるマスタシリンダにおいて、 前記シールリングは、前記シリンダ孔内を摺動する前記
    ピストンに形成された環状凹所に装着されて位置決めさ
    れ、且つ、前記ピストンが前記圧力室側に移動すること
    により、前記液戻し孔を通過して前記圧力室と前記リザ
    ーバ側間の双方向の液移動を禁止し、これにより前記圧
    力室を加圧するものであって、弾性材料から形成され前
    記ピストンの外周に接合する第1リングと、この第1リ
    ングよりも高硬度の材料から形成され内周面が前記第1
    リングに密着して外周面が前記シリンダ孔の側周内壁に
    摺接する第2リングとを有するとともに、これら第1お
    よび第2リングを設けたピストンに対応する圧力室と前
    記リザーバ側との間を連通させる液補給路を、前記第1
    および第2リングによる密封部分を迂回する箇所に設
    け、その液補給路を介した前記リザーバ側から前記圧力
    室に向かう液移動のみを許容する補給弁を設けたことを
    特徴とするマスタシリンダ。
  3. 【請求項3】 前記第1リングは、前記第2リングを前
    記シリンダ孔の側周内壁に向けて押圧する弾性力を有し
    ていることを特徴とする請求項1および請求項2いずれ
    かに記載のマスタシリンダ。
  4. 【請求項4】 前記液戻し孔のシリンダ孔開口端縁、も
    しくは、前記開口端縁を通過する第2リンクの角部の少
    なくとも一方は、面取りないしは丸み加工を施されてい
    ることを特徴とする請求項1乃至請求項3いずれかに記
    載のマスタシリンダ。
  5. 【請求項5】 前記第2リングは、低摩擦性の合成樹脂
    材料から形成されていることを特徴とする請求項1乃至
    請求項4いずれかに記載のマスタシリンダ。
  6. 【請求項6】 前記第1リングは、合成ゴム製のOリン
    グである請求項1乃至請求項5いずれかに記載のマスタ
    シリンダ。
  7. 【請求項7】 前記ピストンには、前記液補給通路とな
    る連絡孔を形成するとともに、当該ピストンの前記圧力
    室および前記連絡孔に臨む部分に、前記補給弁を設けた
    ことを特徴とする請求項1乃至請求項6いずれかに記載
    のマスタシリンダ。
  8. 【請求項8】 前記補給弁の弁体は、前記ピストンに係
    合する係合部材により前記ピストンの所定位置に保持さ
    れていることを特徴とする請求項7記載のマスタシリン
    ダ。
  9. 【請求項9】 前記係合部材は、前記ピストンを非作動
    位置に向けて付勢する戻しバネのバネ受であることを特
    徴とする請求項8記載のマスタシリンダ。
  10. 【請求項10】 前記係合部材は、前記ピストンに係止
    されたリテーナであることを特徴とする請求項8記載の
    マスタシリンダ。
  11. 【請求項11】 前記ピストンの圧力室側端部に前記リ
    ザーバ側と連通する凹所を形成して、前記補給弁の弁体
    を、リップ部先端側を前記圧力室側に向けて前記凹所内
    に嵌入されるカップ型シールとし、前記補給弁の弁座
    を、前記リップ部が弾接する前記凹所の内周壁としたこ
    とを特徴とする請求項7乃至請求項10いずれかに記載
    のマスタシリンダ。
  12. 【請求項12】 前記補給弁の弁体を板状の弾性部材に
    より形成して、前記ピストンの前記圧力室側端部に保持
    し、その圧力室側端部に形成した弁座に弾接させたこと
    を特徴とする請求項7乃至請求項10いずれかに記載の
    マスタシリンダ。
  13. 【請求項13】 前記ピストンには、前記圧力室に対し
    て開口し底部側が前記リザーバ側に連通する凹所を形成
    し、前記補給弁が、前記凹所の底部に形成される弁座
    と、前記凹所にその軸線方向に沿って移動自在に挿入さ
    れる弁ピストンと、この弁ピストンに装着され前記弁座
    に着離座可能なシール部材と、前記弁ピストンを前記弁
    座に向けて付勢する弁ばねとを有していることを特徴と
    する請求項7乃至請求項10いずれかに記載のマスタシ
    リンダ。
  14. 【請求項14】 前記シール部材を前記弁ピストンの前
    記弁座を対向する端面に取り付けて、前記凹所の内周面
    を、前記弁ピストン両端間の液連通を許容しつつ、弁ピ
    ストンの外周を案内支持するガイド部材とした請求項1
    3記載のマスタシリンダ。
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